主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 札幌市長が平成29年3月10日付けで原告に対してした別紙物件目録記載の家屋に対する平成27年度の固定資産税に係る増額賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,その所有する別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)について札幌市長から固定資産税の増額賦課決定処分を受けたことにつ き,本件建物は平成27年法律第2号1条の規定による改正前の地方税法(以下「旧地方税法」という。)附則15条の8第4項にいう「貸家住宅」に該当するから固定資産税の減額対象となる旨主張して,被告に対し,上記処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め ⑴ 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号。以下「高齢者居住安定確保法」という。)の定め高齢者向けの賃貸住宅又は老人福祉法29条1項に規定する有料老人ホームであって居住の用に供する専用部分を有するものに高齢者を入居させ,状況把握サービス,生活相談サービスその他の高齢者が日常生活を営むために必要 な福祉サービスを提供する事業(以下「サービス付き高齢者向け住宅事業」という。)を行う者は,当該事業に係る賃貸住宅又は有料老人ホーム(以下「サービス付き高齢者向け住宅」という。)を構成する建築物ごとに,都道府県知事の登録を受けることができる(高齢者居住安定確保法5条1項)。 上記の登録を受けようとする者は,所定の登録事項を記載した申請書を都道 府県知事又はその事務を行う指定登録機関に届け出なければならず(同法6条 1項,28条1項,4項),また,上記登録事項に変更があったときにもその旨を届け出なけ を記載した申請書を都道 府県知事又はその事務を行う指定登録機関に届け出なければならず(同法6条 1項,28条1項,4項),また,上記登録事項に変更があったときにもその旨を届け出なければならない(同法9条1項)。 ⑵ 旧地方税法等の定め旧地方税法附則15条の8第4項(同15条の6第2項を準用)は,新築されたサービス付き高齢者向け住宅のうち「貸家住宅」に該当するものについて は,政令で定める要件の下で,一定期間,その固定資産税額のうち3分の2に相当する額を減額するものとしている(以下,この減額措置を「本件減額措置」といい,本件減額措置に係る制度を「本件減額措置制度」という。)。 そして,平成29年政令第118号による改正前の地方税法施行令(以下「旧地方税法施行令」という。)附則12条1項2号は,上記「貸家住宅」とは「そ の全部又は一部が専ら住居として貸家の用に供される家屋」をいうものとしている。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者等 原告は,不動産の賃貸,売買,管理及び仲介等を業とする株式会社であり(弁論の全趣旨),本件建物を所有している。 A介護サービス株式会社(以下「訴外会社」という。)は,サービス付き高齢者向け住宅事業を行う株式会社である(乙1)。 特定非営利活動法人B(以下「本件指定登録機関」という。)は,高齢者居 住安定確保法28条1項の指定を受けた指定登録機関である。 ⑵ 増額賦課決定に至る経緯ア原告は,平成25年8月23日,訴外会社との間で,原告が訴外会社に対して以下の内容により本件建物を賃貸する旨の契約をした(甲2)。 賃貸借期間平成26年3月1日から 定に至る経緯ア原告は,平成25年8月23日,訴外会社との間で,原告が訴外会社に対して以下の内容により本件建物を賃貸する旨の契約をした(甲2)。 賃貸借期間平成26年3月1日から平成51年2月末日まで(25年間) 使用目的有料老人ホーム事業,その他高齢者福祉事業 イ訴外会社は,平成25年8月19日,本件指定登録機関に対し,高齢者居住安定確保法6条1項,28条4項に基づき,本件建物においてサービス付き高齢者向け住宅事業を行う旨の登録申請書(乙1)を提出した。 上記登録申請書では,本件事業において各入居者との間で締結される契約が「賃貸借契約」である旨記載されていた。 ウ訴外会社は,平成26年4月,原告から本件建物の引渡しを受け,同年5月1日,本件建物におけるサービス付き高齢者向け住宅事業を開始した。 エ原告は,平成26年8月14日,札幌市長に対し,本件建物が旧地方税法附則15条の8第4項の「貸家住宅」に該当し,本件減額措置の適用を受けるとして,固定資産税の減額を申告した(乙7の1)。 札幌市長は,平成27年4月10日,本件建物が「貸家住宅」に該当するとして,本件減額措置を適用し,本件建物の平成27年度分の固定資産税を103万8500円とする賦課決定処分を行った。 オところで,訴外会社は,平成27年4月2日,本件指定登録機関に対し,本件事業において各入居者との間で締結される契約が,平成26年5月1日 をもって「賃貸借契約」から「利用権契約」に変更された旨の変更届出書(乙2の1)を提出していた。 そこで,札幌市長は,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で本件減額措置の適用要件 「利用権契約」に変更された旨の変更届出書(乙2の1)を提出していた。 そこで,札幌市長は,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で本件減額措置の適用要件を満たしていなかったとして,平成29年3月10日,本件建物に係る本件減額措置の適用を取り消 した上,原告に対し,平成27年度の固定資産税を207万7200円増額する旨の増額賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。 ⑶ 本件訴訟提起に至る経緯ア原告は,平成29年5月16日,札幌市長に対し,本件処分について審査請求をした。 札幌市長は,平成30年4月20日,上記審査請求を棄却した。 イ原告は,平成30年7月4日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点本件の争点は本件処分の違法性であり,具体的には,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で「貸家住宅」(旧地方税法 附則15条の8第4項)に該当していたのか否かである。 4 争点に関する当事者の主張(被告の主張)本件減額措置制度は,高齢者の安定的な居住を確保するため,入居契約について高齢者の安定的な居住に資する賃貸借契約による住宅のみをその適用対象と したものであって,「貸家住宅」とは入居契約の方式が賃貸借契約であるものに限られる。 この点,本件事業における入居契約の方式については,当初は賃貸借契約とされていたが(上記2⑵イ),平成26年5月1日以降は利用権方式に変更されたものであり(同オ),同日以後に各入居者との間で締結されている契約書の内容 は,形式的にも実質的にも利用権方式となったものと認められる。 したがって,本件建物は,平成27年度の固定資産税の賦課期日において 同オ),同日以後に各入居者との間で締結されている契約書の内容 は,形式的にも実質的にも利用権方式となったものと認められる。 したがって,本件建物は,平成27年度の固定資産税の賦課期日において,本件減額措置の適用要件を満たしていなかったものである。 (原告の主張)以下の諸事情に照らせば,入居者の入居契約は,その名目にかかわらず賃貸借 契約であると認められるのであって,本件建物は「貸家住宅」に該当し,本件減額措置の適用要件を満たしていた。 ⑴ 本件事業においては,本件建物全体を利用する利用権は入居者に認められておらず,入居者は割り当てられた居室の専用使用権並びに食堂,浴室及び各階リビングの共用部を他の入居者と共同して使用する利用権を有しているにす ぎない。 ⑵ 本件建物の入居者は,入居一時金などの利用権の対価を負担していない。 ⑶ 本件建物の入居者は,一律に「家賃相当額」及び「共益費」を負担している。 ⑷ 上記⑶の「家賃相当額」及び「共益費」は,消費税法別表第1第13号の「住宅・・・の貸付け」として,消費税非課税とされている。 ⑸ 本件建物の各居室は壁及び引き戸によって外の居室及び廊下から仕切られ, 居室にはトイレ,洗面台,収納等が設けられているのであって,このような居室の構造は建物賃貸借契約における居室構造と同じである。また,入居者は居室を占有し,居住する権利を有しているのであって,これは建物賃貸借契約における権利と同一である。 第3 当裁判所の判断 1 「貸家住宅」(旧地方税法附則15条の8第4項)の意義本件減額措置制度は,サービス付き高齢者向け住宅のうち「貸家住宅」(旧地方税法附則15条の8第4項)すなわち「その全部又は一部が専ら住居として貸家の用に供される家 則15条の8第4項)の意義本件減額措置制度は,サービス付き高齢者向け住宅のうち「貸家住宅」(旧地方税法附則15条の8第4項)すなわち「その全部又は一部が専ら住居として貸家の用に供される家屋」(旧地方税法施行令附則12条1項2号)のみを対象としているところ,ここにいう「貸家」とは,その文言に照らすと,賃貸借契約の目 的物たる建物をいうものと解するのが相当である。 また,そもそも本件減額措置制度が設けられたのは,サービス付き高齢者向け住宅事業においては,入居契約の方式が賃貸借契約ではないために入居者が借地借家法による保護を受けることができない場合があることから,入居契約の方式が借地借家法の適用のある賃貸借契約であるものにつき固定資産税を減額し,こ のような税制上の優遇措置を通じて高齢者の安定的な居住を促進する趣旨と解される(乙4ないし6参照)。 以上のような文理解釈及び制度趣旨からすると,本件減額措置の適用の対象となる「貸家住宅」とは,入居者との入居契約の方式が借地借家法の適用のある賃貸借契約であるものに限られると解するべきである。このことは,本件減額措置 と同様の措置である不動産取得税減額措置(地方税法73条の24第1項,同法 附則11条の4第3項,地方税法施行令附則9条の2)の適用されるサービス付き高齢者向け住宅が「契約方式が賃貸借契約であるもの」に限られていること(平成22年総税都第16号総務大臣通知「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」〔乙3・142頁〕)とも整合する。 2 認定事実 これを本件についてみるに,前記第2の2の前提事実に後掲証拠を併せると,本件においては以下の事実が認められる。 ⑴ 訴外会社は,平成25年8月19日,本件指定登録機 2 認定事実 これを本件についてみるに,前記第2の2の前提事実に後掲証拠を併せると,本件においては以下の事実が認められる。 ⑴ 訴外会社は,平成25年8月19日,本件指定登録機関に対し,高齢者居住安定確保法6条1項,28条4項に基づき,本件建物においてサービス付き高齢者向け住宅事業を行う旨の登録申請書(乙1)を提出した。 上記登録申請書では,本件事業において各入居者との間で締結される契約が「賃貸借契約」である旨記載されていた。 また,上記登録申請書には,各入居者との間で締結される契約書のひな形(乙9。以下「当初契約書」という。)が添付されていたところ,当初契約書の表題は「建物賃貸借契約書」とされ,訴外会社が「貸主」,入居者が「借主」とされ た上,「貸主」と「借主」が「賃貸借契約・・・を締結した」(第1条)ものであり,「借主」は「賃料」(第4条)及び「共益費」(第5条)を支払うものとされていた。また,当該契約書には,入居者が死亡したときには契約が終了する旨のいわゆる死亡特約は設けられていなかった。 ⑵ 訴外会社は,平成26年4月,原告から本件建物の引渡しを受け,同年5月 1日,本件建物におけるサービス付き高齢者向け住宅事業を開始した。 ⑶ 訴外会社は,平成27年4月2日,本件指定登録機関に対し,本件事業において各入居者との間で締結される契約が,平成26年5月1日をもって「賃貸借契約」から「利用権契約」に変更された旨の変更届出書(乙2の1)を提出した。 上記変更届出書には,各入居者との間で締結される契約書のひな形(乙2の 2。以下「変更後契約書」という。)が添付されていたところ,変更後契約書の表題は「入居契約書」とされ,訴外会社が「事業者」,入居者が「入居者」 入居者との間で締結される契約書のひな形(乙2の 2。以下「変更後契約書」という。)が添付されていたところ,変更後契約書の表題は「入居契約書」とされ,訴外会社が「事業者」,入居者が「入居者」とされた上,居住の権利形態は「利用権方式」(3頁)であり,事業者は入居者に対して目的施設を終身にわたり「利用する権利」を設定し,かつ,目的施設内において各種サービスを提供するものとされ(第1条),入居者は「利用権」を保 有するものとされていた(第3条表題,同条第3項)。 また,変更後契約書においては,入居者は「月払いの利用料」を支払うものとされ(第21条第1項),その額は夏季15万9640円,冬季16万6120円などとされた上,その内訳として,「共益費」2万1600円,「管理費」3万2400円,「食費」3万5640円,「家賃相当額」7万円,「冬季暖房費」 6480円などと記載されていた(5頁)。なお,上記「月払いの利用料」については,「税法に則り消費税(8%)を負担・・・(家賃相当額は非課税)」と付記されていた(5頁)。 さらに,変更後契約書には,入居者が死亡したときには契約が終了する旨のいわゆる死亡特約が設けられていた(第25条第1号)。 ⑷ 本件事業における各入居者は,本件建物の居室のいずれか1つを当該入居者専用の居室として与えられ,当該居室を日常生活の基本的な場所として使用し,1階食堂において食事の提供を,1階浴室において入浴サービスの提供を,各階リビングにおいて談話,レクリエーションの提供を受けるなどして生活している(弁論の全趣旨)。 3 本件建物の「貸家住宅」該当性以上を前提に,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で「貸家住宅」に該当していたのかを判断する。 る(弁論の全趣旨)。 3 本件建物の「貸家住宅」該当性以上を前提に,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で「貸家住宅」に該当していたのかを判断する。 ⑴ 上記のとおり,訴外会社は,各入居者との間で締結される契約が平成26年5月1日をもって「賃貸借契約」から「利用権契約」に変更された旨の変更届 出書(乙2の1)を提出しているところである。 そして,上記変更届出書に添付された変更後契約書では,当初契約書とは異なり,表題は「入居契約書」とされ,訴外会社が「事業者」,入居者が「入居者」とされた上,居住の権利形態は「利用権方式」(3頁)であり,事業者は入居者に対して施設を終身にわたり「利用する権利」(第1条)を設定し,入居者は「利用権」(第3条表題,同条第3項)を保有するものとされている。 さらに,変更後契約書には,入居者が死亡したときには契約が終了する旨のいわゆる死亡特約が設けられているが(第25条第1号),この点も,変更後契約に係る契約が賃貸借契約であることとにわかに整合しない(借地借家法30条参照。なお,終身賃貸事業者として認可を受けた事業者であれば死亡特約を設けることも可能であるが〔高齢者居住安定確保法52条〕,訴外会社は終身 賃貸事業者としての認可を受けていない〔乙8〕。)。 以上に加え,他に,変更後契約書において,その実質が賃貸借契約であることをうかがわせるような文言も用いられていないことからすると,本件事業において各入居者との間で締結される契約が,平成26年5月1日以降も借地借家法の適用のある賃貸借契約の方式でされていたものとみることは困難であ る。 ⑵ この点に関し,原告は以下のとおり種々の主張をするが,いずれも上記 れる契約が,平成26年5月1日以降も借地借家法の適用のある賃貸借契約の方式でされていたものとみることは困難であ る。 ⑵ この点に関し,原告は以下のとおり種々の主張をするが,いずれも上記判断を左右するに足りないか,そもそも採用することができない。 アまず,原告は,本件事業では本件建物全体を利用する利用権は入居者に認められておらず,入居者は割り当てられた居室の専用使用権並びに食堂,浴 室及び各階リビングの共用部を他の入居者と共同して使用する利用権を有しているにすぎないなどと主張する。 しかし,そもそも借地借家法の適用のある賃貸借契約であっても,サービス付き高齢者向け住宅の入居者がその建物全体を利用する利用権を有しているなどとはにわかに解されない。原告の指摘する上記事情は,本件事業に おける入居契約の方式が賃貸借契約ではないことと何ら矛盾せず,本件の判 断を左右するに足りない。 イ次に,原告は,本件事業における入居者は入居一時金などの利用権の対価を負担していないなどと主張する。 しかし,入居者が居室を使用することの対価として支払う金員については,入居契約の方式が賃貸借契約であろうがなかろうが,月払とすることも前払 (入居一時金)とすることも可能である。原告の指摘する上記事情は,やはり本件事業における入居契約の方式が賃貸借契約ではないことと何ら矛盾せず,本件の判断を左右するに足りない。 ウまた,原告は,本件事業における入居者は一律に「家賃相当額」及び「共益費」を負担しているなどと主張する。 この点,確かに変更後契約書には「家賃相当額」(7万円)及び「共益費」(2万1600円)との記載があるが,これらは,「管理費」(3万2400円)及び「食費」(3万5 どと主張する。 この点,確かに変更後契約書には「家賃相当額」(7万円)及び「共益費」(2万1600円)との記載があるが,これらは,「管理費」(3万2400円)及び「食費」(3万5640円)などとともに,「月払い利用料」を積算するための要素として掲げられているものにすぎない。 そもそも,変更後契約書に係る入居契約は,入居者に対して目的施設を利 用させることだけではなく,目的施設内において,サービス付き高齢者向け住宅事業で必須とされている「状況把握サービス」及び「生活相談サービス」(高齢者居住安定確保法5条1項)を提供し,さらに健康管理,食事の提供,生活サービス及びレクリエーションの提供をすることを一体とした契約である(変更後契約書第1条参照)。入居者は,それらの対価として「月払いの 利用料」を支払うものであり(同第21条第1項),単に建物を賃貸借する場合の対価とは,その性質を大きく異にするものというべきである。原告はこの点,居室の占有使用契約と各種サービス提供契約は明確に分離される別々の契約であるなどとも主張するが,変更後契約書の文言上はあくまでも1個の契約が締結されているにすぎず(同2頁参照),原告の主張するような2 個の契約に明確に分離されているようにはおよそうかがわれない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 エさらに,原告は,本件事業における「家賃相当額」及び「共益費」は消費税法別表第1第13号の「住宅・・・の貸付け」として消費税非課税とされているなどと主張する。 この点,確かに,消費税法6条1項は「国内において行われる資産の譲渡 等のうち,別表第1に掲げるもの」について消費税を課さないこととし,同法別表第1第13号には「住宅 などと主張する。 この点,確かに,消費税法6条1項は「国内において行われる資産の譲渡 等のうち,別表第1に掲げるもの」について消費税を課さないこととし,同法別表第1第13号には「住宅・・・の貸付け」との規定があるところ,本件の変更後契約書には「税法に則り消費税(8%)を負担・・・(家賃相当額は非課税)」と記載されている。 しかし,消費税法上,サービス付き高齢者向け住宅の使用の対価(本件で いう「月払いの利用料」)のうち一部(本件でいう「家賃相当額」)が「住宅・・・の貸付け」に当たるとして非課税とされているからといって,直ちに入居者との契約の全部が賃貸借となるとか,その契約が賃貸借契約の方式によってされたことになるとまではいえない。原告の上記指摘は,本件の判断を左右するものではない。 オ加えて,原告は,①本件建物の各居室は壁及び引き戸によって外の居室及び廊下から仕切られ,居室にはトイレ,洗面台,収納等が設けられているのであって,このような居室の構造は建物賃貸借契約における居室構造と同じである,②入居者は居室を占有し,居住する権利を有しているのであって,これは建物賃貸借契約における権利と同一である,などと主張する。 しかし,上記①の点は,本件建物の入居者に対し,プライバシーが確保された快適な居住空間を提供するために必要な要素にほかならず,入居契約の方式が賃貸借契約であるか否かとは無関係である。上記②の点もこれと同様であって,入居契約の方式が賃貸借契約であることの根拠となるものではない。 したがって,原告の上記主張は,本件の判断を左右するものではない。 カなお,原告は,一般論として,①サービス付き高齢者向け住宅の入居契約を「賃貸借契約」として被 したがって,原告の上記主張は,本件の判断を左右するものではない。 カなお,原告は,一般論として,①サービス付き高齢者向け住宅の入居契約を「賃貸借契約」として被告に届出がされている場合であっても,大半の入居契約において死亡特約が定められている,②被告においても,死亡特約があるからといって直ちに賃貸借契約性を否定せず,本件減額措置を適用している,などと主張する。 しかし,原告の主張する上記各事情はいずれもその裏付けを欠くものであるし,仮にそのような事情があったとしても,これまで説示してきたところに照らせば,本件においては,本件事業における入居契約が賃貸借契約の方式でされていたものといえないことは明らかである。原告の上記主張は,いずれも採用することができない。 キおって,原告は,平成27年4月2日の変更届出書の提出(上記2⑶)には錯誤があるとも主張している。原告の当該主張の趣旨は必ずしも明らかではないが,本件では上記変更届出書の記載内容(入居契約が平成26年5月1日をもって「賃貸借契約」から「利用権契約」に変更されたとするもの)のみをもって本件建物の「貸家住宅」該当性を判断してきたものではないし (上記⑴参照),これまで認定説示してきたところに照らせば,そもそも原告の錯誤の主張自体,その前提を欠くようにも思われるところであって,いずれにせよ,原告の上記主張は採用の限りでない。 ⑶ 以上によれば,本件事業においては,平成27年1月1日時点での入居者との入居契約の方式が借地借家法の適用のある賃貸借契約であったということ はできない。 したがって,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で「貸家住宅」に該当していたものとはいえない 法の適用のある賃貸借契約であったということはできない。したがって,本件建物が平成27年度の固定資産税の賦課期日(平成27年1月1日)時点で「貸家住宅」に該当していたものとはいえないから,本件処分は適法であるというべきである。 4 結論 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官瀬孝 裁判官河野文彦 裁判官佐藤克郎
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