平成14(わ)250 業務上過失致死,同傷害

裁判年月日・裁判所
平成15年1月10日 水戸地方裁判所 土浦支部
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判決文本文8,905 文字)

主文 被告人を懲役2年8月に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,自動車運転の業務に従事していた者であるが,平成14年1月12日午前6時ころ,大型貨物自動車を運転して茨城県つくば市gh番地i先の高速自動車国道常磐自動車道下り線j起点28.5キロポスト付近片側3車線道路の第3通行帯を谷和原方面から水戸方面に向け時速約100キロメートルで進行中,Cがその運転する普通乗用自動車を自車の直前に進入させて停止を求めてきた際,当時は日の出前で,かつ,同所付近は照明設備もない暗い場所であった上,同通行帯の後続車両の運転者は,同通行帯に停止車両があることを予測せず時速100キロメートルを超える高速度で進行してくることが通常であり,同通行帯上で自車を停止させれば,自車に同通行帯の後続車両が衝突する危険が予測されたのであるから,同通行帯上で自車を停止させることは厳に差し控えるべきはもちろん,仮に,自車を停止させた場合には,発煙筒を使用して後続車両に合図するなど自車が停止していることを表示すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,前記Cが停止を求めたことなどに腹立たしさを感じ,納得のいく説明をさせようと考え,自車の直前に進入して徐々に減速しながら同市kl番地m先の同道路j起点28.8キロポスト付近の同通行帯上で停止した前記C運転車両の後方であえて自車を停止させた上,発煙筒を使用して後続車両に合図するなど自車が停止していることを表示しなかった過失により,同日午前6時25分ころ,同通行帯を谷和原方面から水戸方面に向け進行してきたD(当時20歳)運転の普通乗用自動車前部を停止中の自車後部に衝突させ,よって前記D運転車両の同乗者E(当時51歳)に胸部圧挫の傷害を負わせ,同F(当時 帯を谷和原方面から水戸方面に向け進行してきたD(当時20歳)運転の普通乗用自動車前部を停止中の自車後部に衝突させ,よって前記D運転車両の同乗者E(当時51歳)に胸部圧挫の傷害を負わせ,同F(当時64歳)に頭蓋骨複雑骨折による脳挫傷の傷害を負わせ,いずれもそのころ同所において,各傷害により死亡させ,前記Dに頭蓋骨及び顔面骨骨折による脳挫傷の傷害を負わせ,同日午前7時30分ころ,同市no番地のp所在のG病院において,同人を同傷害により死亡させ,同車の同乗者H(当時52歳)に多発外傷の傷害を負わせ,同日午前7時30分ころ,同県牛久市q町r番地所在のI病院において,同人を同傷害により死亡させたほか,同J(当時16歳)に全治約3か月間を要する左上腕骨遠位端骨折,右鎖骨基部骨折,心筋挫傷,肺挫傷等の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)括弧内は,検察官請求の証拠等関係カード記載の番号を示す。 被告人の当公判廷における供述第1回公判調書中の被告人の供述部分被告人の検察官調書(乙4,5)C(甲83から86まで[謄本]),K(甲64)の各検察官調書,Lの警察官調書(甲74,75)実況見分調書(甲5,9,18,21,24,63,68,70,81[謄本])捜査報告書(甲4,6,30,31,33)鑑定嘱託書謄本(甲58,61)鑑定書(甲59,62)死亡診断書(甲8)死体検案書(甲17,20,23)診断書(甲26)捜査関係事項照会回答書(甲29)(法令の適用)被告人の判示各所為はいずれも刑法211条1項前段に該当するところ,これは1個の行為が5個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の最も重いFに対する業務上過失致死罪の刑で処断することとし,所定 11条1項前段に該当するところ,これは1個の行為が5個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条により1罪として犯情の最も重いFに対する業務上過失致死罪の刑で処断することとし,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役2年8月に処し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (事実認定の補足説明) 1 弁護人は,①被告人運転の大型貨物自動車(以下「被告人車」という。)が本件現場第3通行帯に停止したのは,C(以下「C」という。)運転の普通乗用自動車(以下「C車」という。)が被告人車の直前に進入して減速,停止したためであり,C車に強制的に停止させられたものである,②被告人車とC車が停止した後,被告人は,Cから暴行を受け傷害を負ったが,その間は,被告人が発煙筒を使用するなど自車の停止を表示することは不可能だったのであり,その後,C車が現場を去った後は,被告人は,第3通行帯上の自車を直進発進させようとしていたなどとして,被告人に過失はないと主張するので,以下,検討する。 2 事実関係について関係各証拠によると次の事実が認められる(これについては,弁護人もおおむね争っていない。)。 (1) 被告人は,平成14年1月12日午前5時45分ころ,jジャンクションから高速自動車国道常磐自動車道下り線に入り,時速約110キロメートルから130キロメートルで水戸方面に向けて走行し,Cは,知人であるMを助手席に乗せ,午前5時51分ころ,sインターチェンジから同下り線に入り,時速約120キロメートルから130キロメートルで水戸方面に向けて走行していた。 (2) Cは,被告人の運転態度に立腹し被告人車を停止させて同人に文句を言おうと考え,同自動車道j起点27.0キロポスト付近(以下, メートルから130キロメートルで水戸方面に向けて走行していた。 (2) Cは,被告人の運転態度に立腹し被告人車を停止させて同人に文句を言おうと考え,同自動車道j起点27.0キロポスト付近(以下,キロポストの表記は全てj起点のものである。)で,C車の進路を第3通行帯から第2通行帯に変更して,第3通行帯を走行していた被告人車を第2通行帯から追い上げ,27.3キロポスト付近で,同車の左前方に出て同車と併走させながら幅寄せし,27.5キロポスト付近で同車を追い越し第3通行帯に車線を変更して同車の前に進入した。被告人は,27.8キロポスト付近で,第2通行帯を経て第1通行帯に車線変更し,C車は,ハザードランプをつけながら,被告人車の車線変更に対応するように,被告人車の前方で第1通行帯まで車線を変更した。両車は,第1通行帯において一旦速度を落とした。そして,被告人は,再び速度を時速約100キロメートルに加速し,第2通行帯へ車線変更し,28.1キロポスト付近で,第1通行帯のC車を追い抜いたところ,C車は,被告人車の後方で,第2通行帯を経て第3通行帯に車線を変更し,時速約120キロメートルに加速して,被告人車の運転席の右横に並んだ。そして,C車は,28.4キロポスト付近で,車線変更して第2通行帯の被告人車の前方に進入し,その後,被告人車は,28.5キロポスト付近で時速約100キロメートルで第3通行帯に車線変更した。C車は,28.6キロポスト付近で,被告人車の前方約13.9メートルないし23.9メートルの地点に進入すると,両車は減速し,午前6時ころ,28.8キロポスト付近の第3通行帯において,Cが,被告人車の前方約12.2メートルの地点にC車を停止させると,被告人は,さらに被告人車を前進させ,C車の後方約5.5メートルの地点に停止させた。被告人が第 キロポスト付近の第3通行帯において,Cが,被告人車の前方約12.2メートルの地点にC車を停止させると,被告人は,さらに被告人車を前進させ,C車の後方約5.5メートルの地点に停止させた。被告人が第3通行帯においてブレーキを踏んでから停止するまでの距離は,約160メートルであった。なお,ブレーキランプを点灯させた後,被告人は,ハザードランプを点滅させたが,被告人車後部左側のランプは電球が断線しており点灯していなかったため,後方から見ると,右ウインカーのみが点滅している状態であった。 (3) Cは,降車し,歩いて被告人車まで移動し,同車の運転席ドア付近で,「トレーラーの運転手のくせに。」などと怒鳴った。被告人が,運転席ドアを少し開けたところ,Cは,ドアを開けてステップに上がり,エンジンキーの方に手を伸ばしたり,ドアの内側に入ってきて,被告人の左顔面を右手拳で6回くらい殴打した。 そして,Cは,被告人の着用していたジャンパーの襟をつかみ,「女に謝れ。」などと言って,被告人を運転席から降ろし,被告人は,C車の助手席にいたMに謝ったが,そのころ,Cから左大腿部あたりを蹴られた。 (4) Cが,被告人に対し,前記暴行を加えていた午前6時7分ころ,本件現場付近道路第3通行帯を進行していたN運転の普通乗用自動車(以下「N車」という。)及びO運転の普通乗用自動車(以下「O車」という。)は,被告人車を避けようして第2通行帯に車線変更したが,N車に追従して走行していたO車がN車に追突したため,O車は第3通行帯上の被告人車の前方約17.4メートルの地点に,N車は,O車の前方約4.9メートルの地点にそれぞれ停止した。 O車から同乗者のP及びL(以下「O親子」という。)が降車してきたころ,被告人は,被告人車に戻り,午前6時13分ころ,携帯電話で110番通報 車の前方約4.9メートルの地点にそれぞれ停止した。 O車から同乗者のP及びL(以下「O親子」という。)が降車してきたころ,被告人は,被告人車に戻り,午前6時13分ころ,携帯電話で110番通報し,Cに殴られたこと,C車の登録番号などを伝えた。Cは,O親子の所に歩いて行き,「あのトラックは酔っぱらい運転だ。 あの運転手は酒を飲んでいる。」と言い,被告人車の方に向かって歩き始めたため,O親子もCの後に続いて被告人車の方に歩いて行った。被告人は,O親子から「酒を飲んでいただろ。」などと声を掛けられたが,Cが知り合いを呼ぶなどと言っていたことから,O親子がその知り合いかもしれないと思い,被告人車の運転席の中にいて,その問いかけに応じなかった。O親子は,追突事故の処理をするため,N車の所に行き,Cは,午前6時17分ころ,前記MにC車を運転させて,停止していた第3通行帯から第2通行帯に車線変更して,本件現場から走り去った。 (5) その後,O親子は,被告人車の登録番号を控えておこうと考え,再び被告人車に近付いて行った。被告人は,被告人車を発車させようとしたものの,エンジンキーが見つからず,午前6時19分ころ,再び110番通報し,エンジンキーを取られたこと,Cが逃げたことなどを伝えた。そして,被告人車に歩いて近付いてきたO親子に対し「キー取られてなくなっちゃったよ。」などと言って,周辺を一緒に探したりしたが,結局,エンジンキーが自分のズボンのポケットに入っていたのを発見すると,車のキーボックスにエンジンキーを挿入した。被告人がエンジンを始動させた時点で,被告人車後部の尾灯が点灯した。なお,前記右側ウインカーは引き続き点滅していた。そして,被告人は,第3通行帯から第2通行帯に車線変更をしながら発進するのは困難と判断し,被告人車を発進させるために ,被告人車後部の尾灯が点灯した。なお,前記右側ウインカーは引き続き点滅していた。そして,被告人は,第3通行帯から第2通行帯に車線変更をしながら発進するのは困難と判断し,被告人車を発進させるために,その前方に停止していたO車及びN車に対し,進路を空けてもらうよう依頼しようとして,O車に向かって歩き始めた午前6時25分ころ,Dが運転する普通乗用自動車が停止していた被告人車の後部に追突し,本件事故が発生した。 なお,前記(2)に関し,被告人は,検察官調書において,被告人車は,当初,第2通行帯を走行しており,第3通行帯を走行するC車に追い越されて,同車が第2通行帯に車線変更をして減速を始めたため,第1通行帯に車線変更をしたと供述するが,第三者的立場で被告人車とC車の動きをその後方から偶然目撃し,同(2)認定のとおりの事実を供述するKの検察官調書(同(2)認定の事実を供述するもの)に反し,採用しない。 3 被告人の過失の有無について(1) 被告人が自車を停止させた点について被告人車は,C車が停止した後に停止し,停止した両車の距離が約5.5メートルであったことは前記2の(2)において認定したとおりであり ,被告人は,検察官調書において,C車が停止したら,進路を妨害したことについて納得のできる理由を説明させるために被告人車を停止させようと考えていたと供述している。 そこで,この時の状況についてみると,関係各証拠によると,被告人は,被告人車を第3通行帯に車線変更した際には時速約80ないし100キロメートルで進行していたところ,C車が被告人車の前方約13.9メートルないし23.9メートルの地点に車線変更してから,減速しながら,約243.0メートルないし330.4メートルにわたって,同車の後方を走行し続けていることが認 ろ,C車が被告人車の前方約13.9メートルないし23.9メートルの地点に車線変更してから,減速しながら,約243.0メートルないし330.4メートルにわたって,同車の後方を走行し続けていることが認められるところ,被告人やKは,その供述調書において,このころの同所付近の通行量がまばらであり,安全に車線変更をしようと思えばできる旨供述しており(なお,甲27によれば,25.1キロポスト付近における当日午前5時55分から午前6時ころまでの第2通行帯の通行量は61台でその平均速度は時速約98キロメートルあると認められるものの,具体的な場面での車線変更の可能性を単に通行車の総量のみで判断するのは適当とはいえない。もっとも,仮に上記61台が平均して走行していたとしても,車両の間隔は約136.1メートルであり,減速しながら第3通行帯から第2通行帯へ車線変更することは十分に可能だと思われる。),現に,被告人車は,第1通行帯を減速走行後,第2通行帯に車線変更して第1通行帯を先行していたC車を追い抜くなど,被告人車とC車の両車は,第3通行帯を走行する以前に車線変更を繰り返しており,その間,特段,後続車が走行していたために車線変更をためらったというような事情も認められないのであって,被告人車は,第2通行帯への車線変更が可能なのにそれをせずに,第3通行帯でC車の後方を走行し続けたということができるから,被告人の前記供述(C車が停止したら,進路を妨害したことについて納得のできる理由を説明させるために被告人車を停止させようと考えていたと供述している点)も信用できる。そうすると, 減速しながらそのような走行状態を続け ,ついにはC車の後方に停止した被告人については,自ら運転車両を停止させたというべきである。 そして,関係各証拠に 信用できる。そうすると, 減速しながらそのような走行状態を続け ,ついにはC車の後方に停止した被告人については,自ら運転車両を停止させたというべきである。 そして,関係各証拠によれば,本件現場は,片側3車線の高速自動車国道の追越車線に当たる第3通行帯で,本件当時,夜明け前で周囲には照明灯は設置されていなかったから,このような客観的な状況のもとで,車両を停止させれば,通常追越車線上には停止車両はないものとして走行している後続車が停止車両の確認に手間取り,ひいては追突することは通常予見可能であるから,被告人としては運転車両を第3通行帯に停止すべきではなかったのに,この義務を怠った過失が認められる。 弁護人は,被告人車がC車の後方約5.5メートルの地点に停止しており,車線変更するために左に転把すれば,第2通行帯を走行している後続車両をミラー等で確認できないこと,被告人車が安全に車線変更するには相当の時間が必要であることなどから,被告人車が車線変更できなかったため,C車に強制的に停止させられたと主張し,被告人も当公判廷において同様の供述をする。しかしながら,被告人は,Cが,被告人車を停止させるつもりで,同車の前方に車線変更してきたことを認識しながら,Cに納得のできる説明をさせようと考えて停止することを決め,敢えてC車が減速するのに呼応して,被告人車を減速させたことは前記認定のとおりであるから,その後の被告人車の車線変更の可能性について論じている弁護人の前記主張には理由がない。 (2) 発煙筒を使用するなどの停止表示義務について一般に,高速自動車国道の本線車線上に自動車を停止させ,速やかに発進させることができない場合には,発煙筒を使用して後続車両に合図するなど,自動車が停止していることを後続車両に表示しなけれ いて一般に,高速自動車国道の本線車線上に自動車を停止させ,速やかに発進させることができない場合には,発煙筒を使用して後続車両に合図するなど,自動車が停止していることを後続車両に表示しなければならない義務が発生するところ,前記認定2の(3)のとおり,被告人は,被告人車を停止させた後は,Cから暴行を受けており,この間,被告人がそのような表示をすることは不可能であったと認められる。また,同(4)のとおり,その後,Cが本件現場を走り去るまでの間については,被告人は,降車して被告人車に近づいてくるO親子をCが呼んだ知り合いと誤解して自車の運転席に留まったのであって,そのような措置を速やかに講じることが困難であったものと認められ,これらの時点において,被告人が前記表示をしなかったことをもって,過失とすることができないことは弁護人が主張するとおりである。 しかし,Cが本件現場から走り去った午前6時17分ころの時点においては,被告人は,Cの暴行によって負わされた傷害の程度も深刻なものではなく,自らの意思で行動できる状態にあったのであるから,速やかに被告人車を発進させるか,発煙筒を使用して後続車両に合図するなど,被告人車が停止していることを後続車両に表示することが可能であったと認められ,被告人には,前記義務を怠った過失が認められる。 なお,弁護人は,午前6時17分ころの時点においても,被告人はCの暴行等により動揺しており,冷静な判断を期待することは酷であって,ハザードランプは継続して点滅しているものと認識した上で,キーボックスにエンジンキーを挿入することで被告人車後部の尾灯を点灯させ,被告人車を速やかに発進させるために前方に停止していたO車に進路を空けてもらうよう依頼しようとした被告人に前記義務を怠った過失があるとすることは相当では 挿入することで被告人車後部の尾灯を点灯させ,被告人車を速やかに発進させるために前方に停止していたO車に進路を空けてもらうよう依頼しようとした被告人に前記義務を怠った過失があるとすることは相当ではないと主張する。しかし,そのような事情があるとしても,被告人が,停止を表示すべき義務を免れるということはできず,O車が前方に停止しているため,直ちに被告人車を発進させることができないと判断した以上,速やかに被告人車が停止していることを後続車に表示すべきであり,その義務履行が期待できない事情があったともいえない。 したがって,弁護人の主張には理由がなく,本件においては,業務上過失致死傷罪が成立する。 (量刑の理由)本件は,高速道路を大型貨物自動車で走行していた被告人が,普通乗用自動車が執拗に進路を妨害し停止を求めたのに応じて,同車に続けて追越車線に当たる第3通行帯上に自車を停止させるなどしたことにより,同通行帯を走行してきた後続車を自車に衝突させ,同車に乗車していた4名を死亡させ,1名に重傷を負わせたという,業務上過失致死傷の事案である。 被告人は,自車の進路を執拗に妨害する前記乗用車の運転手に腹立しさを感じ,納得のいく説明をさせようと考えて,高速道路の第3通行帯に大型貨物自動車を停止させ,その後は停止していることを適切に表示しなかったという,およそ常識では考えられない行動をとっており,その経緯に酌むべき点はなく,その過失は,危険かつ悪質なものである。 本件事故によって,被告人車に衝突した後続車両に乗車していた4名が死亡し,1名が重傷を負っており,生じた結果は重大であるし,被害者やその遺族らの無念さは筆舌に尽くしがたいものである。それにもかかわらず,被告人は,被害者らに何らの慰謝の措置も講じておらず,被害者やその遺族らの処罰 傷を負っており,生じた結果は重大であるし,被害者やその遺族らの無念さは筆舌に尽くしがたいものである。それにもかかわらず,被告人は,被害者らに何らの慰謝の措置も講じておらず,被害者やその遺族らの処罰感情には極めて厳しいものがある。また,被告人には,業務上過失傷害罪による罰金前科や4件の道路交通法違反歴がある。 そうすると,被告人の刑事責任は重いというべきである。 他方,本件はCの異常な行動が発端となっていること,被告人が被害者らに謝罪する意思を示していること,追突した車両の運転者の不注意も一因となっていること,被告人の勤務している会社が加入している任意保険で,被害者やその遺族らに相応の保険金が支払われる見込みがあること,被告人の前記罰金前科は昭和年代の古いものであることなどの事情も認められるが,これらを考慮しても,その刑の執行を猶予することが相当であるとは認められない。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑-懲役5年)平成15年1月10日水戸地方裁判所土浦支部裁判長裁判官彦坂孝孔 裁判官山崎栄一郎 裁判官柴田憲史

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