主文 被告人を懲役4年6か月に処する。 未決勾留日数のうち180日を刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は第1 平成13年12月12日ころ,愛知県稲沢市ab丁目c番d号稲沢市立A児童センター北側路上において,B(当時26歳)に対し,その顔面を左右の手拳で交互に10回殴打する暴行を加え,よって,同人に加療約1か月間を要する鼻骨骨折,顔面挫創,左眼球打撲の傷害を負わせた。 第2 同14年1月26日午前11時10分ころ,名古屋市e区fg丁目h番i号Ej号被告人方玄関先において,同人の妻Dの連れ子である養子E(当時2歳)に対し,右手拳の甲で同児の左顔面を殴打した上,同玄関内において,同児に対し,右平手でその後頭部をたたいて前のめりに転倒させ,同児の前額部を玄関と廊下の段差部分に強打させる暴行を加え,よって,同児に全治約1週間を要する額部挫傷兼挫創等の傷害を負わせた。 第3 同年3月23日午前11時30分ころ,前記被告人方居室において,前記E(当時3歳)に対し,右手拳で同児の右腹部を1回殴打する暴行を加えて同児に肝挫裂等の傷害を負わせ,よって,そのころから同日午後2時40分ころまでの間に,上記被告人方居室から名古屋市e区fg丁目k番l号医療法人Fを経由して同市m区n町o丁目p番地G病院に至るまでの間において,同児を出血性ショックにより死亡するに至らしめた。 (証拠)(省略)(法令の適用)罰条第1,第2 それぞれ刑法204条第3 刑法205条刑種の選択第1,第2 いずれも懲役刑併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条,14条(最も重い第3の罪の刑に法定の加重をする。)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書 刑法45条前段,47条本文,10条,14条(最も重い第3の罪の刑に法定の加重をする。)未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)(量刑の理由)本件は,被告人が,養子である被害児の頭部をたたいて転倒させるなどして,全治約1週間の額部挫傷兼挫創等の傷害を負わせた事案(第2),同児の腹部を殴打する暴行を加えて,肝挫裂等の傷害を負わせて死亡させた事案(第3),被告人が交際していた女性から被告人と別れて別の男性と結婚したいと言い出されたことから,この男性に暴行を加えて加療約1か月の鼻骨骨折等の傷害を負わせた事案(第1)である。 このうち,とりわけ第3の犯行は,1回の殴打行為によって肝挫裂の傷害を負わせたものであって,被告人はかなりの強さで被害児を殴ったことが認められ,態様が悪く,また,被害児を死亡するに至らせた結果が重大であることはいうまでもない。被告人は第2の犯行後に,警察に呼ばれて注意を受け,今後は暴力を振るわずに養育する旨上申書まで作成したにもかかわらず,更に,第3の犯行に及んだ経緯もあり,この点でも犯情が悪い。被告人は,第2,第3の各犯行とも,被害児が被告人の言うことを聞かなかったので暴行を加えたと述べるが,被害児の行為は2歳や3歳の子供の他愛もないわがままであって,傷害結果を生じさせるような暴行を加える理由にはならない。むしろ,被告人は,妻との関係などでいらいらした気持ちからくるうっぷんを被害児にぶつけた面が認められるのであって,その動機は同情できるものではない。抵抗することもできず,わずか3歳にして生命を絶たれた被害児の無念さは察するにあまりある。また,遺族である被害児の母親の被害感情も厳しいが,被告人は何ら慰謝の措置はとっていない。 ものではない。抵抗することもできず,わずか3歳にして生命を絶たれた被害児の無念さは察するにあまりある。また,遺族である被害児の母親の被害感情も厳しいが,被告人は何ら慰謝の措置はとっていない。 第1の犯行も,被告人には,被害者に対して何ら文句を言うべき立場にないにもかかわらず,犯行に及んだものであって,その身勝手な動機に酌むべき事情はない。執ように暴行を加えて,被害者に対し加療約1か月を要する鼻骨骨折等の傷害を負わせており,結果も軽くない。しかも,被告人は何ら慰謝の措置をとっていない。 以上からすると,粗暴な犯行に及び重大な結果を生じさせた被告人の刑事責任は重いといわなければならない。 一方,被告人が被害児を散歩に連れて行ったり,食事の世話をするなどしてそれなりに愛情を持って養育していたことも事実であり,第2の犯行は,被害児を散歩に連れて行って帰宅した際の,また,第3の犯行は,被害児を食事に連れて行こうとして着替えさせていた際のもので,いずれも被告人が被害児の日常的な世話をしていたなかでの犯行であったことが認められる。そのほか,被告人が,いずれの罪も認め反省していること,第2,第3の犯行における暴行態様は執ようなものではなかったこと,いまだ22歳と若年であり,前科はないことなどの事情もある。 そこで,これらの諸事情を総合考慮して,主文のとおり判決することとする。 (求刑-懲役6年)平成15年1月23日名古屋地方裁判所刑事第3部裁判長裁判官片山俊雄裁判官岩井隆義裁判官石井寛
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