平成14(ワ)9061

裁判年月日・裁判所
平成15年10月9日 大阪地方裁判所
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判決文本文11,700 文字)

平成14年(ワ)第9061号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結の日平成15年7月9日判決原告マイコム株式会社訴訟代理人弁護士石川泰久同高松恵美補佐人弁理士大西正夫被告エヌイーシーマシナリー株式会社訴訟代理人弁護士鈴木秀彦 主文 1 被告は、原告に対し、金79万2000円及び内金69万3000円に対する平成14年9月27日から、内金9万9000円に対する平成15年1月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は10分し、その9を原告の、その余を被告の各負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙方法目録記載の方法を使用してはならない。 2 被告は、別紙物件目録記載の物件を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、金654万5000円及び内金606万3750円に対する平成14年9月27日(訴状送達日の翌日)から、内金48万1250円に対する平成15年1月7日(平成14年12月25日付け訴変更申立書送達日の翌日)から各支払済みま び内金606万3750円に対する平成14年9月27日(訴状送達日の翌日)から、内金48万1250円に対する平成15年1月7日(平成14年12月25日付け訴変更申立書送達日の翌日)から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、被告による別紙方法目録記載の5相ステッピングモータの駆動方法の使用が後記特許権を侵害するとして、その特許権者である原告が、被告に対し、同特許権に基づき、その差止めとこれを使用した物件の廃棄を請求するとともに、民法704条、703条に基づく不当利得返還(登録前は、平成6年法律第116号による改正前の特許法52条1項)及び民法709条、特許法102条3項に基づく損害賠償を請求した事案である。 (基本的事実)1(1) 原告は、電子機器の製造及び加工等を目的とする株式会社である(甲1)。 (2) 被告(平成12年7月1日変更前の商号「ニチデン機械株式会社」)は、諸機械、機器、金型、治工具等の設計、製造及び販売等を目的とする株式会社である。 2 原告は次の特許権を有している(以下、「本件特許権」といい、その発明を「本件発明」、本件特許権出願に係る明細書を「本件明細書」という。)。 特許番号第2021615号発明の名称 5相ステッピングモータの駆動方法出願年月日昭和59年4月21日(特願昭59-80600)公開年月日昭和60年11月12日(特開昭60-226797)公告年月日平成6年2月2日(特公平6-9440)登録年月日平成8年2月26日特許請求の範囲本判決末尾添付の別紙特許公報(以下「本件公報」という。)該当欄記載のとおり。 3 本件発明の構成要件を分説すれば、次のとおりである。 A 日平成8年2月26日特許請求の範囲本判決末尾添付の別紙特許公報(以下「本件公報」という。)該当欄記載のとおり。 3 本件発明の構成要件を分説すれば、次のとおりである。 A 5相ステッピングモータの順次配列されたA相、B相、C相、D相、E相の内、A相、C相、E相のグループと、B相、D相のグループとが互いに逆相となるように各相の一端を接続し、B 前記A相~E相の他端を、前記A相~E相が常に直列に接続された第1の相グループと第2の相グループとを形成するように接続し、前記第1の相グループと前記第2の相グループより成る直列回路に通電するとともに、C ステップ毎に、第1の相グループは所定のスケジユールに従って選択された2又は3個の相を並列励磁し、第2の相グループは第1の相グループ以外の相から所定のスケジユールに従って選択した2又は3個の相を並列励磁することによって、D 前記A~E相の内4又は5個の相を励磁し、合成トルクの方向を順次可変することにより5相ステッピングモータを駆動することを特徴とする5相ステッピングモータの駆動方法。 4(1) 被告は、別紙物件目録記載の物件(以下「被告物件」という。)を製造販売している。 (2) 被告は、被告物件の出荷前の試験・検査の実施に当たり、次の5組の5相ステッピングモータ及び5相ステッピングモータドライバ(日本電産シンポ株式会社製)を使用していた。 用途 5相ステッピングモータ 5相ステッピングモータドライバ認識テーブルθ軸 PH569-A ST15A半田供給Z軸 PH566 ST15AプリフォームX軸 PH56 認識テーブルθ軸 PH569-A ST15A半田供給Z軸 PH566 ST15AプリフォームX軸 PH569-A又はPK569-A ST15AプリフォームY軸 PH569-A又はPK569-A ST15A搬送送り PH569-A ST15A(3) 上記(2)の5相ステッピングモータドライバST15A(以下「ST15A」という。)を別紙方法目録記載のとおり使用する方法(以下「本件方法」という。)は、本件発明の構成要件AないしDをすべて充足する。 (争点) 1 被告による本件特許権侵害の範囲-ST15Aの使用期間(原告の主張)(1) 被告は、被告物件の製造販売に際し、本件方法を使用したST15Aを現在まで使用している。これを基礎付けるものとして、次の事実がある。すなわち、被告は、原告から警告書の送付を受け、平成10年9月30日付け書面(甲12)で、いったんは本件発明を一部実施していることを認めていた。ところが、被告は、原告の平成11年7月申立てに係る調停において、いかなる被告製品にいかなるドライバを使用することが本件特許権の侵害となるのかにつき釈明を求めてきた(原告が高額な被告製品を購入しその内部を調べることが事実上不可能であったため、上記調停は不調に終わった。)。また、被告は、原告の平成14年3月20日申立てに係る大津地方裁判所における証拠保全の証拠調期日においても、検証目的物の提示義務はないとの理由で検証を拒否した。さらに、本件訴訟において、被告提出に係る各接続図には本来記載されるべき結線方法が記載されておらず、真実の図面であるか否か疑問があり、当 いても、検証目的物の提示義務はないとの理由で検証を拒否した。さらに、本件訴訟において、被告提出に係る各接続図には本来記載されるべき結線方法が記載されておらず、真実の図面であるか否か疑問があり、当該図面に記載された内容が実際に使用されたものかも疑わしい。 (2) 被告主張のオリエンタルモーター社製ドライバの使用が本件特許権を侵害するものでないことは認める。ペンタゴン方式を採用したものが本件発明を実施するものでないことも認める。 (被告の主張)(1) 被告が本件方法を使用したST15Aを使用していたのは、平成11年6月ころまでに限られる。被告は、平成11年6月ころ以降は、オリエンタルモーター社製ドライバ(UDX5114-A13又はUDX5107-A18)に切り替え、平成12年6月以降には、山洋電気社製ドライバ(PMAPB1S3B01)に再度切り替えた。これに反する原告の主張は否認する。 (2) 上記(1)のオリエンタルモーター社製ドライバの使用が仮に本件発明の構成要件を充足するものであるとしても、同社は本件発明の実施について原告からライセンスを受けているものであるから、本件特許権を侵害するものではない。また、本件発明がスターバイポーラ方式を採用したものであるのに対し、上記(1)の山洋電気社製ドライバは、本件発明とは異なり、ペンタゴン方式を採用したものであり、本件発明を実施するものではないから、本件特許権を侵害するものではない。 2 原告の金銭請求(原告の主張)(1) 被告は、ST15Aを本件方法のとおり使用した被告物件(1年当たり100台。1台当たりST15Aを5組使用)を、少なくとも次のとおり製造販売した。 平成7年11月8日~平成8年2月26日 50台 本件方法のとおり使用した被告物件(1年当たり100台。1台当たりST15Aを5組使用)を、少なくとも次のとおり製造販売した。 平成7年11月8日~平成8年2月26日 50台平成8年2月27日~平成11年9月9日 330台平成11年9月10日~平成14年9月9日 300台(2) 原告が本件発明の実施に対し受けるべき金銭は、5相ステッピングモータ1台と5相ステッピングモータドライバ1台との組み合わせ1組当たり同ドライバ1台の販売価格である2万7500円に7%を乗じた額が相当である。すなわち、原告は、昭和60年1月、オリエンタルモーター社との間で、同社ドライバにつき本件発明の実施許諾契約を締結しており、その実施の対価は、一時金500万円及び工場出荷価格に実施料3%を乗じた額と約されており、現在まで同実施料率は変更されていない。しかし、本件発明の有用性のほか、被告が本件発明の実施により単価の高い被告物件を販売することができたことや、原告の申入れを拒絶して被告が本件発明の実施を継続してきたという事情に照らすと、損害算定の基礎とすべき実施料率は7%が相当である。 (3) 被告は、上記1の(原告の主張)(1)のとおり、甲12の書面で本件発明の実施を認めているのであるから、遅くとも平成10年9月30日、本件発明の実施を覚知し、また、これにより、法律上の原因なくして実施料相当額を利得していることを覚知した。 (4) したがって、原告は、次のとおり請求する。無過失や消滅時効に関する被告の主張は争う。 ア平成7年11月8日~同8年2月26日分(主位的に民法704条、予備的に民法703条)27500×0.07×50×5=48万1250円イ平成8年2月27 ア平成7年11月8日~同8年2月26日分(主位的に民法704条、予備的に民法703条)27500×0.07×50×5=48万1250円イ平成8年2月27日~同11年9月9日分(主位的に民法704条、予備的に民法703条)27500×0.07×330×5=317万6250円ウ平成11年9月10日~同14年9月9日分(民法709条)27500×0.07×300×5=288万7500円(被告の主張)(1) 被告は、ST15Aを本件方法のとおり使用した被告物件(1台当たりST15Aを5組使用)を、次のとおり製造販売したにすぎない。 平成7年11月8日~平成8年2月26日 18台平成8年2月27日~平成11年6月ころ 126台(2) 被告はドライバ単体での販売はしていないから、原告主張のドライバ単価は知らない。 また、5相ステッピングモータによりハーフステップ駆動を行う方法は、本件発明のスターバイポーラ方式のほか、ペンタゴン方式や新ペンタゴン方式が広く採用され、相互に代替可能である(被告も、平成12年6月以降、ペンタゴン方式に切り替えている。)。したがって、選択肢の1つにすぎない本件発明のスターバイポーラ方式の実施料率が7%という高額の実施料率になることはなく、せいぜい2%が相当である。 (3) 被告が平成10年9月30日付け書面(甲12)を作成したことは認めるが、その余は否認する。 (4) 原告の主張(4)は否認する。被告による被告物件の製造販売が、上記(1)のとおりに限られるほか、次のとおり主張する。 ア同(4)イ(平成8年2月27日~同11年9月 る。 (4) 原告の主張(4)は否認する。被告による被告物件の製造販売が、上記(1)のとおりに限られるほか、次のとおり主張する。 ア同(4)イ(平成8年2月27日~同11年9月9日分の不当利得返還請求)は、商法522条により5年の経過により時効消滅するものであり、本件訴えの提起は平成14年9月7日であるから、平成8年2月27日~平成9年9月6日分は時効消滅している(同消滅時効を援用する。)。 イ同(4)ウ(平成11年9月10日~同14年9月9日分の民法709条に基づく損害賠償請求)については、被告は、5相ステッピングモータのユーザーにすぎず、日本電産シンポ株式会社製であるST15Aというドライバがいかなるプログラムにより5相ステッピングモータを駆動させるのかにつき正確な知識を有していない。被告が平成10年9月30日付け書面(甲12)を作成したのも、原告から送付された警告書を契機に、日本電産シンポ株式会社に照会した結果、本件発明の実施に該当する可能性があることを初めて知ったためにすぎない。したがって、被告に過失はない。また、民法724条により本件訴えの提起前に3年が経過した分については時効消滅している(同消滅時効を援用する。)。 3 原告の差止等請求(原告の主張)被告は、遅くとも平成7年11月8日から現在まで、ST15Aを本件方法のとおり使用して被告物件を製造販売しており、今後もこれを継続するおそれがあるから、差止等の必要性はある。 (被告の主張)争点1で主張したとおり、被告が、被告物件の製造販売について、本件方法を用いたST15Aを使用していたのは、平成11年6月ころまでのことである。そして、それ以降は、本件発明の実施について原告からライセンスを受けているオ り、被告が、被告物件の製造販売について、本件方法を用いたST15Aを使用していたのは、平成11年6月ころまでのことである。そして、それ以降は、本件発明の実施について原告からライセンスを受けているオリエンタルモーター社製ドライバに切り替え、平成12年6月以降には、本件発明の実施(スターバイポーラ方式)ではない山洋電気社製ドライバ(ペンタゴン方式)に再度切り替えたから、差止等の必要性はない。 第3 判断 1 争点1(被告による本件特許権侵害の範囲-ST15Aの使用期間)(1) 被告が、被告物件の製造販売に際し、平成11年6月ころまで本件方法を使用したST15Aを使用していたことは当事者間に争いがない。 (2) しかし、その後も被告がST15Aの使用を継続していたかについては、被告は、オリエンタルモーター社製ドライバ(UDX5114-A13又はUDX5107-A18)に切り替え、平成12年6月には、山洋電気社製ドライバ(PMAPB1S3B01)に再度切り替えた旨を主張し、証拠上も、被告作成の平成7年1月19日発行ドライバボックス接続図(乙4の1~4)でST15Aの使用が予定されている(ST15Aの使用が記載された「CPS-400(標準タイプ・Fタイプ)電気調整マニュアル」(甲5)も平成7年11月8日当時のものであるにすぎない。)のとは対照的に、被告作成の平成11年4月8日発行ドライバボックス接続図(乙1の1~3、6の1~3)ではUDX5114-A13又はUDX5107-A18の使用が、被告作成の平成12年5月22日発行ドライバボックス接続図(乙2の1~3、7の1~3)ではPMAPB1S3B01の使用がそれぞれ予定されていたことが認められる。さらに、被告は、上記のST15Aからの変更が記載されたドライバボックス接続図の作成に クス接続図(乙2の1~3、7の1~3)ではPMAPB1S3B01の使用がそれぞれ予定されていたことが認められる。さらに、被告は、上記のST15Aからの変更が記載されたドライバボックス接続図の作成に先立ち、平成10年8月18日付けファクシミリ文書をもって、原告から本件特許権の侵害の可能性を指摘する警告を受け(甲9~11)、同年9月25日に原告と面談した結果を踏まえて調査したところ、本件発明を一部実施していることが判明し、その旨を原告に平成10年9月30日付け書面をもって回答した(甲12)ことも認められる(被告が上記平成10年9月30日付け書面を作成したことは、当事者間に争いがない。)。これらの認定事実によれば、被告が本件特許権侵害の結果を回避すべく、その使用するドライバをST15Aから他のものへ変更しようとしたものと考えられ、被告の上記主張事実が推認されるところである。 (3) これに対し、原告は本件訴訟に至る事情を縷々主張するが、その主張事実を前提としても、原告の送付した警告書は、特定の製造メーカーと取引関係のあるユーザーに抽象的かつ仮定的な警告を行ったものにすぎず(甲9、甲10には問題となる製造メーカーや被告製品の具体名が全く記載されておらず、かえって甲10には「別紙1の接続方法で5相ステッピングモータを使用されている場合」という記載すらみられる。)、大津簡易裁判所の民事調停事件(被告作成の答弁書(甲16)によれば、原告が差止めを求めるものであったと認められる。)において、調停による紛争解決に先立ち、相手方(本件被告)が申立人(本件原告)に侵害行為の特定やその具体的根拠につき釈明を求めることは、従前一部侵害を自認した(甲12)被告自らの認識と原告の認識との間に齟齬がないかを確認する等の意味があり、直ちに侵害行為の継続を推認さ 告)に侵害行為の特定やその具体的根拠につき釈明を求めることは、従前一部侵害を自認した(甲12)被告自らの認識と原告の認識との間に齟齬がないかを確認する等の意味があり、直ちに侵害行為の継続を推認させるものとはいえない。また、証拠保全(大津地方裁判所平成14年(モ)第10083号)としての検証(平成14年4月26日午後3時実施)において、被告が対象物件の提示義務がないことを理由に検証物の提示を拒否した点も、同証拠保全決定の対象とする検証物がST15Aを使用する被告製品の関係図面のみであったことは明らかである(甲13、14)から、その当時、既にST15Aの使用を中止していたという被告の認識を前提とすれば、これを拒否する理由として首肯し得ないものではない。さらに、本件訴訟においても、原告の指摘を踏まえ、被告が任意に追加提出した書証(乙4の1~4、5の1~4、6の1~3、7の1~3、8の1~4)には、本件争点とは関係のない部分につきマスキング処理が一部されているとはいえ(原告からの文書提出命令の申立てを受けて当裁判所が行ったインカメラ手続の結果に基づく。)、その記載内容や体裁に格別不自然な点はなく、実際には使用されていない架空の図面であることを窺わせるような事情は認められない。 (4) したがって、原告主張の諸事情を踏まえても、上記(2)の推認を妨げるには至らず、他に被告によるST15Aの使用の継続を認めるに足りる証拠もない以上、被告は、平成11年6月ころ以降、ST15Aの使用を中止したというべきである。この点に関する原告の主張は採用することができない。 2 争点2(原告の金銭請求)(1) 被告による被告物件の製造販売数について原告主張の被告物件の製造販売数を認めるに足りる証拠は全くない。したがって、被告の自 できない。 2 争点2(原告の金銭請求)(1) 被告による被告物件の製造販売数について原告主張の被告物件の製造販売数を認めるに足りる証拠は全くない。したがって、被告の自認する次の限度で認められるにとどまるというべきである。 平成7年11月8日~平成8年2月26日 18台平成8年2月27日~平成11年6月ころ 126台(2) 実施料相当額の算定等についてア原告の損失(損害)や被告の利得の算定につき、本件発明の実施料率を検討するに当たっては、本件発明の有する意義を検討する必要がある。本件明細書(その公報は甲4。以下の括弧内の記載は本件公報「発明の詳細な説明」の該当部分を指す。)によれば、本件発明は、5相ステッピングモータの駆動方法に関するものであり(産業上の利用分野)、従来、5相ステッピングモータの駆動方法としては、スタンダードドライブ、ペンタゴンドライブ、スタードライブなどが提案実施されていたが、ペンタゴンドライブ、スタードライプでは4-5相励磁によるハーフステップ駆動を行うことが困難であるため、前記ハーフステップ駆動を行うに当たってはスタンダードドライブが主に用いられる。しかし、この駆動方法は、各相ごとに4個のトランジスタを使用するから、全部で20個ものトランジスタで出力段を構成する必要がある。そのため、出力段での発熱が多くなること、出力段の形状が大きくなること、出力段を制御する制御回路は複雑となるなどの欠点がある。 また、各相はそれぞれ並列励磁される構造であるから、電源は4-5相励磁に応じてモータの定格電流(各相に流し得る電流)の4~5倍の電流を供給する必要がある。そのため、従来の駆動方法によれば、電流容量の大きな電源を使用しなければならないという欠点が 、電源は4-5相励磁に応じてモータの定格電流(各相に流し得る電流)の4~5倍の電流を供給する必要がある。そのため、従来の駆動方法によれば、電流容量の大きな電源を使用しなければならないという欠点がある(従来技術)。そこで、本件発明は、比較的少ない数のトランジスタで5相ステッピングモータの4-5相励磁を行うことができるとともに、比較的小さい電流容量の電源を使用し得る5相ステッピングモータの駆動方法を提供することを目的として(目的)、その特許請求の範囲記載の構成を備えることとしたものである。本件発明に係る5相ステッピングモータの駆動方法によれば、各相を直・並列になるように励磁制御するから、出力段の駆動トランジスタの数を10個にすることができる。したがって、本件発明によれば、従来装置の半分のトランジスタによって、5相ステッピングモータを4-5相励磁することができる。また、本件発明は直列励磁を併用するものであるから、電源電流をモータ定格電流の2~2.5倍にすることができる。したがって、本件発明によれば、従来方法によるよりも小さい電流容量の電源を使用することができるという作用効果を奏するものである(効果)。 そして、実際上も、本件発明は、日本電産シンポ株式会社により(結果的にせよ)実施されるなど、相応の使用実績が認められるところである(甲7、8)。 イ他方、被告がペンタゴン方式を採用した山洋電気社製ドライバに切り替えた点は、他の製品の代替可能性を裏付ける事情として評価されなければならない。ただし、被告が直ちに上記ドライバに切り替えなかった点で、上記代替可能性を過大評価することもできないというべきである。 また、本件発明の実施に際して締結された実施許諾契約における具体的な実施料率(3%)を全く無視するこ 替えなかった点で、上記代替可能性を過大評価することもできないというべきである。 また、本件発明の実施に際して締結された実施許諾契約における具体的な実施料率(3%)を全く無視することもできない。ただし、適法な取引関係を前提として約された実施料率は、円滑な取引関係の継続や販売の促進という種々の取引的要素を考慮して定められることも多いから、これをそのまま不当利得又は損害賠償の額の算定に反映させるのも相当でない。特に、本件においては、原告主張のオリエンタルモーター社との実施許諾契約の締結(弁論の全趣旨)は、出願公開にさえ至らない本件特許出願後間もない時期(昭和60年1月)に行われたものであり、かつ、被告が平成11年6月ころに原告の実施許諾に係るオリエンタルモーター社製ドライバを入手できたことに照らしても、その実施許諾契約の期間が非常に長期に及ぶものであったと推認されるところであって、その実施料率も長期にわたる本件発明の実施を前提として比較的低率に定められたものと推認される。さらに、一時金の支払があったことも、約定の実施料率を低率にとどめた事情と評価し得る。 ウ以上のような点を総合考慮すれば、原告の損失(損害)又は被告の利得を算定するに当たっての本件発明の実施料率としては、ST15Aの販売価格の4%が相当である。なお、ST15Aの販売価格につき、特段の主張立証のない本件においては、原告主張金額(1個当たり2万7500円)を相当と認める。 (3) 本件発明の実施についての被告の悪意原告からの警告を踏まえ、被告が平成10年9月30日付け書面(甲12)を作成したことは当事者間に争いがなく、これによれば、遅くとも同日には、本件発明の実施につき被告が悪意であったと認められる(これに対し、平成10年9月 、被告が平成10年9月30日付け書面(甲12)を作成したことは当事者間に争いがなく、これによれば、遅くとも同日には、本件発明の実施につき被告が悪意であったと認められる(これに対し、平成10年9月30日よりも前に、この点について、被告が悪意であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。)。 (4) したがって、原告の金銭請求に対する当裁判所の判断は次のとおりである。 ア平成7年11月8日~同8年2月26日分原告は、主位的には、民法704条に基づく不当利得返還請求の主張をしているが、これについては、その前提とする被告の悪意を認めるに足りない以上、理由がない。原告が予備的に主張する民法703条に基づく請求は、次式の限度で理由がある。 27500×0.04×18×5=9万9000円イ平成8年2月27日~同11年9月9日分平成10年9月30日以降に関する限り、被告の悪意を認定し得るものの、それ以前の販売数が明らかでなく、被告製品が入手できないほど高額な商品であることを原告が自認し、かつ、代替製品を確保した後はST15Aの使用を中止した被告において、上記期間の途中、原告の警告を受けながら、従前と同様の販売を続けていたとも直ちにいうことができないため、販売期間に比例した割合的な販売数を算定することも合理的ではない。したがって、原告が主位的に主張する民法704条に基づく不当利得返還請求は、理由がないが、予備的主張である民法703条に基づく請求は、次式の限度で理由がある(ただし、製造販売の終期は平成11年6月ころである。)。 27500×0.04×126×5=69万3000円ウ平成11年9月10日~同14年9月9日分 ただし、製造販売の終期は平成11年6月ころである。)。 27500×0.04×126×5=69万3000円ウ平成11年9月10日~同14年9月9日分上記期間に対応する被告による本件発明の実施は認められないから、その余の点について判断するまでもなく、民法709条に基づく請求は理由がない。 (5) 被告は商事消滅時効による消滅を主張するが、不当利得返還請求権は、商法522条の「商行為ニ因リテ生シタル債権」には該当せず、その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法167条1項により10年と解するのが相当である(最高裁昭和55年1月24日第一小法廷判決・民集34巻1号61頁参照)から、被告の上記主張は採用することができない。 3 争点3(原告の差止等請求)争点1で判示したとおり、被告は、ST15Aの使用を平成11年6月ころに中止し、それ以降現在まで、本件特許権侵害を回避すべく、これに代わる他の5相ステッピングモータドライバを使用し続けているところである。そして、残り少ない本件特許権の存続期間(平成16年4月21日で存続期間満了)中に、被告がST15Aの使用を敢えて再開する可能性を窺わせる事情は、本件全証拠によっても認めるに足りない。したがって、原告の差止請求及び廃棄請求(原告が廃棄を求める被告物件がST15Aを使用したものに限られる趣旨であることは明らかである。)は、いずれもその必要性がないというべきである。原告の差止請求及び廃棄請求はいずれも理由がない。 第4 結論以上によれば、原告の請求は、上記の限度で理由がある。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官小松一雄 以上によれば、原告の請求は、上記の限度で理由がある。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官小松一雄 裁判官田中秀幸 裁判官守山修生方法目録5相ステッピングモータドライバ型式ST15Aを、5相ステッピングモータ型式PH569-A、同型式PH566又はPK569-Aと別紙図面のとおりスター結線して、同モータを4-5相励磁して駆動させる(ハーフステップ駆動させる)方法。 (別紙)図面物件目録半導体製造装置「高速ソフトソルダーダイボンダーCPS-400F」

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