令和6(わ)600 過失運転致死傷被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年9月30日 神戸地方裁判所
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判決文本文2,123 文字)

- 1 -令和6年9月30日宣告令和6年第600号過失運転致死傷被告事件判決 主文 被告人を禁錮3年に処する。 理由 【犯罪事実】被告人は、令和6年1月19日午前11時6分頃、大型貨物自動車(最大積載量13.5tのトラック、以下「被告人車」という。)を運転し、神戸市a区b 町地籍内の県道高速湾岸線下り20.0キロポスト先の道路(当時の制限速度は時速60km)を兵庫県芦屋市方面から同県明石市方面に向かって進行するに当たり、適切に速度を調節すると共に進路の前方左右を注意深く見て進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、足元に落下したペットボトルを拾うために視線をその方に向け、前方左右を注意深く見ず、進路の安全を十分確認しないまま時速約86kmで進行した過失により、そのとき被告人車の進路上に渋滞のため低速走行していたA(当時76歳)運転の普通乗用自動車(以下「A車」という。)を前方約16.2mの地点に迫って初めて認め、急ブレーキをかけたものの間に合わず、被告人車の前部をA車の後部に衝突させ、その衝撃によりA車を前方に押し出し、A車の前部をその前方に停止していたB(当時49歳)運転の大型特種自動車(タンク車、以下「B車」という。)の後部に衝突させて、A車を被告人車とB車の間に挟んで押し潰した上、被告人車をB車の後部に衝突させ、その衝撃によりB車を前方に押し出し、B車の前方で停止していたC(当時45歳)運転の大型貨物自動車がけん引するコンテナセミトレーラの後部に衝突させ、よって、Aに頭部打撲の傷害を負 車の後部に衝突させ、その衝撃によりB車を前方に押し出し、B車の前方で停止していたC(当時45歳)運転の大型貨物自動車がけん引するコンテナセミトレーラの後部に衝突させ、よって、Aに頭部打撲の傷害を負わせ、その頃、その場で、同人をその傷害に基づく頸髄損傷により死亡させ、A車に同乗していたD(当時73歳)に左右多発肋骨骨折等の傷害を負わせ、その頃、その場 - 2 -で、同人をその傷害に基づく出血性ショックにより死亡させると共に、Bに加療約14日間を要する外傷性頸部症候群の傷害を、Cに加療約10日間を要する頸椎捻挫の傷害をそれぞれ負わせた。 【証拠】 略【法令の適用】 略【量刑の理由】この事件は、大型トラックを運転中の被告人が、足元に視線を向けて前方をよく見ないままトラックを進行させたため、進路前方で渋滞のため低速走行していた先行車に追突し、さらにその前方に停車していた2台の車両にも玉突き追突する事故を引き起こして、2名を死亡させ2名に傷害を負わせたというものである。 被告人は、足元に落ちたペットボトルを拾うため、視線を足元に向け、前方を十分見ないまま十数秒にわたって走行させた。その間、被告人は、全く前方を見ていなかったわけではなく、前方に視線を戻したこともあったようであるが、現場は見通しのよい直線道路で、前を見ていれば前方で渋滞が発生して先行車両が減速又は停止していることは比較的容易に気付くことができたと考えられる。それにもかかわらず、被告人は、先行車(A車)の至近距離に至るまでその存在に気付かなかったというのであるから、その運転態様は前方を見ずに自動車を走行させていたに等しい。被告人車が最大積載量10tを超える大型トラックであったこと、当時の走行速度が時速80kmを超える高速度であったことも併せて考えると、その過失 運転態様は前方を見ずに自動車を走行させていたに等しい。被告人車が最大積載量10tを超える大型トラックであったこと、当時の走行速度が時速80kmを超える高速度であったことも併せて考えると、その過失は非常に重いというべきである。それにより招いたのは、2人の被害者が死亡し2人の被害者に傷害を負わせるという、取り返しのつかない重大な結果である。もとより、いずれの被害者にも落ち度はなく、死亡・負傷の原因は全て被告人の過失にある。死亡した被害者の苦痛と無念は計り知れず、遺族である娘2人が公判廷で大きな悲しみと被告人に対する厳しい処罰を求めたのも、当然の心情として理解できる。被告人の刑事責任は大変重く、禁錮刑の実刑は免れない。 ただし、被告人が脇見運転に及んだのはペットボトルが足元に落下するという - 3 -突発的な出来事がきっかけであり、飲酒運転や無免許運転など運転行為自体に重大な危険性をはらんでいた事案とは異なる。民事的な賠償については、自動車保険を通じて果たされることが見込まれる。被告人は自身の落ち度を全面的に認めて、真摯に反省と謝罪の態度を示し、今後は自動車の運転を一切しない旨誓約しており、被告人の妻も被告人の更生に協力する旨公判廷で述べている。本件にてより被告人は本件当時勤務していた運送会社を退職することを余儀なくされており、相応の社会的な制裁を受けている。被告人には犯罪歴はない。刑期を量定するに当たっては、以上のような事情も考慮した(求刑は禁錮5年)。 令和6年9月30日神戸地方裁判所第4刑事部裁判官丸田顕 裁判官丸田顕

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