令和4年3月18日東京地方裁判所刑事第11部宣告令和4年刑第149号監禁被告事件 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中10日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。 理由 (犯罪事実)被告人は,令和4年1月8日午後8時56分頃,東京都渋谷区(住所省略)所在の焼肉A店内において,同店店長B(当時49歳)に対し,「バクダンを起動したケイサツにれんらくしろさわぐな!!」と書いた紙片を閲覧させ,持っていた起爆装置様のものと爆弾様のものを示して同人を畏怖させた上,牛刀等を所持しながら同人の動静を監視するなどして,その頃から,警察官が前記Bを解放した同月9日午前0時7分頃までの間,同人が同店から脱出することを著しく困難にさせ,もって不法に人を監禁した。 (量刑理由)本件は,被告人が爆弾様のものを示すなどして焼肉店(以下「本件店舗」という。)に立てこもり,同店店長である被害者を監禁したという事案である。 本件の経緯をみると,被告人は,本件の約2週間前に仕事を辞めて上京したが所持金を使い果たし,路上生活を送る中で自暴自棄になって本件に及んだと認められる。上京前に前刑(道路交通法違反)の罰金を支払うために母から渡されていた現金を,飲酒するなどして使い果たしていることに鑑みると,その経緯に酌量すべき事情は乏しく,動機は短絡的というほかない。 被告人は,起爆装置や爆弾に見せかけるため,携帯電話やテープ等を用いて作った模造品を示している。これらは実際には爆発の危険はなく稚拙な作りであったが,被告人は,併せて刃物を所持するなどしており,被害者を畏怖させた態様 は悪質といえる。 被 プ等を用いて作った模造品を示している。これらは実際には爆発の危険はなく稚拙な作りであったが,被告人は,併せて刃物を所持するなどしており,被害者を畏怖させた態様 は悪質といえる。 被害者は,警察官らが突入するまでの約3時間,恐怖心から脱出できなかったというのであって,その精神的苦痛は大きい。本件によって,被害店舗は臨時休業を余儀なくされており,被害者側の被った損失も軽いものではない。また,本件立てこもり事件が社会へ与えた不安等の結果も軽視できない。 以上によれば,被告人の刑事責任を軽く見ることはできない。 他方,被告人は,事実を認めた上で,母の助力を得て,被害者及び本件店舗に対し被害弁償の一部として7万円を支払って謝罪していること,これを受け,本件店舗の運営母体である会社との間で作成された合意書の中で,被害者及び本件店舗は被告人に対して厳しい処罰を求めてはいないこと,被告人は若く罰金前科しかないこと,自暴自棄になっていた自身の生活を改め,今後は母のいる長崎県内の実家に帰り,経験のある農業をするなどして働く旨述べていることなどの被告人のために酌むべき事情が認められる。 そこで量刑を検討するに,被告人には精神的に不安定なところが見受けられ,未だ内省の深まりまでは認めがたいが,前記酌むべき事情を考慮すると,被告人に対しては,主文の刑を科した上で,今回に限り,その刑の執行を猶予し,その間,被告人の更生の助力となるよう保護観察に付した上で,社会内で更生する機会を与えるのが相当である。 (求刑・懲役2年6月)令和4年3月18日東京地方裁判所刑事第11部 裁判官向井亜紀子 東京地方裁判所刑事第11部 裁判官向井亜紀子
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