令和6 年10 月10 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4 年(ワ)第8300 号差止等請求事件口頭弁論終結日令和6 年7 月23 日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 1 被告らは、原告に対し、連帯して184 万9292 円及びこれに対する令和 3 年5 月11 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを5 分し、その1 を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1 項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告会社は、第三者から委託を受け、インターネット上の情報(Twitter、Facebook、Instagram、個人ブログ等のSNS 情報、ネットニュース、大手紙・地方紙 における報道歴等の各種ニュースサイト、犯罪報道集約掲示板、地方版掲示板、魚拓サイト、ディープウェブ、ダークウェブ等の各種掲示版・既に削除された情報等)を調査対象として、当該第三者に在籍する従業員、当該第三者の採用に応募した求職者等について、適性、健全度等を調査し、その結果を当該第三者に報告することを目的とする事業及びサービスを営んではならない。 2 被告会社は、原告に対し、770 万円及びこれに対する令和3 年5 月11 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告Aは、原告に対し、660 万円及びこれに対する令和3 年5 月11 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、原告の運営するサービスに関する販売代理店契約(以下「本件契約」という。)を締 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、原告の運営するサービスに関する販売代理店契約(以下「本件契約」という。)を締結した被告会社に対し、被告会社が、販売代理店として取得した同サービスに係る営業上の機密事項や営業手法を利用し、これと類似する事業を行ったことにつき、被告らに対し、以下の各請求をする事案である。 (1) 被告会社に対する請求 ア本件契約又は会社法17 条1 項1 号に基づく差止請求(第1 の1)。 イ本件契約上の競業避止義務、機密保持義務及び営業手法利用禁止義務に係る債務不履行又は不正競争防止法(以下「不競法」という。)4 条(同法2 条1 項20号)に基づき、770 万円の損害賠償及びこれに対する被告会社が上記類似事業を開始した日である令和3 年5 月11 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による 遅延損害金の支払(第1 の2)。 (2) 被告Aに対する請求上記債務不履行等につき、会社法429 条1 項に基づき、660 万円の損害賠償及びこれに対する令和3 年5 月11 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払(第1 の3)。 (3) なお、原告の被告会社に対する金銭請求と被告Aに対する金銭請求の相互関係については、明示的な主張はない。しかし、これらの請求は、共通の行為を義務違反等とするものであり、損害も、信用毀損に係る損害(110 万円)の有無を除き、同一の損害の賠償を求めるものである。このため、原告の請求は、被告らに対し、損害の共通する660 万円部分につき、その限度で連帯支払を求める趣旨と理解され る。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全 このため、原告の請求は、被告らに対し、損害の共通する660 万円部分につき、その限度で連帯支払を求める趣旨と理解され る。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠番号に枝番号のあるものは、特に明記しない限り、枝番号全てを含む。)(1) 当事者 ア原告 原告は、企業から委託を受け、その従業員や採用候補者に関するインターネット上の情報を収集・解析して報告するサービス「ネットの履歴書」に係る事業(以下「本件事業」という。)を運営する株式会社である。(甲2、11)イ被告ら被告会社は、WEB コンサルティング業務等を行う株式会社であり、被告Aはその 代表取締役であり、本件契約締結当時も代表取締役であった。(甲3)(2) 本件契約締結に至る経緯被告会社は、令和2 年12 月、原告に対し、本件事業の販売代理店業務に関する問合せをし、その説明を受けた。原告は、被告会社に対し、同月25 日には、代理店向けFAQ(甲8)、本件事業の説明資料(甲9)及び発注企業用の申込用紙(甲10) の各ファイルを、また、令和3 年1 月4 日には、本件事業の営業に用いるチラシ(甲11)、提案書(甲12。以下「本件提案書」という。)及びその成果物である報告書のサンプル(甲13。以下「本件報告書サンプル」という。)の各ファイルを提供した。これらのファイルにはいずれもパスワードが付されると共に、令和3 年1 月提供に係る各ファイルのファイル名の冒頭には「【confidential】」と記載され、また、 本件提案書の各ページには「Confidential」と記載されている。 (3) 本件契約の締結原告は、令和3 年1 月6 冒頭には「【confidential】」と記載され、また、 本件提案書の各ページには「Confidential」と記載されている。 (3) 本件契約の締結原告は、令和3 年1 月6 日、被告会社との間で、要旨、以下の内容で、本件事業の販売代理店契約(甲1。本件契約)を締結した。 ア目的(1 条) 原告は被告会社に対し本契約に定める条件に従い、被告会社が原告のサービス(「本サービス」)を販売する非独占的権利を許諾する。なお、本サービスの価格や販売手数料等の詳細は、以下のとおりである。 (ア) 被告会社が販売可能な原告の商品とその販売価格(定価)「ネットの履歴書」 初期費用10 万円(税別)/社、調査費用15,000 円(税別)/社 (イ) 被告会社への販売手数料初期費用10 万円(税別)/社、調査費用5,000 円(税別)/社(ウ) 代理店登録料(登録時)70,000 円(税別)初回商品講習(2 時間程度)、営業同行1 回、チラシ100 部、提案書(データ支 給)イ被告会社の業務及び注意義務(3 条)(ア) 被告会社は、原告の代理店として顧客へ本サービスの販売を行う。(1 項)(イ) 被告会社は次の各号の注意義務を負うものとする。(2 項)本サービスを誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならず、また、 誤認されるサービスを行ってはならない。(4 号)ウ原告の業務(4 条)全代理店及び契約先顧客の統括管理並びに調整を行う。(2 号)原告は、顧客に対しての全ての請求書及び領収書の発行管理及び集金管理業務を行う。(3 号) エ販売代理店資格について(11 条)販売代理店資格維持条件は、以下の 行う。(2 号)原告は、顧客に対しての全ての請求書及び領収書の発行管理及び集金管理業務を行う。(3 号) エ販売代理店資格について(11 条)販売代理店資格維持条件は、以下のとおりである。(2 項)(ア) 被告会社の顧客からの販売代金の未回収金は複数社合計で月間60 万円を超えないものとし、超えた場合には被告会社は代理店資格を失う。 (イ) 被告会社は商品知識の獲得に努め、顧客からのクレームを最小限とする努力 をしなければならない。被告会社の顧客からのクレームが著しく多い場合、被告会社との連絡のやり取りが不通になるなど、代理店契約の維持が困難であると認められるとき、原告は本契約を解約することができる。 オ契約期間(12 条)本契約の契約期間は契約締結日より1 年間とする。被告会社が11 条2 項を満た している場合、本契約は更に1 年間延長されるものとし、以降も同様とする。 カ解約(13 条)(ア) 被告会社又は原告は、何らかの事由で本契約の解約を行う場合、90 日前迄に被告会社に書面をもって通知するものとし、被告会社又は原告で個別に解約の協議を行うものとする。(1 項)(イ) 被告会社又は原告が本契約に定める義務を履行しないとき、相手方に書面に てその行為の中止又は是正を求める事ができる。書面による催告を受領した日より日を経過しても行為を改めない場合、催告なく本契約を解約する事ができるものとし、被告会社は本契約により生じた一切の権利を失うものとする。(2 項)キ機密保持(15 条)(ア) 被告会社及び原告は、本契約の履行ないし本サービスの遂行過程で取得され た相手方の固有の技術上、営業上その他の業務上の情報を機密として扱うものとし 項)キ機密保持(15 条)(ア) 被告会社及び原告は、本契約の履行ないし本サービスの遂行過程で取得され た相手方の固有の技術上、営業上その他の業務上の情報を機密として扱うものとし、当該相手方の事前の書面による承諾なく、これらの情報を本契約の目的以外に使用し、又は第三者に開示してはならない。(1 項)(イ) 前項により課された機密保持義務は、以下の情報については適用されないものとする。(2 項) ・相手方による開示又は提供以前に公知となっている情報(1 号)・相手方による開示又は提供の時点において既に自己が所有していた情報(2 号)・相手方による開示又は提供の後に、自己の契約違反、不作為、懈怠又は過失等によらずに公知となった情報(3 号)・相手方から開示又は提供されたいかなる情報にもよらずに独自に開発した情報 (4 号)・何らの機密保持義務を負担することなく第三者から合法的に取得又は開示された情報(5 号)(ウ) いずれの当事者も、本件において機密とされた情報について複製を作成しようとする場合には、相手方の事前の承諾を得るものとする。(3 項) (エ) 本条による機密保持義務は、本契約終了後も存続するものとする。(6 項) ク競業避止(17 条)被告会社は、本業務に関して知り得た技術・仕組み・営業手法等を使用して自らの法人又は関連会社業の営利活動に利用してはならない。 ケ損害賠償(19 条)被告会社及び原告が、本契約に反して相手方に損害を与えたときは、相手方に対 し、その損害及び費用(弁護士費用を含む。)を賠償する責任を負う。 コ効力(21 条)本契約が終了後も15 条(機密保持)等は有効に存続するものとする。 (4) 本 は、相手方に対 し、その損害及び費用(弁護士費用を含む。)を賠償する責任を負う。 コ効力(21 条)本契約が終了後も15 条(機密保持)等は有効に存続するものとする。 (4) 本件契約締結後の経緯被告会社は、令和3 年3 月22 日、株式会社企業情報センター(以下「企業情報セ ンター」という。)との間で、同社の運営する求職者の採用リスク調査を行うサービス「採用フィルター(バックグラウンドチェック)」(以下「採用フィルター事業」という。)に係る業務委託契約(乙5。以下「被告OEM 契約」という。)を締結し、同サービスの営業及び販売等の業務を受託した。同契約では、被告会社が上記業務を行うに当たって、採用フィルター事業を被告会社の商品とし、自らの指定 する商品名で営業販売できることとされている(2 条3 項)。 被告会社は、同年5 月頃、被告OEM 契約に基づき、「レキシル」の商品名で販売を開始した(以下、この事業を「レキシル事業」という。ただし、レキシル事業の内容等については、後記のとおり当事者間に争いがある。)。(上記のほか、甲4、乙4) 3 争点(1) 被告会社の債務不履行等の成否(争点1)ア競業避止義務違反の成否(争点1-1)イ機密保持義務違反の成否(争点1-2)ウ営業手法利用禁止義務違反の成否(争点1-3) (2) 被告会社による品質誤認表示の成否(争点2) (3) 被告Aによる任務懈怠責任の成否(争点3)(4) 被告会社による本件契約の解除の成否(争点4)(5) 差止請求権の成否(争点5)(6) 原告の損害及びその額(争点6) 4 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1-1(競業避止義務違反の成否)( 除の成否(争点4)(5) 差止請求権の成否(争点5)(6) 原告の損害及びその額(争点6) 4 争点に対する当事者の主張 (1) 争点1-1(競業避止義務違反の成否)(原告の主張)ア被告会社は、本件契約により、本件事業と誤認されるおそれのあるサービスを行うことを禁止されている(3 条2 項4 号後段)。また、被告会社は、本件事業につき原告の代理商(会社法16 条)に当たり、自己又は第三者のために会社の事業 の部類に属する取引をすることが禁止される(同法17 条1 項1 号)。 それにもかかわらず、被告会社は、令和3 年5 月11 日、別紙類似性・情報使用一覧記載のとおり、本件事業とサービスの本質部分が酷似するレキシル事業のサービスを開始した。両事業は、いずれも企業から委託を受け、対象者のインターネット上の情報を基に心理学的知見を用いて適性を調査し、レポート形式で報告すること を内容とした事業である。その顧客はいずれも採用の場面で対象者の調査を必要とする企業であり、両事業は、市場及びその内容において競合するサービスないしビジネスモデルである。 したがって、被告会社は、本件契約(3 条2 項4 号後段、13 条2 項)又は会社法 17 条1 項1 号に基づく競業避止義務に違反する。 イ被告会社は、その事業として「レキシル」とそのオプションサービスである「レキシル+」を実施しているところ、前者はインターネット等から取得した情報を調査対象として人事評価をするサービスであり、後者はこれにリファレンスチェックを加えたものである。本件事業と競合するサービスは、前者の「レキシル」である。 (被告会社の主張) ア本件契約3 条2 項4 号後段は、本件事業と誤認が生ず スチェックを加えたものである。本件事業と競合するサービスは、前者の「レキシル」である。 (被告会社の主張) ア本件契約3 条2 項4 号後段は、本件事業と誤認が生ずる程に同じ内容のサービスを提供することを禁止した条項であり、一般的な競業避止義務と比べてその適用範囲は狭い。本件事業は、求職者のインターネット上の情報を収集・分析して採用リスクを判断するサービスであるのに対し、レキシル事業は周辺人物へのヒアリングをメインにしつつ、インターネット上の情報も併せて採用リスクを判断するサ ービスであることから、その違いは一見して区別可能であり、両者が誤認されるおそれはない。したがって、上記条項違反は成立しない。 イ本件契約は、会社法17 条よりも範囲を限定して競業避止義務を定めるものであるから、会社法の規定の適用を排除していると解される。 仮に会社法17 条が適用されるとしても、レキシル事業は、インターネット上の情 報だけでは把握できない生の事実や情報も調査対象とするものであり、本件事業とは内容が異なる。また、レキシル事業は、SNS 等を積極的に利用する新入社員や若年層を採用する企業ではなく、職務経験のある年齢層の高い求職者のリスク調査を求める企業をターゲットとしたサービスであり、本件事業に比してより狭い市場を対象とする。このように、本件事業とレキシル事業とは、その内容において同種又 は類似とはいえず、市場において競合するものでもないから、会社法17 条1 項1 号違反も成立しない。 ウ被告会社は、レキシル事業につき、販売当初「レキシル」と「レキシル+」という二つの名称を使用していたが、現在、インターネット調査に対象を限定した「レキシル」の販売を行っておらず、「レキシル」のオプションとして 、レキシル事業につき、販売当初「レキシル」と「レキシル+」という二つの名称を使用していたが、現在、インターネット調査に対象を限定した「レキシル」の販売を行っておらず、「レキシル」のオプションとして「レキシル+」を 販売していない。「レキシル+」では、まれにヒアリング先が不見当の場合があり、結果的にインターネット調査のみとなった案件について値引き対応をすることがあったが、同調査部分を単体で「レキシル」として販売してはいない。 (2) 争点1-2(機密保持義務違反の成否)(原告の主張) ア被告会社は、本件契約により、原告の業務上の情報につき、同条2 項各号の 適用除外事由に当たらない限り機密として扱うべき義務を負い、原告の承諾なく、本件契約の目的外使用ないし複製をすることは禁止されている(15 条1 項、3 項)。 本件提案書及び本件報告書サンプルは、各データのファイル名に「【confidential】」と記載され、かつ、パスワードが付されていたほか、本件提案書の各ページにも同旨の記載がされ、販売代理店に限って提供されていたものであるから、いずれも本 件契約15 条の機密保持義務の対象となる。 にもかかわらず、被告会社は、別紙類似性・情報使用一覧記載のとおり、原告に無断で本件提案書の記載内容を使用ないし複製してレキシル事業の提案書(以下「レキシル提案書」という。)を作成すると共に、本件報告書サンプルを使って、レキシル事業の報告書のフォームを作成した。 したがって、被告会社は、本件契約に基づく機密保持義務に違反する。 イ本件契約15 条は、法律上保護される情報よりも広く本件事業に関する情報を保護対象とするものであるから、同条の「機密」は不競法2 条6 項の「営業秘密」とは異なる。仮に両者 義務に違反する。 イ本件契約15 条は、法律上保護される情報よりも広く本件事業に関する情報を保護対象とするものであるから、同条の「機密」は不競法2 条6 項の「営業秘密」とは異なる。仮に両者が同じ内容のものであるしても、本件提案書及び本件報告書サンプルには上記記載のとおりの措置が施されており、「営業秘密」の要件である 秘密管理性、有用性及び非公知性のいずれをも充たす。 (被告会社の主張)本件契約の機密保持義務の対象は、原告の営業情報漏洩防止目的のために合理的に必要な範囲に限られるというべきであり、不競法2 条6 項の「営業秘密」と同様に、秘密管理性及び有用性のある情報に限定される。 しかし、本件提案書に記載された内容は競合他社も用いる一般的なものであり、原告固有の情報はなく、機密保持を課すことが合理的に必要なものとはいえず、秘密管理性も認められない。 したがって、本件提案書及び本件報告書サンプルの記載内容はいずれも本件契約条の機密事項に当たらず、本件契約15 条違反は成立しない。 また、レキシル事業の営業用資料の中には、本件事業の説明文言やその成果物で あるレポートの報告項目に類似する部分はあるものの、サービスの概要を説明するための形式的なものであるし、レポートの記載内容も、利用者が一般的に求める情報が記載されているのみで、原告独自の事項は含まれないから、本件事業のノウハウを流用したとはいえない。また、レキシルレポートのひな形は被告会社が採用フィルター事業の報告書を参考にグラフを追加したものであるが、情報収集・分析を するのは企業情報センターであり、被告会社による機密保持義務違反はない。 (3) 争点1-3(営業手法利用禁止義務違反の成否)(原告の主張)被告会 たものであるが、情報収集・分析を するのは企業情報センターであり、被告会社による機密保持義務違反はない。 (3) 争点1-3(営業手法利用禁止義務違反の成否)(原告の主張)被告会社は、本件契約17 条により、本件事業の販売代理店業務の遂行に関連して知り得た技術、本件事業の仕組み及び営業手法等を自社の営業活動に利用すること を禁止される。本件事業の営業手法は、顧客となる企業がインターネットの普及により従業員の炎上トラブル等につき責任を負う時代となったことを説明した上で、従来の採用プロセスでは限界があり、本件事業を利用することで求職者の適性・リスクを把握できることを説明し、その実績や必要性を説明するものである。 被告会社は、別紙類似性・情報使用一覧記載のとおり、本件提案書を基にレキシ ル提案書を作成すると共に、営業において、面接や書類審査のみによる採用の問題点等を説明した上で、インターネット上の情報等に関する調査の効果を説明する営業手法をレキシル事業に流用した。 したがって、被告会社は、本件契約による営業手法利用禁止義務に違反する。 (被告会社の主張) 本件契約17 条の「情報」の範囲については、原告が本件契約において優越的な地位にあることなどから、原告の営業情報漏洩防止の観点から合理的な範囲にとどまるというべきであり、既に知られている情報は含まれない。原告が主張する営業手法は、原告独自のものではなく、ビジネス業界で一般的に採用されている方法であるから、上記「情報」に含まれない。 (4) 争点2(被告会社による品質誤認表示の成否) (原告の主張)ア専門家の監修について被告会社は、レキシル事業の営業用資料であるレキシル提案書に「Web の専門手法と心理学 2(被告会社による品質誤認表示の成否) (原告の主張)ア専門家の監修について被告会社は、レキシル事業の営業用資料であるレキシル提案書に「Web の専門手法と心理学的知見を用い、専門の捜査ノウハウ及び専門プログラムを用い」ている旨記載する。しかし、レキシル事業は、心理学の専門家やサイバー犯罪の捜査を担 当していた元警察官等の監修を経ていない。したがって、被告会社の上記行為は、レキシル事業に関し、虚偽又は合理的根拠のない事実を記載し、その品質や内容が実際よりも優良であることを示し、「商品」又は「役務」の「質」及び「内容」について「誤認させるような表示」をするものであり、品質誤認表示の不正競争(不競法2 条1 項20 号)に当たる。 イレキシルの実績について被告会社は、そのホームページに、レキシル事業の実績として「利用企業数 1,000社以上」、「レポート納品数 180,000 件以上」と記載し、プレスリリースの際にも同様の記載をした。しかし、同時点におけるレキシル事業の実績はいずれも上記記載のとおりではなかった。取引数の多さは、市場における信用度やノウハウの蓄積 の有無等、取引をするに当たっての重要な指標となり、「商品」ないし「役務」の「品質」を示すものである。したがって、被告会社の上記行為は、「商品」ないし「役務」の「質」及び「内容」について誤認させる表示をするものであり、品質誤認表示の不正競争に当たる。 (被告会社の主張) レキシル事業自体としては1000 社を超える取引実績はないものの、レキシル事業の基になる採用フィルター事業の令和2 年3 月時点での利用企業数は1000 社以上、レポート納品数は18 万件以上である。被告会社は、基礎サービスである採用フィル 引実績はないものの、レキシル事業の基になる採用フィルター事業の令和2 年3 月時点での利用企業数は1000 社以上、レポート納品数は18 万件以上である。被告会社は、基礎サービスである採用フィルター事業の実績であることを明記して、上記実績を記載したものである。したがって、被告会社のレキシル事業に関する上記表示は品質誤認の不正競争には当た らない。 (5) 争点3(被告Aによる任務懈怠責任の成否)(原告の主張)被告Aは、被告会社の代表取締役として、契約ないし法令等を遵守する義務を負う(会社法355 条)。それにもかかわらず、被告Aは、原告の顧客を奪う目的の下、本件事業のノウハウを取得した上で、本件契約に違反してレキシル事業を立ち上げ、 原告の顧客を侵奪した。これは、本件契約及び会社法17 条1 項1 号に反する職務執行である。 また、被告会社が本件事業の販売代理店となった後、原告・被告会社間のやり取りはほぼ被告Aが行っており、同人が本件事業の担当責任者であったといえる。被告会社が原告に紹介した案件は1 件のみであったが、被告Aはその1 件を紹介した 後に、顧客からの質問を装って本件事業に関する質問を行うと共に同意書のフォーマットを取得するなどして原告のノウハウを取得し、レキシル事業を行った。このため、被告Aは、その任務懈怠について悪意又は少なくとも重過失がある。 したがって、被告Aは、任務懈怠による損害賠償責任を負う。 (被告Aの主張) 被告会社は、本件事業につき、件数は多くないものの顧客からのニーズがあったため本件契約を締結したが、販売件数が伸び悩んでいたところ、直接のヒアリングを行うという本件事業にはない採用フィルター事業のサービスに魅力を感じ、企業情報センターと被告OE 顧客からのニーズがあったため本件契約を締結したが、販売件数が伸び悩んでいたところ、直接のヒアリングを行うという本件事業にはない採用フィルター事業のサービスに魅力を感じ、企業情報センターと被告OEM 契約を締結し、レキシル事業を開始した。このように、被告Aには原告の顧客を奪う意図はないから、その任務懈怠責任は成立しない。 (6) 争点4(被告会社による本件契約の解除の成否)(被告会社の主張)ア令和3 年8 月解除被告会社は、令和3 年6 月3 日、原告から本件契約違反を理由にレキシル事業の停止を求められ、信頼関係の修復が難しいと考えたことから、同年8 月16 日、本件 契約13 条1 項に基づき、本件契約の解約申入れをした。このため、その日から90 日が経過した日である同年11 月16 日をもって、本件契約は終了した(以下「令和 3 年8 月解除」という。)。 本件契約13 条1 項は、一方当事者の解約申入れによる本件契約の解約が可能であることを前提としているところ、同項の「協議」とは、解約に伴う残務作業の協議を意味するもので、合意解約のみを定めるものではない。 イ期間満了による終了被告会社は、上記令和3 年8 月解除に係る解約申入れを行うと共に、原告が被告会社を債務者として申し立てた仮処分命令申立事件(東京地方裁判所令和3 年(ヨ)第3037 号、第22180 号。以下、併せて「本件仮処分事件」という。)においても、再三本件契約解約の意思を原告に伝えていた。本件契約においては、契約更新前に 契約を終了させる意思が存在する場合には自動更新されないと考えるべきである。 そこで、本件契約は、遅くとも令和4 年1 月6 日の期間満了をもって、自動更新がされずに終了したといえる 更新前に 契約を終了させる意思が存在する場合には自動更新されないと考えるべきである。 そこで、本件契約は、遅くとも令和4 年1 月6 日の期間満了をもって、自動更新がされずに終了したといえる。 ウ令和3 年11 月解除(ア) 代理商は「やむを得ない場合」には契約を解除することができるところ(会 社法19 条2 項)、「やむを得ない場合」とは、代理商契約を継続することが社会通念上著しく不当と認められる場合をいう。原告は、被告会社に対し、レキシル事業の停止を求め、同年9 月30 日には、本件仮処分事件の申立ても行ったため、原告と被告会社の信頼関係は破綻し、被告会社が本件事業の販売代理店として稼働する余地はなくなった。被告会社は、本件契約が継続すれば、本件事業の販売代理店とし て利益を得ることができないだけではなく、本件契約に基づく義務を半永久的に負うことになり、契約当事者間の公平性を著しく損なう状態にあったことに鑑みると、本件は「やむを得ない場合」に該当する。 (イ) 継続的な代理店契約においては、相互の信頼関係を基礎として継続的な契約関係が形成されるところ、当事者間に契約関係を存続させることを著しく困難なら しめる事情があれば、信義則上将来に向かって契約を解除することができる。上記 のとおり、原告は、同年9 月30 日、本件仮処分事件の申立てをしたことから、遅くとも、その時点では原告・被告会社間の信頼関係は破綻しており、被告会社に信義則上の解除権が発生していた。 (ウ) 被告会社は、上記の状況において、同年11 月24 日付けで本件契約の解除を通知した。本件契約13 条1 項は、解約の90 日前までに相手方に解約を通知する旨 規定しているところ、これは解約のための準備期間を90 日 において、同年11 月24 日付けで本件契約の解除を通知した。本件契約13 条1 項は、解約の90 日前までに相手方に解約を通知する旨 規定しているところ、これは解約のための準備期間を90 日とする趣旨である。そこで、本件契約は、本件契約13 条1 項、会社法19 条2 項又は信義則上の解約権に基づき、90 日経過後である令和4 年2 月24 日をもって終了した(以下「令和3 年11月解除」という。)。 (原告の主張) ア本件契約の存続(ア) 本件契約は、12 条後段の自動延長規定により現在も有効に存続している。 (イ) 本件契約13 条1 項は、当事者の一方の通知により本件契約の解約に向けた協議を行うことを定めた規定であり、同条所定の90 日前の通知をもって当然に中途解約となるものではない。 (ウ) 原告による本件仮処分事件申立てや本件訴えの提起は、被告会社による契約違反等に起因するものであるから、原告の申立てによって被告会社主張に係る各解除権が発生するものではない。また、被告会社の義務違反により解除権が発生するのは社会正義に反する結果となるから、その行使は信義則違反(民法1 条2 項)ないし権利濫用(同条3 項)に当たり許されない。 イ機密保持義務の契約終了後の存続仮に本件契約が終了したとしても、本件契約15 条6 項及び21 条により、機密保持義務は本件契約の終了後も存続する。 (7) 争点5(差止請求権の成否)(原告の主張) 本件契約13 条2 項は、本件契約上の義務を履行しない場合には、相手方に書面に てその行為の中止又は是正を求めることができる旨規定するところ、同項にいう「中止…を求めることができる」とは、差止請求権を規定したものである の義務を履行しない場合には、相手方に書面に てその行為の中止又は是正を求めることができる旨規定するところ、同項にいう「中止…を求めることができる」とは、差止請求権を規定したものである。したがって、原告は、本件契約に基づき、被告会社に対し、レキシル事業の差止めを求めることができる。 また、原告は、会社法17 条1 項1 号違反を理由としても、被告会社に対し、レキ シル事業の差止請求をすることができる。 (被告会社の主張)本件契約には、差止請求権を定める規定はない。仮に本件契約13 条2 項に基づく差止請求権があるとしても、本件契約は既に終了していることから、原告は、被告会社に対し、本件契約に基づく差止請求権を有しない。 会社法17 条1 項1 号違反も、差止請求権の根拠とならない。 (8) 争点6(原告の損害及びその額)(原告の主張)ア被告会社に対する請求(ア) 代理商が競業行為によって得た利益の額は、会社の損害の額と推定されると ころ(会社法17 条2 項)、「利益」とは、限界利益をいう。また、限界利益を計算する上で売上から控除される経費は、売上の増加に応じて増加する必要不可欠な変動経費のみを指し、固定費は含まれない。このため、本件において控除可能な変動経費は、被告会社が企業情報センターから請求を受けた額のみである。 (イ) 令和4 年2 月24 日分までの利益合計539 万6700 円 令和4 年2 月24 日分までのレキシル事業の利益合計は、別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の原告主張欄記載のとおり、初期費用242 万円と「レキシル」の売上69 万3000 円及び「レキシル+」の売上475 万2000 円との合計額544 万5000 円から、企業情報セン 売上等一覧表」の原告主張欄記載のとおり、初期費用242 万円と「レキシル」の売上69 万3000 円及び「レキシル+」の売上475 万2000 円との合計額544 万5000 円から、企業情報センターの請求額246 万8300 円を控除した額である539 万6700 円である。 また、令和4 年3 月分以降については、初期費用とレキシル事業の売上額の平均 額から算出した49 万2246 円が1 か月当たりの利益である。 (ウ) 信用毀損相当損害金 100 万円販売代理店である被告会社がレキシル事業を行って原告や他の販売代理店の顧客を奪ったことで、他の販売代理店の売上が減少し、他の販売代理店の原告に対する信用は大きく損なわれた。これにより原告が受けた損害は100 万円を下回らない。 (エ) 弁護士費用相当損害金 70 万円本件契約19 条によれば、本件に係る義務違反により原告に損害を与えた被告会社は、原告に対し、弁護士費用を含む損害及び費用の賠償義務を負う。被告会社の義務違反行為と相当因果関係にある原告の弁護士費用相当額は、70 万円を下回らない。 (オ) 被告会社の主張について被告会社が「トライアルプラン」を実施していることを示す発注書、契約書等はない。かえって、被告会社は、レキシル事業の初期費用が本来16 万5000 円のところ、11 万円に減額するキャンペーンを行っており、このキャンペーン中に初期費用を無料とするキャンペーンを重複して行っていたとは考えがたい。また、レキシル 事業は、調査が終了すれば契約も終了するものであり、継続的な契約を前提としたサービスではないため、継続的な顧客獲得を目的として初期費用を無料とする必要性も乏しい。これらのことからも、被告会社が「トライアルプラ 査が終了すれば契約も終了するものであり、継続的な契約を前提としたサービスではないため、継続的な顧客獲得を目的として初期費用を無料とする必要性も乏しい。これらのことからも、被告会社が「トライアルプラン」を実施していたとはいえない。 経費の控除につき、被告会社が主張する経費はいずれも宣伝広告費であるところ、 実質的に見て、当該宣伝広告がなければレキシル事業の販売ができなかったという関係になく、あくまでその販売に貢献した可能性がある程度のものに過ぎない。したがって、上記経費はレキシルの販売数量の増加に伴って増加する費用とはいえない。 (カ) 小括 以上より、原告は、被告会社に対し、合計770 万円を下回らない損害賠償請求権 を有するところ、その一部である770 万円の限度でその支払を求める。 イ被告Aに対する請求原告は、被告Aの任務懈怠により、被告会社の行為による逸失利益額相当額及び弁護士費用相当損害額として660 万円を下回らない損害を受けているところ、原告は、被告Aに対し、その一部である660 万円の限度でその支払を求める。 (被告らの主張)ア会社法17 条2 項について「利益」(会社法17 条2 項)については、独占的排他権である特許権に関する規定(特許法102 条1 項、2 項)とは解釈を異にするものと解すべきである。仮に会社法17 条2 項の「利益」においても「限界利益」と解するとしても、控除すべき限 界利益の額は、売上高から侵害者において侵害品を製造販売することにより製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した額であると解すべきであるところ、製造販売に直接関連して追加的に必要となった宣伝広告費は、変動販管費として控除の対象とすべきである。 り製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した額であると解すべきであるところ、製造販売に直接関連して追加的に必要となった宣伝広告費は、変動販管費として控除の対象とすべきである。 イ売上について 被告会社の令和3 年5 月~令和4 年2 月24 日の間のレキシル事業の販売実績(取引先からの受注時点を基準とする。)は、別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の被告主張欄記載のとおりである。 被告会社は、通常の場合、顧客と契約を締結して初期費用税込11 万円を受領後、株式会社システナ(以下「システナ」という。)の運営するシステム「Active!drive」 (以下「アクティブドライブ」という。)上に顧客専用ボックスを設定してやり取りを行うが、初期費用の支払なしに「レキシル」を数件実施し、その後、継続して利用する場合に改めて初期費用を受領する「トライアルプラン」も実施していた。 被告会社の売上のうち、令和3 年7 月及び同年8 月の「レキシル」と「レキシル+」の1 件ずつを無料で実施した。 ウ経費の控除 本件における限界利益の算定に当たっては、別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の被告主張欄記載の企業情報センターへの業務委託料の税別価格合計195 万0500円のほか、以下の相手方に対して支出した費用(税別。合計644 万7321 円)を控除すべきである。 (ア) スマートキャンプ株式会社(以下「スマートキャンプ」という。) 87 万2000 円同社は、WEB 上の各種サービスの比較サイトにおいて事業を紹介し、顧客(リード)の情報を収集・提供するサービスである「ボクシルリード」及びそのメールマガジンサービス等(以下「ボクシルリード等」という。)を運営する。 被告会社は、顧 較サイトにおいて事業を紹介し、顧客(リード)の情報を収集・提供するサービスである「ボクシルリード」及びそのメールマガジンサービス等(以下「ボクシルリード等」という。)を運営する。 被告会社は、顧客獲得のためボクシルリード等を利用し、スマートキャンプに対 し、システム利用料及び委託料の合計87 万2000 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (イ) 株式会社Innovation(以下「Innovation 社」という。) 70 万5000 円同社は、ボクシルリードと同様の形で顧客情報を収集する「IT トレンド」や、各 種事業を動画で紹介して顧客情報を収集する「セミナーシェルフ」を運営する。 被告会社は、顧客獲得のため、Innovation 社に対し、「IT トレンド」に係る顧客獲得の成功報酬と、「セミナーシェルフ」に係る動画掲載費用及び顧客の成功報酬の合計70 万5000 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (ウ) エコノス株式会社(以下「エコノス」という。) 110 万円同社は、ダイレクトメッセージを活用して顧客情報を収集・提供する「マーケアップサービス」を実施する。 被告会社は、令和3 年7 月から同サービスを利用し、エコノスに対し、基本利用料及び成功報酬の合計110 万円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝 広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (エ) MyAlarm 株式会社(以下「MyAlarm 社」という。) 7 万5000 円同社は、AI による顧客 造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (エ) MyAlarm 株式会社(以下「MyAlarm 社」という。) 7 万5000 円同社は、AI による顧客獲得システム「leadDynamics」を運営する。 被告会社は、レキシル事業につき同サービスへの掲載を委託し、MyAlarm 社に対し、その委託料合計 7 万5000 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (オ) 株式会社PRTIMES(以下「PRTIMES 社」という。) 12 万円同社は、1 件当たり3 万円(税別)で事業のプレスリリースやSNS 配信等を行う会社である。 被告会社は、令和3 年5 月11 日、同年9 月28 日及び同年10 月14 日、PRTIMES社に対し、それぞれ記事掲載を委託し、12 万円を委託料として支払った。これは、 レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (カ) 株式会社オドック(以下「オドック」という。) 5 万円被告会社は、レキシル事業の宣伝広告の際に参考とするため、オドックに対し、レキシル事業のホワイトペーパーの作成を委託し、その報酬として5 万円を支払っ た。これはレキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要な経費に当たる。 (キ) FacebookIrelandLimited(以下「Facebook 社」という。) 99 万3871 円被告会社は、令和3 年10 月28 日までに、Facebook 社との間で、SNS「Facebook」にレキシル事業の広告をするための利用契約を締結 ook 社」という。) 99 万3871 円被告会社は、令和3 年10 月28 日までに、Facebook 社との間で、SNS「Facebook」にレキシル事業の広告をするための利用契約を締結し、同日~令和4 年1 月22 日 の間に広告利用料99 万3871 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (ク) ソルー株式会社(以下「ソルー」という。) 34 万8155 円被告会社は、ソルーに対し、上記(キ)の広告の運営を委託し、委託料34 万8155 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接 関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (ケ) Google(以下「Google 社」という。) 18 万7295 円被告会社は、Google 社との間で、検索サービス「Google」の検索結果の上位にレキシル事業が掲載されるための広告利用契約を締結し、広告利用料合計18 万7295円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (コ) 株式会社福田式経営研究所(以下「福田式研究所」という。) 5 万円被告会社は、令和3 年8 月4 日、福田式研究所との間で、レキシル事業に係る顧客紹介業務及び販売代理店業務を委託するパートナー契約を締結し、報酬合計5 万円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (サ) エン京都株式会社(以下「エン京都」という。) 5 万9000 円被告会社は、エン京都との間で上記(コ)と同様のパート 造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (サ) エン京都株式会社(以下「エン京都」という。) 5 万9000 円被告会社は、エン京都との間で上記(コ)と同様のパートナー契約を締結し、報酬合計5 万9000 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (シ) 株式会社オンリーストーリー(以下「オンリーストーリー」という。) 140 万円同社は、経営者等をWEB 上でマッチングするシステム「チラCEO」を運営する。 被告会社は、レキシル事業の顧客獲得のため、令和3 年8 月~令和4 年1 月末の間、被告Aを同システムに登録し、オンリーストーリーに対し、報酬合計140 万円(月額20 万円)を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、 製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (ス) システナ 43 万2000 円同社は、レキシル事業において被告会社が顧客や企業情報センターとファイル等のやり取りを行うアクティブドライブを運営する。 被告会社は、令和3 年4 月~令和4 年2 月末の間、システナに対し、合計43 万 2000 円を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売 に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 (セ) 株式会社ジャストシステム(以下「ジャストシステム」という。) 5 万5000円被告会社は、PRTIMES 社のプレスリリースに際し、ジャストシステムに対し、レキシル事業の記事に関するアンケート調査業務を委託し、調査費用5 万5000 円 を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、 社のプレスリリースに際し、ジャストシステムに対し、レキシル事業の記事に関するアンケート調査業務を委託し、調査費用5 万5000 円 を支払った。これは、レキシル事業に特化した宣伝広告費として、製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費に当たる。 エ競合品の存在被告会社が賠償すべき原告の損害の範囲は、レキシル事業による被告会社の利益全額ではなく、被告会社の行為と相当因果関係のある範囲に限定されるところ、そ の判断に当たっては、権利者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)、市場における競合品の存在、侵害者の営業努力及び侵害品の性能についても考慮要素となる。 レキシル事業は第三者へのヒアリングを主としたサービスであり、これを行わない本件事業とは業務態様を異にする。また、犯罪歴やSNS の調査といった求職者の 過去を調査するリファレンスチェックやバックグラウンド調査といったビジネスモデルは既に存在しており、本件事業と競合する商品が市場に複数存在する。 このため、被告会社によるレキシル事業の実施と原告の損害との間には相当因果関係がない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(競業避止義務違反の成否)(1) 事実認定前提事実(前記第2 の2)、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア本件事業 (ア) 概要 本件事業は、企業の委託を受け、求職者等につき「Web の専門手法と心理学的知見」を用い、人物の健全度(犯罪歴、トラブルリスクを含む。)を確認するサービスである。原告は、認知心理学等を専門とする大学教授及びサイバー犯罪を担当していた元警察官の監修の下にこれを開発した。本件事業においては、専門の捜査ノウハウ及びプログラムを用い、 )を確認するサービスである。原告は、認知心理学等を専門とする大学教授及びサイバー犯罪を担当していた元警察官の監修の下にこれを開発した。本件事業においては、専門の捜査ノウハウ及びプログラムを用い、SNS、ニュースサイト及び各種掲示板等に存在する インターネット上の情報・履歴(既に削除された情報も含む。)の調査を行うこととされている。(甲12)(イ) 本件事業の販売代理店との関係本件事業では、その販売代理店が顧客にサービスを紹介し、申込書の送付と初期費用(10 万円(税別))の支払がされると、顧客にユーザー登録に必要なアカウン トが発行される。顧客は、原告に対し、同アカウントを用いて、必須情報となる調査対象者の写真付き履歴書及び職務経歴書に加え、出身校や所属団体その他対象者の情報を提供する。原告は、通常、データの提供を受けてから最大4 営業日で報告書を納品する(このほか、急ぎの場合のオプションサービスも存在する。)。原告は、顧客に対し、調査費用として1 件当たり1 万5000 円(税別)を請求し、後日、 販売代理店に報酬を分配する。(甲9、12)(ウ) 本件提案書本件提案書(甲12)は、原告が顧客向けに作成した本件事業に関する資料であり、本件事業の概要のほか、マスメディアで取り上げられた実績、サービス内容の監修者の紹介、本件事業の意義ないし社会的背景、費用及び納期といった本件事業に関 する基礎的な情報が記載されている。 (エ) 本件報告書サンプル本件報告書サンプル(甲13)は、本件事業の成果物である報告書のサンプルに記載事項に関する説明を付す形式で作成されたものである。同報告書では、履歴書等の情報をもとに特定した対象者のSNS アカウント(いわゆる裏アカウントを含む。)、 そのフォロ 報告書のサンプルに記載事項に関する説明を付す形式で作成されたものである。同報告書では、履歴書等の情報をもとに特定した対象者のSNS アカウント(いわゆる裏アカウントを含む。)、 そのフォロワー数及び当該アカウントの信憑性をパーセンテージ表示により記載す る。その上で、当該アカウントへの投稿内容を確認した結果として、「ネガティブな要素」5 要素(攻撃性、自己顕示欲、影響力、社会性、ネットリテラシー)を5 段階(数値が高いほどネガティブ要素が高いとされる。)で評価したものを棒グラフ形式で表示する。また、同じくSNS への投稿内容等をもとに、「ポジティブな要素」として対象者のポジティブ要素(反社会的勢力との関わり、履歴書の内容と実際と の齟齬、非常識な画像の投稿、私生活の乱れといったものがないこと等)が箇条書きで記載される。さらに、「注意すべき投稿」として、調査により発見した情報の中で特に注意すべき内容(ネガティブ、ポジティブとも)をそのURL と共に列挙し、その「NG 判定種別」を示す。最後に、これらの情報に基づく評価のまとめとして「所感」及び「総合判定」が示される。 (オ) 本件申込書本件事業に係る「お申込書」(甲10。以下「本件申込書」という。)は、表題を「お申込書」として中央上部に記載し、その左側上部に本件事業の名称、右側上部に原告の商号が記載されている。また、上部から順に「発注日」欄、「発注者」欄、「請求先」欄、「受注者」欄(原告の商号等が不動文字で記載されている。)及び 「販売代理者」欄、発注項目等の記入欄(項目及び単価が不動文字で記載されている。)並びに「注意事項」欄が設けられている。「注意事項」欄には、不動文字により、利用状況に応じたアカウントの削除及び再度利用する場合には再度の申込 目等の記入欄(項目及び単価が不動文字で記載されている。)並びに「注意事項」欄が設けられている。「注意事項」欄には、不動文字により、利用状況に応じたアカウントの削除及び再度利用する場合には再度の申込みと初期費用の支払が必要となることや支払方法に関する記載、署名押印欄がある。 イ採用フィルター事業及び被告OEM 契約 (ア) レキシル事業の基礎になるサービスである採用フィルター事業は、企業等が求職者の採用に当たって必要とする当該求職者の評価を行うサービスであり、当該求職者の過去の職場へのインタビューや、インターネット及びデータベース情報の調査を行うものである。その際の調査項目は、履歴書・職務経歴書の情報から在籍期間・役職・職責等を確認する「経歴チェック」、対象者の過去の職場へのインタ ビューを行い、職能・勤怠実績等を確認する「評価チェック」、WEB 情報及びSNS 情報の収集並びにデータベースへの照会等を行い、性格素行等を確認する「適性チェック」からなる。(乙4)(イ) 被告OEM 契約(乙5)では、被告会社は、採用フィルター事業の営業及び販売のほか、採用フィルター事業に関する顧客からの情報収集業務を行い、企業情報センターは、被告会社が取得した情報のとりまとめ及び報告書等の作成業務を行う こととされている。また、被告会社は、採用フィルター事業の販売業務を行うに当たり、その利用料金を自己の裁量により設定すること、請求書等の発行管理及び集金管理業務を行うこと、受託業務の遂行に当たり採用フィルター事業を自己の商品として自ら指定した商品名で行うことができる。 被告会社は、同契約上、企業情報センターに対し、報酬として、報告書の件数を 基準とし、「レキシル」が6500 円/件(税別。ただし、1~50 品として自ら指定した商品名で行うことができる。 被告会社は、同契約上、企業情報センターに対し、報酬として、報告書の件数を 基準とし、「レキシル」が6500 円/件(税別。ただし、1~500 件までは5500 円(税別)/件、501~1000 件までは7500 円(税別)/件。)、「レキシル+」が2 万8000 円(税別)/件で算定した報酬を支払うこととされている。なお、企業情報センターは、被告会社からの利用件数の報告に基づき請求書を作成して被告会社に報酬の請求をしているところ、その請求書には「レキシル」と「レキシル+」が項目として個別に 記載されている。(上記のほか、乙12~20、25)ウレキシル事業(ア) レキシル事業は、企業の人材採用時における通常の判断材料(書類選考及び面接)にプラスする材料として「Web の専門手法と心理学的知見」を用いて人物評価をすると共に、求職者の資質及び評価を提供するサービスである。レキシル事業 は、「WEB 調査」と「第三者チェック」とからなる。「WEB 調査」では、SNS 情報、データベース照会及びウェブ上の公開情報(既に削除された情報を含む。)を用いて、対象者の情報、性格、素行及び情報漏洩・発信の懸念等を確認する「素行チェック」を行う。その「おすすめ対象」は、新卒者及び中途採用者とされる。他方、「第三者チェック」では、調査対象者の過去の職場に対して経歴詐称や役職・ 学歴の過大申告がないか確認する「経歴チェック」と、過去の職場で対象者を知る 人物にインタビューし、実際の職能や勤務態度(ハラスメント、不平不満等)を確認する「評価チェック」を行う。その「おすすめ対象」は、中途採用者及び幹部社員採用候補者とされる。(甲16、17)(イ) レキシル事業 ーし、実際の職能や勤務態度(ハラスメント、不平不満等)を確認する「評価チェック」を行う。その「おすすめ対象」は、中途採用者及び幹部社員採用候補者とされる。(甲16、17)(イ) レキシル事業では、被告会社は、顧客に対して営業活動を行った上で利用契約を締結する。契約を締結した顧客は、採用予定者の履歴書及び職務経歴書等のデ ータをアクティブドライブにアップロードし、企業情報センターがこれらをダウンロードして採用予定者の情報収集・分析を行い、レポートを作成する。企業情報センターは、3 営業日(別途追加料金で特急サービスも対応する。)でこのレポートをアクティブドライブにアップロードし、顧客は、アクティブドライブから直接レポートをダウンロードする。(甲16、17、乙2) (ウ) レキシル事業においては、成果物として、WEB 調査の結果をまとめた「レキシルレポート」と第三者チェックの結果をまとめた「レキシル+レポート」が提供される。 「レキシルレポート」では、「懸念度」がパーセント表示で示されると共に、「懸念分析」として、「経歴詐称の懸念度」等の5 項目の懸念度(パーセント表示)が レーダーチャートの形式でグラフ化されて示される。また、「確認項目」として、ネット検索情報、SNS 情報等の各種情報につき、「懸念なし」又は「懸念あり」が示される。さらに、「情報詳細」及び「ピックアップ内容」として、より具体的な情報が示される。 他方、「レキシル+レポート」では、「懸念度」がパーセント表示で示されると共 に、「懸念分析」として、「在籍期間の懸念度」等の5 項目の懸念度が、「レキシルレポート」と同様にグラフ化されて示される。また、「確認結果」として、対象者の学歴及び職歴の確認結果並びにレファレンスチェックの結果につき、詳細 「在籍期間の懸念度」等の5 項目の懸念度が、「レキシルレポート」と同様にグラフ化されて示される。また、「確認結果」として、対象者の学歴及び職歴の確認結果並びにレファレンスチェックの結果につき、詳細な記載をする欄が設けられている。 (以上につき、甲16、17、25、29、30) (エ) レキシル提案書 「レキシルご提案資料」(甲16。以下「レキシル提案書」という。)は、被告会社が顧客向けに作成したレキシル事業に関する資料であり、レキシル事業の概要のほか、「導入実績」(ただし、ここで示される実績には、基礎サービスである採用フィルター事業の実績である旨の説明が付加されている。)、レキシル事業の意義ないし社会的背景、成果物の概要、費用及び納期といったレキシル事業に関する基 礎的な情報が記載されている。 これを子細に見ると、レキシル提案書には、WEB 調査の対象範囲として、別紙類似性・情報使用一覧の「サービスの概要」欄及び「調査対象」欄の各記載の下線部のとおり、本件提案書と同様の文言が用いられている。 (オ) レキシル申込書 レキシル事業に係る「お申込書」(甲37。以下「レキシル申込書」という。)は、表題を「お申込書」として中央上部に記載し、その左側上部にレキシル事業の名称、右側上部に被告会社の商号が記載されている。また、上部から順に「申込日」欄、「申込者」欄、「請求先」欄、「販売代理者」欄、発注項目等の記入欄(項目及び単価が不動文字で記載されている。)及び「注意事項」欄が設けられている。「注 意事項」欄には、不動文字により、利用状況に応じたアカウントの削除及び再度利用する場合には再度の申込みと初期費用の支払が必要となることや支払方法に関する記載、署名押印欄がある。 (カ) 被告会社に 事項」欄には、不動文字により、利用状況に応じたアカウントの削除及び再度利用する場合には再度の申込みと初期費用の支払が必要となることや支払方法に関する記載、署名押印欄がある。 (カ) 被告会社においては、例えばレキシル提案書のように、レキシル事業を実施するに当たり、WEB 調査及び第三者チェックの各サービスを包括するサービスを指 して「レキシル」の名称を使用する場合がある。他方、上記のとおり、成果物である報告書は、WEB 調査に対応するものが「レキシルレポート」、第三者チェックに対応するものが「レキシル+レポート」とされている。また、被告会社のウェブサイト上に設けられたレキシル事業の紹介ページ(甲31)では、WEB 調査をサービス内容とするものが「レキシル」、これと第三者チェックを包含したものが「レキシ ル+」であることをうかがわせる記載がされている。さらに、レキシル申込書の発注 項目欄には、不動文字により、「初期費用」、「レキシル」及び「レキシル+」が別個独立の項目として記載されている。加えて、企業情報センターとの間でも、報酬は「レキシル」と「レキシル+」とでそれぞれ定められ、現に、被告会社宛ての請求書(乙12~20、23、24、39、79)においても、「レキシル」と「レキシル+」は、別の費目として、前記報酬の定めに従って請求されている。 これらの事情に鑑みると、被告会社は、「レキシル」という名称を、レキシル事業において提供する商品の1 つを指すものとして使用すると共に、これと「レキシル+」という名称の商品を合わせた商品群の名称としても使用していたものと理解するのが相当である。 エ本件契約の締結及びその前後の経緯 (ア) 本件契約締結に至る経緯及び本件契約の締結被告Aは、令和元年4 合わせた商品群の名称としても使用していたものと理解するのが相当である。 エ本件契約の締結及びその前後の経緯 (ア) 本件契約締結に至る経緯及び本件契約の締結被告Aは、令和元年4 月頃、原告を紹介されて原告代表者と面談したことにより、本件事業の存在を知った。その後の令和2 年12 月10 日、被告Aは、原告従業員に対して本件事業に関する問合せを行い、簡単な説明を受けた後、同月14 日、ウェブ会議により本件事業に関する具体的な説明を受け、同日のうちに、原告従業員に対 し、「ぜひ、代理店として動いていきたいので勉強会と代理店契約の締結を進めさせていただければと思います。」などと記載したメールを送付した。(甲6、7)原告は、同月25 日、被告会社に対し、本件事業の資料である「代理店様向けQ&A」等のデータを、パスワードを付して提供した。このうち、「代理店様向けQ&A」は、本件事業に関する販売代理店向けの資料であり、販売代理店からの質問とそれに対 する原告の回答の形式により、本件事業の営業の際に必要となり得る情報等が記載されている。「~SNS 時代の労務管理~ネット書き込みの影響と対策」(甲9)は、販売代理店となろうとする企業向けの本件事業に係る説明資料である。 「お申込書」(本件申込書。甲10)は、本件事業の申込用紙のフォームである。 また、原告は、令和3 年1 月4 日、被告会社に対し、本件事業に係るチラシ(甲 11)、本件提案書(甲12)及び本件報告書サンプル(甲13)をそれぞれ提供した。 その上で、被告会社は、同月6 日、原告との間で、本件契約を締結した。 (イ) 本件契約締結後の原告から被告らに対する資料送付原告従業員は、同月7 日、被告A及び被告会社従業員をメンバーとし その上で、被告会社は、同月6 日、原告との間で、本件契約を締結した。 (イ) 本件契約締結後の原告から被告らに対する資料送付原告従業員は、同月7 日、被告A及び被告会社従業員をメンバーとしたチャットグループ「ビットミックス様-ソルナ」(甲32)を作成した。 同グループチャットにおいて、原告従業員は、同月8 日、被告Aから要望のあっ た「ネットの履歴書のリーフレットのai データ」を提供した。 また、被告Aは、同日、原告従業員に対し、「ネットの履歴書のロゴデータ」の提供を求めた。これに対し、原告従業員は、同月12 日、利用態様に関する条件付きでこれを提供した。 さらに、被告Aは、同月18 日、原告従業員に対し、「提案資料やチラシデータを PDF 以外の元データ(PPT 等)」で提供することを要望し、同日、原告従業員から、本件提案書のPowerPoint 形式のファイル(ファイル名「【confidential】ネットの履歴書_提案書Ver_13.0」)の提供を受けた。これを受けて、被告Aは、同日、「オンライン説明会で使用されたページが多い資料もPPT でもらえますか。」と要望し、同日、そのPDF ファイルの送付を受けた。 (ウ) 被告会社から原告に対する顧客の申込書等の送付等被告Aは、同月19 日、原告に対し、上記グループチャットにより、顧客からの申込書1 通を送付した。本件事業の販売代理店として被告会社が原告に紹介した案件は、この1 件のみである。 被告Aは、同年2 月4 日、原告従業員に対し、顧客から「何もデータがない場合 の報告書はどうなるのか?」、「問題ではないが、少しだけデータが出た場合の見本はどんな感じか?」という質問があった旨と合わせ、データが全くない又は少しだけ出てきた場合のサンプル タがない場合 の報告書はどうなるのか?」、「問題ではないが、少しだけデータが出た場合の見本はどんな感じか?」という質問があった旨と合わせ、データが全くない又は少しだけ出てきた場合のサンプルの提供を要望した。これに対し、原告従業員は、同日、要望された内容のサンプルはない旨及び質問に対する回答を説明した。 被告会社従業員は、同月15 日、原告に対し、上記グループチャットにおいて、個 人情報の取扱い等に係る同意書のフォーマットの提供を求め、原告従業員は、同日、 これを送付した。 (以上につき、甲32)(エ) その後の同年3 月22 日、被告会社は、企業情報センターとの間で被告OEM契約を締結し、同契約に基づき、同年5 月11 日、レキシル事業を開始した。 (2) 検討 ア被告会社は、原告に対し、本件契約3 条2 項4 号に基づき、「本サービスを…誤認されるサービスを行ってはならない」という競業避止義務を負う。また、本件事業に関し、被告会社が原告との関係で代理商(会社法16 条)の地位にあることは当事者間に争いがないところ、代理商は、許可なく「自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすること」を禁止されている(同法17 条1 項)。し たがって、被告会社は、この観点からも、原告に対して競業避止義務を負う。 イ前提事実及び前記各認定事実によれば、本件事業及びレキシル事業は、いずれも、広く採用活動を行う顧客から提供を受けた求職者等の履歴書や職務経歴書等の情報を用いて、当該求職者等に係るWEB 調査及びその評価を行うサービスといえる。このため、レキシル事業は、本件事業と同種又は類似するサービスであり、 原告が事業として行う本件事業の部類に属する取引と認められる。なお、被告会社は、レ 査及びその評価を行うサービスといえる。このため、レキシル事業は、本件事業と同種又は類似するサービスであり、 原告が事業として行う本件事業の部類に属する取引と認められる。なお、被告会社は、レキシル事業として「レキシル」及び「レキシル+」を提供しており、それぞれ別の商品として位置付けているとみられるものの、これらを併せた商品群を「レキシル」と称して、一体的に宣伝広告活動等を行っていることがうかがわれることに鑑みると、被告会社の原告に対する競業避止義務違反を考えるに当たっては、これ らの商品を区別して取り扱う必要はないというべきである。 また、本件提案書及び本件申込書とレキシル提案書及びレキシル申込書の記載内容の同一性又は類似性並びに本件契約締結及びその前後の経緯に鑑みると、被告会社は、本件事業に関して原告から提供された資料に示された情報をもとにレキシル提案書その他レキシル事業に関する資料等を作成し、レキシル事業に使用したもの と理解される。そうすると、被告会社は、原告に対する本件契約上の競業避止義務 にも違反したものといえる。 ウこれに対し、被告会社は、本件契約上の競業避止義務は代理商としての競業避止義務よりも範囲を限定し、後者の適用を排除したものであり、また、仮に後者が適用されるとしても、レキシル事業と本件事業とは内容や市場を異にすることなどを主張する。 しかし、上記のとおり、本件契約上の競業避止義務と代理商としての競業避止義務とは内容を異にするところ、前者をもって後者の適用が排除されるとすべき理由はない。また、本件事業とレキシル事業の内容や市場については、レキシル事業のうち「レキシル」は、本件事業とその内容及び市場を同じくすることは明らかといってよい。他方、「レキシル+」については、「第三者 ない。また、本件事業とレキシル事業の内容や市場については、レキシル事業のうち「レキシル」は、本件事業とその内容及び市場を同じくすることは明らかといってよい。他方、「レキシル+」については、「第三者チェック」が実施されること もあって、「おすすめ対象」が中途採用者及び幹部社員採用候補者とされており、その点では本件事業と異なる部分がある。もっとも、少なくとも中途採用者は「レキシル」においても「おすすめ対象」とされており、また、幹部社員採用候補者についてもWEB 調査が必要となる例のあることは容易に推察される。そうすると、「レキシル+」を考慮に入れても、レキシル事業と本件事業とは、その内容及び市場 を共通にすると見るのが相当である。 その他被告会社が縷々主張する点を考慮しても、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 (3) 小括以上より、被告会社は、レキシル事業の実施につき、原告に対する代理商として の競業避止義務(会社法17 条1 項1 号)及び本件契約に基づく競業避止義務に違反したものと認められる。 2 争点1-2(被告会社の機密保持義務違反の成否)(1) 前提事実及び前記各認定事実によれば、被告会社は、本件契約に基づき、「本契約の履行ないし本サービスの遂行過程で取得された相手方の固有の技術上、営業 上その他の業務上の情報を機密として扱うものとし、当該相手方の事前の書面によ る承諾なく、これらの情報を本契約の目的以外に使用し…てはならない」という機密保持義務を負う。しかるに、被告会社は、上記のとおり、本件事業に関して原告から提供された資料に示された情報をもとにレキシル提案書その他レキシル事業に関する資料等を作成し、レキシル事業に使用したものと理解される。 具体的には、本件提案書及び のとおり、本件事業に関して原告から提供された資料に示された情報をもとにレキシル提案書その他レキシル事業に関する資料等を作成し、レキシル事業に使用したものと理解される。 具体的には、本件提案書及び本件報告書サンプルは、いずれも本件事業の内容や、 営業手法について記載されたものであり、機密事項であることがそのデータファイルのファイル名等に明記された上で、被告会社に対し、本件事業の販売代理店として営業活動を行う上で必要なものとして原告から提供されたものである。したがって、これらに記載された情報は、「本契約の履行ないし本サービスの遂行過程で取得された相手方の固有の…営業上その他の業務上の情報」すなわち「機密」(本件 契約15 条1 項)に当たる。しかるに、被告会社は、本件契約締結の前後に原告から本件提案書その他の資料の提供を受ける一方で、原告との本件契約締結から約2 か月後に企業情報センターと被告OEM 契約を締結してレキシル事業を開始したところ、レキシル提案書には、本件提案書記載の「Web の専門手法と心理学的知見」という特徴的というべき文言を含め、別紙類似性・情報使用一覧記載の下線部部分の とおり、全く同一の文言を使用した説明箇所が複数存在する。こうした経緯やレキシル事業に関する資料等の記載を踏まえると、被告会社は、少なくとも、原告から取得した本件提案書等をレキシル提案書等の作成に当たって流用ないし参照したものとみるのが相当である。 したがって、被告会社は、本件契約上「機密」とされる原告の固有の「営業上そ の他の業務上の情報」を「本契約の目的以外に使用し」たものといえ、原告に対する本件契約上の機密保持義務に違反したものと認められる。 (2) これに対し、被告会社は、本件契約の機密保持義務の対象は原告の営業情報漏 報」を「本契約の目的以外に使用し」たものといえ、原告に対する本件契約上の機密保持義務に違反したものと認められる。 (2) これに対し、被告会社は、本件契約の機密保持義務の対象は原告の営業情報漏洩防止目的のために合理的に必要な範囲に限られ、不競法2 条6 項の「営業秘密」と同様に、秘密管理性及び有用性のある情報に限定されるところ、資料中の類似す る文言等はこれに当たらない旨など主張する。しかし、本件契約15 条1 項の文言 上、機密保持義務の対象となる情報が「営業秘密」(不競法2 条6 項)に限定されるものと解すべき理由は必ずしもない。その他被告会社が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 3 争点1-3(被告会社の営業手法利用禁止義務違反の成否)被告会社は、本件契約17 条に基づき、原告に対し、本件事業に関して知り得た営 業手法等を使用して自らの法人等の営業活動に利用してはならないとの義務を負う。 被告会社が本件契約に違反して本件事業の情報を流用するなどし、レキシル提案書等を作成したことは、前記2 のとおりである。もっとも、原告主張に係る本件事業に関する営業手法とは、別紙類似性・情報使用一覧の「営業手法」欄記載のものであるところ、本件事業及びレキシル事業のような企業の人材採用時における調査 及び評価提供サービスの営業に当たり、現状の採用の問題点とその原因分析及びこれに対して取るべき対応を説明し、これを踏まえ、提供するサービスの内容及び有用性等を説明するといった営業手法自体は、営業活動一般において共通するものといえる。そうすると、この点について、被告会社に、本件契約に基づく競業避止義務及び機密保持義務違反とは別個に契約上の義務違反が成立するとはいえない。 自体は、営業活動一般において共通するものといえる。そうすると、この点について、被告会社に、本件契約に基づく競業避止義務及び機密保持義務違反とは別個に契約上の義務違反が成立するとはいえない。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 4 争点2(被告会社の品質誤認表示の成否)(1) 事実認定前提事実及び前記各認定事実のほか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア採用フィルター事業について被告OEM 契約によれば、被告会社は、レキシル事業の遂行に当たり、顧客に対し、企業情報センターの採用フィルター事業に関する実績を説明することができる。 また、企業情報センター作成の採用フィルター事業に関する資料(乙4)には、同社につき、「創業34 年情報提供サービスで積み上げてきた信頼と実績」との記載 と共に、令和2 年3 月時点の実績として、「利用企業数1,000 社超」、「レポート 納品数180,000 件超」との記載がある。また、同資料には、採用フィルター事業の内容について、「弁護士監修個人情報保護法への抵触を排除したサービス設計」、「①求職者から個人情報保護取扱の同意取得/②業務委託契約・秘密保持契約の締結」といった記載がある。 イレキシル提案書等の記載 レキシル提案書には、令和3 年3 月時点の導入実績として「利用企業数1,000 社以上」、「レポート納品数180,000 件以上」、「業種・規模を問わず様々な企業様にご活用いただいております。」と記載されていると共に、その下部に、「本サービスは、弊社が別会社から利用許諾権を取得したサービス(以下「基礎サービス」)をもとに、弊社で改良を加えたものとなります。基礎サービスのこれまでの実績は 」と記載されていると共に、その下部に、「本サービスは、弊社が別会社から利用許諾権を取得したサービス(以下「基礎サービス」)をもとに、弊社で改良を加えたものとなります。基礎サービスのこれまでの実績は、 上記のとおりです。」との記載がある。また、被告会社のウェブサイト(甲5 の2、25、31)にも同旨の記載がされているが、令和4 年7 月23 日時点でのウェブサイト(甲31)には、上記実績のみが記載されている。 さらに、PRTIMES 社による記事(甲35)には、「レキシルシリーズ」の「特長」として、「1.今まで延べ1,000 社以上、180,000 以上のレポート納品実績/2.弁護士・ 社労士監修個人情報保護法への抵触を排除し、厚生労働省の指針や、労働基準法にも配慮したサービス設計」などと記載されているが、上記実績が採用フィルター事業の実績であることをうかがわせる記載はない。 (2) 検討ア専門家の監修について 前記各認定事実によれば、被告会社は、被告OEM 契約に基づき、企業情報センターが行う採用フィルター事業に係る報告書に基づき作成した報告書を販売することによりレキシル事業を行っているところ、その基礎となる調査は専ら企業情報センターが行っていることが認められる。換言すれば、レキシル事業におけるサービスの内容をなす実質的な調査等の重要部分は採用フィルター事業に基づくものとい える。また、採用フィルター事業は、本件事業と同様にWEB 調査を含むサービス であり、その調査方法には非公開のデータベースへの照会等を含む上、個人情報保護の観点から弁護士による監修を受けていることが認められる。 以上の点及び企業情報センターによる採用フィルター事業の実績を考慮すると、採用フィルター事業につき タベースへの照会等を含む上、個人情報保護の観点から弁護士による監修を受けていることが認められる。 以上の点及び企業情報センターによる採用フィルター事業の実績を考慮すると、採用フィルター事業につき、企業情報センターは、法令遵守の点も含め、WEB 調査等を一定の専門性に基づいて実施していることがうかがわれる。そうすると、これ を基礎とするレキシル事業について、「Web の専門手法と心理学的知見を用い」、「専門の捜査ノウハウ及び専門プログラムを用い」て調査を行うとしていることをもって、「商品」又は「役務」の「質」及び「内容」について誤認させる表示とまではいえない。この点に関する原告の主張は採用できない。 イレキシルの実績について 前記認定のとおり、採用フィルター事業に係る資料には、企業情報センター及び同事業の実績として、「創業34 年情報提供サービスで積み上げてきた信頼と実績」、「利用企業数 1,000 社以上」、「レポート納品数 180,000 件以上」との記載があるところ、これらの記載が誤りであると認めるに足りる証拠はない。 また、前記のとおり、レキシル事業は、そのサービスの内容をなす実質的な調査 等の重要部分は採用フィルター事業に基づくものであり、かつ、被告会社は、被告OEM 契約に基づいて、採用フィルターの実績をレキシル事業の実績として記載することが許容されている。 そうすると、採用フィルター事業の実績をレキシル事業の実績として記載することをもって、「商品」ないし「役務」の「質」及び「内容」を誤認させる表示とす ることはできない。このことは、被告会社のウェブサイトに、レキシル事業の実績として記載されているものが基礎サービスである採用フィルター事業の実績であることを明示的に示す記載が付されている す ることはできない。このことは、被告会社のウェブサイトに、レキシル事業の実績として記載されているものが基礎サービスである採用フィルター事業の実績であることを明示的に示す記載が付されている場合はもとより、これがない場合であっても異ならない。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 5 争点3(被告Aによる任務懈怠責任の成否) 前記のとおり、被告会社は、代理商としての競業避止義務、本件契約に基づく競業避止義務及び機密保持義務に違反する行為を行ったところ、本件契約締結の前後の経緯に係る前記認定事実によれば、被告Aは、原告に対し、被告会社が本件事業の販売代理店となることを自ら打診し、その説明会に自らも参加した上で本件契約の締結に結び付けた上、その後も、原告従業員に対し、本件事業に関する資料の提 供を数回にわたって求めるなどした。このような被告Aの本件契約締結前後の関与の状況及びその当時被告Aが被告会社の代表取締役であったことに鑑みると、被告Aは、被告会社の役員としてその任務に反して被告会社をして上記各義務違反行為を行わせ、少なくともこれにつき重大な過失があるというべきである。 したがって、被告Aは、役員の第三者に対する損害賠償責任(会社法429 条1 項) を負う。これに反する被告Aの主張は採用できない。 6 争点4(被告会社による本件契約の解除の成否)(1) 令和3 年8 月解除についてア証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、令和3 年7 月29 日付け「ご連絡」(甲21)により、被告会社に対し、本件契約上の義務違反行為を具 体的に指摘すると共に、「再度の請求」としてレキシル事業の中止等を要求したこと、これに対し、被告会社は、同年8 月16 日 連絡」(甲21)により、被告会社に対し、本件契約上の義務違反行為を具 体的に指摘すると共に、「再度の請求」としてレキシル事業の中止等を要求したこと、これに対し、被告会社は、同年8 月16 日付け「ご連絡」(甲22。以下「令和3年8 月通知書」という。)において、原告の上記指摘に反論すると共に、「本件代理店契約の今後について」として、「現状では解除原因は存在せず、解約をする場合90 日前までに書面をもって通知する必要があります。しかし、当社と貴社の間で はレキシル等販売をめぐる紛争が生じており、今後の更なるトラブルを防止するためにも、直ちに本件代理店契約を合意解約することが双方にとって有益であるものと思料致します。つきましては、本件代理店契約の速やかな合意解約を提案させていただきますので、前向きにご検討下さい。」と申し入れたことが認められる。 イ被告会社は、上記申入れをもって、本件契約13 条1 項に基づく解約申入れで あり、その日から90 日が経過した日である同年11 月16 日をもって本件契約は終 了したとして、令和3 年8 月解除を主張する。 しかし、上記申入れは、令和3 年8 月当時、原告と被告会社との間に本件契約に関する解除原因が存在しないこと及び本件契約13 条1 項が90 日前までに書面をもって通知すべき解約申入れに関する規定であることを前提として、なお本件契約につき「直ちに…合意解約すること」を申し入れたものと理解される。すなわち、こ れをもって、書面による申入れから90 日をもって本件契約を解約する趣旨のものとは理解されない。 したがって、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 (2) 期間満了による終了について本件契約12 条は、その契約期間を契約締結日から1 年間と定 解約する趣旨のものとは理解されない。 したがって、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 (2) 期間満了による終了について本件契約12 条は、その契約期間を契約締結日から1 年間と定めつつ、被告会社が 「前条2 項を満たしている場合」すなわち11 条所定の販売代理店資格維持条件を満たしている場合、「さらに1 年間延長されるものとし、以降も同様とする。」と定める。また、自動更新をされない場合をうかがわせる規定は、他に存在しない。 本件において、被告会社が本件契約所定の販売代理店資格維持条件を満たしていないことを認めるに足りる証拠はないから、本件契約は、令和4 年1 月6 日をもっ て自動更新されたものとみられる。 したがって、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 (3) 令和3 年11 月解除についてア証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、令和3 年11 月 22 日付け「通知書」(甲26。以下「令和3 年11 月通知書」という。)において、 本件契約の終了について改めて通知する旨を述べつつ、以下の旨を通知したことが認められる。 ・令和3 年8 月通知書において「解約をご提案いたしました。そのことから同書面が貴職に到達した日の翌日である同年8 月17 日より3 か月経過後の同年11 月16日で本件…契約は解約終了しております。」 ・仮に令和3 年8 月通知書における「解約の意思表示が明確ではなかったとして も、貴社が同年9 月30 日付で通知会社に仮処分を申し立て、同年11 月18 日の双方審尋において、今後本案提起を行うと明言されていることからも両社のビジネスパートナーとしての信頼関係は完全に破綻しています。」・令和3 年8 月通知書において被告会 て、同年11 月18 日の双方審尋において、今後本案提起を行うと明言されていることからも両社のビジネスパートナーとしての信頼関係は完全に破綻しています。」・令和3 年8 月通知書において被告会社から「解約をご提案していることにも併せて考えると、そのような状況下において本件…契約が継続することは信義則に反 すると言わざるを得ず、本件…契約は既に終了しています。」・「以上のことから、本件…契約は現時点で既に終了しており、…令和4 年1 月 6 日以降の更新もございませんのでご承知おき下さい。」イ本件契約13 条1 項の解釈本件契約13 条1 項には、被告会社又は原告は、何らかの事由で本件契約の解約を 行う場合、90 日前迄に被告会社に書面をもって通知するものとし、被告会社又は原告で個別に解約の協議を行うものとする旨規定されている。この規定においては、その文言上、原告が被告会社に対し書面をもって解約の申入れを通知する旨及びその際には被告会社及び原告の間で個別に解約に関する協議を行う旨が規定されているにとどまり、被告会社による解約の申入れの場合並びに個別の協議が実施できな かった場合及び実施したが解約合意の成立に至らなかった場合の取扱いについては、明示的には言及がない。 しかし、まず、本条項は、被告会社又は原告が何らかの事由により本件契約の解約を行う場合に関する規定であることは明示されていることから、その形式的な文言に関わらず、被告会社からの書面による解約申入れも規律対象としているものと 解される。 また、本件契約においては、契約期間の定めはあるものの、所定の事由が発生しない限り自動的に延長されるものとされており(12 条)、契約の解除事由も明示的に定められている(14 条。なお、同条は、その文言上は、所定 においては、契約期間の定めはあるものの、所定の事由が発生しない限り自動的に延長されるものとされており(12 条)、契約の解除事由も明示的に定められている(14 条。なお、同条は、その文言上は、所定の事由が発生した場合の原告の無催告解除権を定めるのみである。)。このため、解約申入れによる解 約権が認められないとすると、本件契約中の条項の文言を形式的に解釈する限り、 12 条及び14 条所定の事由が存在しなければ、本件契約の基礎にある当事者間の信頼関係がいかに破壊されようとも、契約関係を解消する途がないことになりかねない。したがって、本件契約13 条1 項は、契約関係の解消による当事者の不利益をできる限り回避するために90 日前までの書面による解約申入れ及び当事者間の協議を義務付けると共に、協議の成否いかんにかかわらず、申入れから90 日経過後には 契約関係を解約する旨を含意するものと解するのが合理的である。 ウ令和3 年11 月通知書について被告会社は、令和3 年11 月通知書において、同書面による解約の通知を明示的には行っていない。しかし、令和3 年8 月通知書による解約通知の効果として令和3年11 月における本件契約の終了に繰り返し言及していることなどに鑑みると、令 和3 年11 月通知書は、同書面による被告会社の本件契約解約の申入れの趣旨を含むものとみるのが相当である。 そうすると、本件契約は、本件契約13 条1 項に基づき、令和3 年11 月通知書の原告への到達から90 日の期間経過後である令和4 年2 月24 日をもって、解約により終了したもの解される。 エ原告の主張についてこれに対し、原告は、債務不履行等を行った被告会社による本件契約の解除は社会正義に反し、信義則違反(民法 月24 日をもって、解約により終了したもの解される。 エ原告の主張についてこれに対し、原告は、債務不履行等を行った被告会社による本件契約の解除は社会正義に反し、信義則違反(民法1 条2 項)又は権利濫用(同条3 項)に当たり許されない旨などを主張する。確かに、被告会社に債務不履行等があることは原告指摘のとおりであるが、被告会社は、現在、本件事業の販売代理店としての活動を行 っていない。また、被告会社の債務不履行等により原告に発生する損害については損害賠償が認められ得ることなどに鑑みると、被告会社による契約の解約をもって、信義則違反ないし権利濫用として制限すべきものとは必ずしもいえない。原告が被告会社に対し紹介手数料を支払ったことや被告ウェブサイトに本件事業の紹介が掲載されていること、原告と被告会社とのチャットグループが残存していることを考 慮しても、このことは異ならない。 その他原告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する原告の主張は採用できない。 7 争点5(差止請求権の成否)本件契約13 条2 項は、被告会社又は原告が本件契約上の義務を履行しない場合、書面をもってその行為の中止等を求めることができる旨定めるところ、同条項は、 本件契約の終了後も効力が存続するものとはされていない(21 条)。 また、上記のとおり、本件契約は既に解約により終了している。 したがって、仮に13 条2 項が債務不履行の相手方の差止請求権を定めるものと解し得るとしても、原告は、被告会社に対し、本件契約に基づく差止請求権を有しない。また、代理商の競業避止義務違反の場合に差止請求権を認める明文の規定は なく、そもそも、本件契約が既に終了している以上、現時点で被告会社は代理商の地位を失っている 基づく差止請求権を有しない。また、代理商の競業避止義務違反の場合に差止請求権を認める明文の規定は なく、そもそも、本件契約が既に終了している以上、現時点で被告会社は代理商の地位を失っていることから、代理商の競業避止義務に基づく差止請求権も認められない。 これに反する原告の主張は採用できない。 8 争点6(原告の損害及びその額) (1) 「利益の額」(会社法17 条2 項)代理商が競業避止義務(会社法17 条1 項1 号)に違反する行為をした場合、当該行為によって代理商が得た利益の額は、会社に生じた損害の額と推定される(同条 2 項)。ここで、「利益の額」とは、代理商の競業避止義務違反行為による売上高から、代理商においてその役務等を提供することによりその役務等の提供に直接関連 して追加的に必要となった経費を控除した額(限界利益)をいうものと解される。 その際控除されるべき経費は、原則として売上の増加に応じて増加する必要不可欠な変動経費であるものの、代理商の義務違反行為である役務等の提供との個別的な関連性が認められる経費に関しては、個々の売上との直接的な関連性はなくとも、なお控除すべき経費として把握するのが相当である。これに反する原告の主張は採 用できない。 以下では、以上を前提に原告の損害額について検討する。 (2) レキシル事業の売上ア前記のとおり、本件契約は令和4 年2 月24 日をもって解約により終了したことから、損害額算定に当たり対象とすべき売上は、本件契約締結以後レキシル事業の収益が発生した令和3 年5 月から令和4 年2 月24 日までのレキシル事業の売 上額(税込)となる。 企業情報センターの被告会社に対する請求書(乙12~20、23、39、79~90)の記 業の収益が発生した令和3 年5 月から令和4 年2 月24 日までのレキシル事業の売 上額(税込)となる。 企業情報センターの被告会社に対する請求書(乙12~20、23、39、79~90)の記載内容の信用性に疑義を抱くべき具体的な事情は見当たらない。また、レキシル事業の各案件の単価(税込)について、初期費用が11 万円、「レキシル」が1 万5400円、「レキシル+」が6 万6000 円であることは、当事者間に争いがない。 そうすると、レキシル事業に係る被告会社の売上額(税込)は、合計698 万0600円(初期費用242 万円、「レキシル」の売上額60 万0600 円、「レキシル+」の売上額396 万円)であり、その詳細は、別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の「認定」欄記載のとおりである。なお、「レキシル+」は「レキシル」のサービス内容を包含するサービスとみられることから、損害額の算定に当たっては、両者を区別する必 要はないものと考えられる。 イ被告会社の主張について被告会社は、「レキシル」及び「レキシル+」の売上件数につき、企業情報センターの請求書とは異なる件数を主張する(別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の赤字記載部分)と共に、トライアルプランとして実施した案件の初期費用を控除すべ き旨などを主張する。 しかし、まず、採用フィルター事業とレキシル事業との関係に鑑みると、上記のとおり、企業情報センターの請求書の記載内容の信用性に疑義を抱くべき具体的な事情はないのに対し、被告会社の主張に沿う証拠はない。 トライアルプランについては、被告会社が「トライアル」などと称して初期費用 を無料とする運用を行っていることはうかがわれるものの(甲35、乙42、43、45、 47)、実際に特定の案件 アルプランについては、被告会社が「トライアル」などと称して初期費用 を無料とする運用を行っていることはうかがわれるものの(甲35、乙42、43、45、 47)、実際に特定の案件についてその運用が行われたことを裏付けるに足りる的確な証拠はない。 その他被告会社が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する被告会社の主張は採用できない。 (3) 経費の控除 ア前記のとおり、「利益の額」すなわち限界利益の算定に当たっては、競業避止義務違反行為をした代理商による競業行為に直接関連して追加的に必要となった経費を控除すべきところ、別紙「レキシル事業の売上等一覧表」の「企業情報センターの請求額」の「認容額」欄記載の業務委託料合計205 万9600 円(税込)のほか、以下の費用の合計323 万9825 円(税込)を控除すべきである。これに反する原 告及び被告会社の主張はいずれも採用できない。 なお、被告会社は、控除すべき経費の額につき、その主張においては税別額についてのみ具体的に言及するに過ぎないものの、売上額が税込で計算される場合にもなお控除すべき経費額を税別で算定すべき趣旨とは理解し得ないことから、税込額での経費控除を主張する趣旨と解される。 イスマートキャンプ 95 万9200 円証拠(乙26、50)及び弁論の全趣旨によれば、スマートキャンプは、インターネットの各種サービスの比較サイトにおいて顧客の事業を紹介し、その情報を収集・提供するサービスであるボクシルリード等を運営するところ、被告会社は、レキシル事業の顧客獲得のためにそのサービスを利用し、システム利用料及び委託料の合 計95 万9200 円を支払ったことが認められる。したがって、これはレキシル事業との個別的な関連性が認めら レキシル事業の顧客獲得のためにそのサービスを利用し、システム利用料及び委託料の合 計95 万9200 円を支払ったことが認められる。したがって、これはレキシル事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 ウ Innovation 社 9 万9000 円証拠(乙27、51、52)及び弁論の全趣旨によれば、Innovation 社は、法人向けIT製品比較サイト「IT トレンド」や各種事業を動画で紹介して顧客情報を収集する「セ ミナーシェルフ」の運営等を行うところ、被告会社が同社に支払った報酬のうち、 IT トレンドに係る「成果報酬費」合計9 万9000 円は、「IT トレンド」におけるレキシル事業に関する記事に関するものとうかがわれることから、レキシル事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 他方、被告会社がInnovation 社に支払ったその余の費用については、レキシル事業との関連性が証拠上明らかではない。したがって、これらを経費として控除する ことは認められない。 エエコノス 122 万1000 円証拠(乙28、53)によれば、エコノスは、「見込み客自動発掘仕組化サービス」である「マーケアップサービス」を実施するところ、被告会社は、令和3 年7 月から同サービスを利用し、レキシル事業に係る基本利用料及び成功報酬として合計 122 万1000 円を支払ったことが認められる。したがって、これはレキシル事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 オ MyAlarm 社 0 円証拠(乙29、54、55)によれば、MyAlarm 社は、AI によるリード獲得支援サービス「lead められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 オ MyAlarm 社 0 円証拠(乙29、54、55)によれば、MyAlarm 社は、AI によるリード獲得支援サービス「leadDynamics」を運営するところ、被告会社は、同サービスを利用してその 費用を支出したことが認められる。もっとも、その支出がレキシル事業との関連において行われたことを認めるに足りる証拠はない。したがって、これをもって控除すべき経費とすることはできない。 カ PRTIMES 社 9 万9000 円証拠(乙30、57、58)によれば、PRTIMES 社は、事業のプレスリリース等の配 信サービスを行う会社であるところ、被告会社は、同社に依頼して、レキシル事業に係る記事につき、令和3 年5 月11 日、同年9 月28 日及び同年10 月14 日にそれぞれ記事を掲載した。その3 件の対価合計9 万9000 円は、レキシル事業に係る経費として支出されたものと認められる。したがって、これはレキシル事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 キオドック 0 円 証拠(乙59、60)によれば、被告会社がオドックから提供を受けたとされるホワイトペーパー(乙59)とレキシル事業に関する資料(乙60)とは、内容的に共通する部分があることは一応うかがわれる。もっとも、前者は汎用的な内容のものであり、レキシル事業に特化した内容のものではないこと、後者がレキシル事業において実際に使用されたことを認めるに足りる証拠はないことなどに鑑みると、仮に後 者の作成にあたり被告会社が前者を参照したとしても、前者の作成に対する対価支払をもってレキシル事業に係る経費と認めることはできず、控除すべ とを認めるに足りる証拠はないことなどに鑑みると、仮に後 者の作成にあたり被告会社が前者を参照したとしても、前者の作成に対する対価支払をもってレキシル事業に係る経費と認めることはできず、控除すべき経費とはいえない。 ク Facebook 社 0 円証拠(乙32、61~63)によれば、被告会社は、SNS「Facebook」に被告Aをユー ザー、ソルーをパートナーとする「レキシル」名の広告アカウントを開設して広告を掲載していたこと、その対価をFacebook 社に支払ったことが認められる。もっとも、広告の内容自体は証拠上明らかではなく、広告のタイトルからもレキシル事業との関連性は明らかでない。そうである以上、この支払をもってレキシル事業に係る経費と認めることはできず、控除すべき経費とはいえない。 ケソルー 0 円証拠(乙33、63、64)によれば、被告会社は、ソルーに対し、上記Facebook 上の広告アカウントのパートナーとして広告の運用を委託し、その対価を支払ったことが認められる。もっとも、請求書(乙33)ないし被告会社とソルーの間のやり取り(乙64)をみても、これとレキシル事業との関連性を認めることはできない。そも そも、上記のとおり、被告会社のFacebook の広告アカウントに掲載された広告の内容も明らかでない。そうである以上、この支払をもってレキシル事業に係る経費と認めることはできず、控除すべき経費とはいえない。 コ Google 社 20 万6025 円証拠(乙34、65)によれば、被告会社は、Google 社との間で、「レキシルシリー ズ/ビットミックス」名のアカウントを開設して広告利用契約を締結し、広告利用料 合計20 万6025 円を支払ったこと、その明 会社は、Google 社との間で、「レキシルシリー ズ/ビットミックス」名のアカウントを開設して広告利用契約を締結し、広告利用料 合計20 万6025 円を支払ったこと、その明細の摘要欄の記載によれば、その広告がいずれも「レキシル」に関するものであることが認められる。そうすると、この支払はレキシル事業に係る経費として支出されたものであり、同事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 サ福田式研究所 5 万5000 円 証拠(乙35)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、福田式研究所との間で、レキシル事業に係る顧客紹介業務等を委託する契約を締結していたところ、令和4年1 月頃、その「顧客紹介業務手数料」として報酬5 万5000 円を支払ったことが認められる。そうすると、この支払はレキシル事業に係る経費として支出されたものであり、同事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経 費といえる。 シエン京都 6 万4900 円証拠(乙36)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社は、エン京都との間で、レキシル事業に係る顧客紹介業務等を委託する契約を締結していたところ、令和3 年8月頃、そのパートナー報酬6 万4900 円を支払ったことが認められる。そうすると、 この支払はレキシル事業に係る経費として支出されたものであり、同事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 スオンリーストーリー 0 円証拠(乙37、66~68)によれば、オンリーストーリーは、経営者等をWEB 上でマッチングするシステム「チラCEO」を運営するところ、被告会社は、令和3 年7 月にオンリーストーリーとその契約を締結して被告A ~68)によれば、オンリーストーリーは、経営者等をWEB 上でマッチングするシステム「チラCEO」を運営するところ、被告会社は、令和3 年7 月にオンリーストーリーとその契約を締結して被告Aを同システムに登録し、令和 3 年8 月~令和4 年1 月末の間、報酬合計154 万円(月額22 万円)を支払った。しかし、その申込書(乙37)には、当該報酬がレキシル事業に関するものであることは記載されておらず、その他の資料の内容を見ても、その支払がレキシル事業との関連においてされたものであることを認めるに足りる証拠はない。このため、この 支払をもってレキシル事業に係る経費と認めることはできず、控除すべき経費とは いえない。 セシステナ 47 万5200 円証拠(乙38、40、69)によれば、システナは、被告会社がレキシル事業において顧客等との履歴書等のデータのやり取りに用いるサービス「アクティブドライブ」を運営しているところ、その対価として、被告会社は、システナに対し、令和3 年 月頃、合計47 万5200 円を支払ったことが認められる。そうすると、この支払はレキシル事業に係る経費として支出されたものであり、同事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 ソジャストシステム 6 万0500 円証拠(乙58、70)によれば、被告会社は、ジャストシステムに対し、採用面接や 中途入社者に関する経営者に対するアンケート調査業務を委託し、その報酬6 万 0500 円を支払ったこと、同アンケート結果につき、PRTIMES 社によるプレスリリース(甲58)において、「採用リスク回避ツール」である「レキシル」事業を手掛ける被告会社が調査を実施したものとして紹介していることが と、同アンケート結果につき、PRTIMES 社によるプレスリリース(甲58)において、「採用リスク回避ツール」である「レキシル」事業を手掛ける被告会社が調査を実施したものとして紹介していることが認められる。そうすると、その報酬支払は、被告会社によるレキシル事業の宣伝広告の一環として支出 されたものと理解するのが相当である。したがって、この支払はレキシル事業との個別的な関連性が認められるものといってよく、控除すべき経費といえる。 (4) 競合品の存在等について被告会社は、本件事業とレキシル事業は業態を異にすること、本件事業と競合する商品が市場に複数存在することなどから、被告会社の利益と原告の損害との間に 相当因果関係がない旨主張する。 しかし、前記のとおり、本件事業とレキシル事業は競業関係にある類似の事業といえるのであって、業態を異にするとはいえない。また、確かに、本件事業に係る「代理店様向け Q&A」(甲8)には、本件事業と同様のサービスを開始する企業が出始めている旨の記載があり、かつ、証拠(乙71~78)によれば、求職者につき 本件事業及びレキシル事業のWEB 調査及び第三者チェックと同様の調査を行うサ ービスを複数社が提供していることが認められることから、本件事業及びレキシル事業に競合するサービスは市場に複数存在するとみられる。もっとも、当該サービスの市場におけるシェア等は明らかでないことなどに鑑みると、競合商品の存在をもって被告会社の利益と原告の損害との間の因果関係の全部を否定することはできず、損害額の推定の部分的な覆滅を認めることもできない。この点に関する被告会 社の主張は採用できない。 (5) 小括ア以上より、被告会社の代理商としての競業避止義務に違反する行為によって 、損害額の推定の部分的な覆滅を認めることもできない。この点に関する被告会 社の主張は採用できない。 (5) 小括ア以上より、被告会社の代理商としての競業避止義務に違反する行為によって原告に生じた損害の額は、レキシル事業の売上額合計698 万0600 円から経費合計 529 万9425 円(企業情報センターの委託料205 万9600 円及びレキシル事業の販売 に直接必要となる経費323 万9825 円)を控除した限界利益である168 万1175 円と推定される。 イ本件契約19 条によれば、契約違反行為により相手方に損害を与えた場合、その弁護士費用を賠償すべき責任が生じるところ、義務違反行為と相当因果関係にある弁護士費用は、16 万8117 円を下らない したがって、原告は、被告会社に対し、代理商としての競業避止義務違反に基づき、184 万9292 円の損害賠償請求権及びこれに対する令和3 年5 月11 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 (6) その他の義務違反に基づく損害についてア本件契約上の競業避止義務違反に基づく損害賠償請求について 原告は、逸失利益に係る損害のほか、信用毀損に係る損害の発生を主張する。しかし、被告会社のレキシル事業実施により本件事業の顧客奪取が発生したこと、その結果本件事業の販売代理店に対する原告の信用が損なわれたことをうかがわせる具体的な事情の存在は証拠上認められない。 また、被告会社の代理商としての競業避止義務違反に基づく損害を超えて本件契 約上の競業避止義務違反に基づく損害が発生したことをうかがわせる具体的な事情 の存在も、証拠上認められない。 以上より、この点に関する原告の主張は採用できない。 イ本 件契 約上の競業避止義務違反に基づく損害が発生したことをうかがわせる具体的な事情 の存在も、証拠上認められない。 以上より、この点に関する原告の主張は採用できない。 イ本件契約上の機密保持義務違反に基づく損害賠償請求についてまず、本件契約の解約による終了前については、被告会社の代理商としての競業避止義務違反に基づく損害を超えて本件契約上の機密保持義務違反に基づく損害が 発生したことをうかがわせる具体的な事情の存在は、証拠上認められない。 また、本件契約上、機密保持義務については契約終了後も存続する旨の規定が存するところ(15 条6 項、21 条)、同条にはその存続期間に関する定めがないことなどに鑑みると、そもそもその効力につき疑義なしとしない。その点を措くとしても、本件契約終了後において、レキシル事業に係る被告会社の営業活動を通じた顧客獲 得に起因して本件事業の顧客獲得機会を原告が喪失したことなど、原告に損害が発生したことをうかがわせる具体的な事情の存在は、証拠上認められない。すなわち、仮に原告に何らかの損害が発生していたとしても、それと被告会社の本件契約上の機密保持義務違反行為との間の相当因果関係を認めることはできない。 信用毀損の損害については、競業避止義務違反の場合と同様である。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 (7) 被告Aの任務懈怠責任について被告Aの任務懈怠行為による原告の損害については、会社法17 条2 項の適用はないものの、被告会社の法令上の義務違反行為に関する任務懈怠責任であることに鑑みると、被告会社の場合と同額の賠償責任を負うと考えるのが相当である。 したがって、原告は、役員の第三者に対する損害賠償責任(会社法429 条1 項)とし に関する任務懈怠責任であることに鑑みると、被告会社の場合と同額の賠償責任を負うと考えるのが相当である。したがって、原告は、役員の第三者に対する損害賠償責任(会社法429条1項)として、被告Aに対し、184万9292円の損害賠償請求権及びこれに対する令和3年月11日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。これに反する原告及び被告Aの主張はいずれも採用できない。 第4 結論 よって、原告の請求は、主文の限度で理由があるからその限度でこれを認容し、その余の請求は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 石井奈沙 裁判官 志摩祐介 別紙当事者目録 原告ソルナ株式会社 同訴訟代理人弁護士宮島渉平 井孝典高瀬則之 同訴訟復代理人弁護士荻野亮佑 被告株式会社ビットミックス(以下「被告会社」という。) 被告A(以下「被告A」という。) 被告ら訴訟代理人弁護士瀧井喜博 被告 A(以下「被告A」という。) 被告ら訴訟代理人弁護士瀧井喜博隅田 唯森本 禎稲生貴子前 川 恵利子 (別紙) 類似性・情報使用一覧 項目ネットの履歴書レキシル事業サービスの概要・内定前にWeb の専門手法と心理学的知見を用い、人物の健全度(『犯罪歴』『トラブルリスク』を含む)を確認するサービス。(甲12)・履歴書・職務経歴書と面接といった選考過程における従来の判断軸に、ネットの履歴書のレポートを加えることで、従来発見することが難しかった対象者の健全度を確認することができる。(甲8)・最適な人材を採用できるよう通常の合否判断(書類選考+面接)に、プラス材料としてWeb の専門手法と心理学的知見を用い、人物評価をするサービス。(甲16)・従来の書類選考と面接といった従来の選考過程にプラス材料として本件類似事業による調査レポートを加えることで、採用リスクを回避することができる。(甲4、5、16)調査対象専門の捜査ノウハウ及び専門プログラムを用い以下対象を調査します・SNS 情報Twitter・Facebook・Instagram・個人ブログ・SNSに紐づけられる関係アカウントの調査よる本人判定・各種ニュースサイトネットニュース及び大手紙・地方紙における報道歴・各種掲示板・既に消された情報専門の ram・個人ブログ・SNSに紐づけられる関係アカウントの調査よる本人判定・各種ニュースサイトネットニュース及び大手紙・地方紙における報道歴・各種掲示板・既に消された情報専門の捜査ノウハウ及び専門プログラムを用い、以下対象を調査します。 ・SNS 情報Twitter、Facebook、Instagram、個人ブログ、SNSに紐づけられる関係アカウントの調査による本人判定・各種ニュースサイトネットニュース及び大手紙、地方紙における報道歴・各種掲示板・既に消された情報 犯罪報道集約掲示板、雑談、地方版掲示板等、削除された情報の履歴、魚拓サイト、ディープウェブ、ダークウェブ等氏名・メールアドレスの名づけ法則(ニックネームやペットの名前)・生年月日・住所・出身校・部活動・クラブ活動情報・アナグラム等を用い、匿名アカウントの一部も収集(甲12)犯罪報道集約掲示板、雑談、地方版掲示板等、削除された情報の履歴、魚拓サイト等 氏名、メールアドレスの名づけ法則(イニシャルやニックネーム等)、生年月日、住所、部活動出身校、等から、匿名アカウントの一部も収集(甲5 の2、16)受託業務上記調査対象を基に、対象者の情報を収集し、レポートの形で委託者に納品する。(甲9、13等)上記調査対象を基に、対象者の情報を収集し、レポートの形で委託者に納品する。(甲4、5、16、17)レポートの記載事項 ・氏名・性別・生年月日・年齢・最終学歴・実施日・現住所・最終職歴・該当SNS アカウント、フォロワー、信憑性・懸念事項の有無、内容並びに程度(「ネガティブな要素」及 ・性別・生年月日・年齢・最終学歴・実施日・現住所・最終職歴・該当SNS アカウント、フォロワー、信憑性・懸念事項の有無、内容並びに程度(「ネガティブな要素」及び「注意すべき投稿」)・ポジティブな事項・所感・総合判定(甲13)・氏名・性別・生年月日・年齢・最終学歴・実施日・現住所・最終職歴・該当SNS アカウント、信用性・懸念事項の有無、内容並びに程度 ・所感(「所見」)・総合判定(「懸念度」)(甲26) 営業手法次の1~3 に沿って、「Why」、「What」、「How」で説明する。 1 インターネットの普及により従業員の炎上トラブル等について会社が責任を負う時代になっていることを、実例を交えて説明する。 2 上記1 のリスクをなくすためには、採用時点で求職者の適性・リスクを十分に把握する必要があるが、従来の採用プロセス(書類審査と面接)だけではその把握には限界があることを説明する。そのうえで、ネットの履歴書であれば従来の採用プロセスでは見えない適性やリスクを把握できるようになることを示す。 3 実際に、ネットの履歴書によって一定割合の求職者等の適性やリスク上の問題が発見されたことを具体的な数字で示し、ネットの履歴書の実績や必要性の説明を補強する。 (甲12)次の1~3 に沿って、「Why」、「What」、「How」で説明する。 1 インターネットの普及により従業員の炎上トラブル等について会社が責任を負う時代になっていることを、実例を交えて説明する。 2 上記1 のリスクをなくすためには、採用時点で求職者の適性・リスクを十分に把握する必要があるが、従来の採用プロセス( いて会社が責任を負う時代になっていることを、実例を交えて説明する。 2 上記1 のリスクをなくすためには、採用時点で求職者の適性・リスクを十分に把握する必要があるが、従来の採用プロセス(書類審査と面接)だけではその把握には限界があることを説明する。そのうえで、ネットの履歴書であれば従来の採用プロセスでは見えない適性やリスクを把握できるようになることを示す。 3 実際に、ネットの履歴書によって一定割合の求職者等の適性やリスク上の問題が発見されたことを具体的な数字で示し、ネットの履歴書の実績や必要性の説明を補強する(甲17)主な対象顧客人材採用を検討している事業主人材採用を検討している事業主価格(税込)及び納期・初期費用:110,000 円・調査費用:16,500 円/人・納期:データ受付より最大4営業日・初期費用:110,000 円・調査費用:66,000 円/人・納期:3 営業日後 ・お急ぎ時オプション:追加料金5,000 円/人、納期はデータ受付より24 時間以内(甲12)・別途追加料金で特急対応有(甲16)調査に必要な物・履歴書・職務経歴書・対象者についての情報(甲9)・履歴書・職務経歴書・面接時の情報(甲16) 別紙レキシル事業の売上等一覧表省略
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