令和1(ワ)34096 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年3月18日 東京地方裁判所
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判決文本文44,760 文字)

令和4年3月18日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和元年(ワ)第34096号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和4年1月19日判決原告株式会社東京フード (以下「原告東京フード」という。)原告BOTEJYUGroupホールディングス株式会社(以下「原告BGHD」という。)上記両名訴訟代理人弁護士熊谷貴之同田中達也 同津田宏明同新井俊太朗同石原匤晃同髙橋渉上記両名訴訟代理人弁理士中里浩一 同中里卓夫被 告 北山食品工業株式会社同訴訟代理人弁護士田上洋平 西川大貴主文 1⑴ 被告は、原告東京フードに対し、焼きそばに別紙被告標章目録1記載の被告標章1を付し、又は被告標章1を包装に付した焼きそばを製造し、販売し、若しくは販売のために展示してはならない。 ⑵ 被告は、原告BGHDに対し、焼きそば、お好み焼きに別紙被告標章目録1記載の被告標章1及び3を付し、又は被告標章1及び3を包装に 付した焼きそば、お好み焼きを製造し、販売し、若しくは販売のために 展示してはならない。 2⑴ 被告は、原告東京フードに対し、焼きそばに関する別紙被告標章目録1記載の被告標章1を付した包装を廃棄せよ。 ⑵ 被告は 焼きを製造し、販売し、若しくは販売のために 展示してはならない。 2⑴ 被告は、原告東京フードに対し、焼きそばに関する別紙被告標章目録1記載の被告標章1を付した包装を廃棄せよ。 ⑵ 被告は、原告BGHDに対し、焼きそば、お好み焼きに関する別紙被告標章目録1記載の被告標章1及び3を付した包装を廃棄せよ。 3 被告は、原告東京フードに対し、819万0870円及びこれに対する令和元年12月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。 4 被告は、原告BGHDに対し、216万0459円及びこれに対する令和元年12月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支 払え。 5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は、これを7分し、その2を原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。 7 この判決は、第1項、第3項及び第4項に限り、仮に執行することがで きる。 事実 及び理由第1 請求の趣旨1⑴ 主文1⑴項同旨⑵ 被告は、原告BGHDに対し、焼きそば、お好み焼きに別紙被告標章目録 1記載の被告標章1ないし3(以下「被告各標章」という。)を付し、又は被告各標章を包装に付した焼きそば、お好み焼きを製造し、販売し、若しくは販売のために展示してはならない。 2⑴ 主文2⑴項同旨⑵ 被告は、原告BGHDに対し、焼きそば、お好み焼きに関する被告各標章 を付した包装を廃棄せよ。 3 被告は、原告東京フードに対し、840万円及びこれに対する令和元年12月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。 4 被告は、原告BGHDに対し、240万円及びこれに対する令和元年12月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。 7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。 4 被告は、原告BGHDに対し、240万円及びこれに対する令和元年12月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告らが、被告による別紙被告標章目録1記載の各標章(以下「被告各標章」という。)を付した商品の製造販売行為は、原告東京フードが有した後、現在原告BGHDが有する別紙商標権目録記載の本件商標1に係る商標権(以下「本件商標権1」という。)を侵害し、また、被告標章目録1記載の被告標章1を付した商品の製造販売行為が、原告東京フードが保有する別紙商 標権目録記載の本件商標2に係る商標権(以下「本件商標権2」という。)を侵害すると主張して、原告らが、被告に対し、被告各標章の使用の差止め及び被告各標章を付した商品の廃棄等を求め、原告東京フードが、被告に対し、選択的に商標法38条2項又は3項による損害金及び弁護士費用相当損害金の合計840万円及び訴状送達の日(令和元年12月26日)の翌日からの遅延損 害金の支払を求め、原告BGHDが、被告に対し、選択的に同条2項又は3項による損害金及び弁護士費用相当損害金の合計240万円及び訴状送達の日(令和元年12月26日)の翌日からの遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実をいう。なお、本判決を通じ、証拠を掲記する場合には、 特に記載がない限り、枝番を含むものとする。)⑴ 当事者ア原告らは、お好み焼き及び焼きそばを中心として、飲食店の運営並びに食料品の製造及び販売を行う会社である。 イ被告は、冷蔵用のお好み焼きや冷蔵用の焼きそばなどの食料品の製造及 び販売を行 ア原告らは、お好み焼き及び焼きそばを中心として、飲食店の運営並びに食料品の製造及び販売を行う会社である。 イ被告は、冷蔵用のお好み焼きや冷蔵用の焼きそばなどの食料品の製造及 び販売を行う会社である。 ⑵ 原告らの商標権ア原告東京フードは、平成27年11月20日から平成31年2月6日まで、本件商標権1を有し、同日、原告BGHDに対し、本件商標権1を譲渡した。(甲1、2)イ原告BGHDは、上記譲渡を受けた平成31年2月6日から現在まで、 本件商標権1を有している。(甲1、2)ウ原告東京フードは、平成31年2月1日から現在まで、本件商標権2を有している。(甲3、4)⑶ 被告の行為被告は、少なくとも平成28年12月18日から令和元年8月31日まで、 以下の被告商品①ないし④(以下「被告各商品」という。)を製造販売していた。(甲9ないし12)ア被告商品①は、具材や調味料(ソース)を含む冷蔵用「むし焼そばセット」であり、別紙被告標章目録1記載の被告標章1を含む別紙被告標章目録2記載の被告標章Ⅰに類似する記載がある。(甲5) イ被告商品②及び③は、具材や調味料(ソース)を含む冷蔵用の「お好み焼きセット(生)」であり、別紙被告標章目録1記載の被告標章2を含む別紙被告標章目録2記載の被告標章Ⅱが記載されている。(甲6、7)ウ被告商品④は、具材や調味料(ソース)を含む冷蔵用の「お好み焼きセット(生)」であり、別紙被告標章目録1記載の被告標章3を含む別紙被 告標章目録2記載の被告標章Ⅲが記載されている。(甲8)⑷ 本件訴訟に至る経緯ア Aは、昭和21年6月頃、大阪市内において、最初に「ぼてぢゅう」の名称を使用するお好み焼き店を開業した者であり、昭和34年4月15日、株式会 記載されている。(甲8)⑷ 本件訴訟に至る経緯ア Aは、昭和21年6月頃、大阪市内において、最初に「ぼてぢゅう」の名称を使用するお好み焼き店を開業した者であり、昭和34年4月15日、株式会社ぼてぢゆう総本家を設立した。(乙5、7、8) イ Bは、昭和28年頃、お好み焼き店「大阪ぼてぢゅう」の経営を始め、 Aを雇用するなどしていたこともある者であり、昭和32年12月頃、大阪ぼてぢゅう株式会社を設立した。(乙6、33)ウ Cは、昭和37年7月頃、「ぼてぢゅう」の「のれん」を継承したとして、お好み焼き店の事業を始め、原告東京フード(昭和43年9月3日設立)の代表者となった。(甲46、47、乙5) エ Cは、昭和37年9月12日、本件商標1の登録を受け、他方、株式会社ぼてぢゆう総本家は、昭和57年3月31日、別紙被告保有商標目録記載1の被告保有商標1の登録を受けた。(甲1、乙10)オ Cは、昭和55年10月2日、大阪ぼてぢゅう株式会社との間で、和解契約公正証書を交わし、同社が、関西以西の地域において、「ぼてぢゆう」 の標章を使用することを認めた。(乙34)カ株式会社ぼてぢゆう総本家は、平成4年頃、被告との間で、「ぼてぢゅう商品」の製造委託及び商標の使用に係る製造委託契約書を交わし、被告は、「指定ソース」の製造を受託するなどした。(乙11)キ株式会社ぼてぢゆう総本家は、平成21年10月5日、破産手続開始の 決定を受け、被告は、平成22年7月15日、株式会社ぼてぢゆう総本家から被告保有商標1の譲渡を受けた。(乙8、12、13)ク被告は、平成24年3月31日、被告保有商標1を失効させたが、平成28年7月8日に別紙被告保有商標目録記載2の被告保有商標2の登録を、平成29年2月10日に同目録記 けた。(乙8、12、13)ク被告は、平成24年3月31日、被告保有商標1を失効させたが、平成28年7月8日に別紙被告保有商標目録記載2の被告保有商標2の登録を、平成29年2月10日に同目録記載2の被告保有商標3の登録を、それぞ れ受けた。(乙10、14、15)ケ原告東京フードは、平成30年11月22日付けで、被告に対し、被告による「ぼてぢゅう総本家」の文字を付した商品の製造販売は、本件商標権1を侵害する疑いが強いなどとする警告書を送付した。(甲30)コ原告東京フードは、令和元年6月12日付けで、被告に対し、被告の商 品のパッケージデザインを変更する旨の回答があったにもかかわらず、そ の変更がされていないなどとする通知書を送付した。(甲35) 3 争点⑴ 本件商標1と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性(争点1)⑵ 本件商標2と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性(争点2)⑶ 本件商標1及び2の指定商品と被告商品①との類似性(争点3) ⑷ 本件商標1と被告標章2又は被告標章Ⅱとの類似性(争点4)⑸ 本件商標1と被告標章3又は被告標章Ⅲとの類似性(争点5)⑹ 本件商標1に係る権利濫用の抗弁1(争点6)⑺ 本件商標1に係る権利濫用の抗弁2(争点7)⑻ 本件商標2に係る先使用の抗弁(争点8) ⑼ 原告に生じた損害の額及び有無ア商標法38条3項による損害額(争点9-1)イ商標法38条2項の適用の可否(争点9-2)ウ商標法38条2項による損害額(争点9-3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件商標1と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性)について(原告らの主張)⑴ 本件商標1は、筆書きの「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有し 事者の主張 1 争点1(本件商標1と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性)について(原告らの主張)⑴ 本件商標1は、筆書きの「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有し、「ボ・テ・ヂュ・ウ」の4音の称呼を生じる。そして、「ぼてぢゅう」という言葉は造語であるが、以下のとおり、「ぼてぢゅう」 という用語は、原告らの出所表示として周知されているため(甲47)、原告らの商品又は役務であるという観念を生じさせるものといえる。 ア原告ら及び原告らのグループ会社は、平成7年の時点において、既に全国に74店舗を展開していた(甲46)。現在は、全世界59店舗(甲13ないし15)が、「ぼてぢゅう」という用語を店名に使用して、「ぼて ぢゅう」の語を付した焼きそば及びお好み焼きを販売し、年間15億円 (甲45)を売り上げている。これらの業務は、食品の販売という役務であるが、商品との間にも強い関連性があり、需要者も重複するから、焼きそば及びお好み焼きの商品の需要者においても、「ぼてぢゅう」の用語は、原告らの出所表示として、広く認識されているというべきである。 イまた、原告らは、大手コンビニや大手スーパーなどにおいて、焼きそば 及びお好み焼きの商品も販売しており、平成30年8月から令和2年2月までの販売量は約160万個に達する(甲16ないし25、42ないし44)。これらの商品の中には、「ぼてぢゅう監修」と表示されるものがあるが、原告らは、商品の製造販売元に対し、食材、調味料、味、容器、デザインなどに関する監督及び指示をしており、当該製造販売元も、そのこ とを需要者に認識させるため、「ぼてぢゅう監修」との表示を付し、登録商標を示す「®」という記号を付すなどしている。 ウそして、原告らのグループ会社は、 をしており、当該製造販売元も、そのこ とを需要者に認識させるため、「ぼてぢゅう監修」との表示を付し、登録商標を示す「®」という記号を付すなどしている。 ウそして、原告らのグループ会社は、関西テレビ、テレビ東京、テレビ朝日、NEWSWEEK、東京ウォーカー、関西ウォーカーをはじめとする各種メディアで取り上げられているが(甲42、57、乙5)、そのほと んどにおいて、「ぼてぢゅう」という用語が、原告らの出所表示として掲載されている。被告は、原告ら以外の者が「ぼてぢゅう」という用語を使用していたという事実を指摘するが、それらの使用は、全国的に店舗展開していた原告らよりも量的に少ないものであって、使用地域も限定されたものであり、需要者に広く認識されるような態様の使用ではない。 ⑵ 他方、被告商品①に付された標章は、被告標章1のとおり、「ぼてぢゅう総本家」という文字から成る商標である。これに対し、被告は、これを被告標章Ⅰのように特定するが、以下のとおり、被告標章1を超える部分は、装飾的図形や模様など、自他識別機能を有する部分を含まないから、被告標章Ⅰのように標章を特定することはできない。 ア被告標章Ⅰは、暖簾の図形を含むものであるが、暖簾とは、「商品の軒 先や出入口にたらし、屋号などを染め抜いてある布」にすぎない。被告標章Ⅰは、そのような暖簾の一般的な形状(甲40)を下地とした装飾的図形であるから、自他識別機能を有しない。 イ被告標章Ⅰのうち、「宗右衛門町趣味のお好み焼」という文字は、地名と商品を組み合わせ、商品の産地や販売地を普通に用いられる方法で表示 したものであり、著名な地理的名称と業種名を組み合わせたようなものとも異なるのであるから、自他識別力を有しない。 ウ仮に、前記文字部分のうち、 商品の産地や販売地を普通に用いられる方法で表示 したものであり、著名な地理的名称と業種名を組み合わせたようなものとも異なるのであるから、自他識別力を有しない。 ウ仮に、前記文字部分のうち、「趣味」の部分に着目するとしても、「趣味」とは、「物のもつ味わい、おもむき」を意味し、「宗右衛門町という場所のおもむきのあるお好み焼」という意味が生じるにすぎないから、当 該部分よって、自他識別機能が生じるものでもない。 ⑶ そして、以下に示すところによれば、被告標章1のうち、取引者、需要者に出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは、「ぼてぢゅう」の部分のみであり、その余の部分からは出所識別機能としての称呼、観念は生じないというべきであるから、被告標章1については、「ぼてぢゅう」の部分 のみを抽出し、本件商標1との類否を判断すべきである。 ア被告標章1のうち、「ぼてぢゅう」と「総本家」とには、文字の種類及び大きさの相違がある。しかも、原告らの出所表示として周知されている独立した用語であり、後者も、辞書にも記載されている独立した用語である。したがって、被告標章1は、両語の結合商標である。 イそして、前者が、自他識別力が高い用語であり、大きく目立つ態様で記載されているのに対し、後者は、「多くの分家の分かれ出たもとの家」を意味し、品質表示のような自他識別力が低い用語であり、相対的に小さく記載されているため、前者が強く支配的な印象を与える。 ウこれに対し、被告は、「総本家」に自他識別力があると主張するが、少 なくとも焼きそば及びお好み焼きの需要者において「ぼてじゅう」の用語 の自他識別力が高いことからすれば、「総本家」の部分は、これに付随するものという印象を与えるにすぎない。 エなお、仮に、被告の特定 焼きそば及びお好み焼きの需要者において「ぼてじゅう」の用語 の自他識別力が高いことからすれば、「総本家」の部分は、これに付随するものという印象を与えるにすぎない。 エなお、仮に、被告の特定する被告標章Ⅰを前提に検討したとしても、既に主張したとおり、被告標章1を超える部分は、出所識別機能を有しないものであるから、結局、強く支配的な印象を与える「ぼてぢゅう」の部分 のみによって、商標の類否判断をすべきことに変わりはない。 ⑷ そうすると、被告標章1は、その要部「ぼてぢゅう」において、筆書きによる平仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観及び「ボ・テ・ヂュ・ウ」から成る称呼を有し、原告らの商品又は役務であるとの観念を生じさせることになり、これが前記⑴に指摘した本件商標1の外観、称呼及び 観念と類似していることは明らかである。 (被告の主張)⑴ 本件商標1は、略縦長墨書風の横書きの文字「ぼてぢゅう」から成る外観及び「ボ・テ・ヂュ・ウ」との称呼を有するものであるが、「ぼてぢゅう」という用語は、Aの造語であるから、特定の観念を生じさせるものではない。 当該用語は、以下のとおり、原告ら以外の者も、同一地域で使用していたものであり、原告らの出所表示としては認識されていない。 ア A又は同人の営業を法人化した株式会社ぼてぢゆう総本家は、昭和21年6月、大阪市内でお好み焼き及び焼きそばを主とする飲食物の提供の役務に「ぼてぢゅう」の語の使用を開始し、それから約63年間に亘り、当 該標章の使用を継続してきた。(乙21)イ B又は同人の営業を法人化した株式会社ぼてぢゅうコーポレーションは、昭和28年、大阪市内でお好み焼き屋「大阪ぼてぢゅう」を開業し、現在に至るまで、「大阪ぼてぢゅう」という標章をお好み焼き及び焼き イ B又は同人の営業を法人化した株式会社ぼてぢゅうコーポレーションは、昭和28年、大阪市内でお好み焼き屋「大阪ぼてぢゅう」を開業し、現在に至るまで、「大阪ぼてぢゅう」という標章をお好み焼き及び焼きそばを主とする飲食物の提供の役務に使用している。 ウ被告は、平成4年4月、株式会社ぼてぢゆう総本家から許諾を受け、同 社の倒産後は、商標権を買い取るなどし、お好み焼き及び焼きそばの要冷蔵加工食品にについて、約28年間にわたり、「ぼてぢゅう総本家」を含む被告保有商標1ないし3を継続使用してきた。 エそして、被告の商品は、中国、四国、近畿、東海及び北陸地方の著名な百貨店やスーパーマーケット、生活協同組合、大手食料品宅配などで販売 されているから、「ぼてぢゅう総本家」という用語は、これらの地域において、被告の出所表示として需要者に広く認識されている。 オ他方、原告らは、「ぼてぢゅう」という用語を飲食物の提供という役務に使用しているにすぎない。原告らが販売している商品は、「監修」と記載されたものである上、弁当や調理済みの冷凍食品であって(甲18ない し25)、被告の販売する要冷蔵の加工食品とは異なる。 ⑵ 他方、被告商品①に付された標章は、被告標章Ⅰのとおり、「宗右衛門町趣味のお好み焼ぼてぢゅう総本家要冷蔵」の文字と暖簾の図形から成る結合商標である。なお、原告らは、「ぼてぢゅう総本家」の部分以外に自他識別能力はないと主張するが、そのように考えることはできないし、仮に、そう であるとしても、社会通念上、これらは全体が一個の標章と認識される。 ⑶ そして、このような被告標章Ⅰと本件商標1とを比較するに当たり、「ぼてぢゅう」の部分を分離観察する理由はない。それが許されるのは、その部分が出所識別標識として強く支配的な の標章と認識される。 ⑶ そして、このような被告標章Ⅰと本件商標1とを比較するに当たり、「ぼてぢゅう」の部分を分離観察する理由はない。それが許されるのは、その部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与え、それ以外の部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないなど、例外的な場合であるが、以 下に示すとおり、分離観察を認めるべき事情はない。 ア被告標章Ⅰの暖簾の図形は、暖簾の「乳ち」の部分が大きく強調されていること、略扇形状になっていること、緑色であることから、一般的な暖簾の形状と異なり、自他識別機能を有する。 イ被告標章Ⅰの文字部分は、「宗右衛門町」の部分が、「宗右衛門町ブル ース」(甲41)などで知られる著名な地理的名称である上、これに「趣 味」という特徴のある文句を加えており、自他識別機能を有する。 ウ他方、商標一般において、「総本家」という語句にも識別力があるとされている。原告らは、焼きそば及びお好み焼きの需要者については、「総本家」に識別力がないと主張するが、その根拠を何ら立証しない。 エまして、被告標章Ⅰの「ぼてぢゅう総本家」は、2段書きの1段に記載 されている上、まとまりの良い9音なのであるから、これをさらに「ぼてぢゅう」と「総本家」とに分離する理由はない。 ⑷ 以上によれば、被告標章Ⅰは、緑色の略扇形状の暖簾の図形の上に、ひび割れの装飾が付されるなどした白抜きの略秀英太かな調の「宗右衛門町趣味のお好み焼」及び「ぼてぢゅう総本家」という文字が2段に横書きされ、右 下に細ゴシック体で囲み線が付された「要冷蔵」の文字が記載された外観を有し、「ソウエモンチョウシュミノオコノミヤキボテヂュウソウホンケヨウレイゾウ」又は「ソウエモンチョウシュミノオコノミヤキ」、「ボテヂュウソウホ で囲み線が付された「要冷蔵」の文字が記載された外観を有し、「ソウエモンチョウシュミノオコノミヤキボテヂュウソウホンケヨウレイゾウ」又は「ソウエモンチョウシュミノオコノミヤキ」、「ボテヂュウソウホンケ」及び「ヨウレイゾウ」との称呼、並びに、「宗右衛門町発祥ないしは宗右衛門町にあるお好み焼屋」及び「暖簾」との観念を生じさせるも のであるということができる。これを本件商標1と比較すると、その外観は大きく相違し、称呼や観念も相違するのであるから、両者は類似しない。 2 争点2(本件商標2と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性)について(原告らの主張)⑴ 本件商標2は、平仮名「ぼてぢゅう」と漢字「総本店」とを標準文字で同 大同間隔に左横書きした外観を有し、「ボ・テ・ヂュ・ウ・ソ・ウ・ホ・ン・テ・ン」の称呼を生じさせる。そして、前記のとおり、「ぼてぢゅう」という用語は、原告らの出所表示として広く認識されているから、本件商標2からは、原告らの商品又は役務であるとの観念が生じる。 ⑵ 他方、被告標章1は、平仮名「ぼてぢゅう」と漢字「総本家」とを筆書き 文字で左横書きに書した外観を有し、「ボ・テ・ヂュ・ウ・ソ・ウ・ホ・ ン・ケ」との称呼を生じさせる。そして、前記のとおり、「ぼてぢゅう」という用語は、原告らの出所表示として広く認識されているから、被告標章1からも、原告らの商品又は役務であるとの観念が生じる。 ⑶ 両者を対比すると、外観は類似しており、観念は同一である。両者の称呼は1音が相違するが、相違する「ケ」と「テ」は、母音を共通にする上、語 尾に位置しており、音数についても、語尾の「ン」の有無に相違があるにすぎないのであるから、両者は、聴覚されるときに紛らわしいということができる。したがって、被告標章1は、本件商標 にする上、語 尾に位置しており、音数についても、語尾の「ン」の有無に相違があるにすぎないのであるから、両者は、聴覚されるときに紛らわしいということができる。したがって、被告標章1は、本件商標2と類似している。 (被告の主張)⑴ 本件商標2は、「ぼてぢゅう総本店」の8字を標準文字で記載したものに すぎないのに対し、被告標章Ⅰの外観は、争点1において主張したとおりのものであるから、両者の外観は大きく相違する。 ⑵ また、争点1において主張したところによれば、本件商標2からも特定の観念は生じないというべきであるのに対し、被告標章Ⅰからは、争点1に主張したような観念が生じるのであるから、両者は観念も相違する。 ⑶ そして、本件商標2の称呼は、「ボ・テ・ヂュ・ウ・ソ・ウ・ホ・ン・テ・ン」であるのに対し、被告標章Ⅰからは、争点1において主張したとおりの称呼が生じるのであるから、両者は称呼も相違する。 ⑷ なお、仮に、本件商標2の前記称呼を「ボ・テ・ヂュ・ウ・ソ・ウ・ホ・ン・ケ」と比較したとしても、音数が異なり、相違する「ケ」と「テン」の 部分は中間に位置するものでもないから、両者は類似しない。 ⑸ したがって、被告標章Ⅰと本件商標2とについては、その取引の実情を考慮するまでもなく、出所の誤認混同するおそれはないというべきであり、被告標章1は、本件商標2と類似しない。 3 争点3(本件商標1及び2の指定商品と被告商品①との類似性)について (原告らの主張) ⑴ 被告商品①は、具材及びソースを含む焼きそばであるから、「具及びソース付きの焼きそばの麺」として、本件商標1及び2の指定商品である「穀物の加工品」の類似群コード32F03に属する。(甲29)⑵ また、焼きそばの麺は、小麦粉を原料とするから、 るから、「具及びソース付きの焼きそばの麺」として、本件商標1及び2の指定商品である「穀物の加工品」の類似群コード32F03に属する。(甲29)⑵ また、焼きそばの麺は、小麦粉を原料とするから、「穀物の加工品」に当たる。したがって、焼きそばの麺を中心とした被告商品①も、「穀物の加工 品」に類似するということができる。 ⑶ さらに、ゆで麺、むし麺などの「穀物の加工品」と「具及びソース付きの焼きそばの麺」とは、いずれも食品メーカーが販売し、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがある関係にある。 ⑷ 実際、乾めんや即席めんと「具及びソース付き焼きそばの麺」を同一メー カーが販売する例がある(甲60)。しかも、これらは、原材料が同一であり、家庭で調理するという点でも共通する。 ⑸ これに対し、被告は、被告商品①は冷蔵品であることを理由に、販売態様の相違を主張するものの、「穀物の加工品」には、生めん、ゆで麺、むし麺なども含まれるのであるから、販売態様に相違があるとはいえない。 ⑹ 以上のとおり、被告商品①は、本件商標権1及び2の指定商品である第30類の「穀物の加工品」と類似群コードが同一であり、類似であるとの推定を覆滅させる事情も認められないから、類似するというべきである。 (被告の主張)⑴ 類似群コードが同一であることは、類似する商品又は役務であることを推 定させるにすぎない。そして、被告商品①が、「むし焼そばセット」であるのに対し、本件商標1及び2の指定商品である「穀物の加工品」とは、乾めん、即席めん、マカロニ類、凍豆腐、シリアル等を意味し(乙20)、生めん、ゆで麺、むし麺などは含まない概念である。 ⑵ また、「穀物の加工品」は、常温で長期保存が可能な食品であり、賞味期 限が付される ん、マカロニ類、凍豆腐、シリアル等を意味し(乙20)、生めん、ゆで麺、むし麺などは含まない概念である。 ⑵ また、「穀物の加工品」は、常温で長期保存が可能な食品であり、賞味期 限が付されるのが一般であるのに対し、被告商品①は、冷蔵保存をしなけれ ばならず、消費期限が付されるものであって(甲5)、売場においては、冷蔵ショーケースに陳列等されるものである。したがって、被告商品①は、「穀物の加工品」と販売態様を異にするというべきである。 ⑶ これに対し、原告らは、両者は「食品メーカー」が取り扱う商品であることにおいて異なるところはないと指摘する。しかし、乾めんや即席めんなど インスタント食品のメーカーと要冷蔵の加工食品のメーカーとは、通常は異なる営業主体であると認識される。さらに言えば、同一のメーカーから販売される商品であっても、商品が類似しているとは限らない。 ⑷ 以上のとおり、被告商品①と本件商標1及び2の指定商品とは、商品として相違するものであることに加え、需要者及び取扱業者並びに生産及び流通 の経路を異にするものであるから、需要者において、その商品が同一営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認混同されるおそれがある関係にあるとはいえない。したがって、両者は類似しない。 4 争点4(本件商標1と被告標章2又は被告標章Ⅱとの類似性)について(原告らの主張) ⑴ 被告標章2は、「ぼてぢゅう総本家」の文字から成る結合商標である。被告は、これを被告標章Ⅱのように特定するが、暖簾の下地部分が、装飾的図形にすぎないことは争点1で論じたとおりであり、コテの図形部分も、一般的なコテの形状を表記した装飾的図形にすぎず、「総・ぼ・て」の文字部分も、需要者に出所表示であると認識させるものではない。 ⑵ そし ことは争点1で論じたとおりであり、コテの図形部分も、一般的なコテの形状を表記した装飾的図形にすぎず、「総・ぼ・て」の文字部分も、需要者に出所表示であると認識させるものではない。 ⑵ そして、被告標章2も、被告標章1と同様に、「ぼてぢゅう」の文字部分のみをもって、本件商標1との類否判断をすべきものである。また、仮に、被告標章Ⅱを前提とするとしても、暖簾の図形部分などには出所識別機能がないのであるから、結局、「ぼてぢゅう」の文字部分のみで類否判断をすべきことも、争点1で論じたところと同様である。 ⑶ そうすると、被告標章2は、明朝体により平仮名「ぼてぢゅう」を同大同 間隔で左横書きに書した外観を有し、「ボ・テ・ヂュ・ウ」の称呼及び原告らの商品又は役務であるとの観念が生じさせるものであるということができる。これを本件商標1の外観、称呼及び観念と対比すれば、外観が類似し、称呼及び観念は同一であるから、両者は類似している。 (被告の主張) ⑴ 被告商品②及び③に付された標章は、被告標章Ⅱのとおり、緑色の略扇形状の暖簾の図形、2つのコテを重ねた図形に白抜きで「総・ぼ・て」の文字を配した標章及びリュウミンU-KO調で「ぼてぢゅう総本家」と横書きした文字から構成される。これを被告標章2のように分離することができないことは、被告標章1に関して論じたところと同様である。 ⑵ そして、被告標章Ⅱのうち、「ぼてぢゅう」の部分が強く支配的な印象を与えるとはいえないことは争点1で主張したとおりであり、その余の部分も出所識別機能を有し、これを分離観察する理由はないことは、以下に指摘するとおりである。そうすると、類否判断に当たっても、被告標章Ⅱの構成部分の一部である「ぼてぢゅう」の文字部分のみを比較することは許されない。 を有し、これを分離観察する理由はないことは、以下に指摘するとおりである。そうすると、類否判断に当たっても、被告標章Ⅱの構成部分の一部である「ぼてぢゅう」の文字部分のみを比較することは許されない。 ア被告標章Ⅱのうち、暖簾の図形部分にも識別力があること、「ぼてぢゅう総本家」の文字部分を「ぼてぢゅう」と「総本家」に分離する理由がないことは、被告標章1と同様である。しかも、被告標章Ⅱの「ぼてぢゅう総本家」は、同一フォント、同一サイズで一連に記載されている。 イまた、被告標章2のうち、コテのマークは、当該マークと文字とを三角 形状の外観を呈するように構成するとともに、「ぼてぢゅう総本家」から3文字を抜き出し、「ソウボテ」との称呼が生じるように工夫して配置したものであり、強い識別力が認められる。 ⑶ そうすると、被告標章Ⅱは、上記⑵の外観を有するとともに、「ソウボテボテヂュウソウホンケ」又は「ソウボテ」及び「ボテヂュウソウホンケ」と の称呼、「コテ」や「テコ」、「へラ」及び「暖簾」との観念を生じさせる ものとなる。これと本件商標1とは、外観が大きく相違し、称呼及び観念も共通しないのであるから、両者は類似しない。 5 争点5(本件商標1と被告標章3又は被告標章Ⅲとの類似性)について(原告らの主張)⑴ 被告標章3は、「ぼてぢゅう総本家」の文字から成る結合商標である。被 告は、これを被告標章Ⅲのように特定するが、その暖簾の下地部分や「宗右衛門町趣味のお好み焼」を含めるべきでないことは、争点1で論じたとおりであり、「要冷蔵」の部分に自他識別機能がないことも明らかである。 ⑵ そして、被告標章3も、被告標章1と同様に、「ぼてぢゅう」の文字部分のみをもって、本件商標1との類比判断をすべきものである。また、仮に、 要冷蔵」の部分に自他識別機能がないことも明らかである。 ⑵ そして、被告標章3も、被告標章1と同様に、「ぼてぢゅう」の文字部分のみをもって、本件商標1との類比判断をすべきものである。また、仮に、 被告標章Ⅲを前提としたとしても、その「ぼてぢゅう」の部分のみで類否判断を行うべきであることも同様である。 ⑶ そうすると、被告標章3の外観、称呼及び観念は、被告標章1と同様のものと評価することができる。これと本件商標1の外観、称呼及び観念を対比すれば、その外観は類似しており、称呼及び観念は同一であるといえる。し たがって、本件商標1と被告標章3は類似している。 (被告の主張)⑴ 被告商品④に付された標章は、被告標章Ⅲのとおり、深緑色の略長方形状の暖簾の図形と「宗右衛門町趣味のお好み焼ぼてぢゅう総本家要冷蔵」という文字との結合商標である。原告らが主張する特定方法によることができな いことは、被告標章Ⅰに関して論じたのと同様である。 ⑵ そして、被告標章Ⅲの暖簾の図形部分は、「乳ち」の部分が強調され、深緑色という特徴的な色彩を有しており、強い識別力を有する。そして、「宗右衛門町趣味のお好み焼」の文字部分にも識別力があり、「ぼてぢゅう総本家」を分離して類否判断し得ないことも、被告標章1と同様である。 ⑶ したがって、被告標章Ⅲは、深緑色の長方形状の暖簾の図形の上に、被告 標章Ⅰと同様の文字が記載された外観を有し、それと同様の称呼及び観念を生じさせるものということになる。これを本件商標1と比較すると、外観は大きく相違し、称呼及び観念も異にするから、両者は類似しない。 6 争点6(本件商標1に係る権利濫用の抗弁1)について(被告の主張) ⑴ 本件商標1は、以下のとおり、原告ら代表者の父であるCが、商 違し、称呼及び観念も異にするから、両者は類似しない。 6 争点6(本件商標1に係る権利濫用の抗弁1)について(被告の主張) ⑴ 本件商標1は、以下のとおり、原告ら代表者の父であるCが、商標法4条1項10号に違反して、A又は株式会社ぼてぢゆう総本家の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた商標を出願し、違法に登録されたものである。 ア昭和21年6月にAが開業した「ぼてぢゅう」は、昭和27年の時点に おいて、既に大阪中で評判の店となっていたが、その「玉手ぼてぢゅう北店」の店舗には、本件商標1が使用されていた。(乙5の2)イ Aは、上「玉手ぼてぢゅう北店」(乙5の2)以外にも店舗を有していたと考えられ、また、同人の営業を法人化した株式会社ぼてぢゆう総本家は朝日新聞社ビル店(乙32)を有していた。 ⑵ 被告は、株式会社ぼてぢゆう総本家から商標の使用許諾を受けていた者であり、同社の破産後は、被告保有商標1の譲渡を受け、これを令和元年8月31日まで約27年半にわたり使用してきた。そのため、被告は、株式会社ぼてぢゆう総本家が獲得していた上記商標の周知性を承継した。 ⑶ このような事情によれば、原告らが、被告に対し、本件商標1に係る権利 を行使することは、権利濫用に当たるものとして、許されないというべきである(最高裁平成27年(受)第1876号同29年2月28日第三小法廷判決・民集71巻2号221頁参照)。 (原告らの主張)⑴ 「ぼてぢゅう」がその当時A又は株式会社ぼてぢゆう総本家の業務に係る 商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことを 示す証拠はなく、本件商標1の登録に商標法4条1項10号違反はない。 ⑵ なお、被告提出の証拠(乙5ない 務に係る 商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことを 示す証拠はなく、本件商標1の登録に商標法4条1項10号違反はない。 ⑵ なお、被告提出の証拠(乙5ないし7)は、Aの運営する1店舗が、大阪の玉手付近で繁盛していたというものにすぎず、これが「大阪中」に広まったとされているのも、調味法の部分にすぎない。 7 争点7(本件商標1に係る権利濫用の抗弁2)について (被告の主張)⑴ Aは、お好み焼き店を始めるに当たり、「ぼてぢゅう」の語を造語し、これを最初に使用し始めた者である。他方、A又は株式会社ぼてぢゆう総本家は、Cに暖簾分けをした後も、平成21年10月5日に破産するまで、「ぼてぢゅう」の語を使用していたが、Cは、争点6において指摘したとおり、 同社に無断で本件商標1の出願をした。 ⑵ そして、Cは、昭和55年10月2日、同人と同様にA又は株式会社ぼてぢゆう総本家からの暖簾分けを受けた関係にある大阪ぼてぢゅう株式会社との間で、本件商標権1を含む商標について、㋐同社に対してのみならず、㋑同社から「暖簾分け」を受けた者に対しても、その権利を行使しない旨の和 解を成立させた。(乙33、34)⑶ そうすると、当該和解契約のうち、上記㋐の部分は、「ぼてぢゅう」の創業者であるA及び株式会社ぼてぢゆう総本家に対しても、権利を行使しない旨の合意を含み、上記㋑の部分は、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家から「ぼてぢゅう」の文字を含む商標の使用許諾を受けた者に対しても、権利を 行使しない旨の合意を含むと理解することができる。 ⑷ 実際、原告らの担当者は、被告が、平成4年4月1日、被告各標章を包装に付した被告各商品の製造販売を開始した後、被告に対し、抗議の電話を架けてきたが、被告は、株式 を含むと理解することができる。 ⑷ 実際、原告らの担当者は、被告が、平成4年4月1日、被告各標章を包装に付した被告各商品の製造販売を開始した後、被告に対し、抗議の電話を架けてきたが、被告は、株式会社ぼてぢゆう総本家の委託を受けている旨の説明をすることにより、納得を得ることができた(甲33)。この事実は、前 記⑶の趣旨の合意が成立していたことを裏付けるものである。 ⑸ 他方、被告は、株式会社ぼてぢゆう総本家の破産した後も、被告保有商標1を破産管財人から購入した上、約27年半にわたり、被告各商品の製造を継続してきた者である。確かに、商標の管理にミスがあったため、現在有効な商標は、再出願した被告保有商標2及び3であるが、これらの商標は、被告標章2と実質的に同一のものであると評価し得る。 ⑹ そうすると、原告らに対し、前記⑵及び⑶の和解にもかかわらず、株式会社ぼてぢゆう総本家の破産という偶然の事情によって、その権利行使を許す理由はない一方、被告は、被告保有商標1を有償購入してまで、約27年半にわたり、被告各商品を製造してきたという事情を考慮すれば、原告BGHDによる本件商標権1の行使は、権利の濫用に当たる。 (原告らの主張)⑴ C又は原告らが、株式会社ぼてぢゆう総本家に対し、本件商標1の使用を許諾したという事実は否認する。仮に、同社が、本件商標1を使用できる立場にあったとしても、被告は、本件商標1を使用し得る地位までも譲り受けたものではない(乙12)。したがって、被告の主張は失当である。 ⑵ なお、Cは、Aから営業権を買い取っており、株式会社ぼてぢゆう総本家に無断で本件商標1を出願したわけではない。また、被告保有商標3は、被告保有商標1と同一の商標の再出願であるとはいえない上、これらと被告標章2が から営業権を買い取っており、株式会社ぼてぢゆう総本家に無断で本件商標1を出願したわけではない。また、被告保有商標3は、被告保有商標1と同一の商標の再出願であるとはいえない上、これらと被告標章2が同一の商標であるともいえない。 8 争点8(本件商標2に係る先使用の抗弁)について (被告の主張)被告は、本件商標2の出願前から約26年間に渡り、被告標章Ⅰをむし焼そばセットの包装に付する方法により継続使用していた。その販売数量に関するデータは存在しないものの、被告標章Ⅰは、このような長期の使用により、本件商標2の出願の時点において、被告の業務に係る商品を表示するものとして 取引者及び需要者の間で広く認識されていたと考えられる。 (原告らの主張)被告は、被告標章1を付した商品の販売実績などを明らかにしておらず、被告標章1が、本件商標2の出願時点において、被告の業務に係る商品を表示するものとして取引者及び需要者の間で広く認識されていたことを裏付ける証拠はない。むしろ、被告商品①の年間売上は約2900万円にすぎず、原告らの 直近5年の店舗売上高15億円と比較にならないことを指摘し得る。 9 争点9-1(商標法38条3項による損害額)について(原告らの主張)⑴ 原告東京フードを含むグループ会社は、日本及び海外において、「ぼてぢゅう」を含む多くの店舗を展開しており、全国のコンビニエンスストアにお いて、「ぼてぢゅう」という用語を付したお好み焼きや焼きそば商品を販売していることから、本件商標1及び2の顧客誘引力は極めて高い。 ⑵ そして、原告らは、わかば食品株式会社に対して、ライセンス料率2%で本件商標権1の使用を許諾しているが(甲72)、以下の事情によれば、被告による被告各商品の販売について、ライセンス めて高い。 ⑵ そして、原告らは、わかば食品株式会社に対して、ライセンス料率2%で本件商標権1の使用を許諾しているが(甲72)、以下の事情によれば、被告による被告各商品の販売について、ライセンス料率を4%として、その 「受けるべき利益の額」を算定することが相当である。 アわかば食品株式会社の販売先は、コンビニエンスストアなどが含まれるため、問屋が介在することがあり、また、販売店舗数が多いなどの事情もあるため、同社に対するライセンス料率は低額になっている。 イ他方、被告は、スーパーや百貨店などを販売先とし、販売店舗数は相対 的に少なくなると考えられる。仮に、原告らが、被告に対し、本件商標1を許諾するとすれば、わかば食品株式会社に対するライセンス料率よりも高い率になると考えられる。 ウそして、ライセンス料率による文献によれば、ライセンス料率を3%ないし6%とするものが多いとされており(甲79)、ライセンス料率4% という数字は、一般的な相場からしても妥当なものであると考えられる。 エしかも、商標法38条4項の立法経緯を踏まえれば、同条3項による損害額を認定するに当たっては、権利侵害があったことを増額要因として考慮し、通常のライセンス料率よりも高い料率を認定すべきものと考えられる。 ⑶ これに対し、被告は、上記許諾例が、ノウハウの開示に重点を置いた契約 であるなどと主張するが、当該契約は、強い顧客誘引力のある本件商標1を使用することを主目的とするものであって、同契約に基づき、甲24及び25のように、本件商標1を使用した商品が販売されている。(甲87)⑷ したがって、商標法38条3項の「受けるべき利益の額」は、前記⑵のとおり、被告の売上高の4%を下らないと考えるべきであり、その具体的な損 商標1を使用した商品が販売されている。(甲87)⑷ したがって、商標法38条3項の「受けるべき利益の額」は、前記⑵のとおり、被告の売上高の4%を下らないと考えるべきであり、その具体的な損 害額は、以下の計算のとおり、原告東京フードについて、840万円を下回らず、原告BGHDについて、200万円を下回らない。 ア被告各商品の販売による年間売上高は1億7400万円を下らないと考えられるから、本件商標権1について、㋐原告東京フードが、本件訴訟提起の3年前から平成31年2月6日までの約26か月間に被った損害は1 508万円(1億7400万円×4%×26月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は150万円と計算され、㋑原告BGHDが、本件商標1の取得から本件訴訟提起までの約10か月間に被った損害は、580万円(1億7400万円×4%×10月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は58万円と 計算される。また、被告商品①の販売による年間売上高は2900万円を下らないと考えられるから、本件商標権2について、③原告東京フードが、本件商標2の取得から本件訴訟提起までの約10か月間に被った損害額は、96万6666円(2900万円×4%×10月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は9万6666円と計算さ れる。 イ仮に、損害論において被告商品①及び④に係る損害額のみを算定する場合には、本件商標権2に係る損害額は、本件商標権1に係る損害額に全て包含されることになるから、本件商標権1に係る損害額のみを主張する。 具体的には、被告商品①及び④の販売による年間売上高は1億1600万円を下らないと考えられるから、本件商標権1について、㋐原告東京 包含されることになるから、本件商標権1に係る損害額のみを主張する。 具体的には、被告商品①及び④の販売による年間売上高は1億1600万円を下らないと考えられるから、本件商標権1について、㋐原告東京フ ードが、本件訴訟提起の3年前から平成31年2月6日までの約26か月間に被った損害は1005万3333円(1億1600万円×4%×26月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は100万5333円と計算され、㋑原告BGHDが、本件商標1の取得から現在までの約26か月間に被った損害は、1005万3333円(1 億1600万円×4%×26月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は100万5333円と計算される。 ⑶ なお、被告は、争点7において主張した事情を援用し、原告に損害が生じるはずはないなどと主張するが、原告ら及びCが、株式会社ぼてぢゆう総本家に対し、本件商標1の使用を許諾した事実がないことは、争点7において 反論したとおりであり、その前提から失当である。 (被告の主張)⑴ 被告商品①及び④の年間売上高が1億1600万円であることは争わないが、その販売期間は令和元年8月31日までであり、しかも、以下の事情によれば、本件商標1及び2の使用に係る使用料相当額は、被告商品①及び④ の売上高の0.5%を上回らないというべきである。 ア原告が、第三者に対し、本件商標1の使用を許諾した事例はないと考えられる。原告が提出する許諾例は、「冷凍食品」を対象とし、本件商標1の指定商品を対象としたものではない。また、当該許諾例は、ノウハウの開示に重点を置いたものであり、商標に係る条項は、商標を特定せず、許 諾地域や許諾商品も定めておらず、商標権の不行使特約を意味するにすぎ 対象としたものではない。また、当該許諾例は、ノウハウの開示に重点を置いたものであり、商標に係る条項は、商標を特定せず、許 諾地域や許諾商品も定めておらず、商標権の不行使特約を意味するにすぎ ないと考えられる。そして、当該許諾例が、原告らに最も有利な事例と考えられることも考慮すれば、本件商標1を単に許諾する場合、そのライセンス料率は、当該許諾例の10分の1である0.2%程度になると考えられる。 これに対し、原告らは、商標のライセンス料率の相場は、3%ないし 6%であるなどと主張する。しかし、その根拠とされる文献が調査対象とした事例は5件にすぎず、統計的な意味はない。むしろ、当該文献においても、平均料率は1.9%とされている。 イまた、被告商品①及び④は、顧客自身が調理を要し、販路の中心は、著名な百貨店や大手スーパーマーケットであるのに対し、原告らの商品(甲 18ないし25)は、調理済みであり、コンビニエンスストアで販売されるものである。このように、両者の商品は、市場で競合するものではない。 また、現在、大阪ぼてぢゅう株式会社から事業を継承した株式会社ぼてぢゅうコーポレーションが、「大阪ぼてぢゅう」の商標を使用し、「飲食物の提供」の役務を提供している。そうすると、仮に、被告が、被告商品① 及び④を販売しなくても、その需要の一部は、同社に向かったと考えられる。 しかも、被告商品④については、蓋部に被告保有商標3が使用されている。被告保有商標3は、株式会社ぼてぢゆう総本家を出所とするものとして、強い識別力を有してきたものであり、文字だけから成る本件商標1と は異なり、特徴的な図形を有するなど、強い顧客誘引力を有する。 ⑵ そもそも、争点7で主張したとおり、原告らは、元来、株式会社ぼてぢゆう総本家や被 たものであり、文字だけから成る本件商標1と は異なり、特徴的な図形を有するなど、強い顧客誘引力を有する。 ⑵ そもそも、争点7で主張したとおり、原告らは、元来、株式会社ぼてぢゆう総本家や被告に対し、本件商標権1を行使し得ない立場にあった。そうすると、株式会社ぼてぢゅう総本家の破産という原告らの事業活動や営業努力とは無関係な偶然の事情によって、原告らに損害が生じることはあり得ない。 10 争点9-2(商標法38条2項の適用の可否)について (原告らの主張)以下の事情によれば、被告による商標権侵害行為がなければ、原告が利益を得たであろうという事情が存在するということができる。したがって、商標法38条2項によって、原告に生じた損害の額が推定される。 ⑴ 原告らの店舗は、「飲食物の提供」という「役務」の提供に加え、平成2 9年11月又は12月(甲81ないし83)には、デリバリー販売やテイクアウト販売として、被告と同様に「商品」の販売もしている(甲72ないし76)。そして、これらの商品の販売に使用されている「ぼてぢゅう」の標章は、本件商標1と書体等が異なるのみであり、また、テイクアウトの容器には、本件商標1が記載されている(甲84)。すなわち、原告らは、被告 による被告商品①及び④の販売と同様に、穀物の加工品及びお好み焼きの販売に本件商標1を「使用」しており、これと競合している。 ⑵ また、原告らが、他の業者と共同開発した甲18ないし25、62の商品に付された標章は、いずれも平仮名の「ぼてぢゅう」であり、本件商標1とは書体等が異なるのみであって、本件商標1を商標的に使用するものである。 そうすると、被告商品①及び④の販売によって、これらの商品の販売が減少したことも明らかである。このような商品は、大手 とは書体等が異なるのみであって、本件商標1を商標的に使用するものである。 そうすると、被告商品①及び④の販売によって、これらの商品の販売が減少したことも明らかである。このような商品は、大手スーパーマーケットでも販売されており(甲42、乙5の1)、被告の商品と販路が異なるということもない。なお、これらの商品が、大手スーパーマーケットのプライベートブランドで販売されていたというような事実も存在しない。 ⑶ なお、被告は、争点7で主張した事情を援用し、原告に損害が生じるはずがないと主張するが、原告ら及びCが、株式会社ぼてぢゆう総本家に対し、本件商標1の使用を許諾した事実がないことは、争点7で反論したとおりであり、その前提から失当である。 (被告の主張) 商標法38条2項は、損害額の立証負担を軽減したものであり、その発生ま でを推定する規定ではない。しかるに、以下の事情によれば、原告らに同条項に係る損害は生じるはずがないから、同条項の適用の前提がない。 ⑴ 被告は、被告商品①及び④という商品を販売したのに対し、原告らは、本件商標1の類似標章を「飲食物の提供」という役務に使用するにすぎない。 これに対し、原告らは、本件商標1をテイクアウト販売などに使用してい るなどと主張する。しかし、原告らが、被告の行為が問題となる時期に、テイクアウトやデリバリーの事業をし、これに本件商標1を使用していたという証拠はない。そもそも、デリバリー販売は、役務の提供である。 しかも、原告らが、テイクアウト販売に使用していたと主張する「ぼてぢゅう」の標章(甲13の2、72)は、本件商標1とは大きく外観を異にす るものであるから、本件商標1の使用に当たらない。そもそも、テイクアウトの容器(乙35)に、本件商標1の記載はない。 てぢゅう」の標章(甲13の2、72)は、本件商標1とは大きく外観を異にす るものであるから、本件商標1の使用に当たらない。そもそも、テイクアウトの容器(乙35)に、本件商標1の記載はない。 仮に、これらが本件商標1の使用といえるとしても、原告らによるテイクアウト販売やデリバリー販売と被告による被告商品①及び④の販売は販路が異なるから、被告が被告商品①及び④を販売したことによって、原告らによ るテイクアウト販売やデリバリー販売に係る損害が生じることはない。 ⑵ 原告らが販売していたと主張する甲18ないし25などの商品は、原告らが「監修」したとされるものにすぎない。 原告らは、被告標章1及び3の使用によって、原告らが開発した甲18ないし25の商品の販売が減少したと主張するが、それはライセンス収入の減 少をもたらすにすぎず、原告に損害を生じさせるものではない。 そもそも、それらの商品に付された「ぼてぢゅう」の標章は、「監修」とされるものであるから、自他識別機能、出所識別機能を有さず、商標的に使用されているものとはいえない。 仮に商標的に使用されているとしても、それらの商品は、調理済みの商品 であり、コンビニエンスストアなどを主な販路とするのに対し、被告商品① 及び④は、顧客自身が調理を要し、その販路の中心は、著名百貨店や大手スーパーマーケットであるから、両者は需要者を異にするというべきである。 これに対し、原告らは、甲42や乙5の1の商品が、大手スーパーマーケットで販売されていると主張するが、甲42は、原告が「監修」したとされるものにすぎず、乙5の1は、販売店のプライベートブランドで販売されて いるものと考えられるから、結論を左右しない。 ⑶ そもそも、争点7で主張したとおり、原告らは、元来、株式会 修」したとされるものにすぎず、乙5の1は、販売店のプライベートブランドで販売されて いるものと考えられるから、結論を左右しない。 ⑶ そもそも、争点7で主張したとおり、原告らは、元来、株式会社ぼてぢゆう総本家や被告に対し、本件商標権1を行使し得ない立場にあった。そうすると、株式会社ぼてぢゅう総本家の破産という原告らの事業活動や営業努力とは無関係な偶然の事情によって、原告らに損害が生じることはあり得ない。 11 争点9-3(商標法38条2項による損害額)について(原告らの主張)⑴ 被告は、被告商品①及び④の販売によって、その売上高の少なくとも3割について、商標法38条2項の「利益」を受けている。したがって、その具体的な損害額は、以下の計算のとおり、原告東京フードについて、840万 円を下回らず、原告BGHDについて、200万円を下回らない。 ア被告各商品の販売による年間売上高は1億7400万円を下らないと考えられるから、その限界利益は年間5220万円となる。そうすると、本件商標権1について、㋐原告東京フードが、本件訴訟提起の3年前から平成31年2月6日までの約26か月間に被った損害額は1億1310万円 (5220万円×26月/12月)と推定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は1131万円と計算され、㋑原告BGHDが、本件商標1の取得から本件訴訟提起までの約10か月間に被った損害額は、4350万円(5220万円×10月/12月)と推定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は435万円と計算される。また、被 告商品①の販売による年間売上高は2900万円を下らないと考えられる から、その限界利益は同様に870万円となる。そうすると、㋒原告東京フードが、本件商標2の取得か 算される。また、被 告商品①の販売による年間売上高は2900万円を下らないと考えられる から、その限界利益は同様に870万円となる。そうすると、㋒原告東京フードが、本件商標2の取得から本件訴訟提起までの約10か月間に被った損害額は、725万円(870万円×10月/12月)と推定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は9万6666円と計算される。 イ仮に、損害論において被告商品①及び④に係る損害額のみを算定する場合には、本件商標権2に係る損害額は、本件商標権1に係る損害額に全て包含されることになるから、本件商標権1に係る損害額のみを主張する。 具体的には、これらの商品の販売による年間売上高は1億1600万円を下らないと考えられるから、その限界利益は3480万円となり、本件 商標権1について、㋐原告東京フードが、本件訴訟提起の3年前から平成31年2月6日までの約26か月間に被った損害額は7540万円(3480万円×26月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は754万円と計算され、㋑原告BGHDが、本件商標1の取得から現在までの約26か月間に被った損害額は、7540万円(3 480万円×26月/12月)と算定され、これと相当因果関係ある弁護士費用相当損害額は754万円と計算される。 ⑵ なお、被告は、商標法38条2項の推定を覆滅する事由を主張するが、既に反論したとおり、いずれも失当である。 (被告の主張) ⑴ 被告商品①及び④の販売による年間売上高が1億1600万円であることは争わないが、その販売期間は令和元年8月31日までであり、また、被告商品①及び④の限界利益率は24%である。 ⑵ そして、商標法38条3項について、損害が不発生である事情及び使 00万円であることは争わないが、その販売期間は令和元年8月31日までであり、また、被告商品①及び④の限界利益率は24%である。 ⑵ そして、商標法38条3項について、損害が不発生である事情及び使用料相当額算定に関して主張した事情は、同条2項の推定を覆滅する事由ともな るから、それらの事情を覆滅事由として主張する。 第4 当裁判所の判断 1 結合商標の類否の判断基準商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであ り(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、①その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え るものと認められる場合、②それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、③商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1 621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 2 争点1(本件商標1と被告標章1又 5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 2 争点1(本件商標1と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性)について⑴ 証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品①は、全体が透明のパ ッケージの表面上部に、被告標章Ⅰ(ただし、要冷蔵の文字及び文字囲い部分を除く。以下同じ。)のとおり、濃緑色の暖簾を模した図案の上に文字を記載したものであることが認められる。そうすると、被告商品①の包装に付された被告標章Ⅰは、需要者が独立した表示として把握するものといえ、被告商品④においても濃緑色の暖簾を模した図案の上に同様の文字が記載され ている取引の実情をも踏まえると(甲8)、被告商品①の包装に付された標 章としては、被告標章Ⅰのとおり特定するのが相当である。 これに対し、原告らは、被告標章Ⅰにおける暖簾の図案部分等は、出所を識別する機能が生じるものとはいえないから、被告標章1のとおり特定すべきである旨主張するものの、出所識別機能の存否を類否判断で考慮するのは格別、需要者が現実に認識する標章を特定するに当たっては、上記のとおり 事実関係を踏まえて認定するのが相当であるから、原告らの主張は、上記認定を左右するものではなく、採用することができない。 ⑵ そこで、前記1(結合商標の類否の判断基準)に基づき本件商標1と被告標章Ⅰの類否を検討するに、被告標章Ⅰは、暖簾を模した図案の上に2段書きされた文字を記載しており、図案と文字との結合商標であるといえる。そ して、図案部分についてみると、現実の暖簾には文字が記載されることも少なくないという実情を踏まえると、単なる背景や文字枠として認識されるものであり、図案部分自体 の結合商標であるといえる。そ して、図案部分についてみると、現実の暖簾には文字が記載されることも少なくないという実情を踏まえると、単なる背景や文字枠として認識されるものであり、図案部分自体には、出所を識別する機能があるとはいえない。 他方、被告標章Ⅰの文字部分についてみると、2段書きされており、各段の文字を結合したものであるといえるところ、全体的に見て、上段の「宗右 衛門町趣味のお好み焼」が下段の「ぼてぢゅう総本家」に対し、小さい文字で付されたものであることからすれば、その内容に照らしても、需要者は、上段部分が、下段部分の説明書きであると理解するといえるから、上段部分には出所を識別する機能があるとはいえない。 そして、被告標章Ⅰの下段の文字部分についてみると、「ぼてぢゅう」と 「総本家」とを結合したものであるといえるところ、前者は、お好み焼き店のために創作された極めて特徴的な造語であるのに対し、後者は、「おおもとの本家」を意味する一般的な日本語であって(甲28)、その前後に接続する語句がある場合には、その語句に関連する「総本家」であると理解されるのが通常であるから、下段の文字部分中「総本家」の文字部分から出所識 別標識としての称呼、観念が生ずるものとはいえない。そうすると、「ぼて ぢゅう」の文字部分が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるのが相当である。 ⑶ したがって、被告標章Ⅰは、その構成中の「ぼてぢゅう」の文字部分を抽出し、この部分だけを本件商標1と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。そして、被告標章Ⅰは、筆書きによる平 仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観を有するのに対し、本件商標1は、別紙商標目録 商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。そして、被告標章Ⅰは、筆書きによる平 仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観を有するのに対し、本件商標1は、別紙商標目録記載1のとおり、筆書きの「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有するのであるから、両者は、その外観において類似するものであり、両者の称呼及び観念が同一であることも明らかである。 以上によれば、本件商標1と被告標章Ⅰとは、類似するものと認めるのが相当である。 ⑷ これに対し、被告は、「宗右衛門町」が著名であり、「趣味」が特徴的な言葉であることを理由として、出所識別機能を有すると主張するが、「宗右衛門町趣味のお好み焼」という部分は、地理的名称、商品の性質、商品の種 類を示すものと理解されるのであるから、「ぼてぢゅう」が強く支配的な印象を与えるという上記認定を左右するものとはいえない。 また、被告は、「総本家」が出所識別機能を有しないとする根拠は存在せず、被告標章Ⅰの2段の文字部分の1段に記載され、まとまりのある「ぼてぢゅう総本家」という9音を分離観察する理由もないなどと主張する。しか し、「総本家」の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生ずるものとはいえないことは、上記において説示したとおりである。のみならず、「ぼてぢゅう」の5字は、「総本家」の3字に比し、大きく書かれ、視覚的にもそれ自体十分区別し得る上、前者の文言は、後者の文言に対し、強く支配的な印象を与えるものといえる。これらの事情を踏まえると、「ぼてぢゅう」 と「総本家」とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われる ほど不可分的に結合しているものともいえないのであるから、被告の主張は、上記結論を左右するものとはいえない。 う」 と「総本家」とを分離して観察することが、取引上不自然であると思われる ほど不可分的に結合しているものともいえないのであるから、被告の主張は、上記結論を左右するものとはいえない。 したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 3 争点2(本件商標2と被告標章1又は被告標章Ⅰとの類似性)について⑴ 前記1(結合商標の類否の判断基準)に基づき本件商標2と被告標章Ⅰの 類否を検討するに、本件商標2は、別紙商標目録記載2のとおり、「ぼてぢゅう総本店」という標準文字から成り、「ぼてぢゅう」と「総本家」とを組み合わせた結合商標であるといえる。そして、前者は、お好み焼き店のために創作された極めて特徴的な造語であるのに対し、後者は、「おおもとの本店」を意味する一般的な日本語であって、その前後に接続する語句がある場 合には、その語句に関連する「総本店」であると理解されるのが通常であるから、「総本店」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生ずるものとはいえない。そうすると、本件商標2においても、「ぼてぢゅう」の文字部分が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、その部分を抽出し、類否判断することが許されるというべき である。 ⑵ 他方、被告標章Ⅰは、争点1において説示したとおり、この点に係る被告の主張を十分考慮しても、「ぼてぢゅう」の文字部分を抽出し、類否判断することが許されるというべきである。そうすると、被告標章Ⅰは、筆書きによる平仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観を有することに なるのに対し、本件商標2は、標準文字の「ぼてぢゅう」から成る外観を有することになるのであるから、両者は、その外観において類似するものであり、その称呼及び観念も同一 きした外観を有することに なるのに対し、本件商標2は、標準文字の「ぼてぢゅう」から成る外観を有することになるのであるから、両者は、その外観において類似するものであり、その称呼及び観念も同一であることは明らかである。 ⑶ したがって、本件商標2と被告標章Ⅰとは、類似するものと認めるのが相当である。 4 争点3(本件商標1及び2の指定商品と被告商品①との類似性)について ⑴ 原告らは、被告商品①「むし焼そばセット」が本件商標1及び2の指定商品である「穀物の加工品」(商標法施行規則別表第30類10)に該当すると主張するところ、証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品①は、小麦粉を原料とするめんに、キャベツ、豚肉、生姜、かつお節、青のりといった具材及びソースを添付し、1人前のセット商品とした要冷蔵の加工食品 であり、実際に食するに当たっては、購入者において油で炒めるなどの調理をすることを要するものであることが認められ、少なくとも、これが日本語の語義として「穀物の加工品」に当たり得ることは、もとより明らかである。 ⑵ そして、商標法施行規則別表において定められた商品又は役務の意義は、商標法施行令別表の区分に付された名称、商標法施行規則別表において当該 区分に属するものとされた商品又は役務の内容や性質、国際分類を構成する類別表注釈において示された商品又は役務についての説明、類似商品・役務審査基準における類似群の同一性などを参酌して解釈するのが相当である(最高裁平成21年(行ヒ)第217号同23年12月20日第三小法廷判決・民集65巻9号3568頁参照)。 これを本件についてみると、商標法施行令別表が、第30類の名称を「加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」とし、商標法施 法廷判決・民集65巻9号3568頁参照)。 これを本件についてみると、商標法施行令別表が、第30類の名称を「加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」とし、商標法施行規則別表が、第30類10「穀物の加工品」に属する商品として、「うどんの麺オートフレークオートミール乾燥飯強化米ぎょうざの皮コーンフレークさらしあん人造米スパゲッティの麺そうめん の麺即席うどんの麺即席そばの麺即席中華そばの麺そばの麺中華そばの麺春雨パン粉ビーフンふ米飯の缶詰マカロニ餅」を掲げていることを踏まえると、被告商品①は、上記に掲げられた商品の内容等に照らし、上記にいう「穀物の加工品」に該当するものと認めるのが相当である。 ⑶ これに対し、被告は、証拠(乙20)を提出した上で、「穀物の加工品」 とは、乾めん、即席めん、マカロニ類、凍り豆腐、シリアル等を意味するものであり、生めん、ゆで麺、むし麺などは含まないと主張する。しかし、上記証拠(乙20)によれば、消費者庁のウェブサイトにおいて、加工食品に係る品質表示基準のうち、「乾めん類、即席めん、マカロニ類、凍豆腐、パン類」に係る各品質基準が「穀物の加工品」に分類されていることを示すに とどまり、これを超えて、「穀物の加工品」に、その余の商品が含まれないことまでを意味するものとはいえない。また、被告は、「穀物の加工品」とは、常温で長期保存が可能な食品であり、賞味期限が付されるのが一般であるとも主張するが、そのように限定すべき根拠まで具体的に主張立証するものとはいえない。そのため、被告の主張は、いずれも上記判断を左右するに 至らない。 したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 ⑷ 以上によれば、被 で具体的に主張立証するものとはいえない。そのため、被告の主張は、いずれも上記判断を左右するに 至らない。 したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。 ⑷ 以上によれば、被告商品①は、本件商標1及び2の指定商品である「穀物の加工品」に該当するため、争点1及び2において説示したところを踏まえると、被告商品①における被告標章Ⅰの使用は、本件商標権1及び2を侵害 するものといえる。 5 争点4(本件商標1と被告標章2又は被告標章Ⅱとの類似性)について⑴ 証拠(甲6、7)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品②及び③は、表面又は上半分が透明であるパッケージの上部に、被告標章Ⅱのとおり、濃緑色の暖簾を模した図案を配置し、その中央に「総・ぼ・て」の3字を含む図案 を記載した上、その下部に明朝体系の活字で「ぼてぢゅう総本家」と記載したものであることが認められる。そうすると、被告商品②及び③の包装に付された被告標章Ⅱは、需要者が独立した表示として把握するものといえ、被告商品①及び④においても濃緑色の暖簾を模した図案の上に同様の文字が記載されている取引の実情をも踏まえると(甲5、8)、被告商品②及び③の 包装に付された標章としては、被告標章Ⅱのとおり特定するのが相当である。 これに対し、原告らは、被告標章Ⅱにおける暖簾の図案部分等は、出所を識別する機能が生じるものとはいえないから、被告標章2のとおり特定すべきである旨主張するものの、出所識別機能の存否を類否判断で考慮するのは格別、需要者が現実に認識する標章を特定するに当たっては、上記のとおり事実関係を踏まえて認定するのが相当であるから、原告らの主張は、上記認 定を左右するものではなく、採用することができない。 ⑵ そこで、前記1(結合商標の類否の判 するに当たっては、上記のとおり事実関係を踏まえて認定するのが相当であるから、原告らの主張は、上記認 定を左右するものではなく、採用することができない。 ⑵ そこで、前記1(結合商標の類否の判断基準)に基づき本件商標1と被告標章Ⅱの類否を検討するに、被告標章Ⅱは、暖簾を模した図案中、その上段に「総・ぼ・て」の3字を含む図案(以下「上段図案」という。)を、その下段に「ぼてぢゅう総本家」という8字を、それぞれ配置するものである。 このうち、上段図案は、おおよそ縦横の比率が等しく、暖簾に染め上げられたように配置されており、伝統的な屋号の紋を連想させるものであるから、出所を識別する機能があるものといえる。他方、下段の「ぼてぢゅう総本家」という8字は、上段図案に密接して配置されている関係上、需要者は「総・ぼ・て」の3字の意味を説明するものとして理解するものといえる。そうす ると、上段図案と下段の「ぼてぢゅう総本家」の文字部分とは、配置上も意味上も密接に関連するものといえるから、上段図案の出所識別力に鑑みると、下段の「ぼてぢゅう総本家」が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることはできない。 のみならず、前記前提事実によれば、被告は、平成23年3月19日、被 告保有商標1の譲渡を受け、これを使用していたところ、被告保有商標1は、被告標章Ⅱとほぼ同様に、概略、「総・ぼ・て」の3字を含む図案を上段に、「ぼてぢゅう総本家」を含む文字を下段に、組み合わせた結合商標であり、その後、被告保有商標1が失効したため、被告が現在有するに至った被告保有商標3も、被告標章Ⅱと同様に、概略、「総・ぼ・て」の3字を含む図案 を上段に、「ぼてぢゅう総本家」の文字を下段に、組み合わせた結合商標で が失効したため、被告が現在有するに至った被告保有商標3も、被告標章Ⅱと同様に、概略、「総・ぼ・て」の3字を含む図案 を上段に、「ぼてぢゅう総本家」の文字を下段に、組み合わせた結合商標で ある。そして、証拠(甲36、乙1、2、4)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、原告らから商標権侵害の指摘を受け、令和元年9月1日以降は被告各標章を変更し、現在も、被告保有商標3を包装に付して焼そば等を販売していることが認められる。そうすると、被告標章Ⅱの使用は、上記の経過に照らし、被告にとっては、被告自身が有して長年使用を継続した被告保有商 標1又は3を使用する趣旨をも一応含み得ると認めるのが相当である。これらの事情を踏まえると、被告標章Ⅱのうち、少なくとも、「総・ぼ・て」の3字を含む上段図案と「ぼてぢゅう総本家」の8字とを組み合わせた部分は、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めるのが相当である。 そして、被告標章Ⅱは、「総・ぼ・て」の3字を含む上段図案と「ぼてぢゅう総本家」の明朝体系の8字から成る外観を有し、「そうぼてぼてぢゅうそうほんけ」との称呼を生じるのに対し、本件商標1は、筆書きの「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有し、「ぼてぢゅう」との称呼を生じることになる。そうすると、本件商標1と被告標章Ⅱは、外観 及び称呼において大きく異なるものといえるから、類似しないものと認めるのが相当である。 ⑶ これに対し、原告らは、争点1と同様に、「ぼてぢゅう」という造語が、原告らの商品又は役務であるとの観念を生じさせるものであると主張する。 しかし、被告標章Ⅱの上段図案と下段文字部分を分離観察することができ ないことは、上記において説示したと 」という造語が、原告らの商品又は役務であるとの観念を生じさせるものであると主張する。 しかし、被告標章Ⅱの上段図案と下段文字部分を分離観察することができ ないことは、上記において説示したとおりであり、原告らの主張は、上記判断を左右するものとはいえない。のみならず、前記前提事実のとおり、「ぼてぢゅう」とは、Aが使い始め、株式会社ぼてぢゆう総本家という商号に使用するなどしていたものであって、被告も「ぼてぢゅう総本家」という文字を含む被告保有商標3を継続使用していることは、上記においても説示した とおりである。そして、証拠(乙33、35)及び弁論の全趣旨によれば、 原告ら及び被告以外にも、現在、「ぼてぢゅう」を出所表示に使用し、お好み焼きに係る営業等をしている者が存在することが認められる。そうすると、その他に原告ら主張に係る事実を認めるに足りる的確な証拠がないことを踏まえても、原告らの主張は、その前提を欠くものといえる。 したがって、原告らの主張は、採用することができない。 6 争点5(本件商標1と被告標章3又は被告標章Ⅲとの類似性)について⑴ 証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品④は、下地が白色の容器の側面に、被告標章Ⅲのとおり、濃緑色の暖簾を模した図案の上に文字を記載したものであることが認められる。そうすると、被告商品④の包装に付された被告標章Ⅲは、需要者が独立した表示として把握するものといえ、被 告商品①においても濃緑色の暖簾を模した図案の上に同様の文字が記載されている取引の実情をも踏まえると(甲5)、被告商品④の包装に付された標章としては、被告商品①の包装に付された被告標章Ⅰと同様に、被告標章Ⅲのとおり特定するのが相当である。 これに対し、原告らは、被告標章Ⅲにおける暖簾の図案部分等は 5)、被告商品④の包装に付された標章としては、被告商品①の包装に付された被告標章Ⅰと同様に、被告標章Ⅲのとおり特定するのが相当である。 これに対し、原告らは、被告標章Ⅲにおける暖簾の図案部分等は、出所を 識別する機能が生じるものとはいえないから、被告標章3のとおり特定すべきである旨主張するものの、出所識別機能の存否を類否判断で考慮するのは格別、需要者が現実に認識する標章を特定するに当たっては、上記のとおり事実関係を踏まえて認定するのが相当であるから、原告らの主張は、上記認定を左右するものではなく、採用することができない。 ⑵ そこで、前記1(結合商標の類否の判断基準)に基づき本件商標1と被告標章Ⅲの類否を検討するに、被告標章Ⅲは、濃緑色の暖簾を模した図案の上に、上段の「宗右衛門町趣味のお好み焼」と下段の「ぼてぢゅう総本家」という2段の文字を記載したものであり、上段の文字は下段の文字よりも小さく、下段の文字のうち、「総本家」の文字部分が「ぼてぢゅう」の文字部分 よりも小さい点において被告標章Ⅰと同様である。 そうすると、争点1において説示したとおり、「ぼてぢゅう」が、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるのが相当であるから、被告標章Ⅲは、その構成中の「ぼてぢゅう」の文字部分を抽出し、この部分だけを本件商標1と比較して商標そのものの類否を判断することが、許されるというべきである。 そして、被告標章Ⅲは、筆書きの平仮名「ぼてぢゅう」を同大同間隔に左横書きした外観を有することになるのに対し、本件商標1は、別紙商標目録記載1のとおり、筆書きの平仮名「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有するのであるから、両者は、その外観において類似するものであ することになるのに対し、本件商標1は、別紙商標目録記載1のとおり、筆書きの平仮名「ぼてぢゅう」の文字を同大同間隔で左横書きにした外観を有するのであるから、両者は、その外観において類似するものであり、両者の称呼及び観念が同一であることも明らかである。 したがって、本件商標1と被告標章Ⅲとは、類似するものと認めるのが相当である。 ⑶ これに対し、被告は、争点1におけるものと同旨の主張をするものの、当該主張が採用できないことは、争点1において説示したとおりである。被告の主張は、いずれも採用することができない。 7 争点6(本件商標1に係る権利濫用の抗弁1)について被告は、「ぼてぢゅう」がA又は株式会社ぼてぢゆう総本家の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたのであるから、本件商標1の出願は、平成3年法律第65号による改正前の商標法4条1項10号に違反してされたものであり、原告らが、株式会社ぼてぢゆう総本家 から被告保有商標1の譲渡を受けた被告に対し、本件商標権1を行使することは権利の濫用に当たると主張する。 しかし、「ぼてぢゅう」が、本件商標1が登録された昭和39年3月6日の時点において、A又は株式会社ぼてぢゆう総本家の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた事実を認めるに足りる証拠はない。 確かに、証拠(乙5の2)によれば、昭和21年以後、「ぼてぢゅう」の名称 を使用したAのお好み焼き店が評判になったこと自体は一応認められるものの、当時の需要者の認識の程度は明らかにされているとはいえず、むしろ、前記前提事実によれば、Aによるお好み焼き店「ぼてぢゅう」の営業とは別に、Bによるお好み焼き店「大阪ぼてぢゅう」の営業も行われていたことも認められる。 の程度は明らかにされているとはいえず、むしろ、前記前提事実によれば、Aによるお好み焼き店「ぼてぢゅう」の営業とは別に、Bによるお好み焼き店「大阪ぼてぢゅう」の営業も行われていたことも認められる。 これらの事情を踏まえると、当時「ぼてぢゅう」がA又は株式会社ぼてぢゆ う総本家の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。 そうすると、被告の主張は、その前提を欠くものであり、権利濫用の抗弁1を認めることはできない。 8 争点7(本件商標1に係る権利濫用の抗弁2)について 被告は、大要、Cは、大阪ぼてぢゅう株式会社との間で、同社や同社から「暖簾分け」を受けた者に対し本件商標権1を行使しない旨の和解をし、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家に対しても、本件商標権1を行使し得ないことになったにもかかわらず、原告らが、株式会社ぼてぢゆう総本家から被告保有商標1の譲渡を受け、被告各商品の製造を継続するなどしてきた被告に対し、本 件商標権1を行使することは権利の濫用に当たると主張する。 しかし、証拠(乙34)及び弁論の全趣旨によれば、前記前提事実⑷オの和解契約は、Cが、大阪ぼてぢゅう株式会社及び同社の「暖簾分け」を受けた同社の役職員等について、一定の条件の下、本件商標権の使用を認めたものにすぎず、その内容を精査しても、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家との関係に何 ら触れるものではないことが認められる。そうすると、上記和解契約の効力が、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家に対し及ぶものとはいえず、被告の主張は、上記和解契約の内容に照らし、失当というほかない。 これに対し、被告は、上記和解契約の背景事情として、Cが、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家に無断で本件商標1の出願をするなどした えず、被告の主張は、上記和解契約の内容に照らし、失当というほかない。 これに対し、被告は、上記和解契約の背景事情として、Cが、A及び株式会社ぼてぢゆう総本家に無断で本件商標1の出願をするなどしたという事情の存 在も主張するが、そのような事情の存在を認めるに足りる証拠はなく、仮に、 そのような事情があったとしても、前記和解契約の効果がA及び株式会社ぼてぢゆう総本家に対し及ばないことは、上記において説示したとおりであり、原告ら主張に係る事情は、上記判断を左右するに至らない。 そうすると、被告の主張は、その前提を欠くものであり、権利濫用の抗弁2を認めることはできない。 9 争点8(本件商標2に係る先使用の抗弁)について被告は、被告が本件商標2の出願前から約26年間にわたって被告標章Ⅰを継続使用していたのであるから、これが被告の出所を表示するものとして、広く認識されていたとして、先使用の抗弁を主張する。 確かに、前記前提事実⑷カのとおり、被告が、平成4年頃、「ぼてぢゅう商 品」の製造委託及び商標の使用に係る製造委託契約を締結するなどしていたことは認められるものの、被告は、本件商標2の出願前において、被告自身が被告標章Ⅰを使用した商品を販売していたことを具体的に裏付ける証拠を提出しないのであって、まして、被告標章Ⅰが被告の出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことを認めるに足りる証拠もない。 そうすると、被告の主張は、その裏付けを欠くものであり、先使用の抗弁を認めることはできない。 10 争点9-1(商標法38条3項による損害額)について以上によれば、被告は、被告商品①の製造販売によって、本件商標権1及び2を侵害し、被告商品④の製造販売によって、本件商標権1を侵害したことに な -1(商標法38条3項による損害額)について以上によれば、被告は、被告商品①の製造販売によって、本件商標権1及び2を侵害し、被告商品④の製造販売によって、本件商標権1を侵害したことに なる。この場合における損害額についてみると、原告らは、被告商品①及び④に係る損害額のみを算定する場合には、本件商標権2に係る損害額は、本件商標権1に係る損害額に全て包含されることになるから、本件商標権1に係る損害額のみを主張するため、以下、当該主張を前提に検討する。 ⑴ 損害額の算定 ア商標法38条3項は、商標権侵害の際に商標権者が請求し得る最低限度 の損害額を法定した規定であり、その損害額は、原則として、侵害品の売上高を基準とし、実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。 これに対し、被告は、争点7で主張した事情を援用し、そもそも原告らに損害が生じることはあり得ないとして、損害不発生の抗弁も主張するが、その主張が採用できないことは、前記7で説示したところと異なるところ はない。 そして、実施に対し受けるべき料率は、㋐実際の実施許諾契約における実施料率や、業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、㋑当該商標権に蓄積された信用や顧客吸引力の程度、㋒当該商標を使用した場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、㋓商標権者と侵害者との競業関係や 商標権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して、合理的な料率を定めるべきである(知的財産高等裁判所平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決参照)。 イこれを本件についてみると、被告商品①及び④の年間売上高が、1億1600万円であり、その販売期間の開始が、原告が損害算定の始期とする 平成28年12月18日以前であることは、当事者間に争いがない れを本件についてみると、被告商品①及び④の年間売上高が、1億1600万円であり、その販売期間の開始が、原告が損害算定の始期とする 平成28年12月18日以前であることは、当事者間に争いがない。そして、被告が、令和元年9月1日、商品の包装を変更したことを裏付ける証拠を提出するのに対し(甲36、乙1、2、4)、同日以後、被告標章Ⅰ又はⅢを付した商品が販売されていたことを裏付ける証拠は存在しない。 そうすると、その販売期間としては、同年8月31日までの限度で認める のが相当である。 したがって、原告東京フードに生じた損害の算定の基準となる侵害品の売上高は、訴訟提起の3年前である平成28年12月18日から本件商標1の譲渡日である平成31年2月6日までの2年51日間に相当する2億4820万8219円となり、原告BGHDに生じた損害の算定の基準と なる侵害品の売上高は、上記譲渡日の翌日である同月7日から前記令和元 年8月31日までの206日間に相当する6546万8493円となる。 ウ本件商標1の実施に対し受けるべき料率を検討するに、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、㋐原告東京フードは、わかば食品株式会社に対し、本件商標1の使用をライセンス料率2%で許諾し、同社は「ぼてぢゅう」の標章を付したお好み焼きなどの商品を販売していること(甲72、8 7)、㋑経済産業省知的財産政策室「ロイヤルティ料率データハンドブック」(平成22年)において、コーポレートブランドにおけるロイヤルティ料率の平均が1.9%とされていること(甲79)、㋒本件商標1の「ぼてぢゅう」は、特徴的、印象的な造語であり、原告らが、これに顧客誘引力があることを前提として、「ぼてぢゅう」の名を付した多数の店舗 を出店し、多数の関連商品をも販売していること 件商標1の「ぼてぢゅう」は、特徴的、印象的な造語であり、原告らが、これに顧客誘引力があることを前提として、「ぼてぢゅう」の名を付した多数の店舗 を出店し、多数の関連商品をも販売していること(甲13ないし16、43ないし45)、以上の事実が認められる。 そして、商標法38条3項による「受けるべき利益」の算定の基礎となる相当使用料率は、侵害があったことを前提として合意されるべきものであるから、通常の料率よりも自ずと高くなることに鑑み、上記認定事実を 含め本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、その料率は売上高の3%であると認めるのが相当である。 ⑵ 当事者の主張に対する判断ア被告は、前記㋐の料率が、商標の使用許諾のみならず、商品のレシピを使用させることなどに対する対価を含むため、商標の使用料率は更に低く なる旨主張するものの、第三者にブランドを使わせる以上、当該ブランドで販売される商品の品質管理をするのは通常のことであって、上記に掲げた諸事情を踏まえると、上記判断を左右するに至らない。 イ原告らは、前記㋐の許諾先の販路が被告の販売先と異なることが上記料率の増額要因となると主張し、逆に、被告は、原告らのロイヤリティ商品 と被告の販売先との販路の相違が、上記料率の減額要因となると主張する。 しかし、これらの事情が上記料率の増額又は減額の要因となる具体的根拠については何ら立証されていないことからすると、上記判断を動かすものとはならない。 ウ被告は、被告商品④には、本件商標1に類似する被告標章Ⅲのみならず、その蓋には被告保有商標3が使用されており、被告保有商標3の方に顧客 誘引力がある旨主張する。しかし、被告は、被告保有商標3が加えられることによる顧客誘引力の差につき、具体的な立証をするものでは その蓋には被告保有商標3が使用されており、被告保有商標3の方に顧客 誘引力がある旨主張する。しかし、被告は、被告保有商標3が加えられることによる顧客誘引力の差につき、具体的な立証をするものではなく、かえって、証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によれば、被告標章Ⅲは、商品の側面に大きく目立つ態様で付されていることからすると、被告主張に係る事情は、前記判断を左右する事情とはいえない。 エ被告は、本件商標1の「ぼてぢゅう」に対しては、「大阪ぼてぢゅう」という別の競合先があるという事情を指摘する。しかし、被告の主張によっても、「大阪ぼてぢゅう」は、飲食物の提供という役務の提供をしているにすぎず、しかも、その事業規模も定かではないのであるから、上記判断を左右する事情とはいえない。 オ以上によれば、原告ら及び被告の主張は、上記に掲げた事情を踏まえると、上記判断を左右するものとはいえず、いずれも採用することができない。 ⑶ まとめ以上によれば、原告東京フードに生じた商標法38条3項による損害額は、 前記⑴イの売上高2億4820万8219円に前記⑴ウの料率3%を乗じた744万6246円と算定され、当該事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害74万4624円との合計額819万0870円と認めるのが相当であり、原告BGHDに生じた商標法38条3項による損害額は、前記⑴イの売上高6 546万8493円に前記⑴ウの料率3%を乗じた196万4054円と算 定され、当該事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害19万6405円との合計額216万0459円と認めるのが相当である。 11 争点9-2(商 当該事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害19万6405円との合計額216万0459円と認めるのが相当である。 11 争点9-2(商標法38条2項の適用の可否)について⑴ 商標法38条2項は、民法の原則の下では、商標権侵害によって商標権者 が被った損害の賠償を求めるためには、商標権者において、損害の発生及び額、これと商標権侵害行為との間の因果関係を主張、立証しなければならないところ、その立証等には困難が伴い、その結果、妥当な損害の塡補がされないという不都合が生じ得ることに照らして、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額を商標権者の損害額と推定するとして、 立証の困難性の軽減を図った規定である。そして、商標権者に侵害者による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在する場合には、商標法38条2項の適用が認められると解すべきである。 これを本件についてみると、証拠(甲81ないし83)及び弁論の全趣旨によれば、原告らの店舗は、外食市場が伸び悩む現状を踏まえ、コンビニや スーパーの弁当や惣菜を中心として着実に成長しているいわゆる中食市場に進出することとし、平成29年11月又は12月以降、焼きそばやお好み焼き等のテイクアウト販売及びデリバリー販売の事業を展開していることが認められる。そうすると、原告らの事業に係る焼きそばやお好み焼き等の商品が被告商品①及び④と同じ種類の商品であることを踏まえると、被告商品① 及び④が一定の調理を要することを考慮しても、少なくとも中食市場における原告らの事業は、被告商品①及び④を販売等する被告事業と競業関係にあるものといえる。 したがって、原告らに、被告による商標権侵害行為が 一定の調理を要することを考慮しても、少なくとも中食市場における原告らの事業は、被告商品①及び④を販売等する被告事業と競業関係にあるものといえる。 したがって、原告らに、被告による商標権侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が存在することが認められ、商標法38条2 項の適用が認められる。 ⑵ これに対し、被告は、原告らの上記事業について、本件商標1自体が使用されず、被告の事業とは販路が異なることなどを主張するが、証拠(甲84)及び弁論の全趣旨によれば、原告らの上記事業で提供するデリバリー等に係る商品には、本件商標1が付されているものも認められる上、被告主張に係る事情は、上記競業関係に照らすと、被告による商標権侵害行為と原告らが 得られたであろう利益との間の相関関係の程度をいうものにすぎず、上記結論自体を左右するものとはいえない。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 12 争点9-3(商標法38条2項による損害額)について⑴ 商標法38条2項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額は、侵害 者の侵害品の売上高から、侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり、その主張立証責任は商標権者側にあるものと解すべきである。 そして、原告が、被告商品①及び④の限界利益の額を売上高の3割であると主張するのに対し、当該商品を実際に製造する被告は、その割合は24% であると主張するにとどまり、これを裏付ける証拠を何ら提出していない事情を踏まえると、限界利益の額は、原告らの主張する上記3割を下回らないと認めるのが相当である。 そうすると、商標法38条2項の損害額と推定される侵害品の限界利益の額は、原告東 何ら提出していない事情を踏まえると、限界利益の額は、原告らの主張する上記3割を下回らないと認めるのが相当である。 そうすると、商標法38条2項の損害額と推定される侵害品の限界利益の額は、原告東京フードについては、前記10⑵で認定した売上高2億482 0万8219円の3割に相当する7446万2465円であると認めるのが相当であり、原告BGHDについては、前記10⑵で認定した売上高6546万8493円の3割に相当する1964万0547円であると認めるのが相当である。 ⑵ 商標法38条2項における推定の覆滅については、侵害者が主張立証責任 を負うものであり、侵害者が得た利益と商標権者が受けた損害との相当因果 関係を阻害する事情がこれに当たるものと解される。 これを本件についてみると、前記10⑵のとおり、原告らは、「ぼてぢゅう」の名を付した店舗を出店し、主としてお好み焼きや焼きそばなどを提供する事業を行っているところ、平成29年11月又は12月以降テイクアウト販売及びデリバリー販売の事業を展開しているものの、その事業規模は明 らかではなく、原告の業務態様は、基本的にはスーパーマーケットなどで商品を販売するという被告の業務態様とは、大きく異なるものであること、他方、前記前提事実、証拠(乙1、2、4)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成23年3月19日、最初に「ぼてぢゅう」のお好み焼き店を開業した者が設立した株式会社ぼてぢゆう総本家から、被告保有商標1の譲渡を受 けてこれを使用し、被告保有商標1が失効した後も、被告保有商標2及び3を保有して、お好み焼きや焼そば等を販売してきたことが認められ、被告は、元祖「ぼてぢゅう」の信用をも引き継ぎつつ、相応の営業努力をして商品を販売等してきたことが認められること、以上の事 商標2及び3を保有して、お好み焼きや焼そば等を販売してきたことが認められ、被告は、元祖「ぼてぢゅう」の信用をも引き継ぎつつ、相応の営業努力をして商品を販売等してきたことが認められること、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、原告らと被告の業務態様等には大きな相違が存在 する上、被告も通常の範囲を超える格別の営業努力をして商品を販売等してきたことが認められ、その他に本件に現れた事情を総合考慮すると、原告らに生じた損害については、商標38条2項による推定を覆滅する事情があるというべきであり、その推定の覆滅の割合は、上記諸事情を踏まえ、9割と認めるのが相当である。 ⑶ これに対し、原告らは、「ぼてぢゅう監修」などと表記した商品(甲18ないし25、62)を販売しており、被告による商標権侵害行為により、当該商品の売上げも減少し、原告らに損害が生じた旨主張する。 しかし、証拠(甲18ないし25、62)及び弁論の全趣旨によれば、上記商品の販売減による原告らの利益の減少は、ライセンス収入の減少に相当 するものにすぎず、しかも、原告らは、上記減少に係る具体的な額について 何ら主張立証していないことからすれば、原告らの主張は、上記判断を左右するものとはいえない。 したがって、原告らの主張は、採用することができない。 ⑷ 以上によれば、原告東京フードに生じた商標法38条3項で推定される損害額は、前記⑴の限界利益の額7446万2465円の1割である744万 6246円と算定され、当該事案の内容、難易度、審理経過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害74万4624円との合計819万0870円となり、原告BGHDに生じた商標法38条3項による損害額は、前記⑴の限界利益の額1964万 等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害74万4624円との合計819万0870円となり、原告BGHDに生じた商標法38条3項による損害額は、前記⑴の限界利益の額1964万0547円の1割である196万4054円と算定され、当該事案の内容、難易度、審理経 過及び認容額等に鑑み、これと相当因果関係あると認められる弁護士費用相当損害19万6405円との合計額は216万0459円となる。 13 小括その他に、原告ら及び被告が提出する準備書面及び書証を改めて検討しても、上記において説示したところを踏まえると、前記判断を左右するに至らない。 したがって、上記判断と異なる原告ら及び被告の主張は、いずれも採用することができない。 以上によれば、原告東京フードの各請求のうち、差止め及び廃棄を求める部分(請求の趣旨1⑴及び2⑴)は、被告標章1に係るものであるのに対し、被告が使用していた標章は、被告標章Ⅰのとおり特定されるが(前記1⑴)、前 記において説示したところによれば、後者は前者に含まれるから、被告標章1に係る請求としても理由がある。また、原告BGHDの各請求のうち、差止め及び廃棄を求める部分(請求の趣旨1⑵及び2⑵)は、被告各標章に係るものであるのに対し、被告が使用していた標章は、被告標章ⅠないしⅢのとおり特定されるが(前記1⑴、4⑴及び5⑴)、上記と同様に、後者は前者に含まれ るから、本件商標権1に類似する被告標章1及び3に係る請求の限度で理由が あり、その余は理由がない。そして、原告らの各請求のうち、金銭の支払を求める部分(請求の趣旨3及び4)は、商標法38条2項に基づく算定額(前記10⑷)と同条3項に基づく算定額(同11⑷)とを選択的に主張するものであるが、前記において説示した 請求のうち、金銭の支払を求める部分(請求の趣旨3及び4)は、商標法38条2項に基づく算定額(前記10⑷)と同条3項に基づく算定額(同11⑷)とを選択的に主張するものであるが、前記において説示したとおり、これらは同額であるから、原告東京フードにつき819万0870円の支払を、原告BGHDにつき216万045 9円の支払を、それぞれ求める限度で理由があり、その余は理由がない。 第5 結論よって、原告らの各請求については、主文記載の限度で認容し、その余をいずれも棄却することとし、仮執行宣言については、廃棄請求に付するのは相当でないので、その余の限度で付することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部裁判長裁判官 中島基至 裁判官 𠮷野俊太郎 裁判官 小田誉太郎 (別紙)被告標章目録1 1 被告標章1 2 被告標章2 3 被告標章3 (別紙)被告標章目録2 1 被告標章Ⅰ 2 被告標章Ⅱ 3 被告標章Ⅲ (別紙)商標権目録 1 本件商標1登録番号第638104号出願日昭和37年9月12日 登録日昭和39年3月6日商標 商品及び役務の区分第29類指定商品食肉、卵、食用魚介類(生きているものを除く。)、冷凍野菜、冷 凍果実、肉製品、加工水産物、加⼯野菜及び加工果実、油揚げ、凍り豆腐、こんにゃく、豆乳、豆腐、納豆、加工卵、カレー・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物商品及び役務の区分第30類指定商品コーヒー豆、穀物の加工品、アーモンド 、凍り豆腐、こんにゃく、豆乳、豆腐、納豆、加工卵、カレー・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物商品及び役務の区分第30類指定商品コーヒー豆、穀物の加工品、アーモンドペースト、お好み焼き、ぎ ょうざ、サンドイッチ、しゅうまい、すし、たこ焼き、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラビオリ、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、即席菓子のもと、酒かす商品及び役務の区分第31類指定商品食用魚介類(生きているものに限る。)、海藻類、野菜、糖料作物、 果実、コプラ、麦芽 商品及び役務の区分第32類指定商品飲料用野菜ジュース 2 本件商標2登録番号第6118681号 出願日平成30年3月20日登録日平成31年2月1日商標ぼてぢゅう総本店(標準文字)商品及び役務の区分第30類指定商品茶、コーヒー及びココア、菓子及びパン、ウースターソース、グレ ービーソース、ケチャップソース、しょうゆ、食酢、酢の素、そばつゆ、ドレッシング、ホワイトソース、マヨネーズソース、焼肉のたれ、香辛料、穀物の加工品、サンドイッチ、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ商品及び役務の区分第35類 指定役務広告、トレーディングスタンプの発行、経営の診断又は経営に関する助言、市場調査、商品の販売に関する情報の提供、飲食料品(カレー・シチュー又はスープのもと、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ、パスタソースを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に 対する便益の提供、食肉の小売又は卸売 こ焼き、弁当、ラビオリ、パスタソースを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に 対する便益の提供、食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧 客に対する便益の提供、牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に 対する便益の提供、清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品(カレー・シチュー又はスープのもと、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ、パスタソースを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客 に対する便益の提供 (別紙)被告保有商標目録 1 被告保有商標1(失効:平成24年3月31日) 登録番号第1504323号出願日昭和52年4月8日登録日昭和57年3月31日 商品及び役務の区分第30類 指定商品お好み焼き、たこ焼き、ピザ 2 被告保有商標2 登録番号第5864224号出願日平成28年1月15日登録日平成28年7月8日 商品及び役務の区分第29類 指定商品お好み焼きのもと 商品及び役務の区分第30類 指定商品お好み焼き 3 被告保有標章3 登録番号第592040 商品及び役務の区分第29類 指定商品お好み焼きのもと 商品及び役務の区分第30類 指定商品お好み焼き 被告保有標章3 登録番号第5920405号 出願日平成28年7月5日 登録日平成29年2月10日 商品及び役務の区分第29類 指定商品お好み焼きのもと 商品及び役務の区分第30類 指定商品お好み焼き

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