平成21(行コ)12 犯罪捜査報償費返還請求共同訴訟参加控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成18年(行ウ)第18号)

裁判年月日・裁判所
平成21年9月10日 仙台高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文3,376 文字)

- 1 -主文 本件各控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人は,Aに対し,55万4497円を請求せよ。 被控訴人は,Bに対し,29万0704円を請求せよ。 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,平成12年度に宮城県警察(県警)本部刑事部鑑識課(鑑識課,)生活安全部生活保安課(生活保安課)及び県警本部生活安全部鉄道警察隊(鉄道警察隊)が支出したとされる犯罪捜査報償費(報償費)は,当時の鑑識課,生活保安課及び鉄道警察隊(3課隊)の長が正当な公金支出を装って着服したものであるところ,被控訴人が3課隊の長に対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の行使を怠っているとして,地方自治法(法)242条の2第1項4号の規定に基づき,被控訴人に対し,これらの請求権を行使するよう求める住民訴訟(仙台地方裁判所平成○年(行ウ)第○号事件・被参加事件)に,宮城県民である控訴人らが同様の請求をして共同訴訟参加した事案である。 なお,被参加事件は,原審係属中に被参加事件原告らがそれぞれ訴えを取り下げ,被参加事件被告である被控訴人がこれに同意したことにより,訴訟係属が消滅した。また,控訴人らは,原審係属中に,鑑識課長に対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の行使を求める部分の請求を取り下げ,被控訴人はこれに同意した。 原審が本件訴えに係る住民監査請求が法定の期間経過後にされたものであるとして本件訴えを却下したところ,控訴人らが不服を申し立てた。そのほかの- 2 -事案の概要は,原判決6頁11行目,同12行目,同7頁6行目及び14行目の各「出納局長」をいずれも「出納長」に,同11頁1行目の「損害賠償権」を「損害賠 らが不服を申し立てた。そのほかの- 2 -事案の概要は,原判決6頁11行目,同12行目,同7頁6行目及び14行目の各「出納局長」をいずれも「出納長」に,同11頁1行目の「損害賠償権」を「損害賠償請求権等」にそれぞれ改め,下記2のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張(1)控訴人らの主張ア本件においては,資金前渡職員に対する資金の交付までは財務会計上の行為である。しかし,正規の手続に則り捜査員や協力者等に現金が交付されたように装われていたとしても,資金前渡職員から捜査員に現金は交付されておらず,したがって捜査員から協力者にも現金が交付されていないのであるから,公金の支出があったとはいえず,内容虚偽の支出関連書類を作成して裏金を捻出したことをもって財務会計上の行為と評価することはできない。 イ本件のように,公金を横領してそれを私的に費消し,内容関係の書類を作成して隠蔽を図る行為は,法242条2項が規定する法的安定の要請とは相容れない。 ウまた,本件のような事案が財務会計上の行為であるとすれば,支出関係書類を作成することなく単純に横領した場合には,財務会計上の行為とはいえず,真正怠る事実に該当し,法242条2項が規定する期間制限が及ばないことになるのに対し,内容虚偽の支出関係書類を作成した巧妙な横領の場合には,財務会計上の行為に当たり,法242条2項が規定する期間制限が及ぶことになるが,このような差異が生ずるのは明らかに不合理である。 (2)被控訴人の主張控訴人らの主張は争う。 - 3 -第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人らの本件訴えは,本件訴えに係る住民監査請求が法定の,。 期間経過 は明らかに不合理である。 (2)被控訴人の主張控訴人らの主張は争う。 - 3 -第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人らの本件訴えは,本件訴えに係る住民監査請求が法定の,。 期間経過後にされたものであるから不適法であり却下すべきものと判断するその理由は,原判決11頁24行目及び同14頁2行目の「法242条1項」をいずれも「法242条2項」に,同12頁17行目の「返還請求権」を「損害賠償請求権等にそれぞれ改め同20行目の無効でもなくの次に上」,「,」「記損害賠償請求権等は」を加え,同13頁2行目及び同8行目の各「出納局,長」を「出納長」に,同26行目の「企図としたもの」を「企図したもの」にそれぞれ改め,下記2のとおり,当審における当事者の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の事実及び理由欄の「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における当事者の主張に対する判断(1)控訴人らは,本件においては資金前渡職員から捜査員に現金は交付されていないのであるから,公金の支出があったとはいえず,内容虚偽の支出関連書類を作成して裏金を捻出したことをもって財務会計上の行為と評価することはできないと主張する。 しかし,控訴人らの主張は,報償費の支出を目的とする資金前渡職員の所,,属長の決裁がされていることを前提としてそのような財務会計上の行為が報償費を裏金として費消するという本来の使途以外への支出を目的とするもので,違法であるというものなのであるから,原判決が説示するとおり,違法の支出に至る一連の財務会計上の行為をもって着服と評価しているにすぎないものと解される。 (2)さらに,控訴人らは,公金を横領してそれを私的に費消し,内容関係の書類を作成して隠蔽を図る行為が法242条 出に至る一連の財務会計上の行為をもって着服と評価しているにすぎないものと解される。 (2)さらに,控訴人らは,公金を横領してそれを私的に費消し,内容関係の書類を作成して隠蔽を図る行為が法242条2項が規定する法的安定の要請とは相容れない旨,また,本件のような事案が財務会計上の行為であるとすれば,支出関係書類を作成することなく単純に横領した場合に法242条2- 4 -,。 項が規定する期間制限が及ばないこととの関係で不合理である旨主張するしかし,法は,普通地方公共団体において財務会計職員が財務会計上の行為を財務会計法規に従って適正に行ったかどうかについては,監査委員が監査し(法199条,違法な行為があった場合にはその長による賠償命令の)制度を設けている(法243条の2第3項)のに対し,財務会計上の行為以外については,普通地方公共団体内部において簡便に適切な是正措置をとる制度を設けてはいない。そして,住民監査請求は,普通地方公共団体の職員の財務会計上の行為に関する違法,不当をまず当該普通地方公共団体の内部に置かれている監査委員の監査により是正させることを請求するものであり,上記の監査委員による監査及びこれに基づく是正の措置等における判断を補充するものにとどまるものである。以上によれば,普通地方公共団体の財務会計職員の特定の財務会計上の行為の違法を問題とするものについては,法的安定の見地から,住民監査請求の請求期間を制限しても不合理とはいえないのに対し,財務会計上の行為ではない横領等の不法行為を問題とす,。 るものについてはそのような期間制限を及ぼす合理性がないと考えられるしたがって,仮に,当該行為が公金を横領する目的であったとしても,財務会計上の行為が問題となる限りは,住民監査請求に法242条2項の期間,,,制限が及ぶ 間制限を及ぼす合理性がないと考えられるしたがって,仮に,当該行為が公金を横領する目的であったとしても,財務会計上の行為が問題となる限りは,住民監査請求に法242条2項の期間,,,制限が及ぶことに合理的な理由があるのであってまたこのような解釈は財務会計上の行為に当たらない横領等の不法行為を問題とする場合に,この期間制限が及ばないこととの関係でも,特段不合理な点はないというべきである。 ,, 以上の次第であるから当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であって本件各控訴はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第2民事部- 5 -裁判長裁判官小磯武男裁判官山口均裁判官岡田伸太

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