【DRY-RUN】○ 主文 被告が昭和五一年六月三〇日付でした原告の昭和四八年分所得税についての更正処 分及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決によ る一部取消後のもの)は、これを取消す。
○ 主文被告が昭和五一年六月三〇日付でした原告の昭和四八年分所得税についての更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)は、これを取消す。訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実一双方の申立原告は、主文同旨の判決を求めた。 被告は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」旨の判決を求めた。 二原告の請求原因(一) 原告は、ズツク靴の縫製加工を営む者であるが、昭和四九年三月一三日被告に対し昭和四八年分所得税について総所得金額一、四四四、〇〇〇円(申告納税額八八、七〇〇円)とする確定申告をしたところ、被告は昭和五一年六月三〇日付で総所得金額二、一二六、五七五円(所得税額一九〇、四〇〇円)とする更正処分及び過少申告加算税額五、〇〇〇円との賦課決定処分をし、その旨をその頃原告に通知した。 (二) 原告は、右処分を不服として、昭和五一年七月二二日付で被告に対し異議の申立をしたが、被告は同年一〇月二一日付で総所得金額二、〇四五、六八六円(所得税額一七七、六〇〇円)、過少申告加算税額四、四〇〇円とする異議決定をし、その旨をその頃原告に通知した。原告は、さらにこれを不服として、同年一一月一六日付で国税不服審判所長に対し審査請求をしたのであるが、同所長は昭和五二年五月三〇日付で総所得金額二、〇〇二、三八四円(所得税額一七〇、四〇〇円)、過少申告加算税額四、〇〇〇円とする一部取消の裁決をした。 (三) しかしながら、被告のした更正処分には、推計の必要性も合理性もないのに推計課税を行ない、原告の所得を過大に認定した違法がある。よつて右更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)の取消を求める。 三請求原因に対する被告の答弁請求 告の所得を過大に認定した違法がある。よつて右更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)の取消を求める。 三請求原因に対する被告の答弁請求原因(一)及び(二)の事実は認めるが、同(三)は争う。推計課税を行なうためにその必要性なる要件が要求されるものではないが、仮に要求されるとしても、被告の主張(二)に記載のとおり、その必要性の要件を充足している。 四被告の主張(一) 原告の昭和四八年分所得税についての確定申告、更正処分、異議申立、異議決定、審査請求、審査裁決の内容は別表(一)記載のとおりである。 (二) 本件更正処分に至る経緯被告側係官は、原告の本件係争年分の所得の調査に際し実額による正確な所得計算をしようと努め、昭和五〇年八月二六日原告宅に赴き、本件係争年分にかかる所得計算の資料となる関係書類(売上金額、仕入金額、たな卸高、必要経費に関する数値が記録された帳簿書類、計算書及び原始記録)の提示を求めたのであるが、原告は事前通知のない調査には応じられないとして帳簿書類を提示しなかつた。そこで被告側係官は、度々原告と調査日時について連絡した上、同年九月一八日原告宅に所得調査のために赴き、原告に対し本件係争年分にかかる所得計算の資料となる関係書類の提示を求めたのであるが、原告は、「原告の関係書類に記載された金額を信用し、かつ、その旨を一筆書いて原告に手渡すこと、及び原告の取引先等を調査しないことを求める。これを応諾しない限り、関係書類は一切提示しない」旨主張するのみで、調査に全く協力しなかつた。被告側係官としては、原告の右要求に応じることはできず、また原告が右要求を撤回し、関係書類を提示して所得調査に協力するとは認められないと判断し、そのため被告は、原告が所持する関係書類を調査しな た。被告側係官としては、原告の右要求に応じることはできず、また原告が右要求を撤回し、関係書類を提示して所得調査に協力するとは認められないと判断し、そのため被告は、原告が所持する関係書類を調査しないで所得計算し、原告の売上利益については収入金額に同業者の平均的な所得率を乗じるという推計方法を用いて、本件更正処分を行なつた。 (三) 原告の所得金額の算出根拠について原告の本件係争年分にかかる総所得金額は二、二二三、四八〇円であり、その計算関係は別表(二)記載のとおりであるが、その根拠は次のとおりである。 1 収入金額五、三九二、五八六円原告が日満ゴム工業株式会社から加工代金として受け取つた金額である。 2 売上利益二、三七二、七三七円収入金額に同業者の平均的な所得率(同業者の収入金額から売上原価と経費を控除した後の金額の収入金額に対する割合の平均値)四四・〇パーセントを乗じた金額である。なお、この推計方法の合理性については後記のとおりである。 3 雑収入金額七〇、〇四五円原告が日満ゴム工業株式会社から受け取つた運賃燃料費の金額である。 4 営業利益二、四四二、七八二円売上利益二、三七二、七三七円と雑収入金額七〇、〇四五円とを合計した金額である。 5 支払家賃の額一七六、〇〇〇円原告がAに対し昭和四八年分の家賃として支払つた二六四、〇〇〇円に、当該賃借家屋総面積(一五坪)に対する事業専用部分の割合三分の二を乗じた金額である。 6 事業所得金額二、二六六、七八二円営業利益二、四四二、七八二円から支払家賃 該賃借家屋総面積(一五坪)に対する事業専用部分の割合三分の二を乗じた金額である。 6 事業所得金額二、二六六、七八二円営業利益二、四四二、七八二円から支払家賃の額一七六、〇〇〇円を差し引いた後の金額である。 7 譲渡所得の損失金額四三、三〇二円原告が日産サニー福山販売株式会社から新車を購入した際に下取車として譲渡した中古車につき生じた損失額一六、二〇〇円と、原告が四茂野電気店(B)からクーラーを購入した際に下取りとして譲渡した中古クーラーにつき生じた損失額二七、一〇二円とを合計した金額である。 8 総所得金額事業所得金額二、二六六、七八二円から譲渡所得の損失金額四三、三〇二円を差し引いた後の金額である。 (四) 売上利益を算出するについて被告が採用した推計方法の合理性について 1 同業者選定の合理性広島国税局長は、原告の同業者を選定する目的で、被告及び近隣の福山、尾道、三原の各税務署長に対し、昭和五三年六月九日付で「税務訴訟に関する資料の提出について」と題する通達(乙第一ないし第四号証の各一)を発して、布靴の縫製業を営む個人の事業所得者(但し、昭和四八年分の所得税について不服申立をして現在審理中の者及び不服申立期間が経過していない者は除く)で、青色申告書により申告している者(但し、現金主義による者又は他の事業を兼業している者は除く)、暦年を通じ継続して事業を営む者、事業の収入金額が年間二五〇万円から一、二〇〇万円までの者、外注費又は給料賃金の支払いのある者、の条件に適合する全員の昭和四八年分の売上金額、売上原価、経費、特別経費、差引所得金額、所得率等について一定の様式による「個人事業所得者の課税事績報告書」(乙第一ないし第四号証の各二)を、当該納税者の提出した する全員の昭和四八年分の売上金額、売上原価、経費、特別経費、差引所得金額、所得率等について一定の様式による「個人事業所得者の課税事績報告書」(乙第一ないし第四号証の各二)を、当該納税者の提出した青色申告決算書に基いて作成し、報告するよう求めた。これに対し、被告及び各税務署長は、調査のうえ、右の条件に該当する布靴の縫製業者についてその結果を報告書に各記載して広島国税局長に報告した(被告〇件、福山一件、尾道一件、三原〇件)。 被告は、右報告に基く二件の同業者(別表(三)の同業者A、B)の平均所得率から原告の売上利益を算出したが、前記の選定基準からして、原告と右同業者との類似性は明らかであり、その選定について恣意の介在する余地はなく、また同業者の実在性及び資料の正確性も担保されているということができる。 2 同業者の平均所得率の算出企業が支出する経費には、収入を得る手段として通常支出される経費と、企業特有の事情によつて支出される経費(給料賃金、外注費、利子割引料、地代家賃、貸倒金、建物の減価償却費等)とがあり、前者を一般経費といい、後者を特別経費という。そして特別経費について実額が判明している場合には、収入金額から売上原価及び一般経費の合計額を控除した後の金額の収入金額に対する割合をもつて所得率とし、所得推計の対象者の収入金額に同業者の所得率の平均を乗じて得た金額から特別経費の実額を個別に控除することによつて所得を算出するのが所得金額を推計する場合の本来の方法であるが、本件の場合、原告の特別経費については、支払家賃の額については実額が判明しているものの、給料賃金、外注費の額については経費の明細表(甲第一号証)に信憑性がなく、かつ、その実額を把握することもできないので、一般経費と同様に推計によるほかなく、そのため被告は、同業者の所得率を算出 のの、給料賃金、外注費の額については経費の明細表(甲第一号証)に信憑性がなく、かつ、その実額を把握することもできないので、一般経費と同様に推計によるほかなく、そのため被告は、同業者の所得率を算出するに当つても、その給料賃金及び外注費を売上原価及び一般経費とともに収入金額から控除し、その控除後の額の収入金額に対する割合をもつて所得率とした。このような方法によつて算出された本件における同業者の所得率算定の内容は別表(三)記載のとおりである。 3 なお、被告が本訴において主張する同業者二名と、原処分において選定された同業者とは結果的には同一となつたが、原処分における所得率は、別表(三)の同業者Aが四一・四九パーセント、同Bが三八・三八パーセントとなつている(別表(四)参照)。これは、原処分においては、同業者Bについて、青色申告専従者給与九七万円を給料賃金に振替えて加算しているためであるが、右専従者給与は青色申告者の特典として認められているもので、白色申告者である原告が右特典を利用することは適当でなく、したがつて右専従者給与を給料賃金に振替えないで所得率を算出した被告の主張は正しいものというべきであるが、仮に右専従者給与を給料賃金に振替えて加算すべきであるとしても、同業者の平均所得率は、原処分のとおり、三九・九パーセントとなる。 (五) よつて原告の総所得金額の範囲内でなされた本件更正処分及び国税通則法六五条一項を適用してなされた過少申告加算税賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)は適法である。 五被告の主張に対する原告の答弁被告の主張(一)及び(二)の事実は認める。同(三)のうち、1、3、5及び7の事実は認めるが、その余は争う。同(四)は争う。 六原告の反論(一) 被告のした推計課税に合理性がないこと 原告の答弁被告の主張(一)及び(二)の事実は認める。同(三)のうち、1、3、5及び7の事実は認めるが、その余は争う。同(四)は争う。 六原告の反論(一) 被告のした推計課税に合理性がないこと 1 同業者の選定は、その業態すなわち営業の外形的規模及び仕事のうけ方、こなし方など、その内容において原告のそれと類似していることを要するが、被告のした同業者の選定方法には、結局のところ、事業の収入金額が年間二五〇万円から一、二〇〇万円までの者とする枠しかないに等しく、その選定に合理性を認め得ない。 2 原告の業態は、日満ゴム工業株式会社一社より全部の仕事を請負い、その加工については、自宅に従業員をおくことなく、その殆んどを外の縫子に下請けさせ、いわゆる外注で仕事をこなすというものであるが、このような形態の同業者は、府中税務署管内には原告のほか一件しかない。しかも、ズツク靴の縫製という仕事の性質上、縫子がつかず、衣料品など他製品の縫子の工賃と比較して高額になるのは当然の理であり、その経費率が高いのも容易に肯認しうる。しかるに被告は、このような原告の営業の特殊性を実態調査することなく、したがつてこれを考慮に入れることなく、形式的な基準による所得率によつて原告の所得を算出したものであるから、被告主張の推計方法には何ら合理性がない。 (二) 原告による申告所得の正当性原告の昭和四八年分所得税の確定申告は甲第一、第二号証に基くもので、その総所得金額の算出過程は別表(五)記載のとおりである。そして原告は、総所得金額一、四四四、二二〇円のうち二二〇円を切り捨て計算して確定申告したものである。甲第一号証の記載は、極く一部の記載について原告の記憶のみによるものがあるとはいうものの、その大部分について支払明細書、領収証など収支のもととなる資料に基いて転記ないし合 て確定申告したものである。甲第一号証の記載は、極く一部の記載について原告の記憶のみによるものがあるとはいうものの、その大部分について支払明細書、領収証など収支のもととなる資料に基いて転記ないし合計した金額を記載しているものであり、甲第一号証には信憑性が認められて然るべきである。したがつて、原告による確定申告は実額による正確なものである。なお、この主張は、原告の収入金額が五、三九二、五八六円であること、及び譲渡所得の損失金額が四三、三〇二円であることを争う趣旨ではない。 七原告の反論に対する被告の答弁被告のした推計方法に合理性がないとの主張、甲第一号証に信憑性があり、原告の確定申告が実額による正確なものであるとの主張は、いずれも争う。 八証拠関係(省略)○ 理由一請求原因(一)及び(二)の事実並びに被告の主張(一)の事実は当事者間に争いがない。 二被告が、ズツク靴の縫製加工による原告の売上利益を算出するにつき、その収入金額に同業者の平均的な所得率を乗じるという推計方法を用い、このようにして算出された売上利益を基礎として本件更正処分を行なつたことは当事者間に争いがないところ、原告は被告がした右推計課税にはその必要性がなかつた旨の主張をするので、まずこの点を検討する。 所得税法一五六条は、税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額を推計して、これをすることができる、と規定し、推計課税の許容性を明文化しているのであるが、本来、課税標準となる所得金額の算定に当つては、収入金額及び必要経費の実額を計算して決定されるのが原則であつて、課税庁による推計 ことができる、と規定し、推計課税の許容性を明文化しているのであるが、本来、課税標準となる所得金額の算定に当つては、収入金額及び必要経費の実額を計算して決定されるのが原則であつて、課税庁による推計課税が許されるのは納税義務者の所得金額を実額によつて把握することができない場合に限られるものというべきで、この意味での推計の必要性を要するものというべきである。 ところで、成立に争いない乙第六号証によると、原告は本件係争年分の所得税の確定申告に際し、単に所得金額として一、四四四、〇〇〇円と記載するのみで、その算出に至る過程、すなわち収入金額、必要経費に関しては何ら記載していなかつたことが認められる。そして被告側係官が、原告の本件係争年分の所得の調査に際し実額による正確な所得計算をしようと努め、昭和五〇年八月二六日原告宅に赴き、本件係争年分にかかる所得計算の資料となる関係書類(売上金額、仕入金額、たな卸高、必要経費に関する数値が記録された帳簿書類、計算書及び原始記録)の提示を求めたところ、原告は事前通知のない調査には応じられないとして帳簿書類を提示しなかつたこと、そこで被告側係官が、度々原告と調査日時について連絡した上、同年九月一八日原告宅に所得調査のために赴き、原告に対し本件係争年分にかかる所得計算の資料となる関係書類の提示を求めたところ、原告は、「原告の関係書類に記載された金額を信用し、かつ、その旨を一筆書いて原告に手渡すこと、及び原告の取引先等を調査しないことを求める。これを応諾しない限り、関係書類は一切提示しない」旨主張するのみで、調査に全く協力しなかつたこと、しかし被告側係官としては、原告の右要求に応じることはできず、また原告が右要求を撤回し、関係書類を提示して所得調査に協力するとは認められないと判断し、そのため被告において、原告の所 しなかつたこと、しかし被告側係官としては、原告の右要求に応じることはできず、また原告が右要求を撤回し、関係書類を提示して所得調査に協力するとは認められないと判断し、そのため被告において、原告の所持する関係書類を調査しないで所得計算し、原告の売上利益については収入金額に同業者の平均的な所得率を乗じるという推計方法を用いて本件更正処分を行なつたことは、当事者間に争いがない。 してみると、原告は被告側係官による質問、検査を拒んで関係書類を提示せず、その所得調査に協力しなかつたため、被告において原告の所得の実額を把握することができなかつたのであるから、推計の必要性があつたものということができる。原告本人尋問の結果によると、原告は自己の確定申告に自信があり、また昭和四七年分と昭和四九年分については本件のような調査が行なわれず、本件係争年分についてのみそのような調査に及んだことに納得できなかつたことを理由として、右調査を拒絶したことが認められるが、このことは原告が被告による所得調査を拒絶する正当な理由とは到底認められない。 三そこで被告主張の本件推計課税に合理性が認められるか否かを検討する。 (一) 原告のズツク靴の縫製加工による収入金額が日満ゴム工業株式会社から加工代金として受け取つた五、三九二、五八六円であることは当事者間に争いがない。 原告本人尋問の結果によると、原告の行なうズツク靴の縫製加工業というのは、原告及びその妻Cが行なう外、外注に出すのであるが、外注に依存する割合がかなり高いことが認められ、このことは、証人Cの証言により真正に成立したものと認める甲第一号証によつても推認できるところである(もつとも、これは甲第一号証が全て真実を記載したものと認める趣旨ではない)。 しかして、成立に争いない乙第五号証、証人Dの証言により真正に成立したも 認める甲第一号証によつても推認できるところである(もつとも、これは甲第一号証が全て真実を記載したものと認める趣旨ではない)。 しかして、成立に争いない乙第五号証、証人Dの証言により真正に成立したものと認める乙第一ないし第四号証の各一、二及び証人Dの証言によると、昭和五三年当時広島国税局直税部に勤務していたDは、本件訴訟を追行するに際し、本件更正処分による原告の所得金額が正当か否かを調査するため、本件更正処分においてとられた方法と同様の同業者の所得率による推計方法をとることとし、近隣同業者を調査するため、被告府中税務署長ほか福山、尾道、三原の合計四税務署長に対し、その対象同業者を布靴の縫製業を営む個人の事業所得者で、昭和四八年分所得税について、(1)青色申告書により申告している者(現金主義によるもの又は他の事業を兼業している者は除く)で、一年を通じ継続して事業を営むもの、(2)事業の収入金額が年間二五〇万円から一、二〇〇万円までのもの、さらに原告については外注費、給料の額が不明であつたため、(3)外注費又は給料賃金の支払いのあるもの、のいずれの条件にも該当するもの(但し、更正処分等の不服申立について審理中のもの及び異議申立等の不服申立期間(出訴期間を含む)が経過していないものは除く)に限定し、この該当者が存在する場合には、所得税青色申告決算書に基いて、別紙の「個人事業所得者の課税事績報告書」に、「対象者の記号」欄には、対象者の住所、氏名に代えて「A、B、C、・・・・・・」とアルフアベツトの記号を、「(1)売上(収入)金額」欄には決算書の「売上(収入)金額」欄の金額を、「(2)売上原価、経費」欄には決算書の「売上原価」欄の差引原価及び「経費」欄の経費の合計の合計金額を、「(4)経費の内の特別経費」欄には、決算書の「経費」欄のうち、利子割 収入)金額」欄の金額を、「(2)売上原価、経費」欄には決算書の「売上原価」欄の差引原価及び「経費」欄の経費の合計の合計金額を、「(4)経費の内の特別経費」欄には、決算書の「経費」欄のうち、利子割引料、地代家賃及び貸倒金はそれぞれの該当欄に、「その他」欄には給料、賃金及び外注費以外の特別経費を(なお、決算書の「製造原価の計算」欄に記載した特別経費についてもこれに準じる)、「(7)所得比率」欄には、百分比率の少数点三位以下は切捨て、少数点二位までを、各記載すべきことを指示することとし、これに基いて広島国税局長は昭和五三年六月九日付で「税務訴訟に関する資料の提出について」と題する通達を発したこと、その結果、府中及び三原の各税務署管内には該当者はなかつたが、福山及び尾道に各一業者づつ右通達の条件に該当する同業者が存在し、この両業者については外注費及び給料の双方がともに存在したこと、そして「(2)売上原価、経費」の額から「(4)経費の内の特別経費」の額を控除した「(5)改算経費」の額をさらに「(1)売上(収入)金額」から控除した「(6)改算所得金額」を「(1)売上(収入)金額」で除することにより各同業者の所得比率を算出すると、別表(三)記載のとおり、福山税務署管内の同業者Aについては四一・四九パーセントとなり、尾道税務署管内の同業者Bについては四六・五四パーセントとなつて、同業者A、Bの平均所得率は四四・〇一五パーセントとなること(但し、同業者Aについては「(4)経費の内の特別経費」は存しない)、そこで平均所得率を四四・〇パーセントとして原告のズツク靴の縫製加工による売上利益を算出すると、別表(二)記載のとおり、二、三七二、七三七円(円未満切捨て)となり、これに雑収入金額七〇、〇四五円を加えた二、四四二、七八二円から支払家賃の額一七六、〇〇〇 靴の縫製加工による売上利益を算出すると、別表(二)記載のとおり、二、三七二、七三七円(円未満切捨て)となり、これに雑収入金額七〇、〇四五円を加えた二、四四二、七八二円から支払家賃の額一七六、〇〇〇円及び譲渡所得の損失金額四三、三〇二円を控除すると原告の本件係争年分の総所得金額は二、二二三、四八〇円と算出され(但し、雑収入、支払家賃及び譲渡所得の損失についてはその存在、額ともに当事者間に争いがない)、本件更正処分(但し、異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)における総所得金額を超えるものとなることが認められる。 (二) しかして、被告が同業者を選定するに当つてその収入金額の範囲を二五〇万円から一、二〇〇万円までと限定したことはともかくとして、調査の結果判明した同業者は別表(三)記載のA及びBの僅か二名であり、しかもその売上(収入)金額については、Aが二、七八七、三八五円、Bが一一、八八一、〇六九円であつて、ほぼ一対四の割合となつていて前記通達の両極端の数値を示し、原告のズツク靴の縫製加工による収入金額五、三九二、五八六円と比較すると、Aはその五一・六九パーセント、Bはその二二〇・三二パーセント(いずれも少数点三位を四捨五入)となるのであるが、このような場合、前記通達の条件に該当するというだけの類似性の程度では、それによつて選定された同業者A、Bの平均所得率から原告のズツク靴の縫製加工による売上利益を推計して算出しても直ちに合理性があるものとは認め難く、課税庁たる被告としては、さらに進んで、同業者の業務形態を調査するなどして原告の業務形態との類似性を比較検討し、前記推計の合理性を裏付けるべきであり、殊に原告にあつては、ズツク靴の縫製加工による収入は白満ゴム工業株式会社からのもののみによるものであり、その縫製加工に当つて外注に依存す の類似性を比較検討し、前記推計の合理性を裏付けるべきであり、殊に原告にあつては、ズツク靴の縫製加工による収入は白満ゴム工業株式会社からのもののみによるものであり、その縫製加工に当つて外注に依存する割合が高いこと前認定のとおりであつて、経費中に占める外注費の割合も高いものと推認され、また右外注に依存するもの以外は原告夫婦において行なつているのであるから(もつとも前掲甲第一号証によると臨時雇傭(アルバイト)に対する賃金支払が存在することも認められるが、これは極めて少額である)、原告と同業者との間の業務形態の類似性についての裏付調査の必要性が高かつたものということができる。ところが、証人Dの証言によると、被告において推計課税を行なうためにとつた方法としては、同業者の青色申告決算書を確認した程度で前記通達による調査の域を出ず、まして同業者の業務形態についてその具体的内容まで調査はしていないことが認められるのであつて、他に同業者A、Bの平均所得率から原告の売上利益を推計することにつき、その合理性があることを認めるに足りる証拠はない。 なお、被告は原処分たる本件更正処分における同業者の平均所得率からしても原告の主張が理由のない旨の主張をするのであるが、ここで主張される同業者というのが前記同業者A、Bと同一であり、単に同業者Bについての青色申告専従者給与相当分を、原告が白色申告者であるので原告との関係では所得推計に当つて経費に含ませるべきではないが、仮に同業者Bの売上(収入)金額から控除して平均所得率を算出しても三九・九パーセントで本件更正処分による総所得金額(但し、異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)の範囲内であるとの趣旨の主張であることは明らかであるから、この主張に基く推計方法に直ちに合理性を認め得ないことは前述のとおりである。 して 金額(但し、異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)の範囲内であるとの趣旨の主張であることは明らかであるから、この主張に基く推計方法に直ちに合理性を認め得ないことは前述のとおりである。 してみると、被告が原告のズツク靴の縫製加工による売上利益を算出するために行なつた同業者の平均所得率による推計方法には合理性が認められないから、これに基いて行なつた被告の本件更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(但し、いずれも異議決定及び審査裁決による一部取消後のもの)は違法であつて、取消を免れない。 四よつて、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官森川憲明大前和俊吉田徹)別紙(省略)
▼ クリックして全文を表示