主文 1 被告は,原告P1に対し,271万0128円及び別紙1の1「未払残業代目録(原告P1)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 2 被告は,原告P1に対し,271万0128円及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 3 被告は,原告P2に対し,197万2269円及び別紙1の2「未払残業代目録(原告P2)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 4 被告は,原告P2に対し,197万2269円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 5 被告は,原告P3に対し,257万4902円及び別紙1の3「未払残業代目録(原告P3)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 6 被告は,原告P3に対し,257万4902円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 7 被告は,原告P4に対し,84万9808円及び別紙1の4「未払残業代目録(原告P4)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 8 被告は,原告P4に対し,84万9808円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 9 被告は,原告P ントの割合による金員を支払え。 8 被告は,原告P4に対し,84万9808円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 9 被告は,原告P5に対し,129万9344円及び別紙1の5「未払残業代目録(原告P5)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 被告は,原告P5に対し,129万9344円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 11 被告は,原告P6に対し,200万9898円及び別紙1の6「未払残業代目録(原告P6)」の各月の「未払残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 12 被告は,原告P6に対し,200万9898円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 13 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 14 訴訟費用は,これを20分し,その11を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項,第3項,第5項,第7項,第9項及び第11項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求1(1) 被告は,原告P1に対し,630万6417円及び別紙2の1「未払残業代等請求目録(原告P1)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P1に対し,630万6417円及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済み る同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P1に対し,630万6417円及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2(1) 被告は,原告P2に対し,434万1224円及び別紙2の2「未払残業代等請求目録(原告P2)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P2に対し,434万1224円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 3(1) 被告は,原告P3に対し,440万0088円及び別紙2の3「未払 残業代等請求目録(原告P3)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P3に対し,440万0088円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 4(1) 被告は,原告P4に対し,199万8546円及び別紙2の4「未払残業代等請求目録(原告P4)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P4に対し,199万8546円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 5(1) 被告は,原告P5に対し,282万2703円及び別紙2の5「未払残業代等請求目録(原告P5)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各 セントの割合による金員を支払え。 5(1) 被告は,原告P5に対し,282万2703円及び別紙2の5「未払残業代等請求目録(原告P5)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P5に対し,282万2703円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 6(1) 被告は,原告P6に対し,443万0873円及び別紙2の6「未払残業代等請求目録(原告P6)」の各月の「残業代」欄記載の金額に対する同目録記載の各月の「支払日」欄記載の日の翌日から年6パーセントの割合による金員を支払え。 (2) 被告は,原告P6に対し,443万0873円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払 え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,被告(以下「被告会社」ともいう。)に登録型派遣社員として雇用されて,株式会社阪急交通社(以下「本件派遣先」という。)に派遣添乗員として派遣され,本件派遣先が主催する募集型企画旅行の添乗員業務に従事していた原告らが,①派遣添乗員には,労働基準法38条の2が定める事業場外労働のみなし制(以下「本件みなし制度」という。)の適用はなく,法定労働時間を越える部分に対する割増賃金が支払われるべきである,②7日間連続して働いた場合には,最後の1日は休日出勤したものとして休日労働に対する割増賃金が支払われるべきであると主張して,それぞれ別紙2の1ないし6の各未払残業代等請求目録に記載された未払割増賃金及びこれに対する各支払期日の翌日から各支払済みまで商事法定利率である年6パーセントの割合による遅延 べきであると主張して,それぞれ別紙2の1ないし6の各未払残業代等請求目録に記載された未払割増賃金及びこれに対する各支払期日の翌日から各支払済みまで商事法定利率である年6パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,前記未払割増賃金と同額の付加金及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで民事法定利率である年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。 2 前提となる事実(争いのない事実等)以下の事実は,当事者間に争いがないか,または,段落末尾に掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実である(以下,これら事実を「前提事実」という。)。 (1) 労働契約の内容等ア原告らは,登録型の派遣添乗員であり,本件派遣先が主催する募集型企画旅行(以下「ツアー」ともいい,旅行先に応じて「海外ツアー」又は「国内ツアー」という。)ごとに,期間を定めて被告会社に雇用され(同期間は,ツアーの実施期間と一致している。),派遣添乗員として本件派遣先に派遣されて,添乗員業務に従事している者である。 イ被告会社は,派遣添乗員(原告ら)をツアーごとに雇用するに当たり,派遣社員就業条件明示書(以下「派遣条件明示書」という。)を作成しており,同書面には,以下の記載部分がある(なお,○○と表記した部分はツアーごとに異なる箇所である。)。【甲2,弁論の全趣旨】(業務内容) 添乗業務:政令に定める第13号に該当。 ツアー名:○○ 行先:○○ コース番号:○○(派遣就業の期間) ○○日間(○○年○○月○○日~○○年○○月○○日) * 不測の事態により延泊等の生ずることもあり得る。 * 打合せ・精算を伴う。 (就業時 号:○○(派遣就業の期間) ○○日間(○○年○○月○○日~○○年○○月○○日) * 不測の事態により延泊等の生ずることもあり得る。 * 打合せ・精算を伴う。 (就業時間休憩時間)原則として派遣先旅行業約款に旅行者に対する添乗サービス提供時間として定められた午前8時から午後8時までとする。但し,実際の始業・終業・休憩時間については派遣先の定めによる。又,具体的には添乗業務の円滑な遂行に資するように派遣添乗員が自己責任に於いて管理することが出来るものとする。 (時間外勤務)なし(休日勤務)なし(賃金(日当))別に定める規定に基づく。 (備考)上記以外の勤務条件に関しては,会社の定める就業規則による。 ウ派遣添乗員の賃金(日当)は,年2回,4月と10月に被告会社によって査定が行われ,同査定結果に基づき,その翌月から日当が上下することとなっており,派遣条件明示書の「賃金(日当)」欄における「別に定める規定」に該当する。【甲8の1ないし5,甲9,10の1ないし5,弁論の全趣旨】エ原告らが派遣添乗員として従事したツアーにおける賃金(日当)は,( ア) ないし( カ) のとおりであり,賃金の締め日は,毎月末日(ツアーの帰着日がその月内であるものを締めるものとする。),支払日は翌月25日(25日が休日の場合は前日)である(ただし,これらの賃金がどの程度の労働時間に対して定められたものであるかについては,後述するとおり,当事者間に争いがある。)。また,原告らに対する賃金(日当)支払について,その支払明細書には,割増賃金が支給されていることを示す記載はなかった。なお,原告らが本件訴訟において請求対象としている おり,当事者間に争いがある。)。また,原告らに対する賃金(日当)支払について,その支払明細書には,割増賃金が支給されていることを示す記載はなかった。なお,原告らが本件訴訟において請求対象としているツアーについて,原告らがそれぞれ添乗業務を行ったことについては争いがない。【甲8の1ないし5,甲9,10の1ないし5,弁論の全趣旨】(ア) 原告P1原告P1は,平成17年9月から平成19年12月までの間に,派遣添乗員として従事した海外ツアー(合計48本)について,割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお,原告P1が請求対象としている最終ツアーは,平成19年11月23日から12月3日までの海外ツアーである。)。 a 平成17年5月~同年9月(帰着分。以下同じ)1万4000円b 平成17年10月~同18年3月 1万3500円c 平成18年4月~同年10月 1万4000円d 平成18年11月~同19年4月 1万4500円e 平成19年5月~同年10月 1万5000円 f 平成19年11月~同20年1月 1万6000円(イ) 原告P2原告P2は,平成17年11月から同20年2月までの間に,派遣添乗員として従事した国内ツアー(合計25本)及び海外ツアー(合計25本)について割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお,原告P2が請求対象としている最終ツアーは,平成20年2月22日から同月29日までの海外ツアーである。)。 a 国内ツアー(平成17年11月~同20年4月)9500円b 海外ツアー(a) 平成17年11月~同19年9月 1万8000円(ただし,平成19年6月及び7月に実施された「北欧ゴールデンルー 内ツアー(平成17年11月~同20年4月)9500円b 海外ツアー(a) 平成17年11月~同19年9月 1万8000円(ただし,平成19年6月及び7月に実施された「北欧ゴールデンルート10日間(E535)」については,1万9500円)(b) 平成19年10月~同20年4月 1万8500円(ウ) 原告P3原告P3は,平成18年3月から同20年1月までの間に,派遣添乗員として従事した国内ツアー(合計22本)及び海外ツアー(合計35本)について割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお,原告P3が請求対象としている最終ツアーは,平成20年1月22日から同月29日までの海外ツアーである。)。 a 海外ツアー(a ) 平成17年11月~同18年4月 1万0300円(b) 平成18年5月~同年10月 1万1300円(c) 平成18年11月~同19年4月 1万2700円(d) 平成19年5月~同年10月 1万3700円 (e ) 平成19年11月~同20年1月 1万4200円b 国内ツアー(a ) 平成17年11月~同18年10月 8500円(b) 平成18年11月~同19年4月 9000円(c) 平成19年5月~同20年1月 1万円(エ) 原告P4原告P4は,平成18年8月から同20年1月までの間に,派遣添乗員として従事した海外ツアー(合計17本)について割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお,原告P4が請求対象としている最終ツアーは,平成20年1月21日から同月27日までの海外ツアーである。)。 a 平成18年8月~同年10月 1万2500円b 平成19年8月~同年10月 1万3000円 請求対象としている最終ツアーは,平成20年1月21日から同月27日までの海外ツアーである。)。 a 平成18年8月~同年10月 1万2500円b 平成19年8月~同年10月 1万3000円c 平成19年11月~同20年1月 1万4500円(オ) 原告P5原告P5は,平成18年7月から同20年1月までの間に,派遣添乗員として従事した海外ツアー(合計22本)について割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお,原告P5が請求対象としている最終ツアーは,平成20年1月16日から同月21日までの海外ツアーである。)。 a 平成18年8月~同19年4月 1万4000円b 平成19年5月~同20年1月 1万4500円( カ) 原告P6原告P6は,平成18年3月から同20年1月までの間に,派遣添乗員として従事した海外ツアー(合計31本)について割増賃金を請求しているところ,その賃金(日当)は,以下のとおりである(なお, 原告P6が請求対象としている最終ツアーは,平成20年1月10日から同月16日までの海外ツアーである。)。【c及びdにつき弁論の全趣旨】a 平成18年3月~同年10月 1万2500円b 平成18年11月~同19年4月 1万3500円c 平成19年5月~同年10月 1万5500円d 平成19年11月~同20年4月 1万6000円(2) 本件に至る経緯ア被告会社における労働者(原告らが含まれている。)は,平成19年1月25日,全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合P7支部(以下「本件組合」という。)を結成した。本件組合は,被告会社に対し,同月29日,組合結成通知を送付し,業務内容の見直しを協議すること,雇用保険の加入,時間外労働 全国協議会東京東部労働組合P7支部(以下「本件組合」という。)を結成した。本件組合は,被告会社に対し,同月29日,組合結成通知を送付し,業務内容の見直しを協議すること,雇用保険の加入,時間外労働・休日労働に関する割増賃金の支払,年次有給休暇の付与,就業規則を本件組合と協議して作成すること等を求めて,同年2月20日に第1回団体交渉を行った。なお,本件組合は,原告らにより本件訴訟が提起されるまでの間,16回にわたって団体交渉を行った。 イ(ア) 被告会社は,本件組合による割増賃金の請求について,添乗業務には本件みなし制度の適用があるから未払賃金は発生していないなどと対応し,本件組合は,同年5月30日,三田労働基準監督署に対し,このような取扱は,労働基準法に違反する旨の申告を行った( イ) 三田労働基準監督署は,同年10月1日,被告会社に対し,派遣添乗員の時間外・休日労働について,それぞれ法定の割増賃金を支払っていないなどとして,是正勧告書・指導票を出した。被告会社は,これに対し,派遣添乗員の労働時間の把握は困難であり,本件みなし制度の要件は満たしているとして,是正指導の内容を拒否する回答を三田労働基準監督署に提出した。 ウ被告会社は,同月31日,三田労働基準監督署に対し,労働基準法36条1項に基づいて,時間外労働・休日労働に関する協定届を提出した。同協定届には,時間外労働及び休日労働をさせる必要のある具体的事由を「労働者派遣業務の緊急処理の為」と記載した上,所定労働時間が1日8時間(1週40時間)であり,所定休日が「就業規則に定める週1回の休日」及び国民の休日であること,延長することができる時間を1日7時間,1か月45時間とすること,休日労働は月2回以内とすること等が記載されている。 エ被告会社におい 就業規則に定める週1回の休日」及び国民の休日であること,延長することができる時間を1日7時間,1か月45時間とすること,休日労働は月2回以内とすること等が記載されている。 エ被告会社においては,派遣従業員就業規則が定められ,三田労働基準監督署に届出がされている。平成19年11月30日に届出がされた派遣従業員就業規則(乙1)には,以下の記載部分があり,それ以前の同規則(乙23,24)にも同様の記載部分がある(なお,派遣従業員就業規則が派遣添乗員に適用されるものであるかについては当事者間に争いがある。)。【乙1,23,24】第1条(目的)この規則は,株式会社阪急トラベルサポート(…中略…)の派遣従業員(以下,スタッフという)の雇用期間,労働条件を定めることを目的とする。 第2条(雇用)会社は,スタッフを会社のスタッフ登録者名簿に登録されている者のうちから,必要に応じて雇用する。 会社は雇用にあたり,従事する業務の内容,就業の場所,派遣期間,就業日,就業時間,賃金等の必要な労働条件を明示する。 第5条(就業時間および休憩時間)スタッフの就業時間および休憩時間は,労働基準法第32条,第32条の2,第32条の3,第32条の4,第34条によるものと し,始業時刻,終業時刻,休憩時間の配置については,派遣先の事業所の事情を勘案し,個別契約(就業条件明示書)の定めるところによる。 第6条(休日)スタッフには,毎週1日または4週間に4日の休日を与える。 休日は原則として日曜日とするが,派遣先の事情により変更することがある。 第7条(時間外・休日労働)会社は,業務の都合によりスタッフに対して,1日実働8時間または1週間実働40時間を超え,または毎週1日もしくは4週間に4日の休日に労働さ 更することがある。 第7条(時間外・休日労働)会社は,業務の都合によりスタッフに対して,1日実働8時間または1週間実働40時間を超え,または毎週1日もしくは4週間に4日の休日に労働させることがある。 前項の場合には,スタッフは正当な理由なくこれを拒んではならない。 第11条(賃金)(…1項ないし4項につき,省略…)スタッフが法定労働時間を超えて労働し,または休日に労働した場合には下記の計算により手当を支給する。 (1) 時間外勤務手当時間給×1.25(2) 休日勤務手当時間給×1.35 (3) 深夜勤務手当時間給×0.25オ被告会社は,派遣添乗員就業規則(以下「現行添乗員規則」という。)を作成して,平成20年2月1日から施行している。また,被告会社は,同年11月1日,従業員代表との間において,「事業場外みなし労働時間制に関する協定書」を締結し,同月10日,三田労働基準監督署に届出を行っており(以下,この協定を「新みなし協定」という。),以下の記載部分がある。なお,新みなし協定は,同月1日から適用されており,原告 らが本件訴訟において対象としているツアーについては適用されない。 【乙7の1及び2,乙16】第1条(対象職員)事業場外みなし労働時間制は,主として事業場外において,労働時間の算定が困難な添乗業務に従事する派遣添乗員に対し適用する。 第2条(労働時間の取り扱い) 前条の派遣従業員が事業場外において,労働時間の算定が困難な添乗業務に従事した日については,休憩時間を除き,1日11時間労働したものとみなす。 第3条(深夜・休日労働)第1条に定める派遣添乗員が,会社の業務上の指示により深夜・休日労働を行った場合は,派遣添乗員就業規 ついては,休憩時間を除き,1日11時間労働したものとみなす。 第3条(深夜・休日労働)第1条に定める派遣添乗員が,会社の業務上の指示により深夜・休日労働を行った場合は,派遣添乗員就業規則第29条により,割増賃金を支給する。 (3) 本件みなし制度に関する行政通達の定め本件みなし制度について,昭和63年1月1日基発第1号(以下「本件通達」という。)は,本件みなし制度の「対象となるのは,事業場外で業務に従事し,かつ,使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務」であり,「事業場外で業務に従事する場合であっても,使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については,労働時間の算定が可能である」とし,本件みなし制度が適用されない場合として,①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で,そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合(以下「本件通達除外事例①」という。),②事業場外で業務に従事するが,無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合(以下「本件通達除外事例②」という。),③事業場において,訪問先,帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち,事業場外で指示どおりに業務に従事し,その後も事業場にもどる場合(以下 「本件通達除外事例③」といい,前記①ないし③を併せて「本件通達除外事例」という。)を掲げている。 3 争点(1) 原告らの添乗業務における本件みなし制度(労働基準法38条の2)の適用の有無(2) 本件みなし制度の適用があるとした場合における「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(労働基準法38条の2第1項但書)(3) 原告らの添乗業務における休日出勤の有無・取扱(4) 被告が原告らに対して支払うべき未払賃金(割増賃金 ける「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(労働基準法38条の2第1項但書)(3) 原告らの添乗業務における休日出勤の有無・取扱(4) 被告が原告らに対して支払うべき未払賃金(割増賃金)の有無・金額第3 当事者らの主張 1 原告らの添乗業務における本件みなし制度(労働基準法38条の2)の適用の有無(1) 原告らの主張ア本件みなし制度は,営業マンなどの事業場外労働について,その実労働時間を使用者が把握することが物理的に困難であることから,実労働時間による労働時間算定の例外として認められたものである。本来,労働時間は実労働時間で算定すべきものであり,その例外である本件みなし制度は,真に労働時間の算定が困難である場合に限定されなければならず,労働時間の算定が客観的物理的に可能であるか否かで判断されるべきである(使用者が主観的に困難であると考えているかどうかは影響しない。)。なお,通信技術の発達により,使用者は,労働者の労働時間をリアルタイムで把握することが可能であることにかんがみると,本件みなし制度の適用は,相当の僻地への出張など極めて限られた場合に限定されると解すべきである。 この点,被告は,事業場外労働について「1分単位」での厳密な算定ができないから労働時間の算定は困難であるなどと主張しているが,労働基 準法で要求される労働時間の把握は,社会通念上適正なものであれば足り,始業時刻と終業時刻(及び休憩時間)が分かればよい。 イ(ア) 添乗員は,ツアー前の打合せにおいて,指示書(国内ツアーの場合)又はアイテナリー(海外ツアーの場合。以下,指示書と併せて「行程表」という。)及び最終日程表(ツアー客に配布されているもの)を渡され,行程表に基づいてツアーを円滑に運営するように指示されており,行程 はアイテナリー(海外ツアーの場合。以下,指示書と併せて「行程表」という。)及び最終日程表(ツアー客に配布されているもの)を渡され,行程表に基づいてツアーを円滑に運営するように指示されており,行程表の指示どおりにツアーの旅程管理を行わなければならない(甲5の1,2)。そして,本件派遣先は,添乗員に対してツアーごとに携帯電話を貸与するなどして,随時電源を入れておくよう指示し,行程変更や緊急事態の際には,本件派遣先への連絡を指示しており,添乗員は本件派遣先の指揮命令の下に勤務しているというべきである。 ( イ) 本件派遣先は,行程表等によって具体的な業務指示を行うとともに,出発時間や移動時間,到着時間など1日の実際の行程を各日の添乗日報(甲3)に詳細に記入するよう指示し,ツアー終了時には「添乗員報告書」(甲3)に添えて提出するように義務付けている。添乗日報は,実際の旅程結果が記載されており,被告は始業時刻及び終業時刻を事後的に確認できるのであるから,実労働時間の把握は容易である。また,被告会社は,ツアー中においても,携帯電話等の通信手段を用いることにより,添乗員の労働時間をリアルタイムで把握することが可能である。 なお,添乗員は,ツアー客に常に帯同して様々な要望に応えなければならないのであり,非労働時間(休憩時間)が入り込む余地はないし,ツアー客が常に同行しているから,労働時間をごまかすことは不可能であり,添乗日報による報告の正確性も担保されることとなる。 (ウ) 被告は,原告らが主張する労働時間が整合していないことや添乗日報に関する原告らの記憶がないこと等を指摘して,「労働時間を算定し難いとき」に該当すると主張するが,本件においては,被告会社が労 働時間の把握を怠っていたために,労働時間の概括的認定をせざるを得なかった らの記憶がないこと等を指摘して,「労働時間を算定し難いとき」に該当すると主張するが,本件においては,被告会社が労 働時間の把握を怠っていたために,労働時間の概括的認定をせざるを得なかったにすぎない。 ( エ) 以上によれば,添乗業務は,労働時間の算定が困難な場合には当たらないから,本件みなし制度は適用されないというべきである。 ウ被告会社は,添乗業務が本件通達除外事例のいずれにも該当しないとして,本件みなし制度の適用がある旨主張する。しかしながら,本件通達は,行政の内部基準であって拘束力を持つものではなく,本件みなし制度が適用されない場合を例示的に列挙するものにすぎない。 また,添乗員は,携帯電話を持ち電源を入れておくように指示されており,本件派遣先は添乗員に指示しようと思えばいつでも指示できるのであるから,本件通達除外事例②に該当するというべきである。また,添乗員は,行程表によって具体的に業務を指示され,ツアー終了後に日報によって報告するのであるから,本件通達除外事例③にも該当する。 したがって,添乗業務は,本件通達によっても本件みなし制度は適用されないというべきである。 (2) 被告の主張ア労働基準法は,使用者に対し,1分単位での労働時間の把握を求めており,これを受けて厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日基発第339号。以下「労働時間把握基準」という。)を発出している(なお,法律上,労働時間を把握するための方法として採用が義務付けられているものはない。)。 労働時間把握基準においては,使用者が労働時間を適正に管理するために労働日ごとの始業・終業時刻を確認して記録することとし,そのための方法として,原則として,①「ア.使用者が,自 はない。)。 労働時間把握基準においては,使用者が労働時間を適正に管理するために労働日ごとの始業・終業時刻を確認して記録することとし,そのための方法として,原則として,①「ア.使用者が,自ら現認することにより確認し,記録すること。」(以下,これを「労働時間把握基準ア」という。),②「イ.タイムカード,ICカード等の客観的な記録を基礎とし て確認し,記録すること。」(以下,これを「労働時間把握基準イ」という。)のいずれかの方法によることとした上で,これらの方法によれない場合に自己申告を用いることとされている。この点,厚生労働省から発出されている「『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』についての考え方」(乙6。以下「労働時間参考指針(考え方)」という。)は,労働時間の適正な把握を行う為には,労働日ごとの労働時間数を把握するのみでは足りず,「労働日ごとに始業・終業時刻を使用者が確認し,これを記録する必要がある」ことを明らかにしているところである。 そして,本件みなし制度(労働基準法38条の2)の立法趣旨からは,「労働時間を算定し難いとき」に該当するかどうかを判断するに当たって,自己申告が考慮要素から排除されことは明らかであるから,結局,「労働時間が算定し難いとき」に該当するか否かは,労働時間把握基準ア又はイによる方法のいずれかをとることができるかどうかを基準として判断されるべきである。 イ(ア) 本件通達は,労働時間把握基準アについて,いかなる場合において使用者が「現認」したといえるか(使用者の責任で始業・終業時刻を直接的に確認したといえるか)を具体的に示したものであり,本件通達が定める3類型(本件通達除外事例①ないし③)のいずれにも当たらなければ,労働時間把握基準アには該当しないことと 任で始業・終業時刻を直接的に確認したといえるか)を具体的に示したものであり,本件通達が定める3類型(本件通達除外事例①ないし③)のいずれにも当たらなければ,労働時間把握基準アには該当しないこととなる。 添乗業務においては,添乗員が単独で事業場外労働に従事し,「労働時間の管理をする者」と同行することはないから,本件通達除外事例①には該当しない。また,本件通達除外事例②は,随時使用者の指示を受けながら事業場外業務に従事している場合を予定しており,添乗員は,携帯電話を携帯してはいるものの,緊急時を除いては,携帯電話で行動を報告することや業務指示を受けることもないのであり,旅程の変更は 添乗員の判断で行われ,そのことについて時間管理者が確認しているということもないから,本件通達除外事例②にも該当しない。さらに,添乗員は,ツアー出発日に出社せずに空港等の出発地に直行し,ツアー終了日も,帰社することなくそのまま帰着地から直帰するのであるから,本件通達除外事例③(「事業場場において…具体的指示を受け」,「事業場に戻る場合」)に該当しないことも明らかである。 したがって,添乗業務は,本件通達除外事例のいずれにも該当しないから,労働時間把握基準アには該当しない。 (イ) 労働時間把握基準イは,機械的に入力して,作為が加わる可能性が一般的に低いものを予定しており,添乗業務の場合,出発地・帰着地に直行・直帰し,事業場外において添乗員1名で労働する実態からして,機械的に記録される客観的な記録を基礎として確認し,記録することは不可能であることは明らかであり,労働時間把握基準イにも該当しない。 (ウ) 以上のとおり,事業場外において添乗員1名によって行われる添乗業務については,労働時間把握基準ア又はイのいずれの方法もとりえな 能であることは明らかであり,労働時間把握基準イにも該当しない。 (ウ) 以上のとおり,事業場外において添乗員1名によって行われる添乗業務については,労働時間把握基準ア又はイのいずれの方法もとりえないのであるから,結局,「労働時間が算定し難いとき」に該当し,本件みなし制度の適用がある。 ウこの点,原告らは,添乗日報が存在することによって労働時間の算定は可能であるから本件みなし制度の適用はないと主張するが,前述したとおり,労働基準法38条の2の立法趣旨からすれば,自己申告は,「労働時間を算定し難い」かどうかを判断する際の考慮要素から排除されるべきであり,前記主張は失当である。また,最終日程表,行程表及び添乗日報を照らし合わせることで労働時間が算定できるとも主張するが,これら資料に記載された時刻は食い違いがあったり,一方に記載がなかったりするものがほとんどであり,照らし合わせたところで労働時間の算定ができるものではない。そもそも行程表は,あくまでも参考程度のものであり(立寄 予定地は省略できないとしても,その順番,滞在時間等は,添乗員の裁量に任されている。),添乗報告書(添乗日報を含む。)は,最新の現地情報を知り,今後のツアー催行に役立てられるために提出が求められているものであり,添乗員の労働時間を把握するためのものではない。 2 本件みなし制度の適用があるとした場合における「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(労働基準法38条の2第1項但書)(1) 原告らの主張ア本件みなし制度は,労働者ごとに各日に労働時間を算定するという労働基準法の原則を物理的困難から貫けない場合において,できる限り実労働時間に近接した時間となるように,個々の具体的な労働日の労働時間をみなすことを一定の要件の下に認めるものにすぎない。 るという労働基準法の原則を物理的困難から貫けない場合において,できる限り実労働時間に近接した時間となるように,個々の具体的な労働日の労働時間をみなすことを一定の要件の下に認めるものにすぎない。 したがって,「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(労働基準法38条の2第1項但書。以下「みなし労働時間」という。)は,個々の労働者と具体的業務内容に応じて客観的かつ個別に決定されるのであり(平均的な添乗員が平均的にこなす労働時間が通常必要とされる時間となる。),本件においては,原告ごとに,かつ各日(旅程)について,みなし時間が適切に定められなければならない。 イ被告は,派遣条件明示書において,1日の労働時間が11時間(所定労働時間8時間,所定時間外労働3時間及び休憩1時間)である旨が明示されており,添乗業務におけるみなし労働時間は11時間である旨主張するが,派遣条件明示書は,「実際の始業・終業・休憩時間については派遣先の定めによる」と記載しており,本件派遣先には,添乗員の始業・終業・休憩時間を定めた規則はなく,本件みなし制度が適用される旨の記載部分もない。 (2) 被告の主張ア派遣条件明示書には,1日の労働時間は「午前8時から午後8時ま で」の11時間(所定労働時間8時間+所定時間外労働3時間+休憩1時間)である旨が記載されている。添乗業務については,前述したとおり,本件みなし制度が適用されるところ,被告会社は,同記載によって,みなし労働時間を11時間とすることを明らかにしていた。 イ被告会社は,標準旅行業約款及び本件派遣先の旅行業約款において,添乗員が旅程管理及びその付随義務に従事する時間帯が,原則として8時から20時までとされており,ツアー商品がこの時間を考慮して企画されていることから,みなし労働時 び本件派遣先の旅行業約款において,添乗員が旅程管理及びその付随義務に従事する時間帯が,原則として8時から20時までとされており,ツアー商品がこの時間を考慮して企画されていることから,みなし労働時間を11時間と定めたものである。 そして,平成20年11月1日,新みなし協定を締結しているところ,阪急トラベルサポート添乗員労働組合等からも労働時間を11時間とみなすことが妥当であるとの意見が出されていること(乙16,17),また,被告会社においては,平成21年10月から,国内宿泊ツアーにおいて,本件みなし制度の妥当性を測るための実態調査を開始したところ,同月における平均申告労働時間は9時間33分であり,みなし労働時間の11時間を下回っていること,原告らの具体的な添乗業務の内容等をも踏まえると,みなし労働時間(11時間)は労働実態からも不足はなく,適切なものというべきである。 ウ原告らは,各原告・各日(日程)ごとにみなし時間を定めるべきであるとするが,「みなす」とは,本来異なるものを法令上一定の法律関係について同一なものとして認定してしまうこと,当事者間の取り決めや反証を許さず,一定の法律関係に関する限りは絶対的に同一なものとして扱うものであり,前記主張は法文に明らかに反する。 3 原告らの添乗業務における休日出勤の有無・取扱(1) 原告らの主張被告会社は,原告らを連続7日間働かせた場合,最後の1日を休日出勤したものとして,労働基準法所定の割増賃金を支払うべきである。 この点,被告会社は,派遣従業員就業規則(乙1)の適用を前提として,毎週1日または4週間に4日の休日が確保されている旨主張するが,原告らは登録型派遣労働者なのであり,派遣期間の合間(添乗旅行と次の添乗旅行との間の期間)は,そもそも労働契 乙1)の適用を前提として,毎週1日または4週間に4日の休日が確保されている旨主張するが,原告らは登録型派遣労働者なのであり,派遣期間の合間(添乗旅行と次の添乗旅行との間の期間)は,そもそも労働契約は存在せず,休日という概念など出てくるはずはない。また,同規則は,本件派遣先の事業所に勤務している内勤の派遣社員に適用されるものであって,原告らは適用対象ではなく,そもそも派遣添乗員には周知されていなかったから効力はない。 (2) 被告の主張被告会社においては,平成20年1月まで,派遣従業員(派遣添乗員を含む。)に対しては,派遣従業員就業規則(乙1)が適用されていた。同規則第6条は,休日について,「スタッフには,毎週1日または4週間に4日の休日を与える」としている。すなわち,原告らについては,労働契約の期間終了後,相当程度の期間が経過した後,新たに派遣契約を締結するという形態にあり,週に1日ないし4週につき4日の休日が確保されているから,7日連続勤務があったとしても休日割増賃金は発生しない。 労働基準法上,使用者は労働者に週に1日ないし4週間に4日の休日を与えなければならないとしているところ(同法35条),同法にいう「休日」とは労働義務のない日を指すのであるから,労働契約の期間内か期間外かにかかわらず,原告らが労働義務を負っていない日は,労働基準法上の「休日」に該当する。そもそも同法において休日規制がされている趣旨は労働者の休息を確保して疲労を回復させることにあるところ,休日が労働契約期間外にあったとしても上記趣旨は達成することができるのであるから,かかる趣旨からも休日が労働契約期間内に存在しなければならないという理由はない。 4 被告会社が原告らに対して支払うべき未払賃金(割増賃金)の有無・金額(1) 原告らの主張 るのであるから,かかる趣旨からも休日が労働契約期間内に存在しなければならないという理由はない。 4 被告会社が原告らに対して支払うべき未払賃金(割増賃金)の有無・金額(1) 原告らの主張 被告会社は,派遣条件明示書の記載を前提として,みなし労働時間(11時間)に対する対価として日当(割増賃金を含む。)を支払済みである旨主張しているが,本件みなし制度を適用するとか,みなし労働時間が11時間であるといった内容の記載はないから,派遣条件明示書は,労使間における合意の根拠となるものではない。また,被告会社(本件派遣先)は,派遣条件明示書に記載された午前8時から午後8時までの枠を超えるツアーを企画しているのであり,前提を欠いている。 また,被告会社の前記主張は,日当に1日3時間分の時間外割増賃金が含まれている固定残業代制であるという主張であるとも解されるが,そもそも賃金のうち割増賃金部分が明確に区別されておらず(賃金査定表には残業代の金額も計算もない。),固定残業代制としての適法性も欠いている。 以上によれば,原告らに対する未払賃金(割増賃金)額の計算は,原告らに対する日当が8時間の所定労働時間の対価であることを前提にしてされるべきである。 (2) 被告の主張ア添乗員(原告ら)は,日当が11時間分の労働に対する対価(割増賃金を含む。)であることを認識していた。すなわち,被告会社の派遣添乗課に備え置かれて周知され,派遣添乗員に平成20年1月まで適用されていた派遣従業員就業規則には,前提事実(2)エのとおり,所定労働時間(8時間)を超える時間外労働をさせることがあり,その場合には,所定の割増賃金を支払う旨が規定されていた。そして,本件派遣先の旅行業約款(乙9)やツアー参加者に配布する「ご旅行条件書」(乙1 働時間(8時間)を超える時間外労働をさせることがあり,その場合には,所定の割増賃金を支払う旨が規定されていた。そして,本件派遣先の旅行業約款(乙9)やツアー参加者に配布する「ご旅行条件書」(乙10)には,添乗員が添乗業務に従事する時間帯が「原則として8時から20時まで」であると明記され,個別の派遣を行うに際して示される派遣条件明示書(甲2)においても,この旨が明示されていたのであるから,午前8時か ら午後8時までの12時間から法定休憩1時間を差し引いた11時間に対して日当(割増部分を含む。)が支払われていることを添乗員も認識していた。 イ添乗員に対する日当を支給する際,残業手当の項目がないのは(甲37),みなし労働時間が11時間であり,既に3時間分の時間外割増手当が日当に含まれていることによる。そして,本件みなし制度が適用される結果,労働時間はみなし労働時間に固定されて一切変動しないから,添乗員は日当に含まれる時間外割増賃金額を容易に計算し,日当中の割増賃金相当部分とそれ以外の部分を明確に区別することができる。 ウ原告らは,日当が11時間分の対価(3時間分の時間外割増賃金を含む。)として支払われていたことは知らなかった旨主張しているが,仮に同主張を前提にするとしても,平成19年2月20日における被告会社と本件組合との団体交渉において,被告会社がこのことを説明した以降は,原告らはこのことを認識した上で会社との雇用契約を締結していた(乙21)。 エ以上のとおり,被告会社は,みなし労働時間(11時間)について,1日3時間分の時間外割増見合分を含む日当を支払ってきたのであるから,未払賃金は存在しない。仮に本件みなし制度が適用されない場合であっても,添乗業務には多くの非労働時間が含まれており,ほとんどの添乗日にお 間分の時間外割増見合分を含む日当を支払ってきたのであるから,未払賃金は存在しない。仮に本件みなし制度が適用されない場合であっても,添乗業務には多くの非労働時間が含まれており,ほとんどの添乗日において1日の労働時間は11時間を下回っていると考えられ(なお,終日自由行動日についても1日分の日当が全額支給されている。),1日の労働時間が11時間を上回っている日があったとしても,1か月の賃金計算期間を通してみた場合,被告会社が支給した月額賃金は労働基準法所定の計算式に基づいて計算される賃金額を下回ってはいない。 第4 争点に対する判断 1 原告らによる添乗業務の内容等 前提事実,証拠(甲2,3の1及び2,甲4,5の1及び2,甲6,8の1ないし5,甲9,11の1及び2,甲13,17ないし20,22の1ないし3,甲26ないし31,33,35の1ないし3,甲39ないし45,甲A49,甲B48,甲F32,乙10,12,13,14の1ないし3,乙19,21の1及び2,証人P8,原告P1,原告P2,原告P6)及び弁論の全趣旨によると,募集型企画旅行における枠組,原告らによる添乗業務の具体的な流れ(主なもの)は,概要以下のとおりであると認められる(以下,これらの事実を「認定事実」という。)。 (1) 募集型企画旅行の枠組(概要)ア旅行業においては,分業体制が取られており,募集型企画旅行の場合,主催旅行会社(本件派遣先が該当),ランドオペレーター(手配会社),添乗員派遣会社(被告会社が該当)等が関与して,ツアーが計画・実施される。主催旅行会社は,ツアー商品の計画・販売・管理を行い,ランドオペレーターに対し,ホテル,レストラン,バス,ガイド等の現地手配を依頼し,添乗員派遣会社に対し,添乗員の派遣を依頼する。依頼内容(ツアー商品) 行会社は,ツアー商品の計画・販売・管理を行い,ランドオペレーターに対し,ホテル,レストラン,バス,ガイド等の現地手配を依頼し,添乗員派遣会社に対し,添乗員の派遣を依頼する。依頼内容(ツアー商品)に基づいて,ランドオペレーターは,具体的な日程・状況に合わせた現地手配を行い(ただし,国内ツアーについては,主催旅行会社が直接現地手配を行うこともある。),添乗員派遣会社は,登録されている派遣添乗員を当該ツアーに派遣する。 イ本件派遣先が主催する募集型企画旅行(ツアー)の企画,実施等までの流れ(概要)は,次のとおりである。 (ア) 国内ツアーの場合本件派遣先は,ツアー商品を企画し,パンフレットを作成して宣伝し,ツアー参加者を募集する。本件派遣先は,一般的な手配を想定したモデルケース(旅程)として,指示書(例えば,乙14の1ないし3)を作成する(なお,指示書の書式は,担当者によって異なり得るものであり,書式 は統一されていない。)。本件派遣先は,参加希望者が一定数以上集まると,当該ツアーの催行を決定して,パンフレット及び指示書の内容を実現するため,各種手配を行い,その内容を記載した最終日程表を作成する。 (イ) 海外ツアーの場合本件派遣先(主催旅行会社)は,旅行商品を企画し,パンフレットを作成して宣伝し,ツアー参加者を募集する。本件派遣先は,参加希望者が一定数以上集まると,当該ツアーの催行を決定し,ランドオペレーター(手配会社)に対して現地手配を依頼する。ランドオペレーターは,本件派遣先からの情報に基づいて,ツアー商品を実現するために合理的と思われる順路を検討した上で,アイテナリーを作成するとともに現地手配を行う。 なお,アイテナリーは,英文で作成され,ホテル,レストラン,バス,ガイド等の手 アー商品を実現するために合理的と思われる順路を検討した上で,アイテナリーを作成するとともに現地手配を行う。 なお,アイテナリーは,英文で作成され,ホテル,レストラン,バス,ガイド等の手配状況(手配の有無,現地ガイドとの待合場所等)や予定時間(例えば,レストランやオプショナルツアーの予約時間,現地ガイドとの待合時間等)が記載されている。ただし,予定時間は,15分ないし30分刻みで記載されているものが多く,書式や記載内容は,ランドオペレーターによって異なっている。 ウ募集型企画旅行においては,パンフレットが主催旅行会社とツアー参加者との間の契約書面であり,最終日程表が,その契約内容を確定させるものであって,ツアーの催行時において,ツアー参加者の了承なく,その内容を変更した場合(例:最終日程表において入場が予定されている観光施設や目的地の変更,宿泊施設の変更等),旅程保証に反することとなり,変更補償金の支払が必要になるものとされている。 (2) 国内ツアーにおける添乗業務ア出発日前における業務国内ツアーは,概ね10日から2週間前において添乗員に対する割当が行われる。添乗員は,ツアー出発日前日,被告会社の事業所に出社し,添 乗業務書類(パンフレット,最終日程表,指示書,参加者名簿等)及び貴重品(添乗金,クーポン券,交通機関の団体券)を受け取り,書類内容等の確認を行い,ツアー行程内における各所(宿泊施設,昼食場所,土産品店,バス会社,写真屋等)に対し,電話により,利用日時,利用人数等の確認を行う。 イ出発日当日(ツアー出発まで)における業務(ア) 添乗員は,午前9時までに自宅を出なければならないツアーの場合,被告会社が雇用している電話受け専門のアルバイトのP9氏(以下「受電担当P9 イ出発日当日(ツアー出発まで)における業務(ア) 添乗員は,午前9時までに自宅を出なければならないツアーの場合,被告会社が雇用している電話受け専門のアルバイトのP9氏(以下「受電担当P9氏」という。)に対し,出発前に30分の間隔をあけて2回モーニングコールを行う(被告会社の指示によるものである。添乗員は,モーニングコールの時間を被告会社に申告し,モーニングコールを忘れた場合には,受電担当者P9氏から添乗員に電話がかかってくることとなる。)。 (イ) 国内ツアーについては,通常,①バスを利用するツアーについては,バスの出発時刻がツアー参加者の集合時刻となっており,②鉄道を利用するツアーについては,列車出発時刻の30分前がツアー参加者の駅集合時刻となっており,また,③飛行機を利用するツアーについては,飛行機の出発時刻の50分前がツアー参加者の空港集合時刻となっている。 (ウ) 添乗員は,ツアー参加者の集合時刻の約30分前に集合場所に行くように指示されており,トイレの場所等を確認の上,集合場所においてスタンバイしておく。添乗員は,①バスを利用するツアーの場合,バスが到着した後,車内にツアー参加者の座席表を貼り出してバス乗務員と簡単な行程の打合せを行い,ツアー参加者の受付を行い,人数等を確認するなどした後,バスの準備が出来次第,ツアー参加者を乗車させる。 ②鉄道を利用するツアーの場合,集合時間に先立ち,団体改札の場所,列車の入線時間と出発時間(始発の場合),団体誘導コース(乗車ホー ム番線)を確認しておく。添乗員は,ツアー参加者の受付を行い,代表者の名前と参加人数を確認するとともに,ツアーバッチを見えやすいところへ付けてもらうように案内し,乗車ホームまで誘導して列車に乗車する(なお,受付終了後に一旦解散した後,列車出発 の受付を行い,代表者の名前と参加人数を確認するとともに,ツアーバッチを見えやすいところへ付けてもらうように案内し,乗車ホームまで誘導して列車に乗車する(なお,受付終了後に一旦解散した後,列車出発時刻のある程度前に再集合することもある。)。また,③飛行機利用ツアーの場合,センディング会社で書類を受け取ってから集合場所にスタンバイし,ツアー参加者の受付を行って必要書類の確認を行うとともに搭乗券を交付し,出発ゲートの案内を行った上で,出発時刻のある程度前(例えば30分前)に各自出発搭乗口前に来るように案内する。その後,搭乗開始のアナウンスがあってからツアー参加者は各自飛行機に乗り込み,添乗員は参加者全員が搭乗したことを搭乗口係員に確認した後,最後に飛行機に乗り込む。 ウ移動中における業務内容(ア) 添乗員は,バス利用ツアーの場合,バス車内において,ツアー参加のお礼や自己紹介を行い,ツアー参加者に対し,団体行動上の依頼・注意・案内の伝達,行程の概略等を説明する。また,オプショナルツアーの説明や車内での販売を行うこともある。 (イ) 添乗員は,鉄道利用ツアーの場合,列車内において人員確認を行うなどし,目的駅に到着する10~15分前には参加者に到着準備を知らせて忘れ物がないように促す。添乗員は,降車後,ホームで点呼して人数確認を行い,参加者を改札口まで誘導する。改札口でバスガイドと合流して,参加者にトイレの案内をしたりして,人員点呼後,参加者をバスへと誘導する。 (ウ) 添乗員は,飛行機利用ツアーの場合,いわゆるサテライトロビーにおいて,ツアー参加者が全員降機したことを確認し,トイレを案内したりした後,到着ロビーにおいてバスガイドと合流して,ツアー参加者を バスへ誘導する。 エ観光地等における業務( において,ツアー参加者が全員降機したことを確認し,トイレを案内したりした後,到着ロビーにおいてバスガイドと合流して,ツアー参加者を バスへ誘導する。 エ観光地等における業務(ア) 添乗員は,バス車内において集合時刻を周知徹底した後,バスから観光地の入り口まで参加者を誘導して,入場料・拝観料を支払う。その後,次の立ち寄り場所に事前に連絡をした上で,参加者よりも早めにバスに戻って参加者を迎え,人数確認の上,出発する。また,現地到着前に,バス車内において,地図・案内書等を配布し,見所・入場料金・距離・交通手段・有名店などを案内して,出発時刻・集合場所を周知するという方法によることもある。また,添乗員は,レポート報告のため,添乗員も観光地を見学して印象・感想などをメモしたりすることもある。 なお,添乗員は,観光地においてツアー参加者に帯同する際,ツアー参加者から質問を受けたりすることもあるので,参加者から離れないように留意する。 (イ) 添乗員は,昼食の際,出発時刻を周知徹底した後,昼食場所に参加者を誘導して着席案内をする。その後,宿泊場所に事前に連絡をした上で,昼食代金を支払い,早めにバスに戻って参加者を迎える。 (ウ) 添乗員は,あらかじめ指定された売店(土産品店)でバスを止め,定められた時間で買い物をしてもらい,売店との間で会社に対するリベートの受領手続をして,オプション販売の支払も行う。 オ宿発施設への到着後における業務(ア) 添乗員は,宿泊施設(大浴場の場所・時間帯等)をバスの車内で案内し,部屋割りカードを配布し,夕食の時刻・場所などの案内をする。 また,参加者に対し,非常口確認の依頼,個人精算分とチェックアウトの方法の説明,翌朝食の時間・場所,翌朝出発時刻の案内を行う。添乗員は,バス車内の忘れ ドを配布し,夕食の時刻・場所などの案内をする。 また,参加者に対し,非常口確認の依頼,個人精算分とチェックアウトの方法の説明,翌朝食の時間・場所,翌朝出発時刻の案内を行う。添乗員は,バス車内の忘れ物の有無を確認してから降車し,宿泊施設のフロント担当者と,夕食・朝食の詳細,個人精算分の扱い,宿泊施設につい ての再確認,宿泊料金の支払い(クーポン),翌日の出発時刻の伝達,夕食会場の席割りや配膳の確認をする。なお,添乗員は,チェックイン後,しばらくはロビー周辺で待機するように指示されている。 (イ) 添乗員は,基本的に,食事(夕食)に同席することとされている。 また,自室において,翌日のバスの座席割りや立寄先の確認,添乗日報の作成等の作業を行う。添乗員は,自室に戻った後において,ツアー参加者の要望があれば対応することとなり,外出時にはフロントに携帯電話の番号を伝えておくことなどが指示されている。 カ翌日以降における業務 添乗員は,朝食場所を確認して,参加者を誘導し,宿泊施設の精算をして,領収書を受領する。乗務員と打合せを行い,バスの座席表を貼り,参加者の個人精算分の支払と部屋の鍵の返却を確認する。バス車内において,人員確認と忘れ物がないことを確認する。また,翌日以降においても,ツアー日程等に応じて,前記ウないしオの業務を行う。 キ最終日(帰着日)における業務 添乗員は,①バス利用の場合には,帰りのバス車内においてアンケートを配布し,適宜のタイミングでアンケートを回収する。また,下車地に到着する前に,ツアー参加者に対し,お礼と本件派遣先のPRなど最後の挨拶をして,ツアー参加者を見送った後,車内に忘れ物がないことを確認する。②列車利用の場合,通常,列車出発時刻の1時間前には駅に到着するこ 前に,ツアー参加者に対し,お礼と本件派遣先のPRなど最後の挨拶をして,ツアー参加者を見送った後,車内に忘れ物がないことを確認する。②列車利用の場合,通常,列車出発時刻の1時間前には駅に到着することが多く,駅に向かうバスの中で,ツアー参加者に対して,御礼等を行う。駅に到着後,乗車ホームにツアー参加者を案内して乗車する(団体改札の場所等を確認の上,一旦解散の上,出発時刻前に集合することもある。)。 添乗員は,列車乗車後,適宜,アンケート用紙の配布及び回収を行い,利用列車の列車名・出発時刻・到着時刻等の案内を行い,最終到着駅に到 着後,団体改札口まで案内して流れ解散となる。③飛行機利用の場合,飛行機出発時刻の1時間前には空港に到着することが多く,空港に向かうバスの中において,ツアー参加者に対し,御礼の挨拶等を行う。空港到着後,チェックインを行い,搭乗券をツアー参加者に渡し,出発ゲートや手荷物カウンターの案内をし,ツアー参加者は飛行機に搭乗する(時間がある場合には,出発ゲートの案内をするなどした上で,一旦解散することもある。)。添乗員は,適宜,アンケート用紙の配布及び回収を行う。添乗員は,空港到着後,到着口に先に進み,ツアー参加者の見送りを行う(アンケートの回収を行う場合もある。)。 添乗員は,ツアー参加者の解散,見送り後,そのまま帰宅する。 クその他 添乗員は,携帯電話を所持して,常に電源を入れておくように指示されている。また,添乗員は,添乗員日報を作成して報告するように指示されている。 ケ精算報告業務 添乗員は,原則として,帰着後5日以内(ただし,日帰りバスツアー及びクリスタルブランドツアーについては帰着後3日以内),被告会社に出社して帰着報告を行い,その後,本件派遣先の添乗課に添乗日報やアンケ 乗員は,原則として,帰着後5日以内(ただし,日帰りバスツアー及びクリスタルブランドツアーについては帰着後3日以内),被告会社に出社して帰着報告を行い,その後,本件派遣先の添乗課に添乗日報やアンケート,精算書類を提出して,収受金や預かり金を入金する。なお,添乗員は,ツアーによっては営業担当者に帰着報告し,ツアー中に問題があった場合には本件派遣先のお客様相談室へ報告をすることもある。 (3) 海外ツアーにおける添乗業務ア海外ツアー出発前における業務(ア) 被告会社は,本件派遣先からの依頼に基づき,登録されている派遣添乗員に対して海外ツアーの担当を割り当てる(概ね1か月ないし1か月半前)。 (イ) 添乗員は,ツアー出発日の2日前に,被告会社の事業所に出社して,パンフレット,最終日程表,アイテナリー,参加者名簿,添乗金等を受け取る。添乗員は,ランドオペレーターの担当者から,最終手配内容(旅程)の説明を受けるなどして打合せを行う(必要な場合には,本件派遣先に出向いて,ツアーの営業担当者と打ち合わせることもある。)。 添乗員は,ツアー参加者に対し,電話により挨拶を行う。 イツアー出発日(ア) 添乗員は,出発日当日,起床時と自宅出発時の2回に分けて,受電担当P9氏にモーニングコールを行う(前記(2)イ(ア)参照)。 (イ) 添乗員は,ツアー参加者の空港集合時刻(通常,飛行機の出発時刻の2時間前に設定されている。)の1時間前までに空港に到着し,センディング会社(出発手続のサポートをする会社)のカウンターにおいて,航空券,参加者が申し込んだ海外旅行傷害保険証書等を受け取る(センディング会社の担当者と,必要な打合せを行うこともある。)。 (ウ) 添乗員は,両替等を済ませた後,空港の集合場所へ行き,随時,ツアー参加 ,参加者が申し込んだ海外旅行傷害保険証書等を受け取る(センディング会社の担当者と,必要な打合せを行うこともある。)。 (ウ) 添乗員は,両替等を済ませた後,空港の集合場所へ行き,随時,ツアー参加者の受付を行い,旅券の確認,保険証書の引渡し等を行う。その後,出発時刻の1時間前にツアー参加者に再集合してもらい,添乗員による挨拶,出国手続や搭乗手続についての案内を行い,出発時刻の30分程度前に,添乗員とツアー参加者は,搭乗ゲート前に集合して,飛行機に搭乗する。 (エ) 添乗員は,飛行機搭乗後(離陸前),ツアー参加者が全員搭乗しているかを確認しながら,ツアー参加者の座席に行き,個別に再度挨拶をし,添乗員の座席番号を伝達する。添乗員は,ツアー参加者の航空券やクレームタッグを回収し,飛行機の乗継がある場合には,乗継飛行機の搭乗券も回収して内容等を確認する。添乗員は,グループ参加者の席が離れてしまった場合に座席変更が可能か確認することがあり,ツアー参 加者から,出入国カードの記入方法に関する質問(同カードがある国の場合),旅行滞在中に関する質問,自由行動の相談等を受けた場合には適宜説明を行ったり,飛行機内(自身の席)において,必要に応じて,訪問地に関する資料を読むなどの準備を行ったりすることもある。添乗員は,飛行機内において適宜睡眠を取る。 到着空港の案内等が機内のテレビモニターに流された後(通常,到着1時間半ほど前),添乗員は,ツアー参加者の座席を回り,忘れ物に関する注意や到着空港での集合場所についての案内等を行う。 (オ) 添乗員は,現地到着(着陸)後,ツアー参加者を全員集合させて点呼を行い,飛行機の乗継がある場合はターミナルを移動して乗継搭乗券の発券等を行い,次の搭乗ゲートまで移動する。添乗員は,入国 (オ) 添乗員は,現地到着(着陸)後,ツアー参加者を全員集合させて点呼を行い,飛行機の乗継がある場合はターミナルを移動して乗継搭乗券の発券等を行い,次の搭乗ゲートまで移動する。添乗員は,入国する場合,入国手続後,現地アシスタントと合流し,現地アシスタントとともにツアー参加者をバスへと案内し,ホテルへと向かう。添乗員は,ホテルへと移動するバスの車内において,訪問地に関する基本的な情報,翌日の予定,準備するもの等について案内を行う。 (カ) 添乗員は,ホテルに到着後,チェックイン作業を行い,モーニングコールの設定を依頼し,ツアー参加者にホテルの使用方法や諸注意,翌日の簡単な日程や起床時間,朝食時間,ホテル出発時間等の案内を行い,緊急時に備えて添乗員の部屋番号を教えた後,ツアー参加者に部屋の鍵を配布して解散する。添乗員は,解散後通常30分程度は,ツアー参加者からの連絡に備えてロビーで待機する。 ウツアー中(到着翌日後)における業務 添乗員は,基本的には,アイテナリーに沿う形で,旅程の管理業務を行い,例えば,以下のような業務を行う。 (ア) 朝食時 テーブルの場所,食事時間等がホテルにより指定されていることもあ り,添乗員は,朝食予定時間(通常,バス発車時刻1時間前)より前にレストランへ行き,テーブルの場所等を確認し,ツアー参加者をテーブルまで案内する。添乗員は,朝食を早めに済ませて,ホテルにガイドが来ている場合には,ガイドやバスドライバーと当日の行程を打ち合わせたり,チェックアウトを伴う場合には,ホテルポーターやバスドライバーにスーツケースの積込等を指示したりする。 (イ) 観光時 添乗員は,バス車内において,バス運行中のシートベルトの着用を依頼する を伴う場合には,ホテルポーターやバスドライバーにスーツケースの積込等を指示したりする。 (イ) 観光時 添乗員は,バス車内において,バス運行中のシートベルトの着用を依頼するとともに,当日の訪問先(見所等),スケジュール,注意事項等の説明や案内を行う。また,本件派遣先の指示により,車内販売のカタログをバスの中で配布したり,その説明を行ったりすることもある。 添乗員は,観光地見学中,列の最後尾について,迷子防止,掏摸や自動車などからのツアー参加者の安全に配慮する。日本語のガイドが付かない場合には,訪問地到着までの間,バス車内において訪問地の予備知識などの案内を行い,観光地見学中は,先頭を歩いて,歩調に気を配りながら,名所の案内等を行うこともある(日本語の話せないガイドが付く場合には,ガイドとともに先頭を歩き,通訳業務を行う。)。また,フリータイムにおいては,参加者の写真撮影を手伝ったり,電話をかけたいなどの参加者の要望(相談)に対応したりする。 添乗員は,本件派遣先から,指定された売店に一定時間立ち寄るよう指示されることがあり,その場合には,当該売店に立ち寄り,参加者の買い物についての助言等を行う。 (ウ) 昼食・夕食時添乗員は,昼食・夕食時において,ツアー参加者を席まで案内して,食事の種類と値段を紹介するなどして注文の手助けをしたり,食事終了後の料金精算の手助けをしたりする。 エその他 (ア) 添乗員は,解散後,行程中に記入できなかった詳細を清書するなどして添乗日報を作成したり,精算書の記入,翌日の準備,車内販売で受注した申込用紙のファックス送信等を行ったりすることもある。 (イ) 自由行動があるツアーにおいては,ツアー参加者の相談にのり,希望者を募る形 を作成したり,精算書の記入,翌日の準備,車内販売で受注した申込用紙のファックス送信等を行ったりすることもある。 (イ) 自由行動があるツアーにおいては,ツアー参加者の相談にのり,希望者を募る形で,観光地を案内することもある(添乗員の費用については,添乗金から支払うこととされている。)。また,オプショナルツアーの設定がある場合には,原則としてオプショナルツアーに同行する。なお,自由行動時間において,ツアー参加者(希望者)を観光地に案内したり,オプショナルツアーに同行したりしない場合,ホテルにおいて待機することもあるが,特段の業務はない。 (ウ) 本件派遣先は,添乗員に対し,携帯電話(国際電話用)を貸与し,常に携帯電話の電源を入れておくよう指示し,充電切れにも注意するよう指示している。添乗員は,オプショナルツアー時等,別行動をとるツアー参加者に対し,緊急時の連絡先として,本件派遣先から貸与されている添乗員の携帯電話の番号を知らせておく。 (エ) 添乗員は,添乗日報を作成するように指示されており,添乗員用マニュアル(甲6,甲13)には,「日報には到着時間・出発時間(所要時間)等の詳細を細かく記載しながら行程を消化する。」との記載がされている。ただし,添乗日報の記載内容・程度は,添乗員によって異なる。 オ現地出発日(帰国日)における業務(ア) 添乗員は,出発時刻の2時間前には空港に到着するようにし,空港へ向かうバスの車内において,空港での手続の流れ,免税手続の案内,日本に入国する際の税関での持込制限等について説明を行う。空港到着後,アシスタントとともに,チェックイン作業を行い,免税の手続 があるツアー参加者については税関に案内する。添乗員及びツアー参加者は,出国手続を済ませた後,出発時刻の30分前に搭乗ゲート前 後,アシスタントとともに,チェックイン作業を行い,免税の手続 があるツアー参加者については税関に案内する。添乗員及びツアー参加者は,出国手続を済ませた後,出発時刻の30分前に搭乗ゲート前に集合し,飛行機に搭乗する。 (イ) 添乗員は,飛行機内において,人数を確認し,アンケートの配布・回収等を行い,添乗員座席番号を伝達する。 (ウ) 添乗員は,成田空港に到着後,手荷物受取場において最後の挨拶を行い,解散するが(ツアー参加者各自がスーツケースを受け取る。),スーツケースに破損・紛失があった場合は,手続場所に当該参加者を案内する。添乗員は,ツアー参加者全員が税関を通過したのを見届けた後,成田空港内のセンディング会社の事務所へ行き,回収したアンケートの送付手続,イヤホンガイドの返却等を行う。 カ精算報告業務添乗員は,原則として帰国後3日以内に,被告会社の事業所に出社し,精算書の確認,添乗金残金,現地収受金等の入金,アンケート開封,ツアーの報告を行う。その後,本件派遣先へ行き,営業担当者に報告を行い,添乗日報の提出,アンケートの提出,指定店売上報告等を行う。なお,アンケートの添乗員評価欄に「やや不満」「不満」がある場合には,原因と対策のコメント文を添付してお客様相談室に出向いて,報告を行う。 (4) 補足説明 添乗業務の基本的な流れは,前記検討のとおりであると認められるが,これらはあくまで基本的(一般的)な流れであり,これらと異なる方法によって添乗業務が行われることもあるものと解される。すなわち,添乗員は,行程表(アイテナリー又は指示書)に沿う形での旅程管理を主な業務内容としているが,その際,天候,交通機関の遅滞,地域事情,ツアー参加者の行動(要望)等の個別具体的な事情に適切に対応することが期待されており,添乗 ナリー又は指示書)に沿う形での旅程管理を主な業務内容としているが,その際,天候,交通機関の遅滞,地域事情,ツアー参加者の行動(要望)等の個別具体的な事情に適切に対応することが期待されており,添乗員は,この範囲内における裁量を有しているものと認められる。 なお,被告会社及び本件派遣先は,添乗員に対し,添乗員用マニュアルや各種文書を用いるなどして,添乗業務の内容を相当具体的に指示し,ツアー参加者の満足度を高めるために様々な工夫・配慮を添乗員に求めており(甲6,13,18ないし20,26ないし31,33,40ないし45),添乗員の日当額の査定においては,添乗回数とともに,ツアー参加者によるアンケート結果(顧客評価)が重要な要素とされているものと認められること(甲8の1ないし5,甲9,17,22の1ないし3)を併せ考えると,添乗員は,ツアー参加者に帯同して,旅程管理業務を行うだけではなく,ツアー参加者の動向を注視し,その満足度を高めるべく,様々な配慮を行うことが強く求められているものと解される。 2 本件争点の検討前提事実及び認定事実に基づき,本件争点1ないし4について検討する。 (1) 原告らの添乗業務における本件みなし制度(労働基準法38条の2)の適用の有無[争点1]ア労働基準法38条の2第1項は,労働者が事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときには所定労働時間労働したものとみなすこととし(同項本文),当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなす(同項但書)旨を規定しているところ,本件みなし制度は,事業場外における労働について,使用者による直接的な指揮監督が及ばず,労働時間の把握が困難で の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなす(同項但書)旨を規定しているところ,本件みなし制度は,事業場外における労働について,使用者による直接的な指揮監督が及ばず,労働時間の把握が困難であり,労働時間の算定に支障が生じる場合があることから,便宜的な労働時間の算定方法を創設(許容)したものであると解される。そして,使用者は,本来,労働時間を把握・算定すべき義務を負っているのであるから,本件みなし制度が適用されるためには,例えば,使用者が通常合理的に期待できる方法を尽くすこともせずに,労働時間を把握・算定できないと認識するだけでは 足りず,具体的事情(当該業務の内容・性質,使用者の具体的な指揮命令の程度,労働者の裁量の程度等)において,社会通念上,労働時間を算定し難い場合であるといえることを要するというべきである。 なお,本件通達は,社会通念上「労働時間を算定し難いとき」に該当するか否かを検討する際の行政指針であって,本件通達除外事例は「労働時間を算定し難い」ときに該当しない主な具体例を挙げたものと解すべきである。 イ以上を前提にして,原告らによる添乗業務が社会通念上「労働時間の算定が困難なとき」に該当するか否かについて検討する(なお,原告らの添乗業務が事業場外労働に該当することに争いはない。)。 原告らが従事している添乗業務については,前記認定のとおり,本件派遣先が,行程表(アイテナリー又は指示書)を作成し,添乗員に対して行程表に沿った旅程管理業務を行うように指示していることが認められるものの,各種交通機関(飛行機,鉄道,バス等)を利用して相当長距離にわたる移動を行い,複数のツアー参加者に帯同して,ツアー参加者を適宜誘導等しながら,旅程を管理するという添乗業務の性質上,その労働時間を個別 種交通機関(飛行機,鉄道,バス等)を利用して相当長距離にわたる移動を行い,複数のツアー参加者に帯同して,ツアー参加者を適宜誘導等しながら,旅程を管理するという添乗業務の性質上,その労働時間を個別具体的に認定することには,相当程度の困難が伴うものといわざるを得ない。 すなわち,行程表に記載された旅程(予定)は,天候,交通機関の遅滞,旅行地域の事情,ツアー参加者の行動,その他不測の事態等によって,予定時間が前後(変更)したり,拘束時間が伸縮したりすることが常態であって,添乗員の労働時間(始業時間,終業時間等)は,行程表の記載(予定)にかかわらず,様々に変化するものと解される。実際,原告らによる添乗日報(甲Aないし Fの各号証)を検討してみると,行程表に記載された予定時間どおりに旅程(予定)が消化されているツアーはむしろ少ないと認められる。 また,前記認定のとおり,添乗員は,基本的には,ツアー参加者に常に帯同し,就寝時間等を除けば,原則として,ツアー参加者から相談・要望等があった場合には,何らかの対応をすることが求められていると解される(また,添乗員は,ツアー参加者の満足度を高めるために様々な配慮が求められ,ツアー参加者のアンケートによる評価結果は,添乗員の日当額を査定する際の重要な要素になっていると認められる。)。しかしながら,認定事実(2)及び(3)のとおり,添乗員は,交通機関を利用した長距離の移動の際,適宜,解散(休憩)を挟むなどしていること,出国日及び帰国日における飛行機内において,添乗員は睡眠をとっている時間があること,自由行動日においては,オプショナルツアーへの同行等を行わなければ,特段の業務はないこと,添乗日報(甲Aないし Fの各号証)によると,ホテル到着時刻から夕食までの間,相当程度時間があ 間があること,自由行動日においては,オプショナルツアーへの同行等を行わなければ,特段の業務はないこと,添乗日報(甲Aないし Fの各号証)によると,ホテル到着時刻から夕食までの間,相当程度時間があり,適宜休息を取っている場合もあること等にかんがみると,前述のとおり,添乗員は,ツアー参加者に帯同し,その相談・要望等に対応することが求められているとはいえ,ツアー参加者に帯同している全ての時間を労働時間として取り扱うのは相当ではなく,労働義務から解放されていると評価すべき時間も相当程度含まれているものと認められる。しかしながら,このような時間(非労働時間)を逐一把握することは煩瑣であるし,添乗員は,その知識・経験を用いて,具体的な状況(天候,交通機関の遅滞等)に臨機応変に対応し,その裁量において,適宜,休憩の取得,解散・最集合の実施等を行うことが予定されているものと認められるところ(派遣条件明示書の「就業時間休憩時間」の欄に,「具体的には添乗業務の円滑な遂行に資するように派遣添乗員が自己責任に於いて管理することが出来るものとする」と記載されているのもその趣旨であると解される。),非労働時間を逐一把握することは,添乗業務の内容・性質にそぐわない面も大きいものと考えられる。 以上によれば,原告らによる添乗業務については,社会通念上「労働時間を算定し難いとき」に該当し,本件みなし制度が適用されるというべきである。 ウ(ア) 原告らは,使用者が労働時間を客観的に把握できるか否かによって,本件みなし制度の適用の有無を判断すべきであるとし,本件派遣先が添乗員に対して携帯電話を貸与(海外ツアーの場合)していること等の事情を指摘する。しかしながら,(使用者が労働時間を把握することの難易は,重要な考慮要素になるとはいえ,),「労 るとし,本件派遣先が添乗員に対して携帯電話を貸与(海外ツアーの場合)していること等の事情を指摘する。しかしながら,(使用者が労働時間を把握することの難易は,重要な考慮要素になるとはいえ,),「労働時間を算定し難いとき」という文言からしても,労働時間を把握することの可否(客観的可能性)自体によって本件みなし制度の適用の有無を判断することは相当ではない。そして,通信機器を利用するなどして,添乗員の動静を24時間把握することは客観的には可能であるとはいえ,前述したような添乗業務の内容・性質にかんがみると,このような労働時間管理は煩瑣であり,現実的ではない方法であるといわざるを得ない。 なお,本件派遣先は,緊急時の対応等に備えて,携帯電話の所持を指示しているのであり,添乗員の業務内容を逐一指示し,具体的な業務内容を指揮監督するために所持させているものとは認められず,本件通達除外事例②に該当しないことは明らかである。 (イ) 原告らは,行程表(アイテナリー又は指示書)によって,本件派遣先は添乗員(原告ら)に対して具体的な業務内容を指示しているから,「労働時間を算定し難いとき」には当たらない(本件通達除外事例③に該当する)などと主張する。しかしながら,前述したとおり,本件派遣先は,添乗員に対し,行程表に沿った旅程管理業務を指示しているとはいえ,現実には,行程表に記載された予定時間どおりにツアーが消化されることはむしろ少ないのであり,結局,行程表による指示内容から,労働時間が合理的に把握・算定できるものとは解されない。また,認定 事実(1)イのとおり,指示書は,具体的な手配が行われる前段階において,本件派遣先が一般的な行程例として作成するものであるし,アイテナリーは,ランドオペレーターが実際の手配内容(宿泊施設,レ 事実(1)イのとおり,指示書は,具体的な手配が行われる前段階において,本件派遣先が一般的な行程例として作成するものであるし,アイテナリーは,ランドオペレーターが実際の手配内容(宿泊施設,レストラン等)を記載したものではあるものの,ランドオペレーターによって書式・内容は異なり,相当大雑把な記載部分も散見されること等を併せ考えると,本件派遣先は,行程表によって,労働時間を合理的に把握できるだけの具体的な業務指示を行っているものとは解されないといわざるを得ず,本件通達除外事例③に該当しないことも明らかである。 (ウ) 原告らは,実際の旅程結果を添乗日報等に詳細に記入するように本件派遣先が指示し,ツアー終了後,添乗日報を提出させているから,実際の労働時間を把握することができる旨主張する。 そこで検討するに,認定事実(3)エ(エ)のとおり,添乗員用マニュアルには「日報には,到着時間・出発時間(所要時間)等の詳細を細かく記載しながら行程を消化する」と記載されており,証拠(甲Aないし Fの各号証)によると,原告らも旅程結果を添乗日報に記載していることが認められる。しかしながら,添乗日報の記載内容,程度には,相当のばらつきがあり,添乗日報から始業時刻及び終業時刻が直ちに判定できない場合(例えば,添乗日報から,添乗員がオプショナルツアーに同行したことや,ホテル到着後にツアー参加者を夕食に案内したことが明らかではあるものの,時間が全く記載されていない場合など)も少なくない。また,前記検討のとおり,添乗業務はツアー客に帯同するものではあるが,休憩や自由行動時間において,添乗員が労働義務から解放されていると評価すべき時間も含まれていると解されるところ,原告らの添乗日報は,前述したとおり,記載の程度に相当の差異があり,休憩の取得 あるが,休憩や自由行動時間において,添乗員が労働義務から解放されていると評価すべき時間も含まれていると解されるところ,原告らの添乗日報は,前述したとおり,記載の程度に相当の差異があり,休憩の取得を具体的に記載しているものから,全く記載していないものまで多種多様であって,これら非労働時間を添乗日報等から把握することは 現実には困難である(そもそも,本件派遣先がこのような非労働時間の記載まで求めているとは認められない。)。結局,添乗日報の記載によっても実際の労働時間を把握(算定)することは相当困難であるといわざるを得ない。 なお,労働時間の自己申告が可能であること自体から直ちに「労働時間を算定し難いとき」に該当しないということはできないことは明らかである(このように解さなければ,本件みなし制度を適用する余地はないこととなってしまう。)。他方において,使用者は,「労働時間を算定し難いとき」であっても,自己申告による勤怠管理を導入することは可能であるし(実際,被告会社は国内日帰りツアーにおいて自己申告制度を導入したことが認められる。),また,使用者が労働時間に関する資料を提出させるなどしている場合において,同事情をも勘案して,「労働時間を算定し難いとき」には該当しないというべき場合もあるものと解される(なお,本件みなし制度が適用される場合であっても,早朝深夜労働における割増賃金の支払等の義務が免除されるわけではないから,深夜労働等については,結局,自己申告等によって労務管理せざるを得ない。)。 しかしながら,前述したとおり,添乗日報の記載には相当程度ばらつきがあり,その内容から具体的に労働時間を把握することも困難である以上,添乗日報を作成して提出している事実を勘案しても,原告らの添乗業務が「労働時間を算定し とおり,添乗日報の記載には相当程度ばらつきがあり,その内容から具体的に労働時間を把握することも困難である以上,添乗日報を作成して提出している事実を勘案しても,原告らの添乗業務が「労働時間を算定し難いとき」に該当するといわざるを得ない。 なお,このような添乗日報のばらつきを本件派遣先が問題視していたというような事情もうかがわれないことにかんがみると,添乗日報は,旅程管理業務の適正さを担保するとともに,現地の情報等を把握するために作成させていたものと認められる。 (2) 本件みなし制度の適用があるとした場合における「当該業務の遂行に 通常必要とされる時間」(労働基準法38条の2第1項但書)[争点2]ア前記検討のとおり,原告らによる添乗業務には本件みなし制度が適用されるところ,労働基準法38条の2第1項但書は,「当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合」には「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなす旨を定めている。本件においては,被告会社における所定労働時間が8時間であること,原告らによる添乗業務が所定労働時間を超えて労働することが必要な場合に該当することについては争いがなく,結局,原告らの添乗業務における「みなし労働時間」をどのように考えるべきかが問題となる。 イ(ア) 被告は,派遣条件明示書(甲2)の「就業時間休憩時間」の欄に「午前8時から午後8時まで」との記載があること(前提事実(1)イ参照)を根拠として,原告らと被告会社との間において,みなし労働時間を11時間とするとの定め(合意)があった旨主張する。 (イ) この点,労働基準法38条の2第2項は,過半数で組織される労働組合等との書面による協定(労使協定)によって「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」 るとの定め(合意)があった旨主張する。 (イ) この点,労働基準法38条の2第2項は,過半数で組織される労働組合等との書面による協定(労使協定)によって「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた場合には,当該時間をみなし労働時間として取り扱う旨を規定しているところ,その趣旨は,労働の実態を熟知している労使間において協議して(所定労働時間を超えた)みなし労働時間を定めることによって,使用者が判定するよりも実際の労働時間に近い形での推定が可能となるということにあるものと解される。実際,本件みなし制度に関する国会審議においても,労働基準法38条の2の「通常必要な時間」について,政府委員が「その時間数を何時間と数えるかという問題が生じたわけでございますが,これはやはり業務の内容をよく知っております労使に決めていただくということが一番適当ではないか。また逆に,労使協定で(…)決められますと,今度は働く側の労働者も大体十時間程度をめどに働くことができるということになりま して,その措置が実態に合ったものになってくると,そんなような効果も期待できると思っている」と答弁していることが認められる(乙4)。 そうすると,労働基準法は,使用者が個々の労働者とみなし労働時間を合意することは本来想定しておらず(実際,みなし労働時間が適切に定められなければ,実労働時間の一部に対する賃金支払を不当に免れさせることになりかねない。),それが可能であるとしても,労働者の真摯な合意によるものであること(例えば,労働者自身が当該業務内容を理解し,予測される「通常必要な労働時間」を認識認容した上で同意するような場合が挙げられる。)を要するというべきである。 (ウ) このような観点から本件について検討するに,派遣条件明示書には,「原則として派遣先旅行 通常必要な労働時間」を認識認容した上で同意するような場合が挙げられる。)を要するというべきである。 (ウ) このような観点から本件について検討するに,派遣条件明示書には,「原則として派遣先旅行業約款に旅行者に対する添乗サービス提供時間として定められた午前8時から午後8時までとする。但し,実際の始業・就業・休憩時間については派遣先の定めによる。」と記載されているのみであり(休憩時間や合計労働時間が記載されているわけではない。),労働基準法の条文(同法38条の2)や本件みなし制度の存在に触れる部分もないのであるから,このような記載内容によって,被告会社と添乗員(原告ら)との間で,みなし労働時間を定めたものと認めることは困難であるといわざるを得ない。 (エ) 以上によれば,派遣条件明示書により,みなし労働時間を11時間とする旨の合意をしたとの被告主張を採用することはできない。 ウ(ア)前記検討のとおり,被告会社と添乗員(原告ら)との間において,みなし労働時間が合意されたものとは認められないから,本件においては,原告らによる添乗業務の「遂行に通常必要とされる時間」を検討する必要がある。 この点,裁判所によるみなし労働時間の検討は,本件みなし制度が適用されるものの,労働基準法38条の2第2項但書に定める労使協定が 存在しないなどの事情により,みなし労働時間の算定に争いが生じた場合において,訴訟に顕われた一切の資料を総合考慮して,裁判所が,業務の「遂行に通常必要とされる時間」を相当と考える方法によって,判定(評価)する作業であると考えられる。 そして,本件においては,みなし労働時間の判定(評価)について,①個別具体的なツアー内容の差異を捨象して,添乗業務一般について検討するのか(被告の主張),②原告らの従事した添乗業 えられる。 そして,本件においては,みなし労働時間の判定(評価)について,①個別具体的なツアー内容の差異を捨象して,添乗業務一般について検討するのか(被告の主張),②原告らの従事した添乗業務(ツアー)ごとに検討するのか(原告らの主張)が問題となっていることから,以下この点について検討する。 (イ) 労働基準法38条の2第1項但書は,「通常想定される時間」という文言を用いており,国会における審議内容(乙4)にかんがみても,同法は,個別具体的な事情を捨象した上でみなし労働時間を判定することを予定しているものと解される。そうすると,労働者の個性や業務遂行の現実的経過に起因して,実際の労働時間に差異が生じ得るとしても,(実労働時間の把握が困難である以上,)基本的には,個別具体的な事情は捨象し,いわば平均的な業務内容及び労働者を前提として,その遂行に通常必要とされる時間を算定し,これをみなし労働時間とすることを予定しているものと解される。 ただし,前述したとおり,労働基準法は,事業場外労働の性質にかんがみて,本件みなし制度によって,使用者が労働時間を把握・算定する義務を一部免除したものにすぎないのであるから,同法は,本件みなし制度の適用結果(みなし労働時間)が,現実の労働時間と大きく乖離しないことを予定(想定)しているものと解される。すなわち,労働時間を把握することが困難であるとして,本件みなし制度が適用される以上,現実の労働時間との差異自体を問題とすることは相当ではないが,他方において,本件みなし制度は,当該業務から通常想定される労働時間が, 現実の労働時間に近似するという前提に立った上で便宜上の算定方法を許容したものであるから,みなし労働時間の判定に当たっては,現実の労働時間と大きく乖離しないように留意す される労働時間が, 現実の労働時間に近似するという前提に立った上で便宜上の算定方法を許容したものであるから,みなし労働時間の判定に当たっては,現実の労働時間と大きく乖離しないように留意する必要があるというべきである。 (ウ) このような観点から,原告らの添乗業務における「みなし労働時間」について検討するに,被告が主張するとおり,個別具体的なツアー内容の差異を捨象して,添乗業務一般の「遂行に通常必要とされる時間」を算定できるのであれば,そのような方法によることが本来的であると考えられる(例えば,みなし労働時間の算定という観点から,一般的な添乗業務を相当程度具体的に認定・評価し,これに基づきみなし労働時間を算定するという方法が想定できる。)。 しかしながら,証拠(甲Aないし Fの各号証)及び弁論の全趣旨によると,添乗業務における現実の労働時間は,個別具体的なツアー内容(旅程)に応じて相当異なるものと認められ,例えば,午前5時から午後10時までの旅程と午後1時から午後6時までの旅程とでは,その「遂行に通常想定される時間」も当然異なることとなる(また,国内ツアーと海外ツアーとでも,使用言語,治安の程度,交通機関の正確性など,みなし労働時間を判定する際の前提事情が異なっている。)。そして,このような労働時間の差異については,添乗員の個性(能力)が影響する部分は大きくないものと解される。 これらの事情を勘案すると,原告らの添乗業務について,個別具体的なツアー内容の差異を全く捨象して,添乗業務一般に「通常必要とされる時間」を判定することは,実際上相当困難な作業であるといわざるを得ない。 (エ) 他方において,本件においては,原告らが実際の旅程結果を記載した添乗日報(ただし,原告P2については,旅日 される時間」を判定することは,実際上相当困難な作業であるといわざるを得ない。 (エ) 他方において,本件においては,原告らが実際の旅程結果を記載した添乗日報(ただし,原告P2については,旅日記〔例えば,甲B 1・8ないし12枚目〕を含む。以下同じ。)が証拠(甲Aないし Fの各号証)として提出されているところ,前述したとおり,添乗日報の記載内容等には相当程度ばらつきはあるものの,その記載内容には特段不自然な点はなく,原告らが実際と異なる時間を記入したものとは認められない(前述したとおり,添乗日報自体は労働時間を自己申告するために作成されたものでもなく,原告らがあえて実際と異なる時刻を記入したことを疑うべき事情もない。)。そして,本件派遣先が添乗員用マニュアルに「日報には到着時間・出発時間(所要時間)等の詳細を細かく記載しながら行程を消化する」よう記載していること,また,被告主張の中には,添乗日報の正確性についての疑義を指摘する部分が含まれているとはいえ,その信用性自体を争うものとは解されないこと(弁論の全趣旨)にかんがみると,添乗日報は,これによって現実の労働時間を把握することは困難であるものの,具体的な旅程の消化状況を概ね反映しているものと認められる。 また,原告ら(ただし,原告P1を除く。)は,添乗業務における早朝深夜割増賃金の支払を請求しているところ,前述したとおり,使用者は,本件みなし制度が適用される場合であっても,早朝深夜労働における割増賃金の支払等の義務が免除されるわけではなく,本件訴訟において,当裁判所は,(みなし労働時間をどのように判定するかにかかわりなく,)添乗日報等により早朝深夜労働の有無・程度を具体的に認定せざるを得ないという事情も指摘できる。 (オ) 以上の事情を総合考慮し,当裁判所は, みなし労働時間をどのように判定するかにかかわりなく,)添乗日報等により早朝深夜労働の有無・程度を具体的に認定せざるを得ないという事情も指摘できる。 (オ) 以上の事情を総合考慮し,当裁判所は,原告らの添乗業務における「みなし労働時間」について,原告らの従事した添乗業務(ツアー)ごとに判定するという方法を採用することとした。具体的には,前述したとおり,添乗日報は,旅程の消化状況を概ね反映しているものと解されることから,原則として,添乗日報の記載を基準として,始業時刻と 終業時刻を判定し,適宜休憩時間を控除することとし,添乗日報がない場合において,行程表や最終日程表を補助的に用いるという方法を採用した。 なお,前記認定のとおり,本件派遣先は,添乗員(原告ら)に対し,行程表(アイテナリー及び指示書)に沿った旅程管理業務を行うように指示し,添乗員(原告ら)は,行程表のとおりの旅程消化を目指しているということができるから,行程表に基づいてみなし労働時間を判定することも考え得るが,予定時刻自体が記載されていないアイテナリーも相当程度あること,添乗日報によることが,現実の労働時間との乖離を最小限化することができるものと解されることをも考慮して,添乗日報を基準とした。 当裁判所が,原告らのみなし労働時間(始業時刻,終業時刻,休憩時間)を判定する際の考え方は,別紙3「本件におけるみなし労働時間の考え方」記載のとおりである(以下,これに基づく当裁判所によるみなし労働時間の判定を「本件判定」ともいう。)。 エ(ア) 被告は,原告らの従事する添乗業務(ツアー)ごとにみなし労働時間を定めることは,本件みなし制度の趣旨に反する旨主張する。しかしながら,前述したとおり,みなし労働時間の判定は,訴訟に顕われた一切の事 被告は,原告らの従事する添乗業務(ツアー)ごとにみなし労働時間を定めることは,本件みなし制度の趣旨に反する旨主張する。しかしながら,前述したとおり,みなし労働時間の判定は,訴訟に顕われた一切の事情を勘案して裁判所が相当と考える方法によって行うものであり,裁判所が本件判定を採用するに当たって,考慮検討した事情は前述したとおりであるから,本件において,添乗業務(ツアー)ごとにみなし労働時間を判定することに何ら問題はないというべきである。また,本件判定において採用した方法は,実労働時間の概括的認定に類似する側面はあるものの,同方法は,あくまで「みなし労働時間」の判定であることはいうまでもない。別紙3「本件におけるみなし労働時間の考え方」は,画一的な判定手法を採用しており,添乗日報の記載等のばらつ き(字体等の問題から添乗日報の記載部分を読み込むことが困難な場合も多い。)等の事情から,個別具体的に検討した場合,本件判定の結果と実際の労働時間との間に差異が生じることも相当程度あるものと考えられるが,みなし労働時間の判定である以上,各日における現実の労働時間との差異自体は本件判定の相当性には影響しないというべきである。 (イ) 前提事実(2)オのとおり,被告会社は,平成20年11月1日,添乗業務のみなし労働時間を11時間とする旨の新みなし協定を締結しており,また,証拠(甲25,乙17及び18)及び弁論の全趣旨によると,被告会社は,国内宿泊ツアーの添乗について自己申告による労働時間の実態調査を行い,その結果,1日平均申告労働時間が11時間を下回っている事例が相当程度把握されたことが認められる。被告は,これらの事情を指摘して,みなし労働時間を11時間とすることが適切である旨主張する。しかしながら,同調査は,国内宿泊ツアーについてのもの 回っている事例が相当程度把握されたことが認められる。被告は,これらの事情を指摘して,みなし労働時間を11時間とすることが適切である旨主張する。しかしながら,同調査は,国内宿泊ツアーについてのものであり,同調査から海外ツアーを含めたツアー全般についてのみなし労働時間が導き出せるわけではなく,新みなし協定は,本件紛争の発生後に締結されたものであって,原告らの添乗業務には適用されず,前述したとおり,添乗業務(ツアー)に応じて労働時間が異なるという事情がある以上,新みなし協定の存在及び内容は,本件判定の相当性に影響しないというべきである。 なお,添乗業務(ツアー)ごとに,ツアー内容(日程)を踏まえながら,みなし労働時間を検討するという本件判定の方法は,相当程度の手間がかかるものであり,現実の労務管理におけるみなし労働時間の算定方法としては,現実的ではないとも思われる。しかしながら,本件判定は,本件みなし制度の適用の有無自体に争いがあり,みなし労働時間についても労使協定が存在しないなどの事情において提起された本件訴訟において,裁判所が,事後的にみなし労働時間を判定するものであるか ら,労務管理方法としての相当性ないし妥当性に配慮しなければならないものでもない(なお,本件判定のような方法により,多数の添乗業務の実態を調査・検討した上で,国内ツアーと海外ツアーの別,ツアー商品の内容,旅行地域等から,ツアー商品をいくつかに類型化し,労使協定によって,その類型ごとにみなし労働時間を定めるという手法も十分想定し得る。)。また,労働実態を熟知している労働組合等が主体的に使用者と協議して労使協定を定める限り,新みなし協定のように,添乗業務一般について,単一のみなし労働時間を定めることも可能であるし,このような協定が労使間において尊重されるべ る労働組合等が主体的に使用者と協議して労使協定を定める限り,新みなし協定のように,添乗業務一般について,単一のみなし労働時間を定めることも可能であるし,このような協定が労使間において尊重されるべきこともいうまでもない。 (3) 原告らの添乗業務における休日出勤の有無・取扱[争点3]ア労働基準法35条1項は,使用者は労働者に対し,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない旨を定めているところ,ここにいう「休日」とは,当該労働契約において労働義務がない日とされている日をいうものと解される。したがって,使用者が労働基準法35条1項を遵守しているかどうかは,特段の事情がない限り,当該労働契約の契約期間に含まれている「週」について,少なくとも1回の休日を与えているかによって判断すべきこととなる(なお,1週間に満たない有期労働契約の場合,特段の事情がない限り,当該労働期間において労働基準法35条2項は問題とならないと解される。)。 この点,被告は,労働契約の期間内か期間外かにかかわらず,労働義務を負っていない日は,労働基準法上の「休日」に該当する旨を主張するが,そもそも労働契約関係になければ,「休日」の付与による労働義務からの解放は問題になり得ないというべきである。例えば,被告の主張を前提にすると,4週間未満の有期労働契約であれば,当該期間内に休日を付与しなくても何ら問題はないということになるが,このような結論が妥当性を欠くことは明らかであり,被告の前記主張を採用することはできない。 イそこで検討するに,前記前提事実(1)ア及びイのとおり,被告会社は,ツアーごとに,当該ツアーの期間を労働契約期間として派遣添乗員(原告ら)を雇用しているのであるから,本件においては,原告らの各契約期間(各ツアー)を対象として,被告会社 及びイのとおり,被告会社は,ツアーごとに,当該ツアーの期間を労働契約期間として派遣添乗員(原告ら)を雇用しているのであるから,本件においては,原告らの各契約期間(各ツアー)を対象として,被告会社が「毎週少なくとも1日の休日」を与えているかどうかを検討することとなる。 この点,前提事実(1)イのとおり,派遣条件明示書には休日「なし」との記載があるが,そもそも労働基準法の定める基準(最低基準)に満たない合意は無効であるというべきである。そして,派遣先会社と派遣添乗員(原告ら)との間において,休日ないし休日労働に関する合意がされたことはうかがわれない以上,被告会社は,労働契約期間(ツアー期間)において「休日」を付与せずに労働させていたものと解さざるを得ない(ただし,原告らが従事していたツアーのうち,1週間未満のツアーについては,休日を付与しないことについて,労働基準法35条違反は問題とはならない。)。 ウ使用者が「休日」を設けることなく労働者を連続して就労させた場合,使用者は,第7日目において,労働基準法35条に違反して労働者を労働させたこととなるから,当該日を「休日労働」として取り扱うのが相当である。 エ以上のとおりであるから,本件においては,原告らが従事したツアー(ただし1週間以上の日程を有するもの)のうち,第7日目及び第14日目における労働が「休日労働」に該当することとなり,割増賃金が支払われるべきこととなる。 (4) 被告が原告らに対して支払うべき未払賃金(割増賃金)の有無・金額[争点4]ア前記検討結果(争点2及び3)に基づき,原告らの添乗業務におけるみなし労働時間を判定した結果は,別紙4の1ないし6「みなし労働時間等 一覧」(各原告分)に記載されたとおりである(以下,本件判定によるみなし労働時間を )に基づき,原告らの添乗業務におけるみなし労働時間を判定した結果は,別紙4の1ないし6「みなし労働時間等 一覧」(各原告分)に記載されたとおりである(以下,本件判定によるみなし労働時間を「本件みなし労働時間」という。)。 なお,原告P2は,平成18年8月22日から同月27日までの日程で,国内ツアー(「玉川・新玉川温泉滞在・湯治」)の添乗業務を行った旨主張するが,同ツアーは,同月22日から同月26日までであると認められる(甲8)。また,原告P2は,①同年10月25日,日帰りバスツアーの添乗業務を,②平成20年2月5日から同月12日までの日程で海外ツアー(「優雅なイタリア8日間」)の添乗業務を,また,③同月22日から同月29日まで日程で海外ツアー(「美しきドイツとオーストラリア8日間」)の添乗業務をそれぞれ行った旨主張しているが,これら添乗業務の内容を認めるに足りる証拠はなく,結局,みなし労働時間を判定することもできないといわざるを得ない。また,原告P4は,①平成18年8月11日から同月18日までの日程で海外ツアー(「決定版スペイン8日間」)の添乗業務を,②同月22日から同月30日までの日程で海外ツアー(「びっくりイギリス9日間」)の添乗業務を,同年9月22日から同月29日(「決定版スペイン8日間」)の添乗業務を行った旨主張して証拠(甲D15及び16)を提出しているが,同証拠は平成20年2月及び5月当時のツアーに関するものであり,ツアー名が同じであっても,時期等に応じて企画内容は異なり得ることにかんがみると,結局,これら添乗業務の内容を認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。 イ(ア) 原告らの本件みなし労働時間のうち,時間外労働,早朝深夜労働及び休日労働については,被告は,それぞれに対応する割増賃金を支払う必要 内容を認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。 イ(ア) 原告らの本件みなし労働時間のうち,時間外労働,早朝深夜労働及び休日労働については,被告は,それぞれに対応する割増賃金を支払う必要があるところ,その算定基礎となる賃金額(労働基準法37条1項但書「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」)及び割増賃金の未払部分の範囲が問題となる。すなわち,被告は,11時間分の日当が支払済みであって,割増賃金額はこれを超える部分について支払われる べきであるとの主張をしているものと解され,割増賃金額の算定に当たり,日当は11時間分の対価として支払われているものか(時間外割増は11時間を超える部分について支払うべきなのか)が問題となる。 (イ) この点,通常所定労働時間(8時間)を超えて労働することを内容とする労働契約は,労働時間の部分については,労働基準法の定める基準に達しておらず,無効であるというべきである(同法13条)。しかしながら,使用者と労働者が,通常所定労働時間を超える労働時間(以下「契約時間」という。)に対するものとして賃金額を合意した場合,(例えば最低賃金額に抵触するなどの事情がある場合は別論として,)労働契約のうち当該賃金額に関する部分は,原則として有効であると解される。したがって,契約時間分に対する対価として賃金額が明確に合意され(割増賃金額を含むのであれば,当該割増部分が特定される必要がある。),当該合意に基づき賃金が支払われている場合においては,基礎賃金額(「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」)は,契約時間と賃金額から計算されることになると解される(被告は,このような前提に立っているものと解される。)。 ウ(ア) 前提事実(1)イのとおり,派遣条件明示書の「就業時間休憩時間」欄には「原則として 間と賃金額から計算されることになると解される(被告は,このような前提に立っているものと解される。)。 ウ(ア) 前提事実(1)イのとおり,派遣条件明示書の「就業時間休憩時間」欄には「原則として派遣先旅行業約款に旅行者に対する添乗サービス提供時間として定められた午前8時から午後8時までとする。但し,実際の始業・就業・休憩時間については派遣先の定めによる。」と記載されていることから(以下,この記載部分を「本件記載部分」という。),これが日当の対価となる労働時間として,「11時間」を定めるものかどうかが問題となる。 (イ) そこで検討するに,本件記載部分は,「派遣先旅行業約款」(本件派遣先とツアー参加者との間の合意内容)の内容をそのまま引用する形で記載しているものと認められるところ,同約款は,ツアー参加者に 対して,添乗員が業務に従事する時間帯を限定したり,業務提供時間(合計)を示したりする趣旨のものではなく,あくまで通常想定される時間帯を例示するものにすぎないものと解される(実際,原告らの添乗業務についてみても,午前8時以前又は午後8時以降に旅程が組み込まれたツアーが多数存在しており,当該時間帯において添乗員が旅程管理業務を提供することが当然に予定されている。)。また,本件記載部分は,時間帯を挙げるのみであって,労働時間(合計)を明確に特定しているわけではなく,「但し,実際の始業・就業・休憩時間については派遣先の定めによる」と記載していること,また,添乗員は,ツアー参加者に常に帯同しなければならず,(労働義務から解放されている時間も相当程度あることは前記検討のとおりであるものの,)非労働時間においても添乗員の移動の自由等は制約されているなどの事情にかんがみると,添乗員が派遣条件明示書の前記記載部分によって,添乗業務が「1 も相当程度あることは前記検討のとおりであるものの,)非労働時間においても添乗員の移動の自由等は制約されているなどの事情にかんがみると,添乗員が派遣条件明示書の前記記載部分によって,添乗業務が「11時間」に限定されるとか,日当が「11時間」分に対する対価であるとか認識するのが通常合理的であるとも解し難い。 (ウ) 派遣条件明示書には,時間外勤務や休日勤務について「なし」と記載されていること,前提事実(1)エ及び(2)ウのとおり,支給明細書には割増賃金額が支払われている旨の記載はなく,被告会社は,平成19年10月31日になってから,時間外労働・休日労働に関する協定届を提出していることにかんがみると,被告会社は,時間外労働や割増賃金の支払が問題になるという認識を持っていなかったものと推認される。そうである以上,本件記載部分が「一定の労働時間」に対する対価として日当額を定めているとの意識もなかったものと推測される。 さらに,証拠(甲24の1及び2,甲32)によると,被告会社は,平成19年11月ころ,本件組合との団体交渉のため,添乗員の労働時間の算定基準を内部的に検討し,同基準に基づく残業代額を試算してい ること,平成20年1月ころ,残業代額を再度試算して,これを本件組合に対してファックス送信したこと,被告会社は,いずれにおいても,日当額を所定労働時間(8時間)で除した金額を基礎額として各種計算をしていたことが認められるところ,被告会社が,本件組合との交渉過程において,合意内容を下回る条件(被告会社にとって不利な条件)で試算を提示することは通常考え難いから,被告会社は,当時,添乗員の日当が「11時間」に対するものであるとの認識がなく,通常所定労働時間(8時間)に対する対価であるという前提に立っていたものと認められる。 ことは通常考え難いから,被告会社は,当時,添乗員の日当が「11時間」に対するものであるとの認識がなく,通常所定労働時間(8時間)に対する対価であるという前提に立っていたものと認められる。 なお,被告は,団体交渉以降,原告らは,日当に3時間分の割増賃金額が含まれていることを認識して労働契約を締結した旨主張するが,本件みなし制度の適用の有無,みなし労働時間の算定等の法的問題について解釈が鋭く対立し,団体交渉等もされている状況において労働契約が締結されており,原告ら又は被告会社が他方の言い分を前提として譲歩した上で労働契約を締結したこともうかがわれないこと等を総合考慮すると,被告会社及び原告らは,本件みなし制度や割増賃金を巡る法的問題は,終局的には司法判断に委ねるという前提(留保)において,労働契約を締結して添乗業務に従事していたものと解するのが相当であり,前記主張は採用できない。 (エ) 以上によれば,被告会社と添乗員(原告ら)は,派遣条件明示書(本件記載部分)によって,11時間分の対価として日当額を定めたものとは認められず,添乗員(原告ら)の賃金(日当)額は,労働基準法の定める通常所定労働時間(8時間)の対価として定められたものであると解するのが相当である。 エ前記検討によると,原告らに対する割増賃金額を算出する際の基礎額は,日当額(原告,ツアーの催行時期によって異なる。)を所定労働時 間(8時間)で除したものとなるというべきである。 そして,原告らは,その従事した添乗業務について,時間外割増賃金(ただし,1日8時間を超える部分についての割増賃金),休日割増賃金及び早朝深夜割増賃金を請求しているところ,前記基礎額(日当額を8時間で除したもの),割増賃金を支払われるべき労働時間(本件判定に基づき し,1日8時間を超える部分についての割増賃金),休日割増賃金及び早朝深夜割増賃金を請求しているところ,前記基礎額(日当額を8時間で除したもの),割増賃金を支払われるべき労働時間(本件判定に基づき,時間外労働,早朝深夜労働,休日労働と判定ないし認定された労働時間)及び所定割増率(①時間外労働について「1.25」,②早朝深夜労働について「0.25」,③休日労働について「1.35」。 ただし,休日労働については,日当が支給されていることから,労働時間に割増率を乗じたものから日当額を差し引いたものが未払賃金となる。)に基づいて,被告が支払うべき割増賃金額を算定することとなる。 被告が支払うべき割増賃金額(未払残業代)を算定した結果は,別紙5の1ないし6「割増賃金額等一覧」の「割増賃金合計額」欄に記載されたとおりである。 なお,原告P1は,早朝深夜残業代を請求していないことから,同残業代は,原告P1の割増賃金額には含めていない。また,原告P2については,被告会社から早朝深夜手当(3000円)が支給されたことが認められるので,同手当を対応する早朝深夜残業代から控除している。 オ前記検討によれば,被告は,未払賃金(時間外割増賃金等)として,別紙1の1ないし6記載の各金額を支払っていないものというべきであるが,これに対して制裁としての付加金を課することを不相当とするまでの特段の事由は認められず,同額の付加金の支払を命ずるのが相当である。 第5 結論 以上によれば,原告らの請求は,主文の限度でこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について民 事訴訟法61条,64条本文を適用して,また,未払賃金の支払については,その性質にかんがみ,担保を供することを条件とする仮執行免 がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について民 事訴訟法61条,64条本文を適用して,また,未払賃金の支払については,その性質にかんがみ,担保を供することを条件とする仮執行免脱の宣言を付すこと及び仮執行開始時期を判決が被告に送達された後14日経過した時とすることはいずれも相当ではないが,付加金の支払については,その性質上仮執行の宣言を付すことができないから,これを付さないこととして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判官村田一広
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