主文 1 別紙2【認容額一覧表】の「被告名」欄記載の被告らは、同一覧表の対応する「原告名(訴訟承継人を含む)」欄記載の各原告に対し、連帯して(但し、当該被告が1名のみである場合を除く)、各原告に係る同一覧表の「認容額(円)」欄記載の金員及びこれに対する同一覧表の「遅延損害金起算日」欄記 載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 別紙2【認容額一覧表】の「原告名(訴訟承継人を含む)」欄記載の原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 原告3、原告11、原告15、原告18、原告21、原告26、原告27の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、別紙3【訴訟費用一覧】記載のとおりとする。 5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。ただし、別紙2【認容額一覧表】の「被告名」欄に記載された被告らが、各被告の列の「担保額(円)」欄に金額の記載がある行の「原告名(訴訟承継人を含む)」欄記載の各原告に対し、同「担保額(円)」欄記載の各金員の担保を供するときは、当該原告と の関係でその執行を免れることができる。 法令等略語表【法律】旧労基法労働基準法(昭和22年法律第49号。ただし、労働安全衛 生法(昭和47年法律第57号)による改正前のもの)安衛法労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)建基法建築基準法(昭和25年法律第201号)国賠法国家賠償法(昭和22年法律第125号)旧じん肺法じん肺法(昭和35年法律第30号) 労災保険法労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号) けい特法けい肺 律第125号)旧じん肺法じん肺法(昭和35年法律第30号) 労災保険法労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号) けい特法けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(昭和30年法律第91号)【政令】安衛令労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)昭50改正安衛令労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(昭和50年 政令第4号)平7改正安衛令労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成7年政令第9号)平15改正安衛令労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成15年政令第457号) 平18改正安衛令労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第257号)【省令】旧安衛則労働安全衛生規則(昭和22年労働省令第9号)昭24改正旧安衛則昭和24年労働省令第30号 安衛則労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)昭50改正安衛則労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(昭和50年労働省令第5号)平7改正安衛則・特化則労働安全衛生規則及び特定化学物質等障害予防規則の一部 を改正する省令(平成7年労働省令第3号)旧特化則特定化学物質等障害予防規則(昭和46年労働省令第11号)特化則特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)昭50改正特化則特定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令(昭和5 0年労働省令第26号) 粉じん則粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)石綿則石綿 定化学物質障害予防規則の一部を改正する省令(昭和5 0年労働省令第26号) 粉じん則粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)石綿則石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)【条約】職業がん条約がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約(第139号) 石綿条約石綿の使用における安全に関する条約(第162号)【団体名】WHO WorldHealthOrganization(世界保健機関)ILO InternationalLabourOrgan ization(国際労働機関)IARC InternationalAgencyforResearchonCancer(国際がん研究機関)UICC UnionforInternationalCancerControl(国際対がん連合) ICOH InternationalCommissiononOccupationalHealth(国際労働衛生委員会)日本石綿協会旧社団法人日本石綿協会(現一般社団法人JATI協会)【最高裁判決】最高裁平成30年(受)第1447号、同第1448号、同第1449号、同第1 451号、同第1452号令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻5号1359頁神奈川1陣最判最高裁平成31年(受)第596号令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻6号2303頁東京1陣最判最高裁平成31年(受)第290号、同第291号、同第292号令和3年5月1 7日第一小法 31年(受)第596号令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻6号2303頁東京1陣最判最高裁平成31年(受)第290号、同第291号、同第292号令和3年5月1 7日第一小法廷判決・裁判集民事265号201頁 京都1陣最判最高裁平成31年(受)第491号、同第495号令和3年5月17日第一小法廷判決・裁判集民事265号267頁大阪1陣最判最高裁令和3年(受)第1125号、同第1126号同4年6月3日第二小法廷判 決神奈川2陣最判 事実及び理由 第1章請求別紙4【請求対象被告及び請求金額一覧表】の「被告」欄記載の被告らは、同一 覧表の対応する「原告」欄記載の各原告に対し、連帯して、各原告に係る同一覧表の「請求額」欄記載の金員及びこれに対する同一覧表の「発症日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2章事案の概要第1 事案の要旨 原告らは、建築現場において、石綿を含有する建材(以下「石綿含有建材」という。)を加工・使用して建物を建築・改修又は石綿含有建材を含む建物を解体する業務等に従事し、同建材の加工・使用又は解体の過程において、同建材から発生する石綿粉じんにばく露し、これにより石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者(以下「本件被災者」という。)又はその承継人 である(以下、本件被災者と原告らを併せ「原告ら」ということがある。)。 本件は、①被告国に対しては、原告15が、同被告の公務員である労働大臣又は厚生労働大臣(以下、両者を含め「労働大臣」という。)、内閣等が、石綿関連疾患の発症又はその増悪を防止するために安衛法等に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなか 、同被告の公務員である労働大臣又は厚生労働大臣(以下、両者を含め「労働大臣」という。)、内閣等が、石綿関連疾患の発症又はその増悪を防止するために安衛法等に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことが、屋外建築作業従事者に対しても違法である などと主張して、国賠法1条1項に基づき、②被告国以外の被告ら(以下「被告 企業ら」という。)に対しては、被告企業らは、その製造・販売する建材が石綿を含有すること、石綿にばく露した場合、石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な疾患にり患する危険があり、これを回避するために呼吸用保護具を着用すべきこと等の警告をすべき義務を負い、また、その製造・販売する建材に石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわらず、これらの義務を怠ったなどと主張して、 製造物責任法又は不法行為(民法709条、719条)に基づき、別紙4【請求対象被告及び請求金額一覧表】の「原告」欄記載の原告らが、同表の対応する「被告」欄記載の被告らに対し、「請求額」欄記載の損害賠償金(本件被災者一人当たり、慰謝料3500万円及び弁護士費用350万円の合計3850万円。原告がその承継人である場合は、上記慰謝料3500万円に当該原告の相続分を乗 じた額及びこれの1割相当額である弁護士費用の合計額。なお、原告らは、財産上の損害の賠償を別途請求する意思のない旨を明らかにして上記各慰謝料の支払を求めている。)及びこれに対する「発症日」欄記載の日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を、それぞれ求める事案である。 第2 前提事実等(裁判所に顕著な事実、争いのない事実を除き、認定に用いた証拠等はかっこ内に示す。) 1 当事者等 原告ら る遅延損害金の連帯支払を、それぞれ求める事案である。 第2 前提事実等(裁判所に顕著な事実、争いのない事実を除き、認定に用いた証拠等はかっこ内に示す。) 1 当事者等 原告らは建築作業従事者であった本件被災者又はその承継人であり、本件 被災者の生年月日、主な職種、労災認定疾病名、じん肺管理区分、合併症、発症日、死亡日、承継関係は、それぞれ別紙5【原告ら職種・疾患等一覧表】記載のとおりである(なお、原告16及び原告27については、同被災者が石綿関連疾患にり患しているか否かにつき争いがある。)。 被告企業らは、平成26年2月版の「石綿(アスベスト)含有建材データベ ース」(国土交通省及び経済産業省が、我が国で製造・販売された石綿含有建 材について、製造企業や製造期間等をインターネット上で公開したもの。以下「国交省データベース」という。)において、石綿含有建材を製造・販売した企業であるとして表示された法人又はその地位を承継した法人である。(弁論の全趣旨)本件に関連する被告企業らの合併等の承継関係・商号変更等は以下のとお りである。なお、以下、商号変更等のあった被告企業については、商号変更等の前後を問わず、現在の被告企業名で示す場合がある。 ア被告AGC(当時の商号は旭硝子株式会社)と被告旭トステム(当時の商号は旭硝子外装建材株式会社)は、平成16年10月4日、被告AGCの窯業系外装建材事業部門の営業を、同年12月1日付けで被告旭トステムに 承継させる吸収分割を行う旨の分割契約を締結した。上記営業の具体的な内容は、被告AGCの窯業系外装建材事業部門(ガラス繊維補強強化セメント及び軽量気泡コンクリートパネルに関する事業を除く。)において行われていた窯業系外装建材の製造・開発並び た。上記営業の具体的な内容は、被告AGCの窯業系外装建材事業部門(ガラス繊維補強強化セメント及び軽量気泡コンクリートパネルに関する事業を除く。)において行われていた窯業系外装建材の製造・開発並びに窯業系外装建材及び附属部材の購入・配送の事業、これらに関連附帯する事業であった(乙イウ43)。 上記分割契約において、被告旭トステムは、平成16年6月30日現在の被告AGCの貸借対照表その他同日現在の計算を基礎とし、これに分割期日に至るまでの増減を加除した上記営業に係る資産及び負債並びにその他の権利義務を、分割期日において被告AGCから承継し、被告旭トステムが被告AGCから承継する負債は存しないと定めた(乙イウ43)。 被告AGCは、上記分割契約に従い、平成16年12月1日付けで、被告旭トステム(当時の商号は「旭硝子外装建材株式会社」であり、同月10日付けで「旭トステム外装株式会社」に商号変更した。)を承継会社として、窯業系外装建材事業についての吸収分割を行った(乙イウ43、旭トステム外装の現在事項全部証明書)。 被告AGCは、平成30年、現在の商号に商号変更した(被告AGCの現 在事項全部証明書)。 イ被告A&AMは、平成12年10月に、浅野スレート株式会社(以下「浅野スレート」ということがある。)と株式会社アスク(旧商号は「朝日スレート株式会社」であり、昭和25年に「朝日石綿工業株式会社」に、昭和62年に「株式会社アスク」にそれぞれ商号変更した。以下、商号変更の前後 を問わず、「朝日石綿工業」ということがある。)とが合併した会社である(以下、朝日石綿工業、浅野スレート及び被告A&AMを特に区別することなく、単に「被告A&AM」ということがある。)(甲C4、甲C82、弁論の全趣旨)。 ということがある。)とが合併した会社である(以下、朝日石綿工業、浅野スレート及び被告A&AMを特に区別することなく、単に「被告A&AM」ということがある。)(甲C4、甲C82、弁論の全趣旨)。 ウ日本アスベスト株式会社は、昭和56年、ニチアス株式会社に商号変更し た(以下、商号変更の前後を問わず「被告ニチアス」ということがある)(甲C3の2:165頁)。 エ内外アスベスト株式会社は、昭和62年、株式会社ナイガイに商号変更した(被告ナイガイの現在事項全部証明書)。 オ株式会社大阪パッキング製造所は、平成元年、日本インシュレーション株 式会社に商号変更した(被告日本インシュレーションの現在事項全部証明書)。 カ東レグラサル株式会社は、東レACE株式会社に商号変更した(乙フ1)。 キ新日本製鉄化学工業株式会社は、新日鐵化学株式会社に商号変更し、平成24年、新日鉄住金化学株式会社に商号変更し、平成30年、日鉄ケミカル &マテリアル株式会社に商号変更した(乙チ8、26、被告日鉄ケミカルの現在事項全部証明書)。 ク三菱マテリアル建材株式会社は、平成27年10月、株式会社エム・エム・ケイに商号変更した(被告MMKの履歴事項全部証明書)。 ケ久保田鉄工株式会社は、平成2年、株式会社クボタに商号変更した(甲C 20)。 コ被告クボタ及び松下電工株式会社(以下「松下電工」という。)は、平成15年12月1日を効力発生日として、クボタ松下電工外装株式会社に対し、屋根材及び外壁材事業等並びにこれに関する権利及び義務の全部を、会社分割(吸収分割)によって移転した。 クボタ松下電工外装株式会社は、平成22年10月1日、被告ケイミュー 株式会社に商号変更した(被告クボタ又は松下電工が製造・販売し 利及び義務の全部を、会社分割(吸収分割)によって移転した。 クボタ松下電工外装株式会社は、平成22年10月1日、被告ケイミュー 株式会社に商号変更した(被告クボタ又は松下電工が製造・販売していた石綿含有建材についても、単に、被告ケイミューが製造・販売していたものと記載することがある。)。 被告クボタは、上記会社分割に際して、原告らに対して個別の催告を行っていなかったので、上記効力発生日に損害賠償責任を負っていた場合には、 被告ケイミューと連帯して弁済責任を負う(上記効力発生日当時の商法374条の26第2項参照)。 松下電工は、平成20年10月1日、「パナソニック電工株式会社」に商号変更し、平成24年1月1日にパナソニック株式会社に吸収合併された。 同社は、令和4年4月1日、パナソニックホールディングス株式会社に商号 変更した。(弁論の全趣旨、現在事項全部証明書) 2 石綿の概要等石綿は、多様な物理化学的性質を持つ天然の繊維状けい酸塩鉱物の総称であり、蛇紋石族であるクリソタイル(白石綿)や、角閃石族であるアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、アクチノライト、アンソフィライト及びト レモライトの6種類の鉱物のうち、顕微鏡レベルでアスペクト比(長さと幅の比)3以上の繊維状のものをいう。これまでに国内で使用された石綿の9割以上がクリソタイルであり、次いでアモサイト、クロシドライトの順に使用された。 石綿は、紡織性(しなやかで糸や布に織ることができる。)、抗張力(引っ張りに強い。)、耐摩擦性(摩擦・摩耗に強い。)、耐熱性(燃えないで高熱に耐 える。)、断熱・防音性(熱や音を遮断する。)、絶縁性(電気を通しにくい。)、 親和性(他の物質との密着性に優れる)等の特質を有する。石綿繊 に強い。)、耐熱性(燃えないで高熱に耐 える。)、断熱・防音性(熱や音を遮断する。)、絶縁性(電気を通しにくい。)、 親和性(他の物質との密着性に優れる)等の特質を有する。石綿繊維は粉砕したときに縦に裂ける傾向があり、高いアスペクト比を保ったまま次々に細い繊維となる。この細い繊維は、人の鼻毛や気管・気管支の繊毛を通り越して肺胞にまで到達しやすく、吸入されやすい繊維の代表である。 石綿は、前記の性質から、その産業的価値は極めて高く、古くから紡織品、建 材等に広く使用された。財務省(平成12年以前は大蔵省)輸入統計等によれば、我が国では、戦前、年間1万ないし4万5000トンの石綿を輸入したが、昭和17年から昭和23年までの間、戦争のため石綿の輸入が中断し、戦後、高度経済成長に伴い、石綿の輸入量及び消費量が大きく伸び、昭和40年代半ばから昭和60年代にかけて年間20万トンを超える大量輸入・消費が続いたが(輸入量 のうちおおむね70ないし80%が建材に使用された。)、平成2年頃から輸入量及び消費量が減少し、平成16年10月には建材への石綿の使用が全て禁止され、輸入量及び消費量はほとんどゼロになった。(甲A108:2頁、乙アB44:216頁、乙ア9、乙イウ1) 3 石綿関連疾患の概要 石綿との関連が明らかな疾病として、石綿肺、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚がある。 石綿ばく露と極めて深い医学的所見である胸膜プラーク(胸膜肥厚斑又は限局性胸膜肥厚ともいう。)は、肉眼的には表面に光沢のある白色ないし薄いクリーム色を呈し、凹凸を有する平板状の隆起として認められる。胸膜プラークは、 石綿ばく露開始直後には認められず、出現には、ばく露後、少なくとも10年、おおむね15年ないし30年を要 いし薄いクリーム色を呈し、凹凸を有する平板状の隆起として認められる。胸膜プラークは、 石綿ばく露開始直後には認められず、出現には、ばく露後、少なくとも10年、おおむね15年ないし30年を要し、石灰化プラークの出現には、おおむね20年以上を要する。(甲A4:61頁等、甲A107:7頁等、甲E1-1:10頁等)石綿肺(甲A106:17頁等、甲A107:6、7、10頁等、甲E1- 1:23~25頁等、乙イウ1:179頁等、乙ケ1001) 石綿肺は、石綿の高濃度ばく露により発生するじん肺であり、病理組織学的には細気管支周囲から始まるびまん性間質性肺炎である。 ア量-反応関係、潜伏期間断面3ないし5μm以下の石綿繊維を5ないし20本/㎤吸入することが継続的に起こる環境でなければ石綿肺は発生しないとされ、その閾値(生 体の反応はある量までは一見無反応であり、ある量を超えると生体に変化が生じるところ、この量を閾値という。)は少なくとも25本/㎤×年以上であるとされる。 石綿肺の所見は、石綿セメント等の石綿製品製造作業においては5年程度のばく露で、石綿吹付け、石綿紡織では1年程度のばく露でも所見がみら れることがあるが、一般的にはばく露開始後おおむね10年以上経過して現れる。(甲A106:17頁、甲A107:10頁)イ症状・予後・治療法自覚症状は、労作時息切れに始まり、階段や平地での急ぎ足の際の息切れとして現れる。せき、たんも主要な症状で、せきは「からせき」、たん は少量の粘性たんであることが多い。頑固なせきに胸痛、血たんを伴うこともあり、肺がんや中皮腫による症状との鑑別を要する場合もある。(甲A4:161頁)じん肺では、肺機能障害の進行の結果、肺循環に負荷がかかり、右 あることが多い。頑固なせきに胸痛、血たんを伴うこともあり、肺がんや中皮腫による症状との鑑別を要する場合もある。(甲A4:161頁)じん肺では、肺機能障害の進行の結果、肺循環に負荷がかかり、右心不全、肺性心に至ることがある。石綿肺は、石綿ばく露中止後も徐々に進展 し、拘束性呼吸機能障害を来して肺活量が減少するため、他のじん肺に比し予後が悪い。(甲A4:124、161頁、甲E1-1:42~46頁)じん肺のエックス線写真の像は次の【表①】のとおりに分類される。また、じん肺健康診断の結果に基づき、次の【表②】のとおり区分して健康管理が行われ、管理4と決定された者及び合併症(後記ウ参照)にかかっ ていると認められる者は、療養を要するものとされる(じん肺法4条、2 3条)。(弁論の全趣旨(被告国準備書面7頁等)【表①】型エックス線写真の像第1型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの第2型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの第3型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの第4型大陰影があると認められるもの【表②】じん肺管理区分じん肺健康診断の結果管理1じん肺の所見がないと認められるもの管理2エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの管理3イエックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるものロエックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害 型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるものロエックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの管理4エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるものエックス線写真の像が、第1型、第2型、第3型 又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの前記【表①】中の第1型の石綿肺は、それだけではほとんど症状はなく、肺機能や生活の質が大きく低下することはない。一部の症例で徐々に症状が進行し、肺機能の著しい低下等日常生活上の支障が生じるものもあるが、肺がん、中皮腫と異なり、短期間で死に至るような重篤な疾患ではない。(甲A106:18頁) 事業者は、じん肺管理区分が管理2又は管理3イである労働者について、粉じんにさらされる程度を低減させるため、就業場所の変更、粉じん作業に従事する作業時間の短縮その他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない(じん肺法20条の3)。また、都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理3イである労働者が現に常時粉じん作業に従事して いるときは、事業者に対し、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを勧奨することができ、事業者は、当該勧奨を受けたとき、又はじん肺管理区分が管理3ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするよう努めなければならない(同法21条)。 ウ合併症じん肺病変の進展に伴い種々の疾病が合併又は続発する。 従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするよう努めなければならない(同法21条)。 ウ合併症じん肺病変の進展に伴い種々の疾病が合併又は続発する。 じん肺管理区分が管理2又は管理3と決定された者に係るじん肺と合併した肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸ないし原発性肺がんがじん肺の合併症とされる(じん肺法2条1項2 号、同条2項、同法施行規則1条)。 じん肺そのものの病変は不可逆性の変化であるが、上記の合併症は、一般的には可逆性であり、治療による症状改善の可能性がある。 肺がん石綿に由来する原発性肺がんは、一般の肺がんと比較しても、発生部位、病理組織型の特徴はなく、自覚症状も同じである。(甲A4:172頁等、甲A9:475頁等、甲A106、甲A107:12~15頁等、甲E1の2:52頁等、乙イウ1:181頁等、乙ケ1001) ア量-反応関係、潜伏期間石綿ばく露と肺がんとの間には、石綿ばく露量が多くなるほどリスクが高くなるという関係(量-反応関係)があり、その相対危険度は「本/ml×ばく露年数」が増加するごとに0.5ないし4%ずつ増加する。 肺がんにつき喫煙等の様々な原因が指摘される中で、石綿を原因とする 肺がんとみなせるのは、肺がんの発症リスクを2倍以上に高める石綿ばく露があった場合(累積ばく露量25本/ml×年)とされている。そして、胸膜プラーク等の石綿ばく露所見が認められ、石綿ばく露作業に10年以上従事したことが確認された場合に、上記累積ばく露量のばく露があったとみなすことができるとされる。(甲A4:172頁、甲A106:17頁、 甲A107:10、13頁)石綿ががん原性物質であること たことが確認された場合に、上記累積ばく露量のばく露があったとみなすことができるとされる。(甲A4:172頁、甲A106:17頁、 甲A107:10、13頁)石綿ががん原性物質であることから、いかなる低濃度でも安全といえる閾値は存在しないとの考え方がある(甲A9:475頁)一方で、閾値をある程度決定することは可能であるとする考え方も存在する。 石綿への初回ばく露から肺がん発症までの潜伏期間として少なくとも1 0年が必要であるが、低濃度のばく露では潜伏期間が長くなり、30年以上経過すると肺がんが発症する確率が高くなる(甲A107:13頁)。 イ症状・予後・治療方法石綿を原因とする肺がんの症状は、血たん、慢性的な激しいせき、喘鳴、胸痛、体重減少、食欲不振、息切れ等であるが、進行するまで無症状である ことも多い。 治療方法は、一般的な肺がんと同様、早期病変では手術療法が可能であるが、石綿肺が進展している場合には、呼吸機能障害の問題で手術ができない場合もあるため化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法が主体となり、予後は不良である。 肺がんのうち、小細胞がんは、扁平上皮や腺等、体の正常な組織に似たと ころがないがんのうち、細胞の小さいものを指し、悪性度が高く、急速に増大・進展し、リンパ行性にも血行性にも早いうちから脳等の他臓器に転移しやすいため、発見時に既に進行がんであることが多く、予後が悪い。進行度により異なるが、限局型で放射線療法と化学療法の合併療法を受けた場合、2年、3年、5年生存率はそれぞれ約50、30、25%であり、進展型で 化学療法を受けた場合、3年生存率は約10%である。これに対し、非小細胞がんの予後も病期と全身状態により異なるが、手術をした場合の術後の5年生存率は、 れ約50、30、25%であり、進展型で 化学療法を受けた場合、3年生存率は約10%である。これに対し、非小細胞がんの予後も病期と全身状態により異なるが、手術をした場合の術後の5年生存率は、1期80%、2期60%、3期40%、4期10%未満であり、放射線治療の場合は手術できない症例であることが多く、この成績より悪くなる。化学療法の場合は同療法が有効な患者であれば生存期間の延長 がみられる。(甲A107:15頁)ウ喫煙の影響石綿ばく露と肺がん発症との間には、喫煙との相乗作用があり、石綿ばく露がなく喫煙しない人の肺がんリスクを1とすると、石綿ばく露者では5. 17倍、喫煙者では10.85倍、石綿ばく露がある喫煙者では53.24 倍になる。(甲A106:10頁、乙アA157:4頁、乙ケ1001)中皮腫(甲A4:129~130頁等、甲A106、甲A107、甲E1-1:38・39頁等、甲E1-2:51~52頁等)中皮は漿膜と呼ばれる透明な膜で、肺、心臓、消化管等の臓器の表面と体壁の内側を覆い、これらの臓器がスムーズに動くのを助ける。中皮腫は、この奬 膜の表面にある中皮細胞に由来する腫瘍である。 発生部位は胸膜、腹膜、心膜及び精巣鞘膜であり、胸膜の発生頻度が最も高く、腹膜、心膜、精巣鞘膜の順で発生頻度が低い。石綿ばく露による中皮腫発症のメカニズムは十分に解明されていないが、中皮腫は石綿を原因とするものと考えられている。(甲A4:129、130、178頁、甲A106)ア量-反応関係、潜伏期間 中皮腫の80%が職業性石綿ばく露によるとされるが、低濃度ばく露でも発症し、石綿の環境ばく露又は家庭内ばく露でも発症したとの報告がある。職業ばく露によるとみなせるのは、1年以上の石綿ばく露作業従 中皮腫の80%が職業性石綿ばく露によるとされるが、低濃度ばく露でも発症し、石綿の環境ばく露又は家庭内ばく露でも発症したとの報告がある。職業ばく露によるとみなせるのは、1年以上の石綿ばく露作業従事歴が認められた場合であるが、ばく露状況によっては、1年より短い石綿ばく露作業歴での発症も否定し得ず、閾値は定められないと考えられている。(甲 A4:129・130・179頁、甲A106、甲A107:16頁)中皮腫の潜伏期間はばく露量が多いほど短くなるが、その平均潜伏期間は、一般に肺がんより長く、石綿ばく露開始から40年前後であって、石綿ばく露開始時からの年数を経るほど発生リスクが高くなる。(甲A106、甲A107:16頁) イ症状・予後・治療法胸膜中皮腫の初期症状は、胸水貯留や気胸による息切れ、胸痛やせき等であり、進行すると、胸痛、せきがひどくなり、肺や心臓を圧迫して呼吸困難を伴うことがある。腹膜中皮腫では、腹痛と腹部膨満が多く、心膜中皮腫では不整脈、息切れ等がみられ、精巣鞘膜中皮腫では鼠径から睾丸部の腫瘤及 び疼痛が主症状である。(甲A4:184頁、甲A107:16頁)中皮腫の治療には、外科療法、化学療法、放射線療法、温熱化学療法、タルク注入法、遺伝子治療等があるが、いまだ研究段階のものが多い。このうち、胸膜中皮腫における外科療法、化学療法、外科療法を中心とした集学的治療に関しては、多数例の分析がなされている。近年、早期発見症例の増加、 及び、ペメドレキセド/シスプラチン併用化学療法の登場等により、徐々に ではあるが、確実に治療実績が向上している。 診断確定からの生存期間は7ないし17か月、平均余命の中央値は15. 2か月、2年生存率は29.6%、5年生存率は3.7%との報告がある ではあるが、確実に治療実績が向上している。 診断確定からの生存期間は7ないし17か月、平均余命の中央値は15. 2か月、2年生存率は29.6%、5年生存率は3.7%との報告があるなど、予後不良の疾患である。(甲A4:184・199頁、甲A106:8~10頁、甲E1-1:38頁) ⑷ 良性石綿胸水良性石綿胸水は、石綿胸膜炎ともいわれ、通常は一側で少量の胸水を認める疾患である。(甲A107:19頁)ア量-反応関係、潜伏期間一般的に石綿ばく露量が多いほど発症率は高く、特に中・高濃度ばく露者 では10年以内に発症する。高濃度ばく露では約9%、中濃度ばく露では3. 7%、低濃度ばく露では0.2%の発症率であったとの報告があり、石綿高濃度ばく露の場合に発生頻度が高い。(甲A4:225頁)石綿ばく露開始から発症までの潜伏期間は石綿関連疾患の中で一番短く、ばく露後10年以内に発症するのは良性石綿胸水のみといわれているが、 平均潜伏期間は28.7ないし34.5年との報告もある。そのため、初回ばく露からの潜伏期間は30年以上であるが、潜伏期間が短くても起こり得る疾患であるとされる。(甲A4:147・225・226頁)イ症状・予後・治療法自覚症状として胸痛、発熱、せき、たん、呼吸困難等が挙げられるが、半 数は自覚症状がなく検診等で偶然発見される。 無治療で約半数が自然軽快するが、再発率が20ないし40%と高く、再発を繰り返すことによりびまん性胸膜肥厚を引き起こしたり、胸水が被包化され消退しない場合には拘束性呼吸機能障害を来したりすることがある。 良性石綿胸水の約半数はびまん性胸膜肥厚に移行すると考えられている。 (甲A4:2、217、222~224頁) 胸水の持続 合には拘束性呼吸機能障害を来したりすることがある。 良性石綿胸水の約半数はびまん性胸膜肥厚に移行すると考えられている。 (甲A4:2、217、222~224頁) 胸水の持続期間は平均4.3か月(1ないし10か月)であり、治療として、胸水ドレナージによる胸水のコントロールや、副腎ステロイドの投与を行う。 びまん性胸膜肥厚びまん性胸膜肥厚は石綿による非腫瘍性疾患の一つで、両側又は一側の広 範な胸膜肥厚を特徴とし、著しい肺機能障害を来すことがある。病変の主座は臓側胸膜であるが、臓側胸膜のみに限局することはまれで、通常は壁側胸膜にも病変が存在し、両者は癒着していることが多い。石綿ばく露は原因の一つであるが、石綿ばく露とは無関係なものも少なくない。石綿ばく露者のびまん性胸膜肥厚の成因には、①肺実質病変である石綿肺が臓側胸膜及び壁側胸膜へ 波及したもの、②良性石綿胸水が先行病変として関与したもの、③石綿肺所見も良性石綿胸水もないものがあり、上記②、③が多く、上記①は少ない。(甲A4:215・217頁)臨床症状・所見としては、せきとたん、呼吸困難、喘鳴、反復性胸痛、反復性の呼吸器感染等が挙げられ、病態は、石綿肺と同様、徐々に進行する。(甲 A106:22頁、甲E1-1:41頁、乙ア6:190頁等、乙ア7:104頁等)石綿肺所見がないびまん性胸膜肥厚有所見者の場合、肺拡散能は正常であるが、肺活量、全肺気量、静肺コンプライアンスは低下する。程度の差はあるものの、拘束性肺機能障害を来し、これが進展して慢性呼吸不全状態になれば、 在宅酸素療法の適応となり、継続的治療が必要となる。しかし、びまん性胸膜肥厚は悪性疾患ではなく、中皮腫、肺がんのように短期間で死に至ることはない。石綿肺の所見がないび 呼吸不全状態になれば、 在宅酸素療法の適応となり、継続的治療が必要となる。しかし、びまん性胸膜肥厚は悪性疾患ではなく、中皮腫、肺がんのように短期間で死に至ることはない。石綿肺の所見がないびまん性胸膜肥厚有所見者は、石綿肺有所見者ほどではないが、中皮腫のリスクが高く、肺がんのリスクは1.3倍、中皮腫のリスクは5.5倍との報告がある。(甲A4:150頁、甲A106:22頁) 治療方法は、気管支拡張剤による対症療法と慢性呼吸不全に対する在宅酸 素療法である。 石綿による疾病の認定基準「石綿による疾病の認定基準について」(平成24年基発第0329第2号)は、石綿関連疾患の認定基準につき、概要、以下のとおり定める。 ア石綿ばく露作業 石綿ばく露作業とは、次に掲げる作業等をいう。 石綿の吹付け作業耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱若しくは保温のための被覆又はその補修作業石綿製品の切断等の加工作業 石綿製品が被覆材又は建材として用いられている建物、その附属施設等の補修又は解体作業上記ないし等の作業の周辺等において、間接的なばく露を受ける作業イ認定要件 石綿肺(石綿肺合併症を含む。)石綿ばく露作業に従事しているか又は従事したことのある労働者(労災保険法33条に規定する特別加入者を含む。以下「石綿ばく露労働者」という。)に発生した疾病であって、じん肺法所定のじん肺管理区分が管理4に該当する石綿肺(前記イ参照)又は石綿肺に合併した疾病(前記 ウ参照)は、労基法施行規則別表第1の2(以下「別表第1の2」という。)第5号(粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則1条各号に掲げる疾病) )は、労基法施行規則別表第1の2(以下「別表第1の2」という。)第5号(粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則1条各号に掲げる疾病)に該当する業務上の疾病として取り扱うこと肺がん 石綿ばく露労働者に発症した原発性肺がんであって、次のaからeま でのいずれかに該当するものは、最初の石綿ばく露作業(労働者として従事したものに限らない。)を開始したときから10年未満で発症したものを除き、別表第1の2第7号7(がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務である、石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫)に該当する業務上の疾病として取り扱うこと a 石綿肺の所見が得られていること(じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上であるものに限る。以下同じ。)b 胸部エックス線検査、胸部CT検査等により、胸膜プラークが認められ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間(石綿ばく露労働者としての従事期間に限る。以下同じ。)が10年以上あること c 次の⒜ないし⒠までのいずれかの所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業への従事期間が1年以上あること⒜ 乾燥肺重量1g当たり5000本以上の石綿小体⒝ 乾燥肺重量1g当たり200万本以上の石綿繊維(5μm超)⒞ 乾燥肺重量1g当たり500万本以上の石綿繊維(1μm超) ⒟ 気管支肺胞洗浄液1ml中5本以上の石綿小体⒠ 肺組織切片中の石綿小体又は石綿繊維d 次の⒜又は⒝のいずれかの所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること⒜ 胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らか な陰影が認められ、かつ、胸部CT画像により当該陰影が胸膜プ の所見が得られ、かつ、石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること⒜ 胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らか な陰影が認められ、かつ、胸部CT画像により当該陰影が胸膜プラークとして確認されるもの⒝ 胸部CT画像で胸膜プラークを認め、左右いずれか一側の胸部CT画像上、胸膜プラークが最も広範囲に描出されたスライスで、その広がりが胸壁内側の4分の1以上のもの e 後記の要件を満たすびまん性胸膜肥厚を発症している者に併発し たもの中皮腫石綿ばく露労働者に発症した胸膜、腹膜、心膜又は精巣鞘膜の中皮腫であって、次のa又はbに該当する場合には、最初の石綿ばく露作業(労働者として従事したものに限らない。)を開始したときから10年未満で発 症したものを除き、別表第1の2第7号7に該当する業務上の疾病として取り扱うことa 石綿肺の所見が得られていることb 石綿ばく露作業への従事期間が1年以上あることびまん性胸膜肥厚 石綿ばく露労働者に発症したびまん性胸膜肥厚であって、次のaからcまでのいずれの要件にも該当する場合には、別表第1の2第4号7(石綿にさらされる業務における良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚)に該当する業務上の疾病として取り扱うことa 胸部CT画像上、肥厚の広がりが、一側にのみ肥厚がある場合は側胸 壁の2分の1以上、両側に肥厚がある場合は側胸壁の4分の1以上あるものであることb 著しい呼吸機能障害を伴うことc 石綿ばく露作業への従事期間が3年以上あることウ認定に当たっての留意事項・本省協議 以下の事案等については、関係資料を添えて本省に協議すること肺がんa 最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年未満で発症し 上あることウ認定に当たっての留意事項・本省協議 以下の事案等については、関係資料を添えて本省に協議すること肺がんa 最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年未満で発症したものb 前記イbにおいて、胸膜プラークは認められるものの、石綿ばく露 作業への従事期間が10年に満たないもの c 前記イc又はdのいずれかの所見は得られているが、石綿ばく露作業への従事期間が1年に満たないもの中皮腫a 前記イa又はbに該当するが、最初の石綿ばく露作業を開始したときから10年未満で発症したもの b 前記イa及びbのいずれにも該当しないもの良性石綿胸水全事案びまん性胸膜肥厚前記イa及びbの要件に該当するが、cの要件に該当しないもの 4 石綿含有建材の製造期間、使用部位、特徴等(甲A36、36の2)石綿建材は、国交省データベースに基づいて整理した42種類の建材に加え、建築現場で広く使われていた混和剤を加えた43種類であり、以下の各建材の冒頭に付記した番号(①、②等)は、原告ら準備書面(企業2)に添付した「別冊1-1 国交省石綿(アスベスト)含有建材データーべース(平成26年2月 版)から作成した石綿建材種類一覧(大分類)」及び「別冊1-2 混和剤一覧(大分類)」(以下「別冊1-1・2」という。)の「No.」欄記載の番号と対応している(以下、①の建材を「建材種類①」などと、具体的な製品名につき「建材番号1」などということがある。なお、製造期間は甲A36の2ではなく、別冊1-1・2を基礎とした。)。 吹付け材ア ①吹付け石綿昭和31年から昭和50年まで製造された(乙ア10の1)。鉄骨耐火被覆材、天井断熱材、機械室吸音材等とし の2ではなく、別冊1-1・2を基礎とした。)。 吹付け材ア ①吹付け石綿昭和31年から昭和50年まで製造された(乙ア10の1)。鉄骨耐火被覆材、天井断熱材、機械室吸音材等として使用され、鉄骨造以外の戸建住宅への使用例は少ない。吹付け後は綿状の塊であり、サメ肌状の凹凸がみられ る。石綿含有率は60ないし70%と高く、経年変化等により石綿の飛散性 は高くなる。 イ ②石綿含有吹付けロックウール昭和36年から昭和62年まで製造された(乙ア10の2)。人造繊維(ロックウール)に石綿及びセメントを混合した吹付け材であり、石綿含有率は当初0ないし30%であったが、昭和53年10月頃以降は0ないし5% であり、飛散の度合いが高い。吹付け後は綿状の塊であり、鉄骨耐火被覆材、天井内壁断熱材、機械室吸音材、結露防止用材等として使用された。鉄骨造以外の戸建住宅への使用例は少ない。 ウ ③湿式石綿含有吹付け材昭和45年から平成元年まで製造された(乙ア10の3)。鉄骨耐火被覆 材として使用され、特にエレベーターシャフト内に使用されることが多く、鉄骨造以外の戸建住宅への使用例は少ない。吹付け後は綿状の塊であり、吹付け石綿に比べると飛散性の度合いは低いが、劣化度合いによっては異なる。 エ ④石綿含有吹付けバーミキュライト 平成元年まで製造され(乙ア10の5)、天井断熱材、吸音材、結露防止用として使用された。 オ ⑤石綿含有吹付けパーライト平成元年まで製造され(乙ア10の4)、内装材の天井はり型、吸音、仕上げ材(骨材混入の粗面吹付け仕上げ)として使用された。 保温材⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑨石綿含 り型、吸音、仕上げ材(骨材混入の粗面吹付け仕上げ)として使用された。 保温材⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑨石綿含有パーライト保温材及び⑩石綿保温材は、⑥は昭和49年、⑦は昭和57年、⑧は昭和62年、⑨は昭和49年、⑩は昭和54年まで製造され、ボイラー、タービン、化学プラント、焼却炉等、 熱を発生する部分や、熱を搬送するためのダクト、エルボ部分の保温を目的と して使用された。 耐火被覆材ア ⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(以下「ケイカル板2種」と略称することがある。)被告企業ら製造の製品は、昭和40年から平成16年まで製造された。鉄 骨の耐火被覆材として、事務所、店舗、駐車場等の柱、はり、壁、広い面積での壁、天井に使用された。石綿含有率は30%以下であり、板状で、素材のまま使用するほか、パネルの表面材、化粧板の基材としての用途がある。 イ ⑫石綿含有耐火被覆板昭和41年から昭和58年まで製造された。吹付け石綿の配合比(石綿6 0%、セメント40%)を用いて工場において型枠で成形したものであり、吹付け材の代わりに、化粧目的で、鉄骨部分、鉄骨柱、はり、エレベーター周辺に使用された。 断熱材ア ⑬屋根用折板石綿断熱材 昭和58年まで製造された。石綿が90%以上で構成されたフェルト状のものであり、屋根裏の結露防止、断熱目的のために使用された。 イ ⑭煙突用石綿断熱材平成3年まで製造された。石綿が90%以上で構成されたものであり、煙突の断熱目的のために使用された。 内装材(壁・天井)等ア ⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板昭和27年から平成16年まで製造された。建築用ボー 以上で構成されたものであり、煙突の断熱目的のために使用された。 内装材(壁・天井)等ア ⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板昭和27年から平成16年まで製造された。建築用ボードとして高強度と強靱性をもち、防火性能が高いことから、内装材としては壁材、天井材等に使用され(湿度による変化が少ないため、浴室の壁・天井、台所の壁等に も使用された。)、外装材としては軒天井への利用が多い。 イ ⑯石綿含有スレートボード・平板昭和6年から平成16年まで製造された。スレートボードの普及品と位置付けられる。軽量で防火性があるが、可とう性(変形しやすさ)が小さく加工性に劣る。外装材としては軒天井材、内装材としては壁材、天井材として使用された。施工方法としてはビス止めが一般的であり、釘の直打ちや筋 折ができない。 ウ ⑰石綿含有スレートボード・軟質板昭和11年から平成16年まで製造された。材料としてセメント、繊維を配合し、釘の直打ちや筋折等ができるよう、加工性を良くした内装材である。 湿度による伸縮性があるため、外部には使用できず、浴室、洗面所等の湿気 の多い部屋にも使用できない。 エ ⑱石綿含有スレートボード・軟質フレキシブル板昭和46年から平成16年まで製造された。化粧加工用の不燃基材として開発された材料であり、加工性、可とう性に優れる。耐候性、耐水性を改善する化粧加工を施した製品は軒天井を中心とした外装材として、その他 の化粧加工を施した製品は内装材として使用された。 オ ⑲石綿含有スレートボード・その他昭和28年から平成16年まで製造された。(なお、以下、⑮ないし⑲の建材をまとめて「ボード類」ということがある。)カ ⑳石綿含有スラグせっこう板 昭和53年から平成 ートボード・その他昭和28年から平成16年まで製造された。(なお、以下、⑮ないし⑲の建材をまとめて「ボード類」ということがある。)カ ⑳石綿含有スラグせっこう板 昭和53年から平成15年まで製造された。スラグ、せっこうを主原料とし、繊維を補強剤とした加工性の良い材料であり、大半の製品が不燃材料であって、火気使用室への施工が可能である。表層材の種類によって外装材、軒天井材、下地材、内装材等、施工部位や使われ方が異なるが、多くは居室の内装工事の仕上げ材として使用された。 キ㉑石綿含有パルプセメント板 昭和33年から平成15年まで製造された。セメント、パルプ、パーライト等の無機質混合材を主原料とし、板状に成形された材料である。軽量で加工性も良く、防火性、遮音性、吸音性に優れ、大半の製品が準不燃材料である。耐水性が低いため主に内装材として使われたが、外装材として軒天井に使用された例がある。 ク㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種(以下「ケイカル板1種」と略称することがある。)昭和35年から平成16年まで製造された。軽量で耐火性、断熱性に優れることから、火気使用室(台所、浴室、出窓の天板・地板の裏打ち材等)を中心に内装材として天井材や壁材に使用され、外装材としては軒天井材や その関連部材、準防火地域での軒裏等に使用された。また、耐火間仕切り壁としてせっこうボード等との複合材として使用されたこともある。 ケ㉔石綿含有ロックウール吸音天井板昭和36年から昭和62年まで製造された。高炉スラグや玄武岩等を主原料にし、けい石等を添加した後、キュポラ炉や電気炉等で1500ないし 1600℃の高温で溶融し、溶融物を流出させながら遠心力を利用して4ないし7μmほどの細い繊維状にしたものが 玄武岩等を主原料にし、けい石等を添加した後、キュポラ炉や電気炉等で1500ないし 1600℃の高温で溶融し、溶融物を流出させながら遠心力を利用して4ないし7μmほどの細い繊維状にしたものがロックウールであり、これに少量のバインダー等を混ぜて成形した原板に模様加工と化粧塗装を施したものがロックウール化粧吸音板である。軽量であり、不燃性、吸音性能に優れ、一般建築物、事務所、学校、講堂、病院等の天井に不燃・吸音天井板(内 装材としては天井材、外装材としては軒天井材)として多く使用された。 コ㉕石綿含有せっこうボード昭和45年から昭和61年まで製造され、不燃材料又は準不燃材料の内装制限のある事務所、店舗等の天井や内壁に使用された。 サ㉖石綿含有パーライト板 昭和26年から平成16年まで製造された。石綿セメント板の軽量化を 目的とし、主原料にパーライトを加え抄造成形したものであり、主に、工場、倉庫、事務所等の内装材として、壁材、天井下地材に使用された。 シ㉗石綿含有その他パネル・ボード昭和41年から平成16年まで製造された。ボードを構成する原料の石綿、セメント、けい酸カルシウム、パルプ、せっこう、パーライト等にさら に炭酸カルシウム、フライアッシュ、有機繊維等を混合したもので、素材のままの使用法と、塗装したもの、セラミック加工したもの、プリントしたもの、無機質材で表面化粧したもの、製品原料に着色材料を混入したもの等がある。ボードは住宅では居室、台所、浴室の内壁や天井として使用され、パネルは主に外壁や室内の壁に用いられることが多い。 ス㉘石綿含有壁紙昭和44年から平成3年まで製造された。石綿紙に表面化粧をした壁紙で、全て不燃材料として出荷された。湿式方式の壁に比べて、修繕、張替 や室内の壁に用いられることが多い。 ス㉘石綿含有壁紙昭和44年から平成3年まで製造された。石綿紙に表面化粧をした壁紙で、全て不燃材料として出荷された。湿式方式の壁に比べて、修繕、張替えが容易にでき、内装制限が適用される避難階段、通路、エレベーターホール等の壁面、天井等に使用され、住宅では、台所やユーティリティ等の火気使 用室に使用される頻度が高い。 床材ア㉙石綿含有ビニル床タイル昭和27年から昭和62年まで製造され、事務所、病院、公共施設等の床に多く使用され、住宅では洗面所や台所の床に使用された。 イ㉚石綿含有ビニル床シート昭和26年から平成2年まで製造された。防水性能が高いことから水回りに多く使用され、住宅の場合は、合板等の木質系下地面に接着剤を用いて施工するのが一般的である。 ウ㉜石綿含有ソフト巾木 壁と床の納まりに設けられた横材で、足の当たりやすい壁の下部を保護 する役割と部屋の装飾を兼ねる。戸建住宅では一般的には木製巾木が多用され、ソフト巾木が使われる例は少ない。 屋根材ア㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレート昭和36年から平成16年まで製造された。セメントに補強材として石 綿を混入し、平板状等に成形した屋根材である。ほとんどが屋根材として使用されたが、一部外壁に使用されたこともある。 イ㉞石綿含有ルーフィング昭和12年から昭和62年まで製造され、屋根葺き下地材として、野地板表面に防水機能の向上を目的として施工された。 外装材(外壁、軒天)ア㉟石綿含有窯業系サイディング昭和35年から平成16年まで製造された。防耐火性能、耐震性、耐久性が高く、壁体内通気がとりやすいなどの特徴があり、一般的には外壁材として使用された。 天)ア㉟石綿含有窯業系サイディング昭和35年から平成16年まで製造された。防耐火性能、耐震性、耐久性が高く、壁体内通気がとりやすいなどの特徴があり、一般的には外壁材として使用された。 イ㊱石綿含有建材複合金属系サイディング昭和50年から平成2年まで製造された。金属製表面材に、断熱性、耐火性に必要な性能をもつ裏打ち材を併せて成形された乾式工法用外壁材であり、軽量で凍害に強いなどの特徴があり、一般的には外壁材として使用された。 ウ㊲石綿含有スレート波板・大波、㊳同・小波、㊴同・その他石綿含有スレート波板・大波は昭和6年から平成16年まで、同・小波は大正7年から平成16年まで、同・その他は昭和5年から平成16年まで、それぞれ製造された。石綿スレートを基材とし、抄造、圧搾等により板状に成形した後、波型の型付けを施して作られる。軽量で強度があることから、 多くは工場等の屋根(大波)、壁(小波)に使用された。屋根に使用する場 合、通常は野地板を必要とせず、壁に使用する場合も、通常は下地板を必要としない。 エ㉒石綿含有押出成形セメント板昭和45年から平成16年まで製造された。一般的には非耐力壁用材料として用いられ、外壁材としては厚さ50mm以上の製品が、間仕切り壁材 としては厚さ60mmの製品が使用された。 煙突材:㊶石綿セメント円筒昭和12年から平成16年まで製造された。住宅では、換気用円筒材、煙突、雑排水管、し尿・汚物排水管等の遮音性が要求される部分の排水管等に使用された。 設備配管:㊵石綿セメント管昭和60年9月まで製造され、水道管として昭和20年代後半から使用されたが、強度が低いこと等を理由に、昭和43年以降、新たな使用が中止された。 建築壁部材 設備配管:㊵石綿セメント管昭和60年9月まで製造され、水道管として昭和20年代後半から使用されたが、強度が低いこと等を理由に、昭和43年以降、新たな使用が中止された。 建築壁部材:㊷石綿発泡体 昭和48年から平成13年まで製造された。軽量で、弾力・柔軟性、低発じん性、不燃性、耐熱性、断熱性、吸音性、耐振性、撥水性、加工・施工性が高く、ビル外壁の耐火目地材に使用された。クリソタイルを含有し、その含有率は70ないし90%と高い。 ㊸混和材 平成16年まで製造された。モルタルや補修材(プレミックス材)に混ぜることにより、ひび割れを防いで耐久性を向上させるとともに、伸びが良くなって作業効率が上がる。(甲A584の3、弁論の全趣旨) 5 我が国の労働安全衛生関係法令等の概要工場危害予防及衛生規則(昭和4年) 工場危害予防及衛生規則(昭和4年内務省令第24号)は、①粉じんを発散 し衛生上有害な場所に、危害予防のため、排出密閉その他適当な設備を設置する義務(26条)、必要がある者以外の者の立入りを禁止し、その旨を掲示する義務(27条)、②多量の粉じんを発散する場所における作業に従事する職工に使用させるため、適当な保護具を備える義務、職工が作業中その保護具を使用する義務(28条)等を定めた。 旧労基法、旧安衛則等(昭和22年)ア旧労基法昭和22年に公布された旧労基法(同年施行)は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものとして最低限の労働条件を確保することを目的とするものであり(1条)、使用者は、①粉じん等による危 害防止等のために必要な措置を講じなければならず(42条)、②労働者を雇い入れた場合に、業務に関し必要な安全衛生教育を 保することを目的とするものであり(1条)、使用者は、①粉じん等による危 害防止等のために必要な措置を講じなければならず(42条)、②労働者を雇い入れた場合に、業務に関し必要な安全衛生教育を施さなければならないものとされ(50条)、労働者は、危害防止のために必要な事項を遵守しなければならないものとされた(44条)。そして、使用者が上記①に違反したときは6か月以下の懲役又は5000円以下の罰金(119条1号)、 使用者が上記②に違反したときは5000円以下の罰金(120条1号)に、それぞれ処せられる。なお、旧労基法の制定に伴い、工場法が廃止されたため、上記の工場危害予防及衛生規則も廃止された(旧労基法附則123条)。 イ旧安衛則 旧労基法42条により使用者が講ずべき措置及び同法44条により労働者が遵守すべき事項は命令に委任されたところ(45条)、これに基づき制定された旧安衛則(昭和22年10月31日公布、同年11月1日施行)は、概要、以下のとおり定めた。 使用者が講ずべき措置 a 粉じんを発散する屋内作業場において、場内空気のその含有濃度が 有害な程度にならないように、局所における吸引排出又は機械若しくは装置の密閉その他新鮮な空気による換気等適当な措置を講じなければならない(173条)。 b 屋外において著しく粉じんを飛散する作業場において、作業の性質上やむを得ない場合を除き、注水その他粉じん防止の措置を講じなけ ればならない(175条)。 c 粉じんを発散し衛生上有害な場所に、必要ある者以外の者の立入りを禁止し、その旨を掲示しなければならない(179条1項4号)。 d 粉じんを発散し、衛生上有害な場所における業務において、その作業に従事する労働者に使用させるために、呼吸 要ある者以外の者の立入りを禁止し、その旨を掲示しなければならない(179条1項4号)。 d 粉じんを発散し、衛生上有害な場所における業務において、その作業に従事する労働者に使用させるために、呼吸用保護具等適当な保護具 を備えなければならず(181条)、同保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない(184条)。 労働者が遵守すべき事項a 179条1項4号により立入りを禁止された場所にみだりに立ち入 ってはならない(同条2項)。 b 181条に規定する業務への就業中、保護具を使用しなければならない(185条)。 ウ昭24改正旧安衛則昭24改正旧安衛則(同年11月16日公布、同日施行)において、前記 イdに関し、備え付けるべき保護具のうち、労働大臣が規格を定めるものは、その規格につき検定を受けたものでなければならないとされた(183条の2)。 旧じん肺法(昭和35年)旧じん肺法(昭和35年4月1日施行。乙アB19)は、じん肺を、鉱物性 粉じんを吸入することによって生じたじん肺及びこれと肺結核の合併した病 気と定義し(2条1項1号)、石綿肺も同法による規制の対象とされた(乙アB20:28頁)。そして、従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる作業として労働省令で定めるものを粉じん作業とし(2条1項2号、2項)、これを受けて定められたじん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号。乙アB19)は、「石綿をときほぐし、合剤し、ふきつけし、りゅう 綿し、紡糸し、紡織し、積み込み、若しくは積みおろし、又は石綿製品を積層し、縫い合わせ、切断し、研まし、仕上げし、若しくは包装する場所における作業」を粉じん作業とし 合剤し、ふきつけし、りゅう 綿し、紡糸し、紡織し、積み込み、若しくは積みおろし、又は石綿製品を積層し、縫い合わせ、切断し、研まし、仕上げし、若しくは包装する場所における作業」を粉じん作業とした(1条、別表第一の23)。 また、使用者及び粉じん作業に従事する労働者は、じん肺の予防のため、旧労基法等の規定によるほか、粉じんの発散の抑制、保護具の使用その他につい て適切な措置を講ずるよう努めなければならず(5条)、使用者は、旧労基法等の規定によるほか、常時粉じん作業に従事する労働者に対してじん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を行わなければならないなどとされた(6条)。 旧特化則(昭和46年) 旧特化則(昭和46年4月28日公布、一部を除き同年5月1日施行。乙アB17)は、石綿を第二類物質と定め(2条2号、別表第二)、使用者に対し、石綿の取扱いにつき次の義務を課すなどした。なお、第二類物質とは、主として、慢性障害の発生を防止するため、ガス、蒸気又は粉じんの発散源を密閉させる設備又は局所排気装置を設けるための設備を必要とする物である。 ア局所排気装置石綿粉じんが発散する屋内作業場については、その設置が著しく困難な場合又は臨時の作業を行う場合を除き、局所排気装置を設置しなければならない(4条1項)。同装置を設置しない場合には、全体換気装置を設け、石綿を湿潤な状態にするなど労働者の障害を予防するため必要な措置を講 じなければならない(同条2項)。なお、①上記の「設置が著しく困難な場 合」には、発散源が一定していないために技術的に設置が困難な場合等が含まれ、②上記の「屋内作業場」には、作業場の建家の側面の半分以上にわたって壁、羽目板、その他の遮蔽物が設けられておらず、かつ粉 合」には、発散源が一定していないために技術的に設置が困難な場合等が含まれ、②上記の「屋内作業場」には、作業場の建家の側面の半分以上にわたって壁、羽目板、その他の遮蔽物が設けられておらず、かつ粉じん等がその内部に滞留するおそれがない作業場は含まれず、③上記の「湿潤な状態にするなど」の「など」には、短期間出張して行う作業又は臨時の作業を行う場 合における適切な労働衛生保護具の使用が含まれる(46年通達)。 局所排気装置は、そのフードの外側における石綿粉じんの濃度が2mg/㎥を超えないものとする能力を有するものでなければならない(6条2項、昭和46年労働省告示第27号(乙アB18)。上記のように定められた濃度を、以下「抑制濃度」という。)。 イ立入禁止等石綿を製造し、又は取り扱う作業場には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない(25条1号)。 ウ容器等 石綿を運搬し、又は貯蔵する場合は、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をしなければならず(26条1項)、その容器又は包装の見やすい箇所に当該物質の名称及び取扱い上の注意事項を表示しなければならず(同条2項)、石綿の保管場所について、一定の場所を定めておかなければならない(同条3項)。 なお、素材としての石綿等のように塊状であって、そのままの状態では発じんのおそれがないものについては、26条1項の措置は適用されず、また、上記の「取扱い上の注意事項」に関しては、保護具を着用すべきこと等、それぞれの物質の取扱いに際し障害を予防するため、特に留意すべき事項を具体的に表示する必要がある(46年通達)。 エ環境測定 石綿を常時取り扱う屋内作業場について、6月を超えない一 質の取扱いに際し障害を予防するため、特に留意すべき事項を具体的に表示する必要がある(46年通達)。 エ環境測定 石綿を常時取り扱う屋内作業場について、6月を超えない一定の期間ごとに、石綿の空気中における濃度を測定し、その測定結果を記録し、同記録を3年間保存しなければならない(29条)。 オ呼吸用保護具石綿を取り扱う作業場には、石綿粉じんを吸入することによる障害を予 防するために必要な呼吸用保護具を備え付けなければならず(32条)、同保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない(34条)。 安衛法、安衛令、安衛則、特化則等(昭和47年)ア安衛法の内容 安衛法(昭和47年8月19日公布。一部を除き同年10月1日施行)は、労基法と相まって、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的とするものであり(1条)、事業者は、粉じん等による健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならず(22条1号)、労働者を就業させる建設物その他の作業場につい て労働者の健康及び生命等の保持のために必要な措置を講じなければならないものとされ(23条)、労働者は、事業者が講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならないものとされた(26条)。そして、事業者が講ずべき措置及び労働者が守らなければならない事項は、労働省令で定めることとされ(27条1項)、事業者が上記に違反した場合、6月以下の懲 役又は5万円以下の罰金に処せられる(119条1号)。 また、石綿を取り扱う作業に関し、事業者は、局所排気装置について定期に自主検査を行い(45条、安衛令15条8号、特化則29条1項1号、5 役又は5万円以下の罰金に処せられる(119条1号)。 また、石綿を取り扱う作業に関し、事業者は、局所排気装置について定期に自主検査を行い(45条、安衛令15条8号、特化則29条1項1号、5条1項)、鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場等における作業環境の測定をしなければならないとされた(65条、安衛令21条1号)。 さらに、労働者に重度の健康障害を生ずるものについて製造や使用等を 禁止するとともに(55条、安衛令16条)、労働者に健康障害を生ずるおそれのあるものについては、これを譲渡し又は提供する者に対し、容器(容器に入れないで譲渡し又は提供するときにあっては、その包装。以下同じ。)への警告表示を義務付けたものの(57条、安衛令18条39号、安衛則30~34条、別表第二)、石綿は、安衛法制定当初においては、製造や使用 等が禁止されるものに含まれず、容器への警告表示をすべきものにも含まれなかった。 そして、事業者は、危険又は有害な業務で、労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないとされた(59条 3項)。 また、事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、労働省令で定めるところにより、空気環境その他の作業環境について必要な測定をし、及びその結果を記録しなければならないとされ(65条)、同規定を受けて、作業環境測定を行うべき作業場として、 土石、岩石又は鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場、石綿を含む特定化学物質等を製造し、又は取り扱う屋内作業場が定められた(安衛令21条1号、同条7号、別表第三第3号2)。 なお、元方事業者は、関係請負人及び 物の粉じんを著しく発散する屋内作業場、石綿を含む特定化学物質等を製造し、又は取り扱う屋内作業場が定められた(安衛令21条1号、同条7号、別表第三第3号2)。 なお、元方事業者は、関係請負人及びその労働者が、当該仕事に関し、安衛法又は同法に基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなけ ればならず、安衛法又は同法に基づく命令の規定に違反していると認めるときは是正のため必要な指示を行わなければならないものとされ、同指示を受けた関係請負人及びその労働者は、当該指示に従わなければならないとされた(29条)。 イ安衛則の内容 安衛則(昭和47年9月30日公布。一部を除き同年10月1日施行)は、 事業者の義務として次の内容等を定めた。 粉じんを発散するなど有害な作業場においては、その原因を除去するため、代替物の使用、作業の方法又は機械等の改善等必要な措置を講じなければならない(576条)。 粉じんを発散する屋内作業場においては、空気中の粉じんの含有濃度 が有害な程度にならないようにするため、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置を設けるなど必要な装置を講じなければならない(577条)。 粉じんを著しく飛散する屋外等の作業場においては、注水等の粉じんの飛散を防止するため必要な措置を講じなければならない(582条)。 粉じんを発散する有害な場所に関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない(585条1項5号)。なお、労働者は、立入りを禁止された場所には、みだりに立ち入ってはならない(同条2項)。 鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場について、6月以内ごとに 1回、定期に、当該作業場における空気中の鉱物の粉じんの濃度を 止された場所には、みだりに立ち入ってはならない(同条2項)。 鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場について、6月以内ごとに 1回、定期に、当該作業場における空気中の鉱物の粉じんの濃度を測定しなければならない(590条、安衛令21条1号)。 粉じんを発散する有害な場所における業務においては、当該業務に従事する労働者に使用させるために、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならず(593条)、同保護具については、同時に就業する労働 者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない(596条)。なお、上記労働者は、事業者から当該業務に必要な保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない(597条)。 ウ特化則の内容 特化則(昭和47年9月30日公布、一部を除き同年10月1日施行)は、 旧特化則に引き続き、石綿を第二類物質と定めたほか(2条4号、安衛令別表第三第3号2)、事業者の義務として次の内容等を定めた。 石綿粉じんが発散する屋内作業場については、その設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときを除き、当該発散源に局所排気装置を設けなければならない(5条1項)。同装置を設けない場合には、全体換 気装置を設け、又は石綿を湿潤な状態にするなど労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講じなければならない(同条2項)。 局所排気装置は、そのフードの外側における石綿粉じんの濃度が2mg/㎥を超えないものとする能力を有するものでなければならない(7条2項、昭和47年労働省告示第127号)。 石綿を取り扱う作業場への関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない(24条)。 石綿を運搬し、又 項、昭和47年労働省告示第127号)。 石綿を取り扱う作業場への関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない(24条)。 石綿を運搬し、又は貯蔵するときは、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をしなければならず、また、当該物質の名称、取扱い上の注意事項を表示しなければならない(25条)。 局所排気装置を、1年以内ごとに1回、定期に自主点検を行わなければならない(30条1項、29条1項1号、5条1項)。 石綿を取り扱う屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に石綿の空気中濃度を測定しなければならない(36条1項、安衛令21条7号、別表第三第3号2)。 石綿を取り扱う作業場には、石綿粉じんを吸入することによる労働者の健康障害を予防するため必要な呼吸用保護具を備えなければならず(43条)、同保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない(45条)。 昭50改正安衛令、同改正安衛則、同改正特化則 昭50改正安衛令は、昭和50年1月14日に公布、一部を除き同年4月1 日に施行され、同改正安衛則は、同年3月22日に公布、一部を除き同日に施行され、同改正特化則は、同年9月30日に公布、一部を除き同年10月1日に施行されたところ、これらの改正の主な内容は次のとおりである。(乙アB29)ア特別の管理義務 石綿について、これを取り扱う作業場において所定事項の掲示や作業の記録等特別の管理を必要とする特別管理物質と定めた(昭50改正特化則38条の3・4、同改正安衛令別表第三第2号4)。なお、「特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」(昭和50年基発第 管理を必要とする特別管理物質と定めた(昭50改正特化則38条の3・4、同改正安衛令別表第三第2号4)。なお、「特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」(昭和50年基発第573号)では、特別管理物質とは、人体に対する発がん性が疫学調査の結 果明らかとなった物、動物実験の結果発がん性の認められたことが学会等で報告された物等、人体に遅発性効果の健康障害を与える、又は治癒が著しく困難であるという有害性に着目し、特別の管理を必要とするものであるとされた。 イ石綿吹付け作業の原則的禁止 事業者が、石綿及び石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤(以下、本項において「石綿等」という。)を吹き付ける作業に労働者を従事させることを原則として禁止した。ただし、①吹付けに用いる石綿等を容器に入れ、容器から取り出し、又は混合する作業場所は、建築作業に従事する労働者の汚染を防止するため、当該労働者の作業場所と隔離された屋内の作業場所 とし、②当該吹付け作業に従事する労働者に送気マスク又は空気呼吸器及び保護衣を使用させる措置を講じたときは、建築物の柱等として使用されている鉄骨等への石綿等の吹付け作業に労働者を従事させることができるとした(昭50改正特化則38条の7)。 ウ代替化の努力義務 事業者は、石綿による労働者のがん等の健康障害を予防するため、代替物 の使用等必要な措置を講じ、石綿にばく露される労働者の人数、労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならないものとした(昭50改正特化則1条)。 エ容器への警告表示の義務付け安衛法57条による容器への警告表示義務の対象に、石綿及び石綿含有 量が重量の5%を超える石綿含有製剤が加えられた(昭50改正 した(昭50改正特化則1条)。 エ容器への警告表示の義務付け安衛法57条による容器への警告表示義務の対象に、石綿及び石綿含有 量が重量の5%を超える石綿含有製剤が加えられた(昭50改正安衛令18条2号の2、同条39号、同改正安衛則30条、別表第二第2号の2)。 これにより、石綿及び上記石綿含有製剤については、名称、成分及びその含有量、人体に及ぼす作用、貯蔵又は取扱い上の注意の表示のほか(以上につき、安衛法57条1ないし4号)、当該表示をする者の氏名(法人にあって は名称)及び住所の表示が義務付けられた(同条5号、安衛則34条)。 オ湿潤化の義務付け事業者は、①石綿及び石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤(以下、本項において「石綿等」という。)の切断、せん孔、研ま等の作業、②石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の破砕、解体等の作業、③粉状 の石綿等を容器に入れ、又は容器から取り出す作業、④粉状の石綿等を混合する作業に労働者を従事させるときは、それが著しく困難なときを除き、石綿等を湿潤な状態のものとしなければならないとされた(昭50改正特化則38条の8第1項)。なお、「特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」(昭和50年基発第573号)では、屋内、屋外 の作業場を問わず、原則として上記湿潤化措置を執らなければならないこと、上記「著しく困難なとき」には、湿潤な状態とすることによって石綿等の有用性が著しく損われるときを含むこと、石綿等を建築物内外装工事に使用する場合等であって、発じんのおそれのない作業については昭50改正特化則38条の8第1項の適用はないが、石綿等が塗布され、注入され、 又は張り付けられた建築物等を解体するなどの作業は上記②の作業に該当 んのおそれのない作業については昭50改正特化則38条の8第1項の適用はないが、石綿等が塗布され、注入され、 又は張り付けられた建築物等を解体するなどの作業は上記②の作業に該当 すること、上記③及び④の「粉状の石綿等」には、繊維状の石綿等が含まれ、樹脂等で塊状、布状等に加工され発じんのおそれのないものは含まれないことが記載された。 カ掲示義務事業者は、石綿を取り扱う作業場において、①特別管理物質(石綿)の名 称、②石綿の人体に及ぼす作用、③石綿の取扱い上の注意事項及び④使用すべき保護具を、作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示しなければならないとされた(昭50改正特化則38条の3)。 キ局所排気装置局所排気装置は、そのフードの外側における石綿粉じんの濃度が5μ以 上の繊維数で5本/㎤を超えないものとする性能を有することとされた(昭50改正特化則7条1項5号、昭和50年労働省告示第75号。ただし、昭和51年3月31日までの間は、2mg/㎥を超えないものとする性能を有することとされた。乙アB52)。 「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」(昭和51年) 労働省労働基準局長は、昭和51年5月22日、「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」(同年基発第408号。乙アB32、甲A390の1)を発出した。同通達において、同局長は、各国における広範囲な石綿関係労働者についての研究調査の結果、10年を超えて石綿粉じんにばく露した労働者から肺がん又は中皮腫が多発することが明らかとされ、その対策の 強化が要請されていることを指摘するとともに、昭和50年9月に特化則を改正し、石綿関係施設改善等研究会を設けて環境改善の具体的な技術指針の検討を行っているが、各都道府県労 とされ、その対策の 強化が要請されていることを指摘するとともに、昭和50年9月に特化則を改正し、石綿関係施設改善等研究会を設けて環境改善の具体的な技術指針の検討を行っているが、各都道府県労働基準局においては当該技術指針を待つまでもなく早急な作業環境改善等健康障害防止対策の推進が肝要であるなどとした上で、特に後記アないしオ等に留意するとともに、関係者に石綿の有害 性についての周知を図り、もって関係事業場の石綿粉じんによる健康障害の 防止措置の徹底を図ることを求めた。 ア関係事業場及び石綿取扱者の把握石綿は、建設業等における断熱工事等に広く使用されてきているが、建設業等における実態が十分把握されていないので、元方事業者又は関係業界を通じて関係事業場(過去に取り扱った事業場を含む。)を把握する こと石綿による悪性新生物の発生には20ないし25年にわたる潜伏期間が見込まれることから、関係事業場に対し、在職者及び退職者(配置替えとなった者を含む。)の氏名、作業歴、石綿へのばく露状況、じん肺健康診断結果の記録及び過去における環境測定結果等を収集整備し、これら を長期にわたり保存するよう指導することイ石綿の代替措置の促進石綿は、可能な限り、有害性の少ない他の物質に代替させるとともに、現在までに石綿を使用していない部門での石綿又は石綿製品(発じん防止処理したものであっても、使用中又はその後において発じんすることの明ら かなものを含む。)の導入は、避けるように指導することウ環気中における石綿粉じんの抑制濃度基準環気中石綿粉じん濃度について、当面、2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)以下を目途とするよう指導すること 発散抑制措置の徹底石綿粉 る石綿粉じんの抑制濃度基準環気中石綿粉じん濃度について、当面、2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)以下を目途とするよう指導すること 発散抑制措置の徹底石綿粉じんが堆積するおそれのある作業床は、少なくとも毎日1回以上水洗により掃除するよう指導することエ呼吸用保護具の使用環気中石綿濃度が2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)を 超える作業場所で石綿作業に労働者を従事させるときには特殊防じんマス クを併用させ常時これらを清潔に保持するよう指導することオ石綿作業従事者の喫煙について石綿粉じんにばく露する労働者からの肺がん発生は、石綿粉じんのばく露の程度とともに、喫煙が極めて大きく関与することが明確となったことから、石綿作業者に対し、できるだけ喫煙を避けるよう教育指導させること 「建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止等について」(昭和61年)労働省労働基準局安全衛生部長は、昭和61年9月6日、「建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止等について」(同年基安発第34号、同号の2)を発出した。同通達において、同部長は、石綿が、 昭和30年代初頭から昭和50年代初頭までを中心にビル等の建築物に耐火被覆材として吹付け使用されたほか、壁、天井、床、空調設備等に保温材、吸音材又は軽量建材として多量に使用されたところ、これらの建築物の解体又は改修の工事(以下、本項において「解体等の工事」という。)においては、石綿の除去及び石綿を含有する建材の破砕、解体等の作業を伴うが、今後、こ れらの建築物の老朽化により解体等の工事が増加していくことが予想されるから、労働者の石綿粉じんによる健康障害予防 ては、石綿の除去及び石綿を含有する建材の破砕、解体等の作業を伴うが、今後、こ れらの建築物の老朽化により解体等の工事が増加していくことが予想されるから、労働者の石綿粉じんによる健康障害予防対策の徹底が急務となっているとした上で、同対策として、石綿及び石綿を含有する建材(以下、本項において「石綿等」という。)の湿潤化、呼吸用保護具の着用等、昭和50年改正特化則の関係規定の周知を図るとともに、特に後記アないしカ等に留意して 法令に規定する措置を適切に講ずるよう、各団体の会員である事業者に対し徹底を図るよう求めた。 ア建築物の解体等の工事の元方事業者は、当該工事の対象となる建築物について、石綿等が使用されている箇所及び使用の状況を事前に把握すること イ元方事業者は、石綿等が使用されている箇所等を関係請負人に知らせる とともに、石綿等の破砕、解体等に関する適切な作業方法等について指導することウ石綿等の破砕、解体等を行う場合には、当該箇所及びその周辺の湿潤化のために十分な散水ができるように必要な水圧の水源、適切なノズルを備えた散水のための設備を設け、適切に散水を行うこと エ破砕、解体等により生ずる石綿等の廃棄物については、石綿が乾燥しないよう散水を行って湿潤な状態に保つこと、発じん防止用の薬液を使用すること、できるだけ早く丈夫な容器又は袋に入れること等により、2次的な発じんの防止に努めることオ解体等を行う場所については、必要に応じ、ビニールシート等を用いて石 綿粉じんの他の場所への飛散を防止することカ石綿等の取扱い作業者には、防じんマスク(国家検定品)を使用させること。 この場合において、当該防じんマスクの選定に当たっては、顔面への密着性が良好なものを選ぶこと。なお 散を防止することカ石綿等の取扱い作業者には、防じんマスク(国家検定品)を使用させること。 この場合において、当該防じんマスクの選定に当たっては、顔面への密着性が良好なものを選ぶこと。なお、粉じんの発散が著しい場合には、送気マ スクを使用させることが望ましいこと。 「石綿除去作業、石綿を含有する建設用資材の加工等の作業等における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」(昭和63年)労働省労働基準局長は、昭和63年3月30日、「石綿除去作業、石綿を含有する建設用資材の加工等の作業等における石綿粉じんばく露防止対策の推 進について」(同年基発第200号)を発出した。同通達において、同局長は、昭和30年初頭から昭和50年初頭までの間に建設されたビル等の建築物には断熱材、吸音材等として石綿が多量に使用されているものが多く、最近、老朽化等によりこれら建築物の解体等の工事件数が次第に増加していることから、石綿粉じんによる労働者の健康障害防止対策を一層徹底させることが緊 急の課題となっており、また、石綿を含有する建設資材が多量に流通している ことから当該資材の加工時に発生する石綿粉じんばく露防止対策の充実も必要とされているとした上で、後記アの作業等を対象として、後記イないしエの対策等を進めることにより、石綿粉じんばく露防止対策を一層推進させることとした。 ア対象作業 建築物の解体、改修等の工事における石綿等の除去、封じ込め等の作業建築物の建設、改修等の工事における石綿を含有する石綿スレート、石綿セメント板その他の建設用資材の加工等の作業ボイラー、熱交換器等の設備の解体、修理等の工事における石綿を含有する断熱材等の除去等の作業 イ基本的な対策作業現場の把握及び発注 綿セメント板その他の建設用資材の加工等の作業ボイラー、熱交換器等の設備の解体、修理等の工事における石綿を含有する断熱材等の除去等の作業 イ基本的な対策作業現場の把握及び発注機関との連携石綿除去等の工事や建築物の建設工事の発注機関等との連絡協議を密にし、作業現場、工期、施工業者等の把握に努めるとともに、必要な安全衛生経費及び適切な工期の確保等を行わせ、これらの工事の計画段階に おける石綿粉じんばく露防止対策の充実を図るものとすること関係事業者団体に対する指導援助関係事業者団体に対し、自主的な石綿粉じんばく露防止対策の策定等について、後記ウに示した点を踏まえつつ、必要な指導援助を行うものとすること ウ作業別の対策建築物の解体、改修等の工事における石綿等の除去、封じ込め等の作業発注機関との連絡協議の場等で得られた情報を基に、施工業者に対し、作業開始前に必要な対策を自主的に講ずるよう指導することとし、その指導等に際しては次の事項等を徹底すること a 石綿等の使用箇所及び使用状況の事前把握及び作業者に対する周知 b 石綿等の破砕、解体作業時における当該箇所及びその周囲の湿潤化c 石綿粉じんの飛散防止d 防じんマスク等の使用建築物の建設、改修等の工事における石綿を含有する石綿スレート、石綿セメント板その他の建設用資材の加工等の作業 建設工事現場等の監督指導等の実施時に石綿を含む建設用資材の使用が確認された場合には、次の事項等及びその他石綿に係る法定事項の遵守の徹底を図ることa 石綿が含有されていることの表示の有無の確認b 石綿が含有されていること等の労働者への周知 c 防じんマスク及び移動式局所排気装置の使用又は局所排気装 定事項の遵守の徹底を図ることa 石綿が含有されていることの表示の有無の確認b 石綿が含有されていること等の労働者への周知 c 防じんマスク及び移動式局所排気装置の使用又は局所排気装置が設置されている作業現場における石綿を含有する資材の事前の加工の励行ボイラー、熱交換器等の設備の解体、修理等の工事における石綿を含有する断熱材等の除去等の作業 関係事業者団体に対する指導の際に、次の事項等を徹底することa 当該工事の開始前に石綿の使用の有無の確認を行うことb 湿潤な状態で作業を行うとともに、当該作業を行う者に防じんマスクを使用させることエその他の対策 労働省において、石綿を含有する建設用資材の製造者の団体に対して、安衛法57条の表示等の徹底につき指導を行っており、また、流通段階における適切な表示を確保するため包装のみならず個々の製品に表示を行うよう指導しているところであるが、各都道府県労働基準局においても、管内の製造業者に対して同様の指導を行うこと 「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進 について」(平成4年)労働省労働基準局長は、平成4年1月1日、「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」(同年基発第1号。乙アB44)を発出した。同通達において、同局長は、最近の国内における石綿の使用量は年間約30万トン前後で推移しているが、その約80%は石綿スレ ート、石綿セメント板等の石綿含有建材として使用されているところ、これらは、そのままでは石綿粉じんを発散することはほとんどないが、施工にあたっての電動工具を用いた切断等の作業においては石綿粉じんを発散し、これらの作業に従事する労働者の健康障害を れているところ、これらは、そのままでは石綿粉じんを発散することはほとんどないが、施工にあたっての電動工具を用いた切断等の作業においては石綿粉じんを発散し、これらの作業に従事する労働者の健康障害を引き起こすおそれがあるとした上で、特化則等により建設業における石綿粉じん対策として進めてきた従前の対策 に加え、後記アないしウ等の各対策を講ずるとした。 なお、上記通達添付の参考書面には、通風の不十分な屋内作業場において電動丸のこを使用して切断作業を行う場合には、石綿の管理濃度(2本/㎤)を超える状況もある旨が記載され、石綿粉じん測定データ例(このうち屋外作業については後記「測定結果④」)が紹介された。(乙アB44:220~22 1頁)アばく露防止のための対策等電動丸のこによる石綿含有建材の切断等の作業において、散水等の措置により湿潤な状態で作業を行う以外の場合には、作業が極めて短時間である場合等にはダストボックス付きの電動丸のこを使用し、そうでな いときは、除じん装置付きの電動丸のこを使用することとし、併せて防じんマットを使用すること切断作業中は、着用者の顔面に合った適切な防じんマスク等の呼吸用保護具を使用すること建築現場での切断作業を少なくするために、建材のメーカー、建築工事 の設計者、施工者等の協力を得て、建材はあらかじめメーカー等で所定の 形状に切断しておく方法(プレカット)を採用することが望ましいことイ石綿含有建材の識別安衛法57条による石綿製品の包装等への表示や、個々の石綿製品ごとに押印又は刻印されている石綿業界による自主表示「a」マークにより、石綿含有建材であることを識別できることを周知徹底すること ウ労働衛生教育の推進特別教育に準じた教育 々の石綿製品ごとに押印又は刻印されている石綿業界による自主表示「a」マークにより、石綿含有建材であることを識別できることを周知徹底すること ウ労働衛生教育の推進特別教育に準じた教育として、石綿含有建材の施工業務従事者に対する労働衛生教育実施要領を、事業者をはじめ安全衛生団体等に周知するとともに、当該教育の推進について指導・援助すること平7改正安衛令、同安衛則・特化則 ア平7改正安衛令(平成7年1月25日公布、一部を除き同年4月1日施行)において、アモサイト及びクロシドライト並びに重量の1%を超えてこれらを含有する製剤の製造、使用等が禁止され(16条)、平7改正安衛則・特化則(平成7年1月26日公布、一部を除き同年4月1日施行)において、安衛則及び特化則の各規制(石綿吹付け作業の原則的禁止、容器への警告表 示の義務付け、湿潤化の義務付け、作業場への掲示義務)の対象となる石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)含有製剤が、石綿含有量が重量の5%を超えるものから同じく1%を超えるものに変更された(安衛則別表第二、特化則別表第一)。 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則及 び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」(平成7年基発第76号)において、労働省労働基準局長は、前記の改正点について、①アモサイト及びクロシドライトは、他の種類の石綿に比べ発がん性が著しく強く、人体に与える影響が大きいことや、石綿条約(昭和61年採択)においてクロシドライトの使用禁止が、WHO専門家会議(平成元年開 催)においてアモサイト及びクロシドライトの使用禁止が求められたこと から、これらを製造等が禁止される有害物に追加したこと、②近年、石綿の含 止が、WHO専門家会議(平成元年開 催)においてアモサイト及びクロシドライトの使用禁止が求められたこと から、これらを製造等が禁止される有害物に追加したこと、②近年、石綿の含有率が5%以下の製品が生産されており、含有率の低いものであっても、取扱いの方法によっては労働者が高濃度の石綿粉じんにばく露するおそれがあるから、規制対象の範囲を拡大したこと等を指摘した。 イ事業者は、①石綿又は石綿を含有する製剤その他の物(ただし、石綿の含 有量が重量の1%以下の物を除く。以下、このイの項目において「石綿等」という。)の切断、せん孔、研ま等の作業、②石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の破砕、解体等の作業、③粉状の石綿等を容器に入れ、又は容器から取り出す作業、④粉状の石綿等を混合する作業に労働者を従事させるときは、当該労働者に呼吸用保護具を使用させなければならず(平成7 年改正特化則38条の9第1項)、事業者から呼吸用保護具の使用を命じられた労働者はこれを使用しなければならないとされた(同条第3項)。また、事業者は、①建築物の解体等の作業を行うときは、あらかじめ、石綿等の使用箇所及び使用状況を調査・記録しておかなければならず(38条の10)、②柱等として使用されている鉄骨等に石綿等が吹き付けられた建築物の解 体等の作業を行う場合において、当該石綿等の除去作業に労働者を従事させるときは、当該除去を行う作業場所を隔離しなければならないとされた(38条の11)。 平15改正安衛令平15改正安衛令(平成15年10月16日公布、平成16年10月1日施 行)において、石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)を含有する石綿セメント円筒、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板 0月16日公布、平成16年10月1日施 行)において、石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。)を含有する石綿セメント円筒、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング等で、その含有する石綿の重量が当該製品の重量の1%を超えるものの製造、使用等が禁止された(16条1項9号)。 石綿則(平成17年) 石綿則(平成17年2月24日公布、同年7月1日施行)は、石綿による労 働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため、事業者に対し、必要な措置を講じて、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするとともに、石綿を含有しない製品へ代替するよう努めることを求め(1条)、建築物又は工作物の解体、破砕等の作業を行うときの、石綿又は石綿を含有する製剤その他の物(石綿の含有量が重量 の1%以下のものを除く。以下、この(13)の項目において「石綿等」という。)の使用の有無の事前調査(3条)、作業計画の作成(4条)、作業の届出(5条)、特別教育(27条)を義務付けるとともに、石綿等の吹付け作業の全面的な禁止(11条)、石綿等の粉じんが発散する屋内作業場における局所排気装置等の設置の義務付け(12条)、石綿等の切断等の作業に労働者を 従事させるときの湿潤化及び呼吸用保護具を使用させることの義務付け(13条、14条)を定めた。また、石綿則は、平成18年に改正され(平成18年厚生労働省令第147号。同年8月2日公布、同年9月1日施行)、建築物又は工作物の解体、破砕等の作業に加え、吹付け石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業についても、事前調査(3条1項2号)、作業計画の作成(4条1項 2号)、作業の届出(5条1項2号)、特別教育(2 又は工作物の解体、破砕等の作業に加え、吹付け石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業についても、事前調査(3条1項2号)、作業計画の作成(4条1項 2号)、作業の届出(5条1項2号)、特別教育(27条1項)等が義務付けられた。 平18改正安衛令平18改正安衛令(平成18年8月2日公布、同年9月1日施行)において、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する石綿含有製品の製造、使 用等が禁止された(16条1項4号、9号)。 防じんマスクに関する規制の経過等前記イdのとおり、旧安衛則において、使用者は、粉じんを発散し、衛生上有害な場所における業務において、その作業に従事する労働者に使用させるために、呼吸用保護具等適当な保護具を備えなければならないとされ、前 記ウのとおり、同保護具のうち労働大臣が規格を定めるものについて、検定 が義務付けられたところ、同検定については、労働衛生保護具検定規則(昭和25年労働省令第32号。同年12月26日公布、同日施行)により、労働大臣が別に告示により定める規格に基づき行うものとされた(2条)。 なお、安衛法及び安衛令の施行後(昭和47年10月1日以後。前記ア参照)においても、上記と同趣旨の定めがある(安衛法42条、44条、安衛令 13条5号、14条)。 ア 「労働衛生保護具のうち防じんマスクの規格」(昭和25年労働省告示第19号。乙アB5)は、ろじん能力に応じて、ろじん効率が90%以上のものを第一種マスク、60%以上のものを第二種マスクとした(1条2項、4条4号)。 これを受け、「防じんマスクの規格の制定及び検定の実施について」(昭和26年基発第24号)は、石綿粉じんを飛散する場所における作業について、作業場における空気中の粉じん数 条4号)。 これを受け、「防じんマスクの規格の制定及び検定の実施について」(昭和26年基発第24号)は、石綿粉じんを飛散する場所における作業について、作業場における空気中の粉じん数量が1㎤中1000個以上の場合は第一種マスクを、1㎤中500個以上の場合は第二種マスクを、それぞれ使用すべきものとした。 また、「防じんマスクの使用に関する指導、監督について」(昭和26年基発第25号)は、使用させるマスクについて、ろ過材等に付着している粉じんを適時除去させ、ろ過材等の部分品に欠損を生じているなどの場合には新品と交換させることのほか、留意させるべき事項として、予備の部分品を常時備え付け、できる限り労働者に部分品を携行させ、適時作業場で交換 し得るようにすることや、労働者に、マスクの正確な使用方法を理解させ、かつ、実施させること、衛生管理者等によってマスクを常時点検させること等を指導の要領として示した。 イ 「防じんマスクの規格」(昭和30年労働省告示第1号)が同年1月11日から適用されたことに伴い、従前の規格(昭和25年労働省告示第19号) は廃止された。 新規格においては、防じんマスクを高濃度粉じん用マスク(H)と低濃度粉じん用マスク(L)に分類し、それぞれにつき更に、ろ過材を水にぬらして用いるマスクと水にぬらさないで用いるマスクとに分け、吸気抵抗及びろじん効率の適合基準に応じて1種から4種までの種別を設けた上で、ろじん効率につき、1種が95%以上、2種が90%以上、3種が75%以上、 4種が60%以上とした。 これを受け、「防じんマスクの規格の制定及びそれに伴う労働衛生保護具検定規則の一部改正について」(昭和30年基発第49号)は、石綿粉じんにつき、作業場における空気中 4種が60%以上とした。 これを受け、「防じんマスクの規格の制定及びそれに伴う労働衛生保護具検定規則の一部改正について」(昭和30年基発第49号)は、石綿粉じんにつき、作業場における空気中の粉じん量、主作業の強度(代謝率)に応じてマスクの種類・種別を選択すべきものとし、例えば、4種類の中で最も性 能の劣る第4種低濃度粉じん用マスク(L4)は、空気中粉じん量が400個/㎤以上1000個/㎤未満の作業場における作業(作業の強度に関わらない。)又は1000個/㎤以上3000個/㎤未満の作業場における強作業において選択すべきとした。 ウ 「防じんマスクの規格」(昭和37年労働省告示第26号)が同年6月1 日から適用されたことに伴い、従前の規格(昭和30年労働省告示第1号)は廃止された。 新規格においては、防じんマスクが、形状に応じ、隔離式防じんマスクと直結式防じんマスクに区分され(2条1項)、それぞれについて、重量、圧力差、粉じん捕集効率に応じて等級が分けられ、粉じん捕集効率は、特級が 99%以上、1級が95%以上、2級が80%以上とされた(5条3号、7条)。 エ 「防じんマスクの規格」(昭和58年労働省告示第84号)が昭和59年1月1日から適用されたことに伴い、従前の規格(昭和37年労働省告示第26号)は廃止された。 新規格においては、従前の等級区分が廃止されるとともに、吸気弁がない 防じんマスクやろ過材の取替えができない防じんマスクを許容しないこと(1条、5条2号)、粉じん捕集効率を95%以上とすること(7条)等が定められた。 オ 「防じんマスクの規格」(昭和63年労働省告示第19号)が昭和63年4月1日から適用されたことに伴い、従前の規格(昭和58年労働省告示第 84号) 以上とすること(7条)等が定められた。 オ 「防じんマスクの規格」(昭和63年労働省告示第19号)が昭和63年4月1日から適用されたことに伴い、従前の規格(昭和58年労働省告示第 84号)は廃止された。 新規格においては、簡易防じんマスクその他吸気弁を有しない防じんマスクを「使い捨て式防じんマスク」として許容すること(1条)、粉じん捕集効率を95%以上とすること(6条)等が定められた。 局所排気装置に関する規制の経過等 ア 「じん肺法に規定する粉じん作業に係る労働安全衛生規則第173条の適用について」(昭和43年基発第609号)は、①石綿をときほぐし、合剤し、吹き付け、りゅう綿し、紡織する作業を行う作業場、②石綿製品を切断し、研まする作業を行う作業場を、それぞれ旧安衛則173条により局所排気装置による措置を講じる必要のある作業場と定めた。 イ昭和46年1月5日付け「石綿取扱い事業場の環境改善等について」(同年基発第1号)において、労働省労働基準局長は、①石綿取扱い作業に関し、石綿肺の予防のため、旧安衛則173条に基づいて局所排気装置の設置を促進してきた旨、②石綿粉じんを多量に吸入するときは、石綿肺のほか、肺がんを発症することもあることが判明し、特殊な石綿によって胸膜等に中 皮腫が発生するとの説も生まれてきた旨、③他方で、石綿は耐熱性、電気絶縁性等が高いという特性のためその需要は急速に増加している旨を指摘した上で、石綿による上記の疾病を予防するため、関係事業場に対して、次の点等に留意の上、監督指導を行うよう指示した。 昭和43年基発第609号(前記ア参照)に定めるもの以外の石綿取扱 い作業についても、技術的に可能な限り、局所排気装置を設置させること 作業場内における石綿 う指示した。 昭和43年基発第609号(前記ア参照)に定めるもの以外の石綿取扱 い作業についても、技術的に可能な限り、局所排気装置を設置させること 作業場内における石綿粉じんの飛散を極力減少させるため、既存の局所排気装置についてもその性能の向上に努めさせること局所排気装置には、ろ布式除じん装置等の除じん装置を併せ設置させること石綿の濃度基準に関する規制の経過等 ア抑制濃度労働省は、石綿に関する局所排気装置に係る抑制濃度について、前記ウ及びエのとおり、昭和46年労働省告示第27号及び昭和47年労働省告示第127号で、2mg/㎥(33本/㎤に相当)を超えないものと定めたところ、昭和48年7月11日付け「特定化学物質等障害予防規則に 係る有害物質(石綿およびコールタール)の作業環境気中濃度の測定について」(同年基発第407号)は、最近、石綿が肺がん及び中皮腫等の悪性新生物を発生させることが明らかになったこと等により、各国の規制においても気中石綿粉じん濃度を抑制する措置が強化されつつあるなどとして、当面、石綿粉じんの局所排気装置の抑制濃度を、5μm以上の石綿繊維で5 本/㎤(約0.3mg/㎥)とするよう指導することとし、その後、昭和50年労働省告示第75号(乙アB52)により、上記昭和47年告示を改正して、抑制濃度を、5μm以上の石綿繊維5本/㎤に改めた。 イ環気中石綿粉じん濃度労働省労働基準局長は、前記ウのとおり、「石綿粉じんによる健康障 害予防対策の推進について」(昭和51年基発第408号。乙アB32)により、環気中石綿粉じん濃度について、当面、2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)以下を目途とするよう指導した。 ウ管理濃度労働省 いて」(昭和51年基発第408号。乙アB32)により、環気中石綿粉じん濃度について、当面、2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)以下を目途とするよう指導した。 ウ管理濃度労働省労働基準局長は、「作業場の気中有害物質の濃度管理基準に関す る専門家会議」による作業環境の評価方法等に関する検討の結果を踏ま え、「作業環境の評価に基づく作業環境管理の推進について」を発出した(昭和59年基発第69号。乙アB54)。そこでは、作業環境測定結果についての評価方法及びこれに基づく事業者の自主的対策の進め方について、作業環境管理の要領を示すとともに、局所排気装置についての抑制濃度とは別に、管理濃度(作業環境管理を進める過程で、有害物質に関す る作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って単位作業場所について実施した測定結果から、当該単位作業場所の作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標)による規制を導入することとし、石綿の管理濃度については2本/㎤と定められた。 昭和63年法律第37号による改正後の安衛法65条の2に基づき定 められた「作業環境評価基準」(昭和63年労働省告示第79号。乙アB57)において、前記の内容が定められ、石綿の管理濃度は、5μm以上の繊維として2本/㎤(クロシドライトにあっては0.2本/㎤)とされ、「作業環境評価基準」の一部改正(平成16年厚生労働省告示第369号。乙アB62)により、5μm以上の繊維として0.15本/㎤とさ れた。 また、厚生労働省労働基準局長は、「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて」(平成18年基発第0811002号)において、屋外作業場等については、屋内作業場等と同様に有害物質等への 厚生労働省労働基準局長は、「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて」(平成18年基発第0811002号)において、屋外作業場等については、屋内作業場等と同様に有害物質等へのばく露による健康障害の発生が認められるものの、屋外作業場等に対 応した作業環境の測定の結果の評価手法が確立されていないことから、適切な作業環境管理が行われていない状況にあったとして、屋外作業場等における作業環境の測定方法等を示したところ、石綿の管理濃度について、5μm以上の繊維として0.15本/㎤とされた。 警告表示義務に関する規制の経過 前記エのとおり、昭50改正安衛令、同改正安衛則により、安衛法57条 による容器への警告表示義務の対象に、石綿及び石綿含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤が加えられたところ、同警告の具体的内容につき、昭和50年3月27日付け「労働安全衛生法第57条に基づく表示の具体的記載方法について」(同年基発第170号)は、名称、成分、含有量、表示者の氏名又は名称及び住所に加え、注意事項として以下を記載すべきこととした。 「多量に粉じんを吸入すると健康をそこなうおそれがありますから、下記の注意事項を守ってください。 1 粉じんが発散する屋内の取扱い作業場所には、局所排気装置を設けて下さい。 2 取扱い中は、必要に応じ防じんマスクを着用して下さい。 3 取扱い後は、うがい及び手洗いを励行して下さい。 4 作業衣等に付着した場合は、よく落として下さい。 5 一定の場所を定めて貯蔵して下さい。」 6 条約等職業がん条約(昭和49年) ILO総会は、昭和49年6月24日、職業がん条約を採択し、我が国は、昭和52年7月26日、同条約を批准した。 同 を定めて貯蔵して下さい。」 6 条約等職業がん条約(昭和49年) ILO総会は、昭和49年6月24日、職業がん条約を採択し、我が国は、昭和52年7月26日、同条約を批准した。 同条約においては、同条約を批准する各加盟国は、①労働者が就業中にさらされるがん原性物質及びがん原性因子を、非がん原性物質若しくは非がん原性因子又は有害性の一層低い物質若しくは因子で代替させるようにあらゆる 努力を払うものとし、代替の物質又は因子の選定に当たっては、これらの物質又は因子の発がん性、毒性その他の特性を考慮すること、がん原性物質又はがん原性因子にさらされる労働者の数並びにさらされる期間及び程度は、安全と両立し得る最小限まで減少させること(2条)、②がん原性物質又はがん原性因子にさらされる危険から労働者を保護するために執られるべき措置を定 めるものとし、適当な記録の制度を確立することを確保すること(3条)、③ がん原性物質又はがん原性因子にさらされた労働者、さらされている労働者又はさらされるおそれのある労働者に対し、そのもたらす危険及び執られるべき措置に関する利用可能な全ての情報が提供されるように措置を執ること(4条)、④法令又は国内慣行及び国内事情に適合するその他の方法により、関係のある最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議の上、同条約を実 施するために必要な措置を執ること(6条(a))等が定められた。 石綿条約(昭和61年)ILO総会は、昭和61年6月24日、石綿条約を採択し、我が国は、平成17年8月11日、批准した。なお、同条約は、我が国、ドイツを含む35か国が批准しているが、英国、米国、フランス等は批准していない。 同条約は、業務上の石綿へのばく露による健康に対する危険を防止・管 11日、批准した。なお、同条約は、我が国、ドイツを含む35か国が批准しているが、英国、米国、フランス等は批准していない。 同条約は、業務上の石綿へのばく露による健康に対する危険を防止・管理し、この危険から労働者を保護するために、国内法令において(3条)、①石綿へのばく露が生ずるおそれのある作業を、適切な工学的管理及び作業慣行を定める規則に従って実施すること、石綿又は石綿含有製品の使用等について特別の規則及び手続を定めることにより、石綿へのばく露を防止・管理し(9条)、 ②労働者の健康保護のために必要であり、かつ、技術的に実行可能な場合には、石綿又は石綿含有製品の代替化、全面的・部分的使用禁止を定めることとした(10条)。 また、①クロシドライト及びその繊維を含有する製品の使用並びにあらゆる形態の石綿吹付け作業の禁止(ただし、実行可能でない場合は、労働者の健 康が危険にさらされないことが確保されること等を条件に、禁止の緩和も認められる。11条、12条)、②石綿含有製品の製造者及び供給者に対し、容器又は製品に、労働者及び利用者が容易に理解することのできる言語及び方法で、適切な表示をすることの義務付け(14条)、③権限のある当局が定めたばく露限界又は作業環境評価のための他のばく露の基準が遵守されること を確保するとともに、合理的に実行可能な限り低い水準にばく露の水準を減 少させるため、使用者が、全ての適当な措置を執り、同措置により石綿のばく露をばく露限界内に抑制することができない場合又は他のばく露の基準を遵守することができない場合には、労働者に費用を負担させることなく、適切な呼吸用保護具等を提供、保持等すること(呼吸用保護具は、権限のある当局が定める基準に適合するものであり、かつ、補足的、一次 を遵守することができない場合には、労働者に費用を負担させることなく、適切な呼吸用保護具等を提供、保持等すること(呼吸用保護具は、権限のある当局が定める基準に適合するものであり、かつ、補足的、一次的、緊急又は例外的措 置としてのみ使用されるものとし、技術的管理に代わるものではない。15条)、④もろい石綿断熱材を含有する設備又は構造物を取り壊すこと及び石綿が浮遊しやすい建築物又は構造物から石綿を除去することは、本条約の定めるところに従い、権限ある当局によって同作業を行う資格を有すると認められ、かつ、同作業を行うことを認められた使用者又は請負人によってのみ行わ れ、使用者又は請負人は、取壊し作業開始前に、執るべき措置(労働者に対し、全ての必要な保護を与えること、石綿粉じんの空気中への発散を抑制すること等を含む。)を明示した作業計画を作成しなければならないこと(17条)等が定められた。 ILO第95回総会(平成18年) 同総会において採択された石綿に関する決議では、石綿へのばく露から労働者を保護し、石綿関連の死亡や疾病の将来的な発生を予防するための最も効果的な措置は、石綿の将来的な利用をなくし、現在使われている石綿の把握と適正な管理であることや、石綿の継続的な利用を正当化又は承認するものとして石綿条約を用いてはならないことが宣言された。 7 建設アスベスト訴訟における最高裁判所の判断内容等いわゆる建設アスベスト訴訟において、最高裁判所が言い渡した判決の概要は、以下のとおりである。 神奈川1陣最判(甲A706、乙チ27)ア国に対する国家賠償請求について 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために安衛法に 基づく規制権限を行使しなかったこと(同法に基づく規制権限を行 チ27)ア国に対する国家賠償請求について 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために安衛法に 基づく規制権限を行使しなかったこと(同法に基づく規制権限を行使して、通達を発出するなどして、石綿含有建材の表示及び石綿含有建材を取り扱う建設現場における掲示として、石綿含有建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること並びに石綿含有建材の切断等の石綿粉じんを発散させる作業及びその 周囲における作業をする際には必ず適切な防じんマスクを着用する必要があることを示すように指導監督をしなかったこと)は、屋根を有し周囲の半分以上が外壁に囲まれ屋内作業場と評価し得る建設現場の内部(以下「屋内建設現場」という。)における建設作業(石綿吹付け作業を除く。)に従事して石綿粉じんにばく露した者のうち、労働者との関係においても、また、 安衛法2条2号において定義された労働者に該当しない者(いわゆる一人親方及び個人事業主等)との関係においても、昭和50年10月1日以降、国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと判断した。 イ建材メーカーらに対する不法行為に基づく損害賠償請求被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれ のみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは、民法719条1項後段の適用の要件である。 a ①多数の建材メーカーが、昭和50年4月1日以降、石綿含有建材を製造・販売する際に、当該建材が石綿を含有しており、当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾 患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負っていたにもかかわらず、その義務を履行しておらず、②大工を主たる職種 ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾 患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負っていたにもかかわらず、その義務を履行しておらず、②大工を主たる職種とする者ら(大工ら)が、建設現場において、複数の建材メーカーが製造・販売した石綿含有建材を取り扱うことなどにより、累積的に石綿粉じんにばく露し、中皮腫、石綿肺、肺がん又はびまん性胸膜肥厚にり患した 場合において、次の事情の下では、民法719条1項後段の類推適用に より、因果関係の立証責任が転換される。 ⒜ 上記大工らは、建設現場において、石綿含有スレートボード・フレキシブル板、平板及び石綿含有けい酸カルシウム板第1種という種類の石綿含有建材を直接取り扱っていた。 ⒝ 上記の各種類の石綿含有建材のうち、被告A&AM、被告ニチアス 及び被告MMKの3社が製造・販売したものが、(昭和50年4月から平成4年までの間に)上記大工らが稼働する建設現場に相当回数にわたり到達して用いられていた。 ⒞ 上記大工らが、建設現場において、複数の建材メーカーが製造・販売した石綿含有建材を取り扱うことなどにより、累積的に石綿粉じん にばく露することは、建材メーカーにとって想定し得た事態である。 ⒟ 上記大工らが、上記の各種類の石綿含有建材を直接取り扱ったことによる石綿粉じんのばく露量は、各自の石綿粉じんのばく露量全体のうち3分の1程度であった(上記大工らのばく露量のうち、半分程度は、自分以外の者が行った作業によって発散し、又は飛散した石綿 粉じんに間接的にばく露したことによるものであり、その余は、自分で石綿含有建材を取り扱ったことによって発散し、又は飛散した石綿粉じんに直接的にばく露したことによるものであった。また、上記大 粉じんに間接的にばく露したことによるものであり、その余は、自分で石綿含有建材を取り扱ったことによって発散し、又は飛散した石綿粉じんに直接的にばく露したことによるものであった。また、上記大工らが石綿含有建材を直接取り扱ったことによるばく露量のうち、3分の2程度は、昭和50年4月から平成4年までの間に、上記の各種 類の石綿含有建材を取り扱ったことによるものであった。したがって、上記大工らが同期間に上記の各種類の石綿含有建材を直接取り扱ったことによる石綿粉じんのばく露量は、各自の石綿粉じんのばく露量全体のうち3分の1程度であった。)。 ⒠ 上記大工らの中皮腫、石綿肺、肺がん又はびまん性胸膜肥厚の発症 について、上記3社が個別にどの程度の影響を与えたのかは明らかで ない。 b 上記a⒟の事情があるから、上記3社は、この事情等を考慮して定まる寄与度に応じた範囲(上記大工らの各損害の3分の1の範囲)で連帯して損害賠償責任を負う。 石綿含有建材の製造・販売をする者が、建物の工事において、当該建材 を建物に取り付ける作業等のような当該建材を最初に使用する際の作業に従事する者に対する義務として、当該建材が石綿を含有しており、当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負う場合、当該義務は、上記の者に対する関係においてのみ負担するもので はなく、当該建材が一旦使用された後に当該工事において当該建材に配線や配管のため穴を開ける作業等をする者に対する関係においても負担するものと解するのが相当である。 被告太平洋セメントが販売先を系列化して石綿を含有する吹付材の施工の安全性を確保する態勢を採っていたことから、直ちに元 る作業等をする者に対する関係においても負担するものと解するのが相当である。 被告太平洋セメントが販売先を系列化して石綿を含有する吹付材の施工の安全性を確保する態勢を採っていたことから、直ちに元請建設業者の 側に安全配慮義務の履行の契機となる情報が伝達されていたと評価することはできないし、仮に、安全配慮義務の履行の契機となる情報が伝達されることがあったとしても、そのことをもって、明確に上記の情報提供がされたということはできない。 ノザワ技術研究所が、被告ノザワの製造・販売したテーリングを使用し た左官作業における石綿粉じん濃度を測定した結果を示したノザワ技研報告書から、被災者らがテーリングを使用する際に生じた石綿粉じんが、ごく僅かなものであったと認めることはできない。 東京1陣最判(甲A707、乙チ26)次のa~eまでの手順による立証手法により、特定の建材メーカーの製造・ 販売した石綿含有建材が特定の建設作業従事者の作業する建設現場に相当回 数にわたり到達していたとの事実(以下「建材現場到達事実」という。)が立証され得ることを一律に否定した原審の判断には、経験則又は採証法則に反する違法がある。 a 国土交通省及び経済産業省により公表されているデータベースに掲載されるなどした石綿含有建材を複数の種別に分類し、そのうち、建設作業従事 者らの職種ごとに、直接取り扱う頻度が高く、取り扱う時間も長く、取り扱う際に多量の石綿粉じんにばく露するといえる種別を選定する。 b 上記aのとおり選定された種別に属する石綿含有建材のうち、上記建設作業従事者らが建設作業に従事していた地域での販売量が僅かであるもの等を除外し、さらに、上記建設作業従事者ごとに、建設作業に従事した期間 とその建材の製造期間と る石綿含有建材のうち、上記建設作業従事者らが建設作業に従事していた地域での販売量が僅かであるもの等を除外し、さらに、上記建設作業従事者ごとに、建設作業に従事した期間 とその建材の製造期間との重なりが1年未満である可能性のあるもの等を除外する。 c 上記a及びbにより上記建設作業従事者ごとに特定した石綿含有建材のうち、同種の建材の中での市場占有率がおおむね10%以上であるものは、その市場占有率を用いた確率計算を考慮して、上記建設作業従事者の作業 する建設現場に到達した蓋然性が高いものとする。 d 上記建設作業従事者がその取り扱った石綿含有建材の名称、製造者等につき具体的な記憶に基づいて供述等をする場合には、その供述等により上記建設作業従事者の作業する建設現場に到達した石綿含有建材を特定することを検討する。 e 建材メーカーらから、自社の石綿含有建材につき販売量が少なかったこと等が具体的な根拠に基づいて指摘された場合には、その建材を上記aからdまでにより特定したものから除外することを検討する。 京都1陣最判(甲A708)屋外建設作業に係る石綿粉じん濃度についての測定結果に0.15本/㎤ を上回るものがあったとしても、建材メーカーであるケイミュー及びクボタ において、平成13年から石綿含有建材の販売が終了した平成15年12月31日までの期間に、自らの製造・販売する石綿含有建材を使用する屋外建設作業(屋外の建設現場における石綿含有建材の切断、設置等の作業のこと。以下同じ。)に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはできない。したがって、ケイミュー及びクボ タが、平成14年1月1日から平成15年12月31日までの期間に、上記の者に対し、上 患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはできない。したがって、ケイミュー及びクボ タが、平成14年1月1日から平成15年12月31日までの期間に、上記の者に対し、上記石綿含有建材に、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたということはできない。 大阪1陣最判(甲A709) 原審が指摘する屋外建設作業に係る石綿粉じん濃度についての測定結果、屋内の作業に係る石綿粉じん濃度についての測定結果及びその他の事情をもって、被告積水化学が、昭和50年から平成2年までの期間に、自らの製造・販売する石綿含有建材を使用する屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはでき ない。したがって、被告積水化学が、上記の期間に、上記の者に対し、上記石綿含有建材に、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたということはできない。 神奈川2陣最判(甲A766) 建材メーカーが、石綿含有建材を製造・販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、当該建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示すべき義務を負っていたということはできない。 8 原告らと被告国との和解状況 被告国は、上記7~の各判決を受けて、令和3年5月18日、建設アスベ スト訴訟原告団等との間で基本合意書を締結し(甲A711)、被災者及びその遺族に詫びるとともに、被告国の責任期間に石綿粉塵に曝露し、石綿関連疾患にり患 令和3年5月18日、建設アスベ スト訴訟原告団等との間で基本合意書を締結し(甲A711)、被災者及びその遺族に詫びるとともに、被告国の責任期間に石綿粉塵に曝露し、石綿関連疾患にり患した提訴済の被災者との間の和解手続を進めた(乙ア1、2)。本件訴訟においては、別紙6「和解状況一覧表」のとおり、被告国と同表の原告名欄(和解後に承継のある場合には和解者欄)記載の原告らとの間で、同原告らが、同表の 和解日欄の年月日に、同表の各損害賠償額の支払を受ける旨の和解がそれぞれ成立した。 第3章争点第1 争点の概要 1 被告国関係 2 被告企業ら関係第2 予見可能性の有無(争点1) 1 石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性がある旨の予見可能性の有無及びその時期(争点1-1) 2 外装材として使われる石綿含有建材が石綿関連疾患を引き起こす危険性の予 見可能性の有無(争点1-2)第3 石綿含有建材の製造販売禁止義務違反の有無(争点2)第4 警告義務違反の有無(争点3) 1 警告義務の内容(争点3-1) 2 解体作業従事者に対する警告義務の有無(争点3-2) 第5 製造物責任法に基づく責任の有無(争点4)第6 共同不法行為(民法719条1項後段の類推適用)の成否(争点5)第7 本件被災者の石綿関連疾患へのり患の有無(争点6)第8 石綿関連疾患への被告企業らが製造した石綿含有建材の寄与度(争点7)第9 原告らの損害(争点8) 第10 消滅時効の成否(争点9) 第4章争点に関する当事者の主張第1 争点の概要 1 被告国関係原告らの被告国に対する請求は、規制権限の不行使に基づく国家賠償請求であるところ、前提事実7のとおり、各建設アスベスト訴訟 第4章争点に関する当事者の主張第1 争点の概要 1 被告国関係原告らの被告国に対する請求は、規制権限の不行使に基づく国家賠償請求であるところ、前提事実7のとおり、各建設アスベスト訴訟において令和3年 5月17日の最高裁判決は、安衛法に基づく規制権限行使が不十分であったことは国家賠償法の適用上違法であると判断し、前提事実8のとおり、これを受けて原告団らと被告国との間で基本合意がされ、本件訴訟においても、原告15を除く各原告らと被告国の間では和解が成立した。よって、被告国との間で残っている原告は、原告15のみある。 原告15と被告国との間では、屋外作業従事者である被災者15につき被告国の規制権限不行使が国家賠償法上違法であるかが問題となり、その前提として、外装材として使われる石綿含有建材が石綿関連疾患を引き起こす危険性の予見可能性の有無(争点1-2)が争点となっている。 これらについては、上記争点部分において、原告15及び被告国の主張を明 らかにする。 2 被告企業ら関係原告らの被告企業らに対する請求は、アスベスト含有建材に石綿関連疾患を招く危険性についての予見可能性の有無(争点1)、建材への石綿使用義務違反(争点2)、石綿を使用していることを前提とした警告義務違反(争点3)があ ることを前提に、製造物責任法(争点4)、共同不法行為(争点5)に基づく損害賠償請求である。 このうち、予見可能性(争点1)については、その有無及び時期(争点1-1)、外装材に関する予見可能性の有無及び時期(争点1-2)が、警告義務違反については、警告義務の内容(争点3-1)、解体作業従事者に対する警告義務の有 無(争点3-2)が具体的な争点となっており、共同不法行為(争点5)につい ては、石綿 警告義務違反については、警告義務の内容(争点3-1)、解体作業従事者に対する警告義務の有 無(争点3-2)が具体的な争点となっており、共同不法行為(争点5)につい ては、石綿含有建材の本件被災者らの作業現場への到達事実の立証方法(シェア論など)、到達事実の有無などが問題とされ、そのほか、一部原告につき石綿関連疾患へのり患の有無(争点6)、損害についての被告企業らの寄与度(争点7)、原告らの損害(争点8)、消滅時効の成否(争点9)が争点となっている。 第2 予見可能性の有無(争点1) 1 石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性がある旨の予見可能性の有無及びその時期(争点1-1)(原告らの主張)被告企業らは、石綿含有建材を大量に製造・販売する製品生産者として、被告国は、これを監督規制する立場から、石綿含有建材の危険性に関して情報を収集 し、調査・研究を尽くす予見義務を負うべきであり、予見可能性の有無は、予見義務を履行した結果をも含めて判断されなければならない。被告らには、医学情報が集積した時点において、石綿関連疾患による被害の発生について予見可能性があったといえる。 石綿粉塵による健康障害の医学的知見は昭和33年には確立し、昭和35年 には旧じん肺法が施行され、昭和40年には石綿粉塵の少量の暴露であっても中皮腫を発症する危険があることが明らかにされ、昭和46年には特化則が制定された。これらはいずれも被告らにおいて建設作業従事者が石綿疾患にり患する危険性について予見可能となったことを示す事情であるから、被告らは、石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性について、昭和35年には予見 可能であったし、どんなに遅くとも昭和46年には予見可能であった。 (被告企業らの主張)石綿含 るから、被告らは、石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性について、昭和35年には予見 可能であったし、どんなに遅くとも昭和46年には予見可能であった。 (被告企業らの主張)石綿含有建材の製造販売は、被告国が積極的に進めてきた。被告企業らは、被告国がそのような政策をとる前提として、最新の知見に基づいて安全性が確認されていると信じていたのであり、また、そう信じるのもやむを得なかった。一 私企業が有する知見には自ずから限界があり、一次的には、その基準とすべき知 見は法律の規制と解すべきである。 神奈川1陣最判は、石綿に関する被告国の昭和50年10月1日以降の規制権限の不行使の違法を認めているところ、建材メーカーの予見可能性が、これより早く肯定されることはあり得ない。ILOやIARCなどの国際機関によって石綿粉塵曝露と肺がん・中皮腫発症との関連性が認められた昭和47年以前 に以前に石綿関連疾患の医学的知見が集積したとの事実はなく、改正安衛法の施行に伴い被告国の規制権限の不行使が認められる昭和50年10月1日よりも相当程度遅い時期と見るべきであるし、予見可能性は、被告企業らごとの個別の事情に即して認定されるべきである。 2 外装材として使われる石綿含有建材が石綿関連疾患を引き起こす危険性の予 見可能性の有無(争点1-2)(原告らの主張)上記1の予見可能性は、屋内作業従事者のみならず、屋外作業従事者にも妥当する。屋内作業と屋外作業との境界線は曖昧であり、外装材は屋内や養生シート内で加工されることも多いから、屋内作業従事者と屋外作業従事者を形 式的に分けて考える必要はない。屋外作業であっても、発じん元と作業者の口元が近ければ多量の粉塵を吸い込む点は屋内作業と異なるところはないし、屋外 多いから、屋内作業従事者と屋外作業従事者を形 式的に分けて考える必要はない。屋外作業であっても、発じん元と作業者の口元が近ければ多量の粉塵を吸い込む点は屋内作業と異なるところはないし、屋外作業であっても、養生シートを設置して作業することが多く、屋内作業と同様に粉塵が作業場所に滞留する。 被告国が、法令により石綿粉塵の管理濃度として定めていた2本/㎤は、石 綿肺防止のための基準にすぎないから、石綿粉塵濃度の測定結果が当該数値以下であっても、屋外建設作業従事者との関係で、石綿関連疾患発症の危険性につき、被告らにおいて容易に予見できた。被告国の予見可能性を否定する事情にはならない。 石綿粉塵が生命・身体を侵害する危険なものであることは明白であり、実際 には屋外建設作業に従事したとされる職種でも他の職種と遜色のない石綿被 害が生じているのであるから、被告企業らは、そのような危険な物質を用いた製品を製造・販売する企業として、被告国は監督規制を行う立場として、屋外作業であれば危険ではないといえるのか調査すべきであった。 測定結果②(甲A108の8頁・後掲)は昭和62年の測定で10本/㎤を超える気中石綿濃度が発生したというものであり、平成10年に出版された 書籍に掲載されており(甲A715)、平成17年の測定結果⑦(乙アA1053)についても調査義務を尽くせば同様の状況は容易に判明したから、屋外建設作業従事者についての石綿暴露の危険性を認識することは可能であった。 その他の測定結果でも日本産業衛生学会の勧告した評価値(クリソタイルのみの時0.015本/㎤、クリソタイル以外の石綿繊維を含むとき0.003 本/㎤)は勿論、過剰発がん性生涯リスクレベル10のマイナス3乗に対応する評価値0.15本/㎤を上回る (クリソタイルのみの時0.015本/㎤、クリソタイル以外の石綿繊維を含むとき0.003 本/㎤)は勿論、過剰発がん性生涯リスクレベル10のマイナス3乗に対応する評価値0.15本/㎤を上回るものもあり、これら測定結果についての最高裁の評価は誤りである。 屋外建設作業との関係で被告らの予見可能性を基礎づける事実として、以下の事実が認められる。 ア 1980年代後半には、少量の石綿粉塵曝露でも人体に健康被害が生じる危険性があることにつき国際的なコンセンサスが得られ、昭和63年には環境庁にアスベスト対策検討会を設置し、平成元年には大気汚染防止法を改正し、工場や事業所の敷地境界において、大気中の石綿濃度を10本/L(0.01本/㎤)以下に抑制すべきとする規制基準を導入し(甲A32 6:12~13頁)、平成8年には、被告国から諮問を受けた中央環境審議会が「生涯リスク10のマイナス5乗(10万分の1)を当面の目標」として有害大気汚染物質対策に着手していくことが適当であるとする答申を行っている(甲A71)。 イ 1980年代後半になると屋外建設作業における石綿粉塵曝露の危険性 についても多くの測定結果が報告されるようになり、このうち測定結果① (乙アA206。後掲)では、被告国の定める石綿粉塵の管理濃度(2本/㎤)を大きく上回る数値となり、屋外作業従事者に対する石綿粉塵曝露の危険性が認められていた(甲A319、甲C1-518)。 ウ海外では1980年代から屋外建設作業従事者にも石綿粉塵曝露による過剰死亡、石綿肺が生じていることが指摘され(甲A108:71頁、甲A 613:39~40頁)、国内でも昭和63年及び平成9年には屋外作業従事者に高い割合の胸膜肥厚斑を認めたとの調査結果が報告された(甲A1 綿肺が生じていることが指摘され(甲A108:71頁、甲A 613:39~40頁)、国内でも昭和63年及び平成9年には屋外作業従事者に高い割合の胸膜肥厚斑を認めたとの調査結果が報告された(甲A109:88~89、91頁)。 エ石綿粉塵の危険性を否定していた日本石綿協会も1980年代になると、石綿の危険性を前提として、屋外で使用される屋根材や外装材を電動工具 で加工する際にも、集塵機の使用や防塵マスクの使用などの安全対策を励行し、屋外の作業も含め粉塵対策を行う必要性を指摘するようになり(甲A746、乙イウ4、乙ケ4)、これと併せて被告企業においても屋根材や外装材を含め、建材について石綿の低減化や無石綿化を進めた(乙アA108:10頁)。 オ諸外国では、石綿粉塵の暴露濃度について、我が国における規制以上に厳格な規制が実施され、1980年代以降は、石綿の使用を全面的に禁止する措置が、順次、導入されるになっていた(甲A176:15頁、甲A177:38~39頁)。 カ日本国内でも、昭和62年から63年にかけて学校の吹付石綿による健 康被害の危険性が問題となり(甲A611:40~45頁)、石綿による健康被害の危険性に対する社会の認識が急速に広がり、地上波テレビ放送でも、石綿の危険性は繰り返し取り上げられ(甲A789の1~7)、昭和62年10月20日にはNHKのクローズアップにおいて、「検証・石綿汚染」と題して石綿粉塵曝露による健康被害の問題が報じられた(甲A789の 5、甲A790の1・2)。 このように、建設屋外作業を通じた石綿粉塵曝露によって、石綿関連疾患を発症することについて、予見可能性を基礎付ける事実は広範囲にわたり多数認められ、このことからすれば、昭和62年以降、昭和63年、平 このように、建設屋外作業を通じた石綿粉塵曝露によって、石綿関連疾患を発症することについて、予見可能性を基礎付ける事実は広範囲にわたり多数認められ、このことからすれば、昭和62年以降、昭和63年、平成3年、平成7年、平成11年の各時期、いかに遅くとも平成13年には被告らにおいて、建設屋外作業を通じた石綿粉塵曝露による石綿関連疾患発症についての予見 可能性が認められる。 被告企業らは、有害物質である石綿を使用し、製品から発生する危険を予見し、被害発生を防止するために必要かつ相当な対策を適時かつ適切に行使すべき高度の注意義務を負っているから、屋外建設作業従事者における石綿粉塵曝露による健康被害発生の危険性についての予見可能性は、被告国以上に 広く認められなければならず、遅くとも昭和62年以降は屋外建設作業における石綿粉塵曝露によって作業者に健康被害が生じる危険があることは十分予見可能であった。 (被告国の主張)被告国に予見可能性を認めるには、一般的抽象的な危険性の認識では足りず、 『広範かつ重大な危険』が生じていることの認識可能性があって、初めて具体的な予見可能性が認められる。この点、原告らが根拠とする測定結果や被告国あるいは被告企業らの規制・取り組み等は、いずれも被告国の予見可能性を的確に裏付けるものではなく、風等による自然の換気により粉塵濃度の希釈を期待することができる屋外建設作業について、作業の性質に反し、その従業者が恒常的に 石綿粉塵に暴露していたという的確な知見は示されていなかったところ、被告国は、国内外の権威ある団体の勧告値等を踏まえて管理濃度の規制値の変更等をしてきたから、少なくとも屋外建設作業従事者との関係では、安衛法の趣旨、目的やその権限の性質等を踏まえても、被告国の対応が著しく合理性を欠く 権威ある団体の勧告値等を踏まえて管理濃度の規制値の変更等をしてきたから、少なくとも屋外建設作業従事者との関係では、安衛法の趣旨、目的やその権限の性質等を踏まえても、被告国の対応が著しく合理性を欠くものとはいえない。 被災者15のような屋根工は、直ちに屋内建設作業従事者と認められる職種 ではなく、屋内で作業することもあった事例をもって、屋内作業において石綿粉塵に曝露したと認められるものでもない。 (被告企業らの主張)外装材については、粉塵が生じても外気によって希釈されると考えられることから、暴露によって石綿関連疾患を発症するまでの予見可能性はない。 石綿含有外装材が販売されていた当時の法令による石綿粉塵濃度の規制値は、管理濃度としての2本/㎤であり、原告らが主張する評価値としての0.15本/㎤は、法令上の規制値ではなく、日本産業衛生学会により勧告されたものであり、それ以上の濃度の石綿粉塵に短時間暴露することにより、直ちに上記の過剰発がんリスクが発生するというものではない。作業をする限られた時間の個人 曝露濃度の測定結果や測定条件の詳細が明らかでない測定結果をもって、屋外建設作業に従事する者が就業時間を通じて当該濃度の石綿粉塵に曝露していたということはできず、また、測定結果の中には上記評価値を下回るものもあり、全体として屋内の作業に係る石綿粉塵濃度の測定結果を大きく下回っており、これは風等による自然換気により石綿粉塵濃度が薄められるためであることが 伺われるのであるから、0.15本/㎤を上回る測定結果があるからといって、予見可能性が認められることにはならない。 なお、原告らは、外装材を屋内で切断等加工をする場合もあると主張するが、窯業系サイディング等の外装材は、製品の大きさ、重量等から現場で があるからといって、予見可能性が認められることにはならない。 なお、原告らは、外装材を屋内で切断等加工をする場合もあると主張するが、窯業系サイディング等の外装材は、製品の大きさ、重量等から現場での持ち運びが容易ではなく、玄関や窓等の取付が完了した後に施工される。そのため、屋内 への搬入は困難かつ非効率であり、屋外に搬入されて切断加工はそのまま屋外で行われるのが通常である。粉塵のためには、防じんマットを敷くといった対策が一般的であり、手間のかかる養生シートを用いることは例外的である。 第3 石綿含有建材の製造販売禁止義務違反の有無(争点2)(原告らの主張) 被告企業らは、中皮腫の危険性についての予見可能性が確立した昭和40年、 各種通達及び旧特化則等の制定された昭和46年、特化則や安衛法が制定・改正された昭和50年を踏まえ、昭和51年1月1日までには吹付材につき、その他の石綿含有建材については、石綿について肺がん・中皮腫との関係で閾値がないことが明らかになった昭和62年、先進主要国において厳格な濃度規制を行うようになっていた平成7年等の各時期までに、建築現場において石綿含有建材 による中皮腫等の石綿関連疾患の発生を十分に防止できないことを認識し、又は認識し得たのであるから、建築建材の製造に際して石綿を使用しない義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った。 (被告企業らの主張)クリソタイルの製造、販売が禁止された平成15年ないし平成18年に至る までの間、国際的にも、クリソタイルは管理使用が可能であるとの知見が大勢を占めており、国が石綿含有建材の製造禁止措置を講じた同年よりも前の時点において、石綿含有建材について適切な管理使用をとることで石綿関連疾患へのり患を予防することがおよそ不可能で あるとの知見が大勢を占めており、国が石綿含有建材の製造禁止措置を講じた同年よりも前の時点において、石綿含有建材について適切な管理使用をとることで石綿関連疾患へのり患を予防することがおよそ不可能であるという知見が確立されたり、世界的にも管理使用ではなく石綿の製造を禁止すべきとの考えが主流となったという ことはできない。したがって、被告らに石綿不使用義務があったとはいえない。 第4 警告義務違反の有無(争点3) 1 警告義務の内容(争点3-1)(原告らの主張)被告企業らは、昭和35年には建設作業従事者が石綿疾患にり患する危険性 について予見可能であったので、その時点から、遅くとも昭和46年までには、石綿含有建材を製造販売する際に石綿関連疾患を惹き起こす危険性がある旨を警告表示すべきであった。石綿含有建材の製造・販売に当たり、具体的な「危険の内容」として、①当該建材に石綿が含有されていること、②石綿粉塵を吸引すると重篤な石綿関連疾患にり患する危険性があること、③特に中皮腫は少量の 石綿粉塵曝露でも発症する危険性があること、④石綿肺、肺がん、中皮腫は、潜 伏期間の長い遅発性の疾患であること、⑤肺がん、中皮腫は重度の健康障害であり、発見されたときは手遅れのことが多く、死に至る可能性があること、「危険の回避方法」として①国家検定に合格した適切な防じんマスクを作業中は常時、確実に着用する必要があること、②石綿建材の切断にあたっては、集じん機付きの電動工具を使用する必要があること等を分かりやすく表示すべきであった。 そうであるにもかかわらず、被告企業らは上記のような表示をしないまま石綿含有建材を製造販売した。 なお、石綿含有建材の一部にアスベストの頭文字である「a」のマークが表示されるなどしたことはあ そうであるにもかかわらず、被告企業らは上記のような表示をしないまま石綿含有建材を製造販売した。 なお、石綿含有建材の一部にアスベストの頭文字である「a」のマークが表示されるなどしたことはあったが、同表示だけでは、その建材に石綿が含有されていることや、重大な健康障害が発生する蓋然性があることを認識することはで きないから、警告義務を果たしたことにはならない。また、JIS表示によって「石綿含有製品であること」が表示され、「取扱い注意事項」として、石綿含有を前提とする注意事項を表示していたとしても、石綿関連疾患に関する具体的危険性を表示していないこれらの表示では警告義務を果たしたとはいえない。 (被告企業らの主張) 警告表示の内容は、相当の知識等を有する職業従事者であることを前提とした内容で足りるというべきであり、個々の被告企業ごとに、その事業規模の程度を考慮の上、個別に判断されるべきものであるし、少なくとも石綿の有害性が理解できる内容であれば十分というべきであり、原告らの主張する、個別の製品の石綿粉塵の危険性に関する表示は、明らかに過大な内容である。 2 解体業者に対する警告義務の有無(争点3-2)(原告らの主張)警告義務の目的は、製品による危険から被害の発生を防止することにあり、警告義務の対象者は、製品の危険により被害者となる可能性が合理的に予見できる使用者であるといえるから、前記1の義務は、解体作業従事者にも及ぶ。被告 企業らは、石綿含有建材の製造・販売時に、同建材を加工して建築した建物が、 改修・解体工事において撤去・破砕されること、したがって解体作業において石綿の危険が発現することを当然に想定していた。そうである以上、被告企業らは、この危険を回避するための警告義務を負う。 改修・解体工事において撤去・破砕されること、したがって解体作業において石綿の危険が発現することを当然に想定していた。そうである以上、被告企業らは、この危険を回避するための警告義務を負う。 成形板自体に警告表示を行うことは可能であり、その表示は長期間経過しても視認・判読可能な状態で残存するし、建材が加工等されて建物に組込まれても 警告表示は視認・判読可能な状態で残存する。出荷時粉体である吹付材についても固化した後にラベルやプレートを貼ることは可能である。 建材自体に警告を表示する方法以外にも、施工場所に石綿含有事実及び危険性情報を記載したラベルを貼付するよう取扱説明書等に記載することは可能である。また、取扱説明書自体に石綿含有事実及び危険性情報を記載することによ って、建物所有者に当該取扱説明書が交付され、建物所有者を介して解体作業従事者に警告を伝えることはできる。さらに、被告企業らは、建築士等に対し、設計図書に使用した建材の種類と石綿含有の有無の記載を求めることもできた。 上記警告がされれば、解体の準備作業において書面や使用建材の確認により、石綿含有建材の使用の有無を事前に確認し、それへの対処を行うことは相当程 度可能である。その他、関連団体、マスメディアを介して危険性情報を伝達する方法もある。こうした表示方法があるから、実効性等の高い表示方法がないとして注意義務が否定されることはない。 建材自体に警告表示をしたとしても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態となったりする可 能性はあるし、経年劣化等により警告表示の判読が困難な状態となる可能性もあるが、それらは可能性にすぎないし、全ての石綿建材に警告表示がされていれば、全ての警告表示が失われる可能性 たりする可 能性はあるし、経年劣化等により警告表示の判読が困難な状態となる可能性もあるが、それらは可能性にすぎないし、全ての石綿建材に警告表示がされていれば、全ての警告表示が失われる可能性はむしろ極めて低い。 なお、被告らにその製造販売した石綿含有建材の使用による石綿関連疾患に対して責任を負う期間(以下「責任期間」という。)より前に製造販売した石綿 建材であっても、吹付材と保温材については特に危険性が高いのであって、先行 行為に基づく作為義務の一態様として、製造物監視義務を負うとともに、危険性を予見又は予見し得た場合には、当該製品の回収や指示警告の発出等を実施すべき法的義務がある。 (被告企業らの主張)石綿含有建材が加工され新築工事で施行されて建物の構成部分となった後に、 解体作業者に対して実効性のある警告をするのが困難である。こうした事情から、神奈川2陣最判も、建材メーカーは、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、警告情報を表示すべき義務を負っていたということはできない旨判示している。すなわち、石綿含有建材の中には吹付材のように当該建材自体に警告表示を記載することが困難なもの があり、その記載をしたとしても、加工等により当該記載が失われ、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態になり得るし、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々であるから、警告シールを当該建材が使用された部分に貼ることが困難な場合があり、貼ったとしても劣化により判読が困難になり得ること、注意文書を添付しても、解体までに長時間を経 ることから、その間に注意文書の紛失等が生じる上、建材メーカーにおいてこれら方策の実現を確保することはできないなどの より判読が困難になり得ること、注意文書を添付しても、解体までに長時間を経 ることから、その間に注意文書の紛失等が生じる上、建材メーカーにおいてこれら方策の実現を確保することはできないなどの理由から、被告企業らは、解体作業従事者に対し警告義務を負わない。 原告らは、全ての警告表示が失われる可能性は低いと主張するが、建築から長時間が経過し、適切な情報伝達が期待できないにもかかわらず、情報伝達に依存 して石綿粉塵曝露を防止するというのは、建材にラベルがない場合や注意書が交付されていない場合には無石綿建材であるとの誤解を改修・解体業者に与える恐れがあるなど、かえって危険性すら生じさせる。そのため、通達類において解体工事の事業者に対策が求められていることからも明らかなとおり、解体事業者が自ら石綿含有建材を把握し、対策を講じる手法が現実的であり実際的で ある。 第5 製造物責任法に基づく責任の有無(争点4)(原告らの主張)被告企業らが製造販売した石綿建材には、少なくとも製造物責任法上の「指示・警告上の瑕疵」「設計上の瑕疵」が存在する。 (被告企業らの主張) 被告企業らが製造販売した石綿建材には製造物責任法上の指示・警告上の瑕疵、設計上の瑕疵があるとはいえない。また、平成7年7月1日より前に製造した石綿含有建材については、製造物責任法上の責任は生じない。 第6 共同不法行為(民法719条1項後段類推適用)の成否(争点5)(原告らの主張) 1 民法719条1項後段類推適用の要件被告企業らに共同関連性が認められるには、行為者につき建材の現場到達事実が認められ、損害の一部発生に寄与した行為を行ったこと、当該行為者に他のメーカーらが製造販売した石綿建材とあいまって累積的に石綿粉塵に曝露する 同関連性が認められるには、行為者につき建材の現場到達事実が認められ、損害の一部発生に寄与した行為を行ったこと、当該行為者に他のメーカーらが製造販売した石綿建材とあいまって累積的に石綿粉塵に曝露することについて認識可能性(主観的要素)が必要であるところ、本件において主観 的要素は当然に満たしている。 2 被告企業らの製造した石綿含有建材の現場到達性の立証方法複数の建材メーカーがいずれも警告義務を履行することなく石綿含有建材を製造販売することにより被災者らの石綿関連疾患のり患をそれのみで惹起し得る行為を行い、そのうちのいずれの者の行為によって損害が生じたのか が不明である場合には、被害者の保護を図るため公益的観点から規定された民法719条1項後段の類推適用により、因果関係の立証責任が転換され、上記の者らが連帯して損害賠償責任を負うこととなる(神奈川1陣最判)。 建材メーカーが被災者らの石綿関連疾患のり患をそれのみで惹起し得る行為を行ったといえるためには、被害者保護の趣旨から、石綿含有建材が被災者 の就労した建築現場に到達した相当程度の可能性が立証されれば足りる。仮 に、現実の到達が必要であったとしても、後記の方法によれば、当該建材の現実の到達があったと認められる。 建材の現場到達の相当程度の可能性の立証手法東京1陣最判が認めた立証手順を踏まえ、下記の方法による立証を行う。 ア当該被災者の属する職種が一般的・類型的に見て常時、頻繁に直接取り扱 う石綿含有建材(以下「直接取扱建材」という。)の種類を特定する。 イ直接取扱建材のうち、当該職種の作業態様や石綿粉塵曝露実態等を元に、当該職種の建築作業従事者の石綿関連疾患・発症の主要な原因となったと考えられる石綿含有建材(以下「主要曝露建材」と 特定する。 イ直接取扱建材のうち、当該職種の作業態様や石綿粉塵曝露実態等を元に、当該職種の建築作業従事者の石綿関連疾患・発症の主要な原因となったと考えられる石綿含有建材(以下「主要曝露建材」という。)の種類を特定する。 ウアイに加え、個別被災者ごとに、陳述書等の証拠により、当該被災者に職種による一般的作業態様や曝露実態とは異なる独自の作業経験や就労実態を有する場合にはかかる事情も考慮して、主要曝露建材の種類を特定する。 エ従事した建物の種類や作業内容に応じて、特定が可能であれば、当該建物の種類に主に使用される特定の石綿含有建材(企業名、製品名)を特定する。 オ主要曝露建材について、当該石綿含有建材の種類に応じて、概ね10%以上の市場占有率(シェア)を有する企業を特定する。 カ特定した建材種類の製造販売期間と当該被災者の就労期間の重なり(重複期間)が相当期間認められること、その期間内に当該被災者が多数の現場を経験していることを確認する。 キこれに加え、被災者ごとに、各人の記憶、資料や特別な就労経験に基づき、建材種類の企業名や製品のレベルで合理的な根拠をもって多数回にわたって取り扱ったと評価できる石綿含有建材の企業名、製品を特定する。 以下では、下記3において立証手順ア、イによる本件被災者らの職種ごとの直接取扱建材及びこのうちの主要曝露建材の特定について主張し、3に おいて立証手順オに係るシェアについて、下記3において、立証手順ウエカ キについて主張する。 3 現場到達の有無職種ごとの主要曝露建材の特定建築作業の内容は、職種ごとに一定程度類型化されており、同一職種の者の作業には同質性がある。そのため次のとおり職種によって現場に到達した相 当程度の可能性があ 職種ごとの主要曝露建材の特定建築作業の内容は、職種ごとに一定程度類型化されており、同一職種の者の作業には同質性がある。そのため次のとおり職種によって現場に到達した相 当程度の可能性がある石綿含有建材を特定することが可能である。その上で各被災者の事情を加味して、現場到達可能性のある石綿含有建材を特定する。 ア左官工左官工は、サッシの窓枠の隙間に充填するモルタル、屋上の立ち上げ部分やベランダ周囲の立ち上がりする巾木部分などに塗るモルタル、外壁下地 や浴室タイル壁下地に塗るモルタルを混練する際の混和剤、建物の床や壁等に塗るにあたり施工場所の吹付材を除去する際の吹付材により石綿粉塵曝露するから、左官工の主要曝露建材は、吹付材(建材種類①、②、③)及び㊸混和材である。 イ大工 大工は、木造建物の新築・改修工事において木工事として、墨付け、きざみ、建方、屋根・外壁の下地、外部造作及び内部造作の作業全般を行い、鉄骨造建物・鉄筋コンクリート造建物においては、主に内部造作の作業全般を行い、床工事、内装下地工事、天井工事をする前に鉄骨等に吹き付けられた吹付材の剥離を行い、これらにより石綿粉塵に曝露した。よって、使用建材 は、吹付材(建材種類①、②、③)、各ボード類(建材種類⑪、⑫、⑮~⑲、⑳石綿含有スラグせっこう板、㉑石綿含有パルプセメント板、㉒石綿含有押出成形セメント板、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板、㉕石綿含有せっこうボード、㉖石綿含有パーライト板、㉗石綿含有その他パネル・ボード)及び床材(㉙石綿含有ビニル床タイル、 ㉚石綿含有ビニル床シート、㉛石綿含有けい酸カルシウム床材)である。な お、主に木造建物のみに従事した大工については吹付材( パネル・ボード)及び床材(㉙石綿含有ビニル床タイル、 ㉚石綿含有ビニル床シート、㉛石綿含有けい酸カルシウム床材)である。な お、主に木造建物のみに従事した大工については吹付材(①~③)は除外する。また、吹付材のうち④及び⑤は、内装仕上材であり、大工の作業内容はその前段階で使用する可能性が乏しいから除外する。また、サイディングを使用した大工については㉟石綿含有窯業系サイディングも取扱建材となる。 また、⑳、㉑及び㉖は使用頻度が低いことから、㉙~㉛もカッターにより切 断し発じん量は多くないから除外する。よって、大工の主要曝露建材は、吹付材(①~③)、ボード類(⑮~⑲、㉓)、天井材㉔が中心となる。 ウ保温工プラントで就労した保温工については、新設工事において配管・ダクト等に保温材を取り付け、改修時に古くなった保温材を剥がし新たな保温材を 取り付け、解体時に古い保温材を剥がすことであり、保温材の切断加工剥離に際して石綿粉塵に曝露したから、主要曝露建材は⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑩石綿保温材である。 エ電工 鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物につては電気配管、電気配線工事に際し吹付材の剥離、耐火仕切板の耐火被覆作業、照明器具の取付の際の天井の開口作業等、木造建物については天井板、壁材の切断作業、改修工事においても吹付材の剥離を行い、石綿粉塵に曝露したから、取扱い建材は、吹付材(①~③)、耐火被覆材(⑪、⑫)、内装材(⑮~⑲、㉓、㉔)であるが、耐火 被覆材からの曝露量は相対的に少ないから、主要曝露建材は①~③、⑮~⑲、㉓、㉔である。 オ配管工配管工は、給・排水設備工事、給湯設備工事及び衛生器具設備工事におい ㉔)であるが、耐火 被覆材からの曝露量は相対的に少ないから、主要曝露建材は①~③、⑮~⑲、㉓、㉔である。 オ配管工配管工は、給・排水設備工事、給湯設備工事及び衛生器具設備工事において、吹付け材を除去し、配管の加工・設置作業、躯体・間仕切り等へ配管を 通すための建材の切断・貫通作業(スリーブ工事)、設置した配管への保温 材の取付け作業を行うから、配管工が直接取り扱う石綿含有建材は、吹付材(建材種類①~③)、ボード類(建材種類⑮~⑳、㉑石綿含有パルプセメント板、㉒石綿含有押出成形セメント板、㉓、㉕石綿含有せっこうボード、㉖石綿含有パーライト板、㉗石綿含有その他パネル・ボード)、保温材(建材種類⑥~⑩)及び㊶石綿セメント円筒)。 カ塗装工塗装工は、塗装自体の作業の他に、①塗装作業前の清掃作業、②鉄骨等に塗装を行う際にその場所に飛散し付着している吹付材の剥離、③下地調整としてモルタル壁やボードの表面を平滑にする作業、④塗り直しのための外壁や屋根のけれん作業であり、①②により吹付材、③により混和剤やボー ド類の石綿、④では外壁材や屋根材に含まれる石綿粉塵により曝露する。 キタイル工タイル工事は、建物内部の風呂場・トイレ・台所等の内壁や床の仕上工事、外部の外壁や床の仕上工事として施工される。タイル工事においては下地調整の際にモルタルを混練する際の混和剤、リフォーム工事における既存 タイル剥離により石綿粉塵が発生するから、タイル工の主要曝露建材は㊸混和剤である。 クシャッター工シャッター工は、主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築工事に従事し、シャッター本体の取り付けと電気工事を伴い、シャッター本体 は躯体工事が終わった主要構造部に設置するが、その際に、梁な ャッター工は、主に鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築工事に従事し、シャッター本体の取り付けと電気工事を伴い、シャッター本体 は躯体工事が終わった主要構造部に設置するが、その際に、梁などの鉄骨部分に電気ケーブルを固定するための金具の溶接を行う際に吹付材を剥がし、間仕切り等に穴を開けるなどするのであり、シャッター工の主要曝露建材は、吹付材(①~③)、ボード類(⑮~⑲、㉓、㉔)であるが、日常的にボード類の穿孔を行っていた場合を除いて、ボード類は除外する。シャッター 工が直接取り扱う石綿含有建材は、建材種類①~③である。 ケとびとびは、基礎工事、足場組立、養生シートの設置・除去などの仮設工事、解体・改修工事を主な作業内容とし、吹付作業を行うための足場の組立、足場の解体に特化して作業を行っていた者もいる。吹付作業を行っているすぐ近くにおいて、足場を組み立てる際には、吹付材から出る石綿粉塵に大量 に暴露し、吹付材の剥離、内装材、壁、天井などをバールを用いて解体する作業においても吹付材や内装材に含まれる石綿粉塵に暴露したから、とびが直接取り扱う石綿含有建材は、吹付材(建材種類①、②、③)、内装材(建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔)である。 コ解体工 解体工は、①木造建物において、屋根材や内装材、外装材等を剥がしたり、叩き壊したり、切断したりする作業や、外壁を引き倒す作業、②鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物において、間仕切り、天井板、床板、内壁等の建材の撤去、粉砕、搬出作業、吹付け材とともに鉄骨を切断する作業、外壁を引き倒す作業を行う際に石綿粉塵に曝露したのであり、あらゆる建材から発生 する石綿粉塵に曝露しているが、特に影響の大きい建材種類①~③、⑥~⑩、⑪⑫、⑮⑯、㉓が主要曝露建材である。 業、外壁を引き倒す作業を行う際に石綿粉塵に曝露したのであり、あらゆる建材から発生 する石綿粉塵に曝露しているが、特に影響の大きい建材種類①~③、⑥~⑩、⑪⑫、⑮⑯、㉓が主要曝露建材である。 サ屋根工屋根工は、木造建物、鉄骨造建物及び鉄筋コンクリート造建物について屋根用化粧スレート板を用いる屋根の取付作業やサイディング材を中心とし た外壁の取付作業を行うほか、工場の屋根・外装工事を行うこともあり、屋根用化粧スレート、サイディング材、スレート波板を屋根・外壁に取り付ける際の裁断、穿孔作業の際に石綿粉塵に曝露したから、主要曝露建材は木造建物については㉝石綿含有屋根用化粧スレート、㉟石綿含有窯業系サイディング、㊱石綿含有建材複合金属系サイディングであり、工場・倉庫につい ては、スレート波板(㊲石綿含有スレート波板・大波、㊳同小波、㊴同その 他であるが、製造期間を踏まえ㊱については除外する。 シ運転手運転手は建築現場へ建材を運んだ後、解体現場から廃材を積み込んで処理場に運搬していた。現場によっては、廃材をバールで砕いて積み込み、解体中の建物内で廃材を砕くこともあった。 スガラス工・左官ガラス工は、窓枠に吹付けられた吹付材を剥がす作業等に従事し、吹付材から出る大量の石綿粉塵に暴露するのであり、ガラス工が直接取り扱う石綿含有建材は建材種類②、③、㊸である。 各建材のシェア 概ね10%のシェアを有している被告企業について、以下のとおり特定する。その根拠は【別紙7-1】ないし【別紙7-12】のとおりである。 ア吹付材建材種類①吹付石綿【別紙7-1】被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカー、被告ノザワ、被告ナイガ イ建材種類②石綿含有吹付けロックウール、③湿式 】のとおりである。 ア吹付材建材種類①吹付石綿【別紙7-1】被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカー、被告ノザワ、被告ナイガ イ建材種類②石綿含有吹付けロックウール、③湿式石綿含有吹付材【別紙7-2】被告ニチアス、被告A&AM、被告太平洋セメント、被告日東紡績、被告日鉄ケミカル、被告バルカー、被告ノザワ イ内装材建材種類⑮~⑲(ボード類)【別紙7-7】被告A&AM、被告MMK、被告ノザワ建材種類㉓けい酸カルシウム板第1種【別紙7-8】被告A&AM、被告MMK、被告大建工業(被告神島化学のOEM)、 被告ニチアス 建材種類㉔石綿含有ロックウール吸音天井板【別紙7-9】被告大建工業、被告日東紡績、被告ケイミュー、被告パナソニックウ保温材建材種類⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材【別紙7-3】被告A&AM、被告ニチアス、被告神島化学、被告日本インシュレーシ ョン建材種類⑥石綿含有けいそう土保温材、建材種類⑧石綿含有バーミキュライト保温材被告ニチアス(国交省データベース上、製造者は被告ニチアスのみである。) エサイディング材建材種類㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレート【別紙7-4】被告クボタ、被告ケイミュー(クボタ・松下電工外装)、被告積水化学、被告パナソニック建材種類㉟石綿含有窯業系サイディング【別紙7-5】 被告クボタ、被告ケイミュー、被告AGC、被告ニチハ、被告パナソニック、被告大建、被告東レACEオ屋根材(建材種類㊲、㊳、㊴石綿含有スレート波板)【別紙7-6】被告A&AM、被告ノザワ、被告MMK、ウベボードカセメント製品 石綿セメント管(建材種類㊵)被告クボタ、被告リ 屋根材(建材種類㊲、㊳、㊴石綿含有スレート波板)【別紙7-6】被告A&AM、被告ノザワ、被告MMK、ウベボードカセメント製品 石綿セメント管(建材種類㊵)被告クボタ、被告リソル(日本エタニットパイプ)、被告太平洋セメント(秩父セメント)石綿セメント円筒(建材種類㊶)【別紙7-10】被告A&AM キ混和剤(建材種類㊸混和剤) 被告ノザワク耐火材(建材種類⑪、⑫耐火被覆板)建材種類⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種【別紙7-11】被告日本インシュレーション、被告ニチアス、被告A&AM、被告神島化学 建材種類⑫石綿含有耐火被覆板【別紙7-12】被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカー本件被災者についての個別の現場到達の有無ア左官工原告5 原告5は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、左官工として昭和43年8月から昭和56年12月までの約13年4か月間、大工として昭和57年8月から平成26年5月まで約31年9か月、鉄骨造3割、鉄筋コンクリート造7割、新築8割、改修2割の割合で、多数の現場において、共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場等の工事現場において、 モルタルの混錬作業により投入した混和剤や石綿含有内装材の切断等に従事したから、主要暴露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓、㉔及び㊸であり、共同行為者たる被告企業(以下「被告共同行為者」という場合がある。)は、被告ノザワ、被告ニチアス、被告A&AM、被告MMK、被告パナソニック、被告大建工業、被告日東紡績である。 原告6(被災者6)被災者6は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和38年から平成15年までの約40年間左官として、9割は木造戸建て、1割弱は鉄骨造等、 大建工業、被告日東紡績である。 原告6(被災者6)被災者6は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和38年から平成15年までの約40年間左官として、9割は木造戸建て、1割弱は鉄骨造等、新築7割、改修3割の割合で、少なくとも年間数件以上の工事に従事し、モルタルを作るための混錬作業に混和剤を投入し、その粉塵により石綿 粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類㊸、共同不法行為者は被告 ノザワである。 イ大工原告1原告1は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和38年4月から平成22年3月まで約47年間大工として主に木造戸建住宅の新築工事に合計25 0現場等で従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績である。 原告4(被災者4) 被災者4は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和33年から平成24年まで約54年間大工として従事し、デパートや店舗など鉄骨・鉄筋コンクリート造建物など相当数の現場にも関与し、内装材、天井板等の切断、穿孔のほか、吹付材により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、建材種類①~③、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、 被告A&AM、被告日鉄ケミカル、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告太平洋セメント、被告ナイガイ、被告バルカー、被告日東紡績である。 原告8原告8は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和61年9月から平成2 9年秋まで約31年間大工として、昭和61年9月から平成5年5月までの幸進建設においては100%軽量鉄骨建物の 原告8原告8は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和61年9月から平成2 9年秋まで約31年間大工として、昭和61年9月から平成5年5月までの幸進建設においては100%軽量鉄骨建物の新築工事に300現場従事し、平成8年1月から平成29年6月までのGにおいて木造8割、軽量鉄骨2割の割合で3000の改修工事現場に従事し、内装材、屋根材、外装材等の切断、穿孔、混和剤の使用に際し石綿粉塵に曝露したから、主 要暴露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓、㉔、㉝、㉟及び㊸、被告共同不法行 為者は、被告AGC・被告旭トステム、被告A&AM、被告クボタ、被告ケイミュー、被告ノザワ、被告MMK、被告大建工業、被告東レACE、被告パナソニック、被告積水化学である。 原告12原告12は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和36年4月から平成30 年7月まで約57年間大工として主に木造戸建住宅8割、鉄骨造等2割で、ほぼ半々の割合で新築及び改修工事として1000の現場に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソ ニック、被告日東紡績である(なお、建材使用につき記憶がある(甲F12-3)とされていた被告積水化学は最終的提出された別紙4においては被告から除外されている。)。 原告13(被災者13)被災者13は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和34年5月から平成2 2年まで約55年間大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事に従事し、鉄筋コンクリート造りの共同住宅の改修工事に従事したことはあるものの、その比率は明らかではなく、主として内装材、天井板等の切断、穿 年まで約55年間大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事に従事し、鉄筋コンクリート造りの共同住宅の改修工事に従事したことはあるものの、その比率は明らかではなく、主として内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したといえるから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&A M、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績である。 原告14(被災者14)被災者14は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和39年4月から平成29年まで約52年間大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事の他、 3割程度は鉄骨造建物の店舗事務所の改修工事に従事し、内装材、天井材 等の切断、穿孔の他、吹付材により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類①~③、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績、被告太平洋セメント、被告バルカー、被告日鉄ケミカル、被告ナイガイである。 原告20(被災者20)被災者20は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和43年10月から平成29年8月まで約59年間大工として主に木造戸建て住宅の新築改修工事に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、 被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績である。 原告22(被災者22)被災者22は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和44年4月から平成26年8月で約45年間大工として主に木造戸建て住宅、木造アパー トの新築工事に従事し、内 る。 原告22(被災者22)被災者22は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和44年4月から平成26年8月で約45年間大工として主に木造戸建て住宅、木造アパー トの新築工事に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績である。 原告23 原告23は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和39年4月から平成26年5月まで、大工として、木造戸建住宅の新築工事4割・改修工事6割の割合(サイディング切断を含む。)で1000以上の現場に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチ アス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナ ソニック、被告日東紡績である。 原告24(被災者24)被災者24は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和40年4月から平成23年12月まで約46年間大工として主に木造(9割)戸建住宅の新築工事(7~8割)、改修工事(2~3割)に年平均4~5件、多い時には1 0件程度の現場に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓、㉔及び㉟、被告共同不法行為者は、被告AGC・被告旭トステム、被告A&AM、被告クボタ、被告ケイミュー、被告大建工業、被告東レACE、被告ニチアス、被告ニチハ、被告日東紡績、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック である。 原告25(被災者25)被災者25は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和40年4月か 東レACE、被告ニチアス、被告ニチハ、被告日東紡績、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック である。 原告25(被災者25)被災者25は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和40年4月から平成31年3月まで約54年間大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事や軽量鉄骨造建物の改修工事に従事し、内装材、天井板等の切断、穿孔、窯 業系サイディングの切断、穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類⑮~⑲、㉓、㉔及び㉟、被告共同不法行為者は、被告AGC・被告旭トステム、被告A&AM、被告クボタ、被告ケイミュー、被告大建工業、被告東レACE、被告ニチアス、被告ニチハ、被告日東紡績、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニックである。 ウ電工原告7原告7は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和43年5月から平成26年12月までの間、約47年7か月電工として、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、 倉庫等の新築工事で500の現場に従事し、吹付材の剥離の他、耐火仕切 板、ボード類の穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類①~③、⑪、⑫、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告神島化学、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績、被告太平洋セメント、被告バルカー、被告日鉄ケミカル、被告ナイガイ、被告日本インシュレーショ ンである。 原告9原告9は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和38年5月から平成28年7月までの間、約53年、電工として、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、倉庫 等の新築工事 ▲日生まれであり、昭和38年5月から平成28年7月までの間、約53年、電工として、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、倉庫 等の新築工事(6~9割)において1500の現場に従事し、吹付材の剥離の他、耐火仕切板、ボード類の穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類①~③、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績、被告太平洋セメント、被告バルカ ー、被告日鉄ケミカル、被告ナイガイである。 原告10(被災者10)被災者10は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和55年4月から平成26年1月まで約34年間、電工として、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店の新築工事6割、 改修工事4割の割合で、少なくとも374の現場に従事し、吹付材の剥離の他、耐火仕切板、ボード類の穿孔等により石綿粉塵に曝露したから、主要曝露建材は、建材種類②、③、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告パナソニック、被告日東紡績、被告太平洋セメント、被告バルカ ーである。 エ配管工原告16原告16は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和45年7月から平成19年3月までの約37年間配管工として、専ら木造建物、鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の配管工事1000現場以上に従事し、支持金具の 取付のため吹付材剥離、保温材の取り外し、石綿セメント円筒・石綿セメント管の切断加工・破壊などの際に石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、建材種類①~③、⑦、⑧、⑩ 以上に従事し、支持金具の 取付のため吹付材剥離、保温材の取り外し、石綿セメント円筒・石綿セメント管の切断加工・破壊などの際に石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、建材種類①~③、⑦、⑧、⑩、㊵及び㊶、被告共同不法行為者は、被告クボタ、被告リソル、被告太平洋セメント、被告A&AM、被告ニチアス、被告ノザワ、被告バルカー、被告日鉄ケミカル、被告日東紡績、被 告ナイガイである。 原告18(被災者18)被災者18は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和46年4月から平成19年4月までの約36年間、配管工として、専ら主として木造戸建住宅の新築改修工事において、下水道管の設、本管への接続の他、給水管 等の切断等で100以上の現場に従事し、石綿セメント円筒及び石綿セメント管の切断等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類㊵及び㊶、被告共同不法行為者は、被告クボタ、被告リソル、被告太平洋セメント、被告A&AMである。 原告21 原告21は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和45年3月から昭和60年12月までの約15年間、配管工として、100以上の現場で、水道管取替工事の際、石綿セメント管である旧水道管をエンジンカッターで切断等した際に石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、建材種類㊵、被告共同不法行為者は、被告クボタ、被告リソル、被告太平洋セメントで ある。 オ保温工被災者28は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和36年4月から平成30年までの間、保温工として、主として工場(プラント)内での新築・改修工事に従事し(石綿布工場での勤務もあったが、期間は短く、保温材による暴露が中心である。)、保温材の切断加工作業により石綿粉塵に曝露した から、主要暴露建材は(建材種類 ラント)内での新築・改修工事に従事し(石綿布工場での勤務もあったが、期間は短く、保温材による暴露が中心である。)、保温材の切断加工作業により石綿粉塵に曝露した から、主要暴露建材は(建材種類⑥~⑧、⑩)、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告神島化学、被告日本インシュレーションである。 カシャッター工原告2は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和44年7月から平成23 年3月までの約42年間、シャッター工として、主に倉庫、大型店舗、工業、学校などの鉄骨造建物・鉄筋コンクリート造建物の新築改修工事に従事し、吹付材の剥離作業等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類①~③、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告ノザワ、被告太平洋セメント、被告日東紡績、被告日鉄ケミカル、被告ナイガ イ、被告バルカーである。 キタイル工被災者29は、昭和▲年▲月▲日に生まれ、昭和33年から平成29年1月まで約59年の間、タイル工として、主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築工事において約2160の現場に従事し、モルタル錬成の 際に混和剤により石綿粉塵に暴露したから、主要暴露建材は建材種類㊸、被告共同不法行為者は被告ノザワである。 ク解体工被災者26は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和41年4月から令和元年10月まで約53年の間勤務し、昭和41年9月から昭和50年頃ま で約9年間、主に鉄骨造、木造の三菱重工業横浜造船所敷地内の工場改修工 事に、その他の期間も解体作業員として従事し、吹付材、内装材、保温材等による石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、①~③、⑥~⑩、⑪、⑫、⑯~⑲及び㉓であり、被告共同不法行為者は、被告A&AM、被告神島化学、 の期間も解体作業員として従事し、吹付材、内装材、保温材等による石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は、①~③、⑥~⑩、⑪、⑫、⑯~⑲及び㉓であり、被告共同不法行為者は、被告A&AM、被告神島化学、被告日鉄ケミカル、被告大建工業、被告太平洋セメント、被告ニチアス、被告日東紡績、被告バルカー、被告ノザワ、被告MMK、被告日本インシュレ ーション、被告ナイガイである。 ケ塗装工原告27は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和34年4月から平成26年11月までの約55年の間、塗装工として、主に、店舗、事務所、学校、病院、工場等の鉄筋コンクリート造大規模建築物の新築改修工事の建設現 場で年平均11現場で就労し、塗装作業に際して、塗装面の吹付材等の剥離作業において石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類①~③及び㊸、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告日鉄ケミカル、被告太平洋セメント、被告日東紡績、被告バルカー、被告ノザワ、被告ナイガイである。 コガラス工原告17は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和41年4月から平成29年12月まで約52年(2966現場)のうち、左官として約9年は主として木造戸建住宅の新築改修工事等に従事し、ガラス工として約43年は主として工場の新築工事において、窓ガラスの設置に際し、窓枠に付着した吹付 材の剥離作業等により石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類②、③及び㊸、被告共同不法行為者は被告ニチアス、被告ノザワ、被告日鉄ケミカル、被告A&AM、被告太平洋セメント、被告バルカー、被告ナイガイ、被告日東紡績である。 サとび 原告3(被災者3) 被災者3は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和61年から平成30年まで約32年間 ト、被告バルカー、被告ナイガイ、被告日東紡績である。 サとび 原告3(被災者3) 被災者3は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和61年から平成30年まで約32年間、平成2年から平成10年に川端班に勤務していた時を除き、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物工事において年間10~20の現場で足場の設置、解体作業をしており、吹付工が作業するすぐ近くでの作業や、内装材の解体作業などを行ない、これらにより石綿粉塵に曝露 したから、主要暴露建材は建材種類②、③、⑮~⑲、㉓及び㉔、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告大建工業、被告ノザワ、被告MMK、被告太平洋セメントである(被告日東紡績、被告パナソニック及び被告バルカーは、製造期間と就業期間との重なりから、被告積水化学はシェアの関係から除外した。)。 原告19(被災者19)被災者19は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和44年から平成15年7月まで約34年間、とびとして、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の現場において、吹付工が作業するための足場の組立・足場の解体作業を行っており、故林富士雄の作業するすぐそばで吹付作業がされ、これにより石 綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は吹付材(建材種類①~③)であり、被告共同不法行為者は、被告ニチアス、被告A&AM、被告太平洋セメント、被告ノザワ、被告バルカー、被告日鉄ケミカル、被告日東紡績、被告ナイガイである。 シ運転手 被災者11は、昭和▲年▲月▲日生まれであり、昭和36年5月から平成13年4月まで約40年間、建材を運搬し、現場の廃材を回収し、処分場まで運搬していたほか、廃材を自らバールを用いてバラスこともあり、主として木造戸建て住宅の外装材、内装材のいずれも運搬し、この作 成13年4月まで約40年間、建材を運搬し、現場の廃材を回収し、処分場まで運搬していたほか、廃材を自らバールを用いてバラスこともあり、主として木造戸建て住宅の外装材、内装材のいずれも運搬し、この作業において石綿粉塵に曝露したから、同人の直接取扱い建材は建材種類⑮~⑲、㉓、㉔、 ㉝及び㉟、被告共同不法行為者は、被告AGC、被告旭トステム、被告A& AM、被告クボタ、被告ケイミュー、被告大建工業、被告積水化学、被告東レACE、被告ニチハ、被告パナソニック、被告ニチアス、被告ノザワ、被告MMK、被告日東紡績である。 ス屋根工被災者15は、昭和▲年▲月▲日生まれで、昭和35年4月から平成22 年まで約50年間屋根工として主に木造戸建住宅の新築改修工事に従事し、石綿含有住宅屋根用化粧用スレートを電動工具で切断・加工する作業をする際に石綿粉塵に曝露したから、主要暴露建材は建材種類㉝、被告共同不法行為者は、被告クボタ、被告ケイミュー、被告積水化学、被告パナソニックである。 被告企業らの主張に対する反論ア建材のシェアを検討する際、非石綿建材の存在を考慮したり、他の種類の石綿含有建材の存在を考慮する(複数の種類の建材をグルーピングしてシェアを検討する)べきではない。シェアを検討するのは、被災者らが石綿関連疾患にり患したことを前提として、石綿関連疾患に寄与した建材はいず れかを検討するためであるし、性質や用途が異なる以上、石綿含有建材とそうでない建材や、種類が異なる建材が完全に競合することはない。 イシェア検討に際して、二次加工者への出荷があることを考慮するべきではない。被災者との関係では、一次加工者も二次加工者も同様に警告義務を負う。二次加工メーカー等が警告義務を負うとしても、一次メーカ イシェア検討に際して、二次加工者への出荷があることを考慮するべきではない。被災者との関係では、一次加工者も二次加工者も同様に警告義務を負う。二次加工メーカー等が警告義務を負うとしても、一次メーカーは、石 綿建材の危険性を最もよく知りうる立場にあるから、同社が的確な警告表示を行ってこそ、その後の二次加工メーカー等が出荷時に的確な警告表示を行うことが可能となるのであるから、二次加工メーカーの存在によって、一次加工メーカーである被告企業らの警告義務が否定されるものではなく、シェア検討に際して考慮すべきではない。また、二次加工された製品であっ たとしても、現場での加工が全く不要となるものではない。 被告企業らが一定の建材を特約店に対して販売していたとしても、当該建材を除外する理由にはならない。一般の作業従事者が、二次的加工を行うことがある。 ある建材をカッターナイフ等の手工具で加工することができるとしても、当該建材を除外する理由にはならない。手工具で加工できたとしても電動 工具で加工することもあったと考えられるし、手道具で加工する場合にも、天井材などについて上を見上げた状態で切断して、粉塵が顔に降りかかるなど、暴露する場面はあったと考えられる。 非飛散性の建材であったとしても、当該建材を除外する理由にはならない。非飛散性の建材とは、製品を加工せずに保管しているだけでは粉塵が飛 散しないということに過ぎず、加工すれば飛散するからである。 (被告企業らの主張概要)民法719条1項後段類推適用の要件について共同不法行為に基づく損害賠償請求をする場合、原告らには、加害行為を具体的に特定し、これが各原告の被侵害利益に到達した事実を主張立証する責 任がある。 石綿含有建材には用途の異な について共同不法行為に基づく損害賠償請求をする場合、原告らには、加害行為を具体的に特定し、これが各原告の被侵害利益に到達した事実を主張立証する責 任がある。 石綿含有建材には用途の異なる多種類の物が存在し、各被告企業の製造建材、その性質、製造期間も多々であり、ある被告企業が他被告企業の責任まで負うべき社会的一体性はない。 共同不法行為の前提として、各被告企業の建材それのみで石綿関連疾患を 引き起こすことが必要であるところ(発じん性)、各被告企業の建材にそれぞれ発じん性が認められることの立証はない。 原告ら主張の検討手順について東京1陣最判も、現場到達事実が立証されることが必要であるとした原審を是認しており、個別の被告企業らの製品の到達につき高度の蓋然性が認め られることが必要であり、到達の相当程度の可能性が立証されることでは不 十分である。 職種ごとの到達可能性について原告ら主張の立証方法は相当ではないが、これによるとしても、現場到達事実が立証されるためには、被災者が、当該建材を直接取り扱う頻度が高く、取り扱う時間も長く、取り扱う際に多量の石綿粉塵に暴露することが前提とな る。原告らは、各被告企業の製造した建材の種類、石綿含有量、製造期間、製造量、含まれている石綿の種類、加工方法、飛散性などを考慮せず、主要曝露建材を選定しており不合理である。 シェアについて原告らの主張するシェアについては、その資料が正確でなく、特定方法が相 当ではない。また、代替建材のある石綿含有建材については、ノンアス建材や代替建材を含めた上で、シェアを算定すべきであるが、原告らは、代替建材を考慮せずシェアを算出している。さらに、到達可能性を検討するに当たり、自らが警告義務を負う二次加工メーカー ては、ノンアス建材や代替建材を含めた上で、シェアを算定すべきであるが、原告らは、代替建材を考慮せずシェアを算出している。さらに、到達可能性を検討するに当たり、自らが警告義務を負う二次加工メーカーや自社施工工事で使用した分はシェアから除外すべきである。 新築工事、改修工事、応援・手伝い等の各現場において取扱う建材の量や体積は大きく異なるし、ある製造メーカーがある年に出荷した石綿含有建材が、同時期、同地域に、同一シェアを保ったまま全国の建築現場に等しく流れ着くことなどありえず、あるシェアの下での現場の建材の出現頻度が均等ということは現実にはあり得ない。したがって、シェアに基づいて現場到達事実を推 認することには無理があるが、仮に立証されることがあり得るとしても20ないし25%程度の高いシェアが必要であるというべきである。 (被告AGC及び被告旭トステムの主張)製造建材被告AGCは建材種類㉟石綿含有窯業系サイディングである「ほんばん」 (石綿含有率4.95%)を昭和58年9月から平成元年1月まで関東地区で 販売した(同月以後に製造・販売された「ほんばん」は石綿を含有しない。木造住宅の外壁材として製造・販売されたところ、原告らは、店舗・事務所や工場等にも使用されるとするが、誤りである。)。また、昭和53年6月頃、軒天材として、スラグせっこう板である「バンバン」を販売したが、試験的な製品であり、競合品も多く出荷量も少なかったことから昭和60年頃には撤退 した。 石綿粉塵曝露可能性「ほんばん」は、外装材であるが、耐アルカリ性ガラス繊維の補強効果により高い粘性を有するため、切断等の加工時においても、製品中に固化された微量のクリソタイルが飛散する可能性は低く、仮に飛散しても0.15本/㎤を 外装材であるが、耐アルカリ性ガラス繊維の補強効果により高い粘性を有するため、切断等の加工時においても、製品中に固化された微量のクリソタイルが飛散する可能性は低く、仮に飛散しても0.15本/㎤を 大きく下回る暴露濃度しか認められず(0.043本/㎤)、これにより石綿関連疾患にり患する合理的な根拠はない。また、上記の非飛散性等に鑑みれば、これらの建材から発生する石綿粉塵により、間接曝露や堆積粉塵曝露することはない。切断は防塵カッター(集塵丸のこ)を用いて行われることが多かった上、粉塵の発生・飛散はごく微量であり、取付けの際にも粉塵が発生・飛散 することはなかった。 現場到達事実が認められないこと原告らは、昭和62年から平成9年にかけて、被告AGCのシェアが12. 2%~16.5%であったと主張するが、原告らが基礎とする各書証の数値の正確性には疑問があり、他の資料と比較すると各数値に齟齬があるなど、その シェアは誤っており、客観的なシェアと乖離している。 「ほんばん」は、被告AGCの指定した特約建材店である「トップショップ」を通じてのみ販売されたため、同建材を施工した職人は限定されるから、本件被災者らがこれを使用した可能性は低い。 主要石綿曝露建材とはいえないこと 被告AGCの製品は、実際に施工した可能性のある者は、木造戸建住宅の施 工に従事する大工に限定されるところ、その製品の性質上極めて低石綿であり、補強繊維である白石綿は建材の中に固化・固定され、耐アルカリ性ガラス繊維の補強効果による高い粘性のため、切断等の施工時に粉塵が発生・飛散することはほとんどなかったし、専用の留め具で取り付けるため粉塵が発生・飛散することはなかった。施工過程から見ても、施工の際に、他の職人が周囲で 作業をし ため、切断等の施工時に粉塵が発生・飛散することはほとんどなかったし、専用の留め具で取り付けるため粉塵が発生・飛散することはなかった。施工過程から見ても、施工の際に、他の職人が周囲で 作業をしていることは考えられない。また、生産量・出荷量が微々たるもので、製造期間もごく短期間に限定されていたほか、流通経路も限定されていたから、本件被災者らが実際に施工した可能性は極めて低い。よって、本件被災者らが、被告AGCの製品から発生・飛散した粉塵に曝露し、これによって石綿関連疾患にり患したことは到底あり得ない。 各原告に対する個別主張ア原告8昭和61年9月から平成7年6月(平成6年11月から平成7年6月までは原告8は曝露建材はないと主張している。)にかけて大工として積水ハウスの低層住宅現場において軽量鉄骨建物建築に従事したと主張している が、「ほんばん」は木造戸建住宅のみに使用されるから、「ほんばん」が用いられる現場には従事していなかった。 イ原告11被災者11において、「窯業系サイディング」を取り扱った証拠はなく、労災申請時には、株式会社田中修二商店勤務時は、新築ビル現場等への建築 資材の運搬・搬入作業に従事したとし、その後も同社の専属運転手として同種作業に従事したから、「ほんばん」が用いられる木造戸建住宅で作業したとはいえない。ほんばんの製造は、昭和58年から平成元年であり、被災者11の従事期間に「ほんばん」を使用した建物の解体作業があったとはいえない。 ウ原告24 被災者24の就業期間のうち、ほんばん製造販売期間と重複するのは6年間のみであり、その間もサイディングにどのメーカーの製品を使用したのか明らかではなく(証人H1は、ナショナル、被告クボタ、被告ニチハの製品につ 就業期間のうち、ほんばん製造販売期間と重複するのは6年間のみであり、その間もサイディングにどのメーカーの製品を使用したのか明らかではなく(証人H1は、ナショナル、被告クボタ、被告ニチハの製品については記憶しているものの、被告AGCの製品を使用したとの供述はない。)、被告AGC製品を使用したとはいえない。 エ原告25被災者25がサイディングを使用したことの裏付けはなく、木造建築に従事した昭和40年から昭和49年9月までに「ほんばん」は発売されておらず、その後は軽量鉄骨住宅の業務に従事しているから、木造戸建建築用の「ほんばん」を使用した可能性はない。 (被告A&AMの主張)製造建材被告A&AMの製造販売した石綿含有建材は、建材種類①吹付石綿(昭和37年~昭和46年)、②乾式石綿含有吹付ロックウール(昭和46年~昭和50年)、③湿式石綿含有吹付ロックウール(昭和47年~昭和62年)、⑥石 綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材(製造期間は昭和39年から昭和53年)、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑨石綿含有パーライト保温材、⑩石綿保温材、⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板(製造期間は昭和33年から平成16年)、⑯石綿含有スレートボード・軟質板(製造期間は昭和26年から)、⑰石綿含有スラグせっこう板(製造期間 は昭和54年から昭和55年、平成7年から平成12年)、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種(昭和46年から平成16年)、㊶石綿セメント円筒、耐火二層管(塩ビ管セメントモルタル被覆)、などである。 シェア及び現場到達事実シェアによる確率計算によって建材の到達を認定することは、正確なシェ アの算出が不可能であることに加え、製造シェアと同時期に同一シェアを保 覆)、などである。 シェア及び現場到達事実シェアによる確率計算によって建材の到達を認定することは、正確なシェ アの算出が不可能であることに加え、製造シェアと同時期に同一シェアを保 ったまま全国の建設現場に等しく流れつくことはあり得ないから、シェアによる到達可能性の立証は不合理である。 電工の主要暴露建材であると主張する吹付材(建材種類①~③)は相互に代替性があるところ、原告らのシェア資料は①~③を合算したものではなく、年度や記載内容も異なっており、内容を総合してシェアを割り出すことはでき ない。建材種類⑮~⑲、㉓については、シェアを算出するにあたり、自らが警告義務を負うとされる二次加工メーカー・加工済みであり建築現場で粉塵の発生しないプレハブメーカー及び住宅機器メーカーへの出荷分、自社施工分、内装用途以外の出荷分は除外すべきであり、これらを考慮すると、被告A&AMのシェアは、建材種類㉓については5.4%未満、建材種類⑮~⑲について は9.2%未満、これらを合計したシェアは7.7%未満である。 保温工につき主要暴露建材とされる保温材(建材種類⑥~⑧、⑩)のうち、原告らは、被告A&AMは建材種類⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材のシェアが高いと主張するところ、これらは代替性が高いにもかかわらず、この4種類全体における各社のシェアについての証拠はなく、被告A&AMのシェ アを認定することはできない。また、プラント用であり、工場プラントで就労していない配管工に被告A&AMの建材種類⑦が到達することはない。 ガラス工、塗装工、とび及びシャッター工の主要暴露建材とされる吹付材についても電工と同様である。 建材種類㊶石綿セメント円筒は、煙突であって、屋外で使用される建材であ り、被告A&AMは、警 ガラス工、塗装工、とび及びシャッター工の主要暴露建材とされる吹付材についても電工と同様である。 建材種類㊶石綿セメント円筒は、煙突であって、屋外で使用される建材であ り、被告A&AMは、警告義務を負わない。耐火二層管については、例えば昭和60年についてみれば、OEM製造を除き、被告A&AMが警告義務を負う純粋シェアは7%にすぎず、平成元年以降は無石綿製品に切り替えている。 被告A&AMは、昭和50年以降に製造販売した石綿含有建材のうちJIS表示の表示許可を得ているものについては、JIS表示をすることにより、 間接的に石綿含有製品であることを表示し、遅くとも昭和62年までには「取 り扱い注意事項」「加工上の注意事項」を製品に添付し、平成元年以降は、石綿含有製品であることを示す「a」マークを添付していた。 (被告クボタの主張)被告クボタは、屋根材及び外壁材に関する事業並びにこれに関する権利義務を被告ケイミューに承継させているから、同事業に係る被告ケイミューの 主張を援用する。 製造建材建材種類㊵石綿セメント管は、土木工事業者により道路下に埋設されて配水管として使用され、建築現場で取り扱われることはない。また、改修、解体作業、屋外作業に関して、被告クボタが、原告らに対し、同建材を製造・販売 したことに基づく責任を負うことはない。 現場到達事実屋内配管工事及び下水道工事においては、高価な石綿セメント管が用いられたかの可能性は低く、石綿暴露を受けたとしても被告クボタの石綿セメント管に起因するものとはいえない。 個別原告に関する主張ア被災者18及び原告16水道用石綿セメント管は下水道には使用されておらず、建物内部の給排水管・通気管には石綿セメント円筒(トミジ管)が使用 のとはいえない。 個別原告に関する主張ア被災者18及び原告16水道用石綿セメント管は下水道には使用されておらず、建物内部の給排水管・通気管には石綿セメント円筒(トミジ管)が使用されていた。被告クボタは石綿セメント円筒を製造販売していない。 被災者18については、上水道工事に従事していたことを裏付ける証拠はなく、水道用石綿セメント管を扱っていない。 また、原告16については、労災関連書類上は「じん肺」の記載しかなく、石綿起因性については「アスベスト関与の可能性」程度であり、石綿肺との確定診断はなく、I医師からも石綿肺診断を受けていない。また、原告16 は排水管から給水管への分岐作業を行っていたと供述するが、尋問で突如 出てきた事項であり記憶も曖昧であるから、水道用石綿セメント管を扱ったとは考えられず、その供述する使用期間も責任期間以前である。 イ原告21昭和60年まで上水道本管の漏水事故の際の補修工事をしていたとのことであるが、使用者である改修工事業者が一次的、水道事業者が二次的責任 を負うというべきであるし、敷設後相当期間経過した後の工事であり、水道用石綿セメント管の補修工事について国が通達を出したのは昭和63年3月30日になってからであるから、被告クボタは、同原告に対し、警告義務は負わないし、予見可能性があったともいえない。また、水道用石綿セメント管切断の機会は最大年間4回、1回2か所のみであり(原告213、4、 25、28頁)、管を破砕したり取り出したりすることはなく、切断の際には大量の水が出る上、切断時間は15分程度であるから、粉塵の暴露は限定的である。 (被告ケイミューの主張)製造建材 被告ケイミューが製造・販売した建材は、建築現場での同時並 断の際には大量の水が出る上、切断時間は15分程度であるから、粉塵の暴露は限定的である。 (被告ケイミューの主張)製造建材 被告ケイミューが製造・販売した建材は、建築現場での同時並行作業が極めて限定的な木造戸建住宅での使用を主とし、クリソタイルをセメントに混練・固化して製造された非飛散性石綿含有建材である外壁材(⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板:製造・販売期間は昭和36年から平成5年まで、㉟石綿含有窯業系サイディング:同期間は昭和36年から平成12年まで(た だし、昭和48年から昭和51年まで販売実績はほぼ皆無。また、平成8年から平成12年まではOEM製品として供給を受けたものを販売))及び屋根材(㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレート:同期間は昭和36年から平成15年まで)であるが、いずれも屋外使用建材であって、屋外の開放空間において作業が行われ、押切カッターで容易に切断でき、予め孔が開けられて穿孔の必要 性もないから、これらの非飛散性建材から発生する微量なクリソタイル粉塵 への直接・間接暴露に起因して、本件被災者らが石綿関連疾患にり患することはない。なお、被告ケイミュー製造・販売に係る㉟石綿含有窯業系サイディングの中には、国交省データベース上、内装材の欄に「○」の記載があるものもあるが、同建材が内装材として使用されたことはなく、仮に使用されたとしても、通常はプレカットされ、建築現場における加工作業はない。 シェア原告らは、会社分割前のシェアを合算して計算するが、シェアは会社分割以前の時点で、それぞれ単独でシェアの基準に達している必要があるから、原告らの主張は失当である。また、石綿含有建材以外の代替性のある建材も考慮した上でシェアを算定する必要があるが、原告らの主張には代替 前の時点で、それぞれ単独でシェアの基準に達している必要があるから、原告らの主張は失当である。また、石綿含有建材以外の代替性のある建材も考慮した上でシェアを算定する必要があるが、原告らの主張には代替建材は考慮さ れていない。石綿含有窯業系サイディングの代替建材を含めた外壁材全体においては、モルタルが43.6%を占め、石綿系は3.2%にすぎない。そうすると、会社分割前にそれぞれ10%基準を超えることはあり得ないから、会社分割前各社の石綿含有窯業系サイディングが現場に到達していた事実は立証できていない。また、会社分割前から各社は無石綿化を進めており、被告ク ボタは平成7年には石綿含有窯業系サイディングの製造を終え、松下電工も平成8年には製造を終え、その後一部OEMで製造していたにすぎないから、石綿含有窯業系サイディングのシェアも極めて小さなものとなる。また、石綿含有住宅屋根用化粧スレートについても、代替建材を考慮すると、例えば昭和51年の石綿含有住宅屋根用化粧スレートのシェアは全体の5.1%にすぎ ない。 曝露可能性曝露実態については、原告らの作成し、又は、一方的に申告した内容を記載した証拠のみである上、石綿粉塵への曝露実態が明らかでないものも多く、こうした原告らについては、被告ケイミューの責任は問えない。また、被告ケイ ミューの製品には、石綿関連疾患を発生させるリスクがないから、原告らが何 らかの疾患にり患したとしても、被告ケイミューの製品とは無関係の原因により発症したといえる。特に吹付材の飛散性は突出している上、危険性の高い青石綿・茶石綿が使用されているほか、保温材や耐火被覆材、断熱材も飛散性のレベルが高いから、これら建材の影響が大きいと解される。また、喫煙も肺がんの発症に影響している。 突出している上、危険性の高い青石綿・茶石綿が使用されているほか、保温材や耐火被覆材、断熱材も飛散性のレベルが高いから、これら建材の影響が大きいと解される。また、喫煙も肺がんの発症に影響している。 個別原告についてア原告8住宅屋根用化粧スレートは、屋根職人が押し切りカッターを用いて施工するのが通常であり、大工の原告倉持が取り扱ったとはいえない。切断につき屋根材は屋根の上、サイディングは屋内でと述べるが、サイディングの大 きさ、形状等に照らすと信用できない。労災関係書類においても、被告ケイミューの製品を取り扱ったとの記載はない。 イ原告11被災者11は、建材の運搬や廃材の回収業務に従事していたところ、解体後の運搬自体は、解体行為のように多量の粉塵を発生させる場面ではなく、 粉塵曝露の可能性は軽微であるといえる。労災関連資料でも被告ケイミューの製品を取り扱ったとの記録はなく、取り扱い建材は明らかではない。被告ケイミューの製品による曝露が継続したとしても、石綿肺発症に必要となる累積曝露には寄与しえない。 ウ原告15 労災関連資料には、被告ケイミューの屋根材を取り扱ったとの記載はない。屋内で屋根を切断することは一般的ではなく、屋内で屋根を切断したことがあったと聞いたとの原告15の供述は信用性がない。 エ原告24サイディングは専門業者が取扱い、大工が取り扱うことは一般的ではな い。被災者24が、サイディングを使用する現場が3~4割であり、職人を 雇用していた際には現場作業は限定的であるとされ、労災関係資料によっても、被災者24が被告ケイミューの製品を使用したとの記載はない。 オ原告25証拠上、被災者25が、窯業系サイディングを使用したことは認められず、ナショナ 定的であるとされ、労災関係資料によっても、被災者24が被告ケイミューの製品を使用したとの記載はない。 オ原告25証拠上、被災者25が、窯業系サイディングを使用したことは認められず、ナショナル住宅に関連した昭和49年10月以降昭和60年以前は被告ク ボタでも松下電工でもない他社製品が、それ以降は現場では無石綿製品のみが導入されていた。 (被告神島化学の主張)製造建材被告神島化学の製造に係る石綿含有建材は、保温材⑦石綿含有けい酸カル シウム保温材(ダイヤライト)、耐火被覆材⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(ソニックライト等)、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種(プライシリカ、カベサイト等)及び㉟石綿含有窯業系サイディング(真打シリーズ等)の4種類であるところ、いずれも、石綿が建材に固着した非飛散性建材であり、吹付材や混和材と比較して飛散性も石綿含有率も低い。 シェア及び曝露建材となり得ないこと建材種類⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材(ダイヤライト)は、保温材(⑥~⑩)と用途が共通するから合算してそのシェアを論ずる必要があり、被告神島化学のシェアが10%を上回るとはいえない。また、石綿含有率が3%と、他の建材メーカーが製造・販売する保温材(7%を超えるものが多い。)と比 較して低いこと、専ら石油精製をはじめとする大規模工場の配管周りに敷設され、その納入先は電力会社やコンビナート等に限定されること、四国の工場でのみ生産され関東地方で使用されたことはほとんどないことからすれば、保温工である被災者らが「ダイヤライト」を取り扱ったとは考えられない。また、昭和55年以降は非石綿化している。 建材種類⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(ソニックライト等)は、吹 付材(①~③) イヤライト」を取り扱ったとは考えられない。また、昭和55年以降は非石綿化している。 建材種類⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(ソニックライト等)は、吹 付材(①~③)、⑫耐火被覆板と用途が共通しており、シェアを算定するにはこれを合算して考慮する必要があるところ、耐火被覆材全体の施工実績に占める⑪の施工実績は8.2%にすぎない。また、石綿含有率は2、3%であり、その製造期間も昭和44年から昭和51年までと、他社のものより短い。また、いずれの建材も、専ら高層ビルに用いられ、一般住宅の建築では使用されない こと、プレカットされ、現場で切断されることはないことからすると、その施工において建築作業従事者の生命・身体に危険を及ぼすほどの石綿が飛散することはない。 個別原告についての主張ア原告7(電工) 原告7は、労災申請の際に、耐火仕切板の切断作業について述べておらず(甲F7-1-2)、本人尋問では、自身が扱った間仕切板は石膏ボードであると述べている。耐火被覆材に占める被告神島化学のシェアが低いことから見て、同被告の建材種類⑪は主要曝露建材とはならない。 イ原告26(解体工) 解体工に対しては、警告義務はない。また、被災者26が、建材種類⑦や⑪を特によく扱ったという事情はなく、被告神島化学の製品の到達蓋然性は認められない。 ウ原告28(保温工)被災者28の勤務先(㈱h工業所)は被告ニチアスから受注しており、被 告神島化学の製品は使用されていない。また、同被災者が従事したプラントなどにおいて、建材種類⑨が、⑦と並んで使用されており、⑩の存在も考えると、同被告の製品の到達の高度の蓋然性は認められない。同被告の保温材は昭和54年までの製造であるから、平成4年以降に勤務した神栄 などにおいて、建材種類⑨が、⑦と並んで使用されており、⑩の存在も考えると、同被告の製品の到達の高度の蓋然性は認められない。同被告の保温材は昭和54年までの製造であるから、平成4年以降に勤務した神栄工業で使用することはない。それ以外は責任期間外か改修・解体工事に伴うもので ある。 (被告日鉄ケミカルの主張)製造建材被告日鉄ケミカルは、昭和43年4月から昭和53年3月までの間、鉄骨造建物のみに使用される②石綿含有吹付けロックウール3製品を製造・販売した(クロシドライトやアモサイトと比較し石綿関連疾患発症の可能性が著し く低いクリソタイルを含有するものであって、その含有率は4~10%、昭和50年以降は5%未満である。)。 シェア及び曝露可能性シェアについての原告らの各資料(甲C50の2、甲C45の3、甲C53、甲C34の2)に記載されている各社のシェアには「推定」と記載されており、 当該シェアの数値を推定・公表している団体によってその数値が異なっているから、信憑性・正確性を欠いている。また、原告らが主張するシェアについては被告国の規制権限の不行使が違法となる時期以前の数値やアスベストを含有していない建材の数量も含まれている。 同被告の「業務概要」(乙チ15ないし25)等の社内記録及び社内管理用 に定期発行された冊子記載のデータに基づき、代替建材やノンアス建材を考慮すると、被告日鉄ケミカルのロックウール吹付材のシェアは平均5.8%程度である(乙チ14)。 被告日鉄ケミカルの製品は、研修を受け、ロックウール吹付材の十分な施工能力を有する事業者であると同被告が認定した特約店からの注文に応じて必 要量のみを販売したものであって、一般的に建材市場に流通させたものではない。また、同被告 、ロックウール吹付材の十分な施工能力を有する事業者であると同被告が認定した特約店からの注文に応じて必 要量のみを販売したものであって、一般的に建材市場に流通させたものではない。また、同被告は、販売先である同認定特約店にのみ吹付け施工を行わせ、同認定特約店に対しては、現場での配合割合や施工上の要領、衛生管理(粉塵飛散防止のための養生囲いを行うことや防じんマスク着用の義務付け等)を定めたロックウール工業会作成の標準仕様書に基づく説明・指導を実施した から、防じんマスクを着用する吹付工はもちろん、吹付け作業中に他の作業者 が石綿粉塵に暴露することは考え難い。 個別原告についてア原告2(シャッター工)原告2は、昭和40年代途中に防火シャッターから防炎シャッターに変わったことから、改修工事の需要が多くなったと述べており(甲F2の1の 2・3頁以下)、被告日鉄ケミカルの製造期間においては、改修工事が多く、新築工事は少なかったと考えられること、就業期間と製造期間の重複期間が他社と比べて短いこと、同被告の建材種類②のシェアが5.8%であったことに照らすと、現場到達可能性は非常に低い。 イ原告4(被災者4・大工) 昭和43年に独立後は、ほとんどが内装の改修工事であり、被告日鉄ケミカルの製造期間に鉄骨造建物の新築工事に従事したかは不明であり、現場到達可能性は立証できていない。 ウ原告7(電工)従事した建物につき、聴取書等(甲F7-1-2、7-3)ではほとんど が鉄筋コンクリート造であったとしながら、供述では鉄骨造建物の割合が20%であったと変遷し、その理由も明らかではなく、同供述には信用性がない。同供述を前提としても、鉄骨造建物の割合は20%にすぎず、被告日鉄ケミカルでの製造期間、シ がら、供述では鉄骨造建物の割合が20%であったと変遷し、その理由も明らかではなく、同供述には信用性がない。同供述を前提としても、鉄骨造建物の割合は20%にすぎず、被告日鉄ケミカルでの製造期間、シェアに照らすと、現場到達可能性は非常に低い。 エ原告9(電工) 吹付材の剥離作業による石綿粉塵曝露の量は少なく、天井材や内装材の切断作業による粉塵と比べても少ないから、建材種類②は電工の主要曝露建材とはいえない。また、同被告の製造期間と重複する巴電気産業株式会社勤務時代の鉄骨造の新築建物は20%程度であるから、同被告の製造期間、シェアに照らすと同被告の吹付材により石綿粉塵曝露を受け、石綿関連疾 患を発症した可能性は非常に低い。 オ原告14(被災者14・大工)木造建築70%、鉄骨改修30%であり(甲F14-3)、鉄骨造建物の新築工事には従事しておらず、被告日鉄ケミカルの製品による石綿粉塵曝露は認められない。 カ原告16(配管工) 吹付材の剥離だけでは、石綿粉塵量も少なく、飛散性も低く、同被告製造の吹付材が使用されるのは鉄骨造建物の新築工事であるところ、かかる工事はほとんどなく(甲F16-3・2頁)、配管工が取り扱う他建材が使用される現場よりはるかに少ないから、同被告の製品は主要被ばく建材ではない。 キ原告17(ガラス工)昭和50年から平成9年までの間の現場の吹付材はほとんどが被告ニチアスの製品であったし、吹付材を剥離した際に曝露したと主張するが、窓枠は本来の吹付部分ではなく、剥離量も少量といえること、被告日鉄ケミカルの製造期間、シェアからみると同被告の吹付材が主要曝露建材であった可 能性は非常に低い。 ク原告19(被災者19・とび)鉄骨造建物への関与割合は不明であ 量といえること、被告日鉄ケミカルの製造期間、シェアからみると同被告の吹付材が主要曝露建材であった可 能性は非常に低い。 ク原告19(被災者19・とび)鉄骨造建物への関与割合は不明であり、被告日鉄ケミカルの製造期間の従事状況も不明である。被告日鉄ケミカルの作業マニュアルでは、吹付作業中にとびの職務を行うことはないから、主要曝露建材とはいえない。 ケ原告26(被災者26・解体工)解体工に対する関係では警告義務は認められない。 コ原告27(塗装工)保温材による曝露の可能性が強く、被告日鉄ケミカルの製造期間に鉄骨造建物にほとんど従事しておらず、同被告のシェア等からすれば同被告の 製品が主要曝露建材である可能性は非常に低い。 (被告積水化学の主張)製造建材被告積水化学は、建材種類㉟石綿含有住宅屋根用化粧スレート(製品名:セキスイかわら)を製造販売しているが、その他石綿含有スレートボード・フレキシブル板を含む内装材を含め1994年(平成6年)をもって無石綿化して いる。 被告積水化学の製造販売したのはいずれも外装材であるところ、屋外建設作業従事者に対する警告義務は否定される。また、原告らの主張によっても、被告積水化学の住宅屋根用化粧スレートにおけるシェアについては、最も高い時期で10%に届くか届かないかとされており、そこから無石綿製品のシ ェアを控除すると10%を下回ることは明らかである。 個別原告ア原告8原告8は、㉟住宅屋根用化粧スレートを使用していたと主張し、屋根でカラーベストの切断、貼り付けをしていたと他業者の商品名を上げ、屋根材の 形状は平板であったと供述する。セキスイかわらは日本瓦の形状を模した波型であり、カラーベストの形状とは異なるから 屋根でカラーベストの切断、貼り付けをしていたと他業者の商品名を上げ、屋根材の 形状は平板であったと供述する。セキスイかわらは日本瓦の形状を模した波型であり、カラーベストの形状とは異なるから、被告積水化学の製品は取扱製品に含まれていない。 イ原告11解体工については、ボード類が多いとして、屋根材については主要曝露建 材に含まれていない。廃材運転手も同様のはずであり、原告11の主張する主要曝露建材の選定は誤りであるし、被告積水化学の屋根材による曝露の事実は全くうかがわれない。 ウ原告15被災者15は、屋根工として、労災申請の際には、カラーベストやセメン ト瓦の施工をしたと述べ、原告15も厚型スレートとカラーベストを扱っ ていたと聞いたと供述等しているが、瓦状の屋根材であるセキスイかわらを取り扱ったとの裏付けはない。また、屋内で屋根材の切断等の作業を行ったことも認められない。 (被告大建工業の主張)建材種類㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種 建材種類㉓ケイカル板1種は、スレートボード(⑮~⑲)、⑳スラグせっこう板、㉑パルプセメント板と用途が共通しており、石綿非含有の建材も含めると用途が共通する建材はさらに増えるから、シェア計算においては、これら建材を全て分母に含んで検討する必要がある。 シェアについての資料は複数あるところ、原告らが主張する昭和49年(1 2.19%)及び昭和51年(9.41%)のシェアは、その前後の期間におけるものと比較し非常に高く、信用性が乏しい。また、原告らは、被告神島化学ないし同大建工業の昭和53年当時のシェアが18.2%である旨主張するものの、同主張の根拠となる資料(甲C53)記載の数字は、石綿セメントけい酸カルシウム板に関するものであってけい は、被告神島化学ないし同大建工業の昭和53年当時のシェアが18.2%である旨主張するものの、同主張の根拠となる資料(甲C53)記載の数字は、石綿セメントけい酸カルシウム板に関するものであってけい酸カルシウム板第1種に限定 されたものではなく、けい酸カルシウム板第2種をも含めた統計が取られている可能性が高い上、別の資料(甲C16、34等)から導かれるシェアと大きく異なるから、上記の資料(甲C53)のみをもって、被告神島化学ないし同大建工業のけい酸カルシウム板第1種のシェアが高いと断ずることはできない。さらに、大工ないし内装工に対する石綿粉塵曝露の可能性を考える場合、 スレートボード・フレキシブル板、同・平板及びけい酸カルシウム板第1種は相互に代替可能な建材であるから全体としてシェアを検討すべきところ、仮に、被告大建工業がけい酸カルシウム板第1種において18.2%のシェアを有していたとしても、スレートボードの出荷量を合算すると同被告のシェアは昭和53年では4.6%、昭和56年でも5.8%にすぎない。被告大建工 業は、石綿スレート協会には加盟していないが、加盟各社のシェアは年々上昇 しており、加盟各社のシェアは昭和56年以降は66~70%で推移しており、主要メーカともされていない非加盟業者である被告大建工業のシェアが10%を超えることはあり得ない。 建材種類㉔石綿含有ロックウール吸音天井板ア石綿粉塵飛散性 建材種類㉔石綿含有ロックウール吸音天井板は、石綿含有率が1~4%と低く、白石綿のみを使用しており、建築現場での切断等の加工が基本的には想定されない上、柔らかい建材であるため切断には丸のこではなくボードカッターを利用し(乙ト52)、切断面にやすりがけする必要がなく、取付けに当たって釘等を おり、建築現場での切断等の加工が基本的には想定されない上、柔らかい建材であるため切断には丸のこではなくボードカッターを利用し(乙ト52)、切断面にやすりがけする必要がなく、取付けに当たって釘等を利用しないから、粉塵飛散性は極めて低い。 イシェア建材種類㉔につき、被告大建工業のシェアは約25%前後であるが、天井材の一種にすぎず、化粧石こうボード、吸音ボード、インシュレーションボードなど用途を同じくする建材は多々あり、例えば昭和51年の天井材に占める㉔の割合は2.4%にすぎないから、これらもシェア計算上考慮する と、被災者がロックウール吸音天井板に接する可能性自体が限定的であり、さらに同被告が製造したロックウール吸音天井板への接触可能性はさらに限定される。石こうボードは、㉔の2.2倍以上の出荷量があり、これだけでも被告大建工業の㉔のシェアが10%に満たないこととなる。 窯業系サイディング 原告らは、ノンアス建材を除外すると、同被告のシェアが10%を超えていると主張するが、到達可能性を計算するにあたりノンアスを除外してシェアを計算することは妥当ではなく、ノンアス建材を含めるべきである。同被告のシェアは昭和61年に9.2%であったものがその後漸減しており、いずれも10%を超えているとはいえない。 以上に加え、大工である被災者14との関係においては、パルプセメント板、 吹付石綿、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライト、屋根用折板石綿断熱材、壁紙、ビニル床タイル、ビニル床シート、屋根材等による石綿暴露の影響を、その他の関係においては、吹付材に含有された石綿暴露の影響を、それぞれ無視している点で、原告らの主張は失当である。 個別原告に対する反論 ア原告1労災申請における 石綿暴露の影響を、その他の関係においては、吹付材に含有された石綿暴露の影響を、それぞれ無視している点で、原告らの主張は失当である。 個別原告に対する反論 ア原告1労災申請における復命書(甲F1の1の1)ではケイカル板やロックウール吸音天井板の使用の記載はなく、陳述書(甲F1-3)についても使用建材の主張につき変遷がある。 イ原告3(被災者3) 吹付材や解体工事における粉塵が主たる石綿粉塵曝露の原因であり、外装材も扱っており、被告大建工業の製品を使用していたとの裏付けは乏しい。 ウ原告4(被災者4)労災申請の際の聴取書(甲F4の1の2)にはケイカル板やロックウール 吸音天井板の具体的な建材名は述べられておらず、昭和43年以降は解体作業、吹付材による影響が大きい。 エ原告5陳述書(甲F5-3)においてケイカル板は被告ニチアスの製品を天井板は被告日東紡績のソーラトンとミネラートンを使用したと述べており、ま た、吹付材の影響が大きかった。 オ原告7原告7を含め、電工はいずれも、石綿粉塵作業は電気配線の際における吹付材の剥離等であると一貫して述べており、石綿粉塵曝露は吹付材の影響が大きい。労災申請における聴取書(甲F7の1の2)では天井の穴開け作 業についての記載はなく、建材種類㉔は非住宅では被告大建工業のシェア は低い。また、ケイカル板の使用についての証拠はないから、被告大建工業の製品は、原告7の現場には到達していない。 カ原告8原告8は、積水ハウスの工事に従事していたところ、積水ハウスと取引があるのは松下電工と被告クボタである。被告大建工業の昭和61年の窯業 系サイディングのシェアは4.4%にすぎず、昭和62年から平成4年にかけても10%を超え 事していたところ、積水ハウスと取引があるのは松下電工と被告クボタである。被告大建工業の昭和61年の窯業 系サイディングのシェアは4.4%にすぎず、昭和62年から平成4年にかけても10%を超えない。 キ原告9電工であり、石綿粉塵曝露は、吹付材の影響が大きい。労災申請における聴取書(甲F9の1の2)では天井の穴開け作業についての記載はなく、陳 述書(甲F9-3)にはロックウール吸音天井板の名称も、その切断、穴あけ作業についても具体的な記載はなく、天井材における同建材のシェアが低く、非住宅については被告大建工業のシェアは低く、穴あけは必ずしも電工が行うわけではない。ケイカル板使用についての原告9の供述は曖昧である。被告大建工業の製品は原告9の現場には到達していない。 ク原告10(被災者10)電工であり、石綿粉塵曝露は、吹付材の影響が大きい。労災申請における聴取書(甲F10の1の2)では天井穴あけは改修作業に限られており、しかも内装工が行うものであり、被災者10が従事した共同住宅では建材種類㉔の使用割合は低く、非住宅用では被告大建工業の製品のシェアは低い から、被告大建工業の製品は、同被災者の現場へは到達していない。 ケ原告11(被災者11)被災者11は運転手であるが、解体作業からの暴露と同視できるから、警告義務の対象外である。 コ原告12 原告12は、陳述書等において、被告大建工業の㉓や㉔を使用したと陳述 等している。このうち㉓についてはそのシェアから見て、現場到達事実は認められない。㉔については、労災申請の際の電話聴取録に記載がなく、石綿被ばく歴質問票別紙には㉔の記載があるものの、石綿石こうボードの方が先に記載されており、石綿石こうボードの使用量が多かったことが伺え られない。㉔については、労災申請の際の電話聴取録に記載がなく、石綿被ばく歴質問票別紙には㉔の記載があるものの、石綿石こうボードの方が先に記載されており、石綿石こうボードの使用量が多かったことが伺えるし、本人尋問においても被告日東紡績の製品名は述べるものの、被告大建工 業の製品名は供述していない。被告大建工業の製品を使用したとしてもインシュレーションボードであった可能性が高い。 サ原告13(被災者13)労災申請における聴取書(甲F13の1の3)ではロックウール吸音天井板の使用は記載されておらず、ケイカル板については石綿板よりも使用が 少ないから被告大建工業の製品の到達可能性はない。 シ原告14(被災者14)建材種類㉓㉔が主要曝露建材であると主張し、被災者14の兄であるJの陳述書をその根拠とするが、Jは認知症であり、その陳述書は信用できないし、「聴取書」において㉔の使用の聴取はされていない。なお、㉑石綿含 有パルプセメント板を使用したと述べており(甲F14の1の2)、同建材の影響が大きいと思われる。 ス原告20(被災者20)被災者20の作業は京浜建工企業株式会社においては解体作業である。 同被災者が使用した建材は多様であり、競合建材のシェアを考えると、被告 大建工業の製品が被災者20の現場に到達した高度の蓋然性はない。 セ原告22(被災者22)ケイカル板はスレートボードとのシェアからみて被告大建工業のシェアは10%を超えず、また、ロックウール吸音天井板が住宅に使用されることは少なく、被告大建工業の製品が被災者22の現場に到達した高度の蓋然 性はない。 ソ原告23労災申請段階の聴取書には㉔の使用については触れられておらず、同様の作業をしたと述べている証人H2の尋問 が被災者22の現場に到達した高度の蓋然 性はない。 ソ原告23労災申請段階の聴取書には㉔の使用については触れられておらず、同様の作業をしたと述べている証人H2の尋問結果では被告大建工業の㉔を使用したとの供述はされておらず、インシュレーションボードを使用している可能性もある。 タ原告24(被災者24)被災者24は、労災申請手続において、㉓ケイカル板1種や㉔ロックウール吸音天井板を使用したについて述べておらず、また、スレートボードとケイカル板1種をまとめてシェアを検討すれば、被告大建工業の㉓のシェアは10%を超えることはなく、被災者24の現場への到達事実は認められ ず、原告24やH1の供述からも同被告製造の㉔の使用の事実は認められない。 チ原告25(被災者25)被災者25の作業歴情報からはケイカル板やロックウール吸音天井板の使用は伺われず、ナショナル住宅関係で使用したとしても被告パナソニッ クの製品である。 ツ原告26(被災者26)解体作業は警告義務の範囲外である。 (被告太平洋セメントの主張)製造建材 被告太平洋セメントは、建材種類②石綿含有吹付ロックウールである「スプレーコート」を昭和46年6月から昭和53年10月まで(石綿(クリソタイル)含有率は、販売当初に15%以下、昭和50年に5%以下とし、昭和53年10月に無石綿化した。)及び③湿式石綿含有吹付材である「スプレーコートウェット」を昭和48年11月から平成元年11月まで(石綿(クリソタイ ル)含有率は、販売当初に10±2%、昭和50年に5%以下とし、平成元年 に無石綿化した。なお、昭和50年2月以降、ほとんど販売していない。)を製造・販売し、㊸混和材である「ニューコテ )含有率は、販売当初に10±2%、昭和50年に5%以下とし、平成元年 に無石綿化した。なお、昭和50年2月以降、ほとんど販売していない。)を製造・販売し、㊸混和材である「ニューコテエース」(石綿を含有しない。)を平成4年4月から平成12年5月まで仕入販売した。その他㊶石綿セメント管を製造した。なお、②石綿含有吹付ロックウールは、劣化が激しく、製造後1か月以内には使用することとされていたから、製造終了後もその在庫が 流通することはなかった。 シェア等被告太平洋セメント製造販売の吹付ロックウールについては、材料及び工事の系列化、鉄骨造の耐火建築以外には使用されないこと、代替建材の存在が考慮されていないこと、スプレーコートが無石綿化されていったこと、吹付材 の吹付との同時並行作業が行われていなかったことなど、シェア及び建設現場数を踏まえた確率計算によって建材現場到達事実を推認することが困難であるから、確率計算による建材現場到達事実の推認は認められない。また、シェアについても、原告らは同被告のシェアについて昭和52年の資料(甲C53)を基に25%であると主張するが、耐火被覆用・乾式に限定されたもので あるし、昭和52年当時には大部分が無石綿化されていたから、かかるシェアから②及び③を合算して20%のシェアを有していたとはいえず、建材現場到達事実を推認することはできない。 各建材の曝露可能性ア 「スプレーコート」及び「スプレーコートウェット」 「スプレーコート」は主として鉄骨造建物に使用され、木造建物には使用されず、鉄筋コンクリート造建物への使用はまれであって使用場所も極めて限定されていた。「スプレーコートウェット」は鉄骨造建物にのみ使用され、木造建物及び鉄筋コンクリート造建物には使用され 物には使用されず、鉄筋コンクリート造建物への使用はまれであって使用場所も極めて限定されていた。「スプレーコートウェット」は鉄骨造建物にのみ使用され、木造建物及び鉄筋コンクリート造建物には使用されない。したがって、木造建物及び鉄筋コンクリート造建物の建築作業においてこれらの建材へ の暴露の可能性はない。なお、昭和46年から平成元年までの石綿含有建材 への推定石綿使用量に占める「スプレーコート」及び「スプレーコートウェット」への合計石綿使用量の割合は0.1443%にすぎない。 被告太平洋セメントは、系列化された特定の施工業者にのみ上記建材を販売したところ、同施工業者では、防じんマスクの着用や施工後の清掃等が厳しく指導され、石綿関連疾患が発症した旨の報告はない。また、施工時に は、施工区画への立入禁止措置が執られ、他の職種による同時並行作業は行われず、施工区画外への漏出防止のための養生等十分な現場管理が行われたから、施工区画外の職工が間接暴露することもない。 「スプレーコート」が天井(上階の床の裏)に吹き付けられることはまれで、吹付け作業実施後に電工等が天井裏で作業をすることもごくまれであ る上、吹付け直後はコテ押さえにより固められ、乾燥後の吹付け材は硬化するから、少し体が当たった程度で剥離することはない。吹付け工以外の職工は、通常、吹付け作業前に器具の取付け・養生をするから、これらの者が吹付け材をかき落とすことは通常なく、仮にこれをかき落とすとしてもその量は少量であって、吹付材は湿った状態で塊のまま落下するだけであるか ら、これにより石綿が飛散することはない。床に落ちた吹付け材は、吹付け工が十分に清掃するから、吹付け作業後に作業を行う他の職種の者が間接暴露、累積暴露することもない。「スプレー だけであるか ら、これにより石綿が飛散することはない。床に落ちた吹付け材は、吹付け工が十分に清掃するから、吹付け作業後に作業を行う他の職種の者が間接暴露、累積暴露することもない。「スプレーコートウェット」は天井(前同)に吹き付けられず、吹付け作業時にはモルタル状で射出されるため粉塵が舞うこともなく、吹付け後は凝固するから、かき落とすことも、接触により 剥離脱落することもない。 解体・改修工事において、吹付け材が、経年劣化や体が当たったことが原因で剥離することはなく、施工された躯体部分は同工事の対象とならないことが多い。そして、「スプレーコート」及び「スプレーコートウェット」の各販売開始時期は前記のとおりであり、これが施工された建物の解体・改 修工事は建築後相当期間が経過してから行われると考えられることを前提 に、石綿関連疾患の潜伏期間が長期であること、昭和61年以降、安衛則・特化則の改正や各種通達により、同工事における石綿粉塵曝露防止策が執られていることをも加味すれば、同工事を考慮しても、本件被災者らの石綿関連疾患の原因が「スプレーコート」又は「スプレーコートウェット」にないことは明らかである。 イ 「ニューコテエース」被告太平洋セメントは、平成6年、信頼できる第三者機関が実施したX線回析法及び偏光顕微鏡観察による分析結果により、「ニューコテエース」が石綿を含有しないことを確認した。同被告は、日本建築仕上材工業会に同建材を石綿含有建材として報告したが、これは、同建材の製造・販売を平成1 2年に終了したため、厚生労働省が平成16年に発表した新しい分析法である微分熱量分析法による分析を行えなかったことから、建築作業従事者の安全に最大限配慮して上記報告をしたにすぎず、同報告により同建 2年に終了したため、厚生労働省が平成16年に発表した新しい分析法である微分熱量分析法による分析を行えなかったことから、建築作業従事者の安全に最大限配慮して上記報告をしたにすぎず、同報告により同建材が石綿を含有することを認めたものではない。なお、同工業会のホームページ上における「ニューコテエースの石綿含有率は71%」との表示は、アンチ ゴライト含有率として把握していた数字をそのまま石綿に置き換えたものにすぎない。 同建材は、鉄筋コンクリート造建物のコンクリート打ち継ぎ面の不陸調整のための薄塗り又はしごき塗り用のモルタルにのみ使用され(同作業後にラインサンダーや紙やすり等をかける必要はない。)、その投入量はセメ ントの2%以下にすぎず、投入後10秒ほどで水と馴染むため、粉塵は少量かつ短時間しか立たないし、練り混ぜ作業は建物外の左官小屋や屋外で行われていたから、間接暴露等のおそれもない。また、以上に加え、混和材は他社製品である「テーリング」が90%以上の圧倒的シェアを占めていたのに対し、「ニューコテエース」は1%程度にとどまっていたことを併せ考慮 すれば、仮に同建材に石綿が含まれていたとしても、本件被災者らがその石 綿粉塵に暴露した可能性は極めて低い。 鉄筋コンクリート造建物の解体・改修工事は、建築後20ないし30年以上経過してから行われるのが一般的であるところ、「ニューコテエース」の前記製造・販売期間に鑑みれば、平成24年までの間、同建材を使用した建物の解体・改修工事はほとんどなされず、同建材に起因する石綿粉塵に本件 被災者らが暴露したことはない。 ウ石綿セメント管石綿セメント管は、主に上水道管として使用される土木用資材であり、需要の大半は公需であり、その撤去作業の手順について手引き 石綿粉塵に本件 被災者らが暴露したことはない。 ウ石綿セメント管石綿セメント管は、主に上水道管として使用される土木用資材であり、需要の大半は公需であり、その撤去作業の手順について手引きが定められていた。石綿セメント管の撤去においては、接手部分で取り外すことを基本と しており、切断、破砕するなどの作業が必然的に発生することはなく、かかる工事が発生するとしても、湿潤な状態でされ、作業者は防じんマスクを使用させることとされ、破砕された石綿セメント管は密閉容器や丈夫な袋等に入れることと等とされていたから、配管工がこれら作業において石綿粉塵に曝露することはない。また、屋外作業であるし、解体・改修工事に係る ものであるから、同被告に警告義務違反が生じる余地はない。また、現場到達可能性についても、被告クボタが作成した被告太平洋セメントのシェアが10%以上との資料はあるが、その信用性は疑問であり、代替製品の存在も考慮すると、原告らの現場において石綿セメント管の使用がされたかどうかも明らかではないから、現場到達事実を推認することはできない。 個別職種に対する反論アシャッター工耐火被膜である吹付材を剥離することは違法であり、取付のための剥離も最小限とされるからその際に発生する石綿粉塵の量はわずかである。また、スプレーコートウェットはモルタルに近い仕上げとなり、そぎ落とすこ とは不可能である。 原告2の職歴、製造期間などに照らすと、同被告製品の到達可能性のある現場数は限定されており、到達事実は認められない。 イとび吹付材の施工時には同じ階で他の職人による同時並行的な作業はされず、適切な養生もされているから、吹付作業によりとびが石綿粉塵曝露を受け ることはないし、足場などに付着 められない。 イとび吹付材の施工時には同じ階で他の職人による同時並行的な作業はされず、適切な養生もされているから、吹付作業によりとびが石綿粉塵曝露を受け ることはないし、足場などに付着した吹付材やその剥離による石綿粉塵もわずかである。 被災者3同被災者の石綿関連作業は昭和61年以降であるが、スプレーコートウェットは、昭和50年以降はほとんど販売されていない。また、同被災 者の作業現場数は少なく、相当回数にわたる到達事実は認められない。 被災者19昭和47年から昭和55年10月までの作業実態については何ら立証がないに等しく、現場数の主張立証もない。 ウ大工 大工が吹付材に接する機会は極めて例外的な場面に限られ、仮に削ぎ落すとしても最小限のものであり、石綿粉塵の量もごくわずかである。 被災者4職歴、製造期間からみて、同被告の製品が到達する可能性があるのは最大で昭和50年10月から昭和53年9月30日までの36か月間に鉄 骨造建物の新築工事に従事した場合であるが、被災者4の経験した現場数は不明であり、同被災者の供述等に照らしても、この間の現場数は10. 8件程度であり、到達事実は認められない。 被災者14被災者14の供述は具体的や根拠を欠き、また、曝露建材として吹付材、 耐火被覆材も挙げていない。上記36か月中の現場数は不明である。Jの 陳述書(甲F14-3)は、同人が認知症で会話がままならない状態であった平成30年4月23日より後の令和3年6月23日であり、その内容は信用性がない。仮にその内容を前提としても、鉄骨造建物は全て改修工事である。 エ電工 耐火被膜である吹付材を剥離することは違法であり、取付のための剥離も最小限とされるからその際に発生 容は信用性がない。仮にその内容を前提としても、鉄骨造建物は全て改修工事である。 エ電工 耐火被膜である吹付材を剥離することは違法であり、取付のための剥離も最小限とされるからその際に発生する石綿粉塵の量はわずかである。また、同被告製品が天井に吹付けられることはほとんどなかったから、天井の開口に際して石綿粉塵曝露はない。 原告7 上記36か月中に原告7が従事した耐火建築物である鉄骨造建物の現場数は不明であるが、改修工事が多く、また、耐火被覆板やケイカル板2種の使用が多かった(同原告6~8頁)。 原告9上記36か月中に原告9が従事した耐火建築物である鉄骨造建物の現 場数は不明であるが、改修工事が多く、また、内装材や天井材を多く扱っていた。 被災者10建設作業に従事したのは、昭和55年4月以降であり、被告製品の製造期間中に建設作業に従事したことはない。被災者10が従事した耐火建 築物である鉄骨造建物の現場数は不明であるが、改修工事が多く、また、内装材や天井材を多く扱っていた。 オ配管工鉄骨造建物でも必ず吹付材が使用されるわけではなく、配管工事は吹付作業の前にされるのが通常である。剥離作業があるとしても、最小限である から、石綿粉塵の量はわずかである。石綿セメント管は上下水道などの土木 工事用であり、建物の建築には使用しない。上下水道管の交換は屋外作業である上、解体改修工事であり、切断作業は湿潤化された状態でされる。 原告16上記36か月間の現場は木造建物がほとんどで新築工事はその1割にすぎないから、同被告の吹付材の現場到達事実は認められない。石綿セメ ント管については昭和50年10月1日から昭和54年12月31日までの最大51か月において上水道管の新設 新築工事はその1割にすぎないから、同被告の吹付材の現場到達事実は認められない。石綿セメ ント管については昭和50年10月1日から昭和54年12月31日までの最大51か月において上水道管の新設には従事しておらず、道路工事の有無の不明であり、被告太平洋セメントの石綿セメント管の現場到達事実は認められない。 被災者18 被災者18については吹付材は主要曝露建材として主張しておらず、石綿セメント管については、上記51か月中に、被災者18が上水道管として使用される石綿セメント管の切断等に関与したことの立証はなく、同被災者が関与したとする下水道工事に石綿セメント管が使用されることはない。 原告21原告21については吹付材は主要曝露建材として主張しておらず、石綿セメント管については、同原告の供述を前提としても、上記51か月中に、同建材を使用した可能性のある14.9現場があったにすぎず、建材が石綿セメント管でなかった可能性もあるから、相当回数にわたり到達 したと認められない。 カガラス工耐火被膜である吹付材を剥離することは違法であり、取付のための剥離も最小限とされるからその際に発生する石綿粉塵の量はわずかである。また、スプレーコートウェットはモルタルに近い仕上げとなり、そぎ落とすこ とは不可能である。 原告17の供述は具体性や根拠を欠き、他の証拠による裏付けもない。また、被告ニチアスの吹付材を取り扱うゼネコンからの発注のみを受けていた。また、耐火建築物である鉄骨造建物の現場数は不明であり、相当数の解体、改修工事が含まれている。 キ解体工 改修工事や解体工事に際して新たに吹付がされることはなく、同被告に警告義務違反が認められることはない。被災者26については、建設現場 り、相当数の解体、改修工事が含まれている。 キ解体工 改修工事や解体工事に際して新たに吹付がされることはなく、同被告に警告義務違反が認められることはない。被災者26については、建設現場到達事実を認定する基礎となる現場数が一切観念できない。 ク塗装工塗装面に吹付材の吹付はなく、たまたまついた吹付材は削ぎ落しても石 綿粉塵は極少量である。原告27につき、同人の主張を前提としても、上記36か月の間に鉄骨造建物の新築工事に従事したのは最大でも年間2件程度であり、到達可能性のある現場は非常に少ない。 (被告東レACEの主張)製造建材 被告東レACEは、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種である「グラサル」シリーズ及び㉟石綿含有窯業系サイディングである「完璧」を販売した(㉓については被告東レACEは共同行為者とされていないから、㉟のみについて主張する。)。 「完璧」は、屋外で使用されるものであり、長さが3mあるため住宅内への 搬入が極めて困難であり、専ら屋外で施工されたところ、屋外での石綿切断等作業において使用される石綿含有建材に関しては、警告義務は認められず、仮に認められるとしても注意義務の発生時期は早くとも平成14年1月1日であり、「完璧」の製造期間が平成10年までであることからすれば、被告東レACEは上記注意義務を負わない。また、警告表示の困難性、解体に至るまで の時間的経過や解体作業等の実態を踏まえると、解体作業事業者に対しても 警告義務を負わない。 シェア及び現場到達事実原告らは、被告東レACEのシェアを概ね10%以上であると主張するが、ノンアス建材を含めてシェアを検討する必要があるにも関わらずこれを含めていない。 個別原告についてア原告11 原告らは、被告東レACEのシェアを概ね10%以上であると主張するが、ノンアス建材を含めてシェアを検討する必要があるにも関わらずこれを含めていない。 個別原告についてア原告11被災者11は、建材の運搬に従事したものであり、窯業系サイディングの加工に従事していない。 イ原告24 証人H1は、使用したサイディングにつき複数のメーカー名を挙げるが、被告東レACEは上がっておらず、また、サイディングは屋外で切断していたと供述している。 (被告ニチアスの主張)製造建材 被告ニチアスは、吹付材(建材種類①~③)を製造していたが、建材種類①及び②の製造は昭和49年に終了しており、その後の製造は建材種類③湿式石綿含有吹付材(トムウェット、ATM―120、ミラネックス)のみである。 そのほか、建材種類⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦けい酸カルシウム保温材、⑩石綿保温材、耐火被覆材(⑩及び⑪)、㉓けい酸カルシウム板第1種を製造 したが、建材種類⑥は昭和49年までに製造を終了した。 トムウェットは、超高層ビル等の大規模な現場において湿式工法専門の特殊な噴霧器を用いなければ施工できず、被告ニチアスが指定する少数の特定業者しか取り扱えず、施工中及び施工後も湿潤化されているためほとんど発じん性がないなどトムウェットに曝露する機会はほとんどない。 ATM-120は、トムウェットと同一素材を用いて間仕切材壁を設置す るものであり、トムウェットを使用しない現場で用いられることはほとんどない。 ミラネックスは、実際の使用は化粧塗材であり、内装材に塗り付ける方法で施工され、鉄骨や天井裏の耐火被覆のために用いられるものではないから、天井裏での作業についてはミラネックスの曝露はない。 けい ネックスは、実際の使用は化粧塗材であり、内装材に塗り付ける方法で施工され、鉄骨や天井裏の耐火被覆のために用いられるものではないから、天井裏での作業についてはミラネックスの曝露はない。 けい酸カルシウム板第1種は、厚さが5~6㎜であり、カッターにより容易に切断できる。 シェア及び現場到達可能性ア吹付材(建材種類②、③)は相互に代替可能であり、耐火被覆材(建材種類㉜~㉞)を含めてシェアを検討する必要があるところ、被告ニチアスの製 品は住宅用に用いられる割合は1割未満であるから、戸建住宅を中心とする原告らの現場への到達を推認することはできない。 イ保温材(建材種類⑥、⑦及び⑩)については、保温材(建材種類⑥、⑦、⑨及び⑩)が相互に代替性があり、シェアについてはこれを合算して検討する必要があるところ、これを認定する資料はない。 ウ建材種類⑪及び⑫については、吹付材と通算すべきであるところ、耐火被覆材の中で吹付材の示す割合は約88%であり、⑪及び⑫の施工実績はわずかであるから、現場到達蓋然性は認められない。 エ建材種類㉓けい酸カルシウム板第1種は、建材種類⑮及び⑯と代替性があり、総合してシェアを算出する必要があるところ、被告ニチアスの製品の シェアは10%を超えない上、被告ニチアスにおいてはルート販売を行っており、9割は流通経路の特性から中高層ビル等の非住宅向けに出荷されるため、戸建住宅ではほとんど使用されておらず、戸建住宅の現場に到達することは稀である。 個別原告に対する主張 ア保温工(被災者28) 被告ニチアス製造に係る保温材は、工場やプラント等の工業用のものであって、一般の建築現場で作業する保温工がこれらを取り扱うことはない。 建材種類⑥及び⑧は粉体の保温材であ 者28) 被告ニチアス製造に係る保温材は、工場やプラント等の工業用のものであって、一般の建築現場で作業する保温工がこれらを取り扱うことはない。 建材種類⑥及び⑧は粉体の保温材であるが、使用頻度は極めて低い。また、保温材は相互に代替性があり、シェアによる到達の推認は否定される。 イ電工(原告7、原告9、被災者10) 湿式石綿含有吹付材③は超高層ビル等の大規模な現場に限られ、乾式工法の施工面積の1割にも満たないから主要曝露建材とはいえず、⑪及び⑫については吹付材と通算してシェアを検討すると88%は吹付材であり、⑪及び⑫が現場到達する蓋然性は乏しい。建材種類㉓は⑮及び⑯と通算すべきであるところ、被告ニチアスの㉓はシェアが10%に満たない上、出荷 量の9割が非住宅向けである。電工である原告らに、被告ニチアスが無石綿化した以前に大規模建物の現場で勤務した事実は認められない。 ウ配管工(原告16)・ガラス工(原告17)・塗装工(原告27)吹付材については電工と、保温材については保温工と同様である。同原告らは、被告ニチアスの製品が無石綿化する前の大規模建物工事に従事した 事実はない。 エ大工・シャッター工・とび吹付材及び建材種類㉓につき電工と同様である。いずれも被告ニチアスの製品が無石綿化する前の大規模建物工事に従事した事実はない。 オ解体工 他職種についての主張と同様であるし、解体工について被告ニチアスに警告義務違反はない。 カ運転手(被災者11)建材種類㉓につき電工と同様であるし、解体後の廃材を運ぶ運転手に対しては警告義務違反はない。 キ解体工(被災者26) 吹付材、建材種類⑪、⑫、㉓については電工・保温工と同様であり、そもそも解体工事に従事す 体後の廃材を運ぶ運転手に対しては警告義務違反はない。 キ解体工(被災者26) 吹付材、建材種類⑪、⑫、㉓については電工・保温工と同様であり、そもそも解体工事に従事する解体工に対する警告義務違反は認められない。 (被告ニチハの主張)製造建材被告ニチハは、昭和49年11月から昭和56年5月までの間、木造の低層 戸建住宅の外壁として使用する㉟石綿(クリソタイル)含有窯業系サイディング(「ゴールデンモエンサイディング」、石綿含有率8%)を製造・販売した(同月以後に製造・販売した窯業系サイディングは石綿を含有しない。)。 シェア及び曝露可能性建材種類㉟に含有された石綿の量は全国の石綿製造・使用量のうちのわず かであり、石綿は建材内部に原料として固着した非飛散性のものであって、同建材を切断する際も屋外の開放空間で行われ、ごく少量の石綿が外気中に飛散するのみであることに加え、当時の窯業系サイディングの住宅外壁に占める割合は1%以下であり、被告ニチハの製造・販売に係る建材のシェアは0. 25%を超えないことをも考慮すれば、同被告による製造・販売行為は、各本 件被災者の損害発生の原因たり得る危険な行為であったとはいえない。 神奈川一陣最判でも、平成15年12月31日以前に、自らの製造販売する石綿含有建材を使用する屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識できたということはできないとの判断がされているところ、被告ニチハは、当該製品の製造を昭和56年に廃止したから、 被告ニチハに警告義務違反がないことは明らかである。 個別原告についてア原告11被告ニチハの製造期間において㉟のサイディング市場でのシェアは小さく、被災者11の就労期間内に被告ニチハ 被告ニチハに警告義務違反がないことは明らかである。 個別原告についてア原告11被告ニチハの製造期間において㉟のサイディング市場でのシェアは小さく、被災者11の就労期間内に被告ニチハ製品を含む解体作業がされる可 能性はほとんどなく、自ら切断作業等をすることはないから、㉟の取り扱い はされておらず、被告ニチハが警告義務違反を負わない。 イ原告24被告ニチハの製造期間において㉟のサイディング市場でのシェアは小さく、被災者24の作業歴情報等にもサイディングからの曝露の記載はないか、あったとしても被告ニチハの製造期間後であるから、現場到達事実は認 められない。 ウ原告25被告ニチハの製造期間において㉟のサイディング市場でのシェアは小さく、被災者25の作業は内装材が中心であり、窯業系サイディングの使用はおろか、被告ニチハの製品を使用したことを示唆する証拠もない。 (被告日東紡績の主張)他の被告の主張について、被告日東紡績に有利な主張は援用する。 製造建材被告日東紡績は、製造業者から仕入れた建材種類⑯石綿含有スレートボード・平板(昭和55年から平成13年まで)及び㉓石綿含有けい酸カルシウム 板第1種(昭和60年から平成9年まで)をそれぞれ販売した(いずれも製造はしていない。)。また、同被告は、㉙石綿含有ビニル床タイル(昭和35年から昭和62年まで)、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板(昭和43年から昭和44年まで及び昭和46年から昭和62年まで。なお、「ソーラトン」「ミネラートン」のうち「ミネラートン」は昭和45年以降無石綿建材となってい る。)、②石綿含有吹付けロックウール(昭和36年から昭和62年まで)、③湿式石綿含有吹付け材(昭和49年から昭和62年まで) トン」のうち「ミネラートン」は昭和45年以降無石綿建材となってい る。)、②石綿含有吹付けロックウール(昭和36年から昭和62年まで)、③湿式石綿含有吹付け材(昭和49年から昭和62年まで)、⑳石綿含有スラグせっこう板、㉑石綿含有パルプセメント板及び㉗石綿含有その他パネル・ボード(同3建材につき、いずれも遅くとも平成13年まで)をそれぞれ製造・販売した。 上記建材について、㉙石綿含有ビニル床タイルは、樹脂で固形化され板状に 加工されたものであって、切断には主にカッターナイフが使用されるから、他の素材と比較し粉塵は発生しない。㉔石綿含有ロックウール吸音天井板は、クリソタイルのみを使用し、主にカッターナイフで切断されるため、粉塵はほとんど発生しない。②石綿含有吹付けロックウールは、クリソタイルのみを使用し、吹付け後に「コテ押さえ」を行うことにより飛散しにくい状態となるから、 同建材に含有する石綿に暴露する危険性は低い。また、③湿式石綿含有吹付け材は、クリソタイルのみを使用した。 シェア及び現場到達事実被告日東紡績が製造・販売した建材のうち、本件被災者に到達した蓋然性が高いとして原告らが主張する建材(主要暴露建材)は、②石綿含有吹付けロッ クウールである「スプレーテックス」(耐火被覆材乾式工法、製造期間:昭和36年から昭和50年まで)及び③湿式石綿含有吹付け材である「スプレーウェット」(耐火被覆材、製造期間:昭和49年から昭和62年まで)、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板である。 建材種類②「スプレーテックス」のシェアは3.6ないし4.6%程度であ り、同被告又はその子会社であったスプレーテックス工事株式会社(昭和40年から昭和47年まで)ないし日東紡スプレー工事株式会社(同年以後 プレーテックス」のシェアは3.6ないし4.6%程度であ り、同被告又はその子会社であったスプレーテックス工事株式会社(昭和40年から昭和47年まで)ないし日東紡スプレー工事株式会社(同年以後)が認定した特定の下請業者以外の一般の吹付け業者が取り扱う可能性は低かった。 建材種類③「スプレーウェット」のシェアは高くとも0.9%程度であり、日東紡スプレー工事株式会社が認定した特定の下請業者以外の一般の吹付け業 者が取り扱う可能性が低かった上、高額かつ特殊な吹付け機械が必要で、高度の技術を持った左官工でないと施工が困難であるなどの事情があったため、ほとんど市場に流通しなかった。以上からすれば、上記の建材が本件被災者らに到達した蓋然性が高いとは到底いえない。 建材種類㉔ロックウール吸音天井板については、白石綿のみを用い、カッタ ーで切断することから粉塵はほとんど飛散せず、発じん性の最も低いレベル であるレベル3に分類されていることから、取り扱う際に多量の石綿粉塵に曝露するといえる石綿含有建材に該当しない。代替建材やノンアス建材の存在に照らすと同被告のシェアは8.5%にすぎない。 個別原告に対する主張ア原告1 建材種類㉔ロックウール吸音天井板を主要曝露建材であると主張するが、同建材は有害性、飛散性及び発じん性が低く、原告らの主張するシェアはノンアス建材の存在を考慮しておらず、毎現場使用される建材ではないことから、建材現場到達事実は認められない。聴取書・陳述書・尋問においても被告日東紡績の㉔を頻繁に使用し、曝露したという記載はない。また、同人 が行っていた解体作業に関しては、被告日東紡績に警告義務違反はない。 イ原告2、原告16、原告17、原告19、原告27建材種類②石綿含有吹付ロックウ 曝露したという記載はない。また、同人 が行っていた解体作業に関しては、被告日東紡績に警告義務違反はない。 イ原告2、原告16、原告17、原告19、原告27建材種類②石綿含有吹付ロックウール及び③湿式石綿含有吹付材はいずれも概ね10%以上のシェアを有しない。なお、解体作業については警告義務違反が認められないし、仮に責任があるとしても8~9割の減責がされ るべきである。 ウ原告4建材種類②石綿含有吹付ロックウール及び③湿式石綿含有吹付については概ね10%以上のシェアを有せず、㉔ロックウール吸音天井板についてはアと同様である。 エ原告5建材種類㉔については原告1と同様である。改修作業について警告義務違反はない。 オ原告7建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔につい ては、聴取書・陳述書・本人尋問結果においても、頻繁に使用し、曝露した ことは認められない。また、解体作業について警告義務違反はない。 カ原告9建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔については、聴取書・陳述書・本人尋問結果においても、頻繁に使用し、曝露したことは認められない。 キ原告10建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔については、聴取書・同僚の陳述書・同僚の証人尋問においても、頻繁に使用し、曝露したことは認められない。 ク原告11 建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔については、陳述書においても、頻繁に使用し、曝露したことは認められない。解体作業については警告義務違反はない。 ケ原告12建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建 材を考慮すれば現場到達事実は 使用し、曝露したことは認められない。解体作業については警告義務違反はない。 ケ原告12建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建 材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの陳述書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。 コ原告13建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔につい ては、聴取書においても、頻繁に使用し、曝露したことは認められない。解体作業について警告義務違反はない。 サ原告14建材種類②及び③はいずれも10%以上のシェアを有しない。㉔については、聴取書においても、頻繁に使用し、曝露したことは認められない。解 体作業について警告義務違反はない。 シ原告20建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの陳述書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。 ス原告22建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの陳述書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。改修作業について警告義務違反は認められない。 セ原告23建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの陳述書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。 ソ原告24建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス また、これを頻繁に使用し、曝露したとの陳述書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。 ソ原告24建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの聴取書、自己申告書の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。解体作業について警告義務違反は認められない。 タ原告25建材番号㉔については、有害性、飛散性及び発じん性が低く、ノンアス建材を考慮すれば現場到達事実は認められない。また、これを頻繁に使用し、曝露したとの作業歴情報の記載はなく、石綿含有した同被告製品を使用したとはいえない。 (被告バルカーの主張) 製造建材被告バルカーは石綿含有建材を製造・販売したことはなく、関連会社である日本リンペット工事株式会社(以下「日本リンペット工事」という。)がこれを製造し、自らの工事施工のために使用したにすぎない。国交省データベースでも、被告バルカーが製造時メーカーとして表示されることはなく(乙ユ11 ないし16)、現在のメーカー名に同被告が表示されるのは、便宜的に問い合わせ先という意味であり、トレーサビリティの観点から記載されているにすぎない。 日本リンペット工事は建材種類①吹付石綿は昭和46年まで製造し、②石綿含有吹付ロックウール(バルカロック)には昭和51年以降及び③湿式石綿 含有吹付材(バルカウェット)には昭和63年以降石綿が使用されていない。 その他⑫石綿含有耐火被覆板(リフライト)があるが、予め板状に加工出荷するから、石綿飛散の可能性は極めて少ない。 シェア及び現場到達事実原告らは、被告バルカーのシェアが、建材種類①吹付石綿について 他⑫石綿含有耐火被覆板(リフライト)があるが、予め板状に加工出荷するから、石綿飛散の可能性は極めて少ない。 シェア及び現場到達事実原告らは、被告バルカーのシェアが、建材種類①吹付石綿について23%、 ②及び③が10%、⑫石綿含有耐火被覆板が30.37%であるなどと主張するが、そもそも被告バルカーは製造しておらず、同被告のシェアの根拠として原告らが提出する証拠(甲C34の2、39、39の2、45の3、50の2、51、53等)中の記載は、明らかに事実と異なっていたり、調査の根拠やその裏付け資料等が示されていなかったりするため、信用できない。 日本リンペット工事は、製造した石綿含有建材を他の建築業者等に販売したことはないから、日本リンペット工事の従業員ないし同社の下請社員ではない本件被災者らの石綿関連疾患り患につき、同被告が責任を負うことはない。 (被告ノザワの主張) 建材種類 被告ノザワが製造した石綿含有建材は、吹付材(建材種類①・コーベックス(A)(昭和37年~昭和50年)、②石綿含有吹付ロックウール(コーベックスR(昭和45年~昭和55年))、ボード類(建材種類⑮フレキシブル板、⑯平板、㉓けい酸カルシウム板第1種)、スレート波板(建材種類㊲~㊴(ノザワ大波等))、混和剤(建材種類㊸(テーリング))である。 シェア及び現場到達事実原告らは、被告ノザワに関し、①吹付石綿、②石綿含有吹付けロックウール、⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種、⑫石綿含有耐火被覆板、⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板、⑯同・平板、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種及び㊸混和材につき、それぞれ10%を超えるシェアを有していたと 主張するが、その内容は不正確である上、合理的根拠に欠け、共同行 ・フレキシブル板、⑯同・平板、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種及び㊸混和材につき、それぞれ10%を超えるシェアを有していたと 主張するが、その内容は不正確である上、合理的根拠に欠け、共同行為者を認定するための要素にはなり得ない。 ア吹付石綿(コーベックス(A))の製造販売した時期は、昭和37年から昭和50年までであり、被告ノザワは同建材につき、警告義務を負っていない。 イ建材種類②石綿含有吹付ロックウール(コーベックスR)を昭和45年から昭和55年まで製造販売したが、この間のコーベックスRの建材種類③の湿式石綿含有吹付材と併せたシェアに関する客観的なシェア資料は、昭和46年の3.3%及び昭和52年の6.4%のみであり(甲C58、53)、これが正しいとしても、シェアは10%に及ばない断片的なものにすぎな い。 ウ建材種類⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板及び⑯同・平板のシェアは、昭和45年の16.5%から昭和51年には5.1%と11.4%減少しており、昭和50年10月1日以降にシェアが10%を超えることを示す証拠はない。 エ建材種類㉓については被告ノザワのシェアを示す資料はない。 オスレート波板(㊲~㊴)は、外壁用建材であり、被告ノザワは警告義務を負わない。ノザワ大波等のシェアについては昭和47年以降は10%を下回り、さらにシェアは減少しており、昭和50年以降シェアが10%を超えることを示す証拠はない。 カ㊸混和剤について原告らはテーリングの混和剤全体に占めるシェアに関 する客観的な証拠を提出していない。競合企業である被告太平洋セメントの従業員は、平成4年当時において被告ノザワが9割以上のシェアを有していたと認識していたと供述する(甲A2006)が、利益相反 する客観的な証拠を提出していない。競合企業である被告太平洋セメントの従業員は、平成4年当時において被告ノザワが9割以上のシェアを有していたと認識していたと供述する(甲A2006)が、利益相反関係にある同社の従業員の供述の信用性には重大な疑義がある。また、テーリングという用語が、必ずしも被告ノザワの混和剤を示すものとはいえない。 曝露可能性テーリングについて、モルタルの混合・混練作業において発生する石綿粉塵濃度は極めて低く、具体的寄与度を認め得る程度に損害の発生に寄与したとはいえず、テーリングに単独惹起力はない。令和3年8月に中外テクノス株式会社に委託して実施した測定実験においても、混合・混練作業により発生する 石綿粉塵が、現在のクリソタイルの許容濃度0.15f/㏄を超える可能性が極めて低かったことが認められている。なお、被告ノザワの製造・販売に係る「テーリング」の石綿含有率は100%ではなく13.1%である。同被告が同建材の石綿含有率を100%と表示した袋を使用したことは認めるが、労働基準監督署からの確認に基づき石綿含有率を測定したところ45%であっ たため、平成14年2月1日以後、その表示を訂正した。しかし、粗鉱から繊維質であるクリソタイルのみを採取して数える方法により計測された数値である「採掘権に関する変更施業案」記載の数値13.1%が正確であり、専門家による研究結果とも適合する。45%は原料である蛇紋岩の含有割合である。 個別原告の関係 ア塗装工下地調整としてモルタルの表面を平滑にする作業によりモルタルに含まれている混和剤の粉塵に曝露したと主張するが、そもそもモルタルに混和剤が含まれているとの立証はない。また、下地調整で削る程度でモルタル壁から大量の石綿粉塵 の表面を平滑にする作業によりモルタルに含まれている混和剤の粉塵に曝露したと主張するが、そもそもモルタルに混和剤が含まれているとの立証はない。また、下地調整で削る程度でモルタル壁から大量の石綿粉塵が発生するとはいえない。 イ電工電工は①②⑮~⑲が主要曝露建材であると主張するが、建設現場への到達は認められない。特に原告9については、吹付材の剥離やけいカル板の切断、開口作業による石綿粉塵曝露は指摘するものの、⑮~⑲による曝露の記載はない。また、吹付材の除去や天井材の切断などによる曝露を主張するが、 粉塵量につき客観的証拠はなく、単独惹起力があったとは認められない。原告7、原告9、被災者10は相当期間において解体・改修作業に従事していたが、昭和50年以前に製造した建材に関しては、解体・改修作業につき警告義務を負わない。 ウ配管工、ガラス工 吹付材が主要曝露建材であると主張するが、吹付材(①~③)の現場到達は認められず、剥離作業によりどの程度の石綿粉塵があったか客観的証拠はなく、単独惹起力があったとは認められない。原告16は改修工事が大半であり、原告17も改修工事・解体工事に従事しており、責任期間外に製造販売した建材については責任を負わない。 エ左官工左官工が混和材を使用する場合、石綿に暴露する機会があるのは、混和材と水がある程度混ざるまでの間の6~7分のみであり、1日2回程度の混練を行っても10~20分程度の短時間にすぎず、発生する粉塵も現在のクリソタイルの許容濃度0.5f/ccを超える可能性は極めて低かった から、混和材は左官工の直接取扱い建材ないし主要暴露建材ではない。原告 らの提出測定結果(乙ラ12)は信用できない。 オタイル工(被災者29)混和剤が主要曝露建 かった から、混和材は左官工の直接取扱い建材ないし主要暴露建材ではない。原告 らの提出測定結果(乙ラ12)は信用できない。 オタイル工(被災者29)混和剤が主要曝露建材であると主張するが、タイル工が下地モルタルの攪拌作業において粉塵曝露を受けるのは水がなじむまでの5分程度であり、1日複数回の攪拌を行ったとしても、曝露を受けうる時間は極めて短時間 であり、混和剤に単独惹起力はない。改修時の古いモルタルの剥離において、古いモルタルに混和剤が含まれているかは不明であり、責任期間外である以上、被告ノザワは警告義務を負わない。 カ大工建材種類①②⑮~⑲、㉓が主要曝露建材であると主張するが、いずれも現 場到達は認められない。 原告1につき、ボード類のシェアは10%に満たず、現場到達事実は認められない。他の大工についても同様である。 原告5がテーリングを使用したか否かは明らかではなく、使用したとしても混錬作業における空練りは5分程度であり、その後水を入れ本練 を行い1~2分程度で粉塵は発生しなくなるから、石綿粉塵発生濃度は極めて低い。なお、大工として関与した時期についても、被告ノザワの製品についての言及はない。 原告12は他社製品の取扱いの記憶はあるとしつつも、被告ノザワ製品を挙げていない。吹付材の剥離等による単独惹起力も否定されるし、改 修工事については警告義務を負わない。 原告23は、ジプトーン、ソーラトンなどの製品名、大建工業、日東紡績などの企業名を挙げながら、被告ノザワの企業名、製品名を挙げない。 原告8については、混和剤㊸も主要曝露建材であると主張するが、直接混和剤を扱っておらず、解体作業における下地モルタル等に混和剤が含 まれていたとの立証はなく、また、解 、製品名を挙げない。 原告8については、混和剤㊸も主要曝露建材であると主張するが、直接混和剤を扱っておらず、解体作業における下地モルタル等に混和剤が含 まれていたとの立証はなく、また、解体・改修作業については警告義務を 負わない。 被災者24についても、被告ノザワの製品を直接取り扱ったとの供述等はなく(テーリングを使用したとの供述等も混和剤一般を指し、被告ノザワの製品を意味するものとはいえない。)、その他取扱いを認める証拠はない。 キシャッター工(原告2)建材種類①~③の現場到達は認められず、主張する隔離作業によりどの程度の石綿粉塵がされたか客観的な証拠はなく、吹付材の剥離による単独惹起力も認められない。 クとび 吹付材(①~③)、ボード類(⑮~⑲、㉓)が主要曝露建材であると主張するが、同建材の現場到達事実は認められず、足場の組立及び解体作業においてどの程度の石綿粉塵曝露を受けたのか客観的証拠がなく、単独惹起力があるともいえない。また、解体工事以前に使用した建材につき、警告義務を負わない。 ケ解体工現場到達は認められないし、解体工については警告義務を負わない。 コ運転手ボード類について現場到達可能性は認められず、曝露状況について客観的証拠はなく、単独惹起力があったとはいえないし、解体工と同様に警告義 務を負わない。 (被告MMKの主張)製造建材被告MMKは、建材種類⑮~⑲フレキシブル板・平板、㉓けい酸カルシウム板1種、㊲~㊴石綿含有スレート板を製造している。 被告MMKの責任について 被告MMKに注意義務違反はなく、共同不法行為は争う。 シェア及び現場到達事実被告MMKのシェアは20%に遠く及ばず、九州1 ている。 被告MMKの責任について 被告MMKに注意義務違反はなく、共同不法行為は争う。 シェア及び現場到達事実被告MMKのシェアは20%に遠く及ばず、九州1陣訴訟控訴審判決及び神奈川2陣控訴審判決(上告受理申立てについてはいずれも最高裁で上告不受理)の基準に照らせば、被告MMKの製品が現場に到達した高度の蓋然性は 認められない。 個別原告についてア原告23(大工)職歴申請書に屋根材や外壁材の使用の記載があり(本人尋問では否定するが、信用できない。)、これらから石綿粉塵曝露について寄与度減責を行 うべきである。 イ原告8(大工)屋根材などの外装材について責任は認められない。また、同原告の現場はプレハブ住宅メーカーの積水ハウスの現場で、建材はプレカット等がされており、現場で屋根材や外装材の切断作業をするとは考えにくい。改修工事 において警告義務違反は認められない。 ウ電工(原告7、原告9)電工の業務実態に照らせば主要曝露建材は吹付材であるし、ボード類については石こうボードのシェアが圧倒的に多く、電工自身が開口作業に従事しないから、ボード類からの曝露機会は相当限定的であった。 エ左官(原告5)混和剤が主要曝露建材であり、同原告が従事したGL工事は石こうボードに関する工法であることから、取り扱ったのは石こうボードであり、建材種類㉓などの石綿含有素材であったとはいえない。元請の株式会社サンユードの建材仕入先に被告MMKの記載はなく、同原告も建材種類㉓のメー カーは被告ニチアスとのみ供述しているから、被告MMKの製品の現場到 達事実は認められない。 オとび(被災者3)足場に付着した内装材からの石綿粉塵曝露を主張するが、とび カーは被告ニチアスとのみ供述しているから、被告MMKの製品の現場到 達事実は認められない。 オとび(被災者3)足場に付着した内装材からの石綿粉塵曝露を主張するが、とびによる足場の設置・撤去は屋外でされるものであり、被告MMKの製造する内装材による石綿粉塵曝露があったとはいえない。解体作業について警告義務違反 は認められない。 (被告パナソニックの主張)製造建材原告らが主要曝露建材であると主張する被告パナソニック製造建材は、建材種類㉔石綿含有ロックウール吸音板、㉟石綿含有窯業系サイディング、㉝石 綿含有住宅屋根用化粧スレートである。 シェア及び飛散可能性ア建材種類㉔石綿含有ロックウール吸音天井板は、天井板以外の用途に使用されることはほとんどなく、化粧塗装を施しており、天井の仕上げ材として使用される。他社の天井板と同様に有害性の低い白石綿のみを含有して おり、含有率は3%である。微量の白石綿がバインダー等を用いて成形された建材の中に固着しており、飛散性は低いレベル3であり、除去作業も同様にレベル3で、発じん性が比較的低い作業とされている。廃棄については、容易に大気中に飛散しないことから、非飛散性アスベスト廃棄物に該当する。切断加工は、電動工具がいらず、カッターナイフの使用が原則であるが、 切断加工の場面が限定されるサイズであり、広く利用されるシステム天井工法では開口作業が不要であり、開口作業による石綿粉塵曝露はない。代替性のある天井板について、ロックウール石綿含有吸音天井板の住宅天井材市場におけるシェアは昭和51年で2.4%(非住宅は12%・乙ガ130:11頁・129頁)にすぎず、㉔における同被告のシェアは20%を超えな いから、天井材に示す同被告のシェアは多 住宅天井材市場におけるシェアは昭和51年で2.4%(非住宅は12%・乙ガ130:11頁・129頁)にすぎず、㉔における同被告のシェアは20%を超えな いから、天井材に示す同被告のシェアは多くとも0.48%、非住宅におい ても多くとも2.4%である。 被告パナソニックは、上記建材を昭和48年から昭和60年までの12年間に限り流通においたが、建設作業従事者に対して石綿粉塵曝露による重大な健康被害を生じさせる具体的危険性を有する行為とは評価できない。 また、白石綿のみを使用した建材を製造しており、これによる具体的な危険 の予見可能性はなかった。よって、警告義務違反、販売中止義務違反はない。 イ建材種類㉝及び㉟窯業系サイデイング及び住宅屋根用化粧スレートは、外装材であり、屋外作業により施工されるから、屋外建設現場の従業者との関係で予見可能性が否定されており、被告パナソニックの責任は否定される。外装材市場における窯業系サイディングのシェアは、19.1%~46. 7%であり、サイディング市場における被告パナソニックのシェアは6%~15%で、石綿含有製品の割合が1.27%~19.86%であることからすれば、外装材市場における㉝の割合は0.09%~0.23%にすぎない。屋根材については、被告パナソニック製の屋根材のシェアは1.22%~6.47%であり、これにはノンアス製品が含まれるから、被告パナソニ ック製の㉟のシェアはさらに低下する。 原告個別主張ア原告1労災認定段階での「経歴表」(甲F1の1の1:9頁目)を見ても、取扱い建材の中にロックウール吸音天井板の記載はない。また、原告1は、天井 はほとんどがクロス仕上げであると供述等するところ、仕上材であるロックウール吸音天井板にクロス仕上げを 目)を見ても、取扱い建材の中にロックウール吸音天井板の記載はない。また、原告1は、天井 はほとんどがクロス仕上げであると供述等するところ、仕上材であるロックウール吸音天井板にクロス仕上げをすることはないから、同原告のロックウール吸音天井板の使用機会は限定的である。 イ原告4被災者4が、住宅建築に従事したか、あるとしてその割合は明らかではな く、ロックウール吸音天井板の使用機会は明らかではない。また、競合製品 とのシェアなどに照らすと、被告パナソニック製造のロックウール吸音天井板の現場到達事実は認定できない。 ウ原告5大工として従事したうち天井板に㉔を使用した割合は9割であると述べるが、上記シェアからみて信用性に疑問がある。 エ原告12労災認定資料においても、ロックウール吸音天井板を使用したとの記載はなく(甲F12の1の1)、同人自身はロックウール吸音天井板からの暴露は想定していなかった。ロックウール吸音天井板はカッターで切断するため、粉塵は限定されており、主要暴露建材とはなり得ない。 オ原告13労災申請書類である「復命書」「聴取書」(甲F13の1の2、13の1の3)には、吹付材の影響は記載されているものの、ロックウール吸音天井板を使用したとの記述はない。また、同原告の現場ではクロス仕上げが多かったが、ロックウール吸音天井板にクロス仕上げは不要である。 カ原告14労災申請書類の「石綿関連疾患に係る調査復命書」・「聴取書」(甲F14の1の1、14の1の2)にも、ロックウール吸音天井板を使用したとの記述はなく、Jのロックウール吸音天井板を多く使ったとの陳述書(甲F14-3)は同人が認知症で会話がままならなくなった後に作成されたもの であり信用性がない ックウール吸音天井板を使用したとの記述はなく、Jのロックウール吸音天井板を多く使ったとの陳述書(甲F14-3)は同人が認知症で会話がままならなくなった後に作成されたもの であり信用性がない。 キ原告20労災申請書類には、ロックウール吸音天井板を使用したかの記載はあるものの、聴取書(甲F20の1の2)には、ロックウール吸音天井板との記載はおろか、切断加工したとの記述はない。 ク原告22 労災申請書類の聴取書(甲F22の1の2)には、ロックウール吸音天井板を使用したとの記述があるものの、他者の労災関係書類と文言が酷似しており、当該書面を基にしていることが伺われ、同書面の信用性はない。 ケ原告23陳述書にはロックウール吸音天井板を使用したとの記載はなく、労災申 請書類は使用したとの記述はあるが、建材についてほとんどわからず、組合に協力して思い出しながら記載し、自ら使用していない建材も記載されていたとして他の建材については訂正するに至っており(同原告20頁)、また、従事した木造建築については天井はほとんどがクロス貼であったとも主張しており、ロックウール吸音天井板は仕上材でクロス張りは不要であ るから、同建材を使用したとの記載も信用性がない。 コ原告8屋根でディスクグラインダーを用いて住宅屋根用化粧スレートの切断作業を行ったと述べる(同原告3頁)が、同建材には釘穴が開いており、切断を要するのは両端部などに限られ、切断は押切カッターによるのが通常で あるから、わざわざ電源を要するディスクグラインダーを屋根に上げたとする同原告の供述する作業方法は疑わしいし、窯業系サイディングをわざわざ屋内にもち込んで切断することは被告パナソニックには予見可能性がない。 サ原告15 ィスクグラインダーを屋根に上げたとする同原告の供述する作業方法は疑わしいし、窯業系サイディングをわざわざ屋内にもち込んで切断することは被告パナソニックには予見可能性がない。 サ原告15 屋根の切断は屋外で行われているところ、仮に屋内での切断があったとしても、雨天などの限定的な場合にすぎないし、そもそも屋上で計測し、屋内で切断し、屋根に上げ施工すること自体合理的ではなく、疑わしいし、そのような作業方法については被告パナソニックには予見可能性がない。 シ原告24 被災者24は、独立後は、現場以外の作業が多く、暴露の機会は多くはな かった。また、労災申請書類(甲F24の1の1)においては、ロックウール吸音天井板の使用について記述がない。 ス原告25労災申請書類(甲F25の1の1)においては、ロックウール吸音天井板の使用について記述がない。 セ原告7陳述書(甲F7の2)及び本人尋問結果(同原告8頁)には天井開口作業につき記載があるが、労災申請書類(甲F7の1の1:7頁、7の1の2:4頁)においては、天井開口作業について記載がなく、原告7が天井開口作業を行ったとの陳述等は信用性がない。仮に開口作業をしたとしても回し 引きにより行ったとのことであり(同原告8頁)、吹付材を削る際の粉塵曝露と比して曝露は少ない。 ソ原告9原告9は、共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、倉庫の建築作業現場に従事しており、ロックウール吸音天井板の天井材市場に おけるシェアやロックウール吸音天井板の特性、回し引きによる開口では粉塵曝露は少量で済むことなどに照らせば、ロックウール吸音天井板は主要暴露建材たりえない。同原告は天井開口を必ずしも行っておらず(甲F9の3:3頁)、ロッ ル吸音天井板の特性、回し引きによる開口では粉塵曝露は少量で済むことなどに照らせば、ロックウール吸音天井板は主要暴露建材たりえない。同原告は天井開口を必ずしも行っておらず(甲F9の3:3頁)、ロックウール吸音天井板については建築現場到達事実が認められるほどの使用頻度であったとはいえない。 タ原告10被災者10は、共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店の建築作業現場に従事しており、ロックウール吸音天井板の天井材市場におけるシェアやロックウール吸音天井板の特性に照らせば、ロックウール吸音天井板は主要暴露建材たりえない。就労期間と製造期間の重なりは5年程度に すぎず、労災申請書類でも吹付材の記載はあるが、ロックウール吸音天井板 の記載はなく(甲F10の1の2)、ロックウール吸音天井板については建築現場到達事実が認められるほどの使用頻度であったとはいえない。開口作業も回し引きによるものであり、粉塵はそれほど多いとはいえない。原告 解体工より運転手の方が石綿粉塵に曝露する建材が幅広いことはあり得 ないところ、解体工については、ロックウール吸音天井板を主要暴露建材から外しており、運転手について、ロックウール吸音天井板を主要暴露建材とする理由がない。また、被災者11が関与した現場の建材にロックウール吸音天井板が含まれていることを示す客観的な証拠はない。また、就業期間、製造期間からすれば、被告パナソニックが製造した建材を使用した建物が 就業期間中に解体された可能性は限定的である。 (被告ナイガイの主張)被告ナイガイの製造に係る建材被告ナイガイは、建材種類①吹付け石綿である「サーモテックスA」(製造期間は昭和44年から昭和50年まで、石綿含有率は60~70%)、②石綿 含有吹 張)被告ナイガイの製造に係る建材被告ナイガイは、建材種類①吹付け石綿である「サーモテックスA」(製造期間は昭和44年から昭和50年まで、石綿含有率は60~70%)、②石綿 含有吹付けロックウールである「サーモテックス」(石綿含有率は、昭和36年から昭和50年まで25%、昭和51年から昭和53年8月まで5%未満であり、同年9月以後は石綿を含有しない。)を製造した。 シェア及び現場到達可能性原告らは、原告7、原告9、原告16、原告27、原告4、原告14、原告 2、原告19、原告17及び原告26との関係で、被告ナイガイ製の建材種類①吹付石綿及び②石綿含有吹付ロックウールが主要曝露建材である旨主張する。しかし、被告ナイガイ製の吹付石綿のシェアは、原告らが根拠とする甲C第51号証においても10%未満であり、石綿含有吹付ロックウールについてもシェアは10%未満であり、原告らもそれを認めているから、被告ナイガ イの製品は、主要曝露建材に該当せず、同原告らとの関係で被告ナイガイが共 同不法行為責任を負うことはない。 (被告日本インシュレーションの主張)製造建材被告日本インシュレーションは、⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(昭和43年から昭和61年まで)、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材(昭和3 5年から昭和54年まで)及び⑭煙突用石綿断熱材(昭和53年から平成2年まで)を、それぞれ製造・販売した。なお、我が国における石綿含有建材の石綿使用量全体に対する同被告の石綿使用量の割合は、多くとも0.14%にとどまる。 ア建材種類⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(「タイカライト1号」、 「同2号」)被告日本インシュレーションの、鉄骨用耐火構造用材料全体におけるけい酸カルシウム板 4%にとどまる。 ア建材種類⑪石綿含有けい酸カルシウム板第2種(「タイカライト1号」、 「同2号」)被告日本インシュレーションの、鉄骨用耐火構造用材料全体におけるけい酸カルシウム板第2種のシェアは約3%であったところ、「タイカライト1号」、「同2号」の石綿含有率は多くとも7%であり、主として鉄骨造建物の柱・はりの耐火構造用材料として使用され、「広い面積での壁、天井」 には使用されない。同建材は、けい酸カルシウムの中に補強繊維として石綿を配合し、板状にプレス成型したものであって、自然に崩れることはないから粉塵が発生・飛散する可能性はなく、また、工場においてプレカット加工されたことから施工現場において加工する機会は極めて少なく、加工を要するとしても手のこで切断する程度であるから、石綿が飛散する可能性は 極めて低い。 イ建材種類⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材(「ベストライト」、「エックスライト」、「ダイパライト」、「インヒビライト」)上記建材は、石油コンビナート、発電所等のプラントの配管(ボイラー室等を除き屋外)及び製鉄所等の加熱炉(屋内)の保温材としてのみ使用され、 ビルや一般住宅等での建築設備配管の保温工事には使用されない。 けい酸カルシウムの中に補強繊維として石綿を配合し、配管を覆うカバー状(配管部分用に配管の径に合わせた金型で成形した曲面状の製品)又は板状に固めたものであり、自然に崩れることはないから粉塵が発生・飛散する可能性はなく、また、配管支持部が貫通するように手のこ等で穴を空けたり、プラント曲がり部への施工のため手のこで切断したり、鋼板製の炉外壁 に取り付けられたおさえ金物が通る部分を手のこで切除したりする場合等を除き、施工現場での加工はされないから、これに を空けたり、プラント曲がり部への施工のため手のこで切断したり、鋼板製の炉外壁 に取り付けられたおさえ金物が通る部分を手のこで切除したりする場合等を除き、施工現場での加工はされないから、これにより粉塵が発生・飛散することはない。 ウ建材種類⑭煙突用石綿断熱材(「ハイスタック」)同建材の石綿含有率は4.3ないし8.4%であり、ボイラー、発電機を 有するビル(病院、ホテル、事務所ビル)の煙突に利用され、戸建住宅には使用されない。けい酸カルシウムの中に補強繊維として石綿を配合して筒状にプレス成形して固めたものであり、自然に崩れることはないから粉塵が発生・飛散する可能性がなく、また、あらかじめ工場において鋼材と組み合わせた煙突ユニットとして加工され、施工現場では同煙突ユニットを所 定の場所に固定するだけであって、煙突1本当たり1箇所の点検口・煙道の施工の際に障害となる断熱材を手のこで切り取る際を除き、粉塵が発生・飛散することはない。 シェア及び現場到達事実ア保温材 原告らは、被告日本インシュレーションの製造・販売に係る⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材は、シェアが18.9%~19.8%であって、直接取扱い建材ないし主要暴露建材に該当する旨主張する。 しかし、同保温材は、300ないし1000度にも達する高温への耐熱性を有するものであって、石油コンビナートや発電所、製鉄所等の特殊な建物 の配管等に使用され、工場一般やビル、一般住宅等に使用されない上、その 石綿含有率は低く(4.6ないし10%)、施工の際の粉塵の飛散性は低い。 さらに、保温材には、⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑨石綿含有パーライト保温材、⑩石綿保温材、 %)、施工の際の粉塵の飛散性は低い。 さらに、保温材には、⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑨石綿含有パーライト保温材、⑩石綿保温材、石綿布団等のほか、グラスウールやロックウールを使用した保温材(けい酸カルシウム保温材に比べコストが安く低温域にお いて汎用性が高い。)があり、多数のメーカーが様々な建材を製造・販売したことや、保温材全体に占める被告日本インシュレーションのシェアが極めて小さいこと(昭和52年当時、0.838%)、被告日本インシュレーションの製品の石綿含有率が低く、成形品であって切断・加工が不要であって粉塵の飛散性が低いことからすれば、本件被災者との関係において、同被 告の製造・販売に係る⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材が直接取扱い建材ないし主要暴露建材に該当するとはいえない。 イ建材種類⑪については、主として鉄骨造に使用されるが、耐火構造材料としては石綿板、石綿吹き付け、石綿含有ロックウール吹付などがあり、鉄骨用耐火構造用材料全体における被告製品の市場シェアは3%程度である。 よって、同建材が原告らの直接取扱い建材ないし主要曝露建材に該当するとはいえない。 原告28の主張に対して被災者28は、被告日本インシュレーションの製品を使用したと主張し、その旨の陳述をするが、その時期は明らかではない。同被告の製品は昭和54年 以降は無石綿化しているところ、昭和36年から平成3年まで勤務していたh工業所では、被告ニチアスからの仕事を受けてプラント設備の保温作業を行っていたのであるから(甲F28の3)、当該保温材は基本的には被告ニチアスの製品であったとしか考えられず、被災者28は、ニチアスの建材を使うことが多かったが、発注が間に合わないとき 備の保温作業を行っていたのであるから(甲F28の3)、当該保温材は基本的には被告ニチアスの製品であったとしか考えられず、被災者28は、ニチアスの建材を使うことが多かったが、発注が間に合わないときは朝日石綿の建材を使うことが あったとしており、被告日本インシュレーションの製品を使ったことの裏付 けはない。 (被告リソルの主張)被告リソルは、昭和6年2月27日、イタリア共和国エタニット社からエタニットパイプ(石綿セメント管)及びその附属品に係る製造特許、日本領域販売権を譲り受け、日本エタニットパイプ株式会社(以下「エタニットパイプ社」 という。)として設立され、その後、被告太平洋セメントが実質的な経営支配をし、昭和58年までに製造工場を閉鎖し、昭和62年にはミサワグループに入り、サービス業に業務転換をし、平成17年には三井不動産グループに入り、現社名に変更した。 製造建材 エタニットパイプ社は、昭和58年まで㊶石綿セメント管を製造した。 シェア及び現場到達事実エタニットパイプ社が製造販売していた石綿セメント管は、主として上水道、簡易水道、農業用水用の導水管・送水管であり、需要の80%以上が官公需であった。建物内での汚水管、雑排水管及び通気管は石綿セメント円筒(ト ミジ管)である(国交省データーベースで石綿セメント管が「給排水管」「戸建住宅」とされたことは誤りである。)。石綿セメント管の取り扱いは専ら屋外作業であるし、いずれも企画化され、専用の接手によって接合・分離されることが想定され、それを使用する作業従事者において切断等を行うことは想定されていない。そして、原告らが主張するような戸建建物に使用されたこと はないから、作業現場に到達した事実はない。 個別原告についての主 れを使用する作業従事者において切断等を行うことは想定されていない。そして、原告らが主張するような戸建建物に使用されたこと はないから、作業現場に到達した事実はない。 個別原告についての主張ア原告16石綿粉塵の曝露したことは否認する。原告16が石綿粉塵に曝露した客観的な証拠はなく、自身も石綿含有建材を使用していたとは供述していな いし、石綿肺にり患した客観的所見はない。木造建物の改修工事の際の通気 管に石綿セメント管が使用されていたことはなく、主要曝露建材が石綿セメント管であるともいえない。また、改修工事に伴う工事であり、警告義務はない。 イ原告18石綿セメント管は、上水道、農業用水用の導管・送水管であり、専ら屋外 で土中埋設されていたものであり、被災者18が取り扱ったと述べるような下水道管や戸建住宅の通気管用の製品を製造販売したことはない。曝露建材となるとしても、他の建材による影響が大きいから、寄与度減責がされるべきである。 ウ原告21 石綿セメント管を既設管の途中で切断して交換することはなく、接手部分で取り外し、製品ごと丸々交換することが通常であり、石綿曝露はしない。 石綿粉塵への大量曝露を示す医学的所見もなく、現場到達可能性の立証がない。また、当時の法令に違反する切断行為を行っていたのであれば、被告リソルの行為との間に相当因果関係もない。原告21は屋内作業も行って おり、それによる石綿曝露が想定されるから、寄与度減責がされるべきである。 第7 本件被災者の石綿関連疾患へのり患の有無(争点6) 1 原告16関係(原告16の主張) 原告16は、石綿肺(管理2相当)にり患し、続発性気管支炎を合併している。 医療法人社団NAOS御成門内科クリニックK医師は へのり患の有無(争点6) 1 原告16関係(原告16の主張) 原告16は、石綿肺(管理2相当)にり患し、続発性気管支炎を合併している。 医療法人社団NAOS御成門内科クリニックK医師は、令和6年11月1日付けの診断書において、病名を「石綿肺を含むその他の塵肺」としている(甲F16-8)。 (被告企業らの主張) 原告16の令和4年12月時点の胸部X線写真等からも下肺野に不整形陰影 は認められず、石綿肺を示唆する所見はないのであり、原告16が、石綿肺にり患した事実は認められないから、被告企業らは、原告16に対し、何らの責任も負わない。 2 原告27関係(原告27の主張) 原告27については、石綿粉塵曝露により石綿肺にり患した。 (被告A&AMの主張)原告27に石綿肺の所見はなく、石綿曝露との相当因果関係はない。 第8 石綿関連疾患への被告企業らが製造した石綿含有建材の寄与度(争点7)(原告らの主張) 1 神奈川1陣最判は、被災者らの石綿関連疾患のり患が被告らの製造販売した石綿含有建材のみによって発生したものではないときは、建材メーカーらは、損害の発生に対する寄与度に応じた範囲で損害賠償責任を負うとする。 2 被告企業らの寄与度を判断するためには、主要曝露建材による石綿粉塵曝露量の割合の他に、本件における損害の性質、被告企業らの行為の危険性、被告企 業らの過失の性質ないし内容と悪質性、被告企業らの主観的要素を考慮することが重要である。被告企業らによる有責の寄与の他に、損害の発生に対する寄与として考えられるのは、被告企業らの責任期間以前の期間に基づくもの(縦の寄与)と、責任期間内における被告企業らの責任建材以外の建材に基づくもの(横の寄与)である。 3 縦の寄 に対する寄与として考えられるのは、被告企業らの責任期間以前の期間に基づくもの(縦の寄与)と、責任期間内における被告企業らの責任建材以外の建材に基づくもの(横の寄与)である。 3 縦の寄与については、被告企業らの責任建材の製造販売期間と被災者の就労期間からして、石綿関連疾患の発症に十分といえる関係にあれば、全損害の発生との間に相当因果関係があるといえるから、責任期間外の就労があるからといって減責を認めるべきではない。責任期間以前の行為の損害に対する寄与を理由として賠償額を減額することは、加害者と被害者の損害の公平な分配という 不法行為の趣旨に反する。仮に、これを考慮するとしても、責任期間以降の方が それ以前と比べて電動工具が普及し、石綿粉塵の発生量が増加したといった事情も考慮する必要があり、単純に年数を比較すべきではない。 横の寄与については、これを否定するものではないが、民法719条1項後段類推適用の趣旨が被害者保護にあることなどからすれば、寄与度減責の立証責任は被告企業らが負うべきである。 なお、製造期間と就労期間の重複期間が、少なくとも国の統一和解基準が定める以上の期間が認められる場合には、上記基準による寄与度に応じた責任につきその全部を負うべきである。 4 被告企業らの責任は、建材という製品の製造販売業者がその建材を使用する建築作業従事者に対して負うべき注意義務に違反した責任であり、本件被災者 に対して直接的かつ第一次的に負う責任であるから、被告国による法令の規制の有無やその内容にかかわらず、製品の使用者に対して注意義務を負っており、被告国に責任があることを理由とする被告企業らの責任を限定することは許されない。被災者を雇用する事業者その他責任を負うべき者が存在すること、間接曝露か ず、製品の使用者に対して注意義務を負っており、被告国に責任があることを理由とする被告企業らの責任を限定することは許されない。被災者を雇用する事業者その他責任を負うべき者が存在すること、間接曝露か直接曝露かによって、被告企業らが減責されることはない。 (被告らの主張) 1 建設アスベストによる被害は、石綿含有建材を製造販売した被告らのみに責任があるものではなく、建設事業者、被告国、被告企業ら以外の建材メーカー等にも責任があるから、この点は考慮する必要がある。 2 各被災者について、被告らの責任期間よりも以前に石綿粉塵に暴露している 場合や、被告らが責任を負わない解体作業等により石綿粉塵に暴露している場合がある。この場合には、被告らの寄与割合を減少させるべきである。 3 各被告らの責任期間と、各被災者の石綿粉塵曝露期間が重なり合う期間があるとしても、その期間が短い場合には、被告らの寄与割合を減少させるべきである。 (被告AGC及び被告旭トステムの主張) 原告24被災者24は、15歳から70歳まで1日15本の喫煙者であるから、疾病り患には喫煙歴も影響したと考えられる。 (被告A&AMの主張) 1 被告A&AMの石綿含有建材が被災者に到達した事実が認められる場合であ っても、寄与度減責に当たっては、被告国に責任があること、二次加工メーカー、プレハブメーカー及び住宅機器メーカーの警告義務違反が競合している点を考慮すると基本的寄与割合は多くとも3分の1を超えるものではない。さらに、被告企業ら以外の石綿粉塵曝露の寄与、前期間修正、責任期間修正を考慮する必要がある。個別原告らについては以下のとおりである。その他、被告A&AMの主 張と抵触しない限り、被告ニチアスの主張を援用する。 2 個 綿粉塵曝露の寄与、前期間修正、責任期間修正を考慮する必要がある。個別原告らについては以下のとおりである。その他、被告A&AMの主 張と抵触しない限り、被告ニチアスの主張を援用する。 2 個別原告について原告1責任期間前の暴露が10年以上あり、被告A&AM以外の建材による暴露や解体作業での暴露があり、寄与度減責において考慮される必要がある他、肺 がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要がある。 原告4責任期間前の暴露が10年以上あり、被告A&AM以外の建材による暴露や解体作業での暴露があり、寄与度減責において考慮される必要がある他、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要がある。 原告5内装工として取り扱ったのは石膏ボードや他被告企業の製品であり、左官工としても、被告A&AMの製品以外の石綿に曝露し、また、被告A&AMが警告義務を負わない解体ボードからの暴露もあるから、責任があるとしとしても、寄与度減責において考慮されるべきであるし、肺がんで喫煙歴もあるか ら1割の損害減額がされる必要がある。 原告8被告A&AMの製品ではない断熱材、屋根材、外装材の石綿や被告A&AMが警告義務を負わない解体建材の石綿に暴露しており、責任があるとしても寄与度減責において考慮される必要があり、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要がある。 原告12責任期間外の暴露があり、昭和45年以降は被告A&AMの製品外からの暴露であり、被告A&AMは責任を負わない。 原告13責任期間前の暴露が10年以上あり、その暴露も被告A&AM以外の製品 または被告A&AMが警告義務を負わない製品によるものであるから、責任があるとしても寄与度減責において い。 原告13責任期間前の暴露が10年以上あり、その暴露も被告A&AM以外の製品 または被告A&AMが警告義務を負わない製品によるものであるから、責任があるとしても寄与度減責において考慮される必要があり、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要がある。 原告14責任期間前の暴露が10年以上あり、被告A&AMが警告義務を負わない 解体作業での暴露があるから、寄与度減責される必要がある。 原告20責任期間前の昭和43年10月から暴露があるほか、被告A&AMが警告義務を負わない解体・改修作業での暴露があり、寄与度減責において考慮される必要があるほか、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要 がある。 原告23責任期間前の暴露が10年以上あるから寄与度減責において考慮される必要があるほか、肺がんで喫煙歴があるから1割の損害減額がされるべきである。 原告24 被告A&AMの製品は到達しておらず、責任期間前の暴露が10年以上あるほか、被告A&AMが警告義務を負わない解体作業での暴露があるから、責任があるとしても寄与度減責が考慮される必要があり、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされるべきである。 原告25 責任期間前の暴露が10年以上あり、外装材からの暴露もあるから寄与度減責において考慮する必要があり、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされる必要がある。 原告2シャッター工は屋外作業が多く、短期間・少量の石綿曝露でも発症する危険 がある中皮腫であり、自動車整備工としての石綿暴露作業もあるから、寄与度減責されるべきである。 とびについては責任がないが、被災者19は肺がんで喫煙歴があるから1割の損害減額がされるべき がある中皮腫であり、自動車整備工としての石綿暴露作業もあるから、寄与度減責されるべきである。 とびについては責任がないが、被災者19は肺がんで喫煙歴があるから1割の損害減額がされるべきである。 原告7 肺がんで喫煙歴があるから1割の損害減額がされるべきである原告9責任期間前の暴露が10年以上あり、寄与度減責がされるべきである。 原告10肺がんで喫煙歴があるから、1割の損害減額がされるべきである。 原告11被告A&AMの石綿含有建材は、切断、加工をしない限り、石綿を飛散させることはなく、運搬者に対して健康被害を生じさせるものではなく、実効性のある警告をすることも物理的に不可能であり、責任はないし、肺がんで喫煙歴があるから1割の損害減額がされるべきである。 原告16 石綿肺の確定診断はなく、被告A&AMの配管、保温材が到達した事実はなく、責任があったとしても寄与度減責がされるべきである。 原告18被告A&AMの耐火二層管は到達しておらず、工場プラントでの勤務もないから保温材の到達の事実もなく、責任期間前の暴露が10年以上あるから、 責任があるとしても寄与度減責がされるべきである。 原告21被告A&AMの耐火二層管は到達していない。 原告17吹付材の暴露の他、改修解体工事での暴露もあるから、寄与度減責がされる べきであるし、肺がんで喫煙歴もあるから1割の損害減額がされるべきである。 原告27原告27に石綿肺の所見はなく、石綿曝露との相当因果関係はない。 原告28 被告ニチアス等を元請とする工事で石綿曝露したものであり、被告A&AM製造の保温材の到達はない。 (被告クボタの主張)原告16について労災関連書 相当因果関係はない。 原告28 被告ニチアス等を元請とする工事で石綿曝露したものであり、被告A&AM製造の保温材の到達はない。 (被告クボタの主張)原告16について労災関連書類上は「じん肺」の記載しかなく、石綿起因性については「アスベ スト関与の可能性」程度であり、石綿肺との確定診断はなく、海老原医師からも石綿肺診断を受けていない。また、水道用石綿セメント管を扱っていたとは考えられず、その供述する扱い期間も責任期間以前である。 (被告ケイミューの主張) 1 被告ケイミューの製造建材とは無関係の他社の建材による石綿粉塵曝露の可 能性が大きいとともに、原告8、被災者15、被災者24、被災者14にはいず れも重度の喫煙歴がある。 2 その他個別原告についての主張原告8住宅屋根用化粧スレートは、屋根職人が押し切りカッターを用いて施工するのが通常であり、大工の原告8が取り扱ったとはいえない。また、切断は屋 根の上と述べたり、屋内でと述べたりするが、屋根材の形状等から見て信用できない。むしろ、断熱材や喫煙が影響しているものと推認される。 原告11解体現場における作業であり、被告ケイミューの警告義務は認められないし、解体後の運搬であれば、粉塵曝露の可能性は軽微であるといえる。労災関 連資料でも被告ケイミューの製品を取り扱ったとの記録はなく、取り扱い建材は明らかではない。 原告15労災関連資料には、被告ケイミューの屋根材を取り扱ったとの記載はないし、屋根材が外装材である以上、被告ケイミューに警告義務はない。屋内で屋 根を切断することは一般的ではなく、屋内で屋根を切断したことがあったと聞いたとの原告15の供述は信用性がない。また、被災者15には喫煙歴がある。 被告ケイミューに警告義務はない。屋内で屋 根を切断することは一般的ではなく、屋内で屋根を切断したことがあったと聞いたとの原告15の供述は信用性がない。また、被災者15には喫煙歴がある。 原告24サイディングは専門業者が取扱い、大工が取り扱うことは一般的ではなく、 また屋外での加工である。また、サイディングを使用する現場が3~4割であり、職人を雇用していた際には現場作業は限定的であるとされ、労災関係資料によっても、被災者24が被告ケイミューの製品を使用したとの記載はない。 また、被災者24には喫煙歴がある。 原告25 証拠上、窯業系サイディングを使用したことは認められず、ナショナル住宅 に関連した昭和49年10月以降については、昭和60年以前は他社製品が、それ以降は現場では無石綿製品のみが導入されていた。また、被災者25には喫煙歴がある。 (被告太平洋セメントの主張)寄与度の検討に当たっては、国及び元請建設事業者等の責任が存在すること、 他の原因建材、責任期間外曝露の存在、吹付石綿の影響が圧倒的に大きいこと、解体等の責任外作業からの曝露、喫煙歴による減額などに照らし、相当程度減額されるべきである。同被告の責任は、6%(1/3×18/100)を超えることはない。 (被告東レACEの主張) 1 原告8肺がんにり患しており、自認するだけでも25年間、1日20本の喫煙をしており、かかる喫煙が肺がんの発生に寄与したことは明らかである。 2 原告11被災者11は肺がんにり患したが、26年間1日40本の喫煙をしており、か かる喫煙が肺がんの発生に寄与したことは明らかである。 3 原告24被災者24は肺がんにり患したが、15歳から70歳まで1日15本の喫煙をしており、 6年間1日40本の喫煙をしており、か かる喫煙が肺がんの発生に寄与したことは明らかである。 3 原告24被災者24は肺がんにり患したが、15歳から70歳まで1日15本の喫煙をしており、かかる喫煙が肺がん発生に寄与したことは明らかである。 4 原告25 被災者25は肺がんにり患したが、昭和30年から平成27年まで1日約20本の喫煙をしており、かかる喫煙が肺がん発生に寄与したことは明らかである。 (被告ニチアスの主張) 1 寄与度を決めるにあたって、石綿粉塵曝露については、基本的には、曝露量全 体のうちの加害企業の製造建材からの曝露量の割合により決めるべきである。 そして、期間減額、責任期間前減額、被告国その他の事業者との関係を理由とする寄与度減責、他の粉塵曝露、喫煙などを考慮する必要がある。 2 肺がんにり患した者であって喫煙歴が存する者については、喫煙により肺がんにり患するリスクが著しく高まるという医学的知見が確立していることから、喫煙の程度に応じて、石綿粉塵曝露と肺がん発症との因果関係の否定又は損害 減額がされるべきである。一律に1割の減額に留めるのは相当ではなく、ブリンクマン指数を用いて少なくとも5割以上の減額がされるべきであり、喫煙による相対リスクが概ね10倍以上となる扁平上皮癌のブリンクマン指数800以上、小細胞がんの1200以上の場合には因果関係を否定すべきである。 3 個別の原告について 原告7原告7は労災段階では喫煙数を低く供述していたが、療養段階では15歳から68歳まで53年間1日40本の喫煙を申告している稀に見る重喫煙者であり、肺がん発症には喫煙に起因するCOPDが強く影響していたから、身体的素因の斟酌及び寄与度減責として少なくとも5割の減額は免れない 8歳まで53年間1日40本の喫煙を申告している稀に見る重喫煙者であり、肺がん発症には喫煙に起因するCOPDが強く影響していたから、身体的素因の斟酌及び寄与度減責として少なくとも5割の減額は免れない。 被災者10被災者10は、労災段階では喫煙数を過少申告していたが、実際は13歳から48歳まで1日30本程度喫煙しており、肺がん発症にはCOPD、気腫性肺嚢胞が強く影響していたから、少なくとも5割の減額を免れない。 被災者19 被災者19は、1日50本53年間の喫煙であり、肺がん発症には喫煙に起因するCOPDが強く影響していたから、身体的素因の斟酌及び寄与度減責として少なくとも5割の減額は免れない。 被災者24被災者24は、20歳から71歳まで52年間毎日20本を喫煙しており、 肺がん発症には喫煙に起因するCOPDが強く影響していたから、身体的素 因の斟酌及び寄与度減責として少なくとも5割の減額は免れない。 (被告ノザワの主張) 1 原告5他の石綿含有建材からの曝露、責任期間前の曝露が7年以上に及ぶこと、20歳~64歳まで44年間少なくとも1日12本もの喫煙歴があるから、喫煙に よる減額は5割を下らない。 2 原告23他の石綿含有建材からの曝露、責任期間前の曝露が11年以上に及ぶこと、改修工事に従事していたこと、20歳~66歳まで44年間少なくとも1日25本もの喫煙歴があるから、喫煙による減額は5割を下らない。 3 原告8他の石綿含有建材からの曝露があり、被告ノザワの製造建材からの曝露は少ないことからすれば、寄与度は損害額の3分の1を超えない。 4 原告24他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく 建材からの曝露は少ないことからすれば、寄与度は損害額の3分の1を超えない。 4 原告24他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、18歳から60歳まで42年もの間少なくとも1日12本の喫煙歴があることからすれば、喫煙による減額は5割を下らない。 5 原告16他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が5年以上あり、その寄与度は5割を超えることはなく、改修工事に従事しており、その点寄与度を減額すべきである。 6 原告2他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が6年以上あり、その寄与度は 5割を超えることはなく、改修工事に従事しており、その点寄与度を減額すべきである。 7 原告17他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が5年以上あり、その寄与度は 5割を超えることはなく、18歳から65歳までの約47年間1日15~20本もの喫煙歴がありその減額は5割を下らない。 8 原告1他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、その寄与度 は5割を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要であり、25歳から61歳までの約36年間週に1箱ないし2箱の喫煙歴がありその減額は5割を下らない。 9 原告12他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 減責が必要であり、25歳から61歳までの約36年間週に1箱ないし2箱の喫煙歴がありその減額は5割を下らない。 9 原告12他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、その寄与度は5割を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要である。 10 原告7他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が5年以上あり、その寄与度は5割を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要であり、18歳から66、7歳までの間1日半箱から1箱の喫煙歴がありその減額は5割を下らない。 11 原告9 他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、その寄与度は5割を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要である。 12 原告10他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が5年以上あり、その寄与度は5割を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要であり、20歳から48歳までの約28年間少なくとも1日1箱の喫煙歴がありその減額は5割を下らない。 13 原告29 他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、その寄与度は5割を超えることはない。 14 原告3他の石綿含有建材からの曝露があることからすれ とからすれば、被告ノザワの寄与度は3分の1を超えることはなく、責任期間前の曝露が10年以上あり、その寄与度は5割を超えることはない。 14 原告3他の石綿含有建材からの曝露があることからすれば、被告ノザワの寄与度は 3分の1を超えることはなく、解体・改修工事に従事したことによる寄与度減責が必要である。 (被告日東紡績の主張)他の共同不法行為者の存在(基本的寄与割合)、責任期間前の曝露期間(前期間修正)、製造期間と就業期間の重なりの期間の長短(製造期間修正)についてそれ ぞれ寄与分減責を認めると、少なくとも2/3~4/5の減責が、解体・改修作業に関してはさらに解体・改修時の粉塵量の多さに鑑みて、8~9割の減責が認められるべきである。さらに、肺がんで喫煙歴がある場合には、少なくとも5割の減額が認められるべきである。 (被告リソルの主張) 1 原告16 石綿セメント管以外の吹付材、石綿セメント円筒などによる曝露がほとんどであるから大幅に寄与度減責される。 2 原告18海上自衛隊・米軍基地におけるボイラーの耐火材である石綿布の補修作業の際に多量の石綿粉塵曝露を受けるなど、石綿セメント管以外に寄与度の高い主 要曝露建材があった。 3 原告21被告クボタ製品を扱ったことは供述するが、被告リソルの製品を取り扱ったとの供述はない。石綿セメント管を既設管の途中で切断して交換することはなく、接手部分で取り外し、製品ごと丸々交換することが通常であり、石綿曝露は しない。また、当時の法令に違反する切断行為を行っていたのであれば、被告リソルの行為との間に相当因果関係もない。原告山田は屋内作業も行っており、それによる石綿曝露が想定されるから、寄与度減責がされるべきである。 第9 原告らの損 る切断行為を行っていたのであれば、被告リソルの行為との間に相当因果関係もない。原告山田は屋内作業も行っており、それによる石綿曝露が想定されるから、寄与度減責がされるべきである。 第9 原告らの損害(争点8)(原告らの主張) 1 被災者らは、第6共同不法行為の成否(争点5)の(原告らの主張)3アないしスのとおり石綿粉塵曝露作業に従事し、これにより別紙4【請求対象被告及び請求金額一覧表】の各「石綿関連疾患名」欄記載の疾病にり患して、同「発症日」欄の日にその診断を受け、療養を開始した。また、被災者らのうち、同「死亡日」欄に年月日の記載がある被災者は、同欄記載の日に、同疾病により死亡し た。このことは、労災認定から明らかである。 これによる身体的・精神的被害等を回復するための慰謝料は3500万円を下らず、弁護士費用は350万円が相当である。慰謝料は加害行為により生じた全人間的破壊による損害を総体として包括的に捉えた「包括請求」及び多数の被害者の請求に差を設けない「一律請求」を併せた「包括一律請求」によることが 相当である。各被災者の損害は共通性と均質性を持っており、個人的事情を斟酌 することなく、被害の共通部分に着目し、多数の被災者の損害額を一律化することは、公平の観点からも合理性がある。予後の極めて悪い石綿関連疾患にり患した場合、死亡に至らずともこれと同視できる被害があると解すべきであり、死亡した被災者と生存している被災者との間の基準慰謝料額、石綿肺患者の管理区分による慰謝料額に差異を設けるべきではない。さらに、石綿が建築作業従事者 に重篤な健康被害をもらたすことを知りながら、石綿含有建材を積極的に売り込み、市場に流通させた被告企業らの責任は重大であり、その悪質性は極めて高いから、これら加害 さらに、石綿が建築作業従事者 に重篤な健康被害をもらたすことを知りながら、石綿含有建材を積極的に売り込み、市場に流通させた被告企業らの責任は重大であり、その悪質性は極めて高いから、これら加害行為の重大性及び悪質性は十分考慮されなければならないし、被告国の責任が二次的であるともいえない。なお、遅延損害金の起算日は、前記診断日とするべきである。 原告らのうち、訴訟承継人については、被災者の損害賠償請求権の全部または一部を取得した。 2 責任期間内の石綿粉塵曝露期間の長短、責任期間前の石綿粉塵曝露期間の長短により、被告国の責任・被告企業らの責任割合により寄与度減責を行うべきではない。 3 被告らは、喫煙歴がある被災者については慰謝料を減額すべきである旨主張する。しかし、喫煙は合法的な嗜好であり、被害者らはアスベストと喫煙の関係について何ら認識していなかった一方、被告らには故意に等しい過失があることからすれば、公平の見地からして、喫煙を理由に減額することは許されないし、仮に減額するとしても1割を限度とすべきである。 (被告らの主張) 1 労災認定は被災者救済という政策的目的に基づく判断であるが、不法行為責任が争われている民事訴訟においては、通常人が疑いを差し挟まない程度の立証が必要となる。労災認定を受けたからといって、直ちに本件被災者の石綿関連疾患が石綿含有建材から発生した石綿粉塵によるものとはいえない。 慰謝料額については、これまでの建設アスベスト訴訟でも、①石綿肺(じん肺 管理区分2、合併症あり)、②石綿肺(じん肺管理区分3、合併症あり)、③石綿肺(じん肺管理区分4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水、④石綿関連疾患による死亡などに応じて金額が検討されている。 合併症あり)、②石綿肺(じん肺管理区分3、合併症あり)、③石綿肺(じん肺管理区分4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水、④石綿関連疾患による死亡などに応じて金額が検討されている。 2 石綿関連疾患のうち、特に肺がんの最大の要因は喫煙であり、石綿と喫煙の両方の暴露を受けると、肺がんの危険性は相乗的に高くなる。喫煙しない者の肺が んの危険性を1とすると、喫煙者は10倍、石綿暴露者は5倍、喫煙をする石綿暴露者は約50倍になると指摘されている。したがって、特に肺がんにり患した被災者については、喫煙による肺がん発症の相対リスクが大きい場合には、相当因果関係を否定し、少なくとも大幅な過失相殺がされるべきである。また、他の粉塵などの影響も考慮すべきである。 第10 消滅時効の成否(争点9)(被告企業らの主張)原告らは、遅くとも被災者が労災認定や石綿救済法認定等を受けた時点においては、石綿が原因で特定の疾患にり患したとの認識に至っており、損害及び加害者を知ったといえる。したがって、労災認定や石綿救済法認定等を受けた時点 から提訴まで3年を経過した原告らについては、消滅時効が完成しており、被告企業らは上記消滅時効を援用する。 (被告日鉄ケミカルの主張)原告らは、遅くとも①労災認定や石綿救済法認定等を受けた時点又は、②同申請を行った時点、③アスベスト関連疾患と認定を受けた時点で「損害及び加害者 を知った」といえ、平成20年5月16日には本件と同趣旨の訴訟が提起され新聞報道等がされていることからすれば、少なくとも原告1、原告4、原告5、原告6、原告7、原告8、原告9、原告10、原告11、原告13、原告15、原告16、原告18、原告19、原告21、原告22、原告23、原告24、原告26)、原告27、原告28 告1、原告4、原告5、原告6、原告7、原告8、原告9、原告10、原告11、原告13、原告15、原告16、原告18、原告19、原告21、原告22、原告23、原告24、原告26)、原告27、原告28、原告29については、本訴提起の時点において、 既に消滅時効期間が経過しているから、消滅時効を援用する。 (被告ニチハの主張)平成20年頃から本訴と同様の建築アスベスト訴訟が提起されており、石綿関連疾患の発症日には「損害及び加害者」を知ったといえるから、原告11、原告24については消滅時効を援用する。 (原告らの主張) 被告企業らの主張は争う。 第5章当裁判所の判断第1 認定事実括弧内記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 1 石綿関連疾患に係る医学的知見の集積状況等 労働省は、労働衛生試験研究として、昭和31年度から昭和34年度まで、石綿肺等のじん肺に関する研究を専門家に委託した。昭和31年度及び昭和32年度には、石綿肺の診断基準に関する研究が行われ、石綿肺のり患の実態、臨床像、石綿粉塵に曝露することとの因果関係等が明らかとなり、診断基準の設定にまで到達したと報告された。この昭和32年度の研究の報告がされた 昭和33年3月頃には、石綿肺に関する医学的知見が確立した。(甲A19)セリコフらは、1964年(昭和39年)、米国の医学誌において、「アスベスト曝露と新生物」と題する論文を発表した。同論文では、建築業の断熱作業労働者の石綿曝露は比較的軽度で断続的であるが、1943年(昭和18年)以前にこの産業に就業した632人について1962年(昭和37年)まで追 跡調査を行ったところ、45人が肺又は胸膜のがんにより死亡しており、うち3人は胸膜中皮腫であった 943年(昭和18年)以前にこの産業に就業した632人について1962年(昭和37年)まで追 跡調査を行ったところ、45人が肺又は胸膜のがんにより死亡しており、うち3人は胸膜中皮腫であったこと、このほか腹膜中皮腫の者が1名おり、255人の死亡者のうち4人が中皮腫であったこと、こうした結果はまれな腫瘍の発症率としては非常に高いこと等が報告されている。(甲A204の1・2)労働省労働基準局長は、昭和46年1月5日付けで、「石綿取扱い事業場の 環境改善等について」と題する通達(同日基発第1号)を発出し、その中で、 「最近、石綿粉塵を多量に吸入するときは、石綿肺をおこすほか、肺がんを発生することもあることが判明し、また、特殊な石綿によって胸膜などに中皮腫という悪性腫瘍が発生するとの説も生まれてきた。」と指摘した。(甲A67)国立療養所近畿中央病院院長の瀬良好澄は、昭和46年、雑誌「労働の科学」26巻9号において、「石綿作業と肺疾患」と題する論文を発表した。同論文 では、石綿と肺がんの発症との間に因果関係があることについては今や異論のないところであるとされ、石綿吹付け作業に従事した39名中6名に石綿肺を認めたこと等から吹付け作業については強力な予防指導を要すると思われるなどとされている。(甲A8)労働省労働衛生研究所の松下秀鶴及び河合清之は、昭和46年、雑誌「労働 の科学」26巻9号において、「アスベストの発がん性」と題する論文を発表した。同論文では、石綿曝露と中皮腫の関係について強い関心が寄せられるようになったのは1960年(昭和35年)のワグナーらの報告以来であり、この報告以後、胸膜及び腹膜の中皮腫に関する疫学的研究が、英国、南アフリカ、米国、カナダ、イタリア、ドイツ等から続々と発表され ようになったのは1960年(昭和35年)のワグナーらの報告以来であり、この報告以後、胸膜及び腹膜の中皮腫に関する疫学的研究が、英国、南アフリカ、米国、カナダ、イタリア、ドイツ等から続々と発表され、その研究結果からは、 比較的低濃度の石綿曝露であっても、長い年月を経れば十分に中皮腫が発生する危険性があることが示唆されるとされている。また、同論文では、石綿に発がん性があるということは、疫学的にも実験腫瘍学的にも、まず疑う余地はないように思われるなどとされている。(甲A8)セリコフらが1972年(昭和47年)に行った報告では、米国及びカナダ の絶縁作業労働者1万7800人の1967年(昭和42年)から1971年(昭和46年)までの肺がんと胸膜中皮腫による死亡者数について、石綿曝露の開始からの年数に応じて分析がされ、肺がんによる死亡は曝露開始後15~19年で有意に増加し、肺がんによる死亡者数が最も多いのは曝露開始後30年以上39年までであり、曝露開始から少なくとも40年間観察しない と石綿曝露による影響を評価するのは困難であるとされている。上記発表は、 昭和48年3月以降「昭和47年度環境庁公害研究委託費によるアスベストの生体影響に関する研究報告」でも紹介されている。(甲A31:62頁以下)国際労働機関(ILO)は、1972年(昭和47年)に開催した「職業がんの管理と予防に関する専門家会議」において、石綿は職業がんの危険性がある物質であると指摘した。(甲A307の1:20頁) 世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(以下「IARC」という。)は、1972年(昭和47年)10月、石綿の生物学的影響に関して討議を行った。その結果の報告(「国際がん研究機関長に対する石綿癌諮問委 )の付属機関である国際がん研究機関(以下「IARC」という。)は、1972年(昭和47年)10月、石綿の生物学的影響に関して討議を行った。その結果の報告(「国際がん研究機関長に対する石綿癌諮問委員会の報告」)では、市販されている主要な種類の石綿は、全て肺がんを引き起こし得るとされ、アンソフィライトを除く市販の全ての種類の石綿 が中皮腫を引き起こし得る証拠が得られているとされている。(甲A307の1:20頁以下、316の2:2頁)労働省労働基準局長は、昭和48年7月11日付けで、「特定化学物質等障害予防規則に係る有害物質(石綿およびコールタール)の作業環境気中濃度の測定について」と題する通達(同日基発第407号。以下「昭和48年通達」 という。)を発出した。昭和48年通達では、通達発出の理由として、最近、石綿が肺がん、中皮腫等を発生させることが明らかになったこと等により、各国の規制においても気中石綿粉塵濃度を抑制する措置が強化されつつあることが挙げられた(乙アA78:34頁)。 IARCは、1973年(昭和48年)、化学物質の人体に対する発がん性 リスクについての検討結果を公表するモノグラフ集の第2巻を発行した。そこでは、石綿のがん原性に関し、肺がんの過剰リスクは、過去の強い曝露の結果であることが通常であり、肺がんのリスクは石綿肺に関連しているようである、石綿を製造、利用する産業では、中皮腫はクロシドライトへの曝露で引き起こされており、アモサイト、クリソタイルで引き起こされる頻度はより少 ない、最初の曝露から腫瘍の発現までの期間は長く、通常は30年以上である などとされている。(甲307の1:21頁以下)労働省は、昭和51年、石綿粉塵に曝露することによる肺がん及び中皮腫の労災認定基 瘍の発現までの期間は長く、通常は30年以上である などとされている。(甲307の1:21頁以下)労働省は、昭和51年、石綿粉塵に曝露することによる肺がん及び中皮腫の労災認定基準を検討するため、「石綿による健康障害に関する専門家会議」を設置した。同会議は、産業現場における石綿曝露の実態、石綿関連疾患の臨床、病理、疫学、環境管理等に関する国内外の文献を幅広く検討し、昭和53年9 月に報告書をまとめた。同報告書では、石綿肺の進展度と肺がんの合併率との間には直線的な関連はなく、軽度所見や無所見の石綿曝露労働者にも肺がんの発生が認められるとされ、石綿曝露量が大となるにつれて肺がん発生の超過危険が大きくなる傾向がみられ、症例としては石綿曝露歴がおおむね10年を超える労働者に発生したものが多いとされている。また、同報告書では、 現時点の知見では、全ての種類の石綿繊維に肺がんの危険性があると考えるのが妥当であるとされ、中皮腫については、石綿粉塵濃度が低くても発生した例もあり、肺がんを発生するのに必要な曝露量よりも少量で発生する可能性があるなどとされている(乙アA78:36頁)。 WHOが1989年(平成元年)に発表した「石綿の職業曝露限界」と題す る報告書では、それ以下ではがんが起こらないという石綿曝露の閾値が存在するという実質的証拠はないなどとされている(弁論の全趣旨)。 2 石綿粉塵濃度の規制等行政規制ア労働大臣は、昭和46年4月28日、旧特化則6条2項の規定に基づき、 局所排気装置の性能要件として、石綿の抑制濃度の規制値を2mg/立方メートルと定めた(同年労働省告示第27号)(乙アA78:34頁、乙アB18)。 イ労働省労働基準局長は、昭和48年7月11日付けで、昭和48年通達を発 て、石綿の抑制濃度の規制値を2mg/立方メートルと定めた(同年労働省告示第27号)(乙アA78:34頁、乙アB18)。 イ労働省労働基準局長は、昭和48年7月11日付けで、昭和48年通達を発出し、当面、石綿粉塵の抑制濃度を5μm以上の繊維で5本/㎤と指導す ることを指示した。これは、当時、石綿について、濃度基準を繊維数で表示 することが医学的に適切であると考えられるようになったことや、石綿が悪性新生物を発生させるとの知見が示されたことなどから、石綿粉塵を抑制する措置を強化するものであった。(甲A67、乙アA78:34頁)ウ労働大臣は、昭和50年9月30日、特化則に基づく告示を改正し、石綿の抑制濃度の規制値を5μm以上の繊維で5本/㎤と定めた(乙アB52)。 エ労働省労働基準局長は、昭和51年5月22日付けで、「石綿粉塵による健康障害予防対策の推進について」と題する通達(同日基発第408号)を発出し、最近、関係各国において環気中の石綿粉塵濃度の規制を強化しつつあるとして、当面、1㎤当たり2本(クロシドライトにあっては、1㎤当たり0.2本)以下の環気中粉塵濃度を目途とするよう指導することを指示し た(乙アB32)。 オ労働省労働基準局長は、昭和59年2月13日付けで、「作業環境の評価に基づく作業環境管理の推進について」と題する通達(同日基発第69号)を発出し、石綿の管理濃度を2本/㎤とした。管理濃度とは、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、対象となる区域について実施した 測定結果から当該区域の作業環境管理の良否を判断する際の指標である。 個々の労働者の曝露量と対比することを前提として設定されている許容濃度とは異なる考え方であり、環境の状態が健康にとって許容できるかどうかを から当該区域の作業環境管理の良否を判断する際の指標である。 個々の労働者の曝露量と対比することを前提として設定されている許容濃度とは異なる考え方であり、環境の状態が健康にとって許容できるかどうかを判定するためのものではないことから、管理濃度の超過は、健康障害に直ちに結びつくものではないとされる。(乙アA78:36頁、79、乙ア B54)カ労働大臣は、昭和63年法律第37号による安衛法の改正に伴い、管理濃度に基づく作業環境管理が法制化されたことから、同年9月1日、石綿の管理濃度を5μm以上の繊維として1㎤当たり2本(クロシドライトにあっては、1㎤当たり0.2本)と定めた(同年労働省告示第79号)。(乙ア B57) キ厚生労働大臣は、平成16年10月1日、石綿の管理濃度を5μm以上の繊維として、1㎤当たり0.15本と定めた(同年厚生労働省告示第369号)(乙アB62)。 日本産業衛生学会の勧告ア日本産業衛生協会(昭和47年に日本産業衛生学会に名称が変更された。 以下、この名称変更の前後を通じて「日本産業衛生学会」という。)は、昭和40年、石綿粉塵の許容濃度として、2mg/立方メートル(およそ33本/㎤)を勧告した。同勧告において、許容濃度とは、労働者が有害物に連日曝露した場合に、空気中の有害濃度がこの数値以下であれば、健康に有害な影響がほとんど見られないという濃度(1日の曝露労働時間内の平均濃 度)であるとされ、その数値は、感受性が特別に高くない労働者が、1日8時間以内、中等労働に従事する場合に該当するとされている。(乙アA1036、乙ケ1)イ日本産業衛生学会は、昭和49年、昭和40年の勧告に示された石綿粉塵の許容濃度の数値の改訂を行い、クリソタイル、アモサイト、トレモライト 場合に該当するとされている。(乙アA1036、乙ケ1)イ日本産業衛生学会は、昭和49年、昭和40年の勧告に示された石綿粉塵の許容濃度の数値の改訂を行い、クリソタイル、アモサイト、トレモライト、 アンソフィライト及びアクチノライトの気中許容濃度を、時間荷重平均として5μm以上の繊維で2本/㎤、いかなる時も15分間の平均濃度がこの値を超えてはならない天井値として、5μm以上の繊維で10本/㎤、クロシドライトはこれらの濃度をはるかに下回る必要があると勧告した。日本産業衛生学会は、この改訂の理由として、石綿肺のみでなく肺及び消化器 のがん及び中皮腫が注目されるようになり、日本の現行許容濃度が近年に各国で設定又は改訂された許容濃度と比較すると極めて高い値であること等を挙げた。(乙アA1035、乙アA1036、乙ケ1:A58頁)。 ウ日本産業衛生学会は、昭和56年、クロシドライトの許容濃度として、0. 2本/㎤を勧告した。(乙アA1036、乙ケ1:A59頁) エ日本産業衛生学会は、平成13年、リスクアセスメントの手法を導入し、 石綿を発がん物質と分類した上、過剰発がん生涯リスクレベル10の-3乗、10の-4乗に対応する評価値として、クリソタイルのみのときは、それぞれ0.15本/ml、0.015本/ml、クリソタイル以外の石綿繊維を含むときは、それぞれ0.03本/ml、0.003本/mlを勧告した。上記の評価値の意味は、1日8時間、週40時間程度、50年間にわた り上記の濃度のクリソタイルのみの石綿粉塵に曝露した場合に、1ml当たり0.15本では1000人に1人、0.015本では1万人に1人、平均寿命に到達するまでに肺がん又は中皮腫で死亡するリスク(過剰発がんリスク)が生ずるという意味である。(乙 露した場合に、1ml当たり0.15本では1000人に1人、0.015本では1万人に1人、平均寿命に到達するまでに肺がん又は中皮腫で死亡するリスク(過剰発がんリスク)が生ずるという意味である。(乙アA178、乙アA1036、乙ケ1、2) 3 石綿粉塵濃度の測定結果屋内の作業に係る測定結果(甲A494、512)労働科学研究所の木村菊二は、昭和46年、雑誌「労働の科学」26巻9号において、「作業現場の石綿粉塵」と題する論文を発表した。同論文には、昭和40年頃から昭和45年頃までに行われた測定結果であるとして、石綿板 製造工場における石綿板切断に係る石綿粉塵濃度の測定結果が記載されているところ、これによれば、除じん装置がない場合で10.8~16.2本/㎤、除じん装置がある場合で7.4~10.0本/㎤であったとされている。 また、木村菊二は、昭和51年、第49回日本産業衛生学会・第20回日本産業医協議会において、「アスベスト粉塵の測定法についての検討」と題する 講演を行った。同講演では、「最近の数年間に測定を行った」作業場における石綿粉塵濃度の測定結果が、①電動のこを使用して大型のアスベスト板を切断した場合において、吸じん装置作動中は2.89~25.08本/㎤、吸じん装置休止中は147.03~391.50本/㎤であり、②手動のこを使用して小型のアスベスト板を切断した場合において、0.31~2.55本/㎤ あるいは0.11~0.38本/㎤であったとされている。 屋外建設作業に係る測定結果ア測定結果①(乙アA206)慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の桜井治彦、東敏昭らは、昭和62年、「一般家屋壁材施工時の発塵状況調査結果」を公表した。この調査結果では、同年、一般個人用住宅建 測定結果①(乙アA206)慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の桜井治彦、東敏昭らは、昭和62年、「一般家屋壁材施工時の発塵状況調査結果」を公表した。この調査結果では、同年、一般個人用住宅建設時に、屋外で電動のこぎり又は丸のこ を使用して防火サイディングの切断作業をする者につき測定時間を約2~3分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果は、0.08本/㎤、0. 17本/㎤、0.20本/㎤、0.27本/㎤、0.27本/㎤、1.16本/㎤、2.05本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果①」という。)。 イ測定結果②(甲A108:4頁)花岡知之及びIは、平成10年、雑誌「労働科学」に「建設労働者のアスベスト曝露実態-個人住宅建設現場の環境調査成績-」と題する論文を発表した。同論文では、昭和62年、屋外の木造住宅の建設現場において、防じん電動丸のこ、電動丸のこ又は手動のこぎりを使用して外壁材の切断及 び張付けの作業をする者につき測定時間を129~203分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果は、4件で0.94~1.58本/㎤であり、防じん電動丸のこを使用して外壁材の切断を中心とする作業をする者につき測定時間を11~15分として個人曝露濃度を測定した結果は、3件で2.3~6.7本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測 定結果②」という。)。Iが平成19年に出版した「建設作業者の石綿関連疾患-その爆発的なひろがり-」と題する書籍にも、測定結果②が掲載されている。 ウ測定結果③(甲A430:28・29頁)名古屋大学医学部衛生学教室の久永直見らは、昭和63年、雑誌「労働衛 生」に「アスベストに挑む三管理環境管理と作業管理-建築業の現場を中 心に- 甲A430:28・29頁)名古屋大学医学部衛生学教室の久永直見らは、昭和63年、雑誌「労働衛 生」に「アスベストに挑む三管理環境管理と作業管理-建築業の現場を中 心に-」と題する論文を発表した。同論文では、同年、屋根葺き用石綿スレートによる屋根葺き作業をする者につき測定時間を115分としてその者の鼻先で気中石綿粉塵濃度を測定した結果は、0.13本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果③」という。)。 エ測定結果④(乙アB44:221頁) 労働省労働基準局長は、平成4年1月1日付けで「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉塵曝露防止対策の推進について」と題する通達(同日基発第1号)を発出した。同通達に添付された資料では、「石綿含有建築材料の施工における作業マニュアル」(後記オの初版と考えられる。)を出典として、屋外で除じん装置付き電動丸のこを使用してスレートの施工作業 をする者につき測定時間を各120分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果は、4件で0.006~0.032本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果④」という。)。 オ測定結果⑤(甲A248:31・37頁)建設業労働災害防止協会は、平成9年に「改訂石綿含有建築材料の施工 における作業マニュアル-石綿粉塵曝露防止のために-」を出版した(初版は平成4年)。このマニュアルでは、昭和62年から昭和63年にかけての測定結果として、屋外で除じん装置の付いていない電動丸のこ又はバンドソーを使用してスレート等の切断、葺上げ、張付け等の作業をする者につき採取時間を32~180分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果 は、14件で0.01~0.31本/㎤(うち0.15本/㎤以上のものは レート等の切断、葺上げ、張付け等の作業をする者につき採取時間を32~180分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果 は、14件で0.01~0.31本/㎤(うち0.15本/㎤以上のものは5件)であった(同31頁)とされ、昭和62年の測定結果として、屋外で除じん装置付き電動丸のこを使用して押出成形板の切断、葺上げ、張付け等の作業をする者につき採取時間を15~230分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果は、10件で0.002~0.091本/㎤であった (同37頁)とされている(以下、この測定結果を「測定結果⑤」という。)。 上記マニュアルには、屋外での石綿含有建材の切断作業に際しては、大気の拡散効果により、除じん装置を使用していなくても、風向き、天候によっては石綿粉塵の管理濃度の5分の1以下となり、作業者に対しては曝露抑制となっている旨が記載されている。 カ測定結果⑥(甲A492の1・2:11頁) ドイツ職業保険組合中央会は、1997年(平成9年)、石綿の曝露歴から曝露量を推定し、石綿原因の肺がんの労災認定を行う際のマニュアルとしてBKレポートを出版した。BKレポートでは、屋外で除じん装置のない研削切断器を使用して行う配管工事において、管の切断10回、積み上げ、積み下ろし等の作業をした場合の繊維濃度90パーセンタイル値は2本/ ㎤、外壁化粧張りの作業をした場合の繊維濃度90パーセンタイル値は0. 4本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果⑥」という。)。なお、「BKレポート」の上記測定データは、「傷害保険組合関係の情報源から得た」ものと記載されているが、その元データや、測定条件の詳細は不明である。 キ測定結果⑦(甲A499:3枚目)平成17年に行われた第 上記測定データは、「傷害保険組合関係の情報源から得た」ものと記載されているが、その元データや、測定条件の詳細は不明である。 キ測定結果⑦(甲A499:3枚目)平成17年に行われた第45回日本労働衛生工学会・第26回作業環境測定研究発表会の抄録集には、外山尚紀らによる建設現場における石綿建材加工時の気中石綿濃度に関する研究の報告が掲載されている。同報告では、屋根上でサンダーを使用して屋根用化粧スレートを加工する作業又は 屋外で電動丸のこを使用してスレート若しくはサイディング材を加工する作業をする者につき採取時間を10~15分として石綿粉塵の個人曝露濃度を測定した結果は、0.11本/㎤、0.14本/㎤、0.17本/㎤、0.25本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果⑦」という。)。 4 電動工具の普及及び防じんマスクの着用状況 電動工具の普及(弁論の全趣旨)我が国における電動工具(電動のこぎり、電動グラインダ、電気ドリル)の年間出荷台数は、おおむね、昭和35年には30万台にすぎなかったが、昭和43年には100万台を突破し、昭和44年に140万台、昭和45年に160万台と急増している。昭和58年には電動ドリルは250万台、電動グライ ンダは約200万台、電動のこぎりも150万台になるなど大きく増加していき、その後も数百万台の販売台数を維持した。電動工具による加工は、手工具による加工と比較して、多量の粉塵を発生させる。 防じんマスクの着用状況(甲A430)建設現場では、昭和60年頃に至っても、大半の労働者は防じんマスクを着 用していなかった。 5 建設作業における石綿粉塵の発散(弁論の全趣旨)木造建物の建築工事において、石綿含有スレートボード等の石綿 、昭和60年頃に至っても、大半の労働者は防じんマスクを着 用していなかった。 5 建設作業における石綿粉塵の発散(弁論の全趣旨)木造建物の建築工事において、石綿含有スレートボード等の石綿含有建材を切断する際に、石綿粉塵が発散した。また、左官工等がモルタルを作る際に、石綿又は石綿を含有する混和剤を加えてかくはんすることにより、石綿粉塵が発 散した。設備工事においても、電工や配管工が石綿を含有するボードに穴を開ける際に、石綿粉塵が発散することがあった。 鉄骨造建物の建築工事においては、木造建物と同様の場合の他、吹付材の吹付け作業の際に、ノズルから放出された吹付け材の石綿粉塵が周囲に飛散することがあった。また、吹き付けられた石綿等を、配線・配管や窓枠、シャッター設 置等のために削る際、石綿粉塵が発散することがあった。 建物の増改築工事や解体工事において、建物(建材)を解体する際に、建材に含まれる石綿が粉塵となって発散することがあった。 このほか、工場等における配管及び機械、焼却炉等への石綿含有保温材の取付け及び取替え等の作業において、石綿粉塵が発散することがあった。建設作業従 事者は、自らが行った作業により発散し、又は飛散した石綿粉塵に直接的に曝露 することがあったほか、同じ建設現場で他の者が行った作業によって発散し、又は飛散した石綿粉塵に間接的に曝露することもあった。 第2 石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性がある旨の予見可能性の有無及びその時期(争点1-1)について 1 上記認定事実のとおり、昭和33年3月頃には、石綿肺に関する医学的知見が 確立し、昭和47年には、石綿粉塵に曝露することと肺がん及び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発性の疾患 実のとおり、昭和33年3月頃には、石綿肺に関する医学的知見が 確立し、昭和47年には、石綿粉塵に曝露することと肺がん及び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発性の疾患であることが明らかとなっていた。 また、昭和48年には、石綿が肺がん、中皮腫等を発生させることが明らかとなったこと等を理由として、石綿粉塵対策の指導を大幅に強化する内容の昭和 48年通達が発出され、昭和49年には、日本産業衛生学会が、他国の許容濃度の数値を踏まえて、昭和40年の勧告に示された石綿粉塵の許容濃度の数値を厳格化しており、規制強化の流れも明らかとなっていた。昭和40年末ないし昭和50年当初の建設現場は、我が国に輸入された石綿の約7割が建設現場で使用され、多量の粉塵を発散する電動工具の普及とあいまって、石綿粉塵に曝露す る危険性の高い作業環境にあった。当時、吹付け工や一部のはつり工を除き、大半の労働者は防じんマスクを着用していなかったから、建設作業従事者に、石綿粉塵に曝露することにより石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていた。 2 石綿含有製品を製造販売していた企業で構成される業界団体は、法規制の動 向に注目するだけではなく、昭和47年には石綿症関係で各企業の対策、研究が急務である旨の自覚を持ち、国内だけではなく海外の医学的知見も収集し(甲C2・128頁)、石綿関連疾患の知見の収集に努めていたのであるから、被告企業らは石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性が高いことについて相応の知見を有していたと認められる。仮に石綿含有建材の危険性の認識が欠け ていた被告企業があったとしても、石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす 危険性が高いものである以上は、石綿関連疾患の実態について られる。仮に石綿含有建材の危険性の認識が欠け ていた被告企業があったとしても、石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす 危険性が高いものである以上は、石綿関連疾患の実態について調査すべきであったといえる。 前記認定のとおり、昭和40年末当時の建設現場は、我が国に輸入された石綿の約7割が建設現場で使用され、多量の粉塵を発散する電動工具の普及とあいまって、石綿粉塵に曝露する危険性の高い作業環境にあったのであり、日本産業 衛生学会は、昭和49年に、石綿粉塵の許容濃度の数値の改訂を行っていることからすれば、被告企業らは、遅くとも昭和49年中には、石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性について予見が可能であったと認めるのが相当である。 3 原告らは、旧じん肺法の施行や特化則の制定等といった事情を踏まえれば、被 告企業らがより早期に前記危険を認識することができた旨主張する。しかし、予見可能性の認定に当たっては、原告ら主張の事情のみならず、石綿粉塵濃度の規制状況、建設現場の環境、石綿関連疾患の発生状況等及びこれに対する被告企業らの認識を踏まえるべきであり、これらを踏まえれば、上記のとおり認定するのが相当である。 4 被告企業らは、被告国に比べて調査能力・情報収集能力に乏しい被告企業らの予見可能性は、被告国の規制権限の不行使が違法となる時期と判断された昭和50年10月1日より後であると主張するが、最高裁判決(神奈川一陣最判)においても被告国の予見可能時期は昭和48年とされており、その頃には、被告国の石綿に関する規制強化の流れは明らかであり、医学的知見も確立していたの だから、その調査の期間を踏まえても被告企業らの予見可能性は上記のとおり認められる。被告企業らの上記主張は採用することができない。 する規制強化の流れは明らかであり、医学的知見も確立していたの だから、その調査の期間を踏まえても被告企業らの予見可能性は上記のとおり認められる。被告企業らの上記主張は採用することができない。 第3 外装材として使われる石綿含有建材が石綿関連疾患を引き起こす危険性の予見可能性の有無(争点1-2)について 1 原告らが主要曝露建材であると主張する建材のうち、建材種類全体が外装材 に当たるのは、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材種類㉝)、石綿含有窯業 系サイディング(同㉟)及び石綿含有スレート波板・大波・小波・その他(㊲ないし㊴)であるが、これらの建材種類は遅くとも平成16年中には製造が終了している。これは、同年10月1日、石綿の管理濃度の規制が強化された(5μm以上の繊維として1㎤当たり0.15本と定められた)ことによるものと考えられる。 そこで、昭和49年から平成16年9月30日までの間において、被告らが屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたかを検討する。 2 認定事実の測定結果のうち、測定結果⑦は平成17年に報告されたものであって、被告らが平成16年9月30日までの期間には認識し得なかったもので ある。その余の測定結果によれば、屋外建設作業に係る石綿粉塵濃度の測定結果は、全体として屋内の作業に係る石綿粉塵濃度の測定結果を大きく下回ることが認められる。これは、屋外の作業場においては、屋内の作業場とは異なり風等により自然に換気がされ、大気で拡散される割合が大きいことから、石綿粉塵濃度が薄められるためであることがうかがわれる。測定結果のうちのほとんどは、 平成16年9月30日までの期間における法令による石綿粉塵濃度の規制値(個々の労働 る割合が大きいことから、石綿粉塵濃度が薄められるためであることがうかがわれる。測定結果のうちのほとんどは、 平成16年9月30日までの期間における法令による石綿粉塵濃度の規制値(個々の労働者の曝露量と対比することを前提として設定されたものではなく、その超過は健康障害に直ちに結びつくものではないという管理濃度としての2本/㎤)を大幅に下回るものである。測定結果の中で突出して数値の高い測定結果②についても、継続的に測定した結果としては、前記規制値を下回るものであ る。 短時間の測定結果としては、測定結果①(2~3分)及び②(11分~15分)に前記規制値を超えるものもあるが、これらは切断作業をしている限られた時間につき個人曝露濃度を測定したものであることからすれば、就業時間を通じて曝露する石綿粉塵の平均濃度は測定結果①及び②より低い数値となるという ことができる(測定結果②でも129~203分とした測定では0.94~1. 58本/㎤とされている。)。測定結果⑥については、測定時間等の測定条件の詳細が明らかでなく、その測定結果が、短時間に限った測定なのか、一定時間をかけた測定なのかは明らかではない。 同期間中である平成13年に日本産業衛生学会から前記規制値を相当下回る評価値(0.15本/㎤)が発表されており、前記測定結果の中には、これを上 回るものが相応に存在する。しかし、前記評価値は、法令上の規制値ではないし、その意味合い(1日8時間、週40時間程度、50年間にわたり上記の濃度のクリソタイルのみの石綿粉塵に曝露した場合に、0.15本/mlでは1000人に1人、過剰発がんリスクが生ずる。)に照らすと、これを上回る測定結果が存在するからといって、被告らにおいて、屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾 塵に曝露した場合に、0.15本/mlでは1000人に1人、過剰発がんリスクが生ずる。)に照らすと、これを上回る測定結果が存在するからといって、被告らにおいて、屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾 患にり患する危険が生じていることを認識することができたということはできない。 以上によれば、被告らは、平成16年9月30日までの期間に、屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたと認めることはできない。 3 原告らの主張について原告らは、2本/㎤との基準は石綿肺防止のための基準にすぎないから合理的な規制値とはいえないため、測定結果が管理濃度としての2本/㎤を超えないことは予見可能性を否定する事情にはなりえないと主張する。 しかし、日本産業衛生学会が昭和49年に2本/㎤と許容濃度を改定して 勧告した際の理由には、石綿肺のみでなく肺及び消化器のがん及び中皮腫が注目されるようになったことも挙げられているから、2本/㎤との基準が単に石綿肺防止のための基準にすぎなかったとはいえない。 また、原告らは、屋外作業従事者にも高い割合で石綿肺や肺がんの所見が見られ、労災給付もされていたこと、1980年代後半には石綿粉塵曝露量をこ れ以下に抑えれば安全であるとする閾値を設定できないことにつき医学的知 見が確立し、被告企業らも外装材を含め建材の無石綿化を進めてきたなど代替建材の開発を進めていたこと、NHKを含めマスコミにおいても屋外作業における石綿粉塵曝露の危険性につき報道していたことなどを指摘する。しかし、屋外建設作業と屋内建設作業の作業環境などを考慮すると、これら事情は、被告らが、屋外建設作業従事者に石綿関連疾患にり患する危険が生じてい ることを認識し 報道していたことなどを指摘する。しかし、屋外建設作業と屋内建設作業の作業環境などを考慮すると、これら事情は、被告らが、屋外建設作業従事者に石綿関連疾患にり患する危険が生じてい ることを認識し得たことを基礎づけるものとはいえない。 原告らは、頻繁に外装材を取り扱っていた被災者らについて、外装材であっても屋内や養生シート内で加工されることも多いから、屋内作業従事者と屋外作業従事者(内装材と外装材)を形式的に分けて考える必要はない旨主張するが、次のとおり原告らの主張は採用することができない。 ア原告8は、サイディングを屋内で切断したと供述するが、サイディングの大きさ、形状に照らすと、同供述を直ちに採用することはできない。 イ被災者15については、屋根材を屋内で切断することは一般的な作業形態とはいえず、被災者15から、屋内で屋根材を切断したことがあったと聞いたとの原告15の供述(同調書4頁等)、Lの陳述書等(甲F15-4、 5)は直ちに採用することはできず、その他外装材を屋内又はこれに準じる場所で加工していたことを示す証拠はない。 ウ被災者24については、その子である証人H1がサイディングは屋外で切断したと述べており、その他同被災者が外装材の切断を屋内で行っていたことを認めるに足りる証拠はない。 エなお、外装材の加工を屋内又はこれに準じた場所で行う作業従事者がいたとしても、そのことから外装材が屋内又はこれに準じた場所で加工されることが一般的であるということはできない。 以上によれば、屋外作業従事者が取り扱う外装材である建材種類㉝(石綿含有住宅屋根用化粧スレート)、同㉟(石綿含有窯業系サイディング)、同㊲な いし㊴(石綿含有スレート波板・大波、小波、その他)を製造販売した被告企 う外装材である建材種類㉝(石綿含有住宅屋根用化粧スレート)、同㉟(石綿含有窯業系サイディング)、同㊲な いし㊴(石綿含有スレート波板・大波、小波、その他)を製造販売した被告企 業らは、これらの製造販売について不法行為責任を負わない。 被災者15は屋根工であり、屋外作業従事者であると認められるところ、同被災者につき、主要曝露建材として主張されているのは、建材種類㉝(石綿含有住宅屋根用化粧スレート)のみであって、被告国においても、同建材についての安衛法による規制義務違反は屋外作業従事者には及ばないといえるから、 同規制義務違反に基づく原告15の被告国に対する請求は理由がない。 第4 石綿含有建材の製造販売禁止義務違反の有無(争点2)について 1 原告らは、昭和62年(吹付材については昭和50年)、どんなに遅くとも平成7年までには、被告らが建材の製造に際して石綿を使用しない義務を負っていた旨主張する。 2 しかし、原告らが主張する時期までに石綿の製造等を禁止する措置をとった国があったとは認められない上、国際機関においても、昭和61年のILO石綿条約でクロシドライトの使用及び石綿吹付作業という特定の種類の石綿使用ないし特定の業種における石綿使用は禁止されたものの、クリソタイルを含むその他の種類の石綿使用やその他の業種における石綿の使用については一定の管 理下で使用することを認めており(前提事実6)、平成元年のWHO「石綿の職業的曝露限界」の報告書においても、少なくともクリソタイルについては使用を継続することができるとの考え方を採っており、国際的にクリソタイルを含む石綿の全面的な使用禁止を合意するに至ったのは、平成18年6月14日のILO第95回総会であると認められ(前提事実6)、これ以前に石綿 ことができるとの考え方を採っており、国際的にクリソタイルを含む石綿の全面的な使用禁止を合意するに至ったのは、平成18年6月14日のILO第95回総会であると認められ(前提事実6)、これ以前に石綿の製造 等を全面的に禁止すべきであるとの国際的な合意が形成されたと認めるに足りる証拠もない。 国内では、昭和50年以降、石綿の含有量が重量の5%を超える石綿含有製剤に関する各種規制措置(安衛法57条に基づく表示義務や本件掲示義務規定等)がとられており、被告企業らにおいて、かかる措置が守られるなどすれば、建設 作業従事者が石綿関連疾患にり患する危険を減少させることができると考えて も不合理とはいえない。 3 以上のとおり、石綿等の管理使用が不可能であり、石綿等の製造等を全面的に禁止すべきであるとの知見が確立したのは、早くとも平成18年と認められるのであって、既に石綿のがん原性が明らかとなっていたことを考慮しても、同年9月1日に施行された安衛令で石綿等の製造が全面的に禁止されるまでの間、 被告企業らにおいて、石綿等の管理使用が可能であると考えたとしても不合理とはいい難い。被告企業らにおいて、石綿含有建材の製造等が全面的に禁止された平成18年9月1日までの間にその製造を中止する義務等が課せられていたとは認められず、同日以後も被告企業らが石綿含有建材の製造を続けたと認めるに足りる証拠はない。石綿不使用義務に関する原告らの主張は採用すること ができない。 第5 警告義務違反の有無(争点3)について 1 警告義務の内容、その始期及び終期(争点3-1)警告義務の内容ア一般に、その製品が使用される際に人体に危険が生じる可能性のある製 品を製造販売する企業は、使用者等がこれを回避できるよう、危険性に 容、その始期及び終期(争点3-1)警告義務の内容ア一般に、その製品が使用される際に人体に危険が生じる可能性のある製 品を製造販売する企業は、使用者等がこれを回避できるよう、危険性に関する情報を正しく購入者又は使用者に伝達する義務(警告義務)があるというべきである。 イ石綿関連疾患は人の生命・身体に対する重大な危険を及ぼすものであるから、かかる危険を認識した被告企業らにおいては、石綿含有建材を購入し、 又は使用する者に対して危険性に関する情報を正しく伝達し、適切な予防策を具体的に認識させることで、危険を生じさせないようにすることが期待されていた。石綿含有建材の流通形態等を踏まえれば、各建材に共通する内容としては、①建材に石綿が含有されていること、②石綿粉塵を吸引すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険性がある こと、③上記危険を回避するために、当該建材を取り扱う際には適切な防じ んマスクを着用する必要があること等を、当該建材に明確かつ具体的に表示することであるといえ、取り扱う作業者の目に確実に触れるように、個々の建材自体(又はその最小単位の包装)にラベルを貼付すること等により表示されることが必要と解される。 ウ被告企業らの主張について 被告企業らは、法令で定められた警告表示以上の警告表示義務は負わないと主張するが、昭和50年10月1日施行の特化則が定めた警告表示義務は、石綿粉塵の危険性及び防じんマスクの必要性に関する抽象的な警告表示にとどまるものであり、前記イの内容を満たすものではないから、被告企業らが特化則の定めに従っていたからといって責任を免れることはでき ない。 また、「a」マークは、当該建材に一定割合以上の石綿が含有されている事実を の内容を満たすものではないから、被告企業らが特化則の定めに従っていたからといって責任を免れることはでき ない。 また、「a」マークは、当該建材に一定割合以上の石綿が含有されている事実を表示するにとどまり、石綿含有建材の使用による健康被害に対する警告を意味するものではないから、「a」マークの表示では警告表示義務を果たしたことにならない。 さらに、被告企業らが仮に認定特約店等の系列店に対して石綿粉塵曝露防止の指導をしていたとしても、警告表示義務は最終的な建設作業従事者に対するものであるから、それだけでは十分に警告義務を果たしたことになるものではない。 警告義務の始期と終期 被告企業らは、前記のとおり昭和49年中には、屋内建設現場における建設作業に従事する者との関係で、自らが製造販売した石綿含有建材によって石綿関連疾患にり患する危険を認識することができた。そして、昭和50年3月には表示方法通達が発出され、同年9月30日には特化則の一部改正がされ掲示義務規定が定められるなどした。こうした事情に鑑みると、警告表示を行 う準備等に一定の時間を要するとしても、被告企業らは、昭和50年4月1日 までには、上記の建設作業従事者との関係で、自らが製造販売した石綿含有建材の危険性及びその回避手段について警告する義務があったと認められる。 前記義務は、石綿含有建材の製造販売に伴って課されるものであるから、当該石綿含有建材の製造販売を終了した時が終期となる。原告らが現場到達事実を主張する建材の中には、製造販売の終了時点が必ずしも明らかでないも のがあるが、石綿等の製造は平成18年9月1日に施行された安衛令で全面的に禁止されたところ、それ以降も被告企業らが石綿含有建材の製造販売を続けたとは認めら 売の終了時点が必ずしも明らかでないも のがあるが、石綿等の製造は平成18年9月1日に施行された安衛令で全面的に禁止されたところ、それ以降も被告企業らが石綿含有建材の製造販売を続けたとは認められない。したがって、製造販売期間が不明な製品に関しても、遅くとも同年8月31日が警告義務の終期となる。以上によれば、被告企業らがその製造販売した石綿含有建材の使用による石綿関連疾患に対して責任を 負う期間(以下「責任期間」という。)は、昭和50年4月1日から平成18年8月31日である。 2 解体作業従事者に対する警告義務の有無(争点3-2)原告らは、石綿含有建材の製造・販売時に、同建材を加工して建築した建物が改修解体工事において撤去破砕されること、したがって解体作業において石綿 の危険が発現することを当然に想定していたから、被告らは、解体作業従事者に対してもこの危険を回避するための警告義務を負う旨主張する。 しかし、石綿含有建材の中には、吹付材のように当該建材自体に警告情報を記載することが困難なものがある上、その記載をしたとしても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状 態となったりすることがあり得る。また、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々であるから、警告情報を記載したシール等を当該建材が使用された部分に貼付することが困難な場合がある上、その貼付がされたとしても、当該シール等の経年劣化等により警告情報の判読が困難な状態となることがあり得る。警告情報を記載した注意書及びその交付を求める文書を石綿含有 建材に添付したとしても、当該建材が使用された建物の解体までには長期間を 経るのが通常であり、その間に当該注意書の紛失等の事情が生じ得 注意書及びその交付を求める文書を石綿含有 建材に添付したとしても、当該建材が使用された建物の解体までには長期間を 経るのが通常であり、その間に当該注意書の紛失等の事情が生じ得るのであって、当該注意書が解体作業従事者に提示される蓋然性が高いとはいえない。そして、被告企業らは、建材メーカーであり、上記の貼付又は交付等の実現を確保することはできない。これらに照らせば、被告企業らが石綿含有建材を製造販売するに当たり、実効性等の高い警告方法があったとはいえない。 加えて、被告企業らは、その製造販売した石綿含有建材が使用された建物の解体に関与し得る立場になく、建物の解体作業は、当該建物の解体を実施する事業者等において、当該建物の解体の時点での状況等を踏まえ、あらかじめ職業上の知見等に基づき安全性を確保するための調査をした上で必要な対策をとって行われるべきものということができる。労働省労働基準局安全衛生部長が建設業 労働災害防止協会会長、社団法人全国建設業協会会長、全国建物解体業協会会長らに宛てた「建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉塵の曝露防止等について」(昭和61年9月6日基安発第34号。前提事実5)、労働省労働基準局長が都道府県労働基準局長に宛てた「石綿除去作業、石綿を含有する建設用資材の加工等の作業等における石綿粉塵曝露防止対策の推進について」 (昭和63年3月30日基発第200号。前提事実5)は、上記のような考え方を前提として発出されたものと解される。 以上によれば、被告企業らが、石綿含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、警告すべき義務を負っていたということはできない(神奈川2陣最判参照)。 原告らは、関連団体、マスメディア 含有建材を製造販売するに当たり、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、警告すべき義務を負っていたということはできない(神奈川2陣最判参照)。 原告らは、関連団体、マスメディアを介して危険性情報を伝達する方法がある旨も主張する。しかし、前記のとおり、建物の解体作業は、当該建物の解体を実施する事業者等において、安全性を確保するための調査をした上で必要な対策をとって行われるべきものであることからすれば、メーカーである被告企業らに対して、関連団体、マスメディアを介して危険性情報を伝達することまで求め ることはできない。 以上によれば、被告企業らは、解体作業従事者に対しては警告義務を負わない。 原告らの主張は採用することができない。 第6 製造物責任法に基づく責任の有無(争点4)について石綿含有建材を製造・販売した被告企業らには、昭和50年4月1日以降、警告義務違反が認められるところ、原告ら主張に係る製造物責任法に基づく責任 は、石綿を含有すること又は適切な警告表示がなされていないことを欠陥として主張するものであって、前者については、これを欠陥と評価することができず、また、後者については、不法行為上の上記の警告義務違反と同内容を指すものと評価でき、かつ、本件において、不法行為に基づく責任(始期は昭和50年4月1日)は、製造物責任法に基づく責任(始期は平成7年7月1日)と比較し、適 用期間の観点においてより広範であってこれを包摂するものといえるから、製造物責任法に基づく責任の有無に関する検討は行わない。 第7 共同不法行為(民法719条1項後段の類推適用)(争点5)について 1 民法719条1項後段の類推適用被災者が、ある石綿含有建材を取り扱っており、かつ、当該石綿含有建材のう わない。 第7 共同不法行為(民法719条1項後段の類推適用)(争点5)について 1 民法719条1項後段の類推適用被災者が、ある石綿含有建材を取り扱っており、かつ、当該石綿含有建材のう ち特定の被告の製造販売したものが、当該被災者の現場に相当回数にわたり到達して用いられたとの事実(以下「現場到達事実」という。)が認められる場合には、当該被災者が特定の被告企業の製造販売した石綿含有建材から生じた粉塵に曝露しており、ひいては、被告企業らは当該被災者の石綿関連疾患の発症に何らかの寄与をしているということができるのであるから、被害者保護の見地 から、民法719条1項後段が適用される場合との均衡を図って、同項後段の類推適用により、因果関係の立証責任が転換されると解するのが相当である(神奈川1陣最判参照)。 2 現場到達事実に係る立証の程度前記1からすると、現場到達事実は、民法719条1項後段を類推適用する基 礎として、因果関係の立証責任を転換することを正当化する一事情であると解 される。同項後段を直接適用する場合においては、複数の者がいずれも被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為を行ったこと、当該行為を行った者が、特定された複数の行為者のほかに存在しないこと等の要件を立証する必要があること(神奈川1陣最判参照)との権衡からすると、現場到達事実については、高度の蓋然性をもって立証されなければならないと解することが相当である。 3 現場到達事実を検討する必要のない建材これまでの検討から、下記ないしの建材については、現場到達事実を検討する必要がない。 新築工事現場への現場到達事実の主張がないもの等到達が問題となる現場は、新築工事現場であるから、新築工事現場への到達 が主張されて 建材については、現場到達事実を検討する必要がない。 新築工事現場への現場到達事実の主張がないもの等到達が問題となる現場は、新築工事現場であるから、新築工事現場への到達 が主張されていない建材(解体改修工事現場に関してのみ主張がある建材等)について、現場到達事実を検討する必要性はない。建材種類⑨、⑬、⑭は、これに該当する。 昭和50年内に製造が終了した建材被告企業らが警告義務違反の責任を負うのは昭和50年4月1日以降であ る。また、被告企業らは解体改修工事作業に従事した者に対して警告義務を負わない。そうすると、到達が問題となる現場は、昭和50年4月1日以降の新築工事現場ということになる。 被告企業らが、昭和50年迄に製造を終了した建材については、製造終了前後の流通量は、相当程度減少していたことが推認されるから、そのような建材 が、同日以降の新築工事現場に相当回数にわたり到達して用いられた高度の蓋然性は認め難い。建材種類①(吹付石綿)、同⑥(石綿含有けいそう土保温材)に該当する製品は、その製造が昭和50年内に終了しており(甲A396)、これに該当する。 外装材 被告企業らには、外装材として用いられた石綿含有建材が石綿関連疾患を 引き起こす危険性を有することについて予見可能性が認められないので、外装材である建材種類㉝、㉟及び㊲ないし㊴の現場到達事実を検討する必要性はない。 4 現場到達事実の立証方法について原告ら主張の現場到達事実の立証方法は、東京1陣最判で認められた手法を 基礎とするものであり、相応の合理性を有する。被告企業らは、立証手順オのシェアについて、現場到達事実が認定されるためにはシェア20%が必要であると主張するが、シェアが10%の製品について、被災者が 基礎とするものであり、相応の合理性を有する。被告企業らは、立証手順オのシェアについて、現場到達事実が認定されるためにはシェア20%が必要であると主張するが、シェアが10%の製品について、被災者が年間20回の建設現場で就労した場合、当該製品が少なくとも1回は当該現場に到達する確率は、計算式:1-(1-0.1)の20乗によって求めることができ、その確率は87% を超えるから、建設作業従事者が、1年に1回程度は、当該建材を使用する建設現場において建設作業に従事した可能性が高いということができるので、シェアがおおむね10%を超える企業が製造販売した製品は、建設現場において相当程度使用されたことを推認できるというべきである。被告企業らの主張は採用することができない。 立証手法アイについては、原告らの主張により建材の絞り込みが行われているので、下記5において立証手順オのシェアについて検討し、下記6において立証手順ウエカキについて検討する。 5 建材のシェアの認定前提 検討対象は、本件で原告らが主要曝露建材と主張していない建材と前記3で検討の必要がないことを確認した建材を除いた建材種類②、③、⑦、⑧、⑩、⑪、⑫、⑮ないし⑲、㉓、㉔、㊵、㊶、㊸である。シェアの検討に際し、当該建材の属する市場(母数)をどのように設定すべきか(非石綿製品を含めて検討すべきではないか、用途が共通の建材については通算すべきではないか)、 当事者間に争いのある建材が存在する。 もっとも、この点については、一律に結論が出るとはいい難い。前記4の立証方法を踏まえれば、用途が共通の建材については通算することが相当であるが、シェアに関する資料の状況によっては、通算しない場合のシェアに基づいて、競合建材が存在することやその はいい難い。前記4の立証方法を踏まえれば、用途が共通の建材については通算することが相当であるが、シェアに関する資料の状況によっては、通算しない場合のシェアに基づいて、競合建材が存在することやその競合状況を前提に、現場到達事実を検討することが相当なこともあり得る。そこで、上記の点については、以下の個別 の建材種類のシェアの認定や、個々の被災者に関する現場到達事実の検討の際に、適宜検討することとする。 石綿吹付材(建材種類②及び③)ア用途及び特徴石綿吹付材である石綿含有吹付けロックウール(建材種類②)及び湿式石 綿含有吹付け材(建材種類③)は、石綿をセメント等の結合材と水に混合して、他の建材に吹き付けて使用する建材である(②が乾式、③が湿式と呼ばれることがある。)。 吸音、断熱、結露防止、耐火等に優れており、吹付石綿(建材種類①)を含めれば、昭和31年頃から学校、ビル、ホテル、劇場等の大型建物等にお いて使用され、昭和42年頃から建築物の高層ビル化と鉄骨構造化が進むと、耐火被覆目的で鉄骨に吹き付けて使用された。建材種類③は、主に鉄骨耐火被覆材として使用され、特にエレベーターシャフト内に施工されており、鉄骨造以外の戸建て住宅に使われた事例は少なく、石綿含有吹付け材としては建材種類②が主流であった。 昭和50年に改正された特化則は、石綿含有率5%を超える石綿含有製剤を吹き付ける作業を原則として禁止した。そのため、石綿含有率の高かった建材種類①の製造は昭和50年に終了し、それ以降は、建材種類②及び③が同様の用途で使われたが、これらの建材も平成元年には製造されなくなった。(甲A36、別冊1-1・2) イ施工実績又は出荷量から算出したシェア 建材種類②及び③は用途が重なる部分が で使われたが、これらの建材も平成元年には製造されなくなった。(甲A36、別冊1-1・2) イ施工実績又は出荷量から算出したシェア 建材種類②及び③は用途が重なる部分があり、アスベスト業界におけるシェアの集計も基本的に合算してされていたから、これらを合わせた上でシェアを検討することが相当である。もっとも、建材種類②は価格が低廉であって、高価な建材種類③の約10倍程度のシェアがあったから、建材種類③の石綿粉塵曝露の程度は限定的であることは考慮を要する。 原告らは、同建材の施工実績又は出荷量を基に、シェアについて【別紙7-2】記載のとおり主張するところ、下記の証拠によれば、建材種類②及び③の施工実績ないし出荷量の割合は、以下のとおりとなる。 昭和49年昭和51年昭和52年昭和53年 甲C50-2甲C45-3甲C53甲C34-2被告ニチアス(日本アスベスト)27.1%20.4%26.4%20.0%被告A&AM(朝日石綿工業)18.6%19.4%21.2%20.0%被告太平洋セメント(日本セメント)18.6%16.5%23.0%16.4%被告日鉄マテリアル(新日鉄化学)18.6%12.6%3.7%12.7%被告日東紡績11.4%9.7%9.2%10.0%被告バルカー(日本リンペット工事)0%0%10%0%被告ノザワ0%0%6.4%0%ウ主要曝露建材として認定できる建材の選定以下では、上記の表において施工実績ないし出荷量の割合が大きい被告 について個別に検討する。 被告ニチアス(日本アスベスト)が製造販売していた建材番号18、19、34 定できる建材の選定以下では、上記の表において施工実績ないし出荷量の割合が大きい被告 について個別に検討する。 被告ニチアス(日本アスベスト)が製造販売していた建材番号18、19、34は、【別冊1-1・2】の当該建材欄記載のとおり、いずれも昭和50年までに製造が終了している。そうすると、上記各製品が責任期間である昭和50年4月以降に相当回数にわたり本件被災者らの就労する 現場に到達した事実は認め難い。 被告A&AM(朝日石綿工業、浅野スレート)が製造販売していた建材 番号9、10(建材種類②)については、【別冊1-1・2】の当該建材欄記載のとおり、昭和50年までに製造が終了している。他方、被告A&AM(朝日石綿工業)が製造販売していた建材番号30(建材種類③)は昭和62年まで製造されているが、昭和52年度の施工実績をみると、建材種類②の施工実績推定が682万平方メートルである一方、建材種類 ③の施工実績推定は59万平方メートルであって(甲C53の119頁)、建材種類③の吹付材におけるシェアは大きなものではなく、上記製品が責任期間である昭和50年4月以降に相当回数にわたり本件被災者らの就労する現場に到達した事実は認め難い。 被告太平洋セメント(日本セメント)は、建材種類②(アサノスプレー コート・建材番号20)につき、昭和53年の製造終了までに徐々に非石綿化を進めてきた旨主張するものの、これが相当程度進んでいたことを認めるに足りる証拠はない。なお、被告太平洋セメント(日本セメント)の製造販売していた建材種類③(アサノスプレーコートウェット・建材番号35)については、乾式と湿式を区別してシェアを挙げていた甲第C5 3号証において、日本セメントの湿式のシェアが集計されていない。 ていた建材種類③(アサノスプレーコートウェット・建材番号35)については、乾式と湿式を区別してシェアを挙げていた甲第C5 3号証において、日本セメントの湿式のシェアが集計されていない。 また、被告太平洋セメントは、吹付作業と他の職工による同時並行作業は行われず、他の職工が施工階に立ち入ってはならないこととしていたから、吹付作業と並行作業をした被災者がいたとしても、それは被告太平洋セメントの製造販売した吹付材を用いた現場ではなく、現場到達事実 が認められない旨主張する。しかし、工期との兼ね合いもあり、吹付作業と他の作業は並行して行うのが一般的であった旨の陳述もあるところ(甲A366)、少なくとも被告太平洋セメントが主張するような取扱いが厳格に守られていたと認めるに足りる証拠はない。 被告日鉄ケミカル(新日鉄化学)に関しては、同被告が、自社製品の販 売数量に係る内部資料に基づいてシェアを算定した証拠を提出している (乙チ14)。同算定は、販売量(t)で記録された内部資料を分子とし、建材種類②及び③全体の施工面積(平方メートル)から生産量(t)に換算した数値を分母とするものであるが、これによると、被告日鉄ケミカルの昭和50年以降のシェアは6%弱から7%弱で推移しており、昭和52年のシェアは5.9%である。 原告らは、施工面積から生産量への換算が不正確である上、内部資料のデータが正確であるかも明らかでない旨主張するが、同換算方法は、社団法人日本作業環境測定協会作成の環境省委託事業報告書(建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル、甲A394、甲A396)において採用されているものと同一であり、一定の合理性を有すると考えられ る。前記内部資料自体も提出されており(乙チ15ないし25) 等に係る石綿飛散防止対策マニュアル、甲A394、甲A396)において採用されているものと同一であり、一定の合理性を有すると考えられ る。前記内部資料自体も提出されており(乙チ15ないし25)、こうした資料に実態と全くかけ離れた数値が記録されたとは考え難い。そして、原告ら提出の甲C53の119頁においても、新日鉄化学のシェアが4%と10%を大きく下回るものとされている(なお、前記のとおり、甲C53は、耐火吹付け材に関する資料であるが、新日本製鉄化学が、吸音・ 断熱用吹付け材を多く製造していたという証拠もない。)。 これらの点を考慮すると、被告日鉄ケミカルの建材種類②及び③におけるシェアが10%を超えるものであったとは認められない。 被告日東紡績被告日東紡績が製造販売していたのは、建材種類②としてスプレーテ ックス(耐火被覆材乾式工法。建材番号14)、スプレーテックス(断熱・内装材乾式工法、非カラー品。建材番号15、16)、スプレーテックス(断熱・内装材乾式工法、カラー品。建材番号17)、建材種類③としては、スプレーウェット(建材番号31)であったところ、建材番号14及び15は昭和50年に製造が終了し、昭和51年以降、非石綿建材に切り 替わったことが認められる。また、建材番号16は昭和55年以降、建材 番号17、31は昭和63年以降それぞれ非石綿建材に切り替わったから(甲29の14~17、31)、これら非石綿建材を考慮すると、吹付材においては非石綿建材の割合は少ないと考えられることを考慮しても、同被告のシェアの割合は建材種類②及び③において10%内外であるから、同被告のシェアは10%以上には達しないと考えられる。 以上によれば、石綿含有の吹付材である建材種類②及び③については、 同被告のシェアの割合は建材種類②及び③において10%内外であるから、同被告のシェアは10%以上には達しないと考えられる。 以上によれば、石綿含有の吹付材である建材種類②及び③については、被告太平洋セメントの製造販売していた建材種類②(建材番号20)がおおむね10%以上のシェアを有していたと認められ、その余の被告企業らについては、建材種類②及び③について、おおむね10%を超えるシェアを有していたとは認められない。もっとも、被告太平洋セメントの建材 種類②(建材番号20アサノスプレーコート)は昭和53年に製造が終了しており、建材種類③のみのシェアを認定し得る証拠はない(昭和52年度の資料(甲A53:119頁)は建材種類②も製造されていた時点のものであり、これのみからシェアを認定することはできない。)から、この点は個別原告の現場到達事実を判断する上で留意する必要がある。 石綿含有保温材(建材種類⑦、⑧及び⑩)ア用途及び特徴石綿含有保温材である石綿含有けい酸カルシウム保温材(建材種類⑦)、石綿含有バーミキュライト保温材(建材種類⑧)、石綿保温材(建材種類⑩)は、ボイラーや各種の加熱炉、配管等を保温し、熱損失を防ぐために用いら れる建材である(甲A36)。 イ建材種類⑧について建材種類⑧は粉体(粉末状)の保温材である(甲C29の59)。原告16、被災者28に関して主要曝露建材であると主張されているが、これらの被災者が新築工事現場において、粉体の保温材から石綿粉塵に曝露したと は認められない。したがって、建材種類⑧についてシェアを検討する必要性 は認められない。 ウ建材種類⑩について建材種類⑩については、原告らによるシェアの主張立証がない。ただ、国交省データベー たがって、建材種類⑧についてシェアを検討する必要性 は認められない。 ウ建材種類⑩について建材種類⑩については、原告らによるシェアの主張立証がない。ただ、国交省データベースに登録された建材種類⑩は、被告ニチアス(日本アスベスト)及び被告A&AM(朝日石綿工業)が製造した3製品のみであり(建材 番号61ないし63。甲C29の61~63)、その製造期間中、上記各被告が製造販売した製品が、いずれも相当程度のシェアを有していたと考えられる。また、建材種類⑩は、使用温度帯が建材種類⑦(けい酸カルシウム保温材)と共通しており(甲A1174・5頁)、使用部位・目的が共通していたことがうかがわれる(甲A36の2・18頁)ので、現場到達事実推 認のためのシェアとしては、建材種類⑦と⑩を合わせて検討するのが相当である。 エ建材種類⑦及び⑩のシェアの認定原告らは、建材種類⑦のシェアについて、【別紙7-3】記載のとおり主張する。このうち、原告らがシェアの根拠とする甲A489及び675によ れば、建材種類⑦の昭和50年から昭和53年までの出荷量の割合は、以下のとおりと認められる。 昭和50年昭和51年昭和52年昭和53年 甲A489甲A489甲A489甲A675被告ニチアス(日本アスベスト) 29.7% 29.7% 30.0% 32.2%被告A&AM(朝日石綿工業)20.0% 20.0% 20.0% 19.9%被告日本インシュレーション(大阪パッキング)19.7% 19.7% 19.8% 18.9%被告神島化学17.5% 15.6% 19.8% 19.1%建材種類⑦及び⑩を合算した場合のシェア資料は見当たらないものの、前記のとおり、被告ニチアス(日本アスベ % 19.8% 18.9%被告神島化学17.5% 15.6% 19.8% 19.1%建材種類⑦及び⑩を合算した場合のシェア資料は見当たらないものの、前記のとおり、被告ニチアス(日本アスベスト)、被告神島化学、被告日本 インシュレーション及び被告A&AM(朝日石綿工業)は、建材種類⑦について高いシェアを有しており、建材種類⑩も被告A&AM及び被告ニチアスのみが製造していていたことを踏まえると、両被告は、建材種類⑦及び⑩を合算しても、おおむね20%を超えるシェアを有していたと認められる。 オ被告企業らは、建材種類⑦及び⑩と競合する非石綿建材が存在し、その出 荷量は建材種類⑦と比肩する程であった旨主張するが、仮にそのような事実があったとしても、被告ニチアス及び被告A&AMがおおむね20%を超えるシェアを有していたことを踏まえれば、上記両被告は、現場到達事実が推認可能なシェアを有していたと認められる。また、建材種類⑦については、被告日本インシュレーション及び被告神島化学についてもおおむね1 0%を超えるシェアを有していたものと認められるものの、建材種類⑩は製造していないこと、建材種類⑦の競合品の存在が認められることを総合すると建材種類⑦及び⑩全体としておおむね10%を超えるシェアを有していたとは認められない。 石綿含有けい酸カルシウム板第2種(建材種類⑪)及び石綿含有耐火被覆板 (建材種類⑫)ア用途及び特徴建材種類⑪はけい酸カルシウムに石綿等の繊維を加えプレス成形して製造した建材、建材種類⑫は石綿とセメントなどの配合比を吹付石綿と同様にして工場で型枠成形した建材であり、いずれも吹付材の代わりに鉄骨造 建物の耐火被覆材として用いられた(甲A36)。 イ建材種類⑫のシェア ⑫は石綿とセメントなどの配合比を吹付石綿と同様にして工場で型枠成形した建材であり、いずれも吹付材の代わりに鉄骨造 建物の耐火被覆材として用いられた(甲A36)。 イ建材種類⑫のシェア原告らは、【別紙7-12】記載のとおりシェアを主張するところ、甲C53からは、昭和52年については、被告A&AM、被告ニチアス、日本リンペット工事が、それぞれ28%、24%、30%を超えるシェアを有して いることが認められ、その前後もこれとシェアが大きく異なるとは考えに くいことからすれば、同3社は、それぞれおおむね10%のシェアを有するものと認められる。 日本リンペット工事の製品につき、被告バルカーは製造販売したことはなく責任を負わない旨主張するが、日本リンペット工事は、被告バルカーが石綿吹付工事の施工会社として設立し(甲C11:146~149頁)、同 社に対し石綿原料を販売し(乙ユ2)、その社史で日本リンペット工事の製品を自社製品として広報するなどし(甲C26の1~3、11、13、14)、日本リンペット工事製造の建材種類③の商品名は「バルカウェット」であるなど、石綿含有建材を自社又は日本リンペット工事と共同して製造・販売したものとして、本件被災者らに対し、民法719条1項後段の類推適用によ る共同不法行為責任を負う立場にあるというべきである。 ウ建材種類⑪のシェアの認定原告らは、建材種類⑪のシェアについて【別紙7-11】記載のとおり主張する。 甲A489及びC53によれば、建材種類⑪の昭和50年から昭和52 年までの出荷量の割合は、以下のとおりと認められる。 昭和50年(出荷割合)昭和51年(出荷割合)昭和52年(出荷割合)昭和52年(施工割合) 甲 和52 年までの出荷量の割合は、以下のとおりと認められる。 昭和50年(出荷割合)昭和51年(出荷割合)昭和52年(出荷割合)昭和52年(施工割合) 甲A489甲A489甲A489甲C53被告A&AM(朝日石綿工業)16.98%16.87%16.92%21.01%被告ニチアス(日本アスベスト)14.51%15.06%15.08%24.06%被告日本インシュレーション(大阪パッキング)28.37%26.51%41.68%40.00%被告神島化学13.66%8.22%10.66%12.03%成形耐火被覆材の施工面積中、けい酸カルシウム板第2種の占める割合は、昭和50年以降、おおむね7割程度であった(甲A1177)。そうすると、被告ニチアス、被告日本インシュレーション及び被告A&AMについ ては、建材種類⑪について、おおむね10%を超えるシェアを有していたと認められるものの、被告神島化学についてはおおむね10%を超えるシェアを有していたとまでは認められない。 エ被告企業らは、建材種類⑪及び⑫は、建材種類①ないし③と用途が共通しているから、建材種類①ないし③をも合わせてシェアを検討すべきである 旨主張する。確かにこれらの建材の用途は共通しているものの、被災者の石綿粉塵曝露の態様は、職種に加え、各被災者の供述等も踏まえて認定される。 したがって、現場到達事実(建材からの粉塵曝露)の推認という観点からすると、外観が相当異なり、被災者において判別が容易な建材種類⑪及び⑫と建材種類①ないし③とを合算して検討する必要は認められない。 石綿スレート等(建材種類⑮ないし⑲)ア用途及び特徴石 、外観が相当異なり、被災者において判別が容易な建材種類⑪及び⑫と建材種類①ないし③とを合算して検討する必要は認められない。 石綿スレート等(建材種類⑮ないし⑲)ア用途及び特徴石綿スレートは石綿とセメントを主原料とした建材であり、石綿スレートボードはその形状により「波板」と区別される。石綿スレートボードの代表的製品であるフレキシブル板(建材種類⑮)は、防火性能が高く、湿度に よる膨張・収縮が少ないという特性を有しており、外装材としては軒天井に、内装材としては壁、天井等に使用された。平板(建材種類⑯)も、フレキシブル板とおおむね同様の用途で用いられたが、フレキシブル板は、湿度による影響が少ないため、浴室の壁・天井、台所の壁等にも使用された。軟質板(建材種類⑰)は、湿度による伸縮性があることから外部には使用できない 内装材であり、内装であっても、浴室や洗面所等には使用できなかった。軟質フレキシブル板(建材種類⑱)は、化粧板の基材とされることが多く、耐候性等を改善する化粧加工を施した製品については外装材として、その他の化粧加工を施した製品は内装材として使用された。(甲A36)イ建材種類⑮ないし⑲のシェアの認定 原告らは、建材種類⑮ないし⑲のシェアについて【別紙7-7】記載のと おり主張するところ、証拠(甲C44・23頁、甲C50-2・48頁、甲C45-3・48頁、甲C34・44頁、甲C39-2・23頁、甲C49・382頁、甲C40・10頁)によれば、以下のとおりのシェアが認められる。 昭和51年昭和53年主要な書証番号甲C45-3甲C34被告A&AM(朝日石綿工業、浅野スレート)36.5%32.7%被告ノザワ5.1%5.3%被告MMK( 昭和51年昭和53年主要な書証番号甲C45-3甲C34被告A&AM(朝日石綿工業、浅野スレート)36.5%32.7%被告ノザワ5.1%5.3%被告MMK(三菱セメント)12.8%11.6%上記認定によれば、建材種類⑮ないし⑲に関しては、被告A&AM(朝日 石綿工業、浅野スレート)及び被告MMK(三菱セメント)がおおむね10%を超えるシェアを有していたと認められる。被告ノザワについては、おおむね10%を超えるシェアを有していたとは認められない(なお、原告らは、甲C第43号証-3:8頁を引用して平成2年のシェアを主張するが、同証拠は提出されていない。)。 ウ建材種類㉓のシェアの認定原告らは、建材種類㉓のシェアについて【別紙7-8】記載のとおり主張するところ、証拠(甲C50-2・50頁、甲C45-3・50頁、甲C34・47頁、甲C39-2・24頁、甲C57・352頁、甲C53・48頁)によれば、以下のとおりのシェアが認められる。 昭和51年昭和53年昭和54年昭和55年昭和56年 甲C45-3甲C34、53甲C57甲C57甲C57被告ニチアス35.3%32.5%30.3%30.6%30.3%被告A&AM24.7%25.1%24%23.2%24.3%被告MMK9.4%11.8%9.6%9.8%10.1% 被告大建工業(神島化学)9.4%18.2% これによれば、建材種類㉓に関しては、被告ニチアス(日本アスベスト)及び被告A&AM(朝日石綿工業)が製造販売した製品がおおむね10%を超えるシェアを有していたと認められる。被告大 % これによれば、建材種類㉓に関しては、被告ニチアス(日本アスベスト)及び被告A&AM(朝日石綿工業)が製造販売した製品がおおむね10%を超えるシェアを有していたと認められる。被告大建工業については、昭和53年の値は10%を大幅に超えているが、昭和51年は10%を割っており、その他の資料はないことからすれば、昭和53年の値の正確性には疑問 があるから、おおむね10%を超えるシェアを有していたとは認められない。 エ被告A&AMの主張について被告A&AMは、プレハブメーカーや住宅機器メーカーへの出荷分については、建築現場では製品を組み立てるのみであって、石綿繊維を飛散させ ることはないとして、シェア計算においてこれらメーカーへの出荷分を除外すべきであると主張する。しかしながら、二次加工メーカーへの出荷割合が50%程度あり(乙キC1)、自社関連で使用した建材が相当ある(乙キD1)としても、被告A&AMのシェアが概ね25%前後あること、現場での組み立てに際し、発じんの可能性が完全に否定されるかは疑問であるこ となどに照らすと、被告A&AMの主張を考慮したとしても、シェアは概ね10%を超えていたと見るのが相当である。 オ被告ニチアスの主張について被告ニチアスは、自社の製造販売していた建材種類㉓は主に中高層ビル等の非住宅の現場で使用され、戸建住宅ではほとんど使用されなかったと 主張するところ、証拠(乙マ1032・21頁、1033・62頁、1045)によれば、昭和50年頃の出荷先は非住宅が90%であり、中でも中高層建築の需要が圧倒的に多く、その傾向はその後も続いていたことが認められる。したがって、戸建住宅の建設に従事した本件被災者の就労現場に被告ニチアスの上記製品が到達したかどうかの認定においては も中高層建築の需要が圧倒的に多く、その傾向はその後も続いていたことが認められる。したがって、戸建住宅の建設に従事した本件被災者の就労現場に被告ニチアスの上記製品が到達したかどうかの認定においては、この点に留 意する必要がある。 石綿含有ロックウール吸音天井板(建材種類㉔)ア用途及び特徴同建材は、主に住宅、事務所、学校、講堂、病院等の天井に不燃・吸音天井板として使用された内装材(天井材)である(甲A36)。 同建材は、天井材の分野において、不燃面では化粧石膏ボードと、断熱面や吸音面ではインシュレーションボード(木質系天井板)とそれぞれ競合するなど、競合品が非常に多い建材であった(甲A1149、1150、甲A1174)。昭和51年の建材種類㉔が占める出荷面積の割合は、住宅用天井材において5.3%、非住宅用天井材において22.0%である(甲A1 150)。同建材の製造は、昭和62年には終了した。 イシェアの認定の要否前記アによれば、多数回天井材を取り扱っていた被災者が建材種類㉔を多数回取り扱ったとは直ちにいい難い。原告らは、建築に当たって特定の種類の天井材しか用いられないことはないから、天井材全体の中でのシェア を算出することには大きな意味合いはない旨主張する。しかし、天井材全体の中で建材種類㉔が占める割合が低くなれば、当該作業従事者が建材種類㉔を取り扱う頻度も低くなると考えられるから、原告らの主張は採用することができない。 したがって、建材種類㉔についてシェアを検討する必要性は認められな い。 石綿セメント管(建材種類㊵)ア用途及び特徴水道管として昭和20年代後半から使用されたが、強度が低いこと等を理由に昭和43年以降、新たな使用が中止された。 められな い。 石綿セメント管(建材種類㊵)ア用途及び特徴水道管として昭和20年代後半から使用されたが、強度が低いこと等を理由に昭和43年以降、新たな使用が中止された。 イシェアの認定 データベースでは、被告クボタ及び被告リソルの2製品(建材番号2076及び2077)のみが記載されているところ、被告クボタは昭和50年には製造を終了しているから、被告リソルは10%を超えるシェアを有していたものと認められる。 石綿セメント円筒(建材種類㊶) ア用途及び特徴同建材は、石綿セメントを原料とするパイプ状製品の総称であり、煙突、排気管、上下水道管・雑排水管等に用いられた(甲A36)。 イシェアの認定原告らは、同建材のシェアについて【別紙7-10】記載のとおり主張す る。 建材種類㊶のうち、証拠(甲C64)によってシェア認定できるものは、被告A&AMの製造販売していた浅野耐火パイプ(建材番号2088)である。同製品は、耐火被覆塩ビ管(硬質塩ビ管の外面に繊維強化モルタル等を被覆した製品。いわゆる「トミジ管」である。)であり、主にマンション、 ホテル、学校等の汚水管及び雑排水管として用いられた。上記証拠によれば、浅野耐火パイプは、昭和60年には17%(うち10%は三菱樹脂名義で販売するOEM加工品)、昭和61年には21%(うち12%は三菱樹脂名義で販売するOEM加工品)のシェアを有していたことが認められる。 以上を踏まえると、被告A&AMは、建材種類㊶のうち、耐火被覆塩ビ管 について、おおむね10%を超えるシェアを有していたと認められる。 ウ被告A&AMの主張について被告A&AMは、シェア認定に際しては、OEM加工品を除外するべきである旨主張するが、 管 について、おおむね10%を超えるシェアを有していたと認められる。 ウ被告A&AMの主張について被告A&AMは、シェア認定に際しては、OEM加工品を除外するべきである旨主張するが、他社名義で販売するのであるとしても、製造する以上は前記第5の警告義務を負うと解すべきである。 また、被告A&AMは、石綿セメント円筒(浅野煙突、火口煙突)が屋外 で使用される建材であると主張する(乙キC7)。確かに、煙突については、屋外で使用される建材であるといえるが、耐火被覆塩ビ管(トミジ管)については、用途は上記イのとおりであり、専ら屋外で使用される建材であるとはいえない。 混和剤(建材種類㊸) ア用途、特徴及びシェアの認定同建材は、モルタルに混ぜることで左官作業の作業性を向上させる(滑らかにモルタルを塗ることができるようになる、作業後のひび割れが少なくなるなど)ために使用される粉末である。同建材に関しては、被告ノザワが昭和31年から平成15年まで販売した「テーリング」が圧倒的なシェアを 有しており、混和剤のことを「テーリング剤」と呼ぶ左官も多かった。(甲A2006・3頁、C1006、C1007、弁論の全趣旨)イ被告ノザワの主張について被告ノザワは、石綿の代替物質としてセピオライトを用い、種々の条件下で混合・混錬作業を行い、粉塵濃度等を測定したところ、最高でも管理濃度 は0.17本/㎤、時間荷重平均濃度は0.091本/㎤と、低い数値であった(乙ラ13)として、石綿関連疾患に関する単独惹起力があるとはいえない旨主張する。 しかし、同測定は、代替物質を使用した測定にすぎない上、できるだけ粉塵が立たないように作業を行った結果(乙ラ26)というのであるから、同 測定結果に基づ 力があるとはいえない旨主張する。 しかし、同測定は、代替物質を使用した測定にすぎない上、できるだけ粉塵が立たないように作業を行った結果(乙ラ26)というのであるから、同 測定結果に基づいて、およそ建材種類㊸を用いた作業を行う際にわずかな粉塵曝露しか生じなかったとは認め難い。被告ノザワは、粉塵が生じれば他の作業員から苦情が出るなどするから、なるべく粉塵が立たない方法での作業を前提とするのが相当である旨主張するものと解されるが、実際の建設現場では様々な環境や作業方法があり得るから、そのような前提に立つ のが相当とはいえない。被告ノザワの主張は採用することができない。 小括前記ないしにおいて、おおむね10%を超えるシェアを認めた建材及び被告らは、次のとおりとなる。 ア建材種類②及び③ 被告太平洋セメントイ建材種類⑦及び⑩ 被告ニチアス、被告A&AM ウ建材種類⑪ 被告ニチアス、被告A&AM、被告日本インシュレーション建材種類⑫ 被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカーエ建材種類⑮ないし⑲ 被告A&AM、被告MMK オ建材種類㉓被告ニチアス、被告A&AMカ建材種類㊵被告リソルキ建材種類㊶(耐火被覆塩ビ管) 被告A&AMク建材種類㊸被告ノザワ 6 本件被災者についての個別の現場到達の有無 原告1ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告1は、職歴①昭和38年4月~昭和43年3月・O工務店、職歴②昭和43年4月~昭和48年3月・P工務店、職歴③昭和48年4月~昭和54年3月・Q工務店、職歴④昭和54年3月~昭和61年3月・大栗建設、 職歴⑤昭和61年4月 43年3月・O工務店、職歴②昭和43年4月~昭和48年3月・P工務店、職歴③昭和48年4月~昭和54年3月・Q工務店、職歴④昭和54年3月~昭和61年3月・大栗建設、 職歴⑤昭和61年4月~平成2年3月・S工務店、職歴⑥平成2年4月~平成7年4月・宮本木材、職歴⑦平成9年5月~平成21年8月・U工務店にそれぞれ大工として勤務し、職歴⑤の期間に鉄骨造建物の工事にわずかに従事し、鉄筋コンクリート造建物に数件程度従事した以外は、木造戸建住宅の工事がメインであり、従事現場は概ね年間4、5棟であり、ほとんどが新 築工事であった。内装材に関し、電動工具(丸のこ、ジグソー)によるボー ドの切断、研磨、穿孔等の作業を屋内で行い、その際に発生した粉塵に曝露した(甲F1-1-1、1-3、1-4)。 イ現場到達事実(甲F1-3、1-4)原告1は、主要曝露建材が、建材種類⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 原告1は、電動工具等を用いて石綿含有スレートを含むボード類を切断加工する作業において石綿粉塵に曝露したから、建材種類⑮ないし⑲、㉓が主要曝露建材に当たる。建材種類㉔は、天井板全体における同建材のシェアに照らすと、現場到達事実は認められない。 また、建材種類㉓のうち被告ニチアスが製造販売した製品については、主 に中高層ビル等の非住宅の現場で使用されており、主として木造戸建住宅に多く従事していた同原告の現場に多数回にわたり到達していたとは認められない。 そして、上記各建材(⑮~⑲、㉓)につき使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、原告1については、上記各建材につ き高いシェアを有していた被告A&AM及び被告MMKの製造販売してい 各建材(⑮~⑲、㉓)につき使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、原告1については、上記各建材につ き高いシェアを有していた被告A&AM及び被告MMKの製造販売していた製品について現場到達事実が認められる。 原告2ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告2は、職歴①昭和44年7月~同45年3月・今井工業、職歴②昭和 45年4月~平成23年3月・自営により、シャッター工として、火災時における延焼防止と避難路確保のために建物の開口部に鋼鉄製重量シャッターを取り付ける作業を行い、新築工事が8割、改修が2割であり、電気配線工事に伴い躯体に吹付けられた吹付材を剥離することにより石綿粉塵に曝露した(甲F2-1-1、2-3)。 イ現場到達事実 原告2は、主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿吹付含有ロックウール、③湿式石綿含有吹付材であると主張する。 建材種類①は責任期間には製造が終了しているから除外される。原告2は、シャッター設置に際し、吹付けられた吹付材をそぎ落とすなどの作業に際して石綿粉塵に曝露したから、建材種類②及び③が主要暴露建材である と認められ、使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、同建材の一定シェアを有していた被告太平洋セメントの製造販売していた製品は現場到達事実が認められる。 原告3(被災者3)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容 被災者3は、職歴①昭和61年~昭和63年5月・藤仮設、②昭和63年~平成2年・青村技研、職歴③平成2年~平成10年・川端班(川辺工業)、職歴④平成10年~平成13年・藤仮設、職歴⑤平成13年~平成20年・佐藤工業、職歴⑥平成20年~平成23年・株式会社小河原組、職歴 成2年・青村技研、職歴③平成2年~平成10年・川端班(川辺工業)、職歴④平成10年~平成13年・藤仮設、職歴⑤平成13年~平成20年・佐藤工業、職歴⑥平成20年~平成23年・株式会社小河原組、職歴⑦平成23年~平成27年・株式会社吉永工業、職歴⑧平成27年~平成30年・ 有限会社松崎建設、職歴⑨平成30年から数か月・山野井のうち、①の期間を除き、組立工として、足場の組立及び解体作業の他、内装解体作業、壁や天井等の解体作業等を行っており、足場解体作業時に足場に残っている石綿粉塵を曝露したりしたほか、内装材の解体作業に伴う石綿粉塵の曝露もあった(甲F3-1-1、3-1-2等)。 イ現場到達事実原告3は、同被災者の主要曝露建材は、建材種類②石綿吹付含有ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材種類㉔については、天井板全体における同建材のシェアに 照らすと、現場到達事実が認められない。 同被災者は、職歴①ではビル解体作業、職歴②では主に一般住宅の増築等、職歴③では内装下地工事での吹付材の剥離に従事した旨の聴取を受けており(甲F3-1-2)、吹付材(②③)による粉塵曝露は職歴①及び③であると推認されるが、職歴①の解体作業について被告企業らは責任を負わない上、職歴③時点では、既に石綿含有吹付材の製造は終了していたから、同 被災者が職歴③以降に吹付材から石綿粉塵曝露を受けたとは認められない。 さらに、作業歴情報(甲F3-1-1の7、8枚目)には、吹付材による曝露経験が挙げられておらず、最も長時間を要したとされる足場の組立は、吹付工が利用するためにその作業前に組み立てを終えるものであるから(証人H3 (甲F3-1-1の7、8枚目)には、吹付材による曝露経験が挙げられておらず、最も長時間を要したとされる足場の組立は、吹付工が利用するためにその作業前に組み立てを終えるものであるから(証人H3 13、14頁)、足場解体の際の曝露を考慮しても吹付材によ る曝露は相対的に少なかったものと推認される。 さらに、被災者3は、足場の設置、組立、解体作業の他、内装材・壁・天井等をバール等で叩いて解体する作業に従事していたと陳述する(甲F3-3:4、5頁、証人H35、6頁)が、被災者3が新規の内装材を加工したなどの事実は認められず、既設の内装材に関する作業であり、被告企業ら の責任期間内に製造された製品による曝露であるとは認められない。 そうすると、被災者3については、責任期間前に製造された吹付材又は内装材が主要暴露建材である可能性が高く、被告企業らが責任期間内に製造した石綿含有建材が主要曝露建材であるとは認められない。 よって、その余について検討するまでもなく、原告3の被告企業らに対す る請求は理由がない。 原告4(被災者4)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者4は、職歴①昭和33年~昭和42年・株式会社日展、職歴②昭和43年~昭和48年・個人、職歴③昭和48年~平成4年・有限会社東京展 装経営、職歴④平成4年~平成23年・個人事業者として、大工として、主 として、商業施設内の各店舗の内装の改修作業に従事しており、ボード類の他、吹付材などにより石綿粉塵に曝露した。昭和50年以降に同被災者が従事した現場は、全て内装の改修工事であり(甲F4-1-2の9項)、主として壁の不燃材などの剥離作業(甲F4-4:2枚目)により石綿粉塵に曝露した。 イ現場到達事実原告4は、被災者4の主 事した現場は、全て内装の改修工事であり(甲F4-1-2の9項)、主として壁の不燃材などの剥離作業(甲F4-4:2枚目)により石綿粉塵に曝露した。 イ現場到達事実原告4は、被災者4の主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち吹付材(①~③)については、取扱った材料に吹付材の記載はな く、既設建材の剥離に関し吹付材による石綿粉塵曝露の可能性があるが、これらが責任期間内に製造されたものであると認めるに足りる証拠はない。 建材種類㉔については天井板全体における同建材のシェアに照らし、現場到達事実が認められない。 その他のボード類(⑮~⑲、㉓)については、被災者4の業務内容から見 て、主要曝露建材であると認められるところ、被告ニチアスの㉓は大規模高層ビルでの使用がほとんどであるから、㉓につき被告ニチアスの製造建材の現場到達事実は認められない。使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMが製造した製品につ き現場到達事実が認められる。 原告5ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告5は、左官工として、職歴①昭和43年8月~昭和49年4月・高井左官、職歴②昭和49年4月~昭和56年12月・有限会社有村左官工業に、 大工として職歴③昭和57年1月~平成11年6月・有限会社佐々木GL 工業、職歴④平成11年7月~平成26年5月・自営に従事し、左官工としては、大手ゼネコンの現場におけるものも含め、共同住宅、店舗事務所、学校・幼稚園、劇場百貨 ・有限会社佐々木GL 工業、職歴④平成11年7月~平成26年5月・自営に従事し、左官工としては、大手ゼネコンの現場におけるものも含め、共同住宅、店舗事務所、学校・幼稚園、劇場百貨店、工場等の工事現場において左官工の職務を行い混和剤により、大工としては、上記と同様の現場で大工(ボード工)の職務を行い、内装材、天井材などの切断、穿孔、研磨等の作業において発生した石 綿粉塵に曝露した(甲F5-1-1、5-3)。 イ現場到達事実原告5は、主要曝露建材が、建材種類⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板、㊸混和剤であると主張する。 建材種類㉔につき、原告5は、職歴③の際に被告日東紡績が製造するソー ラトン(建材番号1021~1025)とミネラートン(建材番号1026)を9対1の割合で使用していたと陳述する(甲F5-3の4頁)が、ミネラートンは昭和44年に製造終了となり、ソーラトンも職歴③での勤務が開始された昭和57年までには1種類を除き製造終了になり、残りの1種類(建材番号1025「ソーラトン本実深彫り品」)は昭和62年まで製造さ れたものの、その特殊な名称に照らすと大きなシェアを有していたとは考えにくく(甲C29の1021~1026)、原告5の陳述の信用性には疑問がある。よって、同原告が被告日東紡績の製品を使用したとは認められない。また、天井材全体における同建材のシェアに照らすと、建材番号㉔の現場到達事実は認められない。 原告5が従事した作業内容に照らすと、主要曝露建材は⑮~⑲、㉓であると認められる。建材種類㉓については、原告5は被告ニチアスの製品を使用した旨を陳述し、ゼネコンが元請けとされる現場が相当程度含まれることからすれば、被告ニチアスの製造建材について現場 ~⑲、㉓であると認められる。建材種類㉓については、原告5は被告ニチアスの製品を使用した旨を陳述し、ゼネコンが元請けとされる現場が相当程度含まれることからすれば、被告ニチアスの製造建材について現場到達事実が認められる。 その他使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからす れば、建材種類⑮~⑲については高いシェアを有する被告A&AM及び被 告MMK、建材種類㉓につき被告ニチアス、被告A&AM、建材種類㊸につき被告ノザワの製品につき現場到達事実が認められる。 原告6(被災者6)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者6は、職歴①昭和38年~昭和49年・君島左官、職歴②昭和50 年~昭和61年・有限会社iを経営、職歴③昭和62年~平成15年・宮下タイル、j店、佐々木土木において、左官として、木造戸建住宅の新築改修工事に従事し、現場でモルタルを作るためセメントの混錬作業を行い、その際混和剤を投入し、これが舞い上がって飛散し、石綿粉塵に曝露した(甲F6-1-1)。 イ現場到達事実原告6は、被災者6の主要曝露建材は、建材種類㊸混和剤であると主張する。 被災者6は、セメントの混錬作業において混和剤を投入し、これが舞い上がって飛散し、石綿粉塵に曝露したことが認められるから、混和剤が主要暴 露建材であり、同建材につき高いシェアを有していた被告ノザワが製造した「テーリング」の現場到達事実が認められる。 原告7ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告7は、職歴①昭和36年7月~昭和54年・阿部電業、職歴②昭和5 4年~平成10年・金子電機、職歴③平成11年~平成26年12月・金子電機(イーシー電設工業)において、電工として、鉄筋コンクリート造建物80%、 年7月~昭和54年・阿部電業、職歴②昭和5 4年~平成10年・金子電機、職歴③平成11年~平成26年12月・金子電機(イーシー電設工業)において、電工として、鉄筋コンクリート造建物80%、鉄骨造建物20%の割合で従事し、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、倉庫等につき90~100%は新築工事(なお、③の期間は約50%程度)、現場数 は合計500程度である。吹付材に隠れたインサートを露出させるために、 ドライバーやバールで吹付材をそぎ落とす際や、配線等のためのボード類の切断や開口に際し石綿粉塵に曝露した。また、耐火被覆作業に際し、耐火仕切板を切断して設置する際にも石綿粉塵に曝露した(甲F7-1-1、7-3)。 イ現場到達事実 原告7は、主要曝露建材は、建材種類①~③、⑪、⑫、⑮~⑲、㉓及び㉔であると主張する。 上記アの作業内容に照らせば、原告7は、吹付材、ボード類、耐火仕切板から石綿粉塵に曝露したものといえる。 このうち、建材種類①は責任期間には製造が終了しており主要暴露建材 であるとはいえない。また、建材種類㉔は天井材全体におけるシェアに照らすと現場到達事実は認められない。 原告7の従事した現場には中高層の非住宅建物の工事も相当程度含まれており、被告ニチアスの製造した建材種類㉓も使用されたものと推認され、これに反する事情は認められない。 よって、主要曝露建材は、建材種類②、③、⑪、⑫、⑮~⑲、㉓であり、使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、②③につき被告太平洋セメント、⑪⑫につき被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカー及び被告日本インシュレーション、⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき て特段の証拠がないことからすれば、②③につき被告太平洋セメント、⑪⑫につき被告ニチアス、被告A&AM、被告バルカー及び被告日本インシュレーション、⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告ニチアス、被告A&AMが製造した製品につ き現場到達事実が認められる。 原告8ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告8は、職歴①昭和61年9月~平成5年5月・幸信建設、職歴②平成6年11月~平成7年6月・株式会社多摩リノベーション、職歴③平成8年 1月~平成29年秋・G(自営)につき、いずれも大工として、①の期間は、 軽量鉄骨造戸建・共同住宅、②は木造戸建の外壁・軒天の改修工事、③は木造戸建住宅の改修、木造、軽量鉄骨造共同住宅の内装改修を行い、屋根材、外壁材、内壁材、間仕切り材などの切断、穿孔等の加工において、石綿粉塵に暴露した(甲F8-1-1)。 イ現場到達事実 原告8は、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑯、㉓、㉔、㉝、㉟及び㊸であると主張する。 このうち建材種類㉝及び㉟は外装建材であるから被告企業らは責任を負わない。また、㉔は天井材全体におけるシェアに照らすと現場到達事実が認められない。建材種類㊸は原告8が自ら取扱ったとの証拠はなく、改修工事 の際の既存の混和剤からの曝露について被告企業らに責任はない。 すると建材種類⑮~⑯、㉓が主要曝露建材になるところ、被告ニチアスの製造建材は、大規模ビル向けであって、同原告の現場への到達事実が認められない。使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、建材種類⑮~⑯については被告A&AM及び被告MMK、㉓について は被告A&AMの製造した製品の現場到達事実が認められる。 原告9ア石綿粉塵に曝露した作業期間 拠がないことからすれば、建材種類⑮~⑯については被告A&AM及び被告MMK、㉓について は被告A&AMの製造した製品の現場到達事実が認められる。 原告9ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告9は、職歴①昭和38年5月~平成28年8月の間電工として、鉄筋コンクリート造建物40~70%、鉄骨造建物20~55%、木造5~1 0%の割合で建築工事に従事し、うち60~90%が新築、改修が40~10%であった。主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場百貨店、工場、倉庫等の新築工事に従事し、現場数は合計1500現場程度である。吹付材に隠れたインサートを露出させるために、ドライバーやバールで吹付材をそぎ落とす際、また、耐火被覆作業や 照明の取付作業に当たり耐火仕切板、天井材、内装材を切断する際に石綿粉 塵に曝露した(甲F9-1-1、9-1-2)。 イ現場到達事実原告9は、主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材種類①は責任期間には製造が終了しており、主要暴露建材であるとはいえない。建材種類㉔は天井材全体のシェアに照らすと現場到達事実は認められない。原告9の従事した現場には中高層の非住宅建物の工事も相当程度含まれており、被告ニチアスの製造した建材種類㉓も使用されたものと推認され、これに反する事情は認められない。 原告9の作業内容に照らすと、建材種類②、③、⑮~⑲、㉓が主要曝露建材と認められるところ、使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、建材種類②、③につき高いシェ い。 原告9の作業内容に照らすと、建材種類②、③、⑮~⑲、㉓が主要曝露建材と認められるところ、使用したメーカーや製品名について特段の証拠がないことからすれば、建材種類②、③につき高いシェアを持つ被告太平洋セメント、⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AM及び被告ニチアスが製造した製品につき現場到達事実が認められる。 原告10(被災者10)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者10は、職歴①昭和55年4月~平成3年7月・隆栄電業社、職歴②平成3年8月~平成10年11月・有限会社隆栄電設工業、職歴③平成10年11月~平成26年1月・k電気において、約34年、電工として、鉄 筋コンクリート造建物60%、鉄骨造建物40%の割合で従事し、うち60%が新築、40%が改修であった。主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物の共同住宅、店舗事務所、学校幼稚園、劇場、百貨店の新築改修工事に従事した。吹付材に隠れたインサートを露出させるために、ドライバーやバールで吹付材をそぎ落とす際、照明の取付作業に当たり天井材、内装材を切断す る際に石綿粉塵に曝露した(甲F10-1-1、10-1-2)。 イ現場到達事実原告10は、被災者10の主要曝露建材は、建材種類②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材種類②は、1製品を除き除き昭和55年までに製造が終了 しているから、被災者10の作業期間中に現場到達があったとは認められない。建材番号㉔は天井板全体のシェアに照らすと、現場到達事実が認められない。被告ニチアス製造の㉓は大規模ビル等向けがほとんどであるところ、 ら、被災者10の作業期間中に現場到達があったとは認められない。建材番号㉔は天井板全体のシェアに照らすと、現場到達事実が認められない。被告ニチアス製造の㉓は大規模ビル等向けがほとんどであるところ、改修工事を除いて、被災者10が、こうした大規模現場に従事したことを認める証拠はない。 そうすると主要曝露建材は、建材種類③、⑮~⑲、㉓となるところ、使用したメーカーや製品名につき特段の証拠がないことからすれば、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品の現場到達事実が認められる。なお、建材種類③単独でシェアを算定し得る証拠がないことは前記のとおりであるから、 これについては責任被告を特定することはできない。 原告11(被災者11)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者11は、職歴①昭和36年5月~昭和37年4月・株式会社田中修二商店、職歴②昭和37年5月~昭和41年12月・自営、職歴③昭和42 年~平成13年4月・蔵王産業有限会社で、運転手として、建材を運搬し、職歴②以降は、解体作業中の現場の廃材を回収し、処分場まで運搬し、廃材を下ろす作業もしていたほか、廃材を自らバールを用いてばらすこともあり、主として木造戸建て住宅の外装材、内装材のいずれも運搬し、石綿粉塵に曝露した(甲F11-1-1、11-1-2、11-3、11-6)。 イ現場到達事実 原告11は、被災者11の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲石綿含有スレートボード、㉓石綿含有けい酸カルシウム板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板、㉝住宅屋根用化粧スレート、㉟窯業系サイディングであると主張する。 被災者11は、新規建材を現場に運搬し、廃材を回収・運搬・廃棄を行 含有けい酸カルシウム板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板、㉝住宅屋根用化粧スレート、㉟窯業系サイディングであると主張する。 被災者11は、新規建材を現場に運搬し、廃材を回収・運搬・廃棄を行っ ているところ、建築現場に運搬する建材により石綿粉塵曝露を受けることは考えにくいから、石綿粉塵曝露は、解体現場から出た廃材によるものと認められる。解体作業従事者に対し、被告企業らは責任を負わないことは前記のとおりであり、専ら解体作業に関連して廃材の運搬を行う被災者11についても、被告企業らの責任は認められない。 原告12ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告12は、職歴①昭和36年4月~昭和45年3月・V工務店、職歴②昭和45年4月~平成30年7月・W工務店において、大工として主に木造戸建住宅(約80%)、鉄筋造建物の共同住宅(約20%)の工事に従事し、 新築・改修工事がそれぞれ50%程度であった。全期間における現場数は概ね1000件であり、新築は年間4件、改修は年間30件程度であった。新築工事においては建材の切断、加工、改修工事においては内装材の取り壊し、新しい建材による改修作業を行ない、電動工具による材料の切断に際し、石綿粉塵を暴露した(甲F12-1-1)。 イ現場到達事実原告12は、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲石綿スレートボード、㉓ケイカル板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材番号㉔については、天井板全体におけるシェアは低いものの、原告12は、被告大建工業と被告日東紡績の製品をよく使った、被告大 建工業がほとんどだったような記憶であると陳述し(甲F12-3)、被告 大建工業の建材である「ロックウール化粧板ダイロートン」につ 工業と被告日東紡績の製品をよく使った、被告大 建工業がほとんどだったような記憶であると陳述し(甲F12-3)、被告 大建工業の建材である「ロックウール化粧板ダイロートン」につき写真撮影報告書を提出する(甲F12-6)ことからすれば、同報告書の建材自体は平成7年頃の非石綿建材であるものの、少なくとも被告大建工業の天井板が継続して使用されていたことが推認されるから、被告大建工業の製造した㉔については現場到達事実が認められる。㉓について同原告は、ゼネコン が元請となる現場に従事した経験はないと述べているから(同原告19~20頁)、ゼネコンが元請けとなるような大規模現場に主として出荷された被告ニチアスの㉓については現場到達事実が認められない。 よって、建材種類⑮~⑲、㉓、㉔が主要曝露建材に該当するところ、建材種類、⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AM、 ㉔につき被告大建工業の製造した製品については現場到達事実が認められる。なお、原告12は、被告積水化学、松下電工(被告ケイミュー)の製品を使用したとも陳述するが、その建材種類、時期、石綿含有の有無などは明らかではなく、現場到達事実を認めるに足りない。 原告13(被災者13) ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者13は、職歴①昭和34年5月~昭和46年10月・有限会社砂子工務店、職歴②昭和46年11月~昭和57年12月・自営、職歴③昭和58年1月~昭和63年12月・株式会社松本ハウス、職歴④平成元年1月~平成9年5月・有限会社馬渕工務店、職歴⑤平成9年6月~平成22年・自 営において、大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事、鉄筋コンクリート造りの共同住宅の改修工事に従事し、内装材、天井材、間仕切り材などの 限会社馬渕工務店、職歴⑤平成9年6月~平成22年・自 営において、大工として主に木造戸建住宅の新築改修工事、鉄筋コンクリート造りの共同住宅の改修工事に従事し、内装材、天井材、間仕切り材などの内装材の切断、加工に際し、石綿粉塵に曝露した(甲F13-1-1、13-1-3)イ現場到達事実 原告13は、被災者13の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレー トボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材番号㉔は天井板全体におけるシェアに照らすと、現場到達事実が認められない。また、同被災者は大規模工事現場での従事経験がないから、被告ニチアスの㉓の現場到達事実は認められない。 よって、被災者13の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓であるところ、 使用したメーカーや製品名につき特段の証拠はないから、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品につき現場到達事実が認められる。 原告14(被災者14)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容 被災者14は、職歴①昭和40年4月~昭和47年3月・汐見建設、職歴②昭和47年4月~平成17年7月・X工務店、職歴③平成17年7月~平成29年・自営において、大工として、主に木造戸建住宅の新築工事、約3割は鉄骨造建物改修工事に従事し、ボード類の他、吹付材などにより石綿粉塵に曝露した(甲F14-1-1、14-1-2)。 イ現場到達事実原告14は、被災者14の主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材種類 主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 このうち、建材種類①は責任期間には製造を終了しており現場到達事実 は認められない。また、同被災者の現場は木造建物新築が7割、鉄骨造建物改修が3割であることからすれば、新規の吹付材による石綿粉塵曝露は限定的であるといえる。そうすると責任期間内に製造された建材種類②及び③は主要曝露建材であるとまではいえない。 また、㉔は、天井板全体におけるシェアに照らせば現場到達事実は認めら れない。なお、被災者14を雇用していた兄であるJは、㉔は被告大建工業、 被告日東紡績の商品をよく使った、特に被告日東紡績のソーラトンはよく使った記憶であると陳述する(甲F14-3)ものの、陳述書作成当時、Jは認知症にり患し、適切な会話が成り立たない状態であったこと(甲F14-1-2:4枚目)からすれば、その供述内容を直ちに採用することはできないし、また客観的な裏付けもない。被災者自身も㉔を使用したとの陳述等 はしていない。同建材について現場到達事実は認められない。 そうすると、建材種類⑮~⑲、㉓が主要曝露建材となるところ、被告ニチアスの㉓は大規模工事向けであるから現場到達事実が認められない。よって、建材種類⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMが製造した製品につき現場到達事実が認められる。 原告15(被災者15)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者15は、職歴①昭和35年4月~昭和43年1月・神谷瓦店、職歴②昭和43年1月~昭和54年3月・安藤屋根工事店、職歴③昭和54年4月~平成18年・株式会社ミシマ屋根 した作業期間及び作業内容被災者15は、職歴①昭和35年4月~昭和43年1月・神谷瓦店、職歴②昭和43年1月~昭和54年3月・安藤屋根工事店、職歴③昭和54年4月~平成18年・株式会社ミシマ屋根工事部、職歴④平成18年~平成22 年、自営において、屋根工として、主に新築の木造工事の屋根工事作業に従事し、建材種類㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレートを電動工具で切断・加工する作業で、石綿粉塵に曝露した。なお、外壁のサイディング作業には従事していない(甲F15-1-1)。 イ現場到達事実 原告15は、被災者15の主要曝露建材は、建材種類㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレートであると主張する。 しかしながら、被災者15は、屋根工であって、専ら屋外における作業に従事していたものであるから、建材種類㉝の現場到達事実が認められるとしても、建材メーカーである被告企業らは責任を負わない。 被災者15が屋内作業に相当程度従事していたとの原告15の主張が理 由のないことは前記のとおりである。 原告16ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告16は、職歴①昭和45年7月~昭和48年2月は東洋商工有限会社、職歴②昭和48年3月~同年7月は株式会社むらやま、職歴③昭和48 年8月~昭和56年7月は多田設備有限会社、職歴④昭和56年8月~平成19年3月の間は自営業により、配管工として、支持金具の取付けのための吹付材の削り落とし作業、保温材の取り外し、石綿セメント管(トミジ管)の切断加工、破壊などの作業を行う際に石綿粉塵に曝露した(甲F16-1-1、16-1-2)。 イ現場到達事実原告16は、主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑦石綿含有けい酸カ 塵に曝露した(甲F16-1-1、16-1-2)。 イ現場到達事実原告16は、主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑦石綿含有けい酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑩石綿保温材、㊵石綿セメント管、㊶石綿セメント円筒であると主張する。 しかし、職歴①及び②は責任期間前であり、同原告の陳述書(甲F16-3)によれば、職歴③では戸建住宅の給排水の配管工事として、ほぼトイレの改修工事を行っており、ビルの新築に関わったのは職歴④の昭和56年8月から5、6年程度で、3階建て程度のビルがほとんどであり、ビル従事の割合は2割、そのうち新築が7割であり、平成に入ってからは木造建物の 下水工事がほとんどであったとされる。 建材種類①は昭和50年には製造が終了し、建材種類②も昭和53年10月以降は石綿含有量が0ないし5%程度となっていたこと、建材種類③は②と比べて出荷量が少なかったことに加え、ビルの新築に関わった期間やビル従事の割合が低いこと、配管工事は、コンクリート打設後すぐに1階 から順番に施工するため、躯体に吹付材が吹付けられる前に作業すること が多く(甲F16-3:4頁)、インサートを用いず、デッキプレートの波板にドリルで穴を開けたり、吹付材を剥がしたりしたなどの原告16の陳述する吹付と配管工事の順番については一般的な手順と異なり(甲F16-7)直ちに採用することができないことなどに照らすと、吹付材(①~③)が主要曝露建材であるとは認められない。 保温材(⑦⑧⑩)について、原告16は、保温材の取付けはほとんど専門の保温工が施工していたと陳述しており(甲F16-3:6頁)、保温材は主要暴露建材であるとは認められない。また、 られない。 保温材(⑦⑧⑩)について、原告16は、保温材の取付けはほとんど専門の保温工が施工していたと陳述しており(甲F16-3:6頁)、保温材は主要暴露建材であるとは認められない。また、改修工事において保温材の剥離を行ったと陳述するが、責任期間前に施工されたものと推認される。 建材種類㊵について、被告クボタは昭和50年には生産を終了しており、 また、昭和43年には㊵を使用した水道施設の新設が中止されており、原告16がこれを使用した頻度は低いと推認されるから、主要曝露建材とはいえない。 建材種類㊶につき、木造建物の給排水には塩ビ管が用いられ、トミジ管の使用は鉄骨造、鉄筋コンクリート造、あるいは集合住宅などで全体の2割程 度にすぎない(甲F16-3:8頁)ものの、同原告が、5~6年程度は2割程度ビル工事に従事し、新築工事が7割程度であったことを踏まえると主要暴露建材であるといえる。 そうすると、主要曝露建材は㊶であり、被告A&AMの製品の現場到達事実が認められる。 原告17ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告17は、昭和41年6月から左官工として主として木造戸建住宅の新築改修工事等に従事した後、職歴①昭和50年~平成9年3月・東島ガラス、職歴②平成9年3月~平成11年8月・有限会社山田硝子、職歴③平成 11年8月~平成18年5月・有限会社正森板ガラス、職歴④平成18年8 月~平成29年12月・有限会社山田硝子において、ガラス工として主として鉄骨造又は鉄筋コンクリート造の工場の新築・改修・解体工事に従事し、窓枠にガラスを設置する際に吹付材などの除去に際し、石綿粉塵に曝露した(甲F17-1-1、17-1-2、17-3)。 イ現場到達事実 原告17は、主要曝 場の新築・改修・解体工事に従事し、窓枠にガラスを設置する際に吹付材などの除去に際し、石綿粉塵に曝露した(甲F17-1-1、17-1-2、17-3)。 イ現場到達事実 原告17は、主要曝露建材は、建材種類①石綿吹付材、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材であると主張する。 このうち、建材種類①については責任期間には製造を終了しているから現場到達事実は認められない。そうすると建材種類②及び③が主要曝露建材であると認められ、これにつき高いシェアを有していた被告太平洋セメ ントの製造した製品について現場到達事実が認められる。 原告18(被災者18)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者18は、昭和30年に自衛隊に入隊し、その後自衛隊の機関科員としてボイラーの運転監視業務、米軍基地従業員としてボイラー装置操作工 などを行った後、職歴①昭和46年4月~平成5年12月・多田組、職歴②平成6年1月~平成19年4月・林ホームサービスにおいて、配管工として、石綿セメント管の切断、破壊などの作業を行う際に石綿粉塵に曝露した(甲F18-1-1、18-1-2、18-3)。 イ現場到達事実 原告18は、被災者18の主要曝露建材は、建材種類㊵石綿セメント管、㊶石綿セメント円筒であると主張する。 被災者18は、職歴①において、水道管の改修に際し、既設の建材種類㊵石綿セメント管の切断・破壊により石綿粉塵に曝露したものといえるが(甲F18-1-2:29~32項)、㊵については昭和43年に同建材を使用 した水道管の新設が中止されており、既設の㊵が設置されたのは責任期間 前であると推認されるから、現場到達事実が認められない。 建材種類㊶石綿セメント円筒(トミジ管)については、職歴①及 た水道管の新設が中止されており、既設の㊵が設置されたのは責任期間 前であると推認されるから、現場到達事実が認められない。 建材種類㊶石綿セメント円筒(トミジ管)については、職歴①及び職歴②において使用した可能性があるものの、職歴①については、昭和40年後半から平成に入るくらいまでの間は下水道工事を多く扱っており(甲F18-1-2:28項)、石綿関連疾患に係る調査復命書において建材種類㊶に ついては全く言及されておらず、同建材を使用した事実や頻度は明らかではないこと、職歴②においては、戸建住宅の給排水配管工事、下水道工事、外壁の塗装工事などを受注し、仕事の大部分は外壁の塗装工事であり、同被災者も職歴②の頃には石綿に曝露するような作業はなくなっていたと考えていること(甲F18-1-2:37・38・40項)、関与した配管工事 の内容や頻度は明らかではなく、トミジ管の使用の頻度も明らかではないこと、地方労災医員の意見書(甲F18-1-4)においても、職歴②の期間における石綿粉塵曝露の事実は指摘されていないことに照らすと、建材種類㊶が主要暴露建材であるとは認められない。 そうすると被災者18については、むしろ建設業従事前の自衛隊でのボ イラー作業などによる石綿粉塵曝露の影響が疑われるのであり、被告企業らの責任は認められない。 原告19(被災者19)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者19は、職歴①昭和47年10月~昭和55年10月・有限会社鎌 田建設、職歴②昭和56年8月~平成15年7月・株式会社石邦建設において、とびをしたが、屋内及び屋外において、吹付作業を行うための足場の組立及び解体作業に特化しており、作業するすぐそばで吹付作業が行われ、これにより石綿粉塵に曝露した(甲19-1 式会社石邦建設において、とびをしたが、屋内及び屋外において、吹付作業を行うための足場の組立及び解体作業に特化しており、作業するすぐそばで吹付作業が行われ、これにより石綿粉塵に曝露した(甲19-1-1、19-1-2、19-3)。 イ現場到達事実 原告19は、被災者19の主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿 吹付含有ロックウール、③湿式石綿含有吹付であると主張する。 被災者19は、上記のとおり、吹付作業に際し、足場を組み、吹付材による石綿粉塵に曝露したものといえる。このうち、建材種類①は昭和50年には製造が終了しているから責任期間外である。 そうすると、建材種類②及び③による吹付作業により石綿粉塵に曝露し たから、同建材が主要曝露建材であるといえるところ、使用したメーカーや製品名につき特段の証拠はないから、これにつき高いシェアを有する被告太平洋セメントの製造した製品につき現場到達事実が認められる。 原告20(被災者20)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容 被災者20は、職歴①昭和43年10月~昭和51年3月・京浜建工企業株式会社、職歴②昭和51年4月~昭和56年12月・有限会社スワン商会、職歴③昭和57年1月~昭和63年5月・ヒラタ(自営)、職歴④昭和63年6月~平成29年8月・有限会社テクニカルサービス(事業主)により、大工として主に木造戸建住宅の建設工事に従事し、内装材、天井材、間仕切 り材などの内装材の切断、加工に際し、石綿粉塵に曝露した(甲F20-1-1)。 イ現場到達事実原告20は、被災者20の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 しかし、㉔は天井板全体におけるシェアに 到達事実原告20は、被災者20の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 しかし、㉔は天井板全体におけるシェアに照らすと現場到達事実が認められない。同被災者の作業内容に照らすと、建材種類⑮~⑲、㉓が主要曝露建材であると認められる。もっとも、被告ニチアスの㉓は大規模ビル等の現場への出荷がほとんどであるところ、被災者20がこうした現場に従事したとの事実は認められない。 使用したメーカーや製品名について特段の証拠はないから、建材種類⑮ ~⑲について高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓について被告A&AMの製品の現場到達事実が認められる。 原告21ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告21は、昭和45年~昭和60年までの15年間、株式会社三恵設備 工業において、配管工として、水道管取替工事の際、石綿セメント管である旧水道管をエンジンカッターで切断するなどした際に石綿粉塵に曝露した(甲F21-1-1)。 イ現場到達事実原告21は、主要曝露建材は、建材種類㊵石綿セメント管であると主張す る。 原告21の作業内容は、石綿セメント管である旧管を切断して、鋳鉄製の新管とつなぐというものであり、旧管の含有石綿からの粉塵の曝露を受けたと推認されるから、㊵が主要曝露建材であるとはいえる(甲F21-1-2、21-3)。しかし、原告21の作業時点では旧管は設置から相当長期 間経過していたものといえ、原告21が同作業を行ったのは昭和60年までであることに照らすと、責任期間である昭和50年以降に製造された㊵が現場に到達したとは認められない(なお、昭和45年以前に勤務していた東洋商工では新規の石綿セメント 同作業を行ったのは昭和60年までであることに照らすと、責任期間である昭和50年以降に製造された㊵が現場に到達したとは認められない(なお、昭和45年以前に勤務していた東洋商工では新規の石綿セメント管も扱ったと陳述するが、責任期間前のものである。)。 被告企業らの責任は認められない。 原告22(被災者22)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者22は、職歴①昭和44年4月~昭和53年12月・奥泉建築、職歴②昭和54年1月~昭和58年12月・Y工務店、職歴③昭和59年1月 ~平成元年10月・佐光建設、職歴④平成元年11月~平成26年8月・自 営により、大工として、主に木造戸建住宅、木造アパートの新築工事に従事し、ボード類の加工に際して石綿粉塵に曝露した(甲F22-1-1)。鉄骨造・鉄筋コンクリート造建物に従事したことはなく、外装材に関する作業を行ったこともない。 イ現場到達事実 原告22は、被災者22の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 被災者22は、聴取書及び陳述書(甲F22-3)において㉔を使用していた旨を述べるが、他のボード類を使用した中での一部にすぎず、天井板全体におけるシェアに照らすと㉔が高い頻度で被災者22の現場に到達して いたとまでは認められない。 よって、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓であるところ、被告ニチアスの㉓は大規模高層ビル向けの出荷がほとんどであって鉄骨造、鉄筋コンクリート造に従事したことのない同被災者の現場到達事実が認められない。 その他メーカーや製品名を特定する証拠はないから、建材種類⑮~⑲につ いては高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被 造に従事したことのない同被災者の現場到達事実が認められない。 その他メーカーや製品名を特定する証拠はないから、建材種類⑮~⑲につ いては高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品の現場到達事実が認められる。 原告23ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告23は、職歴①昭和39年4月~昭和43年3月・加藤建設、職歴② 昭和43年4月~昭和44年12月・Z工務店、職歴③昭和45年1月~昭和60年4月・f工務店、職歴④昭和60年5月~昭和62年12月・阿部造園土木、職歴⑤昭和63年1月~平成5年3月・有限会社大川工務店、職歴⑥平成5年4月~平成10年1月・有限会社一会建工、職歴⑦平成10年2月~平成26年5月・自営において、大工として主に木造戸建住宅の建設 工事に従事し、内装材、天井材、間仕切り材などの内装材の切断、加工に際 し、石綿粉塵に曝露した(甲F23-1-1、23-1-2)。 イ現場到達事実原告23は、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板であると主張する。 ㉔につき、原告23は記憶にあると述べる(甲F23-4)が使用の詳細 は明らかではなく、㉔の天井板全体におけるシェアに照らし、現場到達事実が認められない。 そうすると、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓であると認められるが、被告ニチアスの㉓については大規模高層ビル向けの出荷が大半であるから、現場到達事実が認められない。 よって、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品につき現場到達事実が認められる。なお、原告23は、被告大建工業や被告日東紡績の名前は聞き覚 て、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品につき現場到達事実が認められる。なお、原告23は、被告大建工業や被告日東紡績の名前は聞き覚えがある旨陳述する(甲F23-3、4)が、建材種類、建材名、石綿含有の有無は明らかではなく、同被告企業らが製造した石綿含有建材の現場到 達事実を認めるに足りない。 原告24(被災者24)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者24は、職歴①昭和40年4月~昭和53年12月・有限会社水出工務店、職歴②昭和54年1月~平成23年・雨宮建築(自営)において、 大工として、主に木造戸建住宅の新築、改修、解体工事に従事し、外壁工事において窯業系サイディングを取り付ける作業を行ない、その加工に際して石綿粉塵に曝露した(甲F24-1-1)。 イ現場到達事実原告24は、被災者24の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレー トボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板、㉟窯業系サイデ ィングであると主張する。 このうち、㉟窯業系サイディングは外装材であるから除外される。㉔については、被災者24の長男で一緒に勤務した証人H1は商品名を挙げて被告大建工業の製品を使用したと述べる(甲F24-3)が、同証人が勤務を始めた昭和62年中には被告大建工業の㉔は全て製造が終了しており(建 材番号825~1020)(甲C29の825~1020)、同証人自身が㉔を使用した可能性は低いから、その供述等は採用できない。よって、天井板全体におけるシェアに照らし、㉔の現場到達事実が認められない。 以上より、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓と認められるところ、被告ニチアスの㉓は大規模高層ビル向けの出荷がほとんどであ って、天井板全体におけるシェアに照らし、㉔の現場到達事実が認められない。 以上より、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓と認められるところ、被告ニチアスの㉓は大規模高層ビル向けの出荷がほとんどであるから現場到 達事実が認められない。よって、⑮~⑲につき被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製品は現場到達事実が認められる。 原告25(被災者25)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者25は、職歴①昭和40年4月~昭和49年9月・g工務店、職歴 ②昭和49年10月~昭和56年3月・東海住宅株式会社、職歴③昭和56年4月~平成31年3月・自営において、大工として、主に木造戸建住宅の新築改修工事や軽量鉄骨建物の改修工事に従事し、外壁工事において窯業系サイディングを取り付ける作業を行ない、その加工に際して石綿粉塵に曝露した(甲F25-1-1)。 イ現場到達事実原告25は、被災者25の主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲の石綿スレートボード、㉓ケイカル板1種、㉔ロックウール吸音天井板、㉟窯業系サイディングであると主張する。 このうち、建材種類㉟は外装材であるから責任の範囲外であり、㉔は天井 板全体におけるシェアに照らすと、現場到達事実が認められない。 よって、主要曝露建材は、建材種類⑮~⑲、㉓であると認められるところ、被告ニチアスの㉓については大規模高層ビル向けの出荷がほとんどであるから現場到達事実が認められない。その他使用したメーカーや製品名を特定する証拠はないから、建材種類⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品につき現場 到達事実が認められる。 原告26(被災者26)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び ⑮~⑲につき高いシェアを有する被告A&AM及び被告MMK、㉓につき被告A&AMの製造した製品につき現場 到達事実が認められる。 原告26(被災者26)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者26は、職歴①昭和41年~同年9月・有限会社白雪舎、職歴②昭和41年9月~昭和50年頃・有限会社野口土建、職歴③昭和50年頃~昭 和63年3月・自営、職歴④昭和63年4月~平成21年6月・三ッ沢建設株式会社(事業主)、職歴④平成21年頃~令和元年頃・株式会社三ッ建において、主に工場での回収作業、ボーリング場、体育館などの解体作業に従事していた(甲F26-1-1)。 イ現場到達事実 原告26は、被災者26の主要曝露建材は、建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材、⑪石綿含有ケイ酸カルシウム板第2種、⑫石綿含有耐火被覆板、⑬屋根用折板石綿断熱材、⑭煙突用石綿断熱材、⑮石綿含有スレートボード・フレキシブル板、⑯石綿含有スレートボード・平板、⑰石綿含有スレートボード・軟質板、⑱石綿含有スレート ボード・軟質フレキシブル板、㉓石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種、㉔石綿含有ロックウール吸音天井板、㉝石綿含有住宅屋根用化粧スレート、㉟石綿含有窯業系サイディングであると主張する。 被災者26は解体工であり、解体現場におけるあらゆる石綿含有建材から石綿粉塵曝露を受ける可能性がある。しかしながら、製造メーカーである 被告企業らが、解体工に対し責任を負わないことは前記のとおりである。 原告27ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告27は、職歴①昭和34年4月~昭和35年3月・佐藤塗装、職歴②昭和35年4月~昭和39年8月・戸谷塗装、職歴③昭和39年9月~昭 原告27ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容原告27は、職歴①昭和34年4月~昭和35年3月・佐藤塗装、職歴②昭和35年4月~昭和39年8月・戸谷塗装、職歴③昭和39年9月~昭和40年8月・大塚塗装、職歴④昭和40年9月~昭和43年5月・奥島塗装、 職歴⑤昭和43年5月~昭和63年頃・佐藤塗装店、職歴⑥平成元年頃~平成8年・有限会社佐藤塗装、職歴⑦平成8年~平成21年・株式会社藤美装において、いわゆる設備塗装を業務としており、鉄筋コンクリート大規模建築物の建築現場で就労してきたが、パイプやダクトの吹付作業と並行して塗装をした際や塗装工一般の作業のうち吹付材をこそぎ落す作業により石 綿粉塵に曝露した(甲F27-1-1、27-3)。 イ現場到達事実原告27は、主要曝露建材は建材種類①吹付石綿、②石綿含有吹付ロックウール、③湿式石綿含有吹付材であると主張する。なお、原告27は、保温材による石綿粉塵曝露の可能性も指摘しているものの、これによる曝露は わずかなものであるとして(甲27-4)、保温材は主要暴露建材として主張していない。 吹付材のうち、建材種類①については責任期間には製造が終了しており現場到達事実が認められない。原告27は、吹付作業や吹付材の剥離の際の石綿粉塵に曝露したといえるから建材種類②及び③が主要曝露建材である と認められるところ、使用したメーカーや製品名を特定する証拠はないから、これにつき高いシェアを有する被告太平洋セメントの製品につき現場到達事実が認められる。 原告28(被災者28)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容 被災者28は、職歴①昭和36年4月~平成3年3月・h工業所、職歴② 平成4年4月~平成23年11月・神栄工業、職歴③ 者28)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容 被災者28は、職歴①昭和36年4月~平成3年3月・h工業所、職歴② 平成4年4月~平成23年11月・神栄工業、職歴③平成23年12月~平成29年3月・自営において、プラント内でのパイプ等への保温作業や保温材を交換する定期修繕作業に従事し、一人親方となった後も保温作業に従事していたが、用途・形状に合わせて保温材の切断加工・剥離作業を行うに際し、石綿粉塵に曝露した。 イ現場到達事実原告28は、被災者28の主要曝露建材は、建材種類⑥石綿含有けいそう土保温材、⑦石綿含有ケイ酸カルシウム保温材、⑧石綿含有バーミキュライト保温材、⑩石綿保温材であると主張する。 建材種類⑥⑧はいずれも粉体であり、被災者28は⑥⑧も使用したと述 べるが、その作業の説明内容から粉体の保温材の使用は伺われないから、これらは主要曝露建材とはいえない。 建材種類⑦⑩について高いシェアを有していた被告企業らのうち、同被災者は、被告A&AM、被告ニチアス、被告日本インシュレーションの製品を使用したと陳述するものの、主な元請けが被告ニチアスであり、他社の製 品は発注が間に合わない場合に使用したにすぎない(甲F28―3:5頁)ことからすれば、被告A&AM及び被告日本インシュレーションの製品が相当程度の頻度で現場に到達したとまではいえない。 そうすると、主要曝露建材は、⑦及び⑩であると認められ、これらにつき被告ニチアスの製造した製品の現場到達事実が認められる。 原告29(被災者29)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者29は、職歴①昭和33年~昭和39年・風間タイル工業、職歴②昭和40年1月~平成29年1月・自営において、タイル工として、主に鉄骨 災者29)ア石綿粉塵に曝露した作業期間及び作業内容被災者29は、職歴①昭和33年~昭和39年・風間タイル工業、職歴②昭和40年1月~平成29年1月・自営において、タイル工として、主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築工事に従事し、コンクリート面 等の建築物の表面にタイルを張り付けるため、下地調整、墨出し、タイル張 り、目地詰め及び仕上げ作業を行い、その中で、モルタル作成のための混和材等の混ぜ合わせを行い、石綿粉塵の曝露があった(甲F29-1-1)。 イ現場到達事実原告29は、被災者29の主要曝露建材は、建材種類㊸混和剤であると主張する。 上記作業内容に照らせば、㊸が主要曝露建材であると認められ、被告ノザワの製品の現場到達事実が認められる。 第8 被災者の石綿関連疾患へのり患の有無(争点6)について 1 原告16について原告16は、石綿関連疾患(石綿肺(管理2相当))に罹患し、続発性気管支 炎を合併していると主張する。 これにつき、労災認定段階において、M医師は、同原告の胸部エックス線写真からは、粒状陰によるじん肺の所見は認めるものの、石綿曝露の客観的な指標である顕著な胸膜プラーク及び石綿肺の特徴とされる胸膜下線維化陰影を認めず、石綿肺を示唆する所見は認められないとして、同原告が石綿肺に罹患している とは認められないとの意見を述べ(乙ア3)、しばぞの診療所のI医師も、エックス線写真の不整形陰影の像につき、1型以上の所見を示しておらず、「その他のじん肺」と診断し(甲F16の1の3)、労災認定においては石綿肺であることは否定されているものの、医療法人社団NAOS御成門内科クリニックK医師は、平成31年9月6日付け診断書(甲F16-6)においては「胸部レント ゲン上 3)、労災認定においては石綿肺であることは否定されているものの、医療法人社団NAOS御成門内科クリニックK医師は、平成31年9月6日付け診断書(甲F16-6)においては「胸部レント ゲン上は2/2型の粒状影を呈し、珪肺症と診断されます。胸部CT上は、珪肺症による粒状影のみならず、両下肺野背側に軽度の胸膜肥厚を認め、アスベスト関与を疑う所見を認めます。」との所見を示し、さらに、令和6年11月1日付け診断書(甲F16-8)においては「労災決定当時の胸部レントゲン上は粒状影2/2が主な所見ですが、典型的珪肺とも違う粒状影であったことから「その 他の塵肺」と診断したものの、最近の胸部レントゲン上は胸膜肥厚像も目立つよ うになり、胸部CT上は胸膜肥厚だけでなく、両側背側部に間質の繊維化像も認めるようになり、石綿粉塵による変化の可能性も否定できない」として、病名を「石綿肺を含むその他の塵肺」と変更しているのであり、石綿肺が一般的には石綿曝露開始後10年以上経過して現れ、曝露中止後も徐々に進展するものであることからすれば、平成31年以降に石綿肺の顕著な症状が現れるに至ったと 解するのが相当である。 よって、原告16については、石綿肺であると認められる。 2 原告27原告27は、昭和45年から昭和57年までの12年間の石綿曝露期間があり、じん肺管理区分が管理2、合併症として続発性気管支炎が認められるところ (甲F27-1-1)、医師の各意見書・診断書によると、主治医のN医師は「胸内に明確な間質の線維化は、極く軽度であり、石綿肺と診断できない」(甲F27-1-3)、「その他のじん肺に相当する所見」(甲F27-1-4)との意見であり、地方労災医員も「肺には肺気腫と軽度の間質性陰影のみで石綿肺の所見は認めず」( あり、石綿肺と診断できない」(甲F27-1-3)、「その他のじん肺に相当する所見」(甲F27-1-4)との意見であり、地方労災医員も「肺には肺気腫と軽度の間質性陰影のみで石綿肺の所見は認めず」(甲F27-1-3)と述べており、その他石綿肺を発症したこと を裏付ける医証はなく、労基署も石綿肺は否定した(甲F27-1-1)。その他、原告27が石綿関連疾患であることを認めるに足りる証拠はない。 よって、原告27につき、石綿関連疾患があるとは認められず、原告27の被告企業らに対する請求はいずれも理由がない。 第9 石綿関連疾患への被告企業らが製造した石綿含有建材の寄与度(争点7)につ いて 1 総論前記第2のとおり、責任期間は昭和50年4月1日以降であるところ、下記のとおり、本件被災者の中には、それ以前にも石綿粉塵曝露作業に従事し、相当期間石綿粉塵曝露を受けていた者も存在する。また、現場到達事実が認定された建 材は、本件被災者の石綿関連疾患発症に高い影響を与えたものということがで きるものの、本件被災者が同事実の認定にまでは至らなかった石綿含有建材から生じた石綿粉塵に曝露することもあったものと考えられる。 このように、本件被災者が現場到達事実の認められる建材を取り扱ったことによる石綿粉塵の曝露量は、各自の石綿粉塵の曝露量全体の一部にとどまるという事情がある。被告企業らは、こうした事情等を考慮して定まるその行為の損 害の発生に対する寄与度に応じた範囲で損害賠償責任を負うというべきであり(神奈川1陣最判)、その割合は裁判所が諸般の事情を総合考慮して裁量的に定めることが相当である。 考慮すべき事情としては、まず、責任期間以前の石綿粉塵曝露に関しては、その期間の有無及び長短が挙げられる。この事情に関連し の割合は裁判所が諸般の事情を総合考慮して裁量的に定めることが相当である。 考慮すべき事情としては、まず、責任期間以前の石綿粉塵曝露に関しては、その期間の有無及び長短が挙げられる。この事情に関連して、昭和50年以前に製 造販売された石綿含有建材には、発がん性の高いクロシドライト等が使われるものも多かったこと、時代を遡るほど石綿の危険性に対する認識は十分ではなくなり、間接的に暴露する頻度や量も多かったと考えられること、時代を下るにつれて、非石綿製品に触れる可能性も高くなったなどの事情も考慮する必要がある。責任期間内の曝露に関しては、責任を負う被告企業ら以外のメーカーが製 造した建材の存否及び程度や、メーカー以外の安全配慮義務を負う企業の責任、解体作業による石綿粉塵曝露の存否及び程度を考慮すべきである。なお、以下では、前記第7の6において、現場到達事実が認められた製品を製造販売していた被告を責任被告という。 2 本件被災者についての個別検討 原告1(被災者)原告1は、昭和38年4月から平成22年3月まで大工としてほぼ木造戸建住宅の工事に従事し、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しているものの、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、大工として多数の建材を扱っており、現場到達 事実が認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたこと がうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告2(被災者)原告2は、昭和44年7月から平成23年2月までシャッター工として従 事し、責任期間前の石綿粉塵曝露は3年程度であり、責任期間において石綿粉塵に曝露し るのが相当である。 原告2(被災者)原告2は、昭和44年7月から平成23年2月までシャッター工として従 事し、責任期間前の石綿粉塵曝露は3年程度であり、責任期間において石綿粉塵に曝露した期間も長期にわたるという事情がある。なお、新築工事については主として主要曝露建材による石綿粉塵曝露であるといえるものの、改修工事については責任期間前の吹付材によるものであるといえる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告太平洋セメントの寄与度は 2割と認めるのが相当である。 原告3(被災者3)被災者3については、前記のとおり、被告企業らの責任期間内に製造された石綿含有建材により石綿粉塵曝露を受けたとはいえないから、被告企業らの責任は認められない。 原告4(被災者4)被災者4は、昭和33年から平成24年まで大工として従事し、責任期間前にも17年にわたり石綿粉塵に曝露しているものの、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外に も、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告5(被災者)原告5は、昭和43年8月から昭和56年まで左官として、それ以降は大工 として従事し、責任期間前の石綿粉塵曝露は7年間程度であるが、責任期間に おいて石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情もある。また、同原告は、責任期間内は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 期間も長期にわたるという事情もある。また、同原告は、責任期間内は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM、被告MMK、被告 ニチアス及び被告ノザワの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告6(被災者6)同被災者は、昭和38年から平成15年まで左官として従事し、責任期間前の石綿粉塵曝露期間はほとんどなく、責任期間後も取り扱った石綿含有建材の種類は限定的であり、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長 期にわたるという事情もある。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告ノザワの寄与度は4割と認めるのが相当である。 原告7(被災者)同原告は、昭和43年5月から平成27年12月まで電工として従事して いたところ、責任期間前の石綿粉塵曝露は7年間程度であるが、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情もある。また、責任期間後は、電工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告太平洋セメントの、被告ニチ アス、被告A&AM、被告MMK、被告日本インシュレーション及び被告バルカーの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告8(被災者)同被災者は、昭和61年9月から平成29年まで大工として従事し、責任期間前の石綿粉塵曝露はなく、責任期間内の石綿粉塵曝露期間は相当長期にわ たるとの事情がある。他方、大工として主要曝露建材以外にも多数の建材を扱 ったといえること、改修工事も相応の割合があることか はなく、責任期間内の石綿粉塵曝露期間は相当長期にわ たるとの事情がある。他方、大工として主要曝露建材以外にも多数の建材を扱 ったといえること、改修工事も相応の割合があることからすれば、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は3割と認めるのが相当である。 原告9(被災者)同被災者は、昭和38年5月から平成27年3月まで電工として鉄筋コンクリート造又は鉄骨造建物の工事に従事し、責任期間前にも10年以上にわ たり石綿粉塵に曝露しているが、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情もある。また、同被災者は、電工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告太平洋セメント、被告A&A M、被告ニチアス及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告10(被災者10)被災者10は、昭和55年4月から平成26年まで電工として従事し、責任期間前の石綿粉塵曝露はなく、責任期間内の石綿粉塵曝露期間は相当長期にわたるとの事情がある。また、同被災者は、電工として多数の建材を扱ってお り、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は3割と認めるのが相当である。 原告11(被災者11) 被災者11は、運転手であり、解体現場から出る石綿粉塵に曝露したものであって、解体工と同様、被告企業らは、責任を負わない。 原告12(被災者)同被災者は、昭和36年4月から平成30年7月まで大工としてほぼ木造戸建住宅の工事に従事 ら出る石綿粉塵に曝露したものであって、解体工と同様、被告企業らは、責任を負わない。 原告12(被災者)同被災者は、昭和36年4月から平成30年7月まで大工としてほぼ木造戸建住宅の工事に従事し、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝 露しており(なお、職務内容から見て、職歴①の期間につき石綿粉塵曝露がな いとはいえない。)、他方、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM、被告MMK及び被 告大建工業の寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告13(被災者13)同被災者は、昭和34年5月から平成22年まで大工としてほぼ木造戸建住宅の工事に従事し、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるとい う事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告14(被災者14)被災者14は、昭和39年4月から平成29年まで、ほぼ木造戸建住宅の工事に従事し、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を 認定できる建材以外にも、 綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を 認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告15(被災者15) 専ら屋外建築作業に従事する屋根工である被災者15について被告企業ら に責任が認められないことは前述のとおりである。 原告16(被災者)原告16は、昭和45年7月から平成19年3月まで配管工に従事し、責任期間前にも5年にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、 現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱い、また、屋外作業及び改修工事の相当程度あったことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AMの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告17(被災者)。 被災者は、昭和41年~昭和50年まで左官として、それ以降はガラス工として従事しており、責任期間前の石綿粉塵曝露期間は約9年であり、責任期間中の石綿粉塵曝露も相当程度長期にわたっているという事情がある。また、左官及びガラス工として、主要曝露建材以外の建材も多数扱っていたと推認され、改修工事にも相当程度従事していた。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告太平洋セメントの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告18(被災者18)被災者18につき主要暴露建材を特定できないことは前記のとおりである。 原告19(被災者1 と、責任被告である被告太平洋セメントの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告18(被災者18)被災者18につき主要暴露建材を特定できないことは前記のとおりである。 原告19(被災者19) 被災者は、昭和44年から平成15年7月まで、足場の組立、解体作業に従事していたところ、責任期間前の石綿粉塵曝露期間は6年程度であり、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告太平洋セメントの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告20(被災者20) 被災者は、昭和43年10月から平成29年8月、大工として主に木造戸建住宅の建設工事に従事し、責任期間前にも7年程度石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがう かがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告21(被災者)原告21について主要曝露建材は責任期間以前に製造されたものであるこ とは前記のとおりであるから、被告企業らの責任は認められない。 原告22(被災者22)被災者は、昭和44年4月から平成26年8月まで大工として従事し、責任期間前にも6年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者 は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがう 綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者 は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告23(被災者) 被災者は、昭和39年4月から平成26年5月まで、大工として従事し、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの 寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告24(被災者24)被災者は、昭和40年4月から平成23年まで大工として、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工 として多数の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告25(被災者25) 被災者は、昭和40年4月~平成31年3月まで大工として、主に木造戸建住宅の新築改修工事や軽量鉄骨建物の改修工事に従事し、外壁工事において窯業系サイディングを取り付ける作業を行ない、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており まで大工として、主に木造戸建住宅の新築改修工事や軽量鉄骨建物の改修工事に従事し、外壁工事において窯業系サイディングを取り付ける作業を行ない、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、同被災者は、大工として多数 の建材を扱っており、現場到達事実を認定できる建材以外にも、相応の石綿含有建材を取り扱っていたことがうかがわれる。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告A&AM及び被告MMKの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告26(被災者26) 被災者26は、解体業者であり、被告企業らは責任を負わない。 原告27(被災者)原告27につき、石綿関連疾患にり患していると認められないことは前記のとおりである。 原告28(被災者28) 被災者は、昭和37年4月から平成29年8月まで、プラント内でのパイプ 等への保温作業や保温材を交換する定期修繕作業に従事し、一人親方となった後も保温作業に従事していたが、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長期にわたるという事情がある。また、責任期間においても改修工事などに関与しており、責任期間前に製造販売された保温材により相当程度石綿粉塵曝露を 受けている。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告ニチアスの寄与度は2割と認めるのが相当である。 原告29(被災者29)被災者は、昭和33年から平成29年1月までタイル工として、主に鉄骨造、 鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築工事に従事し、コンクリート面等の建築物の表面にタイルを張り付けるため、下地調整、墨出し、タイル張り、目地詰 平成29年1月までタイル工として、主に鉄骨造、 鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築工事に従事し、コンクリート面等の建築物の表面にタイルを張り付けるため、下地調整、墨出し、タイル張り、目地詰め及び仕上げ作業を行い、その中で、モルタル作成のための混和材等の混ぜ合わせを行い、石綿粉塵の曝露があり、責任期間前にも10年以上にわたり石綿粉塵に曝露しており、責任期間において石綿粉塵に曝露している期間も長 期にわたるという事情がある。 以上の事情を踏まえると、責任被告である被告ノザワの寄与度は3割と認めるのが相当である。 第10 原告らの損害(争点8)について 1 基本慰謝料額 本件に顕れた一切の事情を考慮すると、本件被災者一人当たりの基本となる慰謝料額は、石綿関連疾患のうち、肺がんを発症した者について2200万円、中皮腫については2200万円、石綿肺については管理区分2については1400万円、管理区分3については1800万円、管理区分4については2200万円、石綿関連疾患により死亡した者について2500万円とするのが相当で ある。 2 喫煙歴による損害賠償額の修正喫煙歴も石綿粉塵曝露歴もない人の発がんリスクを1とすると、喫煙歴があり石綿粉塵曝露歴がない人では約10倍、喫煙歴がなく石綿粉塵曝露歴がある人では約5倍、喫煙歴も石綿粉塵曝露歴もある人では約50倍になると報告されており(前提事実3ウ)、喫煙は石綿を原因とする肺がんのり患リスクを相 乗的に高めるものである。したがって、損害の公平な分担の見地に照らして、民法722条2項を類推適用し、肺がんにり患した被災者のうち喫煙歴がある者の慰謝料額を定めるにあたっては、喫煙歴があることを斟酌するのが相当である。 もっとも、個々の喫煙量や喫煙期 に照らして、民法722条2項を類推適用し、肺がんにり患した被災者のうち喫煙歴がある者の慰謝料額を定めるにあたっては、喫煙歴があることを斟酌するのが相当である。 もっとも、個々の喫煙量や喫煙期間がどの程度肺がんの発症に影響を与える かは不明瞭であること、喫煙自体は社会的に許容された嗜好であることを考慮すれば、肺がんにり患した被災者の喫煙歴による慰謝料額については、一律1割を減ずることとするのが相当である。被告らは、単なる喫煙歴のレベルを超えて疾患に至っているというべき場合にはより多くの減額が認められるべきである旨主張するけれども、上記の事情に照らし、採用することができない。 3 弁護士費用本件事案の内容、審理の経過、請求額及び認容額等、本件に顕れた一切の事情を考慮すると、被告らの責任と相当因果関係のある弁護士費用としては、それぞれ認容額の1割に相当する金額と認めることが相当である。 4 各被災者の慰謝料額等 各被災者には、石綿粉塵に曝露した結果、別紙8「認容額計算書」の「石綿関連疾患」欄記載の疾病にり患して、遅くとも同「診断日」欄の日までにその診断を受けて療養を開始したこと、被災者らのうち同「死亡日」欄に年月日の記載がある被災者は、同欄記載の日に、同疾病により死亡したこと及び同「喫煙減額」欄に「有」又は「有(0.9)」と記載がある被災者には喫煙歴があったことが 認められる。 以上の事実によれば、各被災者について認められる慰謝料は同別紙8の「小計(慰謝料)(円)」欄記載のとおり、弁護士費用は同「弁護士費用(円)」欄記載のとおり、その合計額は「認容額(円)」記載のとおりとなる(なお、同「喫煙減額」に「有」又は空欄の者は修正がなく、「有(×0.9)」とある者は修正がある。)。 用は同「弁護士費用(円)」欄記載のとおり、その合計額は「認容額(円)」記載のとおりとなる(なお、同「喫煙減額」に「有」又は空欄の者は修正がなく、「有(×0.9)」とある者は修正がある。)。 なお、被告企業らの負担すべき損害賠償額は、「基本慰謝料(円)」に「喫煙減額」を行い、これに弁護士費用を加算した額から被告国との和解金額を控除した額を上限とすべきところ、上記「認容額(円)」はいずれもこの額を超えないから、被告国との和解は被告企業らに対する認容額に特段影響しない。 第11 消滅時効の成否(争点9)について 民法724条にいう「加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対する請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度においてこれを知った時を意味する(最高裁昭和45年(オ)第628号同48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁)。 被告企業らは、労災その他の手続によって石綿関連疾患が認定された時点が 消滅時効の起算点となる旨主張する。しかし、石綿含有建材のメーカーは多数存在し、その中から加害者を特定することは容易でないことに鑑みると、被告企業ら主張の時点において、被災者あるいは原告らが、加害者を特定して損害賠償を請求することが可能な程度にこれらを認識していたと認めるに足りる証拠はない。 第6章結語 1 以上より、別紙2【認容額一覧表】記載の「原告名(訴訟承継人を含む)」欄記載の各原告の請求は、同原告に対応する「被告名」欄記載の各被告らに対し、同「認容額(円)」欄記載の金額及びこれに対する「遅延損害金起算日」欄記載の年月日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による連帯支払を求める限 度で理由があるから認容し、同原告らのその余の請求は理由がないから棄却す 対する「遅延損害金起算日」欄記載の年月日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による連帯支払を求める限 度で理由があるから認容し、同原告らのその余の請求は理由がないから棄却す る。また、原告3、原告11、原告15、原告18、原告21、原告26、原告27の各請求は理由がないからいずれも棄却する。 2 なお、仮執行免脱宣言については、別紙2【認容額一覧表】記載の「原告名(訴訟承継人を含む)」欄記載の各原告に対応する「被告名」欄記載の各被告らが、各被告の列の「担保額(円)」欄に金額の記載がある行の「原告名(訴訟承継人 を含む)」欄記載の各原告に対し、同「担保額(円)」欄記載の各金員の担保を供するときは、当該原告との関係でその執行を免れるとするのが相当であるから、担保を条件としてこれを付することとする。 横浜地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官藤岡淳 裁判官田郷岡正哲 裁判官村上ゆりあ (別紙1及び別紙6の掲載省略) (別紙2)認容額一覧表原告番号原告名(訴訟承継人を含む)被告名認容額(円)遅延損害金起算日担保額(円) 1 原告1被告A&AM4,356,000平成25年12月19日1,750,000被告MMK1,750,000 2 原告2被告太平洋セメント4,840,000平成29年12月21日3,880,000 4 原告4被告A&AM4,950,000平成27年5月28日1,980,000被告MMK1,980,000原告5被告A&AM4,356,000平成26年6月3日880,000被告MM 被告A&AM4,950,000平成27年5月28日1,980,000被告MMK1,980,000原告5被告A&AM4,356,000平成26年6月3日880,000被告MMK880,000被告ニチアス880,000被告ノザワ880,000 6 原告6被告ノザワ9,900,000平成26年2月25日7,920,000 7 原告7被告太平洋セメント4,356,000平成27年11月17日590,000被告ニチアス590,000被告A&AM590,000被告日本インシュレーション590,000被告MMK590,000被告バルカー590,000 8 原告8被告A&AM6,534,000平成28年6月13日2,620,000被告MMK2,620,000 9 原告9被告太平洋セメント4,840,000平成28年8月9日970,000被告A&AM970,000被告ニチアス970,000被告MMK970,000原告10被告A&AM7,425,000平成26年3月18日2,970,000被告MMK2,970,000 12 原告12被告A&AM4,840,000平成30年7月30日1,300,000被告MMK1,300,000被告大建工業1,300,000 13 原告13被告A&AM4,950,000平成22年7月16日1,980,000被告MMK1,980,000 14 原告14被告A&AM5,500,000平成29年3月25日2,200,000被告MMK2,200,000 16 原告16被告A&AM3,080,000平成24年5月21日2,470,000 17 原告17被告太平洋セメント4,356,000平成30 0,000被告MMK2,200,000 16 原告16被告A&AM3,080,000平成24年5月21日2,470,000 17 原告17被告太平洋セメント4,356,000平成30年1月5日3,490,000 19 原告19ー1被告太平洋セメント3,300,000平成25年10月24日2,640,000原告19ー21,650,0001,320,000原告20被告A&AM4,950,000平成29年12月25日1,980,000被告MMK1,980,000 22 原告22被告A&AM5,500,000平成26年12月16日2,200,000被告MMK2,200,000 23 原告23被告A&AM4,356,000平成26年5月28日1,750,000被告MMK1,750,000 24 原告24被告A&AM4,950,000平成23年12月6日1,980,000被告MMK1,980,000原告25ー1被告A&AM2,475,000平成31年3月1日990,000被告MMK990,000原告25ー2被告A&AM2,475,000990,000被告MMK990,000 28 原告28ー1被告ニチアス1,375,000平成31年2月5日1,100,000原告28ー21,375,0001,100,000原告28ー31,375,0001,100,000原告28ー41,375,0001,100,000 29 原告29被告ノザワ8,250,000平成29年1月25日6,600,000別紙3 訴訟費用一覧 1 原告1に生じた費用はこれを9分し、その8を原告1の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 2 原告2に生じ 平成29年1月25日6,600,000別紙3 訴訟費用一覧 1 原告1に生じた費用はこれを9分し、その8を原告1の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 2 原告2に生じた費用はこれを8分し、その7を原告2の、その余を被告太平洋セメントの負担とする。 3 原告3に生じた費用は、原告3の負担とする。 4 原告4に生じた費用は、これを8分し、その7を原告4の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 5 原告5に生じた費用は、これを9分し、その8を原告5の、その余を被告A&AM、被告MMK、被告ニチアス及び被告ノザワの負担とする。 6 原告6に生じた費用は、これを4分し、その3を原告6の、その余を被告ノザワの負担とする。 7 原告7に生じた費用は、これを9分し、その8を原告7の、その余を被告太平洋セメント、被告ニチアス、被告A&AM、被告日本インシュレーション、被告MMK及び被告バルカーの負担とする。 8 原告8に生じた費用は、これを6分し、その5を原告8の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 9 原告9に生じた費用は、これを8分し、その7を原告9の、その余を被告太平洋セメント、被告A&AM、被告ニチアス及び被告MMKの負担とする。 10 原告10に生じた費用は、これを5分し、その4を原告10の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 11 原告11に生じた費用は、原告11の負担とする。 12 原告12に生じた費用は、これを8分し、その7を原告12の、その余を被告A&AM、被告MMK及び被告大建工業の負担とする。 13 原告13に生じた費用は、これを8分し、その7を原告13の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 14 原告14に生じた費用は、これを7分し、 MK及び被告大建工業の負担とする。 13 原告13に生じた費用は、これを8分し、その7を原告13の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 14 原告14に生じた費用は、これを7分し、その6を原告14の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 15 原告15に生じた費用は、原告15の負担とする。 16 原告16に生じた費用は、これを12分し、その11を原告16の、その余を被告A&AMの負担とする。 17 原告17に生じた費用は、これを9分し、その8を原告17の、その余を被告太平洋セメントの負担とする。 18 原告18に生じた費用は、原告18の負担とする。 19 原告19に生じた費用は、これを8分し、その7を原告19の負担とし、その余を被告太平洋セメントの負担とする。 20 原告20に生じた費用は、これを8分し、その7を原告20の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 21 原告21に生じた費用は、原告21の負担とする。 22 原告22に生じた費用は、これを7分し、その6を原告22の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 23 原告23に生じた費用は、これを9分し、その8を原告23の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 24 原告24に生じた費用は、これを8分し、その7を原告24の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 25 原告25に生じた費用は、これを8分し、その7を原告25の、その余を被告A&AM及び被告MMKの負担とする。 26 原告26に生じた費用は、原告26の負担とする。 27 原告27に生じた費用は、原告27の負担とする。 28 原告28に生じた費用は、これを7分し、その6を原告28の、その余を被告ニチアスの負担とする。 29 原告29に 告26の負担とする。 27 原告27に生じた費用は、原告27の負担とする。 28 原告28に生じた費用は、これを7分し、その6を原告28の、その余を被告ニチアスの負担とする。 29 原告29に生じた費用は、これを9分し、その7を原告29の、その余を被告ノザワの負担とする。 以上別紙5)疾患名管理区分合併症 原告1原告1昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成25年12月19日 原告2原告2昭和▲年▲月▲日シャッター工中皮腫平成29年12月21日原告3ー1原告3ー2原告3ー3原告3ー4 原告4被災者4昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成27年5月28日平成▲年▲月▲日 原告5原告5昭和▲年▲月▲日左官肺癌平成26年6月3日 原告6被災者6昭和▲年▲月▲日左官肺癌 平成26年2月25日平成26年3月24日令和▲年▲月▲日 原告7原告7昭和▲年▲月▲日電工肺癌平成27年11月17日 原告8原告8昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成28年6月13日 原告9原告9昭和▲年▲月▲日電工肺癌平成28年8月9日 原告10被災者10昭和▲年▲月▲日電工肺癌平成26年3月18日平成▲年▲月▲日原告11ー1原告11ー2 原告12原告12昭和▲年▲月▲日大工中皮腫平成30年7月30日 原告13被災者13昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成22年7月16日平成▲年▲月▲日 原告14被災者14昭和▲年▲月▲日大工石綿肺管理3続発性気管支炎平成29年3月25日令和▲年▲月▲日 原告15被災者15昭和▲年▲月▲日屋根工肺癌平成26年6月2 原告14被災者14昭和▲年▲月▲日大工石綿肺管理3続発性気管支炎平成29年3月25日令和▲年▲月▲日 原告15被災者15昭和▲年▲月▲日屋根工肺癌平成26年6月26日令和▲年▲月▲日 原告16原告16昭和▲年▲月▲日配管工じん肺管理2続発性気管支炎平成24年4月1日平成25年7月12日 原告17原告17昭和▲年▲月▲日左官・ガラス工肺癌平成30年1月5日 原告18被災者18昭和▲年▲月▲日配管工石綿肺管理3イ続発性気管支炎平成27年9月14日平成27年10月13日令和▲年▲月▲日原告19ー1原告19ー2 原告20被災者20昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成29年12月25日令和▲年▲月▲日左記死亡日に故20が訴訟承継し、同人死亡により原告20が訴訟承継 原告21原告21昭和▲年▲月▲日配管工中皮腫平成26年7月1日 原告22被災者22昭和▲年▲月▲日大工石綿肺管理3イ続発性気管支炎平成26年12月16日平成27年1月10日令和▲年▲月▲日 原告23原告23昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成26年5月28日 原告24被災者24昭和▲年▲月▲日大工肺癌平成23年12月6日平成▲年▲月▲日原告25ー1原告25ー2 原告26被災者26昭和▲年▲月▲日解体中皮腫平成30年10月19日令和▲年▲月▲日 原告27原告27昭和▲年▲月▲日塗装工じん肺管理2続発性気管支炎平成28年8月2日平成28年11月15日原告28ー1原告28ー2原告28ー3原告28ー4 原告29被災者29昭和▲年▲月▲日タイル工中皮腫平成29年1月25日平成▲年▲月 平成28年8月2日平成28年11月15日原告28ー1原告28ー2原告28ー3原告28ー4 原告29被災者29昭和▲年▲月▲日タイル工中皮腫平成29年1月25日平成▲年▲月▲日 被災者28保温工びまん性胸膜肥厚 平成31年2月5日昭和▲年▲月▲日令和▲年▲月▲日 被災者25大工肺癌昭和▲年▲月▲日平成31年3月1日令和▲年▲月▲日令和▲年▲月▲日肺癌平成25年10月24日平成▲年▲月▲日 被災者19とび 被災者11運転手昭和▲年▲月▲日昭和▲年▲月▲日石綿肺平成30年7月17日管理4平成28年2月1日平成30年3月12日発症日管理区分決定日備考令和▲年▲月▲日 被災者3とび中皮腫昭和▲年▲月▲日原告ら職種・疾患等一覧表番号原告名(訴訟承継人を含む)被災者名被災者職種石綿関連疾患名被災者生年月日死亡日石綿関連疾患診断日死亡日基本慰謝料(円)被告ら寄与度喫煙減額小計(慰謝料)(円)弁護士費用(円) 原告1被告A&AM、被告MMK肺癌平成25年12月19日22,000,0002割有(×0.9)3,960,000396,0004,356,000 原告2被告太平洋セメント中皮腫平成29年12月21日22,000,0002割有4,400,000440,0004,840,000 原告4被告A&AM、被告MMK肺癌平成27年5月28日平成▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000 原告5被告A&AM、被告MMK、被告ニチアス、被告ノザワ肺癌平成26年6月3日22,000,0002割有(×0 有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000 原告5被告A&AM、被告MMK、被告ニチアス、被告ノザワ肺癌平成26年6月3日22,000,0002割有(×0.9)3,960,000396,0004,356,000 原告6被告ノザワ肺癌平成26年2月25日令和▲年▲月▲日25,000,0004割有(×0.9)9,000,000900,0009,900,000 原告7被告太平洋セメント、被告ニチアス、被告A&AM、被告日本インシュレーション、被告MMK、被告バルカー肺癌平成27年11月17日22,000,0002割有(×0.9)3,960,000396,0004,356,000 原告8被告A&AM、被告MMK肺癌平成28年6月13日22,000,0003割有(×0.9)5,940,000594,0006,534,000 原告9被告太平洋セメント、被告A&AM、被告ニチアス、被告MMK肺癌平成28年8月9日22,000,0002割4,400,000440,0004,840,000 原告10被告A&AM、被告MMK肺癌平成26年3月18日平成▲年▲月▲日25,000,0003割有(×0.9)6,750,000675,0007,425,000 原告12被告A&AM、被告MMK、被告大建工業中皮腫平成30年7月30日22,000,0002割4,400,000440,0004,840,000 原告13被告A&AM、被告MMK肺癌平成22年7月16日平成▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000 原告14 原告13被告A&AM、被告MMK肺癌平成22年7月16日平成▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000 原告14被告A&AM、被告MMK石綿肺(管理3)平成29年3月25日令和▲年▲月▲日25,000,0002割有5,000,000500,0005,500,000 原告16被告A&AM石綿肺(管理2)平成24年5月21日14,000,0002割2,800,000280,0003,080,000 原告17被告太平洋セメント肺癌平成30年1月5日22,000,0002割有(×0.9)3,960,000396,0004,356,000原告19-116,666,6663,000,000300,0003,300,000原告19-28,333,3331,500,000150,0001,650,000 原告20被告A&AM、被告MMK肺癌平成29年12月25日令和▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000 原告22被告A&AM、被告MMK石綿肺(管理3イ)平成26年12月16日令和▲年▲月▲日25,000,0002割有5,000,000500,0005,500,000 原告23被告A&AM、被告MMK肺癌平成26年5月28日22,000,0002割有(×0.9)3,960,000396,0004,356,000 原告24被告A&AM、被告MMK肺癌平成23年12月6日平成▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950 4,356,000 原告24被告A&AM、被告MMK肺癌平成23年12月6日平成▲年▲月▲日25,000,0002割有(×0.9)4,500,000450,0004,950,000原告25ー112,500,0002,250,000225,0002,475,000原告25ー212,500,0002,250,000225,0002,475,000原告28ー16,250,0001,250,000125,0001,375,000原告28ー26,250,0001,250,000125,0001,375,000原告28ー36,250,0001,250,000125,0001,375,000原告28ー46,250,0001,250,000125,0001,375,000 原告29被告ノザワ中皮腫平成29年1月25日平成▲年▲月▲日25,000,0003割有7,500,000750,0008,250,000(別紙8)認容額計算書原告番号原告名(訴訟承継人を含む)被告名算定要素認容額(円)令和▲年▲月▲日 被告ニチアスびまん性胸膜肥厚平成31年2月5日2割有(×0.9) 被告A&AM、被告MMK肺癌平成31年3月1日2割有(×0.9)令和▲年▲月▲日 被告太平洋セメント肺癌平成25年10月24日2割平成▲年▲月▲日
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