令和6(行ケ)10107 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年6月16日 知的財産高等裁判所 3部 判決 審決取消
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判決文本文38,906 文字)

令和7年6月16日判決言渡令和6年(行ケ)第10107号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年4月7日判決 原告キリンホールディングス株式会社 同訴訟代理人弁理士飯島紳行同藤森裕司同嘉田祐美子 同佐藤卓也 被告キリンフーズ株式会社 同訴訟代理人弁理士原信海 主文 1 特許庁が無効2023-890059号事件について令和6年11月14日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文第1項同旨第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は、次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1、 143)。 登録番号第6687612号登録出願日令和3年2月22日登録審決日令和5年2月6日設定登録日令和5年4月7日登録商標 商品の区分、指定商品第30類ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品⑵ 原告は、令和5年7月18日付けで、本件商標の登録を無効とすることに ついて、商標登録無効審判を請求した(無効2023-890059号、以下「本件無効審判」という。)。 特許庁は、令和6年11月14日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本 請求した(無効2023-890059号、以下「本件無効審判」という。)。 特許庁は、令和6年11月14日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月22日に原告に送達された。 原告は、令和6年12月16日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 2 本件無効審判における請求の理由(無効理由)の要旨本件商標は、登録第4180368号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第4486902号の2商標(以下「引用商標2」という。)、登録第44 98171号の2商標(以下「引用商標3」という。)、登録第5240430号商標(以下「引用商標4」という。)、登録第6041308号商標(以下「引 用商標5」という。)、登録第6200172号商標(以下「引用商標6」という。)、登録第6200173号商標(以下「引用商標7」という。)、登録第6200174号商標(以下「引用商標8」という。)及び登録第6200176号の1商標(以下「引用商標9といい、引用商標1ないし8と併せ「各引用商標」という。)と類似し、本件商標の前記1⑴の指定商品(以下「本件指定商品」 という。)も各引用商標の指定商品等と同一ないし類似するから、本件商標は、商標法4条1項11号に該当する、各引用商標は、原告に関連するキリングループの商品又は役務の出所識別標識として独創性の程度が高く、本件商標を本件指定商品に使用するときは、その商品があたかもキリングループと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出 所について混同を生じさせるおそれがあるものであるから、商標法4条1項15号に該当する、というものである。 3 各引用商標の内容⑴ 登録第418 の業務に係る商品であるかの如く、商品の出 所について混同を生じさせるおそれがあるものであるから、商標法4条1項15号に該当する、というものである。 3 各引用商標の内容⑴ 登録第4180368号商標(引用商標1。甲2、144)登録商標 登録出願日平成8年6月24日設定登録日平成10年8月21日更新登録日平成30年6月19日商品の区分、指定商品 第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品⑵ 登録第4486902号の2商標(引用商標2。甲3、145)登録商標 登録出願日平成12年8月1日設定登録日平成13年6月29日商品の区分、指定商品第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 ⑶ 登録第4498171号の2号商標(引用商標3。甲4、146)登録商標 登録出願日平成12年8月1日設定登録日平成13年8月10日 商品の区分、指定商品第26類、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品⑷ 登録第5240430号商標(引用商標4。甲5、147)登録商標 登録出願日平成19年6月25日設定登録日平成21年6月19日役務の区分、指定役務第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務 ⑸ 登録第6041308号商標(引用商標5。甲6、148)登録商標 麒麟(標準文字)登録出願日平成27年2月20日設定登録日平成30年5月11日商品の区分、指定商品第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿 記載のとおりの商品⑹ 登録第6200172号商標(引用商標6。 設定登録日平成30年5月11日商品の区分、指定商品第29類、第30類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿 記載のとおりの商品⑹ 登録第6200172号商標(引用商標6。甲7、149)登録商標キリン(標準文字)登録出願日平成27年12月10日 設定登録日令和元年11月22日商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第5類、第7類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第28類ないし第30類、第32類、第33類、第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの 商品及び役務⑺ 登録第6200173号商標(引用商標7。甲8、150)登録商標麒麟(標準文字)登録出願日平成27年12月10日 設定登録日令和元年11月22日商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第5類、第7類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21 類、第24類、第25類、第28類ないし第30類、第32類、第33類、第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務⑻ 登録第6200174号商標(引用商標8。甲9、151)登録商標 きりん(標準文字)登録出願日平成28年11月22日設定登録日令和元年11月22日商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務第5類、第7類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21 類、第24類、第25類、第28類ないし第30類、第32類、第33類、第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務⑼ 登録第6200176号の1商標(引用商標9。甲10、152)登録商標 登録出 、第32類、第33類、第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務⑼ 登録第6200176号の1商標(引用商標9。甲10、152)登録商標 登録出願日平成29年7月7日設定登録日令和元年11月22日商品及び役務の区分、指定商品及び指定役務 第5類、第7類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第28類ないし第33類、第35類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 4 本件審決の理由の要旨 本件審決は別紙のとおりであり、その理由の要旨は、本件商標は、各引用商標と類似する商標ではないから、その指定商品等について比較するまでもなく、商標法4条1項11号に該当しない、本件商標は、その登録出願時及び登録審決時において、商標権者がこれを本件指定商品に使用しても、これに接する需要者に各引用商標を想起、連想させることはなく、当該商品が原告あるいは同 人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないから、商標法4条1項15号に該当しないというものである。 5 原告主張の取消事由⑴ 商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り ⑵ 商標法4条1項15号該当性の判断の誤り第3 取消事由に関する当事者の主張 1 取消事由1(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)〔原告の主張〕⑴ 本件審決が、本件商標と各引用商標の類否を判断するに当たって本件商標 の構成中の図形部分と文字部分とを分離観察しなかった点は、以下のとおり誤りである。 ア本件商標は、上段に「長い2本のひげを生やした長い顔と、四足動物のような体を有する動物 たって本件商標 の構成中の図形部分と文字部分とを分離観察しなかった点は、以下のとおり誤りである。 ア本件商標は、上段に「長い2本のひげを生やした長い顔と、四足動物のような体を有する動物の一部分を、雲の上を駆けるような構図」で描いた図形が配され、下段に「キリンフーズ」の文字が配されるところ、本件商 標の全体を観察すると、図形部分と文字部分は形態が異なるとともに、相互に重なり合うこともなく上下に明確に分かれている上、文字部分の横幅は、図形部分の横幅とほぼ同じであり、文字部分が図形部分に埋没した印象を与えることもなく、「キリンフーズ」の部分が文字として明瞭に認識できるものである。 そうすると、本件商標の図形部分と文字部分は、それぞれが独立した構 成部分として、視覚上十分に分離して認識され得るものであるから、その構成どおり、それぞれが独立して商品出所識別標識として看取されるものである。 これに対し、本件審決は、本件商標の図形部分と文字部分とが「相接する」と判断したが、図形部分と文字部分とが相互に重なり合うこともなく 上下に明確に分かれている態様であり、「相接する」とは、一般的に「互いに触れる。接し合う。」、「互いにつながる。ひとつづきになる。また、近づいて触れ合う。」などの意味を有する語である以上(甲117)、本件商標の図形部分と文字部分とが相接するものといえず、看者も図形部分と文字部分とを上下に分離して理解するのが自然であるから、当該判断は、誘導 的で、牽強付会といわざるを得ない。 なお、本件審決が、図形部分につき、上段の輪郭内に「特徴のある図形」を「顕著」に表したと表現し、文字部分につき「小さい文字」で配したと表現し、「本件商標において存在感を有する」と表現するが、いずれも、本件商標と各 、図形部分につき、上段の輪郭内に「特徴のある図形」を「顕著」に表したと表現し、文字部分につき「小さい文字」で配したと表現し、「本件商標において存在感を有する」と表現するが、いずれも、本件商標と各引用商標との類否の判断にあたり図形部分と文字部分との分 離観察をしないことを導くための主観的、恣意的な表現であり、極端な解釈であって、誤りである。 イ図形部分と文字部分は、視覚的に独立した印象を与えるところ、図形部分の高さは、文字部分の7倍程度であるとしても、文字のもつ本来的な訴求力の強さに加え、今日においても文字のもつ情報伝達力が重要であるこ とを併せ考えると、文字部分が図形部分に比べて目立たないということはないから、図形部分と文字部分は、それぞれが独立して商品出所識別標識としての機能を果たし得るものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁。以下「最高裁昭和38年判決」という。)。 また、本件商標の図形部分は、「麒麟」(想像上の動物)を表したものと 明確に認識できるものであるのに対し、本件商標の「キリンフーズ」の文字部分は、特段の意味を有しない造語であるから、「麒麟」(想像上の動物)を表した図形部分は、「キリンフーズ」の文字を表したものではなく、図形部分と文字部分との間に関連性は認められない。 加えて、商品の包装等においては、商品名とは別に、その出所たる企業 名や図形などが同時に付されることが一般的であり(甲123~135)、これに接する取引者、需要者は、商品名、企業名、図形などを全体で一つの商標として把握するのではなく、一つの商品に複数の商標が使用されていると認識するのが自然であり、本件商標が本件指定商品に使用される場合においても、図形 要者は、商品名、企業名、図形などを全体で一つの商標として把握するのではなく、一つの商品に複数の商標が使用されていると認識するのが自然であり、本件商標が本件指定商品に使用される場合においても、図形部分と文字部分とは、それぞれが独立して商品出所識 別標識としての機能を果たし得るものといえる。 そうすると、本件商標の図形部分と文字部分は、それぞれが視覚上分離、独立した印象を与える上、両者を不可分一体に観察すべきとする取引の実情もないから、本件商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合して いるものとは認められない。 これに対し、本件審決は、本件商標の図形部分と文字部分につき、「麒麟」(想像上の動物)の漠然とした印象を連想させるということで関連性があると判断するが、本件商標の「キリンフーズ」の文字部分が特段の意味を有しない造語であるから、図形部分が「麒麟」(想像上の動物)を表したも のであるとしても、「キリンフーズ」を表したものではないことから、関連性を認めることはできない。 そして、本件審決は、本件商標において特徴のある図形部分が顕著に表されていることから、図形部分が、取引者、需要者に強い印象を与えるものであることを理由に、本件商標につき、その特徴のある図形マークの「キ リンフーズ」として記憶にとどめるものということができると判断するが、 本件商標においては、「キリンフーズ」の文字部分についても独立して商品出所識別標識としての機能を果たし得るものである以上、図形部分が、取引者、需要者に強い印象を与えることは、本件商標を全体として不可分一体の商標として判断しなければならない理由にはならないし、本件商標を「その特徴のある図形マークの『キ ものである以上、図形部分が、取引者、需要者に強い印象を与えることは、本件商標を全体として不可分一体の商標として判断しなければならない理由にはならないし、本件商標を「その特徴のある図形マークの『キリンフーズ』として記憶にとどめる」 こともない。なお、「その特徴のある図形マークの『キリンフーズ』」とは、如何なるものであるのかが全く理解できないものであり、牽強付会に等しいものである。 ウ以上の次第で、本件商標については、図形部分と文字部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合し ているものとは認められず、図形部分と文字部分が一体として看取されるといった必然性は見出せない。 したがって、本件商標については、文字部分を抽出し、当該文字部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。 ⑵ 本件審決が、本件商標の文字部分の一部である「キリン」の部分を抽出し、この部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断しなかった点は誤りである。 本件商標については、図形部分と文字部分がそれを分離して観察されるところ、文字部分につき、「フーズ」の文字部分が本件指定商品との関係で「食 品」の意味を有する英語である「foods」の読みを片仮名で表したものであること(甲16)、「キリン」の文字部分が、「(a)中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物。(b)最も傑出した人物のたとえ。(c)ウシ目キリン科の哺乳類。」との意味を有していること(甲16)、「キリンフーズ」が特段の意味を有しない造語であること、からすると、文字部分は、「キ リン」と「フーズ」とを結合した結合商標と理解することができるものであ る。 そして、「フーズ」が、「食品」の意味を有す 意味を有しない造語であること、からすると、文字部分は、「キ リン」と「フーズ」とを結合した結合商標と理解することができるものであ る。 そして、「フーズ」が、「食品」の意味を有する英語である「foods」の読みを片仮名で表したものであることは、英語が一般に普及しているわが国において小学生、中学生も含め幅広く親しまれ知られていること(甲16)であり、「フーズ」は、取引社会に親しまれ広く浸透した外来語であって、本 件商標においては、本件指定商品との関係で食品であることを表わすものと解される。そうすると、本件指定商品との関係では、文字部分の構成中、「フーズ」の部分は、本件指定商品の特徴そのものを意味するものと捉えられ、その識別力は極めて低いものである。 加えて、食品に属する商品を指定商品とし、「フーズ」又は「FOODS」 と他の文字とを結合した構成よりなる商標については、特許庁において、「フーズ」ないし「FOODS」の文字は「食品」等を意味する語として一般に使用し認識されているものであり、指定商品との関係では商品の品質を表示するものと繰り返し判断されている(甲35ないし42)。 他方で、「キリン」の文字は、本件商標が登録出願される以前から、キリン グループの業務に係る商品である「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されている表示として使用されてきた。 後記2〔原告の主張〕⑵イで詳述するとおり、原告はキリングループの親会社であり、キリングループは、多数の会社から成る多角経営企業で、その収益は巨額に及び、食品の販売も行っており、本件指定商品と各引用商標に係 る商品はともに飲食料品の一種で関連性があり、需要者はいずれも一般消費者で、共通しており、また、各引用商標に係る商品 の収益は巨額に及び、食品の販売も行っており、本件指定商品と各引用商標に係 る商品はともに飲食料品の一種で関連性があり、需要者はいずれも一般消費者で、共通しており、また、各引用商標に係る商品「ビール」等の飲料と本件指定商品は相性が良いものと一般に理解され、原告は飲料と食品とに関連性をもたせたキャンペーン活動を行うなどしており、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関連性は高い。さらに、原告は「キリン」の文字を本件 指定商品の分野について防護標章として登録している(甲50、51)。これ らのことを考慮すると、「キリン」の部分は、同じ飲食料品に属する本件指定商品について、強く支配的な印象を与える部分であり、顕著な識別力を有している部分といえる。そして、上記のような意味を有する「キリン」は、本件指定商品との関係で、「フーズ」よりも識別力が圧倒的に高く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるというべきである。 そうすると、本件商標の文字部分のうち、「キリン」の部分と「フーズ」の部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められず、本件商標からは、「キリン」の部分を、需要者の注意をひき、需要者に強く支配的な印象を与える要部として観察することができるものである。 これに対し、本件審決は、「キリンフーズ」の文字部分が同じ書体、同じ大きさ、同じ色彩で一体的にまとまりよく表され、称呼も無理なく一連に称呼し得るものであることを理由に、かかる構成において「フーズ」の文字が特定の商品又は商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいえないとし、本件商標の文字部分につき、一体で把握される造語で ある旨判断したが、文字部分は同じ書体、同じ大きさ 特定の商品又は商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいえないとし、本件商標の文字部分につき、一体で把握される造語で ある旨判断したが、文字部分は同じ書体、同じ大きさ、同じ色彩で表されたものであるが、「キリン」と「フーズ」を組み合わせたものと理解されるのであって、分離して観察することができるものであるから、理由がない。また、「キリンフーズ」の称呼についても、中間音の「ン」で一拍おいて発音されることから、「キリン」、「フーズ」に区切って称呼される場合も決して少なく ないものである上、本件指定商品が食品に属する商品であり、「フーズ」の部分の識別力がない又は低いことからすると、「キリン」は、本件指定商品との関係で、「フーズ」よりも識別力が高く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるものであるから、本件審決の判断に理由はない。 以上の次第で、本件商標の文字部分は、「キリン」と「フーズ」の結合商標 と認められるところ、「キリン」も「フーズ」も本件審決も認める意味におい て一般に広く知られていること、本件指定商品が「食品」に属する商品であり、「フーズ」の部分の識別力がない又は低いことからすると、文字部分は、「キリン」と「フーズ」を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであり、文字部分においては「キリン」の部分が「フーズ」の部分よりも識別力が高く、取引者、需要者 に対して強く支配的な印象を与える。 したがって、本件商標については、「キリン」の部分を抽出し、当該文字部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 ⑶ 本件商標と各引用商標の類否について ア本件商標と各引用商標の類否を判断する 分を抽出し、当該文字部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 ⑶ 本件商標と各引用商標の類否について ア本件商標と各引用商標の類否を判断するに当たって、本件商標については、「キリン」の部分を抽出し、当該文字部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであるところ、本件商標における文字部分からは、要部である「キリン」の部分を抽出した場合、同部分からは「キリン」との称呼が生じるとともに、「キリン」(哺乳類) 又は「麒麟」(想像上の動物)との観念が生じる。 各引用商標は、いずれからも本件商標と同じ「キリン」との称呼が生じる上、引用商標1、3、4、6、8及び9からは「キリン」(哺乳類)又は「麒麟」(想像上の動物)との観念が生じ、引用商標2、5及び7からは「麒麟」(想像上の動物)との観念が生じるから、本件商標と各引用商標を観念 で区別することはできない。 そして、引用商標3及び6と本件商標とは、「キリン」の文字部分の書体に違いはあるものの、本件商標の「キリン」の文字部分とは、「キリン」の文字は同じであるから、外観上類似するものといえる。 以上に加え、本件指定商品である第30類「ぎょうざ、しゅうまい、中 華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品」の需要者に 一般消費者が含まれることも併せて考慮すると、本件商標と各引用商標は、出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似する商標というべきである。 イこれに対し、本件審決は、本件商標と各引用商標の称呼及び観念の類否につき、語尾の「フーズ」の3音の有無において明瞭に聴別し得ることを 理由に称呼において相紛れるおそれはないとし、本件商標が特定の観念を生じないことを 、本件商標と各引用商標の称呼及び観念の類否につき、語尾の「フーズ」の3音の有無において明瞭に聴別し得ることを 理由に称呼において相紛れるおそれはないとし、本件商標が特定の観念を生じないことを理由に観念において相紛れるおそれはないと判断したが、本件商標から要部である「キリン」の部分を抽出することができる以上、「キリン」の部分からは「キリン」の称呼が生じ、「キリン」(哺乳類)又は「麒麟」(想像上の動物)との観念が生じ、各引用商標からも同じ称呼、 観念が生じるから、両者は称呼、観念において相紛れるおそれがある。 また、本件審決は、本件商標と引用商標3及び6の外観の類否につき、語尾の「フーズ」の文字の有無、図形部分の有無という顕著な差異を有するとし、本件商標と引用商標1、2、4、5及び7ないし9の外観の類否につき、文字種の相違、図形部分の有無という顕著な差異を有するとして、 外観において相紛れるおそれはないと判断したが、本件商標における図形部分と文字部分とは分離観察されるため、図形部分の有無による外観上の差異は、取引者、需要者に対し、強い印象を与えるものではなく、本件商標の文字部分については、「キリン」の部分を要部として抽出できるものであるから、「フーズ」の有無による外観上の差異は、本件指定商品との関係 において、取引者、需要者に対し、強い印象を与えるものではない。さらに、本件商標は、引用商標1、2、4、5及び7ないし9と、その外観において、文字の種類が片仮名と欧文字あるいは片仮名と平仮名とで異なるが、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したりすることがあることに鑑みれば、こ れらの外観上の差異が、取引者、需要者に対し、強い印象を与えるもので は 商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したりすることがあることに鑑みれば、こ れらの外観上の差異が、取引者、需要者に対し、強い印象を与えるもので はない。加えて、外観の相違は称呼、観念の共通性による印象を凌駕するほどの顕著なものではない。 ⑷ 商品の類否について本件指定商品は、「ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品」である。 そして、引用商標1ないし3及び5の指定商品には、本件指定商品又はこれに類似する第30類の商品が含まれる。 引用商標4の指定役務には、本件指定商品と類似する第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品(『イーストパウダー・こうじ・酵母・ベーキングパウダー』及びこれ らに類似する商品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、穀物の加工品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれる。 引用商標6の指定商品及び指定役務には、本件指定商品又はこれに類似する第30類の商品及び第35類「飲食料品(『工業用粉類・食用粉類』を除く。) の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれる。 引用商標7の指定商品及び指定役務には、本件指定商品又はこれに類似する第30類の商品及び第35類「飲食料品(『工業用粉類・食用粉類』を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれ る。 引用商標8の指定商品及び指定役務には、本件指定商品又はこれに類似する第30類の商品及び第35類「飲食料品(『工業用粉類・食用粉類』を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する る。 引用商標8の指定商品及び指定役務には、本件指定商品又はこれに類似する第30類の商品及び第35類「飲食料品(『工業用粉類・食用粉類』を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれる。 引用商標9の指定商品及び指定役務には、本件指定商品又はこれに類似す る第30類の商品及び第35類「飲食料品(『工業用粉類・食用粉類』を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれる。 ⑸ 小括以上のとおり、本件商標は、各引用商標に類似する商標であって、各引用商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品である本件指定商品について使用をするものであるから、商標法4条1項11号に該当する。 〔被告の主張〕⑴ 本件商標の図形部分と文字部分との分離観察の可否に対する反論ア本件商標は、本件審決の認定(14頁32行目ないし15頁22行目)に加え、上段の図形部分にあっては、円輪郭内の動物の後側部分は描かれていないので、尾を有するのか否かを判別することができず、また、頭部 は、円輪郭内の動物から生起される既存動物である馬・牛・鹿等の動物の頭部と胴体との比率より大きい、所謂デフォルメされた表現で表されており、頭部と胴体とがアンバランスで、全体としてやや滑稽な印象を与える構成になっているのに加え、頭部の向かって右側である後頭部には、七つの束に分け、その先端をカールさせた長い鬣(たてがみ)が、円輪郭の略 中央位置から円輪郭の右側の部分にわたって横向きになびくようにデフォルメされた態様で表されて って右側である後頭部には、七つの束に分け、その先端をカールさせた長い鬣(たてがみ)が、円輪郭の略 中央位置から円輪郭の右側の部分にわたって横向きになびくようにデフォルメされた態様で表されており、頭部の向かって左側にある「おでこ」の部分は、肉塊等の無い平坦な形状になしてあり、頭頂部から2本の角がやや後方へ向かって真っすぐに伸びているという多くの顕著な特徴を備えている。 このように本件商標の上段の図形部分は、本件商標の全体構成において、 5分の4ほどを占める大きさで表されている上に、円輪郭内の動物は前述した多くの特徴を有するのに加え、頭部及び鬣がデフォルメされていることから、当該図形部分は本件商標の中でも強く印象的であり、本件商標が付された商品に接した取引者、需要者の記憶に深く残るものである。 イ本件商標は前記アのとおりであるところ、原告が主張する上段の図形部 分の構成には、前述した本件商標の図形部分が有する多くの特徴の内、ごく一部しか示されていない上、図形部分と文字部分の大きさが大きく異なる点、全体として同色をもって表されている点、円輪郭内の動物図形はそれ自体としては特定の動物を表したものとはいえないものの、下段の文字部分の「キリン」の意味の一つである「中国で聖人の出る前に現れるとい う想像上の動物」(広辞苑第7版。以下、被告の主張において「『麒麟』(想像上の動物)」という場合がある。)からの連想も相まって、「麒麟」(想像上の動物)をモチーフにしたものという漠然とした印象を与え得る一方、下段の文字部分の「キリン」の文字からも、上段の図形部分より生ずる前記印象から「麒麟」(想像上の動物)を連想させる点は、原告の主張中には 示されておらず、これらを考慮に入れない原告の主張は失当である。 また 「キリン」の文字からも、上段の図形部分より生ずる前記印象から「麒麟」(想像上の動物)を連想させる点は、原告の主張中には 示されておらず、これらを考慮に入れない原告の主張は失当である。 また、「相接する」の文言は、「互いに触れる。接し合う。」以外にも、「互いにつながる。ひとつづきになる。」との意味合いを有することから、「互いに触れる。接し合う。」ことがなくとも、「互いにつながる。ひとつづきになる。」ことは可能である。 本件商標は、全体構成において5分の4ほどを占める大きさで表された図形部分の直ぐ下側、即ち上段の図形部分の直近に、当該図形部分の横幅と略同じにした横幅の文字部分が配してあり、全体として同色をもって表されていることから、上段の図形部分と下段の文字部分とは、互いにつながる、又はひとつづきになっているといえ、更には、上段の図形部分の余 白とみなし得る領域と、下段の文字部分の余白とみなし得る領域とは互い に触れ、接し合っている。すなわち、上段の図形部分と下段の文字部分とは「相接している」といえる。 ウ本件商標は、上段の図形部分が取引者、需要者に強い印象を与える一方、図形部分の下段に相接するように、円輪郭の左右の幅に合わせて文字部分を配し、全体として同色をもって表されていることから、外観上、その全 体として不可分一体の商標であるものと判断できる上に、図形部分と文字部分との間に、「麒麟」(想像上の動物)を漠然と連想させる印象が存在するので、観念上も、その全体として不可分一体の商標であるものと判断できることから、下段の文字部分は、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合に該 当せず、また、上段の図形部分から出所識別標識としての称呼、観念 とから、下段の文字部分は、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合に該 当せず、また、上段の図形部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合にも該当しないことから、本件商標から下段の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されない。 エ甲16にあるように、想像上の動物である「麒麟」の特徴は、「形は鹿に 似て大きく、尾は牛に、蹄は馬に似、背毛は五彩で毛は金色。頭上に肉に包まれた角がある。~一角獣。」とされており、同様の記載が、甲17の2/5頁、及び甲18の2頁目にも示されている。また、これらの特徴を備える「麒麟」の像の写真又は挿絵が甲17から20に示されているが、「麒麟」は聖獣とされていることから、いずれの写真又は挿絵にあっても、威 厳を備える荘厳な印象を醸し出すデザインになっている。 これに対して、本件商標の図形部分は、尾は無く、背毛及び毛は五色でも金色でもなく、頭上に肉に包まれていない2本の角があることから、上述した「麒麟」(想像上の動物)の特徴の殆どを有さない構成となっていることに加えて、頭部及び鬣がデフォルメされて描かれている上に、全体と してやや滑稽な印象を与える構成になっていることから、上段の図形部分 の動物図形は「麒麟」(想像上の動物)ということができないばかりか、特定の動物を表したものということもできない。 その一方で、本件商標にあってはかかる図形部分の下段に、「キリンフーズ」の文字部分が配してあることから、上段の図形部分の動物図形はそれ自体としては特定の動物を表したものとはいえないものの、下段の文字部 分中の「キリン」の意味の一つである「麒麟」(想像上 ンフーズ」の文字部分が配してあることから、上段の図形部分の動物図形はそれ自体としては特定の動物を表したものとはいえないものの、下段の文字部 分中の「キリン」の意味の一つである「麒麟」(想像上の動物)からの連想も相まって、「麒麟」(想像上の動物)をモチーフにしたものという漠然とした印象を与え得る。また、下段の文字部分「キリンフーズ」中の「キリン」の文字は、上記意味の他に「キリン」(哺乳類)の意味を有するところ、本件商標の図形部分は、前記のとおり、「麒麟」(想像上の動物)をモチー フにしたものとの漠然とした印象を与えるものであるから、「キリン」の文字からも「麒麟」(想像上の動物)を連想させるといえ、図形部分と文字部分との間には、互いに共通の印象を有するという関連性が認められる。したがって、本件商標の図形部分と文字部分とは、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているもの と認められる。 ⑵ 「キリン」の部分の分離抽出の可否に対する反論ア本件商標の図形部分と文字部分とは不可分一体であり、両者を分離することはできないことから、原告の上記主張はその前提において失当である。 イ仮に、本件商標の図形部分と文字部分とが分離抽出できるとした場合に ついて検討すると、本件商標の構成中の図形部分は、本件商標の全体構成において5分の4ほどを占める大きさで表されており、その大きさから本件商標において存在感を有するものといえることに加え、図形部分の動物は、頭部及び鬣をデフォルメした態様で表され、頭部と胴体とがアンバランスで、全体としてやや滑稽な印象を与える構成である等、顕著な特徴を 有するため、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるのは、文 字部分ではなく、図形部 部と胴体とがアンバランスで、全体としてやや滑稽な印象を与える構成である等、顕著な特徴を 有するため、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるのは、文 字部分ではなく、図形部分である。したがって、本件商標の要部は図形部分であり、文字部分を要部として抽出することはできない。 原告が主張するように、本件商標から「キリン」の部分を要部として観察することができるためには、まず、図形部分と文字部分とから構成される本件商標から、図形部分ではなくて、文字部分が抽出できることが前提 となることは明らかであるが、この点について原告は何らの主張立証も行っていないことからすると、本件商標から「キリン」の部分を要部として分離抽出できるとする原告の主張は、その前提において根拠がない。 原告はキリングループの親会社であり、キリングループは、多数の会社から成る多角経営企業で、その収益は巨額に及び、食品の販売も行ってい ること、本件指定商品と各引用商標に係る商品はともに飲食料品の一種で関連性があり、需要者はいずれも一般消費者で、共通していること、また、各引用商標に係る商品「ビール」等の飲料と本件指定商品は相性が良いものと一般に理解され、原告は飲料と食品とに関連性をもたせたキャンペーン活動を行うなどしており、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関 連性は高いこと、原告は「キリン」の文字を本件指定商品の分野について防護標章として登録していることから、「キリン」の部分は、各引用商標の指定商品等と同じ飲食料品に属する本件指定商品について顕著な識別力を有していると主張する。しかし、後記2〔被告の主張〕⑵において詳述するとおり、原告のグループ企業による食品(甲153)の販売数量は少 なく、本件指定商品と組み合わされる飲料は「ビー な識別力を有していると主張する。しかし、後記2〔被告の主張〕⑵において詳述するとおり、原告のグループ企業による食品(甲153)の販売数量は少 なく、本件指定商品と組み合わされる飲料は「ビール」等に限られず、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関連性は希薄であって、原告の主張するキャンペーンにおいて飲食物の提供を行っているのはスーパーマーケットを運営する会社であることなどからすると、「キリン」の部分が強く支配的な印象を与えることも、顕著な識別力を有することもない。 ウなお、原告は、「キリン」は本件指定商品との関係で、「フーズ」より識 別力が圧倒的に高く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えると主張する。 近年、「○○フーズ」の文言は、わが国においては食品会社を意味するものとして多数使用されている実情(甲84~92(審判乙2~10))が存在する。ここで、わが国において、その社名の中に「フーズ」を有する食 品会社が多く存在することは、原告にあっても、甲63ないし67に基づき認めている。さらに、世界的にも著名な検索エンジンであるGoogleにて「フーズ会社」で検索すると(乙2)、略31、200、000件ヒットし、また、同検索エンジンにて「フーズ食品会社」で検索すると(乙3)、略23、400、000件ヒットする。そのため、「○○フーズ」 なる商標に接した取引者・需要者にあっては、「〇〇フーズ」と称する食品会社であると認識し、当該商標を「○○」の文字部分と、「フーズ」の文字部分とに分離して把握することはなく、一体的に「○○フーズ」とのみ把握する。 これは、仮に両者を分離して例えば「〇〇」の部分を抽出した場合、「○ ○フーズ」たる食品会社とは全く異なる別の会社と誤認してしまうことにな とはなく、一体的に「○○フーズ」とのみ把握する。 これは、仮に両者を分離して例えば「〇〇」の部分を抽出した場合、「○ ○フーズ」たる食品会社とは全く異なる別の会社と誤認してしまうことになるため、一体的に「○○フーズ」と認識することが取引上自然だからである。すなわち、「○○フーズ」なる食品会社に係る事項が略2千万件を超えてヒットする環境下において、「〇〇」と「フーズ」に分離して観察することは取引上不自然であることから、「○○フーズ」なる商標に接した取引 者・需要者が「○○フーズ」から「〇〇」の部分のみを抽出して認識することはないといえる。 なお、「○○フーズ」なる商標は、当該商標を付した商品に接した取引者・需要者において一体のものとして把握されることから、「○○フーズ」なる商標と、「○○」なる商標とは互いに非類似であると認定されて、相異なる 出願人にそれぞれ商標登録されている(甲97~107(審判乙15~2 5))。 以上より、本件商標の文字部分である「キリンフーズ」の語も、一体のものとして自他商品識別の機能を果し得るといえる。 ⑶ 本件商標と各引用商標の類否に対する反論ア本件商標の図形部分と文字部分とは不可分一体であり、両者を分離する ことはできないことから、原告の主張は前提において失当である。 仮に、本件商標の図形部分と文字部分とは分離可能とした場合であっても、本件商標の図形部分の顕著な特徴、及び図形部分と文字部分との構成から、本件商標の要部は図形部分であって、文字部分ではない。さらに、本件商標の文字部分「キリンフーズ」は不可分一体であり、両者を分離す ることはできないことから、いずれにしても「キリン」は本件商標の要部になり得ない。 よって、「キリン」が本件商標の要部であること 標の文字部分「キリンフーズ」は不可分一体であり、両者を分離す ることはできないことから、いずれにしても「キリン」は本件商標の要部になり得ない。 よって、「キリン」が本件商標の要部であることを前提に、本件商標と各引用商標とは類似するとの原告の主張は失当である。 イなお、仮に、本件商標の要部が図形部分であるとした場合の各引用商標 との類否を検討すると、前述したように図形部分の円輪郭内の動物図形はそれ自体としては特定の動物を表したものとはいえないため、特定の観念を有さず、したがって称呼も生じない一方、各引用商標は「キリン」(哺乳類)又は「麒麟」(想像上の動物)の観念を生じ、またいずれの各引用商標とも「キリン」の称呼を有することから、観念及び称呼において本件商標 と各引用商標とを比べることはできない。 その一方、本件商標の図形部分といずれも文字商標である各引用商標とは、外観において著しく異なることから、両者は外観において相紛れるおそれはないといえる。 このように、本件商標の図形部分と各引用商標とは、観念及び称呼にお いて対比することはできないものの、外観において明瞭に区別することが できるため、本件商標と各引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標である。 2 取消事由2(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 各引用商標の周知著名性について ア商標法4条1項15号の適用においては、商標法4条1項10号と異なり、「指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」について「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」であることまでは要件とされていない。 加えて、商標法4条1項15号の規定は、周知表示又 くは役務」について「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」であることまでは要件とされていない。 加えて、商標法4条1項15号の規定は、周知表示又は著名表示へのた だ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の稀釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであることから(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日判決参照)、商標法4条1項15号における「混同を生 ずるおそれ」の有無の判断において考慮される「他人の表示の周知著名性の程度」は、「他人の業務に係る商品等」(すなわち各引用商標に係る主な商品)における表示の周知著名性の程度であり、商標法4条1項15号の適用において、「当該商標の指定商品等」(すなわち本件指定商品)における表示の周知著名性を検討する必要はないものである。 これに対し、本件審決は、本件指定商品の分野における各引用商標の周知著名性を認めることができないことを理由に、商標法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の有無の判断において考慮される「他人の表示の周知著名性」を否定する判断をしているが、各引用商標は、本件商標が登録出願される以前から、キリングループの業務に係る商品である 「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広 く認識されていたものであって、その周知性は本件商標の登録審決時においても継続していたと認めることができる以上、各引用商標は、「他人の業務に係る商品等」(各引用商標に係る主な商品)について「他人の表示の周知著名性」を有する表示である。 なお、キリングループ においても継続していたと認めることができる以上、各引用商標は、「他人の業務に係る商品等」(各引用商標に係る主な商品)について「他人の表示の周知著名性」を有する表示である。 なお、キリングループは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘル スサイエンス事業も行っており(甲61、62)、食品も販売しているところ(甲153、154)、本件審決は、あたかもキリングループが「ビール」等の飲料以外の食品の事業を行っていないかの如く事実を歪曲して判断をしており、かかる判断は曲解というほかない。 イところで、防護標章登録制度に係る商標法64条1項は、「商標権者は、 商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのお それがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」旨規定する。 同項の規定は、原登録商標が需要者の間に広く認識されるに至った場合には、第三者によって、原登録商標が、その本来の商標権の効力(商標法36条、37条)の及ばない非類似商品又は役務に使用されたときであっ ても、出所の混同をきたすおそれが生じ、出所識別力や信用が害されることから、そのような広義の混同を防止するために、「需要者の間に広く認識されている」商標について、その効力を非類似の商品又は役務について拡張する趣旨で設けられた規定である。そして、防護標章登録においては、①通常の商標登録とは異なり、商標法3条、4条等が拒絶理由とさ 識されている」商標について、その効力を非類似の商品又は役務について拡張する趣旨で設けられた規定である。そして、防護標章登録においては、①通常の商標登録とは異なり、商標法3条、4条等が拒絶理由とされてい ないこと、②不使用を理由として取り消されることがないこと、③その効 力は、通常の商標権の効力よりも拡張されているため、第三者の商標の選択、使用を制約するおそれがあること等の諸事情を総合考慮するならば、商標法64条1項所定の「登録商標が・・・需要者の間に広く認識されていること」との要件は、当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく、商品や役務が類似していない場合であっても、なお商品役務の 出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有していることを指すものと解すべきである(甲155~158)。 また、防護標章登録を受けるためには、防護標章登録出願に係る原登録商標が「自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広 く認識されている」ことなど商標法64条の要件を満たさなければならないものである上(判断基準につき特許庁審査基準(甲159))、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録を受けるためにも、防護標章更新登録出願に係る登録防護標章が商標法64条の要件を満たさなければならないから(判断基準につき特許庁審査基準(甲160))、防護標章登録 が維持されている事実は、「自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている」状況が継続していることを示す。 そうすると、各引用商標につき、第30類「中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい」等を商品に含む防護標章登録に係る権利が現在 状況が継続していることを示す。 そうすると、各引用商標につき、第30類「中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい」等を商品に含む防護標章登録に係る権利が現在も有効に存続していることは(甲47 ~54、161~166)、各引用商標は、第30類「中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい」等の分野においても、なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有していることを示すものである(甲155~158)。 したがって、各引用商標は、本件商標が登録出願される以前から、キリ ングループの業務に係る商品である「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されているものであり、本件指定商品の分野においても、なお商品の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有しており、その著名性は本件商標の登録審決時においても継続していたと認め ることができるものである。 これに対し、本件審決は、各引用商標が各引用商標に係る主な商品について周知著名な表示であること、原告が本件指定商品と同じ指定商品について各引用商標と同じ態様の防護標章登録を保有していることを認めた上で、商標法4条1項15号における「混同を生ずるおそれ」の有無の判 断において考慮される「他人の表示の周知著名性」(各引用商標の周知著名性)を否定する判断をしているが、本件指定商品の分野における各引用商標の周知著名性を認めることができないことは、各引用商標の周知著名性を否定する理由にはならない。 以上に加え、各引用商標は、キリングループが永年にわたり自己の が、本件指定商品の分野における各引用商標の周知著名性を認めることができないことは、各引用商標の周知著名性を否定する理由にはならない。 以上に加え、各引用商標は、キリングループが永年にわたり自己の業務 に係る商品又は役務に使用し、全国の広告用看板や雑誌・新聞・テレビなどのメディアを利用して盛大な広告宣伝等を継続した結果、キリングループに属する各社の商品等を表示する代表的出所標識として需要者の間で広く認識されているものであり、その使用期間及び使用規模からすると、本件商標の登録出願時において、各引用商標の周知・著名性の程度は極め て高いといえる。 そして、特許庁の商標審査基準によると、「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱うものとする。」とされる ところ(甲167)、各引用商標の高い周知・著名性(識別力の顕著さ)を 考慮すると、本件商標が上段に図形を配し、下段に「キリンフーズ」と一体に表されている構成であるとしても、本件商標は、各引用商標との関係で商品の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推定して取り扱われるべきものであり、この推定を覆す事情もない。 ⑵ 「混同を生ずるおそれ」の有無 ア各引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録審決時において各引用商標に係る主な商品について周知著名な表示であり、本件指定商品の分野においても、なお商品の出所の混同を来す程の強い識別力を備えており、周知著名性の程度が高い表示である。 また、本件商標は、「キリン」の部分が本件指定商品との関係で「フーズ」 よりも識別力が高く、取引者、需要者に対して強く を来す程の強い識別力を備えており、周知著名性の程度が高い表示である。 また、本件商標は、「キリン」の部分が本件指定商品との関係で「フーズ」 よりも識別力が高く、取引者、需要者に対して強く支配的な印象を与えるものである。 本件指定商品の購入者等には、特別な専門的知識経験を有しない一般消費者が含まれ、当該商品を購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではないことを踏まえると、本件商標において、「キリンフーズ」の文 字部分が同じ書体、同じ大きさ、同じ色彩で一体的にまとまりよく表されたからといって、「フーズ」の文字が本件指定商品の特徴を示すにすぎず、「キリン」の文字部分に強く印象が残る以上、両商標の類似性の程度が低くなることもない。 そして、各引用商標は、本件商標の指定商品との関係で識別力が低いと はいえないものであって、各引用商標の独創性の程度が造語による商標に比して低いことは、本件商標と各引用商標の類似性の程度が高く、各引用商標の周知著名性の程度が高いことを考慮すると、本件商標の商標法4条1項15号への該当性の判断においては重視できないものである(最高裁平成12年(行ヒ)第172号同13年7月6日判決(甲168))。 イ原告は、「麒麟麦酒株式会社」、「キリンビバレッジ株式会社」、「協和キリ ン株式会社」等のキリングループを構成する会社の親会社であり、キリングループは原告及び連結子会社148社、持分法適用関連会社30社により構成される多角経営企業であり、184期の連結売上収益は約1兆9895億円(国際会計基準)である(甲61、62)。キリングループは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘルスサイエンス事業も行っており (甲61、62)、キリングループ各社が各引用商標を使用する商品は (国際会計基準)である(甲61、62)。キリングループは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘルスサイエンス事業も行っており (甲61、62)、キリングループ各社が各引用商標を使用する商品は、主に飲食料品や医薬品であるものの、食品の販売も行っている(甲153、154)。 本件審決のとおり、「本件商標の指定商品は・・・『ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドック、穀物の加工品』であ って肉と小麦粉等を使用した商品等であって、各引用商標に係る主な商品は・・・『ビール』等であって主な原材料を麦とするアルコール飲料や飲料製品である」(本件審決18頁5行目ないし9行目)としても、「両商品はともに飲食料品の一種であるから、需要者は一般の消費者であって一部共通にする場合がある」(審決18頁10行目ないし11行目)から、本件指 定商品と各引用商標に係る商品との関連性があり、需要者の共通性もあるといえる。 加えて、各引用商標に係る商品「ビール」等の飲料については、本件指定商品である「ぎょうざ、しゅうまい」等の食品との相性が良いものとして一般に理解されており、「ビール」等の飲料とそれに合う食品などと一緒 に消費することも決して少なくないものであり(甲169ないし170)、原告も飲食料品を取り扱う取引者と連携し、飲料と食品とに関連性を持たせたキャンペーン活動を行うなどしていることも踏まえると(甲181~186)、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関連性は高いというべきである。 これに対し、本件審決は、両商品の性質、用途又は目的並びに製造、販 売部門や流通経路における関連性や取引者における共通性が高いということはできず、商品の関連性やその取引者の共通性は低いというべきと判断するが、 、両商品の性質、用途又は目的並びに製造、販 売部門や流通経路における関連性や取引者における共通性が高いということはできず、商品の関連性やその取引者の共通性は低いというべきと判断するが、「出所の混同のおそれ」があるというためには、両商品がともに飲食料品の一種であること、需要者が一般の消費者であって一部共通すること、両商品がスーパー等において近接して並べられる場合があることな どの事情があれば十分であって、両商品の原材料や製造者等に共通性がないことは、本件商標について重視できないものである。 また、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の稀釈化(いわゆるダイリューション)を防止する商標法4条1項15号の規定の趣旨を踏まえると、原告が「本件商標の指定商品であ る『ぎょうざ、しゅうまい』等に関連した事業を行っていたことについては確認できない」としても、原告が各引用商標に係る主な商品との関係で事業を行っている以上、そのことが直ちに「混同のおそれ」を否定する理由にはならない。 ウ被告の商号は「キリンフーズ株式会社」であるところ、食品事業を行う に当たり、代表的出所標識に「フーズ」を加えた会社名(例えば「サントリーフーズ株式会社」、「住商フーズ株式会社」、「ANAフーズ株式会社」、「アイワイフーズ株式会社」、「株式会社ニチレイフーズ」など)が採用される場合は決して少なくない(甲63~67)。 他方、キリングループには、原告である「キリンホールディングス株式 会社(KirinHoldingsCompany、 Limited)」のほか、「キリンビール株式会社(麒麟麦酒株式会社、KirinBreweryCompany、 Limited)」、「KirinEuropeGmbH gsCompany、 Limited)」のほか、「キリンビール株式会社(麒麟麦酒株式会社、KirinBreweryCompany、 Limited)」、「KirinEuropeGmbH(ドイツ)」など、「キリン」、「麒麟」又は「Kirin」の文字を商号中に含んだ会社が多数存在する(甲187、188)。そ して、キリングループにおいては、過去に商号中に「キリン」と「フーズ」 の各文字を含む「キリン協和フーズ株式会社」が存在していた(甲68)。 また、キリングループは、「KIRIN」の標章を、キリングループのブランドシンボルとして位置付け、キリングループ各社は、これをウェブサイトの各ページ左肩など及び請求書に表示して、キリングループ及びその商品やサービスを広く示すハウスマークとしても使用しており、当該標章と 各引用商標とは社会通念上同一と認められる商標である(甲57~60)。 上記の事情に加えて、本件商標の「キリンフーズ」の文字部分は、特段の意味を有しない造語であるものの、「キリン」の文字は原告の略称及びキリングループのハウスマークの読みを片仮名で表したものであり、「フーズ」の文字は「食品」の意味を有することから、被告である「キリンフー ズ株式会社」が「キリンフーズ」の文字を含む本件商標を食品に属する本件指定商品に使用する場合、これに接する取引者、需要者は、「キリン」の部分に強く印象が残るものであり、本件商標から「『キリン』の食品」との観念又は「キリングループ(原告又は原告と緊密な関係にある営業主)の業務に係る食品」であるとの観念を漠然と連想するものである。 そして、飲食料品の購入者等には特別な専門的知識経験を有しない一般消費者が含まれ、当該商品を購入するに際して払われる注意力はさほど高いも る食品」であるとの観念を漠然と連想するものである。 そして、飲食料品の購入者等には特別な専門的知識経験を有しない一般消費者が含まれ、当該商品を購入するに際して払われる注意力はさほど高いものではないことも考慮すると、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際において、本件商標が使用される商品に一般消費者が接する場合、一般消費者は、商品の出所を注意深く観察せずに、キリングループと経済的又は組織的に何 らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信し、本件商標が付された商品を購入することも十分あり得るものといえる。 以上の次第で、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、本件商標は、これを被告が本件指定商品に使用するときは、その商品があたかもキリングループと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係 る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあ るものである。 〔被告の主張〕⑴ 商標法4条1項15号には「他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるおそれがある商標」と規定されており、「指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務」については規定されていないものの、 本号は商標法4条1項10号ないし14号の総括条項であることから、当然に商標法4条1項10号に規定された要件も加味した上で総合的に検討する必要があり、他人の表示の周知著名性を検討する上で、「当該商標の指定商品等」(すなわち本件指定商品)における表示の周知著名性の検討を排除すべき理由はない。 ⑵ 原告は、キリングループは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘルスサイエンス事業も行っており(甲61、62)、食品も販売している(甲153、154)と主張するが、甲61、62、154から明らかなように、原告は本 ープは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘルスサイエンス事業も行っており(甲61、62)、食品も販売している(甲153、154)と主張するが、甲61、62、154から明らかなように、原告は本件指定商品のいずれも取り扱っていない。また、医薬事業及びヘルスサイエンス事業に係るいずれの商品も本件指定商品とは非類似であるのに 加え、医薬事業、ヘルスサイエンス事業及び食品販売の分野において、各引用商標に係る「KIRIN」、「麒麟」、「キリン」が使用された商品の取り扱い数量は少ないため周知著名ではなく、また、該当事業の経営主体は、協和発酵バイオ株式会社、株式会社ファンケル、小岩井乳業株式会社等、本件指定商品に係る需要者にあっては、キリングループに属しているとは一見して 理解することができない商号の会社であり、医薬事業、ヘルスサイエンス事業及び食品販売と、各引用商標に係る「KIRIN」、「麒麟」、「キリン」との関連性は希薄である。 なお、原告が示した甲153には、原告のノベルティ商品としての用途も有するチョコレートや菓子がOEM商品として販売されていることが掲載さ れているが、当該甲153にも記載されているように、かかるOEM商品の 販売場所は、国内9カ所にあるキリンビール工場内に、予め予約した工場見学者のために土産物店として併設された閉じた環境下の工場見学ショップのみであり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアといった、本件指定商品に係る一般の消費者に対して開放された販売店では販売されておらず、また、その年間販売数量も僅かである。 本件指定商品と各引用商標に係る「ビール」等とは「ともに飲食料品の一種である」としても、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性 量も僅かである。 本件指定商品と各引用商標に係る「ビール」等とは「ともに飲食料品の一種である」としても、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度を検討することなく、「ともに飲食料品の一種である」ことだけをもって本件指定商品と各引用商標に係る商品とは関連性があるということはできない。なお、両商品に係る需要者に ついては、本件審決のとおり「需要者は一般の消費者であって一部共通にする場合がある」であり、「需要者の共通性もある」とまではいえないことは明らかである。更に、各引用商標に係る商品「ビール」等の飲料について、本件指定商品である「ぎょうざ、しゅうまい」等の食品との相性が良く、「ビール」等の飲料とそれに合う食品などと一緒に消費することがあるとしても、 飲料としてはビール以外にも、発泡酒、蒸留酒を炭酸飲料で割った、所謂ハイボール、アルコールを含まない炭酸飲料、緑茶、ウーロン茶等々、種々存在する一方、かかる飲料に合う食品としても、から揚げ・とんかつ・てんぷらといった揚げ物、焼き肉、いわゆる鍋物、ピザ等々、種々存在しており、「ビール」等の飲料と、本件指定商品である「ぎょうざ、しゅうまい」等の 商品との組み合わせに限られないことはいうまでもなく、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関連性は希薄である。 原告は、甲181ないし186を示して、原告も飲食料品を取り扱う取引者と連携し、飲料と食品とに関連性を持たせたキャンペーン活動を行うなどしていると主張するが、同キャンペーンは期間限定のものであり、その後は 継続されておらず、なにより、甲181ないし186から明らかなように、 「ぎょうざ、しゅうまい」等の商品を実際に製造・販売し、又は「ぎょうざ、しゅうまい 限定のものであり、その後は 継続されておらず、なにより、甲181ないし186から明らかなように、 「ぎょうざ、しゅうまい」等の商品を実際に製造・販売し、又は「ぎょうざ、しゅうまい」等及び「ビール」等の飲食物の提供を実際に行っているのは、スーパーマーケットを運営している会社であり、原告は「ぎょうざ、しゅうまい」等の商品を製造・販売し、又は、「ぎょうざ、しゅうまい」等の飲食物の提供を行っていない。 原告は、注意力がさほど高いものではない一般消費者が本件商標が使用される商品に接する場合、キリングループと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と誤信することも十分にあり得るとし、いわゆる広義の混同について主張するが、本件審決は、キリングループの実情を踏まえ、更にその他の実情も加味した上で、「混同を生ずるおそれ」の有無の判断 基準に従って検討した結果、広義の混同を含めた「出所の混同のおそれ」を否定する判断がなされており(本件審決16頁23行目ないし18頁36行目)、原告の主張は失当である。 ⑶ なお、原告の主張する防護標章について、原告の引用する判決(甲155~158)は、いずれも、著名性を検討するための事実認定として、防護標 章登録出願の元となる原登録商標の指定商品における原登録商標の使用状況を認定しており(甲155、8頁16行目ないし14頁6行目)、この事実認定に基づいて、原登録商標の指定商品における著名性が前記程度に至っているのか否かを判断している(甲155、14頁7行目ないし15頁8行目)。 けだし、防護標章は当該標章を商品等に使用しないことを前提としているこ とから、防護標章登録に係る商品や役務における著名性について事実認定をすることはできないからである。このように、「商品や役 けだし、防護標章は当該標章を商品等に使用しないことを前提としているこ とから、防護標章登録に係る商品や役務における著名性について事実認定をすることはできないからである。このように、「商品や役務が類似していない場合であっても、なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有している」ことの対象となる商品は、防護標章登録に係る原登録商標の指定商品(各引用 商標の指定商品)であり、防護標章登録に係る商品ではない。原告は「本件 指定商品の分野においても、なお商品の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有して」いると主張するが、そのような程度に至るまでの著名性を有しているのは、「ビール」等における各引用商標の著名性であることは明らかである。 一方、「ビール」等における各引用商標の周知著名性、及び、各引用商標を 原商標登録とした、「中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドック、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい」を商品に含む防護商標登録の存続等は、本件審決においても判断を行うための材料として十分に検討されており(16頁23行目ないし17頁10行目)、原告の主張は本件審決の検討を超えるものではない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)について⑴ 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否 かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需 れた場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否 かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月 27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 そして、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定することは許されないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離 して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合して いるものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁昭和34年(オ)第856号同36年6月23日第二小法廷判決・民集15巻6号1689頁参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認 められる場合などを除き、許されないとい に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認 められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和38年判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁参照)。 ⑵ 本件商標の構成等 ア外観本件商標の構成は、前記第2の1⑴のとおりであり、上段に細い円で描かれた枠の中に、長い2本のひげを生やし、風になびく長い鬣(たてがみ)、細い目、長い口を有する細長い顔と、四足動物のような体を有する動物の一部分を、雲の上を駆けるような構図で描いた特徴のある図形(以下「図 形部分」という場合がある。)と、そのすぐ下に、図形部分の輪郭の左右の幅に合わせて、「キリンフーズ」の片仮名文字を一連に配して(以下「文字部分」という場合がある。)、全体として同色をもって表されるものである。 本件商標の構成中の文字部分は、上記のとおり「キリンフーズ」と一連に表記してなるものであるところ、このうち「キリン」の部分は、「きりん 【麒麟】①中国で聖人の出る前に現れるという想像上の動物。形は鹿に似 て大きく、尾は牛に、蹄は馬に似、背毛は五彩で毛は黄色。頭上に肉に包まれた角がある。・・・③ウシ目(偶蹄類)キリン科の哺乳類」の意味を有する語であり、「フーズ」の部分は、食品を意味する英語である「foods」を片仮名表記したものである(広辞苑第7版。甲16)。 本件商標の構成中の図形部分は、その下の文字部分の高さや全体の幅か らすると、本件商標の全体構成において5分の4ほどを占める大きさで表 s」を片仮名表記したものである(広辞苑第7版。甲16)。 本件商標の構成中の図形部分は、その下の文字部分の高さや全体の幅か らすると、本件商標の全体構成において5分の4ほどを占める大きさで表されているが、本件商標の図形部分と文字部分とは、相互に重なり合う部分もなく、上下に明確に分かれていること、文字部分の横幅は、図形部分の横幅とほぼ同じであって、文字部分が図形部分に埋没した印象を与えることもなく、「キリンフーズ」の文字が明瞭に認識できる大きさであること から、両者は視覚的に分離して看取されるものである。 これらによると、本件商標は、図形部分と文字部分とからなる結合商標と理解されるところ、図形部分と文字部分とは、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められず、図形部分と文字部分とが一体として看取されるといった 必然性も見出せないから、本件商標からは、文字部分を抽出し、当該文字部分だけを各引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そして、本件商標の指定商品は、前記第2の1⑴のとおり、ぎょうざ、しゅうまい、穀物の加工品等の食品であり、その需要者は一般消費者であ ると認められるところ、「フーズ」の語は上記のとおり食品を意味する英語である「foods」を片仮名表記したものとしてわが国において周知であること、企業名の後ろに「フーズ」を付して食品会社であることを示す例も、「サントリーフーズ株式会社」(甲63)、「住商フーズ株式会社」(甲64)、「ANAフーズ株式会社」(甲65)等、多数見受けられるところ、これら の例では著名な企業名が「フーズ」の前に冠されていること(その他にも 甲66、67、84ないし92)からす )、「ANAフーズ株式会社」(甲65)等、多数見受けられるところ、これら の例では著名な企業名が「フーズ」の前に冠されていること(その他にも 甲66、67、84ないし92)からすると、本件商標の文字部分のうち「フーズ」の部分の自他識別力は、「キリン」の部分に比べ弱いものということができる。 本件商標の図形部分の円形の輪郭内に描かれた、上記のとおり特徴的な動物の図形は、わが国において一般に知られる上記ウシ目キリン科の哺乳 類である実際に生息するキリンの姿とはほど遠く、それ自体として実在する特定の動物を表したものとはみられないものの、図形の動物の長いひげや鬣、細長い顔や雲の上を駆ける姿、文字部分の一部である「キリン」の文字から、上記「きりん【麒麟】」の意味の一つである、「中国で聖人の出る前に現れるという想像上の動物」である「麒麟」をモチーフにしたもの という印象を与える。なお、このように、本件商標の図形部分は、その姿に加え、文字部分の一部である「キリン」と相まって、「麒麟」をモチーフにしたものという印象を与えるところ、図形部分及びそれを含む本件商標全体の態様や、前記のとおり、識別力の弱い「フーズ」の語が著名な企業名の後にくる例があること、及び後記エ(ア)のとおりの「キリン」の文字部 分に係る企業の周知性に鑑みると、本件商標の図形部分は、文字部分の「キリン」に看者の注意を集めるという面もあるということができ、図形部分が文字部分の「キリン」と共通する印象を与えることから直ちに、本件商標の図形部分と文字部分が不可分一体であって、商標の類否判断に当たって文字部分を要部として抽出することができない、とはいえない。 これらによると、本件商標は、文字部分のうちの自他識別力を有する部分である「キリン」を要部 一体であって、商標の類否判断に当たって文字部分を要部として抽出することができない、とはいえない。 これらによると、本件商標は、文字部分のうちの自他識別力を有する部分である「キリン」を要部として抽出することができるというべきである。 イ称呼本件商標からは、その文字部分の表記に応じて、「キリンフーズ」の称呼が生じる。 また、後記ウのとおり、図形部分に描かれた動物図形から、想像上の動 物である「麒麟」の観念が生じるものと認められるから、文字部分のうち識別力が強く、その要部である「キリン」の部分から、「キリン」の称呼も生じるものと認められる。 被告は、本件商標の文字部分については、一体不可分の構成の商標としてみるのが相当であり、「キリン」と「フーズ」とに分離して観察されるも のではない旨を主張する。 しかし、文字部分のうち「フーズ」の部分の識別力は弱いこと、及び、後記ウのとおりの図形部分から生じる観念にもよれば、「キリン」の称呼も生じ得ると認められる。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 ウ観念本件商標の図形部分の円形の輪郭内に描かれた特徴的な動物の図形は、上記アのとおり、実際に生息するキリンの姿とはほど遠く、図形中の動物の姿や、文字部分の一部である「キリン」の文字から、想像上の動物である麒麟をモチーフにしたものと看て取れ、文字部分には「キリン」の文字 もあるから、本件商標の外観からは、想像上の動物である「麒麟」の観念が生じるものと認められる。 エ 「キリン」という文字部分の商品の出所識別標識としての印象等について(ア) 原告は、「麒麟麦酒株式会社」、「キリンビバレッジ株式会社」、「協和キ リン株式会社」等のキリングループを構成する会社の親会社であり 字部分の商品の出所識別標識としての印象等について(ア) 原告は、「麒麟麦酒株式会社」、「キリンビバレッジ株式会社」、「協和キ リン株式会社」等のキリングループを構成する会社の親会社であり、キリングループは原告及び連結子会社148社、持分法適用関連会社30社により構成される多角経営企業であり、184期の連結売上収益は約1兆9895億円(国際会計基準)である(甲61、62)。キリングループは、酒類事業、飲料事業のほか、医薬事業、ヘルスサイエンス事業 も行っており(甲61、62)、キリングループ各社は、飲食料品、医薬 品及び食品に各引用商標を使用している(甲153、154)。 本件商標の指定商品は、「ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドック、穀物の加工品」であり、肉と小麦粉等を使用した商品等であるのに対し、各引用商標に係る主な商品は「ビール」等であって主な原材料を麦とするアルコール飲料や飲料製品であるが、 これらの両商品は、ともに広く消費される飲食料品の一種であり、需要者は一般の消費者であるから、本件指定商品と各引用商標に係る商品は関連性があり、需要者に共通性もあるといえる。加えて、各引用商標に係る商品「ビール」等の飲料は、本件指定商品である「ぎょうざ、しゅうまい」等を含む、それと相性がよいとされる食品と一緒に消費される こともあると認められ(甲169~180)、原告が飲食料品を取り扱う取引者と連携し、飲料と食品とに関連性をもたせたキャンペーン活動が行われていることなども踏まえると(甲181~186)、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関係は希薄であるともいい難い。 (イ) 前記のとおり、本件商標の構成に照らし、本件商標は、文字部分のう ちの「キリン」を要部として 181~186)、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関係は希薄であるともいい難い。 (イ) 前記のとおり、本件商標の構成に照らし、本件商標は、文字部分のう ちの「キリン」を要部として抽出することができ(前記ア)、本件商標は、「キリン」の部分から「キリン」の称呼が生じるものであり(前記イ)、本件商標は、想像上の動物である「麒麟」の観念を生じるものである(前記ウ)。そして、それに加え、前記(ア)の事実をも考慮すると、本件商標の指定商品の需要者の間においては、本件商標のうち「キリン」の部分 は、需要者をして、原告若しくはその関連会社又はその商品若しくは役務を想起させることも少なくないものと認められ、その点からも、本件商標中の「キリン」の部分は、取引者、需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。 なお、被告は、医薬事業、ヘルスサイエンス事業及び食品販売の分野 において、各引用商標と同様の商標が使用された商品の取扱量は少ない こと、原告のグループ企業による食品(甲153)の販売数量が少ないこと、本件指定商品と組み合わされる飲料は「ビール」等に限られず、本件指定商品と各引用商標に係る商品との関連性は希薄であること、原告の主張するキャンペーンにおいて飲食物の提供を行っているのはスーパーマーケットを運営する会社であることなどから、本件商標において 「キリン」の部分が強く支配的な印象を与えることはなく、識別力を有することもなく、本件商標と引用商標は類似せず、出所の混同を生ずるおそれはない旨主張する。しかし、本件商標の構成の分析に加え、本件指定商品の主たる需要者が、専門的知識経験を有さず、特に高い注意力を有するものでもない一般消費者であり、前記(ア)の事実が認められるこ れはない旨主張する。しかし、本件商標の構成の分析に加え、本件指定商品の主たる需要者が、専門的知識経験を有さず、特に高い注意力を有するものでもない一般消費者であり、前記(ア)の事実が認められるこ とからすれば、被告の主張を踏まえても、需要者の認識として、上記の認定は覆されることはないというべきである。 ⑶ 各引用商標の構成等ア外観引用商標1、引用商標4及び引用商標9は、前記第2の3⑴、⑷及び⑼ のとおり、「KIRIN」の欧文字を横書きに表してなるものである。 引用商標2は前記第2の3⑵のとおり、「麒麟」の文字を横書きに表してなるものである。 引用商標3は前記第2の3⑶のとおり、「キリン」の文字を横書きに表してなるものである。 引用商標5及び引用商標7はそれぞれ標準文字で「麒麟」の文字を、引用商標6は標準文字で「キリン」の文字を、引用商標8は標準文字で「きりん」の文字を、それぞれ横書きにして表してなるものである。 イ称呼各引用商標は、いずれも各文字の構成に相応して「キリン」の称呼を生 じる。 ウ観念各引用商標は、「キリン」(実際に生息する哺乳類)又は「麒麟」(想像上の動物)の観念を生じるものと認められる。 エ原告による防護標章の登録原告は、登録第4498171-1/01号(甲50)、登録第4498 171-1/02号(甲51)として、引用商標3と同じ片仮名表記の「キリン」の商標につき、指定商品を第30類「中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい」を含むその他商品及び役務として、防護標章の登録を受けている。 ⑷ 本件商標と各引用商標の類否について ア外観の比較本件商標の外観においては、図形部分があるほか、文字部分 しゅうまい」を含むその他商品及び役務として、防護標章の登録を受けている。 ⑷ 本件商標と各引用商標の類否について ア外観の比較本件商標の外観においては、図形部分があるほか、文字部分の文字数は6文字である。 一方、引用商標1、4、9は欧文字5文字、引用商標2、5、7は漢字2文字、引用商標3、6は片仮名3文字、引用商標8はひらがな3文字で あり、本件商標と各引用商標は、外観において構成する文字数が異なり、本件商標には図形部分もあることから、本件商標と各引用商標はいずれも外観が相違する。 しかし、このうち文字部分の外観において、文字の種類が片仮名と欧文字あるいは片仮名と平仮名とで異なる部分について、商標の使用において は、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することがあることに鑑みると、その外観上の差異は、需要者に対し、強い印象を与えるものではない。 また、上記のとおり、本件商標の文字部分については、「キリン」の部分を要部として抽出できるものであるから、「フーズ」の有無による外観上の 差異は、本件指定商品との関係において、需要者に対し、強い印象を与え るものではない。 イ称呼の比較本件商標の文字部分からは、「キリンフーズ」の称呼のほか、その要部から「キリン」の称呼も生じる。 各引用商標からは「キリン」の称呼が生じるから、本件商標と各引用商 標はそれぞれ称呼が同一であり又は類似するものといえる。 ウ観念の比較観念について、本件商標からは上記のとおり想像上の動物である麒麟の観念が生じるところ、引用商標2、4、7は漢字2文字で構成され、想像上の動物である麒麟の観念が生じ、その他引用商標1、3、5、6ないし 9からも、同様に、想像上の動物であ 上の動物である麒麟の観念が生じるところ、引用商標2、4、7は漢字2文字で構成され、想像上の動物である麒麟の観念が生じ、その他引用商標1、3、5、6ないし 9からも、同様に、想像上の動物である麒麟の観念も生じるものと認められるから、本件商標と各引用商標は、観念において類似する。 エ類否の判断本件指定商品と、各引用商標の指定商品・役務は、いずれもその指定商品・役務の内容から、需要者は一般の消費者であると認められるところ、 一般の消費者は、必ずしも商標の構成を細部にわたり記憶して取引に当たるものとはいえないから、そのような需要者が通常有する注意力の程度を踏まえて、本件商標と各引用商標の外観、称呼及び観念の要素を総合勘案することとなる。 本件商標と各引用商標は、外観において相違するものの、想像上の動物 である麒麟の観念及び「キリン」の称呼を共通にするものであり、本件商標からは「キリンフーズ」との称呼も生じるものの、前記のとおり商品の自他識別標識として分離抽出することができる要部から生じる「キリン」の称呼及び想像上の動物である麒麟の観念を共通とするものであり、外観の相違は、称呼、観念の共通性による印象を凌駕するほど顕著なものとい うことはできないといえる。 これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と各引用商標は、全体として、商品・役務の出所について誤認混同を生じるおそれがある類似の商標であると認められる。 ⑸ 商品の類否について ア本件指定商品は、前記第2の1⑴のとおり、第30類「ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品」である。 イ引用商標1の指定商品には、第30類「調 ア本件指定商品は、前記第2の1⑴のとおり、第30類「ぎょうざ、しゅうまい、中華まんじゅう、ハンバーガー、ホットドッグ、穀物の加工品」である。 イ引用商標1の指定商品には、第30類「調味料、穀物の加工品、菓子及びパン」が含まれる(甲2、144)ところ、これらは、本件指定商品と 同一又は類似の商品である。 引用商標2及び引用商標3の指定商品には、いずれも、第30類「水あめ、穀物の加工品、菓子及びパン」が含まれる(甲3、4、145、146)ところ、これらは、いずれも本件指定商品と同一又は類似の商品である。 引用商標4の指定役務には、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品(「イーストパウダー・こうじ・酵母・ベーキングパウダー」及びこれらに類似する商品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、穀物の加工品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便 益の提供」が含まれる(甲5、147)ところ、その「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の対象商品である「菓子及びパン、加工食料品、穀物の加工品」と本件指定商品とは同一ないし類似するから、引用商標4の指定役務は本件指定商品と類似する役務である。 引用商標5の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中 華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ、調味料、 穀物の加工品、穀物調整品、パン生地、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ、調理済み麺類」が含まれる(甲6、148)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標6の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中華まん 焼き、弁当、ラビオリ、調理済み麺類」が含まれる(甲6、148)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標6の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ、調味料、 かゆ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ」が含まれる(甲7、149)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標7の指定商品には、第30類「野菜入り中華まんじゅう、包装された中華まんじゅう、容器入りの中華まんじゅう、野菜入りハンバーガ ー、包装されたハンバーガー、容器入りのハンバーガー、野菜入りホットドッグ、包装されたホットドッグ、容器入りのホットドッグ、ぎょうざの皮、コーンフレーク、さらしあん、人造米、スパゲッティの麺、そうめんの麺、即席うどんの麺、即席そばの麺、即席中華そばの麺、そばの麺、中華そばの麺、春雨、パン粉、ビーフン、ふ、米飯の缶詰、マカロニ、餅、 包装された穀物の加工品、容器入りの穀物の加工品、野菜入りぎょうざ、包装されたぎょうざ、容器入りのぎょうざ、野菜入りしゅうまい、包装されたしゅうまい、容器入りのしゅうまい」等が含まれる(甲8、150)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標8の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中 華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ、調味料、かゆ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ」が含まれる(甲9、151)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標9の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中 華まんじゅう、ハン 当、ラビオリ」が含まれる(甲9、151)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 引用商標9の指定商品には、第30類「菓子、パン、サンドイッチ、中 華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ、調味料、 かゆ、穀物の加工品、ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当、ラビオリ」が含まれる(甲10、152)ところ、これらは本件指定商品と同一ないし類似する商品である。 ウ以上のとおり、本件指定商品は、各引用商標の指定商品若しくは指定役務と同一ないし類似する。 ⑹ 商標法4条1項11号該当性についての結論以上のとおり、本件商標は、他人の登録商標である各引用商標と類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するものであるから、商標法4条1項11号に該当する。 ⑺ 被告の主張に対する判断ア被告は、前記第3の1〔被告の主張〕⑴、⑵のとおり、本件商標の文字部分から「キリン」を分離観察することはできない旨を主張し、需要者は「〇〇フーズ」と一体的に認識することが取引上自然であるとしてそれに沿う証拠(乙2、3、5、6)を提出する。 しかし、本件商標については図形部分と文字部分を分離観察することができ、本件商標の図形部分から想像上の動物である麒麟の観念が生じ、文字部分についても、「フーズ」の識別力は弱く、「キリン」の部分を要部として抽出することができることなどについては既に検討したとおりであり、被告の提出する証拠を検討しても、本件商標の需要者である一般消費 者において、「キリンフーズ」と一体的に認識することが自然であるとは認められないというべきである。 したがって、被告の上記主張は採用するこ る証拠を検討しても、本件商標の需要者である一般消費者において、「キリンフーズ」と一体的に認識することが自然であるとは認められないというべきである。したがって、被告の上記主張は採用することができない。 イ 被告は、前記第3の1〔被告の主張〕⑶のとおり、本件商標と各引用商標とは類似しない旨を主張する。しかし、既に述べたとおり、本件商標と各引用商標から生じる称呼及び観念はいずれも各引用商標と類似し、これら商標は類似する商標であるということができる。したがって、被告の上記主張は採用することができない。 2 以上によれば、原告の主張する取消事由1には理由がある。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件審決にはこれを取り消すべき違法がある。 3 よって、原告の請求は理由があり、本件審決はこれを取り消すべきであるから、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 中平健 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則 (別紙)省略

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