【DRY-RUN】主 文 一 原判決を次のとおり変更する。 1 控訴人は、 (一)別表一の(一)欄記載の被控訴人らに対し、同欄に対応する同表の(二)欄 記載の金員に対する同表の(三)欄記載の日から同表の(四)欄記載
主文 一原判決を次のとおり変更する。 1 控訴人は、(一)別表一の(一)欄記載の被控訴人らに対し、同欄に対応する同表の(二)欄記載の金員に対する同表の(三)欄記載の日から同表の(四)欄記載の日まで年五分の割合による金員(二)別表二の(一)欄記載の被控訴人らに対し、同欄に対応する同表の(二)欄記載の金員とこれに対する同表の(三)欄記載の日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 2 被控訴人らのその余の請求を棄却する。 二訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。 事実 一当事者の求めた裁判 1 控訴人(一)原判決を取り消す。 (二)被控訴人らの各請求を棄却する。 (三)訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。 2 被控訴人ら(一)本件控訴を棄却する。 (二)控訴費用は控訴人の負担とする。 二当事者の主張 1 被控訴人らの請求原因(一)被控訴人らは、別表三の被控訴人名欄に対応する同表の就職日欄記載の日に控訴人とそれぞれ雇傭契約を締結し、同表の退職日欄記載の日に各退職した。 (二)控訴人が定めた就業規則付属の退職手当規定(以下「控訴人退職手当規定」という。)によれば、被控訴人らが前項の退職により支給される退職金額は別表三の被控訴人名欄に対応する同表の退職金額欄記載のとおりである。 (三)控訴人は、病院を経営し、患者を入院、宿泊させることを業とする商人であるから、控訴人が被控訴人らと締結した右(一)の雇傭契約は、その営業のためにする附属的商行為であると推定され、よつて右契約から生じた被控訴人らの退職金債権は商事債権というべきである。 (四)よつて、被控訴人らは控訴人に対し、それぞれ右退職金(ただし、被控訴人Aは退職金五四万五六〇〇円から控訴人より貸与された奨学金三六万八八三〇円を控除した残金一 債権は商事債権というべきである。 (四)よつて、被控訴人らは控訴人に対し、それぞれ右退職金(ただし、被控訴人Aは退職金五四万五六〇〇円から控訴人より貸与された奨学金三六万八八三〇円を控除した残金一七万六七七〇円、同Bは退職金五四万五六〇〇円から右奨学金二六万八六七〇円を控除した残金二七万六九三〇円、同Cは退職金四九万七〇二八円から右奨学金二七万三六〇〇円を控除した残金二二万三四二八円)とこれに対する訴状送達日の翌日から支払ずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する控訴人の認否(一)請求原因(一)の事実は認める。 (二)同(二)の事実中、被控訴人D、同E、同Fの各退職金額を争い、その余は認める。 右被控訴人らの退職金額は、同Dが一〇五万五三〇〇円、同Eが一九二万七三〇〇円、同Fが一〇八万四五〇〇円である。 (三)同(三)の事実中、控訴人が病院を経営し患者を入院させていることは認めるが、その余は争う。 3 控訴人の抗弁(一)以下の各事実からすれば、控訴人退職手当規定は被控訴人らが退職した当時事情変更により既に失効していたというべきであるから、被控訴人らの退職金債権は発生しない。 (1)控訴人退職手当規定は昭和三五年一〇月一日に制定されたが、被控訴人はそれ以降同五〇年までは一時的に損失があつたとはいえ、利益をあげていた。ところが、昭和五一年以降被控訴人の損失が累積し、同五六年五月一九日における負債総額は四五億円にのぼり、このままでは破産を免れない経営悪化の事態に陥つたので、破産を避けるため右同日大阪地方裁判所に和議開始の申立をした。その後の和議手続の経過は後記(三)の(1)のとおりであつて、もし被控訴人らに退職金を支払えば控訴人の再建は不可能となり控訴人が破産することは必至である。 (2)控訴人が右 所に和議開始の申立をした。その後の和議手続の経過は後記(三)の(1)のとおりであつて、もし被控訴人らに退職金を支払えば控訴人の再建は不可能となり控訴人が破産することは必至である。 (2)控訴人が右(1)の窮状に陥つた原因は、新館病棟建設費による二〇億円の負債の存在と被控訴人らが加入していた大阪暁明館病院職員組合(以下「組合」という。)が、昭和五四年七月以降G元理事の病院長解任に反対し、ビラを貼り、懸垂幕を病院の外壁に掲げ、組合員に腕章をはめさせる等して控訴人理事会に対して違法な行動をし、そのため控訴人病院の信用を失わしめて患者数を激減させ、もつて、控訴人の収入を減少させたことにある。 (3)控訴人は、控訴人退職手当規定制定時及び被控訴人らと雇傭契約を締結した当時において右(1)の事態を全く予見できなかつたし、又右事態に陥つたことにつき帰責事由はない。 (二)仮に右(一)が認められないとしても、以下の各事実が存在するから、被控訴人らの退職金支払請求は信義則に反し、権利の濫用として許されない。 (1)被控訴人らは、組合と共にGと共謀して、同人の病院長への復職を企図して右(一)の(2)の違法行動をしてきた。 (2)そして、昭和五七年一月一二日に和議認可決定がなされた直後から、被控訴人らは退職金の支払を控訴人に求めることにより控訴人の再建を困難にし、もつてGの病院長復職を控訴人理事会に認めさせる意図で右復職に至るまで一時的に大量退職したものである。このことは、控訴人とGとの和解交渉において、G側から退職した被控訴人らの復職要求が提示されたことにより明らかである。 (三)仮に右(一)、(二)が認められないとしても、(1)大阪地方裁判所は、控訴人が申し立てた同裁判所昭和五六年(コ)第四一号和議事件につき、同年一〇月一四日付で和議開始決定をし、同五七年一 ある。 (三)仮に右(一)、(二)が認められないとしても、(1)大阪地方裁判所は、控訴人が申し立てた同裁判所昭和五六年(コ)第四一号和議事件につき、同年一〇月一四日付で和議開始決定をし、同五七年一月一二日付で同日の債権者集会において可決された(イ)控訴人は和議債権者に対し和議債権の元本のうち七〇パーセントを和議認可決定確定日から一一か月後の該当月の末日を第一回として向う五年間にわたり毎年一回右該当月の末日に二〇パーセント宛支払う、(ロ)和議債権者は和議債権の元本の三〇パーセント及び利息、損害金の金額の支払を免除する、との和議条件による和議認可決定をし、同決定は同年二月八日確定した。 (2)被控訴人らの退職金債権はいずれも右和議開始前の原因である控訴人との雇傭契約に基づき生じた債権であるから、控訴人は右和議条件に従つて支払う義務があるだけである。 (四)仮に右(一)ないし(三)のいずれも理由がないとしても、以下の(1)、(2)、(3)のいずれの事実からしても、被控訴人らの退職金債権は別表三の被控訴人氏名欄に対応する同表の退職金支給予定月欄記載の時期までその期限は猶予されたというべきである。 (1)右(一)の(1)ないし(3)の各事実によれば事情変更の原則により右の日まで期限の猶予がなされた。 (2)控訴人は昭和五二年末ころ協栄生命保険株式会社との間で企業年金保険契約を締結し、以後右契約に基づいて右会社に毎月所定の拠出金を積み立て、右積立金から退職した従業員に退職金を積立金の範囲内で支給してきた。ところで、昭和五六年ころから被控訴人ら従業員の大量退職が続出し、所定の拠出金の積立のみでは退職金の支払が遅れる異常事態となり、以上のことは被控訴人らを含む控訴人の従業員はすべて了解し、何らの異議もなかつた。右事実からすれば、控訴人において、従業員 職が続出し、所定の拠出金の積立のみでは退職金の支払が遅れる異常事態となり、以上のことは被控訴人らを含む控訴人の従業員はすべて了解し、何らの異議もなかつた。右事実からすれば、控訴人において、従業員の退職金は控訴人が右会社に拠出した積立金を財源としてその範囲内で右契約に基づいて支払われることが労働慣行として確立されていたというべきである。 よつて、被控訴人らの退職金は右による支払が予定される別表三の退職金支給予定月欄記載の時期まで猶予されているといわなければならない。 (3)被控訴人らは、退職に際し、それぞれ控訴人の人事担当者から退職金は前記会社より前記積立金をもつて支払われるが、多数の退職者が出たためその支払が遅れており、被控訴人らも数か月から数年遅れる旨説明され、これを了解して異議なく右会社宛の企業年金保険一時金請求書に署名捺印して控訴人に提出した。右事実からすれば、被控訴人らはいずれも退職金支払時期につき右会社から支払がなされる時期まで期限を猶予したものである。 (五)控訴人は、別表一の(一)欄記載の被控訴人らに対しては、これに対応する同表の(二)欄記載の金員を同表の(四)欄記載の日に支払い、右各金員はいずれも各退職金の元本全額に充当された(ただし、被控訴人A、同Bの右各金員は、右両名の各退職金から右両名に貸与した奨学金を控除したものである。)。 4 抗弁に対する被控訴人らの認否(一)抗弁(一)の各事実は(1)の控訴人に対する和議手続の経過(抗弁(三)の(1))を除きすべて争う。 (二)同(二)の各事実はすべて争う。 (三)同(三)の各事実は(1)を除きすべて争う。 和議法と同様に債務者の再建を目的とする会社更生法において、更生計画認可決定後に自己都合により退職した者の退職金債権には同法一一二条の弁済禁止規定の適用がなくなり、共益債 (1)を除きすべて争う。 和議法と同様に債務者の再建を目的とする会社更生法において、更生計画認可決定後に自己都合により退職した者の退職金債権には同法一一二条の弁済禁止規定の適用がなくなり、共益債権と同様に更生手続によらずに随時弁済されることからすれば、被控訴人らは、いずれも和議認可決定後に退職した者であるから、会社更生法による場合に準じて退職金全額の支払を受けうると解すべきである。 (四)同(四)の各事実はすべて否認する。 (五)同(五)の事実は認める。 5 抗弁(三)に対する被控訴人らの再抗弁仮に退職債権が和議の効力を受けるとしても、商法二九五条により株式会社の使用人の退職金債権については全額一般の先取特権が認められていることとの権衡上、控訴人(民事法人)の従業員であつた被控訴人らの退職金債権についても民法三〇八条の適用により最後の六か月間の給料債権として全額一般の先取特権を認めるべきであり、そうだとすれば、和議法四二条により被控訴人らの退職金債権については和議の効力を受けないというべきである。 6 再抗弁に対する控訴人の認否再抗弁は争う。 民事法人である控訴人の従業員であつた被控訴人らの退職金債権は、民法三〇八条により最後の六か月分の給料相当分にのみ一般の先取特権が認められるに止まるから、右退職金については、右の限度で和議の効力を受けないに止まるものである。 三証拠関係(省略) 理由 一1 請求原因(一)の事実は当事者間に争いがない。 2 同(二)の事実中、被控訴人D、同E、同Fの各退職金額を除いて当事者間に争いがなく、右被控訴人ら三名の退職金額につき、被控訴人Dが一〇五万五三〇〇円、同Eが一九二万七三〇〇円、同Fが一〇八万四五〇〇円あることは控訴人の自認するところであるところ、右各金額を超えて存在すること なく、右被控訴人ら三名の退職金額につき、被控訴人Dが一〇五万五三〇〇円、同Eが一九二万七三〇〇円、同Fが一〇八万四五〇〇円あることは控訴人の自認するところであるところ、右各金額を超えて存在することを認めうる証拠はないから、右被控訴人らの各退職金額に関する主張中右各金額を超える部分は失当である。 二そこで、抗弁につき順次検討する。 1 抗弁(一)について(一)控訴人は、予見できなかつた控訴人の責に帰さない事由により控訴人の経営状態が悪化し、被控訴人らの退職金を支払えば破産を免れないことを理由に事情変更の原則を適用して控訴人退職手当規定は失効したと主張する。 (二)ところで、成立に争いのない甲第一号証及び原審証人Hの証言によれば、控訴人退職手当規定は、控訴人が制定し、昭和三五年一〇月一日から施行した就業規則の付属規定であつて、一定の退職従業員に対し退職時の基本給総額に対して勤務年数に応じた所定の支給率による額を退職金として支給する旨定めていることが認められる。 右事実からすれば、控訴人退職手当規定による退職金は、使用者が一方的、恩恵的に与えるものではないというべきであつて、事情変更の原則が適用される余地は極めて少ないものというべきである。又就業規則は合理的理由がある限りは使用者において改定しうると解されるのであるから、控訴人はその主張の経営悪化等合理的理由がある限りは控訴人退職手当規定を改定して退職金の減額等を定めることは可能であり、しかも控訴人の主張によれば右悪化は突発的に生じたのではなく既に昭和五〇年以降から始まつていたというのであるから、被控訴人らが退職した同五七年までの間に右規定の改定をはかる時間的余裕はあつたと考えられるのに、右H証人の証言と弁論の全趣旨によれば右改定の措置など全くとられなかつたと認められ、このことからすれば 被控訴人らが退職した同五七年までの間に右規定の改定をはかる時間的余裕はあつたと考えられるのに、右H証人の証言と弁論の全趣旨によれば右改定の措置など全くとられなかつたと認められ、このことからすれば、控訴人主張事由をもつては被控訴人らの退職金債権について控訴人主張の事情変更の原則を適用することは到底できない。したがつて、右抗弁は失当である。 2 抗弁(二)についてこの点に関する原判決理由説示(原判決一〇枚目裏一二行目から同一一枚目裏末行目まで)は当裁判所の判断と同じ(ただし、原判決一一枚目表二行目の「即ち、」の次に「被控訴人らがGと共謀してビラ貼り等の違法行動をしたこと、」を、同七行目の「証拠はない」の次に「(すなわち、控訴人提出の証拠によれば、組合が控訴人理事会に反対してGの病院長復職を要求していることは窺われるものの、組合は別として被控訴人らが控訴人主張の意図で違法行為や本件退職をしたと認めうる証拠はなく、かえつて原審証人Iの証言によれば、組合は昭和五七年四月ころ組合員に対して病院がつぶれるとして退職を勧めていたことが認められることからすれば、被控訴人らの本件退職が控訴人主張の意図でなされたとは到底認められない。)」を、同末行目の「同年一月に」の前に「後記(三)の(1)のとおり」を各挿入する。)であるからこれを引用する。 3 抗弁(三)について(一)抗弁(三)の(1)の事実、すなわち大阪地方裁判所が債務者控訴人の和議事件(昭和五六年(コ)第四一号)につき昭和五六年一〇月一四日和議開始決定をなし、同五七年一月一二日和議認可決定をなし、同決定が同年二月八日確定したこと、右和議条件が和議債権の元本の七〇パーセントを分割払いとし、元本の三〇パーセント及び利息、損害金を免除する等であることは、被控訴人らにおいて明らかに争わないから自白した が同年二月八日確定したこと、右和議条件が和議債権の元本の七〇パーセントを分割払いとし、元本の三〇パーセント及び利息、損害金を免除する等であることは、被控訴人らにおいて明らかに争わないから自白したものとみなすべきであり、被控訴人らの退職日は右和議認可決定後であること(早い者で同年一月三一日退職、遅い者で同年九月三〇日退職)は前記のとおりである。 (二)控訴人は、被控訴人らの退職金債権についても和議の効力が及ぶと主張するので検討する。 (1)前記のとおり、被控訴人らの退職金債権は控訴人の就業規則付属の退職手当規定(甲第一号証)に基づくものであり、右退職手当規定には退職金の算定につき退職時の基本給総額に一定の支給率を乗じて得た金額とし、支給率は退職事由、在職年数によりそれぞれ異つた率を定めている。 退職金が右のように就業規則等によつてその支給が義務づけられ、支給額算定方法も明らかにされている場合は、その支給は労働条件決定の基準たる意味をもつから、退職金は労働基準法一一条の規定にいう労働の対償としての賃金とみなすべきものであり、雇傭契約を原因とするものと解される。 (2)右退職手当規定によると控訴人の支給する退職金の具体的な額は、退職事由(控訴人病院の都合によるか、従業員の都合によるか等。)、退職時までの在職年数により変動があり、又、将来における基本給総額の変動、場合によつては退職手当規定の改定などにより、現実に支給されるべき額に変動があることは当然に予期されるところであつて、在職中の一定の時点において退職金額を確定することはできず、又、右退職手当規定には懲戒処分をうけて退職した場合は所定の退職金の一部または全部の支給をしないことがある旨定めていることからして、退職金債権が雇傭契約を原因とするとはいえ、それは在職中のその時々において在職期間、 定には懲戒処分をうけて退職した場合は所定の退職金の一部または全部の支給をしないことがある旨定めていることからして、退職金債権が雇傭契約を原因とするとはいえ、それは在職中のその時々において在職期間、基本給総額に応じて発生しているというものではなく、これが具体的な権利として認められ、権利を行使しうるのは、退職という事由が発生した後であると解すべきである。 和議は、破産の場合と異り、債務者の財産の管理処分権能は和議開始によつても原則として失われないのであるから、和議開始前からの従業員との雇傭契約が和議開始後も継続することは当然に予期される。したがつて、仮に和議開始前に発生した退職金債権を和議債権と解するならば、それは和議開始前の在職期間と基本給総額に相応するものとみざるをえないが、そうだとすると、和議開始後も在職する場合には、これに応じた退職金債権の発生もあるから、退職時において一時に支給されるべき退職金についてその内容において区分された二種類のものが存在するという不合理なこととなる。 又、仮に右のように退職金債権を和議債権と解すると、和議開始決定当時在職する従業員は和議債権の届出をなし債権者集会で議決権を行使することになるが、前記のように退職金額は在職年数、退職事由等により変動するのが通常であり、特に将来における退職事由を予測することはほとんど不可能であるから、これらの者に債権の届出をさせてその議決権を行使する金額を決定することは不可能に近く、その手続が極めて煩雑になり、非現実的なものといわざるをえない。 和議手続のように、株式会社の事業継続を前提とする会社更生手続においても、更生手続開始決定、同計画認可決定の前後を通じて雇傭関係が継続する会社の使用人の退職金債権については、その届出を一律に退職後にするものとし(会社更生法一二七条の を前提とする会社更生手続においても、更生手続開始決定、同計画認可決定の前後を通じて雇傭関係が継続する会社の使用人の退職金債権については、その届出を一律に退職後にするものとし(会社更生法一二七条の二)、更生計画に定められなくても失権しない(同法二四一条)ことと規定されている。 (3)したがつて、退職金債権は、退職によつてはじめて具体的に発生し行使しうるものであるから、和議手続においては、手続開始後も引続き在職する従業員の退職金債権は和議債権とせず、和議の効力を受けないものと解するのが相当であり、被控訴人の抗弁(三)は採用しえない。 4 抗弁(四)について(一)同(四)の(1)について前記二の(1)に説示と同一の理由により右抗弁は採用しえない。 (二)同(四)の(2)、(3)について当裁判所も右各抗弁はいずれも失当であると判断する。その理由は右各抗弁に関する原判決理由説示(抗弁(四)の(2)につき原判決一二枚目表一三行目から同一三枚目裏末行目まで、抗弁(四)の(3)につき原判決一四枚目表二行目から同一五枚目表二行目まで)と同じ(ただし、原判決一二枚目裏七行目の「範囲内で、」の次に「控訴人に代わり」を、同一三枚目表六行目末尾に」)」を各挿入する。)であるからこれを引用する。 5 抗弁(五)について右抗弁事実は当事者間に争いがない。 三次に、請求原因(三)につき検討する。 1 控訴人が病院を経営して患者を入院させていることは当事者間に争いない。 2 ところで、医療行為はそもそも営利を目的とするものではないから商行為とはいえず、したがつて病院を経営し、患者を入院させる行為もそれが医療手段の範囲を超えてなされる等特段の事情のない限り医療行為の一部として商行為でないと解するのが相当である。 3 してみれば、右特段の事情につき主張、立証のない本件 し、患者を入院させる行為もそれが医療手段の範囲を超えてなされる等特段の事情のない限り医療行為の一部として商行為でないと解するのが相当である。 3 してみれば、右特段の事情につき主張、立証のない本件においては、病院を経営して患者を入院させていることをもつて控訴人が業として商行為をなす者すなわち商人であると認めることはできない。 よつて、右請求原因は失当である。 四以上によれば、控訴人は、前記二の5のとおり既に退職金又はその残金の元本金額が支払われた別表一の(一)欄記載の被控訴人らに対してはこれに対応する同表の(二)欄記載の右元本と同額の金員に対する本訴状送達日の翌日であること本件記録上明らかな同表の(三)欄記載の日から右支払日である同表の(四)欄記載の日まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、別表二の(一)欄記載の被控訴人らに対してはこれに対応する同表の(二)欄記載の退職金又はその残金とこれに対する本訴状送達日の翌日であること本件記録上明らかな同表の(三)欄記載の日から支払ずみまで前同様の遅延損害金を支払わねばならない。 五以上の次第で、被控訴人らの本訴請求は右四の限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却すべきである。よつて、これと一部異なる原判決を主文一項のとおり変更し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条但書、九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官石井玄高田政彦磯尾正)別表一~三(省略)
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