平成14年5月22日判決言渡平成12年(ワ)第14386号損害賠償請求事件(口頭弁論終結の日平成14年3月27日)判決 主文 一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,各原告に対し,下記の金員及び各金員に対する平成13年1月16日から支払済みまで年6分の割合による金員をそれぞれ支払え。 一原告B(以下「原告B」という。)に対し,572万2238円二原告C(以下「原告C」という。)に対し,398万2566円三原告D(以下「原告D」という。)に対し,449万8395円四原告E(以下「原告E」という。)に対し,477万8165円第2 事案の概要本件は,被告の期間臨時社員である原告らが,正社員と同一の労働をしているにもかかわらず,被告が,原告らに正社員と同一の賃金を支払わないのは,同一労働同一賃金の原則に反し公序良俗違反であり,不法行為に該当するとして,正社員との賃金差額相当額の損害金の支払を求める事案である。 一前提事実(当事者間に争いのない事実並びに弁論の全趣旨及び証拠により容易に認定できる事実) 1 当事者等(一) 被告(1) 被告は,郵便物及び逓信事業に関連する物品の輸送等を目的とする株式会社である。その具体的な業務内容は,郵政省との請負契約に基づき,荷主である郵政省から委託された郵便局間の郵便物の運送及び郵便ポストなどからの取集業務等である。 (2) 被告における従業員は,大きく正社員と期間臨時社員とに分けられる。 期間臨時社員とは,被告が定める所定の手続を経て,有期労働契約書により被告との間で雇用期間の定めのある労働契約を締結して被告の業務に従事する者をいい(期 ,大きく正社員と期間臨時社員とに分けられる。 期間臨時社員とは,被告が定める所定の手続を経て,有期労働契約書により被告との間で雇用期間の定めのある労働契約を締結して被告の業務に従事する者をいい(期間臨時社員就業規則2条),正社員は,期間臨時社員以外の者をいう(乙1の1,乙2の1)。 期間臨時社員は,臨時事務員(事務部門の業務に従事する者。期間臨時社員就業規則2条1号。),臨時運転士(現業部門の運転業務に従事する者。同条2号。),臨時作業員(現業部門の作業に従事する者。同条3号),臨時雑務員(本来的業務(事務・運転・作業)に携わらない雑役夫(婦),賄婦,寮母,警備員等。同条4号),パートタイマー(1日の就業時間が拘束8時間15分(実働7時間15分,休憩1時間)に満たない者(短時間勤務臨時社員及び軽四取集便短時間勤務臨時社員を除く)。同条5号。)に分けられる(期間臨時社員就業規則第2条。乙2の1)。 (3) 被告F支店(以下「F支店」という。)には,約700名の正社員の運転士(以下「本務者」という。)と約250名の期間臨時社員の運転士(以下「臨時社員運転士」という。)が,F支店近畿運行管理センター(以下「運行管理センター」という。)には,約30名の本務者と約35名の臨時社員運転士が雇用されている。 (4) 被告では,正社員には就業規則(以下「正社員就業規則」という。)が,期間臨時社員には期間臨時社員就業規則がそれぞれ適用される。 (二) 原告ら原告らは,いずれも大型運転士として,被告に3か月の雇用期間の定めのある期間臨時社員として雇用され,その後現在に至るまで雇用期間を更新されて稼働している。 (1) 原告B(昭和22年4月6日生)は,平成4年7月に被告に雇用され,運行管理センターで郵便物の輸送業務に従事している。 (2) 原告C(昭 の後現在に至るまで雇用期間を更新されて稼働している。 (1) 原告B(昭和22年4月6日生)は,平成4年7月に被告に雇用され,運行管理センターで郵便物の輸送業務に従事している。 (2) 原告C(昭和27日6月17日生)は,平成8年9月25日に被告に雇用され,運行管理センターで郵便物の輸送業務に従事している。 (3) 原告D(昭和25年7月1日生)は,平成8年10月28日に被告に雇用され,運行管理センターで郵便物の輸送業務に従事している。 (4) 原告E(昭和32年5月18日生)は,平成8年10月1日に被告に雇用され,F支店において郵便物の取集及び輸送業務に従事している。 2 被告における賃金(一) 正社員の賃金(1) 正社員の賃金は,正社員就業規則の賃金規程(以下「正社員賃金規程」という。)に定められており,賃金の種類及び構成は,以下のとおりである(正社員賃金規程2条。乙1の2)。 (ア) 基準賃金本給(基礎給・年齢加給)職能給調整手当現業関係調整額勤続手当扶養手当(イ) 基準外賃金超過勤務手当深夜作業手当日直,宿直手当住居手当降雪期作業手当(ウ) 臨時賃金(エ) 退職金・退職年金(2) 正社員賃金規程には,正社員の賃金について,以下の規定がある(乙1の2。 なお,規程中の別表は省略する。)。 「(月給制)第3条基準賃金は月給制とし,基準賃金には所定の休日及び休憩時間の賃金は含まない。 (以下省略)」「(職能給)第19条社員の職能給は別表(2の1)職能給号給表に従い決定する。 (以下省略)」「(調整手当)第23条社員の生計費並びに物価事情を考慮し,各地区における給与差の調整を目的として,調整手当を支給する。 (以下省略)」「(現業関係調整額)第 に従い決定する。 (以下省略)」「(調整手当)第23条社員の生計費並びに物価事情を考慮し,各地区における給与差の調整を目的として,調整手当を支給する。 (以下省略)」「(現業関係調整額)第26条社員に現業関係調整額を支給し,その支給区分及び給与額は,別表(4)の現業関係調整支給区分及び給与表の定めるところによる。 (以下省略)」(勤続手当)第28条社員が勤続満1年以上に達したときは,勤続手当を支給し,その給与額は,勤続満1年につき月額200円とする。 (以下省略)」「(扶養手当)第31条扶養親族を有する社員には,別表(5)扶養手当支給額表に定めるところにより扶養手当を支給する。」「(超過勤務手当)第36条休日,休暇日に出勤したとき,又は宿明日に勤務したとき,もしくは所定の就業時間を超えて,早出,居残り等の超過勤務に服したときは,次の方法により算出した超過勤務手当を支給する。 (以下省略)」「(深夜作業手当)第38条午後10時より翌朝午前5時までの間において勤務に服したときは,次の方法により算出した深夜作業手当を支給する。 (以下省略)」「(日直,宿直手当)第39条社員が日直又は宿直の断続的勤務に服したときは,日直又は宿直手当を支給する。 (以下省略)」「(住居手当)第40条住居手当は,別に定める住居手当支給規程により支給する。 (降雪期作業手当)第41条冬季降雪期において,請負料が増額される地区に対しては,降雪期作業手当を支給する。 (以下省略)」「(臨時賃金)第44条基準賃金及び基準外賃金のほか,なお,必要に応じ臨時賃金を支給することがある。臨時賃金は,第36条ないし第39条に定める基準外賃金算定上の基礎賃金には,含まないものとする。」「第5章退職金・退職年金(適用範囲)第45条社員 ,必要に応じ臨時賃金を支給することがある。臨時賃金は,第36条ないし第39条に定める基準外賃金算定上の基礎賃金には,含まないものとする。」「第5章退職金・退職年金(適用範囲)第45条社員が退職又は死亡したときは,別に定める退職金規程及び退職年金規程により,退職金又は退職年金を支給する。」(二) 期間臨時社員の賃金(1) 期間臨時社員の賃金は,期間臨時社員賃金規則において,以下のとおり定められている(乙2の2。なお,規程中の別表は省略する。)。 「(賃金の形態)第1条賃金の形態は,次の各号のとおりとする。 1 期間臨時社員就業規則第2条の1号から4号に該当する者は,日額制とする。 2 期間臨時社員就業規則第2条の5号に該当する者は,時間給制とする。」「(基本日額)第7条第1条1号の日額制適用者の基本日額は,地域別及び従事する職務別に設定することとし,その額は別表に定めるところによる。」「(基本給)第8条 1 第1条2号の時間給制適用者については,賃金計算期間内の超過勤務時間(第9条)を除く労働時間(休憩時間を除く)に時間給を乗じ,算出した額を基本給として支給する。 2 時間給の額は,地域及び従事する職務別に設定することとし,別表のとおりとする。」「(延長時間に対する賃金)第10条期間臨時社員就業規則第2条の1号から4号に該当する者が所定勤務時間を超えて労働する場合には,その延長時間に対し超過勤務手当を支給する。 (2項省略)」「(休日出勤に対する賃金)第11条休日出勤した場合の賃金については,以下各項により支給する。 1 4週間を通じ休日日数が4日に満たない場合,その4日に満たない休日出勤分については,割増率35%の超勤単価を当該休日出勤日の労働時間に乗じた賃金を支給する。 2 その他の休日出勤については,通常の超 4週間を通じ休日日数が4日に満たない場合,その4日に満たない休日出勤分については,割増率35%の超勤単価を当該休日出勤日の労働時間に乗じた賃金を支給する。 2 その他の休日出勤については,通常の超勤単価(割増率25%)を当該休日出勤日の労働時間に乗じた賃金を支給する。 なお,休日を振り替えた場合は,本条の取扱いはしない。」「(深夜作業手当)第12条午後10時から午前5時までの勤務時間については深夜作業手当を支給する。 (2項省略)」「(年始出勤手当)第13条 1月1日,2日,3日の出勤者に対して,出勤1日当たり基本日額の50%相当額を支給する。」「(臨時賃金)第14条基本給,手当の他に,必要に応じ臨時賃金を支払うことがある。」(2) また,期間臨時社員終了一時金支給規則(以下「一時金支給規則」という。)には,以下の規定がある(乙2の2)。 「(契約終了一時金)第1条 3年間の契約期間が満了した者に対し,次表(省略)に定める契約終了一時金を支給する。」「(再契約後の支給)第3条初回契約時から3年経過し終了一時金の支給を受けた者で,再契約をした者について,再契約の日から1年を経過した者について以下の金額を支給する。 (以下省略)」(三) 1993年3月24日付けの全逓大阪日逓支部作成の労働協約集(以下「労働協約集」という。)には,以下の規定がある(甲2)。 「(扶養手当)配偶者 ¥6500- 配偶者なし第一子 ¥4600-第一子 ¥1850- 第二子以降 ¥1250-」「(勤務形態別手当て)1,勤務手当て① 手当て額(省略)② 対象服務イ,上記の手当ては,運転主任を含む運転職掌及び,作業職掌の業務で定員措置している服務(予備服務も含む)に従事した場合を対象とする。 ロ,小包み集荷及び配達業務の服務について (省略)② 対象服務イ,上記の手当ては,運転主任を含む運転職掌及び,作業職掌の業務で定員措置している服務(予備服務も含む)に従事した場合を対象とする。 ロ,小包み集荷及び配達業務の服務については,当面暫定措置として本手当ての対象とする。 ハ,事務・整備職掌の者が,本手当ての対象となる服務(前記ア・イ)に従事した場合は,手当ての対象とする。 (以下省略)」「(型別運行手当て)型別運行手当てとは,運行時間2時間(回送時間を含む)迄を基礎として,2時間を超えて1時間増す毎に別表3(省略)の手当て額を適用し支給するものである。 1,対象便((1)ないし(6)省略)(7) 臨時便規定便に準じて取り扱う,但し運行時間(手当適用の対象時間)は,運送記及び運転者の申告に基づき措置する(以下省略)」「(洗車手当て)(1) 手当て額各月当たりとは,1日~末日迄を対象のこととし,この期間の出勤日数を調査の上,手当てを算定する。 手当て額支給区分手当て額大型車各月当たり1人 3000円中・小型車 〃 2000円混合車種 〃 2500円(以下省略)」「(補食費)(1) 本務者・試雇臨時者・長期臨時者に対して,出勤1労働日(泊り勤務は2労働日)につき,補食費を支給する。 (2) 手当て額について1回につき,125円支給する事業所大阪支店,神戸支店,京都支店,大淀(営),中津(営),住吉(営),生野(営),十三(営),西宮(営)(以下省略)」「(宿泊手当て)運転及び作業職掌に属する者が就業する為に,一般交通機関が利用出ぎず,宿泊を認められた者で,会社施設に宿泊した場合に対して支給する。 (1) 午前4時1分~6時29分の間に始業する為宿泊した場合,又はね午後10時 掌に属する者が就業する為に,一般交通機関が利用出ぎず,宿泊を認められた者で,会社施設に宿泊した場合に対して支給する。 (1) 午前4時1分~6時29分の間に始業する為宿泊した場合,又はね午後10時~11時59分の間に終業し当夜宿泊した場合に対して支給する。 (2) 支給額は,前泊・当夜宿泊1回につき,760円とする。 (3) 日勤勤務者で,一般交通機関が利用出来ず帰宅する場合は,タクシー代を実費支給する。 (4) 自家用通勤者には適用しない。」 3 正社員就業規則及び期間臨時社員就業規則が定める労働条件等(乙1の1,乙2の1。以下正社員については就業規則の,期間臨時社員については期間臨時社員就業規則の各条文を記載する。)(一) 採用選考(1) 正社員「第9条社員は,心身健全で次の各号の一に該当し,採用試験に合格した者の中より採用する。 1 義務教育の課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者 2 前号の課程を終えない者といえども,満15才以上で相当の経験及び技量を有する者採用試験は,身体検査及び学術試験又は人物考査とし,その細目に関しては,別にこれを定める。」(2) 期間臨時社員「第6条会社は,面接考査及び必要な実技考査を行って,採用者を選考する。 ただし,次の各号の何れかに該当する者は採用できない。1 年齢満65才以上の者(当初の契約期間中に満65才に到達する者を含む) 2 禁固以上の刑に処せられた者 3 破産の宣告を受け,復権していない者 4 禁治産者又は準禁治産者」(二) 雇用期間(1) 正社員新たに採用された者は3か月間は試雇として取扱い臨時者とする。試雇期間中において,勤務成績が不良又は技能上達の見込みがないと認めたときは,いつでも解職することがある(13条)。停年は60歳(27条)。ただし,心身健在で,引 間は試雇として取扱い臨時者とする。試雇期間中において,勤務成績が不良又は技能上達の見込みがないと認めたときは,いつでも解職することがある(13条)。停年は60歳(27条)。ただし,心身健在で,引き続き業務に耐え得ると認められ,または特別の技能を有する者は,停年が延長されることがある(同条ただし書)。 (2) 期間臨時社員労働契約期間は3か月である(9条)。会社及び本人がともに期間満了後も引き続き契約を希望する場合は,さらに3か月の労働契約を更新することができる(10条)。契約期間中に65歳に達した者については,当該日をもって契約満了とする(12条2項)。 (三) 人事異動等(1) 正社員昇進及び降下の制度がある(14条)。 また,異動・転勤については,技能及び経験を基とし,業務の都合,本人の意思及び生活条件等を考慮して行うものとする(17条)。 (2) 期間臨時社員期間臨時社員就業規則には,期間臨時社員についての昇進及び降下,異動及び転勤についての規定はない。 (四) 労働時間(1) 正社員就業時間は,1労働日につき拘束9時間(実働8時間,休憩1時間)とし,1週間を通じ拘束45時間(実働40時間,休憩5時間)を基準とする(56条)。 (2) 期間臨時社員就業時間は,1労働日につき拘束8時間15分(実働7時間15分,休憩1時間),1週間を通じ拘束45時間23分(実働39時間53分,休憩5時間30分)を基準とする(32条)。 (五) 勤務時間(1) 正社員原則午前9時から午後6時まで(58条)。 (2) 期間臨時社員原則午前9時から午後5時15分まで(33条)。 (六) 時間外労働・休日労働(1) 正社員業務の都合でやむを得ない場合は,あらかじめ組合と協定して,所定の就業時間を超え又は休憩時間中若しくは宿明に 午前9時から午後5時15分まで(33条)。 (六) 時間外労働・休日労働(1) 正社員業務の都合でやむを得ない場合は,あらかじめ組合と協定して,所定の就業時間を超え又は休憩時間中若しくは宿明に勤務させることがある(61条)。また,業務の都合でやむを得ない場合は,あらかじめ組合と協定して,所定の休日若しくは休暇日に出勤させることがある(69条)。 (2) 期間臨時社員業務の都合でやむを得ない場合,所定勤務時間外に勤務を命ずることがある(37条)。また,業務の都合でやむを得ない場合,休日に勤務させまたは休日を他の日と振り替えることがある(38条)。 (七) 日直・宿直(1) 正社員業務の都合上必要があるときは,行政官庁の許可を得て,日直,宿直の断続的勤務に従事させることがある(66条)。 (2) 期間臨時社員期間臨時社員就業規則には,期間臨時社員についての日直及び宿直に関する規定はない。 (八) 年次有給休暇及びそれ以外の有給休暇(1) 正社員70条において年次有給休暇について定めるとともに,73条において,結婚休暇,生理休暇,出産休暇,帰省休暇,季節休暇,赴任休暇,服喪休暇,交通と絶休暇及びり災等休暇を定めている。 (2) 期間臨時社員39条において年次有給休暇について定める。40条において出産休暇を,41条において育児休暇を,41条の2において生理休暇を,41条の3において介護休暇を定めているが,出産休暇,育児休暇及び介護休暇期間中は無給,生理休暇による休業日及び休業時間については賃金の対象としないとされている。 4(一) 原告ら臨時社員運転士に対しては,本務者に対して支払われている扶養手当,洗車手当,補食費,型別運行手当,勤務形態別手当,宿泊手当及び臨時賃金(賞与)は,いずれも支払われていない。 (二) 本務者に 原告ら臨時社員運転士に対しては,本務者に対して支払われている扶養手当,洗車手当,補食費,型別運行手当,勤務形態別手当,宿泊手当及び臨時賃金(賞与)は,いずれも支払われていない。 (二) 本務者には,正社員賃金規程が,期間臨時社員には,期間臨時社員賃金規則がそれぞれ適用され,両者の定める賃金体系が全く異なるため,正社員と期間臨時社員とでは,賃金に格差が生じることになる。 二争点 1 被告が,期間臨時社員に正社員と同一の賃金を支払わないことは,合理的な理由がなく,違法といえるか。 2 上記1が認められた場合,原告らに生じた損害三原告らの主張 1 賃金格差について(一) 原告らは,F支店あるいは運行管理センターにおいて,期間臨時社員として,トラックによる郵便物等の輸送業務等に従事しており,その業務内容は,本務者らと異なるところはない。また,賃金の合理的決定要素である年齢,学歴,職務,能率,技能,勤続年数についても,本務者と異なるところはない。 原告ら臨時社員運転士が,本務者と異なる唯一の点は,原告らがいずれも雇用期間3か月と定められている期間臨時社員である点だけであるが,原告らは,これまで長い者で8年,短い者でも4年にわたって雇用契約を更新されてきており,上記雇用期間の定めは,形式的,名目的なものにすぎない。 (二) しかし,被告では,期間臨時社員が従事している仕事は正社員のそれと全く同じであるにもかかわらず,正社員に対しては,基準賃金のほかに,扶養手当,洗車手当,捕食費,型別運行手当,勤務形態別手当,宿泊手当,臨時手当等の名目で賃金が支払われているのに,期間臨時社員に対しては,基準賃金(日給)しか支払われておらず,正社員と期間臨時社員との間には,顕著な賃金格差が存在し,その格差は甚大である。 (三) 労働者間における賃金格差の当・不 れているのに,期間臨時社員に対しては,基準賃金(日給)しか支払われておらず,正社員と期間臨時社員との間には,顕著な賃金格差が存在し,その格差は甚大である。 (三) 労働者間における賃金格差の当・不当,すなわち,賃金格差が合理的理由なき賃金差別となるか否かを判断するためには,比較すべき両者の職種,職務,能力,技能,責任,権限,学歴,勤続等が同一であるないしは類似しているという前提が必要であるが,被告における本務者と臨時社員運転士との間には,個別的・属人的要素である年齢,勤続を除いてほとんど差異はない。それにもかかわらず,平成4年度に入社し,運行管理センターに勤務する正社員A(以下「A」という。Aは,原告Bと入社年度が同じである。)の年収総額と原告Bの年収総額を比較すると,別紙「総支給額対比表」記載のとおり,Aと原告Bとでは,3年間平均で100対72.73の賃金格差が生じている。また,Aの超過勤務手当及び深夜作業手当を控除した所定時間内労働に対する賃金額及び平均賃金日額は,別紙「正社員A・平均賃金日額」に,原告Bの超勤手当,割増廃休手当及び深夜手当を控除した所定時間内労働に対する賃金額及び平均賃金日額は,別紙「B・平均賃金日額」にそれぞれ記載のとおりであって,Aと原告Bの各年度における平均賃金日額を比較対照すると,別紙「賃金日額対照表」記載のとおり,原告Bの平均賃金日額は,Aの52パーセントから54パーセントにすぎない。 2 労働内容の同一性について(一)(1) 正社員就業規則と期間臨時社員規則とでは,雇用期間,人事異動,日直・宿直,年休以外の有給休暇,表彰・懲戒,教育・訓練などの規定を除いてほとんど差異はない。 (2) 被告では,正社員と期間臨時社員という呼称の違いはあるが,両者は全く同一の業務に従事している。 運行管理センターに 有給休暇,表彰・懲戒,教育・訓練などの規定を除いてほとんど差異はない。 (2) 被告では,正社員と期間臨時社員という呼称の違いはあるが,両者は全く同一の業務に従事している。 運行管理センターにおける運転士の業務内容は,安治川口にある新大阪局と小包局を営業拠点とし,同センターと本州,四国の中央郵便局,大阪府下の普通郵便局及び特定郵便局との間を往復運行し,大量の郵便物を搬出搬入するほか,特定の会社からの大量の郵便物を集荷する業務を行っている。郵便物の運行便は,既定便(本便)と臨時便があり,既定便とは行き先が固定している運行便をいい,臨時便とは既定便以外の運行便をいうが(臨時便のうち,行き先が固定化しつつあるものを特に既定臨時便といい,そうでないものを突発臨時便という。),本務者は,服務指定表に従って,既定便に乗務するが,同指定表で本務者が指定されてない既定便については,臨時社員運転士が乗務することがあり,また,期間臨時社員服務指定表において,臨時社員運転士に対して,既定便の指定がされることがある。このように,臨時社員運転士も本務者と同様に既定便に乗務しており,従事している労働の種類,態様に両者間に違いはない。もし,違いがあるとしても,それは臨時社員運転士には本務者にはない臨時便の運行業務があるということであり,その分臨時社員運転士の仕事が加重されているという点である。また,臨時社員運転士の中には,臨時便の運行のみを行う運転士もいるが,臨時便と既定便とでは運行路線が固定されているか否かの違いしかなく,従事している労働の種類,態様それ自体に違いがあるわけではない。 このように,既定便を走るか,臨時便を走るかとの差異はあるものの,従事している業務が,トラックによる郵便物の輸送業務であるという点では本務者と臨時社員運転士との間には何ら差 あるわけではない。 このように,既定便を走るか,臨時便を走るかとの差異はあるものの,従事している業務が,トラックによる郵便物の輸送業務であるという点では本務者と臨時社員運転士との間には何ら差異はなく,むしろ,本線のみを走ればよい本務者と違って,臨時社員運転士は,突発の臨時便に備えて常に乗務できる態勢をとっていなければならず,その上時間外勤務が日常化しているという点で,精神的,肉体的により加重な勤務を強いられている。 (二)(1) 同一の価値を有する同一の労働に対しては,同一の賃金が支払われるべきである。憲法14条,労働基準法3条,4条はその主旨を含むものであるし,国際人権規約A規約7条,ILO「同一価値労働に対する男女労働者同一賃金に関する条約」も同一の理解に立つものである。人格の価値を平等とみる市民法の普遍的な原理からすれば,この理念に反する著しい賃金差別は,単に妥当性を欠くのみならず,使用者らに許された裁量の範囲を逸脱したものとして公序良俗に反し,不法行為を構成するものである。 (2) 仮に,同一労働同一賃金の原則に未だ公序性が認められないとしても,憲法14条,労働基準法3条,4条の公序性に基づけば,同一企業内において同一労働に従事している労働者らは,賃金について平等に取り扱われる利益があり,これは法的に保護される利益である。したがって,合理的理由のない賃金格差はこの利益を侵害する賃金差別である。そして,同一労働という観点からすれば,呼称が原告らのような期間臨時社員であっても,正社員と職務内容が同一である限り,賃金について平等に取り扱われる利益を有しているのであり,正社員と期間臨時社員との間で合理的理由によって説明できない著しい賃金格差が存在し,その格差について使用者が何ら是正措置も講じていない場合には,社会的な許容限度を超え われる利益を有しているのであり,正社員と期間臨時社員との間で合理的理由によって説明できない著しい賃金格差が存在し,その格差について使用者が何ら是正措置も講じていない場合には,社会的な許容限度を超える違法性があるといえ,不法行為が成立するというべきである。 3 損害額原告らは,平成9年1月1日から平成11年12月末日までの2年間に被告から本件各手当相当額を支払われなかったことにより,別紙「損害額一覧表」の別紙①の各原告の「合計欄」記載の損害を被った。各原告の損害の詳細については,同損害額一覧表の別紙②ないし⑤に記載のとおりである。 4 よって,各原告は,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,別紙損害額一覧表の別紙①の各原告の「合計欄」記載の金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年1月16日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。 四被告の主張 1 被告における期間臨時社員の位置づけ郵便物の利用状況は,1年間を通じて平均的ではなく,折々の行事や季節により著しい波動性がある。しかし,被告が,日ごとの郵便物数の増減により発生件数が替わる臨時便のピーク時にあわせて正社員を採用してしまうと,臨時便数の少ない時期や長期休業者の復帰時に正社員に余剰を抱えることになり,大変不合理な状況となる。そこで,被告は,そうした要因対策として,正社員とは別に期間臨時社員を一時的に採用することで波動性のある郵便物数に対応するに至った。また,昭和50年代半ば以降民間の宅配便が急成長を遂げ,これに対応するため郵便小包も送達速度などのサービス面での雑多な改善が図られ,両者の熱烈な競争が繰り広げられて臨時便も増発した。こうしたサービス面の向上は,当然ながら,定員内の正社員のみでは対応しきれるはずがなく,臨 小包も送達速度などのサービス面での雑多な改善が図られ,両者の熱烈な競争が繰り広げられて臨時便も増発した。こうしたサービス面の向上は,当然ながら,定員内の正社員のみでは対応しきれるはずがなく,臨時便を担務する運行要因として期間臨時社員を採用するに至った。このように,被告では,昭和50年代半ば以降郵便物の取扱量が激増し,定員内の正社員のみでは対応できなくなったために,期間臨時社員の採用が必要となったのであり,人件費を抑え,利潤を確保するために期間臨時社員を採用したのではない。 被告では,こうして採用された期間臨時社員を,試雇臨時者,長期臨時者,期間臨時者,パートタイマー,短時間勤務臨時社員の5種に区分している。原告らは,このうち期間臨時者に該当し,郵便物の増加に伴う臨時便の運行等被告が指定した定員外業務を主たる業務内容としているものであり,正社員である本務者とは雇用形態,身分などを異にしている。 2 賃金格差について(一) 原告らは,期間臨時社員と正社員との間の各種手当支払に関する格差の点をとらえて違法な賃金差別と主張するが,この差異は,正社員と期間臨時社員との労働契約の内容が異なることによって生じる差異であって,そもそも違法ではない。 労働基準法3条も,社員の地位(労働契約の内容)に基づく賃金体系の差異まで否定するものでなく,期間臨時社員と正社員との間の給与体系の相違は法的にも容認されたものであって,違法の問題は生じないというべきである。 したがって,両者間の雇用形態が異なっているのであるから,結果として年間収入に多少の格差が生じても,それのみをもって不当ということはできない。 (二)(1) 原告らは,同一労働同一賃金の原則を主張し,憲法14条,労働基準法3条,4条の趣旨を拡大解釈し,あたかも同一労働同一賃金が公序良俗として定着し れのみをもって不当ということはできない。 (二)(1) 原告らは,同一労働同一賃金の原則を主張し,憲法14条,労働基準法3条,4条の趣旨を拡大解釈し,あたかも同一労働同一賃金が公序良俗として定着しているかのごとく主張している。しかし,現在我が国においては,正社員の賃金体系は年功的に昇給する仕組みが採用されており,臨時社員の賃金水準は,正社員の賃金体系とは別の賃金相場によって決定されるものであって,同一賃金原則は妥当しない。憲法14条,労働基準法3条,4条では均等待遇の原則を定めているが,上記各規定は,男女の均等待遇及び人種,信条等の差別を禁ずるにとどまり,労働契約に基づき,契約上の給付内容の違いとして多少の格差,区別が生じたとしても,上記法規に違反しないことはもちろん,何ら公序良俗に反するものではない。 原告らの主張は,正社員と臨時社員とのそもそもの雇用契約内容の本質的な違いを無視し,近視眼的に各規定,法規を引用した主張を行っているにすぎない。 (2)(ア) 被告における賃金体系については,正社員の賃金については,終身雇用されることを前提としているために年功制により昇給する体系を採用しており,年齢・勤続による各人の基準賃金を月給制で決定する固定給と実際の勤務により発生する変動給の合計である。この固定給には労働の対価として支払われるものではない扶養手当や勤務手当なども含まれている。一方,期間臨時社員については,有期雇用を前提として,日額制を採用し,勤務日数・勤務時間に応じて賃金を支払っていることから,賃金総体について変動給の要素が強いといえる。原告らは,正社員との年収比較により格差を主張するが,両者の賃金は性質上異なるものであるため,単純に比較できるものではない。 (イ) また,原告らは,原告BとAの平均賃金日額を比較し,原告Bの平均賃金 らは,正社員との年収比較により格差を主張するが,両者の賃金は性質上異なるものであるため,単純に比較できるものではない。 (イ) また,原告らは,原告BとAの平均賃金日額を比較し,原告Bの平均賃金日額が,Aの52パーセントから54パーセントであると主張するが,原告らが算出した平均賃金日額は,基準賃金と臨時賃金(賞与)が合算された金額を単純に労働日数で除して算出したものであって,何ら参考となるものではない。そもそも賞与は,就業規則において,その支給額,支給条件及び支給時期等が明確に定められている場合を除き,毎月支払われる月例賃金とはその性質を異にするいわゆる恩恵的給付とみなされており,労働日数に応じて算出されるものではない。そして,被告においては,正社員賃金規程及び期間臨時社員賃金規則において,賞与に関しては明確な規定はない。したがって,Aと原告Bの賃金を比較するには,賞与を除外して比較すべきであり,この点をふまえて基準賃金につきAと原告Bの平均賃金日額を算出すると,平成9年1月1日から平成11年12月末までの平均賃金日額は,Aが1万2290円,原告Bが1万0276円で,原告Bの平均賃金日額は,Aの8割以上となるし,また,基準外賃金を加えた上記期間の平均賃金日額を比較すると,平均賃金日額は,Aが1万7848円,原告Bが1万0840円となり,原告Bの平均賃金日額は,Aの6割程度となる。 したがって,Aと原告Bとの間には,賃金に大きな格差があるとはいえない。 (ウ) 正社員と期間臨時社員とでは,前述のとおり,労働契約の内容,労働内容に根本的に違いがあり,両者に生じる差違はこうした根本的な違いにより生じるものであるから,これを比較対照しても何の意味もない。 ところで,被告では,準社員と呼称される社員がおり,準社員とは,軽四取集便の執行に従 があり,両者に生じる差違はこうした根本的な違いにより生じるものであるから,これを比較対照しても何の意味もない。 ところで,被告では,準社員と呼称される社員がおり,準社員とは,軽四取集便の執行に従事する者で,被告の勤務延長制度の適用を受け,60歳を越えて勤務可能(最高65歳まで。準社員には,被告をいったん退職した再雇用者も含まれる。 F支店における60歳を越える社員数は,平成13年12月31日において49名である。)の者をいい,正社員にはこの準社員も含む扱いをしているところ,原告らが,あえて賃金を対比し,そこで生じた差違が不当であると主張するのであれば,60歳を停年とする正社員ではなく,原告らと同様に65歳まで勤務が可能である労働条件が近い準社員と対比すべきである。 そうすると,被告の準社員及び原告Bの平成10年度の年間収入(賞与を除く月例賃金)は,別紙「準社員との比較表」に記載したとおりであり,原告Bの賃金は,準社員の賃金を下回るどころか逆に1.13倍の賃金の支給を受けている。したがって,原告ら期間臨時社員が不当な賃金差別を受けているとは到底認められない。 3 労働内容の同一性について(一) 原告らは,期間臨時社員は正社員と全く同一の労働に従事していると主張しているが,正社員と期間臨時社員の労働契約の内容は,就労時間,勤続期間,停年,業務内容,賃金体系,転勤・異動,教育・研修内容,採用基準において,もともと異なっている。 特に,労働内容については,本務者があらかじめ運行路線が決まっていて定期的に運行が予定されている既定便に乗務しているのに対し,臨時社員運転士は,臨時に季節的な要因で郵便物が多い場合に運行されている不定期・不定時の臨時便に乗務するのが中心であり,臨時便が発生するまでの間は,休憩室でテレビを見たりするなど実質的労働を伴 し,臨時社員運転士は,臨時に季節的な要因で郵便物が多い場合に運行されている不定期・不定時の臨時便に乗務するのが中心であり,臨時便が発生するまでの間は,休憩室でテレビを見たりするなど実質的労働を伴わない待機状態であり,正社員と比較して労働強度は明らかに軽いものである。原告らも,当然労働契約の内容,すなわち,本務者が定められた既定便に乗務するのに対し,臨時社員運転士は不定期・不定時の臨時便に乗務するのが中心でそれまでの間待機しているという,その本質的な違いがあることを承知の上,被告と期間臨時社員の雇用契約を締結していたものである。 (二) 仮に,本務者と臨時社員運転士の業務内容に類似している点があったとしても,両者が本来全く別の労働契約に基づく就労であることは明確である。 こうした労働契約内容などの根本的相違が認められる両者を同等の賃金体系とするほうが不合理である。 4 損害額損害額については争う。 第3 当裁判所の判断一証拠(甲1の1ないし3,2,5ないし7,8の1及び2,9,10の1及び2,11,12の1ないし3,13の1ないし3,14の1ないし3,151ないしの3,16の1ないし14,17ないし20,26の1ないし14,27の1ないし14,28の1ないし14,29ないし35,乙1の1及び2,2の1及び2,4の1ないし5,5の1ないし5,6の1ないし5,8,証人G,証人H,原告B,原告E),前提事実及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 1 被告は,昭和17年の設立以来,荷主である逓信省その後郵政省から委託された郵便局間の郵便物の運送及び郵便差出箱等からの取集業務を主たる業務としてきたもので,その従業員はその業務を直接行う自動車運転手が大部分である。そして,被告は,これに従事する自動車運転手の定員を,その業務に設定され 物の運送及び郵便差出箱等からの取集業務を主たる業務としてきたもので,その従業員はその業務を直接行う自動車運転手が大部分である。そして,被告は,これに従事する自動車運転手の定員を,その業務に設定された運行表に基づいて,その服務編製要領による勤務時間等の勤務条件を勘案して算出してきた。 しかし,郵便物の利用状況は年間を通じて一定ではなく,多数の臨時便の運行要請のある季節がある一方で,そうでもない季節もある。そこで,被告では,定員が定められている本務者を輸送量のピーク時に合わせて採用すると,輸送量の少ない時期に余剰人員を抱えてしまうことになることから,本務者とは別個の,雇用期間を3か月とする有期労働契約を内容とする臨時社員運転士を雇用するようになった。 また,昭和50年代半ばころ,郵便物の取扱量が増加したため,本務者のみではこれに対応できず,さらには,民間の宅配業者との競争からサービス向上のために臨時便の増発が必要となったことも,臨時社員運転士雇用の一要因であった。 2 本務者と臨時社員運転士とでは,郵便物等の輸送便を運転するという点においては,その業務内容は同じであるが,本来的には,本務者については,あらかじめ運行路線が決められており,定期的に運行が予定されている既定便に乗務するが,臨時社員運転士は,主として,不定期,不定時に運行される臨時便に乗務することになっていた。もっとも,本務者が病気等で本来運行すべき既定便に乗務することができない場合等本務者に欠員が生じたときは,臨時社員運転士が既定便に乗務することもあったし,あらかじめ毎月の運行の指定を定める臨時社員運転士の服務指定表において,臨時社員運転士が,既定便の運転の指定をされることもあった。また従前どおり主として臨時便に乗務している臨時社員運転士もいるが,主として既定便に乗務し 指定を定める臨時社員運転士の服務指定表において,臨時社員運転士が,既定便の運転の指定をされることもあった。また従前どおり主として臨時便に乗務している臨時社員運転士もいるが,主として既定便に乗務し,その他に臨時便に乗務する臨時社員運転士もいる。また,本務者も,その勤務終了後に臨時便の要請があったのに臨時社員運転士がいないような場合に,補助と称される勤務時間終了後の待機時間に臨時便に乗務することもある。 また,深夜,泊まり勤務については,本務者も臨時社員運転士も同様に行っていた。 原告Bは,平成6年8月までは,臨時便に乗務し,既定便に乗務する場合は本務者の欠勤等のいわゆる穴埋めとしてであったが,同年9月以降は,ローテーションを組んで既定便に乗務するようになり,平成13年4月以降は,臨時社員運転士専用の服務指定表に従って乗務している。原告Dは,平成8年10月に臨時社員として雇用されてから,平成12年2月までは,既定便に乗務し,その後は臨時便に乗務している。原告Cは,平成8年9月に雇用されてから今日まで,乗車当日に指定された臨時便や場合によっては既定便に乗務してきた。 3(一) 被告においては,本務者は,雇用期間の定めはないが,停年が60歳と定められており,日本国内の広域にわたる異動ないし転勤が予定される。これに対し,臨時社員運転士は,更新が予定されているものの,雇用期間は3か月であり,65歳までは就労が可能とされ,また,労働契約は各統括支店と締結されており,基本的に各統括支店内での異動が予定されているのみである。このように,両者の就労年数には差違がある。なお,本務者の転勤については,最近では,昭和62,3年ころに1例あるだけで,その後はない。 (二) 本務者の就労時間は,正社員就業規則上は1労働日の拘束時間9時間(実働8時間)である は差違がある。なお,本務者の転勤については,最近では,昭和62,3年ころに1例あるだけで,その後はない。 (二) 本務者の就労時間は,正社員就業規則上は1労働日の拘束時間9時間(実働8時間)であるが,平成13年4月から,正社員の拘束時間は11時間(実働8時間)と改正され,一方,臨時社員運転士の就労時間は,拘束時間8時間15分である。 (三) また,本務者と臨時社員運転士とでは,適用される賃金に関する規程が異なるため,両者の賃金体系は全く異なる。 なお,正社員賃金規程によれば,正社員には退職時退職金が支給されるが,期間臨時社員賃金規則によれば,期間臨時社員には,退職金支給制度はなく,一時金支給規則により,3年を経過した者に対して,一定の契約終了一時金が支給され,その後再契約して,再契約の日から1年を経過した者にも一定の契約終了一時金が支給される。 (四) 本務者と臨時社員運転士とでは,各就業規則上ほぼ同様の服務規律が定められているが,本務者については昇進・降下の制度があるのに対し,臨時社員運転士についてはこのような制度はない。 (五) 被告では,臨時社員運転士については,契約時及び契約更新時において,「期間臨時社員有期労働契約書」を個別に作成している。同契約書には,契約期間,勤務場所,職種ほか,勤務の種類,就労時間,賃金等の労働条件の記載がある。 (六) 本務者については,停年後も65歳まで準社員として再雇用されることもある。準社員は,正社員に属する社員であり,大型トラックではなく,軽四輪車によって取集業務を行う者で,正社員の就業規則が適用されるが,乗務する車両が軽四輪車であることなどから,手当の額等が異なり,大型トラックに乗務する者との間には賃金格差がある。準社員は,正社員を55歳程度で退職して再雇用されたり,あるいは新たに採用さ れるが,乗務する車両が軽四輪車であることなどから,手当の額等が異なり,大型トラックに乗務する者との間には賃金格差がある。準社員は,正社員を55歳程度で退職して再雇用されたり,あるいは新たに採用された者で,65歳まで勤務できるが,既に制度としては廃止された。しかし,被告には,平成13年12月時点でなお40名以上の準社員が存在する。 4 被告における本務者の雇用は,縁故による者が多く,昭和58年ころから,本務者の採用を行っていない。臨時社員運転士は,3か月の期間雇用として採用されるが,同期間の雇用契約の更新を繰り返し,原告Bにおいては8年,他の原告らにおいては4年にわたって更新を繰り返している。 5(一) 平成9年度から平成11年度までの原告らの給与所得(諸手当を含む。)は以下のとおりである。 (1) 原告B(ア) 平成 9年度 442万3984円(イ) 平成10年度 478万5859円(ウ) 平成11年度 465万3478円(2) 原告C(ア) 平成 9年度 450万3343円(イ) 平成10年度 310万2250円(ウ) 平成11年度 470万0011円(3) 原告D(ア) 平成 9年度 421万1315円(イ) 平成10年度 461万6323円(ウ) 平成11年度 355万6851円(4) 原告E(ア) 平成 9年度 428万0488円(イ) 平成10年度 384万9251円(ウ) 平成11年度 343万9147円(二) 上記期間における同年度入社の本務者と臨時社員運転士の年収を比較すると,臨時社員運転士の年収は,本務者のそれのおおよそ7割程度,また,臨時賃金(賞与)を除いた平均賃金日額は,臨時社員運転士の平均賃金日額は,本務者のそれの6割程度であった。 二以上に鑑み検討する。 1 原告らは 転士の年収は,本務者のそれのおおよそ7割程度,また,臨時賃金(賞与)を除いた平均賃金日額は,臨時社員運転士の平均賃金日額は,本務者のそれの6割程度であった。 二以上に鑑み検討する。 1 原告らは,本務者と臨時社員運転士の労働内容が同じであるから,被告が両者に同一の賃金を支払わないことは公序良俗に反し,違法であると主張する。 確かに,郵便物の取集という業務をとらえてみれば,本務者と臨時社員運転士で異なるところはなく,本務者は原則として既定便というあらかじめ定められた便にしか乗務しないのに対して,臨時社員運転士は,臨時便を中心に乗務し,ときには,本務者と同じローテーションに組込まれて乗務することもあり,臨時社員運転士の労働が本務者のそれに比して軽度ということはなかったし,被告は,臨時社員運転士が本務者に比して,賃金その他の労働条件が被告に有利なこともあって,臨時社員を多用してきたということができる。 しかしながら,原告らが主張する同一労働同一賃金の原則が一般的な法規範として存在しているとはいいがたい。すなわち,賃金など労働者の労働条件については,労働基準法などによる規制があるものの,これらの法規に反しない限りは,当事者間の合意によって定まるものである。我が国の多くの企業においては,賃金は,年功序列による賃金体系を基本として,企業によってその内容は異なるものの,学歴,年齢,勤続年数,職能資格,業務内容,責任,成果,扶養家族等々の様々な要素により定められてきた。労働の価値が同一か否かは,職種が異なる場合はもちろん,同様の職種においても,雇用形態が異なれば,これを客観的に判断することは困難であるうえ,賃金が労働の対価であるといっても,必ずしも一定の賃金支払期間だけの労働の量に応じてこれが支払われるものではなく,年齢,学歴,勤続年数,企業貢 異なれば,これを客観的に判断することは困難であるうえ,賃金が労働の対価であるといっても,必ずしも一定の賃金支払期間だけの労働の量に応じてこれが支払われるものではなく,年齢,学歴,勤続年数,企業貢献度,勤労意欲を期待する企業側の思惑などが考慮され,純粋に労働の価値のみによって決定されるものではない。このように,長期雇用制度の下では,労働者に対する将来の期待を含めて年功型賃金体系がとられてきたのであり,年功によって賃金の増加が保障される一方でそれに相応しい資質の向上が期待され,かつ,将来の管理者的立場に立つことも期待されるとともに,他方で,これに対応した服務や責任が求められ,研鑽努力も要求され,配転,降級,降格等の負担も負うことになる。これに対して,期間雇用労働者の賃金は,それが原則的には短期的な需要に基づくものであるから,そのときどきの労働市場の相場によって定まるという傾向をもち,将来に対する期待がないから,一般に年功的考慮はされず,賃金制度には,長期雇用の労働者と差違が設けられるのが通常である。そこで,長期雇用労働者と短期雇用労働者とでは,雇用形態が異なり,かつ賃金制度も異なることになるが,これを必ずしも不合理ということはできない。 労働基準法3条及び4条も,雇用形態の差違に基づく賃金格差までを否定する趣旨ではないと解される。 これらから,原告らが主張する同一労働同一賃金の原則が一般的な法規範として存在しているとはいいがたいのであって,一般に,期間雇用の臨時従業員について,これを正社員と異なる賃金体系によって雇用することは,正社員と同様の労働を求める場合であっても,契約の自由の範疇であり,何ら違法ではないといわなければならない。 2 被告における臨時社員運転士は,上記認定のとおり,季節による臨時便の多寡に応じるために採用され, の労働を求める場合であっても,契約の自由の範疇であり,何ら違法ではないといわなければならない。 2 被告における臨時社員運転士は,上記認定のとおり,季節による臨時便の多寡に応じるために採用され,昭和50年代半ばころ以降の郵便物取扱量の増加や民間の宅配業者との競争による臨時便の増発等から増加してきたものである。そして,制度上,本務者と臨時社員運転士との労働条件及び労働契約の内容は大きく異なり,本務者は,終身雇用,昇進・降下の制度を前提として,将来的に幹部社員となり得ることが予定されているのに対し,臨時社員運転士は,労働契約を統括支店単位で締結し,65歳までは契約更新が可能であるものの,3年経過時には,一定の契約終了金が被告から支払われる。加えて,原告ら各本人の述べるところでも平成6年8月ころまでは,臨時社員運転士は臨時便に乗務し,既定便に乗務する場合は本務者の欠勤等のいわゆる穴埋めとしてであったというのであるし,その後においても,臨時社員運転士は本務者の不足を補うために乗務しているということができる。 これらからすると,本務者と臨時社員運転士とは,その雇用形態に明確な差があるということができる。 結局のところ,被告においては臨時社員運転士を採用する必要性があり,原告らはいずれも被告との間で,臨時社員運転士として3か月の雇用期間の定めのある労働契約を締結しており,労働契約上,賃金を含む労働契約の内容は,明らかに本務者とは異なることは契約当初から予定されていたのであるから,被告が,賃金について,期間臨時運転士と本務者とを別個の賃金体系を設けて異なる取扱をし,それによって賃金の格差が生じることは,労働契約の相違から生じる必然的結果であって,それ自体不合理なものとして違法となるものではない。 3 ところで,被告においては,基本的には本務者は なる取扱をし,それによって賃金の格差が生じることは,労働契約の相違から生じる必然的結果であって,それ自体不合理なものとして違法となるものではない。 3 ところで,被告においては,基本的には本務者は既定便に,臨時社員運転士は臨時便に乗務することが予定されているが,実際の状況は,臨時社員運転士が既定便に乗務することもあり,臨時社員運転士の中には主として既定便に乗務している者もいる。既定便か臨時便かの違いはあっても,行う業務内容は郵便物等の輸送,積み卸しであって,両者の間に特段の差は認められない。また,臨時社員運転士は,あらかじめ予定された便でないという点からはむしろ本務者の乗務より労働としての密度が高いと見る余地もあり,本務者の行わない仕事をさせられることもあって,本務者より仕事が過重であるという見方もできる。そして,雇用期間3か月の臨時社員といいながら,事実上は,更新を重ねて4年以上の期間雇用されており,他方,臨時便とはいいながら多くの便が恒常的に運行されており,これを本務者に乗務させられない理由は少ないのに,賃金等の労働条件において被告に有利な臨時社員運転士で本務者に代替している面があるともいえなくはない。しかも,臨時社員は,本務者より賃金は低く,その格差は大きいといえる。原告らの不満はこの点にあることは理解できるが,臨時社員制度自体を違法ということはできず,その臨時社員としての雇用契約を締結した以上,更新を繰り返して,これが長期間となったとしても,これによって直ちに長期雇用労働者に転化するものでもないから,結局のところ,その労働条件の格差は労使間における労働条件に関する合意によって解決する問題であるにすぎない。 本務者に支給されながら臨時社員運転士に支給されない手当のうち,型別運転手当,勤務形態別手当,洗車手当,補食費,宿泊手当 は労使間における労働条件に関する合意によって解決する問題であるにすぎない。 本務者に支給されながら臨時社員運転士に支給されない手当のうち,型別運転手当,勤務形態別手当,洗車手当,補食費,宿泊手当は,これを,本務者と臨時社員運転士とで区別することに被告から納得できる理由が挙げられているわけではないが,これらを支給しないことが直ちに違法となるものではなく,この点も結局,当事者間の合意の問題である。 4 原告らは,仮に,同一労働同一賃金の原則に未だ公序性が認められないとしても,憲法14条,労働基準法3条,4条の公序性に基づけば,同一企業内において同一労働に従事している労働者らは,賃金について平等に取り扱われる利益があり,これは法的に保護される利益であると主張する。しかしながら,雇用形態が異なる場合に賃金格差が生じても,これは契約の自由の範疇の問題であって,これを憲法14条,労働基準法3条,4条違反ということはできない。 5 以上のとおり,原告らの正社員との賃金格差はその雇用形態の差に基づくものであって,これを違法とする事由はない。 三よって,原告らの各請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文とおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判官大島道代裁判長裁判官松本哲泓,裁判官西森みゆきは,転補のため署名押印することができない。 裁判官大島道代・
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