令和5年3月15日宣告令和4年(わ)第824号詐欺 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、訪問介護施設等を運営する有限会社A代表取締役Bを欺き、Aから金銭をだまし取ろうと考え、分離前の相被告人Xと共謀の上、令和2年7月26日から同年12月12日までの間、複数回にわたり、堺市a区bc番地dA事務所等において、B(当時49歳)に対し、真実は、被告人は独立行政法人福祉医療機構(以下「WAM」という。)の新型コロナウイルス対応支援資金による無担保無保証融資(以下「本件融資」という。)の決定権限を有しておらず、被告人らを通じなくても本件融資を受けることができる上、融資金の返済ができなければ、WAMから民事責任を追及されるにもかかわらず、被告人がWAM又はその関係機関の審議官であり、本件融資の決定権限を有しており、被告人らを通じて本件融資を申し込めば特別に本件融資を受けることができる上、被告人らを通じて融資金の約半額をWAM又はその関係機関に戻せば、融資金の返済ができなくても民事責任を追及されることがないように装いながら、その旨のうそを言い、Bにその旨誤信させ、よって、同人に、同年11月10日頃、被告人らを通じて本件融資の申込みをさせて、同年12月15日、WAMから本件融資として株式会社C銀行D支店に開設されたA名義の普通預金口座に1億2000万円の振込入金を受けさせた上、同月16日、同口座から、Eから口座使用の承諾を得た同人管理の株式会社F銀行G支店に開設された株式会社H名義の普通預金口座に現金1320万円を、前同様の株式会社I銀行J支店に開設された株式会社K名義の普通預金口座 口座から、Eから口座使用の承諾を得た同人管理の株式会社F銀行G支店に開設された株式会社H名義の普通預金口座に現金1320万円を、前同様の株式会社I銀行J支店に開設された株式会社K名義の普通預金口座に現金4620万円をそれぞれ振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)罰条刑法60条、246条1項刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の理由)被告人らは、多額の金銭を得ようと考え、本件融資が新型コロナウイルスの感染拡大により経営に影響を受けた福祉施設等を速やかに支援するため融資を受けやすい状況にあることにつけ込んで、被害者を欺き、Aに1億2000万円の本件融資を受けさせた上、その半額近くをだまし取ったものであり、利欲性の高い卑劣な犯行である。欺罔行為の態様についてみても、綿密に謀議を重ねた上、実在する無担保無保証の本件融資を前提としながら、被告人がWAM等の審議官を名乗り、本件融資については正規の申込手続きのほかに特別なルートがあって、被告人らを通せば確実に満額の融資を受けられるし、融資額の約半額をWAM等に戻し政治的資金として環流してもらえれば、融資金の返済ができなくてもWAMから民事責任を追及されることがなくなる旨繰り返し虚偽の説明をするとともに、現役の市議会議員である共犯者も同席して共に本件融資の申込みを勧誘することによりその信ぴょう性を高めるなど、計画的で巧妙、悪質なものといえる。被害額は5940万円と相当高額に上り、Aは十分な返済計画も立てられないまま前記のとおり巨額の債務を負うことになったのであって、結果も重大である。このような犯行にあって、被告人は、共犯者を引き込み、自らWAM等の審議官を装って欺罔行為を行うなど な返済計画も立てられないまま前記のとおり巨額の債務を負うことになったのであって、結果も重大である。このような犯行にあって、被告人は、共犯者を引き込み、自らWAM等の審議官を装って欺罔行為を行うなど主要な役割を果たしたのであるから、その刑事責任は重く、実刑に処することも十分に考えられる。 もっとも、被告人が、Aに対して、起訴されていない関連会社に係るものも含め、全額の被害弁償を行って示談を成立させ、Aと被害者から宥恕を得ていることは、財産犯である本件において相当程度考慮する必要があり、刑の執行猶予を選択する 余地がある。加えて、被告人が本件犯行を認め、今後も情状証人として出廷した雇用主の下で働き、二度と犯罪には手を染めないと述べていることなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。 そこで、これらの事情も考慮し、主文の刑に処してその刑事責任を明らかにした上、最も長い執行猶予期間を定めて今回に限り社会内での更生の機会を与えるのが相当であると判断した。 (求刑懲役4年)令和5年3月15日福岡地方裁判所第2刑事部 裁判長裁判官冨田敦史 裁判官辛島靖崇 裁判官加々美希
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