平成18(ワ)9925 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年1月30日 大阪地方裁判所
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判決文本文30,592 文字)

- 1 -主文 被告らは,原告Aに対し,連帯して2490万8127円及びこれに対する平成15年6月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Bに対し,連帯して2314万0377円及びこれに対する平成15年6月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,被告らの負担とする。 この判決は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求 被告らは,原告Aに対し,連帯して4032万6145円及びこれに対する平成15年6月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告Bに対し,連帯して3663万7226円及びこれに対する平成15年6月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告らが,貸金業者の登録のないいわゆるヤミ金融の組織として,Cに対し,2回にわたり合計3万2160円を交付し,債権回収を口実に,過酷な脅迫を行った結果,Cに,2か月足らずの間に合計34万3195円の支払をさせ,C及びその夫並びにその兄(以下「Cら」という)を,自殺以外。 に被告らの取立てから逃れる方法がないとの心理状態へ追い込み,自殺させたとして,Cらの相続人である原告らが,被告Fに対して,共同不法行為責任ないし使用者責任に基づき,被告Fを除く被告ら(以下「被告Gら」ということがある)に対し,共同不法行為責任に基づき,財産的損害及び慰謝料並びに。 これらに対するCらが死亡した日である平成15年6月14日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告の主張(民法709条,710条,719条又は715条に基づく不法- 2 -行為責任)( )Cらの自殺 C 払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告の主張(民法709条,710条,719条又は715条に基づく不法- 2 -行為責任)( )Cらの自殺 C,Cの夫であるD及びCの兄であるEは,平成15年6月14日,大阪府八尾市a町b丁目所在のJR大和路線c踏切付近において,線路上にしゃがみ込み,通りかかったJR普通電車にはねられ,自殺した。 ( )原告ら 原告らは,いずれもCの相続人(兄弟)である。 ( )被告らの組織 ア被告らは,被告Fを頂点として,銀行口座への貸付金の振込や利息の回収を行う部門(以下「現金管理部門」という,顧客情報等を管理し,。)貸付けの可否の決定等を行う部門(以下「センター」という,実際に。),(「」。)融資を勧誘し取立てを行う複数の実行グループ以下実行班というに分かれ,各部門は上記のような役割分担に基づき,貸金業の登録をせずに,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という)の上限利率を著しく超えた高金利による取引(以下,この。 ような取引を「ヤミ金融」という)の継続のためにそれぞれ不可欠の役。 割を果たすとともに,貸付資金や回収した利息を一元管理するなど,有機的に結合した一つの組織を形成していた(以下,上記組織を「本件ヤミ金融組織」という。 。)イ本件ヤミ金融組織の貸付及び取立方法(ア)本件ヤミ金融組織は,ヤミ金融のために,各実行班に対し,1人あたり2台の携帯電話を支給していた。そのうち1台は客へかける専門の電話(以下「かけ専」という,他の1台は客からの電話を受ける専門。)の電話(以下「受け専」という)として,受け専はフリーダイヤル,。 の電話転送業者を用いていた。いずれも私用で使用することを禁じら (以下「かけ専」という,他の1台は客からの電話を受ける専門。)の電話(以下「受け専」という)として,受け専はフリーダイヤル,。 の電話転送業者を用いていた。いずれも私用で使用することを禁じられており,電話番号から身元が割り出されないようにしていた。 - 3 -(イ)実行班は,全員で共同して,あらかじめ入手した名簿をもとにして,低利息で融資をする旨のダイレクトメールを無差別に郵送し,各実行班の担当者は,ダイレクトメールを見て融資を申し込んできた顧客から,信用調査のためと称し,顧客の氏名,住所,連絡先並びに職場,親戚及び近隣住民等の連絡先を聞き出した上,審査する旨述べて,電話を切る(なお,顧客の氏名,住所,生年月日,職業,電話番号,職場の電話番号,親族関係及び振込口座等を記載した書類のことを「案件」ということがある。 。)各実行班の担当者は,上記顧客について,本件ヤミ金融組織からの借,,入れ状況等をセンターに確認しセンターが貸倒れなしと判断した場合上記顧客に電話をかけて,1~3万円程度貸し付けるが,ダイレクトメールに記載された利率ではなく,出資法の上限利率を遥かに超える年利数千%とする。 実行犯の担当者は,顧客に,本件ヤミ金融組織が管理する他人名義の銀行口座に利息を振り込ませ,振り込まれた金銭を現金管理部門が回収する。 (ウ)本件ヤミ金融組織は,顧客が支払額を元本に充当しようとしたり,残債務全額を支払おうとしても「決まった額以上を一度に返済すること,はできない「一度返済に遅れているから完済できない」などと難。」,。 癖をつけて,元本への充当を認めず,利息の支払を続けさせ,支払状況次第によっては「延滞料「迷惑料」名目でさらに支払をさせる。 ,」,実行班の担当者は,顧客が滞納した場合,電話で「金払え「殺, をつけて,元本への充当を認めず,利息の支払を続けさせ,支払状況次第によっては「延滞料「迷惑料」名目でさらに支払をさせる。 ,」,実行班の担当者は,顧客が滞納した場合,電話で「金払え「殺,。」,すぞ「これからそっちへ行くぞ」などと暴力団のような口調で大。」,。 声で言って脅したり,あらかじめ聞き出した親戚,職場,隣人等に電話をして「呼んでこい「代わりに金を返せ」などと申し向ける等に,。」,。 より,顧客を精神的に追い込んで支払を迫る。なお,電話で顧客を脅迫- 4 -している場合など実行班の担当者が電話に出られないときには,他の者が代わりに電話に出たりするなど,相互に協力する。 ,,(エ)実行班の担当者は返済が滞っている顧客や一度完済した顧客に対し別の融資先を紹介する振りをして,実行班の別の屋号の者に電話をかけさせて,再度貸し付けて,時には事前に顧客の了解なく当該顧客の銀行口座に入金し,一方的に貸し付けたとして,著しく高い金利の利息を請求することもある。 ウ本件ヤミ金融組織における被告らの役割(ア)被告Fは,本件ヤミ金融組織の拠点の移転等を決定する権限を有するだけでなく,貸付金,回収金を最終的に管理する権限,貸付金を振り込む支店及び回収金を引き出す支店を決定する権限を有しており,月に1度,必ず収支を確認していた。 被告Fは,被告I,被告Hに対し,給料を渡していた。また,本件ヤミ金融組織に属する幾つかの実行班ごとに売上げによる歩合給が定められ,被告Fが,その実行犯の歩合給を決定し,各実行班の責任者にその歩合給を渡していた。 以上のとおり,被告Fは,本件ヤミ金融組織を統括していた。 (イ)被告Gは,実行班の責任者として,被告Fからの指示の伝達などを行っていた。なお,被告Gは,後記(エ)の振込役も一部行っていた ていた。 以上のとおり,被告Fは,本件ヤミ金融組織を統括していた。 (イ)被告Gは,実行班の責任者として,被告Fからの指示の伝達などを行っていた。なお,被告Gは,後記(エ)の振込役も一部行っていた。 実行班は,被告Gを責任者として,被告J,被告L,被告K及び被告Mで構成され,被告Gは「福心,被告J及び被告Lは「友&愛,被」」「」,「」,告K及び被告Mはアクセスという屋号を用い被告Gはコイズミ被告Jは「オカダ,被告Lは「イシハラ,被告Kは「ナガシマ」な」」いし「ナカシマ,被告Mは「オガワ」という偽名で貸付け,取立てを」行っていた。 (ウ)被告Hは,平成13年12月ころから,本件ヤミ金融組織で実行班と- 5 -して貸付け,取立てをしていたが,平成14年8月ころから,センターとして,審査,集計及び管理の各業務を担当することとなった。 ,,,審査業務は顧客の情報をもとに融資申込者に関する情報を確認し貸倒れの判断を行い,実行班の貸付担当者に対し,貸付けの可否について回答するものである。 集計業務は,実行班の各担当者が,屋号ごとに1日あたりの貸付金額及び取立金額を集計した表(以下「日計表」という)を作成し,被告。 ,。 Hのもとへファクシミリで送信し被告Hが集計するというものである被告Fは,1か月に1度程度の割合で,集計結果を確認し,被告Hは,集計結果を2か月のみ保存し,順次消去していた。 管理業務の一は,顧客が返済金の振込みを行う返済用口座の通帳の管理である。その外,返済日毎の顧客のリストを作成し,返済日前日に,取立てを担当する実行班の各担当者に対し,上記顧客リストをファクシミリで送信し,実行班に取立てを促すことである。 (エ)被告Iは,平成13年8月ころから,被告Fの指示のもと,現金管理部門を担当していた。 被 当する実行班の各担当者に対し,上記顧客リストをファクシミリで送信し,実行班に取立てを促すことである。 (エ)被告Iは,平成13年8月ころから,被告Fの指示のもと,現金管理部門を担当していた。 被告Iは,銀行の現金自動預け払い機(ATM)を使って,顧客に金員を振り込む業務,顧客が返済として振り込んだ金員を銀行口座から引き出して回収する業務,本件ヤミ金融組織の必須道具である携帯電話の調達,回収した金員の保管するための他人名義の銀行口座の調達,顧客へのダイレクトメール用の宛名シールを各事務所へ運ぶ仕事などを行っていた。なお,被告Iは,毎日,被告Fとの間で,貸付金や取立金の授受をしていた。 被告Iは,1日の仕事の終了時には,被告Hとの間で,必ず,貸付金額と取立金額の照合をしていた。 ( )被告らの加害行為及び不法行為責任の根拠 - 6 -ア本件における被告Gの具体的役割被告Gは,実行班の責任者として,実行班の構成員である被告K,被告J,被告L及び被告Mに指示を出し,監督し,上記実行班を統括しているだけでなく,被告Kに対し,Cの顧客情報を伝え,平成15年4月8日,振込役として,Dの銀行口座に,1万4580円を振り込んだ。 イ本件における被告Kの具体的役割(ア)被告Kは平成15年4月8日昼過ぎCに対しアクセスのナ,,,「」「ガシマ」と名乗って融資の話を持ちかけた。その内容は,被告Kが,1万5000円を融資金として振り込み,これに対しCが1週間後に利息1万5000円を振り込み,さらにその1週間後に利息と完済金込みの3万円を振り込んで完済するというものであった。 もっとも,被告Kは,Cが脅せばいくらでも金を振り込む客であると考え,実際には,Cに「アクセス」の銀行口座へ,平成15年4月1,,,,5日に3万円同 を振り込んで完済するというものであった。 もっとも,被告Kは,Cが脅せばいくらでも金を振り込む客であると考え,実際には,Cに「アクセス」の銀行口座へ,平成15年4月1,,,,5日に3万円同年4月22日に3万円同月30日に1万5000円同年5月6日に1万5000円,同月13日に1万5000円,同月20日に3万円,合計13万5000円の利息を支払わせ,上記金員を喝取した。 (イ)被告Kは,Cが警察に相談したことに腹を立て,Cから電話がかかってきた平成15年5月21日「何警察に行っとるんや。金借りてるや,ろ,返さんか「振り込めへんかったらどうなっても知らんぞ。大阪。」,には知らん奴ばっかりと違うからな。絶対に完済させへんからな」な。 どと脅し,Cに,同月27日,1万5000円を支払わせ,同金員を喝取した。 被告Kは,同月30日,Cから電話を受けて「もう払えません。今,まで15万円払ったでしょ。もう完済にしてください。もう許して下さい」と頼まれたが,やくざ言葉で「おばはん,ちゃんと振り込めよ。 。 ,- 7 -絶対完済させへんて言うたやろ」と怒鳴った。 。 被告Kは,同年6月3日,Cと同じ団地に居住していた近隣住民のN方に電話をし,Cを呼び出して「団地中に電話してCは金返さないか,ら代わって払えやと電話しまくるぞ。金払われないのやったら死んでみ。」,,,,。 ろと脅し同月4日Cに2万円を支払わせ同金員を喝取したウ本件における被告Jの具体的役割被告Jは,前記イの「アクセス」の案件を利用し「アクセス」への返,済日である平成15年4月15日,Cに対して,電話し「ご融資できる,んですけどいかがですか」と勧誘し,Cに対して4万円貸し付ける約束。 をし,4万円から利息,手数料及び振込手数料名下に計2万24 済日である平成15年4月15日,Cに対して,電話し「ご融資できる,んですけどいかがですか」と勧誘し,Cに対して4万円貸し付ける約束。 をし,4万円から利息,手数料及び振込手数料名下に計2万2420円を天引きし,被告Iをして,1万7580円のみをDの銀行口座に振り込ませ,Cに貸し付けた。 Cは,同月22日,1万5000円支払ったが,同月28日,5000円しか支払えなかったため,被告らは,同年5月1日,Cに対して,延滞料名目の2000円を加えた1万2000円を振り込ませ,同金員を喝取した。 被告Jは,同日,Cに対し,延滞料を直ちに支払わなかったことに因縁をつけ「こら,おばはん,何考えとるんじゃ。延滞料払うんやったら,,すぐ次の日に払わんか「すぐに迷惑料の5万円払え。ワシを甘う見て。」,るんと違うか。5万円払わへんかったら見せしめに,Nとこの息子ガタガタにしてしまうぞ。もし今日中に振り込まへんかったら,どうなるかわかってるやろな」などと脅し,同日5万円を振り込ませて,同金員を喝取。 した。 被告Jは,Cに対し,同月6日「金借りてるんやったら,ちゃんと振,り込まんか。ええ加減にしとかんと,ほんまにNとこの息子をガタガタにしてまうぞ」などと脅し,1万7000円を2回に分けて振り込ませ,。 - 8 -同月16日「Nとこの息子をガタガタにしてまうぞ「お前が金返せ,。」,へんことを団地中に電話して,そこに住めないようにしてしまうぞ。金払われないんやったら死ね」などと脅し,1万7000円を2回に分けて。 振り込ませ,上記金員を喝取した。 被告Jは,同月23日,既に度重なる脅迫によって畏怖していたCに対し「おばはん,明日ちゃんと振り込めよ」などと脅して,同月26日,,。 延滞料名目の金員を加えた1万7000円を振り込ませ,同年6月 被告Jは,同月23日,既に度重なる脅迫によって畏怖していたCに対し「おばはん,明日ちゃんと振り込めよ」などと脅して,同月26日,,。 延滞料名目の金員を加えた1万7000円を振り込ませ,同年6月2日も同様に,延滞料名目の金員を加えた1万7000円を振り込ませ,上記金員を喝取した。 エ本件における被告L及びMの具体的役割被告L及びMは,Cの直接の担当者ではなかったが,実行班は,担当者が電話に出られない場合には,実行犯内の誰かが応対し,対外的には,近隣住民などにも脅しの電話をしていた。 オ本件における被告Hの具体的役割被告Hは,平成15年4月8日の貸付けに先立ち,被告Kに対し,貸付,,,け可能であるとの回答をし同月15日の貸付けに先立ち被告Jに対し貸付け可能であると回答した。 カ本件における被告Iの具体的役割被告Iは,被告Gら実行班の取立てによりCに振り込ませた金員を,銀行口座から回収していた。 キ小括以上のとおり,被告らは,被告Fを本件ヤミ金融組織の統括者として,それぞれ組織的な役割分担に基づき,各自担当する役割を果たし,互いの,,行為を利用補充することで有機的一体として本件ヤミ金融組織を形成し共謀の上,実行班の担当者であった被告K及び被告Jをして,違法な貸付,。 及び取立行為を行ったのであるから共同不法行為責任を負うべきである- 9 -ク被告Fの責任(ア)共同不法行為責任被告Fは,本件ヤミ金融組織を統括する役割を果たしており,被告Gらの過酷な取立方法などを知っていたものであり,被告らの一連の取立行為により,Cらが自殺に追い込まれたのであるから,上記不法行為責任を免れない。 仮に,被告Fが,被告Gらの取立方法を知らなかったとしても,被告Gらを統括し,被告Jら実行班が恒常的に行っていた熾烈かつ残酷な取 Cらが自殺に追い込まれたのであるから,上記不法行為責任を免れない。 仮に,被告Fが,被告Gらの取立方法を知らなかったとしても,被告Gらを統括し,被告Jら実行班が恒常的に行っていた熾烈かつ残酷な取立行為について認識又は予見していたのであるから,不法行為責任を免れることはない。 (イ)使用者責任被告Fは,本件ヤミ金融組織を統括し,法定の利息を遙かに超える金利を収受し,本件ヤミ金融を行っており,被告Gらに本件ヤミ金融業に従事させ,直接又は間接的に,同被告らに報酬を与えていたのであるか,,ら被告Fと被告Gらとの間には直接又は間接的な指揮監督関係があり使用者と被用者の関係にあるといえる。 被告Gらの取立行為は,被告らが要求する著しく高利の利息を支払うことが困難な顧客に対し,返済しなければいかなる危害が加えられるかわからないという心理的強制を加えることにより,違法な金利を取得するものであり,本件ヤミ金融組織は,上記取立行為を恒常的に行うことで,法定の利息を遙かに超える金額の金員を弁済名目で取得してヤミ金融業を維持しているのである。したがって,被告Gらの取立行為は,本件ヤミ金融組織にとって事業の執行そのものといえる。仮に,事業の執行といえなくとも,本件ヤミ金融組織の事業の執行行為を契機として,これと密接に関連する行為であるから,事業の執行について行われたものというべきである。 - 10 -したがって,被告Fは,本件ヤミ金融組織における,被告Gらの加害行為について,使用者責任を負う。 ( )被告らの加害行為とCらの自殺等との因果関係 アCらが,上記取立行為によって自殺を決意したことは,自殺直前に警察において作成されているCの供述調書及びCの遺言により明らかであり,他方で,Cらが,上記取立行為以外に自殺を決意せざるを得ない要因は存在 が,上記取立行為によって自殺を決意したことは,自殺直前に警察において作成されているCの供述調書及びCの遺言により明らかであり,他方で,Cらが,上記取立行為以外に自殺を決意せざるを得ない要因は存在しない。 上記取立行為は,消費者金融業者の取立行為よりも遙かに過酷であったため,通常人であれば,上記取立行為から逃れる手段は死のみであると思うこともやむを得ないものであった。 よって,被告らが組織的に上記取立行為を行うことによって,Cらに自殺を決断させ,自殺させたのであるから,上記取立行為とCらの自殺との間に因果関係がある。 イ被告らは,いずれも,被告Jらが恒常的に行っていた熾烈かつ残酷な取立行為を認識していた。 そして,被告Jらの上記取立行為は,通常人をして自殺に追いつめる性質を有する行為であって,被告らは,そのような行為であることを認識しつつ,あえて上記取立行為を行ったのであるから,上記取立行為から自殺者が生じる蓋然性が高いことをも認識し得た。 よって,被告らは,上記取立行為によりCが自殺に至ることについても認識又は予見し得たというべきであり,上記取立行為とCらの自殺との間に相当因果関係がある。 ( )損害 アCの損害(ア)逸失利益1593万1257円Cは,死亡した当時69歳であり,パートタイムの勤務をしながら,- 11 -主婦として家族の生活を支える家事労働に従事していたのであるから,同人の収入は,女子労働者の該当年齢平均賃金年額294万7400円を下らない収入があったと認められる。 ,. ,また平成15年当時の69歳女性の平均余命は1957年でありCの就労可能年数は少なくとも10年はあったといえ,そのライプニッツ係数は7.7217であり,生活費控除割合は30%とするのが相当である。 したがって,Cの逸失利益は,次の 均余命は1957年でありCの就労可能年数は少なくとも10年はあったといえ,そのライプニッツ係数は7.7217であり,生活費控除割合は30%とするのが相当である。 したがって,Cの逸失利益は,次の計算式のとおり,1539万1257円となる。 万円×(-)×=万円 7400 0.37.721715931257(イ)慰謝料3000万円(ウ)恐喝行為による財産的損害34万3195円イ原告A固有の損害(ア)慰謝料1000万円(イ)葬儀費用等300万円(ウ)C,Eが居住していた賃貸家屋の明渡しに伴う原状回復費用等Cらが自殺をしたことにより,西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR西日本」という)の列車を遅延させたことによる損害。 合計68万8919円(エ)弁護士費用350万円ウ原告B固有の損害(ア)慰謝料1000万円(イ)弁護士費用350万円 被告らの主張( )被告Fの主張 ア原告の主張( )は認める。 - 12 -原告の主張( )は不知。 イ原告の主張( ),( )は否認する。 被告Fは,平成14年から平成15年1月ころまでの間,被告Gらと,無登録で,法定限度を超える高金利で貸付けを行っていたが,Cへの貸付けが行われた同年4月ころには,被告Gが被告Fとは分離された独自の貸金業をしていたのであるから,Cらへの貸付け,取立てについて不法行為責任を負うものではない。被告Fは,難癖をつけて完済を認めないという原告の主張( )の取立行為については知らない。 被告Gは,同月ころ,被告Fとは分離された独自の貸金業をしていたのであり,被告Fを頂点とする組織化されたヤミ金融の事業は,同月時点において既に消滅し,存在しなかったから,使用者責任を負うこともない。 告Gは,同月ころ,被告Fとは分離された独自の貸金業をしていたのであり,被告Fを頂点とする組織化されたヤミ金融の事業は,同月時点において既に消滅し,存在しなかったから,使用者責任を負うこともない。 ウその余は,いずれも不知ないし争う。 ( )被告Hの主張 原告の主張( )ないし( )は否認ないし争う。 被告Hは,被告らが貸付け,取立てを行うに当たって,事前の相談を受けたことはなく,担当者である被告Jらに指示したことはない。他の被告らの行為は,被告Gの指示に基づくものであった。ただし,被告Hは,被告Jらが,顧客から完済分の入金を受け取っていたにもかかわらず,取立てを継続していたことを知っていた。 被告Hは,平成15年4月から同年6月ころ,貸付けの審査,貸付け,返済等の入出金にかかる日計の集計,顧客情報のデータ管理等の事務を行っていたにすぎない。貸付けの審査についても,実質的には貸付担当者が行っているにすぎない。 ( )被告Iの主張 原告の主張( ),( )は認める。 原告の主張( )ないし( )は否認ないし争う。 - 13 -,,。 ,被告Iは恐喝行為など行っていないし指示したこともない被告Iは本件当時,振込み,出金作業ばかりしており,被告Jらの恐喝行為を見たことはないし,恐喝行為をしていると知らなかった。 ( )被告Jの主張 原告の主張( ),( )は認める。 原告の主張( )ないし( )は不知ないし争う。 被告らは,Cに対して,他の被害者以上に責め立てた覚えがなく,被告らの脅迫行為とCらの死亡との間に因果関係はない。Cは,平成15年6月5日,同月11日当時,既にノイローゼ状態にあり,警察官に対して,自殺したいなどと打ち明けており,同警察官が心療内科に受診させるなどの措置を採っ らの死亡との間に因果関係はない。Cは,平成15年6月5日,同月11日当時,既にノイローゼ状態にあり,警察官に対して,自殺したいなどと打ち明けており,同警察官が心療内科に受診させるなどの措置を採っていれば,自殺を回避できたはずである。 ( )被告Lの主張 原告の主張( ),( )は認める。 原告の主張( )ないし( )は否認ないし争う。 被告Lは,上記取立行為に関与していないし,上記取立行為について認識もなかった。 Cの賃金年額は,女子労働者の該当年齢平均賃金年額を下回るものであった。 ( )被告K,被告M 被告K及び被告Mは,適法な呼出しを受けながら,本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しない。 ( )被告G 被告Gは,公示送達による呼出しを受けたが,本件口頭弁論期日に出頭しない。 第3当裁判所の判断 認定事実- 14 -(,[],,,,,, 証拠 甲1 枝番号3 8~1115~1921~24,,,,,,,,,,,27~40 65,68,74,79,80,81,82,84~87,88~92[各枝番号を含む,94~98,138,146,149~151,154~1。]56)及び弁論の全趣旨により認められる事実は,以下のとおりである。 ( )C,D及びEは,平成15年6月14日,大阪府八尾市a町b丁目d番地 所在のJRc踏切付近において,線路上に体を寄せて円く輪になってしゃがみ込み,通りかかったJR普通電車にはねられ,自殺した。 ( )身分関係等 原告B及び原告AとE及びCは兄弟であり,原告Bが一番上の長女,Eが2番目の長男,原告Aは3番目の次男,Cは5番目の三女で 込み,通りかかったJR普通電車にはねられ,自殺した。 ( )身分関係等 原告B及び原告AとE及びCは兄弟であり,原告Bが一番上の長女,Eが2番目の長男,原告Aは3番目の次男,Cは5番目の三女である(なお,4番目の次女は昭和18年に死亡した。 )Cは,昭和8年9月4日生まれの女性であり,死亡した平成15年6月14日当時,69歳であり,パートタイム労働で,毎月3万円程度の収入を得ていた。Cの夫であるDは,昭和16年7月30日生まれの男性であり,死,,,亡した平成15年6月14日当時61歳であり当時製紙会社に勤務して毎月約10万円の収入を得ていた。なお,Cは,平成11年ころ,自己破産の手続をとり,免責決定を受けたことがあった。 Eは,大正11年2月5日生まれの男性であり,死亡した平成15年6月14日当時,81歳であり,10年以上前から足に障害があり,身障者手帳の交付を受け,厚生年金などで生活していた。CとEは,CがDと結婚した昭和60年ころまで,同居して生活しており,Cは,結婚後Eと別に暮らすようになってからも,Eに対し,食事を持っていくなどの援助をしており,他方,Eは,Cの借金の返済のために,貯金を取り崩したりして金銭的援助をしていたが,その貯金もなくなり,同年3月に入院した時には,入院費用の支払のために,原告Aからその費用を借り入れる状態に陥っており,同年- 15 -5月ころから,生活保護を受けるようになった。 ,,,,原告らは平成10年ころからCに借金を頼まれこれに応じていたがCが破産手続をした平成11年ころには,一旦Cからの借金の依頼はなくなったが,やがて再びCから借金を頼まれるようになった。 原告Aは,平成15年3月ころからCから頻繁に借金を頼まれていたが,同年4月ころからは,Eからも,Cに金員を貸してやっ Cからの借金の依頼はなくなったが,やがて再びCから借金を頼まれるようになった。 原告Aは,平成15年3月ころからCから頻繁に借金を頼まれていたが,同年4月ころからは,Eからも,Cに金員を貸してやってくれるよう依頼する電話がかかるようになり,同年5月6日と12日に,貯金を解約して,合計100万円をCに貸し付けた。 ,,,原告Bも平成15年2月ころまでにCに少額の金員を貸していたほか2回にわたって10万円ずつをCに貸し付けていたが,同年4月ころ,Cに呼び出されて明石駅に赴いたところ,借金を頼まれたが,その時には,原告B自身,Cに貸付けをするだけの余裕がなく,Cに帰りの電車賃2000円だけを渡して別れた。 ( )本件ヤミ金融及びその組織 ア被告らは,無登録で,出資法に違反する著しく高率の利息を顧客から徴収する金融業を営んでおり,顧客の融資勧誘,貸付けの手続及び取立てを行う役割の者,顧客情報等を管理し,顧客への貸付けの可否を判断するセンターと称する役割の者,借主の銀行口座へ貸付金の入金を行う振込役の者,顧客が振り込んできた金員を引き出す出金役の者など,それぞれの役割を分担していた。 本件ヤミ金融組織が顧客に支払わせた金員は,被告らに分配された。 本件ヤミ金融の顧客は,銀行や消費者金融で融資を受けるだけの信用のない者ばかりである。 イ本件ヤミ金融における顧客の融資勧誘,貸付けの手続及び取立て等を行う役割の者として「アンドウ「タケダ」及び「イガラシ(いずれも,」,」偽名)を各責任者とする3つのグループ(実行班)が存在した「アンド。 - 16 -ウ」は被告Gの偽名であった。 被告Gを責任者とする実行班は,被告Gをはじめ,被告J,被告L,被告K及び被告Mで構成され,被告Gは「福心,被告J及び被告Lは「友」」,「」,, - 16 -ウ」は被告Gの偽名であった。 被告Gを責任者とする実行班は,被告Gをはじめ,被告J,被告L,被告K及び被告Mで構成され,被告Gは「福心,被告J及び被告Lは「友」」,「」,,&愛被告K及び被告Mはアクセスという屋号を用いてそれぞれ被告Gは「コイズミ,被告Jは「オカダ,被告Lは「イシハラ,被告」」」Kは「ナガシマ」ないし「ナカシマ,被告Mは「オガワ」という偽名で」貸付けや取立てを行っていた。同じ屋号を2人1組で使用する理由は,貸付けをした者がその顧客から直接取り立てる一方,他方は,担当者が電話に出られない場合に,代わりに電話に出たり,貸付担当者からの依頼により,その顧客の親戚や近隣住民に電話をして嫌がらせをするなどの共同作業を行うためであった。 実行班は,全員で共同して,あらかじめ入手した名簿をもとに,低利で融資をする旨のダイレクトメールを無差別に郵送し,ダイレクトメールを見て融資を申し込んできた顧客から,信用調査のためと称して,顧客の氏名,住所,生年月日,職業,固定電話及び携帯電話の電話番号,勤務先の電話番号,顧客の振込口座だけでなく,その同居人の氏名,携帯電話の電,,,,話番号勤務先及びその電話番号同居人以外の家族や兄弟親族の氏名住所,電話番号等の連絡先など聞き出し,それらを一定の書式の書類(案件)を作成した。 ウ被告Gは,毎月1回程度,各実行班の責任者以上の者,つまり本件ヤミ金融組織の幹部が出席する会議(以下「幹部会議」という)に出席し,。 幹部会議から戻ると被告Jらに対し客の数を増やせと言われた延,,「」,「滞をもっと減らせと言われた「他のところは,こんな感じでやってる」」,などと言って,他の実行班が実行している貸付けや取立ての方法を口頭で説明するなどヤミ金融行 せと言われた延,,「」,「滞をもっと減らせと言われた「他のところは,こんな感じでやってる」」,などと言って,他の実行班が実行している貸付けや取立ての方法を口頭で説明するなどヤミ金融行為について指示をした。被告Gは,被告Lらに対して,一旦,客となった者には,完済させず利息を払わせ続けろ,客をと- 17 -ことん脅して利息を巻き上げろ,身内や隣近所に電話を掛けまくるなど,どんな方法を使ってでも金を巻き上げろなどの指示もしていた。また,被告Gは,実行班に新しく加わった者に対し,取立方法などを指導したり,被告Gから指導された従業員が,さらに新しい従業員に対して,同様に指導するなどしていた。 被告Gは,平成15年3月中旬ころから,被告Lらに対し「客を脅し,てでも増やせ「延滞させるな「電話を掛けまくり,客をとことん。」,。」,脅せ「払わない者の身内や隣近所に電話をかけまくったりして,どん。」,な方法を使ってでも金を巻き上げろ「利益が少ない割に電話代がかか。」,りすぎる,効率よく電話をかけて金を回収しろ「やらなければ,給料。」,が変わる「土曜,日曜,祝日でも仕事しろ」などと,厳しく指示命。」,。 令するようになり,被告Lらは,同月ころから,土曜,日曜,祝日も含めて,午前2時ないし3時ころまで取立ての電話をするようになった。 エ被告Hは,平成14年8月ころから,顧客情報等を管理し,顧客への貸付けの可否を判断するセンターを被告Fから引き継いで担当するようになり,Cへの貸付け及び取立てが行われていた平成15年4月当時も,センターを担当していた。 被告Hは,実行班が作成した案件をもとにして,パーソナルコンピュータで実行班から金銭を借りた顧客の情報のデータベースを作成し,顧客情報を一括して管理していた。また,被告H センターを担当していた。 被告Hは,実行班が作成した案件をもとにして,パーソナルコンピュータで実行班から金銭を借りた顧客の情報のデータベースを作成し,顧客情報を一括して管理していた。また,被告Hは,貸付け審査の際,顧客情報のデータベースをもとにして,融資を申し込んできた顧客が,過去に返済を滞らせたことがあるか,申し込んできた時点で,本件ヤミ金融組織の他の実行班からも貸付けを受けているかなどを調べ,回収不能となることがないかを審査していた。被告Hは,Cへの貸付けをする際にも,このような審査をし,貸付け可能と判断した。 被告Hは,毎日の売上金の集計業務として,被告Jら各実行班の取立担- 18 -当者からファクシミリで送信された入金額の記載された日計表をまとめたり,各実行班に顧客の返済予定日を記載した一覧表を送付していた。被告Hは,上記日計表の金額と,出金役である被告Iから報告を受ける貸付金額及び取立金額が一致するかを確認していた。 被告Hは,毎月末,被告Fに対し,日計表をもとに,各実行班の貸付実績及び回収状況を報告していた。被告Hは,被告Fからの要請で,顧客の延滞率を報告することがあり,その際には,被告Fから「もっと延滞す,る客を減らすように言っておけ」などと言われ,延滞率の高い実行班の。 担当者に対し「延滞する客を減らせ「もっとちゃんと回収しろ」な,。」,。 どと命じた。被告Hは,本件ヤミ金融組織の貸付けが,法律に定められた利率を遥かに超えたものであること,顧客からの申込みがないにもかかわらず,顧客の口座に金員を振り込んで,貸し付けたことにする方法(いわ),ゆる押し貸しや完済を認めないとしてする支払要求が行われていることこのような貸付けや支払要求に対しては,顧客には本来支払義務がないことを知っていたため,実行班は,顧客 たことにする方法(いわ),ゆる押し貸しや完済を認めないとしてする支払要求が行われていることこのような貸付けや支払要求に対しては,顧客には本来支払義務がないことを知っていたため,実行班は,顧客から支払を受けるためには,過酷な取立てをして,顧客を精神的に追い込む方法をとる必要があると考えていた。 オCへの貸付け及び取立てが行われていた平成15年4月当時,銀行口座への貸付金の入金を行う振込役や顧客が振り込んできた金員を引き出す出金役は,主として被告Iが担当していたが,被告Gも入出金をすることがあった。 ,,(),被告Iは銀行のATMを使って顧客に対する金員の振込振込役顧客が返済として振り込んだ利息などの金員の銀行口座からの払戻(出金役,本件ヤミ金融組織の必須道具である携帯電話の調達,回収した金員)の保管するための他人名義の銀行口座の調達,顧客へのダイレクトメール用の宛名シールの各事務所への配達などを行っていた。なお,被告Iは,- 19 -振込及び払戻のいずれについても,被告Fから使用する銀行口座の指定を受けて,その指示に従って行い,毎日,被告Fとの間で,貸付金や取立金の授受をしていた。 また,被告Iは,1日の仕事の終了時には,必ず,被告Hに対して,貸付金額と取立金額を報告していた。 被告Iは,平成14年6月下旬ころ,本件ヤミ金融組織において,実行班の一員として,顧客に電話をし「金払え「殺すぞ「近所に電話,。」,。」,するぞ」などと怒鳴って脅していたこともあり,同月ころ当時の取立て。 担当者が行っていた取立方法などを知っていただけでなく,平成15年当時,実行班が完済を認めないとしてする取立を行っていることを知っていた。 カ(ア)被告Fは,本件ヤミ金融組織の各役割の担当者,各役割に何人の担当者を付けるのか を知っていただけでなく,平成15年当時,実行班が完済を認めないとしてする取立を行っていることを知っていた。 カ(ア)被告Fは,本件ヤミ金融組織の各役割の担当者,各役割に何人の担当者を付けるのか等を決定していた。 被告Fは,被告Gら実行班の責任者に対して,取立方法など指示していたほか,被告Hからいわゆる押し貸しや完済を認めない取立方法が行われていることの報告を受けていたが,トラブルにならなければよいなどと返事していた。 (イ)被告Fは,平成15年当時も,本件ヤミ金融組織において,顧客から振り込まれる銀行口座の預金通帳をすべて管理しており,被告Iが出金役として回収した金員を一旦集めて,管理し,貸付けなどの際には,被告Iに,振込用の金員を個別に渡していた。 被告Fは,被告Gらの給料ないし分け前の額を決定し,被告H,被告I及び被告Gには,直接渡し,実行班の構成員である被告J,被告K,,。 被告L及び被告Mに対しては責任者である被告Gを通じて渡していた(ウ)被告Fは,被告Hに指示し,情報を集約しているセンターの拠点を,以下のとおり順次移転させていた。 - 20 -ⅰ平成14年8月7日から同年9月6日ころ東京都渋谷区e町f番g号hi号,j号ⅱ平成14年9月ころから平成15年7月ころ東京都杉並区kl丁目m番n号op号ⅲ平成15年6月28日から平成17年6月27日ころ東京都中野区qr丁目s番t号uv号室( )本件ヤミ金融の貸付及び取立方法 ア貸付方法(ア)本件ヤミ金融組織は,携帯電話を調達し,各実行班に対し,1人あたり2台の携帯電話を支給していた。この携帯電話のうち,1台は,顧客からかかってくる電話の受信専用(ただし,フリーダイヤルの電話転送。)()業者を経由させて受信するシステムになっていたの電話機受け専 帯電話を支給していた。この携帯電話のうち,1台は,顧客からかかってくる電話の受信専用(ただし,フリーダイヤルの電話転送。)()業者を経由させて受信するシステムになっていたの電話機受け専として,他の1台は実行班の構成員から顧客に電話をかける場合にのみ使用する電話機(かけ専)としていた。いずれも私用で使用することを禁じられており,電話番号から身元が割り出されないようにしていた。 (イ)実行班は,あらかじめ入手した名簿をもとにして,低利息で高額融資を直ちにする旨のダイレクトメールを無差別に郵送し,各実行班の貸付担当者は,ダイレクトメールを見て融資を申し込んできた顧客から,信用調査のためと称し,顧客の氏名,生年月日,住所,連絡先,ダイレクトメールの宛名シールに記載されている番号等を聞き出して,審査する旨申し向けて,電話を切る。 各実行班の貸付担当者は,上記顧客の情報をセンターに電話して,本件ヤミ金融組織内の他の屋号から融資を受けていないか(新規の顧客か否か,以前に返済を滞らせて逃げた顧客ではないか,現在返済を滞ら)せている顧客ではないかなど確認する。センターは,貸付け可能であると判断すれば「問題ない」と回答する。これを受けて,実行班の担当,- 21 -者は,当該顧客に電話をかけて,①顧客の氏名,生年月日,住所,電話,,,,,,番号携帯電話番号②顧客の職場職場の電話番号勤続年数収入③家族,同居人及び親戚等の氏名,勤務先及び電話番号など,案件の記入に必要な事項の内容を聞き取り,案件を作成する。 その後貸付担当者は再度同顧客に電話をかけて顧客には低,,,,,「額の融資から初めて実績を作ってもらいます「3万円の融資であれ。」,ば,1週間の利息は1万円になります。3万円を返済してもらえば完 再度同顧客に電話をかけて顧客には低,,,,,「額の融資から初めて実績を作ってもらいます「3万円の融資であれ。」,ば,1週間の利息は1万円になります。3万円を返済してもらえば完済,,,となりますが払えないときは1週間毎に1万円ずつ利息を支払えば。」,「,」。 期限を延期しますその後多額の融資にも応じるなど説明したそして,実際には,例えば3万円の融資の場合,最初に天引き利息として1万円を取り,実際には2万円しか交付せず,1週間ごとに1万円の利息を支払わせ,その結果,ダイレクトメールに記載された利率ではなく,出資法の上限利率を遥かに超える年利数千%としていた。 イ取立方法実行班の担当者は,支払をしない顧客に電話をかけ「殺すぞ「近,。」,所に電話をして,ここに住めなくするぞ「会社や親戚に電話をする。」,ぞ「子供や孫の学校にも電話をするぞ」等と言って脅し,顧客がな。」,。 かなか返済をしないときには,実際に近所の人や親戚などに電話をかけることもあった。なお,近所の人の電話番号等は,あらかじめ顧客から融資の審査に必要など言って聞き出したり,パソコンのソフトを用いて調べていた。 他方で,支払をしてきた顧客に対しては「完済するとは事前に聞いて,。」,,,いないなどと因縁を付けて完済と認めず利息を払い続けさせまた,,返済日が休日に当たる場合にその休日明けに振り込んだ顧客に対しては休日前に振り込んでいないなどと因縁を付けて「迷惑料「延滞料」な,」,どの名目で金員を支払わせていた。被告らは,上記の方法等により出資法- 22 -の上限利率を遥かに超える年利数千%の利息に相当する金銭を顧客に支払わせることによって,後々給料ないし分け前を多く得ることができた。 また,複数の実行 被告らは,上記の方法等により出資法- 22 -の上限利率を遥かに超える年利数千%の利息に相当する金銭を顧客に支払わせることによって,後々給料ないし分け前を多く得ることができた。 また,複数の実行班が貸し付けている顧客の場合,一方の実行班が厳しい態度で取り立てているときには,他方は控えめな対応で取り立てをするなど,ともに利益を得られるよう協力していた。 顧客には,本件ヤミ金融組織が管理する他人名義の銀行口座に金員を振り込ませ,現金管理を担当する者が回収していた。 ( )Cへの貸付け及び取立て アCは,以前,被告Gの直接の顧客であったが,完済となっていたため,被告Kは,被告Gの案件を引き継ぎ「アクセス」の屋号で「ナガシマ」,と名乗って,平成15年4月8日昼過ぎ,Cに対し,融資の話を持ちかけた。Cは,当時,他の業者への弁済資金や生活費に困窮していたため,融資を依頼することとしたため,被告Kは,D名義の銀行口座に1万4580円を振込送金することにより,Cに対して,3万円を貸し付けた(名目,,上の貸付額は3万円であるが1回目の利息分1万5000円を天引きし振込手数料を控除した額が,1万4580円である。支払方法は,C。)が1週間後に利息1万5000円を振り込み,さらにその1週間後に利息と完済金込みの3万円を振り込んで完済するというものであった。 ,,被告KはCが脅せばいくらでも金を振り込むタイプの客であると考えCに対し,大声で怒鳴ったり,Cが電話に出ない場合には,団地に住むCの向かいであるN方に電話して「Cを呼んでこい」などと脅して,嫌が,らせをしたり「一旦受け取ったのを返せませんよ。預り金として預かっ,ておきます。完済したら返します」などと言い,たとえ当初の勧誘時の。 説明によれば完済になる金員を支払っても完済は認め ,嫌が,らせをしたり「一旦受け取ったのを返せませんよ。預り金として預かっ,ておきます。完済したら返します」などと言い,たとえ当初の勧誘時の。 説明によれば完済になる金員を支払っても完済は認めないという前記( ), の取立方法を用いるなどして,平成15年4月15日に3万円,同年4月22日に3万円,同月30日に1万5000円,同年5月6日に1万50- 23 -00円,同月13日に1万5000円,同月20日に3万円,合計13万5000円の利息を「アクセス」の銀行口座へ振り込ませた。 Cは,同年5月21日,八尾警察に相談に行き,八尾警察署員は,本件ヤミ金融組織に電話し「もうこんだけ払ってるから金は取らんでいいや,ろ」などと警告した。これに対し,被告Kは,Cが警察に相談したこと。 に腹を立てて,同日,電話をかけてきたCに対し「何警察に行っとるん,や。金借りてるやろ,返さんか「振り込めへんかったらどうなっても。」,知らんぞ。大阪には知らん奴ばっかりと違うからな。絶対に完済させへんからな」などと脅し,Cに,同月27日,1万5000円を振り込ませ。 た。 Cは,同月30日,被告Kに電話し「もう払えません。今まで15万,円払ったでしょ。もう完済にしてください。もう許して下さい」と頼ん。 だ。これに対し,被告Kは「おばはん,ちゃんと振り込めよ。絶対完済,させへんて言うたやろ」と怒鳴った。 。 被告Kは,同年6月3日,Cの向かいに住むN方に電話をし,Cを呼び出して「団地中に電話してCは金返さないから代わって払えやと電話し,まくるぞ。金払われないのやったら死んでみろ」と脅し,Cに,同月4。 日,2万円を振り込ませた。 Cは,被告Kからの上記電話の後,Nから「Cさん,仕事で疲れるんや,。 。」ったら仕方ないけどこんなんで疲れるの れないのやったら死んでみろ」と脅し,Cに,同月4。 日,2万円を振り込ませた。 Cは,被告Kからの上記電話の後,Nから「Cさん,仕事で疲れるんや,。 。」ったら仕方ないけどこんなんで疲れるのは嫌ちゃんとお金払ってねと言われた。そのほか,6月上旬ころには,本件ヤミ金融組織の者から,Cが住む団地内の数軒の家に電話がかかり,また,Eの家にも強い調子で支払を要求する電話があった。 イ他方で,被告Jは「アクセス」の案件を利用し「友&愛」の屋号で,,,新たに信用調査をすることなく,センターの被告Hの審査を受けて,同年4月15日,Cに対し「オカダ」の偽名を用いて「ご融資できるんで,,- 24 -すけれどいかがですか「大阪にも支店を出す」などと融資勧誘の電。」,。 話をした。これに対し,Cは「アクセス」からの借入れを完済して,他,の業者への利息の支払にも余裕を持たせるために「友&愛」に融資を依,頼した。 そして,被告Jは,同日,Cに対し,返済期限を同月22日として,同日までに3万5000円を支払えば完済になり,同日までに利息1万5000円を支払えば返済期限を1週間延長できることとして,1万7580,(,円を振込送金し4万円を貸し付けた名目上の貸付額は4万円であるが1回目の利息2万円を天引きし,融資手数料及び振込手数料を控除した額が1万7580円である。Cは,同月22日に1万5000円を振り。)込んだが,同月28日に振り込むべき1万5000円を捻出できなかったため「友&愛」のフリーダイヤルに電話し,利息も支払えない状態であ,る,手Jにある5000円だけでも支払う旨伝えたところ「奥さん,本,当だったら明日1万5000円振り込んでもらわなければならないのに,遅れるんですから,延滞料2000円を支払って貰わなければ ,る,手Jにある5000円だけでも支払う旨伝えたところ「奥さん,本,当だったら明日1万5000円振り込んでもらわなければならないのに,遅れるんですから,延滞料2000円を支払って貰わなければなりません」などと延滞料2000円を支払うよう要求されたため,同日,50。 00円,同年5月1日,1万2000円を振り込んだ。 被告Jは,同日,Cに対し「こら,おばはん,何考えとるんじゃ。延,滞料払うんやったら,すぐ次の日に払わんか。29日が休みやから,30日に振り込まなあかんやろ「迷惑かけてんぞ。すぐに迷惑料の5万円。」,払え「ワシを甘う見てるんと違うか「どんなことしてでも直ぐ金。」,。」,作れ「5万円払わへんかったら見せしめに,Nとこの息子ガタガタに。」,してしまうぞ。もし今日中に振り込まへんかったら,どうなるかわかってるやろな」などと脅した。Cは「友&愛」から融資を受ける時に,N。 ,の名前など言ったことがないのに,被告Jから,Nの名前を出されて驚くとともに,無関係のNに迷惑がかかっては大変である,大阪に支店がある- 25 -ならば,Cのもとへ直ぐにやって来てしまうなどと考え,怖くて仕方なかったため,同日,5万円を振り込んだ。 被告Jは,Cに対し,同月6日,支払期日が休日の同月5日であったため「銀行休みやったら,前の日に振り込まんかあ」などと因縁を付け,。 た上,さらに「金借りてるんやったら,ちゃんと振り込まんか。ええ加減にしとかんと,ほんまにNとこの息子をガタガタにしてまうぞ」などと。 脅し,合計1万7000円を2回に分けて振り込ませた。 Cは,同月16日,被告Jに対し「これ以上払えと言われたら死ぬし,かありません。今回の分は振り込みますので,何とか許して下さい」な。 どと懇願した。これに対し,被告Jは「お前 分けて振り込ませた。 Cは,同月16日,被告Jに対し「これ以上払えと言われたら死ぬし,かありません。今回の分は振り込みますので,何とか許して下さい」な。 どと懇願した。これに対し,被告Jは「お前が金返せへんことを団地中,に電話して,そこに住めないようにしてしまうぞ。金払われないんやったら死ね」などとCを脅し,同月19日,1万7000円を2回に分けて。 振り込ませ,その後も「おばはん,明日ちゃんと振り込めよ」などと,。 脅して,同月26日に1万7000円,同年6月2日にも1万7000円を振り込ませた。 ウ被告Iは,Cが振り込んだ口座から,各金員を出金した。 エCは,そのような中で,Eに事情を話して,金を借りるなどして上記の,,とおり支払をしていたがEの貯金もなくなった同年5月中旬ころからはEとの間で,電車に飛び込んで死ぬことも相談するようになった。 Cは,同年6月5日には,大阪府警察本部へ行き「オカダ」からの電,話が怖くてノイローゼになりそう,返済がいつまで続くのかわからず,この返済が終わらない限り,生活はJに戻らない,今までEから金を借りて返済していたが,Eの貯金もなくなり,Eからも金を借りられなくなったなどと相談した。 ( )Cは,平成15年6月,自宅の荷物を整理した上で,次のとおり,関係者 等に生前の謝礼や死後に迷惑をかけることへの謝罪等遺書を残した。 - 26 -ア藤井寺市社会福祉事務所宛の「この度はほんとうにありがとうございました。兄もいいお方に手続きして頂いて喜んでおりました「私達夫婦。」,は短期業者から借入れをしておりまして悪徳業者から追いつめられてどうにもならなくて「死ぬ事に致しました」などと記載した同月11日付け」の遺書「.」,イ自宅の管理人宛のどうにもならなくて主人と2人死ぬ事にしま れをしておりまして悪徳業者から追いつめられてどうにもならなくて「死ぬ事に致しました」などと記載した同月11日付け」の遺書「.」,イ自宅の管理人宛のどうにもならなくて主人と2人死ぬ事にしました「家賃も遅れておりますが,何とかお許し下さい「部屋もずい分荷物.」,が残っておりますが,何とか処分お願い致します」などと記載した同月。 11日付のDとの連名の遺書ウ大阪府警本部生活安全部生活経済課の前記相談に当たって事情を聴取した警部補に宛てて「主人,兄とで死ぬ事をきめました。私のためにがん,ばって頂いている方々に本当に裏切ってしまいました「ごめんなさい.」ね「あのような事が毎晩続きますとNさんの方もちゃんと払ってもら.」,えるの…といわれたらとてもつらいです「私のような人間は地獄に行。」,くと思いますほんとうにくやしいです「荷物の整理をしながらもくや..」,しいのと,死にたくないとゆう想いで涙がとまりません「ほんとうに。」,1日も早く逮捕して下さいね.あの世から祈っております「親切にし.」,て頂いてほんとうにありがとうございました」などと記載した同月13. 日作成の手紙エ原告B宛に宛てた「私達がこんな事してごめんね。悪徳業者に毎日毎日デンワがかかりどうにもなりません。私達だけだったらいいけれど,友達の家にデンワがあったり,その近所にもデンワをしたり,もうどうにもならなくて主人と(兄ちゃんも)死にます。かえせなくてほんとうにごめんね。Oちゃんにもよろしく伝えて下さい。がんばって生きて下さいね」。 との同月13日発送の遺書( )Eは,平成15年6月13日ころ,大阪府警本部生活安全部生活経済課の - 27 -前記相談に当たってCから事情聴取した警部補に宛てて「お励ましの言葉,に従って,がんば 13日発送の遺書( )Eは,平成15年6月13日ころ,大阪府警本部生活安全部生活経済課の - 27 -前記相談に当たってCから事情聴取した警部補に宛てて「お励ましの言葉,に従って,がんばってまいりましたが,彼らのする事,通常ではなく,私達のみならば絶体に負けませんが,すべて他の居住者に向けられ,迷惑この上もございません「防ぎようが無く,唯見守るだけで,謝っても,聞き入」,れてくれません「どうかお許し下さいませ.皆様が資料を集め努力され.」,ているにも拘わらず,ご好意を裏切るような事を致しまして,申訳ありませんが,私達の力ではどうしようもできませんでした「皆様のご盡力,ご。」,協力には三人共感謝で過ごして参りましたが,残念です」などと記載した. 遺書( )原告Aは,西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)から,Cらの自殺によ る列車遅延についての損害金の請求を受け,平成15年12月から平成18年2月まで27回にわたり,JR西日本が指定する収納代行会社アプラスに宛てて,合計26万8419円を支払った。 また,原告Aは,Cが居住していた賃貸家屋の明渡しについて26万7750円,Eが居住していた賃貸家屋の明渡しについて15万2750円(合計42万0500円)を支出した。 被告Gらの責任について( )被告J,被告K,被告L及び被告Mについて ア前記1( )ないし( )認定の事実によれば,被告J及び被告Kは,Cに金 員を貸し付けた後,被告らが日常的に行っていた取立方法のとおり,Cに対して,大声で怒鳴りつけ,脅すだけでなく,支払をしなければ,近隣住民に電話をかけて,嫌がらせをし,支払を続けても,完済と認めずに,利息を払い続けさせ,時には因縁を付けて,迷惑料,延滞料をも支払わせていた。被告J及び被告Kの一連の でなく,支払をしなければ,近隣住民に電話をかけて,嫌がらせをし,支払を続けても,完済と認めずに,利息を払い続けさせ,時には因縁を付けて,迷惑料,延滞料をも支払わせていた。被告J及び被告Kの一連の行為は,Cらにとって,支払をしなければ,近隣住民に電話がかけられて,迷惑をかけるだけでなく,危害が加えられるかも知れないと思わせ,また,いつまでも完済として扱ってもらえ- 28 -ず,利息の支払を要求され,支払を続けなければならないと思わせるに十分な内容及び態様であったというべきである。 そして,上記取立ての前提となる貸付け自体も,出資法の規定を著しく上回る利率のものであり,公序良俗に反して無効なものというべきであるだけでなく,被告ら自身も,貸付けが単なる金銭を支払わせる口実にすぎないことを自認しているものである(甲87参照。 )また,被告J及び被告Kは,それぞれ「友&愛「アクセス」という」,異なる屋号を用いているが,互いの取立ての状況をうかがいながら,双方がともに支払を受けられるよう連携・協力して取立行為を行っていたと認められる。 被告らがそれぞれ取立てにより回収した金員は,一旦被告Fのもとに集められ,直接ないし間接的に,給料ないし分け前として被告J及び被告Kにも分配されていた。 以上を総合考慮すれば,被告J及び被告KのCに対する支払を要求し,送金させた行為は,恐喝行為にほかならず,違法性を有するものと認められ,また,被告J及び被告Kは,明示ないし黙示的に,Cに対する恐喝を共謀していたものと認められる。 イ前記1( ) ( )認定の事実によれば,平成15年3月当時,被告Gの指 3 ,示のもと,実行班は,全員で協力して顧客からの支払額を増加させることを目的として,顧客の近隣住民に対して,嫌がらせの電話をかける状況にあり,そのよう れば,平成15年3月当時,被告Gの指 3 ,示のもと,実行班は,全員で協力して顧客からの支払額を増加させることを目的として,顧客の近隣住民に対して,嫌がらせの電話をかける状況にあり,そのような中で,被告L及び被告Mは,被告J,被告Kとともに取立てに当たっていたのであるから,同人らの取立方法を十分認識していたことが認められる。そして,被告Mは被告Kと,被告Lは被告Jとそれぞれ同じ屋号を用い,電話の応対についても相互に協力する体制が整っており,被告K及び被告J以外の者がCからの電話を受けていると認められること(甲31,32)からすれば,被告L及び被告Mは,被告J及び被告- 29 -Kらとともに,相互に共同して上記取立行為を援助,助長ないし積極的に加担していたと認めるべきである。 ( )被告Gについて 前記1( ),( )認定の事実によれば,被告Gは,被告Jらの実行班の責任 者として,新たに実行班に加わった者に対して,貸付けや取立ての方法等を教えていたほか,平成15年3月当時,被告Jらに対して,顧客に対して過酷な支払要求をするよう厳しく指示・命令するなどし,幹部会議における指示は,本件ヤミ金融組織自体の意思決定にほかならず,各実行班の構成員が従うべきものであるとの認識を植え付けていたと認められるから,各実行班の構成員に対する幹部会議における指示の伝達役であるにとどまらず,被告Jら実行班の構成員を監視,管理する立場にあったと認めるべきである。 そうすると,被告Gは,Cに対する直接の支払要求をしたものではないとしても,被告J及び被告Kに対し,包括的な形で取立方法等を指示・命令を行い,被告J及び被告Kらを監視,管理して,前記1( )記載の恐喝行為に 積極的に加担ないし促進していたと認めるべきである。 ( )被告Hについて に対し,包括的な形で取立方法等を指示・命令を行い,被告J及び被告Kらを監視,管理して,前記1( )記載の恐喝行為に 積極的に加担ないし促進していたと認めるべきである。 ( )被告Hについて 前記1( ) ( )認定の事実によれば,被告Hは,センターとして行ってい 3 ,た貸付けの審査等を行っており,これは「貸付け」行為が,恐喝の口実と,して被告らの支払要求に必要不可欠の行為であったばかりでなく,被告Jら実行班に対し,どんな手段,方法を採ってでも,金員を取り立てなければならないと思わせる意味を有する行為であったことが窺われる(甲64。加)えて,被告Hは,毎月末,被告Fに対し,各実行班の貸付実績及び回収状況を報告するなど,本件ヤミ金融組織を経済的に維持するために必要不可欠の役目を果たしていたと認めるのが相当である。 そして,被告Hは,本件ヤミ金融組織の貸付けが,法律に定められた金利を遥かに超えたもので,法律に違反することを知っており,過酷な取立てを- 30 -,,して顧客を精神的に追い込んで支払をさせる必要があるとも考えていた上実行班が取立てにより回収した金員から,給料ないし分け前を受け取っていたというのである。 そうすると,被告Hは,Cに対する直接の支払要求をしたものではないとしても,本件ヤミ金融組織の一員として,被告F,被告J及び被告Kらと相互に利用し合いながら,前記1( )記載の恐喝行為に積極的に加担ないし促 進していたと認めるべきである。 ,,,,なお被告Hは被告J及び被告Kらが貸付け取立てを行うに当たって事前の相談を受けたことも,指示したこともなく,被告Gが指示していたにすぎない,完済を認めない取立方法には問題があると被告Fに述べたなどと主張する。しかし,被告Hは,被告Jらが,顧客から完済分の て事前の相談を受けたことも,指示したこともなく,被告Gが指示していたにすぎない,完済を認めない取立方法には問題があると被告Fに述べたなどと主張する。しかし,被告Hは,被告Jらが,顧客から完済分の入金を受け取,,っているにもかかわらず取立てを継続していたことを知っていたのでありかえって,被告Jらの過酷な取立方法を認識しつつ,被告Fの指示・命令を伝えて過酷な取立てを促進するなど,むしろ取立行為にも加担していたのであるから,不法行為責任を免れず,被告Hの主張は採用できない。 ( )被告Iについて 前記1( ),( )認定の事実によれば,被告Iは,顧客への振込役,顧客が 支払った金員の回収する出金役だけでなく,実行班がヤミ金融行為を行うに当たって必要な物品を準備するなど,本件ヤミ金融組織の中で重要な役割を果たしており,実行班が顧客に支払わせた金員から,給料ないし分け前を受。 ,,,け取っていたまた平成14年6月下旬ころ本件ヤミ金融組織において貸付け及び取立ての役として顧客に電話をし金払え殺すぞ近,,「。」,「。」,「。」。 所に電話するぞなどと怒鳴って脅していたこともあったというのであるそうすると,被告Iは,平成15年当時,実行班の担当者が完済を認めない取立方法を用いていたことなども認識していたと認めることができる。 そうすると,被告Iは,Cに対する直接の支払要求をしたものではないと- 31 -しても,前記1( )記載の恐喝行為に積極的に加担ないし促進していたと認 めるべきである。 ( )小括 以上のとおり,被告Gらは,本件ヤミ金融組織において,それぞれ役割分,,,担に基づき各自担当する役割を果たし互いの行為を利用補充することで有機的一体として本件ヤミ金融組織を形成し,活動していたの 上のとおり,被告Gらは,本件ヤミ金融組織において,それぞれ役割分,,,担に基づき各自担当する役割を果たし互いの行為を利用補充することで有機的一体として本件ヤミ金融組織を形成し,活動していたのであるから,明示ないし黙示的に共謀があったといえ,実行班の担当者であった被告K及び被告Jによる恐喝行為について共同不法行為責任を負う。 被告Fの責任( )ア前記1( ),( )認定の事実によれば,被告Fは,被告Gをはじめとする 実行班の脅迫による支払要求を容認していただけでなく,本件ヤミ金融組織の拠点の移転等を決定し,本件ヤミ金融組織の各役割の担当者,各役割の担当者等を決定し,貸付金,回収金を最終的に管理していたほか,本件ヤミ金融組織の収益を最終的に掌握し,収益を分配していたというのである。 また,被告Fは,幹部会議又は被告Hを通じて,各実行班等に指示・命令を出しており,上記指示・命令は,本件ヤミ金融組織の意思決定であるとして,背く余地がなく,実行班の構成員が従うべきものであると考えられていたものであった。 そうすると,被告Fは,本件ヤミ金融組織の統括者であり,被告Gらの間には直接的な指揮・命令関係があるから,被告Fと被告Gらとの間には使用者と被用者の関係があるといえる。 イ前記1( ),( )認定の事実によれば,被告らの支払要求は,本件ヤミ金 融組織における債権回収を口実とした恐喝行為であるが,本件ヤミ金融組織の収益を上げるための行為にほかならず,事業の執行について行われた行為であるというべきである。 - 32 -ウしたがって,被告Fは,被告らの不法行為につき,民法715条1項による使用者責任を負う。 ( )被告Fは,被告Gとは別個の金融業を営んでいる,被告Jや被告Kのリー ダーは,被告Gであって,被告Fとは がって,被告Fは,被告らの不法行為につき,民法715条1項による使用者責任を負う。 ( )被告Fは,被告Gとは別個の金融業を営んでいる,被告Jや被告Kのリー ダーは,被告Gであって,被告Fとは無関係であると主張する。 しかしながら,被告L,被告J,被告H及び被告Iは,いずれも被告Fが本件ヤミ金融組織の幹部であると認識しており(甲25,29,仮に被告)Gが,本件ヤミ金融組織から抜けて,金融業を始めていたとしても,Cらの自殺があった平成15年6月以降であることが認められる(甲29)だけでなく,被告Fは,その後も本件ヤミ金融組織で得た収益が入金された預金通帳の管理を行っていること(甲146)などの本件で認定できる諸般の事情に鑑みれば,被告の主張を認めることはできない。 ( )被告Fは,被告Gに対し,完済を認めない取立方法を指示したことがない などと主張するが,上記認定・判断には影響を及ぼすものではなく,失当である。 被告らの加害行為とCらの自殺との因果関係について( )前記1( ),( )ないし( )認定の事実によれば,C及びEは,原告Bだけ でなく,藤井寺市社会福祉事務所や警察宛に,悪徳業者に追いつめられて死ぬことを決意した旨を記載しているだけでなく,Cらは,支払を続けても,完済として扱ってもらえず,いつまでも支払を続けさせられると思わざるを得ない状況におかれた上,Eの蓄えも底をつき,被告らからは,近隣住民に電話をかけられて,近隣住民に迷惑をかけ,はずかしめられるだけでなく,近隣住民に危害を加えられるかも知れないとの恐怖を感じていたところ,Cが八尾警察に相談に行った後,被告らから,警察に相談に行ったことにすら因縁を付けられたことなどから,警察を頼ることもできないと思わざるを得ない状況に追いつめられていたと認め 怖を感じていたところ,Cが八尾警察に相談に行った後,被告らから,警察に相談に行ったことにすら因縁を付けられたことなどから,警察を頼ることもできないと思わざるを得ない状況に追いつめられていたと認めることができる。 以上によれば,被告らの恐喝行為は,近隣住民をも巻き込み,収入はすべ- 33 -て奪われ,住む場所も失うとの恐怖を顧客に与え,顧客を精神的に追いつめていく過酷な行為であり,通常人であれば,上記恐喝行為から逃れる手段は死のみであると思うこともやむを得ないものであったというべきであり,Cらも同様に考えたことは容易に推認することができる。他方,本件証拠中には,Cらが,上記恐喝行為以外に自殺を決意せざるを得ない要因を窺わせるものはない。 ( )そして,被告らは,いずれも,被告Jらが恒常的に行っていた過酷な恐喝 行為を認識しており,被告Jらの上記恐喝行為は,近隣住民をも巻き込み,顧客を精神的に追いつめていくものであって,被告らは,そのことを認識していたのであるから,C及びDの夫婦の自殺については予見可能性があったといえ,被告らの恐喝行為とC及びDの自殺との間に相当因果関係があるといえる。 ( )他方,Eについては,前記1( )の認定事実によれば,当時,足が悪く就 労できず,その妹であるCが食事等の世話をしていたことが認められるものの,C夫婦とも別居して,年金収入及び生活保護により単身で生活を営んでいたことに加え,被告らは,EがCと極めて親しい生活関係にあり,EがCの被告らへの支払を援助していたことまで知っていたことを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,被告らがEの自殺を予見しえたとまでは認めるに足りず,被告らの恐喝行為とEの自殺との間の相当因果関係は認められないといわざるを得ない。 損害について( )Cの損害に 証拠はない。 そうすると,被告らがEの自殺を予見しえたとまでは認めるに足りず,被告らの恐喝行為とEの自殺との間の相当因果関係は認められないといわざるを得ない。 損害について( )Cの損害について ア死亡逸失利益前記1( )認定の事実によれば,Cは,死亡した当時69歳であり,パ ートタイムの勤務をしながら,主婦として家族の生活を支える家事労働に- 34 -従事していたのであるから,同人の収入は,女子労働者の該当年齢平均賃金年額294万7400円を下らない収入があったと認めるのが相当である。 また,Cの就労可能年数は,少なくとも7年はあったといえ,そのライプニッツ係数は,5.786であり,生活費控除割合は30%とするのが相当である。 したがって,Cの逸失利益は,次のとおり,1193万7559円である。 (計算式)(.). ()294万7400円× 1-03×5786≒1193万7559円小数点以下四捨五入イ財産的損害前記1( )認定の事実によれば,Cは,前記3記載の被告らの恐喝行為 により,被告らに対し,別表支払一覧表記載のとおり,合計33万7000円を支払うとともに,振込手数料合計6195円を支出していたため,Cは,合計34万3195円の財産的損害を被ったと認められる。 なお,被告らがCに対して交付した合計3万2160円の金員は,前記2のとおり,貸付け自体が金員喝取のための口実にすぎず,公序良俗違反で無効となり,被告らが,民法708条により返還を求めることができないものであるから,民法708条の趣旨に鑑みれば,上記財産的損害から控除すべきでない(最高裁第三小法廷平成20年6月10日判決・判例時報2011号3頁。 )ウ死亡慰謝料前記認定したすべての事情を総合考慮し,本件不法行為は,債権回収名下に,C 記財産的損害から控除すべきでない(最高裁第三小法廷平成20年6月10日判決・判例時報2011号3頁。 )ウ死亡慰謝料前記認定したすべての事情を総合考慮し,本件不法行為は,債権回収名下に,Cを精神的に追い詰め,自殺に到らせたものであって,その態様の悪質性,被害の大きさ等を考慮すると,Cの死亡を慰謝するには,2000万円が相当である。 - 35 -エ相続以上によれば,Cの死亡による損害額は,合計3228万0754円となり,原告らは,それぞれ,その2分の1に相当する1614万0377円の損害賠償請求権を相続したことになる。 (計算式)1193万7559円+34万3195円+2000万円=3228万0754円( )原告A固有の損害について ア葬儀費用については,本件事案の性質及び本件記録にあらわれた一切の事実にかんがみ,葬儀費用は150万円が相当である。 イ前記1( )認定の事実によれば,原告Aは,JR西日本に対して,列車 を遅延させたことによる損害として,合計26万8419円を支払ったことが認められる。 しかし,被告らが,自らの恐喝行為当時,JR西日本の列車の遅延を予見する可能性があったとは到底認めることができず,相当因果関係があると認めることはできない。 ウ前記1( )認定の事実によれば,原告Aは,Cが居住していた賃貸家屋 ,。 の明渡しに伴う原状回復費用等として合計26万7750円を支出したCとDの夫婦は賃貸家屋に居住していたのであるから,その明渡費用等は居住者の死亡に伴って通常生ずべき損害であるから,被告らの取立行為等とCの自殺との間に相当因果関係が認められる以上,被告らには原告Aが負担したその費用相当額を賠償する義務がある。なお,原告AはEが居住していた賃貸家屋の明渡しに伴う原状回復費用として合計15万 為等とCの自殺との間に相当因果関係が認められる以上,被告らには原告Aが負担したその費用相当額を賠償する義務がある。なお,原告AはEが居住していた賃貸家屋の明渡しに伴う原状回復費用として合計15万2750円を支出しているが,被告らの取立行為とEの死亡との間の相当因果関係が認められない以上,被告らにその賠償義務を負わせることはできない。 エ慰謝料原告Aが,Cの窮状を知り,可能な限りその借金の返済に協力していた- 36 -ことなど以上で認定した事実及び本件記録にあらわれた一切の事実を総合,,考慮するとCの死亡により原告Aが被った精神的苦痛等を慰謝するには500万円が相当である。 ( )原告B固有の損害(慰謝料)について 原告Bが,Cの窮状を知り,可能な限りその借金の返済に協力していたことなど以上で認定した事実及び本件記録にあらわれた一切の事実を総合考慮すると,Cの死亡により原告Bが被った精神的苦痛等を慰謝するには,500万円が相当である。 ( )原告らの弁護士費用について 本件事案の性質,認容額等を考慮すると,弁護士費用として,各200万を認めるのが相当である。 結論 以上より,原告らの請求は,原告Aにつき2490万8127円,原告Bにつき2314万0377円,及びこれらに対する平成15年6月14日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから,これらを認容することとし,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。なお,被告K及び被告Mについては,請求原因事実を自白したものとみなされるが,本件請求の内容及び本件事案の性質を考慮すると,信義則に照らして,上記のとおり判断するのが相当である。 大阪地方裁判所第12民事部裁判長裁判官高橋文清裁判官横田典子- れるが,本件請求の内容及び本件事案の性質を考慮すると,信義則に照らして,上記のとおり判断するのが相当である。 大阪地方裁判所第12民事部裁判長裁判官高橋文清裁判官横田典子- 37 -裁判官神谷善英(別表省略)

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