平成12(行ウ)43 不動産取得税賦課処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年9月19日 横浜地方裁判所 租税
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判決文本文17,673 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 被告が,原告に対し,平成11年7月1日付けでした不動産取得税賦課決定処分(平成11年度7月随時処分。税額145万3200円,納期限同月15日。以下「本件賦課決定処分」という。)を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁主文同旨第2 事案の内容 1 概要本件は,京浜急行電鉄株式会社(以下「京急」という。)が,宅地造成工事を行うに際し,原告から土地の提供を受け,同工事終了後,別の土地を返還し,その所有権を移転したところ,原告の同土地の取得に対し,本件賦課決定処分がされたことから,原告が,被告に対し,同処分の取消しを請求した事案である。 2 前提事実(証拠の記載のない事実は争いがない。証拠の記載のある事実は当該証拠により認められる事実である。書証の成立は弁論の全趣旨により認められる。)(1) 原告は,平成元年6月16日当時,下記の土地(以下「本件提供土地」という。)を所有していた。 記所在神奈川県横須賀市α1672番1地目畑地積 720平方メートル(2) 原告は,同日,京急との間で,次の内容の住宅地造成等に関する契約を締結した(甲1,以下「本件住宅地造成契約」という。)。 ア原告は,京急の主催する観音崎第2期宅地造成工事(以下「本件造成工事」という。)に参加して,京急に対し,本件提供土地のうち151.40平方メートルの土地を無償で提供する。 イ京急は,本件提供土地のうち,アの部分を除いた568.60平方メートルにつき,本件造成工事を行い,同工事終了後,原告に対し,同部分の面積に相当する面積の土地を返還する。 土地を無償で提供する。 イ京急は,本件提供土地のうち,アの部分を除いた568.60平方メートルにつき,本件造成工事を行い,同工事終了後,原告に対し,同部分の面積に相当する面積の土地を返還する。 ウ原告は,本件提供土地につき,本件住宅地造成契約締結後直ちに京急に対する所有権移転請求権仮登記手続を行い,その農地転用の許可後に上記仮登記に基づく本登記手続を行うものとし,京急は,本件造成工事が完了し,原告に返還すべき土地の新地番が確定された後,同土地につき,原告に対する所有権移転登記手続をする。 (3) 原告は,本件住宅地造成契約に基づき,平成元年6月29日,本件提供土地につき,同月16日交換予約を原因とする京急に対する所有権移転請求権仮登記手続をし,平成5年8月20日,同年7月14日交換を原因とする京急に対する所有権移転登記手続をした(甲4)。 (4) 京急は,平成10年11月8日に原告に対し,下記の土地(以下「本件返還土地」という。)を本件住宅地造成契約に基づいて返還する土地とする旨を通知し(甲2),同月9日に同土地につき,民法646条2項による移転を原因として原告に対する所有権移転登記手続(ただし,同所同番50の土地は持分移転登記手続)をした(甲5の1から4)。 記ア所在神奈川県横須賀市α1583番47地目宅地地積 160.19平方メートルイ所在同所同番48地目宅地地積 161.72平方メートルウ所在同所同番49地目宅地地積 161.28平方メートルエ所在同所同番50地目宅地地積 170.82平方メートルのうち持分2分の1(5)被告は,平成11年7月1日,原告に対し,本件返還土地につき,本件賦課決定処分をした。 (6)審査請求等 同所同番50地目宅地地積 170.82平方メートルのうち持分2分の1(5)被告は,平成11年7月1日,原告に対し,本件返還土地につき,本件賦課決定処分をした。 (6)審査請求等原告は平成11年8月20日に本件賦課決定処分につき神奈川県知事Aに対し審査請求をし,同知事は平成12年8月1日に同請求を棄却する裁決をし,原告は同月31日に本訴を提起した。 3 主な争点本件賦課決定処分の適否(具体的には,不動産取得税の課税要件としての「取得」の有無,同税の非課税要件該当性の有無,同非課税規定の準用の有無) 4 争点に関する当事者の主張(1) 被告の主張ア不動産取得税の課税要件該当性地方税法(以下「法」という。)73条の2第1項に定める不動産取得税は,不動産の取得があったときに,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に対し,不動産の移転の事実自体に着目して課せられるものであって,不動産の取得者がその不動産を使用,収益,処分することにより得られるであろう利益に着目して課せられるものではない。したがって,「不動産の取得」とは,不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かに関係なく,所有権移転の形式による不動産の取得のすべてを含むと解するべきである(最高裁昭和48年11月16日第2小法廷判決)。 本件においては,原告が本件返還土地を取得したとの事実があり,同取得は,法における非課税規定のいずれにも該当しないことから,被告は本件賦課決定処分をしたのであり,同処分は適法である。 イ原告の主張に対する反論(ア) 実質的な所有権移転の不存在を理由とする非課税の主張について原告は,「本件返還土地の取得は,法で非課税とされている土地区画整理事業や土地改良事業における換地の取得や信託又は譲渡担保と同様の形 ア) 実質的な所有権移転の不存在を理由とする非課税の主張について原告は,「本件返還土地の取得は,法で非課税とされている土地区画整理事業や土地改良事業における換地の取得や信託又は譲渡担保と同様の形式的な所有権の移転であるから,非課税とすべきである。」旨を主張する。 しかし,不動産取得税をどのような場合に非課税とするかは立法政策の問題であるし,法は,73条の2第1項で,原則として一切の不動産の取得に対する課税を規定した上で,その例外として非課税の場合を73条の3から7に限定的に規定しているのであるから,租税法律主義の観点からすれば,非課税規定についてみだりに拡張適用することは許されない。課税対象の例外を事案により類推し,課税するか否かの権限を課税当局に認めることは,かえって課税行為を恣意的にすることになる。したがって,不動産の取得については,法で非課税と規定されている場合でなければ課税すべきであって,原告の本件返還土地の取得は,法の規定する非課税の場合には該当しないのであるから,これを非課税とすべき理由はなく,原告の主張は失当である。 (イ) 「土地区画整理事業との類似性を理由とする非課税の主張について原告は,「本件住宅地造成契約に係る事業は,実質的には非課税とされている土地区画整理事業と同じであるから,非課税の扱いを受けるべきである。」旨を主張する。 しかし,土地区画整理事業は,土地区画整理法に基づき,都市計画区域内の土地について,公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を目的として,土地の区画形質の変更,公共施設の新設等を行う事業であって,各土地の所有権の帰属を変更することなく実際の対象土地を変動させる法律的技法である点に大きな特徴があり,事業主体となる土地区画整理組合を設立しようとする者は,7人以上共同して定款及び事業計画を定 ,各土地の所有権の帰属を変更することなく実際の対象土地を変動させる法律的技法である点に大きな特徴があり,事業主体となる土地区画整理組合を設立しようとする者は,7人以上共同して定款及び事業計画を定め,組合設立について都道府県知事の認可を受けなければならない等,公共的事業として種々の制約がある。そして,非課税とされるのは,土地取得が土地区画整理事業という公共的事業のために取得者の意思のいかんを問わず行われるものであり,その不動産の所有権の移転に担税力を見出して課税することは適当でないと考えられるからである。原告の主張するように,山林や農地の開発分譲の場合の所有権移転はすべて課税すべきではないとすれば,粗悪なミニ開発分譲にすら課税すべきではないことになり不合理である。したがって,本件住宅地造成契約に係る事業を土地区画整理事業と同視することはできず,区画整理事業との類似性は,原告の本件返還土地の取得を非課税とすべきことの根拠とはなり得ない。 (ウ) 譲渡所得課税不発生との対比からする非課税の主張について原告は,「原告の本件返還土地の取得につき,譲渡所得に係る所得税が課せられなかったので,不動産取得税も非課税とされるべきである。」旨を主張する。 しかし,不動産取得税は,不動産の取得者がその不動産を使用,収益,処分することにより得られるであろう利益に着目して課税されるものではなく,不動産の移転の事実自体に着目して課税される地方税である。他方,譲渡所得に係る所得税は,資産の譲渡による経済的利益に着目して課税される国税である。このように,両者は,課税の主体,客体,課税趣旨をそれぞれ異にしているから,譲渡所得に係る所得税が非課税になったからといって,不動産取得税の課税処分が違法となることはない。 (エ)京急の本件提供土地取得の際の取得税の非課税との対 ,客体,課税趣旨をそれぞれ異にしているから,譲渡所得に係る所得税が非課税になったからといって,不動産取得税の課税処分が違法となることはない。 (エ)京急の本件提供土地取得の際の取得税の非課税との対比からする非課税の主張について原告は,「京急が本件提供土地を取得する際,課税されなかったから,原告の本件返還土地の取得も非課税とされるべきである。また,京急が本件提供土地を取得した年の翌年度である平成6年度の横須賀市の固定資産課税台帳の価格によれば,本件提供土地の同年度の課税標準は,課税すべき価格にまで達している。京急が平成5年に本件提供土地を取得したのに,不動産取得税を課されなかったのは,課税標準が課税すべき価格に達していなかったからではなく,国税において,譲渡として取り扱わない一団の土地の一部であるからである。」と主張する。 しかし,固定資産税においては,課税標準となる価格の据置制度が設けられており,3年置きに基準年度が設定されているので,京急が本件提供土地を取得した平成5年度は,平成3年度の価格を基準とすることになった。その結果,平成5年度の本件提供土地の課税標準が課税すべき価格に達していなかったため,京急の本件提供土地の取得に課税されなかったのである。原告の主張は誤りである。 (2)原告の主張ア不動産取得税の課税要件としての不動産の流通移転(不動産取得税の趣旨)(ア) 不動産取得税は流通税の1つであり,不動産の流通移転した事実に着目して,その流通移転した不動産の価額を課税標準として課税するものであるから,不動産の所有名義の変更が流通移転であると評価できるかが課税の是非を決する基準である。ところが,本件では,次の理由から原告の本件返還土地の取得には流通移転はなく,これに不動産取得税を賦課することはできない。 (イ) 法73条の3か であると評価できるかが課税の是非を決する基準である。ところが,本件では,次の理由から原告の本件返還土地の取得には流通移転はなく,これに不動産取得税を賦課することはできない。 (イ) 法73条の3から7の不動産取得税の非課税に関する規定のうち,土地区画整理事業の施行の場合,改良行為の場合,信託又は譲渡担保による目的不動産の返還の場合の規定は,法的に流通移転と評価することができず,「不動産の取得」には該当しない場合の例示規定である。したがって,法に規定がない場合でも,実質的に不動産の流通移転と評価できない場合は課税すべきではない。 (ウ) 被告は,最高裁の判例を引用して,不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かに関係なく,所有権移転の形式により不動産を取得する場合はすべて不動産取得税が課されると主張する。 しかし,同判例は,譲渡担保による不動産の所有名義の移転が課税対象となるかどうかが争われた事件についてのものであるところ,同判例の判断は,譲渡担保の法的性格からみて行き過ぎであるとの批判が強く,担保設定の日から2年以内に目的不動産が担保設定者に返還されたときは,譲渡担保設定者と権利者との間の権利の移転も返還も非課税とする旨の立法もされている。 イ土地区画整理事業による換地の取得の場合又は土地改良行為との類似性を理由とする非課税(ア) 土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得は非課税とされているが(法73条の6第3項),その理由は,土地区画整理事業においては,事業施行者が,その計画地域の土地所有者等の委任等を受けて造成工事を行い,新たな土地区画を決定後,従前の土地の一切の権利が同一性をもって換地に承継されるもので,換地の取得は,土地区画整理事業の施行のためのものであって,土地の譲受け自体を目的とするもの て造成工事を行い,新たな土地区画を決定後,従前の土地の一切の権利が同一性をもって換地に承継されるもので,換地の取得は,土地区画整理事業の施行のためのものであって,土地の譲受け自体を目的とするものではなく,これを土地の流通と評価して,流通に着目した担税力を見出し得ないからである。 また,土地所有者が自己の土地に改良行為をしても,不動産取得税は課されず,他の土地所有者と共同して改良行為を行う場合でも,土地の位置に移動がなければ,不動産取得税は課されず,複数の土地所有者が,土地改良法の事業として,共同して土地改良行為を行う場合は,土地の位置に移動があっても不動産取得税は課されない(法73条の6第1項)。これは,土地改良事業が,公共的事業であることによるのではなく,土地所有者の共同の土地改良行為のためのものであって,土地の譲受け自体を目的とするものではないから,実際に土地の位置の移動があっても,これを土地の流通移転と評価して,そこに流通に着目した担税力を見出すことができないからである。 (イ) 本件提供土地及び本件返還土地は,横須賀市都市計画地区計画事業の対象区域の範囲内にあったが,事業規模や関係する土地所有者が少なかったことから,本件造成工事は,公法人である土地区画整理事業組合を設立することなく,京急を事業主体として,京急所有地と共に,原告及び他の者の所有する土地も対象とすることとなった。原告は,本件造成工事の目的遂行に必要な一切の行為を京急に委任し,原告所有地と京急所有地とを一体として住宅地の造成をするという目的を円滑に達成するために,本件提供土地の所有権を形式的に京急に移転し,本件造成工事による土地区画の決定等の手続の完了後に,本件返還土地の所有権の移転を受けたのであり,上記の権利移転は等価で行われている。したがって,本件造成工事は 土地の所有権を形式的に京急に移転し,本件造成工事による土地区画の決定等の手続の完了後に,本件返還土地の所有権の移転を受けたのであり,上記の権利移転は等価で行われている。したがって,本件造成工事は,実質的には,土地区画整理事業と同一の目的を持ち,同一の効果を発生させるものと評価できるし,原告の本件返還土地の取得は,換地の取得同様,土地の譲受け自体を目的としたものではなく,そこに担税力は見出されない。 また,本件住宅地造成契約に基づく原告から京急に対する本件提供土地の譲渡及び京急から原告に対する本件返還土地の譲渡は,原告と京急との共同の土地改良行為の一つの過程であるとも評価でき,土地の譲受け自体を目的とするものではなく,担税力を有するような実質的な不動産の流通移転はない。 したがって,原告の本件返還土地の取得は,実質的には土地区画整理法に基づく土地区画整理事業による換地又は土地改良行為と同じであると評価でき,土地の譲渡それ自体を目的とするものではなく,担税力のある不動産の流通と評価することはできない。 ウ信託,譲渡担保の目的不動産の返還の場合との類似性を理由とする非課税法73条の7第3号から5号,8号等は,信託,譲渡担保による所有権の移転の場合は,非課税とする旨規定しているが,これは,これらの場合における所有権の移転が形式的なものであり,経済的目的達成のための単なる手段にすぎず,そこに流通に着目した担税力を見出し得ないからである。そして,信託や譲渡担保の設定という「往路」が非課税となる以上,受託者や担保権利者から信託者や担保設定者への返還という「復路」も非課税とするのが道理である。 本件における原告による本件返還土地の取得は,原告が本件住宅地造成契約により京急に対し住宅地造成を委任したことによるのであり,信託類似の受託財産の返還 いう「復路」も非課税とするのが道理である。 本件における原告による本件返還土地の取得は,原告が本件住宅地造成契約により京急に対し住宅地造成を委任したことによるのであり,信託類似の受託財産の返還と同様に考えるべきである。登記原因が「民法646条2項による移転」とされているのも,そのためである。したがって,本件返還土地の取得は,信託,譲渡担保の際の目的不動産の返還の場合と同様に考えて,非課税とすべきである。 エ譲渡所得課税不発生との対比からする非課税所得税法基本通達33-6の7は,土地区画整理法及び土地改良法等の規定による場合を除く宅地造成契約において,従前の土地と異なる土地を取得することとなった場合でも,従前の土地と返還された土地とが等価であるときは,譲渡がなかったものとして取り扱う旨規定し,現に,原告は,本件返還土地の取得について,譲渡所得の課税をされていない。 このことからしても,原告の本件返還土地の取得は,譲渡がなかったものとして取り扱われるべきであり,法律的に不動産の流通による取得と評価することはできないので,不動産取得税も課されるべきではない。 オ京急の本件提供土地取得の際の取得税の非課税との対比からする非課税京急は,原告から本件提供土地の所有権が移転される際,不動産取得税を課されていないから,京急から原告に対する本件返還土地の所有権移転についても課税されるべきではない。 なお,被告は,京急が課税されなかったのは,課税標準が10万円に満たなかったからであると主張する。しかし,平成3年度における神奈川県横須賀市の土地課税台帳における本件提供土地の価格は3万0900円であるものの,平成6年度は2822万4000円であり,京急が本件提供土地を取得した平成5年度については台帳価格が存在しない。したがって,京急に対する非課税 における本件提供土地の価格は3万0900円であるものの,平成6年度は2822万4000円であり,京急が本件提供土地を取得した平成5年度については台帳価格が存在しない。したがって,京急に対する非課税は,課税標準が過小であったからではなく,国税において,京急の本件提供土地の取得を譲渡として取り扱わないこととしたからにほかならない。 カまとめ(不動産取得税の非課税要件該当性)したがって、原告の本件返還土地の取得について不動産取得税を賦課した本件賦課決定処分は,課税すべきでない不動産の移転に課税したものであって,違法である。 第3 当裁判所の判断 1 不動産取得税の課税要件(法73条の2以下の規定の趣旨)(1) 不動産取得税の性格自己の意思により不動産の所有権を取得することは,自己の資産に,新たに不動産という財産を増加させることであるところ,そのように不動産という財産の増加を目的とする行為をする者には,その取得が有償であっても,一般に担税力があると推定することもあながち不当ではない。不動産取得税は,このような不動産の所有権の移転があれば,所有する不動産の増加があり,そこに担税力の存在を推定することができるとし,その所有権の移転自体に着目して,課税することとしたものであり,いわゆる流通税に該当する。すなわち,不動産取得税は,納税者の実質的な経済的利益に着目して課税される所得税等とは異なり,また,不動産の所有権の移転を受けた者が,その後に,当該不動産を使用,収益,処分すること等により実質的に経済的利益を得るであろうことを前提として,当該不動産によりもたらされる経済的利益に担税力を見出して課税されるものでもない。不動産取得税は,不動産取得により経済的利益がもたらされるか否かにかかわらず,不動産の所有権の移転の事実さえあれば,同事実に着目し りもたらされる経済的利益に担税力を見出して課税されるものでもない。不動産取得税は,不動産取得により経済的利益がもたらされるか否かにかかわらず,不動産の所有権の移転の事実さえあれば,同事実に着目して課税されるものである。 (2) 「不動産の取得」の意義法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは,他に特段の規定がない以上,不動産の所有権の取得を意味するものと解するのが相当であるところ,前記(1)で述べたとおり,不動産取得税は,不動産の所有権の移転の事実自体に着目して課税されるものであることからすれば,「不動産の取得」とは,取得原因,目的,取得の有償,無償を問わず,また不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かに関係なく,所有権移転の形式による不動産の取得のすべての場合を含むと解するのが相当であり,必ずしも当該不動産を取得した結果,資産の増加又は経済的利益の増加を生じる場合のみを指すものではないと解するべきである(最高裁昭和48年11月16日第1小法廷判決・民集27巻10号1333頁,同昭和53年4月11日第3小法廷判決・民集32巻3号583頁,同昭和45年10月23日第2小法廷判決・集民101号163頁,同昭和48年11月2日第2小法廷判決・集民110号385頁,同法廷同日判決・集民110号399頁参照)。これは,法が,相続,法人の合併・分割について,「次の各号に掲げる不動産の取得」に対しては,不動産取得税を課すことができないと規定し(73条の7第1項各号),このような財産の包括承継があり,形式的に所有権が移転する場合も「不動産の取得」に該当するとしていることからもうかがえる。 なお,不動産所有権の実質的な移転が生じ,これにより,不動産取得者が,当該不動産を使用,収益,処分することができ,実質的に資産が増加し,あ 不動産の取得」に該当するとしていることからもうかがえる。 なお,不動産所有権の実質的な移転が生じ,これにより,不動産取得者が,当該不動産を使用,収益,処分することができ,実質的に資産が増加し,あるいは経済的利益を得た場合にのみ,「不動産の取得」に該当するという方が納税者感情に合致するとの考え方もあろうが,どのような場合に課税するかは立法政策である。前記(1)で述べたとおり,不動産取得税は,不動産の形式的な所有権の移転の事実そのものに着目して課税する特質を有するものとして制定された流通税であるから,このような不動産取得税の趣旨からすれば,不動産「取得」の意味についても,前記のとおりに解するのが相当である。 (3)不動産取得税に関する非課税規定の趣旨及び内容ア法は,73条の2第1項において,すべての「不動産の取得」について一般的に課税する旨規定したうえで,73条の3以下において政策的に非課税とすべき場合についての除外規定を置いている。 この点に関し,原告は,法73条の3以下の非課税とすべき場合の規定は,所有権の移転があってもそれが形式的で,課税すべきでない場合の例示列挙であり,そこに規定された場合と類似の場合は,課税すべきではないと主張する。 そこで,税法規定の解釈指針となる租税法律主義の内容を検討する。 イ租税法律主義(憲法84条)は,課税の賦課徴収に関する規定を,国民の代表機関である国会の制定した法律中に厳格詳細に規定することにより,課税庁の恣意的な法の解釈,適用及び運用,執行を阻止し,もって国民の権利を擁護し,国民主権(憲法1条)を実現させようとしたものである。そのため,納税義務者,課税標準等の課税要件及び租税の賦課徴収の手続は,法律により定められなければならず(課税要件法定主義),課税要件は,実定法上内容が多義的ではなく明確 現させようとしたものである。そのため,納税義務者,課税標準等の課税要件及び租税の賦課徴収の手続は,法律により定められなければならず(課税要件法定主義),課税要件は,実定法上内容が多義的ではなく明確な規定が置かれなければならない(課税要件明確主義,自由裁量の排除)。これにより,課税庁は,税法の規定するところに従って納税者から租税の賦課徴収をしなければならず,課税庁の恣意的判断によって税法が解釈適用されてはならないことが要請される。 したがって,税法の規定においては,不確定概念,概括条項,自由裁量規定を導入することはできず,その解釈においても,とりわけ厳格な解釈が要請され,拡張解釈,類推解釈は禁止されるものと解するべきである。 この点に関連し,納税者の負担を拡大する方向で,税法の規定を拡大解釈又は類推解釈することはできないが,納税者に有利に,その負担を軽減する方向において,拡大解釈又は類推解釈することは禁止されないという見解もある。しかし,たとえ納税者に有利な方向の解釈であっても,解釈の幅を広げることにより,課税庁の恣意的な解釈を許すことになるし,本来課税されるべき場合において課税されない者が出現してしまうことにより,税負担の公平性が損なわれてしまうので,このような解釈をとることはできない。したがって,ある課税法規に不満を覚えたとしても,それが著しく不合理で違法性を帯びるというものでない限り,その内容の当否は立法措置により解決されるべき問題であって,拡大解釈又は類推解釈の名の下に解決すべきではない。 ウイで述べたとおり,税法の解釈は,租税法律主義の帰結として,課税の目的のために,恣意的にその負担の限度を拡大して解釈することは許されないが,納税義務者の利益のために縮小して解釈することも許されない。よって,法73条の3以下の非課税の規定 主義の帰結として,課税の目的のために,恣意的にその負担の限度を拡大して解釈することは許されないが,納税義務者の利益のために縮小して解釈することも許されない。よって,法73条の3以下の非課税の規定は,限定列挙規定であって,例示規定ではないと解するのが相当である。 したがって,所有権の移転があったすべての場合について「不動産の取得」に該当するものと解した上,政策的に非課税とすべき場合について課税しない旨を規定した法73条の3以下の規定の解釈については,前記イで述べたとおり,租税法律主義により,厳格な解釈が要請され,拡張解釈又は類推解釈は禁止される。この点に関する原告の主張は採用できない。 2 本件返還土地の取得と不動産取得税の課税要件該当性の有無前記第2,2の前提事実のとおり,原告は,平成10年11月8日に京急から,本件住宅地造成契約に基づき,原告が所有権を取得する土地(本件返還土地)の指定の通知を受け,同月9日に本件返還土地につき「民法646条2項による移転」を原因として京急から原告に対する所有権移転登記手続がされた。そうすると,1の考え方に照らし,京急から原告に対し本件返還土地の所有権の移転があり,それは,法73条の2第1項でいう「不動産の取得」に該当するというべきである。 3 不動産取得税の非課税規定の適用又は準用の有無(1) 規定文言該当性の有無京急から原告に対する本件返還土地の所有権の移転が,法73条の3以下の非課税とされる場合の規定文言に直接は該当しないことは,原告も自認するところである。 (2) 土地区画整理事業による換地の取得の場合又は土地改良行為との類似性を理由とする非課税規定の適用又は準用の有無についてア原告は,「本件造成工事に係る事業は,規模や関係する±地所有者の数等から,たまたま土地区画整理法に基づく の取得の場合又は土地改良行為との類似性を理由とする非課税規定の適用又は準用の有無についてア原告は,「本件造成工事に係る事業は,規模や関係する±地所有者の数等から,たまたま土地区画整理法に基づく土地区画整理事業とならず,京急を事業主体とする造成工事となったにすぎず,原告から京急に対する本件提供土地の所有権の移転及び京急から原告に対する本件返還土地の所有権の移転は,全体としてみれば,事業主体が京急という私人か土地区画整理事業組合という公法人かという違いはあるにしても,実質的には,土地区画整理事業と同一目的・効果を有するものと評価できるし,土地区画整理事業における換地の取得又は土地改良行為の場合に従前の土地とは異なる土地を割り当てられることと同様,土地の譲受けそれ自体を目的とするものではなく,担税力のある不動産の流通と評価することはできないので,法73条の6第1項又は3項を適用又は類推適用して,あるいは法73条の3以下の非課税の規定の趣旨に照らして,課税すべきではない。」と主張する。 イ(ア) ところで,土地区画整理法に基づく土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得又は土地改良法による土地改良事業の施行に基づく換地の取得もしくは交換分合による土地の取得があった場合に,不動産取得税が課税されないのは,それらの土地の取得が,いずれも公共的事業に際し換地処分という行政処分に基づいて取得者の意思を問わずに行われるところ,これらの不動産の取得に対して課税することは,自己の意思による不動産という財産の増加に担税力を見出して課税するという不動産取得税の性格に沿わないと解されるからである。 (イ)また,土地区画整理法又は土地改良法における換地処分は,当該換地と従前の土地とについて,土地区画整理事業においては,土地の位置,地積,土質,水利,利用状況,環境等が ないと解されるからである。 (イ)また,土地区画整理法又は土地改良法における換地処分は,当該換地と従前の土地とについて,土地区画整理事業においては,土地の位置,地積,土質,水利,利用状況,環境等が,土地改良事業においては,土地の用途,地積,土性,水利,傾斜,温度その他の自然条件及び利用条件を総合的に勘案した条件がいずれも照応していることが要求されている(土地区画整理法89条1項,土地改良法53条1項2号)。したがって,いずれの場合においても,換地が従前の土地に照応し,等価であり,法律的には同一性があると評価し得るのであるから,それらの換地処分による土地の取得が非課税とされることについて実質的理由もあるといえる。 ウ(ア) これに対し,原告の本件返還土地の取得は,原告が京急との間で本件住宅地造成契約を締結したことに基づくものであって,あくまで原告の意思に基づくものである。このような自己の意思により不動産の所有権の移転を受ける場合には,不動産という財産の増加に着目して課税される不動産取得税の課税要件の「取得」の趣旨に沿うものであって,非課税規定の趣旨には沿わないものである。 (イ) また,本件提供土地と本件返還土地は,照応の有無につき検討されたものではなく,原告は,これらの土地は等価であると主張するものの,これを認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(甲1から5〔枝番を含む。〕,乙1・6)によれば,次の事実が認められる。 本件提供土地と本件返還土地とは,その位置が近隣であるとはいえ異なる。地積の合計は,本件提供土地が720平方メートル,本件返還土地が約568平方メートルと本件返還土地の方が少ない。ただし,原告は,本件住宅地造成契約に基づいて,京急から,造成参加に対する協力金964万円の交付を受けており,本件提供土地の固定資産税の課税標準 地が約568平方メートルと本件返還土地の方が少ない。ただし,原告は,本件住宅地造成契約に基づいて,京急から,造成参加に対する協力金964万円の交付を受けており,本件提供土地の固定資産税の課税標準(評価額)は,原告が本件住宅地造成契約を締結した平成元年当時,3万0900円であったが,本件造成工事が実施された平成6年に2822万4000円に上昇し,平成7年も2822万4000円であった。その後造成完了に伴い地目が変更されて合筆により課税台帳の記載は閉鎖されている。 したがって,本件提供土地(提供時点)と本件返還土地とは,経済的価値は照応しておらず,むしろ,原告は,本件返還土地の取得により,実質的に経済的利益を得たことがうかがわれるから,土地区画整理事業又は土地改良事業における換地処分の場合と同様に考えて,非課税とすべき理由もない。 エさらに,前記1(3)で述べたとおり,税法の規定は,租税法律主義の観点から,厳格に解釈すべきであって,たとえ納税者に有利な方向であったとしても,拡大解釈又は類推解釈をすることは許されない。法73条の3以下の非課税の規定は,限定列挙であって例示規定ではないと解するのが相当である。したがって,この観点からも,原告の主張するように,実質的に不動産の取得による経済的利益がない場合に非課税とすべきであると解するのは相当でない。そうすると,土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得又は土地改良法による土地改良事業の施行の伴う換地の取得には該当しない原告の本件返還土地の取得につき,法73条の6第1項から3項を拡大解釈して,その適用があるものと解したり,同条同項を類推適用することは許されないし,ましてや法73条の3以下の非課税となる場合のいずれかと同様に評価できるとして,これらの条文の趣旨から,原告の本件返 釈して,その適用があるものと解したり,同条同項を類推適用することは許されないし,ましてや法73条の3以下の非課税となる場合のいずれかと同様に評価できるとして,これらの条文の趣旨から,原告の本件返還土地の取得も非課税とすべきであると解することはできない。 よって,この点に関する原告の主張は採用できない。 (3) 信託,譲渡担保の目印不動産返還の場合との類似性を理由とする非課税規定の適用又は準用の有無についてア原告の主張原告は,信託における委託者から受託者に対する信託財産の移転及び譲渡担保における担保権者から担保設定者に対する担保財産の返還につき非課税の規定があることから,所有権の移転が形式的なものにすぎない場合は,不動産取得税を非課税とすべきであると主張する。また,原告は,信託において,委託者から受託者に対する財産の移転という「往路」が非課税となるのであれば,その「復路」である受託者から委託者に対する信託財産の返還の場合も非課税とすべきであると主張する。さらに,原告は,原告の本件返還土地の取得は,原告が本件住宅地造成契約により,京急に対し,住宅地造成を委任した結果であり,信託類似の行為であるから,信託財産の返還と同様に考えて非課税とされるべきであると主張する。 イところで,信託とは,財産権の移転その他の処分をすることにより,他人に一定の目的に従って財産の管理,処分をさせることであり(信託法1条),委託者が法律行為によって,受託者に信託財産を帰属させつつ同時に,その財産を一定の目的に従って受益者のために管理処分すべき拘束を加えることによって成立する法律関係である。しかし,本件提供土地と本件返還土地とが,まったく別の土地であることは争いがなく,本件においては,信託の対象となるべき特定の財産を観念することができない。 原告は,造成 て成立する法律関係である。しかし,本件提供土地と本件返還土地とが,まったく別の土地であることは争いがなく,本件においては,信託の対象となるべき特定の財産を観念することができない。 原告は,造成工事が委託の内容であると主張するが,信託類似の契約においては,信託内容は,少なくとも経済的には委託者の計算で行われるべきものであるところ,これを認めるに足りる証拠はなく,本件提供土地の京急に対する所有権の移転及び原告による本件返還土地の取得が,信託財産の移転及び返還の一連の過程と類似のものであると評価することはできない。 なお,原告の陳述書(甲10)の中には,もち米を米屋に出して,餅にしてもらった場合,自分の出したもち米が使用されていなくても,受け取った餅は自分の餅ではないとはいえないとの記載があるところ,もち米は,いわゆる不特定物であって,それ自体に個性はなく,代替性があり,どのもち米であっても,同質同数同量のものであれば,同じと考えることもできる。他方で,土地は,特定物であって,それぞれ個性のあるものであり,代替性はない。そのため,土地の交換は,等価のものを出指することにより新たな不動産を資産に増加させるものであり,不動産を時価で購入する場合と同様に考えられることから,「不動産の取得」に該当するとして課税するとされている(前記最高裁昭和45年10月23日第2小法廷判決・集民101号163頁)。もち米の例を出した記載により,本件返還土地の取得が「不動産の取得」にはあたらないということはできない。 ウのみならず,前記1(3)で述べたとおり,不動産取得税に係る非課税の規定は,例示列挙ではなく限定列挙であって,拡大解釈又は類推適用することは祖税法律主義の観点からできないから,原告の本件返還土地の取得が,仮に,形式的な所有権の移転にすぎない場合で 税に係る非課税の規定は,例示列挙ではなく限定列挙であって,拡大解釈又は類推適用することは祖税法律主義の観点からできないから,原告の本件返還土地の取得が,仮に,形式的な所有権の移転にすぎない場合であったとしても,信託財産の移転又は譲渡担保の返還に該当しない以上,法73条の7第3号から5号,8号等から,本件返還土地の取得を非課税とすべきであるとの結論を導くことはできない。 (4) 譲渡所得課税不発生との対比からする不動産取得税の非課税該当性の有無について原告は,「譲渡所得に係る所得税に関して,通達で,土地区画整理法及び土地改良法の規定による場合を除く宅地造成契約において,従前の土地と異なる土地を取得することとなった場合でも,従前の土地と返還された土地とが等価である場合は,譲渡がなかったものとして取り扱う旨定めており,本件返還土地の取得に対して譲渡所得に係る所得税が課されていない。そこで,本件返還土地の取得についても不動産取得税も課されるべきではない。 」と主張する。 しかし,譲渡所得は,資産の譲渡による所得をいうものであり(所得税法33条1項),譲渡所得の金額は,その年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し,その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とするものと規定されており(同条3項),現実の経済的な利益の増加に対して課税されるものであることは明らかである。他方で,不動産取得税は,前記1(1)で述べたとおり,実質的な経済的利益ではなく,不動産の所有権の移転に着目して,そこに担税力があると推定し,課税されるものであるから,この点に関する原告の主張は理由がない。 (5) 京急の本件提供土地取得の際の取得税の非課税との対比からする非課税該当性の有無 移転に着目して,そこに担税力があると推定し,課税されるものであるから,この点に関する原告の主張は理由がない。 (5) 京急の本件提供土地取得の際の取得税の非課税との対比からする非課税該当性の有無についてア原告は,京急が,本件提供土地の所有権を取得する際,不動産取得税を課されていなかったことから,原告が,本件返還土地を取得する場合においても,「不動産の取得」には当たらないものとして,課税すべきではないと主張する。 確かに,京急が本件提供土地の所有権を取得する際,不動産取得税を課されなかったことは争いのない事実である。 イところで、不動産取得税の課税標準は,不動産を取得した時における不動産の「価格」であり(法73条の13第1項),同「価格」は「適正な時価」をいうとされ(法73条5号),その具体的算定にあたっては,固定資産税課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については,当該不動産について「増築,改築,損かい,地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」ではない限り,登録価格により課税標準となるべき価格を決定することとされている(法73条の21第1項)。 そして,証拠(乙6)によれば,本件提供土地の固定資産税課税台帳の登録価格は,平成元年度及び平成3年度が3万0900円,平成6年度及び平成7年度が2822万4000円であったことが認められる。固定資産税課税台帳の年度の扱いについては,昭和31年度,昭和33年度,昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過した年度を基準年度として,その翌年度を第二年度,第二年度の翌年度を第三年度とし(法341条1項6号から8号),第三年度において新たに固定資産税を課することとなる土地に対する第三年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に類似する土地の を第二年度,第二年度の翌年度を第三年度とし(法341条1項6号から8号),第三年度において新たに固定資産税を課することとなる土地に対する第三年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準ずる価格で土地課税台帳に登録されたものとすることとされている(法349条6項)。 とすると,京急が本件提供土地の所有権移転登記を経由した平成5年の課税については,基準年度である平成3年度の固定資産税課税台帳の登録価格である3万0900円が用いられることになると解されるところ,土地の取得において,不動産取得税の課税標準となるべき額が10万円に満たない場合は,不動産取得税を課することができないので(法73条の15の2第1項),京急が本件提供土地の取得につき,不動産取得税を課されなかったのは,同規定が適用されたためであると認めることができる。 ウ以上のとおり,京急の本件提供土地の取得に不動産取得税が課されなかったのは,「不動産の取得」に該当しなかったからではなく,課税標準の価格が課税要件に満たなかったからである。したがって,上記の非課税の結果を根拠に,原告の本件返還土地の取得も課税されるべきではないとする原告の主張は採用できない。 4 結論よって,原告の請求は,理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 横浜地方裁判所第1民事部裁判長裁判官岡光民雄裁判官窪木稔裁判官村上誠子

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