令和6年10月30日判決言渡 令和6年(ネ)第10031号不正競争行為差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第11358号) 口頭弁論終結日令和6年8月21日判決 控訴人 ダイショージャパン株式会社 同訴訟代理人弁護士 広瀬史乃 同 松田世理奈 同補佐人弁理士 瀧澤文 被控訴人 株式会社喜代村 同訴訟代理人弁護士 千葉尚路 同 中村勝彦 同 丸住憲司 主文 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 上記の部分につき、被控訴人の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由(注)以下の本文中で用いる主な略語の定義は、次のとおりである。 原告 :被控訴人(1審原告) 被告 :控訴人(1審被告) 原告各商標 :原判決別紙「原告商標目録」記載1から3までの登録商標 原告各商標権 :原告各商標に係る商標権 原告各表示 :原判決別紙「原告表示目録」記載の各表示 被告各表示 :別紙「被告表示目録」記載1及び2の各表示 個別の表示は、同別紙の番号に従い「被告表 権原告各表示 :原判決別紙「原告表示目録」記載の各表示被告各表示 :別紙「被告表示目録」記載1及び2の各表示 個別の表示は、同別紙の番号に従い「被告表示2」などという。 不競法 :不正競争防止法(平成5年法律第47号)本件各ウェブページ :別紙「被告ウェブページ目録」記載のウェブページ本件ウェブページ掲載行為 :被告が本件各ウェブページにおいて被告各表 示を掲載した行為本件ウェブサイト :本件各ウェブページを含むウェブサイト(甲4の1から7まで)本件アカウント掲載行為 :被告が原判決別紙「被告アカウント目録」記載のアカウントにプロフィール写真として被 告表示2を掲載した行為原告すし店 :原告が展開する「すしざんまい」という名称の飲食店スーパースシ :被告と共にダイショーグループを構成する会社の一つであるSUPERSUSHISDN.BHD本件すし店 :スーパースシがマレーシア及びシンガポールにおいて展開 する「SushiZanmai」という名称の飲食店共同勧告 :2001年にジュネーブで開催された工業所有権保護のためのパリ同盟総会及び世界知的所有権機関(WIPO)一般総会において採択された「インターネット上の商標及びその他の標識に係る工業所有権の保護に関する共同勧告(Recommendation ConcerningTheProtectionOfMarks, andOtherIndustrial PropertyRightsInSigns,OnTheInternet)」(乙39の1、2)第1 控訴の趣旨主文同旨第2 事案の概要 ustrial PropertyRightsInSigns,OnTheInternet)」(乙39の1、2)第1 控訴の趣旨主文同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨⑴ 原告は、原告各表示を商品等表示として使用するとともに、原告各商標権を有している。 本件は、原告が被告に対し、被告が本件各ウェブページにおいて被告各表示を掲載した行為(本件ウェブページ掲載行為)及びアカウントにプロフィ ール写真として被告表示2を掲載した行為(本件アカウント掲載行為)について、不競法2条1項1号又は2号の不正競争に該当すると主張するとともに、これらの掲載行為は原告各商標権の侵害(商標法37条1号)となると主張して、それぞれ次の各請求をした事案である。なお、不法行為又は不競法に基づく請求の準拠法は、結果発生地である日本法(法の適用に関する通 則法17条)であり、商標権侵害に基づく差止及び削除を求める請求の準拠法は、条理により、原告各商標権と最も密接な関係がある国の法すなわち原告各商標権が登録された国の法律である日本法である。 ア被告各表示の差止及び削除を求める請求(不競法3条1項又は商標法36条1項に基づく選択的請求) イ 1100万円及びこれに対する令和3年6月29日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める請求(不競法4条又は民法709条に基づく選択的請求)⑵ 原審は、前記1アの請求を、商標法36条1項に基づき、本件各ウェブページにおける被告各表示の差止め及び削除を求める限度で、前記1イの請求 を、民法709条(商標権侵害)に基づき、600万0809円及びこれに 対する遅延損害金の支払を求める限度 ェブページにおける被告各表示の差止め及び削除を求める限度で、前記1イの請求 を、民法709条(商標権侵害)に基づき、600万0809円及びこれに 対する遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ認容し、その余の請求をいずれも棄却した(その理由の要旨は後記⑶のとおり)。被告は、敗訴部分を不服として控訴した。 なお、原告の請求のうち本件アカウント掲載行為に係る差止め及び削除を求める請求並びに原審認容額を上回る部分の損害賠償請求をいずれも棄却し た部分については、原告が不服を申し立てていないから、当審における審理の対象となっていない。 ⑶ 原判決の理由の要旨ア原告各商標と被告各表示はそれぞれ類似し、原告各商標の指定役務(すしを主とする飲食物の提供)と被告各表示に係る役務(すしを主とする 飲食物の提供)は、類似する。 イ本件ウェブページ掲載行為は、商標法2条3項8号に該当し、原告各商標の使用に当たる(後記の争点1-3関係)。 ウ被告が本件アカウント掲載行為を行ったとは認められないから、被告が原告各商標を「使用」したとはいえず、原告各表示と類似の商品等表示 を「使用」したともいえない。 エ損害額については、原告各商標の使用に対し原告が受けるべき額(商標法38条3項)は550万0809円と認められ、弁護士費用相当額の損害は50万円とするのが相当である。不競法4条に基づく請求が認められるとしても、同額を上回る損害は認められない(後記の争点4関 係)。 2 前提事実、争点及びこれに関する当事者の主張は、後記⑵の追加的な争点及び後記3のとおり当審における当事者の補足的・追加的主張を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中、第2の2、3及び第3(原判決3頁8行目から びこれに関する当事者の主張は、後記⑵の追加的な争点及び後記3のとおり当審における当事者の補足的・追加的主張を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中、第2の2、3及び第3(原判決3頁8行目から18頁22行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、 本件アカウント掲載行為に係るものを除く。)。 ⑴ 当審における当事者の補足的主張に係る争点(項目の内容は原判決に同じ。)ア被告が原告各商標を「使用」(商標法2条3項)したといえるか(争点1-3)イ原告各表示が商品等表示として周知といえるか(争点2-1) ウ被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号)したといえるか(争点2-3)エ被告が本件各ウェブページにおいて被告各表示を掲載した行為が他人の営業と混同を生じさせる行為といえるか(争点2-4)オ不競法2条1項2号該当性(争点3) カ損害の発生及び額(争点4)⑵ 当審における当事者の追加的主張に係る争点ア営業上の利益の侵害(不競法4条、5条)の有無(追加的争点1)イ先使用(不競法19条1項4号、5号)の有無(追加的争点2) 3 当審における当事者の補足的・追加的主張 ⑴ 被告が原告各商標を「使用」(商標法2条3項)したといえるか(争点1-3)について(被告の主張)本件ウェブページ掲載行為は、商標法2条3項8号にいう「役務に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に 当たるとはいえないから、商標の「使用」には該当しない。 ア本件ウェブサイトの性質役務に関する「広告」とは、商標の対象となる役務について、顧客を誘致するために多くの人に知られるようにすることを るとはいえないから、商標の「使用」には該当しない。 ア本件ウェブサイトの性質役務に関する「広告」とは、商標の対象となる役務について、顧客を誘致するために多くの人に知られるようにすることをいうものと解されるところ(乙33・広辞苑第7版)、本件ウェブサイトは、スーパース シがマレーシア等で展開する本件すし店に顧客を誘致する目的・趣旨の ものではない。本件ウェブサイトは、より安価で良質な食材の仕入先として国内生産者等を誘致するために、ダイショーグループの輸出窓口としての被告の事業内容を紹介するものであり、一般消費者に向けた広告媒体としての性質を持たない。 被告は、いわゆるBtoBビジネス(事業者間取引)のみを行う事業者 であり、本件ウェブサイトは、その取引先や潜在的な取引先等である事業者に向けたものである。 本件ウェブサイトの本件すし店に関する記述は、トップページ(甲4の1)における「店舗情報」、及び「事業内容」紹介ページ(甲4の3)における「店舗開発・メニュー開発」として掲載された10店舗のうち の一つとしてである。「店舗開発・メニュー開発」の冒頭では、「現在、シンガポール・マレーシア・インドネシアを中心に『寿司』『和食レストラン』など、約90店舗を展開しています。海外で人気のある伝統的な日本食をはじめ、現地の人々の嗜好に合わせアレンジした日本食を提供しています。地域や所得水準などに合わせ、大衆店から高級店まで展 開し、幅広い層のお客様から支持されています。」と記した上で、東南アジアで展開するダイショーグループの10の飲食店チェーンを紹介しており、その中の一つである本件すし店に係る記述は、「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」という ーグループの10の飲食店チェーンを紹介しており、その中の一つである本件すし店に係る記述は、「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」という簡潔なものである。これを補足する形で掲 載されたURLをクリックすると、スーパースシのウェブサイトが表示され、そこでは、本件すし店に関する情報が全て英語で表記されている(乙37)。 このような店舗情報は、ダイショーグループにおいてアジアの他国で日本の食材を活用した魅力ある飲食店を多く経営しており、相当量の食 材の引き合いがあることを示すことにより、国内生産者等に対し、被告 との取引を誘致する趣旨のものであって、本件すし店に日本の一般消費者を顧客として誘致するものではないから、本件各ウェブページは、「すしを主とする飲食物の提供」に係る役務の「広告」に該当しない。 イ参照的使用に当たること本件各ウェブページにおける被告各表示の使用態様は、前記アのとお り、ダイショーグループの輸出窓口である被告の事業内容を紹介するに当たり、本件すし店を特定し参照するために、海外で適法に商標登録されている被告各表示を用いたものであり、このような参照的使用は、自他商品等の識別や出所の表示の機能を果たす態様で用いられているとはいえないから、商標としての「使用」に該当しない。 ウ実質的違法性を欠くこと本件すし店に係る対象役務(すしを主とする飲食物の提供)の提供が、全て海外で行われていることは、本件ウェブサイトの記載から容易に理解可能であるから、仮に本件各ウェブページが本件すし店に顧客を誘致する趣旨のものと認められるとしても、海外における取引の誘致である。 商標の出所表示機能・品質保証機能が発揮されるの 容易に理解可能であるから、仮に本件各ウェブページが本件すし店に顧客を誘致する趣旨のものと認められるとしても、海外における取引の誘致である。 商標の出所表示機能・品質保証機能が発揮されるのは、その対象となる商品・役務の需要者が所在する場所であるから、被告各表示の出所表示機能等が発揮されるのは、本件すし店の所在するマレーシア及びシンガポールのみであり、日本国内ではない。 したがって、日本国内における原告各商標の出所表示機能や品質保証 機能が害されるおそれはないから、本件ウェブページ掲載行為は、商標権侵害としての実質的違法性を欠く。 エ属地主義の原則について属地主義の原則によれば、日本の商標権の効力は日本の領域内においてのみ及ぶところ、商標法の目的(同法1 条)に鑑みれば、日本国内にお いて商標法上の「使用」があるというためには、日本における商品又は 役務の提供について、商標が出所識別機能及び品質保証機能を果たす態様で使用されることが必要であるといえる。 商標法の属地性とインターネットの世界性との関係から生じる各国における商標権の抵触問題等を解決するための国際的ガイドラインとして採択された共同勧告(乙39の1・2)においては、インターネット上 における標識の使用を特定国における使用と認めるか否かについて、「商業的効果(commercialeffect)」の有無によって判断するとされている(2条)。本件についていえば、被告各表示が商業的効果を生むのは、本件すし店の営業が行われているマレーシア及びシンガポールのみであるから、本件ウェブページ掲載行為をもって日本国内での商標権の 侵害と認めるべきではない。 (原告の主張)ア本件ウェブサイトの性質「広告」の主たる定 ガポールのみであるから、本件ウェブページ掲載行為をもって日本国内での商標権の 侵害と認めるべきではない。 (原告の主張)ア本件ウェブサイトの性質「広告」の主たる定義は、被告が引用する広辞苑第7版(乙33)によれば、「広く世間に告げ知らせること」であり、必ずしも「顧客を誘致す るため」のものに限定されない。 被告は、被告各表示を、その取引先や潜在的な取引先等である事業者に向けて、ダイショーグループの事業内容として本件すし店の役務を紹介するために使用しているというのであるから、被告各表示が本件すし店の役務を「広く世間に告げ知らせる」ことを目的として使用されてい ることは明らかであり、「役務に関する広告」(商標法2条3項8号)に該当する。 また、被告の取引先や潜在的な取引先が事業者であったとしても、実際に本件ウェブサイトに接する担当者はすしの一般消費者でもあるから、「顧客を誘致するため」のものであることも否定されない。 本件各ウェブページにおける被告各表示の使用態様をみても、トップ ページ(甲4の1)においては、被告各表示が目立つ態様で使用される一方、被告がいずれの国において本件すし店を展開しているかは全く読み取ることができない。 通常、ウェブサイトの閲覧者が、これを構成する各ウェブページを隅々まで読み込むことは稀であるから、本件ウェブサイトについても、 トップページを一見し、国内外を意識することなく、被告又はダイショーグループが「SushiZanmai」の店舗を運営していると認識するのが通常と考えられる。 トップページ上の「事業内容」の箇所をクリックして初めて表示される第2階層の「事業内容」紹介ページ(甲4の3)を閲覧する場合であ っても、被告が指 していると認識するのが通常と考えられる。 トップページ上の「事業内容」の箇所をクリックして初めて表示される第2階層の「事業内容」紹介ページ(甲4の3)を閲覧する場合であ っても、被告が指摘するような記載を閲覧者が逐一読み込むのは稀であるし、当該記載自体、「シンガポール・マレーシア・インドネシアを中心に」というにとどまり、日本における店舗展開を明確に否定しておらず、日本の一般消費者を顧客として誘致する目的を否定するものではない。付記されたURLを閲覧者がクリックするとは限らない。 したがって、本件各ウェブページにおける被告各表示は、客観的にみて、本件すし店の役務を紹介するために使用されると同時に、当該役務について顧客を誘致するものといえる。 イ参照的使用について前記アの被告各表示の客観的な使用態様からすれば、本件すし店の役務 の出所表示機能、自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていることは明らかである。 なお、仮に、被告の事業内容を紹介するに当たり本件すし店を特定し参照する必要があったとしても、スーパースシがマレーシア国内で運営する「SushiZanmai」に商品が卸されている事実を記述的に説明すれば十分で あり、図形化されたロゴマークである被告表示2を使用する必要は全くな い。 ウ実質的違法性について商標権侵害が成立するためには、具体的な混同のおそれまでは必要とされず、抽象的な混同のおそれがあれば、商標権の出所表示機能や品質保証機能が害されると解される。商標の機能論に基づいて実質的違法性が阻却 される場合があり得るとしても、形式的に商標権侵害に該当する以上、実質的違法性が否定される場合は極めて限定的に解されなければならない。 と解される。商標の機能論に基づいて実質的違法性が阻却 される場合があり得るとしても、形式的に商標権侵害に該当する以上、実質的違法性が否定される場合は極めて限定的に解されなければならない。 既に述べたとおり、通常、ウェブサイトの閲覧者が、当該ウェブサイトの隅々まで読み込むことは稀であるから、各ウェブページ単独での記載のみが基礎とされなければならない。本件各ウェブページ(甲4の1・3) の場合、日本における店舗展開がなされていないことはいずれの記載からも全く読み取ることができないし、さらにいえば、海外発のビジネスが日本で展開されることもあり得るから、日本国内の事業ではないことが明確に記載されていない以上、被告各表示に接した需要者が、本件すし店を日本国内のものであると認識するおそれが具体的に存在する。 また、本件各ウェブページにおける「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司」との記載は、一般消費者をして、原告の提供するすし店の特質を誤認せしめ得るものであるから(原告は主として回転寿司ではない本格的なすし店を運営しており、2店舗にとどまる回転寿司店は「廻るすしざんまい」の名称を使用して区別している。)、原告各商標の日本におけ る出所表示機能等は十分害されている。 以上のとおり、本件ウェブページ掲載行為が、商標権侵害としての実質的違法性を有する行為であることは、明白である。 エ属地主義の原則について本件は、海外での商標使用について商標権侵害を主張し、差止等を請求 するものではないので、属地主義に反しない。 被告は、日本国内の需要者に向けて本件各ウェブページを日本語で作成し、当該ウェブページにおいて被告各表示を使用するものであり、その使用態様に照 はないので、属地主義に反しない。 被告は、日本国内の需要者に向けて本件各ウェブページを日本語で作成し、当該ウェブページにおいて被告各表示を使用するものであり、その使用態様に照らせば、日本国内における「使用」と評価されるものである。 日本国外で提供される商品又は役務であっても、日本国内の需要者を対象としたインターネット上の広告において標章を付して提供する行為は、マ レーシアではなく日本国内における標章の使用と評価されるものであるから、これを日本法上の商標権侵害に該当するとしても、属地主義の原則には全く反しない。 被告の指摘する共同勧告は、法的な拘束力を持つものではなく(乙39の1)、あくまでも参考指針にすぎないと定められている。また、本件各 ウェブページは日本法人である被告によって日本語で作成されたものであり、日本国内の需要者(国内生産者等)との取引を誘引することを目的とするものであるから、被告各表示によって商業的効果が生じているのは日本である。 ⑵ 原告各表示が商品等表示として周知といえるか(争点2-1)について (被告の主張)ア原告は、日本国内における周知性しか主張していないが、仮にマレーシア等の日本国外での誤認混同を主張するのであれば、マレーシア等における周知性を主張立証すべきである。 イ日本国内における周知性についてみても、原告すし店の数は約40店で あり、同様にすし店を営む「くら寿司」の546店と比較しても少なく、首都圏以外では限定的な地域の出店にとどまる。また、原告の年間売上高は149億円であり(原告すし店はその一事業部門にすぎない。)、令和3年の外食産業の市場規模(16兆9494億円)に占める割合はわずかで、すし店を営む協業他社(くら寿司、カッ また、原告の年間売上高は149億円であり(原告すし店はその一事業部門にすぎない。)、令和3年の外食産業の市場規模(16兆9494億円)に占める割合はわずかで、すし店を営む協業他社(くら寿司、カッパ・クリエイト、元禄寿司) の売上高と比較しても3分の1から14分の1である。 原告が主張するメディアへの露出は、一般消費者にとって無数にある情報の一つにすぎず、日常的に原告すし店に接する者を除けば、通常は忘れられるものである。 (原告の主張)ア本件のように日本国内において周知の表示が使用されて国外での誤認混 同を生じるような場合、当該周知表示の日本国内における使用を制限することは、法解釈として整合性がある。 また、原告は、本件ウェブページ掲載行為により、日本国内において誤認混同のおそれが生じている旨も主張している。 イ原告各表示が周知性を獲得していることは、原審で主張したとおりであ るほか、知財高裁令和3年4月14日(令和2年(行ケ)第10107号)判決において、遅くとも平成24年9月13日には日本国内で著名性を獲得している旨認定されていることからも、明らかである。 被告が指摘する協業他社の店舗は回転ずし店であり、ほとんどが通常のすし店である原告すし店とは基本的な業態が異なるから、周知性を検 討する上で比較する意味を有しない。 また、不競法2条1項1号の要件としての周知性の地理的範囲は、全国的な周知性を指すものではなく、一地方において広く認識せられている場合を含むと解されている。 ⑶ 被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号) したといえるか(争点2-3)について(被告の主張)周知の商品等表示を「使用」したというために いる。 ⑶ 被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号) したといえるか(争点2-3)について(被告の主張)周知の商品等表示を「使用」したというためには、単に他人の商品等表示が何らかの形で自己の商品等に付されていれば足りるのではなく、それが商品等の出所を表示し、自他の商品等を識別する機能(自他商品等識別機能) を果たす態様で用いられていることを要する。 前記のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告各表示は、ダイショーグループの輸出窓口としての被告の事業内容を紹介するに際し、そのサプライチェーンの一部である本件すし店の海外での営業の事実について参照するために用いられたにすぎないものであって、自他商品等識別機能を果たす態様で用いられていない。 (原告の主張)前記のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告各表示は、被告又はダイショーグループの店舗を示すものとして用いられており、本件すし店の広告としての意味合いを有しないとは解されない。このような被告各表示の使用態様が、出所を表示するものでないと広く社会的に承認されているといっ た事情もない。 ⑷ 本件ウェブページ掲載行為が他人の営業と混同を生じさせる行為といえるか(争点2-4)について(被告の主張)被告各表示は、マレーシア等の海外における本件すし店の営業を示すにす ぎず、日本国内における原告各表示の出所表示機能等を害しないから、不競法2条1項1号の「混同を生じさせる行為」に該当しない。 (原告の主張)原審で主張したとおり、マレーシアにおいて被告各表示に接して誤認混同を生じた需要者が存在していることからすれば、本件各ウェブページにおい て被告各表示に しない。 (原告の主張)原審で主張したとおり、マレーシアにおいて被告各表示に接して誤認混同を生じた需要者が存在していることからすれば、本件各ウェブページにおい て被告各表示に接した日本国内の需要者が、被告やダイショーグループと原告の間に緊密な営業上の関係等があるとの誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 ⑸ 不競法2条1項2号該当性(争点3)について(被告の主張) ア前記のとおり、原告各表示は周知ではないから、著名ではない。 イ前記のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告各表示が自他商品等識別機能を果たす態様で用いられているとはいえないから、「自己の商品等表示として」「使用」するものに当たるとはいえない。 ウ前記のとおり、本件すし店がマレーシア等の国外でのみ営業を行っていること、当該国で被告各表示が適法な商標登録を受けていること、本件各 ウェブページにおいて被告各表示は参照的に用いられていること(被告においてそのような表示を用いる必要性もある。)、これらの事情から、国内における原告各表示のブランドイメージが害されるおそれがなく、希釈化されるおそれもないこと、原告各表示の「すしざんまい」との文字は、「心ゆくまですしを食べる状態」等の意味であり、もともと多数のすし店 に使用されてきた経緯があること、そもそも商標権は各国で独立して存在し、同一又は類似の商標が国内外で異なる主体により用いられることもあり得ること、被告が周知又は著名であった原告各表示を冒用した事実もないことからすると、本件ウェブページ掲載行為は、不正競争行為としての実質的違法性を欠く。 (原告の主張)ア原告各表示が著名性を獲得していることは、原審で主張したとおりで 実もないことからすると、本件ウェブページ掲載行為は、不正競争行為としての実質的違法性を欠く。 (原告の主張)ア原告各表示が著名性を獲得していることは、原審で主張したとおりであるほか、知財高裁令和3年4月14日(令和2年(行ケ)第10107号)判決において、遅くとも平成24年9月13日には日本国内で著名性を獲得している旨判断されていることからも、明らかである。 イ前記のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告各表示は、自他商品等識別機能を果たす態様で用いられており、「自己の商品等表示として」「使用」するものに当たる。 ウ不正競争行為の要件を形式的に充足する以上、実質的違法性が否定されるのは、特段の事情が認められる限定的な場合に限られると解すべきであ る。 前記のとおり、本件すし店がマレーシア等の国外のみの店舗展開であるといった情報は、本件各ウェブページから読み取ることはできず、「参照的使用」とはいえないのであり、本件各ウェブページは、国内において被告各表示を使用するものである。 また、原告各表示は周知著名性を獲得しているから、かつて「すしざん まい」が多数のすし店で使用されていたとしても、法的に保護されるべきことは当然である。 さらに、本件各ウェブページでは、被告各表示と共に「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司」との記載がなされており、一般的に回転寿司は低価格帯のサービスと認識されていることからすると、需要者 は、すべての原告すし店において回転寿司のような低価格帯の寿司が提供されているものと誤認し得るから、原告が運営するすし事業のブランドイメージが毀損されるおそれが生じている。 したがって、本件ウェブページ掲載行為が不正競争行為として 寿司のような低価格帯の寿司が提供されているものと誤認し得るから、原告が運営するすし事業のブランドイメージが毀損されるおそれが生じている。 したがって、本件ウェブページ掲載行為が不正競争行為としての実質的違法性を欠くとはいえない。 ⑹ 営業上の利益の侵害(不競法4条、5条)の有無(追加的争点1)について(被告の主張)前記⑸(被告の主張)ウの各事情に照らすと、本件ウェブページ掲載行為は、原告の営業上の利益を侵害するとはいえない。 (原告の主張)前記⑸(原告の主張)ウのとおり、本件ウェブページ掲載行為により、原告の営業上の利益は侵害されている。 ⑺ 先使用(不競法19条1項4号、5号)の有無(追加的争点2)について(被告の主張) ダイショーグループは、平成19年4月から本件すし店の経営及び被告各 表示の使用を開始し、現在に至るまで使用し続けているところ、少なくとも、同月頃の時点で原告各表示が日本国内において周知ないし著名であったとは認められない。 したがって、本件ウェブページ掲載行為は、不競法19条1項4号及び5号の適用除外に該当する。 (原告の主張)不競法19条1項4号及び5号における他人の商品等表示の周知性・著名性獲得時期と先使用を主張する表示の使用開始時期の先後関係は、周知性・著名性獲得地域内において判断される。原告各表示は、遅くとも平成24年9月頃には日本国内において周知性・著名性を獲得していたところ、被告が 日本国内で本件各ウェブページにおける被告各表示の使用を開始したのは平成26年4月27日であるから、先使用の要件を満たさない。 ⑻ 損害の発生及び額(争点4)について(被告の主張)商標法38条3項は ェブページにおける被告各表示の使用を開始したのは平成26年4月27日であるから、先使用の要件を満たさない。 ⑻ 損害の発生及び額(争点4)について(被告の主張)商標法38条3項は損害額の推定規定に過ぎず、その前提として、侵害行 為により損害が生じたこと自体の立証が必要となるところ、本件ウェブサイトの性質等からすると、現に日本で本件各ウェブページを見て誤認混同をした一般消費者が存在するとは考えられないから、原告に何らかの相当因果関係のある損害が生じたとは認められない。 (原告の主張) 商標法38条3項の適用については、「商標権者は、損害の発生について主張立証する必要はなく、権利侵害の事実と通常受けるべき金銭の額を主張立証すれば足りる」とされている(最判平成9年3月11日・民集51巻3号1055頁)。 さらに、本件すし店と原告すし店を誤認混同して利用していた需要者が存 在することから明らかなとおり(甲10、11)、本件すし店の利用によっ て品質等に不満を感じた需要者が、本件各ウェブページの被告各表示と相まって、日本の原告すし店を利用しなくなる事態を生じるなど、原告各商標の顧客誘引力等が減殺されていることは容易に想像できるところであり、原告に損害が生じていることは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、本件ウェブページ掲載行為は、被告各表示を商標として「使用」するものとはいえず、商品等表示を「使用」するものともいえない上、仮に商標としての使用等であると考えた場合でも、日本国内で提供される役務について使用されたものと認めることはできないから、原告の請求にはいずれも理由がないと判断する。 その理由は、次のとおりである。 2 被告が原告各 た場合でも、日本国内で提供される役務について使用されたものと認めることはできないから、原告の請求にはいずれも理由がないと判断する。 その理由は、次のとおりである。 2 被告が原告各商標を「使用」(商標法2条3項)したといえるか(争点1-3)について⑴ 本件ウェブサイトの構成、記載内容本件ウェブサイトは、別紙甲4の1から6までのとおりであり(このほか、 「プライバシーポリシー」のページ(甲4の7)がある。)、弁論の全趣旨を併せると、その内容等は、次のとおりと認められる。 アトップページ(甲4の1、別紙「被告ウェブページ目録」1のウェブページ)ページの最上段には、ダイショーグループのロゴ、「魚介類・水産加工 品、農畜産物の輸出並びに加工販売」等の記載と、後記の第2階層の各ページにリンクされたバナーである「ダイショーグループとは」、「事業内容」、「グループポリシー・ビジョン」、「会社概要」、「海外輸出をお考えの方」、「採用情報」の文字が記載され、これらは、後記の各ページにも表示されている。 これに続き、すし店の店内及び刺身料理の大きな写真、海苔の養殖場、 冷凍マグロ及びマレーシアにおける物産展のやや小さな写真のほか、「店舗情報はこちら」、「ダイショーグループの強み」のバナーがある。 これに続き、「店舗情報」として、別紙「被告ウェブページ目録」1のとおり、10の飲食店チェーンのロゴ、店名及びその説明が記載され、その一つが本件すし店に係るものであって、被告各表示とともに「手頃 な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」との説明がある。 なお、本件すし店と並べて掲載された飲食店チェーンのうちの5つには、それぞ 手頃 な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」との説明がある。 なお、本件すし店と並べて掲載された飲食店チェーンのうちの5つには、それぞれ「(MALAYSIA)」、「主にシンガポール郊外で展開する」、「クアラルンプール、OneWorldHotel 内で営業する」、「現地の人々の 好みに合わせた料理」、「地元の人々のみならず、日本人旅行者にも人気です。」との記載がある。 これに「ダイショーグループの強み」が続き、説明文等に「日本の食材・食品を世界へ届けるために、ダイショーグループでは独自の基準を設けています。」との記載があり、その横に「食材の調達能力」、「海 外での店舗開発能力」、「独自の流通システム」と記載された3つの円を組み合わせた図が記載されている(同じ図は、後記イのページにも記載されている。)。 イ 「ダイショーグループとは」のページ(甲4の2)トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるペー ジであり、「海外で本当に美味しい日本食を提供するために」との表題に続き、ダイショーグループがシンガポール、マレーシアなど東南アジアを中心に日本食の店舗を展開していること、厳選した鮮度の高い食材を日本から直送していること等が説明され、掲載された地図上には、被告が日本に所在し、約90店舗が展開されている東南アジアに向けて食材・食品の 輸出等の事業を行っていることが示されている。 ウ 「事業内容」のページ(甲4の3、別紙「被告ウェブページ目録」2のウェブページ)トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるページであり、まず、「食材・食品の輸出/提案」との表題に続き、「ダイショーグ 別紙「被告ウェブページ目録」2のウェブページ)トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるページであり、まず、「食材・食品の輸出/提案」との表題に続き、「ダイショーグループがアジアで展開している飲食店では…日本から直接仕入れた ものを調理して提供しています。」、「豊富な経験と知識を持ったスタッフが海外への輸出を担当。」、「海外輸出を検討している畜産・農業・漁業、食材メーカーの方は、お気軽にご相談ください。」との説明がある。 これに続き、「加工・流通」との表題に続けて、食材・食品の加工・流通体制についての説明(「シンガポールに冷凍倉庫を、マレーシアに3温 度帯対応の自社倉庫を完備し、自社便にて毎日配送。」等)と写真がある。 これに続き、「物産展・地域振興」との表題に続けて、マレーシアにおける物産展の説明と写真が掲載されている。 これに続き、「店舗開発・メニュー開発」との表題に続けて、別紙「被告ウェブページ目録」2のとおり、冒頭に「現在、シンガポール・マレー シア・インドネシアを中心に『寿司』『和食レストラン』など、約90店舗を展開しています。海外で人気のある伝統的な日本食をはじめ、現地の人々の嗜好に合わせアレンジした日本食を提供しています。」「選び抜いた日本の食材をもとに『海外で本当に美味しい日本食を提供したい』という想いを持ったスタッフたちが、真心を込めて調理しています。」等の説 明文があり、続けて、トップページと同内容の、本件すし店を含む10の飲食店チェーンの紹介がある(ただし、各店の説明の最下部にはウェブサイトのURLが記載され、本件すし店の部分のURLをクリックすると、スーパースシが開設した本件すし店の英文のウェブサイトに移行する(乙37)。)。 がある(ただし、各店の説明の最下部にはウェブサイトのURLが記載され、本件すし店の部分のURLをクリックすると、スーパースシが開設した本件すし店の英文のウェブサイトに移行する(乙37)。)。 エ 「グループポリシー・ビジョン」のページ(甲4の4) トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるページであり、「美味しいものは素材から」との表題に続けて、ダイショーグループが食材の品質を重視していること、「本当に美味しい日本食を、もっと世界へ」との表題に続けて、日本食の海外への普及に努め、東南アジア地域に日本食の飲食店を展開していることが説明されている。 オ 「会社概要」のページ(甲4の5)トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるページであり、ダイショーグループを構成するダイショーシンガポール、被告、ダイショーマレーシア及びダイショータイランドの4社の会社概要が記載されている。 カ 「海外輸出をお考えの方」のページ(甲4の6)トップページ等最上部の同名のバナーをクリックすると表示されるページであり、食材・食品の生産者に向けて、海外輸出について電子メールで問い合わせるための問合せフォームが設けられている。 ⑵ 被告各表示の商標法2条3項8号該当性について 前記⑴の本件ウェブサイトの構成と記載内容によれば、以下に述べるとおり、本件ウェブサイトは、全体として、被告を含むダイショーグループが東南アジアにおいて日本食を提供する飲食店チェーンを展開するとともに、そこで提供するための鮮度の高い良質な食材を日本から輸出する事業を営んでいることを紹介するものであると認められるから、被告各表示を付した本件 各ウェブページについても、本 を展開するとともに、そこで提供するための鮮度の高い良質な食材を日本から輸出する事業を営んでいることを紹介するものであると認められるから、被告各表示を付した本件 各ウェブページについても、本件すし店の「役務に関する広告」に当たると認めることはできない。 ア 「事業内容」のページ(前記⑴ウ)は、説明項目の記載順が「食材・食品の輸出/提案」、「加工・流通」、「物産展・地域振興」、最後に10の飲食店チェーンの一つに被告各表示を付した「店舗開発・メニュー 開発」となっており、それぞれ相応な分量の説明と写真があり、冒頭の 「食材・食品の輸出/提案」の末尾は、食材の海外輸出を検討する日本国内の事業者に向けた呼びかけとなっている。そうすると、これに続く「加工・流通」、「物産展・地域振興」、「店舗開発・メニュー開発」は、輸出先の国における流通経路の川下に関する事業内容を順次紹介することにより、海外輸出を検討している国内の事業者に向けて、ダイシ ョーグループを通じた輸出の利点を記載したものといえる。 イこのような食材の輸出に関連する内容は、前記⑴のとおり本件ウェブサイトの随所にみられ、特に「海外輸出をお考えの方」のページ(前記⑴カ)は、食材の海外輸出を検討する国内事業者に向けたものであることが明らかである。 ウこれに対し、被告各表示を付した部分は、上記「事業内容」のページにおいては、ページの最後に被告各表示と簡潔な説明文及び英文ウェブサイトへのリンクがあるにとどまり、ページ全体に占める割合は少なく、具体的なメニューの内容、価格、店舗の所在場所といった、一般消費者に向けて本件すし店の役務の内容を知らせる内容は乏しい(これらの情 報は、リンクされた英文ウェブサイト(乙37)に掲載されている 具体的なメニューの内容、価格、店舗の所在場所といった、一般消費者に向けて本件すし店の役務の内容を知らせる内容は乏しい(これらの情 報は、リンクされた英文ウェブサイト(乙37)に掲載されていることが推認される。)。しかも、被告各表示は、ダイショーグループが展開している飲食店チェーンを紹介した部分に掲載されている10種類の飲食店(その中には簡潔な説明文中にシンガポールやクアラルンプールの店舗であることが明記されているものもある。)の一つにすぎない。そ して、同ページの記載内容からも、本件すし店が東南アジアに所在することは比較的容易に読み取ることができる。 トップページ(前記⑴ア)において被告各表示を用いた部分をみても、英文ウェブサイトへのリンクがないことを除いては「事業内容」のページと同じであり、ページ全体に占める割合が多いとはいえず、10種類 の飲食店チェーンの一つとして店舗情報が提供されていることは、前記 「事業内容」のページと同様である。 さらに、上記の「事業内容」のページや「ダイショーグループとは」のページ(前記⑴イ)をみれば、本件すし店が東南アジアに所在すること、日本法人である被告が国内からの食材の輸出の事業を営んでいることは、比較的容易に読み取ることができる。 エこれに対し、原告は、本件各ウェブページの被告各表示が、ダイショーグループの事業内容として本件すし店の役務を「広く世間に告げ知らせる」ことを目的として使用されていること、その役務に係る出所表示機能、自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていることは明らかであるから、本件すし店の「役務に関する広告」に該当する旨主張する。 しかし、前記の本件ウェブサイトの構成と記載内容によれば、被告各表示を用いた部分 様で使用されていることは明らかであるから、本件すし店の「役務に関する広告」に該当する旨主張する。 しかし、前記の本件ウェブサイトの構成と記載内容によれば、被告各表示を用いた部分が本件すし店の役務を「広く世間に告げ知らせる」という一面があることを全く否定することはできないとしても、全体からみると、本件各ウェブページは日本からの食材の輸出という役務の広告というべきであって、被告各表示を用いた部分は、ダイショーグループが 展開する他の飲食店チェーンの紹介と併せて、国内の事業者に対し、ダイショーグループを通じて輸出した場合の食材の使用先や使用状況を明らかにし、これにより被告との間で食材の輸出取引を行うための誘因とする目的で使用されているというべきである。 このような使用態様については、本件すし店の役務に係る出所表示機能、 自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていると評価することはできない。 オ原告は、被告の取引先等が事業者であったとしても、実際に本件各ウェブページに接する担当者はすしの一般消費者でもあるから、「顧客を誘致するため」のものであることも否定されないとも主張する。 しかし、証拠(乙34、35)によれば、平成26年9月から令和5年 11月頃までの期間において、本件ウェブサイトに設けられた一般的な問合せフォーム(海外輸出を考える国内生産者等に向けた問合せフォームとは別に設けられたもの)を利用して行われた問合せ394件は、すべて事業に関する問合せであり、一般消費者からのダイショーグループの店舗に関する問合せはなく、本件すし店に関し、原告と関係のある事 業又は企業グループであると誤解した趣旨の問合せもなかったことが認められる。このことと、前記のとおり 者からのダイショーグループの店舗に関する問合せはなく、本件すし店に関し、原告と関係のある事 業又は企業グループであると誤解した趣旨の問合せもなかったことが認められる。このことと、前記のとおり、本件各ウェブページにおいても、一般消費者に向けて本件すし店の役務の内容を知らせる内容は乏しく、全体に占める記載の量も少ないことを併せ考慮すると、本件ウェブページ掲載行為は日本からの食材の輸出という被告の役務の広告として行わ れたものであり、被告各表示は、輸出された食材が現地の飲食店チェーンで使用されていることを示すことを通じて被告の事業内容を紹介するために用いられているものと認めるのが相当である。原告の主張を採用することはできない。 カ原告は、閲覧者がウェブサイトを隅々まで読み込むことは稀であるから、 特にトップページを一見した閲覧者は、国内外を意識することなく、被告又はダイショーグループが「SushiZanmai」の店舗を運営していると認識するのが通常であり、「事業内容」のページについても同様である旨主張する。 しかし、前記のとおり、トップページ及び「事業内容」のページの記載 内容をみても、一般消費者に向けて本件すし店の役務の内容を知らせる内容は乏しく、現に本件各ウェブページを閲覧した者から被告に対し、本件すし店に関する問合せがあった実例もない。一方、食材の輸出に関連する内容は「事業内容」のページを含め本件ウェブサイトの随所に多数記載されており、各ページはその最上部の文字バナーをクリックすれ ば閲覧可能であることからすると、閲覧者が被告各表示に係る部分のみ を一見し、原告主張のように認識すると認めることはできない。 キ原告は、ダイショーグループの輸出窓口としての被告の事業 覧可能であることからすると、閲覧者が被告各表示に係る部分のみ を一見し、原告主張のように認識すると認めることはできない。 キ原告は、ダイショーグループの輸出窓口としての被告の事業内容を紹介する目的であれば、少なくとも図形化されたロゴマークである被告表示2を使用する必要はない旨主張する。 しかし、本件各ウェブページが本件すし店の役務の広告であるといえる か否かは、単にロゴマークが使用されていたかどうかによって決まるものではなく、その使用の態様や、被告各表示が使用された部分を含む本件ウェブサイト全体の構成、内容によって判断されるべきものである。 前記のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告表示2はダイショーグループが東南アジア各国に展開する飲食店チェーンの一つを示すもの として用いられたものにすぎず、その他前記した被告各表示の使用の態様並びに本件ウェブサイトの構成及び記載内容に照らし、原告の主張する点は、本件各ウェブページの性質に関する前記判断を左右するに足りるものではない。 ク以上によれば、被告各表示は、その態様に照らし、食材の海外輸出を検 討する国内事業者に向けた本件各ウェブページの中で、被告の事業を紹介するために使用されているにすぎず、本件すし店を日本国内の需要者に対し広告する目的で使用されたものではなく、現にそのような効果が生じている証拠もない。 したがって、本件ウェブページ掲載行為は、「本件すし店の役務に関 する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為」として商標法2条3項8号に該当するものということはできない。 ⑶ 被告各表示と原告各商標権の侵害について仮に、原告が主張するとおり、被告各表示の使用が本件すし店の存在を日本国内に広く知らしめるとい 標法2条3項8号に該当するものということはできない。 ⑶ 被告各表示と原告各商標権の侵害について仮に、原告が主張するとおり、被告各表示の使用が本件すし店の存在を日本国内に広く知らしめるという点において「広告」に該当し、商標的使用に 該当すると考えた場合でも、以下のとおり、被告各表示は、日本国内におけ る役務の提供について使用されているものではないから、原告各商標権を侵害するものではない。 アすなわち、被告各表示は、日本語で記載された本件各ウェブページに掲載されているから、これが本件すし店の広告に該当すると考えたときは、日本国内において商標法2条3項8号に該当する行為がされたものと一応 いうことができる。 イしかるところ、前記のとおり、本件各ウェブページは、食材の海外輸出を検討する国内事業者に向けたものであると認められ、被告各表示は、本件各ウェブページの中でダイショーグループが海外で日本の食材を用いた飲食店チェーンを展開していることを示す際に使用されている。本件各ウ ェブページには、本件すし店の具体的なメニューの内容、価格など、一般消費者に向けて本件すし店の役務を知らせる内容は一切記載されておらず、「事業内容」のページの被告各表示の下のリンクから誘導されるのは英文のページのウェブサイトである。 ウまた、証拠(乙17、21)及び弁論の全趣旨によれば、本件すし店は、 日本国外(シンガポール、マレーシア)で飲食物の提供等の役務を提供していることが認められ、シンガポールやマレーシアで商標登録されている被告各表示(甲8、乙14、15。商標権者はスーパースシである。)は、現地でその役務を提供するに当たり、使用されている標章である。本件すし店が、日本国内で同様の役務を提供している事実は認められ いる被告各表示(甲8、乙14、15。商標権者はスーパースシである。)は、現地でその役務を提供するに当たり、使用されている標章である。本件すし店が、日本国内で同様の役務を提供している事実は認められない。 エそうすると、被告各表示は、本件すし店の日本国内における役務の提供について用いられているものではない。被告各表示を見た日本国内の消費者が被告各表示により役務の提供の出所を誤認したとしても、本件すし店が日本で役務を提供していない以上、その誤認の結果(原告の店であると誤認して、本件すし店から指定役務の提供を受けること)は、常に日本の 商標権の効力の及ばない国外で発生することになるはずであり、日本国内 で原告各商標権の出所表示機能が侵害されることはない。なお、証拠(甲10、11)によれば、クアラルンプールの本件すし店に入店する際、これを原告の支店であると誤認した日本人がいた事実が認められるが、当該出所の誤認が本件各ウェブページの被告各表示を閲覧した結果生じたものであることを認める証拠はない上、出所の誤認が国外で発生していること に変わりはないから、当該事実は、前記判断を左右するに足りるものではない。 オもともと、一国において登録された商標は、他の国において登録された商標から独立したものとされており(パリ条約6条1項及び3項)、かつ、いわゆる属地主義の原則により、商標権の効力は、その登録された国内に 限られるものと解される。外国において適法に登録された商標である被告各表示が当該外国における指定役務の提供を表示するため本件各ウェブページ上で使用された場合において、原告各商標権に基づき被告各表示の使用差止等を認めることは、実質的にみて、原告各商標の国内における出所表示機能等が侵害されていないにもかか 表示するため本件各ウェブページ上で使用された場合において、原告各商標権に基づき被告各表示の使用差止等を認めることは、実質的にみて、原告各商標の国内における出所表示機能等が侵害されていないにもかかわらず、外国商標の当該外国にお ける指定役務表示のための適法な使用を日本の商標権により制限することと同様の結果になるから、商標権独立の原則及び属地主義の原則の観点からみても相当ではないというべきである。 ⑷ 共同勧告について上記のとおり解することは、共同勧告において、インターネット上の標識 の使用は、メンバー国で商業的効果を有する場合に限り、当該メンバー国における使用を構成するとされていること(共同勧告2条)とも整合するものである。すなわち、共同勧告3条⑴項で掲げられている商業的効果を決定するための要因についてみると、本件すし店が日本で役務を提供しておらず、提供する計画に着手した旨を示す状況はないこと(同項(a))、本件各ウェ ブページには本件すし店の日本通貨による価格表示はされておらず(同項 (c)(ii))、日本国内における連絡方法も掲載されていないこと(同項(d)(ii))等が認められることに加え、前記のとおり、本件各ウェブページ自体は日本からの食材の輸出という役務の広告を目的とするものであり、被告各表示は、輸出された食材を国外で使用する飲食店チェーンを紹介するという文脈で使用されていること等の事情が認められる。これら全ての事情を 総合的に考慮すると、本件各ウェブページが日本語で作成されており(同項(d)(iv))、日本国内の顧客に対し本件すし店の役務を提供する意図がないことが明示的に表示されているわけではない(同項(b)(ii))ことを踏まえても、本件各ウェブページにおける被告各表示の使用は、 )(iv))、日本国内の顧客に対し本件すし店の役務を提供する意図がないことが明示的に表示されているわけではない(同項(b)(ii))ことを踏まえても、本件各ウェブページにおける被告各表示の使用は、日本国内における商業的効果を有するということはできないから、日本国内における商標とし ての使用に当たるものではないというべきである。 ⑸ 小結以上によれば、原告の主張を考慮しても、本件各ウェブページは、日本からの食材の輸出という役務の広告というべきであり、仮に被告各表示を本件すし店の役務の広告であると考えた場合でも、当該役務は国外で提供される 役務であるから、原告各商標の国内における出所保護機能を害するものではない。 したがって、本件ウェブページ掲載行為は、商標法2条3項8号に該当しないから、被告が原告各商標を「使用」(商標法2条3項)したということはできないし、実質的にみても、原告各商標権を侵害するものではない。 そうすると、その余の点を判断するまでもなく、原告各商標権の侵害に基づく原告の請求には、いずれも理由がない。 3 被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号)したといえるか(争点2-3)、及び不競法2条1項2号該当性(争点3)について ⑴ 前記2のとおり、本件各ウェブページにおいて、被告各表示は、日本から の食材の輸出という被告の事業に関連する情報の一つを示すために使用されていると認められるから、他人の商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用し、出所表示機能、自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていると評価することはできない。また、仮に、被告各表示が、本件すし店の提供する役務を表示するために使用されていると考えたとしても、当該役務は日 本国内 自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていると評価することはできない。また、仮に、被告各表示が、本件すし店の提供する役務を表示するために使用されていると考えたとしても、当該役務は日 本国内の役務ではなく、国外で提供される役務であるから、日本国内において、出所表示機能、自他商品識別機能等を果たす態様で使用されていると評価することはできない。 そうすると、本件ウェブページ掲載行為は、被告各表示を商品等表示として「使用」するもの(不競法2条1項1号)に当たらないから、その余の点 を判断するまでもなく、不競法2条1項1号に基づく原告の請求は、理由がない。 ⑵ 同様の理由により、被告各表示は、不競法2条1項2号に規定する「商品等表示」としての使用には該当しない。結局、不競法2条1項2号に基づく原告の請求も理由がない。 4 結論よって、原判決のうち原告の請求を一部認容した部分は相当ではなく、本件控訴は理由があるから、原判決中被告敗訴部分を取り消し、同部分に係る原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 (別紙)被告表示目録 SushiZanmai 以上 (別紙) 一 (別紙)被告表示目録 SushiZanmai 以上 (別紙)被告ウェブページ目録 1 http:以下省略なお、当該ウェブページ内の被告による表示の使用箇所を赤枠で示す。 2 http:以下省略なお、当該ウェブページ内の被告による表示の使用箇所を赤枠で示す。 (別紙)
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