平成15年12月11日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成12年(行ウ)第71号損害賠償請求事件(甲事件)同年(行ウ)第117号損害賠償請求事件(乙事件)平成13年(行ウ)第66号損害賠償請求事件(丙事件)口頭弁論終結日平成15年8月19日判決 主文 1 本件訴えのうち,別紙7記載の各訴えをいずれも却下する。 2 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,945万4905円及び別紙6(被告b)損害額欄記載の各内金に対する同日付欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件被告eは,池田市に対し,949万0262円及び別紙6(被告e)損害額欄記載の各内金に対する同日付欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,甲乙丙事件被告bに生じた費用の10分の1と原告に生じた費用の20分の1を甲乙丙事件被告bの負担とし,丙事件被告eに生じた費用の3分の1と原告に生じた費用の10分の1を丙事件被告eの負担とし,参加により生じた費用の10分の1を訴訟参加人の負担とし,その余の全費用を原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(平成15年7月14日付け請求の趣旨拡張の申立てによる請求の拡張及び減縮後のもの。) 1 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,1063万2099円及びこれに対する平成12年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,7139万1102円及びこれに対する平成12年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,317万1685円及びこれに対する平成12年10月3日から支払済みまで年5分の割合に 対する平成12年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,317万1685円及びこれに対する平成12年10月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 甲乙丙事件被告bは,池田市に対し,455万2290円及びこれに対する平成13年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 丙事件被告c及び同eは,池田市に対し,連帯して395万5310円及びこれに対する平成12年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して229万0462円及びこれに対する平成12年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して263万1454円及びこれに対する平成12年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して497万9335円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して668万6061円及びこれに対する平成13年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 丙事件c,同d及び同eは,池田市に対し,連帯して317万1685円及びこれに対する平成12年10月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 11 丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して338万0960円及びこれに対する平成13年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 丙事件c,丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して99万6740円及びこれに対する平成12年4月3日から支払済みまで年5分の割 年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 丙事件c,丙事件被告d及び同eは,池田市に対し,連帯して99万6740円及びこれに対する平成12年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,池田市の住民である原告が,勤務延長により定年が延長された職員に支払われた給与,職員手当等及び退職手当のうち,勤務延長による増額分の支出が違法であるとして,池田市に代位して,池田市長の地位にある甲乙丙事件被告b(以下「被告b」という。),池田市教育委員会委員長の地位にあった丙事件被告c(以下「被告c」という。)及び同d(以下「被告d」という。)並びに池田市教育長の地位にあった同e(以下「被告e」という。)に対し,地方自治法(平成13年法律第4号による改正前のもの。以下「法」という。)242条の2第1項4号により損害賠償を求める住民訴訟である。 1 争いのない事実等(1) 当事者原告は,池田市の住民である。 被告bは,平成7年5月から池田市長の職にある者である。 被告cは,平成10年10月1日から平成11年9月30日まで池田市教育委員会の委員長の地位にあった者である。 被告dは,平成11年10月1日から平成12年9月30日まで同教育委員会の委員長の地位にあった者である。 被告eは,平成7年12月11日から池田市教育長の地位にある者である。 (2) 池田市における定年に関する条例等地方公務員の定年制度は,地方公務員法28条の2第1項ないし第3項,28条の3において定められているところ,池田市においては,これらの規定に基づき,池田市職員の定年等に関する条例(昭和59年条例第4号(乙3の2)。以下「定年条例」という。)が定められている。 定年条例では,職員の定年を年齢60年とし(3条),職員は は,これらの規定に基づき,池田市職員の定年等に関する条例(昭和59年条例第4号(乙3の2)。以下「定年条例」という。)が定められている。 定年条例では,職員の定年を年齢60年とし(3条),職員は定年に達した日以後における最初の3月31日(以下「定年退職日」という。)に退職するとしているが(2条),4条1項において,以下のアないしウの事由に該当する場合には,職員を定年退職日の翌日以降も1年を超えない範囲内で引き続いて勤務させる勤務延長の措置をとることができ,さらに,同条2項において,同条1項の規定により延長された期限が到来する場合において,以下のアないしウの事由が引き続き存すると認めるときは,1年を超えない範囲内で期限を延長することができるとしている(ただし,その期限は,その職員にかかる定年退職日の翌日から起算して3年を超えることができないとされている。)。 ア当該職務が高度の知識,技能又は経験を必要とするものであるため,その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずるとき(同条1項1号)。 イ当該職務に係る勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため,その職員の退職による欠員を容易に補充することができないとき(2号)。 ウ当該職務を担当する者の交替がその業務の遂行上重大な障害となる特別の事情があるため,その職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずるとき(3号)。 (3) 各職員の勤務延長(別紙1参照)ア本件において勤務延長の対象となった職員は,池田市立葬祭場の事務所(昭和56年4月からやすらぎ会館と改名)常直職員であった市民生活部市民生活総務課技能職員A(以下「本件職員A」という。),平成11年4月1日から平成12年3月31日まで(以下「平成11年度」という。)財団法人池田さわやか公社(以下「さわやか公社」という。)派遣 市民生活総務課技能職員A(以下「本件職員A」という。),平成11年4月1日から平成12年3月31日まで(以下「平成11年度」という。)財団法人池田さわやか公社(以下「さわやか公社」という。)派遣の看護職員であり,同年4月1日から平成13年3月31日まで(以下「平成12年度」という。)池田市立養護老人ホームの看護職員であったB(以下「本件職員B」という。),図書館職員であったC(以下「本件職員C」という。),教育部教職員課係員であったD(以下「本件職員D」という。),秦野小学校校務員であったE(以下「本件職員E」という。),さわやか公社派遣のホームヘルパーであったF(以下「本件職員F」という。)及びG(以下「本件職員G」という。)並びに財団法人池田市公共施設管理公社(以下「管理公社」という。)に派遣され総合スポーツセンターの受付職員であったH(以下「本件職員H」という。)である(以下,本件職員AないしHを合わせて「本件各職員」という。)。 イ本件各職員の定年はいずれも60歳とされ,本件職員A及びHは平成9年3月31日が,本件職員Gは平成10年3月31日が,本件職員B,C及びFは平成11年3月31日が,本件職員D及びEは平成12年3月31日が定年退職日であった。 しかし,本件職員A及びHについては,いずれも平成9年4月1日付けで平成10年3月31日まで勤務延長がされ(本件の対象とはなっていない。),同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成11年3月31日まで延長され,さらに,同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成12年3月31日まで延長された。本件職員Bは,平成11年4月1日付けで平成12年3月31日まで勤務延長がされ,同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成13年3月31日まで延長された。本件職員Cは,平成11年4月1日付けで平成1 。本件職員Bは,平成11年4月1日付けで平成12年3月31日まで勤務延長がされ,同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成13年3月31日まで延長された。本件職員Cは,平成11年4月1日付けで平成12年3月31日まで勤務延長がされ,同年4月1日付けで勤務延長の期限を同年9月30日まで延長された。本件職員Dについては,同年4月1日付けで同年9月30日まで勤務延長がされた。本件職員Eについては,同年4月1日付けで平成13年3月31日まで勤務延長がされた。本件職員Fについては,平成11年4月1日付けで平成12年3月31日まで勤務延長がされた。本件職員Gについては,平成10年4月1日付けで平成11年3月31日まで勤務延長がされ,同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成12年3月31日まで延長され,さらに,同年4月1日付けで勤務延長の期限を平成13年3月31日まで延長された(以下,勤務延長及び勤務延長期限の延長を合わせて「勤務延長等」といい,平成10年4月1日以降の本件各職員の勤務延長等を合わせて「本件各勤務延長」という。)。 ウ勤務延長は任命権者が行うとされているから(定年条例4条1項),別紙2定年延長の本来的権限者欄記載のとおり,本件職員A,B,F及びGに関する勤務延長の本来的権限者は市長であり(地方公務員法6条1項),本件職員C,D,E及びHに関する勤務延長の本来的権限者は教育委員会であるが(本件職員C,E及びHについて地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地方教育行政法」という。)23条3号,34条,本件職員Dについて同法19条7項,23条3号),本件職員C,D,E及びHについては,別紙2の定年延長受任者等欄記載のとおり,教育長により専決処理されている(同法26条1項,池田市教育委員会処務規則(乙3の8)5条1号)。 なお,勤務 条3号),本件職員C,D,E及びHについては,別紙2の定年延長受任者等欄記載のとおり,教育長により専決処理されている(同法26条1項,池田市教育委員会処務規則(乙3の8)5条1号)。 なお,勤務延長等発令までの具体的手続は以下のとおりである。すなわち,本件職員A及びB(平成12年度)の勤務延長期限の延長は,各職員本人から市長あての同意書を徴収した後,市長の決裁を受け,市長がその旨の発令をすることによって行われた(乙2の2及び3)。本件職員C,D,E及びHの勤務延長等については,各職員本人から市長あての同意書を徴収した後,教育長の専決決裁を受け,教育委員会名でその旨の発令をすることによって行われた(乙2の4ないし6,10)。本件職員B(平成11年度),F及びGの勤務延長等は,さわやか公社から市長あての各職員に関する勤務延長依頼及び各職員本人から市長あての同意書を徴収した後,市長の決裁を受け,市長がその旨の発令をすることによって行われた(乙2の7ないし9)。 (4) 給料及び職員手当等(扶養手当,調整手当,児童手当,住居手当,時間外勤務手当,管理職手当,通勤手当,特殊勤務手当,期末勤勉手当,宿日直手当,義務教育等教員特別手当,単身赴任手当及び育児休業給)に関する財務会計行為及びその権限者ア本件職員A及びB(平成12年度)(以下「市関係職員」という。)勤務延長後,別紙3記載のとおり,本件職員Aに対し平成10年4月分から平成12年3月分まで,本件職員Bに対し同年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等が支出された。 本件職員A及びB(平成12年度)の給料及び職員手当等に関する支出命令は,別紙2支出命令(給料・職員手当等)の本来的権限者及び受任者等欄記載のとおり,本来的には市長の権限に属するが(池田市一般職の職員の給与に関 B(平成12年度)の給料及び職員手当等に関する支出命令は,別紙2支出命令(給料・職員手当等)の本来的権限者及び受任者等欄記載のとおり,本来的には市長の権限に属するが(池田市一般職の職員の給与に関する条例(乙3の1)3条),池田市事務決裁規則(乙3の6)9条1号ケにより部長が専決処理した。 イ本件職員C,D及びE(以下「教育委員会関係職員」という。)勤務延長後,別紙3記載のとおり,本件職員Cに対し平成11年4月分から平成12年9月分まで,本件職員Dに対し同年4月分から同年9月分まで,本件職員Eに対し同年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等が支出された。 教育委員会関係職員の給料及び職員手当等に関する支出命令は,別紙2の支出命令(給料・職員手当等)の本来的権限者及び受任者等欄記載のとおり,本来的には市長の権限に属するが(地方教育行政法24条5号),池田市教育委員会に対する事務委任規則(乙3の5)1条2号に基づき教育委員会に委任され,池田市教育委員会処務規則5条1号に基づき教育長の専決事項とされ,さらに同規則5条の2第1項1号に基づき教育次長の専決事項とされている。ただし,本件職員C及びDに関しては,行政の能率的処理の観点から,法180条の7に基づき市長公室長が補助執行として専決処理しており,本件職員Eに関しては,教育次長が空任であったことから,池田市教育委員会処務規則5条の2第2項に基づき教育部長が専決処理した。 ウ本件職員B(平成11年度),F及びG(以下「さわやか公社職員」という。)勤務延長後,別紙3記載のとおり,さわやか公社は,本件職員B及びFに対し平成11年4月分から平成12年3月分まで,本件職員Gに対し平成10年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等を支給した。 さわやか公社職員の給料及び わやか公社は,本件職員B及びFに対し平成11年4月分から平成12年3月分まで,本件職員Gに対し平成10年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等を支給した。 さわやか公社職員の給料及び職員手当の支出命令権限は,本来的にはさわやか公社理事長に属するが,さわやか公社次長が専決して行っている(乙2の7ないし9)。 池田市は,さわやか公社に対し,調査研究事業,紙おむつ給付事業(高齢者分),老人鍼灸マッサージ助成事業等を支出項目とする補助金及びホームヘルプサービス事業,在宅介護支援事業運営,デイサービス事業等を支出項目とする委託料を,平成10年度から平成12年度まで支出した(甲18,19,丁3ないし8,13,弁論の全趣旨)。池田市のさわやか公社に対する補助金及び委託料の支出命令は市長の権限に属する。 エ本件職員H勤務延長後,別紙3のとおり,管理公社は,本件職員Hに対し平成10年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等を支給した。 本件職員Hの給料及び職員手当の支出命令権限は,本来的には管理公社理事長に属しているが,管理公社の事務局長が専決して行っている(乙2の10)。 池田市は,管理公社に対し,公園管理,緑化事業・植物園管理,教育施設管理等を支出項目とする補助金を支出した(甲19ないし21,丁14)。池田市の管理公社に対する補助金の支出命令は,本来的には市長の権限に属しているが,そのうち教育施設管理に係る補助金に関する支出命令は,定例又は定期的に支出するものとして,池田市教育委員会に対する事務委任規則1条1号に基づき教育委員会に委任されている。 (5) 退職手当に関する財務会計行為及びその権限者本件各職員に対し,それぞれ別紙4の期限満了日欄記載の日に,退職手当金実支給額欄記載の金額の退職手当が支給された。 本 委員会に委任されている。 (5) 退職手当に関する財務会計行為及びその権限者本件各職員に対し,それぞれ別紙4の期限満了日欄記載の日に,退職手当金実支給額欄記載の金額の退職手当が支給された。 本件各職員に対する退職手当に関する支出命令は,別紙2支出命令(退職手当)欄記載のとおり市長の権限に属する(本件職員A,B,F及びGに対する退職手当に関する支出命令について池田市一般職の職員の給与に関する条例3条,本件職員CないしE及びHに対する退職手当に関する支出命令は地方教育行政法24条5号)。 (6) 監査請求及び訴えの提起ア甲事件原告は,平成12年5月9日,本件各職員の平成10年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等に関して法242条に基づき監査請求を行い,監査委員は,同年7月7日,原告の主張につき理由がないとする旨の通知を行った。原告は,同年8月4日,池田市に代位して,被告bに対し,上記の給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める訴えを提起した(別紙5参照)。 イ乙事件原告は,平成12年8月3日,本件職員A,F及びHに対して支払われた退職手当に関して監査請求を行い,監査委員は,同年10月2日,原告の主張につき理由がないとする旨の通知を行った。原告は,同年11月1日,池田市に代位して,被告bに対し,上記の退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えを提起した(別紙5参照)。 ウ丙事件原告は,平成13年5月1日,本件職員BないしE及びGの平成12年5月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等並びに退職手当に関して監査請求を行い,監査委員は,同年6月29日,原告の主張につき理由がないとする旨の通知を行った。原告は,同年7月26日,別紙5のとおり,被告らに対し,上記の給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠 請求を行い,監査委員は,同年6月29日,原告の主張につき理由がないとする旨の通知を行った。原告は,同年7月26日,別紙5のとおり,被告らに対し,上記の給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えを提起した。 エ請求拡張の申立て原告は,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立と題する書面により,別紙5のとおり,訴えの追加的変更及び一部訴えの取下げの申立てを行い,訴えの取下げについて被告らは同意した。 2 本案前の争点(1) 被告bに対する訴えについてア監査請求前置違反の有無(被告bの主張)甲事件について,原告は,平成12年5月9日に監査請求を行っているから,平成11年4月分以前の給料及び職員手当等に関する訴えは,監査請求期間を徒過しており違法である。また,丙事件について,原告は,平成13年5月1日に監査請求を行っているから,平成12年4月分の給料及び職員手当等に関する訴えは,監査請求期間を徒過しており違法である。 (原告の主張)監査請求期間を徒過した部分について,原告が追求するまで秘密裡にされ,事実の把握や個々の損害を計算することは容易でなかった。したがって,監査請求期間の徒過には,法242条2項ただし書の正当な理由がある。そもそも,監査請求期間の制限は,違法な行為による自治体の損害を回復させることを制限することが本旨ではなく,行政処分等の無効,取消しによる混乱をなくし,安定化を図ることを目的としており,本件のような明白な法違反についての損害賠償責任を問題とする事案では,監査請求期間の制限は抑制的に解されるべきである。 イ 「当該職員」該当性(教育委員会関係職員に関する訴えについて)(被告bの主張)教育委員会関係職員の給料及び職員手当等に関する支出命令権限は,教育委員会に委任しており,被告bは, きである。 イ 「当該職員」該当性(教育委員会関係職員に関する訴えについて)(被告bの主張)教育委員会関係職員の給料及び職員手当等に関する支出命令権限は,教育委員会に委任しており,被告bは,名実ともに何ら関与していないのであるから,「当該職員」には該当しない。 (原告の主張)被告bは,教育委員会関係職員の給料及び職員手当等に関する支出命令の本来的権限者であり,「当該職員」に該当する。 (2) 被告c,d及びe(以下「被告cら」という。)に対する訴えについてア訴えの追加的変更の適否(被告cらの主張)(ア) 請求の趣旨9項及び12項記載の被告cらに対する請求に係る訴え及び同6項及び10項記載の被告dに対する請求に係る訴えは,民事訴訟法143条1項に反する不適法な訴えの追加的変更に当たる。 (イ) 原告は,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立書により,被告c及びeについて,本件職員Hの給料,職員手当等及び退職手当に関する損害賠償請求(請求の趣旨9項及び12項)を,被告dについて,本件職員C及びHの給料,職員手当等及び退職手当に関する損害賠償請求(請求の趣旨6項,10項及び12項)を拡張しているが,このような訴えの拡張的変更は請求の基礎に変更があり許されない。 すなわち,本件で問題とされている給料,職員手当等及び退職手当の支出の適法性やその原因行為である勤務延長の適法性は,各職員ごとに個別に判断されるべきものであるから,各職員に関する損害賠償請求権相互間には社会的事実としての実体関係の同一性は認められず,また,審理の便宜も認められない。特に本件職員Hに関する請求は,本件職員Hが財団法人の職員であることから,市職員である本件職員C,D及びEに関する請求とは異なる争点に関する主張立証を要するところ,被告cらは,一切主張立証 られない。特に本件職員Hに関する請求は,本件職員Hが財団法人の職員であることから,市職員である本件職員C,D及びEに関する請求とは異なる争点に関する主張立証を要するところ,被告cらは,一切主張立証を行っておらず,その準備も一切していない。それにもかかわらず,本件職員Hに関する請求に係る訴えの追加的変更が認められるとすれば,被告cらの防御の利益を著しく害することは明らかである。 以上の点からすれば,上記の訴えの追加的変更は,請求の基礎に変更があり,民事訴訟法143条1項本文に反するものである。 (ウ) また,かかる訴えの追加的変更は,「これにより著しく訴訟手続を遅延させることとなる」(同項ただし書)ものとして不適法である。 上記訴えの追加的変更の申立ては,証拠調べも終了した結審間際の段階,すなわち,訴訟が裁判をするのに熟した段階(同法243条1項)においてされたものであり,まさに時機に後れた申立てである。しかも,本件職員Hに関する請求に係る訴えについては,上記のとおり,被告cらは何ら防御活動を行っておらず,仮に上記訴えの追加的変更が認められたとすれば,被告cらは,本件職員Hの勤務延長の適法性,本件職員Hが財団法人職員であることに伴う各論点について新たな主張立証を行うことが必要となる。また,本件職員Cに関する請求に係る訴えについても,本件職員Cの勤務延長並びに給料,職員手当等及び退職手当の支出の各局面における被告dの関与を新たに問題とせざるを得ない。 したがって,かかる訴えの追加的変更を認めることは,著しい訴訟遅延を招くものであることが明白で,同法143条1項ただし書に基づき却下されるべきである。 イ監査請求前置違反(被告cらの主張)原告は,被告cらを被告とする丙事件に前置されている住民監査請求において,本件職員Hの給料,職員 ,同法143条1項ただし書に基づき却下されるべきである。 イ監査請求前置違反(被告cらの主張)原告は,被告cらを被告とする丙事件に前置されている住民監査請求において,本件職員Hの給料,職員手当等及び退職手当を対象としておらず,本件職員Hに関する被告cらに対する請求に係る訴えは,前置すべき監査請求を欠いており不適法である。 ウ教育委員会関係職員に対する給料,職員手当等及び退職手当の支出命令を違法な当該行為とする法242条の2第1項4号前段(以下「4号前段」という。)に基づく訴えについて(「当該職員」該当性)(被告cらの主張)被告cらは,教育委員会関係職員に対する給料,職員手当等及び退職手当の支出命令の「当該職員」に該当しない。 教育委員会関係職員の給料及び職員手当等は,市長が本来的に支出命令権限を有し,その上で,本件職員C及びDについては市長公室長の補助執行,本件職員Eについては教育部長の専決処分にゆだねられている。なお,給料及び職員手当等の支出命令について,池田市教育委員会に対する事務委任規則1条2号に基づき市長から教育委員会に委任されているが,教育委員会委員長は,教育委員会の構成員及び議事運営の主宰者にすぎないのであって,教育委員会に属する権限を教育委員会委員長に属する権限とは解し得ない。 また,教育委員会関係職員に対する退職手当は,市長が本来的に支出命令権限を有し,市長以外の者に権限委任等はされておらず,教育委員会委員長及び教育長が退職手当の支出命令権限を有しないことは明らかである。 (原告の主張)教育委員会は,教育委員会関係職員の勤務延長や給料及び職員手当等の支出命令に関与しており,被告cらは,教育委員会関係職員に対する給料,職員手当等及び退職手当の支出命令の「当該職員」に準ずるものといえる。 エ違法な教育委 会関係職員の勤務延長や給料及び職員手当等の支出命令に関与しており,被告cらは,教育委員会関係職員に対する給料,職員手当等及び退職手当の支出命令の「当該職員」に準ずるものといえる。 エ違法な教育委員会関係職員の勤務延長に加担した被告cらに対する損害賠償請求権を怠る事実とする被告cらに対する法242条の2第1項4号後段(以下「4号後段」という。)に基づく訴えについて(ア) 監査請求前置違反(被告cらの主張)原告は,本件職員C,D及びEの勤務延長を不法行為と捉え,被告cらに対する損害賠償請求権の不行使をもって違法な財務会計行為と主張しているが,原告による監査請求は,給料,職員手当等及び退職手当の支出を違法な財務会計行為としてその是正措置を求めるものであり,被告cらに対する損害賠償請求権の不行使について是正措置を求める趣旨を含むものと解し得ない。 したがって,原告による監査請求と本件訴えは請求対象の同一性を欠いており,監査請求を前置しておらず不適法である。 (イ) 4号後段請求の可否(被告cらの主張)4号後段請求に仮借して勤務延長のような非財務会計行為のみを独立して住民訴訟の対象とすることは,地方公共団体の行政行為一般の是正機能を住民訴訟に付与する結果となるのであって,住民訴訟の対象を財務会計行為に限定した法の趣旨を没却するものである。 特に,本件においては,池田市が被ったとされる損害は,給料,職員手当等及び退職手当の支出命令という財務会計行為に基づき発生したものであって,まさに,かかる財務会計行為の適否こそが住民訴訟の対象として争われるべきであり,かつ,それで足りるものである。本件における勤務延長という非財務会計行為は,財務会計行為の先行行為として,上記支出命令の適法性判断の一材料として考慮すれば足りるにもかかわらず,支出命 るべきであり,かつ,それで足りるものである。本件における勤務延長という非財務会計行為は,財務会計行為の先行行為として,上記支出命令の適法性判断の一材料として考慮すれば足りるにもかかわらず,支出命令に先行する勤務延長を独立して住民訴訟の俎上に載せることが認められるとすれば,支出命令という本来住民訴訟の対象とされるべき財務会計行為についての判断を殊更に回避し,勤務延長という非財務会計行為の違法性の存否を直接裁判所が判断しなければならないこととなるが,かかる結論の不当性は明らかである。 また,4号後段請求の「相手方」には,当該地方公共団体内部の職員は予定していないものと解すべきであり,仮に,職員が「相手方」に該当する場合があるとしても,当該地方公共団体がその権利を遅滞しているとされる損害賠償請求権の発生原因は,財務会計行為に限定されるべきであり,かつ,その「相手方」となる職員等は発生原因たる当該財務会計行為について権限を有する者に限定されるべきであって,非財務会計行為を損害賠償請求権の発生原因とする4号後段請求は許されるべきではない。 したがって,被告cらを「怠る事実の相手方」とする損害賠償請求の訴えは不適法である。 3 本案に関する主張原告は,本件各勤務延長が違法であることを前提に,違法な勤務延長等により増額した支出相当額の損害を池田市が被ったとして,次の各請求を行っている。 ① 本件各職員の給料,職員手当及び退職手当の支出命令を違法な当該行為とする被告らに対する4号前段に基づく損害賠償請求② 違法な教育委員会関係職員の勤務延長に加担した被告cらに対する損害賠償請求権の不行使を怠る事実とする被告cらに対する4号後段に基づく損害賠償請求③ さわやか公社及び管理公社への委託料及び補助金の支出命令を違法な当該行為とする被告らに対する 被告cらに対する損害賠償請求権の不行使を怠る事実とする被告cらに対する4号後段に基づく損害賠償請求③ さわやか公社及び管理公社への委託料及び補助金の支出命令を違法な当該行為とする被告らに対する4号前段に基づく損害賠償請求④ 本件各職員の勤務延長等を池田市と本件各職員との間の雇用契約締結行為ととらえられるとして,雇用契約締結行為を違法な当該行為とする被告らに対する4号前段に基づく損害賠償請求(この請求については,勤務延長等を雇用契約締結行為(財務会計行為)ととらえられるかどうかが問題となり,これが否定されるならば,④の請求は不適法となる。)したがって,本件本案の争点は,(1)本件各勤務延長の適否,(2)上記①ないし④(④の請求が適法であるとして)の損害賠償義務の成否,(3)損害である。 (1) 本件各勤務延長の適否(原告の主張)本件各職員の勤務延長は,定年条例4条の要件を充たさない違法なものである。 定年制は,職員の新陳代謝を計画的に行うことにより組織の活力を維持しもって公務の維持増進を図ることと所定の年齢まで職員の勤務の継続を保障し安んじて公務に専念させるところにその目的があるが,定年条例4条が定める勤務延長は,公務の必要性から,当該職務の特殊性,勤務条件の特殊性及び業務の継続性に着目して例外として認められた制度である。同条が任命権者が要件を「認めるとき」勤務延長することができると規定していることからすると,その要件の有無の判断につき任命権者に一定の裁量を認めているが,同条の文言や,定年条例の根拠となる地方公務員法28条の3が「その職員の勤務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障を生ずると認められる十分な理由があるときは」勤務延長することができると規定していること,前述 の職員の勤務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障を生ずると認められる十分な理由があるときは」勤務延長することができると規定していること,前述の定年制度の趣旨からすれば,任命権者に認められる裁量権も厳格に覊束されたものといえる。 本件各職員の職務内容は,一定の経験,技術を要するものとしても,その習得がきわめて困難なものとは認められず,また不足した人員については再雇用したり,他の職員(非常勤職員あるいは臨時職員を含む。)を採用して対応したり,その他配置転換等で調整することも不可能でないのであるから,定年条例4条1項に定める要件を充足しておらず違法である。 被告らは,本件各職員の勤続年数が20年に達するとそれ以上の勤務延長をしておらず,これらの勤務延長は,本来の定年退職後も高給与を拡大したり,退職手当等の受領額を考慮して専ら勤続年数20年の実績を作るためのものにすぎない。 (被告ら(ただし,教育委員会関係職員以外の職員について被告bのみ)の主張)本件各職員の勤務延長は,以下のとおり,定年条例4条の要件を充たすものであって適法である。 ア本件職員A本件職員Aは,昭和48年4月以降,池田市立葬祭場であるやすらぎ会館の事務所において,住み込みの常直の職員として,火葬業務と夜間の遺体搬送業務に従事していた。 葬祭場は,夜間は寂しく孤立した環境にあるため,住み込みの管理人を得ることが非常に困難であった。また,本件職員Aが担当していた火葬業務は,職務の性質上他の職員の代替も容易ではなかった。本件職員Aは常に親切かつ丁寧な応対であるため市民の信頼も篤かった。 なお,代替が最も困難である夜間遺体搬送業務は,病院等への調整の結果,本件職員Aの勤務延長が終了した平成12年度から中止した。 イ 件職員Aは常に親切かつ丁寧な応対であるため市民の信頼も篤かった。 なお,代替が最も困難である夜間遺体搬送業務は,病院等への調整の結果,本件職員Aの勤務延長が終了した平成12年度から中止した。 イ本件職員B(ア) 平成11年度本件職員Bは,平成8年4月1日,池田市を休職の上,在宅保険福祉サービスを提供することなどを目的に設立されたさわやか公社に派遣され,平成10年4月からさわやか公社が行うこととなったデイサービス事業に従事した。本件職員Bは,旭丘デイサービスの責任者として,看護士として利用者の介護及び看護を行い,また,旭丘デイサービスに併設されている老人福祉センターである敬老会館の利用者に対する緊急的な医療補助の処置及び指導を行った。老人福祉法によりデイサービスを行うに当たり常勤職員を置くことが定められているところ,本件職員Bが唯一の正規職員であったため,他の職員による代替が困難であった。 (イ) 平成12年度平成12年度には,デイサービス事業も軌道に乗ったため,さわやか公社への派遣を解き,市長の事務部局に復職させた上で,勤務延長期限の延長を行い,市立養護老人ホームへ異動した。 これは,養護老人ホームでは看護士を常置することが義務づけられているところ,平成11年度末に,市立養護老人ホームの看護士資格のある寮長が退職し看護職員が不在となったためである。他に保育所に看護士がいるが定数上異動が困難であった。また,病院の看護士の異動も検討されたが,過去に事例がなく,身分上の取扱い等関係団体との協議が整わなかったため不可能であった。 ウ本件職員C本件職員Cは,平成8年4月から図書館勤務となったものであるが,約15年間に及ぶ水月児童文化センターにおける図書コーナーの指導業務等の経験を活用して,図書館において児童書の貸出業務等に従 件職員C本件職員Cは,平成8年4月から図書館勤務となったものであるが,約15年間に及ぶ水月児童文化センターにおける図書コーナーの指導業務等の経験を活用して,図書館において児童書の貸出業務等に従事し,児童書関係分野を一人で担当していた。児童書関係分野では,児童書の蔵書を把握することはもちろん,児童の情操の涵養の観点に留意しつつ,児童の相談に対応し得る技能が要求される。また,本件職員Cは,各小中学校への団体貸出業務及び学校司書の相談業務も担当しており,かかる業務を円滑に遂行するためには図書館業務に習熟していることが必要となる。 本件職員Cの退職後,約15年間に及ぶ図書館業務の経験を有する職員が本件職員Cの後任として児童書関係業務及び各小中学校への団体貸出業務を担当していることからしても,同業務が他人をして容易に代替させ得るものでないことは明らかである。 エ本件職員D本件職員Dは,平成5年4月から,教職員に関する人事管理部門である教育部教職員課に勤務した。教職員課は,府費負担教職員及び市費負担教職員の人事管理,市費負担教職員の給料等の業務を担当する部署であり,課長,係長,係員3名の合計5名で構成されている。 本件職員Dは,人事関係の事務,統計等の事務を担当し,毎年5月に国に提出する学校基本統計調査事務に精通し,平成11年12月には,大阪府下の43市町村のうち1名のみが対象となる文部省調査統計功績者表彰を受賞している。また,人事管理,給料等の業務は高度の正確性と迅速性が要求されるところ,技能の優秀性に加え,教職員課の職員のうち最も長い人事事務の経歴を有していた本件職員Dの退職により教職員課の業務に重大な支障が生じることは容易に想定される。 さらに,平成12年4月1日付けで,係長である指導主事の異動が予想されたことから,同年9月 事務の経歴を有していた本件職員Dの退職により教職員課の業務に重大な支障が生じることは容易に想定される。 さらに,平成12年4月1日付けで,係長である指導主事の異動が予想されたことから,同年9月30日まで勤務延長期限を延長した。 オ本件職員E本件職員Eは,市立北豊島中学校校務員を経て,平成9年4月1日から秦野小学校校務員に従事した。本件職員Eは,校務員としての適性を生かし,幅広く適切に校務員としての業務を遂行した。池田市は,各学校に男女の校務員を正規職員として配置することにより,フルタイムの対応を可能にするとともに,教育現場におけるきめ細やかな環境整備の実現を図ってきたが,池田市行政改革により平成11年度から現業職員の採用が停止されたことから,新規採用による校務員の補充は不可能となった。しかも,女性の現業職員の数は少なく,校務員としての適性を有する適切な人材は得難く,女性校務員の補充は極めて困難な状況にあった。 かかる状況下において,本件職員Eが退職することは校務の運営に著しい支障を来すことは明らかである。 カ本件職員F本件職員Fは,平成10年4月1日,市を休職の上,さわやか公社へ出向した。本件職員Fは,さわやか公社において,主任ヘルパーとして,非常勤ヘルパー10名を指揮監督し,利用者に対するサービス内容の適切な把握,迅速な対応,必要な関係機関との連絡調整等きめ細やかなホームヘルプ活動を行い,さわやか公社において中心的,指導的役割を果たしてきた。また,豊かな知識と経験をもとに後任ヘルパーの資質向上に向けた養成研修の講師を務めるなど,ヘルパーの育成指導に努めた。 介護保険制度の実施が平成12年度と迫り,ホームヘルパー派遣態勢を整える必要が生じており,専門職である本件職員Fの退職により,介護保険の円滑な運営に支障が生じるこ ど,ヘルパーの育成指導に努めた。 介護保険制度の実施が平成12年度と迫り,ホームヘルパー派遣態勢を整える必要が生じており,専門職である本件職員Fの退職により,介護保険の円滑な運営に支障が生じることが予想された。 キ本件職員G本件職員Gは,平成8年4月1日,さわやか公社設立とともに,市を休職の上,同公社に派遣され,本件職員Fと同様に,主任ヘルパーとして活躍した。 ホームヘルパー派遣世帯も徐々に増加し,ヘルパーの採用や指導育成,対象世帯と派遣ヘルパーの調整等が必要となってきたが,これらの業務は,本件職員Gのような相当の経験を有するものがあたる必要があった。 また,平成12年度から介護保険制度の実施に当たり,ホームヘルパー派遣態勢を整える必要が生じていたことから,本件職員Gの退職により,介護保険の円滑な運営に支障が生じることが予想された。 ク本件職員H本件職員Hは,昭和62年9月1日に採用され,教育委員会総合スポーツセンターに勤務しスポーツ指導の業務を担当してきたが,平成8年4月1日,管理公社が設立され総合スポーツセンターの管理が管理公社に委託されることになったことに伴い,教育委員会を休職の上,管理公社へ派遣された。 本件職員Hは,総合スポーツセンターにおける長期間にわたる経験を生かし,受付業務,指導員等との事務連絡,調整作業等を適正円滑に遂行し,総合スポーツセンターのスムーズな管理に尽力した。 平成9年度には,池田市スポーツ施設情報システム(オーパス)が導入されたが,本件職員Hは,利用申込事務や使用料収納事務の担当者であり関連事務に精通していたことから,オーパス導入当初から運用に携わるとともに,各種団体との折衝に中心的役割を果たしていたため,その退職により業務の運営に支障が生ずることが予想された。 ケなお,本件各職員を当該 精通していたことから,オーパス導入当初から運用に携わるとともに,各種団体との折衝に中心的役割を果たしていたため,その退職により業務の運営に支障が生ずることが予想された。 ケなお,本件各職員を当該職務に継続して従事させる方法として,勤務延長以外には,平成11年法律第107号による改正前の地方公務員法28条の4に基づく再任用及び非常勤職員としての雇用が考えられるところであるが,前者については,池田市において適用例がない制度であったばかりか,全国的にも活用されていない制度であった。後者についても,非常勤職員の場合,残業を命じることができず,また,地方公務員法が適用されないため(同法4条2項,3条3項3号),守秘義務等を法律上負担しない等の弊害によって,業務に支障が生じることが予想された。したがって,勤務延長を選択したことに何ら違法な点はない。 (2) 本件各職員に支給された給料,職員手当等及び退職手当の支出命令を当該行為とする4号前段に基づく損害賠償義務の成否(原告の主張)ア上記支出命令の違法性本件各職員の給料,職員手当等及び退職手当の支出命令は,本件各勤務延長を直接の原因とし,かつ,これと不可分一体のものであり,本件各勤務延長が違法であることから,本件各職員の給料,職員手当等及び退職手当の支出命令も違法である。 また,教育委員会関係職員についての各勤務延長が,市長とは独立した教育委員会によってされているとしても,各勤務延長は,著しく合理性を欠き,そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があり,教育委員会関係職員についての支出命令は違法である。なお,教育委員会関係職員の勤務延長についても,市長が辞令を交付しており,結局,市長が教育長らに率先して原因行為自体を行っている。 イ被告らの責任被告bは,市長として,支 支出命令は違法である。なお,教育委員会関係職員の勤務延長についても,市長が辞令を交付しており,結局,市長が教育長らに率先して原因行為自体を行っている。 イ被告らの責任被告bは,市長として,支出命令を行う権限を本来的に有するものであるから,その権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為をあらかじめ特定の補助職員に専決させることとしている場合であっても,補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときは,普通地方公共団体に対し,補助職員がした財務会計行為により普通地方公共団体が被った損害について賠償責任を負う。被告cらは,支出命令に関与したものとして責任を負う。 池田市は,財政が窮迫しその改善が必要であり,特に人件費を中心に経常収支の比率が全国ワースト2位であるのであるから,人件費の抑制は当然であるにもかかわらず,被告bは,本件各勤務延長を率先して承認し,自ら定年条例に基づき勤務延長しており,本件各職員に関する支出命令について是正する措置をとったことを認めることはできないのであるから,被告bには,故意,少なくとも過失によって,指揮監督上の義務に反し,違法な支出命令を阻止しなかったものとして責任を負う。被告cらも同様に責任を負うべきである。 ウしたがって,被告らは,違法な本件各職員の給料,職員手当等及び退職手当の支出命令により生じた損害賠償義務を負う。 (被告bの主張)教育委員会関係職員についての勤務延長等は教育委員会によって行われている。各職員から徴収する同意書の宛先は市長であるが,同意書自体は教育委員会に提出されるのであって,市長が教育委員会関係職員の勤務延長を率先して行っているとはいえない。本件各職員の業務の特殊性に鑑 いる。各職員から徴収する同意書の宛先は市長であるが,同意書自体は教育委員会に提出されるのであって,市長が教育委員会関係職員の勤務延長を率先して行っているとはいえない。本件各職員の業務の特殊性に鑑み,勤務延長を行ったことに過失はない。 (3) 被告cらに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る4号後段請求の成否(原告の主張)本件職員C,D,E及びHの勤務延長は教育委員会の決定によりされたものであり,その決定に教育委員会の委員長や委員が積極的に関与していたことは明白である。したがって,勤務延長及び支出命令へ加担した被告cらは損害賠償責任を負う。 (被告c及び同dの主張)本件職員C,D,E及びHの勤務延長は教育長が専決処分しており,教育委員会に事後的にも報告されることはない。 前述のとおり,教育委員会の権限を委員長の権限と同視することはできず,委員長は教育委員会の構成員で議事運営の主宰者にすぎない。教育委員会の定例会は毎月1回開催されるにすぎず,教育委員会の委員は在野の人材から起用されるものであり,地方公共団体の職務に常時従事するものではない。 以上によれば,委員長や委員が勤務延長に関する意思決定に関与することがなかったことは明らかである。 (被告cらの主張)住民訴訟が違法な財務会計行為の是正を目的とするものである以上,被告cらを「怠る事実の相手方」とする請求についても,「怠る事実」すなわち池田市長による被告cらに対する損害賠償請求権の不行使が違法であることが前提となる。本件において,被告cらが池田市に対し損害賠償債務を負担するとの結論を一義的に導くことは不可能である上,原告が主張する損害の直接の発生原因は給料,職員手当等及び退職手当の支出命令であるところ,同支出命令の本来的権限及び専決権限は被告cら以外の 務を負担するとの結論を一義的に導くことは不可能である上,原告が主張する損害の直接の発生原因は給料,職員手当等及び退職手当の支出命令であるところ,同支出命令の本来的権限及び専決権限は被告cら以外の者に属している。かかる点を前提とすれば,池田市長において,被告cらに対し,損害賠償請求権を行使すべきであるとの規範の存在は認め難く,池田市長による被告cらに対する損害賠償請求権の不行使をもって違法な財務会計行為と評価し得ない。 (4) さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の支出命令を違法な当該行為とする4号前段に基づく損害賠償義務の成否(原告の主張)さわやか公社職員及び本件職員Hの給料及び職員手当等は,同職員らが公社に出向せず市に勤務していた場合と同様の条件で支給されている。さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金は,同職員らの給料及び職員手当等の金額を積み上げて決定されており,さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の支出命令は違法である。 (5) 本件各職員との間の雇用契約締結行為を違法な当該行為とする4号前段に基づく損害賠償義務の成否(原告の主張)勤務延長は,勤務延長を求める職員と市長との雇用契約と評価することができる。本件各職員が同意書を提出しているのはその現れである。このような本件各職員との間の雇用契約締結行為は違法な支出負担行為である。 (6) 損害及び因果関係(原告の主張)ア本件各職員に対する給料及び職員手当等に関する損害池田市に生じた損害は,本件各職員に対して支払われた給料及び職員手当等と非常勤職員を採用した場合との差額であり,これらの損害は違法な支出命令と因果関係を有するだけでなく,被告cらの違法な勤務延長行為との間にも相当因果関係が認められる。 (ア) 本件職員A平成10年度の 勤職員を採用した場合との差額であり,これらの損害は違法な支出命令と因果関係を有するだけでなく,被告cらの違法な勤務延長行為との間にも相当因果関係が認められる。 (ア) 本件職員A平成10年度の給料及び職員手当等合計は1308万9629円,平成11年度は1225万3282円であり,非常勤職員を採用すれば2年で400万円で足りると考えると,差額2134万2911円が損害となる。 (イ) 本件職員B平成11年度の給料及び職員手当等合計は701万0190円,平成12年度は713万4007円であり,非常勤職員を採用すれば2年で400万円で足りると考えると,差額1014万4197円が損害となる。 (ウ) 本件職員C平成11年度の給料及び職員手当等合計は695万5310円,平成12年度は329万0462円であり,非常勤職員を採用すれば1年6か月で300万円で足りると考えると,差額724万5772円が損害となる。 (エ) 本件職員D平成12年度の給料及び職員手当等合計は363万1454円であり,非常勤職員を採用すれば6か月で100万円で足りると考えると,差額263万1454円が損害となる。 (オ) 本件職員E平成12年度の給料及び職員手当等合計は697万9335円であり,非常勤職員を採用すれば1年で200万円で足りると考えると,差額497万9335円が損害となる。 (カ) 本件職員F平成11年度の給料及び職員手当等合計は724万9668円であり,非常勤職員を採用すれば1年で200万円で足りると考えると,差額524万9668円が損害となる。 (キ) 本件職員G平成10年度の給料及び職員手当等合計は665万0888円,平成11年度は629万8377円,平成12年度は616万2439円であり,非常勤職員を採用すれば3年で600万円で足り キ) 本件職員G平成10年度の給料及び職員手当等合計は665万0888円,平成11年度は629万8377円,平成12年度は616万2439円であり,非常勤職員を採用すれば3年で600万円で足りると考えると,差額1311万1704円が損害となる。 (ク) 本件職員H平成10年度の給料及び職員手当等合計は538万6579円,平成11年度は529万9482円であり,非常勤職員を採用すれば2年で400万円で足りると考えると,差額668万6061円が損害となる。 イ本件各職員に対する退職手当に関する損害池田市に生じた損害は,本件各職員に対して支払われた退職手当の実支給額と定年退職時支給想定額(参加人が算出したもの)との差額である。 したがって,本件職員Aについては286万5456円(平成12年4月2日支出),本件職員Bについては355万4045円(平成14年4月2日支出),本件職員Cについては317万1685円(平成12年10月2日支出),本件職員Eについては338万0960円(平成13年4月2日支出),本件職員Fについては321万5858円(平成12年4月2日支出),本件職員Gについては117万1330円(平成13年4月2日支出),本件職員Hについては99万6740円(平成12年4月2日支出)である。 (被告らの主張)本件各職員は各業務を行っていたのであるから,損害は生じていない。 原告が非常勤職員を採用した場合に要すると主張する給料及び職員手当等は何ら根拠のない金額である。そもそも,本件各職員について非常勤職員として採用すべきであったとの前提自体が妥当でない。前述のとおり,非常勤職員については地方公務員法の適用がないため守秘義務を負担せず,残業を命じることができない等の弊害により,業務に支障が生じることが予想される上,本件職 との前提自体が妥当でない。前述のとおり,非常勤職員については地方公務員法の適用がないため守秘義務を負担せず,残業を命じることができない等の弊害により,業務に支障が生じることが予想される上,本件職員Eのような校務員については,池田市は常勤職員を当てる方針を採用していたのであり,非常勤職員として採用する選択肢は存在しなかった。したがって,不当な前提に立脚した原告の損害額の主張は失当である。 (被告cらの主張)原告が主張する損害は,勤務延長に直接に起因するものではなく,給料,職員手当等及び退職手当の支出命令という独立の行政行為に基づき発生したものである。しかも,給料及び職員手当等の支出命令にあっては市長公室長又は教育部長,退職手当の支出命令にあっては市長が主体となって,責任ある立場において独自の判断に基づき行ったものである。かかる独立の行政行為が介在している以上,勤務延長行為と原告主張の損害との間に相当因果関係は認められない。 第3 争点に対する判断 1 本案前の争点(1) 被告bに対する訴えについてア監査請求前置違反の有無(ア) 監査請求期間徒過の有無争いのない事実等記載のとおり,原告は,平成12年5月9日,本件各職員の平成10年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等に関して監査請求を行っている。各月の給料及び職員手当等の支出命令は各月中旬にされているから(平成11年5月分の給料及び職員手当等の支出命令は同月13日に行われている(乙2の2ないし10)。),平成11年4月分以前の給料及び職員手当等の支出命令は監査請求期間を徒過している。 被告bは,平成12年4月分の給料及び職員手当等についても監査請求期間を徒過していると主張する。しかし,前述のとおり,原告は,平成12年5月9日,本件各職員の平成10年4月分から平 過している。 被告bは,平成12年4月分の給料及び職員手当等についても監査請求期間を徒過していると主張する。しかし,前述のとおり,原告は,平成12年5月9日,本件各職員の平成10年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等に関して監査請求をしており,平成12年4月分の給料及び職員手当等について監査請求期間内に監査請求をしているといえるから,被告bの主張は失当である。 (イ) 正当な理由の有無法242条2項が監査請求期間を設けた趣旨は,監査請求の対象となる行為が,普通地方公共団体の機関,職員としての行為である以上,いつまでも争い得る状態にしておくことは法的安定性の見地から好ましいことではないから,なるべく早期に確定させようとするところにあり,同項ただし書が正当な理由がある場合に監査請求期間の例外を設けた趣旨は,法的安定性を考慮したとしても,当該行為が普通地方公共団体の住民に隠れて秘密裡にされ,1年を経過してから初めて明らかになった場合等には,原則を貫くことが相当でないというところにあると解される。そして,正当な理由の有無については,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成14年9月17日第三小法廷判決・裁判集民事207号111頁参照)。 本件においては,本件各職員の給料及び職員手当等の支出命令が殊更秘密裡にされ,又は,その違法性を殊更隠匿したといった事情は認められないから,原告が,普通地方公共団体の住民として相当な注意力をもって調査を尽くせば,客観的にみて,上記支出命令から1年以内には,上記支出命令について監 その違法性を殊更隠匿したといった事情は認められないから,原告が,普通地方公共団体の住民として相当な注意力をもって調査を尽くせば,客観的にみて,上記支出命令から1年以内には,上記支出命令について監査請求をするに足りる程度にその存在及び内容を知ることができ,かつ監査請求をすることができたものといえる。なお,本件の対象となる当該行為の内容が職員の勤務延長を原因とする給料及び職員手当等の支出命令というものであって,職員のプライバシーにも関連する事柄であり,支出命令の存在や内容が一般的に公表される性質のものでないことから,一般的には,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したとしても客観的にみて当該行為を知ることができたとは直ちにいい難い面があると考える余地があるとしても,原告が監査委員に提出した事実調査報告書によれば,議員である原告は,平成10年度の支出について,平成11年9月6日に行われた決算審査の資料で知ったにもかかわらず(甲1),それから約8か月も経過した平成12年5月9日になって監査請求をしたのであり,相当期間内に監査請求をしたということはできないから,正当な理由があるということはできない。 原告は,本件のように損害賠償責任を問題とする事案では,監査請求期間の制限は抑制的に解されるべきであると主張するが,損害賠償責任を問題とする場合であっても,普通地方公共団体の機関,職員としての行為を問題とする以上,法的安定性の要請について特別に解すべきではないから,原告の主張は採用できない。 したがって,原告が監査請求期間を徒過したことに正当な理由は認められない。 (ウ) よって,原告の平成11年4月分以前の給料及び職員手当等の支出命令に関する訴えは,監査請求前置の要件を欠き不適法である。 イ 「当該職員」該当性(教育委員会関係職員 当な理由は認められない。 (ウ) よって,原告の平成11年4月分以前の給料及び職員手当等の支出命令に関する訴えは,監査請求前置の要件を欠き不適法である。 イ 「当該職員」該当性(教育委員会関係職員に関する訴えについて)(ア) 被告bは,教育委員会関係職員の給料及び職員手当等の支出命令権限を教育委員会に委任しているから,被告bは「当該職員」に該当しないと主張する。しかし,「当該職員」とは,当該訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有する者及びその者から権限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味するのであり(最高裁昭和62年4月10日第二小法廷判決・民集41巻3号239頁参照),争いのない事実等に記載したとおり,被告bは,教育委員会関係職員の給料及び職員手当等の支出命令権限を本来的に有する者であるから,被告bの主張は失当である。 (イ) 前述の争いのない事実等のとおり,さわやか公社職員及び本件職員Hの給料及び職員手当等の支出命令権限は被告bに属さないから,被告bは,さわやか公社職員及び本件職員Hの給料及び職員手当等の支出命令について「当該職員」に該当しない。 (2) 被告cらに対する訴えについてア訴えの追加的変更の適否(ア) 被告cに対する訴えの追加的変更についてa 前述の争いのない事実等のとおり,原告の当初の被告cに対する請求は,本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求めるものである。そして,原告は,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立書により,被告cに対する本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める訴えを取り下げるとともに,被告cに対する本件職員Cの平成 請求の趣旨の拡張の申立書により,被告cに対する本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める訴えを取り下げるとともに,被告cに対する本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等並びに本件職員Hの退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えを追加した(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法143条1項)。 b 請求の趣旨の拡張の申立て前後の各請求は,いずれも給料,職員手当等及び退職手当の支出命令等を当該行為とする4号前段に基づく損害賠償請求又は不法行為(勤務延長加担行為)に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る4号後段に基づく損害賠償請求ではあるが,各年度の各職員に関する各支出命令又は各不法行為を基礎づける被告cの各年度の各職員に関する勤務延長への加担行為はそれぞれ異なるから,請求の趣旨の拡張の申立て前後の各請求の訴訟物は別個のものと解すべきである。したがって,請求の趣旨の拡張の申立ては,訴えの追加的変更に当たるというべきであり,これが許されるためには,請求の趣旨の拡張の申立て前後の各請求における請求の基礎に変更のないことが必要である。 そこで,請求の趣旨の拡張の申立て前後の各請求における請求の基礎の同一性の有無について判断をする。請求の趣旨の拡張の申立て前後の各請求において,違法な原因行為又は加害行為としてそれぞれ問題とされている各勤務延長の違法性等の判断に当たっては,各年度ごと各職員ごとに定年条例4条1項各号の要件を充足するか否かを判断する必要があるから,各勤務延長の違法性等の判断は,各職員について各年度ごとに個別にされるべきものである。しかし,同一職員が複数回にわたって勤務延長等されている場合には,欠員補充の可能性等について年度ごとの判断が必要となるとしても 法性等の判断は,各職員について各年度ごとに個別にされるべきものである。しかし,同一職員が複数回にわたって勤務延長等されている場合には,欠員補充の可能性等について年度ごとの判断が必要となるとしても,同一の職員の勤務延長等という点では社会的事実の同一性があり,同一の職員であれば,その職員の職務の特殊性や職務の遂行上の特別の事情等に関する訴訟資料や証拠資料を継続的に利用することが可能であるから,同一の職員に関する異なる年度の勤務延長等を理由とする損害賠償請求権相互の間には,請求の基礎の同一性が認められるというべきである。一方,異なる職員の勤務延長に関する損害賠償請求権相互間には社会的事実としての実体関係の同一性は認められず,また,前述のような審理上の便宜も認められないから,請求の基礎の同一性は認められない。 c 本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴えについて上記説示によれば,訴えの追加的変更のうち,本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないから,同請求に係る訴えの追加は許される。 しかしながら,原告は,既に甲事件における訴え提起の時点において,被告cに対し,本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める請求をもその訴えの内容に含めておくことが可能であったにもかかわらず,あえてこれを請求の対象から除外していたところ,甲事件における監査請求に対する監査結果の通知のあった日から起算される出訴期間の経過した後であることの明らかな平成15年7月14日になって,上記請求をも訴えの内容として追加したことになる。したが ,甲事件における監査請求に対する監査結果の通知のあった日から起算される出訴期間の経過した後であることの明らかな平成15年7月14日になって,上記請求をも訴えの内容として追加したことになる。したがって,上記請求に係る訴えは,出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして,却下を免れない。 d 本件職員Hの退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えについて(a) 前述の説示からすると,本件職員Hに支給された退職手当相当額の損害の賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないものとはいえないから,同請求に係る訴えの追加は許されない。 なお,原告は,丙事件において,当初から,被告cの相被告である被告bに対して,本件職員Hに支給された給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害賠償を求めており,本件職員Hの勤務延長の適法性等に関する証拠調べも行われているが,訴えの追加的変更の可否は各被告ごとに検討すべきものであるから,こうした事情は上記判断を覆すものではない。 (b) なお,仮に,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないとしても,又は,原告の明示するところではないが,請求の趣旨の拡張の申立てが,行政事件訴訟法43条3項,41条2項,19条,13条5号に基づき,被告bに対する本件職員Hに支給された退職手当相当額の損害の賠償を求める請求に,被告cに対する同損害の賠償を求める請求を追加的に併合するものであるとしても,訴えの追加的変更及び請求の追加的併合はいずれも新訴の提起であり,原告は,既に乙事件における訴え提起の時点において,被告cに対しても,本件職員Hに支給された退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えをすることが可能であったにもかかわらず,あえてこれをせず,乙事件における監査請求に対する監査結果の通知の 点において,被告cに対しても,本件職員Hに支給された退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えをすることが可能であったにもかかわらず,あえてこれをせず,乙事件における監査請求に対する監査結果の通知のあった日から起算される出訴期間の経過した後であることの明らかな平成15年7月14日になって,本件職員Hに支給された退職手当相当額の損害の賠償を求める請求を追加したことになるから,同訴えは出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない。 (イ) 被告dに対する訴えの追加的変更についてa 前述の争いのない事実等のとおり,原告の当初の被告dに対する請求は,本件職員Dの平成12年5月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当並びに本件職員Eの同年5月分から平成13年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求めるものである。そして,原告は,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立書により,被告dに対する本件職員Dの退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えを取り下げるとともに,被告dに対する本件職員Cの平成12年4月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当,本件職員D及びEの同年4月分の給料及び職員手当等並びに本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求を追加した(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法143条1項)。 b 前述と同様の理由によりに,訴えの追加的変更のうち,本件職員D及びEの平成12年4月分の給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないから,同請求に係る訴えの追加は許されるが,上記の各請求に係る訴えは出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないから,同請求に係る訴えの追加は許されるが,上記の各請求に係る訴えは出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない。 c 前述と同様の理由により,本件職員Cの平成12年4月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当並びに本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないものとはいえないから,同請求に係る訴えの追加は許されない。 なお,仮に,上記の各請求について,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないとしても,又は,原告の明示するところではないが,請求の趣旨の拡張の申立てが行政事件訴訟法上の追加的併合の申立てであるとしても,同様に出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない。 (ウ) 被告eに対する訴えの追加的変更についてa 前述の争いのない事実のとおり,原告の当初の被告eに対する請求は,本件職員C及びDの平成12年5月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当並びに本件職員Eの同年5月分から平成13年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求めるものである。そして,原告は,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立書により,被告eに対する本件職員Dの退職手当相当額の損害の賠償を求める訴えを取り下げるとともに,被告eに対する本件職員Cの平成11年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等,本件職員D及びEの平成12年4月分の給料及び職員手当等並びに本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求め 分までの給料及び職員手当等,本件職員D及びEの平成12年4月分の給料及び職員手当等並びに本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求を追加した(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法143条1項)。 b 前述と同様の理由により,訴えの追加的変更のうち,本件職員Cの平成11年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等,本件職員D及びEの平成12年4月分の給料及び職員手当等相当額の損害の賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないから,同請求に係る訴えの追加は許されるが,上記の各請求に係る訴えは出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない。 c 本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求は,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないものとはいえないから,同請求に係る訴えの追加は許されない。 なお,仮に,同請求について,請求の趣旨の拡張の申立て前の請求と請求の基礎に変更がないとしても,又は,原告の明示するところではないが,請求の趣旨の拡張の申立てが行政事件訴訟法上の追加的併合の申立てであるとしても,同様に出訴期間経過後に提起された不適法な訴えとして却下を免れない。 イ 4号前段に基づく訴えについて(「当該職員」該当性)(ア) 教育委員会関係職員の給料及び職員手当等について前述の争いのない事実等のとおり,教育委員会関係職員の給料及び職員手当等に関する支出命令は,本来的には市長の権限に属するが,教育委員会に委任され,教育長の専決事項とされ,さらに教育次長の専決事項とされている。ただし,本件職員C及びDに関しては,行政の能率的処理の観点から, る支出命令は,本来的には市長の権限に属するが,教育委員会に委任され,教育長の専決事項とされ,さらに教育次長の専決事項とされている。ただし,本件職員C及びDに関しては,行政の能率的処理の観点から,市長公室長が補助執行として専決処理し,本件職員Eに関しては,教育次長が空任であったことから,池田市教育委員会処務規則5条の2第2項に基づき教育部長が専決処理した。 前述のとおり,「当該職員」とは,当該訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有する者及びその者から権限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味するのであるから,専決権限を有する教育長である被告eは「当該職員」に該当する。 教育委員会関係職員の給料及び職員手当等の支出命令は教育委員会に委任されているが,教育委員会委員長は,教育委員会の会議を主宰し,教育委員会を代表するにすぎず(地方教育行政法12条3項,13条2項),教育委員会に属する権限が教育委員会委員長に属するとはいえず,教育委員会委員長である被告c及び同dは「当該職員」に該当するとはいえない。 (イ) 教育委員会関係職員の退職手当について本件各職員に対する退職手当に関する支出命令は,市長の権限に属するから,被告cらが「当該職員」に該当しないことは明らかである。 (ウ) したがって,本件職員Dの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令に関する被告dに対する請求に係る訴え,本件職員Eの同年5月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令に関する被告dに対する請求に係る訴え,本件職員Cの退職手当の支出命令に関する被告c及び同eに対する請求に係る訴え並びに本件職員Eの退職手当の支出命令に関する被告d及び同eに対する請求に係る訴えは,いずれも 告dに対する請求に係る訴え,本件職員Cの退職手当の支出命令に関する被告c及び同eに対する請求に係る訴え並びに本件職員Eの退職手当の支出命令に関する被告d及び同eに対する請求に係る訴えは,いずれも不適法である。 ウ 4号後段に基づく訴えについて(ア) 監査請求前置違反について被告cらは,原告の監査請求は,被告cらに対する損害賠償請求権の不行使について是正措置を求めるものではないから,監査請求前置に違反すると主張する。 原告は,丙事件に前置する監査請求において,本件各職員の勤務延長が定年条例に規定する要件を満たさない違法なものであるから,本件各職員に支給された給料,職員手当等及び退職手当が違法な支出であるとして,その損害の填補を池田市長,教育委員会委員長及び教育長に勧告するよう求めている(甲13)。上記監査請求に表れた原告の意思を合理的に解釈し,かつ,監査委員は,監査をするに当たり,住民が主張する事由以外の点にわたって監査することができるのであり,監査の結果,住民の請求に理由があると認めるときは,住民が主張する是正措置に限定されることなく必要な措置を講ずべきことを勧告することができることも考え合わせるならば,勤務延長が違法であることに伴い発生する損害賠償請求権の不行使も,監査請求の対象となっていると解することができる。 したがって,丙事件に前置された監査請求においては,違法な勤務延長による損害賠償請求権の不行使もその対象とされていたものと解することができ,被告cらの主張は採用できない。 (イ) 4号後段請求の可否法242条の2第1項4号に定める住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるとこ 号に定める住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから,これを防止するため,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであるから,その対象となる事項は,財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものに限られるが,その中には,公金の支出等の財務会計上の行為のほか,財産の管理を怠る事実という財務会計上の怠る事実としての性質を有するものも含まれる。 不法行為の原因となる加害行為が非財務会計上の行為であったとしても,その結果発生する不法行為に基づく損害賠償請求権自体が地方公共団体の有する財産権であることは明らかであって,損害賠償請求権の不行使は財産の管理を怠る事実に当たるというべきである。 被告cらは,非財務会計行為を発生原因とする損害賠償請求権の行使を怠る事実を4号後段請求の対象とすることは住民訴訟の対象を財務会計行為に限定した法の趣旨を没却すると主張するが,財産権である損害賠償請求権を住民訴訟の対象としなければ,かえって上記の住民訴訟の趣旨を没却してしまうというべきである。法も,4号後段請求における「相手方」や損害賠償請求権の発生原因について別段定めをおいておらず,一般に,4号後段の「相手方」は,原告により訴訟の目的である地方公共団体が有する実体上の請求権を履行する義務があると主張されている者であると解するのが相当であるとされていることからしても(最高裁昭和53年6月23日第三小法廷判決・集民124号145頁参照),4号後段請求の対象を限定 請求権を履行する義務があると主張されている者であると解するのが相当であるとされていることからしても(最高裁昭和53年6月23日第三小法廷判決・集民124号145頁参照),4号後段請求の対象を限定して解する余地はないから,被告cらの主張は採用できない。 (3) 本件各職員との間の雇用契約締結行為を当該行為とする4号前段に基づく訴えについて原告は,勤務延長等を市長と職員との間の新たな雇用契約の締結と評価することができると主張するが,地方公務員の任用は地方公務員法等の定めるところにより行われるべき行政処分であって,通常の私人間の雇用契約と同視することはできず,しかも,財務的処理を直接の目的とせず,非財務的な行政上の事務処理の一環として行われるものであって,勤務延長等をもって財務会計行為ということはできない。よって,原告の主張は採用できない。 (4) 小括ア以上によれば,平成15年7月14日付け請求の趣旨の拡張の申立てのうち,被告cに対し本件職員Hの退職手当相当額の損害の賠償を求める請求,被告dに対し本件職員Cの平成12年4月分から同年9月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求並びに被告d及び同eに対し本件職員Hの平成10年4月分から平成12年3月分までの給料,職員手当等及び退職手当相当額の損害の賠償を求める請求に係る訴えの追加的変更は許さない。 イ被告bに対し本件職員A,G及びHの平成10年4月分から平成11年3月分までの,本件職員AないしC及びFないしHの同年4月分の各給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え,被告cに対し本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え,被告eに対し本件職員Cの平成11年4月分から平成12年4月分までの給料及び 訴え,被告cに対し本件職員Cの平成11年4月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え,被告eに対し本件職員Cの平成11年4月分から平成12年4月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え並びに被告d及び同eに対し本件職員D及びEの平成12年4月分の給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴えは,いずれも監査請求期間を徒過したものであって,監査請求前置に反し不適法である。 ウ被告bに対し本件職員B,F及びHの平成11年5月分から平成12年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え,被告bに対し本件職員Gの平成11年5月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え,被告c及び同eに対し本件職員Cの退職手当相当額の損害賠償を求める訴え(4号前段に基づくもの),被告d及び同eに対し本件職員Eの退職手当相当額の損害賠償を求める訴え(4号前段に基づくもの),被告dに対し本件職員D及びEの給料及び職員手当等相当額の損害賠償を求める訴え(4号前段に基づくもの)は,いずれも「当該職員」しない者を被告とする訴えであって,不適法である。 エ勤務延長等を本件各職員との間の雇用契約締結行為に当たるとしてする4号前段に基づく請求に係る訴えは,非財務会計行為を対象とするものとして不適法である。 2 本案の争点(1) 本件各職員の勤務延長の適否本件各職員の勤務延長が適法とされるためには,その対象となる本件各職員について,定年条例4条1項の要件を満たすことが必要である。 定年制は,組織の新陳代謝を計画的に行うことにより組織の活力を維持しもって公務の維持増進を図ることと所定の年齢まで職員の勤務の継続を保障し安んじて公務に専念させるところにその目的があるが,定年条例4条 年制は,組織の新陳代謝を計画的に行うことにより組織の活力を維持しもって公務の維持増進を図ることと所定の年齢まで職員の勤務の継続を保障し安んじて公務に専念させるところにその目的があるが,定年条例4条が定める勤務延長は,公務の必要性から,当該職務の特殊性,勤務条件の特殊性及び業務の継続性に着目して例外として認められた制度である。同条が任命権者において要件を「認めるとき」勤務延長することができると規定していることからすると,その要件の有無の判断につき任命権者に一定の裁量を認めているものと解されるが,同条の文言や,定年条例の根拠となる地方公務員法28条の3が「その職員の勤務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障を生ずると認められる十分な理由があるときは」勤務延長することができると規定していること,前述の定年制度の趣旨からすれば,任命権者に認められる裁量権も厳格に覊束されたものといえる。 以下,本件各職員ごとに検討する。 ア本件職員Aについて(ア) 証拠(丁16,17,証人h)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件職員Aは,昭和47年5月1日に採用され,昭和48年4月以降,日中は,池田市の葬祭場であるやすらぎ会館において火葬業務等に従事し,夜間は,河川や工場に囲まれやや孤立した環境にあるやすらぎ会館の事務所に住み込み,受付や遺体搬送を行うほか,墓地その他葬儀場の管理業務に従事していた。本件職員Aは在職年月期間が21年11月間となる平成9年3月31日に定年退職日を迎えたが,同年4月1日の勤務延長以降,2回の延長期限の延長が行われ,在職年月期間が24年11月間となった平成12年3月31日に勤務延長を終了した。 池田市における市営葬儀は年間400件前後であり,平成9年度では 月1日の勤務延長以降,2回の延長期限の延長が行われ,在職年月期間が24年11月間となった平成12年3月31日に勤務延長を終了した。 池田市における市営葬儀は年間400件前後であり,平成9年度ではそのうち営業時間外である午後5時以降の遺体搬送希望件数は113件(うち午後10時以降の遺体搬送希望件数は65件)に及び,夜間の遺体搬送の需要は高かったものの,平成11年以降,病院等に対し委託先を民間業者へ移行するよう調整し,本件職員Aの勤務延長が終了した平成12年度から夜間の遺体搬送業務を中止した。 夜間の受付業務については,本件職員Aが勤務延長終了後も非常勤職員として従事した。本件職員Aが平成14年8月に交通事故で死亡したため,急遽,市の職員が交代で夜間の受付業務に対応し,同年10月からは市役所の宿直専門職員が仮受付として代行しているが,市営葬儀業務の経験のない職員による代行となるためトラブルが生じている。 火葬業務は,平成12年1月ころ公募により,同年4月に採用された職員が従事している。 (イ) 以上によれば,本件職員Aの職務の内容は,日中の火葬業務だけでなく,住み込みの常直の職員として,夜間の受付,遺体搬送及び墓地その他葬儀場の管理を行うというものであり,勤務環境その他勤務条件に特殊性があるため,欠員を容易に補充することができなかったものと認められる。 なお,原告は,本件職員Aを非常勤職員等として採用して対応することが可能であると主張している。実際に,本件職員Aは,勤務延長終了後,非常勤職員として夜間の受付業務に従事していたものである。しかしながら,非常勤職員等では残業のための手当が不十分であり残業を命じることができず,本件職員Aを非常勤職員等として採用したとしても,本件職員Aが従前従事していた日中の火葬業務から夜間の受付及び遺体 しながら,非常勤職員等では残業のための手当が不十分であり残業を命じることができず,本件職員Aを非常勤職員等として採用したとしても,本件職員Aが従前従事していた日中の火葬業務から夜間の受付及び遺体搬送業務までのすべてに従事させることはできないから,原告の主張は理由がないというべきである。 本件職員Aについて平成10年4月1日及び平成11年4月1日に行われた勤務延長期限の延長は,定年条例4条2項,1項2号に該当し適法である。 イ本件職員Bについて(ア) 平成11年度a 本件職員Bは,昭和56年4月1日に池田市福祉部生きがい課医療ヘルパーとして採用された准看護婦であって,独居老人等の医療ヘルパーとして訪問介護の業務に従事した後,平成8年4月1日,在宅保険福祉サービスを提供することなどを目的に設立されたさわやか公社に派遣され,主として旭丘デイサービスにおいて行われるデイサービス(通所介護)事業に常勤の看護士として従事していた。本件職員Bは,さわやか公社派遣中である平成11年3月31日に定年退職日(定年退職日までの在職年月期間は18年間)を迎えたが,同月4月1日に勤務延長の措置がとられ,平成12年3月31日まで,主として旭丘デイサービスにおいて,デイサービス事業に従事した(丁17,証人g及び弁論の全趣旨)。 b 被告bは,老人福祉法によりデイサービスを行うに当たり常勤職員をおくことが定められており,本件職員Bが唯一の正規職員であったため,本件職員Bの勤務延長が必要であったと主張し,証人gも同旨の供述をする。しかし,被告bの主張する勤務延長の必要性は,本件職員Bの定年退職後,さわやか公社が本件職員Bを採用することによって解決するものであり,制度上も市を退職した職員を公社が採用することは可能であるのだから,被告bの主張には理由がない。 要性は,本件職員Bの定年退職後,さわやか公社が本件職員Bを採用することによって解決するものであり,制度上も市を退職した職員を公社が採用することは可能であるのだから,被告bの主張には理由がない。 したがって,本件職員Bについて平成11年4月1日に行われた勤務延長は,定年条例4条の要件を充足するものではなく違法である。 (イ) 平成12年度a 本件職員Bは,平成12年4月1日にさわやか公社への派遣を解かれ,市長事務部局に復帰し,勤務延長期限を1年間延長する措置がとられ,市立養護老人ホームへ異動し,在職期間が20年間となった平成13年3月31日に勤務延長を終了した(丁17,証人g及び弁論の全趣旨)。 b 被告bは,養護老人ホームでは看護士を常置することが義務づけられているところ,平成11年度末に,市立養護老人ホームでは,看護士資格を有する寮長が退職し看護士が不在となり,看護士資格を有する他の職員による補充も不可能であったため,本件職員Bの勤務延長が必要であったと主張し,証人gも同旨の供述をする。しかしながら,池田市には多数の看護士資格を有する職員が在籍しており(甲17),これらの職員による補充が不可能であるとは到底考えられず,被告bの主張には理由がない。 したがって,本件職員Bについて平成12年4月1日に行われた勤務延長期限の延長は,定年条例4条の要件を充足するものではなく違法である。 ウ本件職員Cについて(ア) 証拠(甲16の2,丙1,丁10,17,証人f)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件職員Cは,昭和55年10月1日に採用され,平成7年7月までの約15年間にわたり水月児童文化センターに勤務した後,中央公民館勤務を経て,平成8年4月から図書館に勤務していた。本件職員Cは,図書館において,児童書貸出業務等 月1日に採用され,平成7年7月までの約15年間にわたり水月児童文化センターに勤務した後,中央公民館勤務を経て,平成8年4月から図書館に勤務していた。本件職員Cは,図書館において,児童書貸出業務等の児童書関係分野を担当したほか,各小中学校への団体貸出業務及び学校司書の相談業務を担当していた。本件職員Cは在職年月期間が18年6月間となる平成11年3月31日に定年退職日を迎えたが,同年4月1日に1年間の勤務延長の措置がとられ,さらに,平成12年3月31日に勤務延長期間を6か月とする延長期限の延長が行われ,在職年月期間が20年間となった平成12年9月30日に勤務延長を終了した。 本件職員Cの後任には,昭和61年に採用され図書館に勤務していた司書補が補充された。本件職員Cは,後任者への業務引き継ぎのため,勤務延長終了後から平成13年3月31日までの6か月間,非常勤職員として勤務した。 (イ) 上記のような本件職員Cの業務の内容は,一定の知識,技能,経験等が必要なものではあるが,その習得が極めて困難なものとは認められず,他の職員による代替が不可能ということはできない。したがって,本件職員Cについて行われた平成11年4月1日の勤務延長及び平成12年4月1日の勤務延長期限の延長は,定年条例4条の要件を満たさず違法である。 エ本件職員Dについて(ア) 証拠(甲16の2,丙1,丁11,17,19,証人f)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件職員Dは,昭和55年10月1日に採用され,教育委員会社会教育課に勤務した後,平成5年4月1日以降,教職員に関する人事管理部門である教育部教職員課において,約7年間にわたって,教職員の人事関係事務,学校・教職員関係の調査統計事務,福利厚生事務の一部,学校施設の目的外使用の事務に従事していた。 ,教職員に関する人事管理部門である教育部教職員課において,約7年間にわたって,教職員の人事関係事務,学校・教職員関係の調査統計事務,福利厚生事務の一部,学校施設の目的外使用の事務に従事していた。本件職員Dは,毎年5月に国に提出する学校基本統計調査事務に精通し,平成11年12月には大阪府下43市町村のうち1名のみが対象となる文部省調査統計功労者表彰を受賞した。 本件職員Dは,在職年月期間が19年6月間となる平成12年3月31日に定年退職日を迎えたが,同年4月1日に6か月間の勤務延長の措置がとられ,在職年月期間が20年間となった同年9月30日に勤務延長を終了した。本件職員Dは,勤務延長終了後,平成13年3月31日までの6か月間,非常勤職員として勤務した。 教育部教職員課は,課長,係長及び係員3名の合計5名で構成されている。教育部教職員課では,人事業務や学校基本統計調査業務等のために,2月末から5月中旬にかけて繁忙期となるところ,平成12年4月1日付けで係長が異動することが予定されていた。 (イ) 以上の事実によれば,本件職員Dの業務内容である人事業務は正確かつ迅速な処理が求められるところ,本件職員Dは高度の事務処理能力を有しており,しかも,教育部教職員課の繁忙期に係長の異動が予定されていたことからすれば,同課在職7年の本件職員Dも同課を離れることとなると,公務の運営に著しい支障が生ずることが予想され,本件職員Dの勤務延長は定年条例4条の要件を満たすものといえる。 なお,原告は,本件職員Dを非常勤職員等として採用し代用することが可能であると主張する。しかし,本件職員Dの従事する人事管理部門は高度の守秘義務が要請されるところ,地方公務員法が非常勤職員に適用されないため,非常勤職員は法律上守秘義務を負わない。また,非常勤職員等には残業を命 する。しかし,本件職員Dの従事する人事管理部門は高度の守秘義務が要請されるところ,地方公務員法が非常勤職員に適用されないため,非常勤職員は法律上守秘義務を負わない。また,非常勤職員等には残業を命じることができず,教育部教職員課の繁忙期にあるにもかかわらず,本件職員Dに残業を命ずることができないとすれば,公務の運営に著しい支障が生じることになるから,原告の主張は理由がない。 したがって,本件職員Dについて行われた勤務延長は,定年条例4条1項1号及び3号に該当し,適法である。 オ本件職員Eについて(ア) 証拠(甲23,丙1,丁12,17,証人f)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件職員Eは,昭和56年10月1日に採用され,市立養護老人ホームの用務員兼調理員,市立池田病院の調理員として勤務した後,平成7年4月1日から市立北豊島中学校校務員として,平成9年4月1日から秦野小学校校務員として勤務していた。本件職員Eは,在職年月期間が18年6月間となる平成12年3月31日に定年退職日を迎えたが,同年4月1日に1年間の勤務延長の措置がとられ,在職年月期間が19年6月間となった平成13年3月31日に勤務延長を終了した。 池田市では,きめ細やかな環境整備の実現を図るため,フルタイムの対応が必要であるとして,各学校に男女の校務員を正規職員として配置するという方針を採用してきた。特に,男性校務員だけでなく,女性校務員も各学校に配置することにより,女子児童に対する細やかな配慮を図ってきた。 池田市行政改革により,平成11年度から現業職員の採用が停止され,新規採用による校務員の補充が不可能となったため,各学校に男女の校務員を正規職員として配置するという方針を完全には維持できなくなったが,一方で,公共施設の統廃合や管理運営の見直しが推 用が停止され,新規採用による校務員の補充が不可能となったため,各学校に男女の校務員を正規職員として配置するという方針を完全には維持できなくなったが,一方で,公共施設の統廃合や管理運営の見直しが推進され,保育所等が民間委託された結果,従前調理業務等に従事していた女性現業職員が女性校務員として補充されている。 (イ) 以上の事実によれば,新規採用による校務員の補充は不可能となったものの,現業職員の採用停止からわずか1年しか経過しておらず,公共施設の統廃合や管理運営の見直しの結果,他の現業職員に余剰が生じていたのであるから,本件職員Eについて勤務延長が行われた平成12年4月1日時点では,女性校務員の補充は十分可能であったというべきであるし,校務員の職務が一定の経験や能力が必要ではあっても,その習得が極めて困難なものとは認められず,他の職員による代替が不可能ということはできない。 したがって,本件職員Eについて行われた勤務延長は定年条例4条の要件を満たさず違法である。 カ本件職員Fについて本件職員Fは,昭和55年4月1日に福祉生きがい課で老人家庭へのホームヘルパーとして採用された1級資格を有するホームヘルパーである。本件職員Fは福祉生きがい課で勤務した後,ホームヘルパーの指導育成のために派遣された社会福祉法人起生会を経て,平成10年4月1日からさわやか公社に派遣され,主任ホームヘルパーとして,主として非常勤ホームヘルパー10名の指揮監督を行った。本件職員Fは,さわやか公社派遣中である平成11年3月31日に定年退職日(定年退職日までの在職年月期間は19年間)を迎えたが,同月4月1日に勤務延長の措置がとられ,平成12年3月31日まで,主としてさわやか公社において後任の育成指導に従事した(丁17,証人g及び弁論の全趣旨)。 被告bは, 期間は19年間)を迎えたが,同月4月1日に勤務延長の措置がとられ,平成12年3月31日まで,主としてさわやか公社において後任の育成指導に従事した(丁17,証人g及び弁論の全趣旨)。 被告bは,後任の育成指導を理由に本件職員Fの勤務延長が必要であると主張し,証人gも同旨の供述をする。しかし,上記の勤務延長の必要性は,本件職員Fの定年退職後,さわやか公社が本件職員Fを採用することによって満たされるものであり,本件職員Fの勤務延長は,定年条例4条の要件を充足するものではなく違法である。 キ本件職員Gについて本件職員Gは,昭和57年10月1日に採用され,福祉生きがい課で老人家庭へのホームヘルパーとして勤務した後,平成8年4月1日に,さわやか公社設立と同時に派遣され,本件職員Fと同様に主任ホームヘルパーとして非常勤ホームヘルパー10名の指揮監督を行ったほか,後任のホームヘルパー育成のために研修等の講師を行う等した。本件職員Gは,さわやか公社派遣中である平成10年3月31日に定年退職日(定年退職日までの在職年月期間は15年6月間)を迎えたが,同年4月1日の勤務延長以降,2回の延長期限の延長が行われ,在職年月期間が18年6月間となった平成13年3月31日まで,主としてさわやか公社において後任の育成指導に従事した(丁17,証人g及び弁論の全趣旨)。 被告bは,後任の育成指導や介護保険の円滑な運営等を理由に本件職員Gの勤務延長が必要であると主張するが,本件職員Fと同様に,上記の勤務延長の必要性は,本件職員Gの定年退職後,さわやか公社が本件職員Fを採用することによって満たされるものであり,本件職員Gについて行われた平成10年4月1日の勤務延長並びに平成11年4月1日及び平成12年4月1日の勤務延長期限の延長は,いずれも定年条例4条の要件を充足 用することによって満たされるものであり,本件職員Gについて行われた平成10年4月1日の勤務延長並びに平成11年4月1日及び平成12年4月1日の勤務延長期限の延長は,いずれも定年条例4条の要件を充足するものではなく違法である。 ク本件職員Hについて本件職員Hは,昭和62年9月1日に採用され,教育委員会総合スポーツセンターに勤務した。池田市は,平成8年4月1日,総合スポーツセンターを効率的に管理するため管理公社に管理委託することとなり,本件職員Hも,同日,教育委員会を休職の上,管理公社へ派遣され,主として総合スポーツセンターの受付業務に従事した。本件職員Hは,管理公社派遣中である平成9年3月31日に定年退職日(定年退職日までの在職年月期間は9年7月間)を迎えたが,同年4月1日の勤務延長以降,2回の延長期限の延長が行われ,在職年月期間が12年7月間となった平成12年3月31日まで,主として総合スポーツセンターの受付業務等に従事した。 池田市では,平成9年4月から,教育委員会等の所管するスポーツ施設の利用希望者が,自宅の電話,市役所や市の文化会館の端末機等から,スポーツ施設の利用申請をすることができるというスポーツ施設情報システム(オーパス)を導入し,管理公社がその管理に当たった。本件職員Hは,従前より総合スポーツセンターの受付業務に従事していたことから,オーパスの立ち上げや運用に携わった(丁17,証人f及び弁論の全趣旨)。 オーパス立ち上げに携わった本件職員Hが導入直後のオーパス運用に当たることが,円滑な業務遂行に資するとしても,管理公社が本件職員Hを採用することにより実現できることであって,池田市職員としての地位を保有し続ける必要があるとは認められず,本件職員Hについて行われた平成10年4月1日及び平成11年4月1日の勤務延長期 本件職員Hを採用することにより実現できることであって,池田市職員としての地位を保有し続ける必要があるとは認められず,本件職員Hについて行われた平成10年4月1日及び平成11年4月1日の勤務延長期限の延長は,いずれも定年条例4条の要件を充足するものではなく違法である。 ケ以上によれば,本件各職員のうち,本件職員B,C,EないしHについて行われた勤務延長及び勤務延長期限の延長は違法であるから,以下,本件職員B,C,EないしHに支給された給料,職員手当等及び退職手当に関して,被告らに対して損害賠償請求権が成立するか否かを検討する。 (2) 本件各職員に支給された給料,職員手当等及び退職手当の支出命令を当該行為とする4号前段請求ア被告bの損害賠償義務の有無(ア) 以下,前述の第3の1(1)の検討により適法な訴えであると認められる請求に係る損害,すなわち,本件職員Cの平成11年5月分から平成12年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令,本件職員B及びEの平成12年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令並びに本件職員B,C,EないしHの退職手当の支出命令により生じた損害について,被告bが,4号前段に基づき損害賠償請求義務を負うか否かを検討する。 原告は上記の各支出命令が,本件職員B,C,EないしHの勤務延長等を直接の原因としこれと不可分一体であるから,これらの勤務延長等が違法である以上,上記の各支出命令も違法であると主張するが,当該職員の財務会計上の行為をとらえて法242条の2第1項4号前段の規定に基づく損害賠償請求責任を問うことができるのは,たといこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,この原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られ を問うことができるのは,たといこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,この原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁参照)。 (イ) 本件職員B,F及びGの退職手当の支出命令に関して普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体に対して,その事務を誠実に執行すべき職務上の義務を負い(法138条の2),この誠実執行義務は財務会計上の行為をするに当たって負う財務会計法規上の義務の一内容を成すものというべきである。そして,本件職員B,F及びGの勤務延長等の権限は市長に属し,市長はこれらを取り消し得る権限も有しているのであるから,被告bは,定年条例4条の要件を欠き違法な本件職員B,F及びGの勤務延長等を取り消すべきものと解される。それにもかかわらず,被告bは,本件職員B,F及びGに支給される退職手当の支出命令の原因行為である違法な勤務延長等を取り消す等の是正措置を採ることなく,勤務延長等を前提とする違法な支出命令をしたのであって,被告bの行為は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるというべきである。そして,池田市では,他の普通地方公共団体と比較して職員数が多く高齢化が進むことにより人件費が嵩み,人件費等の経常経費が市税等の経常収入を上回る状況となり,人件費の削減が急務の課題となっていたのであるから(甲23),被告bが,本件職員B,F及びGの勤務延長等を取り消す等の是正措置を採ることなく,本件職員B,F及びGの退職手当の支出命令をしたことには少なくとも過失が認められる。 したがって,被告bは,本件職員B,F及びGの退職手当の支出命令によって生じた損害について賠償義 を採ることなく,本件職員B,F及びGの退職手当の支出命令をしたことには少なくとも過失が認められる。 したがって,被告bは,本件職員B,F及びGの退職手当の支出命令によって生じた損害について賠償義務を負うというべきである。 (ウ) 本件職員C,E及びHの退職手当の支出命令に関して前述のとおり,本件職員C,E及びHの勤務延長等は定年条例4条の要件を満たさない違法なものであると解されるが,本件職員C,E及びHの勤務延長等は,教育委員会が本来的権限を有し,教育長が専決して行っていることから,本件職員C,E及びHの退職手当の支出命令が,財務会計法規上の義務に違反し違法となるか否かが問題となる。 教育委員会は,学校その他の教育機関の設置,管理及び廃止,教育財産の管理,教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事などを含む地方公共団体が処理する教育に関する事務の主要なものを管理,執行する広範な権限を有している(地方教育行政法23条)。もっとも,同法は,地方公共団体が処理する事務すべてを教育委員会の権限事項とはせず,同法24条において地方公共団体の長の権限に属する事務をも定めているが,その内容を,大学及び私立学校に関する事務を除いては,教育財産の取得及び処分,教育委員会の所掌に係る事項に関する契約の締結並びに教育委員会の所掌に係る事項に関する予算の執行といういずれも財務会計上の事務のみにとどめている。すなわち,同法は,地方公共団体の区域内における教育行政については,原則として,これを,地方公共団体の長から独立した機関である教育委員会の固有の権限とする一方,教育行政の運営のために必要な財産の取得,処分,契約の締結その他の財務会計上の事務に限って,これを地方公共団体の長の権限とすることにより,教育行政の財政的側面を地方公共団体の一般 の権限とする一方,教育行政の運営のために必要な財産の取得,処分,契約の締結その他の財務会計上の事務に限って,これを地方公共団体の長の権限とすることにより,教育行政の財政的側面を地方公共団体の一般財政の一環と位置づけ,地方公共団体の財政全般の総合的運営の中で,教育行政の財政的基盤の確立を期することとしたものと解される。このような教育委員会と地方公共団体の長の権限の配分関係にかんがみると,教育委員会がした学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関する処分については,地方公共団体の長は,上記処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,上記処分を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないと解するのが相当である。なぜなら,地方公共団体の長は,関係規定に基づき予算執行の適正を確保すべき責任を地方公共団体に対して負担するものであるが,反面,同法に基づく独立した機関としての教育委員会の有する固有の権限内容にまで介入し得るものでなく,このことから,地方公共団体の長の有する予算の執行機関としての職務権限には,自ずから制約が存するからである(前記最高裁平成4年12月15日第三小法廷判決)。 本件職員C,E及びHの勤務延長等は定年条例4条の要件を欠くものであるが,本件職員Cが図書館業務の経験が長い者であったこと,当時,本件職員Eのような現業職員の採用が停止されていたこと,本件職員Hも管理公社に派遣されていたとはいえ,教育委員会等の所管するスポーツ施設の利用に関して導入されたばかりのオーパス関連事務に精通しており,再度教育委員会の職員に戻ってその業務を行う必要性等について市長には判断し難いことからすると,これらの職員の勤務延長等が著しく合理性 の利用に関して導入されたばかりのオーパス関連事務に精通しており,再度教育委員会の職員に戻ってその業務を行う必要性等について市長には判断し難いことからすると,これらの職員の勤務延長等が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものとまでは解し得ず,本件職員C,E及びHに支給された退職手当の支出命令は違法とはいえない。 (エ) 本件職員Bの給料及び職員手当等の支出命令に関して被告bは,市長として,支出命令を行う権限を法令上本来的に有する者であるから(法232条の4第1項),その権限に属する一定の範囲の財務会計上の行為をあらかじめ特定の補助職員に専決させることとし,専決を任された補助職員が市長の権限に属する当該財務会計上の行為を専決により処理した場合であっても,上記職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときには,普通地方公共団体に対し,上記補助職員がした財務会計上の行為により当該地方公共団体が被った損害につき賠償責任を負うものと解するのが相当である(最高裁平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照)。そして,被告bは,誠実執行義務を負う市長として,定年条例4条の要件を欠く本件職員Bの勤務延長期限の延長を取り消すべきところ,本件職員Bの給料及び職員手当等の支出命令の原因行為である違法な勤務延長期限の延長を取り消す等の是正措置を採ることなく,専決を任された部長が勤務延長期限の延長を前提とする違法な支出命令をすることを何ら阻止しなかったのであるから,被告bの行為は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるというべきである。そして,前述の池田市の財政状況等から 期限の延長を前提とする違法な支出命令をすることを何ら阻止しなかったのであるから,被告bの行為は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるというべきである。そして,前述の池田市の財政状況等からすると,被告bには少なくとも過失が認められる。 したがって,被告bは,本件職員Bの平成12年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令によって生じた損害の賠償義務を負うというべきである。 (オ) 本件職員C及びEの給料及び職員手当等の支出命令に関して前述のとおり,被告bは,支出命令の本来的権限者として,専決を任された補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務を負うものの,教育委員会と地方公共団体の長の権限の配分関係にかんがみると,市長の指揮監督上の義務も,教育委員会がした学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関する処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合に限られるというべきである。そして,前述のとおり,教育委員会が行った本件職員C及びEの勤務延長等が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるとはいえないから,被告bは,本件職員Cの平成11年5月分から平成12年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令並びに本件職員Eの平成12年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令により生じた損害について賠償義務を負わない。 イ被告eの損害賠償義務の成否前述の第3の1(2)の検討により適法な訴えであると認められる請求に係る損害,すなわち,本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令,本件職員Eの同年5月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出 であると認められる請求に係る損害,すなわち,本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令,本件職員Eの同年5月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令により生じた損害について,被告eが,4号前段に基づき損害賠償請求責任を負うか否かを検討する。 前述のとおり,市長は,財務会計上の行為をするに当たり,財務会計法規上の義務として,当該普通地方公共団体に対して,誠実執行義務を負うところ,市長からその権限に属する給料及び職員手当等の支出命令の委任を受けた教育委員会,更にその委任を受けた教育長も同様の義務を負うというべきである。そして,本件職員C及びEの勤務延長等の権限は本来的に教育委員会に属し,その権限は教育長に委任されており,教育長はこれらを取り消し得る権限も有しているのであるから,被告eは,定年条例4条の要件を欠き違法な本件職員C及びEの勤務延長等を取り消すべきものと解される。それにもかかわらず,被告eは,本件職員C及びEに支給される給料及び職員手当等の支出命令の原因行為である違法な勤務延長等を取り消す等の是正措置を採ることなく,勤務延長等を前提とする違法な支出命令をしたのであって,被告eの行為は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるというべきである。そして,前述の池田市の財政状況等からすると,被告eには少なくとも重過失が認められる。 したがって,被告eは,本件職員Cの平成12年5月分から同年9月分までの給料及び職員手当等の支出命令,本件職員Eの同年4月分から平成13年3月分までの給料及び職員手当等の支出命令により生じた損害について賠償義務を負うというべきである。 (3) 被告cらの不法行為(勤務延長加担行為)に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る4号後段請求の成否ここ び職員手当等の支出命令により生じた損害について賠償義務を負うというべきである。 (3) 被告cらの不法行為(勤務延長加担行為)に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る4号後段請求の成否ここでは,本件職員C及びEの退職手当の支出により生じた損害に関する被告eの賠償義務,本件職員Cの退職手当の支出により生じた損害に関する被告cの賠償義務及び本件職員Eの給料,職員手当等及び退職手当の支出により生じた損害に関する被告dの賠償義務の有無を検討すべきことになる。 ア被告eの損害賠償義務の有無前述したとおり,被告eは,教育長として本件職員C及びEの勤務延長を自ら行ったものであり,定年条例4条の要件を欠き違法な本件職員C及びEの勤務延長に加担したことは明らかである。 そして,退職手当の支給金額は勤務延長期間も含めた在職期間を基準に決定されるのであるから,被告eの勤務延長加担行為と退職手当の支出により生じた損害との間には因果関係が認められる。 したがって,被告eの損害賠償義務が認められ,池田市長が被告eに対して損害賠償請求権の行使を怠る事実は違法である(市に損害賠償請求権が発生している以上,その長である市長がその請求を放置することは違法となる。)から,被告eは,怠る事実の相手方として,本件職員C及びEの退職手当の支出により生じた損害について賠償義務を履行すべきものということができる。 イ被告c及び同dの損害賠償義務の有無被告c及びdは,前述のとおり,教育委員会委員長として教育委員会の会議を主宰し,議事内容について議決権を行使するものであるが(地方教育行政法12条3項,13条2項),本件職員C及びEの勤務延長等について,教育委員会で審議,報告等がされたと認めるに足りる証拠はなく,被告c及び同dが本件職員C及びEの勤務延長等に加担したと 地方教育行政法12条3項,13条2項),本件職員C及びEの勤務延長等について,教育委員会で審議,報告等がされたと認めるに足りる証拠はなく,被告c及び同dが本件職員C及びEの勤務延長等に加担したと認めることはできない。 なお,被告c及び同dは,勤務延長等について本来的権限を有する教育委員会の構成員として,教育委員会職員に関する勤務延長等について,専決権者に報告を求め,審議等を行うべき義務があり,同義務違反を被告c及びdの不法行為として捉えることも可能であるが,本件では,原告からはこの点について具体的事実の主張はなく,上記義務違反を認めるに足りる証拠もない。 (4) さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の支出命令を当該行為とする4号前段請求(被告b)原告は,さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の金額は,さわやか公社職員及び本件職員Hが池田市に勤務する場合と同様の条件で算出された給料及び職員手当等を積み上げて決定されており,さわやか公社職員及び本件職員Hの勤務延長等の違法性が承継され,さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の支出命令も違法となると主張しているものと解される。 さわやか公社及び管理公社に対する委託料及び補助金の項目として人件費が計上されているが(甲18ないし21),この人件費が池田市から派遣される職員のさわやか公社職員及び本件職員Hが池田市に勤務する場合の給料及び職員手当等相当額を基準に決定されていると認めるに足りる証拠はない。よって,原告の主張は採用できない。 (5) 損害ア本件職員B,C,EないしGの退職手当の支出命令により生じた損害上記損害は,本件職員B,C,EないしGに実際に支給された退職手当の金額と本件職員B,C,EないしGについて定年退職時の支給されるべき退職手当の金 ,EないしGの退職手当の支出命令により生じた損害上記損害は,本件職員B,C,EないしGに実際に支給された退職手当の金額と本件職員B,C,EないしGについて定年退職時の支給されるべき退職手当の金額との差額と考えられ,その差額は別紙4の各差額(a-b)欄記載のとおりである(争いのない事実)。 イ本件職員B,C及びEの給料及び職員手当等の支出命令により生じた損害(ア) 法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟において住民が代位行使する損害賠償請求権は,民法その他の私法上の損害賠償請求権と異なるところはないのであるから,損害の有無,その額については,損益相殺が問題になる場合はこれを行った上で確定すべきものである。したがって,財務会計上の行為又は不法行為により普通地方公共団体に損害が生じたとしても,他方,上記行為の結果,その地方公共団体が利益を得,あるいは支出を免れることによって利得をしている場合,両者の間に相当因果関係があると認められる限りは,損益相殺を行うことができるというべきである(最高裁平成6年12月20日第三小法廷判決・民集48巻8号1676頁参照)。 (イ) 本件職員B,C及びEの勤務延長等が定年条例の要件を満たさない以上,本件職員B,C及びEは,本来60歳の定年時に退職していたものといえるが,本件職員B,C及びEは,現実に稼働し,その結果池田市は一定の利益を得ているし,本件職員B,C及びEが稼働しない場合には,他の職員を充てる必要があったといえる。したがって,違法な支出命令により生じた損害と,本件職員B,C及びEの代わりに他の者を充てた場合に必要とされる対価の支払いを免れたことにより池田市が得た利得との間には相当因果関係があるというべきであり,両者は損益相殺の対象となる。 a 本件職員B(平成12年度)の給料及び職員手当等の支 た場合に必要とされる対価の支払いを免れたことにより池田市が得た利得との間には相当因果関係があるというべきであり,両者は損益相殺の対象となる。 a 本件職員B(平成12年度)の給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告bが負担すべき損害額前述のとおり,養護老人ホームでは看護士を常置することが義務づけられていたことから,本件職員Bの勤務延長期限の延長がされない場合には,本件職員Bの職務に非常勤職員を充てることは妥当でなく,他の正規職員の看護士を充てるか又は本件職員Bを再任用(平成11年法律第107号による改正前の地方公務員法28条4)して充てることにより代替するべきである。本件職員B(平成12年度)の給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告bが負担すべき損害額は,本件職員Bの給料及び職員手当等の実支給額から本件職員Bを再任用した場合に想定される支給額(562万0335円(争いのない事実))を控除した金額である151万3672円(平成12年4月分から平成13年2月分まで月額12万6139円,同年3月分は月額12万6143円)である。 713万4007円-562万0335円=151万3672円b 本件職員Cの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額前述のとおり,本件職員Cが勤務延長終了後も非常勤職員として勤務延長終了前と同様の業務を行っていたことや本件職員Cの職務の性質上,被告らが主張する非常勤職員をもって職務に充てることに伴うデメリットが考えにくいこと等からして,本件職員Cの職務は,非常勤職員をもって充てることが可能であるというべきであるから,本件職員Cの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額は,本件職員Cへの実支給額と非常勤職員の場合に想定される支給額とを損益相殺した金額と考えられる。 あるというべきであるから,本件職員Cの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額は,本件職員Cへの実支給額と非常勤職員の場合に想定される支給額とを損益相殺した金額と考えられる。本件職員Cは,給料及び職員手当等として,平成12年4月から同年9月まで別紙3記載の金額を受領しており,非常勤職員の場合に想定される支給額は,本件職員Cが非常勤職員として受領していた報酬等(6か月間で136万9000円(報酬111万,年末手当25万9000円(争いのない事実))と同等と推認できる。したがって,本件職員Cの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額(平成12年5月分から同年9月分までの支出に係る分)は160万1218円(平成12年5月分から同年8月分まで月額32万0243円,同年9月分は月額32万0246円)である。 (329万0462円-136万9000円)×5/6=160万1218円c 本件職員Eの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額現業職員の新規採用を停止した平成11年度以降,各学校に配置する校務員を正規職員とするという方針を維持することの妥当性はともかくとして,上記方針の下では,本件職員Eの勤務延長がされない場合には,本件職員Eの職務に非常勤職員を充てるのではなく,他の正規職員である現業職員を充てるか又は本件職員Eを再任用して充てることにより代替するべきであったといえる。なお,池田市では,上記のとおり平成11年度より現業職員の新規採用を停止していたが,再任用制度は,定年退職者を1年を超えない範囲で常時勤務を要する職に採用する制度であるから,本件職員Eを再任用することは,現業職員の新規採用停止の方針とは抵触しないというべきである。 したがって,本件職員Eの給料及び職員手当等の 超えない範囲で常時勤務を要する職に採用する制度であるから,本件職員Eを再任用することは,現業職員の新規採用停止の方針とは抵触しないというべきである。 したがって,本件職員Eの給料及び職員手当等の支出命令に関し,被告eが負担すべき損害額(平成12年5月分から平成13年3月分までの支出に係る分)は,本件職員Eの給料及び職員手当等の実支給額から本件職員Eを再任用した場合に想定される支給額(553万0172円(争いのない事実))を控除した金額である132万8399円(平成12年5月分から平成13年2月分まで月額12万0763円,同年3月分は月額12万0769円)である。 (697万9335円-553万0172円)×11/12=132万8399円ウしたがって,被告bが負担すべき損害額は合計945万4905円であり,被告eが負担すべき損害額は合計949万0262円である。 3 よって,本件訴えのうち,第3の1(3)イないしエ記載の各訴えは不適法であるからいずれも却下し,原告の被告bに対する損害賠償請求は945万4905円及び別紙6(被告b)損害額欄記載の各内金に対する同日付欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を求める限度で,原告の被告eに対する損害賠償請求は949万0262円及び別紙6(被告e)損害額欄記載の各内金に対する同日付欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を求める限度でそれぞれ理由があるからその限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないので棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官川神裕裁判官山田明裁判官小泉満理子 判長 裁判官 川神裕 裁判官 山田明 裁判官 小泉満理子
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