主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,チボリ・ジャパン株式会社に対し,原判決添付別紙4「貸付一覧表」(以下「本件貸付一覧表」という)記載の「貸付期間」欄に記載した各期間において,各期間に対応する「貸付金額」欄記載の各金員を貸し付けてはならない。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 以下のとおり訂正し,2で当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,控訴人らは,当審において,従前の予備的請求のみに請求を減縮した。 (1) 原判決2頁につき,ア 14行目の「242条の2」を「232条の2」に改める。 イ 15行目から16行目にかけての「別紙1から3のとおり又は」を削る。 (2) 同8頁2行目の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 しかも,倉敷市の財政悪化は類似都市と比較しても急激である。岡山市,姫路市,福山市と比較しても,市民1人あたりの税等総額は平成5年度には最上位だったのが,3番目となり,また,平成10年度には,財政力指数も1を切り,経常収支比率では最下位となった。」(3) 同16頁1行目冒頭から9行目末尾までを以下のとおり改める。 「 倉敷市の財政力指数が平成10年度に1を切り,交付団体となったことは事実であるが,財政力指数の低下は,バブル経済崩壊後の全国的な傾向であり,税収の伸びの著しい鈍化が最大の原因である。近隣類似都市においても同様の傾向を示しているが,とくに立地企業からの税収が多い倉敷市においては,他市に比べ税収の落ち込みがより大きくなったものである。また,経常収支比率についても同様である。」(4) 似都市においても同様の傾向を示しているが,とくに立地企業からの税収が多い倉敷市においては,他市に比べ税収の落ち込みがより大きくなったものである。また,経常収支比率についても同様である。」(4) 同24頁8行目の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 控訴人らは,本件貸付の手続要件について,前記2(2)イ(ア)bの(g)のとおり主張するが,現行法上,そのような手続を求めている法令はない。」 2 当審における当事者の主張(1) 控訴人らの主張ア公益上の必要性の判断基準原判決は,結論的には広範な裁量論を前提として,その逸脱・濫用がある場合に違法と認める立場をとっているという点において不当である。 今日の行政の多様化からすれば,行政裁量に対しては司法積極主義が妥当するというべきである。すなわち,三権分立,法治主義の原則,さらには地方自治については住民訴訟を認め,間接民主制を補完するものとして直接民主制の原理が導入されていることを考慮すれば,特に地方自治の行政のあり方については,司法積極主義により行政裁量の範囲を限定的に捉えて判断する必要がある。原判決の考え方は,結局のところ,控訴人らに公益上の必要性の立証責任を負担させる結果となるものにほかならず,控訴人ら住民に過度な負担を与えるものである。 したがって,公益上の必要性については,控訴人らが主張する7つの基準をベースに端的にその有無について判断すべきである。 イ当初計画の破綻(ア) α公園事業についての事業予測見通しの誤り① α公園事業については,株式会社長銀総合研究所を介して17社に対して中核企業としての参画意向聴取を行ったが,テーマパークが低収益事業であること,企業としての方向性が明確でないことから,平成4年9月30日時点で参画企業はなかった。民設民営により事業運営するには中核 中核企業としての参画意向聴取を行ったが,テーマパークが低収益事業であること,企業としての方向性が明確でないことから,平成4年9月30日時点で参画企業はなかった。民設民営により事業運営するには中核企業の参画が不可欠なため,平成4年12月ころより,岡山県は,阪急電鉄株式会社(以下「阪急電鉄」という)と接触し,参画要請と協議を続け,阪急電鉄も参画に向けて「構想原案」(平成5年2月α公園事業計画)の検討を重ね,平成5年12月,「α公園計画企画案」(甲154)を岡山県に提出した。交渉の過程で,岡山県は阪急電鉄の要求に種々譲歩し,46億円の支援,出資及び低利融資・無利子融資の拡大,娯楽性の強化を図り,「構想原案」に大幅な修正を加えた。これは,岡山県が,阪急電鉄が中核企業として参画するか否かが事業を進める上で死活問題と考えていたからである。しかし,阪急電鉄は事業採算性を緻密に検討した結果,平成6年2月,事業見通しが立たないことから中核企業としての参画を断念し,α公園事業から撤退した。やむなく,岡山県は中核企業による民設民営方法を諦め,岡山県が事業費の一部185億円を直接に支出して事業を進めることとし,同月25日,一部公設民営方法に計画を変更したが,計画変更にあたり,岡山県は事業計画の見直しを行わなかった。また,岡山県は,同議会に対し,株式会社アイ・ピー・コンサルタンツや阪急電鉄等が作成した報告書類を提出しなかったため,同議会においてこれらを踏まえた収支見通しの議論は行われなかった。 ② α公園事業の当初計画当時,テーマパークを巡る経営状況は厳しく,ニッセイ基礎研究所の調査報告によれば,年間入場者が目標を割り込んでいるところが多く,景気後退の影響もあって収支採算面でも大半が目標ぎりぎりの達成か見込みを下回る結果となっており,計画段階での市場分析の甘 基礎研究所の調査報告によれば,年間入場者が目標を割り込んでいるところが多く,景気後退の影響もあって収支採算面でも大半が目標ぎりぎりの達成か見込みを下回る結果となっており,計画段階での市場分析の甘さが浮き彫りとなっていると指摘されていた。 ③ 岡山県は,このような中核企業として参画を期待した企業の動向,テーマパークを巡る経営状況を踏まえると,α公園事業を一部公設民営方法で進めるにあたって慎重な検討を行うべきだったのであり,それを行っていれば,岡山県は,事業採算性の見通しが立たないこと,少なくとも非常に困難であることを容易に知ることができる状況であった。 ④ 倉敷市は,平成6年2月,岡山県からα公園事業への参画の要請を受けたが,岡山県等の説明を鵜呑みにしてα公園事業の採算性については何ら精査することなく,チボリ・ジャパンに対する15億円の出資及び85億円の無利子ないし低利融資の実施を決定した。 (イ) 当初収支見通し平成6年8月30日,入込客数年間200万人,消費単価5300円,経常利益黒字転換開業10年目以前,累積損失一掃開業23年目以前との事業計画が策定され,平成7年11月21日,消費単価を5306円,経常利益黒字転換開業7年目,累積損失一掃開業18年目と修正され,平成9年7月18日,α公園は開園した。 (ウ) 開園後の入場者数,消費単価,累積赤字の推移平成9年度 298万6471人 4700円 10億6800万円同10年度 294万1021人 4559円 14億4822万円同11年度 238万0300人 4300円 26億0164万円同12年度 181万9548人 4075円 45億4216万円同13年度 134万0072人 3812円 72億0242万円(エ) (ウ)のように,平成12年度より予測入込客数を割り込み,平成14 同12年度 181万9548人 4075円 45億4216万円同13年度 134万0072人 3812円 72億0242万円(エ) (ウ)のように,平成12年度より予測入込客数を割り込み,平成14年度も約112万人(平成15年1月までの入場者数101万6147人)と大幅に割り込む見込みである。また,累積赤字は平成13年度で72億円(当初予想は50億円)を超過しており,この不況の中,上昇の一途をたどっている。チボリ・ジャパンの包括外部監査の結果報告書(甲183)は,「平成13年4月19日,代表者が交代し,大幅な経営改革に乗り出した。入園者数を120万人,消費単価を3600円と見直し,高コスト体質から脱却するために,過剰な設備の見直し,徹底した費用の削減を図ることとした。」と述べ,当初計画の破綻を認めている。 (オ) また,代表者交代に伴う徹底したコスト削減により,定番ショーやチボリ・ウインドアンサンブルが廃止され,植栽管理委託業務が見直される結果となった。このことは,岡山県や倉敷市が主張するところのα公園事業の柱である文化性,公共性が放棄されたことを意味している。 ウ原判決は,都市施策としての効果が大きいなどとし,その理由として「α公園は,県民及び県外の観光客を対象とした大型観光資源としての意味を持ち,その経済効果による地域振興,倉敷市,特にβ駅北地区の都市開発の起爆剤としての効果などを有している」とし,さらに,「α公園は,全国的に名が知られるに至っており,倉敷市の知名度やイメージの向上にも貢献していることがうかがわれる」などと認定しているが,これらは全く事実に反するものである。 (ア) 倉敷市を訪れる観光客の推移については,以下の特徴を認めることができる。 ① 倉敷市全体の観光客数は,昭和58年から増加してγ大橋が開通した昭和63年に これらは全く事実に反するものである。 (ア) 倉敷市を訪れる観光客の推移については,以下の特徴を認めることができる。 ① 倉敷市全体の観光客数は,昭和58年から増加してγ大橋が開通した昭和63年にピークに達し,その後は減少傾向が続き,γ大橋開通後では阪神淡路大震災があった平成7年が最も少なく,翌年は若干増加し,α公園が開園した平成9年,平成10年と増加し,その後は減少それも激減傾向にある。また,平成10年以降の激減傾向はα公園入園者数の激減にほぼ比例している。 ② 倉敷美観地区及びδ山は,γ大橋が開通した昭和63年にピークに達し,その後は若干増加した年もあるが,ほぼ減少傾向にある。 ③ ε美術館は,阪神淡路大震災が起こった平成7年に激減となり,翌平成8年は持ち直したものの,その後は減少傾向にある。 ④ 倉敷市全体の宿泊者数は,平成6年以降増加し,α公園開業後の平成10年にピークに達し,その後は減少し,平成13年には開園前の平成8年以前よりも下回るに至っている。 (イ) 以上の事実から,α公園は,次のような施設であるといえる。 ① α公園は,開業ブームにより開業時のみが賑わった一時的かつ短命の観光施設であり,到底長期的な計画や展望に耐えうる施設ではない。平成10年以降のα公園の入場者数の激減状況がそのことを端的に示している。 ② α公園は,倉敷市の既存の観光資源と全く融和しない独自の施設である。すなわち,α公園が開業し,倉敷市全体の観光客が増加した平成9年以降,δ山はもちろん,α公園からほど近い美観地区でも観光客が減少し続けているのである。 (ウ) したがって,α公園は,大型観光資源としての意味を有しているとは到底考えられないし,倉敷市の知名度やイメージの向上に貢献しているものではなく,むしろ,これまで長年にわたって築いてきた「白壁の町倉敷」等の がって,α公園は,大型観光資源としての意味を有しているとは到底考えられないし,倉敷市の知名度やイメージの向上に貢献しているものではなく,むしろ,これまで長年にわたって築いてきた「白壁の町倉敷」等の倉敷に対するイメージを大幅にダウンさせるものであるとしか考えられない。 エ倉敷市には財政的余裕がなく,チボリ・ジャパンに対する本件貸付は,倉敷市の財政の健全性を損ねるものである。すなわち,倉敷市の財政の悪化は,平成12年度決算においても,平成11年度決算から大きな改善がみられず,α公園への支出を代表とする大型事業優先政策が倉敷市の財政を歪めていることがさらに明白となっている。 (ア) 財政力指数について,姫路市と比較すると,20年前には倉敷市の方がかなり良好であったものが平成11年度には逆転し,倉敷市の方が急激に悪化している。これは,α公園をはじめとする大型事業に椀飯振舞したことに起因するものというほかない。 (イ) 公債費比率についても,起債残高は姫路市の方が多いが,公債費比率でみると,平成13年度には,倉敷市の方が高くなっている。 (ウ) 経常収支比率についても,倉敷市においては,80パーセント後半に及んでおり,姫路市よりも約10パーセント高いだけでなく,その進行が急速である。 これは,すなわち,公債費をはじめとする義務的経費が経常一般財源の80~90パーセントを占めており,投資的経費や積立金に回す財源は残る10~20パーセントしかないということであり,まさに,財政硬直化というべき状態である。 (エ) 市税収入も景気を反映して低下傾向にあるのはやむを得ないとしても,姫路市に比べると,倉敷市の落ち込み方が激しい。α公園誘致による波及効果はなかったといえよう。 (オ) 起債残高は,平成4年度以降急激に増大しており,平成14年度においては,約147 ないとしても,姫路市に比べると,倉敷市の落ち込み方が激しい。α公園誘致による波及効果はなかったといえよう。 (オ) 起債残高は,平成4年度以降急激に増大しており,平成14年度においては,約1470億円に及んでいる。 (カ) 積立金残高は,平成3年度以降急減しており,平成14年度には,平成3年度の26パーセントの約70億円しかなく,144パーセント(約340億円)となっている姫路市と対照的である。 (キ) 上記のように見ていくと,倉敷市の財政が危機的な状況にあることは明らかである。 オ以上のとおり,α公園事業の当初計画は極めて杜撰なものであったのに,倉敷市は公金支出にあたりα公園事業の採算性について何ら精査することなく,岡山県にいわれるままに参画し,結果として,当初計画は収益性,公共性のいずれの面からも完全に破綻したものである。しかも,α公園は,大型観光資源としての意味を有しているものでも,倉敷市の知名度やイメージの向上に貢献しているものでもない上,倉敷市の財政が危機的な状況にあるにもかかわらず,被控訴人は何ら今までの融資計画を見直すことなく,今後も当初の計画通りに本件貸付を実行しようとしているのである。したがって,本件貸付は,公益上の必要性を欠く違法なものであるというべきである。 (2) 被控訴人の主張ア当初計画破綻の主張について(ア) 当初計画について,倉敷市がα公園事業に参画する前の状態は知らない。 倉敷市が,平成6年2月,岡山県からα公園事業に参画するよう依頼を受けたことは認めるが,倉敷市が岡山県等の説明を鵜呑みにしてα公園事業の採算性について何ら精査しなかったという点については否認する。倉敷市は当初計画を十分検討した上,市議会全員協議会等の審議を経て,平成6年4月6日,倉敷市議会臨時会で出資金5億円,平成7~8年の計10億 性について何ら精査しなかったという点については否認する。倉敷市は当初計画を十分検討した上,市議会全員協議会等の審議を経て,平成6年4月6日,倉敷市議会臨時会で出資金5億円,平成7~8年の計10億円の債務負担行為等が議決され,その後の出資金,貸付金の増額についても倉敷市議会で審議し議決された。 (イ) 当初収支見通し並びに開園後の入場者数,消費単価及び累積赤字の推移は認める。また,被控訴人が無利子,低利融資を行っていることは認める。そして,平成13年4月にチボリ・ジャパンの代表者が交代して,大幅な経営改善に着手し,事業計画の見直しにより定番ショーやチボリ・ウインドアンサンブルが廃止され,植栽管理委託業務が見直されたことは認める。 (ウ) 当初計画が破綻したとの主張及び文化性,公共性を放棄したとの主張並びに本件貸付が違法であるとの主張については,いずれも争う。 イチボリ・ジャパンは,観光が全国的に危機的環境にある中で,公益性,文化性に留意しながら,経営の改善に努めており,控訴人らが主張するように計画が破綻した状況ではない。 (ア) α公園は,世代を超えて,県民,市民の集いの場として,文化の交流・融合の舞台としての役割を果たしている。具体的には,プレーネンステージ,カルケバレン劇場,ミュージックパビリオン,こども劇場などでの催し物等である。 (イ) 平成15年6月30日公表されたチボリ・ジャパンの営業報告書等によれば,営業状況は現在の厳しい営業環境下,営業の効率化に努め,支出面として経費約15億円(前期比2割)を削減した。しかし,平成14年度における入園者数は前期比13パーセント減の116万人と厳しい結果となった。 損益面では,経常損失は8億1300万円,当期損失は1億7600万円となった。 しかし,損失計上とはいえ,チボリ・ジャパンの平成 園者数は前期比13パーセント減の116万人と厳しい結果となった。 損益面では,経常損失は8億1300万円,当期損失は1億7600万円となった。 しかし,損失計上とはいえ,チボリ・ジャパンの平成14年度の当初の見込みの当期損失が4億3800万円であったことと比較すると,2億6200万円の損失圧縮ができ,見込みを大幅に上回る改善結果となった。 ウ控訴人らが主張している倉敷市の財政に関する数値は概ね事実であるが,控訴人らが主張するように,倉敷市の財政が危機的な状況にあるわけではなく,近隣の中核市(岡山市,福山市,高松市,姫路市)と比較しても遜色があるものではない。 (ア) 財政力指数の低下は,他市においても同様の傾向にある。倉敷市の低下がやや大きいのは(平成6年度においては,1.08であったのが,平成14年度では0.84),基準財政収入額の伸びの鈍化・低下が主な原因である。これは,倉敷市がζコンビナートを中心とする重厚長大型産業の業績に関連した税収のウエイトが高い構造となっており,近年の景気低迷の影響が他市よりも大きいためである。 (イ) 公債費比率については,姫路市を除く他市では,倉敷市と同様の傾向にある。これは,国の数次にわたる景気対策に呼応して,市債を財源として公共事業の拡大を行ったことや保健福祉施策など新たな市民ニーズに呼応するために,市債を発行したことによる増加が主な要因である。 (ウ) 経常収支比率についても,姫路市を除く他市では概ね倉敷市と同様の傾向にある。これは,税収の伸びの鈍化に加えて,公債費や扶助費などの義務的経費が増加したことが大きな要因である。 (エ) 1人当たりの市税収入について,倉敷市の落ち込みが他市に比べて大きいのは事実である。これは,(ア)で述べたと同じ原因によるものである。 (オ) 積立金残高について,他 ことが大きな要因である。 (エ) 1人当たりの市税収入について,倉敷市の落ち込みが他市に比べて大きいのは事実である。これは,(ア)で述べたと同じ原因によるものである。 (オ) 積立金残高について,他市に比べて倉敷市が少ないのは事実である。ただし,倉敷市は起債残高が他市に比べて低いから,実質的な負債は,他市に比べて多いとはいえない。 エチボリ・ジャパンへの支出による財政負担について(ア) 出資金の15億円については,平成6年度から平成8年度までの3年間に各5億円に分割して支出するなど負担の平準化を図っており,倉敷市の財政規模からいえば,その比率は僅少であり,他の投資的経費を圧迫するようなものではない。 (イ) 貸付金85億円については,単年度の一時貸付,すなわち,年度内に貸付金が償還される貸付としているため,予算上,歳出に貸付金を計上するとともに,歳入にも貸付金元利収入を充当し,市税等の一般財源を必要としないので,直ちに他の事業に影響を及ぼすものではない。また,貸付金は,平成15年度では59億5810万円に減額されており,今後さらに貸付額は逓減されるとともに,貸付は平成23年度までとされており,貸付金額,貸付期間を長期・固定化させず,倉敷市の財政に影響を及ぼさないように配慮されている。 オ以上のように,本件貸付は,支出方法においても正当であり,その貸付金額についても倉敷市の財政規模や財務状況からみて,全く問題となるものではなく,本件貸付が倉敷市の財政の健全性を損ねるものではない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの本件請求は理由がないからこれを棄却すべきであると判断する。その理由は,以下のとおり訂正し,当審における控訴人らの主張について2のとおり付加するほかは,原判決の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これ いからこれを棄却すべきであると判断する。その理由は,以下のとおり訂正し,当審における控訴人らの主張について2のとおり付加するほかは,原判決の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 主たる争点(1)ア及びイ(本案前の要件)についてア原判決25頁25行目の「残金67億0830円」を「残金67億0830万円」と改める。 イ同26頁14行目冒頭から22行目末尾までを以下のとおり改める。 「ク平成13年度分ないし平成15年度分倉敷市は,平成13年4月には,チボリ・ジャパンに対し,無利子で12億5000万円を,年1パーセントの利率で61億2490万円を貸し付け,平成14年4月及び平成15年4月にも,チボリ・ジャパンに対し,本件貸付一覧表に記載のとおりの貸付を行ったことが窺われる。 ケ平成16年度分以降倉敷市は,平成16年度以降も本件貸付一覧表に記載のとおりの貸付を行うことを予定している。ただ,これらの貸付については,各年度の予算に貸付金として計上し,市議会の議決を経なければ,これを執行することはできないものである。」ウ同26頁末行冒頭から27頁14行目末尾までを以下のとおり改める。 「(2) 以上のように,倉敷市は,平成9年度分から平成15年度分まで毎年チボリ・ジャパンに対して貸付を行っており,平成16年度分から平成23年度分までについても貸付を行う予定であり,これまでの経緯からすると,平成16年度以降平成23年度分までの各年度の貸付についても,市議会の議決を得られる蓋然性は高いと認められる。そうすると,平成16年度以降平成23年度に予定される各貸付は,単にその可能性が漠然と存在するというだけでなく,その具体的可能性が客観的にあるものというべきである。したがって,本件貸付は,法242条1項にいう『 成16年度以降平成23年度に予定される各貸付は,単にその可能性が漠然と存在するというだけでなく,その具体的可能性が客観的にあるものというべきである。したがって,本件貸付は,法242条1項にいう『当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合』に該当すると認めることができる。」(2) 主たる争点(2)ア及びイ(本件貸付の違法性)についてア原判決28頁4行目冒頭から15行目の「(2)」までを削る。 イ同30頁16行目の「証拠」から19行目末尾までを以下のとおり改める。 「 証拠(甲53,54,56,58,60,73,74,76,108ないし111,116,117,148,151ないし161,164,183,185,188,193,195,乙4,5,8,9,12,14の(1),18の(1),22ないし45,47,48,50の(1),52,57ないし59,60の(1)ないし(12)の各①,②,62,63,65ないし67,70,72の(1),73ないし95)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。」ウ同32頁につき,(ア) 9行目の「同月26日」を「同月」と改める。 (イ) 末行の「岡山県知事は」を「岡山県知事から」と改める。 エ同34頁16行目の「続いて同月19日に」を「平成9年2月19日に」と改める。 オ同35頁につき,(ア) 9行目の「3項」を「4項」と改める。 (イ) 11行目の「4項」を「5項」と改める。 カ同37頁9行目の「関係住民へ」を「関係住民等へ」と,「評価書」を「評価調書」と各改める。 キ同40頁16行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 ところが,平成11年度から平成13年度までの入園者数は,約238万人,約182万人,約134万人と減少し,それに伴って,平成13年度の累積赤字は 6行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 ところが,平成11年度から平成13年度までの入園者数は,約238万人,約182万人,約134万人と減少し,それに伴って,平成13年度の累積赤字は約72億円と当初予想の50億円を大幅に上回る結果となった。そのため,平成13年4月19日にチボリ・ジャパンの代表者が交代し,大幅な経営改革に乗り出し,定番ショー(ミュージカル『新ハンスの冒険』など)やチボリ・ウインドアンサンブルが廃止され,植栽管理委託業務も見直されるなど,大幅なコストの削減が図られた。その結果,平成14年度においては,入園者数は約116万人に減少したが,当期損失は約1億7600万円に抑えられた。」ク同41頁8行目の「766億円」を「746億円」と改める。 ケ同42頁10行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「(エ) ところが,長引く不況もあって,倉敷市全体の観光客数は,平成10年度をピークにその後は大幅に減少し,平成13年度には,平成8年度をやや上回る程度となり,宿泊者数も同様に減少している。」コ同42頁11行目冒頭から43頁15行目末尾までを以下のとおり改める。 「カ倉敷市の財政状況倉敷市の財政に関する推移は,別紙推移表(1)ないし(18)のとおりである。 (ア) 財政力指数(基準財政収入額/基準財政需要額で求められた数値の過去3年間の平均値)については,別紙推移表記載(2)のとおり,倉敷市では,平成10年度に0.98と1を下回り,その後も低下しているが,近隣の岡山市,福山市,高松市,姫路市においても同様の低下傾向にある。 (イ) 公債費比率(それぞれの自治体で,毎年度の公債費に充当された一般財源の標準財政規模に対する比率)については,別紙推移表記載(5)のとおり,倉敷市においては,姫路市を除く他市と同様に上 ある。 (イ) 公債費比率(それぞれの自治体で,毎年度の公債費に充当された一般財源の標準財政規模に対する比率)については,別紙推移表記載(5)のとおり,倉敷市においては,姫路市を除く他市と同様に上昇していたが,平成14年度には平成13年度に比べて若干減少し,姫路市とほぼ同じで,近隣の他市と比較すると低い。 (ウ) 経常収支比率(その団体の財政構造の弾力性を測る比率。一般の都市にあっては75パーセント程度が適当であると考えられ,さらにこれよりも5パーセントを超えると,その自治体は弾力性を失いつつあると考えられる)については,別紙推移表記載(6)のとおり,姫路市を除く近隣の他市と同様の傾向にあり,財政構造の硬直化が進んでいる。 (エ) 積立金残高については,別紙推移表記載(15)のとおり,近隣の他市に比べて低いが,同表記載(13)のとおり,起債残高はほぼ横ばいとなっている。」サ同44頁6行目の「ものであり」から7行目にかけての「同じである」までを「ものである」と改める。 シ同45頁につき,(ア) 8行目の「250万人」を「294万人」と改める。 (イ) 14行目末尾の次に以下のとおり加える。 「 その後は,長引く不況の影響もあって,入園者数は大幅に減少し,また,宿泊者数も大幅に減少したが,それでも平成14年度の入園者数は約116万人と,年間100万人を超えている。」(ウ) 19行目冒頭から22行目末尾までを削る。 ス同46頁24行目冒頭から47頁11行目末尾までを以下のとおり改める。 「エ (2)で認定したように,α公園事業については,入園者数の大幅な減少という事態を受けて,入園者数及び消費単価についての当初の見通しを大幅に見直す必要性が生じたことは明らかである。しかし,実際に大幅な見直しが行われた結果,一定の成果を上げたことも認めら の大幅な減少という事態を受けて,入園者数及び消費単価についての当初の見通しを大幅に見直す必要性が生じたことは明らかである。しかし,実際に大幅な見直しが行われた結果,一定の成果を上げたことも認められるのであって,現時点においては,α公園事業自体が破綻したとまでは認められない。 一方,倉敷市の財政状況についても,財政力指数は1を下回り,また,財政構造の硬直化が進んでいるが,本件貸付においては,単年度の貸付という方法をとっており,その額(平成16年度では,52億4970万円)も倉敷市の財政規模(平成12年度の歳入歳出額は約1570億円。乙72の(1))からすると,明らかに過大なものであるとまではいえない。 したがって,本件貸付について,その支出の方法・支出額が不相当であるとはいえない。」セ同47頁21行目の「平成14年度」を「平成16年度」と改める。 2 当審における控訴人らの主張について(1) 控訴人らは,α公園事業の当初計画は極めて杜撰なものであったのに,倉敷市は公金支出にあたりα公園事業の採算性について何ら精査することなく,岡山県にいわれるままに参画し,結果として,当初計画は収益性,公共性のいずれの面からも完全に破綻したものである,しかも,α公園は,大型観光資源としての意味を有しているものでも,倉敷市の知名度やイメージの向上に貢献しているものでもない上,倉敷市の財政が危機的な状況にあるにもかかわらず,被控訴人は何ら今までの融資計画を見直すことなく,今後も当初の計画通りに本件貸付を実行しようとしているのであるから,本件貸付は,公益上の必要性を欠く違法なものであると主張する。 (2) 控訴人らは,(1)の主張の前提として,法232条の2の「公益上の必要性」については,控訴人らが主張する7つの基準をベースに端的にその有無について判断 性を欠く違法なものであると主張する。 (2) 控訴人らは,(1)の主張の前提として,法232条の2の「公益上の必要性」については,控訴人らが主張する7つの基準をベースに端的にその有無について判断すべきである旨主張する。たしかに控訴人らが主張する基準には聴くべき点があるけれども,訂正の上引用した原判決理由説示のとおり,寄附又は補助の要否についての決定は,その事柄の性質上,諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断を要するものであるから,「公益上の必要性」についての判断において,必ずしも控訴人らが主張する7つの基準を満たさなければならないということはできず,当該政策的判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合に,初めて当該寄附又は補助が違法と評価されることになるものといわざるを得ない。したがって,控訴人らの主張は採用できない。 (3) 控訴人らは,(1)のとおりの主張をするところ,阪急電鉄が作成した平成5年12月付けα公園計画企画案(甲154)には,「本企画案から基本計画・実施計画へと進行させるためには,検討を重ねてきた商圏や需要予測についての,より精度の高いマーケティングと,一方では,パーク全体の運営・サービスに係わるソフトプログラムの検討が必要である。数年前日本中を席巻したリゾート・テーマパーク時代にオープンした多くのパークは,今バブル経済の崩壊と,それに続く不景気の波にさらされ,その殆どが経営不振に苦しんでいる。」等の記載がなされていたところ,岡山県は,上記企画書案を同議会には提出しなかったこと(甲159の20頁参照),現実にα公園について,当初計画の年間200万人の入園者数を維持することができなかったこと,入園者数の大幅な減少という事態を受けて,α公園事業の当初計画はその見直しを余儀なくされ,実際に見直されたこと,倉敷 園について,当初計画の年間200万人の入園者数を維持することができなかったこと,入園者数の大幅な減少という事態を受けて,α公園事業の当初計画はその見直しを余儀なくされ,実際に見直されたこと,倉敷市の財政状況には厳しいものがあることは事実である。しかしながら,訂正の上引用した原判決理由説示のとおり,倉敷市はα公園事業への参画について,倉敷市議会等において採算性を含めて審議をし,α公園事業が倉敷市の都市施策等と合致することからα公園事業への参画を決定したこと,α公園開園から3年間は当初計画の入込客数を大幅に上回る結果であったこと,景気の低迷による影響等のために入園者数等が減少したことを受け,α公園事業の当初計画についての見直しが行われた結果,経費節減が図られる等一定の成果を上げたことも認められる。これらの点に照らすと,α公園事業の当初計画において長期的な入込客数等についての見通しの甘さがあったことは否定できないものの,現時点においては,当初計画の見直しが,収益性及び公共性の面で,α公園事業自体の破綻までを意味するものとは認められない。また,平成14年度の入園者数が約116万人と100万人を超えていること,ε美術館との共通入場券を販売するなど倉敷美観地区との連携等を図っていること(乙92)等に照らすと,α公園が,大型観光資源としての意味を有していないとか,倉敷市のイメージをダウンさせるものであるとの控訴人らの主張も,直ちには採用できない。さらに,倉敷市の財政状況についても,倉敷市の財政規模,本件貸付が1年毎の貸付という方法によるものであること等に照らすと,倉敷市に本件貸付をする財政的余力がなく,本件貸付を実施することによって倉敷市の財政の健全性を損ねるとまでは認められない。 以上によれば,現時点においては,本件貸付の実施が公益上の必要性を らすと,倉敷市に本件貸付をする財政的余力がなく,本件貸付を実施することによって倉敷市の財政の健全性を損ねるとまでは認められない。 以上によれば,現時点においては,本件貸付の実施が公益上の必要性を欠くものであるとは認められず,被控訴人が,α公園事業の当初計画の見直しに伴う融資計画の見直しを行わないで本件貸付を実施しようとしていることが,その裁量権を逸脱し又は濫用するものとも認められない。したがって,控訴人らの主張は採用できない。 第4 結論よって,原判決は相当であって本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所岡山支部第2部裁判長裁判官前川鉄郎裁判官岩坪朗彦裁判官横溝邦彦
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