平成28(わ)485 証拠偽造,偽造証拠使用,地方公務員法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成28年10月4日 札幌地方裁判所
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判決文本文2,590 文字)

- 1 - 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成26年4月1日から,A警部補としてA警察本部・・・・・●●係長の職にあって麻薬,覚せい剤その他の薬物に関する犯罪等の捜査に従事していたものであるが,第1 Bと共謀の上,平成27年4月9日頃,a 市b 区・・・・・A警察本部及び同市c 区・・・・・付近駐車場において,「Bが,同年3月29日にCが覚せい剤を持っているのを見た。前記Cは,覚せい剤を前記Bに見せ,覚せい剤を使うよう誘ってきた」旨の虚偽の内容が記載された,前記Bを供述者とする供述調書1通を作成し,同年5月13日,d 市・・・・・D簡易裁判所において,E方面F警察署司法警察員警部Gを通じてD簡易裁判所裁判官Hに対し,前記供述調書が,あたかも前記Bが自身の体験した事実を供述し,これを録取したものであるかのように装って,前記Cに対する覚せい剤取締法違反にかかる前記C使用の居室及び付属建物,前記C使用の普通乗用自動車,前記Cの着衣及び携帯品をそれぞれ捜索すべき場所とし,覚せい剤等を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状3通の発付を受けるための疎明資料として提供して使用し,同月20日,前記D簡易裁判所において,前記G警部を通じて前記H裁判官に対し,前同様に装って前記Cに対する覚せい剤取締法違反にかかる前記C使用の居室及び付属建物,前記C使用の普通乗用自動車,前記Cの着衣及び携帯品をそれぞれ捜索すべき場所とし,覚せい剤等を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状3通の発付を受けるための疎明資料として提供して使用し,- 2 - 第2 a 自動車,前記Cの着衣及び携帯品をそれぞれ捜索すべき場所とし,覚せい剤等を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状3通の発付を受けるための疎明資料として提供して使用し,- 2 - 第2 a 市内,e 市内又はその周辺において,前記Bに対し, 1 同年5月18日午前11時22分頃,携帯電話を操作してアプリケーションソフト「LINE」を用い,同月19日早朝にE方面F警察署において実施する前記Cに対する覚せい剤取締法違反の関係場所に対する捜索日について「明日朝イチゴーっす」と記載したメッセージを送信し,その頃,前記Bに同メッセージを閲読させ, 2 同月27日午後10時53分頃,携帯電話を操作して前記LINEを用い,同月28日にE方面F警察署において実施する前記Cに対する覚せい剤取締法違反の関係場所に対する捜索日について「明日です」と記載したメッセージを送信し,その頃,前記Bに同メッセージを閲読させ,もって職務上知り得た秘密を洩らしたものである。 (法令の適用)罰条判示第1の各行為につきそれぞれ刑法60条のほか,行為時においては平成28年法律第54号による改正前の刑法104条に,裁判時においては上記改正後の刑法104条に該当するが,刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。 判示第2の1及び2の各行為につきそれぞれ平成26年法律第34号附則5条により同法による改正前の地方公務員法60条2号,34条1項前段科刑上一罪の処理判示第1の行為につき刑法54条1項後段,10条(証拠偽造と各偽造証拠使用との間にはそれぞれ手段結果の関係- 3 - があるので,結局以上を1罪として犯情の最も重い平成27年5月20日の偽造証拠使用の罪で処断)刑種の選択それぞれ 造証拠使用との間にはそれぞれ手段結果の関係- 3 - があるので,結局以上を1罪として犯情の最も重い平成27年5月20日の偽造証拠使用の罪で処断)刑種の選択それぞれ懲役刑を選択併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重)刑の執行猶予刑法25条1項(量刑の事情)本件は,現職の警察官である被告人が,いわゆる捜査協力者として覚せい剤事犯の情報提供を受けていたBと共謀して,Bを供述者とする内容虚偽の供述調書を作成し,情を知らない担当警察官をして,これを令状請求の疎明資料の1つとして2回にわたり裁判官に提出させて使用したほか,Bに対し,2回にわたり職務上知り得た秘密を漏らしたという事案である。 被告人が偽造した供述調書の内容は,真実そのような事実があったと誤信させるに足りるものであり,犯行態様は巧妙である。しかも,その供述調書を令状請求の疎明資料の1つとして提出させたことにより,裁判官の判断を誤らせて捜索差押許可状を発付させ,これを執行するに至らせたのであって,捜査手続の適正を害した結果は重大である。なお,証拠偽造の動機は,Bが覚せい剤密売の仲介者であることを上司らに隠しつつ,Bを捜査協力者として利用することにあったと認められるが,警察官の職責からすれば,Bが覚せい剤密売に関与している事実を知った時点で捜査協力者として利用することをやめ,むしろBを捜査の対象者とすべきであったのであり,捜査協力者としての同人との関係を維持することを重視して,証拠偽造にまで及んだ被告人は,自己の職責を忘れ,職業倫理観が麻痺していたといわざるを得ない。また,被告人がBに漏らした情報は,捜査機関による捜索実施予定日という秘密性が高い情報であり,これが漏れること 造にまで及んだ被告人は,自己の職責を忘れ,職業倫理観が麻痺していたといわざるを得ない。また,被告人がBに漏らした情報は,捜査機関による捜索実施予定日という秘密性が高い情報であり,これが漏れることにより捜索対象者による証拠隠滅などの弊害を生じかね- 4 - ないものである。以上のとおり,本件はいずれも悪質な犯行であり,現職の警察官がこのような犯罪行為に及んだことが,刑事司法や警察に対する社会の信頼を低下させた点も軽視できない。 以上によれば,被告人の刑事責任を軽くみることはできないが,被告人が素直に事実関係を認めて反省の態度を示していること,本件により懲戒免職処分を受けるなど一定の社会的制裁を受けたことなどを考慮すると,主文の刑に処した上,その執行を猶予するのが相当である。 (求刑懲役2年)平成28年10月4日札幌地方裁判所刑事第2部1係 裁判官中桐圭一

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