主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一控訴の趣旨一原判決を取り消す。 二被控訴人が控訴人に対し平成元年六月一七日付けでした控訴人の昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、本税額一億九二二二万五二六〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち、同税額七五〇〇円を超える部分(ただし、平成二年一二月二一日付け裁決で取り消された部分を除く。)をいずれも取り消す。 三被控訴人が控訴人に対し平成元年六月一七日付けでした控訴人の昭和六二年四月一日から昭和六三年三月三一日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、本税額一億七〇八〇万八四四九円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち、同税額二二万六〇〇〇円を超える部分(ただし、前項の裁決で取り消された部分を除く。)をいずれも取り消す。 四訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 第二事案の概要本件事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほか原判決の「事実及び理由」中の「第二事案の概要」欄記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決一六頁七行目の「受領しているが、」の次に「右処理が、翌事業年度のみならず当該事業年度中にも行われていることや、精算交渉が決裂したときには、昭和電工が精算金の支払をしない自由を有していたことからも明らかなように、」を加える。 2 同一七頁一〇行目の次に行を改めて、「(3) さらに、控訴人は、副生ガス供給時の約定価格である認可価格を売上原価として計上する一方、その後、昭和電工との間の精算合意に基づいて支払われた仕入割戻金をその時の事業年度の雑収入として益金に計上してきたが、これは、「企業会計原則」及び「企業会計原則注解」によっても是認さ 計上する一方、その後、昭和電工との間の精算合意に基づいて支払われた仕入割戻金をその時の事業年度の雑収入として益金に計上してきたが、これは、「企業会計原則」及び「企業会計原則注解」によっても是認されている会計処理であるのみならず、昭和五七年三月期の税務調査における被控訴人の積極的な指導に従った結果であって、このような会計処理は、被控訴人によっても長年是認されてきたものであるから、本件各事業年度のものについてのみ、これを否定することは、信義則ないし禁反言の原則に反して許されない。」を加える。 3 同二八頁五行目の「とはできない。」の次に「仮に、後記の精算後価額の比較では、二豊液化ガス外二社からの仕入価額よりも別大興産からの仕入価額の方が高額であるとしても、寄付や贈与の有無は取引の時点で決すべきものであるから、精算前価額を比較すべきものであるところ、これによっては、両者間にさしたる違いはない。」を加える。 4 同三〇頁四行目の次に行を改めた上、「(3) 控訴人と別大興産との問では、取引価格について、あらかじめ書面により、価格前決め制を約定した上で、後日遡って改訂する場合は新たな合意をする旨約定していたのであって、取引の時点では、控訴人において別大興産に利益を与えることが確定していたものということはできず、贈与が存在したものとはいえない。 (4) 別大興産からのブタンガスの仕入価額をそのまま売上原価とする会計処理は、本件各事業年度の前後を通じて一貫して行われており、これに対して課税庁である被控訴人も、これを是認し、特に税務調査を実施した昭和五七年三月期の事業年度の会計処理について何ら問題としていなかったものであるのに、本件各事業年度に限りその処理を否定することは、信義則・禁反言の原則に違反する。」を加える。 第三証拠証拠関係は、原審及 期の事業年度の会計処理について何ら問題としていなかったものであるのに、本件各事業年度に限りその処理を否定することは、信義則・禁反言の原則に違反する。」を加える。 第三証拠証拠関係は、原審及び当審記録中の各証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。 第四当裁判所の判断一当裁判所も、控訴人の請求を失当と判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第三争点に対する判断」の欄(原判決三六頁四行目から同六九頁一行目まで)に説示するとおりであるから、これを引用する。 1 原判決三六頁末行目の「三五、」の次に「三七、三八、」を加え、同行目の「証人A」を「原審における証人A」に改め、同行目から同三七頁一行目にかけての「B本人」の次に「、当審における証人C」を加える。 2 同三七頁八行目の「価額」の次に「(単価、以下同じ)」を加える。 同三九頁八行目の「副産物」の次に「であってその製造を目的とした製品ではないの」を加える。 4 同四二頁二行目の「本件各事業年度」から同四行目の「極めて」までを「特に、本件各事業年度の取引価格については、当該各事業年度内に精算が行われず、その直後、すなわち昭和六二年三月期については同年五月九日、昭和六三年三月期については同年四月一九日にそれぞれ第一回目の精算が行われ(以下、この各第一回目の精算をそれぞれ「第一次精算」という。)、各第一次精算の精算率が、それぞれ五九・一七パーセント、五七・三一パーセント(最終の精算率がそれぞれ、六二・八パーセント、六一・五八パーセントである。)と他の事業年度に比して突出して」に改める。 5 同四四頁二行目の「主導権を握り、」の次に「高水準の価格を維持する一方、」を、同三行目の「原告に対し、」の次に「とりわけ本件各事業年度の取引につき )と他の事業年度に比して突出して」に改める。 5 同四四頁二行目の「主導権を握り、」の次に「高水準の価格を維持する一方、」を、同三行目の「原告に対し、」の次に「とりわけ本件各事業年度の取引につき」を、同六行目の「していたのであるから、」の次に「少なくとも本件各事業年度の取引価格について、」をそれぞれ加える。 6 同四四頁七行目の次に行を改めて、「なお、控訴人は、昭和電工において、認可価格を仮価格であるとする会計処理がされていたからといって、控訴人の会計処理をこれに合わせなければならないものではない旨主張するが、本件副生ガスの取引の一方の相手方である昭和電工の会計処理が右のようなものである以上、少なくとも認可価格を本来の取引価格とせず、後の精算価額を取引価格とする黙示の合意があったことを強く推認させる事情に当たることは否定できない。」を加える。 7 同四六頁四行目の「原告の右仕入価額」を「本件副生ガス仕入価額を控訴人の売上原価となるべき控訴人の仕入価額としてはこれ」に改める。 8 同五〇頁三行目から四行目にかけての「本件副生ガス仕入価格」を「認可価格である本件副生ガス仕入価額」に、同九行目から一〇行目にかけての「仕入価額」を「前記認可価格の本件各事業年度」にそれぞれ改め、同一〇行目の「仕入割戻金の」の次に「各翌事業年度の」を、同行目の「益金算入を」の次に「いずれも」をそれぞれ加える。 9 同末行目の次に行を改めて、「なお、控訴人は、本件各事業年度の納税申告のように、認可価格を売上原価とし、その払戻金を翌事業年度以降の雑収入(益金)として計上する会計処理は、昭和五七年三月期の確定申告の際の被控訴人の指導によるものであり、本件各事業年度の前後を通じて、被控訴人において是認してきたものであって、本件各事業年度に限り、別異に扱う本件課税処分は、その 処理は、昭和五七年三月期の確定申告の際の被控訴人の指導によるものであり、本件各事業年度の前後を通じて、被控訴人において是認してきたものであって、本件各事業年度に限り、別異に扱う本件課税処分は、その合理的理由がなく、信義則ないし禁反言の原則に違反する旨主張する。しかしながら、証拠(甲三七号証、三八号証の1ないし4、原審における控訴人代表者)によると、控訴人は、昭和五七年三月期の確定申告に対し税務調査を受け、担当の税務署員から、副生ガスについての精算払戻金をその事業年度の雑収入として益金に計上するよう指導を受け、これに従った修正申告をしたことが認められるものの、右証拠及び原審における証人此本正憲の証言に弁論の全趣旨を総合すると、右指導は、控訴人が、右精算金が確定した収入であるのにもかかわらず、「預り金」といったあいまいな名目による会計処理をしていたことからこれを改めさせる趣旨でされたものであることが認められ、それ以上に認可価格を売上原価とすることを積極的に容認する趣旨までも含むものとは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。 また、本件各事業年度の精算金の精算率が他の事業年度に比して高率であること前判示のとおりである以上、本件課税処分が信義則等に違反するものであるということもできない。」を加える。 10 同五三頁四行目から五五頁二行目までを次のとおり改める。 「本件においては、法人税の課税標準の要素である損金の額を構成する副生ガスの仕入価額(売上原価)については、控訴人がその備付帳簿に基づき申告した額(認可価格)によることができないものであること前判示のとおりである以上、「課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合」に当たり、その青色申告に対する更正を行うことができることはいうまでもない。そして、本件副生ガスの仕入代金額 こと前判示のとおりである以上、「課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合」に当たり、その青色申告に対する更正を行うことができることはいうまでもない。そして、本件副生ガスの仕入代金額は、その単価である仕入価額とその数量によって定まるところ、本件課税処分も、右数量については、控訴人の備付帳簿記載の数値に依拠しながら、その単価(仕入価額)についてのみ、控訴人主張の認可価格によることができないとして、これを否認したものにとどまる。 ところで、控訴人は、本件副生ガスの取引につき、当初、昭和電工に対し、認可価格によりその代金をいったん支払いながら、その後改めて仕入価額(精算価額)を定めて、その差額の精算を行っているが、精算価額は常に認可価額よりも低額であり(したがって、常に昭和電工から控訴人に対して精算金が支払われることになる。)、その額の決定は、双方当事者の任意の合意によって定まる一般の取引の場合とは異なり、専ら控訴人の判断にゆだねられており、実際上も、控訴人が、九州地区のプライスリーダーとして最も低額でブタンガスを仕入れている西部ガスの仕入価額よりも一円だけ低い額を基本とした上、これを熱量換算したものを右精算価額として定めているのである。加えて、前判示のとおり、本件各事業年度の副生ガスの取引については、当該各年度内には精算が行われず、各事業年度の終了直後にそれぞれ第一次精算が行われている上、本件各事業年度の第一次精算価額は、昭和六一年一〇月以降の分が、いずれも単価(一〇〇〇キロカロリー当たり)二・五四円とされているのみならず、昭和電工が後日の精算に備えて取引の都度積み立てた引当価額は昭和六一年八月から同六二年三月までの分が三円、昭和六三年三月期分がすべて二・五四円であること(甲一号証、乙二号証の2及び弁論の全趣旨によって認め が後日の精算に備えて取引の都度積み立てた引当価額は昭和六一年八月から同六二年三月までの分が三円、昭和六三年三月期分がすべて二・五四円であること(甲一号証、乙二号証の2及び弁論の全趣旨によって認められる。)をも考慮すると、本件各事業年度の仕入価額については、遅くとも各当該事業年度末において、各第一次精算の価額を算出、確定することが可能であったものと推認することができる。現に、証拠(乙三七、三八号証、当審おける証人C)に弁論の全趣旨を総合すると、本件各事業年度の税務調査を担当した別府税務署所属の職員であったCも、控訴人の備付帳簿等の調査を行った結果、これと同様の認識、理解をした上、右第一次精算価額をもって本件各事業年度の仕入価額とすべきものと判断したが、控訴人の反対にあったことから、慎重を期する意味で、第一次精算価額を前提にしながら、控訴人による仕入価額決定のメカニズムを踏襲した上、控訴人にとって不利にならないようにするため、熊本国税局、福岡国税局、高松国税局及び広島国税局の各管内から、控訴人と同業種で、かつ、同規模の法人五社を抽出し、そのブタンガスの仕入価額(ただし、精算後価額)のうち最も高額なものについて熱量換算した価額を算出し、結果として、被控訴人が、これを控訴人の仕入価額として本件課税処分をしたものであることが認められる。 以上のとおりの被控訴人による仕入価額認定の経緯、とりわけ、控訴人による精算価額決定のメカニズム及び被控訴人においてその手法を踏襲したものであること等を考慮すると、被控訴人による本件仕入価額の認定は、実額による第一次精算額を前提にしながら、その範囲内(第一次精算額を下回らない範囲内)において控訴人の適正な仕入価額を算出したものであって、実額についての推認の域を出るものではなく、法一三一条が禁止する推計には当たら 額を前提にしながら、その範囲内(第一次精算額を下回らない範囲内)において控訴人の適正な仕入価額を算出したものであって、実額についての推認の域を出るものではなく、法一三一条が禁止する推計には当たらないものというべきである。けだし、確かに、被控訴人の認定に係る仕入価額は、控訴人の備付資料の数値に直接依拠するものではない点で、一種の擬制によるものといわざるを得ないが、もともと本件精算価額それ自体が、当事者双方の自由な交渉に基づき又はその相互の意思の反映として個別具体的に決定される性質のものではなく、実質上、控訴人の判断による一種の擬制に基づくものである一方で、被控訴人の認定に係る仕入価額算出の方法も、これを算出するために採用したブタンガスの取引業者自体は異なるものの、控訴人の価額決定のそれに準拠したものである上、このようにして算出された価額を先験的に控訴人の仕入価額とするものではなく、これが控訴人の備付帳簿に基づく実額である精算価額を下回ることがないように右業者中最高額の仕入価額の者を選定しており、少なくとも片面的には右実額に基づいているのであって、結局、全体として、実額から離れることはないからである。仮に形式的に、被控訴人の仕入価額の認定による本件課税処分が推計課税に当たるとしても、以上の事情にかんがみると、これが控訴人のいわゆる実額によった場合に比して控訴人に不利をもたらすものとはいえず、違法ということはできない。」 11 同五五頁八行目の「三四の1ないし11、」の次に「三七、原審における」を、同行目の「D」の次に「、当審における証人C」をそれぞれ加える。 12 同五九頁一行目の各「四月分」をいずれも「三月分」に改める。 13 同六四頁五行目の「採用できない。」の次に「また、控訴人は、取引の時点における贈与の有無が問題となるのであるから、 ぞれ加える。 12 同五九頁一行目の各「四月分」をいずれも「三月分」に改める。 13 同六四頁五行目の「採用できない。」の次に「また、控訴人は、取引の時点における贈与の有無が問題となるのであるから、別大興産からのブタンガスの仕入価額が適正であるかどうかの判断に当たり、二豊液化ガス外二社のそれと比較する場合にも、その精算後価額によるべきではなく、精算前価額によるべきである旨主張するが、前記のとおり、二豊液化ガス外二社との間においても後の精算が予定されており、精算前価額はその時々の実勢価格を反映しているものではないのであるから、右主張も採用することができない。」を加える。 14 同六五頁一〇行目の「そして、」から同六六頁二行目の「行う場合にも、」までを「確かに、形式的にみる限り、法三七条六項は、寄付金等の額の基準時について定め、同七項はいわゆる資産の低額譲渡について定めているものということができる。しかしながら、一般的に寄付がその前提としている贈与は、自己の損失において他者に利益を与える法律行為であるところ、低額譲渡といわゆる高額譲受とではその利益の内容について前者は財産権であり、後者は金銭であるという違いはあるものの、経済的利益である点で両者は共通のものであって、これを区別する理由は存しないから、同条七項も高額譲受の場合を排斥するものではなく、」に改める。 15 同六七頁九行目の次に行を改め、「なお、控訴人は、別大興産との間で価格前決め制を約定した上、後日遡って価額を改訂し精算することを予定しており、現に後に精算金の授受が行われていたのであるから、各取引の時点では控訴人から別大興産に対して利益を与えることが確定していたとはいえず、贈与ないし寄付に当たらない旨主張する。しかしながら、本件各事業年度の取引に関しては、別大興産との精算は二度行わ 各取引の時点では控訴人から別大興産に対して利益を与えることが確定していたとはいえず、贈与ないし寄付に当たらない旨主張する。しかしながら、本件各事業年度の取引に関しては、別大興産との精算は二度行われたにとどまる上、その程度も二豊液化ガス外二社との取引の場合に比べてその割合が低率であるのみならず、取引の時点で既に後日の精算が予定され、精算前価額によっては、仕入価額として確定していないというのであれば、そもそもこのような価額をもって売上原価とすること自体が許されないのであって、右主張は採用することができない。」を加える。 16 同六八頁二行目の次に行を改めて、「また、控訴人は、別大興産からのブタンガスの仕入価額をそのまま売上原価とする会計処理は、本件各事業年度以外の事業年度においては、被控訴人においてこれを是認してきていたのに、本件各事業年度に限りこれを認めず、その一部を寄付金として扱うのは、信義則・禁反言の原則に違反する旨主張するが、証拠(甲四二号証)によると、特に本件各事業年度以前の事業年度の別大興産からのブタンガスの仕入価額(精算後価額)は、二豊液化ガス外二社からのそれとの間にさして開差がなかったのに、本件各事業年度においてはこれが著しく拡大していることが認められるから、右主張も理由がない。」を加える。 二以上の次第で、控訴人の請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法六七条一項、六一条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。 (平成九年一〇月八日口頭弁論終結)福岡高等裁判所第二民事部裁判長裁判官山口忍裁判官西謙二裁判官宮良允通は転補のため署名捺印することができない。 裁判長裁判官山口忍 平成九年一〇月八日口頭弁論終結)福岡高等裁判所第二民事部裁判長裁判官山口忍裁判官西謙二裁判官宮良允通は転補のため署名捺印することができない。 裁判長裁判官山口忍
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