主文 1 控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。 2 被控訴人らの本件附帯控訴をいずれも棄却する。 3 控訴費用のうち,控訴によって生じた部分は控訴人らの負担とし,附帯控訴によって生じた部分は被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨(控訴人らの控訴の趣旨) 1 原判決主文第1項のうち控訴人横浜市長が被控訴人Bに対して行った原判決別紙処分目録記載2の非公開決定を取り消した部分及び原判決主文第2項を取り消す。 2 上記部分に係る被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,被控訴人らの負担とする。 (被控訴人らの附帯控訴の趣旨) 1 原判決主文第2項,第3項を次のとおり変更する。 控訴人横浜市は,被控訴人ら対し,それぞれ130万円及びこれに対する平成11年2月4日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じ,控訴人横浜市の負担とする。 第2 事案の概要 1 被控訴人Bは,「横浜市公文書の公開等に関する条例」(昭和62年横浜市条例52号。平成12年横浜市条例1号により廃止。以下「旧条例」という。)に基づき,原判決別紙処分目録記載1ないし3の文書の公開請求(以下「本件公開請求」という。)をした。これについて,控訴人横浜市長(以下「控訴人市長」という。)は,同目録記載のとおり全部又は一部の非公開決定(以下「本件決定」という。)をした。そこで,被控訴人Bは,控訴人市長に対し,本件決定の取消しを求め,控訴人横浜市(以下「控訴人市」という。)に対し,本件決定によって被った精神的損害及び本件訴訟追行に要する弁護士費用相当額の損害賠償を求めた。 被控訴人Cは,被控訴人Bとは別に控訴人市長に対して公文書公開請求をしたところ,これについて公開・非公開 本件決定によって被った精神的損害及び本件訴訟追行に要する弁護士費用相当額の損害賠償を求めた。 被控訴人Cは,被控訴人Bとは別に控訴人市長に対して公文書公開請求をしたところ,これについて公開・非公開いずれの決定もされなかったとして,控訴人市に対し,これによって被った精神的損害及び本件訴訟追行に要する弁護士費用相当額の損害賠償を求めた。 原判決は,被控訴人Bの請求のうち,控訴人市長に対する本件決定取消請求を認容し,控訴人市に対する損害賠償請求を棄却し,被控訴人Cの控訴人市に対する損害賠償につき,その一部を認容した。 控訴人市長は,本件決定を取り消した原判決中,原判決別紙処分目録記載2の非公開決定を取り消した部分についてのみ,控訴を提起した。これにより,原判決中,その余の本件決定を取り消した部分は確定した。 控訴人市は,被控訴人Cの損害賠償請求が一部認容されたことを不服として控訴を提起した。 被控訴人らは,控訴人市に対する各損害賠償請求が全部又は一部棄却されたことを不服として附帯控訴を提起した。 2 前提となる事実(証拠により直接認められる事実については適宜主な証拠を事実の前後に記載する。それ以外は,争いのない事実である。)(1) 当事者被控訴人両名はいずれも横浜市栄区に居住する者であり,控訴人市長は旧条例の実施機関である。 (2) 旧条例の定め旧条例9条1項1号,2号,3号及び6号(以下「旧条例9条1項」の記載を省略することがある。)の定めは次のとおりである。 「実施機関は,請求に係る公文書に次のいずれかに該当する情報が記録されているときは,当該公文書の公開をしないことができる。 1号個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの(法令又は条例の規定より行わ は,当該公文書の公開をしないことができる。 1号個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの(法令又は条例の規定より行われた許可,免許,届出その他これらに相当する行為に際して作成し,又は取得した情報であって,公開することが公益上特に必要と認められるものを除く。)2号法人(国及び地方公共団体を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,公開することにより,当該法人等又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるもの。 ただし,次に掲げる情報を除く。 ア事業活動によって生ずる危害から人の生命,身体又は健康を保護するため,公開することが必要と認められる情報イ法人等又は事業を営む個人の違法又は著しく不当な事業活動によって生ずる支障から市民の生活を保護するため,公開することが公益上必要と認められる情報3号公開することにより,人の生命,身体,財産等の保護その他の公共の安全の確保及び秩序の維持に支障が生ずると認められる情報6号市又は国等が行う監査,検査,契約,交渉,争訟,試験,職員の身分取扱いその他の事務事業に関する情報であって,公開することにより,当該事務事業の目的が損なわれると認められるもの,特定のものに明らかに利益若しくは不利益を与えると認められるもの,関係当事者間の信頼関係が損なわれると認められるもの又は当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずると認められるもの」(3) 本件決定被控訴人Bは,原判決別紙処分目録記載2のとおり,平成10年10月23日,控訴人市長に対し,旧条例に基づき,「平成8年度栄区a町字bc番1外8筆不動産鑑定評価書 られるもの」(3) 本件決定被控訴人Bは,原判決別紙処分目録記載2のとおり,平成10年10月23日,控訴人市長に対し,旧条例に基づき,「平成8年度栄区a町字bc番1外8筆不動産鑑定評価書」(以下「本件鑑定評価書」という。)について公開請求をした。 これに対し,控訴人市長は,同年11月13日付けで,原判決別紙処分目録記載2とおり,非公開とする旨の決定をした。その理由について,決定通知書の理由欄には,旧条例9条1項1号,3号及び6号に該当するとして,具体的には,「特定の個人が識別され,又は識別され得るおそれがあるため。印影を公開することにより,当該個人及び法人の財産権が侵害されるおそれがあるため。これらは公開することにより,当該事務事業のほか,現在行っている事務事業又は将来行う同種の事務事業の公正又は円滑な執行に著しい支障が生じ,又は生ずるおそれがあるため。」と記載されていた(甲7)。 被控訴人Bは,本件鑑定評価書についての公開請求と同時に原判決別紙処分目録記載1及び3の文書についても公開請求をし,控訴人市長は,これらの文書についても原判決別紙処分目録記載1,3及び4のとおり1号,6号に該当するとして一部非公開の決定をした。 (4) 被控訴人Cの公開請求被控訴人Cは,被控訴人Bに先立ち,平成10年7月7日,「いたち川の河川改修工事に関する一斉の書類」の公開を請求したところ,控訴人市長は,同月28日,件名を「境川水系いたち川ふるさとの川整備計画書平成元年5月」として公開決定をし,被控訴人Cに通知した。 その後,被控訴人Bは,平成10年10月23日,「いたち川水辺空間整備図面(変更があれば変更前後の一切の図面)」の文書公開を請求したところ,控訴人市長は,同年11月13日,「境川水系いたち川ふるさとの川整備計画書添付図(変更前 年10月23日,「いたち川水辺空間整備図面(変更があれば変更前後の一切の図面)」の文書公開を請求したところ,控訴人市長は,同年11月13日,「境川水系いたち川ふるさとの川整備計画書添付図(変更前)」「平成5年度いたち川基本設計委託計画案添付図(変更後)」「平成6年度いたち川水辺空間整備基本設計委託計画案添付図(変更後)」「平成7年度いたち川水辺空間整備基本設計委託計画案添付図(変更後)」の4図面を公開する決定をした。 上記4図面は,被控訴人Cが公開を請求した時点において存在したが,控訴人市長は,被控訴人Cの公開請求に対し,このうち,変更後の3図面(以下「計画変更後図面」という。)は公開せず,また,その存在について明らかにしなかった(甲3,弁論の全趣旨)。 (5) 本件公開請求の背景控訴人市長は,2級河川であるいたち川の上流に位置する日東橋から神戸橋までの区間の整備について「ふるさとの川モデル事業実施要綱」(昭和62年11月27日建設省河川局長通達)に基づき「ふるさとの川モデル河川」の申請をし,その指定を受け,整備計画につき建設省河川局長より認定を受け,平成3年1月30日に「ふるさとの川モデル事業」の実施計画の策定及び用地取得方針を決定し,以後いたち川改修事業(以下「本件事業」という。)を進めてきた。 控訴人市は,本件事業用地として,同市の市議会議員であるDから,同人の所有する横浜市栄区a町(字b)c番3,d番4・5,e番3,同番7から11の土地(合計9筆。甲2によれば,1273.73平方メートル。以下「本件買収地」という。なお,所在につき「横浜市栄区」の記載を省略することがある。)を平成9年8月27日に買収した。 Dには,代替地として,横浜市土地開発公社(以下「公社」という。)が所有する横浜市栄区f2丁目g番14,同番15の土 き「横浜市栄区」の記載を省略することがある。)を平成9年8月27日に買収した。 Dには,代替地として,横浜市土地開発公社(以下「公社」という。)が所有する横浜市栄区f2丁目g番14,同番15の土地(合計1900平方メートル。以下「本件代替地」という。)が平成9年10月24日に売却された。 (以上につき甲2,弁論の全趣旨)(6) 本件鑑定評価書の作成経緯及び内容ア公共事業用地の取得と土地の鑑定控訴人市において,公共事業用地を買収する場合における補償は,横浜市の公共用地取得等に伴う損失補償基準規程(昭和43年6月達第19号),横浜市の公共用地取得等に伴う損失補償基準規程細則及び横浜市の公共用地取得等に伴う損失補償基準規程細則取扱要領により,「正常な取引価格」を補償するとされている。ここに正常な取引価格とは,不動産鑑定評価基準にいう「正常価格」,地価公示法2条2項にいう「正常な価格」及び土地収用法71条にいう「相当な価格」と同義であると解される。 また,控訴人市が財産の取得を行う場合については,横浜市財産評価基準要綱の定めの適用を受けることになるところ,同要綱によれば,平成11年3月までは,国の補助金の交付を受けて行う用地取得に際しては,価格の如何にかかわらず,土地所有者に売却の意思があることを確認すると,不動産鑑定士に対し同土地の「正常な取引価格」について鑑定を依頼することとされていた。 そして,控訴人市の担当者は,不動産鑑定士が算出した鑑定評価額を前提に,所有者と金額についての交渉を行うこととなる。控訴人市の担当者は,所有者に対し,同鑑定評価書の金額をそのまま提示することもあれば,その金額より若干低い金額を提示することもある。しかし,控訴人市が不動産鑑定士の算出した鑑定評価額より高い金額で土地を取得することはできない。 し,同鑑定評価書の金額をそのまま提示することもあれば,その金額より若干低い金額を提示することもある。しかし,控訴人市が不動産鑑定士の算出した鑑定評価額より高い金額で土地を取得することはできない。なお,公共用地の取得に際し,控訴人市の担当者が所有者に鑑定評価書そのものを見せることはない。 イ本件鑑定評価書の内容本件鑑定評価書は,前記アの定めを本件買収地の買収手続に適用し,本件買収地の買収に当たり,控訴人市から依頼を受けた不動産鑑定士がその価格を鑑定評価したものである。すなわち,控訴人市は,Dの所有する本件買収地を買収するに先立ち,東急不動産株式会社に鑑定を依頼し,同社は,本件鑑定評価書を作成して平成8年10月29日に控訴人市に提出した。本件鑑定評価書は,表紙,本文6頁,別紙4枚,写真2枚からなっており,本文は,鑑定評価額,対象不動産の表示,鑑定評価の対象となった権利の内容,鑑定時点,鑑定評価を行った日,鑑定評価の依頼目的及び条件,依頼目的及び条件と価格との関連,縁故又は特別な利害関係の有無,添付資料の内容,鑑定評価額決定の理由の要旨で構成されており,それらはこの種の鑑定書において一般的な構成であり,別紙なども含め,通常のものと特に異なったところはない。 控訴人市は,本件鑑定評価書による価格を踏まえてDと交渉し,合意に達した後,平成9年8月27日,Dとの間で買収のための契約を締結した。 (以上(6)につき甲11,乙10,証人E,弁論の全趣旨)(7) 本件公開請求に係るその他の文書の内容等ア土地利用調整会議資料(原判決別紙処分目録記載1の文書)控訴人市は,平成9年8月27日にDから同人所有の本件買収地を本件事業用地として買収したが,同買収に先立ち,同人から代替地を提供して欲しいとの要望を受けた。控訴人市においては,「横浜市代替地 書)控訴人市は,平成9年8月27日にDから同人所有の本件買収地を本件事業用地として買収したが,同買収に先立ち,同人から代替地を提供して欲しいとの要望を受けた。控訴人市においては,「横浜市代替地処分事務取扱要綱」が設けられており,一定の要件を満たす買収対象地の地権者に対しては可能な限り代替地を斡旋することとされていた。控訴人市は,Dがこの要件を満たすと判断し,折衝の結果,同人が取得を希望した公社所有の本件代替地をDに売却することとした。 代替地の売払に先立ち,売払対象地の用地区分の変更(公園事業用地から河川事業代替地への区分変更)が必要となり,それについて審議・決定するため,平成9年6月25日に第55回土地調整幹事会,第49回土地利用調整会議が開催された。 土地利用調整会議資料(甲10,乙4)は,その際の資料として控訴人市の下水道局総務部用地課及び緑政局公園部計画課が作成し,同会議に提出したものである。 土地利用調整会議は,企画局長,財政局長,市民局長,都市計画局長及び建築局長の5人の委員により組織される会議で,控訴人市の土地利用に関する基本的事項,すなわち土地利用方針や施設配置方針の策定,これに基づく開発行為等の総合調整や土地の取得・処分,公有地の利用計画等の総合調整について協議・審議するすることを目的としている。土地調整幹事会は,上記5局の部長クラスの者で組織され,土地利用調整会議の下に置かれるもので,公共施設等の配置の総合調整及び土地の取得,処分等に関する事項のうち軽易な事項を協議・審議することを目的とする。後者の事項については,まず土地調整幹事会において協議・審議した後,土地利用調整会議において協議・審議することとなる。 本件代替地を含む栄区f所在の3万0528平方メートルの土地は,控訴人市が将来の公園用地及び河川事業 まず土地調整幹事会において協議・審議した後,土地利用調整会議において協議・審議することとなる。 本件代替地を含む栄区f所在の3万0528平方メートルの土地は,控訴人市が将来の公園用地及び河川事業の代替地として公社に依頼し,平成7年3月31日に先行取得した土地である。(甲15,16の①, ②, 21)公社とDとの間において,平成9年10月24日に本件代替地の売払契約が締結され,同月28日,公社からDに対し,所有権移転登記がされた。(甲25の①,②)土地利用調整会議資料のうち本件決定において非公開とされたのは「代替地売り払い見込み価格」「変更理由」「公園事業の建設費」であったが,本件決定のうち当該部分に係る非公開処分取消の原判決が確定した後,当該部分も公開された。 (以上につき乙10,12,証人E,弁論の全趣旨)イ鑑定依頼に係る決裁文書(原判決別紙処分目録記載2の文書)鑑定依頼に係る決裁文書は,控訴人市が東急不動産に本件鑑定評価書に係る鑑定を依頼するに当たり,委任に伴う報酬額の支払について,控訴人市水道局総務部用地課において債務負担行為としての契約の伺いをし決裁を得た文書である。 このうち本件決定において非公開とされたのは「鑑定評価額」「報酬額」「算定基礎面積」「価格水準」であったが,本件決定のうち当該部分に係る非公開処分取消の原判決が確定した後,当該部分も公開された。 3 主要な争点(1) 本件鑑定評価書についての非公開事由の存否(2) 損害賠償請求の成否 4 本件鑑定評価書についての非公開事由の存否に関する当事者の主張(控訴人市長の主張)(1) 6号該当性以下の理由により,本件鑑定評価書は6号に該当する。 ア用地買収交渉における信頼関係の破壊と交渉の困難性用地買収交渉は,私人間の売買と異なり売却を希望する者との間で 長の主張)(1) 6号該当性以下の理由により,本件鑑定評価書は6号に該当する。 ア用地買収交渉における信頼関係の破壊と交渉の困難性用地買収交渉は,私人間の売買と異なり売却を希望する者との間で売買契約を締結するものではない上,面識がなく,かつ,事業範囲を地権者の関与なしに決定した行政に対する嫌悪感等を保有する地権者との間で開始されるものであることから,容易ではなく,用地買収の円滑な実施には,行政の担当者と地権者との間の信頼関係の形成が重要である。 控訴人市においては,鑑定評価書は地権者にも示していないのであるから,鑑定評価書を公開することによって,実際の買収価格と鑑定評価額との間に乖離があることが判明した場合には,控訴人市と地権者との間で合意にいたるまでに築かれた信頼関係が損なわれるのみならず,上記の乖離があることが公知の事実になった場合,地権者は控訴人市に対して不信感を持つようになり,未買収地の用地買収についても著しい支障が生じる。 イ他の土地価格への固執等による円滑な買収への支障本件買収地は鑑定評価書の鑑定地と同一であるため,本件鑑定評価書が公開されることは,ほぼ実際の売買代金額が公開されることを意味する。そして,公共事業に伴う用地買収の継続中に既買収地の買収価格が明らかになると,未買収地の地権者が,相互の土地の相違を正しく認識せず,既買収地の買収価格を前提として自己に有利な価格を算定し,それに固執し,円滑な買収に支障が生じるおそれ(蓋然性)がある。 一般に,不動産鑑定における評価額には鑑定人によって幅があり,評価額は絶対的なものではないから,仮に買収地予定地についても鑑定評価書が公開されるようになれば,地権者は,その弱点探しをしたり,あるいは,自分に有利な不動産鑑定書を提出してこれを争うなどの事態が起こることが予想さ ものではないから,仮に買収地予定地についても鑑定評価書が公開されるようになれば,地権者は,その弱点探しをしたり,あるいは,自分に有利な不動産鑑定書を提出してこれを争うなどの事態が起こることが予想され,その結果,交渉が不当に長引き,用地買収事業の円滑な執行に著しい支障を生じるおそれがある。 ウ公開を恐れての交渉拒絶による円滑な買収への支障地権者は買収価格が公開されるのを何よりも嫌うものである。したがって,本件鑑定評価書を公開することになれば,買収交渉の相手方との取引価格を公開することとなるから,取引価格を公開されることを恐れて自治体との用地買収交渉に応じない者が増加し,将来控訴人市が行う用地買収を伴う同種の公共事業の円滑な執行に支障を生じるおそれがある。 エ税法上の特典と動機付けの不存在買収予定地域内は,建物の建築が制限されるため,民間業者が購入しようとすることは稀である。買収に対しては租税特別措置の適用があるが,民間業者への譲渡と対比する事態が想定できないので,税法上の特典は買収に応ずることの動機付けとはならない。 オ土地収用の困難性土地収用法に基づく収用が可能であっても,本来理解と協力の下に事業を進めるべきである。実力行使は円滑な事業の執行とはいえない。収用の言葉を口に出すだけで反発を招く。 (2) 2号該当性ア本件鑑定評価書の著作物性本件鑑定評価書は,不動産鑑定士の著作物であり,その公表権は著作者にあり,これを控訴人市が公表することはできない(著作権法(平成11年法律第43号による改正前のもの。以下同様。)18条,59条)。それにもかかわらず,これを公表(公開)すると,著作者人格権を侵害することになる。 イ不動産鑑定評価に関する法律38条による義務不動産鑑定士は,不動産鑑定評価に関する法律38条により,不動 条)。それにもかかわらず,これを公表(公開)すると,著作者人格権を侵害することになる。 イ不動産鑑定評価に関する法律38条による義務不動産鑑定士は,不動産鑑定評価に関する法律38条により,不動産の鑑定評価により知り得た秘密は他に漏らしてはならない義務が課せられている。 ウまとめしたがって,本件鑑定評価書を公開することは,不動産鑑定士の事業活動に明らかに不利益を与えるものであって,本件鑑定評価書は2号に該当する。 なお,2号該当は本件決定の理由には付記されていないが,このような理由も訴訟段階において主張することは許される。 (3) 1号該当性ア本件鑑定評価書は,本件買収地の土地の価格を鑑定評価したもので,本件買収地は土地登記簿からその所有者がDであることは当然に推認でき,かつ,本件鑑定評価書の表示する価格は買収代金であることを推認させるものであるから,同価格は「個人に関する情報」であり「特定の個人を識別され」る情報に該当する。 イ個人情報を非公開とする情報公開条例の定め方には,「プライバシー保護型」と「個人識別型」があり,前者の場合,①個人に関する情報で特定の個人が識別され得るものであることのほかに,②その情報が一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることが要件とされるが,後者の場合,②は要件とならないものと解される。 ウ 1号は,「プライバシー保護型」ではなく「個人識別型」を採用するものであるから,本件鑑定評価書は1号に該当する。 なお,1号該当は原審において主張していなかったが,本件決定の理由に付記されているものであり,改めて主張する。 (被控訴人Bの主張)(1) 解釈の指針「国及び地方公共団体は,土地に関する施策の円滑な実施に資するため,個人の権利利益の保護に配慮しつつ,国民に対し,土地の所有 ものであり,改めて主張する。 (被控訴人Bの主張)(1) 解釈の指針「国及び地方公共団体は,土地に関する施策の円滑な実施に資するため,個人の権利利益の保護に配慮しつつ,国民に対し,土地の所有及び利用の状況,地価の動向等の土地に関する情報を提供するように努めるものとする。」とされている(土地基本法17条2項)。土地基本法によって設置された土地政策審議会(内閣総理大臣の諮問機関)は,「土地の実売買価格は個人の基本的人権に関わる情報とはいえず,その開示がプライバシーの侵害に当たるとは考えられない。」との判断を示している。 また,地方公共団体による土地の買受けは地価公示法9条又は公有地の拡大の推進に関する法律(以下「公有地拡大推進法」という。)7条により公示価格を規準とするとされ,売主の主観的要素が反映することがない。 このようなことから,地方公共団体が買い受ける土地の価格についての情報は公開されることが要請されている。 (2) 本件の特殊性さらに,本件においては,以下のような特殊性がある。 ア控訴人市は,本件代替地を含む用地( f2丁目の土地)を公社に取得させ,かつ,控訴人市の市会議員であるDは同公社から破格の安値(隣接宅地の公示価格の約3・5分の1)で本件代替地の払下げを受けた。 イ控訴人市からDに対し,本件買収地の代金として,5億0657万円(1平方メートル当たり39万9000円あまり)という破格の高値がつけられた。 ウ Dは,本来代替地の提供を受ける要件を満たさないにもかかわらず,河川回収計画を変更してまで,本件買収地以外の土地を買収対象に追加して,前記代替地提供を合理化した。 エ控訴人らが公開を求めていたのは,代替地払下げ経過に関する資料,用地買収経過に関する資料である。これらの資料は,市会議員がいかに特権的立場を悪用し 象に追加して,前記代替地提供を合理化した。 エ控訴人らが公開を求めていたのは,代替地払下げ経過に関する資料,用地買収経過に関する資料である。これらの資料は,市会議員がいかに特権的立場を悪用しているかを明らかにするものであり,その解明は,控訴人市の行財政の適正な運用を図るという公益上の目的に資する。 (3) 6号該当性について本件鑑定評価書が6号に該当するとの控訴人市長の主張は争う。 ア土地の価格は所在地や形状によって千差万別であるから,1か所の土地の鑑定評価額の公開が市内全域の用地交渉に影響するようなことはあり得ない。買収交渉に際し,合理的説得に応じない者もあろうが,公共事業の場合には土地収用法というムチが,他方で租税特別措置法というアメが用意されているから,売主の不合理な反対は,用地交渉の客観的支障とはならない。 イ本件鑑定評価書の6号該当性についての控訴人市長の主張は,必ずしも鑑定評価書ないし鑑定評価額に固有の問題ではなく,その大部分は買収価格(成約価格)を公開することの支障を主張するものである。しかし,控訴人市においては,東京高裁平成11年9月13日判決を受けて,同市及び同市開発公社が公共事業用地として買収した土地については,事後的にその土地の所在地及び取得価格を公開するにいたっている。このような方針変更をしたからといって,同市の用地買収交渉事業にその後支障があったという具体的な事実は報告されておらず,これについて明白な証拠はない。 ウまた,被控訴人Bが公開を求めている本件鑑定評価書は,すでに買収が完了した土地を対象とするもので,かつ,地権者Dが控訴人市の市会議員であるため,同市の「政治倫理の確立のための横浜市会議員の資産等の公開に関する条例」(平成7年横浜市条例第74号)に基づき,Dの資産等報告書を閲覧することによ で,かつ,地権者Dが控訴人市の市会議員であるため,同市の「政治倫理の確立のための横浜市会議員の資産等の公開に関する条例」(平成7年横浜市条例第74号)に基づき,Dの資産等報告書を閲覧することにより,本件土地の取得価格がいわば公開されているのであるから,用地買収交渉中の当該土地の鑑定報告書を公開することによる弊害を主張するのはあたらない。 エ鑑定評価書の公開によって,実際の買収価格(成約価格)と鑑定評価書における鑑定評価額との間に乖離があることが判明したとしても,それによって直ちに控訴人市と地権者との信頼関係が損なわれるとはいえない。また,控訴人市では、他の市と違って,用地買収交渉の方法として,鑑定評価額を下回る価格をもって「予定価格」とし,その予定価格を基準として地権者と交渉するという「歩切り」はしておらず,ほほ鑑定評価額と同額を提示して交渉するというのであるから,両価格の乖離が大きく問題となることはないはずである。 オ同一の事業目的の一団の土地があって,未買収地がある場合に,既買収地の買収価格やその鑑定評価額を公開することが未買収地の地権者に無用の疑問や不安を与えると主張するが,しかし,①公共事業用土地の算定における公示価格規準主義の下では,土地の価格決定については,事業目的,すなわち買主側の買う目的が何であるかは全く無関係であるし,また,②用地買収に当たっては,地権者に疑問や不安を与えるような情報はなるべく知らせないという考えは,情報公開という時代の要請に逆行するものである。以前とは違って,不動産の価格に関する私的,公的情報が地権者や市民一般にも溢れている現代社会においては,むしろ,地権者に対し少なくとも既買収地の買収価格やその鑑定評価額などの情報を公開するとともに,場合によっては,地権者において未買収地について私的鑑定書を提 民一般にも溢れている現代社会においては,むしろ,地権者に対し少なくとも既買収地の買収価格やその鑑定評価額などの情報を公開するとともに,場合によっては,地権者において未買収地について私的鑑定書を提出するなどして反論する機会を与えることが,用地買収事業の「公正な執行」に資することになるというべきである。 (4) 2号該当性についてア控訴人市長は,本件決定時には理由とされていなかった本件鑑定評価書の著作物性等を本訴において,非公開事由として主張するようになった。しかし,旧条例には理由付記を要することが規定されているから,それとの関係から,本訴における新たな理由の追加は許されない。 イ本件鑑定評価書が2号に該当するとの控訴人市長の主張は争う。 本件鑑定評価書は,思想又は感情を創作的に表現したことを要件とする著作権法上の著作物ではなく,著作権法2条1項1号の「文学,学術,美術,音楽」のいずれにも該当しない。仮に本件鑑定評価書に著作物性があるとしても,公表権は著作物の譲渡により譲受人に移転する(著作権法18条2項1号)から,本件鑑定評価書の公表権は,本件鑑定評価書が控訴人市に交付された後は控訴人市に移転した。また,本件鑑定評価書は地方公共団体である控訴人市が本件買収地を購入するために法令の要請に基づいて鑑定嘱託をしたことに基づいて提出されたものであるから,控訴人市が住民に対する説明責任を果たすという必要に応じて本件鑑定評価書を公開することについて,不動産鑑定士は当然に同意しているものと解される。情報公開法制定に伴う著作権法の改正により,未だ公表されていない著作物を地方公共団体に提供した場合,著作者は情報公開条例の記載により当該地方公共団体の機関が当該著作物を公衆に提供する行為について同意したものとみなす旨の規定(同法18条3項)が設けられた趣 ない著作物を地方公共団体に提供した場合,著作者は情報公開条例の記載により当該地方公共団体の機関が当該著作物を公衆に提供する行為について同意したものとみなす旨の規定(同法18条3項)が設けられた趣旨からも,このように解すべきである。なお,不動産鑑定評価に関する法律38条により,不動産鑑定士は不動産の鑑定評価により知り得た秘密は他に漏らしてはならない義務が課せられていることは認めるが,価格の適正性を疎明するために必要な限度(監査請求権者である住民に公開する場合も含む。)で公表することは鑑定依頼の趣旨に内在する事柄である。したがって,本件鑑定評価書の作成者である不動産鑑定士は,守秘義務を免除される。 以上のとおり,本件鑑定評価書を公開することは,不動産鑑定士の事業活動に明らかに不利益を与えるものではなく,本件鑑定評価書は2号の事業活動情報に該当しない。 (5) 1号該当性についてア控訴人市長は,本件鑑定評価書の非公開事由として,処分時には1号該当性もあげていたが,本訴においては1号該当性を主張せず,控訴審終結直前になって1号該当性を主張した。これは故意に時機に遅れた主張をするものに他ならず却下されるべきである。 イ本件鑑定評価書が1号に該当するとの控訴人市長の主張は争う。 個人情報を非公開とする情報公開条例の定め方についての控訴人市長の主張は争う。1号の「個人に関する情報」とは,プライバシーのような保護に値する個人の利害にかかわる情報をいうと解すべきである。前記解釈の指針のとおり,地方公共団体が買い受ける土地の価格についての情報は公開されることが要請されているのであるから,本件鑑定評価書は1号に該当しない。 5 被控訴人Bの損害賠償請求についての当事者の主張(被控訴人Bの主張)(1) 本件決定の違法性について本件決定のうち本件 ことが要請されているのであるから,本件鑑定評価書は1号に該当しない。 5 被控訴人Bの損害賠償請求についての当事者の主張(被控訴人Bの主張)(1) 本件決定の違法性について本件決定のうち本件鑑定評価書についての非公開決定の違法性に関する主張は,前記4の被控訴人Bの主張のとおりである。また,その余の本件決定の違法性に関する主張は,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の「4 主な争点についての当事者の主張」の「(1) 非公開事由の存否」中の「(原告らの認否,主張)」記載のとおり(ただし,本件鑑定評価書に関する部分を除く。)であるから,これを引用する。 (2) その他の点について本件公開請求に対し,明らかに公開決定がされるべきであるにもかかわらず,被控訴人Bは,控訴人市長の故意又は過失により,非公開決定(本件決定)を受けた。これにより,被控訴人Bは,適時に文書公開が受けられず,市政に対する基本的な信頼を裏切られ,文書公開請求権実現のために本訴提起を余儀なくされた。 これらを包括するものとして,被控訴人Bは,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人市に対し,慰謝料130万円(弁護士費用の一部である30万円を含む。)を請求する。 (控訴人市の主張)(1) 本件決定の違法性について本件決定のうち本件鑑定評価書についての非公開決定の違法性に関する主張は,前記4の控訴人市長の主張のとおりである。また,その余の本件決定の違法性に関する主張は,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の「4 主な争点についての当事者の主張」の「(1) 非公開事由の存否」中の「(被告らの主張)」記載のとおり(ただし,本件鑑定評価書に関する部分を除く。)であるから,これを引用する。 (2) その他の点について被控訴人Bの主張は争う。 仮に,控訴人市長 由の存否」中の「(被告らの主張)」記載のとおり(ただし,本件鑑定評価書に関する部分を除く。)であるから,これを引用する。 (2) その他の点について被控訴人Bの主張は争う。 仮に,控訴人市長の行った非公開決定(本件決定)が違法であったとしても,法令の解釈につき争いがあり,実務の取扱いも分かれていること,控訴人ら側の主張と同様な裁判例もあること,被控訴人Bに生じた不利益はさほど大きなものではないことなどから,損害賠償法上の違法性はなく,また控訴人市長に故意過失もないから,控訴人市は損害賠償責任を負わない。 仮に,控訴人市長の行った非公開決定(本件決定)が違法であったとしても,被控訴人Bの主張する,権利実現のために本訴提起を余儀なくされたこと及び弁護士費用を要することは相当因果関係のある損害とはいえず,非公開決定の取消しでは賄いきれない精神的損害を被ったという特別な事情は見当たらない。 6 被控訴人の損害賠償請求についての当事者の主張(被控訴人の主張)被控訴人は,前記前提となる事実記載のとおり,平成10年7月7日に行った公開請求に対し,公開されるべきであった計画変更後図面について,控訴人市の担当職員の故意又は過失により,公開・非公開の決定自体がされなかった。これにより,被控訴人は,精神的損害を受け,また,住民監査請求における適切な主張,立証をする機会が失われ,権利実現のために本訴提起を余儀なくされた。これらを包括するものとして,被控訴人は,国家賠償法1条1項に基づき,控訴人市に対し慰謝料130万円(弁護士費用の一部である30万円を含む。)を請求する。 (控訴人市の主張)被控訴人の主張する計画変更後図面は,財務行為に関する文書ではなく,住民監査請求のために不可欠な文書ではないから,同人が住民監査請求における適切な主張,立証をする機 請求する。 (控訴人市の主張)被控訴人の主張する計画変更後図面は,財務行為に関する文書ではなく,住民監査請求のために不可欠な文書ではないから,同人が住民監査請求における適切な主張,立証をする機会が失なわれたことはなく,同人に損害は発生していない。被控訴人両名は,ともに栄区f風致地区緑を守る会の会員で,本件に関連する住民監査請求人の一員であり,両者間には特別な関係があるから,被控訴人Bが前記図面を入手したことにより被控訴人Cもその内容を確知したというべきで,それにより目的を遂げ,被控訴人Cには損害が発生しない。 第3 当裁判所の判断 1 本件鑑定評価書の非公開事由該当性の有無(以下,証拠等により直接認められる事実については,主な証拠等を当該事実の前後に記載する。争いのない事実及び一度認定した事実は,原則として,その旨を断らない。書証の成立は弁論の全趣旨により認められる。)(1) 1号該当性の有無ア控訴人らは,当審第3回口頭弁論期日(平成13年7月10日)において初めて,本件鑑定評価書が1号に該当する旨主張した。この主張は時機に後れて提出されたものといわざるを得ない。しかし,控訴人らは,原審において,土地利用調整会議資料中の「代替地売り払い見込み価格」について1号該当性を主張しており,本件鑑定評価書についての1号該当性の議論は土地利用調整会議資料中の「代替地売り払い見込み価格」についての1号該当性の議論と同趣旨のものであるところ,この点に関しては控訴人らと被控訴人Bの間で既に議論が尽くされていた。したがって,控訴人らの本件鑑定評価書が1号に該当する旨の主張は訴訟の完結を遅延させることにはならないので,以下この点について判断する。 イ 1号の趣旨旧条例9条1項1号は,「個人に関する情報(…)であって,特定の個人が識別され,又は識別 該当する旨の主張は訴訟の完結を遅延させることにはならないので,以下この点について判断する。 イ 1号の趣旨旧条例9条1項1号は,「個人に関する情報(…)であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの(法令又は条例の規定により行われた許可,免許,届出その他これらに相当する行為に際して作成し,又は取得した情報であって,公開することが公益上特に必要と認められるものを除く。)」の公開をしないことができる旨規定している。 これは,旧条例が「公文書の公開等を求める市民の権利を明らかにするとともに,市政に関する情報の公開及び提供に関して必要な事項を定めることにより,市政に対する市民の理解を深め,市民と市政との信頼関係を増進し,併せて市民生活の利便の向上を図り,もって地方自治の本旨に即した市政の発展に資することを目的とした」ものである(1条)ことに加え,「実施機関は,公文書の公開等を求める市民の権利を十分に尊重してこの条例を解釈し,運用するものとする。この場合において,実施機関は,個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。」(3条)としていることの現れであり,公文書(その定義は,旧条例2条2号)であっても,個人情報が記録されているときは,その情報を非公開とすることにより,当該個人が不利益を受けないようにする趣旨のものである。 しかし,およそ個人に関する情報といえるものならいかなるものでも非公開とされるとすれば,市政に対する市民の理解を深めて市政の発展に資するとの旧条例の目的が没却されてしまうので,そこには自ずと一定の制約があるというべきである。旧条例3条が,個人に関する情報が「みだりに」公にされることのないようとの表現を用いているのも,旧条例9条1号が,かっこ書で,個人に関する情報であっても法令に ずと一定の制約があるというべきである。旧条例3条が,個人に関する情報が「みだりに」公にされることのないようとの表現を用いているのも,旧条例9条1号が,かっこ書で,個人に関する情報であっても法令に基づいて行われた許可等に際して作成し又は取得した情報であって公開することが公益上特に必要と認められるものを非公開情報から除いているのも,個人に関する情報であると同時に公的な性質を有する情報について,個人の権利利益の保護と市政に対する市民の理解を深め市政の発展に資するとの情報公開の目的達成とのバランスを考慮した結果であると解される。したがって,1号は,保護に値しない個人情報までがすべて非公開とされることを規定しているものではなく,1号の「個人に関する情報」とは,保護に値する個人の利害にかかわる情報をいうと解するのが相当である。 控訴人らは,文書公開条例における個人情報の扱いは「個人識別型」と「プライバシー保護型」に区分され,「個人識別型」の場合には個人情報であれば保護に値するか否かにかかわらず非公開情報とされているとした上,1号は「個人識別型」であるから1号該当性の判断において当該情報が保護に値するか否かを斟酌する必要はない旨主張するが,当裁判所の1号についての解釈は前記のとおりであり,控訴人らのこの点に関する主張は採用することができない。 ウ鑑定評価額の1号該当性の有無について本件鑑定評価書の作成経緯及び内容からすると,本件鑑定評価書の鑑定評価額は,D所有地であった本件買収地についての買収価格の近似値を示すものであり,譲渡人であるDにとっては譲渡価格の近似値を示すものであるから,Dの個人情報に該当する側面があるといえる。 しかし,本件買収地の買収は,通常の私人間の売買とは異なり,前記第2,2,(5),(6)のとおり,控訴人市の本件事業の 価格の近似値を示すものであるから,Dの個人情報に該当する側面があるといえる。 しかし,本件買収地の買収は,通常の私人間の売買とは異なり,前記第2,2,(5),(6)のとおり,控訴人市の本件事業の事業用地につき定められた手続に従って行われたものであって,買収価格に譲渡人であるDの主観的事情は反映されないはずのものであり,その価格自体公的な性質を帯びている。そして,公共事業のための用地買収は公金をもって行われるものであり,公金が適正に使われているか否かは納税者たる住民にとって共通の関心事項であること,市政に関する情報を市民に提供することを通じて市政の発展に資するというのが旧条例の目的であること等に照らすと,本件買収地の買収価格については開示する必要性が大きいということができる。 以上によれば,本件鑑定評価書の鑑定評価額は,その個人情報としての側面よりもその開示を通じて市政の発展に資するという旧条例の目的を優先させるべき情報に当たり,これを公開することが仮に譲渡人であるDの希望に反するものであったとしても,そのような譲渡人個人の希望は公益的透明性の要請のために後退せざるを得ないというべきである。 したがって,本件鑑定評価書の鑑定評価額は1号の定める保護に値する個人情報には該当しないとするのが相当であり,本件鑑定評価書が1号に該当するとの控訴人らの主張は理由がない。 (2) 2号該当性の有無ア控訴人らが本訴において主張する本件鑑定評価書の2号該当性は本件決定には理由として付記されていなかった。 被控訴人Bは,決定に付記されていなかった理由は本訴において主張すことができない旨主張するが,旧条例の理由通知の定めが非公開決定の通知に付記された理由以外の理由を非公開決定取消処分の取消訴訟において主張することを許さないとの趣旨を含むと解すこと 訴において主張すことができない旨主張するが,旧条例の理由通知の定めが非公開決定の通知に付記された理由以外の理由を非公開決定取消処分の取消訴訟において主張することを許さないとの趣旨を含むと解すことはできず,本訴における新たな理由の主張は許されると解するのが相当である(最高裁平成11年11月19日第2小法廷判決・民集53巻8号1862頁参照)。 イ 2号該当性の有無不動産鑑定書は,不動産鑑定士がその専門的知識と経験に基づき不動産の価格を評価し,評価の前提事実,評価の過程,評価の結論等を記載するものであり,その記載内容は,基本的には客観的事項であるものの,創作的な表現部分も含まれているから,全体として,著作物性を否定することはできない。したがって,不動産鑑定士には鑑定書を無断で公表されない権利がある。 しかし,本件決定当時の著作権法18条2項が「著作者は,次の各号に掲げる場合には,当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。」として,同項1号が「その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し,又は提示すること。」と定め,その後情報公開法の制定に伴う改正により同法18条に3項が追加され,改正後の同条3項が「著作者は,次の各号に掲げる場合には,当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。」として,同項1号が「その著作物でまだ公表されていないものを行政機関(…)に提供した場合(情報公開法第9条第1項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し,又は提示すること。」と,また,同項2号が「その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体に提供した場合(開示する旨の決定までに特段の意 開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し,又は提示すること。」と,また,同項2号が「その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体に提供した場合(開示する旨の決定までに特段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開条例(…)規定により当該地方公共団体の機関が当該著作物を公衆に提供し,又は提示すること。」と定めていることからすると,控訴人市から依頼を受けて作成し,控訴人市に交付した本件鑑定評価書について,著作者である不動産鑑定士は,控訴人市が情報公開条例に従ってこれを公開することについて同意したものと推定することができ,この推定を覆すに足りる証拠はない。したがって,本件鑑定評価書の開示は,著作者人格権を侵害するものではない。 また,不動産鑑定士は,依頼者に対し鑑定評価書を交付する義務(不動産の鑑定評価に関する法律39条1項)に基づいて,本件鑑定評価書を控訴人市に交付したのであるから,控訴人市が情報公開条例に従って本件鑑定評価書を公開することにより,本件鑑定評価書に記載されている業務上の秘密が第三者の知るところとなったとしても,不動産鑑定士は,「正当な理由がなく」秘密を漏らしたものではなく,同法38条(秘密を守る義務)に違反したことにはならない。 よって,本件鑑定評価書を公開することにより,不動産鑑定士の事業活動に明らかに不利益を与えるとは認められず,本件鑑定評価書が2号に該当するとの控訴人らの主張は理由はない。 (3) 6号該当性の有無ア関係当事者間の信頼関係の破壊と交渉の困難性控訴人らは,用地買収の交渉は行政側と地権者との信頼関係に基づいて行われるべきところ,本件鑑定評価書が公開されることによって,実際の買収価格と鑑定評価額との間に乖離があることが判明した場合,控訴人市と地権者との間で築かれた信頼関係が損な 者との信頼関係に基づいて行われるべきところ,本件鑑定評価書が公開されることによって,実際の買収価格と鑑定評価額との間に乖離があることが判明した場合,控訴人市と地権者との間で築かれた信頼関係が損なわれるのみならず,上記の乖離があることが公知の事実になった場合,地権者は控訴人市に対して不信感を持ち,未買収地の用地買収についても著しい支障が生じると主張する。しかし,控訴人市においては,用地買収交渉の方法として,鑑定評価額を下回る価格をもって「予定価格」とし,その予定価格を基準として地権者と交渉するという方法をとっておらず,ほぼ鑑定評価額と同額を提示して交渉している(前記第2,2,(6),ア)というのであるから,実際の買収価格と鑑定評価額との間に目立った乖離は生じないはずである。また,およそ公共用地の買収に先立って,控訴人市が不動産の価格について専門家に鑑定の依頼をすることは公知の事実であり,さらに,不動産鑑定にはその性質上幅があって,唯一絶対の数字とはいえないのであるから,交渉の結果定まる買収価格(成約価格)と当該鑑定評価額とが完全に一致しないことも当然予想されるのであって,そのことが本件鑑定評価書の公開によって明らかになるからといって,控訴人市と地権者との間の信頼関係が直ちに損なわれるとはいえず,また,それだけで地権者が控訴人市に対して不信感を持ち,未買収地の交渉に支障が生じるとはいえない。 イ他の地権者が本件買収価格に固執すること等による円滑な買収への支障の有無控訴人らは,本件事業に伴う用地買収の継続中に既買収地である本件買収地の買収価格が明らかになると,未買収地の地権者が,相互の土地の相違を正しく認識せず,本件買収地の買収価格を前提として自己に有利な価格を算定し,それに固執し,円滑な買収に支障が生じるおそれ(蓋然性)がある旨 価格が明らかになると,未買収地の地権者が,相互の土地の相違を正しく認識せず,本件買収地の買収価格を前提として自己に有利な価格を算定し,それに固執し,円滑な買収に支障が生じるおそれ(蓋然性)がある旨主張するので,この点につき判断する。(なお,本件公開請求当時における本件事業に伴う用地買収の進捗状況につき,控訴人らは,面積にして41パーセントが未買収の状況であったと主張するものの,未買収地の位置,件数等は明らかにしていない。そこで,本件買収地の近隣土地が未買収であると仮定して,以下検討する。)元来,土地の価格は,土地の形状,地形,道路等の公共施設との位置関係等の個別要因によって差異が生じるものであり,これは価格の決定に駆け引きを伴わない公共用地の買収価格も同様である。したがって,近隣地の買収価格が本件買収地の買収価格と当然に同じ額になるというものではなく,本件買収地の買収価格が判明したからといって,本件買収地の買収価格から近隣地の買収価格が機械的に算出されるというものでもない。それにもかかわらず,近隣地の地権者が,当該土地と本件買収地との個別の差異を無視し,当該土地の買収価格について本件買収地の買収価格と同額であるべきであると主張したとしても,それは合理性のある主張とはいえない。このような場合,買収事務担当者としては,当該土地と本件買収地の価格決定要因における相違点を説明し,租税特別措置法に基づく特別控除制度(5000万円)の特例があること等も1つの説得材料にしながら,当該土地自体の適正な価格をもって粘り強く交渉を進めることになる。そして,当該地権者が買収に応じないときは,最終的に土地収用法による収用という手続を選択することが可能である。この最終的な手段が予定されている点は,本件事業用地の買収が私人間の契約と最も異なるところである。 地権者が買収に応じないときは,最終的に土地収用法による収用という手続を選択することが可能である。この最終的な手段が予定されている点は,本件事業用地の買収が私人間の契約と最も異なるところである。 確かに,買収事務担当者にとって,このような合理性のない対応をする地権者と交渉する場合,既買収地の買収価格を知られていない方が交渉を進めやすい(証人E)ことは容易に推認できるところである。しかし,これは既買収地の買収価格を知られることにより説明すべき事柄が増えるということであって,既買収地の買収価格を知られることにより交渉が不成功に終わるということではない。他方,地権者にとっては,近隣地の買収価格を全く知らされず,行政側からの申出価格が当該土地の公正な価格であるからそれを信頼せよといわれるより,近隣地の買収価格を知り,近隣地と当該土地との相違点を認識する方が,当該土地についての買収申出について真剣に検討することができるのであり,既買収地の買収価格を近隣の地権者に知られることがマイナスばかりとはいえない。本件事業用地の買収交渉において,買収価格についての駆け引きは許されておらず(証人E),適正な価格で買収に応じてもらえるように地権者を説得することが買収事務担当者の責務であることからすると,交渉に当たり,必要な情報は開示し,必要な説明をすることが要求されるというべきである。 これに対し,控訴人らは,既買収地のみならず買収予定地についても鑑定評価書が公開されるようになれば,地権者は,その弱点探しをしたり,あるいは,自分に有利な不動産鑑定書を提出してこれを争うなどの事態が起こることが予想され,その結果,交渉が不当に長引き,用地買収事業の円滑な執行に著しい支障を生じるおそれがあると主張する。しかし,本件は買収予定地についての鑑定評価書の公開が求められ うなどの事態が起こることが予想され,その結果,交渉が不当に長引き,用地買収事業の円滑な執行に著しい支障を生じるおそれがあると主張する。しかし,本件は買収予定地についての鑑定評価書の公開が求められている事案ではなく,本件鑑定評価書は既買収地を対象とするものであり,しかも,本件土地については,地権者であったDは控訴人市の市会議員であるため,同市の「政治倫理の確立のための横浜市会議員の資産等の公開に関する条例」によって,また,後述の同市の公共事業用地にかかる保有地に関する情報公開等によって,本件土地の買収価格はほぼ明らかになっている(乙13,甲19,弁論の全趣旨)。したがって,本件鑑定評価書を公開することによる直接の弊害はほとんどないといってよい。 他方,控訴人らの主張するとおり,不動産評価は,その性質上幅があって,唯一絶対のものではないから,鑑定人によって差がありうる。そして,以前とちがって,不動産の価格に関する私的,公的情報は地権者や市民一般にも溢れており,地権者において,より多くの情報に基づいて,行政側との買収交渉に臨みたいと考えるのは当然であるから,場合によっては,行政側の鑑定評価書に対抗して私的鑑定書を提出するなどして評価額を争い,その結果,交渉が長引くようなことがあったとしても,それだけで用地買収交渉という事業の「公正若しくは円滑な執行」に著しい支障が生じると解するのは相当ではない。不動産の評価額に対する市民の関心が高く,不動産評価に関する情報が入手しやすくなっている現状においては,行政側からの情報の開示によって,場合によっては,ある程度交渉が長引く(逆に,かえって交渉が短くなる場合もある。)ことについても,市民一般の理解が得られるものと考えられる。 ちなみに,旧条例9条1項6号では,「…事務事業の公正若しくは円滑な執行に著 程度交渉が長引く(逆に,かえって交渉が短くなる場合もある。)ことについても,市民一般の理解が得られるものと考えられる。 ちなみに,旧条例9条1項6号では,「…事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずると認められるもの」と規定しており,文言上は「公正な執行」又は「円滑な執行」のいずれかに著しい支障が生じれば,同号に該当するように見えるが,およそ地方公共団体の事務又は事業が「公正」に執行されるべきことは最も基本的な要請であること,平成12年横浜市条例第1号により制定された現行の横浜市の保有する情報の公開に関する条例第7条2項6号は,「…当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」と規定していること,平成13年4月1日から施行されたいわゆる情報公開法(平成11年法律第42号)第5条第6号においても,不開示情報として「…当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれのあるもの」と規定していることなどにかんがみれば,旧条例1項6号の「円滑な執行」の中には「公正ないし適正であること」という要件が内在的に含まれていると解するのが相当であり,6号該当性有無の判断に当たっては,公開することによる有益性や公益性等も総合的に考慮すべきものである。 以上によれば,本件鑑定評価書の開示により近隣の地権者との買収交渉において説明すべき事柄や説得に要する労力等が増えるとしても,そのことをもって本件事業の執行に当たっての著しい支障と認めることはできないというべきである。 よって,この点についての控訴人らの主張は採用することができない。 ウ事後公開を恐れての交渉拒絶による円滑な買収への支障の有無控訴人らは,本件鑑定評価書を公開することになれば,他の買収交渉の相手方との取引価格も公開せざるを得ないこととなるから,取引価格を公開されることを恐 恐れての交渉拒絶による円滑な買収への支障の有無控訴人らは,本件鑑定評価書を公開することになれば,他の買収交渉の相手方との取引価格も公開せざるを得ないこととなるから,取引価格を公開されることを恐れて自治体との用地買収交渉に応じない者が増加し,将来控訴人市が行う用地買収を伴う同種の公共事業の円滑な執行に支障を生ずるおそれがあると主張する。 仮に,買収価格を第三者に知られたくないとの地権者感情があるとしても,本件と同種の用地買収は,前記のとおり,通常の私人間の売買とは異なり,定められた手続に従って行われるものであって,買収価格に譲渡人である地権者の主観的事情は反映されず,その価格自体公的な性質を帯びているのであるから,この感情はそのままの形では保護されるべき利益とはいえない。したがって,買収事務担当者としては,地権者が後に買収価格が公開される可能性があることを理由として買収に難色を示したとしても,上記公的性質を説明し,説得に努力すべきである。 以上によれば,上記説得の努力が必要になるからといって,これをもって公共事業の円滑な執行に当たっての著しい支障と認めることはできないというべきである。 なお,控訴人市においては,公共事業用地に係る保有土地(事業継続中で近隣の用地取得交渉が難航するなどの事情のあるものを除く。)及び代替地として控訴人市が保有している土地については,事後的にその土地の所在地,取得年,事業名,面積のみならず金額も文書公開請求の対象として扱っているのが現在の実情である(甲19,弁論の全趣旨)。したがって,事後公開を恐れて控訴人市との用地買収交渉に応じない者が増加するおそれ自体が認めがたい。 エ本件情報公開請求の目的そもそも被控訴人らが本件情報公開を求めるにいたった端緒は,被控訴人らの住宅にほぼ隣接する地域で,開発が厳 の用地買収交渉に応じない者が増加するおそれ自体が認めがたい。 エ本件情報公開請求の目的そもそも被控訴人らが本件情報公開を求めるにいたった端緒は,被控訴人らの住宅にほぼ隣接する地域で,開発が厳しく制限されていた土地を市会議員であるDが本件土地の代替地として取得したことから,被控訴人らを含む市民有志が,本件土地の買収の経過やその価格に疑問を持ち,その背景として本件事業の計画があることを知ったことによる(甲27)。 そして,被控訴人らは,Dが控訴人市の市会議員であるという特権を利用して,不当に高い価格によって本件土地の買収に応じ,また,不当に低い価格によって代替地を取得したのではないかという疑問を持ち,本件土地の買収及び代替地の取得の経緯を客観的に把握するために,いわば,市政に関する正しい情報を得る目的で本件情報公開を請求するにいたった(甲27,被控訴人B)ものである。 以上のような本件情報公開請求の動機ないし目的にかんがみれば,本件鑑定評価書を公開することは,控訴人市の用地買収手続等が常に公正に行われており,その相手が市会議員であっても変わらないこと,また,本件土地の買収価格が,公共事業用土地の算定における公示価格規準主義に基づいて,公正な鑑定評価を反映して定められていることなどを示すことにもなるのであって,控訴人市長において,いつ,いかなる場合にも鑑定評価書をいわば門外不出であるとして公開を拒むのは必ずしも妥当ではないというべきである。 (4) まとめ以上によれば,本件鑑定評価書に係る情報は旧条例9条1号,2号及び6号のいずれの非公開情報にも該当しないから,被控訴人Bの本件鑑定評価書についての非公開決定(本件決定)の取消しを求める本件訴えは理由がある。 4 損害賠償請求の成否当裁判所も,被控訴人Bの本件損害賠償請求は理由がな 情報にも該当しないから,被控訴人Bの本件鑑定評価書についての非公開決定(本件決定)の取消しを求める本件訴えは理由がある。 4 損害賠償請求の成否当裁判所も,被控訴人Bの本件損害賠償請求は理由がなく,被控訴人Cの本件損害賠償請求は5万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。その理由は,次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の「第3 争点についての当裁判所の判断」の「4 損害賠償請求の成否」記載のとおりであるから,これを引用する。(訂正部分省略) 5 以上によれば,原判決は相当であり,控訴人らの本件各控訴及び被控訴人らの本件各附帯控訴は理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部裁判長裁判官奥山興悦裁判官山崎まさよ裁判官沼田寛
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