主文 1 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,27万3387円及びこれに対する平成25年12月31日から支払済みまで年5分の割合による金員並びに平成26年1月から本判決確定の日まで,毎月末日限り33万9000円及びこれに対する各支払日 の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項,第2項同旨 2 被告は,原告に対し,660万円及びこれに対する平成25年12月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 本件事案の概要本件は,被告との間で期間の定めのない雇用契約を締結していた原告が,被告に対し,原告が被告から平成25年12月6日付けで解雇されたこと(以下「本件解雇」という。)について,本件解雇が違法無効である旨主張して,① 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認,②労働契約に基づき,本件解雇の日の翌日から本判決確定の日まで毎月末日限り33万9000円の賃金及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,③不法行為に基づく損害賠償請求として,慰謝料及び弁護士費用の合計660万円及びこれに対する不法行為日である平成25年1 2月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を それぞれ求める事案である。 2 前提事実(争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により 成25年1 2月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を それぞれ求める事案である。 2 前提事実(争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) 当事者等ア被告は,パナソニック株式会社の子会社であり,コンピュータ関連シス テム及びソフトウェアの研究・開発・製造・販売等を目的とする株式会社である。 被告は,昭和60年6月21日に設立され(当時の名称は,株式会社松下ソフトリサーチ),平成19年4月1日,株式会社松下電器情報システム名古屋研究所及び株式会社松下電器情報システム広島研究所を吸収合併 し,現在の名称となった。 (甲1,119・181頁)イ原告は,昭和63年4月1日,被告に入社し,以降,平成25年12月6日に本件解雇をされるまで,被告においてソフトウェアの設計・開発等の業務に従事していた。 本件和解についてア原告は,平成19年3月9日,原告が同月6日の就業時間中に労働組合活動を行ったことについて,当時の被告の社長であったA社長らと面談した。 A社長は,上記面談において,原告に対し,「しばき倒すぞ」,「殺す ぞしまいに」,「お前,殴ったるで」等の脅迫的言辞や,「アホ」,「汚い男やなぁ。ほんま汚いわお前。」,「君ゼロや完全に」,「人間力ゼロ」等の侮辱的発言をした。 (甲3の①②)イ原告及び被告は,平成19年12月12日,被告が上記アの面談時にA 社長らに不適切な行為があったことを認め,使用者として遺憾の意を表明 するとともに,解決金として300万円を原告に支払う旨等を合意する和解(以下「本件和解」という。)をした(甲7)。 らに不適切な行為があったことを認め,使用者として遺憾の意を表明 するとともに,解決金として300万円を原告に支払う旨等を合意する和解(以下「本件和解」という。)をした(甲7)。 原告の通院及び長期休業等ア原告は,平成19年9月21日,Bクリニックを受診し,以後,①同日から同年11月10日まで,②平成21年6月6日から同年11月13日 まで,③平成22年5月11日から少なくとも平成26年9月16日までの間にわたり,Bクリニックに通院している(甲92,118)。 イ原告は,平成21年7月4日以降,次のとおり3回にわたり被告を長期休業した。 平成21年7月4日から同年8月17日まで 平成22年7月2日から平成24年3月31日まで 平成24年11月6日から平成25年1月31日まで(年休及び自宅待機命令による自宅待機の期間を含む。)(甲12の①ないし⑩,甲16ないし19)ウなお,原告は,平成23年10月6日,北大阪労働基準監督署長(以下 「北大阪労基署長」という。)に対し,上記イのうち一部の期間に係る休業が,被告の業務に起因して発症した精神疾患に基づくものであるとして,労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)に基づく休業補償給付の支給を請求した(以下「本件労災申請①」という。)。 北大阪労基署長は,本件労災申請①に対し,平成24年4月13日,原告 の精神障害が業務上の事由によるものとは認められないとして,不支給とする処分を行ったため,原告は,審査請求及び再審査請求を経た上,上記処分の取消訴訟を提起した。大阪地方裁判所は,平成29年4月26日,原告の請求を棄却した123号事件)が,原告が同判決に対し控訴をして,同事件は大 め,原告は,審査請求及び再審査請求を経た上,上記処分の取消訴訟を提起した。大阪地方裁判所は,平成29年4月26日,原告の請求を棄却した123号事件)が,原告が同判決に対し控訴をして,同事件は大阪高等裁判所に係属している(大阪高 等裁判所平成2 (甲45ないし47,119,乙144) 原告の労働組合への加入等ア原告は,被告に入社して以降,被告とユニオンショップ協定を結んでいるパナソニックアドバンストテクノロジー労働組合(以下「PAD労働組合」という。なお,平成19年3月時点では,松下電器産業労働組合研究 所連合支部R&D支部の傘下組織であるMSR分会がこれに相当した。)に加入している(甲41,乙140,弁論の全趣旨)。 イ原告は,平成24年4月25日,企業外労働組合である電機・情報ユニオン(以下「本件組合」という。)に加入した(乙59,原告)。 出勤停止の懲戒処分 ア被告は,平成25年5月13日,原告に対し,同月20日から同月28日まで7日間の出勤停止を命じる懲戒処分(以下「本件出勤停止処分」という。)をした。 本件出勤停止処分に関し,被告から原告に交付された通知書には,おおむね次の内容の懲戒処分対象事実等(以下,総称して「本件出勤停止処分 事由」という。)が記載され,原告に対し同月17日までに始末書を提出するよう命じる旨が記載されていた。 担当業務に関する指示命令違反a 平成24年10月25日,同月31日,同年11月2日及び同月5日 上司から指示されたgstreamerのAndroidへの搭載を中心とする調査の業務指示に対して,指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中でありペンデ 及び同月5日 上司から指示されたgstreamerのAndroidへの搭載を中心とする調査の業務指示に対して,指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中でありペンディングする,待機すると日報等で報告して,指示された業務を行わなかった(就業規則94条1項18号に該当)。 b 平成25年2月8日 上司から指示された「Webアプリケーション構築入門(第2版)」第5章「ウェブの通信方式Twitterのパブリックタイムライン」の読解,課題実施という業務指示に対して,次のような上司宛のメールで業務指示を拒否し,指示命令された業務を行わなかった。 「本業務命令は,お断りします。理由は下記等です。 円滑な業務復帰のための段階的な支援がなされていない。 プロジェクトと同様の組織的な活動が許可されていない。 主治医意見書で「トラブルのあった人と離すこと」とあり,現状は,それまでの暫定的な体制であること。 2月1日に約束したストレス要因の話もさせて頂けない。 話し合いは主治医,健康管理センター精神科医,産業医などの意見に基づくもの。 これまで,提示されている業務命令は広く浅くキーワードを知るための入門書の独習です。いきなり,未経験業務で実業務としての対応を求められるのは合理的な業務命令とは思えません。 適切な業務命令が示されるまで待機いたします。」(就業規則94条1項18号に該当) 上記以外の指示命令違反等a 勤怠管理手続違反関係⒜ 平成25年3月11日 午後3時 ます。」(就業規則94条1項18号に該当) 上記以外の指示命令違反等a 勤怠管理手続違反関係⒜ 平成25年3月11日 午後3時に早退したにもかかわらず,所定の手続である勤務管理システムへの早退届の入力を怠った。 ⒝ 平成25年3月12日会社に無断で,勤務管理システムの勤務形態を通常勤務からフレックスタイム制勤務に変更した。 ⒞ 平成25年3月15日,同月21日,同月26日,同月27日及 び同月29日上司から再三にわたって,上記⒜については早退届の入力を行い,上記⒝については通常勤務に訂正するよう指示するも,訂正しなかった。 (以上につき,就業規則92条1号,94条1項18号に該当) b 帰宅命令違反平成25年3月22日,終業後,上司の帰宅指示に従わず,約1時間にわたって会社のパソコンを使ってメールを作成した(就業規則94条1項18号に該当)。 c 情報セキュリティ事故に関する事情聴取拒否 平成25年3月22日,情報セキュリティ責任者による情報セキュリティ事故に関する事情聴取の最中に激昂して大声を上げて反発し,事情聴取を拒否した(就業規則94条1項18号に該当)。 職場離脱等a 平成25年3月22日及び同月25日 上司の許可なく職場を離脱し,健康管理室で延べ約2時間にわたり,産業医,保健師に対して詰問した。 b 平成25年3月26日,同月27日及び同月29日職場内で職場の電話を使い,延べ約45分にわたり業務と関係のない話を大声で行ったため,周囲の ,保健師に対して詰問した。 b 平成25年3月26日,同月27日及び同月29日職場内で職場の電話を使い,延べ約45分にわたり業務と関係のない話を大声で行ったため,周囲の社員から業務の妨げになるとの苦情 が出ており,職場の風紀秩序を乱し,就業環境を悪化させた。 (以上につき,就業規則92条3号,6号,8号に該当) 他者を誹謗・中傷したり,激昂して大声を出すなどして,他者に不利益を与えるとともに,職場の風紀を乱したことa 平成24年10月29日及び同月30日 職場内において,上記aにおいて原告に指示をする立場となった 社員に対し,厚生労働省のパワーハラスメントに関するパンフレットを示しながら労災で訴えると言って謝罪を迫り,職場の風紀秩序を乱した(就業規則93条10号に該当)。 b 平成25年3月25日及び同月26日健康管理室で産業医及び保健師と話をした際,両名を犯罪者呼ばわ りして警察に電話すると誹謗中傷したり,他の社員もいる前で激昂して大声を出し,カウンターを叩いたりして健康管理室の業務遂行を阻害するとともに,両名に恐怖感を感じさせるなど,職場の風紀秩序を乱した(就業規則93条3号,10号に該当)。 情報セキュリティ違反 平成24年10月11日及び平成25年3月13日,会社に許可なくICレコーダーをBゾーンである食堂及び健康管理室に持ち込んだ。また,健康管理室で保健師との会話を携帯電話で一部録音した。 (就業規則92条1号,14号,93条1号に該当)(以上につき,甲23の①②) イ原告は,本件出勤停止処分に対して異議を申し出たが,被告は,平成25年5月17日に 部録音した。 (就業規則92条1号,14号,93条1号に該当)(以上につき,甲23の①②) イ原告は,本件出勤停止処分に対して異議を申し出たが,被告は,平成25年5月17日に懲戒委員会を開催し,同日,同月20日から同月28日までの出勤停止を決定した(甲24,25)。 本件解雇ア被告は,平成25年10月25日,原告に対し,後記記載の各懲戒事 由が存在し,懲戒解雇が妥当である旨等を記載した通知書(甲135。以下「本件通知書」という。)を交付し,懲戒委員会を開催する旨通知した(甲29,135)。 イ被告が設置した懲戒委員会は,平成25年10月31日,同年11月14日及び同月20日の3回にわたり委員会を開催し,同月21日,被告に 対し,原告について懲戒解雇とするのが妥当であり,原告の弁明を最大限 斟酌するとしても普通解雇が相当である旨答申した(甲38,乙151ないし153)。 ウ被告は,平成25年11月27日,原告に対し,原告を同年12月6日付けで普通解雇(本件解雇)とし,平均賃金の21日分に相当する解雇予告手当を支給する旨通知した(甲37,38)。 本件通知書に記載された懲戒事由(本件解雇事由)本件通知書に記載された原告の懲戒事由(以下,総称して「本件解雇事由」という。)は,おおむね次のとおりである。 ア上司等の上位者や会社に対する誹謗・中傷を行い,職場の風紀秩序を乱すとともに,業務遂行を阻害し,また,個人や会社に不利益を与え,名誉 信用の毀損を行ったこと。 平成24年10月11日に,Cの行為によって会社の食堂で「左側胸部打撲症」(以下「本件傷害」という。)を負ったとの事実に反する内容で,平成25年5月2 信用の毀損を行ったこと。 平成24年10月11日に,Cの行為によって会社の食堂で「左側胸部打撲症」(以下「本件傷害」という。)を負ったとの事実に反する内容で,平成25年5月27日に,門真警察署へCを加害者とする被害届を提出した(就業規則93条3号,10号,94条1項11号,15号 に該当。以下「解雇事由①」という。)。 平成25年2月7日,D及びE宛てに,「2012年10月の業務でのFから虚偽説明と情報隠蔽」という件名のメールを送り,原告自身が作成した「gstreamer調査.ppt」というファイルを添付して,Fから虚偽説明,情報隠蔽を受けていると訴えた(就業規則93条 10号,94条1項11号,15号に該当。以下「解雇事由②」という。)。 平成25年9月25日及び同月26日,G及びHに,「出るところへ出る,既に出るところへ出たこともある。」,「外でGさんを訴える。」,「警察にも行っている。警察に入ってもらう。」等との発言を 行った(就業規則93条10号に該当。以下「解雇事由③」という。)。 上記の発言について,平成25年9月27日にIが事情聴取を行おうとしたが,それに応じなかった(就業規則93条3号,94条1項18号に該当。以下「解雇事由④」という。)。 平成25年9月27日,Iに脅迫されたということを職場内で大声で発し,また,職場内で大きな声で警察に電話をかけ,会社内に警察官を 呼び,J社長に対してIから脅迫を受けた旨のメールを送信した(就業規則93条3号,10号,94条1項11号,15号に該当。以下「解雇事由⑤」という。)。 平成25年10月2日,K所長が自宅待機命令の通知を行うために会議室に来るよう指示し した(就業規則93条3号,10号,94条1項11号,15号に該当。以下「解雇事由⑤」という。)。 平成25年10月2日,K所長が自宅待機命令の通知を行うために会議室に来るよう指示したが,会議室に入ることを拒否し,原告の席まで 呼びに来たK所長に対して,自席で,「過去に監禁された」等の内容を大声で発した(就業規則93条3号,10号に該当。以下「解雇事由⑥」という。)。 イ上司が繰り返し業務指示を行い,業務内容を丁寧に説明したにもかかわらず,上司の説明を理解しようとせず,指示された業務ができないと主張 し,業務指示に従わなかったこと。 ターゲットプランでの目標設定に従い,管理面のトレーニングのために週間計画を立てるように繰り返し指示したが,根拠のない理由を並べ立て,業務指示に従わなかった(就業規則94条1項18号に該当。以下「解雇事由⑦」という。)。 ウ就業規則93条3号及び10号は,平成25年5月13日付けの本件出勤停止処分(上記)の対象となった事由であり,かつ,本件でも複数回挙げられていることから,就業規則94条1項1号にも該当する(以下「解雇事由⑧」という。)。 (以上につき,甲135) 本件に関連する規定等 ア就業規則被告の社員就業規則(以下,単に「就業規則」という。)には,次の各規定が存在する。 第8条(入門禁止)次の各号の一に該当する社員に対しては入門を禁止し,または事業場 から退場を命じることがある。 1.風紀秩序をみだし,またはそのおそれがあると認められる者。 第64条(解雇)社員が次の各号の一に該当する場合は解雇する。 を命じることがある。 1.風紀秩序をみだし,またはそのおそれがあると認められる者。 第64条(解雇)社員が次の各号の一に該当する場合は解雇する。 1.第94条による懲戒解雇の処分をしたとき 2.労働協約第2条(ショップ制)適用により雇用契約を打切るとき3.事業縮小・閉鎖・設備変更などにより剰員となったとき4.業務能力または勤務成績が著しく不良のとき5.見習社員で,業務能力または勤務成績が社員として不適当と認められたとき 第91条(懲戒の種類)懲戒は,その程度により次のとおり区分する。 区分処分内容けん責始末書をとり,将来を戒める。 減給始末書をとり減給する。ただし,減給額は1回につき平均賃金の半日分,総額において1賃金支払期の賃金総額の1/10を超えることはない。 出勤停止始末書をとり,出勤を停止する。ただし10日を超えて停止することはない。 降職・降格けん責した上で役職・資格を下げ又は免ずる。 諭旨退職けん責した上で退職させる。 解雇決定後ただちに解雇する。 第92条(けん責)社員が次の各号の一に該当する場合はけん責する。 ただし,特に情状しゃく量の余地があるか,もしくは改しゅんの情が明らかに認められるときには懲戒を免じ,訓戒にとどめることがある。 1.身上または勤務に関し会社を欺き,もしくは所定の手続きを怠っ たとき3.会社の情報機器・ネットワーク,資材・設備等を私用に供したとき。また,これらを利用して私物を作成,または許可なく修理し,あるいは他人にさせたと くは所定の手続きを怠っ たとき3.会社の情報機器・ネットワーク,資材・設備等を私用に供したとき。また,これらを利用して私物を作成,または許可なく修理し,あるいは他人にさせたとき6.労働時間中許可なく職場を離れ,もしくは自己の職責を怠る等業 務怠慢の行為があったとき8.本人の不注意のため業務に支障を起したとき14.その他前各号に準ずる程度の行為があったとき 第93条(減給・出勤停止)社員が次の各号の一に該当する場合は減給または出勤停止に処する。 ただし,特に情状しゃく量の余地があるか,もしくは改しゅんの情が明らかに認められるときはけん責等にとどめることがある。 1.前条各号の行為が再度におよびもしくは情状が重いとき3.故意または過失により著しく業務を阻害したとき10.誹謗・中傷やそれに類する言動を行い,他者に不利益を与えたと き,または職場の風紀秩序をみだしたとき 第94条(懲戒解雇)社員が次の各号の一に該当する場合は懲戒解雇する。ただし,特に情状しゃく量の余地があるか,もしくは改しゅんの情が明らかに認められるときは,降職・降格または諭旨退職等の解雇以外の懲戒にとどめるこ とがある。 1.前条各号の行為が数度におよんだとき11.会社または会社内の個人の名誉信用を著しく毀損したとき15.誹謗・中傷やそれに類する言動を行い,他者に著しい不利益を及ぼしたとき,または,会社の名誉信用を著しく毀損したとき 18.正当な事由なく職務上の指示命令に従わなかったとき い,他者に著しい不利益を及ぼしたとき,または,会社の名誉信用を著しく毀損したとき 18.正当な事由なく職務上の指示命令に従わなかったとき(以上につき,甲22)イ労働協約の定め被告とPAD労働組合との間で締結された労働協約(以下,単に「労働協約」という。)には,次の各規定が存在する。 第2条(ショップ制)会社の従業員は第3条に定める者を除き,組合員でなければならない。 したがって,会社は従業員を雇傭する際には試傭期間終了後組合に加入することを条件とする。 組合が除名した者のうち会社が雇傭関係を打切ることを不適当と認め た者については,会社は組合と協議する。その他の除名者は雇傭関係を打切る。 第12条(解雇基準)組合員が次の各号の一に該当するときは解雇する。 1.第27条(懲戒解雇)適用のとき 2.第2条(ショップ制)適用により雇用契約を打ち切るとき3.事業縮小,閉鎖,設備変更等により剰員となったとき4.業務能力または勤務成績が著しく不良のとき 第28条(懲戒手続)① 組合員が第25条ないし第27条に定める懲戒基準に該当すると認 められるときは,懲戒委員会にはかった上,懲戒する。 ただし,第25条又は第26条の場合は,本人または組合が異議を申出たときに懲戒委員会にはかるものとする。 ② 懲戒委員会には組合の代表が参加するものとし,必要の都度これを設置する。 ③ 懲戒委員会の運営に関する細部は,別に定める。 (以上につき 委員会にはかるものとする。 ② 懲戒委員会には組合の代表が参加するものとし,必要の都度これを設置する。 ③ 懲戒委員会の運営に関する細部は,別に定める。 (以上につき,甲41)第3 本件の争点 1 本件解雇の有効性について 本件解雇に係る客観的合理的理由の存否(争点1) 本件解雇が社会通念上相当であるか否か(争点2) 原告主張に係る本件解雇のその他の無効事由(信義則違反,不当労働行為)の有無(争点3) 2 本件解雇に係る不法行為の成否及び損害額(争点4)第4 争点に対する当事者の主張の概要 1 争点1(本件解雇に係る客観的合理的理由の存否)について 【被告の主張】 はじめに就業規則に掲げた解雇事由は例示列挙と解すべきであり,それ以外の理由により解雇が許されなくなると解するのは相当でない。そして,労働者について懲戒解雇処分に該当する事由がある場合には,それよりも軽い普通解雇 とすることは,契約解釈上許容されるものと解すべきである。 原告については,以下のとおり懲戒解雇処分に相当する事由が存在することから,本件解雇について客観的合理的理由が存在する。 解雇事由①についてア原告は,平成25年5月27日,門真警察署に対し,Cを加害者として, 平成24年10月11日にCの行為により会社の食堂で左側胸部打撲傷 (本件傷害)を負った旨の被害届(以下「本件被害届」という。)を提出した。 しかしながら,①Cは,同日,食堂から立ち去ろうとした原告に対し,背後から腰のあたりに両腕を回して,その後ろをついて回ったにすぎず,原告がCの行為により本件傷害を負うことは考えられないこと,②仮に打 しかしながら,①Cは,同日,食堂から立ち去ろうとした原告に対し,背後から腰のあたりに両腕を回して,その後ろをついて回ったにすぎず,原告がCの行為により本件傷害を負うことは考えられないこと,②仮に打 撲傷を負ったとすると,受傷直後から痛みが生じるのが通常であるが,原告は,職場に戻ってから痛みが生じた旨述べていること,③受傷部位及び具体的症状並びにその原因であるとするCの行為態様等に関する原告の供述が不合理に変遷していること,④原告は,受傷したとする当日に被告の健康管理室から紹介された病院を受診せず,その翌日に異なる病院を受診 したこと,⑤本件被害届に係る事件を担当した検察官は,Cに係る受理罪名の「傷害」を「暴行」と変更した上で不起訴処分としたこと,⑥本件傷害を理由とする療養補償給付の請求(以下「本件労災申請②」という。)に対し,北大阪労基署長,労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会のいずれもが,Cの行為によって原告が主張する傷害を負ったとはいえな い旨判断していること,⑦原告が本件傷害を負ったとする医師の診断は,原告の主訴に基づくものにすぎず信用できないこと,以上の点に照らすと,Cが原告に本件傷害を負わせたという事実はない。 イこのように,原告が事実に反する被害届を提出したことにより,Cは,捜査機関の取調べを受けた上,傷害事件の被疑者と扱われることによる精 神的苦痛を受けたために業務に支障が生じたほか,被告のその他の従業員も,事情聴取を受けたことにより著しく業務が阻害された。また,このような事実に反する被害届を提出することは,誹謗・中傷やそれに類する言動に該当し,これによって,職場の風紀秩序が乱されるとともに,C及び被告の名誉信用が著しく毀損された。 したがって,原告の上記行為は 届を提出することは,誹謗・中傷やそれに類する言動に該当し,これによって,職場の風紀秩序が乱されるとともに,C及び被告の名誉信用が著しく毀損された。 したがって,原告の上記行為は,就業規則93条3号,10号,94条 1項11号,15号に該当する。 解雇事由②についてア原告は,平成25年2月7日,Fの上司であるD及び人事責任者であるEに対し,①Fが,平成24年10月5日,原告に対して,gstreamerについては未着手で誰も手をつけておらず,原告に調査を依頼して いるので,gstreamerの資料が無くても当然であると説明したが,実際にはFが同年5月7日に作成した「gstreamer調査」と題する資料があるので,Fの説明は虚偽説明であること,②Fは,上記資料があるにもかかわらず,それを隠蔽したこと等を記載したメール(以下「本件メール」という。)を送信した。 しかしながら,本件メールに添付された「gstreamer調査」と題する資料は,Fが同月22日に作成したもの(gstreamerの資料ではないもの)をベースに原告が同年10月5日に作成したものであり,同日時点では,原告が作るもの以外にgstreamer調査の資料は存在しなかったのであるから,Fが原告に対して虚偽の説明や情報の隠蔽を した事実はない。 イこれに対し,原告は,①原告は別の資料を送付しようとしていたが,誤ったファイルを本件メールに添付したにすぎない,②gstreamerのAndroidへの搭載は不可能な業務であり,本来は,gstreamerを「AndroidonPro4TV」上でビルドするよう命 じるべきであった等と主張する。 しかしながら,①原告が本来添付すべきであ 可能な業務であり,本来は,gstreamerを「AndroidonPro4TV」上でビルドするよう命 じるべきであった等と主張する。 しかしながら,①原告が本来添付すべきであったと主張するファイルは,Fが平成24年5月22日に作成した資料であり,これはgstreamerの資料ではない上,Fが原告に対して当該ファイルの保存場所を伝え,原告も既にコピーして利用していたものである。また,②gstream erをAndroid上に搭載することは技術的に可能であり,Fの指示 に誤りはない。そのほか,解雇事由②に関する原告の弁解はいずれも不合理である。 ウこのように,原告が,Fの上司及び人事責任者に対し,原告が自作したファイルを添付して,Fが虚偽の説明や情報の隠蔽をしたとする本件メールを送信したことは,Fに対する誹謗・中傷やそれに類する言動に該当す る。そして,Fは,事情聴取を受け,身の潔白を証明するために事実関係の調査を行うなど,その業務に支障が生じた上,名誉信用を著しく害され,著しい不利益を受けた。また,原告が,このような事実に反する訴えを行うことにより,職場の風紀秩序が乱れたといえる。 したがって,原告の上記行為は,就業規則93条10号,94条1項1 1号,15号に該当する。 解雇事由③についてア原告は,平成25年9月25日及び同月26日,G及びHに対し,「出るところへ出る,既に出るところへ出たこともある。」,「外でGさんを訴える。」「警察にも行っている。警察に入ってもらう。」等との発言を 行った。 原告の上記発言は,G及びHが刑法等に違反する行為を何ら行っていないにもかかわらず,そのような違法な行為を行っているので警察に届け出ると に入ってもらう。」等との発言を 行った。 原告の上記発言は,G及びHが刑法等に違反する行為を何ら行っていないにもかかわらず,そのような違法な行為を行っているので警察に届け出るという趣旨のものであり,誹謗・中傷やそれに類する言動であり,かつ,正常な上司・部下関係の構築を著しく妨げて,その後の業務遂行に大きな 支障を生じさせ,職場の風紀秩序を乱したといえるから,就業規則93条10号に該当する。 イこれに対し,原告は,上記発言は,G及びHのことを団体交渉で取り上げる旨を述べたに過ぎないと主張するが,その具体的発言内容や,直後の事情聴取において原告がそのような弁解をしていないこと等に照らすと, 原告の上記弁解は不合理である。 解雇事由④についてア Iは,平成25年9月27日,原告に対し,上記の発言について事情聴取を行おうとしたが,原告は,警察を呼んで下さいと述べたり,団体交渉で行う旨述べたりして,Iの事情聴取に応じなかった。 この点,原告は,Iが原告に対する事実確認をすることもなく,原告の 発言を暴言と決めつけ,その人格を否定した発言を繰り返していたので,正当な事情聴取とはいえないと主張するが,Iは,まずは原告に対して事実関係の確認をしようとしていたのであって,原告の主張はその前提を欠く。また,団体交渉の場でなければ事情聴取に応じられないというのは,会社の事情聴取に応じない正当な理由とはならない。 イこのように,原告がIによる事情聴取に応じなかったことは,職務上の指示に反するものであるし,Iの事実調査及び職場管理に関する業務を著しく阻害したといえるから,就業規則93条3号,94条1項18号に該当する。 解雇事由⑤について ことは,職務上の指示に反するものであるし,Iの事実調査及び職場管理に関する業務を著しく阻害したといえるから,就業規則93条3号,94条1項18号に該当する。 解雇事由⑤について ア原告は,平成25年9月27日,上記の事情聴取後,Iに脅迫されたということを職場内で大声で発し,また,職場内で大きな声で,警察に電話をかけ,会社内に警察官を呼び,さらにJ社長に対してIから脅迫を受けた旨のメールを送信した。 イ原告の上記行為は,誹謗・中傷やそれに類する言動であり,これにより, Iは,被告から事情聴取を受けた上,J社長や周囲の従業員から原告に脅迫を行ったのではないかと思われるなどし,その名誉信用を著しく毀損され,著しい不利益を受けた。また,原告が,事実に反する通報を警察に行ったことから,被告の名誉信用も著しく毀損された。さらに,原告が職場内で公然と上記のような行為をしたことにより,周囲の従業員の業務遂行 が著しく阻害されたほか,職場の風紀秩序が乱された。 したがって,原告の上記行為は,就業規則93条3号,10号,94条1項11号,15号に該当する。 解雇事由⑥についてア原告は,平成25年10月2日,K所長が自宅待機命令の通知を行うために会議室に来るよう指示したが,会議室に入ることを拒否し,原告の席 まで呼びに来たK所長に対して,自席で,「過去に監禁された」等の内容を大声で発した。 この点,原告は,平成24年4月24日にK所長らが原告と面談したことをもって過去に監禁されたことがあると主張するが,K所長らが上記面談において原告を監禁した事実はない。 イこのように,原告が自席で「過去に監禁された」等の内容を大声で発したことに とをもって過去に監禁されたことがあると主張するが,K所長らが上記面談において原告を監禁した事実はない。 イこのように,原告が自席で「過去に監禁された」等の内容を大声で発したことにより,周囲の従業員の業務が著しく阻害された上,原告の上記言動は,誹謗・中傷やそれに類する言動に該当し,かつ,職場の風紀秩序を乱したということができる。 したがって,原告の上記行為は,就業規則93条3号,10号に該当す る。 解雇事由⑦についてア原告は,Hが,原告のターゲットプランにおける目標設定に従い,管理面のトレーニングのために週間計画を立てるように繰り返し指示したが,根拠のない理由を並べ立て,これに従わなかった。 当時の原告の業務は,商品開発ではなく通信分野の技術習得であって,その習得については,Hが都度指示しており,原告は,指示された内容に対して,一週間の計画を立てて,その計画どおり実施したか否かを報告すればよいというものであり,上記業務指示は何ら難しいものではなかった。 これに対し,原告は,①Hから7年前の資料を渡されたことや,②マス タースケジュールを渡されていなかったことから,週間計画を立てられな かったと主張するほか,③Hは上司ではないとも主張する。しかしながら,①Hが原告に対して渡した資料は,単体テストに関するものであるが,Hは,単体テストよりも先にリリーステストを実施するよう指示しており,単体テストの資料が古かったとしても,リリーステストを実施しない理由にはならず,②原告は,スケジュール管理ができるようになるためのトレ ーニングとして,実際には存在しない仮のプロジェクトにおける作業に従事し,その作業のスケジュール管理を実施するように指示さ 由にはならず,②原告は,スケジュール管理ができるようになるためのトレ ーニングとして,実際には存在しない仮のプロジェクトにおける作業に従事し,その作業のスケジュール管理を実施するように指示されていたのであるから,原告が主張する「マスタースケジュール」というものはそもそも存在しない。また,③原告は,上司であるGから,Hの指示に従うように指示されており,Hの指示に従わないのは業務命令違反である。 イこのように,原告が,上司からの再三にわたる指示に正当な理由なく従わなかったことは,就業規則94条1項18号に該当する。 解雇事由⑧について原告は,本件出勤停止処分において就業規則93条3号,10号に該当する事由を指摘されていたところ,同条3号については解雇事由①,④,⑤, ⑥,同条10号については解雇事由①,②,③,⑤,⑥がそれぞれ該当することから,原告の行為は就業規則94条1号にも該当する。 【原告の主張】 普通解雇事由の不存在について労働基準法(以下「労基法」という。)89条3号の趣旨に鑑みると,就 業規則に列挙された解雇事由は制限列挙であると解すべきところ,被告が本件において主張する本件解雇事由は,いずれも被告が就業規則64条及び労働協約12条において列挙した事由には該当しない。 また,懲戒解雇と普通解雇とは,本来的に異質なものであり,これらを連続的なものととらえることは相当でないから,仮に懲戒解雇事由があるとし ても,直ちに普通解雇の事由があるということはできない。 したがって,本件において,普通解雇の事由があるということはできないが,その上で,被告が主張する解雇事由①ないし⑧については,以下のとおりいずれも本件解雇の客観 とはできない。 したがって,本件において,普通解雇の事由があるということはできないが,その上で,被告が主張する解雇事由①ないし⑧については,以下のとおりいずれも本件解雇の客観的合理的理由には該当しない。 解雇事由①についてア原告は,Cの行為により左側胸部打撲傷(本件傷害)を負って,本件被 害届を提出したのであり,本件被害届は事実に反するものではない。 すなわち,原告は,平成24年10月11日,食堂から立ち去ろうとするところを,Cに背後から両腕を回されて抱きかかえるように引き留められたため,「暴力はやめてくれ」と言いながら右向きに振り返った際に,左脇腹がCの左手で締め上げられるようになり,肋骨付近に力が加わった 結果,左脇腹付近を負傷した。原告は,同月12日になっても痛みがひかなかったため,L整形外科を受診し,各種検査を受けた上で左側胸部打撲傷と診断されたのであり,同診断は信用できる。 その後,原告は,Cの上記行為について,被告自身による適切な対応がなされず,かえって,被告の健康管理室から原告に係る医療情報が不当に 流出していることが判明したことから,守口保健所の助言により門真警察署に相談し,本件被害届を提出した。結果的に,刑事事件においてCが不起訴となり,本件労災申請②に対して不支給処分がされたからといって,原告の被害申告自体が虚偽であったということはできない。 イこのように,Cによる不当な暴行行為があったのは明らかであるから, 関係者が一定の事情聴取等を受けるのはやむを得ないというべきであり,Cやその他の被告従業員が,本件被害届の提出により著しく業務を阻害されたとはいえない。また,本件被害届の提出によって,Cが名誉信用を著しく毀損されたと 取等を受けるのはやむを得ないというべきであり,Cやその他の被告従業員が,本件被害届の提出により著しく業務を阻害されたとはいえない。また,本件被害届の提出によって,Cが名誉信用を著しく毀損されたとか,著しい不利益を受けたとはいえず,職場の風紀秩序が乱されたということもない。 原告の行為は,公的機関への被害申告であり,誹謗・中傷やそれに類す る言動ではなく,このような正当な権利行使をしたことをもって解雇の客観的合理的事由とすることは相当でない。 解雇事由②についてア原告は,平成24年10月,被告の指示に従いgstreamerをAndroid上で動作させるための調査をしていたところ,資料の不足に より作業が行き詰まったため,Fに対して助言を求めたが,Fの指示どおりに対応しても業務を遂行できず,質問を重ねると逆に叱責され,Fから原告の存在を否定するようなメールを送付されるなどし,必要な情報を与えられなかった。 そして,原告は,同年11月5日,他の社員からの情報により,①当時 の技術では,gstreamerを一般的なAndroidに搭載することは不可能であって,gstreamerを,被告のプロジェクトにより拡張されたAndroidonPro4TVに搭載することが原告の本来行うべき業務であったこと,②実際には,上記業務の遂行に必要な情報(gstreamer周辺の情報)が存在するにもかかわらず,Fから 当該情報を与えられていなかったこと等が判明し,Fから嫌がらせを受けていると感じた。原告は,その後,病状が悪化して,長期休業をしていたが,復職後の平成25年2月7日に,上記経緯を理解してもらうためにD及びEに本件メールを送信したものであり,添付ファイルについては,体調 と感じた。原告は,その後,病状が悪化して,長期休業をしていたが,復職後の平成25年2月7日に,上記経緯を理解してもらうためにD及びEに本件メールを送信したものであり,添付ファイルについては,体調不良の中で本件メールを作成したために,結果として添付すべきファイ ルを誤ったにすぎない。 このように,原告は,本件メールの添付ファイルを過失により誤ったにすぎず,Fを貶める意図があったわけではない。また,本件メールの内容及び添付ファイルの誤りについて,懲戒委員会による事情聴取までの間,被告から事実確認や問合せを受けることはなかった。 イこのように,本件メールの送信は,原告が長期休業に至った経緯につい て上司であるDらに調査を求めるために行ったものであり,誹謗・中傷やそれに類する言動ではない。また,本件メールについて原告に対して何らの事実確認もなされなかったことからすると,被告は本件メールの内容を信用していなかったというべきであり,本件メールの送信により,職場の風紀秩序が乱されたとか,Fが,名誉信用を著しく毀損され又は著しい不 利益を受けたということはできない。 解雇事由③についてア G及びHは,平成25年9月25日及び同月26日,予め会話を録音する準備をして原告との面談に臨んでいることからすると,上記面談は,原告の問題行動を記録するために実施されたものであり,原告の発言は,G やHに誘発されたものであったといえる。 これらの面談において,原告は,GやHに対し,個別の話合いではらちがあかないと考えて,団体交渉による解決を求める趣旨で「外でやりましょうよ」と述べたにすぎないし,原告が「警察」に言及した時も含めて,GやHが,原告の発言により動揺することはなく,現場が いではらちがあかないと考えて,団体交渉による解決を求める趣旨で「外でやりましょうよ」と述べたにすぎないし,原告が「警察」に言及した時も含めて,GやHが,原告の発言により動揺することはなく,現場が混乱することも なかった。 イ上記両日における原告の発言は,誹謗・中傷やそれに類する言動には当たらず,原告の言動により,職場の風紀が乱されたとか,被告の業務遂行に支障が生じたということはできない。 解雇事由④について ア原告は,平成25年9月27日,Iに呼ばれて会議室まで出向き,Iからの事情聴取に応じた。その際,原告が,GやHに対して「警察へ出る」等と発言したことを否定したにもかかわらず,Iは,原告がこのような発言をして脅迫したと決めつけていたため,原告は,上司からそのように言われることを脅迫と感じ,団体交渉を通じることを求めたところ,Iの方 から会話を打ち切った。 イこのように,原告は,Iによる事情聴取に応じており,職務上の指示命令に従わなかったということはできないし,原告の対応により被告の業務を著しく阻害したということもない。 解雇事由⑤についてア原告は,上記のIとのやりとりの中で,Iから原告が脅迫的発言をし たと決めつけられたために,Iに対し,「警察を呼んだらわかるじゃないですか」と述べたところ,Iが「じゃあ呼んで下さい」と述べたため,Iの同意を得たという認識で警察に通報をした。 また,原告は,上記のとおり,Iから決めつけられたことにより,Iから脅迫を受けたと感じ,パニック状態で通常よりも声が大きくなったこと はあったが,意図的に大声を出していたわけではないし,J社長に対しても,上記認識に従ってメールを送信したにすぎない。 Iから脅迫を受けたと感じ,パニック状態で通常よりも声が大きくなったこと はあったが,意図的に大声を出していたわけではないし,J社長に対しても,上記認識に従ってメールを送信したにすぎない。 イこのように,原告の言動は,Iの許可を得て,又はIに誘発されて行われたものであり,これを懲戒事由に該当する行為とするのは相当でない。 また,原告が警察に通報し,パトカーや警察官が被告の構内に入場したか らといって,直ちに被告の名誉信用が著しく毀損されたということはできず,原告の通報やJ社長へのメール送信等によって,被告の業務に著しい支障が生じたとか,Iが名誉信用を毀損され又は著しい不利益を受け,職場の風紀秩序が乱されたということはできない。 解雇事由⑥について ア原告が,平成25年10月2日,K所長から会議室に呼び出された。原告は,その際,平成24年4月24日に,K所長を含む多人数から,昼休みも含めて8時間半にわたり叱責を受けたことや,同年10月11日にCから暴行を受けたこと等を思い出して動揺し,「過去に監禁された」等と述べて会議室への入室を渋ったものの,最終的には会議室に出向いた。 イこのように,原告の発言には相応の根拠が存在し,誹謗・中傷やそれに 類する言動とはいえず,また,原告の言動によって,被告の業務が著しく阻害されたとか,職場の風紀秩序が乱されたということはできない。 解雇事由⑦についてア Hは,原告の上司ではないから,解雇事由⑦の前提である「上司からの再三の指示」は存在しない。 また,GやHは,原告に対し,7年前の古い資料を提供したり,原告が要求しても原告のトレーニング計画(マスタースケジュール)を示さなかったりした上,原告が業務 の指示」は存在しない。 また,GやHは,原告に対し,7年前の古い資料を提供したり,原告が要求しても原告のトレーニング計画(マスタースケジュール)を示さなかったりした上,原告が業務遂行上の課題を訴え続けたにもかかわらず必要な資料等を提供しなかったのであるから,被告による業務指示は実現困難であった。 イこのように,原告は,再三にわたり上司に指示を仰いでいたにもかかわらずそれを無視され,不適切な指示により業務が実施できなかったのであるから,正当な理由なく職務命令を拒絶したわけではないし,原告が業務命令に反したとしても,これにより被告の事業に支障は生じていない。 解雇事由⑧について 以上のとおり,解雇事由①ないし⑦は,いずれも懲戒事由に該当するものでない上,本件出勤停止処分事由についても,事実又は評価に誤りがある。 2 争点2(本件解雇が社会通念上相当であるか否か)について【被告の主張】 処分内容の相当性 被告は,原告に対し,様々な配慮をした上で,注意指導を繰り返してきたが,原告は,本件出勤停止処分を受けてもなお,上記1【被告の主張】のとおり同種の問題行動を繰り返した。そして,原告は,本件出勤停止処分の際に命じた始末書の提出を行わず,本件解雇事由についても不合理な弁解を繰り返していること等を踏まえると,原告には改しゅんの情が見られず,反 省・改善する意思がないものと評価せざるを得ない。 これらの事情に照らすと,本件解雇は社会通念上相当といえる。 ア原告は,本件における原告の一連の行動は,原告が平成19年3月頃に被告の業務に起因して発症した適応障害の影響に基づくものである旨主張する。 イしかしながら,まず 相当といえる。 ア原告は,本件における原告の一連の行動は,原告が平成19年3月頃に被告の業務に起因して発症した適応障害の影響に基づくものである旨主張する。 イしかしながら,まず,①原告について,適応障害を引き起こすような大 きなストレスや,そのストレスと関連した内容の重篤な症状が認められないこと,②主治医であるM医師による診断及び治療の経過等,③平成19年3月頃以降の原告の言動等に照らすと,原告が適応障害を発症していたという事実は存在しない。 したがって,本件における原告の一連の行動は,適応障害に基づくもの ではなく,広汎性発達障害の可能性を想定し得るほど顕著な性格的な偏倚又は妄想性人格障害に起因するものにすぎない。 ウ仮に,原告が平成19年3月頃に適応障害を発症していたとしても,原告が適応障害の発症原因と主張する一連の出来事(①同月以前からの上司との対立,②同月9日の本件面談におけるA社長らの言動,③その前後の 被告の対応等)は,そのような事実自体が存在しないか,存在するとしても精神障害を発症するほどの強度の心理的負荷を与えるものであったとは認められないから,原告が被告の業務に基づいて精神障害を発症したものとはいえない。 エまた,原告が平成19年3月頃に適応障害を発症していたとしても,M 医師が,同年10月27日に「終了」と診断し,原告は,同年11月11日から平成21年6月5日までの約1年7か月弱の間,Bクリニックへ通院していないこと等に照らすと,原告の適応障害は平成19年11月頃には治癒していたというべきである。 さらに,M医師は,平成21年11月13日,原告が同日をもって治癒 したと診断し,原告は,同月14日から平成22年5月10日までの約 9年11月頃には治癒していたというべきである。 さらに,M医師は,平成21年11月13日,原告が同日をもって治癒 したと診断し,原告は,同月14日から平成22年5月10日までの約6 か月弱の間,Bクリニックに通院していなかったこと等に照らすと,原告の適応障害は遅くとも平成21年11月頃には治癒していた。 オもとより,原告の一連の言動が精神疾患に基づくものであったとしても,被告は職場環境の設定等において十分な配慮を行っていたのであるから,本件解雇の社会通念上相当性は否定されない。 なお,本件解雇は普通解雇であり懲戒処分ではないが,本件解雇に先行して,原告に対して本件解雇事由を通知して事情聴取の機会を与え,更に懲戒委員会の手続内でも,代理人の同席のもとに原告の弁解を聴取していたものであり,本件解雇に手続的な瑕疵は存在しない。 【原告の主張】 本件解雇事由は,上記1【原告の主張】のとおり,事実として認められるとしても,それによって被告やその従業員の業務に著しい支障が生じるとか,名誉信用が著しく毀損された等とはいえないことからすると,本件解雇事由は,いずれも解雇に値するほどの重大な非違行為とはいえない。 ア原告は,平成19年3月頃,本件面談におけるA社長らの暴言や,その 前後の被告の対応等によるストレスから,適応障害を発症した。 原告の適応障害は,PTSD症状(トラウマ反応)を伴うものであり,原告は,物事の是非を認識・判断する能力及びその認識・判断に従って行動を制御する能力のいずれにも障害があり,特に,ストレス状況下では感情及び行動を制御できなくなるというものであって,本件解雇事由に該当 する行為は,いずれもそのような原告の症状に起因する て行動を制御する能力のいずれにも障害があり,特に,ストレス状況下では感情及び行動を制御できなくなるというものであって,本件解雇事由に該当 する行為は,いずれもそのような原告の症状に起因するものであった。 イ被告は,使用者として,精神不調者に対する安全配慮義務を負うとともに,障害者に対する合理的配慮義務を負っており,原告に対しては,主治医であるM医師の意見等も踏まえて,①業務上の指示を抽象的なものではなく具体的にすること,②安心して就業できる職場環境を設定すること, ③処遇等は本人とよく相談して決定すること等の配慮をする義務を負って いた。 しかるに,被告は,原告を長期休業から復職させる際に,主治医等の意見を十分に斟酌せず,原告のストレス要因の除去を怠り,また,個別の業務指示においてもこれを具体的にする等の配慮を怠ったことから,原告の症状の悪化及び本件解雇事由に該当する行為をもたらしたものといえる。 上記1【原告の主張】のとおり,本件解雇は,普通解雇事由がないにもかかわらず,懲戒解雇として行われているものであり,労働契約法15条に基づいてその有効性が判断されるべきである。 そして,本件解雇に先立って開催された懲戒委員会は,公正な委員で構成されておらず,また,普通解雇を相当とすることは懲戒委員会の権限を越え る無効な判断であり,かかる懲戒手続には重大な瑕疵がある。 以上のとおり,本件解雇に係る原告の行為は解雇を相当とするほどの重大なものではない上,本件解雇は,原告の精神疾患に対する十分な理解や配慮がないままになされたものであり,社会通念上相当とはいえない。 3 争点3(原告主張に係る本件解雇のその他の無効事由〔信義則違反,不当労 働行為〕の有無) の精神疾患に対する十分な理解や配慮がないままになされたものであり,社会通念上相当とはいえない。 3 争点3(原告主張に係る本件解雇のその他の無効事由〔信義則違反,不当労 働行為〕の有無)について【原告の主張】 信義則違反上記2【原告の主張】のとおり,本件解雇事由とされた原告の言動は,いずれも原告の適応障害に基づくものであるところ,原告の適応障害は被告 の業務により生じたものであるから,被告が本件解雇事由に基づき原告を解雇することは信義則に反する。 不当労働行為被告は,A社長の頃から,原告の労働組合内における活動を敵視して,原告に対する不利益な取扱いをしていたところ,原告が本件組合に加入してか らは,原告に対する組織的な秘密録音や,上位者による暴言,暴行等が行わ れるようになり,本件組合加入後の事実を理由に本件出勤停止処分が行われるなど,被告には不当労働行為意思が顕著に存在する。 本件解雇は,原告が本件組合に加入したことを理由に,原告を企業外に放逐することを目的として行われたものであり,違法無効である。 【被告の主張】 信義則違反との点について上記2【被告の主張】のとおり,本件解雇事由は原告の適応障害に基づくものではなく,また,原告が仮に適応障害を発症していたとしても,それは被告の業務に起因するものではなく,又は本件解雇事由に該当する行為までに治癒していたのであるから,本件解雇が信義則に反するとはいえない。 不当労働行為との点について被告が,原告の組合活動を理由に原告に対して不利益な取扱をした事実は存在せず,また,被告に本件組合に対する不当労働行為意思はない。被告が原告との会話を録音した 不当労働行為との点について被告が,原告の組合活動を理由に原告に対して不利益な取扱をした事実は存在せず,また,被告に本件組合に対する不当労働行為意思はない。被告が原告との会話を録音したのは,原告が,事実に反することを述べて他者を論難することがあるため,記録化が必要であったからにすぎない。 本件出勤停止処分及び本件解雇は,いずれも原告の非違行為を理由とするものであって,不当労働行為意思に基づくものではない。 4 争点4(本件解雇に係る不法行為の成否及び損害額)について【原告の主張】 本件解雇は,上記のとおり無効なものであることに止まらず,原告に対す る不法行為を構成する。 適応障害を発症している原告は,本件解雇により甚大な精神的苦痛を受けており,これを慰謝する額として600万円,弁護士費用は60万円が相当である。 【被告の主張】 原告の主張は,いずれも否認ないし争う。 第5 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 平成24年4月の復職から同年9月頃までの原告の就労状況等 ア原告は,平成24年4月2日,2回目の長期休業から復職し,被告の大阪開発センター開発第三グループ開発第四チームに配属された。 当時,K所長は大阪開発センターの所長,Dは開発第三グループのグループマネージャー,Cは開発第四チームのチームリーダーであり,Fは同チームのメンバーであり,Eは,被告人事グループのグループマネージャ ーであった。 (乙5の⑪)イ D,C及び被告人事グループのNは,上記復職に先立つ平成24年3月28日,原告と面談し,原告が過去 であり,Eは,被告人事グループのグループマネージャ ーであった。 (乙5の⑪)イ D,C及び被告人事グループのNは,上記復職に先立つ平成24年3月28日,原告と面談し,原告が過去のことを振り返らず新しい気持ちで仕事に取り組むため,被告が新しく購入したパソコン(以下「新PC」とい う。)で業務を行うことを説明し,原告はこれを了承した(乙147,証人D)。 ウ原告は,上記復職後,新PCを貸与され,Androidで静止画や動画を再生することをテーマとし,既存資料や参考書を読むなどして開発内容を学習する作業に従事していたが,平成24年4月3日以降,再三にわ たり,被告に対して,記憶回復のために過去の情報が必要である等として,休業前に使用していたパソコン(以下「旧PC」という。)を使用させるよう求めるようになった。 これに対し,被告は,①原告が過去のことを振り返らずに心機一転して新しい仕事に取り組めるように,配慮として新PCを用意したこと,②現 在の業務には旧PCの情報は必要ないこと,③必要なデータがあれば申し 出ること等を説明し,旧PCの使用を認めなかった。 原告及び被告は,旧PCの使用の可否について,複数回にわたり,長時間に及ぶ面談を行ったが,双方が上記のとおり主張して合意には至らなかった。そして,これらのやりとりの中で,原告は,Cから人格否定された,Dから暴行を受けた,旧PCを返還しないのはパワーハラスメントである 等と大声で怒鳴ることがあり,また,休日に,原告が,DやNに対し,電話で自殺をほのめかしながら旧PCの使用を求めたり,Cの自宅に電話をかけて,一家心中をする,Cの自宅前で焼身自殺する等と発言したりすることもあった。 (乙57,58,147,証人 DやNに対し,電話で自殺をほのめかしながら旧PCの使用を求めたり,Cの自宅に電話をかけて,一家心中をする,Cの自宅前で焼身自殺する等と発言したりすることもあった。 (乙57,58,147,証人D,原告) エ被告は,平成24年4月24日,上記ウのような原告の状態を踏まえて,原告が就労可能であるか否かを確認することとし,健康管理室において,O産業医,D及びNが原告と面談した。 同日の面談は,午前8時30分頃に開始され,午前10時頃からはK所長も加わり,午後5時頃まで継続して行われ,K所長は,最終的に,原告 に対して,就業規則8条に基づき入門禁止とする旨を申し渡した。 (甲214,乙147,157,証人D)この点,原告は,上記面談において,被告から8時間半にわたり監禁された旨主張するが,証拠(甲214,乙157,証人D)によれば,上記面談において,①K所長は,正午頃には原告に対し入門禁止とする旨伝え て面談を終えようとしたが,原告が,その後も興奮状態で話を続けていたこと,②午後3時頃には,保健師によりコーヒーや茶菓子が差し入れられていたこと,以上の事実が認められ,これらの点を踏まえると,長時間にわたり面談が継続したことについては,原告が同種の話を繰り返し,面談を終えようとしなかったことに主たる原因があると認められ,原告の上記 主張は採用できない。 オ K所長は,平成24年4月25日,社外の喫茶店において原告及び原告の妻と面談し,原告の妻に対し,上記入門禁止措置の経緯等を説明し,原告に対し,同月26日も入門禁止とする旨伝えた。 原告及び原告の妻は,上記面談において,K所長に対し,改めて旧PCの返還を求めたが,K所長は,旧PCの使用を認めないことは被告 を説明し,原告に対し,同月26日も入門禁止とする旨伝えた。 原告及び原告の妻は,上記面談において,K所長に対し,改めて旧PCの返還を求めたが,K所長は,旧PCの使用を認めないことは被告による 配慮であること,現在の業務に旧PCは必要ないこと等を説明した上,本件労災申請①に係る調査が終了するまでは旧PCを返還することはできない旨返答した。 原告は,上記面談の後,本件組合に加入した。 (甲206の②,215,237,乙147,原告) カ原告は,平成24年4月26日,上記入門禁止措置にもかかわらず被告に出勤したため,K所長は,原告に対し,同日から5月の連休(同年5月6日)まで入門禁止とする旨通知した。 原告は,同年5月7日も入門禁止とされ,同月8日及び同月9日は欠勤し,同月10日から勤務を再開した。 原告は,勤務再開後,同年9月頃までは,職務上,顕著な問題を起こすことはなかった。 (甲13,乙147,証人D)キなお,旧PCの使用について,K所長は,平成24年5月23日,原告に対し,①過去を振り返らず,心機一転して現在の業務に専念すること, ②過去のメールや資料を見て,現在の業務に関係ないことでメールや会話をして業務に支障を生じさせないこと,③労働基準監督署の調査等で会社が必要とした時は,速やかに旧PCの情報を閲覧させることの3点を条件に,旧PCの使用を認める旨メールにより伝えたが,原告は,同日,K所長に対し,団体交渉を申し入れているため回答を保留する旨返信した。 その後,原告は,しばらくの間,旧PCの使用を求めることはなく,2 回にわたり開催された団体交渉においても旧PCの使用については協議されなかったが,同年8月31 した。 その後,原告は,しばらくの間,旧PCの使用を求めることはなく,2 回にわたり開催された団体交渉においても旧PCの使用については協議されなかったが,同年8月31日,原告が再び旧PCの使用を求めたため,被告は,本件組合と調整をした上,同年10月15日,原告に対し旧PCの使用を認めることとした。 (甲210,乙38の①②,乙109ないし111,131の①②,乙1 46,証人E) 平成24年10月11日の出来事に至る経緯等ア被告は,原告の勤務状況が安定してきたこと等を踏まえて,平成24年10月1日から,原告を「STB向けAndroidベース開発」というプロジェクトに参画させ,同プロジェクトの「gstreamerを搭載 し,OpenMAXを介してHWアクセラレーションを用いたメディア再生を実現する。」という開発項目を原告に担当させることとした。 なお,gstreamerとは,マルチメディアのフレームワーク(システム構築するための基盤又はサービスを提供するための基盤となるソフトウェア)であり,音声や動画の再生,フォーマットの変換,録音・録画 等の基本的な機能に加えて,ネットワーク経由での再生などのサービスを提供するものである。 (乙147,証人D)イ C及びFは,平成24年10月3日,原告と打合せを行い,サブプロジェクトの概要を説明した上で,原告の具体的業務内容として,gstre amerをAndroid上で動作するようにビルドすることを指示した。 上記説明の際,原告が,Fに対し,マルチメディアの知識がないので不安である旨を訴えたため,Fは,具体的な作業手順を示して,それらの作業を行うためにはマルチメディアの知識が不要であるこ 。 上記説明の際,原告が,Fに対し,マルチメディアの知識がないので不安である旨を訴えたため,Fは,具体的な作業手順を示して,それらの作業を行うためにはマルチメディアの知識が不要であることを説明し,原告も,少なくともビルドについてマルチメディアの知識は不要である旨の認 識を示した。 Fは,同日,原告に対し,「GStreamerforAndroid」と題するホームページのURLをメールで送信した。 (乙60,147,155の①②,証人D,証人C)ウ原告は,平成24年10月4日,Cに対し,今回命じられた業務にはAV技術が必要であり,AVの知識がないと進められない等と訴え,さらに, 原告は,同月5日,D及びCに対し,同月1日に命じられたAV分野業務は,個人的要望として担当したくない旨等を記載したメールを送信し,口頭でも同旨の内容を述べた。 そこで,Cは,同月5日,原告に対し,gstreamerをAndroidに搭載することが原告の業務内容であることについて再度確認した 上で,業務の具体的内容はFに聞くよう指示した。 また,Fも,同日,原告に対し,送付済みのURLからAndroid用のgstreamerを入手し,Android上でビルドするよう指示し,原告が懸念しているOpenMAXやAVコアについて先行理解する必要はないこと等を記載したメールを送信した。なお,上記メールにお いて,Fは,gstreamer周辺の情報等について,「gstreamerについては未着手で誰も手をつけていないので,Xさんに調査を依頼している状態ですので,無くて当然です。」と記載した。 原告は,上記説明及びメールを受けた後に送信した同日の日報においても,①gstr 未着手で誰も手をつけていないので,Xさんに調査を依頼している状態ですので,無くて当然です。」と記載した。 原告は,上記説明及びメールを受けた後に送信した同日の日報においても,①gstreamerやOpenMAX関係の情報をウェブで検索し ても,AVコアの知識がないため理解できない,②業務内容が急変して資料もなく,相談すると「業務妨害」と叱責され,どう進めて良いかわからず体調が悪化している等と記載した。 (甲160,乙39,61,147,証人D)エ Fは,平成24年10月9日,原告に対し,Android用gstr eamerをビルドするためのファイルがGitと呼ばれる方式で公開さ れているリンク先のURL(上記イのURLとは異なる。)及び具体的作業手順等の指示を記載したメールを送信した。 原告は,同日,Fに対し,指示された作業を進めたがエラーが発生した旨のメールを送信したため,Fは,原告に対し,上記エラーへの対応の助言とともに,エラーログを見て原因を調査することも原告の業務内容であ る旨等を記載したメールを返信した。 (乙63,132,147,150,証人D,証人C)オ原告は,平成24年10月10日,Fに対し,①前日に指示されたことをやったがうまくいかなかった,②Android用gstreamerはこの世に存在しない等と述べて,Fを非難した。 これに対し,Fが,①指示に従って調査すれば,わかるはずである,②Android用gstreamerがこの世に存在しないとまで言うが,どこまで調査したのか,中身をしっかり見ていないのではないか等と反論し,口論となった。そのため,その場に通りかかったNが,原告とFとを仲裁した上,原告及びFに対し,時間をおいて翌日 いとまで言うが,どこまで調査したのか,中身をしっかり見ていないのではないか等と反論し,口論となった。そのため,その場に通りかかったNが,原告とFとを仲裁した上,原告及びFに対し,時間をおいて翌日の午前中に,プロジェ クトの進め方を整理するための打合せを実施することを提案した。 なお,Fは,その後,Android用gstreamerをビルドするために必要なファイル(Android.mkを含むgstreamer)が上記エ記載のURLから入手できることを確認した(当該確認及び調査は,本来,原告が行うべき業務であった。)。 (乙150,証人C)カ Fは,上記オの口論の後,それまでの原告とのやりとりの結果を整理した上で,原告が行うべき業務の範囲や具体的手順等を記載したメールを送信した(乙43,112)。 平成24年10月11日の食堂での出来事等 ア原告及びFは,Nの提案に基づき,平成24年10月11日 午前中,食堂において打合せを行い,N及びCがこれに同席した(乙150,証人C,原告)。 イ原告は,上記打合せにおいて,gstreamer調査は原告が一人で行うには高難度,高負荷である旨述べたため,Fは,同チームのPをgstreamer調査に加えることを提案し,原告も同提案に反対しなかっ た(乙41の①)。 ウところで,被告の食堂は,情報セキュリティ規定上,無許可での情報機器の持込みが禁止される「Bゾーン」と呼ばれる区域であったところ,原告は,上記打合せの際,被告に無断でICレコーダーを持ち込んでいた。 Cは,打合せが終了する頃,原告が胸ポケットにICレコーダーを入れ ているのを発見し,打合せ終了後,Fを退出させた上で,原告に対し,「 被告に無断でICレコーダーを持ち込んでいた。 Cは,打合せが終了する頃,原告が胸ポケットにICレコーダーを入れ ているのを発見し,打合せ終了後,Fを退出させた上で,原告に対し,「情報セキュリティ違反をしていませんか。」,「胸ポケットには何が入っていますか。」と尋ねたところ,原告は,胸ポケットから目薬の袋を出してCに示した。そこで,Cは,「ICレコーダーを持っていませんか。」と更に尋ねたが,原告は,「持ち物検査をするのか。」と述べ,Nからも ICレコーダーの所持の有無を答えるよう促されたが,その所持を否定した。 そして,Cが,話を続けようとしていたところ,原告は,突然立ち上がり,その場を立ち去ろうとしたため,Cは,原告の背後から両腕を差し入れて,原告を制止しようとした(以下,その際のCの原告に対する行為を 「本件行為」という。)。 原告は,「暴力はやめてくれ。」と言いながら食堂内を歩き,その後,退出した。 (甲158・89ないし93,97頁,乙150,証人C,原告)エ原告は,平成24年10月11日午後零時30分頃,被告の健康管理室 を訪れ,O産業医の診察を受けた。 原告は,O産業医に対し,①Cに背後から抱えるようにされて,その際筋違いのような状態になったのかもしれない,②職場に戻り昼食をとっていたら痛みが生じてきた,③寝違いか筋違いのような痛みである,右側腹部も痛むが左側腹部の方が強い等と説明し,疼痛を訴えた。 O産業医は,診察上,外観上の変化(発赤,腫脹,擦過傷等)や熱感は 認められなかったので,処置は不要と判断し,経過観察のため休養室での臥床を勧め,原告の希望に基づき,湿布薬を左側腹部に貼付した。 なお,原告は,同 化(発赤,腫脹,擦過傷等)や熱感は 認められなかったので,処置は不要と判断し,経過観察のため休養室での臥床を勧め,原告の希望に基づき,湿布薬を左側腹部に貼付した。 なお,原告は,同日夕方,再度健康管理室を訪れ,労災指定病院の紹介を求め,保健師から紹介を受けたが,同日は用事があるから同病院は受診せず,翌日,近所の整形外科を受診する等と述べた。 (甲158・64,104ないし106頁)オ原告は,健康管理室から退出後,Nに対し,「2012年10月11日,11時30分頃,食堂にて,Nさんの見ている前で,Cから背後からお腹を強く抱き締められました。昼食中に左脇腹と右腹部に痛みが生じ,12時30分から健康管理室で処置を受け,1時間程安静にしていました。現 状,右腹部の痛みは落ち着いていますが,左腹部の痛みは強いです。」と記載したメールを送信した(乙68)。 カ原告は,平成24年10月12日,Cに対し,「昨日からの左脇腹痛が治らないため,通院いたします。」,「本日は年休を取得させて頂きます。」等と記載したメールを送信した上で,L整形外科を受診した。 原告は,同病院のQ医師に対し,①前日,上司に後ろから強く羽交い締めにされ,捻る姿勢で抵抗し,15分ほど経過した後に症状が出現した,②咳,くしゃみや寝返り時に疼痛がある等と説明した。 Q医師は,原告の左第11,12肋骨の先端部に圧痛があること,レントゲン上は明瞭な骨折が認められないこと等を確認した上,左側胸部打撲 症(本件傷害)と診断し,診断書を発行した。 (甲14,93,158・101ないし103頁)キ原告は,平成24年10月12日から同月22日まで,年休を取得した(証人D,弁論の全趣旨)。 と診断し,診断書を発行した。 (甲14,93,158・101ないし103頁)キ原告は,平成24年10月12日から同月22日まで,年休を取得した(証人D,弁論の全趣旨)。 平成24年10月23日から3回目の長期休業に至るまでの経緯等ア Fは,の打合せを踏まえ,平成24年10月15日以降,gs treamer調査の担当者にPを加えることとし,原告に対し,Pと原告とを同列に設定するか,又は,原告若しくはPのいずれかを主導的立場とするかについて選択するよう求めたが,原告は,上記選択肢について希望を示さなかった。 そこで,Fは,同月23日,原告及びPに対し,①Pが主導してgst reamer調査の舵取りを行い,原告はその指示に従って作業すること,②当面の目標として,成果物の全体像をイメージするために,記載予定の項目一覧の資料(目次)を作成するよう指示した。 原告は,同日,Fに対し,Pから「イメージがまったくない。すべて任せる。」と言われ,当面の目標を進めることができない旨伝えたため,F は,原告に対し,原告の方でイメージを作成して,そのイメージをPに示すよう指示した。 (甲86,乙41の①②,乙147,証人D)イ原告は,上記キのとおり,平成24年10月15日に被告から旧PCの使用を許可され,同月24日から同月30日まで,旧PCのデータを新 PCに移行する作業を行った(甲257の①,乙42,65の②)。 ウ原告は,平成24年10月24日,「指揮命令系統が不明のため,関係上位者全員に送らせて頂きます」と記載して,D,C,F及びPらに日報を送信し,同日報において,「課題」として「指示命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の明確化」と記載した。 令系統が不明のため,関係上位者全員に送らせて頂きます」と記載して,D,C,F及びPらに日報を送信し,同日報において,「課題」として「指示命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の明確化」と記載した。 Dは,同日,原告に対し,原告には,同月3日時点でgstreame rのAndroidでのビルドを含む調査の依頼が行われ,その後の流れはFが同月10日にカ)において説明されており,指示に変更はない旨記載したメールを送信した。 (甲87,257の①)エ原告は,平成24年10月25日,Pから,目次作成のための調査の進 捗を尋ねられたが,指揮命令系統が不明であるためペンディングしていると報告している旨回答した。 また,原告は,同日,Dに対し,①Cから,gstreamer調査について業務範囲外のことをしていると叱責された,②Pから,業務の進め方を他の社員に相談したことについて業務妨害であると叱責された等とし て,「誰にいつどのように相談すれば良いか具体的にご指導ください。」等と記載したメールを送信した。 (甲88,乙65の①)オ Dは,平成24年10月27日,原告に対し,①まずは,成果物の全体像をイメージするために,目次を作成すること,②しばらくは,原告主体 で進め,定期的に報告すること,③技術的な質問や相談は,F又はPに対してすること,④日報は,D,C,F及びPに対して送信すること等を指示した(乙42)。 カ原告は,平成24年10月29日,Pに対し,Pから業務に関する注意を受けたことについて,パワーハラスメントである旨述べて,A社長を引 き合いに出して謝罪を要求し,また,同月30日にも同様に,Pに対し,パワーハラスメントに関するパンフレットを示すなど る注意を受けたことについて,パワーハラスメントである旨述べて,A社長を引 き合いに出して謝罪を要求し,また,同月30日にも同様に,Pに対し,パワーハラスメントに関するパンフレットを示すなどして謝罪を要求した(甲20,乙147,証人D)。 キ Dは,平成24年10月30日,原告に対し,①同月31日に目次の作成をすること,②当面の間,Pと接触せず作業を進めることのほか,上記 オ②ないし④と同様の指示を再度記載したメールを送信した(乙42)。 ク原告は,平成24年10月31日,Dに対し,同月11日にgstreamerの業務を白紙丸投げされることは荷が重いことを上位者に伝えたが,現状は「白紙丸投げ」の状態に戻っており,当時以上に荷が重い等として,上記キのメールで指示された業務を進めることはできない旨返信した。 原告は,同日の日報を,「指示命令系統が不明なため,関係上位者全員に送らせて頂きます」としてD,C,F及びPらに送信した上,同日報の「1.本日の実績」の欄に,「指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中。現在ペンディング中」,「2.翌日の目標」の欄に,「当面の対応待機」等と記載した。 (甲257の②,乙65の②)ケ Dは,平成24年11月1日,原告が,目次の作成をできないと述べていたことから,gstreamerをAndroid上でビルドする作業に戻るよう指示をした。 原告は,同月2日の日報も,「指示命令系統が不明なため,関係上位者 全員に送らせて頂きます」と記載して,上記クの関係者らに送信した。同日報には,「2streamerの搭載指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中。現在ペンディング中。Dからの連絡待ちmerビルド せて頂きます」と記載して,上記クの関係者らに送信した。同日報には,「2streamerの搭載指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中。現在ペンディング中。Dからの連絡待ちmerビルド調査」については,「Android上のgstreame rのビルドの途中でエラーがでる。」「Android.mkは存在しない」,「原因を調査していますが,わかりません」等と記載され,③「3. 誰に何を相談し何をどの範囲でやれば良いかわかりません。gstreamerビルド調査は完全に行き詰まっています。」と記載されていた。 これに対し,Dは,同日,上記①及び③の点について,暫定的な体制及 び業務指示は,既に連絡済みであること,上記②の点について,Fに質問をした点以外で,原告においてどのようなアプローチをして,何に行き詰まっているかを報告すべきこと等を記載したメールを原告に送信した。 また,Dは,「Android.mkは存在しない」とする点については,同日頃,原告を自席に連れてきて,Fが上記エのメールで伝えたU RLから数クリックすれば見つかる場所にあることを原告に示して見せた。 (乙65の③,乙114,147,証人D)コ原告は,平成24年11月5日の日報も,同月2日の日報(上記ケ)と同様に,「指示命令系統が不明なため,関係上位者全員に送らせて頂きます」と記載し,同関係者らに送信した。そして,同日報にも,上記ケと同 様に,「2erの搭載指揮命令系統・業務指示内容・業務範囲境界の確認中。現在ペンディング中。Dからの連絡待ち」,「3.翌日の目標」には,「誰に何を相談し何をどの範囲でやれば良いかわかりません。gstreamerビルド調査は完全に行き詰まっています。」と記載されてい 。現在ペンディング中。Dからの連絡待ち」,「3.翌日の目標」には,「誰に何を相談し何をどの範囲でやれば良いかわかりません。gstreamerビルド調査は完全に行き詰まっています。」と記載されていた。一方, 「2.本日の実績」のうち,は,Android上のgstreamerのビルドの途中でエラーが出る点は解決したが,新たに別のビルドエラーが生じた旨等が記載されていた。 (乙65の④) サ原告は,平成24年11月6日から年休を取得し,同月13日,被告に同月14日からの自宅待機を命じられ,同月16日,M医師から,適応障害により3か月の休業を要する旨の診断を受け,そのまま3回目の長期休業となった(前記前提事実イ,甲12の⑨,甲16)。 本件労災申請② 原告は,平成24年11月15日,北大阪労基署長に対し,Cの本件行為 により本件傷害を負ったとして,労災保険法に基づく療養補償給付の支給を請求した(本件労災申請②)。 これに対し,北大阪労基署長は,平成25年5月2日,原告の負傷に業務起因性が認められないとして,不支給の決定をし,さらに,大阪労働者災害補償保険審査官は,平成26年6月20日,原告の審査請求を棄却し,労働 保険審査会は,平成27年3月11日,原告の再審査請求を棄却した。 (甲48,158,159) 平成25年2月の復職から本件出勤停止処分までの経緯等ア M医師は,平成25年1月25日,原告の抑うつ気分等が軽快し,職場復帰可能であるとする診断書を発行した。同診断書には,①指示等はでき るだけ具体的にすること,②かつてトラブルのあった人物とは離すこと,③処遇等は本人とよく相談の上決めることの3点について,配慮を要する旨記載されていた 発行した。同診断書には,①指示等はでき るだけ具体的にすること,②かつてトラブルのあった人物とは離すこと,③処遇等は本人とよく相談の上決めることの3点について,配慮を要する旨記載されていた。 (甲12の⑩)イ原告は,平成25年2月1日,D,N及びO産業医らと面談し,復職し た。 被告は,上記ア②のM医師の意見も踏まえ,原告を,同年3月から,ネットワークやクラウド関連の業務を行う開発第二グループ開発第一チームに異動させることとし,それまでは暫定的にDが直接業務指示を行うこととした。 そこで,Dは,同年2月1日,原告に対し,「Webアプリケーション構築入門(第2版)」と題する入門書(以下「本件書籍」という。)を与え,本件書籍を読解し,LinuxPCで動作確認するなどして,クラウド/IoT関連の技術を習得するよう指示した。 (以上につき,乙147,証人E,証人D) ウ原告は,平成25年2月7日,D及びEに対し,「2012年10月 の業務でのFから虚偽説明と情報隠蔽」と題するメール(本件メール)を送信した。 本件メールには,冒頭に,「2012年10月の担当業務ですで,Fから虚偽説明,情報隠蔽を受けております。」,「②情報隠蔽:プロジェクトにF作成のgstreamer資料がある。①虚偽説明:プロジ ェクトにgstreamer資料はない」等と記載されていた。そして,それぞれの具体的内容として,「①虚偽説明」については,Fから,平成24年10月5日に,「gstreamerについては未着手で誰も手をつけていないので,Xさんに調査を依頼しているので,gstreamerの資料が無くても当然です。」と説明を受けたが,実際には 「gstreame 「gstreamerについては未着手で誰も手をつけていないので,Xさんに調査を依頼しているので,gstreamerの資料が無くても当然です。」と説明を受けたが,実際には 「gstreamer調査」と題する資料が存在する,「②情報隠蔽」については,Fの上記説明に反し,「gstreamer調査」は同年10月5日時点で存在する等と記載され,最後に「主観ではなく,事実に基づいた客観的な調査をお願いいたします。」と記載されていた。 そして,本件メールには,「gstreamer調査」と題する資料 (以下「本件添付ファイル」という。)の電子データが添付されていた。 (乙44の①②) 本件添付ファイルは,原告自身が,平成24年10月5日に作成したものである。 同資料は,同年5月22日付けで作成された「AndroidOp enMaxILAVD_ss_OMX.soPro4TV移植検討」と題する資料(以下「別件資料」という。)と4頁目以降の内容が全く同一であり,別件資料を一部修正して作成されたものであった。 Fは,同年10月3日,原告に対し,別件資料の電子データが存在するフォルダの場所を教えた上でアクセス権限を設定し,原告は,同月4 日に同データをコピーした上で,同月5日に本件添付ファイルを作成し ていた。 また,別件資料は,OpenMAXをAndroidonPro4TVに移植させるための仕様書であり,別件資料にはgstreamerについての記載は存在しない。 (乙44の②,乙128,129の①ないし④,乙147,証人D) エ原告は,上記イの指示に基づいて,本件書籍を用いた独習をしていたが,平成25年2月7日の日報において,「本日 ない。 (乙44の②,乙128,129の①ないし④,乙147,証人D) エ原告は,上記イの指示に基づいて,本件書籍を用いた独習をしていたが,平成25年2月7日の日報において,「本日の実績」欄に,本件書籍の「第5章ウェブの通信方式 Twitterのパブリックタイムライン」について,Twitterをgoogleで検索して調べようとしたがよく分からず,周辺知識が不足しているため説明内容を理解できない旨等を 記載し,同日報をDに送信した。 Dは,同月8日,原告に対し,「もし,業務で本件の対応が必要であったら,と仮定して,解決,もしくは解決ができない理由の特定をお願いします。」,「実業務で対応が必要となるシチュエーションだと思いますので,そのつもりで対応をお願いいします。」等と記載し,引き続き本件書 籍を独習するよう指示した。 原告は,同日,Dの上記指示に対し,①円滑な業務復帰のための段階的な支援がなされていないこと,②プロジェクトと同様の組織的な活動が許可されていないこと,③主治医意見書に「トラブルのあった人と離すこと」と記載され,現状は,それまでの暫定的な体制であること,③同年2月1 日に約束したストレス要因の話をさせてもらえていないこと等を理由として記載した上,「本業務命令は,お断り致します。」,「いきなり,未経験業務で実業務としての対応を求められるのは合理的な業務命令とは思えません。」,「適切な業務命令が示されるまで待機いたします。」等と記載したメールを送信した。 なお,原告は,同月8日の日報には,本件書籍の読解を継続している旨 記載し,同月12日の日報で,本件書籍の通読を完了した旨報告した。 (甲259の①ないし⑤,乙66)オ原告は, なお,原告は,同月8日の日報には,本件書籍の読解を継続している旨 記載し,同月12日の日報で,本件書籍の通読を完了した旨報告した。 (甲259の①ないし⑤,乙66)オ原告は,平成25年3月1日,大阪開発センター開発第二グループ開発第一チームに配属された。 当時,Iが開発第二グループのグループマネージャー,Hが開発第一チ ームのチームリーダーであった。 (乙5の⑬,乙147,証人D)カ原告は,平成25年3年11日,午後3時に退社した。 被告の従業員には,原則として,始業時刻や終業時刻を定められない,いわゆるフレックス勤務が採用されているが,被告は,平成24年4月1 日の原告復職時に,O産業医の意見を踏まえ,原告に対し,始業時刻を午前8時30分,終業時刻を午後5時とする「通常勤務」とした上,残業や休日出勤等を禁止する旨の就業制限措置を課しており,同措置は平成25年3月時点でも撤回されず継続していた。そのため,原告が午後3時に退社する場合は早退に該当し,所定の手続により勤務管理システムに早退届 の入力をする必要があったが,原告は当該手続を行わなかった。 (甲158・64頁,260の①②,甲261,乙55,146,148,証人E,証人H)キ原告は,平成25年3月12日,被告に無断で,勤務管理システムに登録する勤務形態を,通常勤務からフレックス勤務に変更した(乙148, 証人H)。 ク原告は,平成25年3月13日,本件労災申請②に係る審査の過程で,O産業医が原告の医療情報を漏洩した等として,健康管理室を訪れたが,その際,健康管理室が「Bゾーン」に該当するにもかかわらず,被告の許可を得ずに録音機器を持ち込み,保健師との会話の一部を録音した( O産業医が原告の医療情報を漏洩した等として,健康管理室を訪れたが,その際,健康管理室が「Bゾーン」に該当するにもかかわらず,被告の許可を得ずに録音機器を持ち込み,保健師との会話の一部を録音した(甲2 0,276,乙146,証人H,弁論の全趣旨)。 ケ Hは,平成25年3月15日,原告に対し,上記カの点については早退届の入力を行い,上記キの点については通常勤務に訂正するように指示をしたが,原告は,これらの訂正を行わなかった。 Hは,同月21日,同月26日,同月27日及び同月29日にも,原告に対し,同様の指示を行ったが,原告は,同指示に従わなかった。 (甲20,276,乙148,証人H)コ原告は,平成25年3月22日,上司であるHの許可を得ることなく,職場を離れて健康管理室を訪れ,延べ約1時間10分間にわたり同室に滞在し,保健師が同月13日の録音機器の持込み(上記ク)について被告の人事部門に報告したことを非難し,O産業医に対して,約束違反である, 個人情報保護法に抵触する等と詰問した。 また,原告は,同日の終業時間後,Hから,早く帰宅するようにとの指示を受けたが,その後も約1時間にわたり,会社のパソコンを使用してメールを作成した。 (甲263,乙146,148,証人H) サ原告は,平成25年3月25日も,Hの許可なく職場を離脱し,健康管理室を訪れた。 その際,原告は,約1時間にわたり,保健師に対し,保健師が同月13日の件を人事部門に報告したことが,保健師法違反であり,警察に来てもらう等と述べて詰問し,同室から出ようとした保健師の前に立ちはだかっ て出口を塞ぐなどした。 その後,看護師から連絡を受けたN及びHが,健康管理 が,保健師法違反であり,警察に来てもらう等と述べて詰問し,同室から出ようとした保健師の前に立ちはだかっ て出口を塞ぐなどした。 その後,看護師から連絡を受けたN及びHが,健康管理室を訪れて,原告を説得し,いったんは原告を食堂に連れて行った。しかし,原告は,もう一度保健師の話を聞くことを強く希望し,Hと共に,再度,健康管理室を訪れた。原告は,約30分間にわたり滞在し,保健師に対し,「約束違 反をしている」,「法律に抵触している」等と大声でまくし立てた。 (乙146,148,証人E,証人H)シ原告は,平成25年3月26日,再度,健康管理室を訪れ,O産業医が北大阪労基署長宛ての意見書を提出したことについて,O産業医に対して盗人である等と述べ,大声を出してカウンターを叩いた(乙146,証人E)。 ス原告は,平成25年3月26日,同月27日及び同月29日,職場内で,延べ約45分にわたり,職場の電話を使用して業務とは関係のない会話を大声で行った。その際,Hは,原告に対し,業務以外の電話は外で掛けるべきであることや,声が大きいので周囲の迷惑になっている旨等の注意をしたが,原告は改めなかった。なお,上記の原告の行為について,周囲に いた従業員から人事部門へ苦情が述べられることもあった。 (乙148,証人H) 本件出勤停止処分ア Eは,平成25年4月9日,原告に対し,平成24年10月から平成25年3月までの原告の問題行動に関し,同年4月11日に事情聴取を実施 するので出席するよう伝えた。 これに対し,原告が,同月10日,時間的猶予を求めたことから,Eは,同月16日,原告に対し,その時点で被告が把握している事実は,①担当業務に関する指示命令違反,② で出席するよう伝えた。 これに対し,原告が,同月10日,時間的猶予を求めたことから,Eは,同月16日,原告に対し,その時点で被告が把握している事実は,①担当業務に関する指示命令違反,②その他の指示命令違反,③職場離脱,④他者を誹謗・中傷したり,激昂して大声を出すなどして,他者に不利益を与 えるとともに,職場の風紀秩序を乱したこと,⑤情報セキュリティ違反等であり,詳細については事情聴取の場で説明するとして,同月18日に事情聴取を行う旨通知した。 (乙67,146)イ Eは,平成25年4月18日,原告に対し,本件出勤停止処分事由を説 明し,それらについての原告の弁解を聴取した(甲20,276,乙14 6,156の①②,証人E,原告)。 ウ被告は,平成25年5月13日,原告に対して,同月20日から同月28日まで7日間の出勤停止を命じる懲戒処分(本件出勤停止処分)をし,本件出勤停止処分事由及び同月17日までに始末書を提出すべき旨を記載した通知書を交付した。 原告は,本件出勤停止処分に対して異議を申し出たが,被告は,同月17日に懲戒委員会を開催し,同日,同月20日から同月28日までの出勤停止を決定した。 なお,原告は,上記懲戒委員会において弁明の機会を与えられる旨を事前に通知されていたが,同月16日,I及びEに対し,同委員会には出席 しない旨を述べ,同委員会を欠席した。 (前記前提事実,甲24,乙146) 本件被害届の提出原告は,出勤停止処分中の平成25年5月27日,門真警察署に対し,Cから平成24年10月11日に食堂で暴行を受けて,左側胸部打撲傷(本件 傷害)の傷害を負った旨の被害届(本件被害届)を提出した。 上記事 中の平成25年5月27日,門真警察署に対し,Cから平成24年10月11日に食堂で暴行を受けて,左側胸部打撲傷(本件 傷害)の傷害を負った旨の被害届(本件被害届)を提出した。 上記事件を担当した枚方区検察庁検察官は,平成25年10月23日,Cについて,暴行(受理罪名:傷害)の被疑事実について不起訴処分(起訴猶予)とし,平成26年3月3日,その旨Cに告知した。 (甲278,乙1) 平成25年5月29日から本件解雇までの経緯等ア原告が所属していた大阪開発センター開発第二グループ開発第一チームでは,平成25年4月1日,Gが新たに配属され,チームリーダーがHからGに交替した。 もっとも,Gは,原告に対し,業務についてHの指示に従うよう指示し ており,同月以降もHにより原告に対する業務指示が行われていた。 (乙5の⑪,乙149,証人G)イ原告は,本件出勤停止処分に係る期間が経過した平成25年5月29日,出勤を再開した。 Iは,同日,原告に対し,本件出勤停止処分の際に指示されていた始末書の提出を促したところ,原告は,①反省すべき事実はない,②本件組合 と相談して,提出する必要はないとの結論に至った,③本件出勤停止処分事由には,団体交渉事項となっているものも含まれているため,自身の一存では提出を決めることはできない等として,始末書の提出を拒否した。 Iは,原告に対し,同月31日まで待つので再考するよう伝えたが,原告は,同日は年休を取得し,同年6月3日,Iに対し,上記①ないし③と 同様の理由を述べて,始末書を提出しなかった。 (乙146,証人E)ウ被告は,評価制度の一つとして,「ターゲットプラン」と称する目標管理制度を導入し ,Iに対し,上記①ないし③と 同様の理由を述べて,始末書を提出しなかった。 (乙146,証人E)ウ被告は,評価制度の一つとして,「ターゲットプラン」と称する目標管理制度を導入している。 原告は,平成25年6月14日,I及びGと面談し,平成25年度上期 ターゲットプランにおいて,半期のチャレンジ目標(総合目標)を,「HTTP,DNS,DHCPのプロトコルの習得を行うこと」と設定し,さらに,①プロジェクト計画立案について,週単位での計画に基づいて作業を実施すること,②プロジェクト推進管理について,週単位での計画を基にして,現在の日報を週報へ移行することを,チャレンジ目標に設定した。 (乙48の①,乙148,149,証人H)エ Hは,上記ターゲットプランを踏まえ,原告の平成25年上期の業務として,プロジェクトに参加できるようになるために,自立して週単位の計画を立案し,予実(予定及び実績)管理を実行するよう指示し,その題材として,「HTTPDの省リソース化」の技術習得を指示した。 そして,Hは,同年6月24日,原告に対し,日報には各週末までの予 定を記載し,週末の日報には予実及び次週の予定を記載するよう指示するメールを送信した。 しかしながら,原告は,平成25年6月28日(金曜日)及び同年7月5日(金曜日),及び同月12日(金曜日)の各日報において,当日の予実及び次週の予定を記載したが,週間の実績は記載しなかった。 (乙48の②ないし⑤,乙148,証人H)オ Hは,平成25年7月23日,原告に対し,再度,日報に関する指示をしたが,原告が,週間予定はゴール設定できない,指示されていないので週単位に区切れない等と主張したため,定量的なゴー H)オ Hは,平成25年7月23日,原告に対し,再度,日報に関する指示をしたが,原告が,週間予定はゴール設定できない,指示されていないので週単位に区切れない等と主張したため,定量的なゴールを設定できないのであれば,少なくとも週末目標を設定するよう指示した。 また,Hは,同月25日及び同月31日にも,原告と打合せを行い,原告に対し,週単位で業務計画を立てて,週報による自己管理ができるようになることが,今後の実業務としてのプロジェクト参画の目安になる旨を説明した上で,少なくとも月曜日の日報に,前週の予実,今週の計画を記載するよう改めて指示した。 (乙148,証人H)カ原告は,平成25年8月5日,Hに対し,マスタースケジュールがないので次週の計画が立たない等として,同年7月31日に指示された,月曜日の日報に前週の予実及び今週の計画を記述することはできない旨述べた。 そこで,Hは,原告との間で,週末の日報に,今週の予定に対する実績 及び次週の予定を記載することとするが,次週の計画策定に課題があればその旨を記載し,月曜日に定例的に行う打合せ(以下「定例会議」という。)で解決するという進め方にすることを確認した。 (乙148,証人H)キ Hは,平成25年8月19日(月曜日),原告に対し,週の予定として 「HTTPDの省リソース化」及び「DHCPCプロトコル習得」を示し ていたが,原告は,平成25年8月23日(金曜日)の日報に,今週の実績及び次週の予定を記載しなかった。 原告は,同月30日(金曜日)の日報にも,今週の実績を記載せず,次週の予定について,「HTTPDの省リソース対応・HTTPD省リソース対応完了報告レビュー」と記載しながら,「5. た。 原告は,同月30日(金曜日)の日報にも,今週の実績を記載せず,次週の予定について,「HTTPDの省リソース対応・HTTPD省リソース対応完了報告レビュー」と記載しながら,「5.課題」として,「 次週の予定が立たない。HTTPDの省リソース完了報告レビュー待ち。」と記載した(なお,Hは,同月29日,原告に対し,作業時間があれば行うべき業務を指示していた。)。 (乙48の⑥⑦,乙148,証人H)ク原告は,平成25年9月3日の日報に,①ブランク等の影響もあり品質 面に不安がある,②開発者とテスト実施者が同じ(原告)であることも危惧している等と記載したことから,Hは,同月4日,原告と臨時の打合せを行い,原告に対し,原告の業務は商品開発を目的としたものではなく,育成業務としての独習課題(HTTPDの省リソース化)であるので,品質面に拘らずに作業するよう指示した。 しかしながら,原告は,同月4日の日報にも,上記不安を記載したため,Hは,同月5日,同日報に対し,①育成業務の独習課題であるので品質の確保を前提にしていないこと,②今回は既存のテスト仕様を流用するので開発者と実施者が同じでも問題はないこと等を記載して返信した。 (乙48の⑧ないし⑩,乙148,証人H) ケ原告は,平成25年9月6日(金曜日)の日報において,今週の実績を記載せず,また,「3.来週の予定」には,対応課題参照」と記載し,「5.課題作業見通しが立たないリリーステストのためにどのような環境構築をして,どのように進めたら良いかが入手済み資料だけではわかりません。行き詰っています。」と記載し た上,「4.質問」として,「今後の予定 IPPFに取り込むための 今後の作業として見込ま のように進めたら良いかが入手済み資料だけではわかりません。行き詰っています。」と記載し た上,「4.質問」として,「今後の予定 IPPFに取り込むための 今後の作業として見込まれることを教えて下さい。」等と記載した。 そこで,Hが,同月9日,状況を確認したところ,Hが渡した資料を原告がよく読まずに作業が止まっていたことが判明した。 (乙48の⑪,乙148,証人H)コ原告は,平成25年9月13日,Hと面談し,Hに対し,①品質確保が 必要なのに何も説明されない,②HTTPD等の修得はレベルが低く研修になっていない等と述べたので,Hは,①育成業務であって,品質確保を目的としていないこと,②自己管理を含めて回復するのが目的であり,HTTPDの修得はその題材であって,修得自体が目的ではないこと等を説明した。 また,原告は,上記面談において,マスタースケジュールがないので,今週の予実と次週の計画を週報に記載することができない旨を再度述べたため,Hは,①プロジェクトに入って業務をするためには,自ら予定を決めて管理をしていく必要があり,現時点では,その管理ができるようになるために業務をしてもらっていること,②マスタースケジュールがなくて も,今週の予実と次週の計画を週報に記載することはできるし,また,それをやる必要があること等を伝えた。 原告は,同日(金曜日)の日報に,今週の実績及び次週の予定を記載しなかった。 (乙48の⑫,乙148,証人H) サ原告は,平成25年9月17日のHとの定例会議においても,従前と同様の理由を述べて,週単位の進捗管理は不可能である旨主張し,同月20日(金曜日)の日報には,「情報が枯渇しており計画を立てることは困難です」等 成25年9月17日のHとの定例会議においても,従前と同様の理由を述べて,週単位の進捗管理は不可能である旨主張し,同月20日(金曜日)の日報には,「情報が枯渇しており計画を立てることは困難です」等と記載して,今週の実績及び次週の予定を記載しなかった(乙48の⑬,乙148,証人H)。 シ Gは,平成25年9月24日,Hから相談を受けて,原告とHとの定例 会議に参加することとした。 Gは,まず,原告に対し,同年6月14日に設定した平成25年度上期ターゲットプランの目標は,技術習得という面及び業務管理面のトレーニングという面が主体である旨説明し,原告も,それは認識している旨答えた。 次に,Gは,上記目標に対して,Hが具体的に業務内容を指示し,原告の質問にも丁寧に詳しく答えており,原告が週単位の計画ができない理由としている「マスタースケジュールがないから週単位の計画が立てられない」という点については理由にならず,指示している内容で週間の計画を立てることができる旨指摘した。 そして,Gが,原告に対し,週単位の計画がこれまでに立てられたことがあるか否かを確認すると,原告は,「それは偏った評価であり,Gさん,団体交渉でやらしていただきますけど,出ていただけますか。」等と発言し,Gが,事実の確認をしているのだと原告に再度質問したところ,原告は,週単位の計画が立てられたことがないことは認めたが,その理由とし ては従前と同様に原告の意見を述べ,Gの指示には納得できない部分があるので,団体交渉に出席して欲しい旨述べた。 (乙148,149)ス原告は,平成25年9月24日,Gに対し,Hから具体的な助言をもらえずに業務命令を受けて,検討はしているが,ここ2週間程の間に社 団体交渉に出席して欲しい旨述べた。 (乙148,149)ス原告は,平成25年9月24日,Gに対し,Hから具体的な助言をもらえずに業務命令を受けて,検討はしているが,ここ2週間程の間に社内で 強いストレスを受けたこともあり思考停止している等と記載して,相談を求めるメールを送信した(甲230)。 セ Gは,上記スのメールを受けて,平成25年9月25日,原告と,約30分間にわたり面談をした。 原告は,Gに対し,①同月12日にNから原告が普通でないかのような メールを送信されたこと,②Hから交付されたテスト仕様書が7年前(平 成18年)のものであったこと,③就業制限の点等がストレス要因となって,思考停止に陥っている旨を述べ,これに対し,Gが,原告がストレス要因とする各点について,自己の見解を述べて原告をなだめるなどしていた。ところが,上記面談の途中,原告が,組織的な嫌がらせを受けていると感じている点については「厳秘」として欲しい旨を述べたのに対し,G が,厳秘の情報であれば,それ以上聞くことができない旨答えたことから,原告は,興奮状態となり,ストレス要因に関する健康情報であり,かつ,パワーハラスメントの内部通報に類するものであるから,厳秘とすべきである旨主張した。これに対し,Gは,自分自身(チーム内)で解決できないことは上位者に相談する必要がある,社内通報規定も含めた社内のルー ルに従って判断する等と答えた。 その後も,同様のやりとりの末,原告は,「Gさんは,私の心情に対しては全然配慮してくれはらないんで,もう私は,Gさんとも対立する形で出るとこへ出ます。もう既に出るとこへ出てるケースとかもありますし,警察とかも行ってるいうのはご存じやと思いますし。」と発言した。そし は全然配慮してくれはらないんで,もう私は,Gさんとも対立する形で出るとこへ出ます。もう既に出るとこへ出てるケースとかもありますし,警察とかも行ってるいうのはご存じやと思いますし。」と発言した。そし て,Gが,「いや,それは知らないです。」と答えたのに対し,原告は,「Hさんとかもご存じですけど,会社も知ってますけど,社内で暴行を受けたというのは警察に届けています。」,「届けた後,かなり進展してるみたい」等と述べ,さらに,Gが,「私もルールに基づいてやりますし,Xさんもルールに基づいてやってるということ。お互いフェアな立場です わね。」と述べたのを受けて,原告は,「私も外でGさん訴えるのはルールに基づいてやってもいいですね。」と発言した。 (甲276,乙45の①,乙149,証人G,原告)ソ G及びHは,平成25年9月26日,別チームの社員であるRを同席させ,原告の業務について打合せを行った。 Gは,上記打合せにおいて,原告から,不具合が生じている点等につい て,テスト環境に詳しいRに質問し,一つ一つ解決していくことを提案したが,原告は,そのような方式ではなく,根本的なレクチャーを希望する等と述べた。その後も,業務についての話合いが続けられていたが,原告は,Hから平成16年のテスト仕様書類を交付された点について非難を始め,Rは,原告のその時点での到達点からすると自分が立ち会う必要は乏 しいとして,途中で退席した。 原告は,Rの退席後も,上記テスト使用書類の点についてHを非難し,これに対して,G及びHが,原告の業務上は支障がない旨説明したところ,過去にも情報を隠匿された等と述べて,Gらの対応は原告への嫌がらせである等と非難した。その後も,原告とGらとの間で問答が続いた末,打合 に対して,G及びHが,原告の業務上は支障がない旨説明したところ,過去にも情報を隠匿された等と述べて,Gらの対応は原告への嫌がらせである等と非難した。その後も,原告とGらとの間で問答が続いた末,打合 せ開始から約40分が経過した頃,原告は,「外でやった方がええんやったら,外でやりましょう。僕ももう,それなりの覚悟はしてますし。Gさんも含めて,Gさんも結局パワハラされてるじゃないですか。」等と発言した。 原告は,上記打合せ終了後,会議室から席に戻る際にも,Hに対し,こ んなことは外に行ってやりましょうよ,警察に入ってもらいますよ等と述べた。 (甲276,乙45の②,乙148,149,証人H,証人G,原告)タ Iは,Gから,上記セ及びソの経緯について報告を受け,平成25年9月27日,原告を会議室に呼び出して事情を聴取した(以下「本件事情聴 取」という。)。 Iは,まず,原告に対し,Gから,原告と打合せをした際に「警察に訴える」等と言われた旨の報告を受けている旨伝えたところ,原告は,「そんなこと言ってないですけど。」と否定した。 Iは,事実の確認をしたい,それが事実であれば,そういう暴言はやめ てもらいたい等と述べ,本件事情聴取の趣旨を説明したが,原告は,それ は決め付けであるとし,「そんな話してないですよ。」と述べた上で,具体的には健康情報なので話せない旨返答した。 Iは,さらに,当該健康情報の会話の中で「出るとこへ出る」,「警察」等の表現をしたか否かを尋ね,Gは原告からそのような発言をされてショックを受けている旨等を述べたところ,原告は,「言ってないという話を しましたので」,「私の方がショックを受けています。」等と答え,団体交渉で対応 を尋ね,Gは原告からそのような発言をされてショックを受けている旨等を述べたところ,原告は,「言ってないという話を しましたので」,「私の方がショックを受けています。」等と答え,団体交渉で対応することを希望した。 その後,原告の方から,「警察へ出る」ということが暴言なのかと尋ねたところ,Iは,「脅迫もどきの言動」であるとした上で,「まず事実の確認をしたいんです。させてください。」と告げた。これに対し,原告が, 再度,「団体交渉でお願いします。」と返答し,Iが,「だから,言ったか言ってないかも認めない,要は明言しないということですか。」と尋ねたところ,原告は,「上司からそのように言われることが,脅迫のように感じております。」と述べた。 これらのやりとりを経て,原告は,自らの発言が脅迫に当たるというの であれば警察を呼んで欲しい旨述べ,さらに,「このような閉じた場所で事実確認をされても,どのように嵌められるかわかりません。だから警察を呼んで下さい。」,「警察を呼んだらわかるじゃないですか。」等と発言したため,Iは,事情聴取を終えることとし,警察については,「じゃあ呼んで下さい。」と告げた上で,事情聴取開始から約13分後,原告に 仕事に戻るよう指示し,本件事情聴取は終了した。 (乙46,146)チ原告は,本件事情聴取から戻った後,Gに対し,脅迫されたので警察を呼ぶ旨告げて,自席付近を歩きながら警察に電話をかけ,周囲に聞こえるような大きな声で,約5分間にわたり,上司から脅迫を受けた,以前にも 脅迫を受けて通報したことがある等と話した。 原告は,上記電話終了後,Gに対し,「IさんにGさんを脅迫しただろうということで,脅迫を受けた。」と大きな声を出したため,Gは 脅迫を受けて通報したことがある等と話した。 原告は,上記電話終了後,Gに対し,「IさんにGさんを脅迫しただろうということで,脅迫を受けた。」と大きな声を出したため,Gは,会議室への移動を促したが,原告は会議室への移動を拒否し,「こんなことをされて落ち着いていられますか。前にも脅迫を受けた。」等と約20秒にわたり大きな声で話し,Gから声を小さくするように言われたが,「脅迫 を受けたのですよ。」とさらに大きな声で発言した。また,原告は,Iの席付近でも,「警察を呼びました。」と発言した。 その後,原告の上記通報により,警察官1名がパトカーで来社し,NやIらがこれに対応した。 (乙149,証人G,証人E) ツ原告は,平成25年9月27日,上記チのやりとりの後,J社長に対し,「本日,2013年9月27日13時30分,Iに呼び付けられ,A会議室において,脅迫,誹謗中傷を受けましたのでご連絡します。『警察に出ると言って上司を脅迫した』と脅迫,誹謗中傷されました。これまで,何度も同じ様なことがあり,昨年は上司から暴行・傷害被害を受け,強い恐 怖を感じ,警察に通報しました。」等と記載したメールを送信した(乙47)。 テ Eは,平成25年9月30日,原告に対して,事情を聞きたい旨を伝えたところ,原告は,本件組合を通じるようにとして,事情聴取を拒否した(乙146)。 ト被告は,原告に対し,平成25年10月2日から同月18日まで自宅待機を命じることとした。 Gは,同月2日,上記自宅待機命令を通知するため,午前8時25分頃に出社した原告に対し,K所長から話がある旨伝えたが,原告は,業務時間外である旨述べた。Gは,午前8時30分頃,原告に対し,改めてK所 ,同月2日,上記自宅待機命令を通知するため,午前8時25分頃に出社した原告に対し,K所長から話がある旨伝えたが,原告は,業務時間外である旨述べた。Gは,午前8時30分頃,原告に対し,改めてK所 長から話がある旨伝えたが,原告が,「いやです。」と返答したため,K 所長に状況を報告したところ,K所長は,自ら原告の席に出向き,業務通知があるので会議室に来るよう指示した。 これに対し,原告は,会議室に行くことを拒否し,その場で,①過去に8.5時間監禁された,②暴行も受けた,③PCを取り上げられて虚偽の説明を受けた等と,周囲の従業員にも内容が完全に聞き取れるほどの大声 で発言した。 その後,原告とK所長との間で,約15分間にわたりやりとりがあったが,原告は,K所長から,業務通知であることを説明されて会議室へ移動し,K所長から,自宅待機命令に関する通知書を受領して,午前8時50分頃に退社した。 (甲26,乙146,149,証人G) 本件解雇ア Eは,平成25年10月15日,原告に対して,本件解雇事由を示して,原告に対する懲戒処分を検討すること及び同月18日に事情聴取を行うことを通知した。 本件組合は,同月15日,被告に対し,原告の体調が落ち着いてから事情聴取に応じるので,同月18日の事情聴取に応じられないと告げ,さらに,本件組合及び原告は,同月17日,原告の体調が落ち着いたとしても,弁護士の立ち会いがなければ事情聴取に応じられない旨述べた。 被告は,同月21日,原告に対し,懲戒処分の結論が出るまで自宅待機 を命じた。 (甲27,乙146,証人E)イ被告は,平成25年10月25日,原告に対し,本件解雇事由等を記載した本件通知書を 21日,原告に対し,懲戒処分の結論が出るまで自宅待機 を命じた。 (甲27,乙146,証人E)イ被告は,平成25年10月25日,原告に対し,本件解雇事由等を記載した本件通知書を交付し,懲戒委員会を開催する旨通知した。 原告代理人弁護士は,同月30日,被告に対し,本件通知書に対する意 見等を記載した意見書及びM医師が作成した意見照会回答書を提出し,懲 戒委員会を開催するのであれば,代理人として立ち会うことを求めた。 懲戒委員会は,同月31日,同年11月14日及び20日の3回にわたり委員会を開催し,第2回委員会において,原告及び原告代理人弁護士1名の立会いを認めてその弁明等を聴取した上,同月21日,原告について懲戒解雇が妥当であり,原告の弁明を最大限斟酌するとしても普通解雇が 相当である旨答申した。 被告は,同月27日,原告に対し,同年12月6日付けで原告を普通解雇(本件解雇)する旨の意思表示をした。 (前記前提事実,甲30ないし36,乙146,152,証人E) 2 争点1(本件解雇に係る客観的合理的理由の存否)について 被告は,本件解雇事由が懲戒解雇の事由に該当することを前提に,普通解雇である本件解雇にも客観的合理的理由が存在する旨主張していることから,本件解雇事由が本件解雇の客観的合理的理由に当たるか否かについて,以下検討する。 なお,原告は,本件解雇事由は,就業規則64条各号に列挙された事由に 該当しない旨主張するが,同条1号が懲戒解雇の処分をしたときを挙げていること,同条は解雇の事由を同条各号列挙の事由に限るとは定めていないこと()に照らすと,同条の解雇事由には,懲戒解雇処分に相当する事由がある場合も含まれると解するの 解雇の処分をしたときを挙げていること,同条は解雇の事由を同条各号列挙の事由に限るとは定めていないこと()に照らすと,同条の解雇事由には,懲戒解雇処分に相当する事由がある場合も含まれると解するのが相当であり,原告の上記主張は採用できない。 解雇事由①についてア解雇事由①は,原告が,事実に反する本件被害届を提出したというものである。 イ被告は,本件被害届が事実に反する理由として,①Cの行為態様からすると,原告が主張する本件傷害を負うことは考えられないこと,②仮に打 撲傷を負ったとすると,受傷直後から痛みが生じるのが通常であるが,原 告は,職場に戻ってから痛みが生じた旨述べていること,③受傷部位及び症状,Cによる本件行為の態様に関する原告の供述が不合理に変遷していること,④原告は,受傷したとする当日に被告の健康管理室から紹介された病院を受診しなかったこと,⑤検察官がCについて暴行罪で不起訴処分としたこと,⑥北大阪労基署長らが,本件労災申請②に対し不支給処分と したこと,⑦Q医師による診断は信用できないこと等から,原告は本件行為により本件傷害を負ったものではない旨主張するので,以下,順に検討する。 上記①の点について被告は,Cによる本件行為の態様について,Cは,原告が,出入り口 から遠ざかるように食堂内をぐるぐると歩き回るのを,その後ろから緩やかに原告の腰あたりに腕を回し,後をついて回ったにすぎない旨主張し,CやNもこれに沿う証言・供述をしており,これに対し,原告は,Cに背後から抱えられた旨供述している。 この点,Cは,当時,原告が情報セキュリティ規程に違反してICレ コーダーを持ち込んでいることを現認し,その旨を原告に確認し 対し,原告は,Cに背後から抱えられた旨供述している。 この点,Cは,当時,原告が情報セキュリティ規程に違反してICレ コーダーを持ち込んでいることを現認し,その旨を原告に確認していたが,原告が,胸ポケットから目薬を取り出すなどして誤魔化そうとした上,急にその場を立ち去ろうとした(認定事実ウ)というのであるから,Cとしては,原告をその場に止めようとするのが通常の対応というべきである。そうすると,単に原告の腰に腕を添えて後ろをついて回る というのは不自然な動きといわざるを得ず,Cは,原告を力強く制止したとまではいえないとしても,原告の背後から腕を回して抱え込むような動作をしたことがうかがわれる。 そして,打撲傷は,一般に,転倒や衝突等の強い衝撃により,皮下組織や筋肉が損傷される病態を指す(甲158・105頁)が,上記のよ うにCから抱え込まれるようにされた原告が,その場を逃れるために身 体を捻るなどした場合に,軽度の打撲傷が生じる程度の圧迫が加わることもあり得ないとはいえない(甲158・101頁)。 上記②の点について打撲傷は,一般に受傷後直ちに痛みが生じるものである(甲158・105頁)ところ,原告は,食堂から職場に戻った後,痛みを感じた旨 をO産業医に訴えている(認定事実エ)が,本件行為の後,原告が職場に戻り,健康管理室を訪れるまでさほど長時間を要したものではなく,本件行為の直後に原告が症状を自覚していなかったからといって,直ちに軽度の打撲傷自体がなかったとまで認めることはできない。 上記③の点について 本件傷害の受傷部位について,原告は,平成25年10月11日の時点で,Nに対しては「左脇腹」に痛みがあるとし かったとまで認めることはできない。 上記③の点について 本件傷害の受傷部位について,原告は,平成25年10月11日の時点で,Nに対しては「左脇腹」に痛みがあるとし,O産業医は,原告が疼痛を訴えた部位を「左側腹部」と表現している(認定事実エ,オ)ところ,Q医師は,原告の左第11,12肋骨の先端部に圧痛があることを根拠に,左側胸部の打撲傷と診断している(同カ)。この点,第1 1,12肋骨は,肋骨のうち最も腹部寄りに位置することからすると,原告が主張する本件傷害は,左側胸部と左側腹部との境界付近に生じていることが認められ,これを「左脇腹」と表現することは不自然でなく,受傷部位及び症状についての原告の供述に不合理な変遷があるとはいえない。 一方,本件行為の態様及び受傷原因についてみると,原告は,O産業医に対しては,背後から抱えるようにされた際に,筋違いのような状態になった,Nに対しては,お腹を強く抱きしめられた,Q医師に対しては,強く羽交い締めにされ,捻る姿勢で抵抗したとそれぞれ説明しており(同エないしカ),その供述に変遷がないとはいえないが,少なくと も背後から両腕を回して抱え込むようにされ,これに対し原告が身を捻 るようにしたという限度において,原告の供述は共通しているということができるから,その限度で一貫性を欠くものとはいえない。 原告が供述する上記受傷態様が,本件傷害のような軽度の打撲傷の原因となり得ることは上記のとおりであり,少なくとも上記の限度で原告の供述の信用性を直ちに否定することはできない。 上記④の点について原告は,本件行為があった当日,健康管理室に対し,自ら労災指定病院の紹介を求めたが,同病院 で原告の供述の信用性を直ちに否定することはできない。 上記④の点について原告は,本件行為があった当日,健康管理室に対し,自ら労災指定病院の紹介を求めたが,同病院を受診せず,翌日にL整形外科を受診している(認定事実エ,カ)ところ,被告は,かかる原告の対応が不自然である旨主張するが,本件傷害のように軽度で急を要しない程度の症状 しか生じていなければ,経過を観察した上で受傷の翌日に医療機関を受診すること自体は何ら不自然なものとはいえず,被告の上記主張は採用できない。 上記⑤及び⑥の点について本件被害届に係る事件を担当した検察官は,Cについて,受理罪名の 傷害を暴行被疑事件に変更した上で,不起訴処分とし(認定事実),本件労災申請②について,北大阪労基署長は,本件傷害に業務起因性はないとして,不支給の決定をし,大阪労働者災害補償保険審査官及び労働保険審査会もその判断を支持 しかしながら,これらの事情からは,検察官や北大阪労基署長らにお いて,それぞれ担当事件の証拠内容等から,本件行為により本件傷害が生じたとまでは認めることができない旨判断したということができるにとどまり,それらの判断をもって,本件行為によっては本件傷害が発生していないとまで認めることはできない。 上記⑦の点について 被告は,Q医師が原告の主訴に基づいて診断を行ったにすぎない旨主 張するところ,上記ないしで検討したとおり,本件行為時の状況等に照らし,本件行為により本件傷害が生じることが不自然とはいえない。 そして,Q医師は,医師として原告に対する診察をし,左第11,12肋骨の先端部に圧痛があること等の客観的所見を踏まえた上で本件傷害 に照らし,本件行為により本件傷害が生じることが不自然とはいえない。 そして,Q医師は,医師として原告に対する診察をし,左第11,12肋骨の先端部に圧痛があること等の客観的所見を踏まえた上で本件傷害の診断をしているのであるから,かかる診断が直ちに信用性を欠くとい うことはできない。 小括以上のとおり,被告が主張する点を考慮しても,原告が,本件行為によって本件傷害を負ったという事実が存在しなかったとまで認めることはできない。 ウそして,原告の行為をきっかけとするものではあるものの,Cによる有形力の行使(本件行為)自体が存在したことは事実であり,また,原告が少なくとも主観的には当該行為によって傷害を受けたと認識し,上記イのとおりその認識自体が不合理又は客観的事実に明白に反するとまではいえないこと,少なくとも暴行の被疑事実については捜査を遂げた上,不起訴 処分(起訴猶予)がされていることからすると,原告が,捜査機関である門真警察署に対し,本件被害届を提出することは,それによってCが捜査機関の取調べを受けることになったなど被告の業務に一定の影響を与えたとしても,直ちに違法ないし不当であると断ずることはできず,これをもって,被告に対する非違行為であるとか解雇事由として客観的に合理的な ものであると評価することはできない。 なお,被告は,原告が,本件労災申請②において有利な判断を得るために,本件被害届を提出したとも主張しているが,そのような動機を認定するに足りる客観的証拠はない。 エしたがって,解雇事由①は,本件解雇の客観的合理的理由に当たるとは いえない。 解雇事由②についてア解雇事由②は,原告が,D及びEに対し,本件メール エしたがって,解雇事由①は,本件解雇の客観的合理的理由に当たるとは いえない。 解雇事由②についてア解雇事由②は,原告が,D及びEに対し,本件メールを送信したことを対象とするものである。 この点,本件メールは,その内容(認定事実ウ)に照らすと,Fが,原告の業務に関し,「情報隠蔽」及び「虚偽説明」をしたというものであ るから,Fに対する誹謗・中傷やそれに類する言動であって,Fの被告社内における社会的評価を低下させるものであり,かつ,Fや被告に,事実の調査その他の業務上の負担を生じさせ,その業務を阻害するものであることが認められる。 イそして,本件メールに添付された本件添付ファイルは,原告自身が作成 したものであり,Fによる情報隠蔽や虚偽説明を何ら基礎付けるものではない。この点,原告は,本件メールに別件資料を添付しようとしたところを,誤って本件添付ファイルを添付したにすぎないと弁解するが,別件資料については,Fが原告にその所在場所を教えたものであること(同)から,いずれにせよFが情報隠蔽等をした根拠にはならず,原告の上記弁 解は不合理というほかない。 また,原告は,gstreamerをAndroid上にビルドするのは不可能な作業であり,Fは,gstreamerをAndroidonPro4TVに移植するよう明確に指示すべきで,その意味でもFの指示が不適切であったとも主張する。しかしながら,①原告が調査業務を 行っていた平成24年10月時点で,Android用gstreamerが公開されていたこと(同オ)に照らすと,原告の業務は技術的に可能なものであったと認められ,②しかも,FやDらは,その旨を原告に対して繰り返し明確に説明し 点で,Android用gstreamerが公開されていたこと(同オ)に照らすと,原告の業務は技術的に可能なものであったと認められ,②しかも,FやDらは,その旨を原告に対して繰り返し明確に説明していたことが認められる(同エないしカ,ケ)のであるから,Fの指示に不適切な点があったとはいえず,原告の上 記主張は採用できない。 このように,Fが,原告に対し,情報隠蔽や虚偽説明をしたとか,不適切な指示をしたと認めることはできないことからすると,本件メールの内容は,客観的事実に反するというべきであり,上記アで認定した内容等を踏まえると,原告が本件メールを送信したことは不適切な行為であって非難を免れないというべきである。 ウ他方,原告は,平成24年10月当時から,Fらの説明にもかかわらず,DやFらに対し,gstreamerをAndroid上にビルドすることは不可能であるとか,原告が行うには高難度,高負荷である等と繰り返し述べていた(認定事実オ,イ,ウ,エ,クないしコ)ことが認められ,これらの点に照らすと,少なくとも原告の主観において,gstr eamer調査についてFから十分な情報を与えられていないと認識しており,Dも原告のそのような認識を了知していたことが認められる。 そうすると,原告が,本件メールにおいて,「情報隠蔽」や「虚偽説明」といった不穏当な表現を用いたことや,虚偽の添付ファイルを添付したことは,非難されるべき行為であるものの,原告が上記のような被告の認識 と異なる認識を有していたことは被告において既に把握されており,本件メールの内容についても,被告が把握している客観的事実と異なることは被告において容易に想定し得る状況であったことからすれば,本件メールによっ 識を有していたことは被告において既に把握されており,本件メールの内容についても,被告が把握している客観的事実と異なることは被告において容易に想定し得る状況であったことからすれば,本件メールによって被告やFが受けた影響は限定的なものにとどまるといわざるを得ない。 エしたがって,解雇事由②は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの非違行為に当たるとはいえない。 解雇事由③についてア解雇事由③は,原告が,平成25年9月25日及び同月26日に,G及びHに対し,警察へ出る等の発言をしたというものであるところ,①原告 が,同月25日のGとの面談において,「出るとこへ出ます。」,「警察 とかも行ってるいうのはご存じやと思いますし。」,「社内で暴行を受けたというのは警察に届けています。」,「届けた後,かなり進展してるみたい」等と発言したこと(認定事実セ),②同月26日にも,G及びHに対して,「外でやった方がええんやったら,外でやりましょう。」と述べたり,Hに対して,こんなことは外に行ってやりましょうよ,警察に入 ってもらいますよ等と述べたりしたこと(同ソ)が,それぞれ認められる。 イしかしながら,①平成25年9月25日の面談におけるやりとりを全体的にみると,原告が,Gに対し,相談内容を秘密とするよう求めたのに対し,Gが,社内ルールに基づいて判断するとしてこれを断ったことから,原告が,興奮気味に自己の主張をし,同主張に基づくやりとりが繰り返さ れた後,面談の終盤において原告が上記アの発言をしたこと,②Gが,「私もルールに基づいてやります」等と発言したのを受けて,原告も,「ルールに基づいてやってもいいですね」と発言したこと(以上につき,認定事実セ),③同月26日についてみて 発言をしたこと,②Gが,「私もルールに基づいてやります」等と発言したのを受けて,原告も,「ルールに基づいてやってもいいですね」と発言したこと(以上につき,認定事実セ),③同月26日についてみても,業務打合せにおいて,原告の業務遂行の可否等について,原告とHやGとの間で,見解が相違して 議論が平行線をたどり,その終盤において,原告が「外でやりましょう。」等と発言したこと(同ソ),④原告は,同月24日にも,Gの指示に納得がいかないとして,団体交渉による解決を求める発言をしたこと(同シ),以上の事実が認められる。 これらの事実に照らすと,原告の上記アの発言は,いずれも,Gらと原 告との間で認識や見解が相違し,議論が平行線をたどった末に行われたものであることが認められる(上記①,③)。また,原告は,以前から同様の場面で団体交渉による解決を持ち出したことがあり(上記④),原告が,「ルールに基づいて」行う旨発言していること(上記②)を踏まえると,上記アの発言が,社会的ルールを逸脱するような行為を示唆したものとは 認められない。以上の点に鑑みると,原告による一連の発言は,団体交渉 や警察の介入等も含めた第三者的解決を求める趣旨の発言であると理解すべきであり,「警察」等の表現において穏当さを欠くことは否定できないものの,それ自体がGやHに対する誹謗・中傷に当たるとはいえないし,GやHを殊更に畏怖させるような発言であったとも認められない。 そうすると,表現方法に不適当な点がないではないが,上記アの発言を もって,懲戒処分の対象とするほどの非違行為であるとか,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの事由があったと評価することはできない。 エしたがって,解雇事由③は,本件解雇の客観的合理的 もって,懲戒処分の対象とするほどの非違行為であるとか,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの事由があったと評価することはできない。 エしたがって,解雇事由③は,本件解雇の客観的合理的理由に当たるとはいえない。 解雇事由④について ア解雇事由④は,原告が,本件事情聴取において,Iによる事情聴取を拒否したというものである。 イ認定事実タによれば,①原告は,Iから,Gに対する発言内容を質問されたのに対し,Gとの会話の内容については,健康情報なので話せないと返答したこと,②「警察に訴える」等の発言について,原告は,「そん なこと言ってないですけど。」,「そんな話してないですよ。」,「言ってないという話をしましたので」と再三にわたり否定していること,③原告の上記回答にもかかわらず,Iが更に質問を続けたことから,原告は,団体交渉によることを求めたこと,④Iが,Gの報告に基づき原告の発言は脅迫に類するものである旨の見解を示したところ,原告は,同発言に反 発し,原告の発言が脅迫に当たるか否かは警察を呼べば分かるとして,警察を呼ぶことを求めたこと,⑤Iは,原告の上記発言等を受けて,自ら本件事情聴取を切り上げたこと,以上の事実が認められる。 原告が,Gに対し,当初,精神的ストレスの要因等について相談してい,Gとの会話が原告の健康情報である と述べた点(上記①)は,必ずしも虚偽であるということはできず,また, Iは,事実を確認したいと繰り返し述べていたが,Iが問題とする発言(警察へ訴える等の発言)の有無の点について,原告は明確に否定していた(上記②)。そうすると,原告による回答がIの期待する内容ではなかったとしても,原告は,本件事情聴取に対し,当時の原告の認識に基 (警察へ訴える等の発言)の有無の点について,原告は明確に否定していた(上記②)。そうすると,原告による回答がIの期待する内容ではなかったとしても,原告は,本件事情聴取に対し,当時の原告の認識に基づいて回答をしたということができる。そして,原告が団体交渉や警察の介入 を持ち出したのは,上記のように原告が既に回答しているにもかかわらず,Iが,Gの言い分を根拠に,原告の暴言があったことを前提とするかのように同様の質問を繰り返したことにその原因があるといわざるを得ない。 ウしたがって,原告が,本件事情聴取において,Iによる事情聴取を拒否したとまでは認めることができず,解雇事由④は本件解雇の客観的合理的 理由に当たるとはいえない。 解雇事由⑤についてア解雇事由⑤は,原告が,本件事情聴取後,Iに脅迫されたと大声を発し,大きな声で警察を呼び,J社長にも同旨のメールを送信したというものであるところ,原告がこれらの行為をしたことが認められる(認定事実 ツ)。 この点,Iは,本件事情聴取において,原告に対し,原告が,Gらに対して暴言に当たる発言をしたか否かを確認していたのであり,その過程で,又は回答できない旨述べた点を繰り返し尋ねることはあったものの,原告に対して害悪を告知する等の脅迫行 為があったとは認められず,Iが原告を脅迫したといえないことは明らかである。 そうすると,原告が,Iに脅迫されたと大声を発し,警察に通報し,J社長にも同旨のメールを送信したことは,Iに対する誹謗・中傷又はそれに類する言動であり,Iの社会的評価を低下させるものであるとともに, I及び被告に,事実の調査その他の業務上の負担を生じさせるものである ことに加え,職務時間中に職場内で不必 はそれに類する言動であり,Iの社会的評価を低下させるものであるとともに, I及び被告に,事実の調査その他の業務上の負担を生じさせるものである ことに加え,職務時間中に職場内で不必要に大きな声を出すということ自体,周囲の従業員の業務を少なからず阻害し,職場の風紀秩序を乱すものであると認められる。 イにおいて,Iは,Gから聴取した事実を前提に,原告が否定した暴言の事実を繰り返し 尋ねたこと,②原告は,このようなIの態度に対し,「上司からそのように言われることが,脅迫のように感じています。」と発言したこと(認定について,Iが,「じゃあ呼んで下さい。」と発言したこと(同),以上の事実が認められる。これらの点を踏まえると,原告は,主観的には本件事情聴取においてIから脅迫を受けたと認識し,同認 識を前提に,上記アの発言やメール送信を行い,また,警察についてはIの同意を得たという認識の下に通報したということができる。 また,原告が大声を上げていた時間はさほど長いものではないから,被告の業務への影響は限定的といえる上,上記アのとおり客観的にみるとIが原告を脅迫していないことが明らかであり,原告の主張する根拠が乏し いのであるから,原告の言動によっても,Iの社会的評価が低下される程度は僅かであり,かつ,容易に回復されるものであるということができる。 ウこのように,解雇事由⑤に該当する原告の言動は,非難されるべきものであるが,それが,Iの対応にも起因するものであって,その結果も重大なものとまではいえないこと等も踏まえると,直ちに本件解雇の客観的合 理的理由といえるほどの事由であるとまでは認められない。 したがって,解雇事由⑤は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの非 いえないこと等も踏まえると,直ちに本件解雇の客観的合 理的理由といえるほどの事由であるとまでは認められない。 したがって,解雇事由⑤は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの非違行為に当たるとはいえない。 解雇事由⑥についてア解雇事由⑥は,原告が,平成25年10月2日,自宅待機命令を通知す るため原告の席に呼びに来たK所長に対し,大声を発したというものであ るところ,原告が,同日,K所長に対し,①過去に8.5時間監禁された,②暴行も受けた,③PCを取り上げられて虚偽の説明を受けた等と,周囲の従業員にも内容が完全に聞き取れるほどの大声で発言したことが認められる(認定事実)。 この点,①原告がK所長に監禁されたと主張する平成24年4月24日 の面談において,面談が長時間に及んだ主たる原因は原告にあると認めら。また,②暴行を受けたとする点が,Cによる本件行為のことを指すのであればのとおり原告の発言に根拠がないではなく,③旧PCの使用の可否をめぐって,原告と被告との間で見解の相違が生じていたことも事実である(同 イないしオ,キ。ただし,旧PCは被告が原告に貸与していたものであって,被告が原告から取り上げたものではない。)が,K所長は,単に,原告に対して通知書を交付するため,会議室に来るよう原告を呼びに来ていただけであって,そのような場面で上記のような発言をすることに合理的理由があったと認めることはできない。 このように,原告の上記各発言は,その内容及び場面等に照らして相当性を欠くものであり,K所長らに対する誹謗・中傷やそれに類する言動に当たり,また,周囲の従業員の業務を阻害し,職場の風紀秩序を乱すものであると認められる。 イしかしな 場面等に照らして相当性を欠くものであり,K所長らに対する誹謗・中傷やそれに類する言動に当たり,また,周囲の従業員の業務を阻害し,職場の風紀秩序を乱すものであると認められる。 イしかしながら,原告が,K所長とやりとりをしていたのは約15分間で あって,原告は,その後,会議室へ移動し通知書を受領したこと(認定事原告の言動による影響は一時的なものであって,これにより被告の業務に重大な支障が生じたとまでは認められず,上記言動が,直ちに本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの事由であるとまでは認められない。 したがって,解雇事由⑥は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほど の非違行為に当たるとはいえない。 解雇事由⑦についてア解雇事由⑦は,原告が,Hから,管理面のトレーニングのために週間計画を立てるように繰り返し指示されたにもかかわらず,根拠のない理由を並べ立て,これに従わなかったというものである。 イ Gから原告への業務指示を任されていたHは,平成25年6月以降,原告に対し,再三にわたり,週間計画を立てること,具体的には,金曜日の日報にその週の実績と次週の予定を記載することを指示し,かつ,それが可能であることを説明していたが,原告は,同月28日から同年9月20日にかけて提出した日報に,これらを記載しなかったことが認められる サ)。 したがって,原告が提出した日報は,Hの指示に合致せず,Hが期待する水準に満たないものであったということができる。 ウ他方において,原告は,各日報や打合せ等の機会に,Hに対し,マスタースケジュールを渡されていないため週間のゴール設定ができない,作業 見通しが立たない,品質面での不安がある,情報が枯渇してい 他方において,原告は,各日報や打合せ等の機会に,Hに対し,マスタースケジュールを渡されていないため週間のゴール設定ができない,作業 見通しが立たない,品質面での不安がある,情報が枯渇している等と,原告の業務が行き詰まっている状況を伝えていたことが認められる(認定事 この点,当時の原告の業務は,実際の商品開発ではなく,原告自身の技術習得を目的とするものであったことからすると,品質面は問題にならず, マスタースケジュールがなくても,原告自身がターゲットプランにおいて設定した技術習得目標を踏まえて週間計画を立てることも可能であったと認められ,かつ,Hは,再三にわたり原告に対しその旨説明していたのであるから,原告が訴えた上記事情は,Hの指示に従わないことの正当な理由とは認められない。 しかしながら,①原告自身は,Hの指示に従って業務遂行することは困 難又は不可能であると認識し,その旨を明確に伝えていたこと,②上述のとおり,当時の原告の業務は,原告自身の技術習得を目的とするものであり,Hが週間計画を立てるように指示したのも,管理面のトレーニングのためであったことからすると,原告が次週の予定等を記載した日報を提出しなかったことにより被告の業務に具体的な支障が生じたとは認められな いこと,以上の点を踏まえると,原告が上記指示に従わなかったことによって,原告の業務遂行能力に疑念を抱かせる余地があるとしても,これをもって,直ちに本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの業務命令違反に当たると評価することは相当でない。 エしたがって,解雇事由⑦は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほど の非違行為に当たるとはいえない。 総合評価(解雇事由⑧を含む。)についてア とは相当でない。 エしたがって,解雇事由⑦は,本件解雇の客観的合理的理由といえるほど の非違行為に当たるとはいえない。 総合評価(解雇事由⑧を含む。)についてア以上のとおり,本件解雇事由は,原告の非違行為と認められるものであっても,それぞれ個別にみる限りにおいて,本件解雇の客観的合理的理由ということはできない。 イ原告については,本件解雇事由のほか,本件出勤停止処分事由のうち,平成25年3月25日及び26日に,健康管理室において,O産業医及び保健師に対し,法律違反をしている等と述べたり,カウンターを叩いて大声を出したりしたこと等れらの行為と解雇事由②,⑤及び⑥は,誹謗・中傷やそれに類する言動に より職場の風紀を乱した点や,故意又は過失により他人の業務を阻害した点で,性質が共通する面があるといえる。 しかしながら,そのような類似の行為が複数回行われていることを考慮しても,原告が本件出勤停止処分事由については既に懲戒処分を受けていること,本件解雇事由による被告の業務への影響が限定的であること等を 踏まえると,本件解雇事由は,過去の経緯を踏まえた上それを全体として みたとしても,本件解雇の客観的合理的理由といえるほどの事由があったとまで認めることはできない。 小括したがって,本件解雇について,客観的合理的理由があるとは認められず,本件解雇は,その余の点(争点2,3)について判断するまでもなく,無効 といわざるを得ない。 3 原告の被告に対する未払賃金請求権の内容等 上記2において認定説示したとおり,本件解雇は無効であるから,原告と被告との雇用契約は継続しており,原告は,平成25年12月7日以降も,被告に対する賃金請求 に対する未払賃金請求権の内容等 上記2において認定説示したとおり,本件解雇は無効であるから,原告と被告との雇用契約は継続しており,原告は,平成25年12月7日以降も,被告に対する賃金請求権を失わない(民法536条2項)。 証拠(甲2,22)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,従業員に対し,毎月1日から末日までを賃金計算期間とし,当月25日に基準内賃金を支払っていること,②原告は,本件解雇の直前において,被告から基本給33万円及び育英補助給付金9000円を賃金として支給されていたこと,以上の事実が認められる。 そうすると,原告は,被告に対し,平成25年12月以降,毎月25日限り,33万9000円(平成25年12月分については,同月7日から同月31日までの25日分を日割り計算した27万3387円)の賃金請求権を有することが認められ,各支払日及び遅延損害金の起算日については原告が請求する範囲内で,主文第2項記載の請求を認容すべきである。 4 争点4(本件解雇に係る不法行為の成否及び損害額)について ア上記2で認定説示したとおり,本件解雇は客観的合理的理由を欠き無効であると認められる。 しかしながら,上記2で認定説示したとおり,原告について,非難されてもやむを得ないといえる行為(解雇事由②,⑤,⑥)はもとより,非違 行為とまではいえないまでも穏当ではないといえる行為(解雇事由③)や, その業務遂行能力に疑念を抱かせる行為(解雇事由⑦)があったと認められ,これらによって被告の業務に一定の支障が生じたことは否定できない。 これらの点に加えて,被告は,本件和解後,原告に対して,その配置や個別の業務指示等も含め全体的には相当の配慮をもって対応してきたといえるのに よって被告の業務に一定の支障が生じたことは否定できない。 これらの点に加えて,被告は,本件和解後,原告に対して,その配置や個別の業務指示等も含め全体的には相当の配慮をもって対応してきたといえるのに対し,原告は,本人尋問において自認するように,個々の事象を被 害的に受け止めたり過敏な反応を示したりする傾向があり,それが本件解雇事由のような様々なトラブルの発端となったことは否定できないことも併せ考慮すると,本件解雇がおよそ根拠を欠いているとはいえず,被告が客観的合理的理由を欠いていることを認識しながら本件解雇を行ったと認めることもできない。 イまた,原告は,本件解雇が,原告が本件組合に加入したことを理由としたものであり,不当労働行為に該当する旨主張するが,被告は,当初より,本件解雇事由を懲戒事由として主張し,原告の事情聴取や懲戒委員会の手続を経て本件解雇に至っていることからすると,原告が本件組合に加入したことの故をもって原告を解雇したとは認められず,他にこれを認めるに 足りる証拠はないから,本件解雇が不当労働行為であると認めることはできない。 したがって,本件解雇は,それ自体としては無効であるが,不法行為を基礎付けるほどの違法性があったとまでは認められない。 5 結論 以上によれば,原告の本件請求は,主文第1項及び第2項記載の限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官大森直哉 裁判官松本武人 裁判長 裁判官 大森直哉 裁判官 松本武人 裁判官 池上裕康
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