- 1 -主文 被告が原告に対して平成16年11月16日にした別紙文書目録記載の公文書に係る公文書非開示決定処分のうち,調定収入票添付書類中の支出票写し「請求」欄及び支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名を開示しないとした部分を取り消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が原告に対して平成16年11月16日にした別紙文書目録記載の公文書に係る非開示決定処分のうち,別紙処分目録記載の部分を取り消す。 第2事案の概要等 事案の要旨本件は,原告が,山形県情報公開条例(平成9年山形県条例第58号。以下本件条例というに基づき被告に対し別紙文書目録記載の公文書以「」。),,(下「本件文書」という)の開示を請求したところ,公文書一部非開示決定処。 分を受けたため,その処分の一部について取消しを求めた事案である。 本件条例の関係規定( )本件条例5条3項は,開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が記録 されている場合において,当該非開示情報が記録されている部分が,当該非開示部分を除いた部分と容易に区分できるときは,当該開示部分に客観的に有意な情報が記録されていないと認められるときを除いて,開示請求者に対し,当該開示部分を開示しなければならない旨規定している。 ( )本件条例6条1項2号本文は,同号ただし書に該当する情報を除き,個 人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)であっ。 - 2 -て,特定の個人が識別され,又は他の情報と照合することにより識別され得るもの(以下「個人識別情報」という)を非開示情報とする旨規定してい。 る。 ( )本 関する情報を除く)であっ。 - 2 -て,特定の個人が識別され,又は他の情報と照合することにより識別され得るもの(以下「個人識別情報」という)を非開示情報とする旨規定してい。 る。 ( )本件条例6条1項2号ただし書ロは,公務員の職務の遂行に係る情報に 含まれる当該公務員の職氏名及び職務の遂行の内容に関する情報以下職,(「務遂行情報」という)について,開示することにより当該公務員の権利を。 不当に侵害し,又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の当該氏名に関する情報及びそのおそれがあるものとして規則で定める警察職員の氏名に関する情報を除き,非開示情報とはしない旨規定している。 前提事実(証拠等の摘示のない事実は当事者間に争いがない)。 ,(「」( )山形県長井建設事務所職員2名が長崎市において社団法人A以下A という)の主催するα講習会(以下「長崎講習会」という)への参加を。 。 用務として,平成8年2月20日から同月24日までの出張旅費を受領したが,長崎講習会の参加申込書「氏名」欄に前記各職員の氏名が記載されていなかった(乙1の3)。 山形県村山建設事務所職員1名が,長崎講習会への参加を用務として,平成8年2月20日から同月24日までの出張旅費を受領したが,長崎講習会の参加申込書「氏名」欄に記載されていた前記職員の氏名は,二重線で抹消されていた(乙1の3)。 山形県新庄建設事務所職員1名が,和歌山県βにおいてAの主催するγ講習会(以下「白浜講習会」という)への参加を用務として,平成8年3月。 12日から同月14日までの出張旅費を受領したが,白浜講習会の参加申込書の「氏名」欄に前記職員の氏名が記載されていなかった(乙1の1)。 山形県新庄建設事務所職員1名が,白浜講習会への参加を用務として,平成8 月14日までの出張旅費を受領したが,白浜講習会の参加申込書の「氏名」欄に前記職員の氏名が記載されていなかった(乙1の1)。 山形県新庄建設事務所職員1名が,白浜講習会への参加を用務として,平成8年3月12日から同月16日までの出張旅費を受領したが,白浜講習会の参加申込書の「氏名」欄に前記職員の氏名が記載されていなかった(乙。 - 3 -1の2)( )平成9年,山形県の住民らが山形地方裁判所に,本件職員らに対して支 出された前記( )の出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であ ることを確認する旨の判決を求める住民訴訟を提起した(同裁判所平成▲。 年(行ウ)第▲号ないし第▲号事件。 )平成14年2月12日,山形地方裁判所は,同裁判所平成▲年(行ウ)第▲号事件において,山形県新庄建設事務所職員に対し支出された前記( )の出 張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることを確認する旨の判決(以下「本件判決」という)を言い渡した。 。 ( )平成14年3月4日,前記( )の山形県職員5名(以下「本件職員ら」と いう)に対して前記( )の出張旅費相当額及びその遅延利息の納入を求め。 る納入通知書兼領収証書が発行された(乙1の1ないし6)。 同月7日ないし8日本件職員らは山形県指定金融機関に対し前記( ),,, の出張旅費相当額及び遅延利息を支払い,山形県指定金融機関は,山形県出納長に対し,その旨通知した(乙1の7ないし16)。 その後,被告が,山形県長井建設事務所職員2名と同村山建設事務所職員1名に対して支出された前記( )の出張旅費相当額を支払えとの請求を怠る ことは違法であることを確認する旨の判決を求めて提起されていた住民訴訟(同裁判所平成▲年(行ウ)第▲及び第▲号事件)において,遺 に対して支出された前記( )の出張旅費相当額を支払えとの請求を怠る ことは違法であることを確認する旨の判決を求めて提起されていた住民訴訟(同裁判所平成▲年(行ウ)第▲及び第▲号事件)において,遺憾の意を表明したことから,同訴訟は取下げにより終了した。 ( )平成16年11月2日,原告は,被告に対し,本件文書の開示を請求し た。本件文書中,調定収入票には,収入調定の説明資料,本件判決に係る判決書写し,前記( )の出張旅費に係る支出票写し(なお,複数の職員に対す る出張旅費については,集合支出内訳表写しが別紙として添付されている,長崎講習会又は白浜講習会への参加申込書写し,延滞金の取扱いに。)関する通知に係る県例規集並びに領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領- 4 -収証書控えが添付されていた。 ( )平成16年11月16日,被告は,本件条例6条1項2号本文を根拠に して,本件文書のうち,次の部分を除いて開示する旨の公文書一部非開示決定(以下「本件処分」という)をした(甲2)。 。 ア調定収入票(添付書類を含む)。 (ア)調定収入票「納入義務者」欄に記載された納入義務者の郵便番号,住所及び氏名(イ)調定収入票添付書類中の収入調定の説明資料「納入義務者」欄に記載された納入義務者の郵便番号,住所,氏名,電話番号,現職名及び平成7年度当時の職名並びに同「収入調定額」欄に記載された納入義務者の氏名(ウ)調定収入票添付書類中の支出票写し「請求」欄に記載された職員の給与号級及び氏名並びに「領収」欄に記載された職員の印影(当該建設技術講習会申込書写し及び支出票写しの双方に記載されている職員の氏名を除く)。 「」(エ)調定収入票添付書類中の支出票別紙集合支出内訳表写し給与号級欄に記載された職員の給与号級,同「氏名 設技術講習会申込書写し及び支出票写しの双方に記載されている職員の氏名を除く)。 「」(エ)調定収入票添付書類中の支出票別紙集合支出内訳表写し給与号級欄に記載された職員の給与号級,同「氏名」欄に記載された氏名及び印影(当該建設技術講習会申込書写し及び支出票写しの双方に記載されている職員の氏名及び印影を除く)。 (オ)調定収入票添付書類中の建設技術講習会申込書写し「氏名」欄に記載された職員の氏名及び年齢(当該建設技術講習会申込書写し及び支出票写しの双方に記載されている職員の氏名を除く)。 (カ)調定収入票添付書類中の領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の郵便番号,住所及び氏名イ領収済通知書- 5 -領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の郵便番号,住所及び氏名並びに同「領収済日付印」欄に押印された金融機関の領収印中の金融機関担当者名( )原告は,平成17年1月14日付けで,被告に対し,本件処分について 異議申立てを行った。 ( )平成17年2月14日,原告は,本訴を提起した。 ( )平成17年11月18日,被告は,本件処分において開示しないとした 部分のうち,次の部分を開示する旨決定した(乙3,4)。 ア調定収入票(添付書類を含む)。 「」,(ア)調定収入票納入義務者欄に記載された納入義務者の住所のうち市町村名までの部分(イ)調定収入票添付書類中の収入調定の説明資料「納入義務者」欄に記載された納入義務者の住所のうち,市町村名までの部分(ウ)調定収入票添付書類中の領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所のうち,市町村名までの部分イ領収済通知書領 町村名までの部分(ウ)調定収入票添付書類中の領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所のうち,市町村名までの部分イ領収済通知書領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所のうち,市町村名までの部分 争点 ( )原告が開示を求めている情報は,職務遂行情報に該当するか。 ( )本件条例所定の非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分 化し,職務遂行情報に含まれる当該公務員の氏名及び職名を開示すべき義務が被告にあるか。 当事者の主張( )争点( )について - 6 -ア原告の主張本件処分において開示しない旨決定された部分に記録されている情報は,いずれも出張旅費の返納に係る内容であるから(調定収入票に添付された書類中の建設技術講習会申込書写し及び支出票写しに記録されている情報は,出張旅費の支出そのものである,職務遂行情報に該当する。 。)イ被告の主張(ア)山形県は,平成9年の監査委員による監査以上に調査を実施して出張した事実を立証することが困難であったので,本件判決に対する控訴を断念し,判決確定により生じた違法状態を解消すべく,前記3( )の 山形県新庄建設事務所職員に対し,出張旅費相当額及び遅延利息の支払いを任意に請求した。山形県は,職員の出張の有無を確認し,職員の旅行命令の遂行に関わる手続として旅費の返納を命じたのではなく,職員の職務の遂行の有無に関わる事実とは別に,確定した本件判決を直接の根拠として任意の請求をしたのである。また,山形地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲号及び第▲号事件についても本件判決と同様の判決が言い渡される蓋然性が高いことから,前記3( )の山形県長井建設事務所職員 及び同村山建設 をしたのである。また,山形地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲号及び第▲号事件についても本件判決と同様の判決が言い渡される蓋然性が高いことから,前記3( )の山形県長井建設事務所職員 及び同村山建設事務所職員に対し,職員の職務の遂行に関わる事実とは別に,同様の任意の請求が行われた。 旅費は「県職員等の旅費に関する条例」により旅行命令に基づき支,給されるものである。旅行命令を取り消したり行先を変更したりする事由が発生した場合,同条例等の規定により,先に行われた旅行命令を変更し又は取り消した上,その変更又は取消し後の旅行命令等に基づき返納又は追給が行われる。このように,旅行命令を変更し又は取り消した結果旅費が返納された場合には,変更され又は取り消された旅行命令や復命書等により職務遂行と旅費支給の関係が明らかであり,職務遂行の事実が直接的な返納の根拠となることから,職務遂行情報に該当する。 - 7 -しかしながら,本件においては,現在まで当該旅行命令が取り消されておらず,条例に定める旅費返納としての手続は行われていないのであるから,原告が主張の前提とする出張旅費の「返納」ではないことは明らかであり,納入者も旅費返納の手続としてではなく,任意の納入を行ったものである。したがって,本件文書に記載された納入義務者又は納入者の情報については,納入を行うことが職務の遂行とはいえないことから,職務遂行情報に該当しない。 また納入者の中には,平成14年当時,既に山形県を退職した者もお,,,りこれらの者は納入時において公務員としての身分を有しておらず「公務員等」としての職務の遂行は観念できないのであるから,本件文書に記載された納入義務者又は納入者の情報のうち,退職者の情報は,職務遂行情報に該当しないことは明らかである。 (イ)この納入義務者又は納 員等」としての職務の遂行は観念できないのであるから,本件文書に記載された納入義務者又は納入者の情報のうち,退職者の情報は,職務遂行情報に該当しないことは明らかである。 (イ)この納入義務者又は納入者の情報は,調定収入票添付の支出票写しにも旅行者の情報として記載されている。 確かに,支出票写しの旅行者の情報については,旅行命令に基づく旅費の支給の対象になっていることから,形式的には職務遂行情報に該当すると考えられる。 しかしながら,本件において,支出票写しの旅行者の情報のうち,建設技術講習会申込書に記載のない者に関する氏名及び印影の情報を開示した場合,山形県が収入することを決定したのは,白浜講習会参加を用務とする出張者のうち同講習会の申込書に記載のない者又は長崎講習会参加を用務とする出張者のうち同講習会の申込書に記載のない者であり,支出票写しと申込書を照合すれば,支出票写しにのみ記載されている納入義務者に当たることが明らかとなり,前記納入義務者を識別し得る情報を非開示とした処分の効果を無意味にしてしまう。つまり,1件の開示請求に対して一部開示された一連の公文書に含まれる情報を照合- 8 -することによって,支出票写しに記載された旅行者のうち誰が納入義務者であるかが判明することから,支出票写しに記載された旅行者の氏名等の情報を開示するのは,納入義務者の氏名等の情報を開示するのと同じ結果となる。この点,本件条例6条1項2号本文は「個人に関する,情報(略)であって(略)他の情報と照合することにより識別され得,るもの」と規定するとおり,他の情報と照合することにより個人を識別できる場合も非開示としているところなのである。 したがって,本件において,調定収入票に添付されている支出票写しに記載されている旅行者の情報のうち,前記各申込書に記載 報と照合することにより個人を識別できる場合も非開示としているところなのである。 したがって,本件において,調定収入票に添付されている支出票写しに記載されている旅行者の情報のうち,前記各申込書に記載のない者に関する氏名及び印影の情報は非開示とすることが相当である。 (ウ)本件文書の調定収入票には,本件判決に基づく請求の対象を説明するための資料が添付されているが,その中には,前記住民訴訟において書証として提出され,山形県が取得した建設技術講習会申込書写しが含まれている。前記申込書は,Bが作成し,Aが保管していた文書であって,山形県が平成7年度当時保有していた文書ではなく,前記申込書に記載されていることをもって,当該職員が公務で出張したことが直ちに確認できるものではない。公務で出張したか否かを確認するには,当該出張に係る旅行命令簿,旅費の支出票又は復命書を調査する必要があるが,保存年限経過のため,いずれも現存しない。そのため,職務遂行情報であるか否かを確定できないことから,前記申込書写しに記載されている職員の氏名を開示することはできない。 ( )争点( )について ア被告の主張本件条例5条3項は,その文理に照らすと,1個の公文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報のうちに非開示事由に該当するものがあるときは,当該部分を除いたその余の部分についてのみ,こ- 9 -れを開示することを実施機関に義務付けているにすぎない。すなわち,同条は,非開示事由に該当する独立した一体的な情報を細分化し,その一部を非開示とし,その余の部分にはもはや非開示事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも実施機関に義務付けていると解することはできない。 したがって,実施機関においてこれを細分化すること 部分にはもはや非開示事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも実施機関に義務付けていると解することはできない。 したがって,実施機関においてこれを細分化することなく一体として非開示決定をしたときに,住民等は,実施機関に対し,同条を根拠として,開示することに問題のある箇所のみを除外してその余の部分を開示するよう請求する権利はなく,裁判所もまた,当該非開示決定の取消訴訟において,実施機関がこのような態様の部分開示をすべきであることを理由として当該非開示決定の一部を取り消すことはできない。 もっとも,住民等の公文書の開示請求に対し,実施機関において,その裁量判断により,公文書のうち氏名,生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分(個人識別部分)のみを非開示とし,その余の部分を開示するなど,非開示事由に該当する独立した一体的な情報を更に細分化してその一部が記録されている公文書の部分のみを非開示とし,その余の部分を開示するといった態様の部分開示を任意に行うことは,本件条例の許容するところと解される。 しかしながら,住民等が実施機関に対して,上記のような態様の部分開示を権利として請求することができるか否かはまた別であって,住民に地方公共団体の機関の保有する公文書の開示を請求する権利をどのような要件の下にどの範囲で付与するかは,専ら各地方公共団体がその条例において定めるべき事柄であり,上記のような規定を有するにすぎない本件条例の下においては,住民等が実施機関に対して上記のような態様の部分開示を請求する権利を付与されているものとまで解することはできない(最。 高裁判所平成13年3月27日判決)- 10 -本件文書の中の調定収入票(添付書類を含む)にある納入義務者につ。 いては,その を請求する権利を付与されているものとまで解することはできない(最。 高裁判所平成13年3月27日判決)- 10 -本件文書の中の調定収入票(添付書類を含む)にある納入義務者につ。 いては,その職,氏名のほか,非開示情報である郵便番号,住所,電話番号及び給与の号級等の情報が独立した一体的な情報として記載されている。講習会申込書写しにある職員については,その氏名のほか,非開示情報である年齢の情報が独立した一体的な情報として記載されている。領収済通知書にある納入者については,その郵便番号,住所又は銀行担当者の氏名が独立した一体的な情報として記載されている。 イ原告の主張本件は,被告において,独立した一体的な情報を細分化して各部分ごとに非開示としており,原告の異議申立てに対し,開示しないこととした部分の中で,納入義務者又は納入者の住所のうち市町村名までの部分を開示しているのであり,細分化して非開示決定を行ったことは明らかである。 したがって,最高裁判所平成13年3月27日判決に該当する事案ではなく,独立した一体的な情報か否かを議論する必要はない。 行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条1項は,本件条例5条3項と同じ規定となっているが,同法6条2項では,個人識別情報については独立した一体的な情報を当然に細分化すべきものとし,厳密に個人識別情報のみを非開示としその余の部分の開示を義務付けている。したがって,本件条例の解釈においても,仮に独立した一体的な情報について全体として非開示とすることができるとしても,非開示情報が個人識別情報で,,,ある場合同法と同じく厳密に個人識別情報とそれ以外の部分を区別し個人識別情報以外の部分を開示すべきであり,個人識別情報を非開示事由とする本件では,独立した一体的な情報か否かを議論する必要はない。 ある場合同法と同じく厳密に個人識別情報とそれ以外の部分を区別し個人識別情報以外の部分を開示すべきであり,個人識別情報を非開示事由とする本件では,独立した一体的な情報か否かを議論する必要はない。 本件条例6条1項2号において,原則として個人識別情報を非開示情報としながら,同号ただし書ロにおいて公務員等の職及び氏名並びに職務遂,。 ,行の内容に関する情報は開示対象とすることを明記しているとすれば- 11 -その個人識別情報が記載されている文書中に,個人識別情報として郵便番号,住所,電話番号,給与号級,年齢,氏名又は職が記載されていても,そのうち氏名又は職については,同号ただし書ロに該当する限り,開示対,「」象となるのであり前記最高裁判所判決にいう独立一体情報非公開原則の適用の余地のないことは明らかである。 第3当裁判所の判断 争点( )について ( )前提となる事実,証拠(乙1の1ないし16,2,4,5,7)及び弁 論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア平成8年2月8日,山形県長井建設事務所職員1名が,長崎講習会への参加を用務として,同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し,同月19日に11万4820円を受領して支出票別紙集合支出内訳表の領収欄に押印した。同年1月31日付でBが作成してAに送付した長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄には,同県村山建設事務所の職員6名及び同県長井建設事務所職員2名の氏名が記載されていたが,前記出張旅費を請求した職員の氏名が記載されていなかった。なお,同年2月20日ないし同月24日は平日であった(乙1の3)。 平成8年2月8日,山形県長井建設事務所職員であったCが,長崎講習会への参加を用務として,同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し,同月19日に11万482 4日は平日であった(乙1の3)。 平成8年2月8日,山形県長井建設事務所職員であったCが,長崎講習会への参加を用務として,同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し,同月19日に11万4820円を受領して支出票別紙集合支出内訳表の領収欄に押印した。前記Cは長崎講習会への参加を申し込んでおり,長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄には,前記Cの氏名が記載されていた(乙1の3)。 平成8年2月13日,山形県長井建設事務所職員1名が,長崎講習会へ,,の参加を用務として同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し同月19日に11万4820円を受領して支出票別紙集合支出内訳表の領- 12 -収欄に押印した。長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄には,前記出張旅費を請求した職員の氏名が記載されていなかった(乙1の3)。 平成8年2月13日,山形県長井建設事務所職員であったDが,長崎講習会への参加を用務として,同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し,同月19日に11万4820円を受領して支出票別紙集合支出内訳表の領収欄に押印した。前記Dは,長崎講習会への参加を申し込んでおり,長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄には,前記Dの氏名が記載されていた(乙1の3)。 平成8年2月13日,山形県村山建設事務所職員1名が,長崎講習会へ,,の参加を用務として同月20日から同月24日までの出張旅費を請求し同月19日に12万7602円を受領して支出票の領収欄に押印した。長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄には,前記出張旅費を請求した職員の氏名が記載されていたが,二重線で抹消されていた(乙1の3)。 平成8年3月6日,山形県新庄建設事務所職員1名は,白浜講習会への参加を用務として,同月12日から同月14日までの出張旅費を請求し,同月8日に7万66 いたが,二重線で抹消されていた(乙1の3)。 平成8年3月6日,山形県新庄建設事務所職員1名は,白浜講習会への参加を用務として,同月12日から同月14日までの出張旅費を請求し,同月8日に7万6620円を受領して支出票の領収欄に押印した。同年2月14日付でBが作成してAに送付した白浜講習会の講習申込書には,同新庄建設事務所の職員1名の氏名が記載されていたが,前記出張旅費を請求した職員の氏名が記載されていなかった(乙1の1)。 平成8年3月6日,山形県新庄建設事務所職員1名が,白浜講習会への参加を用務として,同月12日から同月16日までの出張旅費を請求し,同月11日に10万0620円を受領して支出票別紙集合支出内訳表の領収欄に押印した。白浜講習会の講習申込書には,前記出張旅費を請求した職員の氏名が記載されていなかった。なお,同月12日ないし同月16日は平日であった(乙1の2)。 平成8年3月8日,山形県新庄建設事務所職員であったEが,白浜講習- 13 -会への参加を用務として,同月12日から同月16日までの出張旅費を請求し,同月11日に10万0620円を受領して支出票別紙集合支出内訳。 ,,表の領収欄に押印した前記Eは白浜講習会への参加を申し込んでおり白浜講習会の講習申込書の「氏名」欄には,前記Eの氏名が記載されていた(乙1の2)。 イ平成9年,山形県の住民らが,山形地方裁判所に対し,白浜講習会又は長崎講習会への参加を用務として出張旅費を受領した者のうち,Bが作成してAに送付した白浜講習会又は長崎講習会の講習申込書の「氏名」欄に氏名が記載されていなかった職員に対し,被告が出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることの確認などを求める住民訴訟3件を提起した(同裁判所平成▲年(行ウ)第▲ないし第▲号事件(乙1の1 名が記載されていなかった職員に対し,被告が出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることの確認などを求める住民訴訟3件を提起した(同裁判所平成▲年(行ウ)第▲ないし第▲号事件(乙1の1)。 ないし3,7)平成14年2月12日,山形地方裁判所は,同裁判所平成▲年(行ウ)第▲号事件について,被告が,白浜講習会参加を用務として出張旅費を受領しながら,白浜講習会への講習申込書の「氏名」欄に氏名が記載されていなかった山形県新庄建設事務所職員2名に対し支出された出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることを確認する旨の判決を言い渡した。本件判決において,前記出張旅費に関する出張は,実体を伴わないカラ出張であると認定せざるを得ず,山形県は,前記職員に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有しており,前記出張旅費相当額の支払いを請求できる旨述べられていた。被告は,本件判,。(,,)決に対する控訴を断念し本件判決が確定した乙1の11の2 ウ平成14年3月4日,山形県は,本件判決において請求を怠ることが違法とされた出張旅費相当額及びその遅延利息について収入するため,その内容を調査して所属年度,歳入科目,納入すべき金額及び納入義務者などを決定したさらに本件判決を踏まえれば山形地方裁判所平成▲年(行。 ,,- 14 -ウ)第▲及び第▲号事件においても,長崎講習会参加を用務として出張旅費を受領しながら,長崎講習会への講習申込書「氏名」欄に氏名が記載されていなかった山形県長井建設事務所職員2名及び同村山建設事務所職員1名に対して出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることを確認する旨の判決が言い渡される蓋然性が高いとされて,前記請求に,,係る出張旅費相当額及びその 2名及び同村山建設事務所職員1名に対して出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることを確認する旨の判決が言い渡される蓋然性が高いとされて,前記請求に,,係る出張旅費相当額及びその遅延利息を収入するためその内容を調査し所属年度,歳入科目,納入すべき金額及び納入義務者などが決定された。 前記出張旅費相当額の返納金の歳入科目は,出納閉鎖後に誤払い又は過渡しとなった前年度以前の歳出金を返納させるときの収入である過年度歳出返納金と決定された。以上を踏まえて,同日,本件職員らに対して前記出張旅費相当額及びその遅延利息の納入を求める納入通知書兼領収証書が発行された(乙1の1ないし6,5)。 平成14年3月7日ないし8日,本件職員らは,山形県指定金融機関に対し,納入通知書兼領収証書に記載された前記旅費相当額の返納金及び遅延利息を支払った。山形県指定金融機関は,山形県出納長に対し,領収済通知書によってその旨を通知した(乙1の7ないし16)。 エその後,長崎講習会参加を用務として出張旅費を受領しながら,長崎講習会への講習申込書の「氏名」欄に氏名が記載されていなかった山形県長井建設事務所職員2名及び同村山建設事務所職員1名に対して,出張旅費相当額を支払えとの請求を怠ることは違法であることを確認する旨の判決を求めて提起されていた住民訴訟(山形地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲号及び第▲号事件)において,被告が遺憾の意を表明し,訴えが取り下げられた。 オ本件文書のうち,調定収入票は,前記旅費相当額の返納金及び旅行命令最終日の翌日から納期限までの遅延利息を収入するため,その歳入の内容を調査し決定する際に作成された文書である。調停収入票には,収入調定- 15 -,,,の説明資料本件判決に係る判決書写し前記出張旅費に係る支出票写し長崎講 利息を収入するため,その歳入の内容を調査し決定する際に作成された文書である。調停収入票には,収入調定- 15 -,,,の説明資料本件判決に係る判決書写し前記出張旅費に係る支出票写し長崎講習会又は白浜講習会への講習申込書写し,延滞金の取扱いに関する通知に係る県例規集並びに納入義務者に送付された領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控えが添付されていた(乙1の1ないし6)。 調定収入票には,題名,執行機関の決裁印欄及び決裁日,文書の性質を示す部分(年度及び調定番号など,予算種別,予算主管課,調定日,納),,,(,)入通知書発行日納期限調定額納入義務者氏名郵便番号及び住所並びに納入理由の各記載(押印を含む)がある(乙1の1ないし6)。 。 ,,(,,収入調定の説明資料には収入調定理由納入義務者氏名郵便番号住所,電話番号,平成7年度当時の職名及び現在の職名)及び収入調定額の内訳が記載されていた(地方自治法231条,同法施行令154条。 )(乙1の1ないし6)支出票写しは,前記調定において納入義務者とされた本件職員らが前記出張旅費を請求し,支出命令及び支出決定が行われ,出張旅費を受領した際に作成された文書の写しであり,題名,文書の性質を示す部分(分類番,),,(),,号年度及び起票番号等予算種別請求支出金額請求者の氏名請求者の給与号級,請求者の代人の氏名,請求日,領収日,領収印,出張の用務,支払方法,支出区分,予算残高,出張日,出発地,到着地,出張旅費の内訳金額,支出命令の日,支出命令の決裁印欄,支出決定日の欄,(。)。 支出決定の決裁印欄及び出納課の受付印の各記載押印を含むがある出張旅費の請求者が複数の場合,別紙として集合支出内訳表が支出票に添, 命令の日,支出命令の決裁印欄,支出決定日の欄,(。)。 支出決定の決裁印欄及び出納課の受付印の各記載押印を含むがある出張旅費の請求者が複数の場合,別紙として集合支出内訳表が支出票に添,,,,,,付されており題名請求者の氏名請求者の給与号級領収日領収印,,(。)出張日出発地到着地及び出張旅費の内訳金額の各記載押印を含むがある(乙1の1ないし6)。 長崎講習会又は白浜講習会への講習申込書の写しは,Bが作成してAに提出した文書の写しであり,被告が山形地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲な- 16 -いし第▲号事件において同事件原告らから書証として提出されたことにより取得したものであり,文書の表題,作成日,提出先,作成者,作成者の印,参加者(氏名,年齢及び勤務先,参加者の会員か否かの種別,現場)研修希望の有無,宿泊予約日,申込金の内訳欄及び申込みにあたっての注意事項の各記載(押印を含む)がある。長崎講習会の講習申込書には,。 山形県村山建設事務所用地管理課及び同総務課所属の職員の氏名,年齢,勤務先及び会員か否かの種別を記載した欄が二重線で抹消されていた。本件処分の際には,前記各講習申込書に参加者として記載され,二重線で抹消されていなかった山形県職員のうち,長崎講習会又は白浜講習会参加を用務として出張旅費を受領していた者の氏名が開示された(乙1の1な。 いし6,2)領収済通知書は,山形県指定金融機関であるF銀行又はG銀行が本件職員らから前記出張旅費の返納金及び遅延利息を受領したことを通知するために山形県出納長に送付し,歳入徴収担当者が収入証拠書類として保管した文書である。領収済通知書には,題名,文書の性質を示す部分(分類番号,年度及び起票番号等,納入(返納)義務者(氏名,郵便番号及び住)), 納長に送付し,歳入徴収担当者が収入証拠書類として保管した文書である。領収済通知書には,題名,文書の性質を示す部分(分類番号,年度及び起票番号等,納入(返納)義務者(氏名,郵便番号及び住)),,(),,,()所予算種別納入返納金額納期限発行回数の欄納入返納の理由,発行元,送付先及び領収済日付印の各記載(押印を含む)があ。 る。領収済日付印には,領収日,現金の納付された銀行の支店名が記載されており,F銀行から送付された領収済通知書については銀行の担当者の氏名も記載されていた(乙1の7ないし16,2)。 別紙文書目録記載の文書番号1,4,7,8,10及び14の各文書において納入義務者として記載された者は,納入時に既に山形県を退職していた。また,同文書番号3及び6の各文書において,納入義務者として記載された者のうち,平成8年2月当時山形県村山建設事務所に所属した者も,納入時に既に山形県を退職していた。 - 17 -,( )本件条例6条1項2号ただし書ロにより開示対象となる職務遂行情報は 開示することにより,県民に対し県政についての説明を行う責務を果たすことになるもの,また,県民の県政に対する適正な評価の確保や県民の県政への参加の促進が図れるものとすることが本件条例1条所定の制定目的に適うものであるから,公務員等の職務の遂行自体に係る情報がこれに該当することはもちろんのこと,公務員等の職務の遂行に準ずることに係る情報,あるいは職務の遂行に具体的に関連することに係る情報も含まれるものと広く解するのが相当である。このように解しても,当該公務員等の権利を不当に侵害し,又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の氏名は非開示情報とされているのであるから,当該公務員等の権利の保護に不足することはない。 , 。このように解しても,当該公務員等の権利を不当に侵害し,又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の氏名は非開示情報とされているのであるから,当該公務員等の権利の保護に不足することはない。 ,,前記( )のとおり本件職員らが納入した前記旅費相当額及び遅延利息は 本件判決において,白浜講習会参加を用務として出張旅費を請求して受領しながら,白浜講習会への講習申込書の「氏名」欄に氏名の記載されていなかった山形県新庄建設事務所職員2名に対し,山形県が不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有している旨認定されたことを踏まえて山形県から支払いを請求された金員であり,収入調定において前記旅費相当額に係る歳入科目が過年度歳出返納金である旨決定されて前記旅費相当額,,が誤払いとなった歳出金として取り扱われていること以上の諸点を総合し県政についての説明の責務や県政に対する適正な評価の確保の観点に照らす,,と前記旅費相当額の返納金及びこれに付随する遅延利息を納入することは公務員等の職務の遂行に準じ,又は職務の遂行に具体的に関連するものであるというべきであるから,前記返納金及びその遅延利息の納入に関する情報も職務遂行情報に該当すると認められる。 よって,調定収入票「納入義務者」欄に記載された納入義務者の氏名,その添付書類である収入調定の説明資料「納入義務者」欄に記載された納入義- 18 -務者の氏名,現職名及び平成7年度当時の職名,収入調定の説明資料「収入調定額」欄に記載された納入義務者の氏名,領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名並びに領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名のうち,前記返納金及び遅延利息の納入の際に山形県を退職してい 兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名並びに領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名のうち,前記返納金及び遅延利息の納入の際に山形県を退職していなかった者の氏名,現在の職名及び平成7年度当時の職名は,職務遂行情報に,,。 該当し非開示情報には当たらずこの点に関する被告の主張は理由がない,,( )前記( )のとおり前記返納金及び遅延利息を納入した本件職員らのうち 別紙文書目録記載の文書番号1,4,7,8,10及び14の各文書において納入義務者として記載された者及び同文書番号3及び6の各文書において納入義務者として記載され,かつ,平成8年2月当時山形県村山建設事務所に所属した者は,その納入時に山形県を退職していたところ,退職者については,もはや公務員として職務を遂行する余地がないのであるから,退職者の行為に関する情報は,職務遂行情報に該当しない。 よって,調定収入票「納入義務者」欄,その添付書類である収入調定の説明資料「納入義務者」欄,収入調定の説明資料「収入調定額」欄,納入義務者の氏名,領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄及び領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載されていた前記退職者の氏名,現在の職名及び平成7年度当時の職名は,職務遂行情報に該当せず,非開示情報たる個人識別情報に当たるというべきであり,前記退職者の氏名,現在の職名及び平成7年度当時の職名まで職務遂行情報に当たるとする原告の主張は理由がない。 ( )旅費の請求及び受領は,職務命令たる旅行命令により必然的に生じる事 務であり,職務の遂行そのものといえるから,本件職員らによる旅費の請求及び受領に係る情報は,本件職員らの職務の遂行自体に係る情報であると認められるとこ 職務命令たる旅行命令により必然的に生じる事 務であり,職務の遂行そのものといえるから,本件職員らによる旅費の請求及び受領に係る情報は,本件職員らの職務の遂行自体に係る情報であると認められるところ,前記( )のとおり,支出票及び支出票別紙集合支出内訳表 - 19 -は本件職員らが旅費を請求し,受領した際に作成されたものであるから,支出票写しの「請求」欄又は支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名は,職務遂行情報であると認められる。 この点,被告は,支出票写し等に旅行者として記載されている納入義務者の情報を開示すると,調定収入票などに記載された納入義務者に関する情報を開示するのと同じ結果となることから,前記情報を開示しないのが相当である旨主張する。しかしながら,前記のとおり,本件条例において,職務遂行情報のうち非開示決定ができるのは,開示することにより当該公務員の権利を不当に侵害し,又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の当該氏名に関する情報及びそのおそれがあるものとして規則で定める警察職員の氏名に関する情報に限られ(本件条例6条1項2号ただし書ロ,上記のよ)うな事情を理由として非開示とすることを許容しているとは解されないから,被告の前記主張は理由がないというべきである。 ( )前記( )のとおり,長崎講習会又は白浜講習会への参加を申し込んだ山形 県職員の中には,山形県から出張旅費を受領している者も存在したこと,山形県職員が平日にわざわざ長崎県又は和歌山県で開催される講習会に多額の旅費を自ら負担して参加するとは考え難いこと,以上の諸点によれば,長崎講習会又は白浜講習会への参加を申し込んだのは公務の一環であると推認されるのであるから,前記講習申込書写し「氏名」欄に記載された山形県職員の氏名は,二重 るとは考え難いこと,以上の諸点によれば,長崎講習会又は白浜講習会への参加を申し込んだのは公務の一環であると推認されるのであるから,前記講習申込書写し「氏名」欄に記載された山形県職員の氏名は,二重線で抹消されたものを除いては,公務員等の職務の遂行に準じ,又は職務の遂行に具体的に関連する情報として,職務遂行情報に該当するものと認められ,この点に関する被告の主張は理由がない。 ( )前記( )によれば,別紙文書目録の文書番号3及び6の各文書に添付され た長崎講習会への講習申込書には山形県職員の氏名,年齢及び勤務先等が二,,重線で抹消されたものがあるが二重線で末梢された山形県職員については前記講習会に参加を申し込んだとは認められないのであるから,前記職員の- 20 -氏名は,職務遂行情報に該当しないというべきである。 争点( )について ( )ア本件条例5条3項は「開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が ,記録されている場合において,当該非開示情報が記録されている部分(以下「非開示部分」という)が当該非開示部分を除いた部分(以下「開示。 部分」という)と容易に区分することができるときは,前項の規定にか。 かわらず,実施機関は,開示請求者に対し,当該開示部分の開示をしなければならない。ただし,当該開示部分に客観的に有意な情報が記録されていないと認められるときは,この限りではない」と規定している。 。 本件条例5条3項は,その文理に照らすと,1個の公文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報のうちに非開示情報に該当するものがあるときは,当該部分を除いたその余の部分についてのみ,これを開示することを実施機関に義務付けているにすぎないものと解される。すなわち,本件条例には,開示請求に係る公文書に記録されてい 当するものがあるときは,当該部分を除いたその余の部分についてのみ,これを開示することを実施機関に義務付けているにすぎないものと解される。すなわち,本件条例には,開示請求に係る公文書に記録されている情報が条例所定の非開示情報に該当するにもかかわらず,当該情報の一部を除くことにより,残余の部分のみであれば非開示情報に該当しないことになるものとして,当該残余の部分を開示すべきとする定め(個人識別情報に関するこのような定めの例として,行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条2項参照)は存在しないのであるから,前記のような定めを欠く本件条例5条3項の解釈としては,前記非開示情報に該当する独立した一体的な情報を細分化し,その一部を非開示とし,その余の部分にはもはや非開示情報は記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも実施機関に義務付けているとは解されない。したがって,本件条例上,何人も,実施機関に対し,同項を根拠として,非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化して開示することに問題のある箇所のみを除外してその余の部分を開示するように請求する権利はなく,裁判- 21 -所もまた,当該非開示決定の取消訴訟において,このような態様の部分開示をすべきであることを理由にして当該非開示決定の一部を取り消すことはできないというべきである(最高裁平成8年(行ツ)第210号,第2。 11号同13年3月27日第三小法廷判決・民集55巻2号530頁,最高裁平成9年(行ツ)第55号同14年2月28日第一小法廷判決・判例時報1782号10頁,最高裁平成9年(行ツ)第136号,第137号同14年2月28日第一小法廷判決・民集56巻2号467頁参照)イなお,原告は,被告において,独立した一体的な情報を細分化して各部分ごとに非開示とし ,最高裁平成9年(行ツ)第136号,第137号同14年2月28日第一小法廷判決・民集56巻2号467頁参照)イなお,原告は,被告において,独立した一体的な情報を細分化して各部分ごとに非開示としているのであるから,非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化してその一部を開示することを請求できる旨主張する。しかしながら,いわゆる情報公開請求権は条例によって創設され,,,たものであって住民等にかかる権利を付与するか否か付与するとしてこれをどのような要件の下でその範囲で付与するかは専ら地方公共団体がその条例において定めるべきものであるから,具体的な情報公開請求権の内容,範囲等は,当該条例の制定に当たりいかなる立法政策が採用されたかを当該条例の内容に即して個別に決すべきであって,当該条例の文理を離れてこれを決することは慎むべきであるところ,本件条例の文理に照らして,原告が主張するような態様の部分開示を請求する権利が認められていないことは,前記アのとおりであり,また,被告が独立した一体的な情報を細分化して各部分ごとに非開示としたのはその裁量判断により任意に行ったものと解されるのであるから,原告の前記主張は理由がない。 原告は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条2項では,個人識別情報については独立した一体的な情報を当然に細分化すべきものとし,厳密に個人識別情報のみを非開示としその余の部分の開示を義務付けているのであるから,本件条例の解釈においても,非開示情報が個人識別情報である場合には,同法と同じく,厳密に個人識別情報とそれ以外の部- 22 -分を区別し,個人識別情報以外の部分を開示すべきものであり,開示請求に係る情報が個人識別情報であることを非開示事由とする本件では,独立。 ,した一体的な情報か否かを議論する必 外の部- 22 -分を区別し,個人識別情報以外の部分を開示すべきものであり,開示請求に係る情報が個人識別情報であることを非開示事由とする本件では,独立。 ,した一体的な情報か否かを議論する必要はない旨主張するしかしながら前記のとおり,具体的な情報公開請求権の内容,範囲等について,当該条例の文理を離れてこれを決することは慎むべきであるところ,同法6条2項に対応する規定のない本件条例において,開示請求に係る情報が個人識別情報である場合に,個人識別情報とそれ以外の部分を区別し,個人識別情報以外の部分を開示するように請求する権利が認められているとは解されず,原告の前記主張も理由がない。 原告は,本件条例6条1項2号ただし書ロにおいて,公務員等の職及び氏名並びに職務遂行の内容に関する情報を開示対象としているから,氏名又は職については,同号ただし書ロに該当する限り,開示対象となる旨主張する。しかしながら,本件条例の文理に照らせば,同号ただし書ロは,非開示情報の範囲を定めたものであり,開示請求に係る公文書の一部に非開示情報が記録されている場合において,いかなる範囲で実施機関に対して開示義務を課すかについて定めた規定ではないのであるから,同号ただし書ロを根拠にして,非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化してその一部が記録されている部分のみを非開示とし,その余の部分を開示するといった態様の部分開示を請求することはできないというべきであり,原告の前記主張も理由がない。 ( )以上を前提として,以下,本件文書に記載された情報の一体性の範囲 について検討する。 ア収入調定票,その添付書類である収入調定の説明資料及び収入済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控えは,本件職員らが納入した前記出張旅費相当額の返納金及び遅延利息について について検討する。 ア収入調定票,その添付書類である収入調定の説明資料及び収入済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控えは,本件職員らが納入した前記出張旅費相当額の返納金及び遅延利息について,その歳入の内容を調査して所属年度,歳入科目,納入すべき金額及び納入義務者などを決定- 23 -する際に作成された文書であり,納入義務者の住所,郵便番号及び電話番号は,納入義務者を特定するために記載された情報であると解されるのであるから,納入義務者の住所,郵便番号及び電話番号は,納入義務者の氏名,現在の職名及び平成7年度当時の職名とともに,前記出張旅費相当額の返納金及び遅延利息に係る収入の調定に関して独立した一体的な情報を形成しているといえる。 よって,原告は,本件職員らに関する収入の調定に関する情報を更に細分化して,個人識別情報に該当するが職務遂行情報には該当せず,非開示情報となっている調定収入票「納入義務者」欄,収入調定の説明資料「納入義務者」欄並びに領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所,郵便番号及び電話番号のみを非開示とし,前記各欄及び収入調定の説明資料「収入調定額」欄に記載された納入義務者の氏名,現在の職名及び平成7年度当時の職名を開示するといった態様の部分開示を請求することはできず,裁判所もまた,本件訴訟において,このような態様の部分開示をすべきであることを理由にして前記納入義務者の氏名が記載された部分に係る非開示決定処分のみを取り消すことはできないというべきである。 イ領収済通知書は,山形県指定金融機関が山形県出納長に対し納入義務者から前記返納金などを受領したことを通知するために送付した文書であり,領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の 領収済通知書は,山形県指定金融機関が山形県出納長に対し納入義務者から前記返納金などを受領したことを通知するために送付した文書であり,領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所及び郵便番号もまた,納入義務者を特定するために記載された情報であると解されるのであるから,納入義務者の住所及び郵便番号は,納入義務者の氏名とともに,前記出張旅費相当額の返納金及び遅延利息の納入に関して独立した一体的な情報を形成しているといえる。 よって,前記出張旅費相当額の返納金及び遅延利息の納入に関する情- 24 -報を更に細分化して,個人識別情報に該当するが職務遂行情報には該当せず,非開示情報となっている領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の住所及び郵便番号のみを非開示とし,同欄に記載された納入義務者の氏名を開示するといった態様の部分開示を請求することはできず,裁判所もまた,本件訴訟において,このような態様の部分開示をすべきであることを理由にして前記納入義務者の氏名が記載された部分に係る非開示決定処分のみを取り消すことはできないというべきである。 ウ長崎講習会又は白浜講習会への講習申込書写しは,Bが前記講習会への参加者予定者の氏名等を記載してAに提出した文書の写しであり,参加者の年齢は,参加者を特定するために記載された情報であると解されるのであるから,参加者の年齢は,参加者の氏名とともに,前記講習会への参加を申し込んだ者について独立した一体的な情報を形成しているといえる。 よって,原告は,前記講習会への参加を申し込んだ山形県職員に関する情報を更に細分化して,個人識別情報に該当するが職務遂行情報には該当せず,非開示情報となっている建設技術講習会申込書写し「年齢」欄に記載された山形県職員の年齢のみを非開示とし, だ山形県職員に関する情報を更に細分化して,個人識別情報に該当するが職務遂行情報には該当せず,非開示情報となっている建設技術講習会申込書写し「年齢」欄に記載された山形県職員の年齢のみを非開示とし,同「氏名」欄に記載された同職員の氏名のみを開示するといった態様の部分開示を請求することはできず,裁判所もまた,本件訴訟において,このような態様の部分開示をすべきであることを理由にして前記職員の氏名が記載された部分に係る非開示決定処分のみを取り消すことはできないというべきである。 エ支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは,本件職員らが出張旅費を請求し,出張旅費について支出命令及び支出決定がなされ,本件職員らが出張旅費を受領する際に作成された文書の写しであり,出張旅- 25 -費請求に関する情報,旅費請求における旅費算定の前提となる情報,出張旅費受領に関する情報などがそれぞれ独立の情報として記録されていると解されるところ,支出票写し「請求」欄又は支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された本件職員らの給与の号及び級は,納入義務者の氏名と一体として,旅費算定の前提となる情報を成し,個人識別情報に該当するものであるから,非開示情報に該当するというべきであるが,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しに記録された出張旅費請求に関する情報及び出張旅費受領に関する情報は,職務遂行情報に該当するから,非開示情報に該当しないというべきである。また,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写し中の非開示情報に係る部分は,それ以外の部分と容易に,かつ,開示を受けようとする趣旨を損なわない程度に分離することができるというべきであるから,本件条例5条3項に基づき,前記非開示情報に係る部分を除いて支出票写しを開示すべきものである。なお,支出票写し「 開示を受けようとする趣旨を損なわない程度に分離することができるというべきであるから,本件条例5条3項に基づき,前記非開示情報に係る部分を除いて支出票写しを開示すべきものである。なお,支出票写し「請求」欄又は支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名は,前記非開示情報とその余の情報との共通の内容となっているが,この部分に職務遂行情報に該当しない情報は含まれていないのであるから,前記各欄に記載された職員の氏名は,開示すべき職務遂行情報に含まれるものとして開示しなければならないと解され,裁判所もまた,本件訴訟において,前記職員の氏名が記載された部分に係る非開示決定処分のみを取り消すことができるというべきでありこの点に関する被告の主張は理由がない最,(高裁平成10年(行ツ)第167号同15年11月11日第三小法廷判決参照。 ) 本件処分の適法性したがって,本件処分のうち,支出票写し「請求」欄又は支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名に係る部分を非開示とした部- 26 -分は違法であり,取り消されるべきである。 第4 結論 以上によれば,原告の本訴請求は,本件処分のうち,支出票写し「請求」欄又は支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名に係る部分を開示しないとした部分の取消しを求める限度において理由があるから,この限度で認容し,その余の部分は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 山形地方裁判所民事部裁判長裁判官片瀬敏寿裁判官鈴木和典裁判官田中良武- 27 -文書目録公文書の件名番号 調定収入票(調定番号413-370) 調定収入票(調 地方裁判所民事部 裁判長裁判官 片瀬敏寿 裁判官 鈴木和典 裁判官 田中良武 文書目録 公文書の件名番号 調定収入票(調定番号413-370) 調定収入票(調定番号413-371) 調定収入票(調定番号413-372) 調定収入票(調定番号413-373) 調定収入票(調定番号413-374) 調定収入票(調定番号413-375) 領収済通知書(起票番号370) 領収済通知書(起票番号373) 領収済通知書(起票番号371) 領収済通知書起票番号372内訳番号001 領収済通知書起票番号372内訳番号002 領収済通知書起票番号372内訳番号003 領収済通知書(起票番号374) 領収済通知書起票番号375内訳番号001 領収済通知書起票番号375内訳番号002 領収済通知書起票番号375内訳番号003 処分目録 調定収入票「納入義務者」欄に記載された納入義務者の氏名 調定収入票添付書類中の収入調定の説明資料「納入義務者」欄に記載された納入義務者の氏名,現職名及び平成7年度当時の職名 調定収入票添付書類中の収入調定の説明資料「収入調定額」欄に記載された納入義務者の氏名 調定収入票添付書類中の支出票写し「請求」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の建設技術講習会申込書写し「氏名」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名 書類中の建設技術講習会申込書写し「氏名」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収証書控え「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名 領収済通知書「納入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名
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