【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 (控訴人) 原判決を取消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とす
○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判(控訴人)原判決を取消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 (被控訴人)主文と同旨第二主張双方において原審における主張を次のとおり敷桁して述べたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(但し、原判決四枚目表八行目、一二枚目裏二行目の各「寸借名義」をそれぞれ「寸借申込」と訂正する。)。 (控訴人)一国税徴収法三九条は、滞納者が有する財産を無償または著しく低い額の対価で譲渡した場合、譲受人は「受けた利益の限度」において第二次納税義務を負う旨定めている。この「受けた利益の限度」とは、譲受人が現実に受けた利益の額の意味であり、それは譲受人が現実に享有することになる財産の価値の評価額を基礎として算定されるべきである。この意味での評価額はいわゆる限定価格であつて、これは、当該財産と何ら利害関係を有しない人がそれを取得する時の、いわば自由市場で形成される評価額(いわゆる正常価格)とは異なる。建設省制定にかかる不動産鑑定評価基準においても、借地権と底地との併合を目的とする売買に関する場合、その適正な価格は一般的市場価格とは乖離することが認められている。また、実際の取引でも、本件のように使用借主がその使用土地を買う場合には、限定価格で取引されるのが通例である。 滞納者Aが本件土地を世間一般に売りに出し、それをこの土地と関係のない人が買受けたという場合なら、原判決のいう「客観的な価値」、すなわち自由市場で形成される価格が適正であろうが、本件の場合は、Aが昭和三四年に更地の状態で本件土地を取得し、その頃、Aと被控訴人との間で近い将来これを被控訴人が譲り受ける旨合意し、その後まもなく、被控訴人が同 で形成される価格が適正であろうが、本件の場合は、Aが昭和三四年に更地の状態で本件土地を取得し、その頃、Aと被控訴人との間で近い将来これを被控訴人が譲り受ける旨合意し、その後まもなく、被控訴人が同地上、に堅固な鉄筋コンクリート造の家屋を建て、居住してきたというのであつて、被控訴人が現実に享有することになる利益は、右の「客観的な価値」よりも大きく、したがつてその評価額も高くなる道理である。 二本件のように、親族間で土地を売買する時に、買主が代金を払う迄の間、売主側の好意で買主が当該土地を無償で使用することはよくあることであるが、原判決の理論によると、この場合、買主が既に当該土地の上に使用借権を取得していることを理由に代金を三割も減額請求することが許されることになつて、不合理である。 三現在の課税実務は、使用借権の設定をとらえて、借地権類似の価値の贈与があつたものと認定して課税することはしていない。土地の使用借入が、その土地の贈与を受けた場合は、その時点で目的土地全体の贈与があつたものとして、つまり評価額の一〇割を基準として課税している。かりに、原判決のいうように、使用貸借の設定だけで所有権の評価額が三割減ずるものとすると、右のような場合、使用借人たる受贈者は七割分だけの贈与税を払えばよい理くつである。しかし、それでは、使用借人は当初、使用借権設定を受けたことによる贈与税を払わないでよいとされ、後になつて贈与を受けた時には、土地の評価額の七割のみに関してだけ贈与税の課税対象とされるにとどまり、結局、土地の評価額の三割については終始課税の対象とされないという理不尽な結果となる。 四被控訴人が本件土地譲受の対価としてAに支払つたのは、被控訴人やAに対する国税局職員の聴取書(乙第七ないし九号証)、さらに被控訴人の大阪国税局長に対する異議申 されないという理不尽な結果となる。 四被控訴人が本件土地譲受の対価としてAに支払つたのは、被控訴人やAに対する国税局職員の聴取書(乙第七ないし九号証)、さらに被控訴人の大阪国税局長に対する異議申立書(乙第一四号証)からみても金三八〇万円程度にすぎず、このことは昭和三四年のAの本件土地購入代金が金四二〇万円であつたこと、その頃及びその後の被控訴人やAの収入、財産状態、特に被控訴人が本件土地上の建物建築費の大半を借入金で支払つていることからも明らかであつて、訴訟段階になつての被控訴人らのこの点の供述は、近親者を合わせての虚構のものというべきである。 (被控訴人)一控訴人の当審一の主張は、国税徴収法三九条の「受けた利益の限度」という用語を譲受人が現実に享有することとなつた財産の評価額と強引に結びつけようとするものである。しかし、右「受けた利益の限度」というのは、要件を定めた前段の「政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡」と裏腹の関係にあり、「受けた利益の限度」についてのみ独自の解釈を容れる余地はないのである。なぜなら「無償」はともかく、「著しく低い額の対価」という以上その評価の規準とすべき対価が前提とされ、それと現実の対価との差額がまさに「受けた利益」となるのであつて、「受けた利益」から財産の評価を導き出そうとするのは判断の順序が逆である。 二そして、「時価」については、通達により「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行なわれる場合に通常成立すると認められる価額をいう」とされているのである(相続税財産評価に関する基本通達昭和三九・四・二五直資五六、直審(資)一七)。これは相続税に関する通達であるが、財産評価についての概念であるから、国税徴収法三九条についてこれと異なる解釈をしなけれ 相続税財産評価に関する基本通達昭和三九・四・二五直資五六、直審(資)一七)。これは相続税に関する通達であるが、財産評価についての概念であるから、国税徴収法三九条についてこれと異なる解釈をしなければならぬ理由はない。 三そもそも、本件が著しい低額による譲渡であるというのであれば、控訴人は相続税法九条に基づいてみなし贈与税を課することができた筈である。しかるに、控訴人はこれなせず、したがつてその時点では本件譲渡を著しい低額譲渡とは評価しなかつたのに、八年も後になつて低額譲渡を主張するのであり、余りにもご都合主義的行政というべきである。 四本件告知処分は昭和四八年一〇月になされたが、その根拠となる本件土地の譲渡(登記)は昭和四〇年になされたものであり、その間八年を経過している。滞納者Aに資力がないことは昭和四〇年にすでに明らかであつたのであり、本件処分はその間何の理由もなしに延ばされていたのである。土地の評価にしても一〇年も前にさかのぼるのでは正確な評価は期待できないし、租税債権の消滅時効期間が五年とされている趣旨に照らしても、本件処分は違法というべきである。 五そして、はるか以前の譲渡対価の支払について素人の被控訴人らに明確な記憶がなく、またこれを呼び戻すのに時間がかかつたのもむしろ自然というべきである。なお当時被控訴人は中企業の南方繊維株式会社の専務取締役であり、繊維業界は最も活況を呈していた時代であつて、被控訴人が本件土地の建物建築費の一部を会社借入金で賄つたとしても、それは現金調達のための有利不利の問題にすぎず、いずれにせよ通常の給与所得者に比べ相当余裕のある生活をしていたものである。 第三証拠(省略)○ 理由当裁判所は被控訴人の本訴請求を正当と認めるものであつて、その理由は次に付加するほか、原判決理由中の説示と同一であるか 得者に比べ相当余裕のある生活をしていたものである。 第三証拠(省略)○ 理由当裁判所は被控訴人の本訴請求を正当と認めるものであつて、その理由は次に付加するほか、原判決理由中の説示と同一であるから、これを引用する(但し二一枚目表八行目の「借用借主」を「使用借主」と、同裏末行から二二枚目表初行にかけての「有するものと認めるのが相当であり、かつ」を「有するもので、控訴人もこれを自認しているところ、」と各訂正する)。 一一般に借地人又は使用借主が目的土地を使用収益する場合、その効果的利用をはかれることが多いとしても、貸主との関係で全く制約がないとすることはできず、特にこれら土地使用権の附随する地上建物の所有者がその敷地を買受ける場合に、既に所有するその使用権価格を控除しないのが合理的、或は取引の通例とは考え難いのであつて、当審証人Bの証言及び同証言から成立の認められる乙第一六号証中、以上に反する見解は採用できない。 二原審及び当審での証人Aの証言及び被控訴本人尋問の結果によれば、昭和三四年七月頃Aが本件土地を購入した当時、同人と被控訴人との間で将来これを譲渡することの事実上の了解ないし心積りがあつたものの、もとよりまだ確定的なものでなく、その時期条件等具体的なこともすべて未定であつて、しかもその状態が相当長期間継続する予想であつたことが認められるから、本件の場合建付地や使用貸借による減価を不当ということはできない。 三成立に争いのない乙第一二号証、弁論全趣旨から成立の認められる甲第一号証、前掲証言及び本人尋問の結果によれば、Aは本件土地を更地の状態で代金四二〇万円で購入し、その一角に約一五坪の木造セメント瓦葺平家建のガレージ付居宅を建築したが、当初から、将来はその姪で幼少の頃から実子同様に養育してきたCの夫である被控訴人に本件土地を原 状態で代金四二〇万円で購入し、その一角に約一五坪の木造セメント瓦葺平家建のガレージ付居宅を建築したが、当初から、将来はその姪で幼少の頃から実子同様に養育してきたCの夫である被控訴人に本件土地を原価程度で譲る積りがあり、被控訴人もこれをうけて毎年金四〇万円位の分割払いで買受けたい希望をもつて、その勤務先の繊維会社から金二〇〇万円を借受け、代金二八〇万円で鉄筋コンクリート造陸屋根二階建居宅を建築居住するに至つたことが認められるところ、本件土地の譲渡対価として被控訴人の主張する各金員のうち、手付金名下の金五〇万円及び寸貸金名下の中金一〇〇万円の支払については、成立に争いのない乙第七ないし九号証、第一四号証に申述記載がなく、特に寸貸金は前掲証言、本人尋問の結果、更に原審及び当審での証人Cの証言によつても、その時期明細が判然としないなど、疑問の余地がないではない。しかしながら右乙号各証は昭和四四年八月或は昭和四八年の聴取又は作成にかかるもので、それまでの時間的空白が大きいこと、また寸貸金は昭和三六年頃から事業不振で債務の弁済や生活費にも不自由するようになつたAの頻繁な要請によるものであり、本件土地の移転登記の際に被控訴人の支払つた金二〇〇万円も、従前支払金とともに、当時のAのゆとりのない財産状態やそれまでの間における地価の上昇等を考慮にいれたものであることが、叙上各証言、本人尋問の結果から認められ、さらに弁論全趣旨から成立の認められる甲第一三、一四号証、原審及び当審での証人Cの証言及び被控訴本人尋問の結果から認められる被控訴人の収入、右本人尋問の結果から成立の認められる甲第二号証、第一二号証、証人Dの証言等を考えると、前掲諸点から直ちに前記五〇万円及び一〇〇万円の支払を否定するのは不相当と思料される。 よつて、被控訴人の請求を認容した原判決は から成立の認められる甲第二号証、第一二号証、証人Dの証言等を考えると、前掲諸点から直ちに前記五〇万円及び一〇〇万円の支払を否定するのは不相当と思料される。 よつて、被控訴人の請求を認容した原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官黒川正昭志本義文林泰民)
▼ クリックして全文を表示