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昭和43(ネ)72 雇傭関係存在確認等請求控訴、同不帯控訴事件

裁判所

昭和47年6月29日 仙台高等裁判所

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35,858 文字

主文 一控訴人(附帯被控訴人)の本件控訴を棄却する。二被控訴人(附帯控訴人)の附帯控訴(請求の拡張)及び請求の減縮に基づき、原判決主文第二、三項を次のとおり変更する。控訴人(附帯被控訴人)は被控訴人(附帯控訴人)に対し、金三九六万八、九三五円及び内金二一万九、二九〇円に対する昭和四二年一二月一日から、内金一五七万二、七三五円に対する昭和四六年一月九日から、内金一八万六、七六〇円に対する同年七月一四日から、内金一九九万〇、一五〇円に対する同年一二月一〇日からそれぞれの支払ずみに至るまで年六分の割合による金員並びに同年同月から雇傭契約終了に至るまで毎月二〇日限り毎月金六万五、三五〇円宛をそれぞれ支払え。三訴訟費用は第一、二審とも控訴人(附帯被控訴人)の負担とする。四この判決第二項は仮に執行することができる。事実 一控訴人(附帯被控訴人、以下「控訴人」という。)代理人は、「原判決を取消す。被控訴人(附帯控訴人、以下「被控訴人」という。)の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決、附帯控訴につき棄却の判決を求め、被控訴人代理人は、控訴棄却の判決、附帯控訴及び請求の減縮により、主文第二、三項と同旨の判決並びに仮執行の宣言を求めた。二当事者双方の主張及び証拠関係は、次に付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおり(ただし、原判決四枚目表一〇行目に「同年八月一日」とあるのを「昭和四一年八月一日」と、同七枚目裏五行目に「同号証」とあるのを「乙号各証」とそれぞれ訂正する。)であるから、ここにこれを引用する。1 控訴人の主張(一) 従前の主張の補足(本件転勤命令と業務上の必要性及び被控訴人を転勤の対象者に決定した理 とあるのを「乙号各証」とそれぞれ訂正する。)であるから、ここにこれを引用する。1 控訴人の主張(一) 従前の主張の補足(本件転勤命令と業務上の必要性及び被控訴人を転勤の対象者に決定した理由)(1) 控訴人が本件転勤を命じたのは、従前の主張のとおり、a支店の欠員補充と新たに増大する事務量を処理するため、業務上の合理的必要性があつたからであるが、昭和四一年七月三日とくに被控訴人を二本松支店からa支店に転勤させることとしたのは、従業員数の多い本店営業部、福島、平、若松の各支店には転出させる程人員の余裕がなく、常時二〇名以上の従業員を配置している二本松、須賀川、bの三支店のうち、須賀川、bの二支店は業務の関係から減員が困難であり、二本松支店のみは取引量の約三〇パーセントがその管内にある岳温泉地区に集中されている関係で比較的事務量にも余裕があると考えられたこと、二本松支店とa支店の従業員の年齢の平均化を期するため、A1、A2、A3、B及び被控訴人の五名が対象となつたが、前三者はそれぞれ全相銀連大東相互銀行従業員組合(以下「従組」という。 いる二本松、須賀川、bの三支店のうち、須賀川、bの二支店は業務の関係から減員が困難であり、二本松支店のみは取引量の約三〇パーセントがその管内にある岳温泉地区に集中されている関係で比較的事務量にも余裕があると考えられたこと、二本松支店とa支店の従業員の年齢の平均化を期するため、A1、A2、A3、B及び被控訴人の五名が対象となつたが、前三者はそれぞれ全相銀連大東相互銀行従業員組合(以下「従組」という。)の中央委員、中央執行委員、二本松支店分会の分会長であり、Bは結婚予定のため転勤させないとの了解を与えていたため、いずれも異動の対象から除外し、結局独身であり家庭事情について別段支障のない被控訴人が適任であると思料されたことによるものである。控訴人は被控訴人が従組の青婦人部の書記長をしていることを後日知つたものであつて、右異動が被控訴人の組合活動を嫌悪した結果によるものでは断じてない。(転勤発令までの手続)(2) 控訴人は昭和四一年七月四日当時従組との間に存した大東相互銀行労働協約(以下「協約」という。)四六条一項労働協約に関する覚書(以下「覚書」という。)二条の規定に基づき、従組に対し被控訴 )(2) 控訴人は昭和四一年七月四日当時従組との間に存した大東相互銀行労働協約(以下「協約」という。)四六条一項労働協約に関する覚書(以下「覚書」という。)二条の規定に基づき、従組に対し被控訴人をa支店に転勤させたい旨申入れて協議したが、従組は何ら首肯するに足りる理由も開示することなく、控訴人に対し再検討すべきことを求め、かつ、実質調査のため二、三日の猶予を求めながら何らの回答もしなかつたのみでなく、被控訴人も控訴人が直接事情を聴取するため同月九日本店に出頭するよう連絡したにかかわらず出頭しなかつた。そこで控訴人は同日従組及び被控訴人に対し同月一八日付で被控訴人の異動を発令する旨通知したところ、従組は同月一一日控訴人に対し被控訴人の異動を拒否する旨通告したので、控訴人は右異動を発令した。(懲戒解雇に至るまでの経緯)(3) 被控訴人は赴任期限である同月二一日までに赴任しないばかりでなく、同月二三日控訴人の労務担当常務取締役Iが特別の配置のもとに言葉をつくして勧告、説得をしたにもかかわらず、従組に一任したことを理由としてこれに応ずることなく、福島県地方労働委員会に対し右異動が不当労働行為であるとして救済の申立をした。 し被控訴人の異動を拒否する旨通告したので、控訴人は右異動を発令した。(懲戒解雇に至るまでの経緯)(3) 被控訴人は赴任期限である同月二一日までに赴任しないばかりでなく、同月二三日控訴人の労務担当常務取締役Iが特別の配置のもとに言葉をつくして勧告、説得をしたにもかかわらず、従組に一任したことを理由としてこれに応ずることなく、福島県地方労働委員会に対し右異動が不当労働行為であるとして救済の申立をした。控訴人としては事態を円満に解決するため同月二九日被控訴人の父及び身元引受人に対して出頭を要請したがいずれも出頭しなかつた。そこで控訴人は同月三〇日付をもつて被控訴人に対し同年八月三日までに赴任するよう命ずるとともに、同日までに赴任しないときは解雇する旨をも併せて通告し、従組に対してもその旨通知した。控訴人は同日の団体交渉において、従組の要請により右赴任期限を同月一〇日まで延期することを承諾し、従組に対し同日までに赴任しないときは被控訴人の解雇につき同意を得たい旨申入れたが、従組は同月四日開催の中央執行委員会において いて、従組の要請により右赴任期限を同月一〇日まで延期することを承諾し、従組に対し同日までに赴任しないときは被控訴人の解雇につき同意を得たい旨申入れたが、従組は同月四日開催の中央執行委員会において、また、同月一〇日開催の第七回中央闘争委員会において、被控訴人の転勤を拒否しその解雇をも辞することなく断固闘う趣旨の決議をし、同月一一日被控訴人の解雇についての同意を拒否し、被控訴人自身も赴任しなかつたので、控訴人は企業経営における秩序維持、業績高揚の目的に即応するため、同日被控訴人を正当な理由なく業務命令に従わないものとして懲戒解雇し、被控訴人に対しその旨口頭で告知した。(本件懲戒解雇が協約に違反しない理由)(4) かかる事情のもとにおいては、控訴人が懲罰委員会を開催しても従組側の委員は従組の右決議に反して議決権を行使し、被控訴人を懲戒解雇することに同意しもしくは賛成することはあり得ないし、これにつき従組の同意を求めてもこれを得ることが期待できないことは必定であるから、懲罰委員会の議を経ることなく、かつ、従組の同意を得ることなく被控訴人を懲戒解雇したものであつて、このことをもつて協約五二条、五六条に違反するものということはできない。けだし、控訴人がいかなる場合にも協約の右条項によらなければ、その従業員を解雇することができず、その効力が否定されると解することは、私有財産としての企業の保有責任を所有者である使用者に帰している現行法制のもとにおいては、とり得ない見解といわなければならないからである。 つ、従組の同意を得ることなく被控訴人を懲戒解雇したものであつて、このことをもつて協約五二条、五六条に違反するものということはできない。けだし、控訴人がいかなる場合にも協約の右条項によらなければ、その従業員を解雇することができず、その効力が否定されると解することは、私有財産としての企業の保有責任を所有者である使用者に帰している現行法制のもとにおいては、とり得ない見解といわなければならないからである。しかも被控訴人に懲戒解雇に値する前記のような業務命令違反行為かあることが明らかであるのに対し、従組が何ら首肯できる理由なく徒らに反対している本件のごとき場合には、なおさらである。(不当労働行為の不成立)(5) 本件転勤命令及び懲戒解雇は不当 令違反行為かあることが明らかであるのに対し、従組が何ら首肯できる理由なく徒らに反対している本件のごとき場合には、なおさらである。(不当労働行為の不成立)(5) 本件転勤命令及び懲戒解雇は不当労働行為を構成するものではない。ア福島県地方労働委員会及び中央労働委員会が被控訴人主張の救済命令をしたことは事実であるが、これらの命令書において不当労働行為と認められたのは、本店総務課長C、経理課長D、c支店長E、平支店長F、d支店G、e支店長Hらの行為であり、これを控訴人の行為であるとして控訴人にいくつかの不当労働行為のあつたことを認めたものである。しかし従組が分裂した主たる要因は従組内部に存したもので、右六名らの支配介入のごときは、わずかに数名を第二組合(大東相互銀行職員組合、以下「職組」という。)に加入せしめるのに役立つたにすぎず、右六名らの言動は控訴人代表者、常務取締役その他の常勤取締役、人事担当の部課長、その関係者らとは全く連絡なしになされ、これらの者の全く関知しなかつたことであり、しかも不当労働行為であると認めているのは、いずれも大東同志会、職組への加入及び従組からの脱退に関するもので、被控訴人に転務を命じたこと及び被控訴人を解雇したことに関するものでないから、救済命令が指摘するいくつかの行為を不当労働行為と認めても、これをもつてただちに、控訴人が業務上の合理的必要性によつて被控訴人に対してした本件転勤命令及び懲戒解雇を不当労働行為とすることはできない。イ企業の経営についてもつとも重要なものの一つは、特段の事情のない限り、企業の内外における労働事情をできるだけ正確に把握し、かかる把握の上に立つて企業内における労務管理の適正を期し、労使関係における紛争をできるだけ最少限にくいとめ、従業員の協力を得て生産性を高めることである ただちに、控訴人が業務上の合理的必要性によつて被控訴人に対してした本件転勤命令及び懲戒解雇を不当労働行為とすることはできない。イ企業の経営についてもつとも重要なものの一つは、特段の事情のない限り、企業の内外における労働事情をできるだけ正確に把握し、かかる把握の上に立つて企業内における労務管理の適正を期し、労使関係における紛争をできるだけ最少限にくいとめ、従業員の協力を得て生産性を高めることである 内外における労働事情をできるだけ正確に把握し、かかる把握の上に立つて企業内における労務管理の適正を期し、労使関係における紛争をできるだけ最少限にくいとめ、従業員の協力を得て生産性を高めることである。したがつて控訴人が直接労務管理の衝に当つている本店部課長及び支店長らの管理職に対し、命令書のいうように、「連合通信」の記事及びI常務取締役の文書を送付し、同文書の中で右命令書の指摘するようなことをI常務取締役の言葉として述べられてあつても、労務管理の面において右のような立場にある控訴人としては当然なすべきことをしたもので、従組内部に批判派の醸成をはかつたものであるなどということはできない。仮に控訴人が右命令書にいうような意図をもつて、「連合通信」の記事及びI常務取締役の文書を送付したものであるとしても、これのみで不当労働行為が成立するいわれがない。また、右命令書の指摘する本店部課長、支店長を除く役席員八四名は、もともと従組がその組合員たる資格を有するものとして従組に加入することを許し、その組合員として認めてきたものであり、したがつてこれらの者が新たに職組を結成しこれに加入することは、憲法二八条、労働組合法七条一号等によつて保障されているところであるから、使用者たる控訴人において反対することは同法同条三号に違反して許されないところであり、右命令書のいうように、控訴人がこれらの者が職組に加入することに反対しなかつたことをもつて、不当労働行為意思があつたということはできない。不当労働行為が成立するためには、その要件が具備されていることが必要であり、職組結成活動が使用者の意に沿うものであるかどうかは不当労働行為の成立要件とは関係がない。したがつて右命令書のいうように職組結成活動が控訴人の意に沿うものであつても、控訴人に不当労働行為の成立を認 、職組結成活動が使用者の意に沿うものであるかどうかは不当労働行為の成立要件とは関係がない。 働行為意思があつたということはできない。不当労働行為が成立するためには、その要件が具備されていることが必要であり、職組結成活動が使用者の意に沿うものであるかどうかは不当労働行為の成立要件とは関係がない。したがつて右命令書のいうように職組結成活動が控訴人の意に沿うものであつても、控訴人に不当労働行為の成立を認 、職組結成活動が使用者の意に沿うものであるかどうかは不当労働行為の成立要件とは関係がない。したがつて右命令書のいうように職組結成活動が控訴人の意に沿うものであつても、控訴人に不当労働行為の成立を認めるに由ないものである。ウ職組が何びとを執行委員に選任するかは、職組自体が決定すべきことで控訴人の介入の許されないところであり、職組のJ初代執行委員長、K副委員長、L執行委員らが新たに設けられた統括室長又はその室員に任ぜられたのは、同人らがそれらの職種に適するためにすぎず、また、M、A2らを転勤させたのは、義務上同人らを転勤させるべき合理的な必要性があつたからにすぎない。歓送迎会、旅行会、忘年会、新年会、慶祝、家族会等に従組の組合員やその家族を参加させなかつたことは、これらがすべて職組の主催にかかるものであり、職組の関係者の決定するところであるから、控訴人のいかんともし得なかつたところである。被控訴人主張の事実をもつて控訴人に不当労働行為意思のあつたことを推定することはできない。エ被控訴人は本件解雇に至るまで集金業務を担当しており、しかも控訴人の転勤命令に肯ぜず、後任者に対する事務引継をしなかつたため、控訴人の検査室長Nが昭和四一年七月二九日引継検査をしたところ、同日現在において、同年三月前任者A1から現金不足不符合分を補償すべきものとして預つていた金一、六〇〇円を着服したのをはじめ、同月一五日Oから集金した金一、〇〇〇円について、同人所持の通帳には金一、〇〇〇円と記入しながら元帳には金五〇〇円入金と記入し、同日の集計合計額が金四万〇、八五〇円であるのに金三万九、八五〇円を入金し、金一、〇〇〇円を入金しなかつたこと、同年七月六日Pから集金した金一、五〇〇円のうち金五〇〇円を入金しなかつたこと、翌七日Qから集金した金二〇〇円を元帳に 〇円であるのに金三万九、八五〇円を入金し、金一、〇〇〇円を入金しなかつたこと、同年七月六日Pから集金した金一、五〇〇円のうち金五〇〇円を入金しなかつたこと、翌七日Qから集金した金二〇〇円を元帳に記入しなかつたことが明らかになつた。 五〇円を入金し、金一、〇〇〇円を入金しなかつたこと、同年七月六日Pから集金した金一、五〇〇円のうち金五〇〇円を入金しなかつたこと、翌七日Qから集金した金二〇〇円を元帳に 〇円であるのに金三万九、八五〇円を入金し、金一、〇〇〇円を入金しなかつたこと、同年七月六日Pから集金した金一、五〇〇円のうち金五〇〇円を入金しなかつたこと、翌七日Qから集金した金二〇〇円を元帳に記入しなかつたことが明らかになつた。そこで控訴人は従来どおり被控訴人が集金し、事情を知らない得意先に迷惑をかけることがあつてはならないと思料し、これを回避しようとして被控訴人を解雇したことを知らせるため、新聞公告をしたにすぎず、被控訴人に対する報復、従組組合員に対する見せしめのためになしたものではない。かかる公告をすることは、信用を第一とする控訴人としてはもとより好ましいことではないが、万一解雇後において得意先に迷惑をかけることがあれは、控訴人の信用を失墜すること公告の場合に比較すべくもないと考えたからにほかならない。オ被控訴人主張の期間に控訴人の重役、役席者が二本松支店に行つたのは七名程度であり、そのうちI常務取締役及びR1総務部長は二本松所在の菅野繊維に招待された際に同支店に立寄つたものであり、その余の五名は一斉ランチの際に金銭や書類の保安のため応援に行つたにすぎず、従組分会の切崩しや同分会員の弱点を捜し求めるため、また従組と地域の共闘会議との連絡の衝に当たつていた被控訴人の言動を監視するため行つたものではない。いずれにしても控訴人は被控訴人の組合活動を嫌悪し、これを抑圧する意図のもとに被控訴人を転動させ、解雇したものではない。(二) 当審における新たな予備的主張(1) 仮に控訴人が被控訴人に対してなした懲戒解雇が協約五二条、五六条に違反する無効なものであるとしても、協約は昭和四二年九月七日の満了と同時に失効したから、右条項の解雇同意約款もまた効力を失つたものである。そこで控訴人は昭和四三年二月二九日、同年三月一日被控訴人到 違反する無効なものであるとしても、協約は昭和四二年九月七日の満了と同時に失効したから、右条項の解雇同意約款もまた効力を失つたものである。そこで控訴人は昭和四三年二月二九日、同年三月一日被控訴人到達の内容証明郵便をもつて被控訴人に対し、昭和四一年八月二日になした懲戒解雇が無効であることを条件として、就業規則に違反する行為、すなわち、(ア)被控訴人の前記業務命令違反行為(就業規則四条、一七条、一八条に違反)、(イ)被控訴人が同年三月その前任者からの事務引継に当り、現金不突合分に充当するため引渡を受けた金一、六〇〇円を着服横領した行為、(中)被控訴人が二本松支店在勤中、しばしば就業時間中に従組の業務その他の私用を行ない、上司から注意されてもこれを改めず、その他上司の指示命令に違反し、かつ、理由もなく上司に反抗した行為(就業規則四条、一三条に違反)が就業規則四三条一、二号、四、五号に該当することを理由としてあらためて被控訴人を懲戒解雇する旨の意思表示(以下「二次解雇」という。 当するため引渡を受けた金一、六〇〇円を着服横領した行為、(中)被控訴人が二本松支店在勤中、しばしば就業時間中に従組の業務その他の私用を行ない、上司から注意されてもこれを改めず、その他上司の指示命令に違反し、かつ、理由もなく上司に反抗した行為(就業規則四条、一三条に違反)が就業規則四三条一、二号、四、五号に該当することを理由としてあらためて被控訴人を懲戒解雇する旨の意思表示(以下「二次解雇」という。)をした。したがつて被控訴人は右書面到達の翌日である昭和四三年三月二日から満三〇日を経過した同年四月一日以降控訴人の従業員たる身分を失つたものである。よつて本訴請求のうち、被控訴人が控訴人の従業員たる雇傭契約上の地位を有することの確認を求める部分及び同日以降の賃金等の支払を求める部分は、いずれも理由がなく棄却を免れない。(2) もともと協約五二条、五六条のごとき解雇同意約款は、組合が組合員にとつて最も重要な待遇の変更である解雇に関する使用者の意思決定に参与することにより、組合員の地位を使用者の専断な人事権の行使から保護することに、その存在の理由があるものであり、本来は使用者の経営権の範囲に属する事項についての組合の経営参加条項たる性質を有するものと理解すべきである。合員の地位を使用者の専断な人事権の行使から保護することに、その存在の理由があるものであり、本来は使用者の経営権の範囲に属する事項についての組合の経営参加条項たる性質を有するものと理解すべきである。経営参加は企業の営み方に関する全体的な制度であり、かつ、主体は組合自体であつて個々の組合員自体ではないから、協約中の個々の条項は個々の労働契約の内容たり得べき労働条件の基準を定めた、いわゆる規範的部分とは異なるものである。したがつてかかる解雇同意約款は、協約失効後は、その効力を認めるに由なく、いわゆる余後効を有するとの見解又はこれと同趣旨の見解は全く理由がないものというべきである。(3) 昭和四一年八月一一日になした懲戒解雇が、仮にその手続に尽さざるものがあるとしても、すでに協約が失効し、その失効と同時に協約五二条、五六条及び協約に附属する懲罰委員会規則等も失効したものであり、しかも被控訴人に前記業務命令違反行為がある以上、予備的に重ねて二次解雇をしても、労使関係のあり方を無視した信義則に反するものもしくは解雇権の濫用であるということはできない。 がないものというべきである。(3) 昭和四一年八月一一日になした懲戒解雇が、仮にその手続に尽さざるものがあるとしても、すでに協約が失効し、その失効と同時に協約五二条、五六条及び協約に附属する懲罰委員会規則等も失効したものであり、しかも被控訴人に前記業務命令違反行為がある以上、予備的に重ねて二次解雇をしても、労使関係のあり方を無視した信義則に反するものもしくは解雇権の濫用であるということはできない。前記解雇理由(イ)及び(ウ)は単に事情として加えたにとどまり、主たる理由はあくまでも(ア)の業務命令違反行為であるがら、これをもつて被控訴人に対する解雇理由があいまいであるとか、権利濫用の程度が極端であるなとどいうのは当らない。(三) 被控訴人の後記請求の追加的変更(請求の拡張)原因事実中、控訴人と従組との間に本人給、加給金及び一時金について控訴人主張の日時頃、その主張の内容の協定が成立したこと、住宅手当につき控訴人から従組に対し被控訴人主張のような内容の申入れがなされたこと、被控訴人主張のように給与規程改正の結果、控訴人の従業員に対する食事手当が金二、〇〇〇円に改訂されたこと、控訴人が被控訴 当につき控訴人から従組に対し被控訴人主張のような内容の申入れがなされたこと、被控訴人主張のように給与規程改正の結果、控訴人の従業員に対する食事手当が金二、〇〇〇円に改訂されたこと、控訴人が被控訴人主張の仮処分決定により被控訴人に対し毎月その主張の金員を支払つていることはいずれも認めるが、その余はすべて否認する。本件懲戒解雇は、従前から主張してきたように有効であるから、控訴人と従組との間に前記のような協定が締結され、給与規程が改訂されても、控訴人に対し被控訴人はその主張するような請求権を取得するいわれがない。2 被控訴人の主張(一) 従前の主張の補足、訂正(請求の減縮)(協約違反による解雇無効)(1) 懲戒解雇は労働者の死にも等しい重大事であるから、その手続が慎重に規定されることは当然のことであり、協約五六条に定められた懲罰委員会の決議により懲戒が議決されたときでも、解雇については協約五二条三号により、さらに従組と協議することを義務づけていることは、その意味で正当である。けだし、従組から懲罰委員会に出る委員はその組合員であり、従組により選出された者ではあるが、委員としての行動は、従組自体の意思によりなすものではなく、したがつて右委員会の決議が従組選出の委員の参加したものであつても、あらためて従組として協議することは次元を異にする問題で何ら矛盾しないからである。 解雇については協約五二条三号により、さらに従組と協議することを義務づけていることは、その意味で正当である。けだし、従組から懲罰委員会に出る委員はその組合員であり、従組により選出された者ではあるが、委員としての行動は、従組自体の意思によりなすものではなく、したがつて右委員会の決議が従組選出の委員の参加したものであつても、あらためて従組として協議することは次元を異にする問題で何ら矛盾しないからである。懲戒解雇をなすに当つては、まず懲罰委員会を開催し、その決議を得ることが必要で、その手続を履践することなく、従組に同意を求めることは、協約五二ないし五六条の規定からもなし得ないものといわねばならない。すなわち、労働者の身分を保障する規定としてこれら協約を解する限り、懲戒解雇しようとするときは、まず懲罰委員会により審議され、その後従組と協議するという手続がとられなけれ ないものといわねばならない。すなわち、労働者の身分を保障する規定としてこれら協約を解する限り、懲戒解雇しようとするときは、まず懲罰委員会により審議され、その後従組と協議するという手続がとられなければならず、軽々に処理されてはならない手続なのであり、その過程で本人は充分に弁明の機会を与えられなければならないものと解される。したがつてこれら協約の定めを一顧だにせずになされた本件一次解雇が無効であることは明白である。(不当労働行為の成立)(2) 本件懲戒解雇は不当労働行為である。(控訴人の従組及びその組合員に対する不当労働行為の意思)ア昭和四一年一二月八日福島県地方労働委員会は、「控訴人は従組に対し、会社職制等を通じ、その組合員の脱退を勧誘するなど介入してはならない。控訴人は本命令書を受領した日から七日以内に別紙確約書を縦五〇センチメートル、横七〇センチメートルの板に墨書して、本店において従業員の見易い場所に七日間掲示すると共に、同文の文書を従組に交付しなけれはならない。」との命令を出し、これは昭和四四年一一月五日中央労働委員会においても支持され、控訴人はこれに従つて確定させた。右中央労働委員会の命令書によると、大要次のような判断がなされている。(ア) 昭和二八年四月従組の全相銀連加盟を契機に管理職(本店課長、支店長)は従組を脱退し大東会を結成、爾来大東会は控訴人、従組間にあって管理職組合的な活動もしてきた。また、従組は漸次全相銀連の統一闘争に参加する等控訴人と対抗的姿勢をとるようになつていた。 年一一月五日中央労働委員会においても支持され、控訴人はこれに従つて確定させた。右中央労働委員会の命令書によると、大要次のような判断がなされている。(ア) 昭和二八年四月従組の全相銀連加盟を契機に管理職(本店課長、支店長)は従組を脱退し大東会を結成、爾来大東会は控訴人、従組間にあって管理職組合的な活動もしてきた。また、従組は漸次全相銀連の統一闘争に参加する等控訴人と対抗的姿勢をとるようになつていた。(イ) 昭和三七年から三九年にかけて協約改訂問題が表面化し、とくに非組合員の範囲の問題をめぐつて、昭和三八年四月従組の役席者から非組合員化の要望書が従組に提出されると、大東会と控訴人はこれを積極的に支持する声明を行なつたが、結局 て協約改訂問題が表面化し、とくに非組合員の範囲の問題をめぐつて、昭和三八年四月従組の役席者から非組合員化の要望書が従組に提出されると、大東会と控訴人はこれを積極的に支持する声明を行なつたが、結局従組内部で調整できず、役席者約六〇名は同年七月従組を脱退するに至つた。このようなこともあり、協約の改訂については、ユニオン・シヨツプ制の廃止、就業時間中の組合活動についての許可制問題など、ほぼ控訴人原案に沿つて改訂された。(ウ) 控訴人は昭和四〇年一二月の総務レポート掲載の「連合通信」の記事及びI常務取締役の文書を本店部課長、各支店長に送付し、この中で全相銀連及び従組を批難し、他社の事例(和歌山相互銀行)を引用して従組内部の批判派につき、良識ある勇気あるもので正しい姿勢だとして賞賛推奨し、各管理職に対して総務レポートを良く読んで理解し、職員に啓発するように指示しているところからみて、控訴人は全相銀連傘下組合としての色彩を濃くしていつた従組のあり方を嫌悪し、役席組合員の脱退、さらに協約改訂の実現後従組内部に批判派の醸成をはかつたものと認められる。(エ) 事実、昭和四一年春季闘争の中で、従組批判派は従組を脱退し、大東同志会を結成したところ、大東会の本店課長、支店長を除く役席者八四名は直ちに大東同志会支持を表明し、遂に大東同志会と大東会(本店課長、支店長を除く。)は合流して同年六月職組を結成するに至つたが、控訴人は非組合員化した筈の役席者が職組に加入することについて何ら反対していない。(オ) 昭和四一年春季闘争における従組の時限ストライキ戦術が従組内部の批判派を刺激したということがあつたとしても、職組結成に至るまでの経緯をみるとき、従組批判派及び大東会の職組結成活動は、会社の意に沿う行動であつたと認めざるを得ない。 同志会と大東会(本店課長、支店長を除く。)は合流して同年六月職組を結成するに至つたが、控訴人は非組合員化した筈の役席者が職組に加入することについて何ら反対していない。(オ) 昭和四一年春季闘争における従組の時限ストライキ戦術が従組内部の批判派を刺激したということがあつたとしても、職組結成に至るまでの経緯をみるとき、従組批判派及び大東会の職組結成活動は、会社の意に沿う行動であつたと認めざるを得ない。職組の執行部に選ばれ 内部の批判派を刺激したということがあつたとしても、職組結成に至るまでの経緯をみるとき、従組批判派及び大東会の職組結成活動は、会社の意に沿う行動であつたと認めざるを得ない。職組の執行部に選ばれた者の中心メソバーは、すべて職組結成の時の脱退組ではなく、昭和三八年七月脱退し大東会に入つていた役席者であり、しかも職組の初代のS中央執行委員長は新たに機構改革により作られた専務取締役直属の管理統括室長になり、K副委員長、L執行委員らもこれに入室し、これらの人々が控訴人の全体の企画経営にたずさわるという形で非常に密着した関係が形成され、一方従組及びその組合員に対する控訴人の態度は一貫して非人道的、非近代的な労務管理であることが明らかであり、歓送迎会、旅行会、新年会、日々の慶祝、家族会にすら従組組合員やその家族を参加させないなど、これ程はつきりした不当労働行為の意思はない。(控訴人の被控訴人に対する不当労働行為)イ控訴人は昭和四一年八月一七日付で福島民報、民友新聞に被控訴人の解雇公告を出した。対外的信用を最も重視し福島県を中心として営業している控訴人が、福島県民の最も多く購読する新聞に解雇公告を出すことは、被控訴人に対する報復、従組組合員に対する見せしめ以外の何物でもなく、しかも被控訴人は金銭上のトラブルを得意先との間で惹起したことは全くなかつたから、控訴人の不当労働行為の真意をこれ程明白にしているものはないといえる。従組破壊攻撃の中で頑強に抵抗する従組の中心分会であつた二本松支店分会を攻撃の中心にすえた控訴人は、経営上全く関連のない者をも含め、多数の重役、役席者を二本松支店に派遣し、種々の調査や懇談と称しての切崩し、弱点を捜し求める検査などを行なつた。経営の系統をこえたこのような支店訪問自体がすでにその意図が奈辺にあつたかを端的に め、多数の重役、役席者を二本松支店に派遣し、種々の調査や懇談と称しての切崩し、弱点を捜し求める検査などを行なつた。 の中心分会であつた二本松支店分会を攻撃の中心にすえた控訴人は、経営上全く関連のない者をも含め、多数の重役、役席者を二本松支店に派遣し、種々の調査や懇談と称しての切崩し、弱点を捜し求める検査などを行なつた。経営の系統をこえたこのような支店訪問自体がすでにその意図が奈辺にあつたかを端的に め、多数の重役、役席者を二本松支店に派遣し、種々の調査や懇談と称しての切崩し、弱点を捜し求める検査などを行なつた。経営の系統をこえたこのような支店訪問自体がすでにその意図が奈辺にあつたかを端的に示している。従組組合員はかかる職制の訪問攻撃にもめげず、依然として従組にとどまり、支店の半数以上の従組組合員を擁し地域の労働者、住民の支持を得て闘つていたが、そのような中で地域に支援共闘会議も結成され、同会議が独自に支店長と交渉をもつなど活発に支援活動を行なつていた。同会議との連絡はすべて地区労の組織部長であつた被控訴人の仕事であり、したがつて右のような交渉には常に被控訴人が関与したが、R2支店長は同支店内における被控訴人の言動を控訴人本店に報告していたから、被控訴人の同会議に関連する活動も報告していたことは明らかである。本件懲戒解雇は被控訴人の組合活動を嫌悪してこれを抑圧するための意図によつたものであつて、不当労働行為であることはいうまでもない。(請求の減縮)(3) 昭和四二年六月から同年一一月までの在宅手当金一万三、八〇〇円の請求(原審で棄却された分)は、これを取下げ、解雇後同月末日までの賃金等金二一万九、二九〇円(原審で認容された分)に対する附帯請求の始期を同年一二月一日からと減縮する。したがつて原判決五枚目表一〇行目に「同月二七日」とあるのを「本訴において昭和四二年一一月三〇日被告会社到達の同年一二月一日付請求の趣旨変更申立書をもつて、」と、同末行に「訳であり、」とあるのを「訳であるから、同月」とそれぞれ訂正し、同行「昭和四二年一一月」から同裏五行目の「同年一二月」までを削除し、同六枚目裏四行目に「六二八、二九〇」とあるのを「六一四、四九〇」と同九行目及び同末行に「二三三、〇九〇」とあるのを「二一九、二九〇」と、同七枚目表二行 から同裏五行目の「同年一二月」までを削除し、同六枚目裏四行目に「六二八、二九〇」とあるのを「六一四、四九〇」と同九行目及び同末行に「二三三、〇九〇」とあるのを「二一九、二九〇」と、同七枚目表二行目に「一〇月一三日付訴変更」とあるのを「一二月一日付請求の趣旨変更」と、同三行目に「同年一〇月一五日」とあるのを「同日」とそれぞれ訂正する。 「二三三、〇九〇」とあるのを「二一九、二九〇」と、同七枚目表二行 から同裏五行目の「同年一二月」までを削除し、同六枚目裏四行目に「六二八、二九〇」とあるのを「六一四、四九〇」と同九行目及び同末行に「二三三、〇九〇」とあるのを「二一九、二九〇」と、同七枚目表二行目に「一〇月一三日付訴変更」とあるのを「一二月一日付請求の趣旨変更」と、同三行目に「同年一〇月一五日」とあるのを「同日」とそれぞれ訂正する。(二) 控訴人の前記予備的主張に対する答弁(1) 控訴人主張事実中、協約が昭和四二年九月七日失効したこと、控訴人がその主張の日、主張の内容の二次解雇の意思表示をしたことは認めるが、右二次解雇の意思表示は労働契約に違反し無効である。すなわち、労働協約は締結当事者間の合意からなる契約的法律行為であるのみならず、当事者である労使の自主的立法行為でもあり、当事者を規制する点においては法規範的であり、当事者の合意に基づく点においては自主的である。一方労働契約は社会法上の契約として契約の締結、内容、終了について労働保護法によつて規制され、確定されているところに私法的契約と異なるゆえんがある。そこで労働協約に労働条件その他労働者の待遇に関する基準が定められているときは、組合員の個別的労働契約は協約に定める基準によらなければならない。換言すれば、たとえ労働契約が協約で定めた労働条件その他待遇関係の基準以下で締結されたとしても、協約の基準によつて当事者間に労働契約が締結されたものとみなされるわけである。したがつて協約の有効期間中に労働契約が成立した以上、労働契約の内容としてはその契約内容の基準となつた協約の規範的部分の存否とは関係なく、それと同じ内容の労働契約が存続することになる。すなわち、協約が失効した以上、その後においてまで協約が労働契約の内容を支配する作用を有し得なくなることは当然のこととしても、労使関係は とは関係なく、それと同じ内容の労働契約が存続することになる。すなわち、協約が失効した以上、その後においてまで協約が労働契約の内容を支配する作用を有し得なくなることは当然のこととしても、労使関係は、労働条件の基準について明確なものを要請する関係であり、また慣行的な事実関係が尊重されるべき継続的関係である特質からみて、その継続的法律関係の特定という意味から、協約により規律された部分が無になるのではなく、一応、従来の労働契約の内容が基準となるものと解される。 る。すなわち、協約が失効した以上、その後においてまで協約が労働契約の内容を支配する作用を有し得なくなることは当然のこととしても、労使関係は、労働条件の基準について明確なものを要請する関係であり、また慣行的な事実関係が尊重されるべき継続的関係である特質からみて、その継続的法律関係の特定という意味から、協約により規律された部分が無になるのではなく、一応、従来の労働契約の内容が基準となるものと解される。したがつて労働者としては、従来保障された身分の安定に関する利益は、労働契約の内容として主張しうるものといわなければならない。本件についてみるに、被控訴人は控訴人との労働契約の内容として、協約五三条以下の規定により、その所属する従組の同意なしには解雇されない等のいわゆる解雇同意約款の内容にあるとおりの保障された地位を有していたのであり、それは協約が消滅した後といえども変りなく、その労働契約上の利益をすべて奪つた形で、一度の弁明の機会も与えられず、何らの審議もなしになされた二次解雇の意思表示は、労働契約に違反するものとして無効といわねばならない。また、労働条件についての労働者と使用者の共同決定の原則(労働基準法二条一項)は、近代的な労働関係を規律する大原則であり、労働組合が結成された場合には団体交渉を通じての共同決定方式に移行することを意味するものである。したがつて使用者が従前の労働条件を変更しようとする場合には、団体交渉を経るべきである。このような見地からすれば、余後効理論を持ち出すまでもなく、一旦定められた転勤、解雇についての基準ないし手続については一方的に変更できないというべきである。この点においても本件配転、これを前提とする解雇は無効である。(2) 二次解雇の意思表示は信義 く、一旦定められた転勤、解雇についての基準ないし手続については一方的に変更できないというべきである。この点においても本件配転、これを前提とする解雇は無効である。(2) 二次解雇の意思表示は信義誠実の原則に反し、解雇権の濫用にわたる無効なものである。すなわち、右意思表示は控訴人が従組を敵視し、数々の不当労働行為を重ねる中で、たまたま協約が期間満了により失効したことを奇貨として、協約上履践すべき手続をなさずにした違法、無効の懲戒解雇(以下「一次解雇」という。)をことさらに合法化しようとし、あらためてしたものにすぎず、一次解雇の無効を反省して正規の手続を履践し、あらためてしたものではなく、明らかに解雇同意約款の趣旨を潜脱しこれを否定する形でなされたものであるから、これ程労使関係のあり方を無視し、信義誠実の原則に反するものはなく、このようなことが許される理由は全く存しない。 、協約上履践すべき手続をなさずにした違法、無効の懲戒解雇(以下「一次解雇」という。)をことさらに合法化しようとし、あらためてしたものにすぎず、一次解雇の無効を反省して正規の手続を履践し、あらためてしたものではなく、明らかに解雇同意約款の趣旨を潜脱しこれを否定する形でなされたものであるから、これ程労使関係のあり方を無視し、信義誠実の原則に反するものはなく、このようなことが許される理由は全く存しない。かかる意味においても、右意思表示は解雇権の濫用にわたる無効なものといわざるを得ない。控訴人は一次解雇の意思表示の内容を特定する解雇通知書を所持しながらこれを提出せず、ただ前と同じ理由で解雇すると主張して解雇の理由を次々と変更しているのは、いかにその理由があいまいなままなされたかを物語るもので、濫用の程度は極端である。(三) 当審における請求の追加的変更(請求の拡張)(1) 被控訴人の所属する従組と控訴人との間に締結された次のような協定及び取決め等により、被控訴人は次のような請求権を取得した。ア本人給、加給金(職能給)(ア) 昭和四二年六月二一日の賃金引上げについての協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額(定期昇給込み、以下同じ。)は一人平均金四、九八〇円、二五歳の従業員については金三、七一〇円から金四、六〇〇円の配分をするものというもの)により、殆んどの者 協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額(定期昇給込み、以下同じ。)は一人平均金四、九八〇円、二五歳の従業員については金三、七一〇円から金四、六〇〇円の配分をするものというもの)により、殆んどの者が金四、六〇〇円であつたから、被控訴人も右と同額の請求権を取得し、本人給は金二万四、九〇〇円から金二万九、五〇〇円となつた。(イ) 昭和四三年九月二五日の前同様の協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額は一人平均金五、一三三円、本人給と加給金に分けて支給し、二六歳のものについては、本人は金二、九〇〇円、高卒六年以上九年未満勤続のものに対する加給金は金一、六〇〇円を支給するというもの)により、被控訴人も右と同額の請求権を取得し、本人給は金二万九、五〇〇円から金三万二、四〇〇円となり、加給金は新たに金一、六〇〇円となつた。(ウ) 昭和四四年七月五日の前同様の協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額は一人平均金六、一三〇円、二七歳のものについては、本人給は金二、九〇〇円、加給金は職能等級基準を前年度の勤続年数と学歴等による分類を用い、そのうえで人事考課によりA、B二コースに分け、高卒六年以上九年未満のものはAコース金二、〇〇〇円、Bコース金二、四〇〇円を支給するというもの)により、被控訴人も本人給について右と同額の請求権を取得し、加給金についてはA、Bいずれのコースに評価されるか不明になつたが、それは控訴人の責に帰すべき本件解雇処分によるものであるから、Bコースの金二、四〇〇円の請求権を取得したものというべく、本人給は金三万二、四〇〇円から金三万五、三〇〇円、加給金は金一、六〇〇円から金四、〇〇〇円となつた。 二、〇〇〇円、Bコース金二、四〇〇円を支給するというもの)により、被控訴人も本人給について右と同額の請求権を取得し、加給金についてはA、Bいずれのコースに評価されるか不明になつたが、それは控訴人の責に帰すべき本件解雇処分によるものであるから、Bコースの金二、四〇〇円の請求権を取得したものというべく、本人給は金三万二、四〇〇円から金三万五、三〇〇円、加給金は金一、六〇〇円から金四、〇〇〇円となつた。(エ) 昭和四五年六月一七日の前同様の協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額は一人平均金七、八二五円、二八歳のものについては、本人給は金二 円、加給金は金一、六〇〇円から金四、〇〇〇円となつた。(エ) 昭和四五年六月一七日の前同様の協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額は一人平均金七、八二五円、二八歳のものについては、本人給は金二、五〇〇円、被控訴人と同様の経歴のものの加給金(職能給)は金四、四五〇円、同年一〇月からはさらに金七〇〇円を支給するというもの)により、被控訴人も右と同額の請求権を取得し、本人給は金三万五、三〇〇円から金三万七、八〇〇円となり、加給金は金四、〇〇〇円から金八、四五〇円、同年一〇月からは金九、一五〇円となつた。(オ) 昭和四六年六月八日の前同様の協定(実施期日は同年四月一日、昇給金額は一人平均金一万〇、二六一円、二九歳のものについては、本人給は金三、七〇〇円、被控訴人と同様の経歴のものの加給金(職能給)は金四、九〇〇円とさらに資格手当金二、〇〇〇円を支給するというもの)により、被控訴人も右と同額の請求権を取得し、本人給は金三万七、八〇〇円から金四万一、五〇〇円、加給金は金九、一五〇円から金一万六、〇五〇円となつた。イ家族手当被控訴人は昭和四三年六月二六日第一子(長男T1)の出生の時から金二、〇〇〇円の請求権を取得し、昭和四六年三月七日第二子(長女T2)の出生の時から金一、〇〇〇円の請求権を取得した。家族手当は結婚、子の出生等の事実の発生により請求権を取得するものであることは規程上明確であり、使用者の裁量にかかるものではない。被控訴人は本件解雇のため家族手当を請求しても控訴人が受付けず正規の手続をとれなかつたが、手続が不備であるとの理由は控訴人の責に帰すべきものであるから、これによつて被控訴人の家族手当請求が左右されることは正しくなく、控訴人に規程どおり家族手当の支給義務あることは明らかである。 族手当は結婚、子の出生等の事実の発生により請求権を取得するものであることは規程上明確であり、使用者の裁量にかかるものではない。被控訴人は本件解雇のため家族手当を請求しても控訴人が受付けず正規の手続をとれなかつたが、手続が不備であるとの理由は控訴人の責に帰すべきものであるから、これによつて被控訴人の家族手当請求が左右されることは正しくなく、控訴人に規程どおり家族手当の支給義務あることは明らかである。ウ住宅手当昭和四四年一〇月 控訴人の責に帰すべきものであるから、これによつて被控訴人の家族手当請求が左右されることは正しくなく、控訴人に規程どおり家族手当の支給義務あることは明らかである。ウ住宅手当昭和四四年一〇月九日控訴人から従組に対する申入れとこれに対する従組の応諾により、住宅手当の支給については、同月から二本松市を含む福島県内一〇市は金八、〇〇〇円を最高限度として家賃の八〇パーセンートを支給することとなつた。したがつて被控訴人は同月から家賃金三、五〇〇円の八〇パーセントに相当する金二、八〇〇円の住宅手当請求権を取得した。エ食事手当食事手当は従来金一、〇〇〇円であつたが、昭和四五年一二月一四日給与規程の改訂についてと題する通知書により、昭和四六年一月から金二、〇〇〇円となつた。したがつて被控訴人は同月から右と同額の食事手当請求金を取得した。オ一時金(賞与金)(ア) 昭和四二年一二月一二日の協定(本俸の三三〇パーセントを下期賞与金として支給するというもの)により、被控訴人は金九万七、三五〇円の請求権を取得した。(イ) 昭和四三年五月一四日の協定(同月二〇日に基本給料に家族手当の合計額の三七パーセントを成果配分ということで支給するというもの)により、被控訴人は金一万〇、九一五円の請求権を取得した。(ウ) 同年六月一三日の協定(夏期一時金として本俸と家族手当の合計額の三三〇パーセントを支給するというもの)により、被控訴人は金九万七、三五〇円の請求権を取得した。(エ) 昭和四三年一二月九日の協定(本俸と加給金の合計額の三三〇パーセントに家族手当二か月分を年末賞与金として支給し、別に成果配分として本俸、加給金、家族手当の合計金額の三一パーセントを支給するというもの)により、被控訴人は金一二万七、三六〇円の請求権を取得した。(オ) 族手当二か月分を年末賞与金として支給し、別に成果配分として本俸、加給金、家族手当の合計金額の三一パーセントを支給するというもの)により、被控訴人は金一二万七、三六〇円の請求権を取得した。 三三〇パーセントに家族手当二か月分を年末賞与金として支給し、別に成果配分として本俸、加給金、家族手当の合計金額の三一パーセントを支給するというもの)により、被控訴人は金一二万七、三六〇円の請求権を取得した。(オ) 族手当二か月分を年末賞与金として支給し、別に成果配分として本俸、加給金、家族手当の合計金額の三一パーセントを支給するというもの)により、被控訴人は金一二万七、三六〇円の請求権を取得した。(オ) 昭和四四年七月五日の協定(夏期一時金として、新本俸の二九〇パーセントに家族手当二か月分を支給するというもの)により、被控訴人は金一一万七、九七〇円の請求権を取得した。(カ) 同年一二月一五日の協定(年末一時金として、本俸、加給金の合計額の三一〇パーセントに家族手当二か月分を支給するというもの)により、被控訴人は金一二万五、八三〇円の請求権を取得した。(キ) 昭和四五年六月一七日の協定(上期賞与金として、本人給と職能給の合計額の三一〇パーセントに家族手当一か月分を支給するというもの)により、被控訴人は金一四万五、三七五円の請求権を取得した。(ク) 同年一二月一日の協定(下期賞与金として、本人給と職能給の合計額の三三〇パーセントに家族手当一か月分を支給するというもの)により、被控訴人は金一五万六、九三五円の請求権を取得した。(ケ) 昭和四六年六月一九日の協定(夏期賞与金として、本人給と職能給の合計額の三二〇パーセントに家族手当、資格手当及び役付手当各一か月分を支給するというもの)により、被控訴人は金一八万二、七六〇円の請求権を取得した。以上の詳細は別紙賃金未払分計算表のとおりである。(2) 被控訴人は従来請求賃金総額の計算に当つて、被控訴人が福島地方裁判所郡山支部昭和四一年(ヨ)第五一号仮処分決定により昭和四一年八月から昭和四五年一二月分まで(五三か月分)控訴人から毎月二〇日金二万四、七〇〇円の支給を受けていたので、賃金総額から右金額を差引いた金員を未払賃金として請求していたが、これはあくまでも仮の支払であるから、当審において請 分まで(五三か月分)控訴人から毎月二〇日金二万四、七〇〇円の支給を受けていたので、賃金総額から右金額を差引いた金員を未払賃金として請求していたが、これはあくまでも仮の支払であるから、当審において請求を拡張し右金二万四、七〇〇円の五三か月分金一三〇万九、一〇〇円を追加して請求する。 で、賃金総額から右金額を差引いた金員を未払賃金として請求していたが、これはあくまでも仮の支払であるから、当審において請 分まで(五三か月分)控訴人から毎月二〇日金二万四、七〇〇円の支給を受けていたので、賃金総額から右金額を差引いた金員を未払賃金として請求していたが、これはあくまでも仮の支払であるから、当審において請求を拡張し右金二万四、七〇〇円の五三か月分金一三〇万九、一〇〇円を追加して請求する。(3) よつて被控訴人は控訴人に対し、(A)原審において認容された金二一万九、二九〇円、(B)昭和四二年一二月から昭和四五年一二月までの本人給(金一二七万〇、六〇〇円)、加給金(金一四万五、三五〇円)、家族手当(金六万二、〇〇〇円)、食事手当(金三万七、〇〇〇円)、住宅手当(金九万二、六〇〇円)、一時金(金八七万九、〇八五円)、合計金二四八万六、六三五円から金九一万三、九〇〇円(仮処分による支給分)を差引いた金一五七万二、七三五円、(C)昭和四六年六月支給の一時金(金一八万二、七六〇円)、同年一月から三月分までの食事手当の差額金(金三、〇〇〇円)、第二子出生による同年三月分の家族手当(金一、〇〇〇円)、合計金一八万六、七六〇円、(D)昭和四六年一月から同年一一月までの本人給(金四四万五、四〇〇円)、加給金(金一五万五、八五〇円)、家族手当(金三万円、前記金一、〇〇〇円を除く。)、食事手当(金一万九、〇〇〇円、前記金三、〇〇〇円を除く。)住宅手当(金三万八、〇〇〇円)、合計金六八万一、〇五〇円、(E)前記(2)の金一三〇万九、一〇〇円、以上合計金三九六万八、九三五円及び(A)の金員に対する昭和四二年一二月一日から、(B)の金員に対する訴の変更の申立送達の翌日である昭和四六年一月九日から(C)の金員に対する訴の変更の申立送達の翌日である同年七月一四日から、(D)、(E)の金員に対する同年一二月九日付準備書面送達の翌日である同月一〇日からそれぞれその支払ずみに至 四六年一月九日から(C)の金員に対する訴の変更の申立送達の翌日である同年七月一四日から、(D)、(E)の金員に対する同年一二月九日付準備書面送達の翌日である同月一〇日からそれぞれその支払ずみに至るまで、商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め、(F)同年同月から雇庸契約終了に至るまで毎月二〇日限り毎月金六万五、三五〇円宛の支払を求める。 翌日である同月一〇日からそれぞれその支払ずみに至 四六年一月九日から(C)の金員に対する訴の変更の申立送達の翌日である同年七月一四日から、(D)、(E)の金員に対する同年一二月九日付準備書面送達の翌日である同月一〇日からそれぞれその支払ずみに至るまで、商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め、(F)同年同月から雇庸契約終了に至るまで毎月二〇日限り毎月金六万五、三五〇円宛の支払を求める。3 証拠関係(省略) 理由 一控訴人が被控訴人主張のような相互銀行業務を営む株式会社であり、被控訴人がその従業員として控訴会社二本松支店に勤務し、従組に所属していたこと、控訴人が昭和四一年八月一一日被控訴人を解雇したことはいずれも当事者間に争いがない。二そこでまず本件一次解雇の効力について判断する。協約五二条に、控訴人が従業員を解雇する場合は、(1)停年に達したとき(2)本人の意思によるとき(3)懲戒処分を受け従組と協議が整つたときを除き、予め従組の同意を得て行なう旨の規定が存し、また、同五六条に、控訴人が従業員を懲戒に付する場合は、控訴人、従組、同数の委員で構成された懲罰委員会の決議により行なう旨の規定が存すること、控訴人が一次解雇をなすについて従組の同意を得ておらず、また、懲罰委員会の議を経ていないことはいずれも当事者間に争いがない。<要旨第一>ところで解雇同意約款に違反してなされた解雇処分の効力については、右約款が労働協約の規範的部分に</要旨第一>属するかどうかの点をめぐつて従来から見解の分れるところであるが、従業員の解雇は労働関係の終了という従業員にとつては最もきびしい処遇であつて、それが使用者の独断により不適正に行なわれる場合には、当該従業員の利益が不当に侵害されるばかりでなく、その従業員の所属する労働組合の利害にも重大な影響を及ぼす 員にとつては最もきびしい処遇であつて、それが使用者の独断により不適正に行なわれる場合には、当該従業員の利益が不当に侵害されるばかりでなく、その従業員の所属する労働組合の利害にも重大な影響を及ぼすことはいうまでもなく、右約款の趣旨は、労働組合が使用者の人事権の行使に介入する意味では経営参加条項たる性質を有するけれども、これら従業員及びその母体である労働組合の利益を擁護するため、労働組合が使用者の行なう解雇に関与してこれを規制することを保障したものであり、労働協約締結の主体は労働組合ではあるが、その効果を受ける権利義務の主体はあくまでも個々の組合員であつて、解雇される者は組合員であることに鑑みれば、労働組合法一六条にいわゆる「労働者の待遇に関する基準」に該当し、直接個別的に労使関係を強行的に規律したものとしていわゆる規範的効力を有し、これに違反する解雇は効力を生じないものと解するのが相当である。 解雇に関与してこれを規制することを保障したものであり、労働協約締結の主体は労働組合ではあるが、その効果を受ける権利義務の主体はあくまでも個々の組合員であつて、解雇される者は組合員であることに鑑みれば、労働組合法一六条にいわゆる「労働者の待遇に関する基準」に該当し、直接個別的に労使関係を強行的に規律したものとしていわゆる規範的効力を有し、これに違反する解雇は効力を生じないものと解するのが相当である。したがつて従組の同意を得ることなく、懲罰委員会の議を経ることなくなされた一次解雇は、他に特段の事情の認められない限り無効というべきである。三控訴人は、この点に関し、私有財産としての企業の保有責任を所有者である使用者に帰している現行法制のもとにおいて、被控訴人に懲戒解雇に値する業務命令違反行為があることが明らかであるのに、従組が何ら首肯できる理由なく徒らに反対してきた本件一次解雇に至るまでの経緯に照らすと、従組の同意もしくは懲罰委員会の決議を得ることは到底期待できない状態であつたから、このような場合には、同意もしくは決議なくして解雇を行なつたとしても、協約違反ということはできないと主張する。使用者の行なおうとする解雇が客観的に判断して正当であり、かつ、やむを得ない緊急の必要性があり、しかも使用者側において労働組合側に十分納得させるだけの 、協約違反ということはできないと主張する。使用者の行なおうとする解雇が客観的に判断して正当であり、かつ、やむを得ない緊急の必要性があり、しかも使用者側において労働組合側に十分納得させるだけの手段、方法を講じて誠意を尽くしたにもかかわらず、労働組合側において何ら正当な理由なく拒否するような場合には、労使間の信頼、協力の趣旨に反するものといえるから、使用者が労働組合の意思を無視して一方的に解雇を行なつたとしても、これをもつて労働協約違反の責任を問われないと解すべきこと控訴人主張のとおりである。そこでこの観点に立つて本件一次解雇がなされるまでの経緯について検討する。成立に争いのない甲第五号証(乙第三一号証)、甲第六号証(乙第三二号証)、甲第九、一〇号証、第一四号証、第二四号証、乙第二〇ないし二七号証、第二九、三〇号証、第三四ないし四九号証、当審証人R3の証言により成立を認めうる乙第一、二号証、第四号証、第五四号証の一ないし三、同R1の証言により成立を認めうる乙第三号証、第五ないし七号証、第一七ないし一九号証、第五〇号証、第五五号証、同R2の証言により成立を認めうる乙第九ないし一一号証、第五二号証の一、二、同R4の証言により成立を認めうる甲第一号証、第一三号証、当審における被控訴人本人尋問の結果により成立を認めうる甲第一一号証、当審における証人R1(後記措信できない部分を除く。 、二号証、第四号証、第五四号証の一ないし三、同R1の証言により成立を認めうる乙第三号証、第五ないし七号証、第一七ないし一九号証、第五〇号証、第五五号証、同R2の証言により成立を認めうる乙第九ないし一一号証、第五二号証の一、二、同R4の証言により成立を認めうる甲第一号証、第一三号証、当審における被控訴人本人尋問の結果により成立を認めうる甲第一一号証、当審における証人R1(後記措信できない部分を除く。)、同R2(前回)、同R3、同R4、同R5、同R6(後記措信できない部分を除く。)の各証言及び被控訴人本人尋問の結果を総合すると、 1 控訴会社a支店は昭和四一年三月当時行員一〇名であり資金量は金三億円余(一人当り金三、〇〇〇万円余)であつたが、同月末Uが依願退職し、同年四月一日新入行員一名が配属されたものの、他の同規模の支店と比較して事務量の割合に人員不足 当時行員一〇名であり資金量は金三億円余(一人当り金三、〇〇〇万円余)であつたが、同月末Uが依願退職し、同年四月一日新入行員一名が配属されたものの、他の同規模の支店と比較して事務量の割合に人員不足(最も規模の小さいf支店ですら行員一〇名であつた。)であり、そのうえ同年五月末頃Vが副鼻腔炎の手術のため一か月の休暇を申出たので、a支店長R3はその頃控訴会社本店に行員二名の増員ないし応援者の派遣を要請した。これに加えて、かねて郵政省に申請していた同支店と鹿島郵政局との間の取引が同年六月頃認可となり、同年七月二〇日頃から開始されることとなり、事務量がさらに増大することとなつたので、控訴人は同支店に一名の増員の必要を認めた。2 控訴人は二本松支店が同規模の須賀川、bの両支店と比較して集金係一人当りの相当件数も下廻り、その担当区域内の岳湯泉に事務量の約三分の一が集中していた関係で割合に人員の余裕があると考え、二本松支店の行員のうちから転出者を人選し、同年七月三日頃異動について従組の同意を要する役員でなく、健康状態、家庭の状況についても問題がないと思われた被控訴人を適任者と決定した。3 被控訴人は当時従組青婦人部書記長であり、また二本松地区労の組織部長をしており、A2、A1、A3、A4とともに従組二本松支店分会における中心的な活動家であり、同分会は従組の分会の中でも最も結束の固い中心的な分会の一つであり、このことは控訴人側では十分知つていた。 、同年七月三日頃異動について従組の同意を要する役員でなく、健康状態、家庭の状況についても問題がないと思われた被控訴人を適任者と決定した。3 被控訴人は当時従組青婦人部書記長であり、また二本松地区労の組織部長をしており、A2、A1、A3、A4とともに従組二本松支店分会における中心的な活動家であり、同分会は従組の分会の中でも最も結束の固い中心的な分会の一つであり、このことは控訴人側では十分知つていた。4 従組三役であるR4執行委員長、W副委員長、R5書記長は昭和四一年七月四日控訴人側R1総務部長、R6人事課長と賃金カツトの問題について団体交渉をしていたが、同日午後交渉再開の冒頭に、右R1部長から協約四六条一項、覚書二条の規定に基づき従組に対し、被控訴人をa支店に転勤させたいとして、協議の申入れがなさ と賃金カツトの問題について団体交渉をしていたが、同日午後交渉再開の冒頭に、右R1部長から協約四六条一項、覚書二条の規定に基づき従組に対し、被控訴人をa支店に転勤させたいとして、協議の申入れがなされた。控訴人側は転勤の理由として同支店に人員が不足しており補充の必要があることのほか、被控訴人が組合活動と業務を混同しており、二本松支店長その他の役席者との間にトラブルがあり、日常の行動にも問題があるので解職することもできるが、若いから本人の反省を求める意味で転勤させたいと発言し、(1)勤務時間中にステツカーを書いていたこと、(2)控訴人が配布した資料(民青シリーズ)を思想信条の自由を侵害するものとして外勤一同で役席に突き返したこと、(3)顧客から依頼された国民金融公庫の掛金の払込みが遅れたこと、(4)定期積金の払戻しを顧客から請求されて応じなかつたこと、(5)二本松支店に応援にきていたX調査役に対する態度が反抗的であつたことを指摘したが、従組側としては一名だけの臨時の異動は異例のことであるから定期異動の際に考えてほしいこと、被控訴人が従組青婦人部の書記長であり今異動させられては困るとして再検討を求め、控訴人指摘の被控訴人の行動については、実情調査のうえあらためて協議したい旨申入れたので、控訴人側もこれに応じ協議を続行することとした。同月八日第二回目の協議の際、従組側は実情調査の結果右(2)、(3)を除いてはすべて事実と相違しており、(5)についてはX調査役の方が挑発的であつたと主張し、控訴人側の主張と食い違つたため協議が進まず、控訴人側としても後日直接被控訴人を呼んで事情を調査することとなり、異動の件については一応棚上げにすることとして協議は中断することとなつた。 旨申入れたので、控訴人側もこれに応じ協議を続行することとした。同月八日第二回目の協議の際、従組側は実情調査の結果右(2)、(3)を除いてはすべて事実と相違しており、(5)についてはX調査役の方が挑発的であつたと主張し、控訴人側の主張と食い違つたため協議が進まず、控訴人側としても後日直接被控訴人を呼んで事情を調査することとなり、異動の件については一応棚上げにすることとして協議は中断することとなつた。5 右R1部長は翌九日被控訴人に対し控訴会社本店に出頭するよう命じたので、 直接被控訴人を呼んで事情を調査することとなり、異動の件については一応棚上げにすることとして協議は中断することとなつた。5 右R1部長は翌九日被控訴人に対し控訴会社本店に出頭するよう命じたので、これを知つたR4委員長は電話で調査に立会わせてほしい旨申出たところ、右R1部長はその時点ではすでに控訴会社幹部で従組との協議を打切り被控訴人の異動を発令することに決定していたため、「T3(被控訴人)はもう二本松を出ただろうか。あれは転勤して貰うことになつたからこなくてもよかつたんだ。実行するだけだ。」との返答をした。被控訴人は本店に出頭するため従組事務所に立寄つたが、話合う必要がなくなつた旨の右電話の内容を告げられたため、二本松支店に引返した。控訴人は同日従組に対し同月一八日付で被控訴人の異動を発令する旨通知するとともに、同月一一日被控訴人に対し異動の発令(赴任期限同月二一日)を内示した。そこで従組としては同月一一日第七回中央闘争委員会を開いて態度を決定し、転勤に値する理由がないこと、従組に対する弾圧であること、協議中であるにもかかわらず協約を無視し強行したと、控訴人が現在従組組織破壊攻撃を行なつている中での異例の転勤であり、また唯一人だけの異動であることを理由として、控訴人に対し被控訴人の人事異動を拒否する旨の回答をしたが、控訴人は同月一八日被控訴人の異動を正式に発令した。6 従組としては同月一八日控訴人に対し団体交渉を申入れ、被控訴人の転勤命令の撤回を求めて交渉したが、控訴人はこれに応ぜず、話合いは平行線をたどり進展するに至らず、被控訴人は同月二一日までに赴任しなかつた。控訴人は同月二三日被控訴人に対し控訴会社本店に出頭することを命じ、労務担当のI常務取締役から赴任するよう勧告説得させたが、被控訴人としては従組に一任したことを理由とし 訴人の異動を正式に発令した。6 従組としては同月一八日控訴人に対し団体交渉を申入れ、被控訴人の転勤命令の撤回を求めて交渉したが、控訴人はこれに応ぜず、話合いは平行線をたどり進展するに至らず、被控訴人は同月二一日までに赴任しなかつた。控訴人は同月二三日被控訴人に対し控訴会社本店に出頭することを命じ、労務担当のI常務取締役から赴任するよう勧告説得させたが、被控訴人としては従組に一任したことを理由とし 二一日までに赴任しなかつた。控訴人は同月二三日被控訴人に対し控訴会社本店に出頭することを命じ、労務担当のI常務取締役から赴任するよう勧告説得させたが、被控訴人としては従組に一任したことを理由としてこれに応じなかつた。また、控訴人は同月二九日被控訴人の父T4、身元引受人Y1、同Y2の協力を得て説得しようとし、同人らに来行を求めたが来行を得られなかつた。被控訴人は同月二三日福島県地方労働委員会に対し右異動が不当労働行為であるとして救済命令の申立をした。そこで控訴人は同月三〇日赴任命令と題する書面をもつて被控訴人に対しあらためて同年八月三日までに赴任することを命ずるとともに期限までに命令を履行しない場合は、解雇することを申添える旨通告した。従組は控訴人に対し同月一日午前八時五〇分から指名ストに入つたことを通告してこれを対処し(同月三日午前〇時をもつて解除)、転勤撤回を申入れ、控訴人は同月三日の団体交渉において従組から再検討したい旨の要請をいれて右赴任期限を同月一〇日まで延期することを承諾し、従組に対し同日までに赴任しない場合には被控訴人を業務命令違反行為を理由として解雇するについて、協約五二条に基づいて、同意を得たい旨、行員解雇に関する同意要請申入をしたが、追伸として、期間内に赴任した場合でもその処分についてはあらためて通知する旨(始末書程度の処分であるとの説明はなかつた。)通告した。従組側は右交渉の際、被控訴人個人の責任を追及するのは問題であると抗議したが、控訴人は従組の同意がなくとも解雇に踏み切る意向を伝え、新しい判例を作ると言明した。従組は同月四日開催の中央執行委員会において、また同月一〇日開催の従組支援六者共闘会議においても、被控訴人の転勤命令は不当であり、解雇に関する同意要請申入に応じられない旨決議し、同日控訴人に対しa支店に増 月四日開催の中央執行委員会において、また同月一〇日開催の従組支援六者共闘会議においても、被控訴人の転勤命令は不当であり、解雇に関する同意要請申入に応じられない旨決議し、同日控訴人に対しa支店に増員しなければならない理由はなく、従組の二本松分会の活動家である被控訴人を異動の対象とするのは不当労働行為であり、赴任しても処分するという控訴人の態度は威嚇行為であり厳重に抗議するとして、被控訴人の解雇については同意できない旨回答し、右会議の成り行きいかんによつては赴任することもありうるものとして、a支店に待機させていた被控訴人にその旨連絡したので、被控訴人は赴任するに至らなかつた。 に対しa支店に増員しなければならない理由はなく、従組の二本松分会の活動家である被控訴人を異動の対象とするのは不当労働行為であり、赴任しても処分するという控訴人の態度は威嚇行為であり厳重に抗議するとして、被控訴人の解雇については同意できない旨回答し、右会議の成り行きいかんによつては赴任することもありうるものとして、a支店に待機させていた被控訴人にその旨連絡したので、被控訴人は赴任するに至らなかつた。そこで控訴人は翌一一日業務命令違反行為を理由として被控訴人を懲戒解雇し、その旨口頭で告知したが、解雇辞令、解雇通知書は交付されなかつた。控訴人は同月一七日付福島民報、民友新聞朝、夕刊に解雇公告を出した。叙上認定に反する前記証人R1、同R2、同R6の各証言は前掲他の証拠と対比してたやすく措信することができず、他にこれをくつがえすに足りる証拠はない。以上認定の事実によると、本件一次解雇、さらにその前提となつた転勤命令が客観的にみて正当であり、直ちに解雇する以外に経営維持の方法がないという程事態が切迫していたことは到底認めがたいばかりでなく、控訴人が従組に対し十分納得させるだけの手段、方法を尽し、隔意のない意見を交換して誠実に協議をしたものということはできず、むしろ被控訴人の異動及び解雇を絶対的に正当なものとして無条件同意を要求する態度に終始したものとみるのが相当であるから、従組の同意拒否は正当というべく、控訴人は協約違反の責を免れるものではない。四控訴人は金銭上の不正行為があつた場合には協約の条項いかんにかかわらず、直ちに無条件で解雇できる慣例があつた旨主張す 従組の同意拒否は正当というべく、控訴人は協約違反の責を免れるものではない。四控訴人は金銭上の不正行為があつた場合には協約の条項いかんにかかわらず、直ちに無条件で解雇できる慣例があつた旨主張するが、控訴人は一次解雇当時被控訴人の義務命令違反行為を解雇の理由としていたにすぎず、金銭上の不法行為をその理由としていなかつたこと前認定のとおりであるばかりでなく、右のような慣例があつた点については、これを認めるに足りる的確な証拠はないから、右金銭上の不正行為の存否について判断するまでもなく右主張は採用できない。五次に二次解雇の効力について判断するに、協約が昭和四二年九月七日失効したこと、控訴人が昭和四三年二月二九日その主張の内容の二次解雇の意思表示をしたことはいずれも当事者間に争いがない。 行為をその理由としていなかつたこと前認定のとおりであるばかりでなく、右のような慣例があつた点については、これを認めるに足りる的確な証拠はないから、右金銭上の不正行為の存否について判断するまでもなく右主張は採用できない。五次に二次解雇の効力について判断するに、協約が昭和四二年九月七日失効したこと、控訴人が昭和四三年二月二九日その主張の内容の二次解雇の意思表示をしたことはいずれも当事者間に争いがない。<要旨第二>ところで労働協約が失効して新協約がいまだ締結されない場合に、それまで協約の規範的効力によつて規</要旨第二>制されていた労働契約の内容、すなわち労働条件は何によつて定められるか、自由にこれを変更修正できるものか、あるいは何らかの制限に服すべきものかといういわゆる労働協約の余後効の問題については、見解の分れるところであるが、労働協約が失効しても、その有効期間中に締結された労働契約は、継続的法律関係としての性質上、その後とくにこれを変更する行為が行なわれない限り、右協約における労働条件その他待遇に関する基準を内容としたまま存続し、その内容が空白となるものではなく、したがつて労働協約に解雇同意約款が定められている場合には、協約失効後も、労働組合の同意なしには解雇されないという従前からの労働契約上の地位は保障されるべきものであると解することが相当である。本件についてみるに、解雇同意約款が労働協約の規範的部分に属することは前判示のとおりである しには解雇されないという従前からの労働契約上の地位は保障されるべきものであると解することが相当である。本件についてみるに、解雇同意約款が労働協約の規範的部分に属することは前判示のとおりであるところ、控訴人の本件二次解雇の意思表示は、協約の有効期間中に締結された労働契約により被控訴人が保障されている従組の同意なしには解雇されないという地位を踏みにじり、被控訴人に対し何ら弁明の機会を与えず、しかも従組に対して何らの協議もせず諒解を得ることもなしに一方的、抜打的になされたものであるから、労働契約に違反し無効といわなければならない。控訴人としては一次解雇の効力が争われており、原審において一応その無効が判断されている段階なのであるから、懲罰委員会の議に付することはできないとしても、少くとも従組の諒解を得るか従組との交渉の段階で協議して真摯な態度で臨むのが当然であり、予備的であるとはいえ、解雇という重大な利害関係のある事項を通一遍の内容証明郵便に託して処理したのは、何としても行き過ぎであり、軽率姑息のそしりを免れるものではない。 控訴人としては一次解雇の効力が争われており、原審において一応その無効が判断されている段階なのであるから、懲罰委員会の議に付することはできないとしても、少くとも従組の諒解を得るか従組との交渉の段階で協議して真摯な態度で臨むのが当然であり、予備的であるとはいえ、解雇という重大な利害関係のある事項を通一遍の内容証明郵便に託して処理したのは、何としても行き過ぎであり、軽率姑息のそしりを免れるものではない。六以上の次第で本件一次解雇及び二次解雇は、被控訴人主張の爾余の点について判断するまでもなく、いずれも無効であるから、被控訴人は控訴人の従業員としてなおその地位を有するものというべく、その確認を求める被控訴人の請求は理由がある。七そこで進んで被控訴人の賃金等の請求(当審における請求の拡張部分を含む。)について考察する。1 本人給、加給金(職能給)、食事手当、一時金(賞与金)について(一) 被控訴人が一時解雇の意思表示を受けた当時、控訴人から毎月二〇日支払の約で賃金として月額本人給金二万二、二〇〇円、食事手当金一、〇〇〇円、合計金二万三、二〇〇円の支給を受けていたこと、その後控訴人と被控訴人の所属する従 思表示を受けた当時、控訴人から毎月二〇日支払の約で賃金として月額本人給金二万二、二〇〇円、食事手当金一、〇〇〇円、合計金二万三、二〇〇円の支給を受けていたこと、その後控訴人と被控訴人の所属する従組との間に被控訴人主張(原判決事実摘示請求原因三項及び当審における請求の追加的変更原因ア、エ、オ)のような内容の本人給、加給金(職能給)の賃金引上げ及び一時金の支給についての協定が成立し、食事手当の増額についての給与規程の改正がなされたことはいずれも当事者間に争いがない。(二) 本件一次解雇及び二次解雇がいずれもその効力を有しないことは前認定のとおりであるから、被控訴人は特段の事情のない限り控訴人に対し、他の一般従業員と同一の基準に従い、同一年齢、同一経歴の者と同額の本人給、加給金(職能給)、食事手当、一時金(賞与金、成果配分、決算手当を含む。以下同じ。)の支払を請求する権利を失わないものというべきである。ただ右のうち従業員の勤務成績いかんにより増額又は支給すべき金額に差異を設けているもの(この点は被控訴人の自認するところである。)、すなわち(1)昭和四二年四月一日増額の本人給(ア(ア))、(2)昭和四四年四月増額の加給金(ア(ウ))、(3)昭和四一年一二月及び昭和四二年六月支給の一時金に関しては、その評価が困難ではあるが、弁論の全趣旨によると、控訴人の全従業員の殆んとがその最高額を受けた(右(1)、(3)について最高額の支給を受け得なかつたものが全従業員の五パーセントであることは当事者間に争いがない。 認するところである。)、すなわち(1)昭和四二年四月一日増額の本人給(ア(ア))、(2)昭和四四年四月増額の加給金(ア(ウ))、(3)昭和四一年一二月及び昭和四二年六月支給の一時金に関しては、その評価が困難ではあるが、弁論の全趣旨によると、控訴人の全従業員の殆んとがその最高額を受けた(右(1)、(3)について最高額の支給を受け得なかつたものが全従業員の五パーセントであることは当事者間に争いがない。)ことが認められ、被控訴人の勤務成績を評価できないのは控訴人の責に帰すべき解雇処分によるものであるから、控訴人において特段の事情を主張、立証しない以上、被控訴人に対しても右最高額の基準に従つて支給する義務があるものというべきである。(三) ないのは控訴人の責に帰すべき解雇処分によるものであるから、控訴人において特段の事情を主張、立証しない以上、被控訴人に対しても右最高額の基準に従つて支給する義務があるものというべきである。(三) 成立に争いのない甲第二五ないし三八号証、第四五ないし四七号証と当審証人R4の証言及び原審及び当審における被控訴人本人尋問の結果によると、被控訴人は控訴人に対し昭和四一年八月分から昭和四六年一一月分まで、別紙賃金未払分計算表記載のとおり、本人給、加給金(職能給)、食事手当、一時金(賞与金)の支払請求権を有することを認めることができる。2 家族手当について成立に争いのない甲第四〇ないし四二号証、第四四号証と当審における証人R6の証言及び被控訴人尋問の結果によると、控訴会社における家族手当の請求については、戸籍謄本を添付して控訴会社所定の正規の申請書に記入し、支店長を経由して本店人事部に提出し承認を得る手続がとられなければならない取扱になつていたこと、被控訴人は昭和四三年六月二六日長男T1(第一子)、昭和四六年三月七日長女T2(第二子)がそれぞれ出生したことをその都度控訴会社に申出たが、家族手当請求についての正規の手続はとられていなかつたことを認めることができる。しかしながら、もともと家族手当は婚姻、子の出生等の事実の発生によつてその請求権を取得するものであつて使用者の裁量によつて拒否できる筋合のものではなく、書面による請求は事務処理の明確を期するためのものとみるのが相当であり、本件において被控訴人が正規の手続がとれなかつたのは、控訴人の責に帰すべき解雇処分により訴訟が係属中であつたことによるものであるから、被控訴人の家族手当請求がこれによつて否定される理由はなく、被控訴人は控訴人に対し、前記計算表記載のとおり家族手当の支払請求権を有するも ものであつて使用者の裁量によつて拒否できる筋合のものではなく、書面による請求は事務処理の明確を期するためのものとみるのが相当であり、本件において被控訴人が正規の手続がとれなかつたのは、控訴人の責に帰すべき解雇処分により訴訟が係属中であつたことによるものであるから、被控訴人の家族手当請求がこれによつて否定される理由はなく、被控訴人は控訴人に対し、前記計算表記載のとおり家族手当の支払請求権を有するも 解雇処分により訴訟が係属中であつたことによるものであるから、被控訴人の家族手当請求がこれによつて否定される理由はなく、被控訴人は控訴人に対し、前記計算表記載のとおり家族手当の支払請求権を有するものというべきである。3 住宅手当について控訴人がその給与規程に基づき、従業員が借家をした場合、由請によりその家賃の三分の二相当額を住宅手当として支給することになつていたこと、昭和四四年一〇月九日控訴人から従組に対する申入れにより住宅手当を同月から家賃の八〇パーセント相当額を支給することに改訂されたことはいずれも当事者間に争いがなく、原審及び当審における被控訴人本人尋問の結果によると、被控訴人が昭和四二年五月末頃訴外Zから肩書住所地所在の家屋を住居として家賃月金三、五〇〇円で賃借したことが認められ、また、本訴において昭和四二年一一月三〇日控訴人に到達の同年一二月一日付請求の趣旨変更の申立をもつて住宅手当金の支払を求めたことが記録上明らかであるから、被控訴人は控訴人に対し、前記計算表記載のとおり、同月以降右家賃金の三分の二相当額以内である金二、三〇〇円、昭和四四年一〇月以降右家賃金の八〇パーセンート相当額である金二、八〇〇円の住宅手当請求権を取得したものというべきである。4 支払期未到来の賃金等について被控訴人が昭和四六年一二月以降の賃金等についてみるに、被控訴人が主として控訴人から支給される賃金によつてその生計を維持してきたことは、原審における被控訴人本人の供述により認めることができ、事案の性質上、支払期の到来したときに支払をなすことを予め請求するにつき利益を有することは当然であり、前掲各証拠によると、同月以降前記計算書記載のとおり、金六万五、三五〇円の支払を受くべきものであることが認められる。5 仮処分による支給額について 請求するにつき利益を有することは当然であり、前掲各証拠によると、同月以降前記計算書記載のとおり、金六万五、三五〇円の支払を受くべきものであることが認められる。 の性質上、支払期の到来したときに支払をなすことを予め請求するにつき利益を有することは当然であり、前掲各証拠によると、同月以降前記計算書記載のとおり、金六万五、三五〇円の支払を受くべきものであることが認められる。5 仮処分による支給額について 請求するにつき利益を有することは当然であり、前掲各証拠によると、同月以降前記計算書記載のとおり、金六万五、三五〇円の支払を受くべきものであることが認められる。5 仮処分による支給額について被控訴人主張の仮処分決定により、控訴人が被控訴人に対し毎月金二万四、七〇〇円を支払つていることは当事者間に争いがなく、被控訴人が昭和四一年八月から昭和四五年一二月分まで(五三か月)に被控訴人から仮処分により支給を受けた金員、合計金一三〇万九、一〇〇円については、本訴において請求していなかつたことが記録に徴し明らかである。ところで仮処分による支給はあくまでも仮の支払であるから、(これについて後日清算の問題は生ずる。)これを追加して請求できるのは当然である。6 以上のとおりであるから、控訴人は被控訴人に対し、(A)昭和四一年八月から昭和四二年二月までの本人給、食事手当、一時金、合計金六一万四、四九〇円から仮処分による支給分金三九万五、二〇〇円を差引いた金二一万九、二九〇円、(B)同年一二月から昭和四五年一二月までの本人給、加給金、家族手当、食事手当、住宅手当、一時金、合計金二四八万六、六三五円から仮処分による支給分金九一万三、九〇〇円を差引いた金一五七万二、七三五円、(C)昭和四六年六月支給の一時金、同年一月から三月までの食事手当の差額金、第二子出生による同年三月分の家族手当、合計金一八万六、七六〇円、(D)同年一月から一一月までの本人給、加給金、住宅手当、食事手当((C)の食事手当の差額金を除く。)、家族手当((C)の家族手当を除く。)、合計金六八万一、〇五〇円、(E)仮処分による支給分として差引いた金員の合計金一三〇万九、一〇〇円、以上合計金三九六万八、九三五円及び(A)の金員に対する前記請求の趣旨変更の申立送達の翌日であること記録上明ら 一、〇五〇円、(E)仮処分による支給分として差引いた金員の合計金一三〇万九、一〇〇円、以上合計金三九六万八、九三五円及び(A)の金員に対する前記請求の趣旨変更の申立送達の翌日であること記録上明らかな昭和四二年一二月一日から、(B)の金員に対する昭和四六年一月四日付訴の変更の申立送達の翌日であること記録上明らかな同月九日から(C)の金員に対する同年七月一三日付訴の変更の申立送達の翌日であること記録上明らかな同月一四日から、(D)、(E)の金員に対する同年一二月九日付準備書面送達の翌日であること記録上明らかな同月一〇日から、それぞれその支払ずみに至るまで商事法定利率年六分(控訴人は株式会社であることが当事者間に争いがないから、商法上の商人であり、その行為は特に反証のない限り一般にその営業のためにするものと推定されるので、控訴人と被控訴人との間で締結された雇傭契約に基づく本件債務は、特に反証のない本件においては、商行為により生じたものと認められる。 年一二月九日付準備書面送達の翌日であること記録上明らかな同月一〇日から、それぞれその支払ずみに至るまで商事法定利率年六分(控訴人は株式会社であることが当事者間に争いがないから、商法上の商人であり、その行為は特に反証のない限り一般にその営業のためにするものと推定されるので、控訴人と被控訴人との間で締結された雇傭契約に基づく本件債務は、特に反証のない本件においては、商行為により生じたものと認められる。)の割合による遅延損害金を支払い、(F)同月から雇傭契約終了に至るまで毎月二〇日限り毎月金六万五、三五〇円宛を支払う義務があるものというべきである。八よつて被控訴人の本訴請求を正当として認容した(一部棄却した昭和四二年六月から同年一一月までの住宅手当の支払を求める部分は、被控訴人において、これを取下げた。)原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、これを棄却すべく、被控訴人の附帯控訴(請求の拡張)及び請求の減縮により原判決主文第二、三項を変更することとし、民訴法九六条、八九条、一九六条一項を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官田坂友男裁判官佐々木泉裁判官小林隆夫)(別紙)<記載内容は末尾1添付>資金未払分計算表<記載内容は末尾2添付> 主文のとおり判決する。(裁判長裁判官田坂友男裁判官佐々木泉裁判官小林隆夫)(別紙)<記載内容は末尾1添付>資金未払分計算表<記載内容は末尾2添付>

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