昭和26(う)3769 麻薬取締法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年11月26日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      被告人Aの控訴を棄却する。      原判決中被告人Bに関する部分を破棄する。      被告人Bを罰金三万円に処する。      被告人Bが右罰金を完納することができないとき

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判決文本文8,343 文字)

主文 被告人Aの控訴を棄却する。 原判決中被告人Bに関する部分を破棄する。 被告人Bを罰金三万円に処する。 被告人Bが右罰金を完納することができないときは、金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 当審における訴訟費用中国選弁護人菅井和一に関するものは被告人Aの負担とし、国選弁護人小野田六二に関するものは被告人Bの負担とする。 理由 本件被告人Aの控訴の趣意は別紙同被告人の弁護人柿原幾男作成名義の控訴趣意書と題する書面の通りであり、検察官の被告人B関係判決に対する控訴の趣意は別紙横浜地方検察庁検祭官検事寺田輝雄作成名義の控訴趣意書と題する書面の通りであり、これに対する被告人Bの答弁は別紙同被告人の弁護人小野田六二作成名義の答弁書と題する書面の通りであるからいづれも本判決末尾に添付し、これ等に対し当裁判所の判断を順次説示する。 (被告人Aの弁護人柿原幾男の控訴趣意に対する判断は省略する。)検察官検事寺田輝雄の被告人B関係判決に対する控訴趣意について。 検察官の控訴の趣意として論ずるところは、要するに原審判決は法令の解釈を誤り、仍てその適用を誤つた違法があるというにある。仍て所論に鑑み原判決が被告人Bに対する公訴事実の判断として同被告人の所為を罪とはならないものとしておる理由について案ずるに、原判決はその理由の前段において「被告人Bは昭和二十六年五月十一日頃の午後八時三十分頃、横浜市a区b町c番地先道路上において、何人も所持することができない麻薬ヘロイン末約〇・六グラム(一包入)を所持したという点は同被告人に対する司法警察員の現行犯人逮捕手続書、同差押調書、警察技術員Cの依嘱物件の鑑定についてと題する書面、被告人両名の当公廷の供述によつてこれ ン末約〇・六グラム(一包入)を所持したという点は同被告人に対する司法警察員の現行犯人逮捕手続書、同差押調書、警察技術員Cの依嘱物件の鑑定についてと題する書面、被告人両名の当公廷の供述によつてこれを認めることができる。しかし右各証拠によると被告人Bが右麻薬を所持するに至つたのは司法警察員の詐術(トリツク)に陥つたものであることが明らかで、すなわちその約一時間前の同日午後七時半頃、麻薬中毒患者を装う婦人警察吏員Dから麻薬を売つてくれとの申込をうけ、警察吏員とは知らずにこれを承諾して直ぐに相被告人A方に行き、同人より右の麻薬を買受けて自宅前まで持帰つたところ、待ちうけていた警察職員に現行犯として逮捕せられ、所持の麻薬を押収せられたものであつて、このような捜査のやり方は犯罪の予防及び鎮圧を職責とする警察職員が一面において犯罪捜査の必要があるからと言つて他面新たな犯罪の実行を誘発するような陥穽を設けて犯罪を実行させ、堂々と犯人を製造しておきながら直ちにこれを逮捕して処罰するとの非難を免れず、このような措置は主権在民の近代的文化国家においては到底これを認容することはできない。およそ国政は国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し云々その福利は国民が享受するという憲法前文竝に憲法第十三条の規定に違背しているから刑罰を以て処罰することができないと説述し、更にその理由の後段において麻薬取締法はその立法の目的のため、その取締の対象を単に切迫した具体的な危害発生の場合に止まらず、このような危害を生ずる心配のある段階(抽象的な危険性の段階)にまで遡つてこれを取締の対象としたものであるが、本件において被告人Bは警察職員の設けた穽の中に落ち込んでおり、彼の行為は見えない糸で操られ、彼の取得する麻薬は押収すべく万全の手配が講ぜられており、彼がこの てこれを取締の対象としたものであるが、本件において被告人Bは警察職員の設けた穽の中に落ち込んでおり、彼の行為は見えない糸で操られ、彼の取得する麻薬は押収すべく万全の手配が講ぜられており、彼がこの階穽に気がついて逃げだせば穽の外に出ることは不可能ではないかも知れないが、気がつかずにいる限りは彼が入手して持参する麻薬には前記の抽象的危険は客観的に取除かれているから、被告人Bの所為は罪とならない」と説明しておるのである。 然しながら右原判決の前段の理由として説述する点に関し原審において取調べた証拠である被告人Bに対する検察事務官の第一回供述調書には被告人の供述として「私は現在横浜市a区d町通りで洋品露店商をして居りましたが、最近は商売がうまく行かずその上風邪を引いて家の中に引込んで居ります。五月七日の午後四時頃横浜市e町E裏あたりに住んでいる私の母の知人のAというおばさんが一人で私方に訪ねてきて、私の枕元で実は麻薬があるが誰か欲しい人があつたら売つてくれ、値段は五百円包と千円包の二種類あると言いました。しかし私はあまり気も進まなかつたしAさんはモヒとかヘロとか言つて居り、私も麻薬については少しばかり知識もあり、こんなことをしては危いと思つたので欲しい人がきたら買いに行くと答えておきました。ところがその後五月十日の夕方午後六時三十分か七時頃、私が前に露店を出していた時パンツなどを買つて貰つたことのある親しくしているお客様の俗称Fちやんという年齢二十二、三才の男が私方に訪ねてきて、大分店を出さないがどうしたんだ作業ズボンを見せてくれと申しましたので、スボンを見せてやりましたその時私はAさんの話を思い出し、実は麻薬のモヒとかヘロとかいう薬があるがこんな薬はパンパン等が使うらしいな、誰か欲しがつている人はいないかなと話しました。するとFちやんは スボンを見せてやりましたその時私はAさんの話を思い出し、実は麻薬のモヒとかヘロとかいう薬があるがこんな薬はパンパン等が使うらしいな、誰か欲しがつている人はいないかなと話しました。するとFちやんはそれは本当か、もし本当にあるんだつたら俺も欲しいから分けてくれと申しますので、薬は今ここにはないが知つた人が持つていると言うと、寝ているところ悪いが買つてきてくれないかと言いました。私はAから始めて話を聞いた時には別にあてにもしていなかつたのですが、現実に買う人が出てきたのでそれまで商売も休んで居り、収入も一銭もなかつたので生活は苦しく、なんとか生活費の一部でも捻出しなければと思い麻薬の売買によつて多少なりとも利益を得ようと決意したのであります。それで母に頼んでこの間の話の品物を買いに来たと言えば判るからと申向けAのところに行つて貰いました。三十分ばかりして母は帰つてきましたがFちやんは待ちきれず明朝くると言つて先に帰りました。私は母の持つてきていた何にも包んでない、むき出しの三角の薬包紙に包んだ白い粉を一包受取りましたが、母は私に渡す際にこの包は千二百円ですから千五百円に売りなさいと言われたと申しました。私としてはこの取引をすれば三百円の利益が上るわけです。翌日正午頃Fちやんが千円持つてきましたので財布に入れておいた右の薬を売りました。お金の足りない分は十二日に持つてくると言つて居りました。 Aにはその日の二時か三時頃母に頼んでFちやんから貰つた千円と、自腹の二百円を足して持つて行つて貰いました。その日即ち十一日午後六時半か七時頃にどこか知らない女の人がきて、始め母と薬の話をして居りましたので私が玄関に出て、d町からきたのですかと聞くと、そうだ売つて下さいと言いますので、早速自転車にのりその女から千円貰つてAのところに行き千円のを一包下さいと 人がきて、始め母と薬の話をして居りましたので私が玄関に出て、d町からきたのですかと聞くと、そうだ売つて下さいと言いますので、早速自転車にのりその女から千円貰つてAのところに行き千円のを一包下さいと言うと、Aは千円のはないがこれは昨日のと同じもので千二百円の包だと三角の包一包を出してこれは千五百円で売るやつですよと教えてくれましたが、私は千円だけ払つて残金はあとで払うと言つて貰つてきたのです。この時の麻薬包は先のと同じ白い粉で包み方も同じ三角でした。私はこの薬は麻薬でありこのような麻薬を売買したり、所持したりしてはならないことはよく承知していました」という趣旨の記載があり、また原審第一回公判調書中に、被告人Bの供述として「私は五月十一日午後八時三十分頃、ヘロイン末入包を持つているところを自宅前道路上で警官に捕りましたがその四、五日前から体の具合が悪くて寝て居りますと、十一日午後八時頃女の人がフラフラしたような格好でやつてきて、薬を売つてくれないかと言うので、その人は麻薬の中毒患者だろうと考えe町のAから買つてきてその女の人に千五百円位で売る約束をしたところ、その女の人は後に警官だと判りました」という趣旨の記載がある。これによつてみると被告人Bは本件で逮捕される数日前の五月七日頃、既に本件共同被告人Aから麻薬を他に売却方をすゝめられ麻薬の売買又は所持をしてはならないことを知りながらこれを承諾し、欲しい人があつたら買いに行くと答え置き、その後同月十日頃に至り通称Fちやんなる者に麻薬を買う人はないかと尋ねて、その売却の斡旋方を依頼し母を介し右A方からヘロイン末一包を金千二百円で買い来つて、これをFちやんに金千五百円で売却したこと及びその後も希望者に対し引続き右Aとの約旨に基き同人の所持せる麻薬を売却してやり利益を得ようという確定的な意思が< ヘロイン末一包を金千二百円で買い来つて、これをFちやんに金千五百円で売却したこと及びその後も希望者に対し引続き右Aとの約旨に基き同人の所持せる麻薬を売却してやり利益を得ようという確定的な意思が<要旨>存在していたものと認められる。それ故にこそ本件逮捕の原因となつた麻薬の所持についても、婦人警察吏員</要旨>Dが麻薬中毒患者を装い被告人B方に赴き、麻薬の売却方を申入れたのに対し被告人Bは直ちにこれを承諾し、自ら右A方に赴き予ての約旨に基き同人より本件麻薬を受取り持参したのであつて、即ち右麻薬を同被告人が所持するに至つたことは、前記のAから交付されてFちやんなる者に譲渡した麻薬の所持行為と同一の犯意の継続せる一連の行為と認むべきであるから、右婦人警察吏員の行つた詐術は被告人Bが本件麻薬を所持するに至る一の機会を与えたものではあるが、これによつて同被告人の右麻薬所持の犯意及び実行行為そのものに関する意思決定を左右したものとすることはできない。更らにまた右婦人警察吏員は同被告人に対し麻薬の所持を教唆したのでもなく、その入手先を指示したのでもなく、また被告人を強制又は欺罔する等の手段を講じてもいないのであるから若し被告人Bにおいて右婦人警察吏員の申入れを拒絶しようとすれば自由にこれを拒絶することができて、これに対し何等障碍はなかつたものと認められるのであつて、右のような場合に、若し麻薬の不正取引をする意図の全然ない通常人であつたならば右申入れに応ずるようなことはなし得なかつたものと考えられる。それ故に結局右被告人の所為を以て専ら警察官の作為に基いて行はれたものと推断することは妥当でない。惟うに警察官は国民の生命身体、財産の保護に任じ犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以て責務とし、その活動は厳に法律の定むる所に従い右責務の範囲に はれたものと推断することは妥当でない。惟うに警察官は国民の生命身体、財産の保護に任じ犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以て責務とし、その活動は厳に法律の定むる所に従い右責務の範囲に限られるべきで、その犯罪捜査に当つてもいやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その機能を濫用することは許されない(警察法第一条)ものであることは論を要せない所であるから、如何なる事由があるにせよ警察官が国民に対し犯罪実行の機会を与えるようなことは犯罪捜査の手段としては適当でなく、殊に無事の国民をして犯罪を犯さしめるようなことは絶対に許されないのであるが、本件のような麻薬事件においては、麻薬の不正な使用は人の健康に有害なばかりでなくその害毒は容易に社会の各層に伝播する特性があつて、国民の健全な社会生活を破壊し、公共の福祉に重大な悪影響を及ぼすことが明らかであるから、もしこの種事犯が発生した場合には迅速に、しかも徹底的にその犯罪を捜査し、犯人を検挙してその犯罪の根源を絶滅しなければならないにも拘らずその犯行は通常極めて隠密的に行われ、その数量は微量であり、且これを授受する者の間には普通犯におけるような被害者という者がないため、この種犯罪の捜査には格別の困難の存することは明らかである。されば麻薬取締法第五十三条は麻薬取締員は麻薬に関する違反の捜査にあたり厚生大臣の許可を受けてこの法律の規定に拘らず、何人からも麻薬を譲り受けることができる旨を規定しているのである。勿論この規定は一般の警察官には直接適用はないが、右説述する如き麻薬取締法の特殊性に鑑みるときは、前段叙説するような現に犯罪が行はれておる際に警察官がこれを探知し、その犯人を捜索逮捕するに当つて前記程度の手段を用いたことは違法とするには当らない。少くとも本件においては の特殊性に鑑みるときは、前段叙説するような現に犯罪が行はれておる際に警察官がこれを探知し、その犯人を捜索逮捕するに当つて前記程度の手段を用いたことは違法とするには当らない。少くとも本件においてはこれを以て被告人Bの個人としての尊厳を犯して憲法の精神に違背したものと断ずることは正当でない。従て本件捜査が憲法の条規に反し依つて同被告人は刑罰法上の責任がないと断定した原判決は法令の解釈を誤つたものと謂うべきである。 次に原判決理由後段即ち本件が麻薬取締法自体において不法所持罪として罪とならない行為であるかどうかの点についても、麻薬取締法は前叙の如く麻薬の不適正な使用が人の健康に有害なばかりでなく、その害毒は容易に社会の各層に伝播する特性があり、国民の健全な社会生活を破壊し公共の福祉に重大な悪影響を及ぼす虞あるため、これを防圧する目的で制定されたものであつて、この目的を達するため麻薬の所持、輸入、製造、製剤、小分、施用、施用のための交付、譲受又は譲渡等の一切を政府の統制下におき、麻薬の不正取引一切を禁止しようとしているのである。而してその不正取引により現実に或は具体的に危険発生の虞ありや否やに拘らず、統制外における不正取引は一般的に危険が附随するものとしてこれを取締の対象としているのである(例えば譲渡、交付、施用等の目的なく単に所持しているだけでもその間に紛失し、又は他人に窃取せられることもあり得るから所持そのものには常に一般的に危険が附随するものと謂わなければならない)故に麻薬の不法所持罪の構成要件としては麻薬であることを知りながら、法定の除外事由なく(麻薬取締法第四条所定の場合は何等の除外事由も許されない)これを所持することによつて充足されるものと解すべきである。然るに原判決は麻薬の不適正な使用によつて生ずべき危害の生ずる虞、即ち抽象 由なく(麻薬取締法第四条所定の場合は何等の除外事由も許されない)これを所持することによつて充足されるものと解すべきである。然るに原判決は麻薬の不適正な使用によつて生ずべき危害の生ずる虞、即ち抽象的危険が存在せず又は除去されているような場合には不法所持罪は成立しないと断じ、本件において被告人Bは警察職員の設けた穽の中に落ち込んでおり、彼の行為は見えない糸で操られ彼の取得する麻薬は押収すべく万全の手配が講ぜられている。彼が入手して持参する麻薬には前記の抽象的な危険は客観的に取除かれているから罪とならないというのであるが、前記の如く麻薬取締法は麻薬の統制外の所持は、一般的に原判決のいわゆる抽象的危険が附随することを前提として取締の対象としているものと解すべきであるから、本罪の成否を判断するに当つては右のような危険の有無を考慮に入れる必要は毫も存しない。原判決は麻薬施用の免許を受けた医師が麻薬を所持する場合は通常犯罪は成立しないが、もしその業務の目的以外のために所持するときは違法とされる(麻薬取締法第三条第二項)のは、実質上の根拠は具体的な危険があるためであると説明しているが、麻薬施用者の業務目的を以てする所持といえども、具体的な場合には必ずしも危険なしとはいえないし、業務目的以外の所持といえども具体的には必ずしも、危険があるともいえない筋合であつて、だからと言つて前者の場合に不法所持罪の成立を認め、後者の場合に犯罪が成立をしないということはできないのである。原判決はまた警察職員が犯罪捜査によつて押収した麻薬を所持しても犯罪とはならないのは、形式的には刑法第三十五条所定の違法性阻却の事由があるためであるけれども、実質的には抽象的な危険を考えることができないからであり、反対に抽象的危険の認められる限り不法所持罪の成立を肯定すべきものであると説 には刑法第三十五条所定の違法性阻却の事由があるためであるけれども、実質的には抽象的な危険を考えることができないからであり、反対に抽象的危険の認められる限り不法所持罪の成立を肯定すべきものであると説明しているが、警察職員が犯罪捜査によつて押収した麻薬を所持しても犯罪とならないのは、正に刑法第三十五条所定の違法性阻却事由があるためで、具体的乃至抽象的危険の有無とは全く別個の問題である。また警察職員が犯罪捜査によつて押収した麻薬でも爾後これを正当業務以外に使用の目的で所持するならば、も早や刑法第三十五条の適用は排除される結果一般人と同様処罰の対象となるのであつて、具体的乃至抽象的危険の有無の問題とは関係がないのである。要するに原判決が被告人Bの麻薬所持の所為を罪とならないものと断じたのは明らかに麻薬取締法の解釈を誤り適用すべき法令を適用しない違法があると謂はねばならない。従つて原判決を正当とする小野田弁護人の答弁論旨も結局理由がない。 叙上説述する如く被告人Aの本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条によりこれを棄却し、尚同法第百八十一条第一項により当審における訴訟費用中国選弁護人菅井和一に関するものは被告人Aの負担とし、被告人Bに関する部分は原審が法令の解釈を誤り、適用すべき法令を適用しなかつた違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかで検察官の控訴はその理由があるから刑事訴訟法第三百九十七条により原判決中被告人Bに関する部分は破毀を免れない。但し当裁判所は訴訟記録及び原審において取り調べた証拠によつて、直ちに判決することができるものと認めるから、同法第四百条但書により更らに次のように判決する。 被告人Bは昭和二十六年五月十一日頃の午後八時三十分頃横浜市a区b町c番地先道路上において、何人も所持することができない麻薬で きるものと認めるから、同法第四百条但書により更らに次のように判決する。 被告人Bは昭和二十六年五月十一日頃の午後八時三十分頃横浜市a区b町c番地先道路上において、何人も所持することができない麻薬であるヘロイン末約〇・六グラムを所持したものである。 右の事実は一、 司法警察員作成の被告人Bに対する現行犯人逮捕手続書二、 司法警察員作成の被告人Bに対する差押調書三、 警察技術員C作成の依嘱物件の鑑定についてと題する書面四、 被告人Bに対する司法警察員の第一回供述調書五、 被告人Bに対する検察事務官の供述調書(第一、二四)六、 Aの原審公判庭における供述七、 被告人Bの原審公判廷における供述を綜合してこれを認定する。 法律に照すと、被告人Bの判示所為は、麻薬取締法第四条第三号に違反し、同法第五十七条第一項、罰金等臨時措置法第二条第一項本文に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で同被告人を罰金三万円に処し、右罰金を完納することができないときは、刑法第十八条に則り金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。訴訟費用については刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用し当審における訴訟費用中国選弁護人小野田六二に関するものは同被告人の負担とする。 仍て主文の通り判決する。 (裁判長判事小中公毅判事渡辺辰吉判事河原徳治)

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