平成21年2月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成19年(ワ)第17762号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成20年12月17日判決埼玉県川越市<以下略>原告株式会社壽同訴訟代理人弁護士城山康文同訴訟復代理人弁護士井口直樹同訴訟代理人弁護士池田孝宏同訴訟代理人弁理士石戸久子東京都千代田区<以下略>被告日本郵政公社訴訟承継人郵便事業株式会社同訴訟代理人弁護士辻居幸一同高石秀樹同水沼淳同補佐人弁理士井野砂里東京都港区<以下略>被告補助参加人株式会社電通同訴訟代理人弁護士升永英俊同訴訟代理人弁理士南条雅裕同補佐人弁理士瀬田あや子同佐藤睦大阪市<以下略>被告補助参加人株式会社高島屋 同訴訟代理人弁護士梶谷剛同坂口昌子同宮島哲也同梶谷篤同訴訟代理人弁理士河野哲同幸長保次郎同補佐人弁理士鈴江武彦大阪市<以下略>被告補助参加人株式会社近鉄百貨店同訴訟代理人弁護士桑山斉同今枝史絵同山路邦夫同越本幸彦東京都渋谷区<以下略>被告補助参加人株式会社ニットー同訴訟代理人弁護士横山徹主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,原告に対し,金2億円及びこれに対する平成19年1月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,名称を「筆記具のクリップ取付装置」と 由第1請求被告は,原告に対し,金2億円及びこれに対する平成19年1月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,名称を「筆記具のクリップ取付装置」とする考案につき実用新案権(実用新案登録第2573636号)を有する原告が,被告の前身である日本 郵政公社以下これと被告とを区別せずいずれも被告というにおい(,,「」。)て無償で配布したボールペンが同考案の技術的範囲に属するとして,被告に対し,民法709条に基づき,実用新案権侵害による損害賠償金2億円及びこれに対する不法行為の後の日である平成19年1月1日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠等を末尾に記載する)。 (1)原告の実用新案権ア原告は次の実用新案権以下本件実用新案権といい同実用新案,(,「」,「」。)(,権に係る実用新案を本件登録実用新案というを有している甲12。 )実用新案登録番号第2573636号考案の名称筆記具のクリップ取付装置出願年月日平成5年11月26日登録年月日平成10年3月20日なお,原告は,平成19年1月19日,本件登録実用新案に係る明細書(別紙実用新案登録公報記載のもの)の訂正に係る訂正審判を請求し,同年3月20日,同請求を認める審決がされて,同審決は確定した(甲3,弁論の全趣旨。以下,それぞれ,同訂正後の明細書を「本件明細書」と,別紙実用新案登録公報記載の図面を「本件図面」といい,本件図面に記載された図を,その付された番号に従い「図1」のようにいう。 ,。)イ本件登録実用新案に係る請求項1の記載(上記アの訂正後のもの。以下本件請求項という 図面を「本件図面」といい,本件図面に記載された図を,その付された番号に従い「図1」のようにいう。 ,。)イ本件登録実用新案に係る請求項1の記載(上記アの訂正後のもの。以下本件請求項というは次のとおりである以下本件請求項記載の「」。),(,考案を「本件考案」という。 。)「筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二 分割された接続手段とから構成され,接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置」。 そして本件考案は次のとおり構成要件に分説することができる以,,,(下,分説した各構成要件を,その符号に従い「構成要件A」のようにい,う。 。)A筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,Bこのクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,C接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成るDことを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。 (2)被告の行為ア被告は,平成18年11月ころから同年末にかけて,お年玉付き年賀はがきの販売とともに,又は,お年玉付き年賀はがきの販売の促進を図るため顧客に対しふみのすけオリジナルボールペンと称する製品以下,,「」(「被告製品」という)を,無償で譲渡した(弁論の全趣旨。 。 ),( ,お年玉付き年賀はがきの販売の促進を図るため顧客に対しふみのすけオリジナルボールペンと称する製品以下,,「」(「被告製品」という)を,無償で譲渡した(弁論の全趣旨。 。 ),(「」イ被告製品は被告補助参加人株式会社高島屋以下補助参加人高島屋というから被告補助参加人株式会社ニットー以下補助参加人ニッ。),(「トー」という,被告補助参加人株式会社近鉄百貨店,株式会社電通テッ。)ク,被告補助参加人株式会社電通(以下「補助参加人電通」という,そ。)して,被告へと,順に売買されたものである(弁論の全趣旨。 )ウ被告製品の構成は,次のように分説することができる(弁論の全趣旨。 以下,分説した各構成をその符号に従い「構成a」のようにいう。 。) aボールペン本体と,このボールペン本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,bこのクリップは,クリップ片と,ボールペン本体にクリップを取り付けるための取付リングと,クリップ片と取付リングとを接続するための接続手段とから構成され,当該接続手段は,二分割されており,c接続手段は,Cリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成るdボールペンにクリップを取り付けた装置。 エ構成cは,構成要件Cを充足する。 (3)本件考案に係る無効審判請求の経緯等ア補助参加人高島屋は,平成19年8月15日,特許庁に対し,本件考案に係る実用新案登録の無効審判を請求した(乙5。 )イ原告は,同年11月15日,上記アの無効審判において,本件考案の実用新案登録請求の範囲に関し,次のように訂正することを請求した(甲7。 )「筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはクリ 無効審判において,本件考案の実用新案登録請求の範囲に関し,次のように訂正することを請求した(甲7。 )「筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され,接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置(下線部が訂。」正箇所である)。 ウ原告は,平成20年3月4日,上記アの無効審判において,本件考案の実用新案登録請求の範囲に関し,次の各事項について訂正することを請求した(甲8。以下「本件訂正請求」という。 。) なお,本件訂正請求がされたことによって,上記イの訂正請求は,平成5年法律第26号附則4条1項の規定によりなおその効力を有するとされる同法による改正前の実用新案法40条を,平成15年法律第47号附則12条で改正された平成5年法律第26号附則4条2項によって読み替えて適用される実用新案法40条の2第4項の規定により,取り下げられたものとみなされた。 ア上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手()「段とから構成され」を「上記クリップ片と取付リングとを接続するた,,めの二分割された接続手段とから構成され,クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され」と訂正する(以下,「訂正事項1」という。 。)(イ「クリップ片の裏側」を「割れ目のないクリップ片の裏側」と訂正す),る(以下「訂正事項2」という。 。)(ウ「一 によってのみ接続され」と訂正する(以下,「訂正事項1」という。 。)(イ「クリップ片の裏側」を「割れ目のないクリップ片の裏側」と訂正す),る(以下「訂正事項2」という。 。)(ウ「一体に形成されて成る」を「一体に形成されて成り,前記二分割さ),れた接続手段の間隔は,前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され」と訂正する(以下「訂正事項3」という。 ,。)(エ「ことを」を「クリップは,取付リングの内周面に離間した突条を設),けることなく」と訂正する(以下「訂正事項4」という。 ,。)(オ「特徴とする」を「前記二分割された接続手段の広がりにより取付リ),ングの内径を広げて,前記筆記具本体に取り付けられるものであることを特徴とする」と訂正する(以下「訂正事項5」という。 。)以上の訂正事項を本件考案の記載に反映させると,次のようになる。 「筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,クリップ片と取付リングとは該二分 割された接続手段によってのみ接続され,接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り,前記二分割された接続手段の間隔は,前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され,クリップは,取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく,前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,前記筆記具本体に取り付けられるものであることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置(下線。」部が訂正箇所である)。 エ特 く,前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,前記筆記具本体に取り付けられるものであることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置(下線。」部が訂正箇所である)。 エ特許庁は,同年10月2日付けで,本件訂正請求を認め,かつ,同訂正後の本件考案以下本件訂正考案というに係る実用新案登録を無効(「」。)とする旨の審決をした(丁22。 ) 争点 (1)被告製品が本件考案の構成要件を充足するか(争点1)ア被告製品の構成aが本件考案の構成要件Aを充足するか(争点1-1)イ被告製品の構成bが本件考案の構成要件Bを充足するか(争点1-2)ウ被告製品の構成dが本件考案の構成要件Dを充足するか(争点1-3)(2)本件登録実用新案が実用新案登録無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点2)ア本件考案が実願昭53-158472号(実開昭55-73388号)のマイクロフィルム丁3以下丁3公報というに記載された考案(。 「」。)以下丁3考案というに基づいて当業者がきわめて容易に考案をす(「」。)ることができたものといえるか(争点2-1)イ本件考案が意匠登録第709131号公報(丁7。以下「丁7公報」という)に記載された考案(以下「丁7考案」という)に基づいて当業者。 。 がきわめて容易に考案をすることができたものといえるか(争点2-2)(3)本件訂正請求が認められることにより,本件考案の無効理由が解消され, 本件考案に係る本件実用新案権の行使が許容されるか(争点3)(4)損害の発生の有無及びその額(争点4) 争点に関する当事者の主張 争点1-1被告製品の構成aが本件考案の構成要件Aを充足するか)に()(ついて(原告の主張)ア被告製品は,ボ (4)損害の発生の有無及びその額(争点4) 争点に関する当事者の主張 争点1-1被告製品の構成aが本件考案の構成要件Aを充足するか)に()(ついて(原告の主張)ア被告製品は,ボールペン本体と,このボールペン本体の後部に取り付けられるクリップとから成るところ,同ボールペンは,筆記具に該当する。 したがって,被告製品の構成aは,本件考案の構成要件Aを充足する。 イ被告補助参加人高島屋及び同ニットー以下被告らというの主,(「」。)張に対する反論被告らの主張に係る「回り止め手段」や「位置決め手段」は,本件考案の構成要件には含まれていない。 仮に,それらが構成要件に含まれるとしても,被告製品は,接着剤によりクリップを筆記具本体に接着し,段差により軸方向へのクリップの移動が制約されるのであるから回り止め手段及び位置決め手段を備え,「」「」ているといえる。 ウ補助参加人電通,同高島屋及び同ニットー(以下「補助参加人電通ら」という)の主張に対する反論。 クリップの取付部が筆記具本体の軸径からはみ出さないようにすることは,本件考案の構成要件ではない。 なお,被告製品も,筆記具本体のクリップが取り付けられる部分がわずかに細くなっており,肉厚分がそのまま出っ張ることはない。 (被告らの主張)ア本件考案の構成要件Aにおける取り付けられる構成としては多角「」,「形状部やリブのような,筆記具本体のリング取り付け箇所と取付リングと に形成された回り止め手段と軸方向の移動を規制する位置決め手段」が必須であるところ,被告製品は,このような構造を有していない。 イ原告の主張に係る取付リングの形状の復元力,接着剤及び段差は,上記「回り止め手段」及び「位置決め手段」に該当しない。 (補助参加人電通らの であるところ,被告製品は,このような構造を有していない。 イ原告の主張に係る取付リングの形状の復元力,接着剤及び段差は,上記「回り止め手段」及び「位置決め手段」に該当しない。 (補助参加人電通らの主張)本件考案の構成要件Aにおける「取り付け」は,クリップ取付部が筆記具本体の軸径からはみ出さないような態様における取付けを意味するものと解すべきであるところ,被告製品のクリップ取付部は,筆記具本体の軸径からはみ出している。 (2)争点1-2(被告製品の構成bが本件考案の構成要件Bを充足するか)について(原告の主張)ア被告製品のクリップは,クリップ片と,ボールペン本体にクリップを取り付けるための取付リングと,クリップ片と取付リングとを接続するための接続手段とから構成され,当該接続手段は二分割されている。 したがって,被告製品の構成bは,本件考案の構成要件Bを充足する。 イ被告らの主張に対する反論上記(1)における本件考案の構成要件Aに関する反論と同様である。 ウ補助参加人電通らの主張に対する反論上記(1)における本件考案の構成要件Aに関する反論と同様である。 (被告らの主張)上記(1)における本件考案の構成要件Aに関する主張と同様である。 (補助参加人電通らの主張)上記(1)における本件考案の構成要件Aに関する主張と同様である。 (3)争点1-3(被告製品の構成dが本件考案の構成要件Dを充足するか)について (原告の主張)ア被告製品は,ボールペンにクリップを取り付けた装置,すなわち筆記具のクリップ取付装置である。 したがって,被告製品の構成dは,本件考案の構成要件Dを充足する。 イ被告らの主張に対する反論取付リングの肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出していないことは,本件考案の構成要件ではない。本件明細書の記載は,Cリング4 構成dは,本件考案の構成要件Dを充足する。 イ被告らの主張に対する反論取付リングの肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出していないことは,本件考案の構成要件ではない。本件明細書の記載は,Cリング4のはみ出しではなく,突条6のはみ出しを問題としたものである。 仮に,これが構成要件に含まれるとしても,被告製品は,筆記具本体のクリップの取り付けられる部分がわずかに細くなっており,肉厚分がそのまま出っ張ることはない。 ウ補助参加人電通らの主張に対する反論,。 ,抜き型により製造できることは本件考案の構成要件ではないむしろ本件図面の図3及び図4によれば,本件考案のクリップの製造が割り型を用いて行われることは,明らかである。 (被告らの主張)本件明細書の記載によれば,本件考案は,Cリング4の肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出すことがなく,美観上好ましいという作用効果を奏するところ,被告製品は,このような作用効果を奏しないから,構成要件Dの「筆記具のクリップ取付装置」に該当しない。 (補助参加人電通らの主張)本件明細書によれば,本件考案について,製造工程において割り型を使用せず,抜き型により製造することができ,製造コストを低く抑えることが要求されているのであるから,構成要件Dの「クリップ取付装置」は,抜き型により製造することができるものでなければならない。 しかしながら,被告製品は,抜き型で製造することができないから,構 成要件Dを充足しない。 (4)争点2-1(本件考案が丁3考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものといえるか)について(被告及び補助参加人らの主張)ア相違点本件考案と丁3考案の相違点は,次のとおりである。 本件考案では接続部分がクリップ片であって接続手段はCリング形,,「状の取付リング るか)について(被告及び補助参加人らの主張)ア相違点本件考案と丁3考案の相違点は,次のとおりである。 本件考案では接続部分がクリップ片であって接続手段はCリング形,,「状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成り」と特定されているのに対し,丁3考案では,被接続部分は,支持壁(7)であって,支持壁(7)に金属クリップ(A)の取付片(2)の係合辺(3)を係合させて成り,上記の特定を有していない。 イ容易想到性丁3考案においては,接続手段としての突壁(6)は,支持壁(7)と一体に形成され,その支持壁(7)には,取付片(2)及び係合辺(3)(),(),()を介して脚杆 の裏側が取り付けられており脚杆 取付片 ()()(),(),及び係合辺 から成る金属クリップAクリップ片と環体 突壁 及び支持壁 を同一体に設けた非金属装着環B取付リ()()()(ング)とは,別体に構成されているものの,その支持壁(7)には,脚杆(),,()(), が取り付けられており実質的には脚杆 と支持壁 はあたかも両者一体となってクリップ片を構成しているといえる。 そして丁3考案のクリップ取付装置においてその筒体 筆記具,,()(本体)に対してクリップを取り付ける直接の作用を発揮する構成に着目すると,接続手段としての突壁(6)は,支持壁(7)と一体に形成されており,この支持壁(7)が実質的にクリップ片を構成しているといえることから,これを介してクリップ片の裏側と一体に形成されているものと認 められる。 また丁3考案において金属クリップAクリップ片と非金属装,,()() 片を構成しているといえることから,これを介してクリップ片の裏側と一体に形成されているものと認 められる。 また丁3考案において金属クリップAクリップ片と非金属装,,()()着環(B(取付リング)を別体としたのは「それら両方に意匠的変化を),施すことが可能になり,意匠的に異なるそれら両方を種々組合せることによって商品の付加価値をたかめることができる丁3公報5頁17行な,」(いし6頁1行)ためであり,丁3公報の「筆記具の軸筒又はキヤツプ等の筒体を通す装着環(取付リングと対応する部分)に脚杆(クリップ片と対応する部分を同一体に形成したクリップは周知である丁3公報1頁1)」(8行ないし2頁2行)という記載にもあるように,クリップ片と取付リングを同一体に作る,すなわち,一体に形成することは周知である。 そうすると,丁3考案において,Cリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出する二部分の外方延出端部部分と一体に形成されて成る被接続部分をクリップ片を係合させる部分支持壁 とせずにクリ,(()),ップ片自体とすることは,当業者がきわめて容易に想到することができ,その際,上記接続手段がクリップ片の裏側に一体化されるようになすことも,適宜に採用可能なクリップの幅との関係で,当業者が適宜なす範囲のことである。 したがって,丁3考案において,上記アの相違点に係る本件考案の接続手段を具備するようにすることは,当業者がきわめて容易に想到できたものというべきである。 (原告の主張)ア丁3考案において,金属クリップ(A)と非金属装着環(B)とを別体にしたのは金属板で同一体につくった場合には筆記具に装着する際や,「,使用中に装着環が動いて,装着環によって軸筒又はキャップ等の筒体表面にひ ,金属クリップ(A)と非金属装着環(B)とを別体にしたのは金属板で同一体につくった場合には筆記具に装着する際や,「,使用中に装着環が動いて,装着環によって軸筒又はキャップ等の筒体表面にひっかききずのようなきずをつけることが多くなる不利があり,合成樹脂で同一体につくった場合には,脚杆がバネ性に欠けて締付け力に劣る欠 点があった丁3公報2頁2行ないし11行からであるすなわち丁」()。 ,3公報の明細書の文言からは,丁3考案が,それまでに存在していたとする「金属板を利用して装着環と脚杆とを同一体につくり,脚杆を装着環の表側に折曲加工した構造のもの」及び「合成樹脂で装着環と脚杆とを同一体につくった構造のもの」が,いずれも利点,欠点を持ち合わせていたため,金属板を脚杆に,非金属材料を装着環に材料として用いることで,金属板,脚杆のそれぞれの利点を生かし,欠点を解決することとした考案であることを,明りょうに読み取ることができる。 ,()()()さらに金属クリップAを構成する脚杆 と非金属装着環Bを構成する支持壁(7)とが,異なる材料から成る別部品であるため,支持壁(7)に脚杆(1)が取り付けられることにより,脚杆(1)から支持壁(7)に力が作用し,支持壁(7)から脚杆(1)に力が作用するという,一体である場合とは異なる作用が発生する。そして,このような作用を利用することこそ,丁3考案の技術の中核であるといえる。 したがって,丁3考案は,明らかに,装着環と脚杆とを一体にすることへの反示唆となっているというべきである。 イ丁3公報の意匠的な観点に関する記載は付加を表す接続詞また丁,「」(3公報5頁16行)に続いて記載されたものであって,あくまで付随的な効果を述べているにすぎず,丁3考案の きである。 イ丁3公報の意匠的な観点に関する記載は付加を表す接続詞また丁,「」(3公報5頁16行)に続いて記載されたものであって,あくまで付随的な効果を述べているにすぎず,丁3考案の主旨は,上記アのとおりである。 ,()(),しかも金属クリップAと非金属装着環Bとを一体で形成すると副次的な効果である「意匠的変化」も得られないのであるから,丁3公報の明細書に「意匠的変化」に関する記載があることは,一体化を阻害するものというべきである。 また丁3公報には筆記具の軸筒又はキャップ等の筒体を通す装着環,,「に脚杆を同一体に形成したクリップは周知である丁3公報1頁18行な」(いし2頁2行)との記載はあるが,その周知のクリップの具体的な構成は 一切明らかではない。装着環と脚杆を同一体に作ることがよく知られていたとしても,この記載から,接続手段を想到することはできず,当業者において,本件考案のような「クリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから」成る構成に,きわめて容易に達することはできない。 ウ以上のとおり,丁3公報は,装着環と脚杆を一体にすることに対する反示唆を行っており,当業者は,丁3考案から,接続手段をクリップ片の裏側に一体にすることをきわめて容易に想到することはできない。 (5)争点2-2(本件考案が丁7考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものといえるか)について(被告及び補助参加人らの主張)ア本件考案と丁7考案との相違点は,次のとおりである。 ,,本件考案ではクリップ片と取付リングとを接続するための接続手段がクリップ片の裏側と一体に形成されて成るのに対し, び補助参加人らの主張)ア本件考案と丁7考案との相違点は,次のとおりである。 ,,本件考案ではクリップ片と取付リングとを接続するための接続手段がクリップ片の裏側と一体に形成されて成るのに対し,丁7考案では,この点が定かではない。 イクリップ片の幅は,クリップ片の材質,厚さなどとの組合せいかんによって変わるクリップ力,筆記具本体との意匠的バランスを勘案して,当業者が適宜設定可能なものである。 そうすると,丁7考案において,接続手段がクリップ片の裏側に一体化されるようにすることは,適宜に採用可能なクリップの幅との関係で,当業者が適宜なす範囲のことである。 したがって,上記アの相違点に係る本件考案の構成は,当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。 (原告の主張)争う。 (6)争点3(本件訂正請求が認められることにより,本件考案の無効理由が解消され,本件考案に係る本件実用新案権の行使が許容されるか)について(原告の主張)ア本件訂正請求の適法性(ア)訂正事項1についてa訂正事項1は,本件考案に関し,接続手段を「クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続されと限定する,」もので,明りょうでない記載の釈明又は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり,実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものではない。すなわち,クリップ片と取付リングとが二分割された接続手段以外の手段によって接続されていないことは,内在的に自明であったが,この要件を明示して,記載を明りょうにしたものである。 b訂正事項1による限定を付加した考案は,本件図面の図3,図4及び図5の記載本件明細書の実施例図1~図6はこの考案の一,「【】,実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関し,そ 1による限定を付加した考案は,本件図面の図3,図4及び図5の記載本件明細書の実施例図1~図6はこの考案の一,「【】,実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関し,そして図3~図6はクリップ12に関する段落0007という。」(【】)記載クリップ12はクリップ片16とクリップ12を筆記具本体,「,11に取り付けるためのクリップ取付リング17とから成り,これらは二分割された接続部18によって一体化されている(段落【00。」 という記載並びにクリップ片16と取付リング17との接続】)「部18が二分割されて空隙20が形成されているので,この部分の作用によって筆記具本体11によって取付リング17の内径が少し拡大。」(【】),されて容易に嵌合せしめられる段落0009という記載からクリップ片と取付リングとが二分割されている接続手段によってのみ接続されることが明らかであることに基づくものであって,願書に添 付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (イ)訂正事項2についてa訂正事項2については,本件考案に関し,クリップ片を「割れ目のないクリップ片の裏側」と限定するもので,実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり,実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものではない。 b訂正事項2による限定を付加した考案は,本件図面の図3,図4及び図5の記載,本件明細書の「このクリップ2を筆記具本体1に取り付けるとCリング4の割れ目5が拡大して表れるので,美観上好ましくなかった段落0002という記載実施例図1~図6。」(【】),「【】は,この考案の一実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関しそして図3~図6は ,美観上好ましくなかった段落0002という記載実施例図1~図6。」(【】),「【】は,この考案の一実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関しそして図3~図6はクリップ12に関する段落0,。」(【007)という記載「クリップ12は,クリップ片16とクリップ】,12を筆記具本体11に取り付けるためのクリップ取付リング17とから成り,これらは二分割された接続部18によって一体化されている段落0008という記載並びにクリップ片16と取付リ。」(【】)「ング17との接続部18が二分割されて空隙20が形成されているので,この部分の作用によって筆記具本体11によって取付リング17の内径が少し拡大されて容易に嵌合せしめられる(段落【000。」 という記載からクリップ片に割れ目がないことが明らかである】),ことに基づくものであって,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (ウ)訂正事項3についてa訂正事項3は,本件考案に関し,二分割された接続手段を「前記二分割された接続手段の間隔は,前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成されと限定するもので実用新案登録請求の範囲,」, の減縮を目的とするものであり,実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものではない。 b訂正事項3による限定を付加した考案は,本件図面の図3,図4及び図5の記載本件明細書の実施例図1~図6はこの考案の一,「【】,実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関し,そして図3~図6はクリップ12に関する段落0007という。」(【】)記載クリップ12はクリップ片16とクリップ12を筆記具本体,「,11に 図1及び図2は筆記具本体11に関し,そして図3~図6はクリップ12に関する段落0007という。」(【】)記載クリップ12はクリップ片16とクリップ12を筆記具本体,「,11に取り付けるためのクリップ取付リング17とから成り,これらは二分割された接続部18によって一体化されている・・・より詳し。 く述べると,接続部18は,Cリング形状の取付リング17の両開放端が外方に延出した状態でクリップ片16の裏側と一体に形成されている段落0008という記載並びにクリップ片16と取付。」(【】)「リング17との接続部18が二分割されて空隙20が形成されているので,この部分の作用によって筆記具本体11によって取付リング17の内径が少し拡大されて容易に嵌合せしめられる(段落【000。」 という記載により二分割された接続手段の間隔は割れ目のな】),,いクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成されていることが明らかであることに基づくものであって,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (エ)訂正事項4についてa訂正事項4は,本件考案に関し,クリップの取付リングの内周面を「クリップは,取付リングの内周面に離間した突条を設けることなくと限定するもので実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする,」,ものであり,実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものではない。 b訂正事項4による限定を付加した考案は,本件図面の図3,図4及 び図5の記載,本件明細書の「このクリップ2を筆記具本体1に取り付けるとCリング4の割れ目5が拡大して表れるので,美観上好ましくなかった段落0002という記載実施例図1~図6。」(【】),「【】は,この考案の一実施例によ 筆記具本体1に取り付けるとCリング4の割れ目5が拡大して表れるので,美観上好ましくなかった段落0002という記載実施例図1~図6。」(【】),「【】は,この考案の一実施例による装置を示し,図1及び図2は筆記具本体11に関しそして図3~図6はクリップ12に関する段落0,。」(【007)という記載「クリップ12は,クリップ片16とクリップ】,12を筆記具本体11に取り付けるためのクリップ取付リング17とから成り,これらは二分割された接続部18によって一体化されている段落0008という記載並びにクリップ片16と取付リ。」(【】)「ング17との接続部18が二分割されて空隙20が形成されているので,この部分の作用によって筆記具本体11によって取付リング17の内径が少し拡大されて容易に嵌合せしめられる(段落【000。」 という記載からクリップが取付リングの内周面に離間した突】),,条を設けていないことが明らかであることに基づくものであって,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (オ)訂正事項5についてa訂正事項5は,本件考案に関し,クリップを「前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,前記筆記具本体に取り付けられるものであることを」と限定するもので,実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり,実用新案登録請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものではない。 b訂正事項5による限定を付加した考案は,本件明細書の「筆記具本体の後端からクリップの取付リングを圧入すると,このリングとクリップ片の接続部が分割されているので,この部分が広げられて実質上リングの内径が少し広げられる。その結果,リングは容易に筆記具本体所定の個所に 端からクリップの取付リングを圧入すると,このリングとクリップ片の接続部が分割されているので,この部分が広げられて実質上リングの内径が少し広げられる。その結果,リングは容易に筆記具本体所定の個所に嵌合せしめられる。一度クリップが取り付けられる と段落0006の記載に基づくものであって願書に添付し,」(【】),た明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (カ「除くクレーム」について)本件訂正考案においては,上記(ア)ないし(オ)のとおり,訂正の要件を充たしており,被告らが問題とする「除くクレーム」の実務を持ち出す必要はなく仮に新規事項の追加となるとしても除くクレー,,,「ム」の実務により,訂正が認められるものである。 イ当業者が丁3考案に基づいて本件訂正考案をきわめて容易に考案し得なかったこと(ア)丁3考案の要旨丁3公報においては,丁3考案として,次のような構成が開示されている。 「金属クリップ(A)と,筒体を通す非金属装着環(B)からなり,金属クリップ(A)は脚杆(1)の片端を裏側に折返えして取付片(2),()(),を形成すると共にその取付片 に係合辺 を形成して構成し()(),()非金属装着環Bは高分子物質で環体 をつくると共に突壁 を外向に対峙突設せしめて同一体に設け,その突壁間に支持壁(7)を架設して構成し,環体(4)の内面に筒体(5)の表面に圧接する縦長突条(8)を数箇所設けて,取付け後の動きを防止し,筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成し,非金属装着環(B)の支持壁を金属クリップ(A)の脚杆(1)と取付片(2)とで挟むと共に金属クリップ(A)の係合辺(3)を非金属装着環(B)の突壁(6)又は支持壁(7)に係合せしめた にして構成し,非金属装着環(B)の支持壁を金属クリップ(A)の脚杆(1)と取付片(2)とで挟むと共に金属クリップ(A)の係合辺(3)を非金属装着環(B)の突壁(6)又は支持壁(7)に係合せしめた筆記具のクリップ装置」。 (イ)本件訂正考案と丁3考案との相違点本件訂正考案と丁3考案とは,次の点で相違している。 a相違点(丁3)① 本件訂正考案では接続手段はクリップ片の裏側と一体に形成され,「て」いるのに対し,丁3考案では,突壁(6)は金属クリップ(A)とは別体のものである。なお,丁3考案の支持壁(7)は,クリップ片に相当しない。 b相違点(丁3)②本件訂正考案では二分割された接続手段の間隔はクリップ片の,「,裏側の幅よりも狭く形成される」のに対し,丁3考案では,二つの突壁(6)の間隔は,支持壁(7)又は金属クリップ(A)の幅と同じに形成されている。 c相違点(丁3)③本件訂正考案ではクリップは取付リングの内周面に離間した突,「,」,,(),条を設けることないのに対し丁3考案では環体 の内面に離間した縦長突条(8)を数箇所設けている。 d相違点(丁3)④本件訂正考案では二分割された接続手段の広がりにより取付リン,「グの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられるものである」のに対し,丁3考案では,縦長突条(8)を筒体(5)の表面に圧接することで筒体に取り付けている。 (ウ)各相違点についての検討a相違点(丁3)①について上記(4)の(原告の主張)と同様である。 b相違点(丁3)②について(a)丁3考案の非金属装着環(B)における二つの突壁(6)の間隔以下突壁間隔というは金属クリップAを非金属装着(「」。),()環(B)に取り付けるための部位で ②について(a)丁3考案の非金属装着環(B)における二つの突壁(6)の間隔以下突壁間隔というは金属クリップAを非金属装着(「」。),()環(B)に取り付けるための部位であり,その部位を作り出すため,(),()()に非金属装着環Bに二つの突壁 と一つの支持壁 を設けているにすぎない。したがって,丁3考案では,突壁(6)及び支持壁(7)を接続手段として金属クリップを筒体に取り付けるために利用しようとする意図もなければ,突壁(6)及び支持壁(7)を接続手段として非金属装着環(B)を筒体(5)に取り付けるために利用しようとする意図も,作用も全くない。むしろ,丁3考案では,金属クリップ(A)の非金属装着環(B)への取付けは,金属クリップ(A)の折り返しによって形成された取付片を,()()上記非金属装着環Bにおける突壁間隔に設けられた支持壁 に差し込む手段を用いており,他方,非金属装着環の筒体(5)への取付けは,縦長突条(8)で行っているのである。 これに対し,本件訂正考案の二分割された接続手段は,その広がりにより取付リングの内径を広げることで,取付リングを筆記具に取り付ける作用を果たすものである。 この点において,本件訂正考案と丁3考案とは,根本的に異なるといえる。 b被告及び補助参加人らは接続手段突壁 の間隔をクリッ(),(())プ片の裏側の幅よりも狭く形成するか,あるいは,丁3考案のように,それとほぼ同一に形成するかは,当業者が適宜設計可能なものである旨主張する。 しかしながら,丁3考案では,支持壁(7)の幅,つまり,突壁間隔は,金属クリップを非金属装着環に接続する接続手段として利,。 用されているため金属クリップの幅と必然的に同じとなっ ある旨主張する。 しかしながら,丁3考案では,支持壁(7)の幅,つまり,突壁間隔は,金属クリップを非金属装着環に接続する接続手段として利,。 用されているため金属クリップの幅と必然的に同じとなっているすなわち,仮に,突壁間隔が金属クリップの幅よりも小さかったならば,金属クリップ(A)を取り付けることができず,突壁間隔が金属クリップ(A)よりも大きかったならば,突壁間隔と金属クリップとの間に隙間が生じて,取り付けられた金属クリップ(A)を 安定させることができないことから,丁3考案では,突壁間隔が金属クリップ(A)の幅と等しいことが必須なのである。そして,二つの突壁(6)は,金属クリップ(A)をガタなく取り付けるために,金属クリップ(A)から二つの突壁(6)を互いに離反する方向へと押し広げようとする外力を常に受けているため,突壁(6)から筒体(5)への取付力は,ほとんど作用しないことになる。 ,,,これに対し本件訂正考案では二分割された接続手段の間隔はクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成される。これは,本件訂正考案では,接続手段とクリップ片とが一体に形成されるため,二分割された接続手段の間隔がクリップ片の幅に制約されないし,これらの接続手段の間隔を押し広げようとする外力も作用しないからであ。 ,,,るよって本件訂正考案ではクリップ片の幅の影響を受けずに二分割された接続手段の間隔を狭く設定することが可能になり,筆。 ,記具本体に取り付けるのに好適な間隔とすることができるそして接続手段の間隔を広げれば,それだけ弾性復元力が弱くなるから,取付力を弱くすることができ,反対に接続手段の間隔を狭めれば,それだけ弾性復元力が強くなるから,取付力を強くすることができる。このように,本件訂正考案では,クリップ片の裏側の幅より が弱くなるから,取付力を弱くすることができ,反対に接続手段の間隔を狭めれば,それだけ弾性復元力が強くなるから,取付力を強くすることができる。このように,本件訂正考案では,クリップ片の裏側の幅よりも間隔が狭い二分割された接続手段によって,十分な筆記具本体への取付力を得ることが可能となるという,丁3考案では得られない優れた効果を奏することができるのである。 したがって,丁3考案における突壁間隔は,当業者が適宜設計可能なものではないというべきである。 (),(),()()c被告及び補助参加人らは環体 突壁 及び支持壁 が同一体として形成されている非金属装着環(B)全体によって,筒体(5)への取付けがされているのであるから,突壁(6)が非 金属装着環(B)の筒体(5)への取付けに寄与していることは,明らかである旨主張する。 しかしながら,丁3考案においては,筒体(5)の表面へ圧接し,()()()ているのは金属装着環Bの環体 の内面の縦長突条 ,()。 ,()()であって突壁 ではないそして縦長突条 が筒体 ,(),()に圧接すると筒体5からの反作用力が働き非金属装着環B,()()の環状部がこれに反発することで非金属装着環Bが筒体 に取り付けられる。これに対し,突壁(6)は,このような取付力の作用に関してほとんど関係がなく,むしろ,それが直接接している金属クリップ(A)の存在によって,その間隔を広げられるように強制されており,それに対する反作用としての力を金属クリップ(A)に対して及ぼしている。一組の突壁(6)によって,金属クリップ(A)と筒体(5)の両方に対して力を及ぼし,取付力を発揮することは,不可能である。 仮に れに対する反作用としての力を金属クリップ(A)に対して及ぼしている。一組の突壁(6)によって,金属クリップ(A)と筒体(5)の両方に対して力を及ぼし,取付力を発揮することは,不可能である。 仮に,突壁(6)が非金属装着環(B)の筒体(5)への取付けに寄与しているとすれば,それは,突壁間隔が金属クリップ(A)の幅よりも広がっていることを意味し,そのままでは,金属クリップ(A)が不安定となり,クリップの機能を果たし得ないから,製品としては致命的な欠陥となるのである。 (d)被告及び補助参加人らは,丁3公報の「装着環を合成樹脂,硬質ゴム質等の高分子物質による非金属装着環とすることにより,脚杆に強力なバネ性を附与して優れた締付け力を発揮せしめ・・・ 」(頁13ないし19行)という記載を引用し,丁3考案でも,樹脂の硬度等を適宜設計すれば,所定のバネ性が得られ,筒体(5)への取付力も得られる旨主張する。 ,,「」しかしながら上記引用部分に先行してクリップを金属とし との文言が存在していることから明白なようにバネ性とはこ,「」,の金属製のクリップと一体となった「脚杆」の属性についてのものであって合成樹脂硬質ゴム質等の高分子物質による非金属装着,「,環」の属性についてのものではない。 ,,()()また丁3考案において非金属装着環Bと金属クリップAとが別体であればこそ,そのような適宜設計が可能であるかもしれないが,本件訂正考案では,接続手段とクリップ片とが一体に形成されるために,接続手段及び取付リングの弾性力の設定も制約を受けることになる。この点,本件訂正考案は,二分割された接続手段の間隔がクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成されることによって,筆記具本体に取り付けるのに好適な間隔とすることができる 力の設定も制約を受けることになる。この点,本件訂正考案は,二分割された接続手段の間隔がクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成されることによって,筆記具本体に取り付けるのに好適な間隔とすることができるという,丁3考案では得られない,別異の作用,効果を有しているのである。 c相違点(丁3)③及び④について(a)丁3考案では,突壁(6)及び支持壁(7)を接続手段として筒体(5)に取り付けるために利用しようとする意図も作用も全くない。その代わりに,丁3考案においては,非金属装着環(B)の筒(),()()体 への取付けは縦長突条 の圧接力及び縦長突条 ()。 ,に挟まれた環体 部分の歪みを利用して行われているこれは丁3公報の4頁8行ないし12行の「高分子物質環体(4)の内面()()()に筒体 の表面に圧接する縦長突条 又は凸起図示せずを数個所設けて,取付け後の動きを防止し,筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構成する」との記載から明らかである。 すなわち,丁3考案では,このような離間した縦長突条(8)があるために,隣り合う縦長突条(8)の間にある環体(4)部分と筒体(5)との間には隙間が形成され,環体(4)部分は,その間に おいて筒体(5)に拘束されない。そのため,環体(4)部分は,(),縦長突条8の間において円形形状からはずれて歪むことができこの歪みを利用して隣接する縦長突条(8)の間を広げているのである。 しかしながら,丁3考案では,局所的な縦長突条(8)の圧接力及び局所的な環体(4)部分の歪みを利用するために,美観上好ましくなく,外圧が作用した場合の不安定性・不確実性をもたらす。 また,筒体(5)の方が非金属装着環(B)よりも剛性が弱い場合には,縦長突条(8 局所的な環体(4)部分の歪みを利用するために,美観上好ましくなく,外圧が作用した場合の不安定性・不確実性をもたらす。 また,筒体(5)の方が非金属装着環(B)よりも剛性が弱い場合には,縦長突条(8)からの集中応力を受けて,筒体(5)自体が変形し,ノック作動不良といった作動不良を招くおそれがある。このように縦長突条(8)の圧接力及び環体(4)部分の歪みを利用して取り付けるのは,本件訂正考案の「二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられる」構成とは全く別異のものである。 これに対し,本件訂正考案では,取付リングの内周面には離間した突条は設けられておらず,局所的な圧接力及び歪みを利用することはしていない。本件訂正考案のクリップは,二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられる。本件訂正考案によれば,取付リングには,局所的な圧接力及び歪みがないから,Cリング形状の滑らかな形状をしたまま取付リングの内径が広がり得るという,丁3考案では得られない優れた効果を奏することができるのである。 (b)被告及び補助参加人らは,丁3考案において,突条を設けるか設けないか等の選択は,当業者が適宜設定可能なものである旨主張する。 しかしながら,丁3公報において,縦長突条(8)は,必要であ ,。 ,,るからこそ記載されているのであるすなわち上記bのとおり,()(),()丁3考案では突壁 及び支持壁 は金属クリップAを取り付けるためのものであり,金属クリップ(A)から離反する方向の力が作用する突壁(6)からは,筆記具本体に対する取付力を期待することができないので,その代わりに,縦長突条(8)を必須としているのである。 (エ)小括以上の 金属クリップ(A)から離反する方向の力が作用する突壁(6)からは,筆記具本体に対する取付力を期待することができないので,その代わりに,縦長突条(8)を必須としているのである。 (エ)小括以上のように,本件訂正考案は,丁3考案と相違点(丁3)①ないし④において相違しており,これらの相違点により優れた効果を奏することができるものであって,当業者が丁3考案からきわめて容易に想到し得たものではない。 ウ当業者が丁7考案に基づいて本件訂正考案をきわめて容易に考案し得なかったこと(ア)丁7考案の要旨丁7公報においては,丁7考案として,次のような構成が開示されている。 「筆記具のクリップにおいて,Cリング形状部分と,Cリング形状部分の両開放端から外方に延出する延出部分と,該延出部分の先端から更に90度折曲される折曲部分とから成り,折曲部分が軸方向に延びてクリップ片となる」。 (イ)本件訂正考案と丁7考案との相違点本件訂正考案と丁7考案とは,次の点で相違している。 a相違点(丁7)①本件訂正考案では割れ目のないクリップ片となっているのに対,「」し,丁7考案のクリップは,二つの折曲部分の間に隙間が形成されており,結果として,割れ目のあるクリップ片となっている。 b相違点(丁7)②本件訂正考案では二分割された接続手段の間隔はクリップ片の,「,裏側の幅よりも狭く形成される」のに対し,丁7考案では,延出部分の先端からクリップ片となる折曲部分が更に90度折曲されており,結果として,二つの延出部分の間隔は,クリップ片の幅と同じに形成されている。 c相違点(丁7)③本件訂正考案では二分割された接続手段の広がりにより取付リン,「グの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられるものである」のに対し,丁7考案では,クリップ片 されている。 c相違点(丁7)③本件訂正考案では二分割された接続手段の広がりにより取付リン,「グの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられるものである」のに対し,丁7考案では,クリップ片にその長手方向に形成された割れ目によってCリング形状部分が広がることができるから,この割れ目を利用して筆記具本体に取り付けられる。 d相違点(丁7)④本件訂正考案では,クリップとして,クリップ片と取付リングとは二分割された接続手段によってのみ接続され,接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成っており,言い換えれば,クリップは一体に形成されているのに対し,丁7考案では,割れ目の形成されたクリップ片の先端に接続具が設けられており,この接続具がないと,丁7考案のクリップは成り立ち得ず,よって,丁7考案では,クリップは一体に形成することができない。 (ウ)各相違点についての検討a相違点(丁7)①及び③について(a)丁7考案は,割れ目の位置が,本件明細書並びに本件図面の図8及び図9で説明する従来技術の割れ目の位置とは異なっているものの,この割れ目を利用したCリング形状部分の弾性力及び復元力に よって,筆記具本体に取り付ける点で,従来技術と同等のものである。したがって,割れ目が見えて美観上好ましくないだけでなく,このようなクリップ片に設けられた割れ目は,クリップ片自体の剛性を悪化させるために,実用上問題がある。 これに対し,本件訂正考案は,クリップのリング部分を筆記具本体に取り付けるクリップ取付装置の従来技術のうち,弾性力を積極的に利用する方式において,従来のものとは異なる斬新な方式に基づく構成を想到したものであり,当業者がきわめて容易に想到し得たものではない。 (), リップ取付装置の従来技術のうち,弾性力を積極的に利用する方式において,従来のものとは異なる斬新な方式に基づく構成を想到したものであり,当業者がきわめて容易に想到し得たものではない。 (),,「」b被告及び補助参加人らはクリップ片について割れ目のない構成とするか割れ目のある構成とするかは,適宜設定可能な設計事項にすぎない旨主張する。 しかしながら,クリップ片部分の割れ目を塞いでしまうと,割れ目を利用する方法とはいえなくなる。すなわち,丁7考案は,割れ目を利用して取り付けることを目論んでいるため,割れ目が必要不可欠であるところ,その配置場所をリング部分からクリップ片部分に移動させ,斬新なものにしたことによって,装飾的効果を目指したものであるから,クリップ片の割れ目を排除することはできないのである。 b相違点(丁7)②について(a)丁7考案では,金属板を折曲して,Cリング形状部分,延出部分及びクリップ片となる折曲部分を一体に構成しようとしているために,二つの延出部分の間隔は,クリップ片の幅と同じに形成されている。そのため,二つの延出部分の弾性復元力は弱くなる。 これに対し,本件訂正考案では,クリップ片の幅の影響を受けず,,に二分割された接続手段の間隔を狭く設定することが可能になり 筆記具本体に取り付けるのに好適な間隔とすることができるという,丁7考案では得られない優れた効果を奏することができる。 (b)被告及び補助参加人らは,接続手段の間隔をクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成するか,それとほぼ同一に形成するかは,当業者が適宜設定可能な設計的事項である旨主張する。 しかしながら,丁7公報の図面からは,延出部分の先端からクリップ片となる折曲部分が更に90度折曲される構成しか読み取ることができない。すなわち,折曲する が適宜設定可能な設計的事項である旨主張する。 しかしながら,丁7公報の図面からは,延出部分の先端からクリップ片となる折曲部分が更に90度折曲される構成しか読み取ることができない。すなわち,折曲するということは,丁7考案において,二つの延出部分の間隔がクリップ片の幅と同じにならざるを得ないということである。 したがって,相違点(丁7)②は,設計的事項ではない。 c相違点(丁7)④について丁7考案では,クリップ片の全長にわたり割れ目が形成されている,,,ためにクリップ片だけでは割れ目の広がりを抑えることができずその先端に,クリップ片の広がりを抑え,かつ,筆記具本体との間で物を挟むための接続具が必須となる。よって,部品点数が増加し,コストが上昇するという問題がある。 これに対し,本件訂正考案では,クリップについて,一体品として構成するため,一部品で構成することができ,部品点数を低減し,低コストで構成することができるという,丁7考案に比較して優れた効果を奏する。 (エ)小括以上のように,本件訂正考案は,丁7考案と相違点(丁7)①ないし④において相違しており,これらの相違点により優れた効果を奏することができるものであって,当業者が丁7考案からきわめて容易に想到し得たものではない。 エ本件訂正考案の実施(ア)本件訂正考案は,次のとおり,構成要件に分説することができる(以下,分説した各構成要件をその符号に従い「構成要件A」のようにいう。 。)A筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,Bこのクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,C-1クリップ片と取り付けリングとは該二分割 はクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,C-1クリップ片と取り付けリングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され,C-2接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成り,C-3前記二分割された接続手段の間隔は,前記割れ目のないクリップ片の裏側の幅よりも狭く形成され,C-4クリップは,取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく,前記二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,前記筆記具本体に取り付けられるものであるDことを特徴とする筆記具のクリップ取付装置。 (イ)本件訂正考案についての構成要件該当性a本件訂正考案の構成要件A,B及びDについて上記(1)ないし(3)の(原告の主張)のとおり,被告製品は,構成要件A,B及びDを充足する。 b本件訂正考案の構成要件C-1について被告製品は,クリップ片と取付リングとが,二分割された接続手段 によって接続され,また,二分割された接続手段以外に,クリップ片と取付リングとを接続する手段は存在しない。 したがって,被告製品は,本件訂正考案の構成要件C-1を充足する。 c本件訂正考案の構成要件C-2について被告製品のクリップ片は,薄いプラスチック板であり,割れ目は存在しない。 また,被告製品の接続手段は,Cリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成る(上記1の前提となる事実等(2)ウ。 )したがって,被告製品は,本件訂正考案の構成要件C-2を充足する。 d本件訂正考案の構成要件C-3について被告製品の二分割された接続 一体に形成されて成る(上記1の前提となる事実等(2)ウ。 )したがって,被告製品は,本件訂正考案の構成要件C-2を充足する。 d本件訂正考案の構成要件C-3について被告製品の二分割された接続手段の間隔(接続手段を構成する,取付リングの開放された一端から外方に突出した二部分の中心線間の距離)は,被告製品のクリップ片の裏側の幅よりも小さい。 したがって,被告製品は,本件訂正考案の構成要件C-3を充足する。 e本件訂正考案の構成要件C-4について被告製品は,取付リングに筆記具本体を挿入させることによって取り付けられているが,取付リングと筆記具本体とが接する部分は,共に平滑面であり,取付リングの内周面に離間した突条を有しない。すなわち,被告製品は,取付リングを筆記具本体を取り付ける際,二分割された接続手段の間隔を広げたまま筆記具本体を取付リングに挿入し,二分割された接続手段及び取付リングの弾性力・復元力によって筆記具本体に押し付けられることで,筆記具本体への装着を確実なも のとしている。そのため,取付リングの装着を確実なものとする目的で,取付リングの内周面に離間した突条を設ける必要がない。 したがって,被告製品は,本件訂正考案の構成要件C-4を充足する。 なお,被告製品は,取付リングを筆記具本体に挿入して取り付ける際,取付リングと筆記具本体との間に接着剤を利用しているが(ただし,接着剤による接着面は,全接合面のうちのわずかな部分にとどまる,このような接着剤は,上記の二分割された接続手段及び取付リ。)ングの弾性力・復元力による装着の確実度を増すための付加的な手段にすぎないから,被告製品が本件訂正考案の構成要件C-4を充足することに変わりはない。 (ウ)小括以上のように,被告製品は,本件訂正考案の構成要件をすべて充足する。 実度を増すための付加的な手段にすぎないから,被告製品が本件訂正考案の構成要件C-4を充足することに変わりはない。 (ウ)小括以上のように,被告製品は,本件訂正考案の構成要件をすべて充足する。 (被告及び補助参加人らの主張)ア訂正要件違反(ア)訂正事項1,2,4が本件明細書及び本件図面のいずれにも開示されていないことa訂正事項1について訂正事項1はクリップ片と取付リングとは該二分割された接続手,「段によってのみ接続され」るという構成要件を追加するものである。 しかしながら,本件明細書及び本件図面には,クリップ片と取付リングとが二分割された接続手段によって接続される構成については記載があるものの,クリップ片と取付リングとが二分割された接続手段のみによって接続されるという構成に関する記述ないし図示は一切存在せず,その具体的構成は不明である。 したがって,本件明細書及び本件図面を見ても,訂正事項1により排除しようとした,クリップ片と取付リングとが二分割された接続手段のみでなく,他の構成要素によっても接続されるという具体的構成は,全く不明であるから,本件明細書及び本件図面において,このような不明な構成を排除するということが開示されていたと解釈することはできない。 b訂正事項2について訂正事項2は,クリップ片の裏側に「割れ目のない」という構成要件を追加するものである。 しかしながら,本件明細書及び本件図面には,クリップ片の裏側の「割れ目」に関する記述ないし図示は,一切存在しない。 したがって,本件明細書及び本件図面を見ても,訂正事項2により排除しようとした「割れ目」の具体的構成は全く不明であり,本件明細書及び本件図面において,そのような不明な構成を排除することが開示されていたとは解釈できない。 c訂正事項4について 事項2により排除しようとした「割れ目」の具体的構成は全く不明であり,本件明細書及び本件図面において,そのような不明な構成を排除することが開示されていたとは解釈できない。 c訂正事項4について訂正事項4は取付リングの内周面に離間した突条を設けることな,「く」という構成要件を追加するものである。そして,原告は,同訂正の根拠として,本件図面の図3,図4及び図5並びに本件明細書の記載段落000200070008及び0009を(【】,【】,【】【】)挙げている。 そこで,これらの各図面及び記載を精査すると,従来技術の説明に(【】),,関する記載段落0002を除いていずれの図面ないし記載も「取付リング17の内周部にも多角形状部19が形成されている」具体的構成を開示している。すなわち,本件図面の図3及び図4におい,「」,ては取付リング17の内周部に多角形状部19が示されており 本件明細書には筆記具本体11の多角形状部13の各頂点が筆記具,「本体11の外周面よりも内方に存在するように形成されている段落」(【0007)構成「取付リング17の前部内周面には,筆記具本体】,11の多角形状部13と対応した多角形状部19が形成されている」段落0008構成及び前述した通り筆記具本体11のクリッ(【】)「プ取り付け個所には多角形状部13が形成されており,これに対応して取付リング17の内周部にも多角形状部19が形成されている段」(落0009構成が開示されている以上のとおりであるから原【】)。 ,告が上記訂正の根拠とする明細書の記載及び図面には,取付リング17の内周部にも多角形状部19を設けることない構成は,一切開示されていない。 そして本件明細 上のとおりであるから原【】)。 ,告が上記訂正の根拠とする明細書の記載及び図面には,取付リング17の内周部にも多角形状部19を設けることない構成は,一切開示されていない。 そして本件明細書を精査するも取付リングの内周面に設ける離,,「間した突条」の具体的構成は不明であるが,本件図面の上記図3ないし5及び本件明細書の上記各記載(段落【0007】ないし【000 に開示された取付リング17の内周部に設けられた多角形状部】)「19」とは,多角形状部の各頂点が互いに離間して設けられる構成であるから少なくとも文言上は離間した突条に相当すると理解,,,「」される。 ,,したがって原告が上記訂正の根拠とする明細書の記載及び図面は取付リングの内周面に離間した突条を設けている構成のみを開示しているから,訂正事項4の「取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく」という構成は,本件明細書及び本件図面に開示されていない。 (イ)訂正事項5が実用新案登録請求の減縮,誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないこと訂正事項5はクリップは…前記二分割された接続手段の広がりによ,「 り取付リングの内径を広げて,前記筆記具本体に取付けられるものであること」という構成要件を追加するものである。 そもそも,考案とは,物品の形状,構造又は組合せに係るものであって,本件登録実用新案は,筆記具のクリップ取付構造に関するものである。そして,本件請求項においては,物品の形状,構造又は組合せに係る筆記具のクリップ取付構造が,考案の構成に欠くことができない事項のみによって記載されている。 これに対し,上記の訂正事項5は,物品の形状,構造又は組合せに係る技術事項を減縮するものではなく,明りょうでない記載の釈明でも 構造が,考案の構成に欠くことができない事項のみによって記載されている。 これに対し,上記の訂正事項5は,物品の形状,構造又は組合せに係る技術事項を減縮するものではなく,明りょうでない記載の釈明でもなく,ましてや,誤記の訂正でもないから,訂正要件を充足しないというべきである。 (ウ)仮に訂正事項2ないし4が本件図面に表されているとしても新規事項の追加となることa確かに実施例として本件図面に表されたクリップは割れ目のな,,「いものであり二分割された接続手段の間隔がクリップ片の裏側の」,「幅よりも狭いものでありそして突条のないものであるといえ」,,「」なくもない。 しかしながら,図面に表された実施例がたまたま備えている構成であるからといって,それらの構成を抽象的に括り出す訂正が,無制限に許されるわけではない。すなわち,本件訂正請求が認められれば,いかなる「割れ目のない」クリップであっても,いかなる「二分割された接続手段の間隔がクリップ片の裏側の幅よりも狭い」クリップであっても,そして,いかなる「突条のない」クリップであっても,権利範囲に入ることになるのであるから,そのような訂正を許容するに足りる技術的意義を伴うものとして開示されていなければならず,そうでなければ,新規事項の追加として,訂正は許されないと解すべき である。 b訂正事項2について訂正事項2は,何らかの「割れ目」のあるクリップをクレームの対象から除く趣旨であると解されるところ,この解釈を前提に,原告の意図する「割れ目のない」クリップの技術的意義に関する記載が本件明細書にあるか否かを検討するに,そのような記載は一切存在しないといわざるを得ない。 この点,原告は,本件明細書の「クリップ片16と取付リング17との接続部18が二分割されて空 義に関する記載が本件明細書にあるか否かを検討するに,そのような記載は一切存在しないといわざるを得ない。 この点,原告は,本件明細書の「クリップ片16と取付リング17との接続部18が二分割されて空隙20が形成されているので,この部分の作用によって筆記具本体11によって取付リング17の内径が少し拡大されて容易に嵌合せしめられる段落0009との記。」(【】)載等を根拠に,そのクリップ片に割れ目がないことは明らかである旨主張する。 ,「」,,しかしながら割れ目のあるクリップは様々考えられるところ割れ目があったとしても,二分割された接続手段により,内径が少し拡大されて容易に嵌合されるという効果が生じる場合が当然考えられ,「」,,るのであるから割れ目のないということとそのような効果とは直接関係がない。 したがって原告が根拠とする上記記載から割れ目のないクリ,,「」ップという概念が開示されているものと当業者が理解することは,不可能である。 以上により,訂正事項2は,新規事項を追加する訂正であるといえる。 c訂正事項3について原告は本件明細書のうち上記bで指摘したのと同じ記載段落0,(【009)等を根拠に「二分割された接続手段の間隔がクリップ片の】, 裏側の幅よりも狭い」ことが明らかである旨主張している。 しかしながら,二分割された接続手段の間隔がクリップ片の裏側の幅よりも狭いことと,二分割された接続手段により,内径が少し拡大されて容易に嵌合されるという効果は,全く関係がない。 したがって原告が根拠とする上記記載から二分割された接続手,,「段の間隔が,クリップ片の裏側の幅よりも狭い」という概念が開示されているものと当業者が理解することは,不可能である。 以上により,訂正事項3は 告が根拠とする上記記載から二分割された接続手,,「段の間隔が,クリップ片の裏側の幅よりも狭い」という概念が開示されているものと当業者が理解することは,不可能である。 以上により,訂正事項3は,新規事項を追加する訂正であるといえる。 d訂正事項4について原告は本件明細書のうち上記bで指摘したのと同じ個所の記載段,(落0009等を根拠にクリップ片に突条のないことが明ら【】),「」かである旨主張する。 しかしながらむしろ本件明細書においては一度クリップが取,,,「り付けられると,筆記具本体のリング取り付け個所と取り付けリングとに形成された回り止め手段と軸方向の移動を規制する位置決め手段とによって確実にクリップが筆記具本体に取り付けられる(段落。」【0006)と記載され,また,請求項2として「前記筆記具本体】,のリング取り付け個所の外周面と前記取付リングの内周面とにクリップの回転防止手段を形成して成ることを特徴とする請求項1の筆記具のクリップ取付装置と記載されておりクリップの取付リングの内。」,側にクリップの回転を防止する何らかの手段があることが好ましいものであることが,開示されている。 そして,本件明細書には,クリップの取付リングの内側に多角形状部これも突条と把握し得る余地があるが存在する実施例が開示さ(。)れており,むしろ,積極的に,クリップの取付リングの内側に回転防 止手段を設けることが期待されているといえる。 したがって原告が根拠とする上記記載から突条のないクリッ,,「」プという概念が開示されているものと当業者が理解することは,不可能である。 しかも原告自身訂正事項4に関し離間した突条を設けること,,,「なく」としており,本件明細書に記載 ,,「」プという概念が開示されているものと当業者が理解することは,不可能である。 しかも原告自身訂正事項4に関し離間した突条を設けること,,,「なく」としており,本件明細書に記載された構成が,離間していない突条として把握し得るものであることを十分認識しているものと考えられ,なお一層,離間した突条がないという限定に技術的意義がないことを裏付けている。 以上により,訂正事項4は,新規事項を追加する訂正であるといえる。 (エ)訂正事項2ないし4がいわゆる「除くクレーム」としても許されないこと我が国においては,訂正が,新規事項を追加するものであって,本来,,,許されないものであっても所定の要件を充足する場合には例外的に新規事項を追加しないものとして扱う除くクレームといわれる実務,「」がある。そして,訂正事項2は「割れ目のあるものを除く」ものと,訂正事項3は「二分割された接続手段の間隔が,クリップ片の裏側の幅と等しいものを除く」ものと,訂正事項4は「突条のあるものを除く」ものとそれぞれ理解することができることから,訂正事項2ないし4についても,訂正の有無にかかわらず,先行技術である引用考案と技術的思想としては顕著に異なり,本来進歩性を有する場合には「除くクレー,ム」として許容され得る。 ,,,しかしながら訂正事項2ないし4に関し訂正の有無にかかわらず先行技術である引用考案と技術的思想としては顕著に異なり,本来進歩性を有するとはいえず,そのことは,原告が,本件訂正請求を行うこと により,本件考案の進歩性を維持しようとしていることに照らしても,明らかである。 したがって訂正事項2ないし4は除くクレームとしても許容さ,,「」れず,原則どおり,新規事項を追加するものであるといえる。 イ本件訂 持しようとしていることに照らしても,明らかである。 したがって訂正事項2ないし4は除くクレームとしても許容さ,,「」れず,原則どおり,新規事項を追加するものであるといえる。 イ本件訂正考案が丁3考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたこと(ア)各相違点についての検討a相違点(丁3)①について上記(4)の(被告及び補助参加人らの主張)イと同様である。 b相違点(丁3)②についてa接続手段突壁6の間隔を本件訂正考案におけるようにク()(),,「リップ片の裏側の幅よりも狭く形成」するか,あるいは,丁3考案におけるように脚杆 取付片 及び係合辺 から成,(),()()る金属クリップ(A)の裏側とほぼ同一に形成するかは,当業者において,採用するクリップ片の材質,厚さ等との組合せいかんによって変わるクリップ力及び意匠的バランスを勘案して,適宜設定可能なものであり,困難性を伴うことなく,きわめて容易になし得た程度のことであるといえる。 (b)原告は,丁3考案では,非金属装着環(B)を筒体(5)に取り付けるために,突壁(6)及び支持壁(7)を利用しようとする意図も作用もなく,その取付けは,縦長突条(8)で行っている旨主張する。 しかしながら非金属装着環Bは硬質合成樹脂硬質ゴム,(),「,(,),質等の高分子材料丁3公報4頁56行で形成されることからその全体構成として,当然に,ある程度の弾性を有している。そして,非金属装着環(B)の環体(4)の内面の縦長突条(8)によ って,筒体(5)の表面への圧接,取付け後の動きの防止及び脱落の防止をするものであることからすれば環体 突壁 及,(),()び支持壁(7)を 4)の内面の縦長突条(8)によ って,筒体(5)の表面への圧接,取付け後の動きの防止及び脱落の防止をするものであることからすれば環体 突壁 及,(),()び支持壁(7)を同一体として形成されている非金属装着環(B)全体の中で,縦長突条(8)だけにより,非金属装着環(B)の筒体(5)への取付けを行い,突壁(6)から筒体(5)への取付力,,。 がほとんど作用しないといったことは技術常識上想起できないしたがって,突壁(6)が非金属装着環(B)の筒体(5)への取付けに寄与していることは,明らかである。 (c)原告は,本件訂正考案では,クリップ片の裏側の幅よりも間隔が狭い二分割された接続手段によって,十分な筆記具本体への取付力を得ることができ,丁3考案では得られない効果を奏することができる旨主張する。 しかしながら丁3公報においては装着環を合成樹脂硬質ゴ,,「,ム質等の高分子物質による非金属装着環とすることにより,脚杆に強力なバネ性を附与して優れた締付け力を発揮せしめ・・・2頁」(13ないし19行)との記載もあり,樹脂の硬度等を適宜設計すれば,所定のバネ性を得ることができるのであり,環体(4,突壁)(6)及び支持壁(7)を同一体に設けた非金属装着環(B)という構成により筒体 筆記具本体への十分な取付力を得るこ,()()とができる。 c相違点(丁3)③について丁3考案においては環体 突壁 及び支持壁 を同,(),()()一体に設けた非金属装着環(B)の内周面に離間した縦長突条(8)を設けた構成としているが,その縦長突条(8)は,丁3公報の明細書において高分子物質環体 の内面に筒体 の表面に圧接,「()()する縦長突条(8)又は凸 に離間した縦長突条(8)を設けた構成としているが,その縦長突条(8)は,丁3公報の明細書において高分子物質環体 の内面に筒体 の表面に圧接,「()()する縦長突条(8)又は凸起(図示せず)を数箇所設けて,取付け後 の動きを防止し,筒体(5)からの脱落を防止せしめるようにして構。」(),(),成する4頁8ないし12行と記載されているように環体4突壁 及び支持壁 を同一体に設けた非金属装着環B取()()()(付リングを筒体 筆記具本体に確実に取り付けるための構成)()()である。 このように縦長突条 が高分子物質環体 の内面に筒,(),「()()」,「,体 の表面に圧接するものであり取付け後の動きを防止し()」,「」筒体5からの脱落を防止するものであることからすると圧接,,()(),する以上当然に二分割された突壁 の広がりにより環体 突壁(6)及び支持壁(7)を同一体に設けた非金属装着環(B)の内径を広げて,筒体(5)に取り付けられる作用を奏するものであることが認められる。 そして,この縦長突条(8)は,技術常識からして,圧接作用を強めるための構成として,わざわざ採用されている構成であることが認められる特にこのような縦長突条 の構成がなくても高分。 ,(),「子物質環体(4)の内面」を「筒体(5)の表面に圧接する」ような,「,所定の寸法の形状を採用することにより取付け後の動きを防止し筒体 からの脱落を防止せしめるようにして構成するとの作用()。」効果は得られるものである。そして,突条を設けるか設けないか,設ける場合に突条としてどのような寸法の形状と の動きを防止し筒体 からの脱落を防止せしめるようにして構成するとの作用()。」効果は得られるものである。そして,突条を設けるか設けないか,設ける場合に突条としてどのような寸法の形状とするか等の選択は,採用するクリップ片の材質,形状等との組合せいかんによって変わるクリップ力等を勘案して,当業者が適宜設定可能なものである。 したがって,丁3考案の構成に変えて,本件訂正考案におけるように取付けリングの内周面に離間した突条を設けることなく構成す,「」るようなことは,当業者であれば,困難性を伴うことなく,きわめて容易になし得た程度のことであるといえる。 d相違点(丁3)④について丁3考案の突壁(6)が果たす機能を考慮すると,本件訂正考案における接続手段に相当していることは明らかである。 ,(),,。 したがって相違点丁3④は相違点ではなく一致点である(イ)小括以上のとおり,当業者にとっては,上記の各構成について,きわめて容易になし得たということができ,また,本件訂正考案によってもたらされる効果も,丁3考案及び周知慣用の技術手段から当然に予測することができる程度のものであって,格別なものとはいえない。 したがって,本件訂正考案は,丁3及び周知慣用の技術手段に基づいて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきである。 ウ本件訂正考案が丁7考案に基づいて当業者が容易に考案をすることができたこと(ア)各相違点についての検討a相違点(丁7)①についてクリップ片は,その形状,材質等の組合せによって変わるクリップ力や筆記具本体との意匠的バランスを勘案して,当業者が適宜設定可能なものである。 したがって,クリップ片を,本件訂正考案におけるように「割れ目のない」構成とするか,丁7考案に によって変わるクリップ力や筆記具本体との意匠的バランスを勘案して,当業者が適宜設定可能なものである。 したがって,クリップ片を,本件訂正考案におけるように「割れ目のない」構成とするか,丁7考案におけるように割れ目のある構成とするかは,適宜設定可能な設計事項であって,当業者であれば,困難性を伴うことなく,きわめて容易になし得た程度のことであるといえる。 b相違点(丁7)②について上記aと同様,接続手段の間隔を,本件訂正考案におけるように, 「クリップ片の裏側の幅よりも狭く形成」するか,丁7考案におけるように,クリップ片の裏側の幅とほぼ同一に形成するかは,採用するクリップ片の材質,厚さ等との組合せいかんによって変わるクリップ,,力及び筆記具本体との意匠的バランスを勘案して当業者にとっては適宜設定可能な設計的事項であり,困難性を伴うことなく,きわめて容易になし得た程度のことであるといえる。 c相違点(丁7)③について筆記具のクリップ取付装置においては筆記具本体とこの筆記具,「,本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはク,,リップ片と筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成され,クリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段によってのみ接続され,接続手段はCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置(上記前提と。」なる事実等(4)イの訂正に係る本件考案)との技術事項が,周知慣用の技術手段として,広く知られていることが認められる。 そして,本件訂正考案は,丁7考案における二分割された接続手段について上記周知慣用の 実等(4)イの訂正に係る本件考案)との技術事項が,周知慣用の技術手段として,広く知られていることが認められる。 そして,本件訂正考案は,丁7考案における二分割された接続手段について上記周知慣用の技術手段を考慮して二分割された接続手,,「段の広がりにより取付リングの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられる」構成としたものに相当するが,このようなことは,当業者であれば,困難性を伴うことなく,きわめて容易になし得た程度のことである。 d相違点(丁7)④について丁7考案におけるクリップ片は,一体に形成されている。 (イ)小括 以上のとおり,当業者にとっては,上記の各構成について,きわめて容易になし得たということができ,また,本件訂正考案によってもたらされる効果も,丁7考案及び周知慣用の技術手段から当然に予測することができる程度のものであって,格別なものとはいえない。 したがって,本件訂正考案は,丁7考案及び周知慣用の技術手段に基づいて,当業者がきわめて容易に考案をすることができたものというべきである。 (7)争点4(損害の発生の有無及びその額)について(原告の主張)被告は,平成18年12月31日までに,被告製品1000万本のすべてを公衆に譲渡した。被告の当該行為がなければ,原告が販売することのできた製品の1本当たりの利益の額は,少なくとも20円を下らない。 したがって,被告の侵害行為による原告の損害は,実用新案法29条1項により,被告による譲渡数1000万本に,原告が販売することのできた製品の1本当たりの利益の額20円を乗じて算定される2億円を下らないものと認められる。 (被告及び補助参加人らの主張)否認し,争う。 第3争点に対する判断 争点1について 争点1-1被告製品の構成aが本件考案の構成要件Aを充足するか) る2億円を下らないものと認められる。 (被告及び補助参加人らの主張)否認し,争う。 第3争点に対する判断 争点1について 争点1-1被告製品の構成aが本件考案の構成要件Aを充足するか)及び()(争点1-2(被告製品の構成bが本件考案の構成要件Bを充足するか)についてア本件明細書においては,本件請求項についての記載のほか,次のような記載がある(甲2,3。 )ア請求項3前記回転防止手段が前記筆記具本体におけるリング取()「【】, り付け個所の外周面に形成された多角形状部と,前記取付リングの内周面に形成された多角形状部とから成ることを特徴とする請求項2の筆記具のクリップ取付装置(1欄12行ないし2欄1行)。」イ請求項4前記筆記具本体の多角形状部と筆記具本体の外周面との()「【】間に径方向の段差を形成して成ることを特徴とする請求項3の筆記具のクリップ取付装置(2欄2ないし4行)。」ウ請求項5筆記具本体とこの筆記具本体の後部に取り付けられる()「【】,クリップとから成り,このクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための二分割された接続手段とから構成されて成り,前記筆記具本体のリング取り付け個所の外周面に取付リングの後方への移動を防止する抜落防止手段を備えて成ることを特徴とする筆記具のクリップ取付装置(下線部が本件訂正審決による訂正箇所である)。」。 エ請求項6前記抜落防止手段が前記筆記具本体のリングの取り付()「【】,け個所の後端に形成されたリブであることを特徴とする請求項5の筆記具のクリップ取付装置(2欄9ないし11行)。」(オ「従来の技術】従来,この種の装置としては, リングの取り付()「【】,け個所の後端に形成されたリブであることを特徴とする請求項5の筆記具のクリップ取付装置(2欄9ないし11行)。」(オ「従来の技術】従来,この種の装置としては,図8及び図9に示され)【るようなものが提案されていた。即ち,これらの図に示されるような,筆記具本体1の後部の外周面には,いわゆる抱きクリップといわれるクリップ2が取り付けられていた。このクリップ2は,クリップ片3と,このクリップ片3を筆記具本体1に取りつけるためのCリング4とから構成されていた。従って,このクリップ2を筆記具本体1に取り付けるとCリング4の割れ目5が拡大して表れるので,美観上好ましくなかった(段落【0002・3欄2ないし11行)。」】カそこで図10に示めされるように筆記具本体1のこのCリング4()「,,の割れ目5に相当する部分に突条6を一体的に形成して,割れ目5を埋 めるものも提案されていた。しかしながら,この装置においても,Cリング4の肉厚分が筆記具本体1の外壁面からはみ出すので,美観上問題があった。そこで更に,図11に示されるように,筆記具本体1のCリング4の取り付け個所にCリング4の肉厚に相当する分の深さの溝7を形成するものも提案されていた。しかしながら,このような構造のものは,抜き型による安価な成形が困難なため,割り型による成形によらねばならなかった。従って,このような溝7を筆記具本体1に形成するも,。」(【】のにおいてはコスト高となることが問題であった段落0003・3欄12ないし24行)(キ「考案が解決しようとする課題】この考案は,上述した従来装置の欠)【点を解消して,取り付けが簡単かつ確実で美観上も好ましく,その上コスト高とならない筆記具のクリップ取付装置を提供するこ 4行)(キ「考案が解決しようとする課題】この考案は,上述した従来装置の欠)【点を解消して,取り付けが簡単かつ確実で美観上も好ましく,その上コスト高とならない筆記具のクリップ取付装置を提供することを目的とする(段落【0004・3欄25ないし29行)。」】(ク「作用】筆記具本体の後端からクリップの取付リングを圧入すると,)【このリングとクリップ片の接続部が分割されているので,この部分が広げられて実質上リングの内径が少し広げられる。その結果,リングは容易に筆記具本体所定の個所に嵌合せしめられる。一度クリップが取り付けられると,筆記具本体のリング取り付け個所と取付リングとに形成された回り止め手段と軸方向の移動を規制する位置決め手段とによって確実にクリップが筆記具本体に取り付けられる段落0006・3欄。」(【】38ないし47行)(ケ「実施例】図1~図6は,この考案の一実施例による装置を示し,図)【1及び図2は筆記具本体11に関し,そして図3~図6はクリップ12に関する。筆記具本体11の後部におけるクリップ12の取り付け部分の前部分に多角形状部13が形成されており,更にクリップ12の取り付け部分の後端の周囲にはリブ14が設けられている。また,筆記具本 体11の多角形状部13の各頂点が筆記具本体11の外周面よりも内方に存在するように形成されているので段差13aが生じている。なお,図中符号15は,この筆記具のノックキャップを示す(段落【000。」7・3欄48行ないし4欄8行)】コ更に筆記具本体11のクリップ取り付け個所の後端外周にはリブ1()「,4が形成されているので,一旦取付リング17が筆記具本体11に嵌合せしめられると後方への移動が規制されて,容易にクリップ12が筆記具本体11から抜け落ちること 個所の後端外周にはリブ1()「,4が形成されているので,一旦取付リング17が筆記具本体11に嵌合せしめられると後方への移動が規制されて,容易にクリップ12が筆記具本体11から抜け落ちることもない。また,筆記具本体11の多角形状部13の各頂点が筆記具本体11の外周面よりも内方に存在するので,この部分に段差13aが生じ,取付リング17の先端縁がこの段差13aに当接するので,取付リング17の前方への位置決めも正確に行うことができる(段落【0010・4欄33ないし42行)。」】(サ「考案の効果】上述した通りであるから,この考案によれば取り付け)【が簡単かつ確実で,美観上も好ましく,その上コスト高とならない筆記具のクリップ取付装置を提供することが可能である(4欄50行ない。」し5欄3行)イ被告らは,本件考案の構成要件A及びBにおける「取り付け」の構成として,筆記具本体のリング取り付け箇所と取付リングとに形成された回り止め手段と軸方向の移動を規制する位置決め手段が必須である旨主張する。 この点上記アクによれば本件明細書において一度クリップが,(),,「取り付けられると,筆記具本体のリング取り付け個所と取付リングとに形成された回り止め手段と軸方向の移動を規制する位置決め手段とによって確実にクリップが筆記具本体に取り付けられる」という「作用」が記載されているものと認められる。 しかしながら上記前提となる事実等 イのとおり本件請求項本,(),( ),「」「」件登録実用新案の請求項1には回り止め手段及び位置決め手段について,何らの記載もない。他方,上記ア(ア)ないし(エ)によれば,本件登録実用新案の請求項3及び4記載の考案は回転防止手段を構成要,「」件とし同 には回り止め手段及び位置決め手段について,何らの記載もない。他方,上記ア(ア)ないし(エ)によれば,本件登録実用新案の請求項3及び4記載の考案は回転防止手段を構成要,「」件とし同請求項4記載の考案は段差を構成要件としそして同請,,「」,,求項5及び6記載の考案は抜落防止手段を構成要件としているものと,「」認められる。そして,上記ア(ケ)によれば,請求項4における「段差」並びに請求項5及び6における「抜落防止手段」が「位置決め手段」に相当するものと認められる。 そうすると,上記「作用」に関する本件明細書の記載は,請求項3ない,,し6記載の考案の作用を説明したものであると解すべきであり同記載は「」「」本件請求項に記載された本件考案が回り止め手段及び位置決め手段を必須の構成要件とすることを示すものではないというべきである。 したがって,被告らの上記主張は,採用することができない。 ,「」ウ補助参加人電通らは本件考案の構成要件A及びBにおける取り付けは,クリップの取付部が筆記具本体の軸径からはみ出さないような態様における取付けを意味する旨主張する。 この点,上記ア(オ)及び(カ)によれば,本件明細書において,本件図面の図8及び図9にある,いわゆる抱きクリップを用いた従来装置(以下「従来装置①」という)が紹介され,この従来装置①においては「こ。 ,のクリップ2を筆記具本体1に取り付けるとCリング4の割れ目5が拡大して表れるので美観上好ましくなかったという問題があったことが記,。」載されており,その従来装置①の問題を解消するものとして,本件図面の図10にある,筆記具本体のCリングの割れ目に相当する部分に突条を一(「」。)体的に形成してその割れ目を埋める従来装置以下 載されており,その従来装置①の問題を解消するものとして,本件図面の図10にある,筆記具本体のCリングの割れ目に相当する部分に突条を一(「」。)体的に形成してその割れ目を埋める従来装置以下従来装置②というが紹介され,この従来装置②においても,Cリングの肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出すという美観上の問題があったことが記載されている ものと認められる。そして,上記ア(キ)によれば,本件考案を含む本件登録実用新案に係る考案が,従来装置の欠点を解消する装置の提供を目的とするものであることが認められる。 しかしながら,他方,上記ア(オ)によれば,従来装置①に関し,従来装置②が有しているとされる,Cリングの肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出すという問題点があったという指摘は,全くされていないことが認められる。 また,上記ア(ケ)及び本件図面の図1によれば,本件考案の実施例において,筆記具本体11の後部におけるクリップ12の取り付け部分の後端の周囲にリブ14が設けられている構成が示されており,その取り付け部分にクリップ12が取り付けられた状態で,少なくともリブ14の高さ分が筆記具本体11の外壁面からはみ出すことは,明らかである。したがって,本件考案の実施例としても,取付リングが筆記具本体の後端近傍の外壁面から一定程度はみ出すものが示されていることが認められる。 これらの事情に照らせば,上記ア(カ)の「この装置においても,Cリング4の肉厚分が筆記具本体1の外壁面からはみ出すので,美観上問題があったという記載は従来装置②の構成における問題点という前提を離。」,れ,本件考案の必須の課題として,取付リングが筆記具本体の外壁面からはみ出すことを問題とする趣旨であるとまでは解し得ず,本件明細書の記載は,クリップの取付部が筆記具本体 題点という前提を離。」,れ,本件考案の必須の課題として,取付リングが筆記具本体の外壁面からはみ出すことを問題とする趣旨であるとまでは解し得ず,本件明細書の記載は,クリップの取付部が筆記具本体の軸径からはみ出す構成が,本件考案の技術的範囲外であることまでも示すものではないというべきである。 ,,。 したがって補助参加人電通らの上記主張は採用することができないエ以上を前提に構成要件該当性を検討すれば,被告製品のボールペン部分は,筆記具に該当することから,被告製品の構成aは,本件考案の構成要件Aを充足するというべきであり,また,被告製品のクリップは,クリップ片,ボールペン本体にクリップを取り付けるための取付リング及びクリ ップ片と取付リングとを接続するための接続手段とから構成され,当該接続手段は二分割されていることから,被告製品の構成bは,本件考案の構成要件Bを充足すると認められる。 (2)争点1-3(被告製品の構成dが本件考案の構成要件Dを充足するか)についてア被告らは,本件考案において,Cリングの肉厚分が筆記具本体の外壁面からはみ出すことがなく,美観上好ましいという作用効果を奏する必要がある旨主張する。 しかしながら,上記(1)ウで検討したとおり,上記の点が本件考案の,,作用効果であるとまでは認められないのであるから被告らの上記主張は採用することができない。 イ補助参加人電通らは,構成要件Dの「クリップ取付装置」が,抜き型により製造することができるものでなければならない旨主張する。 ,()()(),,この点上記 アカ及びサによれば本件明細書において従来装置②の美観上の問題を解決することを目的として,本件図面の図11にあるような,筆記具本体のCリング取付個所にCリング4の肉厚に相当 点上記 アカ及びサによれば本件明細書において従来装置②の美観上の問題を解決することを目的として,本件図面の図11にあるような,筆記具本体のCリング取付個所にCリング4の肉厚に相当する分の深さの溝を形成する従来装置以下従来装置③というが(「」。)提案されていたが,そのような構造のものは,抜き型による安価な成形が困難なため,割り型による成形によらなければならず,コスト高となることが問題であったこと,そして,本件考案によれば,コスト高とならない筆記具のクリップ取付装置を提供することが可能であることが,それぞれ記載されているものと認められる。 しかしながら,上記の従来装置③に関する記載から,直ちに,本件考案に係るクリップ取付装置を抜き型で成形することが必須であるということはできない上,本件考案によれば,そもそも,従来装置①が有していた,Cリングの割れ目が表れるという美観上の問題が生じないのであるから, それを解決することを目的とする従来装置②及び従来装置②の問題点を解決することを目的とする従来装置③の構成をいずれも採用する必要がなく,その結果,本件明細書が直接摘示するような筆記具本体を割り型で作成することによるコスト高の問題も生じないのである。そして,本件明細書及び本件図面を精査しても,他に,クリップ取付装置を抜き型で作成する必要性を示す記載はない。 したがって,補助参加人電通らの主張は,採用することができない。 ウ以上を前提に構成要件該当性を検討すれば,被告製品は,ボールペンにクリップを取り付けた装置,すなわち,筆記具のクリップ取付装置であるから,被告製品の構成dは,本件考案の構成要件Dを充足すると認められる。 (3)小括,,,以上により被告製品は本件考案の構成要件AないしDをすべて充足し被告 ,筆記具のクリップ取付装置であるから,被告製品の構成dは,本件考案の構成要件Dを充足すると認められる。 (3)小括,,,以上により被告製品は本件考案の構成要件AないしDをすべて充足し被告による被告製品の無償配布は,本件実用新案権を侵害する行為であるといえる。 争点2について(1)争点2-1(本件考案が丁3考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものといえるか)についてア本件考案と丁3考案の一致点及び相違点について(ア)丁3公報には,次の記載がある(丁第3号証。 )a「金属クリツプと,筒体を通す非金属装着環とからなり,金属クリツプは脚杆の片端を裏側に折返えして取付片を形成すると共に,その取付片に係合辺を形成して構成し,非金属装着環は高分子物質環体に突壁を対峙突設すると共に,その突壁間に支持壁を架設して構成し,その装着環の支持壁を金属クリツプの脚杆と取付片とで挟むと共に金属クリツプの係合辺を非金属装着環の突壁又は支持壁に係合せしめた 筆記具のクリツプ装置(実用新案登録請求の範囲)。」b「筆記具の軸筒又はキヤツプ等の筒体を通す装着環に脚杆を同一体に形成したクリツプは周知であるが,その周知のクリツプは,金属板を利用して装着環と脚杆と同一体につくり,脚杆を装着環の表側に折曲加工した構造のものと,合成樹脂で装着環と脚杆とを同一体につくつた構造のものとの2種がある。ところが,前者は筆記具に着脱する際や使用中に装着環が動いて,装着環によつて軸筒又はキヤツプ等の筒体表面にひつかききずのようなきずをつけることが多くなる不利があり,後者は脚杆がバネ性に欠けて締付け力に劣る欠点があつた」。 (1頁17行ないし2頁11行)c「金属クリツプ(A)は脚杆(1)の片端を裏側に折返えして取付片(2)を同一体に折 多くなる不利があり,後者は脚杆がバネ性に欠けて締付け力に劣る欠点があつた」。 (1頁17行ないし2頁11行)c「金属クリツプ(A)は脚杆(1)の片端を裏側に折返えして取付片(2)を同一体に折曲形成し,その取付片の末端又は両側縁に係合辺(3)を形成することにより構成する(3頁2ないし6行)。」d「第3図,第4図に示す係合辺(3)は,同図の如く非金属装着環()()」()Bの支持壁 の末端に係合せしめ3頁12ないし14行e「非金属装着環(B)は硬質合成樹脂,硬質ゴム質等の高分子物質で環体(4)をつくると共に,突壁(6)を外向に対峙突設せしめて同一体に設け,その突壁間には支持壁(7)を同一体に架設し(4,」頁5ないし8行)f「筒体(5)は筆記具の軸筒又はキヤツプであつて,非金属装着環(B)を通し,金属クリツプ(A)の脚杆先端を筒体(5)の表面に弾圧接せしめる(4頁16ないし18行)。」g「金属クリツプは金属脚杆と取付片とで,非金属装着環の支持壁を挟み,かつ取付片の係合辺を非金属脚杆の突壁又は支持壁に係合するから,金属クリツプが非金属装着環から,使用中に脱落する惧れが解消し取付けを強固なものとなしえる利点がある5頁10ないし1,。( 5行)h第1図には,丁3考案に係るクリップ装置が筒体(5)の後端部近傍に取り付けられている筆記具が,記載されている。 (イ)上記(ア)の記載からすれば,丁3公報に開示されている丁3考案は筆記具の軸筒である筒体 とこの筒体 の後部に取り付,「(),()けられるクリップ装置とから成り,このクリップ装置は,金属クリツプ(A)と,筒体(5)にクリップ装置を取り付ける非金属装着環(B)とから成り,非金属装着環(B)は,支持壁(7)と,環 ),()けられるクリップ装置とから成り,このクリップ装置は,金属クリツプ(A)と,筒体(5)にクリップ装置を取り付ける非金属装着環(B)とから成り,非金属装着環(B)は,支持壁(7)と,環体(4)と,これらを接続するための二つの対峙する突壁(6)とから構成され,支持壁(7)と環体(4)とは該二つの対峙する突壁(6)によってのみ接続され,当該二つの突壁は,Cリング形状の環体(4)の両開放端から外方に延出しており,その外方延出端部部分で支持壁(7)の両側部と一体に形成されて成るとともに,脚杆の片端を裏側に折返えして取付片(2)を形成し,その取付片に係合辺(3)を形成して成る金属クリップを非金属装着環の支持壁に係合させて成ることを特徴とするクリップ取付装置」が開示されていると認められる。 ()(),(),ウ上記前提となる事実等 上記イ及び弁論の全趣旨によれば本件考案と丁3考案とは,筆記具本体と,この筆記具本体の後部に取り付けられるクリップとから成り,このクリップはクリップ片と,筆記具本体にクリップを取り付けるための取付リングと,上記クリップ片と取付リングとを接続するための接続手段とを備え,Cリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出する二部分の外方延出端部部分で被接続部分と一体に形成されて成る筆記具のクリップ取付装置である点で一致するものといえる。 ()(),(),エ上記前提となる事実等 上記イ及び弁論の全趣旨によれば本件考案と丁3考案とでは,本件考案は,被接続部分がクリップ片であ って,接続手段がCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成るのに対し,丁3考,(),()()案は被接続部分が支持壁 であっ って,接続手段がCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,クリップ片の裏側と一体に形成されて成るのに対し,丁3考,(),()()案は被接続部分が支持壁 であって当該支持壁 と環体 とは二分割された突壁(6)によってのみ接続され,突壁(6)がCリング形状の環体(4)の両開放端から外方に延出しているものの,金属クリップ(A)が上記支持壁(7)に対して係合して固定されている点で相違していると解するのが相当である。 イ相違点の容易想到性について(ア)丁3公報の「考案の詳細な説明」には,上記ア(ア)の記載のほか,次のような記載がある。 a「本考案はかかる周知のクリツプに着目してなしたもので,クリツプを金属とし,装着環を合成樹脂,硬質ゴム質等の高分子物質による非金属装着環とすることにより,脚杆に強力なバネ性を附与してすぐれた締付け力を発揮せしめ,かつ非金属装着環には動いても筒体にきずつけることなからしめ,かつ筒体を通した後は動き難くし,もつて。」周知のクリツプの不利欠点を大巾に解消せしめることを目的とする(2頁12行ないし3頁1行)b「本考案は叙上のように金属クリツプと,非金属装着環とを使用するから,金属板を利用して装着環と脚杆とを同一体につくり,脚杆を曲げ加工して構成した全体が金属の周知のクリツプに比し,非金属装着環着脱の際,使用中に該環が移動した際などに軸筒やキヤツプ等の筒体にきずつける惧れがない効果を奏し,脚杆,装着環とも合成樹脂でつくられている周知のクリツプに比し,金属クリツプが強いバネ性を発揮し締付け力が強くなり挟み強度が増加する効果がある ,,。」(頁19行ないし5頁10行)c「また,金属クリツプと非金属装着環とが別体であるから,それら 両方に意匠的変化を施す を発揮し締付け力が強くなり挟み強度が増加する効果がある ,,。」(頁19行ないし5頁10行)c「また,金属クリツプと非金属装着環とが別体であるから,それら 両方に意匠的変化を施すことが可能になり,意匠的に異なるそれら両方を種々組合せることによつて,商品の付加価値をたかめることができる利点を有する(5頁15行ないし6頁1行)。」d「ゆえに,周知のクリツプの不利欠点を解消せしめえると共に独特の効果を発揮せしめえて,所期の目的を達成できる(6頁2ないし。」4行)(イ)丁3公報中の上記ア(ア)b及び上記(ア)aないしdの記載によれば,丁3考案は,装着環によって筒体表面に傷をつけることが多くなるという装着環と脚杆を金属で同一体につくった場合の欠点と,脚杆がバネ性に欠けて締付け力に劣るという合成樹脂で同一体に作った場合の欠点との双方の欠点を解消するために,装着環を合成樹脂で形成し,脚杆を金属で形成するという構成を採用したものであり,そのような別体の構成を採用した結果,副次的に,金属クリップと非金属装着環の双方の組合せにより意匠的変化を施すことができ,商品の付加価値が高まるという効果も得られるものと認められる。 ,,,よって丁3公報に接した当業者としては副次的なものにすぎない意匠的変化を得られるという効果が不要であるからといって,直ちに,脚杆と装着環とを別体に構成することを放棄して,両者を一体に形成するという構成を採用するということにはならないといえる。 しかしながら,丁3考案のように,装着環を合成樹脂で,脚杆を金属で形成する構成を採用した場合には,装着環と脚杆という2つの部品を製造しなければならず,かつ,脚杆を装着環に係合するという組立工程が必要になることから,両部品を一体形成したものに比べると,人件費も含 形成する構成を採用した場合には,装着環と脚杆という2つの部品を製造しなければならず,かつ,脚杆を装着環に係合するという組立工程が必要になることから,両部品を一体形成したものに比べると,人件費も含め,相当に製造原価がかかるクリップ装置となってしまうことについて,丁3公報に接した当業者は,容易に理解することができる。 すなわち,丁3公報に接した当業者は,丁3考案のような,装着環を 合成樹脂で,脚杆を金属で形成する構成を採用することで,筒体表面に傷をつけたり,クリップの締付け力が不足するということもなく,さらに,意匠的に付加価値の高いクリップを提供することはできるものの,製造原価が高くなってしまうこと,また,装着環と脚杆とを金属又は合成樹脂で一体形成すること(両者を一体形成すること自体が周知であることは,丁3公報にも記載されている(上記ア(ア)b)で,筒体表)。 面に傷をつけたり,又は,締付け力が不足したりしてしまうという欠点はあるものの,費用の面においては安価なクリップ装置を提供することができることを把握できるというべきであって,どちらの構成を採用するのかは,当業者が,両者の利害得失を総合的に勘案し,提供しようとするクリップ装置に適した構成を適宜選択すれば足りる事項であるというべきであって,原告が主張するような,両者を一体にすることへの反示唆とまでは認められない。 したがって,本件考案と丁3考案との相違点については,当業者が適宜選択可能な設計事項であり,本件考案に係る構成は,きわめて容易に想到されるものということができる。 (2)小括以上によれば,本件考案は,当業者が丁3考案からきわめて容易に考案をすることができたものであるから,平成5年法律第26号による改正前の実用新案法3条2項により実用新案登録を受けることができないものであ 上によれば,本件考案は,当業者が丁3考案からきわめて容易に考案をすることができたものであるから,平成5年法律第26号による改正前の実用新案法3条2項により実用新案登録を受けることができないものであり,本件考案に係る実用新案登録は,平成5年法律第26号による改正前の同法37条1項1号により無効とすべきものであるから,実用新案法30条によって準用される特許法104条の3第1項の規定に基づく権利行使の制限が認められる。 争点3(本件訂正請求が認められることにより,本件考案の無効理由が解消され,本件考案に係る本件実用新案権の行使が許容されるか)について (1)実用新案権による権利行使を主張する当事者は,相手方において,実用新案法30条,特許法104条の3第1項に基づき,当該実用新案登録が無効審判により無効にされるべきものと認められ,当該実用新案権の行使が妨げられるとの抗弁の主張以下無効主張というをしてきた場合その無(「」。),効主張を否定し又は覆す主張以下対抗主張というをすることがで,(「」。)きると解すべきである(最高裁判所平成18年(受)第1772号同20年4月24日第一小法廷判決参照。 )本件において,被告及び補助参加人らは,本件考案が,当業者において丁3考案からきわめて容易に考案をすることができたという無効理由を有しているとして,無効主張をしており,上記2のとおり,その無効主張を認めることができる。また,本件登録実用新案の実用新案登録無効審判事件においては,上記前提となる事実等(3)のとおり,本件訂正請求を認めつつ,本件訂正考案についての実用新案登録を無効とする旨の審決がされたが,同審決が確定したことを認めるに足りる証拠はない。 このような事情の下で,原告は,本件訂正請求により,上記の 本件訂正請求を認めつつ,本件訂正考案についての実用新案登録を無効とする旨の審決がされたが,同審決が確定したことを認めるに足りる証拠はない。 このような事情の下で,原告は,本件訂正請求により,上記の無効理由が解消される旨の対抗主張をしているところ,当該主張については,上記の無効主張と両立しつつ,その法律効果の発生を妨げるものとして,同無効主張に対する再抗弁と位置付けるのが相当である。そして,その成立要件については,上記権利行使制限の抗弁の法律効果を障害することによって請求原因による法律効果を復活させ,原告の本件実用新案権の行使を可能にするという法律効果が生じることに照らし,原告において,その法律効果発生を実現するに足りる要件,すなわち,①原告が適法な訂正請求を行っていること,②当該訂正によって被告が主張している無効理由が解消されること,③被告製品が当該訂正後の請求項に係る考案の技術的範囲に属することを主張立証すべきであると解する。 ,,,。 以下本件の事案の性質を考慮しまず上記②の要件について検討する (2)②当該訂正によって被告が主張している無効理由が解消されるか否かについてア本件訂正考案と丁3考案との相違点について上記前提となる事実等 イ及び2 アイ丁3及び弁論の全()()(),趣旨によれば,本件訂正考案と上記2(1)ア(イ)で認定した丁3考案の内容との間では,次のような点で相違があるということができる。 (ア)相違点1本件訂正考案では被接続部分がクリップ片であってクリップ片と,,「取付リングとは二分割された接続手段によってのみ接続され,接続手段がCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成」るのに対して,丁3考案で リングとは二分割された接続手段によってのみ接続され,接続手段がCリング形状の取付リングの両開放端から外方に延出しており,割れ目のないクリップ片の裏側と一体に形成されて成」るのに対して,丁3考案では,被接続部分が支持壁(7)であって,当該支持壁(7)と環()(),()体 とは二分割された突壁 によってのみ接続され突壁 がCリング形状の環体(4)の両開放端から外方に延出してはいるものの,金属クリップ(A)が前記支持壁(7)に対して係合して固定されている。 (イ)相違点2本件訂正考案では二分割された接続手段の間隔は割れ目のないク,「,リップ片の裏側の幅よりも狭く形成され」ているのに対して,丁3考案では,突壁(6)の間隔が,金属クリップ(A)の裏側の幅よりも広い(()),(()突壁 の間隔を外法と解した場合かあるいは同一突壁 の間隔を内法と解した場合)に形成されている。 (ウ)相違点3本件訂正考案ではクリップは取付リングの内周面に離間した突条,「,を設けることなく,二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,筆記具本体に取り付けられるものである」のに対して, ,,,丁3考案では離間した突条の要否については特定されておらずまたクリップ装置を筒体(5)に取り付ける際に,突壁(6)の広がりにより環体(4)の内径を広げるものであるのかどうかは不明である。 イ相違点に関する容易想到性について(ア)相違点1について相違点1に関する部分については,本件訂正請求により本件考案に付加された限定がクリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段,「によってのみ接続され」るという点及びクリップが「割れ目のない」ものであるという点のみであり,相違点1のその余 り本件考案に付加された限定がクリップ片と取付リングとは該二分割された接続手段,「によってのみ接続され」るという点及びクリップが「割れ目のない」ものであるという点のみであり,相違点1のその余の部分は,本件考案と丁3考案との相違点と同様である。 そして,上記丁3公報の第1図及び第4図には,割れ目のない脚杆(1)が記載されていることから,丁3考案のクリップ片には割れ目がないものが開示されていると認められ,訂正事項2により,新たな相違点が生じるものとは認められない。 また,丁3考案における金属クリップ(A)は,環体(4)とは二つの対峙する突壁(6)によってのみ接続された支持壁(7)に係合されていることから,脚杆(1)と非金属装着環(B)とが一体形成されれば,必然的に,クリップ片に対応する脚杆(1)と取付リングに対応する非金属装着環(B)とが二分割された接続手段に対応する突壁(6)によってのみ接続されることになると認められる。 ,(),()()そうすると上記2 イのとおり脚杆 と非金属装着環Bとを一体形成することは,当業者が適宜選択可能な設計事項であり,きわめて容易に想到されるものといえるのであるから,相違点1全体に係る本件訂正考案の構成についても,きわめて容易に想到することができるというべきである。 (イ)相違点2について 2(1)イのとおり,丁3考案の脚杆(1)と非金属装着環(B)とを一体形成することはきわめて容易に想到できるといえるところ,丁3考案において,そのように一体形成した場合には,原告が主張する阻害要因,すなわち,突壁(6)の間隔が金属クリップ(A)の幅よりも小,(),()さいとすると金属クリップAを取り付けることができず突壁6の間隔が金属クリップ(A)よりも大きいとすれば, 害要因,すなわち,突壁(6)の間隔が金属クリップ(A)の幅よりも小,(),()さいとすると金属クリップAを取り付けることができず突壁6の間隔が金属クリップ(A)よりも大きいとすれば,突壁(6)と金属(),()クリップAとの間に隙間が生じ取り付けられた金属クリップAを安定させることができないといった状況は,そもそも,発生し得ないというべきである。そうすると,脚杆(1)と非金属装着環(B)とを一体形成する場合には,突壁(6)の間隔と金属クリップ(A)の幅との大小関係は,当該クリップの幅を決定するに際して当業者が適宜定め得るものであって,単なる設計事項というべきである。 また,幅を大きくした脚杆(1)と,二分割された突壁(6)とを一体形成する際の接続箇所としては,脚杆(1)の裏側が最も自然な位置であるというべきである。 したがって,相違点2に係る本件訂正考案の構成を採用することは,当業者がきわめて容易になし得たものというべきである。 (ウ)相違点3についてa実願昭50-168659号(実開昭52-81231号)のマイクロフィルム(丁23。以下「丁23公報」という)は「筆記具用。 ,クリップ装置」を考案の名称とする考案に係るものである。そして,丁23公報における弾性のある金属帯板で形成する第1の実施例,「」の取付帯(2頁7ないし8行)とは「小口を有しない環状に成形した点のみが・・・異なる」第2の実施例(3頁13ないし14行)の記載「取付帯に筒体を圧入して通せば(4頁16行)との記載並びに,」第6図及び第8図の記載からすれば,丁23公報には,内周面に離間 した突条を有しておらず,両開放端から外方に延出する二分割された接続手段が被接続部により互いに接続されており,かつ,筒体に圧入して取り付け 第8図の記載からすれば,丁23公報には,内周面に離間 した突条を有しておらず,両開放端から外方に延出する二分割された接続手段が被接続部により互いに接続されており,かつ,筒体に圧入して取り付ける際に,二分割された接続手段の広がりにより,Cリング形状の内径が広がる,弾性のある金属帯板で成形されたクリップの取付帯が開示されているものと認められる。 また,実願昭50-56795号(実開昭52-148126号)のマイクロフィルム(丁25。以下「丁25公報」という)は「シ。 ,ャープペンシルにおけるクリップ」を考案の名称とする考案に係るものであるそして丁25公報における1はポリプロピレンの如き。 ,,「プラスチックにて形成したクリップ保持筒であつて該クリップ保持筒1の透孔Aに連通する中空角形突出部2を一体に設け2頁3ないし」(6行との記載クリップ保持筒1にクリップを組立式に結合した状),「態にて透孔A内にシャープペンシル主筒6を緊く嵌挿する2頁13」(ないし15行)との記載並びに第3図及び第4図の記載に加えて,プラスチックは相当の弾性を有する材質であることは技術常識であることからすれば,丁25公報には,内周面に離間した突条を有しておらず,Cリング形状の取付部の両開放端から外方に延出する二分割された接続手段は被接続部により互いに接続されており,かつ,シャープペンシル主筒に緊く嵌挿する際に,二分割された接続手段の広がりにより,Cリング形状の取付部が広がるクリップ保持筒が開示されているものと認められる。 b上記aで認定した丁23公報及び丁25公報の内容に照らせば,Cリング形状の取付部を有するクリップ取付装置において,取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく,二分割された接続手段の広がりにより取付リング した丁23公報及び丁25公報の内容に照らせば,Cリング形状の取付部を有するクリップ取付装置において,取付リングの内周面に離間した突条を設けることなく,二分割された接続手段の広がりにより取付リングの内径を広げて,クリップを筆記具本体に取り付けるという技術は,周知技術であると認めることができる。 そして,当該周知技術の適用の前提となるCリング形状の取付部及び接続手段の構造と,丁3考案の非金属装着環(B)の構造とは,クリップの取付装置として同一であるだけでなく,Cリング形状の取付部が二分割された接続手段の広がりに伴って広がるという構造を有する点でも共通するのであるから,丁3考案の非金属装着環(B)について,当該周知技術を適用してみることは,当業者にとってきわめて容易な事項であるというべきである。 そうすると,丁3考案において,内周面に縦長突条(8)を有していない環体(4)を用いるとともに,クリップ装置を筒体(5)に取,()()り付ける際に二分割された突壁 の広がりのみにより環体 の内径を広げるという,相違点3に係る構成を採用することは,上記周知技術に基づいて,当業者がきわめて容易に想到し得たことと解することができる。 ウ小括,,,以上により本件訂正請求によって生じる相違点についてはいずれも当業者にとって,丁3考案及び周知技術に基づき,その構成を採用することがきわめて容易なものであるというべきであるから,本件訂正請求によって,被告及び補助参加人らが主張する無効理由が解消されるものとは認められない。 第4 結論 以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告は,被告に対し,本件考案に係る本件実用新案権を行使することができないというべきである。 よって,原告の請求は理由がないので,これを棄却することとし,主文 によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告は,被告に対し,本件考案に係る本件実用新案権を行使することができないというべきである。 よって,原告の請求は理由がないので,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官清水節裁判官坂本三郎裁判官國分隆文
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