令和2年1月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第11046号商標権侵害差止等請求本訴事件平成31年(ワ)第1716号虚偽事実告知・流布行為差止請求反訴事件口頭弁論終結日令和元年11月18日判決 本訴原告・反訴被告株式会社守半海苔店(以下「原告」という。)同訴訟代理人弁護士石井晋一 同補佐人弁理士磯野富彦鉾田慶亮 本訴事件原告補助参加人株式会社守半本店(以下「補助参加人」という。) 同訴訟代理人弁護士石井晋一 本訴被告・反訴原告株式会社守半總本舗(以下「被告」という。)同訴訟代理人弁護士鈴木仁志 神村大輔 主文 1 原告の本訴請求をいずれも棄却する。 2 被告の反訴請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用(補助参加に対する異議によって生じた費用を除く。)は,補助参加によって生じた費用を補助参加人の負担とし,その余の費用は,本訴反訴を通じてこれを30分し,その29を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴請求(1) 被告は,その販売する焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬の各包装に別紙2被告標章目録記載1ないし7の各標章を付してはならない。 (2) 被告は,焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬について,別紙2被告標章目録記載1ないし7の各標章をその包装に 及び海苔茶漬の各包装に別紙2被告標章目録記載1ないし7の各標章を付してはならない。 (2) 被告は,焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬について,別紙2被告標章目録記載1ないし7の各標章をその包装に付したものの販売又は販売のための展示をし てはならない。 (3) 被告は,焼きのり及び味付けのりに関する商品の紹介用のパンフレットについて,別紙2被告標章目録記載8ないし10の各標章を付して頒布してはならない。 (4) 被告は,別紙6被告ウェブページ目録記載のウェブページに別紙2被告標章目録記載11の標章を表示してはならない。 (5) 被告は,その店舗内に設置される売場表示において,別紙2被告標章目録記載12の標章を表示してはならない。 (6) 被告は,別紙2被告標章目録記載1ないし7の各標章を付した,焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬の各容器包装を廃棄せよ。 (7) 被告は,別紙2被告標章目録記載8ないし10の各標章を付した,別紙4被 告商品目録記載1ないし5の商品に関するパンフレットを廃棄せよ。 (8) 被告は,原告に対し,4500万5000円及びこれに対する平成30年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 反訴請求原告は,第三者に対し,別紙8告知事実目録記載の各事実の告知又は流布をして はならない。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1) 本訴事件ア本訴事件は,「守半」の文字からなる別紙1本件商標権目録記載の登録商標(以下「本件商標」という。)についての同目録記載の商標権(以下「本件商標権」 という。)を有する原告が,被告に対して,被告において「守半」の文字を含む別紙2被告標章目録記載の各標章(以下,同目録記載の符号に従い「被告標章1」,「被告標章2」な 標権(以下「本件商標権」 という。)を有する原告が,被告に対して,被告において「守半」の文字を含む別紙2被告標章目録記載の各標章(以下,同目録記載の符号に従い「被告標章1」,「被告標章2」などといい,各標章を併せて「被告各標章」という。)を使用する行為は,本件商標に類似する標章を本件商標権の指定商品又はそれに類似する商品若しくは役務に使用する行為であり,商標法37条1項1号により本件商標権を侵害する行 為とみなされると主張して,①同法36条1項に基づき,被告各標章の使用の差止めを求め(本訴請求(1)ないし(5)),②同条2項に基づき,被告の容器包装・パンフレットの廃棄を求め(本訴請求(6)及び(7)),③対象期間を平成20年4月8日から本訴事件が提起された平成30年4月7日までの10年間として,商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金4500万5000円及びこれ に対する訴状送達の日の翌日である平成30年4月22日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(本訴請求(8))事案である。 イ被告は,被告の行為が本件商標権を侵害するとみなされる行為に該当するかを争うとともに,「守半」の文字を用いた標章の本来的な帰属主体は原告ではなく,原告は本来の帰属主体の分店にすぎないところ,被告は本来の帰属主体から「のれ ん分け」を受けて「守半」を使用しているものであるから,原告が被告に対して本件商標権を行使することは権利濫用に該当する等と主張して,原告の本訴請求を争っている。 ウ補助参加人は,本訴事件の原告を補助するため,本訴事件の訴訟に参加した。 被告は,上記補助参加について異議を述べたが,その後,この異議を取り下げた。 (2) 反訴事件 ア反訴事件は, 参加人は,本訴事件の原告を補助するため,本訴事件の訴訟に参加した。 被告は,上記補助参加について異議を述べたが,その後,この異議を取り下げた。 (2) 反訴事件 ア反訴事件は,被告が,原告に対して,原告においてそのウェブページ上で「守半」の標章に関して別紙8告知事実目録記載1の各括弧書内の表示(以下,併せて「本件表示」という。)を行うことは競争関係にある被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為として不正競争防止法2条1項21号の不正競争に該当し,その侵害の停止又は予防に必要であるとして,同法3条1項に 基づいて本件表示に係る事実及び同目録記載2の事実の告知の差止めを求める事案である。 イ原告は,本件表示が虚偽の事実の告知に当たらず,信用毀損行為に該当しない等と主張して,被告の反訴請求を争っている。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実又は後掲の証拠(以下,書証番号は特 記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は,東京都大田区大森地区(以下「大森地区」という。)を本店所在地として「株式会社守半海苔店」の商号で昭和33年12月1日に設立され,海苔,海苔佃煮,海苔茶漬の製造販売等を行う株式会社である(乙2)。 原告は,設立以来,大森地区の1店舗のみにおいて営業を継続している。 イ被告は,東京都大田区蒲田地区(以下「蒲田地区」という。)を本店所在地として「株式会社守半蒲田店」の商号で昭和44年9月1日に設立され,海苔の製造・販売並びにお茶,椎茸及びかつお節の販売等を行う株式会社である。 被告は,平成18年5月以降においては,蒲田地区及び大森地区に別紙7被告店 舗目録記載1ないし5の店舗を有している(ただ 製造・販売並びにお茶,椎茸及びかつお節の販売等を行う株式会社である。 被告は,平成18年5月以降においては,蒲田地区及び大森地区に別紙7被告店 舗目録記載1ないし5の店舗を有している(ただし同目録記載4の店舗は平成29年8月に閉店し,その後同目録記載5の店舗が開設された。)(甲9,39,乙1,6,弁論の全趣旨)。 被告は,平成18年5月1日,その商号を「株式会社守半總本舗」に変更した(乙1)。 ウ補助参加人は,大森地区を本店所在地として「株式会社守半本店」の商号で 昭和33年12月1日に設立された乾海苔販売,乾海苔加工販売等を目的とする株式会社である(乙3)。 (2) 補助参加人及びその前身の事業Aは,明治17年に屋号を「守半」として海苔問屋等を開業した(乙40,弁論の全趣旨。)。 上記の事業は,Aから,その二男であるBに承継され,更に,Bの長男であるCに承継された。その後,Cを代表者として,昭和33年12月1日,大森地区を本店所在地とする補助参加人が設立され,同社が上記事業を承継した(乙3。以下,Aが創業し,上記の順に補助参加人へと承継された事業について,その事業主体を「守半本店」と総称することがある。)。 原告及び被告と守半本店との各関係並びに原告及び被告による「守半」を含む標章の使用開始の経緯については,後記のとおり,当事者間に争いがある。 (3) 原告による本件商標権の取得,「守半」を含む標章の使用ア原告は,「守半」の文字を縦書きにしてなる本件商標について,昭和51年4月28日に商標登録出願をし,昭和55年5月30日に登録を受けて,本件商標権 を有している(甲1,2)。 イ原告は,本件商標権を取得する以前から,その製造販売する海苔製品に「守半」の文 月28日に商標登録出願をし,昭和55年5月30日に登録を受けて,本件商標権 を有している(甲1,2)。 イ原告は,本件商標権を取得する以前から,その製造販売する海苔製品に「守半」の文字を含む標章(本件商標とは書体,色彩,縦書き・横書きの別が異なるものを含む。)を付して使用している(甲3,4)。 (4) 被告による「守半」を含む標章の使用 ア被告は,本件商標権の出願より前から,「守半」の文字を含む標章を海苔製品の包装に付すなどして使用していた(乙22)。 イ被告が,その商号を「株式会社守半總本舗」に変更した平成18年5月1日から本訴事件提起(平成30年4月7日)までの期間の,被告による「守半」ないし「守半總本舗」の文字を含む被告標章の使用状況は,別紙3被告標章の使用行為 のとおりである。 (5) 本件商標と被告各商標との類否被告各標章は,その要部として,いずれも本件商標と同じ「守半」の文字を含み,「モリハン」の称呼を生ずるものであり,それぞれ本件商標と類似する(弁論の全趣旨)。 (6) 原告から被告に対する「守半」を含む標章の使用中止の申入れ 原告は,平成29年12月19日,同月18日付けの通知書(甲5)によって,被告に対し,被告が「守半」の文字を含む標章を使用することが本件商標権の侵害に当たると主張し,これらの標章を付した商品の販売中止等を求めた。 これに対して,被告は,同月から平成30年2月にかけて,本件商標権の侵害の事実を否定するほか,本件商標権の無効等を主張して,原告の主張は認められない 旨の回答を行った(甲6,8)。 (7) 本訴事件の提起原告は,平成30年4月7日,本訴事件を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 (8) 原告のウェブページ上におけ は認められない 旨の回答を行った(甲6,8)。 (7) 本訴事件の提起原告は,平成30年4月7日,本訴事件を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 (8) 原告のウェブページ上における本件表示原告は,平成30年1月末頃から,そのウェブページ上において,本件表示を行 っている(乙41,53)。 3 争点【本訴について】(1) 被告の行為が本件商標権を侵害するとみなされる行為に該当するか(争点1)(2) 原告の本件商標権に基づく本訴請求が権利濫用に該当するか(争点2) (3) 本件商標の商標登録が商標登録無効審判により無効にされるべきものか(争点3)ア公序良俗違反(商標法4条1項7号)該当性(争点3-1)イ周知商標(商標法4条1項10号)該当性(争点3-2)(4) 被告が本件商標権について先使用権を有するか(争点4) (5) 原告の損害(争点5) 【反訴について】(6) 本件表示が被告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当するか(争点6) 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点1(被告の行為が本件商標権を侵害するとみなされる行為に該当するか) について【原告の主張】別紙3被告標章の使用行為に記載した被告の行為は,以下のとおり,いずれも,本件商標権の指定商品又は指定商品に類似する商品若しくは役務について,本件商標と類似する被告各標章を使用するものであるから,商標法37条1項1号により, 本件商標権を侵害するものとみなされる。 ア第1の行為(商品に標章を付し,販売する行為)について被告商品1ないし7は,「焼きのり」,「味付けのり」又は「海苔茶漬」であるが,「焼きのり」及び「海苔茶漬」(「お茶漬けのり」に対応)は本件商標権の指定 行為(商品に標章を付し,販売する行為)について被告商品1ないし7は,「焼きのり」,「味付けのり」又は「海苔茶漬」であるが,「焼きのり」及び「海苔茶漬」(「お茶漬けのり」に対応)は本件商標権の指定商品であり,「味付けのり」についても,指定商品である「干しのり」及び「焼きのり」 と類似する商品である。 したがって,被告の第1の行為は,本件商標権の指定商品又は指定商品に類似する商品について,本件商標と類似する被告標章1ないし7を使用するものである。 イ第2の行為(商品に関するパンフレットに標章を付して頒布する行為)について 被告は,焼きのり,味付けのり,かつお節及び茶葉に関する広告であるパンフレットに被告標章8ないし10を付して頒布しているところ,「焼きのり」,「かつお節」,「茶葉」(第31類の「茶の葉」に対応)は,本件商標権の指定商品であり,「味付けのり」についても,上記のとおり指定商品と類似する商品である。 したがって,被告の第2の行為は,本件商標権の指定商品又は指定商品に類似す る商品について,本件商標と類似する被告標章8ないし10を使用するものである。 ウ第3の行為(商品に関するウェブページに標章を表示する行為)について被告は,「焼きのり」,「味付けのり」,「海苔茶漬」,「茶葉」に関する商品の販売に関するウェブページにおいて,被告標章11を表示しているところ,上記のとおり,これらの商品は本件商品の指定商品又はそれに類似する商品である。 したがって,被告の第3の行為は,本件商標権の指定商品又は指定商品に類似す る商品について,本件商標と類似する被告標章11を使用するものである。 エ第4の行為(店舗内の売場表示として標章を表示する行為)について(ア) 被告は,別紙7被告店舗目録記載2 品に類似す る商品について,本件商標と類似する被告標章11を使用するものである。 エ第4の行為(店舗内の売場表示として標章を表示する行為)について(ア) 被告は,別紙7被告店舗目録記載2及び3の各店舗において,その売場表示として,店舗内の見やすい位置に大きく被告標章12を表示して,「焼きのり」,「味付けのり」及び「海苔茶漬」の各商品について小売役務を提供している。 (イ) 指定商品「焼きのり」とその小売役務の関係についてみると,「焼きのり」は,その製造と販売が同一事業者によって行われるのが一般的であるし,「焼きのり」の販売場所とその小売役務の提供場所(店舗),需要者の範囲(一般消費者)は,いずれも一致する。これらの事情からすれば,指定商品「焼きのり」に使用される標章と同一又はこれに類似する標章を,「焼きのり」の小売役務に使用した場合,「焼 きのり」の出所と上記小売役務の提供者が同一であるとの印象を需要者に与え,出所の混同を招くおそれがある。 そうすると「焼きのり」の小売役務は,指定商品「焼きのり」と類似する役務であるといえる。同様に,「味付けのり」の小売役務も指定商品「焼きのり」と類似する役務であり,「海苔茶漬」の小売役務は指定商品「お茶漬けのり」と類似する役務 である。 (ウ) したがって,被告の第4の行為は,本件商標権の指定商品に類似する役務について,本件商標と類似する被告標章12を使用するものである。 【被告の主張】被告の行為が,原告の商標権を侵害するとみなされる行為に該当するとの評価は いずれも争う。 また,第4の行為について,本件商標権の指定商品と被告の小売役務の類似性に関する事実主張は否認し,法的評価については争う。 (2) 争点2(原告の本件商標権に基づく本訴請求が権 も争う。 また,第4の行為について,本件商標権の指定商品と被告の小売役務の類似性に関する事実主張は否認し,法的評価については争う。 (2) 争点2(原告の本件商標権に基づく本訴請求が権利濫用に該当するか)について【被告の主張】 以下の事実からすれば,原告が被告に対して,本件商標権に基づく本訴請求をすることは権利の濫用に該当して許されない。 ア 「守半」の標章の守半本店への帰属「守半」の標章は,もともとAの創業した守半の標章であり,守半本店に原始的に帰属するものであり,原告に帰属するものではない。 イ守半本店から被告へののれん分け以下のとおり,被告ないしその前身は,守半本店からのれん分け(永続的使用許諾)を受けて「守半」の標章を継続的に使用しているものである。 (ア) 被告の前身は,Dが昭和2年に蒲田地区に開業した「守半海苔店蒲田支店」であり,この事業について,昭和44年9月1日にDの子であるEによって設立さ れた被告(当時の商号は「株式会社守半蒲田店」)が承継した。 (イ) Dは,守半本店で番頭を務めていたところ,昭和2年に守半本店からのれん分けを受け,「守半」の屋号を使用して営業することを認められた。 開業後,Dの「守半海苔店蒲田支店」は,守半本店に近い蒲田地区で,守半本店の容認の下,継続的に「守半」の標章を使用し,昭和44年に被告に事業が承継さ れた後も,被告は「守半」の商号を使用し,平成18年の商号変更の際も引き続き「守半」の商号を使用している。 (ウ) 守半本店と被告ないしその前身との間には90年以上に及ぶ親密な交流があり,「守半」の標章の使用方法及び態様について守半本店から異論が出されたことはない。また,平成18年の商号変更の際,守半本店の代表者であったFは「守半總 との間には90年以上に及ぶ親密な交流があり,「守半」の標章の使用方法及び態様について守半本店から異論が出されたことはない。また,平成18年の商号変更の際,守半本店の代表者であったFは「守半總 本舗」への商号変更について承諾した。 (エ) 原告も,長年にわたり,被告に対して,被告が「守半」の標章を使用していることに異議を述べていなかった。 ウ原告の「守半」の標章の使用権原等以下のとおり,原告は「守半」の標章の使用について,独占権を有する立場にない。 (ア) 原告代表者の曾祖父母であるG(Aの長女)及びH(旧姓I,Aの婿養子)は,「守半」の創業者であるAから家督も事業も承継していない。 (イ) 原告の初代代表者Jは,昭和20年代に,守半本店の一分店であった大森支店の店舗を取得したにすぎず,そこでの「守半」の屋号や「守半海苔店」の表記は,分店として守半本店から借りたものにすぎなかった。 また,原告は,昭和33年12月1日になって設立された法人であり,Jによって昭和16年10月1日に設立された「合資會社守半海苔店」とは,組織形態も人的体制も異なる別法人であって,両者に連続性はない。 (ウ) 原告は「守半」ブランドの拡大に貢献していないこと原告は,大森地区の商店街において一店舗を経営するにとどまり,「守半」ブラン ドの周知性の拡大に貢献していない。 (エ) 守半本店は原告による本件商標の商標登録を許可していないこと守半本店が,その最大の無形財産である「守半」の標章を,その使用許諾を受けたにすぎない原告(あるいは,合資會社守半海苔店)に独占させるなどということは,常識的な経験則に合致しない。 昭和29年に,「合資會社守半海苔店」が「守半」の商標出願を行い,出願公告決定まで受けなが 原告(あるいは,合資會社守半海苔店)に独占させるなどということは,常識的な経験則に合致しない。 昭和29年に,「合資會社守半海苔店」が「守半」の商標出願を行い,出願公告決定まで受けながら,結局その登録に失敗しているのは,守半本店の許可がなかったためと考えられる。 そして,本件商標権の登録に当たっても,守半本店が原告による登録を許諾したことを示す証拠はなく,守半本店による許可はなかったものといえる。 エ周知商標の出願に当たること 後記(3)イ【被告の主張】のとおり,本件商標は,出願がされた昭和51年当時,他人(守半本店)の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(商標法4条1項10号)に該当するから,原告がこれを独占する本件商標権の出願自体が不当である。 オ本件商標権取得の動機等の不当性 原告は,本件商標権の出願の前後まで多額の借財を繰り返しており,本件商標権の出願は,被告を排除することによってブランド利益を独占すること,さらには,原告代表者等と親族関係にない者が経営する被告を狙い撃ちして,「守半」系列から排除することを意図してなされたものであり,系列店である被告に知らせないままに出願を行ったのも悪質である。 カ権利行使態様の悪質性原告は,本件訴訟に先立って,海苔販売店の営業の最繁忙期であることを知りながら,平成29年12月に,翌年1月2日までとの非常識な期限を設定して「守半」の標章の付された商品の販売中止,回収,所有権放棄,廃棄等を迫ったものであり,これは被告の業務の妨害に当たる。 また,守半本店と被告との間ののれん分けに関する反証を有しないまま,根拠なく本訴事件の提起を強行し,訴訟の中でも事実に反する主張等をしているものであり,不当 れは被告の業務の妨害に当たる。 また,守半本店と被告との間ののれん分けに関する反証を有しないまま,根拠なく本訴事件の提起を強行し,訴訟の中でも事実に反する主張等をしているものであり,不当な訴訟活動を行っている。 【原告の主張】被告の主張は争う。 原告による本訴請求は,本件商標権の正当な行使の範囲を逸脱するものではなく,権利濫用には該当しない。 ア 「守半」の標章の守半本店への帰属について「守半」の標章が,もともとAの創業した「守半」の標章であったことは認めるが,その承継者は守半本店に限られず,後記のとおり,原告も守半本店と対等な立 場での正当な承継者である。 イ守半本店から被告へののれん分けについて(ア) 守半本店からDへののれん分けの事実は否認する。 のれん分けには,守半本店のBのほか,同じくAの事業を承継したHが同席して行われる儀式が必要であるところ,Dへののれん分けを裏付ける証拠はない。 同人の店舗は,蒲田地区に限定された守半本店の統制下にある支店にすぎないか, 守半本店の支店を許可なく名乗った可能性がある。 また,被告が,「守半本店」をしのぐかのような商号である「守半總本舗」へ商号変更するに当たり,守半本店の代表者であったFがこれを承諾したとの事実はない。 (イ) 仮に,守半本店からDへの使用の許諾があったと認められるとしても,包括的かつ無制限の許諾であったはずはなく,蒲田地区において「守半」の標章を使用 することに限定したものであった。 ウ原告の「守半」の標章の使用権原等について(ア) 原告は,守半本店ともに,Aの創業した「守半」の正当な承継者である。Aは,明治17年に守半を創業したが,明治34年に,嫡男(二男)であるBと最初の子(長女)であるGに平等に事業 等について(ア) 原告は,守半本店ともに,Aの創業した「守半」の正当な承継者である。Aは,明治17年に守半を創業したが,明治34年に,嫡男(二男)であるBと最初の子(長女)であるGに平等に事業を継がせるため,主として海苔の卸しを行う守 半本店と,主として海苔の小売を行う守半海苔店に事業を分割した。 守半本店の番頭であったH(旧姓I)はGと婚姻して婿養子となり,大正3年,Aは,正式に,守半海苔店をH,G夫妻に承継させ,守半本店をBに承継させた。 これにより,「守半」に関する権利は,守半海苔店と守半本店の事業主体が対等な立場で共有することになったものであり,守半海苔店が守半本店の分店にすぎないと の事実はない。 その後,守半海苔店の事業について,H,G夫妻の子であるJが承継し,更に,Jを代表取締役として設立された合資會社守半海苔店を経て,同じく同人を代表者として設立された原告が承継した。 (イ) 原告は,守半本店の承諾を得て,本件商標権を出願している。これは,他 社が「守半」を商標登録することによって,「守半」の表示を自己の標章として使用 できなくなることを防止するために行われた防衛的な出願であり,守半本店に対して抜け駆け的に行ったものではない。 また,合資會社守半海苔店による「守半」の商標出願も守半本店の承諾を得て行われたものである。 エ周知商標の出願に当たることについて 「守半」が周知商標に該当するとの主張は否認する。 オ本件商標権取得の動機等の不当性について原告の借財と本件商標権の出願とは無関係であり,その他の主張は否認する。 カ権利行使態様の悪質性について被告の主張は否認する。 (3) 争点3(本件商標の商標登録が商標登録無効審判により無効にされるべきものか)につ 無関係であり,その他の主張は否認する。 カ権利行使態様の悪質性について被告の主張は否認する。 (3) 争点3(本件商標の商標登録が商標登録無効審判により無効にされるべきものか)についてア争点3-1(公序良俗違反(商標法4条1項7号)該当性)について【被告の主張】前記(2)【被告の主張】において,権利濫用該当性について主張した事実(専ら, 本件商標権の行使態様の不当性に関する事実を除く。)によれば,原告の出願に係る本件商標は,その出願の目的及び経緯に照らし「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当し,審判によって無効とされるべきものである。 【原告の主張】 前記(2)【原告の主張】のとおり,原告は,守半本店の承諾を得た上で本件商標権の出願を行っており,本件商標の出願が公序良俗違反に該当することはない。 イ争点3-2(周知商標(商標法4条1項10号)該当性)について【被告の主張】本件商標は,以下のとおり,出願がされた昭和51年当時,他人(守半本店)の 業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(商 標法4条1項10号)に該当し,原告は不正競争目的(商標法47条1項)でその商標登録を受けたものであるから,審判によって無効とされるべきものである。 (ア) 周知性a 守半本店は「焼きのり」の元祖として明治時代から知られており,「守半」の海苔は昭和前期から高級海苔を扱う需要者に知られていた。 守半本店は,昭和40年代初頭から昭和51年頃にかけて,全国的に著名な老舗百貨店であった日本橋高島屋に出店して「守半」の海苔を販売し,また高島屋の全国ギフトカタログ販売を行い,「東京駅名店街」,「横浜駅ビル東光のれん街 年代初頭から昭和51年頃にかけて,全国的に著名な老舗百貨店であった日本橋高島屋に出店して「守半」の海苔を販売し,また高島屋の全国ギフトカタログ販売を行い,「東京駅名店街」,「横浜駅ビル東光のれん街」にも出店していた。 b 被告も,本件商標の出願前から,関東有数の大ターミナル駅であった蒲田駅 前の商業施設(ニューカマタビル)の最前面に出店し,著名企業ユザワヤが被告の海苔を大量に頒布するなどして周知性の獲得に貢献していた。 (イ) 商品の同一性守半本店と原告はいずれも海苔店であり,本件商標登録の指定商品は本店の商品(海苔製品)と同一又は類似である。 (ウ) 他人性「守半」の標章の帰属主体である守半本店は,原告とは別法人であり「他人」に該当する。 (エ) 不正競争の目的前記ア【被告の主張】で述べた事実(公序良俗違反を基礎づける事実)によれば, 原告の商標登録についての不正競争の目的も認められる。 【原告の主張】被告の主張は争う。本件商標の商標登録は商標法4条1項10号に反しない。 (ア) 周知性について「守半」の標章が,本件商標権の出願以前から,一般の最終消費者を含む需要者 の間で周知であったとはいえない。 (イ) 他人性について「守半」の標章は,原告にとって他人の標章には該当しない。 (ウ) 不正競争の目的について原告が不正競争の目的で本件商標権の出願をしたとの事実はないから,商標法47条1項の除斥期間が適用されるべきである。 (4) 争点4(被告が本件商標権について先使用権を有するか)について【被告の主張】被告による「守半」の標章の使用は,商標法32条1項により許されるから,被告各標章の使用は本件商標権の侵害に当たらない。 ア被告による先使用 先使用権を有するか)について【被告の主張】被告による「守半」の標章の使用は,商標法32条1項により許されるから,被告各標章の使用は本件商標権の侵害に当たらない。 ア被告による先使用 被告ないしその前身は,本件商標権の出願前の,昭和2年から「守半」の標章を継続して海苔製品に使用している。 イ周知性前記(3)イ【被告の主張】のとおり,本件商標権の出願の時点で「守半」の標章は全国的に周知なものであり,被告の標章としても周知となっていた。 ウ不正競争の目的がないこと被告ないしその前身は,本店からのれん分け(包括的使用許諾)を受けて,「守半」の標章を海苔製品に使用してきたものであるから,当該使用に不正競争の目的はない。 【原告の主張】 被告の主張は争う。 「守半」の標章が,本件商標権の出願の時点で被告の商品等を表示するものとして周知になっていたとはいえない。また,被告ないしその前身に対するのれん分けの事実はなく,守半本店及び原告のいずれからも正式な了承を得ずして「守半」の標章を使用しているものであるから,被告には不正競争の目的があるといえ,先使 用権は認められない。 (5) 争点5(原告の損害)について【原告の主張】原告は,被告による本件商標権侵害によって被った損害のうち,本訴事件提起の10年前から本訴事件提起(平成30年4月7日)までの10年間に生じた以下の損害合計4500万5000円について損害賠償請求をする。 ア商標法38条2項により推定される損害額 4000万5000円(ア) 被告の売上高本訴提起前10年間の各年について,原告(1店舗で販売)における,被告商品1,2,5に相当する原告の商品の年間売上は概算で189万円(単価540円× 00万5000円(ア) 被告の売上高本訴提起前10年間の各年について,原告(1店舗で販売)における,被告商品1,2,5に相当する原告の商品の年間売上は概算で189万円(単価540円×3500個),被告商品3,4,6に相当する原告の商品の年間売上は概算で700 万円(単価3500円×2000個)である。 被告は,被告商品1,2,5及び被告商品3,4,6について,別紙7被告店舗目録記載1ないし3の計3店舗での販売及び通信販売において,それぞれ単品での販売のほか,同種あるいは他種の商品とセットで販売していた。 したがって,被告商品1ないし6の年間売上は,これらに相当する原告の商品の 年間売上の3倍を下らないといえるから,少なくとも,被告商品1,2,5について567万円(189万円×3店舗),被告商品3,4,6について2100万円(700万円×3店舗)と推認される。 (イ) 被告の利益被告商品1ないし6について,被告の利益率は15パーセント程度と考えられる から,本訴提起前10年間における被告の利益は,少なくとも,被告商品1,2,5について850万5000円(567万円×15パーセント×10年),被告商品3,4,6について3150万円(2100万円×15パーセント×10年)と推認される。 被告は,上記商品の販売以外にも,被告商品7の販売にかかる利益があった。そ うすると,被告は,直近10年間における被告商品1ないし7の販売により,少な くとも4000万5000円(850万5000円+3150万円)の利益があったと推認される。 イ弁護士費用等 500万円原告は,被告が原告からの警告及び話し合いに応じなかったため,本訴事件の提起を余儀なくされ,商標権侵害と相当因果関係のある弁護士・弁理士費用 があったと推認される。 イ弁護士費用等 500万円原告は,被告が原告からの警告及び話し合いに応じなかったため,本訴事件の提起を余儀なくされ,商標権侵害と相当因果関係のある弁護士・弁理士費用として少 なくとも500万円の損害が発生した。 【被告の主張】原告主張の原告商品の売上げ,利益率,販売形態,販売実績等の事実は不知であり,その余の主張は否認ないし争う。 (6) 争点6(本件表示が被告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当す るか)について【被告の主張】原告が,そのウェブページ上において,本件表示を行うことは,被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為(不正競争防止法2条1項21号)に該当する。 ア競争関係原告と被告は,いずれも東京都大田区において海苔製品の製造販売等を行っており,ともに同種の商品(海苔製品)を扱って需要者又は取引者を共通にする関係にあるから同号にいう「競争関係」にある。 イ本件表示が被告の営業上の信用を害すること (ア) 本件表示は,あたかも原告こそが「『やきのり』の元祖」であり,その「元祖」はどこにも「のれん分け」をしておらず,その登録商標である「守半」の「類似商標」を用いる「守半總本舗」(被告)は違法冒用業者であるから注意せよと閲覧者に促すものであり,被告があたかも「守半」の屋号の使用の正当性を有しない違法業者であるかのように読み手を誤導する表示であるから,被告の営業上の信用を 害する表示に当たる。 (イ) 本件表示においては,被告の名称が明示されていないが,現在「守半」の屋号を用いて海苔製品の製造販売を行っているのは原告と被告のみであり,「守半」のインターネット検索及び予測変換で表示されるのも当該2社だけであ おいては,被告の名称が明示されていないが,現在「守半」の屋号を用いて海苔製品の製造販売を行っているのは原告と被告のみであり,「守半」のインターネット検索及び予測変換で表示されるのも当該2社だけである。 したがって,第三者から見て,本件表示は,被告を対象とするものであることが認識可能であるから,被告に対する誹謗に該当する。 ウ本件表示が虚偽の事実に当たること「『やきのり』の元祖」と言われているのは,明治17年にAが創業した守半本店であり,「明治34年に創業した守半海苔店が『やきのり』の元祖といわれている」との表示は虚偽である。 また,被告は「元祖」である守半本店から「のれん分け」(屋号の使用権付与)を 受けており,被告がどこからも「守半」の屋号の使用権の付与を受けていない違法業者であるかのような誤解を与える点も,本件表示は虚偽の表示である。 しかも,原告の関係者(J)が現店舗の土地建物を取得したのは昭和20年代になってからであり,原告はその約7年後である昭和33年に設立された法人であるから,原告が明治34年に創業したとの表示自体も虚偽である。 このように,本件表示は,原告において,自己の地位や歴史を偽り,あたかも自己こそが明治から続く「元祖」であって,被告は「守半」の使用権原を有しない違法業者であるかのように読み手に誤認を生じさせるものであるから,虚偽の表示である。 【原告の主張】 本件表示は,被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為に該当しない。 ア競争関係原告と被告とは,何ら関係のない法人同士であり,競争関係にあることは争わない。 イ本件表示が被告の営業上の信用を害することについて 被告の主張は否認する。 ウ本件表示が虚偽の事実に当たるこ ら関係のない法人同士であり,競争関係にあることは争わない。 イ本件表示が被告の営業上の信用を害することについて 被告の主張は否認する。 ウ本件表示が虚偽の事実に当たることについて被告の主張は否認する。 「『やきのり』の元祖」と言われているのは,明治17年にAが創業した「守半」であり,その「守半」から明治34年にAが創業した「守半海苔店」が「『やきのり』 の元祖」と言われているというのは,真実を記載したものであり虚偽ではない。 また,本件表示は,原告である「守半海苔店」がのれん分け等をしていないと記載しているにすぎないので,虚偽ではない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告の行為が本件商標権を侵害するとみなされる行為に該当するか) について(1) 第1の行為,第2の行為及び第3の行為について「焼きのり」,「海苔茶漬」(「お茶漬けのり」に相当するものと認められる。),「かつお節」,「茶葉」(「茶の葉」に相当するものと認められる。)は,いずれも本件商標権の指定商品に当たり,「味付けのり」についても,指定商品である「干しのり」及 び「焼きのり」と類似する商品であると認められる。 そして,被告標章1ないし11は,前記第2の2(5)のとおり,本件商標と類似する。 そうすると,第1の行為,第2の行為及び第3の行為については,上記のとおり,本件商標権の指定商品又は指定商品に類似する商品について,第1の行為(商品に 標章を付し,販売する行為)については商品の包装に標章を付し,それらを譲渡する行為(商標法2条3項1号,2号)として,第2の行為(商品に関するパンフレットに標章を付して頒布する行為)については商品に関する広告に標章を付して頒布する行為(同項8号)として,第3の行為(商品に関す 為(商標法2条3項1号,2号)として,第2の行為(商品に関するパンフレットに標章を付して頒布する行為)については商品に関する広告に標章を付して頒布する行為(同項8号)として,第3の行為(商品に関するウェブページに標章を表示する行為)については商品に関する広告に関する情報に標章を付して電磁的方 法により提供する行為(同項8号)として,それぞれ,本件商標と類似する被告標 章1ないし11を使用するものと認めるのが相当であり,いずれも本件商標権を侵害するものとみなされる(同法37条1号)。 (2) 第4の行為(店舗内の売場表示として標章を表示する行為)についてア本件商標の指定商品である「焼きのり」及び「お茶漬けのり」と,被告が行っている「焼きのり」,「味付けのり」及び「海苔茶漬」の各商品についての小売役 務(小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)との類似性を検討すると,当該小売役務の対象となる商品は本件商標の指定商品又はそれに類似する商品(味付けのり)であり,原告及び被告がそれぞれこれらの商品の製造・小売の双方を行っているように(甲4,10,11,弁論の全趣旨),一般的にそれぞれ異なる事業者が主体となるものではなく,商品の販売と役務の提供される場所も格別に異 なるものでもなく,需要者の範囲も一般的には一致すると認められる。 そうすると,上記指定商品に使用される標章と同一又はこれに類似する標章を,上記小売役務に使用することは,一般には,商品の出所と役務の提供者が同一であるとの出所の混同を招くおそれがあるといえることになるから,「焼きのり」,「味付けのり」及び「海苔茶漬」の各商品についての小売役務は指定商品と類似する役務 というべきである。 イそして,被告標章12は,前記第2の2(5)のとおり, ことになるから,「焼きのり」,「味付けのり」及び「海苔茶漬」の各商品についての小売役務は指定商品と類似する役務 というべきである。 イそして,被告標章12は,前記第2の2(5)のとおり,本件商標と類似する。 ウしたがって,被告の第4の行為は,本件商標権の指定商品に類似する役務について,役務に関する広告である売場表示に標章を付して展示して(商標法2条3項8号),本件商標と類似する被告標章12を使用する行為であり,本件商標権を侵 害するものとみなされる(同法37条1号)。 2 争点2(原告の本件商標権に基づく本訴請求が権利濫用に該当するか)について(1) 事実認定ア原告及び被告による「守半」を含む標章の使用状況や本件商標権の登録の経 緯等 前記の前提事実に後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (ア) Aによる事業の開始A(万延元年生まれ)は,明治17年,24歳の頃に,大森地区において海苔問屋等を行う「守半」を開業し,その後,焼きのり等の製造販売を開始した(乙40, 弁論の全趣旨。)。 (イ) Aの子らの状況Aの子ら及びその親族の状況は,別紙9親族関係図のとおりである。 Aには,長女G(明治18年生まれ),二男B(明治23年生まれ),三男(明治25年生まれ),四男(明治26年生まれ)がいた(甲16)。長男については,明 治34年頃までには死亡していた(甲16,33,弁論の全趣旨)。 I(明治19年生まれ)は,明治44年5月(略)日,Aの婿養子となる縁組をし,Gと婚姻して,Hとなった。 Hは,大正3年7月(略)日,分家の届出をした(甲16)。 (ウ) Bによる守半本店の承継 Bは,遅くともHの分家の頃までには,Aから守半本店の事 る縁組をし,Gと婚姻して,Hとなった。 Hは,大正3年7月(略)日,分家の届出をした(甲16)。 (ウ) Bによる守半本店の承継 Bは,遅くともHの分家の頃までには,Aから守半本店の事業の全部ないし一部を実質的に承継した(乙40,弁論の全趣旨)。 (エ) Dによる事業の開始a 被告代表者の祖父にあたるD(明治34年生まれ)は,遅くとも大正8年頃から,守半本店において丁稚として働き始めたが,昭和2年頃,蒲田地区において 「守半」を含む屋号を使用して,海苔販売等の事業を開始した(乙4,11,22,弁論の全趣旨)。 bDは,上記事業について,「乾海苔問屋守半支店」(乙11の12),「守半支店」(乙12)といった屋号を使用して蒲田地区で複数の店舗を経営しており,戦災によってこれらの店舗を失ったが,戦後に蒲田地区に店舗を再び設け,蒲田駅前の ビルに店舗を構えるなどして,「守半海苔店蒲田支店」(乙11の13),「守半海苔 茶店」(乙56の1),「守半海苔店」(乙26の1・2,56の2)といった屋号を使用していた(乙6,22)。 また,Dは,上記事業で扱う海苔製品の容器等にも「守半」との標章を付して使用していた(乙11の8~10,22)。 cDは,遅くとも昭和39年頃には蒲田地区に限らず,全国規模で注文を受け 付けるようになっていた(乙26)。 (オ) Aの死亡Aは昭和13年7月(略)日に死亡し,Bがその家督相続をした(乙29)。 (カ) 合資會社守半海苔店の設立昭和16年10月1日,HとGの長男であるJ(明治44年生まれ)を代表者と して,大森地区を本店所在地とし,乾海苔加工販売等を目的とする合資會社守半海苔店が設立された。同社には,H,J及びGのほか,HとGの四男及びJの妻が出資し るJ(明治44年生まれ)を代表者と して,大森地区を本店所在地とし,乾海苔加工販売等を目的とする合資會社守半海苔店が設立された。同社には,H,J及びGのほか,HとGの四男及びJの妻が出資して社員となった(甲16,17)。 (キ) 合資會社守半海苔店による商標出願合資會社守半海苔店は,昭和29年に「守半」の字を縦書きしてなる標章につい て,指定商品を「海苔,焼海苔」等とする商標出願をし,同年9月15日付けで出願公告の決定がされたが,商標登録にまでは至らなかった(甲18,弁論の全趣旨)。 (ク) 補助参加人(株式会社守半本店)の設立昭和33年12月1日,Bの長男C(大正15年生まれ)を代表取締役として,大森地区(合資會社守半海苔店とは別住所)を本店所在地とし,乾海苔加工販売等 を目的とする補助参加人が設立され,守半本店の事業を同社が承継した(乙3,29)。 (ケ) 原告(株式会社守半海苔店)の設立前記(ク)と同じ昭和33年12月1日,Jを代表取締役として,合資會社守半海苔店と同じ場所を本店所在地とし,乾海苔加工販売等を目的とする原告が設立された。 その際,原告と補助参加人に共通する役員はいなかった(乙2,3)。 (コ) 合資會社守半海苔店の清算合資會社守半海苔店は,昭和37年5月31日に解散し,同年12月10日に清算決了の登記がされた(甲17)。 (サ) 被告の設立昭和44年9月1日,Dの長男E(昭和9年生まれ)を代表取締役として,商号 を「株式会社守半蒲田店」,蒲田地区を本店所在地,のり,茶及び関連商品の販売等を目的とする被告が設立され,Dが開業した前記(エ)の事業を被告が承継した。被告は,当該事業に当たって「守半」を含む標章を引き続き使用した(乙1,4,22, 所在地,のり,茶及び関連商品の販売等を目的とする被告が設立され,Dが開業した前記(エ)の事業を被告が承継した。被告は,当該事業に当たって「守半」を含む標章を引き続き使用した(乙1,4,22,56)。 被告は,蒲田地区に店舗を設けるほか,平成17年には大森地区に別紙7被告店 舗目録記載3の店舗を開業した(乙6)。 (シ) 本件商標権の出願・登録原告は,昭和51年4月28日,本件商標権の出願を行い,昭和55年5月30日にこれが登録された。 原告は,この出願に際して,被告にその旨を連絡することはなかった(弁論の全 趣旨)。 (ス) 原告から被告に対する昭和56年の警告原告は,昭和56年,被告に対して,当時原告が使用していたものと同様の「守半」の文字の付された包装紙を使用することを中止するように要求したことがあった。これに対して,被告は,直ちには使用を中止せず,その後も相当期間,同様の 包装紙の使用を継続した(甲28~30,乙22,弁論の全趣旨)。 (セ) 守半總本舗への商号変更とその際の原告及び守半本店とのやりとりa 被告は,平成18年5月1日付けでその商号を「株式会社守半蒲田店」から「株式会社守半總本舗」に変更し,同月17日付けで,被告と原告及び守半本店が所属する大森本場乾海苔問屋協同組合に対して,上記変更の届出をした(乙1,7, 85)。 b 補助参加人の当時の代表者であったFは,遅くとも,上記の届出から数か月以内には,被告による商号変更の事実を認識したが,その際又はその後も,被告に対して,異議を述べることはなかった(証人F)。 c 原告は,上記の商号変更の頃,被告に対して「守半」を含む商号や標章を使用しないようにとの抗議をした。これに対して,被告は,平成18年9月頃,原告 ,異議を述べることはなかった(証人F)。 c 原告は,上記の商号変更の頃,被告に対して「守半」を含む商号や標章を使用しないようにとの抗議をした。これに対して,被告は,平成18年9月頃,原告 に対し,「守半」の屋号は守半本店からのれん分けを受けて昭和2年から使用しているものであり,原告の抗議は不当である旨を記載した書面を送付した。被告は,その後も上記商号と別紙3被告標章の使用行為記載の「守半」を含む標章(被告各標章)の使用を継続した(被告代表者本人,乙20)。 (ソ) 守半本店の海苔事業の休止 守半本店は,平成22年頃から,海苔事業を休止する状況となった(証人F)。 (タ) 原告からの再度の「守半」を含む標章の使用中止の申入れ前記第2の2(6)ないし(8)のとおり,原告は,平成29年12月19日,同月18日付けの通知書(甲5)によって,被告に対し,本件商標権に基づき,被告が「守半」の文字を含む標章を使用することの中止を求め,これに被告が応じなかっ たところ,平成30年4月7日に本訴事件を提起した。 イ守半本店による小売事業の状況証拠(乙25,40,56,60)及び弁論の全趣旨によれば,守半本店は,Bが承継した後も,小売店を設けて小売業を行っており,昭和40年代頃には,原告が大森地区で1店舗で営業していたのに対し,日本橋高島屋,東京駅名店街及び横 浜駅ビル東光のれん街で小売販売をするなどしていたことが認められる。 ウ Dないし被告及びその関係者と守半本店及びその関係者との取引・交流等証拠(乙11,13,22,77~82,84,88,89,証人F,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,Dが事業を開始した後,Dないし被告及びその関係者と守半本店及びその関係者との間には継続的に一定の交流があり, ,22,77~82,84,88,89,証人F,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,Dが事業を開始した後,Dないし被告及びその関係者と守半本店及びその関係者との間には継続的に一定の交流があり,被告が 昭和61年11月に創業60周年記念及び新社屋落成披露の会を開催した際には, 守半本店からも関係者(Cの弟のK)が出席したこと,被告と守半本店との間の取引関係として,少なくとも,昭和50年代頃及び平成13年から平成18年までの期間に「守半」の標章が入ったお茶漬け海苔を守半本店が被告に卸売りしたことがあり,平成13年から平成14年頃に被告の製品について守半本店が加工や倉庫での保管を請け負ったことがあったこと,守半本店と被告とが一時期,同じデザイン の缶を製品の容器として使用していたことが認められる。 エ 「守半」の標章の知名度証拠(乙26,42,43,56,60)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標権の出願がされた昭和51年当時,海苔の製造販売業における「守半」の標章は,大森地区・蒲田地区を中心として,一定の知名度と信用を獲得していたと認められ る。 (2) 判断ア守半本店からDに対する商号ないし標章の使用許諾の有無について(ア) 前記(1)ア(エ)及び(サ)のとおり,Dは,昭和2年頃から,守半本店のある大森地区に近い蒲田地区において,継続的に「守半」を含む商号及び標章を使用して 海苔販売等の事業を行い,昭和44年に被告が設立された後は,被告がこれを継続した。また,その間,前記(1)ウのとおり,Dないし被告と守半本店との間には一定の取引・交流が継続していた。 このような状況の中で,本件全証拠によっても,被告ないしDによる「守半」を含む商号及び標章の使用に対して,守半本店から異議が述べられた事実は 告と守半本店との間には一定の取引・交流が継続していた。 このような状況の中で,本件全証拠によっても,被告ないしDによる「守半」を含む商号及び標章の使用に対して,守半本店から異議が述べられた事実は認められ ないことからすれば,Dの開業に当たっては,守半本店から,これをのれん分けというかはひとまず措くとして,これらの商号及び標章の使用についての許諾があったものと推認するのが相当である。 (イ) 原告は,仮に許諾があったとしても,包括的かつ無制限の許諾ではなく蒲田地区において「守半」の標章を使用することに限定したものであった旨主張する。 しかしながら,前記(1)ア(エ)c,同ア(サ)のとおり,D及び被告は,蒲田地区以外 でも一定の営業を行っており,平成18年には「守半總本舗」へ商号変更をしているところ,これらの点について,守半本店から特段の異議が述べられたとは認められないことからすれば,蒲田地区以外での営業や「守半總本舗」の商号の使用が,上記の許諾の範囲を逸脱するものであったとは認められない。 (ウ) また,原告は,昭和15年に守半本店の従業員であったLへののれん分けが された際には,守半本店の店舗において,守半本店(B)とHが同席の下での儀式が行われていたとして,Dへののれん分けがあったとすれば,守半本店に加えてHが同席して儀式が行われたはずであり,それがないのであればのれん分けはなかったというべきである旨主張する。 しかしながら,後記イ(イ)のとおり,Dへの許諾がされた昭和2年の時点で,Hな いしGが独立の事業主体として守半本店と同列の立場にあったことを裏付ける的確な証拠はなく,Dによる「守半」の商号及び標章の使用に対して,Hが異議を述べたことをうかがわせる証拠もないことからすれば,Dへの許諾がHの 事業主体として守半本店と同列の立場にあったことを裏付ける的確な証拠はなく,Dによる「守半」の商号及び標章の使用に対して,Hが異議を述べたことをうかがわせる証拠もないことからすれば,Dへの許諾がHの許諾をも要するものであったとは認められない。また,商号や標章の使用許諾について,通常何らかの儀式が行われていたことをうかがわせる証拠もなく,そうであれば,仮に, Dへの許諾の際に何らかの儀式がされなかったとしても,このことが前記(ア)の認定を左右するともいえない。 イ守半本店から原告への承継の態様について(ア) 原告の設立頃までの事実経過(前記(1)ア(ア)ないし(ウ),(オ)ないし(コ))及び弁論の全趣旨からすれば,Aの子であるH及びGは,もともとはAによる守半本 店の事業に従事していたが,その後,遅くとも合資會社守半海苔店の設立までに,Aが開業した守半本店の事業の少なくとも一部を引き継ぐ形で独立した事業主体となり,「守半海苔店」の商号を使用して海苔製品の販売等の事業を行うようになり,当該事業について,Jが承継し,更に,合資會社守半海苔店を経て,最終的に原告が承継したものと認めるのが相当である。 (イ) 原告は,HとGによる事業と守半本店との関係について,Aが明治34年に 主として海苔の卸しを行う「守半本店」と,主として海苔の小売を行う「守半海苔店」に分割し,大正3年に,対等な立場で,「守半本店」の事業をBに,「守半海苔店」の事業をHとGに承継させたものであると主張する。 しかしながら,Aの事業が明治34年に卸しと小売で分割されたという点については,原告の主張するような形態での分割の事実とは整合しない前記(1)イの事実が 認められ,他方で,原告が主張するAによる事業の分割を裏付ける的確な証拠はない。 と小売で分割されたという点については,原告の主張するような形態での分割の事実とは整合しない前記(1)イの事実が 認められ,他方で,原告が主張するAによる事業の分割を裏付ける的確な証拠はない。 また,大正3年頃に,H及びGに対して,Bと対等の立場でAの事業が承継されたという点についても,その時期にHの分家の届出がされているものの(前記(1)ア(イ)),AからHないしGへの大規模な事業用財産等の移転の事実を認めるに足りる 証拠はなく,Aの有していた資産の多くはその後の家督相続によってBに承継されたと考えられること(乙31~39,弁論の全趣旨),大正15年に大森本場乾海苔問屋組合によって発行された「海苔の研究」と題する書籍において,A及びその事業を紹介するに際して,Bについては,15,6年前より同家海苔店を全部引き受けた旨の記載があるのに対して,HやGによる事業については言及がないことも併 せて考慮すれば,Aが開業した守半本店の事業を主として承継したのは守半本店(B)であったと認めるのが相当であり,同事業の承継に関し,H及びGが守半本店と同等の立場でこれを承継したと認めるに足りる証拠はない。 ウ検討(ア) 前提事実及び前記(1)の事実並びに前記ア及びイによれば,原告,被告及び 守半本店は,本件商標権の出願以前において,それぞれ「守半」を含む商号及び標章を用いて,海苔の製造販売等の事業を行っていたところ,三者が使用する海苔製造販売事業における「守半」の商号及び標章は,いずれもAが開業した守半本店の事業に由来するものであり,守半本店及び原告は,Aの上記事業を承継した者として,被告は,守半本店から上記商号及び標章の使用許諾を受けた者として,これら の使用を継続していたものということができる。 ( り,守半本店及び原告は,Aの上記事業を承継した者として,被告は,守半本店から上記商号及び標章の使用許諾を受けた者として,これら の使用を継続していたものということができる。 (イ) そして,前記(1)エのとおり,本件商標権の出願当時の「守半」の標章が一定の知名度と信用を獲得していたこと,「守半」の標章はAの事業に由来するものであり,前記イのとおり,その主たる承継者は守半本店であったこと,前記(1)イのとおり,守半本店が昭和40年代には大森地区外の複数店舗で小売販売を行うなどしていたことからすれば,上記の「守半」の標章の知名度と信用の獲得については, これが集中的に原告ないしその前身に帰属するものであったともいえない。 そして,前記(1)ア(エ)及び(サ)の被告側の営業の状況を考慮すれば,上記の「守半」の標章の知名度と信用の獲得については,守半本店や原告の他に,被告ないしDによる寄与もあったものということができる。 (ウ) 以上の点に加え,前記(1)アのとおり,本件商標権取得後も本訴提起に至る 平成29年末以降の時期まで,原告が被告に対して長期間権利行使をしておらず,原告が被告による「守半」の標章の使用に異議を述べたと認められるのは,前記(1)ア(ス)及び(セ)cの機会に留まることも考慮すれば,原告が,被告に対して,「守半」を含む被告各標章の使用の中止等を求めて,本件商標権に基づく本訴請求をすることは,権利の濫用に該当するというべきである。 3 本訴請求についてのまとめ以上によれば,原告の本訴請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。 4 争点6(本件表示が被告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当するか)について (1) 本件表示のうち,原告である その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。 4 争点6(本件表示が被告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当するか)について (1) 本件表示のうち,原告である「守半海苔店」が「東京大森の一店舗のみで販売を行っており、のれん分け等はしておりません。」とする記載については,前記2(2)アのとおり,被告に商号や標章の使用を許諾したのは守半本店であり,原告ではないことからしても,それ自体が虚偽の記載であるとは認められない。また「『守半』は、弊社の登録商標です。類似の商標にご注意ください」とする点についても,前 記2のとおり,原告から被告への本件商標権の行使が許されないとの事実を考慮し ても,虚偽の事実を記載するものとはいえない。 また,被告は,本件表示のうち,原告が自身について説明する「明治34年、大森の地に開業した守半海苔店は『やきのり』の元祖といわれています。」との記載が虚偽であるとも主張するが,Aが焼きのりの元祖である旨の記載は被告のウェブページにも記載されていること(甲20),前記2(2)イのとおり,原告が守半本店の 事業を少なくとも一部承継していると認められることをも考慮すれば,上記記載が,他人の営業上の信用を害する虚偽の事実に当たるとはいえない。 (2) 被告は,本件表示は,全体として読むと,あたかも原告こそが明治から続く「元祖」であって,「守半」の「類似商標」を用いる被告が「守半」の使用の正当性を有しない違法業者であるかのように誤導するものであると主張する。 しかしながら,原告のウェブページにおいて,本件表示やその周辺に被告についての記載は一切されておらず(乙41),「守半」の屋号を使用する海苔製造業者の数が限られていること(乙52)を考慮しても,本件表示が,原 ら,原告のウェブページにおいて,本件表示やその周辺に被告についての記載は一切されておらず(乙41),「守半」の屋号を使用する海苔製造業者の数が限られていること(乙52)を考慮しても,本件表示が,原告が主張するように被告が商標の違法使用をしているとの事実を告知するものとまでは評価できない。 (3) 以上によれば,本件表示は,競争関係にある被告の営業上の信用を害する虚 偽の事実の告知(不正競争防止法2条1項21号)に該当するとはいえないから,その余の点について判断するまでもなく,被告の反訴請求はいずれも理由がない。 5 文書提出命令の申立てについて被告は,原告の本件商標権の行使が権利濫用に当たることの立証に必要であるとして,原告に対して,前記2(1)ア(キ)の合資會社守半海苔店による商標出願に関す る資料について文書提出命令の申立て(当庁平成30年(モ)第9940号)をするが,前記2の認定判断に照らせば,現時点において,上記申立てに係る文書の取調べの必要性はないと認められる。 よって,上記申立ては,必要性がないので,これを却下する。 6 結論 以上によれば,原告の本訴請求及び被告の反訴請求は,いずれも理由がないから これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 山田真紀 裁判官 矢野紀夫 裁判官 矢野紀夫 裁判官 西山芳樹 別紙一覧 別紙1 本件商標権目録別紙2 被告標章目録別紙3 被告標章の使用行為 別紙4 被告商品目録別紙5 被告商品以外への使用態様目録別紙6 被告ウェブページ目録別紙7 被告店舗目録別紙8 告知事実目録 別紙9 親族関係図 別紙1 本件商標権目録登録商標 登録番号第1417322号出願年月日昭和51年4月28日 出願番号商願昭51-026972出願公告番号昭54-030819登録年月日昭和55年5月30日商品の区分及び指定商品第29類食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果 実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又 はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物第30類コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー, ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす第31類 ,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー, ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす第31類食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,果実,コプラ,麦芽 第32類飲料用野菜ジュース 別紙2 被告標章目録 別紙3 被告標章の使用行為 1 商品に標章を付し,販売する行為被告は,以下のとおり,焼きのり,味付け海苔及び海苔茶漬である,別紙4被告商品目録記載1ないし7記載の各商品(以下,以下,同目録記載の符号に従い「被告商品1」,「被告商品2」などといい,各商品を併せて「被告各商品」という。)の 包装に,被告標章1ないし7を付して,被告各店舗で販売すると共に,電話,ファックス及びインターネットを介して受け付けた注文に応じて通信販売している(以下,これらの行為を併せて「第1の行為」ということがある。)。 (1) 被告商品1被告は,被告商品1(焼きのり)について,その包装用パックの表面において, けた注文に応じて通信販売している(以下,これらの行為を併せて「第1の行為」ということがある。)。 (1) 被告商品1被告は,被告商品1(焼きのり)について,その包装用パックの表面において, その左下の部分に「守半總本舗」の文字を黒色で縦書きしてなる被告標章1を付し,かつその右上の部分に「守半粋の極み」の文字を青色で縦書きしてなる被告標章2を付して,販売している。さらに,当該包装用パックを収容する木箱の表面においても,被告標章1及び被告標章2と同様の態様で色彩を濃紺色に変更した標章がそれぞれ付されている。 (2) 被告商品2被告は,被告商品2(焼きのり)について,その包装用パックの表面に「守半粋の極み」の文字を青色で縦書きしてなる被告標章2を付して販売している。 (3) 被告商品3被告は,被告商品3(焼きのり及び味付けのり)について,その包装用缶の表面 に「守半總本舗」の文字を銀色で縦書きしてなる被告標章3を付して,単体で,あるいは同種若しくは他種の商品とセットで販売している。 (4) 被告商品4被告は,被告商品4(焼きのり)について,その包装用フィルムの表面に,「守半總本舗」の文字を紺色で縦書きしてなる被告標章4あるいは被告標章4と色彩のみ 異なる標章を付して販売している。 すなわち,被告は,商品番号Z60の商品について,その包装用フィルムの表面に被告標章4を付して販売し,同様に,商品番号Z40の商品について,被告標章4と色彩のみ異なるグレー色の標章を付し,商品番号Z50及びZ70の商品について被告標章4と色彩のみ異なる黄色の標章を付して,それぞれ販売している。 (5) 被告商品5 被告は,被告商品5(焼きのり及び味付けのり)について,その包装用容器の表面に「守半特選 について被告標章4と色彩のみ異なる黄色の標章を付して,それぞれ販売している。 (5) 被告商品5 被告は,被告商品5(焼きのり及び味付けのり)について,その包装用容器の表面に「守半特選」の文字を縦書きしてなる被告標章5を付して,単体で,あるいは同種若しくは他種の商品とセットで販売している。 (6) 被告商品6被告は,被告商品6(焼きのり及び味付けのり)について,包装用容器の裏面に 「守半總本舗」の文字を黒色で横書きしてなる被告標章6を付して,単体で,あるいは同種若しくは他種の商品とセットで販売している。 (7) 被告商品7被告は,被告商品7(海苔茶漬)について,その包装用容器の表面に「守半總本舗」の文字を縦書きしてなる被告標章7を付して販売している。 2 商品に関するパンフレットに標章を付して頒布する行為被告は,以下のとおり,焼きのり,味付けのり,かつお節及び茶葉に関するパンフレットに被告標章8ないし10を付して頒布している(以下,この行為を「第2の行為」ということがある。)。 すなわち,被告は,被告商品1ないし被告商品6の各商品(焼きのり,味付けの り),かつお節及び茶葉に関するパンフレットについて,別紙5被告商品以外への使用態様目録記載1ないし3の態様で,その表紙に「守半總本舗」の文字を縦書きしてなる被告標章8を,その裏表紙に「守半の海苔」の文字を縦書きしてなる被告標章9を,被告商品1及び被告商品2を紹介するページの中央に「守半粋の極み」の文字を横書きしてなる被告標章10を,それぞれ付して頒布している。 3 商品に関するウェブページに標章を表示する行為 被告は,以下のとおり,焼きのり,海苔茶漬,茶葉を含む商品の販売に関するウェブページにおいて,被告標章1 て頒布している。 3 商品に関するウェブページに標章を表示する行為 被告は,以下のとおり,焼きのり,海苔茶漬,茶葉を含む商品の販売に関するウェブページにおいて,被告標章11を表示している(以下,この行為を「第3の行為」ということがある。)。 すなわち,被告は,「ONLINESHOP」との表示が付された通信販売用ウェブページにおいて,焼きのり,味付けのり,海苔茶漬及び茶葉に関する商品の表 示とともに,当該ウェブページの左上の位置に別紙5被告商品以外への使用態様目録記載4の態様で被告標章11を表示している。また,被告は,上記の通信販売用ウェブページと同様に,別紙6被告ウェブページ目録記載の各ウェブページ(以下「被告ウェブページ」という)においても,被告の概要・店舗等を紹介するウェブページの左上の位置に別紙5被告商品以外への使用態様目録記載5の態様で被告標 章11を表示している。 4 店舗内の売場表示として標章を表示する行為被告は,別紙7被告店舗目録記載2及び3の各店舗において,焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬を小売販売するに際し,これらの店舗内の売場表示(店舗を示す表示)として,別紙5被告商品以外への使用態様目録記載6及び7の各態様で,被 告標章12を表示している(以下,この行為を「第4の行為」ということがある。)。 すなわち,被告は,上記店舗において,店舗内の見やすい位置に大きく被告標章12を表示して,焼きのり,味付けのり及び海苔茶漬の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を行っている。 (別紙4 被告商品目録は省略)(別紙5 被告商品以外への使用態様目録は省略) 別紙6 被告ウェブページ目録URL「(URLは省略)」により特定される いる。 (別紙4 被告商品目録は省略)(別紙5 被告商品以外への使用態様目録は省略) 別紙6 被告ウェブページ目録URL「(URLは省略)」により特定されるインターネット上のウェブページ及 び同ドメイン名下において存在する全てのインターネット上のウェブページ (別紙7 被告店舗目録は省略) 別紙8 告知事実目録 1 「明治34年、大森の地に開業した守半海苔店は『やきのり』の元祖といわれています。」,「私ども守半海苔店は明治34年(1901年)の創業以来、東京大森の一店舗のみで販売を行っており、のれん分け等はしておりません。『守半』は、弊社の登録商標です。類似の商標にご注意ください。」との事実 2 原告以外に「守半」の標章又は屋号について正当な使用権原を有する者は存在 しない旨の事実 (別紙9 親族関係図は省略)
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