平成27(ワ)12480 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年6月30日 東京地方裁判所
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判決文本文48,601 文字)

平成28年6月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第12480号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成28年3月31日判決 原告フルタ電機株式会社同訴訟代理人弁護士小南明也 被告株式会社ニチモウワンマン 被告 Y 被告ニチモウ株式会社 被告西部機販愛知有限会社 上記4名訴訟代理人弁護士沖田哲義同道山智成同訴訟復代理人弁護士神邊健司同補佐人弁理士伊藤高英 主文 1 被告株式会社ニチモウワンマンは,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸渡しし,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告西部機販愛知有限会社は,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 3 被告株式会社ニチモウワンマン及び被告西部機販愛知有限会社は,別紙物件目録2記載の「固定リング」又は別紙物件目録3記載の「板状部材」を,譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 4 被告株式会社ニチモウワンマン及び被告西部機販愛知有限会社は,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」並びに別紙物件目録2記載の「固定リング」及び別紙物件目録3記載の「板状部材」を廃棄せよ。 5 被告株式会社ニチモウワンマン及び被告西部機販愛知有限会社は,別紙メンテナンス行為目録記載1の行為をしてはならない。 6 被告株式会社ニチモウワンマンは,原告に対し,1430万8500円及びこれ 被告株式会社ニチモウワンマン及び被告西部機販愛知有限会社は,別紙メンテナンス行為目録記載1の行為をしてはならない。 6 被告株式会社ニチモウワンマンは,原告に対し,1430万8500円及びこれに対する平成27年6月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告西部機販愛知有限会社は,原告に対し,92万4200円及びこれに対する平成27年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 原告の被告株式会社ニチモウワンマン及び被告西部機販愛知有限会社に対するその余の請求並びに被告ニチモウ株式会社及び被告Yに対する請求をいずれも棄却する。 9 訴訟費用は,原告に生じた費用の3分の2,被告株式会社ニチモウワンマンに生じた費用の5分の1及び被告西部機販愛知有限会社に生じた費用の10分の7並びに被告ニチモウ株式会社及び同Yに生じた費用の全部を原告の負担とし,原告に生じた費用の4分の1及び被告株式会社ニチモウワンマンに生じた費用の5分の4を被告株式会社ニチモウワンマンの負担とし,原告に生じた費用の12分の1及び被告西部機販愛知有限会社に生じた費用の10分の3を被告西部機販愛知有限会社の負担とする。 この判決は,第1項ないし第3項,第5項ないし第7項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告ニチモウ株式会社(以下「被告ニチモウ」という。)及び被告株式会社ニチモウワンマン(以下「被告ワンマン」といい,被告ニチモウと併せて「被告ワンマンら」という。)は,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸渡しし,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告西部機販愛知有限会社(以下「被告西部機販」という。)は,別紙物件目録1記載の「生海 記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸渡しし,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告西部機販愛知有限会社(以下「被告西部機販」という。)は,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」を,譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 3 被告ワンマンら及び被告西部機販は,別紙物件目録2記載の「固定リング」又は別紙物件目録3記載の「板状部材」を,譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 4 被告ワンマンら及び被告西部機販は,別紙物件目録1記載の「生海苔異物除去機」並びに別紙物件目録2記載の「固定リング」及び別紙物件目録3記載の「板状部材」を廃棄せよ。 5 被告ワンマンら及び被告西部機販は,別紙メンテナンス行為目録記載の各行為をしてはならない。 6 被告ワンマンらは,原告に対し,連帯して1430万8500円及びこれに対する平成27年6月2日(被告ワンマンらのうち訴状送達の遅かった被告ワンマンに対する訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告西部機販は,原告に対し,92万4200円及びこれに対する平成27年5月30日(同被告に対する訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 被告らは,原告に対し,連帯して1425万6000円及びこれに対する平成26年12月18日(不法行為後の日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,発明の名称を「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする発明についての特許権を有する原告が,被告らに対し,次の各請求をする事案である。 (1) 原告は,被告ワンマンらによる別紙物件目録1記載の生海苔異 分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする発明についての特許権を有する原告が,被告らに対し,次の各請求をする事案である。 (1) 原告は,被告ワンマンらによる別紙物件目録1記載の生海苔異物除去機(以下「本件装置」という。)の譲渡,貸渡し,輸出又は譲渡若しくは貸渡しの申出が原告の特許権を侵害すると主張し,被告ワンマンらに対し,特許法(以下「法」という。)100条1項に基づき,これらの行為の各差止めを求める。(上記第1の1)(2) 原告は,被告西部機販による本件装置の譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出が原告の特許権を侵害すると主張し,被告西部機販に対し,法100条1項に基づき,これらの行為の差止めを求める。(上記第1の2)(3) 原告は,別紙物件目録2記載の「固定リング」(以下「本件固定リング」という。)及び同目録3記載の「板状部材」(以下「本件板状部材」といい,本件固定リングと併せて「本件各部品」という。)がいずれも本件装置の生産にのみ用いる物であり,被告ワンマンら及び被告西部機販によるその譲渡,貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出が原告の特許権を侵害するものとみなされると主張し,被告ワンマンら及び被告西部機販に対し,法100条1項,101条1号に基づき,これらの行為の各差止めを求める。(上記第1の3)(4) 原告は,上記(1)ないし(3)の請求をするに際し,被告ワンマンら及び被告西部機販に対し,法100条2項に基づき,本件装置及び本件各部品の各廃棄を求める。(上記第1の4)(5) 原告は,被告ワンマンら及び被告西部機販による別紙メンテナンス行為目録記載1,2の各行為(以下,順に「本件メンテナンス行為1」,「本件メンテナンス行為2」といい,これらを併せて「本件各メンテナンス行為」 という。)が原告の特 販による別紙メンテナンス行為目録記載1,2の各行為(以下,順に「本件メンテナンス行為1」,「本件メンテナンス行為2」といい,これらを併せて「本件各メンテナンス行為」 という。)が原告の特許権を侵害すると主張し,被告ワンマンら及び同西部機販に対し,法100条1項に基づき,上記各行為の各差止めを求める。 (上記第1の5)(6) 原告は,被告ワンマンらによる本件装置86台(後記⑻記載の本件装置6台は含まれない。)及び本件各部品の販売が原告の特許権を侵害する共同不法行為(以下「本件共同不法行為1」という。)に当たり,又は被告ワンマンらが同販売によって不当に利得して原告に損失を及ぼしたと主張し,被告ワンマンらに対し,共同不法行為に基づく損害賠償金4507万9593円(又は不当利得金)の一部請求として1430万8500円及びこれに対する不法行為後でかつ被告ワンマンらに対する最終の訴状送達日の翌日である平成27年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。(上記第1の6)⑺ 原告は,被告西部機販による本件装置10台(後記⑻記載の本件装置6台は含まれない。)及び本件各部品の販売が原告の特許権を侵害する不法行為に当たり,又は被告西部機販が同販売によって不当に利得して原告に損失を及ぼしたと主張し,被告西部機販に対し,不法行為に基づく損害賠償金550万4090円(又は不当利得金)の一部請求として92万4200円及びこれに対する不法行為後でかつ訴状送達の日の翌日である平成27年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(上記第1の7)⑻ 原告は,平成26年12月17日に鬼崎漁業協同組合(以下「鬼崎漁協」という。)へ納品された本件装置6台(別紙物件目録記載1(3)の 年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。(上記第1の7)⑻ 原告は,平成26年12月17日に鬼崎漁業協同組合(以下「鬼崎漁協」という。)へ納品された本件装置6台(別紙物件目録記載1(3)のもの)について,鬼崎漁協への納品に至るまでの被告らによる一連の行為が,原告に対する故意の共同不法行為(以下「本件共同不法行為2」といい,本件共同不法行為1と併せて「本件各共同不法行為」という。)に当たると主張し,被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償金1555万8800円の一部 請求として1425万6000円及びこれに対する不法行為日より後の日である平成26年12月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。(上記第1の8) 2 前提事実(当事者間に争いがないか弁論の全趣旨から容易に認定できる事実)(1) 当事者(弁論の全趣旨)ア原告原告は,産業機械器具及びその部分品の製造,販売,賃貸,修理等を目的とする株式会社(昭和35年1月23日設立,資本金3200万円)であり,海苔製造加工に必要な機械の製造販売を行っている。 イ被告ら(ア) 被告ニチモウは,機械,器具,電機,計器,度量衡器,電子機器,空気調整装置,公害防止装置,医療機器,救命器具の販売及び整備等を目的とする株式会社(大正8年8月17日設立,資本金44億1166万2672円)である。 (イ) 被告ワンマンは,海苔乾燥機及びそれに付随する資材,海苔養殖資材の製造,販売等を目的とする株式会社(平成14年9月2日設立,資本金2億4000万円)であり,被告ニチモウによって設立された被告ニチモウの完全子会社である。 (ウ) 被告Yは,被告ワンマンの設立時から平成28年6月3日までの間,被告ワンマンの代表取締役を務めていた。 4000万円)であり,被告ニチモウによって設立された被告ニチモウの完全子会社である。 (ウ) 被告Yは,被告ワンマンの設立時から平成28年6月3日までの間,被告ワンマンの代表取締役を務めていた。 (エ) 被告西部機販は,海苔製造機械,器具の販売及び保守,修理等を目的とする特例有限会社(平成4年5月1日設立,資本金320万円)である。 (2) 原告の特許権ア原告は,発明の名称を「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする特許第3966527号(出願日・平成10年6月1 2日,登録日・平成19年6月8日,訂正審決日・平成22年2月25日。 以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有している。 なお,本件特許は,訂正審判事件(訂正2010-390006)における平成22年2月25日付け審決(同年3月9日確定)により訂正が認められており,同訂正後の本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1,3及び4の記載は,別紙特許審決公報(甲3)中の特許訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。)に各記載のとおりである(以下,請求項1,3及び4に係る発明をそれぞれ「本件発明1」,「本件発明3」及び「本件発明4」といい,これらを総称して「本件各発明」という。)。 イ本件各発明の構成要件(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A1」のようにいう。)(ア) 本件発明1を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A1 生海苔排出口を有する選別ケーシング,A2 (及び)回転板,A3 この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,A4 (並びに)異物排出口A5 をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去 3 この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,A4 (並びに)異物排出口A5 をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,B 前記防止手段を,B1 突起・板体の突起物とし,B2 この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成としたC 生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 (イ) 本件発明3を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A1~5 (前記アのA1~5と同じ)B’ (前記アのBと同じ)B’1 (前記アのB1と同じ)B’2 この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成としたC (前記アのCと同じ)(ウ) 本件発明4を構成要件に分説すると,次のとおりである。 A1~5 (前記アのA1~5と同じ)B” (前記アのBと同じ)B”1 (前記アのB1と同じ)B”2 この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成としたC (前記アのCと同じ)(3) 本件装置及び本件各部品ア本件装置について本件装置は,渡邊機開工業株式会社(以下「渡邊機開」という。)が「渡辺式異物除去機」又は「渡辺式異物除去洗浄機」との標章を付して製造,販売する生海苔異物除去(洗浄)機であり,いずれも本件固定リング及びその内側に回転自在に遊嵌された回転円板を構成部品としている。なお,本件装置が上記(2)イの各構成要件をいずれも充足することにつき,当事者間に争いはない。 本件装置は,回転円板の個数(枚数)によって次のとおり区別できる。 (ア) 「WK-500」,「WK-550」(別紙 が上記(2)イの各構成要件をいずれも充足することにつき,当事者間に争いはない。 本件装置は,回転円板の個数(枚数)によって次のとおり区別できる。 (ア) 「WK-500」,「WK-550」(別紙物件目録1記載(1),(2))回転円板(直径(φ):約190mm)が4枚のタイプ。「WK-500」には装置下部に貯留槽(洗浄槽)が設置されているが,「WK-5 50」にはこれが設置されていない。 (イ) 「WK-600」(別紙物件目録1記載(3))回転円板(直径(φ):約190mm)が6枚のタイプ。「WK-550」と同様,装置下部に貯留槽は設置されていない。 (ウ) 「WK-700」(別紙物件目録1記載(4))回転円板(直径(φ):約280mm)が6枚のタイプ。「WK-550」と同様に,装置下部に貯留槽は設置されていない。 イ本件各部品について(ア) 本件固定リング本件装置には,本件固定リングが4個又は6個付設されており,本件装置を使用する海苔製造業者(ユーザー)は,本件固定リングを付設した状態で海苔異物除去作業を行っている。本件装置においては,本件固定リングとその内側に回転自在に遊嵌された回転円板との間の0.1~0.5mm 程度の極めて微少な環状隙間(クリアランス)を介して生海苔を通過させる構成となっているため,回転円板の回転によって本件固定リングの側面部分が摩耗しやすい。 そのため,本件固定リングは,本件装置の部品として取り外しが可能となっており,渡邊機開は,被告ワンマンや被告西部機販を含む販売店を介し,補充部品として本件固定リングをユーザーに供給するとともに,その交換作業も行っている。 (イ) 本件板状部材本件固定リングの凹部にはめ込んで取り付けられる本件板状部材は,本件固定リングの上部及び側面(ク して本件固定リングをユーザーに供給するとともに,その交換作業も行っている。 (イ) 本件板状部材本件固定リングの凹部にはめ込んで取り付けられる本件板状部材は,本件固定リングの上部及び側面(クリアランス側)に突出するように設置されるため,本件板状部材は,ユーザーの海苔異物除去作業における本件装置の使用(回転円板の回転)により摩耗しやすい。 そのため,渡邊機開は,被告ワンマンや被告西部機販を含む販売店を 介し,補充部品として本件板状部材をユーザーに供給するとともに,その交換作業も行っている。 (4) 被告ワンマン及び被告西部機販の行為ア被告ワンマンの行為(ア) 被告ワンマンは,もともと,海苔乾燥装置等の開発・製造・販売を行うために被告ニチモウが設立した会社である。被告ワンマンは,渡邊機開から本件装置を購入し,これを国内の顧客(被告西部機販を含む。)に販売し,また,海外の顧客に輸出している。 (イ) 被告ワンマンは,本件装置の販売先であるユーザーに対し,本件各メンテナンス行為を行う場合もある。 イ被告西部機販の行為(ア) 被告西部機販は,渡邊機開から本件装置を購入し,日本国内の海苔生産業者(個人ユーザー,漁業協同組合,漁業協同組合連合会など)に対して販売している。 また,被告西部機販は,被告ワンマンの販売代理店(渡邊機開の二次代理店)として,被告ワンマンが渡邊機開から仕入れた本件装置をさらに仕入れた上で,これを顧客に販売することもある。 (イ) 被告西部機販は,本件装置の販売先であるユーザーに対し,本件各メンテナンス行為を行っている。 ウ本件損害賠償請求の対象行為(ア) 被告ワンマンは,渡邊機開から本件装置86台(後記(ウ)の6台を含まない。以下「本件装置1」という。)を購入し,これを顧客に売却 ナンス行為を行っている。 ウ本件損害賠償請求の対象行為(ア) 被告ワンマンは,渡邊機開から本件装置86台(後記(ウ)の6台を含まない。以下「本件装置1」という。)を購入し,これを顧客に売却した(そのうち10台は,被告西部機販に売却した。)。 なお,この行為について,被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するかについては,争いがある。 (イ) 被告西部機販は,被告ワンマンから購入した上記10台(以下「本 件装置2」という。)を顧客に売却した。 (ウ) 被告ワンマンは,平成26年12月17日に鬼崎漁協へ納品された本件装置6台(別紙物件目録記載1(3)のもの。以下「本件装置3」という。)について,渡邊機開からこれを購入し,被告西部機販に売却し,被告西部機販は,これを鬼崎漁協に売却した。 なお,この一連の行為について,被告らによる本件共同不法行為2が成立するかについては,争いがある。 (5) 消滅時効の援用(弁論の全趣旨)被告らは,平成28年3月31日の第9回弁論準備手続期日において,平成24年3月19日以前の本件装置の販売に係る原告の損害賠償請求権について,消滅時効を援用した。 3 争点本件の争点は,以下のとおりである。 (1) 本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものか(争点1)(2) 本件各共同不法行為の成否ア被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか(争点2)イ被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2が成立するか(争点3)(3) 差止請求権の存否及び範囲(争点4)(4) 損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。)(争点5) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件 が成立するか(争点3)(3) 差止請求権の存否及び範囲(争点4)(4) 損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。)(争点5) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものか)について[被告らの主張] ア拡大先願違反(ア) 本件各発明は,以下のとおり,その出願日前の実用新案登録出願であって,本件特許の出願日後に実用新案掲載公報の発行がされた実用新案登録出願(実願平10-3304号)の願書に最初に添付された明細書及び図面(甲22,乙1。以下「乙1文献」という。)に記載された考案(先願考案。以下「乙1考案」という。)と同一である。 まず,本件各発明と乙1考案とは,いずれも特開平8-140637号公報(甲24,乙4。以下「乙4文献」という。)に記載された異物分離機構を備えた生海苔異物分離除去装置に係る発明(以下「乙4発明」という。)の改良発明であって,その目的はいずれも乙4文献に記載されたクリアランスの目詰まりという課題を解決することにある。 次に,具体的な構成についてみるに,本件各発明の構成要件A1~5は,本件各発明の出願経過等から,乙1文献に実質的に記載されているものと認められる。また,乙1考案における「凹部」と,本件各発明における「前記防止手段を,突起,板体の突起物とし,」(構成要件B1,B’1,B’’1)とは,異物は排出して生海苔は生海苔原料として取り出すという全く同一の作用効果を発揮する上,例えば双方とも多数の凹凸を全周に形成するとほぼ同一の構成となるのであるから,乙1考案における「凹部」と本件各発明における「前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,」(構成要件B1,B’1,B’’1)とは実質的に同一である。 さらに,乙1文献 ぼ同一の構成となるのであるから,乙1考案における「凹部」と本件各発明における「前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,」(構成要件B1,B’1,B’’1)とは実質的に同一である。 さらに,乙1文献によれば,クリアランスを構成する第二環状固定板の鉛直向きの内周面に凹部が(図2,3),水平向きの上面に凹部が(図4)それぞれ形成された構成が開示されており,これは,「この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」(構成要件B2),「この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした」(構成要件B’2)及び「この突起物を選別ケーシングと回 転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした」(構成要件B’’2)と実質的に同一である。 (イ) なお,乙1文献においては,凹部が第二環状固定板のみに設けられ,対向する第二回転板には設けられていないが,本件特許の出願日よりも前に頒布された刊行物である登録実用新案第3017060号公報(乙2。以下「乙2文献」という。)及び特開平8-112081号公報(乙3。以下「乙3文献」という。)によれば,海苔の異物を除去するためのスリット(クリアランスに相当する。)を形成する対向面に対して,①生海苔のスリットの通過量を制御する手段として凹凸部を設けること,②凹凸部を設ける場合にはスリットを形成する対向面の双方に設けることは,いずれも,本件特許出願に係る出願当時において,当業者にとって周知技術であったといえる。そして,同周知技術に基づくと,凹部を第二回転板に設けることは,乙1文献に記載されているに等しい事項である。 (ウ) そして,本件各発明の発明者は,先願考案の考案者と同一ではなく,本件特許の出願時にその出願人と先願考案に係る実用新案登録出願の出願人とが同一でもないから 載されているに等しい事項である。 (ウ) そして,本件各発明の発明者は,先願考案の考案者と同一ではなく,本件特許の出願時にその出願人と先願考案に係る実用新案登録出願の出願人とが同一でもないから,本件各発明には法29条の2に違反する無効理由がある。 イ進歩性欠如(ア) 本件各発明と乙4発明との一致点及び相違点本件各発明は,いずれも,本件特許の出願前に日本国内において頒布された刊行物である乙4文献に記載された乙4発明の改良発明であるから,構成要件A1,A2,A4及びA5については,乙4文献にも実質的に記載されているといえる。したがって,これらの点において,乙4発明と本件各発明は一致する。 他方,構成要件A3,構成要件B1,B’1,B”1,構成要件B2, B’2,B”2については,いずれも乙4文献には開示されていない。したがって,これらの点において,乙4発明と本件各発明とは相違する(なお,被告らは,構成要件B1,B’1,B”1について,一致点又は相違点として明示的に主張しないが,主張全体からすると,相違点として主張するものと解される。)。 (イ) 乙4発明に基づく容易想到性本件特許の出願前に,「目づまり防止付」のシンワ式原草海苔異物除去洗浄機CFW-36型の宣伝広告が,多数回にわたり全国的に実行されている(乙8~13)。したがって,本件特許の出願時において,乙4発明に係る生海苔異物除去装置には,①目詰まりという問題点が発生していること,②その問題点を解決すべき手法が開発されていること,③その問題点を解決すべき手法を開発すべき動機付けが存在していたことは,当業者において周知の事項である。 そして,上記①の問題点を解決すべき手法を開発すべき動機付けが存在していた以上,当業者にとって,目詰まりを防止するために乙2 発すべき動機付けが存在していたことは,当業者において周知の事項である。 そして,上記①の問題点を解決すべき手法を開発すべき動機付けが存在していた以上,当業者にとって,目詰まりを防止するために乙2文献及び乙3文献に開示されている周知技術(海苔の異物を除去するためのスリット(クリアランスに相当する。)を形成する対向面に対して,<ア>生海苔のスリットの通過量を制御する手段として凹凸部を設けること,<イ>凹凸部を設ける場合にはスリットを形成する対向面の双方に設けること)を適用することは容易に想到することが可能である。この周知技術を乙4発明に適用すると,本件各発明と構成も得られる作用効果も同一となるので,本件各発明は進歩性を欠く。 [原告の主張]ア拡大先願違反がないこと被告らは,乙1考案における,クリアランスに詰まった異物の除去という課題と,本件各発明の課題である共回りの発生をなくし,かつクリアラ ンスの目詰まりをなくすことが,実質的に同一であり,本件各発明における技術的思想が,乙1考案と同一であると主張する。 たしかに,乙1文献においては,乙4発明を先行技術とした上で,目詰まりを解消する必要があるという課題認識が示されており,単に,その点において本件各発明と一部共通するが,乙1考案は,クリアランスの目詰まりの原因となっている「茎部の付いている生海苔」を,他のクリアランスよりも幅広にした部分にあえて通過させることによって,クリアランスの目詰まりを解消しようとしたものであるのに対し,本件各発明は,このような「茎部の付いている生海苔」を異物として除去対象としようとするものであるから,課題の認識及び課題解決の方向性が全く異なる。さらに,乙1考案の出願者が,自らの後願(甲27の15の1)において,従来技術につき,「生海苔異物 苔」を異物として除去対象としようとするものであるから,課題の認識及び課題解決の方向性が全く異なる。さらに,乙1考案の出願者が,自らの後願(甲27の15の1)において,従来技術につき,「生海苔異物を回転板と共回ししてクリアランスの幅広部において通過させることによって詰まりを防止していた」としていることからも,乙1考案と本件各発明の「共回り」防止とが全く異なることは明らかである。 イ進歩性があること(ア) 被告らは,乙4発明と本件各発明の相違点に関し,本件特許出願時において乙4発明の実施装置において目詰まりという問題点が発生し,それを解決すべき動機付けが存在していたと主張し,それが周知であったことの根拠として「目づまり防止付」のシンワ式原草海苔異物除去洗浄機CFW-36型の宣伝広告の存在を指摘する。 しかしながら,上記「目づまり防止付」とは,回転板を回転軸に沿って上下動させることで,隙間に詰まった異物等を筒状混合液タンク側に排出させるように構成したもの(甲27の5の1)をいうのであって,この回転板の上下動手段及び「目づまり防止付」との表現が公知であったとしても,そのこと自体から本件各発明の課題である「共回り」を想 起することはできない。被告は,単なる目詰まり防止と本件各発明の共回り防止を同一視しており,失当である。 (イ) また,被告は,乙4発明において目詰まり防止手段を講ずる動機付けが存在していたという主張を前提として,当該目詰まり防止のために乙2文献及び乙3文献に開示された周知技術を適用することが容易であると主張する。 しかし,乙2文献及び乙3文献に記載された発明は従来型に関するものであって,乙4発明における回転板方式に関するものではないから,乙4文献に接した当業者において,乙4発明に共回りの課題があること しかし,乙2文献及び乙3文献に記載された発明は従来型に関するものであって,乙4発明における回転板方式に関するものではないから,乙4文献に接した当業者において,乙4発明に共回りの課題があることは想起できない。また,乙4発明について,クリアランスに異物や生海苔の詰まりが生じるという問題があるという課題を想起し得たとしても,乙4発明に,異物分離除去に係る技術思想の異なる乙2文献又は乙3文献に記載された発明を適用する動機付けがあるとはいえないし,仮に,当業者において,乙4発明に乙2文献又は乙3文献に記載された発明の適用を試みたとしても,乙4発明と本件各発明との相違点に係る構成を容易に想到し得たとは認め難い。 (ウ) よって,被告の主張する進歩性欠如の主張は失当である。 (2) 争点2(被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか)について[原告の主張]前記のとおり,被告ワンマンが渡邊機開から本件装置86台(本件装置1)を購入し,これを顧客に売却したことについては,当事者間に争いがない。 一方,被告ニチモウが,自ら,渡邊機開から本件装置を購入したり,購入した本件装置を第三者に販売したりした事実は存在しない。 しかしながら,被告ワンマンは,被告ニチモウの海洋事業のうち,被告ニチモウが開発・製造した全自動乾海苔製造装置「ニチモウワンマン」等の海 苔機材又は海苔資材の製造・販売事業を担当する完全子会社である上,平成28年1月8日現在,被告ワンマンの5名の役員中1名が被告ニチモウの役員を兼務している。そうすると,被告ニチモウは,被告ワンマンを実質的に支配し,被告ワンマンを自らの一事業部門として用いて事業を遂行しているものといえるから,被告ワンマンによる行為のうち,海苔機 の役員を兼務している。そうすると,被告ニチモウは,被告ワンマンを実質的に支配し,被告ワンマンを自らの一事業部門として用いて事業を遂行しているものといえるから,被告ワンマンによる行為のうち,海苔機材又は海苔資材の販売に該当する本件装置1及び本件各部品の販売等は,実質的に被告ニチモウの行為と考えるべきである。 したがって,被告ワンマンの本件特許権の侵害行為は,被告ニチモウによる本件特許権の侵害行為にも該当し,被告ニチモウには被告ワンマンとの共同不法行為が成立する。 なお,被告ワンマンらは,原告の実施許諾を得ることなく無償で本件各発明を実施し,これによりライセンス料相当額の支払を逃れることで不当に利得を得て原告に損失を与えたから被告ワンマンらに不当利得が生じたことも明らかである。 [被告ワンマンらの主張]原告は,被告ワンマンの行為を被告ニチモウの行為と考えるべきである旨主張するが,被告ワンマンらは,それぞれ法人格を有する別の権利義務主体であり,グループ企業であるという一事をもって,両者を同一視することはできない。 (2) 争点3(被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2が成立するか)について[原告の主張]ア前記のとおり,被告ワンマンは,平成26年12月17日に鬼崎漁協へ納品された本件装置6台(本件装置3)について,渡邊機開からこれを購入し,被告西部機販に売却し,被告西部機販は,上記6台を鬼崎漁協に売却したところ,この一連の行為については,以下の事情によれば,被告ら による本件共同不法行為2が成立する。 なお,被告らは,上記一連の行為について,それぞれ自らが締結した契約の履行にすぎない旨主張するが,全く筋違いである。また,原告の本件装置3に係る損害の主張は,本件共同不法行為2に基づくものが全てであ お,被告らは,上記一連の行為について,それぞれ自らが締結した契約の履行にすぎない旨主張するが,全く筋違いである。また,原告の本件装置3に係る損害の主張は,本件共同不法行為2に基づくものが全てである。 イ被告西部機販は,被告ワンマンの協力の下,平成26年6月までに行われた鬼崎漁協の乾海苔生産機械の入札に参加して落札し,本件装置3を被告ワンマンに発注した。これを受けて,被告ワンマンは,本件装置3を渡邊機開に発注し,渡邊機開は,被告ワンマンから本件装置3の売買代金を受領した後,本件装置3を自社の倉庫で保管していた。 原告は,平成26年2月26日,東京地方裁判所に対し,渡邊機開を債務者として,本件装置の製造・販売・輸出及び販売の申出の差止め,本件各部品の製造・販売及び販売の申出の差止め,本件装置及び本件各部品の執行官保管を求める仮処分命令を申し立て(同裁判所平成26年(ヨ)第22019号特許権侵害差止等仮処分命令申立事件),同年10月31日,同裁判所は,原告の申立てを認める仮処分決定(以下「別件仮処分決定」という。)をしたが,渡邊機開は,別件仮処分決定に先立つ同月29日,原告との和解交渉が決裂したことから,別件仮処分決定が発令されることを予想し,被告Yと相談した上で,本件装置3を被告ワンマンにおいて一時的に保管することとして,同日から同月30日にかけて,これを山口県下関市にある被告ワンマンの本店に運搬した。 渡邊機開は,その後,被告西部機販から,本件装置3を鬼崎漁協内の倉庫へ搬入してほしいという要請を受け,同年12月17日までに本件装置3を鬼崎漁協の倉庫へ搬入した。 ウ上記イの一連の行為は,被告らが,債務不履行によって自らの信用が毀損されたり損害賠償責任を負ったりすることを避ける目的で仕組んだ3段 階の譲渡行為から構成 鬼崎漁協の倉庫へ搬入した。 ウ上記イの一連の行為は,被告らが,債務不履行によって自らの信用が毀損されたり損害賠償責任を負ったりすることを避ける目的で仕組んだ3段 階の譲渡行為から構成される故意(共謀)に基づく共同不法行為と評価できる。 [被告らの主張]被告ワンマンは,渡邊機開が別件仮処分決定を受ける前に,渡邊機開から本件装置3の引渡しを受け,被告西部機販との契約に基づいて,本件装置3を被告西部機販に引き渡し,被告西部機販は,被告ワンマンから引渡しを受けた本件装置3を,鬼崎漁協との契約に基づいて同漁協に引き渡した。このように,被告ワンマン及び被告西部機販による本件装置3の引渡しは,いずれも自らが締結した契約の履行にすぎないから,原告に対する共同不法行為となる余地はない。 また,共同不法行為が成立するには,共同行為者とされる者それぞれの行為の間に関連共同性がなければならないが,被告らの行為の間には関連共同性がない。被告ワンマンは,自らの債務不履行を回避するため,渡邊機開から本件装置3の引渡しを受けたにすぎず,同時点において別件仮処分決定は出ていなかったし,渡邊機開による被告ワンマンへの本件装置3の引渡行為と,被告ワンマンによる被告西部機販への本件装置3の引渡行為との間に,主観的・客観的関連共同性が認められないことも明白である。 (4) 争点4(差止請求権の存否及び範囲)について[原告の主張]ア被告ワンマンについて被告ワンマンが,渡邊機開から本件装置を購入して第三者に譲渡し,貸渡しし,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為は本件特許権を侵害する。また,被告ワンマンが,渡邊機開から本件各部品を購入して第三者に譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為は本件特許権を侵害する行為とみなされ の申出をする行為は本件特許権を侵害する。また,被告ワンマンが,渡邊機開から本件各部品を購入して第三者に譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為は本件特許権を侵害する行為とみなされる(法101条1号)。 さらに,本件各メンテナンス行為は,本件装置のうち,製品寿命が来て 廃棄すべきものやそのままでは本件装置の本来の性能が発揮できず新規製品に代替すべきものを蘇生させ,新たな本件装置を再生していると評価できるから,本件装置の「生産」(法2条3項1号)に当たる。仮に,本件各メンテナンス行為の一部又は全部を「生産」とは評価し得ない事情があるとしても,本件各メンテナンス行為は,各ユーザーによる本件装置の「使用」(同条同項同号)を実質的に助長するから,本件各メンテナンス行為を行った者は,不法行為者(特許権侵害者)を幇助した者(民法719条2項)として共同行為者とみなされる。 しかるに,被告ワンマンは,今後も本件装置について譲渡,貸渡し,輸出,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続し,また,本件各部品の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続する蓋然性が極めて高い。さらに,被告ワンマンが本件各メンテナンス行為を継続する蓋然性も極めて高い。 イ被告ニチモウについて上記(2)[原告の主張]のとおり,被告ワンマンの行為は実質的に被告ニチモウの行為であることに加え,被告Y及び被告ニチモウのこれまでの態度等に鑑みれば,被告ニチモウが自ら又は被告ワンマン以外の関連会社等を通じて,本件装置の譲渡,貸渡し,輸出,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続し,また,本件各部品の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続する蓋然性が高い。さらに,被告ニチモウが本件各メンテナンス行為を継続する蓋然性も高い。 ウ被告西部機販について被告西部機販 し,また,本件各部品の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続する蓋然性が高い。さらに,被告ニチモウが本件各メンテナンス行為を継続する蓋然性も高い。 ウ被告西部機販について被告西部機販は,現在も本件装置の在庫品を所持し,今後も本件装置の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続し,また,本件各部品の譲渡,貸渡し,譲渡若しくは貸渡しの申出を継続する蓋然性が極めて高い。 さらに,被告西部機販が,本件各メンテナンス行為を継続する蓋然性も極めて高い。 エしたがって,原告は,被告ワンマンら及び被告西部機販に対し,前記第1の1~3に係る本件装置及び本件各部品の譲渡等の各差止めに加え,前記第1の5に係る本件各メンテナンス行為の各差止めを求めることができる。 [被告ワンマンら及び被告西部機販の主張]争う。 (5) 争点5(損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。))について[原告の主張]ア被告ワンマンらによる本件装置1及び本件各部品の販売に係る損害(ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)被告ワンマンらが,本件装置の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(3億4669万7500円)と仕入金額の合計(3億0345万4000円)の差額である4324万3500円であり,このうち本件装置3に係る販売利益(469万5000円)を控除した3854万8500円が,被告ワンマンらによる本件装置1の販売によって得た利益(税抜)となる。 また,被告ワンマンらが,本件固定リングの販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(222万2400円)と仕入金額の合計(184万5000円)の差額である37万7400円,本件板状部材の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(35万1084円)と仕入金額の 上金額の合計(222万2400円)と仕入金額の合計(184万5000円)の差額である37万7400円,本件板状部材の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(35万1084円)と仕入金額の合計(24万8800円)の差額である10万2284円である。 したがって,被告ワンマンらが本件装置1及び本件各部品の販売によって得た利益(税込)は,次の計算式のとおり,4097万9593円であり,同額が原告の損害と推定される。 計算式:(3854万8500円+37万7400円+10万228 4円)×1.05(消費税相当額の加算。なお,平成26年4月分以降の取引も含めて一律に消費税率を5%として計算する。)また,原告は,被告ワンマンらの共同不法行為によって本件訴訟提起を余儀なくされたのであり,弁護士費用のうち410万円も同共同不法行為と相当因果関係を有する損害である。 そこで,上記損害(4097万9593円)の一部である1300万8500円に弁護士費用相当額(410万円)の一部である130万円を加算した1430万8500円を,原告の損害額として主張する。 (イ) 法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張(予備的主張)本件装置1の販売に係る利益(税抜)は,上記(ア)のとおり,3854万8500円であり,本件装置1の販売に係る本件各発明の実施料率は販売利益の3%が相当であるから,本件装置1の販売についての実施料相当額(税抜)は,115万6455円(計算式3854万8500円×3%)となる。 また,上記(ア)のとおり,本件各部品の販売に係る利益(税抜)は,本件固定リングについて37万7400円,本件板状部材について10万2284円であり,本件各発明の実施料率はいずれも各販売利益の10%が相当であるから,本件各部品の販 品の販売に係る利益(税抜)は,本件固定リングについて37万7400円,本件板状部材について10万2284円であり,本件各発明の実施料率はいずれも各販売利益の10%が相当であるから,本件各部品の販売についての実施料相当額(税抜)は,本件固定リングについて3万7740円,本件板状部材について1万0228円(計算式は,それぞれ37万7400円×10%,10万2284円×10%)となる。 したがって,原告が,被告ワンマンらから本件各発明の実施に対して受けるべき金銭の額に相当する額又は不当利得額(いずれも税込)は,次の計算式のとおり,126万4644円であり,同額が原告の損害又は被告ワンマンらの不当利得の額となる。 計算式:(115万6455円+3万7740円+1万0228円)×1.05(消費税相当額の加算。なお,平成26年4月分以降の取引も含めて一律に消費税率を5%として計算する。)また,原告は,被告ワンマンらの共同不法行為によって本件訴訟提起を余儀なくされたのであり,弁護士費用のうち410万円も同共同不法行為と相当因果関係を有する損害である。 そこで,予備的に,上記損害額126万4644円に弁護士費用相当額410万円を加算した536万4644円を原告の損害額として,上記不当利得額126万4644円を被告ワンマンらの不当利得額として,それぞれ主張する。 イ被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る損害(ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)被告西部機販が,本件装置2の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(3890万円)と仕入金額の合計(3425万7000円)の差額である464万3000円である。 また,被告西部機販が,本件固定リングの販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計 上金額の合計(3890万円)と仕入金額の合計(3425万7000円)の差額である464万3000円である。 また,被告西部機販が,本件固定リングの販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(66万円)と仕入金額の合計(55万円)の差額である11万円,本件板状部材の販売によって得た利益(税抜)は,売上金額の合計(4万4600円)と仕入金額の合計(3万1800円)の差額である1万2800円である。 したがって,被告西部機販が本件装置2及び本件各部品の販売によって得た利益(税込)は,次の計算式のとおり,500万4090円であり,同額が原告の損害と推定される。 計算式:(464万3000円+11万円+1万2800円)×1. 05(消費税相当額の加算。なお,平成26年4月分以降の取引も含めて一律に消費税率を5%として計算する。) また,原告は,被告西部機販の不法行為によって本件訴訟提起を余儀なくされたのであり,弁護士費用のうち50万円も同不法行為と相当因果関係を有する損害である。 そこで,原告は,上記損害(500万4090円)の一部である80万4200円に弁護士費用相当額(50万円)の一部である12万円を加算した92万4200円を,原告の損害額として主張する。 (イ) 法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張(予備的主張)本件装置2の販売に係る利益(税抜)は,上記(ア)のとおり,464万3000円であり,本件装置2の販売に係る本件各発明の実施料率は販売利益の3%が相当であるから,本件装置2の販売についての本件各発明の実施料相当額(税抜)は,13万9290円(計算式464万3000円×3%)となる。 また,上記(ア)のとおり,本件各部品の販売に係る利益(税抜)は,本件固定リングについて11万円,本件板状部材に 実施料相当額(税抜)は,13万9290円(計算式464万3000円×3%)となる。 また,上記(ア)のとおり,本件各部品の販売に係る利益(税抜)は,本件固定リングについて11万円,本件板状部材について1万2800円であり,本件各発明の実施料率はいずれも販売利益の10%が相当であるから,本件各部品の販売についての本件各発明の実施料相当額(税抜)は,本件固定リングについて1万1000円,本件板状部材について1280円(計算式は,それぞれ11万円×10%,1万2800円×10%)となる。 したがって,原告が,被告西部機販から本件各発明の実施に対して受けるべき金銭の額に相当する額の損害又は不当利得の額(いずれも税込)は,次の計算式のとおり,15万9148円であり,同額が原告の損害又は被告西部機販の不当利得の額となる。 計算式:(13万9290円+1万1000円+1280円)×1. 05(消費税相当額の加算。なお,平成26年4月分以降の取引も含めて一律に消費税率を5%として計算する。) また,原告は,被告西部機販の不法行為によって本件訴訟提起を余儀なくされたのであり,弁護士費用のうち50万円も同不法行為と相当因果関係を有する損害である。 そこで,原告は,予備的に,上記損害額15万9148円に弁護士費用相当額50万円を加算した65万9148円を原告の損害額として,上記不当利得額15万9148円を被告西部機販の不当利得額として,それぞれ主張する。 ウ本件装置3に係る本件共同不法行為2による損害原告の本件装置3に係る損害の主張は,以下の本件共同不法行為2に基づく主張が全てである。 (ア) 逸失利益原告は,被告らの本件共同不法行為2によって,本件装置3に係る逸失利益に相当する損害を被った。 そして,原告の損害額は, ,以下の本件共同不法行為2に基づく主張が全てである。 (ア) 逸失利益原告は,被告らの本件共同不法行為2によって,本件装置3に係る逸失利益に相当する損害を被った。 そして,原告の損害額は,法102条2項により,被告らが一連の共同不法行為によって得た金額を合算した金額であると推定されるところ,被告らが本件共同不法行為2に該当する一連の行為によって得た金額は,次のとおり,本件装置3の販売によって被告ワンマンらの得た利益(下記a)と被告西部機販の得た利益(下記b)を合算し,これに消費税額を加算した合計1415万8800円(計算式は(469万5000円+841万5000円)×1.08(消費税相当額の加算))であるから,これが原告の逸失利益となる。 a 被告ワンマンらが得た利益 469万5000円被告ワンマンは,渡邊機開から本件装置3を1台当たり331万5000円で購入し,被告西部機販に1台当たり409万7500円で販売したから,これにより被告ワンマンらが得た利益(税抜き)は,469万5000円(計算式は(409万7500円×6台) -(331万5000円×6台))となる。 b 被告西部機販が得た利益 841万5000円被告西部機販は,上記aのとおり,本件装置3を被告ワンマンから1台当たり409万7500円で購入し,鬼崎漁協に販売した。 被告西部機販は,本件装置3を鬼崎漁協に販売するに際し,他の機械とセットで販売しているが,仕入値よりも安い金額で販売するとは通常考えられないから,本件装置の定価である1台当たり550万円で転売したものとみるのが相当である。したがって,本件装置3の販売により被告西部機販が得た利益(税抜き)は,841万5000円(計算式は(550万円×6台)-(409万7500円×6台))となる。 ( したものとみるのが相当である。したがって,本件装置3の販売により被告西部機販が得た利益(税抜き)は,841万5000円(計算式は(550万円×6台)-(409万7500円×6台))となる。 (イ) 弁護士費用相当額原告は,被告らの共同不法行為2によって上記(ア)の損害に係る損害賠償請求訴訟の提起を余儀なくされ,これにより弁護士費用の支出を余儀なくされたところ,本件訴訟の提起に要した弁護士費用のうち,本件共同不法行為2と相当因果関係を有する弁護士費用は,140万円を下らない。 (ウ) 本件共同不法行為2によって原告が受けた損害額は,上記(ア)及び(イ)の合計額であるところ,原告は,1415万8800円(上記(ア))及び9万7200円(上記(イ)の140万円の内金(ただし,上記(ア)の損害額1415万8800円が減額される場合,その減額部分相当額が130万2800円(=140万円-9万7200円)に満つるまでは,当該相当額と上記9万7200円を合算した金額)を合計した1425万6000円の損害賠償を求める。 エ被告らの主張に対する反論(ア) 販売利益から控除すべき経費が存在しないこと 本件装置の納品や設置はメーカーである渡邊機開が行い,送料は渡邊機開又は最終消費者である顧客が負担している。また,被告ワンマンら及び被告西部機販は,顧客に対するメンテナンスや補修等の工賃も別途顧客から徴収している。したがって,被告ワンマンら及び被告西部機販には,本件装置の販売に際し,仕入代金以外の変動費は生じておらず,被告ワンマンら及び被告西部機販において,販売利益から控除すべき経費は存在しない。 (イ) 本件装置の販売に対する本件各発明の寄与率について本件装置の販売において,本件固定リングを通常の固定リングに変更した場合 被告西部機販において,販売利益から控除すべき経費は存在しない。 (イ) 本件装置の販売に対する本件各発明の寄与率について本件装置の販売において,本件固定リングを通常の固定リングに変更した場合には目詰まり防止の効果を奏することができず,顧客の要求水準を満たすことができない。したがって,本件装置の販売に対する本件各発明の寄与率は100%である。なお,仮に百歩譲って寄与率をいくぶん減額するとしても,せいぜい30%の減額が限度である。 (ウ) 消滅時効の未完成原告は,被告ワンマンが平成24年以前に本件装置を販売した事実及び被告西部機販が平成21年又は22年に本件装置を販売した事実を,いずれも全く知らなかった。原告が,被告ワンマン及び被告西部機販における本件装置の販売事実を知ったのは,被告ワンマンについては平成26年11月ころ,被告西部機販については平成27年2月4日であり,この時点で初めて,被告ワンマン及び被告西部機販によって本件特許権が侵害され,これによって損害が発生したことを知ったのである。したがって,原告の被告ワンマンに対する損害賠償請求債権の消滅時効の起算日は平成26年11月,原告の被告西部機販に対する損害賠償請求債権の消滅時効の起算日は平成27年2月4日であり,原告が平成27年5月11日に本件訴えを提起したことによって消滅時効が中断したから,消滅時効は完成していない。 [被告らの主張]ア被告ワンマン及び同ニチモウによる本件装置1及び本件各部品の販売に係る損害原告が主張する本件装置1及び本件各部品の各売上金額及び仕入金額は認めるが,その余は争う。 (ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)に対する反論上記(2)[被告ワンマンらの主張]のとおり,被告ニチモウと被告ワンマンとは別の主体であり, 及び仕入金額は認めるが,その余は争う。 (ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)に対する反論上記(2)[被告ワンマンらの主張]のとおり,被告ニチモウと被告ワンマンとは別の主体であり,グループ企業であるという一事をもって,被告ニチモウが被告ワンマンの行為について共同不法行為責任を負うことはない。このほか,原告の主張に対する反論は,次のとおりである。 a 必要経費の控除について被告ワンマンが,本件装置1及び本件各部品の売上金額の合計から仕入金額の合計を控除した金額は3902万8184円(計算式は,3854万8500円+37万7400円+10万2284円)であるが,被告ワンマンが自ら顧客に本件装置を販売するのは全体の2割程度であり,残りの8割程度は,メーカーからの一次販売店として,海苔製造業者への販売を行う二次販売店に卸販売していた。 そして,被告ワンマンは,本件装置を顧客である海苔製造業者に自ら販売する場合には下記費用のうち(a)~⒞を,本件装置を二次販売店に卸販売する場合には下記費用のうち(b)を,それぞれ支出しており,被告ワンマンの利益を算出するに当たっては,これらの各費用を控除すべきである。 したがって,被告ワンマンの受けた利益は,自ら顧客に販売したことによる利益額175万2818円(計算式は,(3902万8184円-25万円×86台)×0.2×0.5)と,一次販売店として卸販売したことによる利益額2778万2547円(計算式は,(3 902万8184円-5万円×86台)×0.8)を合計した2953万5365円を超えることはない。 記(a) 納入・据付費 1台当たり約20万円本件装置は,渡邊機開が顧客のもとまで輸送することもあったが,被告ワンマンが自ら顧客に本件装置を販売する場合には,基本 5円を超えることはない。 記(a) 納入・据付費 1台当たり約20万円本件装置は,渡邊機開が顧客のもとまで輸送することもあったが,被告ワンマンが自ら顧客に本件装置を販売する場合には,基本的に被告ワンマンの営業所まで輸送された後,被告ワンマンにおいて顧客のもとまで輸送しており,被告ワンマンには,各営業所から顧客の事業所までの間の輸送費や設置予定場所に据え付けるためにレンタルしたユニックやリフトなどの重機に係るレンタル料(1台当たり約1万5000円)の費用が発生している。 また,被告ワンマンは,本件装置本体の設置に必要なホースやホースバンド等の接続金具,配線コードなどの組付部材の費用(1台当たり約10万円)の他,納入・設置に係る人件費(1台当たり約7万5000円)も負担している。さらに,これに加えて,雑費も生じている。 これらの費用を合計すると,本件装置1については,1台当たり平均20万円程度の納入・据付費がかかっている。 (b) 本件装置1の販売に要した受注活動費 1台当たり5万円被告ワンマンは,自ら顧客に本件装置の購入を勧めたり一次販売店として二次販売店に対して本件装置の購入を勧めたりする際,従業員に顧客又は二次販売店を訪問させて販売促進活動を行うことがあり,平均すると1回当たり10万円(人件費7万円,宿泊日当1万円,旅費2万円)をかけている。被告ワンマンがこのような本件装置の販売促進活動を行うのは,販売台数全体のおよそ半分程度であるから,1台当たり5万円(計算式は,10万円× 1/2)の受注活動費を支出しているといえる。 ⒞ メンテナンス等のアフターサービス費用粗利益の2分の1被告ワンマンが自ら顧客に本件装置を販売する場合には,販売先である顧客の要望に応じて,販売後の一漁期の間に限り,本件装置の といえる。 ⒞ メンテナンス等のアフターサービス費用粗利益の2分の1被告ワンマンが自ら顧客に本件装置を販売する場合には,販売先である顧客の要望に応じて,販売後の一漁期の間に限り,本件装置の点検や調整といったアフターサービスを無償で行っており,販売によって得た粗利益の5割程度を,こうしたアフターサービスのために費消している。 b 寄与率について本件各発明は,本件装置1の販売促進にほとんど寄与しておらず,せいぜい本件特許を取得したという外形的事実を根拠に,目新しい機能を備えた商品であるという限度においてのみ顧客を誘引することに寄与するのであるから,本件装置1の販売についての本件各発明の寄与率は被告ワンマンの利益の10%を超えるものではない。 c 推定覆滅事由について原告は,被告ワンマンや被告西部機販のような販売店ではなく,製造業者であるから,原告の製品が販売されることによって原告が受ける利益は,製造業者としての利益にとどまる。したがって,仮に被告ワンマンによる本件装置1の販売が本件特許権を侵害するとしても,被告ワンマンが販売店として得た利益を原告が稼ぎ出すことは不可能である。 (イ) 法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張(予備的主張)に対する反論原告は,本件各発明について,本件装置1に対する実施料率を3%,本件各部品に対する実施料率を10%と主張するが,本件各発明に実質的な効用はなく,本件装置1及び本件各部品の販売促進に寄与することがほとんどない。したがって,本件各発明の相当な実施料率は,本件装 置1について1%,本件各部品について3%にそれぞれとどまる。 イ被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る損害原告が主張する本件装置2及び本件各部品の各売上金額及び仕入金額は認める 1について1%,本件各部品について3%にそれぞれとどまる。 イ被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る損害原告が主張する本件装置2及び本件各部品の各売上金額及び仕入金額は認めるが,その余は争う。 (ア) 法102条2項に基づく主張(主位的主張)に対する反論a 必要経費の控除について被告西部機販における本件装置2及び本件各部品の売上金額の合計から仕入金額の合計を控除した金額は476万5800円であるところ(計算式は,464万3000円+11万円+1万2800円),被告西部機販は専ら二次販売店として本件装置2を自ら顧客に販売していた。 そして,被告西部機販は,本件装置2を顧客に販売するに当たり,上記ア(ア)a(a)と同じく,1台当たり平均して20万円程度の納入・据付費を支出し,また,上記ア(ア)a⒞と同じく,販売によって得た粗利益の5割程度のアフターサービス費用を負担していたから,被告西部機販の利益額を算出するに当たっては,これらの費用を控除する必要がある。 したがって,被告西部機販の受けた利益は,138万2900円(計算式は,(476万5800円-20万円×10台)×0.5)を超えることがない。 b 寄与率について上記ア(ア)bのとおり,本件各発明は,本件装置2の販売促進にほとんど寄与しておらず,せいぜい本件特許を取得したという外形的事実を根拠に,目新しい機能を備えた商品であるという限度においてのみ顧客を誘引することに寄与するのであるから,本件装置2の販売についての本件各発明の寄与率は被告西部機販の利益の10%を超える ものではない。 c 推定覆滅事由について上記ア(ア)cのとおり,原告は,販売店ではなく製造業者であるから,原告の製品が販売されることによって原告が受ける利益は,製造 0%を超える ものではない。 c 推定覆滅事由について上記ア(ア)cのとおり,原告は,販売店ではなく製造業者であるから,原告の製品が販売されることによって原告が受ける利益は,製造業者としての利益にとどまる。したがって,仮に被告西部機販による本件装置2の販売が本件特許権を侵害するとしても,被告西部機販が販売店として得た利益を原告が稼ぎ出すことは不可能である。 (イ) 法102条3項又は不当利得返還請求権に基づく主張(予備的主張)に対する反論上記ア(イ)のとおり,本件各発明に実質的な効用はなく,本件装置2及び本件各部品の販売促進に寄与することはほとんどないから,本件各発明の相当な実施料率は,本件装置2について1%,本件各部品について3%にそれぞれとどまる。 ウ本件装置3に係る本件共同不法行為2による損害原告は,被告ワンマン及び被告西部機販が本件装置3の販売によって得た利益を合算した金額が原告の逸失利益であり,同額を被告らが連帯して支払う義務があると主張する。 しかしながら,被告ワンマンは,本件装置3を二次販売店である被告西部機販に販売するについて,上記ア(ア)a(b)のとおり,1台当たり5万円の経費をかけており,また,被告ワンマンの得た利益についての本件特許の寄与率は,上記ア(ア)bのとおり,10%を超えることがなく,上記ア(ア)cのとおり,推定覆滅事由がある。 そして,被告ワンマンの得た利益が439万5000円を超えることはないから,原告の逸失利益は,同額に寄与率(10%)を乗じた43万9500円を超えることはない。 また,被告西部機販の鬼崎漁協に対する本件装置3の販売においては, 仕入金額よりも販売金額が低額となっているが,これは,入札金額が,被告ワンマンと被告西部機販との間で合意した販売金 い。 また,被告西部機販の鬼崎漁協に対する本件装置3の販売においては, 仕入金額よりも販売金額が低額となっているが,これは,入札金額が,被告ワンマンと被告西部機販との間で合意した販売金額よりも低額となってしまったためであり,被告西部機販は,本件装置3とセットで販売した他の機械の売上から得られる利益から損失をてん補することが可能であると考えて,このような仕入価格を割り込む価格での入札に応じたのである。したがって,被告西部機販には,本件装置3の販売による利益はそもそも出ていない。 エ消滅時効の完成(ア) 被告Yは,被告ワンマンの代表者として,平成22年6月16日に原告代表者と面談している。この際に話し合われたのは,本件装置ではなく,別の会社が製作した生海苔異物除去装置に関してであったが,原告は,この時点において,既に本件装置も本件特許権を侵害するという認識を有していたから,被告Yに対し,本件装置を販売しているか否かを確認することは容易であった。にもかかわらず,原告は,敢えて本件装置の販売実態について確認しなかったのである。したがって,原告は同日の時点で,被告ワンマンが本件装置を販売し,原告に損害が発生していることを認識し得た(あるいは十分に認識していた)といえる。 (イ) 被告西部機販については,上記(ア)と異なり,原告との間で直接交渉した事実は存在しない。しかしながら,原告は,被告西部機販が原告以外のメーカーの製作に係る製品を取り扱っていることを認識していたはずであり,被告西部機販に対し,本件装置を販売しているか否かを質問することは容易であった。にもかかわらず,原告は,敢えて本件装置の販売について確認しなかったのである。したがって,原告は,被告ワンマンが本件装置を販売していることを認識し得た上記(ア)の時点( 質問することは容易であった。にもかかわらず,原告は,敢えて本件装置の販売について確認しなかったのである。したがって,原告は,被告ワンマンが本件装置を販売していることを認識し得た上記(ア)の時点(平成22年6月16日)までには,被告西部機販による 本件装置の販売も認識し得たといえる。 (ウ) したがって,原告が訴え提起前6か月以内で,被告ワンマンに催告をした日(平成27年3月19日)の3年前である平成24年3月19日以前の期間に係る本件装置の販売についての損害賠償請求権については,消滅時効が完成している。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件各発明に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものか)について(1) 本件訂正明細書の記載本件訂正明細書には,以下の記載がある。 ア 【発明の属する技術分野】として,「本発明は,生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去する生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置に関する。」(段落【0001】)イ 【従来の技術】として,「この異物分離機構を備えた生海苔異物分離除去装置としては,特開平8-140637号の生海苔の異物分離除去装置がある。その構成は,筒状混合液タンクの環状枠板部の内周縁内に回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに,前記筒状混合液タンクに異物排出口を設けたことにある。この発明は,比重差と遠心力を利用して効率よく異物を分離除去できること,回転板が常時回転するので目詰まりが少ないこと,又は仮りに目詰まりしても,当該目詰まりの解消を簡易に行えること,等の特徴があると開示されている。」(段落【0002】)ウ 【発明が解決しようとする課題】とし 時回転するので目詰まりが少ないこと,又は仮りに目詰まりしても,当該目詰まりの解消を簡易に行えること,等の特徴があると開示されている。」(段落【0002】)ウ 【発明が解決しようとする課題】として,「前記生海苔の異物分離除去装置,又は回転板とクリアランスを利用す る生海苔異物分離除去装置においては,この回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が,回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は生海苔等が,クリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象であり,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する状況等である。この状況を共回りとする。この共回りが発生すると,回転板の停止,又は作業の停止となって,結果的に異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の如く,最悪の状況となることも考えられる。」(段落【0003】)「前記共回りの発生のメカニズムは,本発明者の経験則では,1.生海苔(原藻)に根,スケール等の原藻異物が存在し,生海苔の厚みが不均等のとき,2.生海苔が束状,捩じれ,絡み付き等の異常な状態で,生海苔が展開した状態でない,所謂,生海苔の動きが正常でないとき,3.生海苔が異物を取り込んでいる状態,生海苔に異物が付着する等の状態であって,生海苔の厚みが不均等であるとき,等の生海苔の状態と考えられる。」(段落【0004】)エ 【課題を解決するための手段】として,「請求項1の発明は,共回りの発生を無くし,かつクリアランスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)を図ることにある。またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場 ンスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)を図ることにある。またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置することを意図する。」(段落【0005】)「請求項1は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において, 前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(段落【0006】)「請求項3の発明は,請求項1の目的を達成することと,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置することを意図する。」(段落【0009】)「請求項3は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(段落【0010】)「請求項4の発明は,請求項1の目的を達成することと,またこの防止手段を,クリアランスへの容易な設置を図ることを意図する。」(段落【0011】)「請求項4は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出 易な設置を図ることを意図する。」(段落【0011】)「請求項4は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(段落【0012】)オ 【発明の実施の形態】として,「本発明の生海苔混合液槽には,生海苔タンクから順次生海苔混合液が導入される。この導入された生海苔混合液の生海苔は,回転板とともに回 転しつつ,順次吸込用ポンプにより回転板と選別ケーシングで形成される異物分離機構のクリアランスに導かれる。この生海苔は,このクリアランスを通過して分離処理される。この分離処理された生海苔及び海水は,選別ケーシングのケーシング内底面より連結口を経由して良質タンクに導かれる。」(段落【0019】)「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)。」(段落【0020】)「以上のような操作により,生海苔の分離が,極めて効率的にかつトラブルもなく行われることと,当該回転板,又は当該装置の停止等は未然に防止できる特徴がある。」(段落【0021】)カ 【実施例】として,「1は異物分離除去装置で,この異物分離除去装置1は,生海苔混合液をプールする生海苔混合液槽2と,この生海苔混合液槽2 未然に防止できる特徴がある。」(段落【0021】)カ 【実施例】として,「1は異物分離除去装置で,この異物分離除去装置1は,生海苔混合液をプールする生海苔混合液槽2と,この生海苔混合液槽2の内底面21に設けた異物分離機構3と,異物排出口4と,前記異物分離機構3の回転板34を回転する駆動装置5と,防止手段6を主構成要素とする。」(段落【0023】)「生海苔混合液槽2には,生海苔・海水を溜める生海苔タンク10と連通する生海苔供給管11が開口しており,この生海苔供給管11には供給用のポンプ12が設けられている。また分離処理された生海苔・海水をプールする良質タンク13を設ける。」(段落【0024】)「異物分離機構3は,分離した生海苔・海水を吸い込む連結口31,及び逆洗用の噴射口32を有する選別ケーシング33と,この選別ケーシング33に寸法差部Aを設けるようにして当該選別ケーシング33の噴射口32の上方に設けられた回転板34と,この回転板34の円周面34aと 前記選別ケーシング33の円周面33aとで形成されるクリアランスSと,で構成されている。前記寸法差部Aは,選別ケーシング33の円周端面33bと回転板34の円周端面34bとの間で形成する。」(段落【0025】)「防止手段6は,一例として寸法差部Aに設ける。図3,図4の例では,選別ケーシング33の円周端面33bに突起・板体・ナイフ等の突起物を1ケ所又は数ヶ所設ける。また図5の例は,生海苔混合液槽2の内底面21に1ケ所又は数ヶ所設ける。さらに他の図6の例は,回転板34の円周面34a及び/又は選別ケーシング33の円周面33a(一点鎖線で示す。)に切り溝,凹凸,ローレット等の突起物を1ケ所又は数ヶ所,或いは全周に設ける。また図7の例は,選別ケーシング33(枠板)の円周面 面34a及び/又は選別ケーシング33の円周面33a(一点鎖線で示す。)に切り溝,凹凸,ローレット等の突起物を1ケ所又は数ヶ所,或いは全周に設ける。また図7の例は,選別ケーシング33(枠板)の円周面33a(内周端面)に回転板34の円周端面34bが内嵌めされた構成のクリアランスSでは,このクリアランスSに突起・板体・ナイフ等の突起物の防止手段6を設ける。また図8の例では,回転板34の回転方向に傾斜した突起・板体・ナイフ等の突起物の防止手段6を1ケ所又は数ヶ所設ける。」(段落【0026】)「尚,前記回転板34は,駆動装置5のモーター51に設けた回転軸52に昇降自在に設けられている。従って,逆洗槽14内の海水を,ホース15及び逆洗用ポンプ16を介して噴射口32より噴射して,この回転板34を押上げ,この押上げによりクリアランスSの寸法を拡げる構成となっている。」(段落【0027】)「図中17は連結口31に設けた分離された生海苔・海水を良質タンク13に導くホース,18はホース17に設けた吸込用ポンプをそれぞれ示す。」(段落【0028】)キ 【発明の効果】として,「請求項1の発明は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転 板,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,防止手段を,突起・板体の突起物とし,突起物を,選別ケーシングの円周端面に設ける生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。従って,この請求項1は,共回りの発生を無くし,かつクリアランスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の である。従って,この請求項1は,共回りの発生を無くし,かつクリアランスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)が図れること,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置できること等の特徴がある。」(段落【0029】)「請求項3の発明は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,防止手段を,突起・板体の突起物とし,突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。従って,請求項1の目的を達成できることと,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置できること等の特徴を有する。」(段落【0031】)「請求項4の発明は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,防止手段を,突起・板体の突起物とし,突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。従って,請求項1の目的を達成できることと,またこの防止手段を, クリアランスへの容易な設置が図れること等の特徴を有する。」(段落【0032】)(2) 本件各発明の概要本件各発明の構成要件及び上記(1)で認定した本件訂正明細書の記載によれば,本件各発明の概要は,以下のとおりと認められる ること等の特徴を有する。」(段落【0032】)(2) 本件各発明の概要本件各発明の構成要件及び上記(1)で認定した本件訂正明細書の記載によれば,本件各発明の概要は,以下のとおりと認められる。 ア本件各発明は,生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去する生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置に関する。 従来,筒状混合液タンクの環状枠板部の内周縁内に回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに,前記筒状混合液タンクに異物排出口を設けた生海苔異物分離除去装置(乙4発明)がある。 この生海苔異物分離除去装置(又は,回転板とクリアランスを利用する生海苔異物分離除去装置)においては,この回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象,又は,生海苔等がクリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象が生じ,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する。 このような「共回り」が発生すると,回転板の停止又は作業の停止となって,結果的に異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等のごとく,最悪の状況となることも考えられる。 イ本件各発明は,従来の生海苔異物分離除去装置(乙4発明)の有する前記アの問題に鑑み,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は効率的・連続的な異物分離を図ること等を目的に,「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合 を目的に,「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生 海苔異物分離除去装置」において,本件発明1では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とし,本件発明3では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とし,本件発明4では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした。 ウ本件各発明によれば,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は,効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)が図れること,この防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置できること,この防止手段を,クリアランスへの容易な設置が図れること等の効果を奏する。 (3) 無効理由2について説示の便宜上,まず無効理由2から判断し,その後に無効理由1について判断することとする。 ア乙4発明の概要乙4文献の特許請求の範囲の請求項1ないし4の記載及び発明の詳細な説明の段落【0001】ないし【0003】,【0005】,【0009】,【0028】,【0029】の各記載並びに【図4】によれば,乙4文献には,下記の発明(乙4発明)が記載されているものと認められる。 記第一分離除去具は,第一回転板,第一回転板との間にクリアランスSを形成する環状固定板と環状枠板で構成される環状枠板部,環状枠板を連設するための周筒部,クリアランスSを通過した海苔混合液を連設タン 第一分離除去具は,第一回転板,第一回転板との間にクリアランスSを形成する環状固定板と環状枠板で構成される環状枠板部,環状枠板を連設するための周筒部,クリアランスSを通過した海苔混合液を連設タンクに排出するガイド筒,及び,異物を排出するための管状の排出路及びそれに続く排出管とで構成されており,筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠 板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスSを介して内嵌めし,この第一回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底隅部に異物排出口を設けたことを特徴とする生海苔の異物分離除去装置。 イ本件各発明と乙4発明との一致点及び相違点(ア) 一致点生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置である点。 (イ) 相違点本件各発明が,「防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,選別ケーシングの円周端面に設け(本件発明1),回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設け(本件発明3),あるいは,選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける(本件発明4)構成とした,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を具備するのに対して,乙4発明はかかる防止手段を具備していない点。 ウ相違点の容易想到性について(ア) 乙2文献に記載された公知技術乙2文献には以下の公知技術が記載されている。なお,被告らは乙2文献に記載された公知技術が周知技術であると主張するが,これを認めるに足る証拠はない。 a 乙2文献に記載された技術は,生海苔の異物(ゴミ,エビ,アミ糸等)分離装置に関し, る。なお,被告らは乙2文献に記載された公知技術が周知技術であると主張するが,これを認めるに足る証拠はない。 a 乙2文献に記載された技術は,生海苔の異物(ゴミ,エビ,アミ糸等)分離装置に関し,生海苔調合液(生海苔と塩水又は真水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際に使用されるものに関する。(乙2文献の段落【0001】)b 従来におけるこの種の異物分離装置は,所要数のローラーをスリッ トを介して並列に配置し,これらのスリットに,生海苔調合液を通過させることによって,生海苔調合液中の異物を分離除去していたが,かかる従来の異物分離装置にあっては,スリットの上流側に分離除去された異物が詰まりやすく,その結果,異物の分離除去の作業能率を向上させにくいという不都合があった。そこで,乙2文献に記載された技術は,かかる不都合を解消するために,所要数の回転ローラーをスリットを介して並列に配置し,これらのスリットに生海苔調合液を通過させることによって,生海苔調合液中の異物を分離する生海苔の異物分離装置において,回転ローラーの外周面にらせん溝を形成したものである。(乙2文献の段落【0002】~【0005】)c 乙2文献に記載された技術によれば,分離除去されてスリットの上流側にとどまった異物は,らせん溝の回転に従ってローラーの軸方向に沿って移動してスリットから除去され,当該スリットは常時空間を確保することができるという作用効果を奏する。(乙2文献の段落【0007】)(イ) 乙3文献に記載された公知技術乙3文献には以下の公知技術が記載されている。なお,被告らは乙3文献に記載された公知技術が周知技術であると主張するが,これについても,上記(ア)と同様,これを認めるに足る証拠はない。 a 乙3文献に記載された技術は,生海苔 が記載されている。なお,被告らは乙3文献に記載された公知技術が周知技術であると主張するが,これについても,上記(ア)と同様,これを認めるに足る証拠はない。 a 乙3文献に記載された技術は,生海苔のゴミ取り装置に関する。 (乙3文献の段落【0001】)b 従来,乾燥海苔の製造に当たり,乾燥海苔には,生海苔に混入しているゴミが付着している可能性があるため,ゴミ検出装置によりゴミの検出を行い,ゴミが検出されたものはゴミ取り作業工程に回すようにしていたが,同工程で,乾燥海苔に付着したゴミを手作業により取り除いていたために,手間と労力を要して,作業効率が悪いという問 題があった。そこで,乙3文献に記載された技術は,所要の大きさに切断した生海苔と塩水とを一定の重量割合で調合する調合部と,同調合部により調合された生海苔と塩水との調合液を吸い込む吸込流路部と,同吸込流路部に設けて調合液中のゴミをろ過するろ過部を具備し,ろ過部には一定の細幅のろ過用スリットを形成した生海苔のゴミ取り装置を提供するものである。(乙3文献の段落【0002】~【0005】)c 乙3文献に記載された技術によれば,所要の大きさに切断した生海苔と塩水とを,生海苔がろ過用スリット中を通過しやすい程度の重量割合で調合して,同調合液を吸込流路部に吸い込むことにより,その途中でろ過部のろ過用スリットにより調合液中のゴミを確実にろ過することができ,付着ゴミの検出や,手作業によるごみ取り作業の手間を省くことができるという作用効果を奏する(乙3文献の段落【0099】)。 (ウ) 相違点の容易想到性についてa 乙4文献の「発明の詳細な説明」(段落【0002】,【0003】,【0005】,【0009】,【0028】,【0029】)の記載によれば,乙4発明は,従来の異物分離 相違点の容易想到性についてa 乙4文献の「発明の詳細な説明」(段落【0002】,【0003】,【0005】,【0009】,【0028】,【0029】)の記載によれば,乙4発明は,従来の異物分離除去装置(特開平6-121660号)が,分離ドラムの周壁に所要数の分離孔を設け,生海苔混合液を回転する分離ドラム内に供給し,分離孔を通過させることによって,生海苔混合液中の異物を分離ドラムの分離孔の周縁に引っ掛けて排出口に流れるのを防止するという方式(以下「従来方式」という。)であったため,分離孔の周縁に異物が蓄積し,目詰まりが発生するという課題を有するものであったことから,かかる課題を解決することを目的とし,従来の異物分離除去装置における異物分離除去の方式を変更して,固定部材(環状枠板部)とこの内周縁内に内嵌めされた回転 部材(第一回転板)との間のクリアランスに生海苔を導入しつつ,異物を,回転部材(第一回転板)の回転による遠心力によって,円周方向(クリアランスよりも環状枠板部側)に追いやり,生海苔のみを水とともにクリアランスを通過させるようにしたもの(以下「回転板方式」という。)であり,かかる方式を採用したことにより,異物がクリアランスに詰まりにくく,従来の異物分離除去装置のように,目詰まり洗浄装置等を別途設けることを不要としたものであると認められる。 これに対し,本件各発明は,前記1(1)のとおり,乙4発明を従来技術とし,その有する課題の解決を目的として発明されたものであって,回転板方式による異物分離除去装置である乙4発明には,「共回り」の課題があることを見いだし,これを克服するために,回転板方式による異物分離除去装置において,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段を設けたものである。 そうすると,乙 共回り」の課題があることを見いだし,これを克服するために,回転板方式による異物分離除去装置において,回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段を設けたものである。 そうすると,乙4発明は,回転板方式を前提とする発明である点で本件各発明と共通するものであるが,乙4文献には,本件各発明の課題である「共回り」,すなわち,「回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が,回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は生海苔等が,クリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象であり,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する状況等」(本件訂正明細書等の段落【0003】)についての記載はない。また,被告らが指摘する乙8ないし13の記載等を見ても,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,前記「共回り」の現象が生じることが自明であることを認めることはできず,他にこれを認めるに足る証拠もない。 したがって,乙4文献に接した当業者において,回転板方式による異物分離除去装置である乙4発明に前記「共回り」の課題があることを想起し得たと認めることはできない。 b また,乙4発明は本件各発明と同じく,固定部材と回転部材との間のクリアランスに生海苔を導入しつつ,異物を回転部材による遠心力により円周方向に追いやり,生海苔のみがクリアランスを通過するようにした回転板方式を前提とするものであるのに対し,乙2文献及び乙3文献の異物分離除去装置は,これとは異なり,スリットに生海苔調合液を通過させることによって生海苔調合液中の異物を分離するという方式によるものであって,乙4発明と乙2文献及び乙3文献に開示された技術とでは,その前提とする異物分離除去に係 り,スリットに生海苔調合液を通過させることによって生海苔調合液中の異物を分離するという方式によるものであって,乙4発明と乙2文献及び乙3文献に開示された技術とでは,その前提とする異物分離除去に係る技術的思想(方式)が異なるから,仮に,乙4文献に接した当業者において,乙4発明について,クリアランスに異物や生海苔の詰まりが生じるという問題があるという課題を想起し得たとしても,乙4発明に,それとは前提とする異物分離除去に係る技術的思想の異なる乙2文献及び乙3文献を適用する動機付けがあるとは認められない。 さらに,仮に,当業者において,乙4発明に乙2文献及び乙3文献に記載された公知技術を適用することを試みたとしても,乙4発明において,乙4発明とは異物分離除去の仕組みが異なる乙2文献及び乙3文献に記載された発明をどのように適用するのか想定することはできない上,乙2文献及び乙3文献には突起物の構成は何ら開示されていないのであるから,乙4発明に乙2文献及び乙3文献で開示された技術を組み合わせたとしても,本件各発明の構成に至ることはできないというべきである。 エ以上によれば,被告らの無効理由2の主張は理由がない。 (4) 無効理由1について 被告らは,本件各発明が,乙1考案と同一であると主張するので,以下検討する。 ア乙1考案の概要乙1文献の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載及び考案の詳細な説明の段落【0001】ないし【0005】,【0023】,【0024】の各記載並びに【図2】ないし【図4】によれば,乙1文献には,「混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段 タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができることを特徴とする生海苔の異物分離除去装置」が開示されていると認めることができる。 イ本件各発明と乙1考案の対比(ア) 上記アのとおり,乙1考案は,環状枠固定部の内周縁に凹部を設けることによってクリアランスを部分的に幅広として,当該幅広としたクリアランスから生海苔異物の大部分を占める茎部の付いた生海苔を通過させ,これによってクリアランスの目詰まりという課題を解消するというものであって,本件各発明のように,突起・板体の突起物をクリアランス又は回転板の円周面若しくは選別ケーシングの円周面や円周端面に設け,同突起物が,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消するとともに(防止効果),生海苔の動きを矯 正し,効率的にクリアランスに導く(矯正効果)ことによって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりをなくすという技術思想は記載されていない。 そうすると,乙1考案に設けられる「凹部」は,本件各発明の「突起・板体の突起物」(構成要件B1,B’1,B”1)とは異なるものであって,乙1考案は,構成要件A3の「防止手段」の 載されていない。 そうすると,乙1考案に設けられる「凹部」は,本件各発明の「突起・板体の突起物」(構成要件B1,B’1,B”1)とは異なるものであって,乙1考案は,構成要件A3の「防止手段」の構成を備えていない点において,本件各発明と相違するものと認められる。 (イ) これに対し,被告らは,①共回り現象が生じると生海苔及び異物がクリアランスに吸い込まれないため,究極的にはクリアランスの目詰まりが発生すること(本件訂正明細書の段落【0003】),乙1考案の出願人が乙1考案の出願より前に「目づまり防止付」の海苔異物除去機の宣伝広告を行っていたこと(乙8~11)からすれば,乙1考案の課題と本件各発明の課題は実質的に同一である旨,②乙1考案において,クリアランスに詰まった生海苔異物は,回転板によって引きずられ,凹部の位置に達した際に通過し,適正な生海苔原料として取り出されるから,凹部から成る防止手段は本件各発明の防止手段と同一の作用効果を発揮しており,乙1考案における凹部と本件各発明の「突起物」が実質的に同一であるし,乙2文献及び乙3文献によれば,凹部を回転板に設けることは本件各発明の出願時において周知技術であったことが明らかである旨主張する。 しかしながら,①については,乙1考案には共回りの発生原因や解決手段はもちろん共回りの課題についての記載は一切なく,また,上記(3)ウ(ウ)aのとおり,乙8~11によっても乙1考案の出願時において共回りの課題が当業者に周知となっていたとは認め難い。 また,②についても,本件各発明が防止手段として規定する「突起物」は所定の面あるいはクリアランスに突き出たものと解されるから,部分 的にクリアランスの幅を広げるものである乙1考案における凹部がこれに該当するということはできない。また,乙1 る「突起物」は所定の面あるいはクリアランスに突き出たものと解されるから,部分 的にクリアランスの幅を広げるものである乙1考案における凹部がこれに該当するということはできない。また,乙1考案における凹部は,環状枠板部の内周縁に設けられるもので,凹部を回転板に設ける旨の記載は乙1文献には見当たらないし,被告らが凹部を回転板に設けることが周知技術であった根拠として指摘する乙2文献及び乙3文献は,回転板方式ではない従来方式の生海苔異物分離装置に係るものであって,これらをもって凹部を回転板方式における回転板に設けることが周知技術であったとは到底認められない。 したがって,被告らの主張はいずれも採用することができない。 ウ以上によれば,本件各発明が乙1考案との関係で拡大先願違反であるということはできず,被告らの無効理由1の主張も理由がない。 2 争点2(被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の譲渡等につき,被告ニチモウとの本件共同不法行為1が成立するか)について被告ワンマンが渡邊機開から本件装置86台(本件装置1)を購入し,これを顧客に売却したこと,及び,本件装置が本件各発明の技術的範囲に属することに争いはなく(前記第2の2(3)ア),また,上記1のとおり,本件特許に無効事由が存在するとは認められないのであるから,被告ワンマンの上記行為は本件特許権侵害に当たるところ,原告は,被告ワンマンの本件特許権侵害行為が,被告ニチモウによる本件特許権侵害行為にも該当し,被告ニチモウには被告ワンマンとの共同不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,被告ワンマンの行為が本件特許権を侵害するとしても,被告ワンマンとは別の法人である被告ニチモウについて,直ちに被告ワンマンとの共同不法行為が成立するとはいえないし,他にその成立を認定するに しながら,被告ワンマンの行為が本件特許権を侵害するとしても,被告ワンマンとは別の法人である被告ニチモウについて,直ちに被告ワンマンとの共同不法行為が成立するとはいえないし,他にその成立を認定するに足る事実をうかがわせる証拠もない(なお,被告ニチモウが自ら本件各発明を実施していないことは当事者間に争いがない。)。 そうすると,本件共同不法行為1が成立するとは認められない(なお,被告 ワンマンの本件特許権侵害行為により被告ニチモウに利得が生じたとも認め難い。)。 これに対し,原告は,①被告ワンマンが,被告ニチモウにおいて開発・製造した全自動乾海苔製造装置「ニチモウワンマン」をはじめとする海苔機資材の製造・販売を行う被告ニチモウの完全子会社であること,②平成28年1月8日現在,被告ワンマンの5名の役員のうち1名が被告ニチモウの役員を兼任していることを指摘し,これらの事情によれば,被告ニチモウが被告ワンマンを実質的に支配し,被告ワンマンをその一事業部門として用いて自らの事業を遂行しているといえる旨主張する。しかしながら,原告の指摘する上記各事情は,いずれも原告の上記主張を裏付けるに足るものとは認められず,原告の上記主張は採用することができない。 3 争点3(被告らについて,本件装置3に係る本件共同不法行為2が成立するか)について被告ワンマンが渡邊機開から本件装置3を購入し,これを被告西部機販に売却し,被告西部機販がこれを鬼崎漁協に売却したことについては,当事者間に争いがないところ,原告は,被告西部機販が本件装置3を被告ワンマンに発注し,被告ワンマンが同装置を渡邊機開に再発注したところ,渡邊機開は,被告Yと相談して,自社の倉庫で保管していた本件装置3をいったん被告ワンマンの本店に運搬し,その後,本件装置3を鬼崎漁協の倉庫へ搬 し,被告ワンマンが同装置を渡邊機開に再発注したところ,渡邊機開は,被告Yと相談して,自社の倉庫で保管していた本件装置3をいったん被告ワンマンの本店に運搬し,その後,本件装置3を鬼崎漁協の倉庫へ搬入したなどとして,これらの一連の行為が,渡邊機開と被告らとの共謀に基づく共同不法行為に当たると主張するものと解される(なお,原告は,上記一連の行為についてそれぞれ自らが締結した契約の履行にすぎない旨の被告の主張は全く筋違いであるとしている。)。 しかしながら,原告の主張する「一連の行為」のうち,被告西部機販が被告ワンマンに本件装置3を発注し,被告ワンマンが渡邊機開にこれを再発注した行為は,いずれも正当な取引行為と認められ,これが原告に対する不法行為を 構成するとは評価できない。また,被告ワンマンが,後日,渡邊機開から納入された本件装置3を被告西部機販に納入し,被告西部機販が同装置を鬼崎漁協に納入した行為については,いずれも自らの義務の履行として行われたものであって,これが原告に対する不法行為を構成するとは認められない。さらに,被告ワンマンの行為を被告ニチモウの行為と同一視することができないことは上記2のとおりであり,また,原告の主張に係る被告Yの行為(渡邊機開が,自社の倉庫で保管していた本件装置3を被告ワンマンの本店に運搬するに際して相談に応じたこと)も原告に対する不法行為を構成するものとは認め難い。 したがって,被告らについて,本件共同不法行為2が成立するとは認めることができない。 この点,原告は,被告ワンマンと被告西部機販が,渡邊機開との間で,渡邊機開が別件仮処分決定の執行を逃れることを共謀し,そのような意図を持って本件装置3の占有を渡邊機開から形式的に移転した旨を主張するものとも解されるが,本件で提出された全証拠を子細に 開との間で,渡邊機開が別件仮処分決定の執行を逃れることを共謀し,そのような意図を持って本件装置3の占有を渡邊機開から形式的に移転した旨を主張するものとも解されるが,本件で提出された全証拠を子細に検討しても,原告主張に係る事実関係を認めることはできないし,かえって,証拠(甲17の1)によれば,別件仮処分決定に先立ち,渡邊機開から被告ワンマンに本件装置3が売却され,その代金決済も完了していることが明らかであって,原告の上記主張は採用できない。 4 争点4(差止請求権の存否及び範囲)について(1) 本件装置及び本件各部品の譲渡等の差止め及び廃棄について本件装置が本件各発明の技術的範囲に属することに争いはなく(前記第2の2(3)ア),また,上記1のとおり,本件特許に無効事由が存在するとは認められない。そして,証拠(甲8(枝番を含む。),10,30)及び弁論の全趣旨によれば,本件装置においては,本件固定リングが本件各発明の選別ケーシング(枠板)の一部に当たり,その表面に本件板状部材を取り付けるための凹部が形成されており,その凹部にはめ込まれてボルトで固定された 本件板状部材が,本件各発明における「共回りを防止する防止手段」として機能しているものと認められるから,本件固定リング及び本件板状部材は,いずれも,本件各発明の実施品に当たる本件装置の生産にのみ用いる物(法101条1号)ということができる。 そうすると,①被告ワンマンが,本件装置を譲渡し,貸渡しし,輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすること,②被告ワンマンが本件各部品を譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすること及び③被告西部機販が,本件装置又は本件各部品を譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすることは,いずれも本件特許権の侵害行為又は侵害 渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすること及び③被告西部機販が,本件装置又は本件各部品を譲渡し,貸渡しし,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をすることは,いずれも本件特許権の侵害行為又は侵害とみなされる行為に当たる。 したがって,原告は,法100条1項に基づき,被告ワンマンに対し,上記①及び②の各行為の差止めを,被告西部機販に対し,上記③の行為の差止めを,それぞれ求めることができ,また,同条2項に基づき,被告ワンマン及び被告西部機販に対し,本件装置及び本件各部品の廃棄を求めることができる。 (2) 本件メンテナンス行為1の差止めについて原告は,被告ワンマン及び被告西部機販に対し,本件メンテナンス行為1の差止めを求めるところ,製品について加工や部材の交換をする行為であっても,当該製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮して,その行為によって特許製品を新たに作り出すものと認められるときは,特許製品の「生産」(法2条3項1号)として,侵害行為に当たると解するのが相当である。 本件各発明は,前記1(2)のとおり,生海苔混合液槽の選別ケーシングの円周面と回転板の円周面との間に設けられた僅かなクリアランスを利用して,生海苔・海水混合液から異物を分離除去する回転板方式の生海苔異物分離除去装置において,クリアランスの目詰まりが発生する状況が生じ,回転板の 停止又は作業の停止を招いて,結果的に異物分離作業の能率低下等を招いてしまうとの課題を解決するために,突起・板体の突起物を選別ケーシングの円周端面に設け(本件発明1),回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設け(本件発明3),あるいは,クリアランスに設けること(本件発明4)によって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりの発生 周端面に設け(本件発明1),回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設け(本件発明3),あるいは,クリアランスに設けること(本件発明4)によって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりの発生を防ぐというものである。そして,本件板状部材は,本件固定リングに形成された凹部に嵌め込むように取り付けられて固定されることにより,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」(構成要件A3)に該当する「表面側の突出部」,「側面側の突出部」を形成するものであること(当事者間に争いがない)からすると,本件固定リング及び本件板状部材は,被告装置の使用(回転円板の回転)に伴って摩耗するものと認められるのであって,このような摩耗によって上記突出部を失い,共回り,目詰まり防止の効果を喪失した被告装置は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を欠き,もはや「共回り防止装置」には該当しないと解される。 そうすると,「表面側の突出部」,「側面側の突出部」を失った被告装置について,新しい本件固定リング及び本件板状部材の両方,あるいは,いずれか一方を交換することにより,新たに「表面側の突出部」,「側面側の突出部」を設ける行為は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を備えた「共回り防止装置」を新たに作り出す行為というべきであり,法2条3項1号の「生産」に該当すると評価することができるから,原告は,被告らに対し,法100条1項に基づき,上記(1)の差止めに加えて,本件メンテナンス行為1の差止めを求めることができる。 (3) 本件メンテナンス行為2の差止めについて本件メンテナンス行為2は,法2条3項1号の「生産」に当たるとは認められない(なお,原告も別件訴訟において,本件メンテナンス行為2が「生産」に当たらないことを自認している(甲30の54頁)。)。また,原 メンテナンス行為2は,法2条3項1号の「生産」に当たるとは認められない(なお,原告も別件訴訟において,本件メンテナンス行為2が「生産」に当たらないことを自認している(甲30の54頁)。)。また,原告 は,本件メンテナンス行為2が,各ユーザーによる本件装置の「使用」という本件特許権侵害行為を幇助すると主張するが,仮に本件メンテナンス行為2が,各ユーザーによる被告装置の使用という実施行為の幇助と評価される余地があるとしても,幇助行為の差止めを認める規定は存在しないのであるから,原告の主張を採用することはできない。 したがって,原告の本件メンテナンス行為2に係る差止請求は理由がない。 5 争点5(損害額又は不当利得額(消滅時効の成否を含む。))について(1) 次の各事実については,当事者間に争いがない。 ア被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売に係る利益額(ア) 被告ワンマンは,本件装置1を合計2億8356万4000円(税抜)で仕入れ,これを合計3億2211万2500円(税抜)で販売した。したがって,被告ワンマンによる本件装置1の売上から仕入代金を控除した額は,3854万8500円(税抜)となる。 (イ) 被告ワンマンは,本件各部品を合計209万3800円(本件固定リングにつき184万5000円,本件板状部材につき24万8800円。いずれも税抜)で仕入れ,これを合計257万3484円(本件固定リングにつき222万2400円,本件板状部材につき35万1084円。いずれも税抜)で販売した。したがって,被告ワンマンによる本件各部品の売上から仕入代金を控除した額は,47万9684円(税抜)となる。 イ被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る利益額(ア) 被告西部機販は,本件装置2を合計3425万7 件各部品の売上から仕入代金を控除した額は,47万9684円(税抜)となる。 イ被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売に係る利益額(ア) 被告西部機販は,本件装置2を合計3425万7000円(税抜)で仕入れ,これを合計3890万円(税抜)で販売した。したがって,被告ワンマンによる本件装置2の売上から仕入代金を控除した額は,464万3000円(税抜)となる。 (イ) 被告西部機販は,本件各部品を合計58万1800円(本件固定リ ングにつき55万円,本件板状部材につき3万1800円。いずれも税抜)で仕入れ,これを合計70万4600円(本件固定リングにつき66万円,本件板状部材につき4万4600円。いずれも税抜)で販売した。したがって,被告西部機販による本件各部品の売上から仕入代金を控除した額は合計12万2800円(税抜)となる。 (2) 上記(1)のとおり,本件装置1及び本件各部品の販売によって被告ワンマンが得た利益(税込)は4097万9593円(計算式は,(3854万8500円+47万9684円)×1.05。なお,原告の主張するとおり,平成26年4月分以降の取引も含めて一律に消費税率を5%として計算する。 以下同じ),本件装置2及び本件各部品の販売によって被告西部機販が得た利益(税込)は500万4090円(計算式は,(464万3000円+12万2800円)×1.05)とそれぞれ認められ,上記各利益の額が,原告が受けた損害の額と推定されるところ(法102条2項),これを覆すに足る具体的事情の存在はうかがわれない。したがって,原告は,被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売により,4097万9593円の損害を,被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売により,500万4090円の損害を,それぞれ受け て,原告は,被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売により,4097万9593円の損害を,被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売により,500万4090円の損害を,それぞれ受けたものと認められる。 また,被告ワンマンによる本件装置1及び本件各部品の販売と因果関係のある弁護士費用としては410万円を,被告西部機販による本件装置2及び本件各部品の販売と因果関係のある弁護士費用としては50万円を,それぞれ認めることが相当である。 (3) これに対し,被告ワンマン及び被告西部機販は,要旨,①本件装置1及び2の仕入代金以外に必要経費が生じているから,これらについても被告ワンマン及び被告西部機販の利益から控除すべきである,②本件特許は本件装置1及び2の販売にほとんど寄与しておらず,本件装置1及び2の売上への寄与率が10%を超えることはない,③被告ワンマン及び被告西部機販が本 件装置1及び2の販売によって得た利益を原告の損害と推定することについての推定覆滅事由があるなどと主張する。 しかしながら,上記①について,必要経費として控除できるのは,本件装置1及び2の販売に直接関連して追加的に必要になった経費に限られるものと解すべきところ,被告ワンマン及び被告西部機販の主張する経費が本件装置1及び2の販売に直接関連して追加的に必要になったものと認められないのはもちろん,そもそも同経費が現実に生じたこと自体を認めるに足る証拠が一切なく,その算定根拠も判然としない。また,上記②について,本件各発明は,生海苔異物除去装置の構造の中心的部分に関するものである一方,本件各発明が本件装置1及び2に寄与する割合を減ずべきであるとする被告ワンマン及び被告西部機販の主張の根拠は判然としないことに照らせば,本件各発明が本件装置1及び本件各部 分に関するものである一方,本件各発明が本件装置1及び2に寄与する割合を減ずべきであるとする被告ワンマン及び被告西部機販の主張の根拠は判然としないことに照らせば,本件各発明が本件装置1及び本件各部品の販売に寄与する割合を減ずることは相当でない。さらに,上記③について,被告が主張するのは,単に,原告が販売店ではなく製造業者であるという事実にとどまるところ,同事実のみから,本件各発明の実施品が有する顧客吸引力にもかかわらず,原告がその取引先への販売の機会を持ち得なかったということはできないし,ほかに原告が取引の機会を奪われたとはいえない特段の事情もないから,法102条2項による推定を覆滅するには足りないというほかない。 (4) さらに,被告らは,平成22年6月16日の時点において,原告が被告ワンマン及び被告西部機販による本件特許権の侵害及びこれにより原告に損害が発生したことを認識することができた(あるいは十分に認識していた)から,同日が民法724条前段の消滅時効の起算点となる旨主張する。 しかしながら,民法724条前段の消滅時効の起算点は,被害者等が「損害及び加害者を知った時」であって,損害及び加害者を現実に了知した時点であるところ,原告が,本件訴訟の提起日の3年前の時点において,被告ワンマン及び被告西部機販による本件特許権侵害及びこれにより原告に損害が 生じたことを現実に了知していたと認めるに足る証拠はないから,被告らの上記主張を採用することはできない。 (5) したがって,原告は,被告ワンマンによる本件特許権の侵害行為により4507万9593円(計算式は,4097万9593円+410万円)の,被告西部機販による本件特許権の侵害行為により550万4090円(計算式は,500万4090円+50万円)の各損害を被ったものと推定 07万9593円(計算式は,4097万9593円+410万円)の,被告西部機販による本件特許権の侵害行為により550万4090円(計算式は,500万4090円+50万円)の各損害を被ったものと推定される。 そして,原告は,本件特許権の侵害を理由とする損害賠償請求権につき,主位的請求(一部請求)として,被告ワンマンに対し,1430万8500円及びこれに対する平成27年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,被告西部機販に対し,92万4200円及びこれに対する平成27年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるから,原告の被告ワンマン及び被告西部機販に対する主位的請求は,その全額を認容すべきである。 なお,被告ワンマン及び被告西部機販については主位的請求を全額認容するので,予備的請求について判断する必要はない。他方,被告ニチモウに対する請求については,上記2のとおり,そもそも被告ニチモウが本件各発明を実施しているとは認められないから,主位的請求のみならず予備的請求も認めることができない。また,原告が本件装置3に係る損害として主張するのは,本件共同不法行為2に基づく損害が全てであるところ,前記3のとおり,本件共同不法行為2の成立は認められないから,本件装置3に係る損害についても判断する必要はない。 6 結論以上によれば,原告の請求は,主文1ないし7項の限度で理由があるからこれらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官廣瀬達人 ( 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官廣瀬達人 (別紙)物件目録 1 下記の型名の「生海苔異物除去機」記(1) 型名「WK-500」(2) 型名「WK-550」(3) 型名「WK-600」(4) 型名「WK-700」以上 (別紙)物件目録 2 物件目録1記載の「生海苔異物除去機」のいずれかに用いる「固定リング」(別紙図面(1)及び(2)記載の4(環状固定板))以上 (別紙)物件目録 3物件目録2記載の「固定リング」の凹部に取り付け可能な「板状部材」(別紙図面(1)及び(2)記載の8(板状部材))以上 (別紙)以上 (別紙)メンテナンス行為目録 1 物件目録1記載の「生海苔異物除去機」のいずれかに対して,物件目録2記載の「固定リング」又は物件目録3記載の「板状部材」を取り付ける行為(ただし,部品の交換としての行為に限る。) 2 物件目録1記載の「生海苔異物除去機」のいずれかに対して行う下記の行為。 ただし,上記1の行為を除く。 記(1) 点検(2) 整備(3) 部品の交換(4) 修理以上

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