判決 主文 被告人Aを懲役8年に、被告人Bを懲役7年に処する。 被告人らに対し、未決勾留日数中各120日を、それぞれその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人両名は、氏名不詳者と共謀の上、法定の除外事由がないのに、平成22年3月25日午前零時57分頃、不特定又は多数の者の用に供される場所である福岡県嘉麻市a 字bc 番d のC株式会社駐車場において、同社事務所の出入口扉に向けて、自動装填式拳銃で弾丸3発を発射し、同弾丸を、D有限会社が所有する前記事務所の出入口扉ガラス及び前記事務所内の前記株式会社が所有するキャビネット等に命中させて損壊し(損害額合計52万7557円相当)、もって不特定又は多数の者の用に供される場所において拳銃を発射するとともに、他人の建造物及び物を損壊した。 (証拠の標目)省略(累犯前科及び確定裁判)省略(法令の適用)省略(量刑の理由) 1 本件は、被告人両名が、所属する暴力団組織の上位者からの指示の下、被害会社の建物出入口扉に向けて、同社敷地内の駐車場から拳銃を3発発射し、建物の出入口扉ガラスや建物内の備品類を損壊したという事案である。その犯行態様は、人通りの少ない深夜に、内部に人がいない建物の出入口扉に向けて拳銃を発射するというものであって、人を死傷させる危険性が相対的に高いとはいえないもの の、周辺の民家や、現場付近を通りかかった人又は車両等に命中するなどして危害を及ぼす一定の危険性を有するものであった。本件犯行により被害会社の関係者に大きな恐怖と不安を与え、合計52万円以上に及ぶ財産的損害を生じさせた上、現場付近には民家や学校も存在しており、周辺住民や地域社会に対して強い恐怖感を与えた点も軽視で 件犯行により被害会社の関係者に大きな恐怖と不安を与え、合計52万円以上に及ぶ財産的損害を生じさせた上、現場付近には民家や学校も存在しており、周辺住民や地域社会に対して強い恐怖感を与えた点も軽視できない。被告人らは、被害会社に対する嫌がらせ又は脅しになることは分かりながら、被害者らに与える影響等を考えず、上位者の指示があればその内容を問わず従うという暴力団特有の反社会的な動機に基づいて本件を敢行しており、動機も悪質というほかない。 被告人Aは、上位者の命を受け、実行犯として本件犯行において必要不可欠な役割を担っており、その刑事責任は重いというべきである。また、被告人Bも、上位者の命を受け、犯行現場への運転手役を担ったほか、犯行に使用された自動車の準備及び処分、拳銃の整備を含む準備及び処分を行い、その関与がなければ本件犯行を遂げることはできなかったのであるから、被告人Bも被告人Aと同等に近い責任を負うべきである。しかも、被告人Bは、累犯前科を含む複数の服役前科を有するにもかかわらず、前刑の執行終了後わずか1年足らずで本件犯行に及んでおり、その法を守る意識は鈍っているというほかない。 以上の犯情からすれば、本件は同種事案(銃砲等の発射、発射数1発から5発、処断罪と同一又は同種の罪の件数1件、処断罪名と異なる主要な罪なし)の量刑傾向の中で、被告人Aについては概ね懲役7年から8年、被告人Bについてはそれに準ずる年数の範囲内にそれぞれ位置付けられる事案といえる。 2 その上で、被告人両名が事実を認めたことにより、本件犯行の真相が一部明らかになった面はあるものの、事実を認めたのは本件犯行から15年近く経過した後のことである上、被告人両名の自白によって組織的な背景を含む本件犯行の全体像が明らかになったともいえない。被告人両名は、当公判廷にお た面はあるものの、事実を認めたのは本件犯行から15年近く経過した後のことである上、被告人両名の自白によって組織的な背景を含む本件犯行の全体像が明らかになったともいえない。被告人両名は、当公判廷において反省の言葉を述べ、被告人Aは、暴力団を脱退する意思がある旨述べるものの、長期間暴力団幹部として活動し、組長として組員を抱える立場にありながら、現時点において 脱退に向けた具体的な手立てを何ら講じていない。また、被告人Bは、暴力団を脱退するか否かについては出所後に考える旨述べるにとどまっている。さらに、被告人両名は、被害者に対する被害弁償を申し入れた旨述べるものの、本件犯行から長期間経過した後の申入れであり、その金額も、本件犯行により生じた財産的及び精神的損害を回復するには到底足りないものである。被告人両名の自白や被害弁償の申入れは、暴力団による組織的犯行に関与したことに対する真摯な反省に基づくものとは言い難い。 3 以上の各事情を考慮し、本件が前記確定裁判の確定前余罪であることも踏まえ、被告人両名に対しては主文の刑を科すことが相当であると判断した。 (検察官の求刑:被告人両名について懲役8年、弁護人の科刑意見:被告人Aについて懲役6年、被告人Bについて懲役4年の判決)令和7年9月5日福岡地方裁判所第1刑事部 裁判長裁判官今泉裕登 裁判官西木文香 裁判官高橋聡
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