平成23年12月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第32858号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年10月12日判決富山県射水市<以下略>原告株式会社エムケイテック同訴訟代理人弁護士石下雅樹木村秀子同訴訟代理人弁理士工藤一郎恒田 勇富山県高岡市<以下略>被告酒井容器株式会社札幌市<以下略>被告マルイ包装株式会社上記2名訴訟代理人弁護士稲元富保上記2名訴訟代理人弁理士宮田信道富山市<以下略>被告明太化成株式会社同訴訟代理人弁護士熊倉禎男渡辺 光小林正和同訴訟代理人弁理士村杜厚夫渡邊 徹主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告酒井容器株式会社(以下「被告酒井容器」という。)は,原告に対し,2500万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告明太化成株式会社(以下「被告明太化成」という。)は,原告に対し,5000万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告マルイ包装株式会社(以下「被告マルイ包装」という。)は,原告に対し,2500万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,開蓋防止機能付き密閉容器に係る後記2(2)の特許権(以下「本件特許権 00万円及びこれに対する平成22年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,開蓋防止機能付き密閉容器に係る後記2(2)の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許請求の範囲【請求項1】記載の発明を「本件発明」という。また,本件発明に係る特許を「本件特許」という。)及び包装用容器に係る後記2(3)の意匠権(以下「本件意匠権」といい,その登録意匠を「本件意匠」という。)を有する原告が,(1) 被告酒井容器及び被告明太化成が製造販売し,被告マルイ包装が販売している別紙イ号製品目録記載の各プラスチック製包装用容器(以下「イ号製品」といい,個別に特定するときは目録の番号を付して特定する。また,その意匠を「イ号意匠」という。)は本件特許権又は本件意匠権を侵害する,(2) 被告酒井容器及び被告明太化成が製造販売し,被告マルイ包装が販売している別紙ロ号製品目録記載の各プラスチック製包装用容器(以下「ロ号製品」といい,個別に特定するときは目録の番号を付して特定する。また,イ号製品とロ号製品を併せて「被告製品」と総称する。)は本件特許権を侵害すると主張して,①被告酒井容器に対し,不法行為(イ号製品につき特許権侵 害又は意匠権侵害,ロ号製品につき特許権侵害)に基づく逸失利益等の損害賠償として7040万円のうち2500万円及びこれに対する平成22年9月11日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,②被告明太化成に対し,不法行為(イ号製品につき特許権侵害又は意匠権侵害,ロ号製品につき特許権侵害)に基づく逸失利益等の損害賠償として1億3200万円のうち5000万円及びこれに対する平成22年9月11日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合に 害,ロ号製品につき特許権侵害)に基づく逸失利益等の損害賠償として1億3200万円のうち5000万円及びこれに対する平成22年9月11日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,③被告マルイ包装に対し,不法行為(イ号製品につき特許権侵害又は意匠権侵害,ロ号製品につき特許権侵害)に基づく逸失利益等の損害賠償として6600万円のうち2500万円及びこれに対する平成22年9月11日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。 イ号製品に係る特許権侵害に基づく損害賠償請求と意匠権侵害に基づく損害賠償請求とは,選択的併合の関係にある。 2 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,合成樹脂の製造加工等を業とする会社である。 イ被告酒井容器は,合成樹脂製品の製造及び販売等を業とする会社,被告明太化成は,プラスチック製品の製造販売等を業とする会社,被告マルイ包装は,プラスチック容器の製造販売を業とする会社である。 (2) 本件特許権ア原告は,下記特許(本件特許)の特許権者である。 記(ア) 特許番号特許第3155677号(イ) 出願日平成7年4月13日 (ウ) 登録日平成13年2月2日(エ) 発明の名称開蓋防止機能付き密閉容器(オ) 特許請求の範囲「【請求項1】容器本体としての身と,周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋とを,それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,環状 蓋とを,それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し,外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,且つ,摘みの一側において切取溝に至る切口を設けたことを特徴とする開蓋防止機能付き密閉容器。」(以下,本件特許に係る明細書及び図面〔別紙特許公報参照〕を併せて「本件明細書」という。)(甲13,14)イ本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれ「構成要件A」などという。)A 容器本体としての身と,B 周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋とを,C それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,D 身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,E 環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し,F 外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,G 且つ,摘みの一側において切取溝に至る切口を設けたことを特徴とす るH 開蓋防止機能付き密閉容器。 (3) 本件意匠権原告は,下記登録意匠(本件意匠)の意匠権者である。 記ア登録番号意匠登録第984276号イ出願日平成7年1月20日ウ登録日平成9年4月18日エ意匠に係る物品包装用容器オ本件意匠別紙意匠公報記載のとおり(以下,上記意匠登録出願を「本件意匠登録出願」という。)(甲1,2)(4) 被告らの行為被告らは,それぞれ次のと 意匠に係る物品包装用容器オ本件意匠別紙意匠公報記載のとおり(以下,上記意匠登録出願を「本件意匠登録出願」という。)(甲1,2)(4) 被告らの行為被告らは,それぞれ次のとおり被告製品(プラスチック製包装用容器)を製造販売し,又は販売している。 ア被告酒井容器は,イ号製品1~9,11,12及びロ号製品1,11を製造販売し,イ号製品13~20及びロ号製品2,3,12を販売している。 イ被告明太化成は,イ号製品13~20及びロ号製品2,3,12を製造販売し,イ号製品1~9,11,12及びロ号製品1,11を販売している。 ウ被告マルイ包装は,被告製品全てを,被告酒井容器から仕入れて販売している。 (弁論の全趣旨)(5) 被告製品の概要ア被告製品はいずれも本体としての身と蓋とから成るプラスチック製包装用容器であり,材質は本体(身)がPP(ポリプロピレン),蓋がPS(ポ リスチロール。ポリスチレンともいう。)で形成されている。 (甲3の1,乙イ19,弁論の全趣旨)イ被告製品の本体(身)と蓋とのはめ合い部分は,それぞれ次の図面のとおり形成されている。 イ号製品1~5及びロ号製品1別紙部分断面図【図1】イ号製品6同【図2】イ号製品7同【図3】イ号製品8同【図4】イ号製品9同【図5】イ号製品11同【図6】イ号製品12同【図7】ロ号製品11同【図8】イ号製品13~20及びロ号製品2,3,12同【図9】(弁論の全趣旨)(6) 被告製品の分類以下,被告製品を次のとおり分類して表示する。 ア特許権侵害の関係KVシリーズ:イ号製品1~5,ロ号製品1(KV-100,KV-160,KV-200,KV-230,KV-300,K 分類以下,被告製品を次のとおり分類して表示する。 ア特許権侵害の関係KVシリーズ:イ号製品1~5,ロ号製品1(KV-100,KV-160,KV-200,KV-230,KV-300,KVL-300)KSシリーズ:イ号製品6~9,11,12(KS-100,KS-200,KS-230,KS-300,KS-550,KS-1100)KS-500:ロ号製品11 PHシリーズ:イ号製品13~20,ロ号製品2,3,12(PH-80,PH-100,PH-120,PH-200,PH-220,PH-300,PH-330,PH-500,PH-600,PH-7S,PH-500K)イ意匠権侵害の関係KVシリーズ1:イ号製品1,3~5(KV-100,KV-200,KV-230,KV-300)KVシリーズ2:イ号製品2(KV-160)(KVシリーズ1,2を総称して「KVシリーズ」という。)KSシリーズ1:イ号製品6,7(KS-100,KS-200)KSシリーズ2:イ号製品8,9(KS-230,KS-300)KSシリーズ3:イ号製品11,12(KS-550,KS-1100)(KSシリーズ1~3を総称して「KSシリーズ」という。)PHシリーズ1:イ号製品13(PH-80)PHシリーズ2:イ号製品14,16,17,19,20(PH-100,PH-200,PH-220,PH-330,PH-500)PHシリーズ3:イ号製品15(PH-120)PHシリーズ4:イ号製品18-1(PH-300)PHシリーズ5;イ号製品18-2(PH-300)(PHシリーズ1~5を総称して「PHシリーズ」という。)(7) 本件発明に係る構成要件の充足被告製品は,いずれも本件発明の構成要件A,G及びHを充足する。 18-2(PH-300)(PHシリーズ1~5を総称して「PHシリーズ」という。)(7) 本件発明に係る構成要件の充足被告製品は,いずれも本件発明の構成要件A,G及びHを充足する。 3 争点(1) 特許権侵害の成否ア技術的範囲の属否(争点1) イ特許法104条の3第1 項の権利行使の制限(争点2)(2) 意匠権侵害の成否ア意匠の類否(争点3)イ意匠法41条,特許法104条の3第1 項の権利行使の制限(争点4)(3) 損害額(争点5) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(技術的範囲の属否)について〔原告の主張〕ア被告製品の構成被告製品は,いずれも次の構成から成る。 a 容器本体としての身と,b 周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋とを,c それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,d 身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,e 環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し,f 外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,g 且つ,摘みの一側において切取溝に至る切口を設けたことを特徴とするh 開蓋防止機能付き密閉容器。 イ構成要件Bの充足本件発明に係る密閉容器は,周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋を有することを構成要件とする。 他方,被告製品は,構成bのとおり,いずれも蓋を有する。また,被告 製品の各蓋は,いずれも周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Bを充足する。 ウ構成要 を有する。また,被告 製品の各蓋は,いずれも周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Bを充足する。 ウ構成要件Cの充足(ア) 本件発明に係る密閉容器は,身と蓋とをそれぞれ「軟質または半硬質のプラスチック」により形成したことを構成要件とする。 被告製品は,構成cのとおり,いずれも,身と蓋とを,「軟質プラスチックまたは半硬質のプラスチック」により形成している。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Cを充足する。 (イ) 被告らは,蓋0102を形成するプラスチックであるPS(ポリスチロール)は,材質としては,「硬質」のプラスチックであると主張するが,物の性質は同じ材質であっても厚み等の形状その他の要素により影響を受けるものであるから,壊れたりひび割れしたりするおそれがなく,密閉が確実となる程度の弾性を有していれば,材質の如何にかかわらず,「軟質または半硬質のプラスチック」に含まれると解すべきである。 エ構成要件Dの充足(ア) 本件発明に係る密閉容器は,身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成したことを構成要件とする。 被告製品は,いずれも環状突片を備える。また,この環状突片は,身の起立口縁部の下端部に突設されている。 そして,被告製品においては,いずれも環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成している。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Dを充足する。 (イ) 本件発明の実施において,縁落し溝は身の起立口縁部の下端部に来る 必要性があるのに対し,縁落し溝が を形成している。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Dを充足する。 (イ) 本件発明の実施において,縁落し溝は身の起立口縁部の下端部に来る 必要性があるのに対し,縁落し溝が環状突片の上に来る必然性はないのであるから,「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し」の「その上に」とは,「環状突片」ではなく,「身の起立口縁部の下端部」を指すと解すべきである。 オ構成要件Eの充足本件発明に係る密閉容器は,環状突片の突出基端にそれ(すなわち環状突片)を欠除するための切取溝を形成したことを構成要件とする。 他方,被告製品は,前記のとおり環状突片を備える。そして,前記のとおり環状突片は身の起立口縁部の下端部に突設されており,構成eのとおり,その突出基端に環状突片を欠除するための切取溝が形成されている。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Eを充足する。 カ構成要件Fの充足本件発明に係る密閉容器は,外側の一部には(環状突片の)切取りのための摘みを垂設したことを構成要件とする。 被告製品は,いずれも構成fのとおり環状突片の外側の一部に,摘みを設けており,摘みを引くことでこの環状突片を切り取ることができるので,この摘みが本件発明における摘みに該当する。 また,被告製品における摘みは,いずれも容器側面に対して略垂直方向に設けられており,垂設に当たる。 したがって,被告製品はいずれも本件発明の構成要件Fを充足する。 〔被告らの主張〕ア KVシリーズ(イ号製品1~5,ロ号製品1)について(ア) 構成要件Bの非充足a 本件発明の構成要件Bは「周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する 被告らの主張〕ア KVシリーズ(イ号製品1~5,ロ号製品1)について(ア) 構成要件Bの非充足a 本件発明の構成要件Bは「周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋」である。この構成要件Bにおいて は,(a) 「起立口縁部」とは,その文言からして,身の上端から起立する(立ち上る)部分,つまり,「身の上端からそのまま立ち上がった部分」を意味する。このことは,本件明細書にも,身の上端からそのまま立ち上がった部分を「起立口縁部9」(【0013】)としていることからも明らかである。 (b) また,被着縁部片は「起立口縁部に反転して密嵌する」のであるから,少なくとも起立口縁部の内周面,先端面及び外周面に密に嵌り込むものであることを要する。 b これに対し,KVシリーズにおいては,(a) 上記の「身の上端からそのまま立ち上がった部分」は,「第1立ち上り部0104a」であるから,この第1立ち上り部0104aが,本件発明の構成要件Bでいう「起立口縁部」に相当する。 (b) しかしながら,蓋0102の被着縁部片0103が密に接しているのは「第1立ち上り部0104aの内周面」と「立ち下がり部0104bの外周面」であって,「第1立ち上り部0104a」の先端面及び外周面には接していないか,隙間をもって接しているだけである。 つまり,蓋0102の被着縁部片0103は「起立口縁部」である「第1立ち上り部0104a」の外周面に密嵌することができない。 c よって,KVシリーズは本件発明の構成要件Bを充足しない。 (イ) 構成要件Cの非充足a 本件発明の構成要件Cは「(身と,蓋とを,)それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し」である。この構成要件Cにおいては, (a) 足しない。 (イ) 構成要件Cの非充足a 本件発明の構成要件Cは「(身と,蓋とを,)それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し」である。この構成要件Cにおいては, (a) 身と,蓋とを,「それぞれ」軟質「または」半硬質のプラスチックにより形成したのであるから,身と蓋とは,それぞれ「軟質のプラスチック」,又は,それぞれ「半硬質のプラスチック」で形成されたものでなければならない。つまり,身と蓋は「同じ材質」のプラスチックであることを要する。 このことは,本件明細書にも「【0012】図1ないし図6は,一実施例を示したもので,その開蓋防止機能付き密閉容器は,それぞれ軟質の安価なポリプロピレンから成る身1と蓋3とから成る小物容器であって」と記載され,身と蓋が「同じ材質」のプラスチックから形成されていることが記載されていることにも合致する。本件明細書には,身及び蓋のいずれか一方を軟質のプラスチックで,他方を半硬質のプラスチックで形成することについては何ら記載されていない。 (b) 次に,「軟質または半硬質」のプラスチックにより形成したのであるから,プラスチックの材質それ自体が「軟質または半硬質」でなければならない。 b これに対し,KVシリーズにおいては,(a) 身0101はPP(ポリプロピレン)により形成し,蓋0102はPS(ポリスチロール)により形成したものであるから,身と蓋とは異なる材質のプラスチックにより形成されていることは明らかである。 したがって,身と蓋とは「同じ材質」のプラスチックで形成されているものではない。 (b) 蓋0102を形成するプラスチックであるPS(ポリスチロール)は,材質としては,「硬質」のプラスチックである。 このことは,技術常識である(乙イ19)ととも ているものではない。 (b) 蓋0102を形成するプラスチックであるPS(ポリスチロール)は,材質としては,「硬質」のプラスチックである。 このことは,技術常識である(乙イ19)とともに,原告も,P S(ポリスチロール)が「硬質」のプラスチックであることを認めている(本件明細書【0004】,【0006】)。 したがって,KVシリーズの「蓋」は,「軟質または半硬質のプラスチック」により形成されたものではない。 c よって,KVシリーズは本件発明の構成要件Cを充足しない。 (ウ) 構成要件Dの非充足a 本件発明の構成要件Dは,「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し」である。この構成要件Dにおいては,(a) 身の「起立口縁部」の「下端部」に,環状突片が突設されていることを要する。 (b) 「身の起立口縁部」は,構成要件Aの「身の上端の起立口縁部」という構成からすれば,身の上端より上の部分を意味するから,身の起立口縁部の「下端部」は「身の上端」より上方に位置する部分であることを要する。 b これに対し,KVシリーズにおいては,(a) 前述したとおり,本件発明の「起立口縁部」に相当するものは「第1立ち上り部0104a」であり,この「第1立ち上り部0104a」の下端部から環状突片0106は突設されていない。 したがって,身の「起立口縁部」の「下端部」に,環状突片が突設されていない。 (b) 仮に「第1立ち上り部0104aと立ち下がり部0104b」とを併せて「起立口縁部」としたとしても,立ち下がり部0104bの下端部0105は身0101の上端よりも下側に延ばし設けられ,身の上端より下側に位置する下端部010 04aと立ち下がり部0104b」とを併せて「起立口縁部」としたとしても,立ち下がり部0104bの下端部0105は身0101の上端よりも下側に延ばし設けられ,身の上端より下側に位置する下端部0105を基端として環状突片 0106が設けられている。 したがって,環状突片は,身の起立口縁部の「下端部」から突設されたものではない。 (c) 仮に「第1立ち上がり部0104a,立ち下がり部0104b及び突片0106の第2立ち上がり部0106aの切取溝0108より下側の部分」を「起立口縁部」とし,第2立ち上がり部0106aの切取溝0108より上側の部分である上側部分0106bを「環状突片」であるとしても,第2立ち上がり部0106aの上側部分0106bは,第2立ち上がり部0106aの途中から形成されているのであるから,「起立口縁部の下端部」に形成されたものではない。そうすると,KVシリーズは,起立口縁部の下端部に突設された「環状突片」を有していないことになる。 また,上側部分0106bを「環状突片」であると認定した場合,「蓋の被着縁部片の…最端周縁が落ち込む」縁落とし溝0107を形成しているのは,第2立ち上がり部0106aの切取溝0108よりも下側の部分であり,環状突片という上側部分0106bは「蓋の被着縁部片の…最端周縁が落ち込む縁落とし溝」を形成していない。そうすると,KVシリーズは,「環状突片を突設することにより,蓋の被着縁部片の…最端周縁が落ち込む縁落とし溝を形成し」という要件を充足していないことになる。 c よって,KVシリーズは本件発明の構成要件Dを充足しない。 (エ) 構成要件Eの非充足a 本件発明の構成要件Eは,「環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し」である。この構成要件Eにおいて,「突 リーズは本件発明の構成要件Dを充足しない。 (エ) 構成要件Eの非充足a 本件発明の構成要件Eは,「環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し」である。この構成要件Eにおいて,「突出基端」とは,構成要件Dの「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより」との構成及び本件明細書には切取溝13が起立口 縁部9と環状突片11との接続部分に設けられていること(本件明細書【図1】,【図4】~【図6】)からして,「環状突片と起立口縁部との接続部分」を意味することは明らかである。 b これに対し,KVシリーズにおいては,そもそも前述したとおり,「起立口縁部」に相当する「第1立ち上り部0104a」には環状突片0106が突設されていない。 仮に,「第1立ち上り部0104aと立ち下がり部0104b」とを併せて「起立口縁部」としたとしても,環状突片0106は立ち下がり部0104bの下端部0105から突設されていることからして,環状突片0106と立ち下がり部0104bの下端部0105との接続部分が「突出基端」となる。しかしながら,切取溝0108は,環状突片0106の第2立ち上り部0106aの中間部に設けられており,立ち下がり部0104bの下端部0105との接続部分である「突出基端」には設けられていない。 したがって,いずれにしても,「環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し」たものではない。 c よって,KVシリーズは本件発明の構成要件Eを充足しない。 (オ) 構成要件Fの非充足a 本件発明の構成要件Fは,環状突片の「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し」である。「垂設」という用語については,広辞苑等の辞典には見当たらないが,構成される各漢字,すなわち,「垂」(たれる)及び「設」( 件Fは,環状突片の「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し」である。「垂設」という用語については,広辞苑等の辞典には見当たらないが,構成される各漢字,すなわち,「垂」(たれる)及び「設」(もうける)の意味から明らかなように,「垂れるように設けること」である。なお,特許技術用語集の第81頁(乙ロ29)には,「垂設〔すいせつ〕垂直に設けること。垂直に下げるように設けること。」と記載されている。このことは,本件明細書に摘み15が環状突片11の外側に垂れ下げて設けられている(【図1】) ことにも合致している。 b これに対し,KVシリーズにおいては,摘み0109は,身0101の底面と平行な方向に突出して設けられているから,「垂設」されているものではない。 c よって,KVシリーズは本件発明の構成要件Fを充足しない。 イ KSシリーズ(イ号製品6~9,11,12)についてKSシリーズは,KVシリーズと異なり,身の上端部とこの上端部から分岐した分岐部(環状突片)との間で形成される環状溝内に,蓋の被着縁部の立ち下がり部を密嵌させることで,身と蓋との間の密閉性を確保している。すなわち,本件発明のように,身の上端に形成された起立口縁部の内外周面に蓋の反転する被着縁部片を密嵌させることで密閉性を確保するものではなく,身と蓋との間の密閉性を確保する基本的な構成が相違しているのである。 したがって,KSシリーズが,身の上端に形成された起立口縁部と蓋の被着縁部片との密嵌を構成要件とする本件発明の技術的範囲に属することはあり得ない。 以下,構成要件ごとに詳論する。 (ア) 構成要件Bの非充足a 本件発明の構成要件Bにおける「起立口縁部」とは,前述したとおり,「身の上端からそのまま立ち上がった部分」を意味する。ここで,身とは 下,構成要件ごとに詳論する。 (ア) 構成要件Bの非充足a 本件発明の構成要件Bにおける「起立口縁部」とは,前述したとおり,「身の上端からそのまま立ち上がった部分」を意味する。ここで,身とは,構成要件Aの「容器本体」,すなわち,蓋との間で内容物を収容する空間を形成するものの意味である。そうすると,「身の上端」とは内容物を収容する空間を形成する最も上の端から起立した部分となる。 また,構成要件Bによれば,蓋の被着縁部片は反転して起立口縁部に「密嵌」している。ここで,「密嵌」とは,文言からして,「密に」 「嵌り合う」ことであるから,本件明細書に記載されている(【図4】など)ように,少なくとも,蓋の被着縁部片が起立口縁部の内周面,先端面及び外周面に密接に嵌っていることを要する。 b これに対し,KSシリーズにおいては,(a) 身0201の上端部0204aは蓋0202との間で内容物を収容する空間を形成している部分であって,身そのものである。したがって,「起立口縁部」を有していないことになる。 (b) 仮に,別紙部分断面図【図2】(KS-100),【図4】(KS-230),【図5】(KS-300),【図6】(KS-550),【図7】(KS-1100)に示すように,上端部0204aの先端部分0204a1(仮想線より図で上側の部分)を「起立口縁部」と認定したとしても,上端部0204aの先端部分0204a1には蓋0202の被着縁部片0203が反転して密嵌していない(密に嵌り合っていない)ことは明らかである。 また,【図3】に示すKS-200では,身0201の上端部0204aに,蓋0202の被着縁部片0203が反転して密嵌していないことは明らかである。 (c) また,仮に身0201の上端部0204a全体を「起立口縁部」 S-200では,身0201の上端部0204aに,蓋0202の被着縁部片0203が反転して密嵌していないことは明らかである。 (c) また,仮に身0201の上端部0204a全体を「起立口縁部」と認定したとしても,蓋0202の被着縁部片0203は単に起立口縁部の外周面に接しているだけであって,反転して密嵌しているものではない。 (d) つまり,前述したように,KSシリーズは,身0201の上端部0204aと環状突片0206との間に形成される溝0207の周面に被着縁部片0203の立ち下がり部0203aをはめ込み,更に被着縁部片0203の立ち下がり部0203aの外周面に形成された突部0211を切取溝0208に係合させることにより,身0 201と蓋0202との間の密閉性を確保しているのである。 本件発明のように,起立口縁部の周面に倣って(反転して)被着縁部片を密嵌することで,身0201と蓋0202との間の密閉性を確保するものではなく,そもそも技術的思想を異にしているのである。 c よって,KSシリーズは本件発明の構成要件Bを充足しない。 (イ) 構成要件Cの非充足既にKVシリーズで述べたとおり,KSシリーズにおいても,身0201はPP(ポリプロピレン)により形成し,蓋0202はPS(ポリスチロール)により形成したものであるから,身と蓋とは異なる材質のプラスチックにより形成されていることは明らかである。したがって,身と蓋とは「同じ材質」のプラスチックで形成されているものではない。 また,蓋0202を形成するプラスチックのPS(ポリスチロール)は,材質としては「硬質」のプラスチックであり,蓋0202は「軟質または半硬質のプラスチック」により形成されたものではない。 よって,KSシリーズは本件発明の構成要件Cを充足し (ポリスチロール)は,材質としては「硬質」のプラスチックであり,蓋0202は「軟質または半硬質のプラスチック」により形成されたものではない。 よって,KSシリーズは本件発明の構成要件Cを充足しない。 (ウ) 構成要件Dの非充足KSシリーズにおいては,構成要件Bで主張したとおり,身の上端に設けられる「起立口縁部」を有しておらず,単に身0201の外周面に上端部0204aと共に溝0207を形成する環状突片0206の立ち上り部0206aを形成したにすぎない。 また,仮に0206bを環状突片とした場合,起立口縁部の下端部に突設された環状突片を有していないことになるし,「環状突片を突設することにより,蓋の被着縁部片の…最端周縁が落ち込む縁落とし溝を形成し」という要件を充足しない。 したがって,KSシリーズは本件発明の構成要件Dを充足しない。 (エ) 構成要件Eの非充足KSシリーズの環状突片0206の「突出基端」は,身0201と接続された部分(基部0205)である。しかしながら,切取溝0208は,環状突片0206の立ち上り部0206aの中間部に設けられており,身0201に接続された部分である「突出基端」には設けられていない。 よって,KSシリーズは本件発明の構成要件Eを充足しない。 (オ) 構成要件Fの非充足KSシリーズの摘み0209は,身0201の底面と平行な方向に突出して設けられているから,「垂設」されているものではない。 したがって,KS-100は,本件発明の構成要件Fを充足していないことは明かである。 ウ KS-500(ロ号製品11)についてKS-500は,KSシリーズと同様,被着縁部片0303の立ち下がり部0303aを溝0307内にはめ込むだけでなく,蓋0302の被着縁部片0303の立ち下がり部 -500(ロ号製品11)についてKS-500は,KSシリーズと同様,被着縁部片0303の立ち下がり部0303aを溝0307内にはめ込むだけでなく,蓋0302の被着縁部片0303の立ち下がり部0303aの外周面に,環状突片0306の立ち上り部0306aの内周面の切取溝0308に係合する突起部0311を設け,さらに,環状突片0306の内底面と被着縁部片0303の立ち下がり部0303aの下端面とに凹凸係合部0212を設け,立ち上り部0306aの上部部分0306bの内周面と蓋0302の被着縁部片0303の立ち下がり部0303aの外周面とに凹凸係合部0213を設けて,身0301と蓋0302との密閉性を確保している。 すなわち,KS-500も,本件発明のように,起立口縁部の周面に倣って(反転して)被着縁部片を密嵌することで,身0301と蓋0302との間の密閉性を確保するものではなく,そもそも技術的思想を異にしている。 KS-500の構成は,KSシリーズと同様であるから,前記のKSシリーズ(特に,身の上端部が蓋よりも下側に位置するKS-200)で主張した構成要件BないしFの非充足性の主張を援用する。 エ PHシリーズ(イ号製品13~20,ロ号製品2,3,12)について(ア) 構成要件Bの非充足a 構成要件Bは,「周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋とを,」と規定する。 すなわち,本件発明における蓋は,その周縁部において,身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有するものである。 しかしながら,PHシリーズにおける蓋の被着縁部片に相当する部分は,①その向きが「反転」するものではなく,さらに,②起立口縁部に対して「密嵌」するものでもないから,構成要件Bを充足しない。 b しかしながら,PHシリーズにおける蓋の被着縁部片に相当する部分は,①その向きが「反転」するものではなく,さらに,②起立口縁部に対して「密嵌」するものでもないから,構成要件Bを充足しない。 b 「反転」及び「密嵌」の意義(a) まず,「反転」とは,「反対の方向に向きかわること。また,向けかえること。」であり(広辞苑第6版),さらに,「反対」とは,「物事が,対立・逆の関係にあること。」である(同)。 よって,本件発明に即して「反転」の意義を具体的に解釈すると,(蓋の断面で見たときに,)蓋の内側(反転前)から外側(反転後)にかけて,その向きが,ほぼ180°逆向きに変化していることを意味する。 この点,本件発明の実施例においても,蓋の内側(反転前)から外側(反転後)にかけて,その向きがほぼ180°逆向きに変化しており,まさに「反転」したものが開示されている(【図A】)。 (b) 次に,「密嵌」とは,広辞苑等の辞典 には掲載されていないものの,構成される各漢字の意味からすれば,密接にはめること,を意味する(「嵌」とは,新選漢和辞典の363頁(乙ロ28)には,「はめる。はめこむ。」と記載されている。)。 なお,特許技術用語集の159頁(乙ロ29)には,「密嵌〔みっかん〕 隙間なく嵌めること。」と記載されている。 (c) したがって,本件発明に即して「反転して密嵌する」の意義を解釈すると,向きがほぼ180°逆向きに変化した結果,蓋の「被着縁部片」が,身の「起立口縁部」に対して「密嵌」したもの,すなわち,「被着縁部片」が,反転前の部位と反転後の部位とによって,「起立口縁部」を隙間なく挟み込む構成を意味する。 この点,本件発明の実施例においても,身の「起立口縁部」を隙間なく挟み込むように,蓋の「被着縁部片」の反転前 前の部位と反転後の部位とによって,「起立口縁部」を隙間なく挟み込む構成を意味する。 この点,本件発明の実施例においても,身の「起立口縁部」を隙間なく挟み込むように,蓋の「被着縁部片」の反転前の部位と反転後の部位とが,向きがほぼ180°逆向きに変化した結果,身の「起立口縁部」に対して「密嵌」している(【図A】)。 cPHシリーズについて(a) これに対し,PHシリーズをみると,いずれも,蓋の内側から外側にかけて,その向きが(約135°)変化しているものの,ほぼ180°逆向きに変化するものではないから,そもそも「反転」にはあたらない(【図B】)。 (b) しかも,PHシリーズにおいては,蓋の向きがほぼ180°逆向きに変化していないため,被着縁部片が,起立口縁部を隙間なく挟み込む構成となっておらず,蓋の被着縁部片が,身の起立口縁部に対して,「密嵌」してもいない(【図B】)。すなわち,蓋の被着縁部片(0403)は,その外側部分(同図の右側の反転後の部分)は身の起立した縁部に接触しているものの,その内側部分(同図の左側の反転前の部分)は,接触さえしていない。したがって,蓋の【図B】 被着縁部片が,身の起立した縁部に対して,挟み込む構成となっておらず,「密嵌」しているとはいえない。 なお,PHシリーズでは,蓋の内側に別途「突起部分」を設け(【図B】の青字部分),当該「突起部分」と蓋の外側部分(【図B】の右側反転後の部分)とで身の起立した縁部を挟み込んでおり,別途「突起部分」を設けているという意味において,本件発明とはその構造が全く異なるものである。 d よって,PHシリーズの蓋は「反転して密嵌する」ものではないから,構成要件Bを充足しない。 (イ) 構成要件Cの非充足a 構成要件Cは,(身と,蓋とを)「 の構造が全く異なるものである。 d よって,PHシリーズの蓋は「反転して密嵌する」ものではないから,構成要件Bを充足しない。 (イ) 構成要件Cの非充足a 構成要件Cは,(身と,蓋とを)「それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,」と規定する。 すなわち,本件発明の身及び蓋は,それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成される,というものである。 これに対し,PHシリーズの蓋は,PS(ポリスチロール)という「硬質」プラスチックにより形成されており,「軟質または半硬質」ではないから,明らかに構成要件Cを充足しない。 b 「軟質または半硬質プラスチック」の意義「軟質または半硬質プラスチック」の通常の用語の意味は,軟らかい性質,または,中間的な硬さを有するプラスチックである。 そして,発明の詳細な説明においては,軟質または半硬質プラスチックについての明確な意義は記載されていないものの,これと対立する概念として「硬質プラスチック」が挙げられている(本件明細書【0003】,【0004】等)。 したがって,本件発明にいう「軟質または半硬質のプラスチック」とは,硬さによるプラスチックの3分類(①軟質,②半硬質及び③硬質)のうち,前二者,すなわち,①軟らかい性質または②中間的な硬さを有するプラスチックを意味するといえる。 cPHシリーズについて「器 UTSUWACOLLECTION」(甲3の1)において,PHシリーズの材質等について記載されているように,PHシリーズの「蓋」の材質は全てPS(ポリスチロール)である。 そして,PS(ポリスチロール)が①軟質,②半硬質,③硬質のうち,どのプラスチックに分類されるかについて,「プラスチック大辞典」(乙ロ30,713頁)の「硬質プ PS(ポリスチロール)である。 そして,PS(ポリスチロール)が①軟質,②半硬質,③硬質のうち,どのプラスチックに分類されるかについて,「プラスチック大辞典」(乙ロ30,713頁)の「硬質プラスチック」の用語説明を参照すると,「表面硬度や剛性(弾性率など)の大きいプラスチックで,汎用では硬質ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,アクリル樹脂などがある。」(下線は被告らにおいて付加。)と記載されており,PHシリーズの蓋に用いられている材質であるPS(ポリスチロール)は,「硬質プラスチック」(硬い性質を有するプラスチック)に分類されるプラスチックである。 d よって,PHシリーズの蓋は硬質プラスチックであって「軟質または半硬質のプラスチック」ではないから,構成要件Cを充足しない。 (ウ) 構成要件D及びEの非充足a 構成要件Dは,「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,」と規定し,構成要件Eは,「環状突片の突出基端にそれを欠除するための切取溝を形成し,」と規定する。 当該構成要件D及びEの規定によれば,本件発明における身の環状突片は,①起立口縁部の下端部に対して「突設」ないし「突出」して 形成され,その結果,②「環状突片」の上に,蓋の最端周縁が落ち込む「縁落し溝」を形成する,というものである。 しかしながら,PHシリーズにおける身の環状突片に相当する部分は,①上部先端に付設され,「起立口縁部の下端部」には設けられていないし,起立口縁部と平行な方向に伸び,突き出さないように設けられ,「突設」ないし「突出」していない。そのため,②「その上に」(「環状突片」の上に)「縁落し溝」を形成してもいないから,構成要件D及びEを充足しない 部と平行な方向に伸び,突き出さないように設けられ,「突設」ないし「突出」していない。そのため,②「その上に」(「環状突片」の上に)「縁落し溝」を形成してもいないから,構成要件D及びEを充足しない。 b 「突設」ないし「突出」及び「縁落し溝」の意義(a) 「突設」とは,広辞苑等の辞典には掲載されていないものの,構成される各漢字の意味から明らかなように,「突き出して設けること」である。なお,特許技術用語集の128頁(乙ロ29)にも,「突設〔とっせつ〕突き出して設けること。」と記載されている。 また,「突出」とは,通常の用語の意味として,「突き破って出ること」を意味する(広辞苑第6版)。 よって,本件発明に即してその意義を具体的に解釈すると,「環状突片」が「起立口縁部の下端部」に対して,突き出して設けられていることを意味する。 (b) また,上記構成要件Dの規定から明らかなように,「環状突片」が「起立口縁部の下端縁」に対して突き出して設けられた結果,「その上に」(環状突片の上に)「最端周縁が落ち込む縁落し溝」を形成しているのである(【図C】)。 cPHシリーズについて【図C】 (a) PHシリーズにおいて,起立口縁部と解釈され得る部位は3箇所もあり(【図D】0404),いずれが「起立口縁部」に相当するのか不明である。したがって,PHシリーズのどの部分が,「起立口縁部」の「下端部」に相当するのかも不明である。 (b) また,PHシリーズにおいて環状突片に相当する部分0406(【図D】の赤色部分)は,単に上部先端に付設されているにすぎず,「起立口縁部の下端部」には設けられていない。 さらに,0406は起立口縁部と解釈され得る部位に対して,身の先端に平行な方向に伸び,突き出さないように設けられ,「 先端に付設されているにすぎず,「起立口縁部の下端部」には設けられていない。 さらに,0406は起立口縁部と解釈され得る部位に対して,身の先端に平行な方向に伸び,突き出さないように設けられ,「突設」ないし「突出」していない(【図D】)。 そのため,起立口縁部の環状突片(0406)に相当する部分は,「縁落し溝」(0407)の上部先端に付設されているにすぎず,「縁落し溝」(0407)は,「その上に」,すなわち,環状突片(0406)の上に,形成されていない。 d 以上述べたように,PHシリーズの身の「環状突片」に相当する部分は,①起立口縁部(の下端部)に対して平行な方向に設けられており,「突設」ないし「突出」してはおらず,しかも,②「縁落し溝」の上部先端に付設されているにすぎず,「その上に…縁落し溝」を形成(構成)してもいないから,構成要件D及びEを充足しない。 (エ) 構成要件Fの非充足【図D】 a 構成要件Fは,「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,」と規定する。 すなわち,本件発明は,蓋の外側の一部に,切取りのための摘みを垂設する,というものである。 これに対し,PHシリーズの蓋は,摘みを有しているものの(【図9】0409等),当該摘みは,容器に対して水平に設けられており,「垂設」されたものではないから,明らかに構成要件Fを充足しない。 b 「垂設」の意義について「垂設」という用語は,前述したように「垂れるように設けること」である。 発明の詳細な説明には,摘みを垂設することの技術的意義については明記されていないが,摘みを垂直方向(容器の上下方向)に伸ばすことによって,隣接して並べられる他の容器等と干渉して不用意に開いてしまわないようにするという技術的意義(メリット)を有す 意義については明記されていないが,摘みを垂直方向(容器の上下方向)に伸ばすことによって,隣接して並べられる他の容器等と干渉して不用意に開いてしまわないようにするという技術的意義(メリット)を有するものと推察される。 cPHシリーズについてPHシリーズにおける「垂直」方向は,容器に対して上下方向を意味する。 しかしながら,被告製品(PHシリーズ)説明図の平面図における摘みの構成(0409)から明らかなように,PHシリーズにおける摘みは,いずれも,容器に対して上下方向ではなく,水平方向,すなわち,平面図に対して紙面に平行に設けられており,「垂設」されたものではない。 そして,PHシリーズは,上述の本件発明の技術的思想とは異なり,摘みを水平方向に設けたことにより,摘みが蓋の外周縁から多少突出してしまうものの,摘みの位置が上面から一見して把握できるという 別の技術的意義(メリット)を重視して設計されているのである(これに対して,本件明細書【図3】は,摘みを「垂設」しているが故に,上面から見た場合には摘みの位置は一見して発見し難いものとなっている。)。 d したがって,PHシリーズの「摘み」は容器に水平方向に設けられており,「垂設」されたものではないないから,構成要件Fを充足しない。 (2) 争点2(特許法104条の3第1 項の権利行使の制限)について〔被告らの主張〕ア新規性欠如(ア) 本件特許の出願日である平成7年4月13日より前に頒布された刊行物である米国特許第4024976号明細書(乙ロ32。以下「乙ロ32刊行物」という。)には,以下の発明が記載されている。 a 「容器2」と,b 周縁部に,「容器2」の上端の「縁部6」に対して,反転して挟んで締め付ける「リブ10」及び「スカート8」を 「乙ロ32刊行物」という。)には,以下の発明が記載されている。 a 「容器2」と,b 周縁部に,「容器2」の上端の「縁部6」に対して,反転して挟んで締め付ける「リブ10」及び「スカート8」を有する「閉塞キャップ3」とを,c それぞれ「可撓性プラスチック」により形成し,d 「容器2」の「縁部6」の下端部に,「不法開蓋防止バンド14」を突設することにより,その上に「閉塞キャップ3」の「スカート8」の反転先としての「外側下端部17」が落ち込む「不法開蓋防止バンド14と縁部6とにより囲まれた溝」を形成し,e 「縁部6」の突出基端にそれを欠除するための「切溝領域」を形成し,f 外側の一部にはその切取りのための「タブ19」を垂設し,g かつ,「タブ19」の一側において「切溝領域」に至る「刻線20」 を設けたh 不法開蓋防止機能付き密閉容器。 (以下「引用発明」という。)(イ) 本件発明における「本体容器としての身」は引用発明の構成における「容器2」に相当し,以下同様に,「起立口縁部」は「縁部6」に,「被着縁部片」は「リブ10及びスカート8」に,「蓋」は「閉塞キャップ3」に,「軟質または半硬質のプラスチック」は「可撓性プラスチック」に,「環状突片」は「不法開蓋防止バンド14」に,「最端周縁」は「外側下端部17」に,「縁落し溝」は「不法開蓋防止バンド14と縁部6とにより囲まれた溝」に,「切取溝」は「切溝領域」に,「摘み」は「タブ19」に,「切口」は「刻線20」に,それぞれ相当する。 なお,構成要件Bの「起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片」について,「反転して」という文言の意義が必ずしも明確ではなく,解釈の余地がある。 しかしながら,原告は,PHシリーズにつき,「反転して密嵌する」ものとして充足性 反転して密嵌する被着縁部片」について,「反転して」という文言の意義が必ずしも明確ではなく,解釈の余地がある。 しかしながら,原告は,PHシリーズにつき,「反転して密嵌する」ものとして充足性を主張している以上,少なくともこれと同様の構成を有する引用発明についても,同様の「反転して密嵌する」構成を有するものといえる。 (ウ) よって,本件発明と引用発明とは,全ての構成要件において一致し,相違点はない。 そして,本件発明と引用発明との間に相違点がない以上,引用発明についても,本件発明の作用効果,すなわち,①蓋のこじ開け防止,②摘みの一側の切口による切取りが容易であること,及び③開封済か否かの判断が容易であること,と同じ作用効果を奏するものである。 イ進歩性欠如仮に,引用発明が「周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する 被着縁部片を有する蓋」の構成を有していなかったとしても,かかる構成は,例えば,いずれも本件特許の出願日である平成7年4月13日より前に頒布された刊行物である特開平3-162252号公報(乙ロ33),米国特許第4296871号明細書(乙ロ34)及び米国特許第4027775号明細書(乙ロ35)に開示されているように,周知ないし慣用技術である。 そして,引用発明と上記周知慣用技術とは,①同じ密閉容器の技術分野に属し,②周縁部における容器本体と蓋の具体的な構成,すなわち,身の起立口縁部と蓋の被着縁部片を有する点(かつ,プラスチック材料で構成されている点)においても共通し,③容器本体と蓋との間の密閉という機能も同じであるから,引用発明に対して上記周知慣用技術を採用することについて④具体的な動機付け・示唆があるといえる。しかも,①~③の点については,本件発明とも共通する。さらに,⑤引用発明において 機能も同じであるから,引用発明に対して上記周知慣用技術を採用することについて④具体的な動機付け・示唆があるといえる。しかも,①~③の点については,本件発明とも共通する。さらに,⑤引用発明において,上記周知技術を採用することにつき,何らの阻害要因も見当たらない。 してみると,引用発明において,蓋と容器とを密封する具体的な構成として,上記周知慣用技術を採用することは,当業者が容易に想到し得たものである。 したがって,本件発明は少なくとも進歩性を有しない。 ウ以上述べたように,本件発明は,新規性欠如ないし進歩性欠如の無効理由を有し(特許法123条1項2号,29条1項3号,同条2項),本件特許は特許無効審判において無効にされるべきものであるから,同法104条の3により,本件特許権に基づく権利行使は許されない。 〔原告の主張〕ア新規性欠如に対し本件発明と引用発明との間には,少なくとも以下のような明らかな相違点がある。 (ア) 相違点1本件発明に係る密閉容器は,周縁部に身の上端の起立口縁部に反転して密嵌する被着縁部片を有する蓋を有することを構成要件とする。しかしながら,引用発明では,このような構成について開示も示唆もない。 (イ) 相違点2本件発明は,起立口縁部を備えている。すなわち,単なる口縁ではなく,起立している口縁とベースとの両者により構成される部分から成る構成を有する。これに対し,引用発明では,このような構成について開示も示唆もない。 よって,本件発明は引用発明と対比して新規性を有するので,本件特許は無効とされるべきものとはいえない。 イ進歩性欠如に対し引用発明と上記周知慣用技術とが,①同じ密閉容器の技術分野に属すること,②のうち,プラスチック材料で構成されている点において共通し,③容 無効とされるべきものとはいえない。 イ進歩性欠如に対し引用発明と上記周知慣用技術とが,①同じ密閉容器の技術分野に属すること,②のうち,プラスチック材料で構成されている点において共通し,③容器本体と蓋との密閉という機能が同じであることは認める。 しかし,②周縁部における容器本体と蓋との具体的な構成,すなわち,身の起立口縁部と蓋の被着縁部片を有する点については,上記周知慣用技術は,身の起立口縁部(すなわちベースとベースから起立した口縁部とから成る構成)を有していないので,否認する。また,本件発明では起立口縁部と,起立口縁部に蓋の被着縁部片が反転して密嵌していることとがあいまって,「密嵌」状態が実現するのである。すなわち,起立口縁部は,ベースと,ベースから起立した口縁部とから成るところ,ベースの部分に応力が集中することで,ベースから起立した口縁部はベースの部分で折れ曲がりやすく,柔軟性を帯びる。容器については,機械的強度と密閉性を兼ね備える必要があるが,身の起立口縁部に対して,蓋の被着縁部片が反転してかぶさることで,機械的強度を保ちつつ,双方の面同士がならい, 身の起立口縁部と蓋の被着縁部片との間で密嵌状態が実現される。したがって,このような起立口縁部を有しない(単に被着縁部片が反転しているにすぎない)上記周知慣用技術を引用発明に適用しても,本件発明に容易に想到可能とはいえない。 よって,本件発明は引用発明と対比して進歩性を有するので,本件特許は無効とされるべきものとはいえない。 (3) 争点3(意匠の類否)について〔原告の主張〕ア本件意匠(ア) 本件意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さをもつ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具 告の主張〕ア本件意匠(ア) 本件意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さをもつ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具体的構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。 そして,これらの角に相当する部分のうち,1つには,摘みが突設されている。 (b) 側面の構成全体的には略四角形状であるが,身の口縁部の少し下の高さから身の底部にかけて,横幅が左右とも漸減し,やや内側に傾斜している。また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの一つ の角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 この摘みは,2枚の平板状の小片が身の口縁部に僅かな間隔をあけて平行に突設されている。 (イ) 本件意匠の要部a 需要者本件意匠の実施品である包装用容器は,食品等を内部に収容して,輸送,販売等に利用される包装用容器である。したがって,その需要者は,食品製造業者,包装用容器の卸売業者等である(もっとも,原告は,需要者に一般消費者が含まれるとの被告らの主張について特に争うものではない。)。 b 需要者の着目部分(a) 上部形状が特に見やすく,需要者に着目されること需要者である食品製造業者等は,包装用容器を購入する際,まず,その容量に着目するとともに,全体的な大きさ,形状(円筒状,箱状など),色彩(透明を含む)等を考慮すると考えられる。 その際,この包装用容器の使用態様として,食品店,贈答品店,土産 する際,まず,その容量に着目するとともに,全体的な大きさ,形状(円筒状,箱状など),色彩(透明を含む)等を考慮すると考えられる。 その際,この包装用容器の使用態様として,食品店,贈答品店,土産物店等の店頭の陳列棚に平積みされる場合が多いことから,このような陳列状態において露出している上部から見た形状を重視すると考えられる(甲4の3,5の3)。実際,この包装用容器の上面(蓋の部分)に,目立つようにラベルが貼付されることが多い(甲4の3,5の3)。 また,食品製造業者等が,包装用容器を購入する際,例えばカタログを検討することが考えられるが,これらのカタログでは一般に製品を俯瞰的に捉えた写真が掲載されている(甲3の1)。 また,食品購入者である一般消費者が,包装用容器に触れる際は,カタログに示された使用例についての写真でも明らかなとおり,上 部に商品名等が表示されている場合が多く,上部から見られる場合が多いことが推測される。 したがって,本件意匠において,需要者の注意をひきつける部分である要部は,主に上部から見た形状にあると考えられる。 これに対し,被告らは,本件意匠登録出願(平成7年1月20日)より前の公知意匠を参酌すると,上部から見た形状は既に公知ないし周知の形状であり,ありふれた形態であって本件意匠の要部とはならないなどと主張する。しかし,本件意匠に係る物品は,具体的には開蓋防止機能付き密閉容器であるのに対し,被告らが主張する公知意匠は,いずれもシールを解除するような構成を採るものではなく,物品の使用態様や外部輪郭以外の形状が明らかに異なっているから,これらの公知意匠が有する構成態様との比較において本件意匠の要部を決することは相当でない。 (b) 上部形状において,特に需要者の注意を引く具体的構成上記 以外の形状が明らかに異なっているから,これらの公知意匠が有する構成態様との比較において本件意匠の要部を決することは相当でない。 (b) 上部形状において,特に需要者の注意を引く具体的構成上記のとおり,需要者の注意をひきつける部分である要部は,主に上部から見た形状にあると考えられる。 そこで,需要者が特に関心をもって観察すると考えられる本件意匠の上部から見た形状を検討すると,外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。このため,本件意匠は,全体として膨らみを帯びることとなる。 この点,例えば,本件意匠の出願時の公知意匠の一例である,意匠登録第947544号の意匠公報(甲21)には,略四角形の各角部分のみが,丸みを帯びた弧状であり,かつ,この円弧と各辺の 接続部分は鈍角に折れ曲がるように形成された食品用容器が示されている。このように一部について丸みを帯びた弧状としたものは存在したが,本件意匠は,略正方形の各辺に相当する部分が大きな円の円弧に近い曲線で形成されており,これと,小さな円の円弧に近い曲線とにより,全体として膨らみを帯びた形状となっている点に特徴があるといえる。 原告の従来製品の一例(甲10,11)を見ても,各辺が直線で構成されているものについては,直線部分からはっきりした,強い印象を与えるのに対し,本件意匠は,膨らみを帯びた柔らかな印象を与えるので,前記公知意匠及び原告の従来製品と比較し,看者に異なる美感を生じさせるものといえる。 (c) 上部形状における摘みの形状の要部該当性一方,後記のとおり, 膨らみを帯びた柔らかな印象を与えるので,前記公知意匠及び原告の従来製品と比較し,看者に異なる美感を生じさせるものといえる。 (c) 上部形状における摘みの形状の要部該当性一方,後記のとおり,イ号意匠と本件意匠との間には摘みの形状に差異が見られるが,摘みの形状は要部とならない。その理由は以下のとおりである。 包装用容器の需要者である食品製造業者等が,包装用容器を購入する際,例えばカタログを検討することが考えられるが,例えば実際の使用例を示すカタログ写真(甲3の1①)においても,摘みの形状は判別できないか,ほとんど目立たない形で掲載されている。 また,摘みは,容器の蓋又は身と同色(透明が多い)でもって形成されるので,その形状は,一層目立たないものである。 また,包装用容器に収納された食品購入者である一般消費者は,購入して消費するに当たり,包装用容器を開封する際に摘みを切除することとなる。加えて,これらのカタログに示されているような水産加工品,佃煮,漬物等の食品を一般消費者が消費する際には,通常1回の食事で全量が消費されることは少なく,残った食品の保 存のために,摘みの切除された包装用容器が利用される場合が多いと考えられる。さらに,食品の全量が消費された後も,一般消費者の一部は,包装用容器を,他の食品や食品以外の物を収容するための家庭用容器として利用する場合もあると推測される。これらの事情により,食品購入者である一般消費者が摘みの形状に関心を有することはないのが通常であり,このような一般消費者の関心を考慮する食品製造業者等が,摘みの形状について特に意識する余地はほとんどない。前記カタログにおいて摘みの形状が判別できないか,ほとんど目立たない形で掲載されていることは,この事実の表れである。 したがって,本件意匠に ,摘みの形状について特に意識する余地はほとんどない。前記カタログにおいて摘みの形状が判別できないか,ほとんど目立たない形で掲載されていることは,この事実の表れである。 したがって,本件意匠において,需要者の注意をひきつける部分である要部は,主に上部から見た形状にあるが,摘みの形状は要部とならないというべきである。 イ KVシリーズ(イ号製品1~5)の意匠(ア) 意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さを持つ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具体的構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。 そして,角に相当する部分の内,一つには,摘みが突設されてい る。摘みについては,要部とならないと考えるが,念のため,その具体的な態様を述べると次のとおりである。すなわち,摘みは2枚の平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。一片は長方形に近い形状であり,もう一片はU字形状である。摘みは,全体として大きな円の円弧の接線から外側にはみ出さない程度の大きさとなっている。 (b) 側面の構成全体的には略四角形状であるが,身の口縁部の少し下の高さから底部にかけて,身の横幅が漸減し,左右とも内側に傾斜している。 また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの一つの角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 (イ) イ号意匠(KVシリーズ)と本件意匠の類否a 基 側に傾斜している。 また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの一つの角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 (イ) イ号意匠(KVシリーズ)と本件意匠の類否a 基本的構成態様イ号意匠(KVシリーズ)と本件意匠は,基本的構成態様において一致する。 b 具体的構成態様(a) 要部における共通点イ号意匠(KVシリーズ)と本件意匠の平面形状における外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している点で共通する。 (b) 要部以外の共通点また,イ号意匠(KVシリーズ)については,要部以外にも,本件意匠との間に以下の共通点がある。 ① 身の口縁部の一方の角には摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 ② 2枚の平板状の小片が身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。 (c) 相違点一方,イ号意匠(KVシリーズ)と本件意匠との間の相違点としては,以下の点があるが,いずれも微差にすぎない。 摘みの形状が,イ号意匠中KVシリーズにおいては,全体として三角形状に近い形となっており,かつ,摘みが左右に分離して形成されているのに対し,本件意匠では,全体として四角形状に近い。 しかしながら,摘み自体の大きさが小さく,看者に強い印象を与えるとはいえないこと,かつ,摘みが左右に分離して形成されているといっても,開封時までは密接しているので,微差にすぎないと考えられる。 ウ KSシリーズ1(イ号製品6,7)の意匠(ア) 意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略 成されているといっても,開封時までは密接しているので,微差にすぎないと考えられる。 ウ KSシリーズ1(イ号製品6,7)の意匠(ア) 意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さを持つ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具体的構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。そして,円弧と円弧のつながり部分がやや「くの字型」 に折れ曲がっている。 そして,角に相当する部分のうち,1つには,摘みが突設されている。摘みについては,要部とならないと考えるが,念のため,その具体的な態様を述べると次のとおりである。すなわち,摘みは平板状の小片であり,長方形に近い形状である。そして,小さい円の円弧に平行となる位置に長方形の長い方の辺が位置している。 (b) 側面の構成全体的には略四角形状であるが,身の口縁部の少し下の高さから底部にかけて,身の横幅が漸減し,左右とも内側に傾斜している。 また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの1つの角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 (イ) イ号意匠(KSシリーズ1)と本件意匠の類否a 基本的構成態様イ号意匠(KSシリーズ1)と本件意匠は,基本的構成態様において一致する。 b 具体的構成態様(a) 要部における共通点イ号意匠(KSシリーズ1)と本件意匠の平面形状における外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨 て一致する。 b 具体的構成態様(a) 要部における共通点イ号意匠(KSシリーズ1)と本件意匠の平面形状における外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している点で共通する。 (b) 要部以外の共通点また,イ号意匠(KSシリーズ1)については,要部以外にも,本件意匠との間に以下の共通点がある。 ① 身の口縁部の一方の角には摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 ② 2枚の平板状の小片が身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。 (c) 相違点平面形状における外部輪郭について,本件意匠は,大きい円の円弧と小さい円の円弧とが,滑らかにつながっているのに対し,イ号意匠中,KSシリーズ1においては,円弧と円弧のつながり部分がやや「くの字型」に折れ曲がっている。しかしながら,この屈折部分を含めながらも全体としては膨らみを帯びた円弧により形成されているという,イ号意匠と本件意匠との間の共通性を覆すものではなく,看者にとって与える美感という観点からは微差にすぎないと考えられる。 エ KSシリーズ2,3(イ号製品8,9,11,12)の意匠(ア) 意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さを持つ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具体的構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する 構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。そして,円弧と円弧のつながり部分がやや「くの字型」に折れ曲がっている。 そして,角に相当する部分のうち,1つには,摘みが突設されている。摘みについては,要部とならないと考えるが,念のため,その具体的な態様を述べると次のとおりである。すなわち,摘みは2枚の長方形に近い形状をした平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。 (b) 側面の構成全体的には略四角形状であるが,身の口縁部の少し下の高さから底部にかけて,身の横幅が漸減し,左右とも内側に傾斜している。 また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの1つの角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 (イ) イ号意匠(KSシリーズ2,3)と本件意匠の類否a 基本的構成態様イ号意匠(KSシリーズ2,3)と本件意匠は,基本的構成態様において一致する。 b 具体的構成態様(a) 要部における共通点イ号意匠(KSシリーズ2,3)と本件意匠の平面形状における外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している点で共通する。 (b) 要部以外の共通点また,イ号意匠(KSシリーズ2,3)については,要部以外にも,本件意匠との間に「 る部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している点で共通する。 (b) 要部以外の共通点また,イ号意匠(KSシリーズ2,3)については,要部以外にも,本件意匠との間に「身の口縁部の一方の角には摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。」という共通点がある。 (c) 相違点平面形状における外部輪郭について,本件意匠は,大きい円の円弧と小さい円の円弧とが,滑らかにつながっているのに対し,イ号意匠中,KSシリーズ2,3においては,円弧と円弧のつながり部分がやや「くの字型」に折れ曲がっている。しかしながら,この屈折部分を含めながらも全体としては膨らみを帯びた円弧により形成されているという,イ号意匠8,9,11,12と本件意匠との間の共通性を覆すものではなく,看者にとって与える美感という観点からは微差にすぎないと考えられる。 オ PHシリーズ(イ号製品13~20)の意匠(ア) 意匠の構成a 基本的構成態様横幅及び奥行きが略同じ長さで,これよりも短い高さを持つ比較的浅めの箱状の身と,身の開口部を覆う蓋とから成る。 b 具体的構成態様(a) 平面の構成外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。 そして,角に相当する部分のうち,1つには,摘みが突設されている。摘みについては,要部とならないと考えるが,念のためその具体的な形状を述べると次のとおりである。すなわち,摘みはU字型をした2枚の平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。摘みは, 要部とならないと考えるが,念のためその具体的な形状を述べると次のとおりである。すなわち,摘みはU字型をした2枚の平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。摘みは,全体として大きな円の円弧 の接線から外側にはみ出さない程度の大きさとなっている。 (b) 側面の構成全体的には略四角形状であるが,身の口縁部の少し下の高さから底部にかけて,身の横幅が漸減し,左右とも内側に傾斜している。 また,身の口縁部の略四角形状の角に当たる部分のうちの1つの角には,摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 (イ) イ号意匠(PHシリーズ)と本件意匠の類否a 基本的構成態様イ号意匠(PHシリーズ)と本件意匠は,基本的構成態様において一致する。 b 具体的構成態様(a) 要部における共通点イ号意匠(PHシリーズ)と本件意匠の平面形状における外部輪郭は,全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している点で共通する。 (b) 要部以外の共通点また,イ号意匠(PHシリーズ)については,要部以外にも,本件意匠との間に以下の共通点がある。 ① 身の口縁部の一方の角には摘みが,身の側面壁に対して略垂直に突設されている。 ② 2枚の平板状の小片が身の口縁部に僅かな間隔を開けて平行に突設されている。 (c) 相違点 摘みの形状が,イ号意匠中PHシリーズにおいては,摘みはU字型をした2枚の平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔をあけて平行に突設されている。摘みは,全体として大きな円の円弧 点 摘みの形状が,イ号意匠中PHシリーズにおいては,摘みはU字型をした2枚の平板状の小片から成り,身の口縁部に僅かな間隔をあけて平行に突設されている。摘みは,全体として大きな円の円弧の接線から外側にはみ出さない程度の大きさとなっている。 これに対し,本件意匠では,全体として四角形状に近い。しかしながら,摘み自体の大きさが小さく,看者に強い印象を与えるとはいえないこと,かつ,摘みが左右に分離して形成されているといっても,開封時までは密接しているので,微差にすぎないと考えられる。 カまとめ以上のとおり,本件意匠とイ号意匠とは,本件意匠の要部及び要部を含む基本的形態においてほぼ一致し,非要部において僅かに相違するものである。 よって,両者は全体観察においては,需要者に同一の印象,美感を与える類似の意匠である。 〔被告酒井容器及び被告マルイ包装の主張〕ア原告の主張は争う。 イ本件意匠の類否を判断するに当たっての需要者は,食品製造業者,包装用容器の卸売業者及び一般消費者であり,食品製造業者や包装用容器の卸売業者にあっては,当該包装用容器で包装する食品の保存性,安全性の確保や開封機構の使い勝手が重要な関心事であること,一般消費者としても,容器で食品が包装された商品を購入するとき,摘みの部分を見て開封されていないかを確認して,安全性を判断することになると考えられることからすると,需要者において,視覚を通じて最も注意をひかれる部分(要部)は,平面視や斜め上方から見た形状のみならず,容器を開封するための摘みの部分も含まれ,摘みの部分も容器の意匠の要部を構成すると認めるべ きである。そして,本件意匠登録出願(平成7年1月20日)より前の公知意匠(乙イ1~6記載の意匠,乙イ7,8記載の商品名K-15の容器に ,摘みの部分も容器の意匠の要部を構成すると認めるべ きである。そして,本件意匠登録出願(平成7年1月20日)より前の公知意匠(乙イ1~6記載の意匠,乙イ7,8記載の商品名K-15の容器に係る意匠,乙イ9記載の商品名K-15の容器に係る意匠,乙イ7~9記載の商品名K-25の容器に係る意匠)を参酌すると,原告が要部であると主張する上部から見た形状(平面視形状)は既に公知ないし周知の形状であって本件意匠の要部とはならず,本件意匠の要部は摘みの部分にあるというべきである。 本件意匠とイ号意匠(KVシリーズ,KSシリーズ)は,本件意匠における要部において明らかに相違しているばかりでなく,要部以外の基本的構成態様及び具体的構成態様においても相違しており,看者に対し本件意匠と異なる美感を与えることが明らかである。 よって,イ号意匠(KVシリーズ,KSシリーズ)は本件意匠と類似しない。 ウイ号意匠(PHシリーズ)については,被告明太化成の主張を援用する。 〔被告明太化成の主張〕ア原告の主張は争う。 イ本件意匠登録出願(平成7年1月20日)より前の公知意匠(乙ロ2~9記載の意匠,乙ロ10,11記載の包装用容器K-15及びK-25の意匠,被告酒井容器によって製造され被告酒井容器及び被告明太化成によって販売された包装用容器K-15及びK-25の意匠)を参酌すると,原告が要部であると主張する上部から見た形状はありふれた形態であり,本件意匠の要部とはならない。本件意匠の類否を判断するに当たっての需要者は,食品製造業者,包装用容器の卸売業者及び一般消費者であり,一般消費者の観察形態や本件意匠に係る包装用容器の使用態様等に鑑みると,本件意匠において需要者の注意をひきつける部分(要部)は摘みの部分である。 本件意匠 業者及び一般消費者であり,一般消費者の観察形態や本件意匠に係る包装用容器の使用態様等に鑑みると,本件意匠において需要者の注意をひきつける部分(要部)は摘みの部分である。 本件意匠とイ号意匠(PHシリーズ)は,要部である摘み及び上周縁部において相違する構成を有しており,両意匠の共通点は公知意匠にも表れているようにありふれた形態である。したがって,両意匠を全体的に観察すると,相違点がもたらす美観は共通点がもたらす美観を凌駕し,意匠全体から感得される美観も,本件意匠とイ号意匠(PHシリーズ)とでは異なっている。 よって,イ号意匠(PHシリーズ)は本件意匠と類似しない。 ウイ号意匠(KVシリーズ,KSシリーズ)については被告酒井容器及び被告マルイ包装の主張を援用する。 (4) 争点4(意匠法41条,特許法104条の3第1 項の権利行使の制限)について〔被告酒井容器及び被告マルイ包装の主張〕仮に,本件意匠の要部が原告主張の上部から見た形状(平面視形状)にあるとするならば,本件意匠は本件意匠の出願前に公知であった乙イ7,8記載の商品名K-15の容器に係る意匠,乙イ9記載の商品名K-15の容器に係る意匠並びに乙イ7~9記載の商品名K-25の容器に係る意匠と同一であるか,公然知られた意匠に基づいて,あるいは,乙イ1記載の意匠に基づいて当業者が容易に創作し得たものである。 よって,本件意匠に係る意匠登録は,意匠法3条1項1号,同条2項に違反してなされたものであるから,意匠登録無効審判により無効にされるべきであり(意匠法48条1項1号),原告は本件意匠権を行使することができない(意匠法41条,特許法104条の3)。 〔被告明太化成の主張〕本件意匠は,本件意匠の出願前に頒布された刊行物に記載され,また,本件意匠 8条1項1号),原告は本件意匠権を行使することができない(意匠法41条,特許法104条の3)。 〔被告明太化成の主張〕本件意匠は,本件意匠の出願前に頒布された刊行物に記載され,また,本件意匠の出願前に公然と実施されることにより公知となった,乙ロ10,11記載の包装用容器K-15及びK-25の意匠並びに被告酒井容器によっ て製造され被告酒井容器及び被告明太化成によって販売された包装用容器K-15及びK-25の意匠に類似するので,意匠法3条1項3号に該当し,本件意匠権は無効とされるべきであるから,本件意匠権に基づく権利行使は許されない(意匠法41条,特許法104条の3)。 〔原告の主張〕いずれも争う。 (5) 争点5(損害額)について〔原告の主張〕ア被告酒井容器(ア) 被告酒井容器の被告製品の売上げa 被告酒井容器は,遅くとも平成11年6月頃から,イ号製品を含む被告製品を製造及び販売している。また,本件特許権の成立は平成13年2月2日である。したがって,本件意匠権の侵害による損害又は本件特許権の侵害による損害については,少なくとも平成19年7月から3年分の逸失利益を算出すべきである。 b 被告酒井容器の平成21年2月期の売上げ(被告製品に限られない。)は3億6000万円であり(甲22),このうち少なくとも約3分の1に相当する1億2000万円が被告製品の売上げであると推定される。なぜならば,原告の調査によれば,被告酒井容器においては,甲3の1のカタログ中に記載された取扱商品のうち被告製品以外の製品については,近年需要が減少しており,これらは主力商品ではなく,被告製品が被告酒井容器における最も主要な売上げを上げる商品となっていると考えられるからである。同様の推定により,平成20年2月期の被告製品の売 ,近年需要が減少しており,これらは主力商品ではなく,被告製品が被告酒井容器における最も主要な売上げを上げる商品となっていると考えられるからである。同様の推定により,平成20年2月期の被告製品の売上げは1億円,平成19年2月期の売上げは1億円程度と推定される。被告製品についてのこの3年間の売上げは,大きな変動がないので,被告製品の年間売 上額は少なくとも1億円を下回ることはないと考えられるからである。 c 被告製品中,イ号製品とロ号製品との売上げの比率については明確ではないが,対象となる製品の数の比率(19:5)の割合であると推定する。 (イ) 被告製品の利益率被告酒井容器の被告製品の製造,販売に係る利益率は,20%程度と推定される。 (ウ) 損害額a 逸失利益(a) 以上のとおりであるから,イ号製品に関する原告意匠権侵害による損害として,意匠法39条1項により推定される原告の逸失利益は,以下の計算式のとおり,5066万6666円である。 (1 億2000 万円×〔19/24〕×20%)+(1 億円×〔19/24〕×20%)×2年分=1900 万円+3166 万6666 円=5066 万6666 円(b) また,特許法102条2項により推定される原告の逸失利益は,以下の計算式のとおり,6400万円である。 (1 億2000 万円×20%)+(1 億円×20%)×2 年分=2400 万円+4000 万円=6400 万円(c) 意匠権侵害に基づく損害賠償請求と特許権侵害に基づく損害賠償請求は,イ号製品については,選択的である。 b 弁護士費用被告酒井容器による特許権又は意匠権侵害行為と相当因果関係に ある原告の弁護士費用は,前記原告の逸失利益のうち多いほうの6400万円に対する については,選択的である。 b 弁護士費用被告酒井容器による特許権又は意匠権侵害行為と相当因果関係に ある原告の弁護士費用は,前記原告の逸失利益のうち多いほうの6400万円に対する10%相当額の640万円が相当である。 c 損害の合計よって,被告酒井容器による本件意匠権及び本件特許権侵害行為による原告の損害の合計は,7040万円である。 (エ) 一部請求原告は,上記の損害のうち,被告酒井容器に対し,一部請求として,2500万円を請求する。 イ被告明太化成(ア) 被告明太化成の被告製品の売上げa 被告明太化成は,遅くとも平成11年6月ころから,被告製品を製造,販売している。また,本件特許権の成立は平成13年2月2日である。したがって,本件意匠権の侵害による損害又は本件特許権の侵害による損害については,少なくとも平成19年7月から3年分の逸失利益を算出すべきである。 b 被告明太化成の平成21年2月期の総売上げは約7億円であるとみられるところ,被告明太化成における被告製品の売上げは2億円,平成20年2月期の売上げは2億円,平成19年2月期の売上げは2億円程度と推定される(甲22)。この3年間の売上げは,大きな変動がないので,被告製品の年間売上額は,少なくとも2億円を下回ることはない。 c 被告製品中,イ号製品とロ号製品との売上げの比率については明確ではないが,対象となる製品の数の比率(19:5)の割合であると推定した。 (イ) 被告製品の利益率被告明太化成の被告製品の製造,販売に係る利益率は,20%程度 と推定される。 (ウ) 損害額a 逸失利益(a) 以上のとおりであるから,意匠法39条1項により推定される原告の損害額は,以下の計算式のとおり,9499万9999円である。 度 と推定される。 (ウ) 損害額a 逸失利益(a) 以上のとおりであるから,意匠法39条1項により推定される原告の損害額は,以下の計算式のとおり,9499万9999円である。 (2 億円×〔19/24〕×20%)×3 年分=9499 万9999 円(b) また,特許法102条2項により推定される原告の損害額は,以下の計算式のとおり,1億2000万円である。 (2 億円×20%)×3 年分=1 億2000 万円(c) 意匠権侵害に基づく損害賠償請求と特許権侵害に基づく損害賠償請求は,イ号製品については,選択的である。 b 弁護士費用被告明太化成による特許権又は意匠権侵害行為と相当因果関係にある原告の弁護士費用は,前記原告の逸失利益のうち多いほうの1億2000万円に対する10%相当額の1200万円が相当である。 c 損害の合計よって,被告明太化成による本件意匠権及び本件特許権侵害行為による原告の損害の合計は,1億3200万円である。 (エ) 一部請求原告は,上記の損害のうち,被告明太化成に対し,一部請求として,5000万円を請求する。 ウ被告マルイ包装(ア) 被告マルイ包装の被告製品の売上げa 被告マルイ包装は,遅くとも平成11年6月ころから,被告製品を販売している。また,本件特許権の成立は平成13年2月2日で ある。したがって,本件意匠権の侵害による損害又は本件特許権の侵害による損害については,少なくとも平成19年7月から3年分の逸失利益を算出すべきである。 b 被告マルイ包装の平成21年7月期の総売上げは12億7600万円であり,同期末における被告製品の売上げは1億円,平成20年7月期の売上げは1億円,平成19年7月期の売上げは1億円程度と推定される(甲22)。この3 平成21年7月期の総売上げは12億7600万円であり,同期末における被告製品の売上げは1億円,平成20年7月期の売上げは1億円,平成19年7月期の売上げは1億円程度と推定される(甲22)。この3年間の売上げは,大きな変動がないので,被告製品の年間売上額は,少なくとも1億円を下回ることはない。 c 被告製品中,イ号製品とロ号製品との売上げの比率については明確ではないが,対象となる製品の数の比率(19:5)の割合であると推定した。 (イ) 被告製品の利益率被告マルイ包装の被告製品の売上げに関する利益率は,20%程度と推定される。 (ウ) 損害額a 逸失利益(a) 以上のとおりであるから,意匠法39条1項により推定される原告の損害額は,以下の計算式のとおり,4749万9999円である。 (1 億円×〔19/24〕×20%)×3 年分=4749 万9999 円(b) また,特許法102条2項により推定される原告の損害額は,以下の計算式のとおり,6000万円である。 (1 億円×20%)×3 年分= 6000 万円(c) 意匠権侵害に基づく損害賠償請求と特許権侵害に基づく損害賠償請求は,イ号製品については,選択的である。 b 弁護士費用被告マルイ包装による特許権又は意匠権侵害行為と相当因果関係にある原告の弁護士費用は,前記原告の逸失利益のうち多いほうの6000万円に対する10%相当額の600万円が相当である。 c 損害の合計よって,被告マルイ包装による本件意匠権及び本件特許権侵害行為による原告の損害の合計は,6600万円である。 (エ) 一部請求原告は,上記の損害のうち,被告マルイ包装に対し,一部請求として,2500万円を請求する。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 第3 当裁判所 計は,6600万円である。 (エ) 一部請求原告は,上記の損害のうち,被告マルイ包装に対し,一部請求として,2500万円を請求する。 〔被告らの主張〕否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(技術的範囲の属否)について(1) 構成要件Cの充足性ア構成要件Cは,開蓋防止機能付き密閉容器において,容器本体としての身と蓋とを「それぞれ軟質または半硬質のプラスチックにより形成し,」というものである。 ここで,「軟質または半硬質のプラスチック」の意義は必ずしも明確ではないが,少なくとも硬質のプラスチックを除外していることは文言上明らかといえる。 そして,①本件明細書においては,「【0004】【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の開蓋防止機能付き密閉容器によれば,身が硬質の例えばポリスチロール等のプラスチックであるために,開蓋の要領として,蓋の縁部片を硬質面に沿って切り取りやすいが,身がその材質から衝撃により壊れたりひび割れが生じたりするトラブルが発生するおそ れがあった。…」,「【0012】図1ないし図6は,一実施例を示したもので,その開蓋防止機能付き密閉容器は,それぞれ軟質の安価なポリプロピレンからなる身1と蓋3とからなる小物容器であって,…」と記載され,ポリスチロールは硬質のプラスチックとされ,実施例に使用された軟質のポリプロピレンとは異なる材質のものとして記載されていること,②1994年(平成6年)10月20日株式会社工業調査会発行の「プラスチック大辞典」713頁(乙ロ30)において,「rigidplastic 硬質プラスチック」が「表面硬度や剛性(弾性率など)の大きいプラスチックで,汎用では硬質ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,アクリル樹脂などがある。 …」と説明されているように rigidplastic 硬質プラスチック」が「表面硬度や剛性(弾性率など)の大きいプラスチックで,汎用では硬質ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,アクリル樹脂などがある。 …」と説明されているように,PS(ポリスチロール)が硬質プラスチックであることは当業者に周知の技術的事項であると認められることからすれば,本件発明の「軟質または半硬質のプラスチック」は,硬質のプラスチックであるPS(ポリスチロール)を明示的に除外しているものと解するのが相当である。 これを被告製品についてみるに,被告製品は,前記第2の2(5)アのとおり,いずれも,本体(身)はPP(ポリプロピレン),蓋はPS(ポリスチロール)から成るものであるから,蓋が硬質のプラスチックであるPS(ポリスチロール)により形成されている点において,いずれも本件発明の構成要件Cを充足しないことが明らかである。 イ原告は,物の性質は同じ材質であっても厚み等の形状その他の要素により影響を受けるものであるから,壊れたりひび割れしたりするおそれがなく,密閉が確実となる程度の弾性を有していれば,材質の如何にかかわらず,「軟質または半硬質のプラスチック」に含まれると解すべきであると主張する。 しかしながら,一般に,軟質は「質がやわらかいこと。」,硬質は「質のかたいこと。」を意味するものであり,質は「生まれつき。天性。」を 意味するものであるところ(いずれも広辞苑第4版),本件明細書もその記載(【0004】,【0012】)からして,「軟質」及び「硬質」という用語を,材質,すなわち材料それ自体が有する硬さ(硬度)によって使い分けていることが明らかである(プラスチックである以上,たとえ硬質のものであっても,ある程度の可撓性を有するから,シート状であれば柔軟性を有しているのに対して,厚く が有する硬さ(硬度)によって使い分けていることが明らかである(プラスチックである以上,たとえ硬質のものであっても,ある程度の可撓性を有するから,シート状であれば柔軟性を有しているのに対して,厚くなれば大きな力を加えないと撓まなくなる,すなわち剛性が大きくなることは当然である。本件明細書において,一般的な用法と異なり,あえて硬度ではなく弾性によって「硬質」と「軟質」という用語を使い分けているとは認められない。)から,当業者は,「軟質または半硬質のプラスチック」とは,材質を特定したものであると理解するというべきである。原告の主張は,硬度と弾性(材質それ自体が有する硬さと形状や厚みによって変化する剛性)を混同するものであって,採用することができない。 (2) 構成要件Dの充足性ア構成要件Dは,「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し,」というものである。 そして,上記「環状突片を突設することにより」という文言や,本件明細書の「【0009】【作用】蓋を被せて周縁の被着縁部片を身の起立口縁部に押し込むと,その間が密着することはもちろん,身の縁落し溝に被着縁部片の最端周縁が落ち込むので,この状態においては,蓋の縁に指や爪を掛けてこじ開けることができない。しかし,縁落し溝を形成している環状突片を切取溝で切り取ると,〔判決注:下線は判決において付加。〕蓋の最端周縁が露出するので,そこに指を掛けて蓋を開けることができる。」,「【0013】…そして,環状突片11の形状によりその上に蓋3の捲りを防止する縁落し溝12が形成されている。」との記載,【図1】, 【図4】,【図7】の図示(いずれも身の起立口縁部9の外周面の下端部に断面L字形〔上向きの鍵形 の形状によりその上に蓋3の捲りを防止する縁落し溝12が形成されている。」との記載,【図1】, 【図4】,【図7】の図示(いずれも身の起立口縁部9の外周面の下端部に断面L字形〔上向きの鍵形〕をした環状突片11が外に向かって突き出すように設けられており,環状突片11の断面L字形の下部を底面とし,該L字形の上部を一方の側面,起立口縁部9の外周面の下端部を他方の側面とする縁落し溝12が形成されている。また,環状突片11の,起立口縁部9の外周面の下端部との接続部である突出基端には,下側に開口する切取溝13が設けられている。)並びに構成要件E,Fの記載(環状突片の突出基端にはそれを欠除するための切取溝を,外側の一部にはその切取りのための摘みを設けることを定めている。)によれば,本件発明に係る密閉容器は,身の縁落し溝に被着縁部片の最端周縁を落ち込ませることで流通過程における容器の密閉性を確実にするとともに,縁落し溝を形成する環状突片を切取溝に沿って切り取ることで,蓋の最端周縁を露出させ,開封を可能にする点に特徴があり,構成要件Dはそのために身の起立口縁部の下端部に環状突片を設け,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成することを定めていると認められるから,「その上に」とは,「環状突片の上に」を意味し,「環状突片」とは,その上に「縁落し溝」を形成し,かつ,開封時に切取溝により欠除されるものを意味すると解するのが相当である。 これを被告製品についてみるに,被告製品において環状突片に相当すると認められる部分(KVシリーズにつき別紙部分断面図【図1】の0106b,KSシリーズにつき【図2】~【図7】の0206b,KS-500につき【図8】の0306b,PHシリーズにつき【図9】の0406)は,いずれもその上 リーズにつき別紙部分断面図【図1】の0106b,KSシリーズにつき【図2】~【図7】の0206b,KS-500につき【図8】の0306b,PHシリーズにつき【図9】の0406)は,いずれもその上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む「縁落し溝」を形成しておらず,「環状突片の上に」縁落し溝が形成されていないことが明らかである。 したがって,被告製品は,いずれも構成要件Dを充足すると認めること はできない。 イ原告は,本件発明の実施において,縁落し溝は身の起立口縁部の下端部に来る必要性があるのに対し,縁落し溝が環状突片の上に来る必然性はないのであるから,「身の起立口縁部の下端部に,環状突片を突設することにより,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成し」の「その上に」とは,「環状突片」ではなく,「身の起立口縁部の下端部」を指すと解すべきと主張する。 しかしながら,本件発明に係る密閉容器は,身の縁落し溝に被着縁部片の最端周縁を落ち込ませることで流通過程における容器の密閉性を確実にするとともに,縁落し溝を形成する環状突片を切取溝に沿って切り取ることで,蓋の最端周縁を露出させ,開封を可能にする点に特徴があり,構成要件Dはそのために身の起立口縁部の下端部に環状突片を設け,その上に蓋の被着縁部片の反転先としての最端周縁が落ち込む縁落し溝を形成することを定めていると認められることは前記のとおりであるから,縁落し溝は正に環状突片によって形成されるものであり,縁落し溝が環状突片の上に形成されることは構成要件Dから当然理解される自明の構成というべきである。これと前提を異にする原告の主張は採用することができない。 (3) 構成要件Fの充足性ア構成要件Fは,「外側の一部にはその切取りのための摘 成要件Dから当然理解される自明の構成というべきである。これと前提を異にする原告の主張は採用することができない。 (3) 構成要件Fの充足性ア構成要件Fは,「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,」というものであり,身(環状突片)の外側の一部にその切取りのための「摘みを垂設」することを定めている。この「摘みを垂設」について,本件明細書には,「【0014】開蓋装置5については,環状突片11の基端に,下面開放形の切取溝13を設け,その切取溝13に沿って環状突片11を切り取り得るように,一端において環状突片11に摘み15を突設し,摘み15が下向きの舌片状に形成される。」と記載され,【図1】,【図2】及び【図5】には,摘み15が下向きの舌片状に形成された形状で図示さ れている。また,「垂設」という用語は一般的用語ではないが,「垂」については,「たれること。ぶら下がること。」という意味があり,「垂れる」については,「重みで下にだらりとさがる。先端がさがった状態になる。」という意味があるものと認められる(いずれも広辞苑第4版)。 そうすると,構成要件Fにおける「摘みを垂設」とは,垂れ下がるように,下向きに摘み15が形成されていることを意味するものと解するのが相当である。 これを被告製品についてみるに,被告製品における摘みはいずれも水平方向(容器面に対して平行)に設けられており,垂れ下がるように下向きに形成されたものはない(弁論の全趣旨)。 したがって,被告製品は,いずれも構成要件Fを充足すると認めることはできない。 イ原告は,「摘みを垂設」とは,摘みが容器側面に対して略垂直方向(水平方向)に設けられていることを意味し,そのような構成を備える被告製品はいずれも本件発明の構成要件Fを充足すると主張する。 しかしながら ,「摘みを垂設」とは,摘みが容器側面に対して略垂直方向(水平方向)に設けられていることを意味し,そのような構成を備える被告製品はいずれも本件発明の構成要件Fを充足すると主張する。 しかしながら,かかる用語の使い方は前記した「垂」の字の一般的な意味,用法に明らかに反しており,本件明細書に「垂」ないし「垂設」をそのような特別な意味,用法で使用することについての記載がない以上,上記解釈は採り得ない。したがって,原告の主張は採用できない。 (4) 以上検討したところによれば,被告製品は,いずれも構成要件D,E,Fを充足すると認めることができないから,その余の構成要件について検討するまでもなく,いずれも本件発明の技術的範囲に属しない。 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求は,いずれも理由がない。 2 争点3(意匠の類否)について(1) 本件意匠の構成 証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,本件意匠の構成は,別紙本件意匠説明書記載のとおりであると認められる。 (2) 公知意匠ア本件意匠登録出願(平成7年1月20日)前において,公知であった包装用容器の意匠として,次の意匠を認めることができる。 (ア) 意匠登録第496547号(乙イ1,乙ロ4)の意匠(イ) 意匠登録第496548号(乙イ2,乙ロ5)の意匠(ウ) 意匠登録第524223号(乙イ3)の意匠(エ) 意匠登録第577513号(乙イ4,乙ロ8)の意匠(オ) 意匠登録第593853号(乙イ5,乙ロ7)の意匠(カ) 意匠登録第844986号(乙イ6)の意匠(キ) 意匠登録第786403号(乙ロ6)の意匠(ク) リスパック株式会社発行の商品カタログ「RISUPACKTOTALCATAL 匠(カ) 意匠登録第844986号(乙イ6)の意匠(キ) 意匠登録第786403号(乙ロ6)の意匠(ク) リスパック株式会社発行の商品カタログ「RISUPACKTOTALCATALOG '92/'93」(乙ロ9)55頁記載の商品CVK118-150B(容器本体)とCVK118-TC(蓋)とを組み合わせた意匠イ本件意匠登録出願前において公知であった①プラスチック製気密容器として実開平2-59156(乙ロ2)が,②包装用容器として実開昭59-13465(乙ロ3)が認められる。 ウ証拠(乙イ7~11,12の1及び2,13の1及び2,14~16,21~25,31~37,47,乙ロ10,14~25,検乙イ1,検乙イ2)及び弁論の全趣旨によれば,本件意匠登録出願前に,公然と実施されていた容器K-15(検乙イ1)及びK-25(検乙イ2)が認められる。 エ前記アの意匠は,いずれも蓋と本体(身)から成る容器であり,平面視における外部輪郭は全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相 当する部分は程度の差はあるもののいずれも膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している。また,前記イの①及び②にもそのような意匠が記載され,前記ウの各容器もそのような意匠を有しているものと認められるから,かかる意匠は,包装用容器の意匠として,本件意匠登録出願前に公知のごくありふれた態様であったと認めるられる。 (3) 本件意匠の要部本件意匠は,その意匠に係る物品が包装用容器であり,特に食品の輸送,販売等に利用される包装用容器であること,本件意匠の類否を判断するに当たっての需要者は,包装用容器の卸売業者や食 本件意匠の要部本件意匠は,その意匠に係る物品が包装用容器であり,特に食品の輸送,販売等に利用される包装用容器であること,本件意匠の類否を判断するに当たっての需要者は,包装用容器の卸売業者や食品製造業者のみならず一般消費者も含まれると解すべきことについては,当事者間に争いがない。 容器包装は,内容物の保護,取扱いの便利さ(輸送効率の高さや商品陳列の容易性といった流通上,販売上の利便性のみならず,例えば高齢者や子供でも扱いやすいなど消費者にとっての利便性も含む。),商品情報の提供(内容物の情報を適切に表示する,他の商品との区別を容易にする,異物の混入を防ぐ等)といった様々な機能が求められるものであり,用途との関係でどの機能が重視されるかは需要者によって千差万別であるから,求める機能を適切に果たし得るものであるかどうかを見極めるために,包装用容器に接する需要者としての包装用容器の卸売業者や食品製造業者が容器全体の形状(特に上部から側面にかけての形状)に着目することは明らかである。また,本件意匠に係る包装用容器のように平たい容器で包装された食品(水産加工物や漬物等)は,店頭で平積みに陳列されるのが通常であるから(甲4の3,公知の事実),一般 消費者は容器を斜め上方から眺めることになり,容器全体の形状(特に上部から側面にかけての形状)に着目するものと認められる。 物品の包装用容器,特に食品の輸送,販売等に利用される包装用容器における摘みは,単に開封時に使用されるだけでなく,開封前は容器が未開封であること(食品の安全性)を表示するものでもあるから,それらの役割を果たすに足りる形状,大きさを備えている必要があり,他方で,摘みがいびつな形状をしていたり,大きすぎたりすれば,容器それ自体の美観を損なうとともに,輸送効率や商品陳列に でもあるから,それらの役割を果たすに足りる形状,大きさを備えている必要があり,他方で,摘みがいびつな形状をしていたり,大きすぎたりすれば,容器それ自体の美観を損なうとともに,輸送効率や商品陳列にも影響を与えることになるから,摘み部分がいかなる形状,大きさを備えているかは需要者にとって重要であるといえ,需要者が着目する容器全体の形状には,摘み部分の形状も含まれるものと認められる。そして,平面視における外部輪郭の形状については前記(2)のとおり多数の公知意匠が存在することを参酌すれば,本件意匠の要部,すなわち,本件意匠に係る物品である包装用容器において,摘みの部分が需要者の注意をひく部分であると認めるのが相当である。 これに対し,原告は,①容器の選定や流通過程においては,摘みよりも上部から見た形状が重視されるなどとして,本件意匠の要部は,主に上部から見た形状にある,②本件意匠に係る物品は,具体的には開蓋防止機能付き密閉容器であるのに対し,被告らが主張する公知意匠は,いずれもシールを解除するような構成を採るものではなく,物品の使用態様や外部輪郭以外の形状が明らかに異なっているから,これらの公知意匠が有する構成態様との比較において本件意匠の要部を決することは相当でない,などと主張する。 しかしながら,以下のとおり原告の主張は採用することができない。すなわち,①仮に容器の選定や流通過程において需要者がまず上部から見た形状に着目するとしても,原告が主張する本件意匠の要部(外部輪郭)に関する具体的形状は,「全般的に略正方形の形をしながら,各辺に相当 する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成 する部分については膨らみを帯びた弧状(大きな円の円弧に近い曲線)を成しており,かつ,略正方形の角に相当する部分は,各辺に相当する部分よりも曲率の大きな弧状(小さい円の円弧に近い曲線)を成している…ため,本件意匠は,全体として膨らみを帯びる」というものであるが,当該外部輪郭の形状がいずれも本件意匠登録出願前に,包装用容器の意匠としてごくありふれた態様であったと認められることは上記(2)に認定したとおりであり,そのような態様は,需要者がしばしば目にするところであるから,その注意をひく部分ということはできず,これを意匠の要部と認めることはできない。 また,②本件意匠に係る物品も前記(2)の公知意匠も,共に物品の包装に用いられる容器であることに変わりはなく,本件意匠の要部を判断するに当たって,これらの公知意匠を参酌することは当然というべきである。 (4) 本件意匠と対比すべきイ号意匠の構成証拠(甲3の1及び2,4の1,5の1,6の1,7の1,8,9の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件意匠と対比すべきイ号意匠の構成は,それぞれ次のとおりであると認められる。 ア KVシリーズ1:イ号製品1,3~5(KV-100,KV-200,KV-230,KV-300)別紙イ号意匠(KVシリーズ1)説明書記載のとおり。 イ KVシリーズ2:イ号製品2(KV-160)別紙イ号意匠(KVシリーズ2)説明書記載のとおり。 ウ KSシリーズ1:イ号製品6,7(KS-100,KS-200)別紙イ号意匠(KSシリーズ1)説明書記載のとおり。 エ KSシリーズ2:イ号製品8,9(KS-230,KS-300)別紙イ号意匠(KSシリーズ2)説明書記載のとおり。 オ KSシリーズ3:イ号製品11,12(KS-550,KS-1100)別紙イ号意 リーズ2:イ号製品8,9(KS-230,KS-300)別紙イ号意匠(KSシリーズ2)説明書記載のとおり。 オ KSシリーズ3:イ号製品11,12(KS-550,KS-1100)別紙イ号意匠(KSシリーズ3)説明書記載のとおり。 カ PHシリーズ1:イ号製品13(PH-80)別紙イ号PH意匠1説明書(イ号13)記載のとおり。 キ PHシリーズ2:イ号製品14,16,17,19,20(PH-100,PH-200,PH-220,PH-330,PH-500)別紙イ号PH意匠2説明書(イ号14,16,17,19,20)記載のとおり。 ク PHシリーズ3:イ号製品15(PH-120)別紙イ号PH意匠3説明書(イ号15)記載のとおり。 ケ PHシリーズ4:イ号製品18-1(PH-300)別紙イ号PH意匠4説明書(イ号18-1)記載のとおり。 コ PHシリーズ5;イ号製品18-2(PH-300)別紙イ号PH意匠5説明書(イ号18-2)記載のとおり。 (なお,上記カ~コ及び各掲記の別紙において,「イ号PH意匠○」とあるのは,「イ号意匠(PHシリーズ○)」を意味する。)(5) 本件意匠とイ号意匠との対比ア本件意匠の要部とイ号意匠の構成とを対比すると,それぞれ次の差異が認められる。 (ア) KVシリーズ1:イ号製品1,3~5(KV-100,KV-200,KV-230,KV-300)についてa 本件意匠は,1つの角部に相当する部分に2つの摘みが形成されているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ1)では,3つの摘みが形成されている点b 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成し が形成されている点b 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ1)では,2つの摘みが辺に相当する部分と 平行に突出する方向に細長い長方形状を成し,他の1つの摘みは,ほぼ半月形状を成している点c 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ1)では,いずれも蓋の上面周縁部から離間して形成され,平面視で,いずれも角部に相当する部分の周方向長さに比して十分に短い周方向長さであり,また,1つの摘みは,突出方向と直交する方向の幅が狭く,他の摘みよりも細い長方形状であって,かつ,1つの摘みよりも外方に突出している点d 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ1)では,3つの摘みが周方向に位置がずれてそれぞれ個別に見える位置関係で配置されている点(イ) KVシリーズ2:イ号製品2(KV-160)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ2)では2つの摘みが長方形状を成している点b 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対 リーズ2)では2つの摘みが長方形状を成している点b 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ2)では,いずれも蓋の上面周縁部から離間して形成され,平面視で,いずれも短い辺部分の周方向長さに比して十分に短い周方向長さである点 c 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されているのに対し,イ号意匠(KVシリーズ2)では,2つの摘みが周方向に位置がずれてそれぞれ個別に見える位置関係で配置されている点(ウ) KSシリーズ1:イ号製品6,7(KS-100,KS-200)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成し,滑らかで,容器(蓋)の一部を形成している印象を与えるのに対し,イ号意匠(KSシリーズ1)では2つの摘みが角張った長方形状を成していることで,摘みは容器とは別のような印象を与える点b 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有していることで,容器の丸みのある輪郭形状の一部を形成している印象を与えるのに対し,イ号意匠(KSシリーズ1)では,蓋の上面周縁部から離間して形成され,平面視で,いずれも短い辺部分の周方向長さに比して十分に短い周方向長さであることで,容器とは別物のような印象を与えるとともに,容器の輪郭に凹凸感を与えている点c 本件意匠では,下側の摘みが上側の摘みに全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されていることで, 方向長さであることで,容器とは別物のような印象を与えるとともに,容器の輪郭に凹凸感を与えている点c 本件意匠では,下側の摘みが上側の摘みに全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されていることで,摘みが目立たなくなるのに対し,イ号意匠(KSシリーズ1)では,2つの摘みが個別に見えることで摘みが目立っている点(エ) KSシリーズ2:イ号製品8,9(KS-230,KS-300)についてa 本件意匠は,1つの角部に相当する部分に2つの摘みが形成されて いるのに対し,イ号意匠(KSシリーズ2)では,3つの摘みが形成されている点b 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ2)では上側の2つの摘みのうち1つの摘みは角張った長方形状を,他の1つの摘みは角張った正方形状を,下側の摘みは角張った長方形状を成している点c 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ2)では,いずれも蓋の上面周縁部から離間して形成され,平面視で,いずれも短い辺部分の周方向長さに比して十分に短い周方向長さである点d 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ2)では,3つの摘みが周方向に位置がずれてそれぞれ個別に見える位置関係で配置されている点(オ) KSシリーズ3:イ号製品11,12(KS-550,KS-1100)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部 置がずれてそれぞれ個別に見える位置関係で配置されている点(オ) KSシリーズ3:イ号製品11,12(KS-550,KS-1100)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ3)では2つの摘みが角張った矩形状を成している点b 本件意匠では,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを 有しているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ3)では,いずれも蓋の上面周縁部から離間して形成され,平面視で,いずれも短い辺部分の周方向長さに比して十分に短い周方向長さである点c 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されているのに対し,イ号意匠(KSシリーズ3)では,2つの摘みが周方向に位置がずれてそれぞれ個別に見える位置関係で配置されている点(カ) PHシリーズ1:イ号製品13(PH-80)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しており,かつ,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ1)では,摘みは,上周面から下がった位置において1つの辺の延長方向に延び,かつ,互いに並んで配置された比較的長い帯状の小片と比較的短い帯状の小片とから成り,両小片の先端は,半丸形状である点b 本件意匠では,2つの 面から下がった位置において1つの辺の延長方向に延び,かつ,互いに並んで配置された比較的長い帯状の小片と比較的短い帯状の小片とから成り,両小片の先端は,半丸形状である点b 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ1)では,摘みよりも下方において,かつ,平面視において摘みからずれた位置において,上周縁部(本件意匠の帯状部分に相当)の上下端の中央部付近からから突出する板状の小片(本件意匠の下側の摘みに相当)が形成されている点(キ) PHシリーズ2:イ号製品14,16,17,19,20(PH-1 00,PH-200,PH-220,PH-330,PH-500)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しており,かつ,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ2)では,摘みは,上周面から下がった位置において1つの辺の延長方向に延び,かつ,互いに並んで配置された比較的長い帯状の小片と比較的短い帯状の小片とから成り,両小片の先端は,半丸形状であり,両小片は,平面視L字形の連結体によって連結されている点b 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突 b 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ2)では,摘みよりも下方において,かつ,平面視において摘みからずれた位置において,上周縁部(本件意匠の帯状部分に相当)の上下端の中央部付近からから突出する板状の小片(本件意匠の下側の摘みに相当)が形成されている点(ク) PHシリーズ3:イ号製品15(PH-120)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しており,かつ,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し, イ号意匠(PHシリーズ3)では,摘みは,1つの辺の延長方向に上周面と面一に突出する帯状の小片から成り,その先端は,半丸形状である点b 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ3)では,摘みよりも下方において,かつ,平面視において摘みからずれた位置において,上周縁部(本件意匠の帯状部分に相当)から突出する板状の小片(本件意匠の下側の摘みに相当)が形成されている点(ケ) PHシリーズ4:イ号製品18-1(PH-300)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状 の下側の摘みに相当)が形成されている点(ケ) PHシリーズ4:イ号製品18-1(PH-300)についてa 本件意匠では,2つの摘みは,平面視で,蓋の角部に相当する部分の輪郭形状に沿った円弧状の外周と丸みを帯びた両端部を有し,角部に相当する部分の輪郭形状に沿う細長い形状を成しており,かつ,上側の1つの摘みは蓋の上面周縁部と平坦面を成すように形成され,角部に相当する部分の周方向長さとほぼ同じ長さを有しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ4)では,摘みは,1つの辺の延長方向に延び,かつ,互いに並んで配置された比較的長い帯状の小片と比較的短い帯状の小片とから成り,両小片の先端は,半丸形状であり,両小片は,平面視L字形の連結体によって連結されている点b 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ4)では,摘みの真下に,上周縁部(本件意匠の帯状部分に相当)から突出する板状の小片(本件意匠の下側の摘みに相当)が形成されているものの,平 面視では小片の一部のみが摘みに隠れている点(コ) PHシリーズ5;イ号製品18-2(PH-300)についてa 本件意匠では,1つの角部に相当する部分に容器の上面と平行に外方に突出する2つの摘みが形成されており,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ5)では,そのような摘みがない点b イ号意匠(PHシリーズ5)では,上周縁部 見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,イ号意匠(PHシリーズ5)では,そのような摘みがない点b イ号意匠(PHシリーズ5)では,上周縁部の辺の部分のうちの1つにおいて,摘みが上周縁部の下端から斜め下方に,かつ,身本体部から離れる方向に突出し,摘みは,帯状の小片から成るのに対し,本件意匠では,そのような摘みがない点c 本件意匠では,2つの摘みは,上側の摘みが下側の摘みよりも周方向の長さが長く形成され,平面視で,下側の摘みは全て隠れて見えなくなる位置関係で配置されており,下側の摘みは帯状部分の下端付近から突出しているのに対し,PH意匠5では,そのような小片がない点イ以上のとおり,イ号意匠は,いずれも本件意匠の要部である摘み部分の形状が本件意匠とは明らかに異なっており(PHシリーズ5では摘み部分の形状のみならず摘みが設けられた部位も異なっている。),この点において看者に対し本件意匠とは異なる美感を与えることが明らかである。 また,要部以外の点においても,本件意匠とイ号意匠(KVシリーズ1及びPHシリーズ1~5)とでは,平面視において,外向きに僅かに膨らみを帯びた4つの辺の部分と丸みを帯びた4つの角の部分とから成る略正方形状の輪郭を成している点で共通するものの,かかる形状は,包装用容器の意匠として,本件意匠登録出願前において公知のごくありふれた態様 であったことは前記(2)のとおりであるから,これをもって要部における上記各差異を凌駕するほど共通の美感を看者に与えると認めることはできない。また,イ号意匠(KVシリーズ2及びKSシリーズ1~3)は,原告が共通点であると主張する平面視においても略八角形状の輪郭を成しており,本件意匠のように略正方形状の輪郭を成していると ことはできない。また,イ号意匠(KVシリーズ2及びKSシリーズ1~3)は,原告が共通点であると主張する平面視においても略八角形状の輪郭を成しており,本件意匠のように略正方形状の輪郭を成しているとはいえないことが外観上明らかである。ほかに,イ号意匠を全体的に観察しても本件意匠との間に要部における差異を凌駕するほどの共通点を見いだすことはできない。したがって,イ号意匠は,いずれも本件意匠に類似しているものとは認められない。よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の意匠権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求は,いずれも理由がない。 3 結論以上によれば,原告の被告らに対する請求は,いずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 岡本岳 裁判官 坂本康博 裁判官 寺田利彦 (別紙)イ号製品目録番号品番幅奥行き高さ KV-100 24.5 KV-160 KV-200 34.5 KV-230 KV-300 KS-100 KS-200 KS-230 KS-300 (欠番) KS-550 KS-1100 PH-80 PH-100 PH-120 KS-1100 PH-80 PH-100 PH-120 PH-200 PH-220 18-1PH-300 18-2PH-300 PH-330 PH-500 ※単位はいずれも㎜(ミリメートル)。 ※18-1及び2は,同一の品番だが摘みの形状が異なる。 (別紙)ロ号製品目録番号品番幅奥行き高さ KVL-300 PH-600 PH-7S 4~10(欠番) KS-500 PH-500K ※単位はいずれも㎜(ミリメートル)。 (別紙)部分断面図 【図1】(KVシリーズ) 【図2】(KS-100) 【図3】(KS-200) 【図4】(KS-230) 【図5】(KS-300) 【図6】(KS-550) 【図7】(KS-1100) 【図8】(KS-500) 【図9】(PHシリーズ) 以上 以上
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