平成6(ワ)4336 昭和シェル石油男女賃金差別

裁判年月日・裁判所
平成15年1月29日 東京地方裁判所
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判決文本文59,358 文字)

主文 1 被告は,原告に対し,4536万6952円を支払え。 2 被告は,原告に対し,別紙1「裁判所認容額一覧表」の「月例賃金,賞与」欄の「昭和60年分」欄ないし「平成4年分」欄の各「差額相当額」欄記載の各金額に対する,対応する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙1「裁判所認容額一覧表」の「退職金」欄のうち,「一時払分」,「年金分」欄の「平成4年分」欄ないし「平成14年分」欄,及び「上記の現在価額」欄の各「差額相当額」欄記載の各金額に対する,対応する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,別紙1「裁判所認容額一覧表」の「公的年金」欄のうち,「年金分」欄の「平成4年分」欄ないし「平成14年分」欄及び「上記の現在価額」欄の各「差額相当額」欄記載の各金額に対する,対応する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は,原告に対し,400万円に対する平成4年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は,これを10分し,その1を原告の,その余を被告の負担とする。 8 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,5290万9148円を支払え。 2 被告は,原告に対し,別紙2「原告請求額一覧表」のうち,「85年年間賃金」欄ないし「92年年間賃金」欄,「退職金」欄の「一時払」欄及び「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄,「公的年金」欄の「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄の各「差額賃金(B)-(A)」欄記載の各金額に対する,対 金」欄,「退職金」欄の「一時払」欄及び「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄,「公的年金」欄の「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄の各「差額賃金(B)-(A)」欄記載の各金額に対する,対応する「遅延損害金起算日」欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙2「原告請求額一覧表」のうち,「年金将来分*1」欄,「公的年金将来分*1」欄の各「差額賃金(B)-(A)」欄記載の各金額に対する,対応する平成14年3月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,912万円に対する平成4年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告を退職した原告が,在職中,賃金について女性であることを理由に差別的な取扱いを受けたとして,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償(昭和60年1月以降退職時までの差額賃金相当額,差額退職金相当額,差額公的年金相当額,慰謝料及び弁護士費用。請求1)及びこれらに対する民法所定の遅延損害金(請求2ないし4)の支払を求めた事案である。 1 前提となる事実(証拠を掲げない事実は,争いがないか又は弁論の全趣旨により認められる。)(1) 当事者等ア被告は,石油類,石油代替エネルギー及びそれらの副産物の採掘,製造,加工,貯蔵,売買並びに輸出入等を目的とした株式会社である。 被告は,昭和17年8月1日,昭和石油株式会社として設立されたが,昭和60年1月1日,シェル石油株式会社(以下「シェル石油」という。)を合併して,現社名になった(以下,この合併を単に「合併」といい,合併前の被告を「昭和石油」という。)。 昭和四日市石油株式会社(以下「昭和四日市石油」という。)は,昭和32年11月1日,昭和石油が75パー 現社名になった(以下,この合併を単に「合併」といい,合併前の被告を「昭和石油」という。)。 昭和四日市石油株式会社(以下「昭和四日市石油」という。)は,昭和32年11月1日,昭和石油が75パーセント,三菱グループが25パーセントを出資して設立された株式会社であり,四日市製油所(三重県四日市市所在)における石油精製及び石油製品の供給を業としている。 (乙1~3,弁論の全趣旨)イ原告(昭和7年5月29日生)は,昭和26年3月,鴎友学園女子高等学校を卒業し,同月20日,昭和石油にアルバイトとして採用され,同年8月1日,昭和石油に正式に雇用された後,昭和32年11月1日,昭和石油に在籍したまま昭和四日市石油に出向し,昭和60年1月1日の合併後も被告に在籍したまま昭和四日市石油に出向し,平成4年5月31日,定年により退職した。 原告が昭和石油に正式雇用された後における所属部署及び担当業務は,次のとおりであった。 (ア) 昭和26年8月~昭和31年7月所属部署昭和石油総務部株式課担当業務株券の名義書換に関する受付業務(イ) 昭和31年7月~同年12月所属部署昭和石油建築部技術第1課担当業務一般事務(製油所の建設に関する書面の作成等)(ウ) 昭和31年12月~昭和52年3月所属部署昭和石油建築部昭和四日市石油本社総務課(昭和32年11月から出向)担当業務和文タイプ業務(エ) 昭和52年3月~昭和62年8月所属部署昭和四日市石油本社総務課担当業務英文タイプ業務,データ電送業務,端末データ入力業務,テレックス発信業務(昭和55年ころ以降)等(オ) 昭和62年9月~退職時所属部署昭和四日市石油東京事務所(本社が三重県四日市市に移転したのに伴い,従前東京所在の本社事務所が東京事務所と改称)担当業務 ①什器備 (昭和55年ころ以降)等(オ) 昭和62年9月~退職時所属部署昭和四日市石油東京事務所(本社が三重県四日市市に移転したのに伴い,従前東京所在の本社事務所が東京事務所と改称)担当業務 ①什器備品・事務用品等の管理及び課内庶務,②文書受発信等に関する業務,③新聞・図書の購入管理,④パソコンデータの受発信の実施及びOA機器の管理,⑤指定統計法に基づく関係官庁との折衝・報告等の関連業務,⑥製品・半製品の出荷及び受入れに係る連絡,油量月報による資料作成(2) 昭和石油,被告における賃金等に関する制度ア昭和石油における制度(ア) 昭和石油人事部が,昭和38年4月,従業員への説明用に作成した「今年の昇給について」(乙4)には,組合員資格を有する従業員の定期昇給(以下「定昇」ともいう。)について,次の内容が記載されている(乙4,証人P1)。 a 昇給の基本方針入社後6年ころまでの者は昇給基準線による1コマの昇給とランク別の成績査定により,中堅以上の者はランクと結びついた昇給とランク別の成績査定により,それぞれ昇給額を定める。 b 定期昇給の基準職務内容及び能力に応じて従業員を格付けし(ランク制),昇給は,各ランクについて,職務内容,学齢,勤続及び年齢の各要素を次の基準で考慮して定める。 職務内容学歴勤続年齢(卒年)A,B,C 考慮せず考慮する殆ど考慮せず考慮するD やや考慮やや考慮やや考慮やや考慮E,F ランクとして考慮する考慮せずやや考慮考慮せず能力評定  (終身雇用制との妥協)c ランクの種類及び決定要因等(a) ランクの種類Fランク係長クラス又は上級スタッフのランクEランク組長クラス又は せず能力評定  (終身雇用制との妥協)c ランクの種類及び決定要因等(a) ランクの種類Fランク係長クラス又は上級スタッフのランクEランク組長クラス又は中級スタッフのランクDランク中堅層のランク(大学卒初任資格)Cランク短大(専門卒)初任資格(潜在能力)Bランク高校卒初任資格(潜在能力)Aランク中学卒初任資格(潜在能力)なお,入社から6年ころまでは,A,B,Cランクのいずれかのランクに位置づけられる。 (b) ランクの決定の要因等別紙3「ランク決定の要因」,「ランクと職制例の比較」のとおりである。 (イ) 被告人事部勤労課社員が本訴提起後に作成した「昭和石油のランクについて(組合員資格を有する者のランク)」と題する書面では,合併直前である昭和59年当時,昭和石油において,組合員資格を有する者のランクは,上から順にF1,F2,E1,E2,D1,D2,D3,D4,C,B1,B2,B3,無ランクに分類されており,各ランクの定義が次のとおりであった旨記載されている(乙9)。 Fランク係長相当職一般管理区分を預かり,高度な専門知識と業務経験を有する者及びこれと同様の能力を有する者Eランク組長相当職一般作業区分を預かり,相当な専門知識と業務経験を有する者及びこれと同様の能力を有する者Dランク一般職A(D1,D2)定型業務に従事し,十分な基本知識と相当な業務経験を有する者一般職B(D3,D4)定型業務に従事し,ある程度の基本知識と業務経験を有する者B,Cランク補助職補助業務に従事する者イ被告における制度(ア) 概要被告は,従業員に対し,月例賃金,年2回(夏季,冬季)の賞与(一時金)を支給し,退職し 務経験を有する者B,Cランク補助職補助業務に従事する者イ被告における制度(ア) 概要被告は,従業員に対し,月例賃金,年2回(夏季,冬季)の賞与(一時金)を支給し,退職した従業員に対し,退職金を支給している。 月例賃金は,基準内賃金,基準外賃金及び特別手当で構成され,基準内賃金は,本給,家族手当,住宅手当,勤務地手当,職能手当及び管理専門職手当(職務手当,資格手当)で構成される。 本給は,職務職能給と年齢給により構成される。職能手当は,職能資格等級に基づき定められた額とする(ただし,4月1日現在満55歳以上の者については,所定額の2分の1の額とする。)。 なお,昭和四日市石油における賃金に関する制度は,昭和石油又は被告と同様であった。 (乙20の1,証人P1)(イ) 「人事諸制度-ガイドブック」の概要被告の人事部が平成元年10月に作成した「人事諸制度-ガイドブック(社員用)」(乙7)には,概要次のとおり記載されている。 a 職能資格等級について職能資格等級は,社員各人の能力開発の努力目標となるとともに,賃金管理を行う基準となる。 職能資格等級は,上から管理専門職(M),監督企画判定職(S),一般職(G)の各職群に分かれ,管理専門職は,上から順にM1,M2,M3,M4A(以上が管理職),M4B,監督企画判定職は,上から順にS1,S2,S3A,S3B,一般職は上から順にG1,G2,G3,G4の各職能資格に分かれる。 それぞれの職能資格等級の要件又は基準は,「職能資格要件概要」,「職務および能力の特徴」,「望まれる能力要件」,「望まれる情意」として記載されており,これらの記載内容は,別紙4のとおりである。 b 本給及び賞与について(a) 本給本給は,入社時に初任本給が決定され,その後,定期昇給,昇格昇 る能力要件」,「望まれる情意」として記載されており,これらの記載内容は,別紙4のとおりである。 b 本給及び賞与について(a) 本給本給は,入社時に初任本給が決定され,その後,定期昇給,昇格昇給,特別昇給,ベースアップ等により改定される。 定期昇給は,年齢定昇と職務職能定昇によって構成され,毎年1月1日に実施される。年齢定昇は,生計費を配慮し,年齢別に定額を定めたものであり,職務職能定昇は,年1回行う能力開発考課による評価に基づき,職能資格等級ごとの評価別に定額を定めたものである。 職能資格昇格者には,昇格昇給として,定期昇給の他に別途昇給を行う。 本給は,賃金表(職能資格等級別,年齢別に本給額の上限,下限を設定したもの)により管理され,定期昇給時に通常の定昇額を加算した新本給が上限を超える場合は,原則として上限に達するまでの範囲で昇給を行い,新本給が下限を下回る場合は,原則として下限に達する範囲で特別昇給を行う。 ベースアップは,会社と労働組合との団体交渉を経て妥結した額や配分方法に従い,当年3月31日在籍者を対象に,通常同年4月1日に実施する。 (b) 賞与賞与は,会社と労働組合との間の団体交渉により決定され,夏季と冬季の2回に分けて支給される。賞与には,会社の業績や個人の業績が反映されるという要素があり,個々人の努力や成果を受けとめるものとして,賞与考課(対象期間は,夏季が前年10月から当年3月まで,冬季が当年4月から10月まで)が行われる。 b 人事考課について(a) 能力開発考課年1回,能力開発考課と称する人事考課が行われる。内容は,評価,来年の昇格申請の有無,能力開発と職務態度改善の方向,将来の育成配置計画等であり,このうち,評価は,前年10月から当年9月までの期間について,成績,能力,情意の各評価項目ごとに れる。内容は,評価,来年の昇格申請の有無,能力開発と職務態度改善の方向,将来の育成配置計画等であり,このうち,評価は,前年10月から当年9月までの期間について,成績,能力,情意の各評価項目ごとに,上から順にS,A,B(標準,本人の能力をやや上回る目標を達成した場合),C,Dの5段階で評価し,これを総合して5段階で評価する。 各評価項目の内容は,別紙5の「評価項目」,「評価項目の意味」のとおりである(b) 賞与考課毎年夏季は前年10月から当年3月までの期間を対象として,冬季は当年4月から10月までの期間を対象として,それぞれ賞与考課が行われる。評価項目は,別紙5の「賞与考課表」のとおりである。 (3) 原告に関する事情アランク又は職能資格等級等原告は,昭和石油において,昭和60年1月の合併直前にD2ランクであったが,合併に伴い,被告において,職能資格等級がG3となり,昭和61年1月にG2に昇格し,以後退職時までG2であった。 合併後における原告の能力開発考課の結果は,昭和60年から昭和62年までの間がBであり,昭和63年から退職までの間がCであった(証人P1)。 イ賃金,退職金及び公的年金原告は,合併時である昭和60年1月以降,被告から別紙6「原告に対して支給された賃金」記載の賃金(月例賃金及び賞与)を支給されていた。被告における月例賃金の支払日は毎月20日(20日が休日の場合は,その直前の平日)であった。 原告は,被告から,平成4年5月29日,退職金一時金として1004万7552円を支給され,同年6月以降,退職年金として毎月20日に月額10万4383円を支給されている。 原告は,退職した平成4年5月以降,老齢厚生年金として,年額223万9937円を支給されている。 2 争点(1) 昭和石油又は被告は,原告に対し, 20日に月額10万4383円を支給されている。 原告は,退職した平成4年5月以降,老齢厚生年金として,年額223万9937円を支給されている。 2 争点(1) 昭和石油又は被告は,原告に対し,昇格及び定期昇給評価,ひいては賃金について,女性であることを理由に男性と差別的に取り扱ったか。そうであったとして,これは不法行為に当たるか。 (2) 損害(差額賃金・退職金相当損害金,差額公的年金相当損害金,慰謝料及び弁護士費用)の額 3 当事者の主張の骨子(1) 争点(1)について(原告の主張)ア男女間における集団的かつ著しい格差以下のとおり,昭和石油及び被告において,賃金について,男女間で集団的かつ著しい格差が存在した。 (ア) 昭和石油における格差a 昭和石油労働組合が昭和39年4月1日現在で作成した「資料と報告」は,同組合が実施した昭和石油社員に対するアンケート調査に基づき,ランク及び賃金の内容を集計したものであるが,これによると,ランク,昇給及び賃金額において男女間に顕著な格差がみられる。 b 昭和石油は,上記組合に対し,ランク,昇給及び賃金額に関するモデル(モデル賃金)を明らかにしていたが,このモデル賃金は,一貫して男女別及び学歴別のものであり,昭和石油では,この男女別学歴別モデル賃金に基づいて昇給及び賃金管理を行っていたというべきである。 すなわち,昭和57年,昭和58年,昭和60年における各モデル賃金及び本給分布図により,高卒者の本給を比較すると,21歳から男女の格差が生じ,40歳で4万円強の格差が生じており,また,本給額の分布を比較すると,男性は,35歳以上のグループが,34歳以下のグループとはかけ離れて高額になっているのに対し,女性は,34歳以下では,右肩上がりの分布となっている同年齢の男性グループより低額に抑制 布を比較すると,男性は,35歳以上のグループが,34歳以下のグループとはかけ離れて高額になっているのに対し,女性は,34歳以下では,右肩上がりの分布となっている同年齢の男性グループより低額に抑制され,35歳以上においても,その傾向は変わらず,その結果,同年齢の男性より格段に低い額となっており,女性の最高額は男性の最低額よりはるかに低いという形で,集団的な分離を示している。 c また,昭和57年4月1日現在の「資料と報告」によると,ランクの昇格,定昇金額においても明確な性別分離がみられる。 昇格時期をみると,Dランクでは,高卒男性は,25歳で自動的にD4又はD3に上がり,26歳ではごく例外を除きD1又D2に上がるのに対し,高卒女性でD1又はD2に上がった者は,32歳,34歳,35歳で各1名しかいない。Eランクでは,高卒男性は,37歳で全員がEに上がっているのに対し,女性は,55歳の社長秘書を除き,誰もEに上がっていない。Fランクでは,高卒男性は,43歳からFに上がり始め,数年でほぼ半数がFになっており,ライン系の現業に従事している者を除くと,46歳以上の者の9割強がFとなっている(なお,この数字は管理職になった者を含んでいない。)。これに対し,女性でFになった者はいない。 定昇金額をみると,Eランク以上の定昇金額は,それ以下の定昇金額と比較して格段に高額になっており,前記のとおり,Eランク,Fランクの者が女性1名を除き男性であることに照らすと,男女間の昇格格差が男女間の本給格差の大きな要因となっているといえる。しかも,B,C,Dの各ランクの定昇金額をみても,いずれも男性が女性より高額のグループを形成している。 d 以上によると,昭和石油は,男女別の賃金表に基づき賃金管理を実施し,ランク及び定昇金額を決定してきたというほかない。 (イ) 昇金額をみても,いずれも男性が女性より高額のグループを形成している。 d 以上によると,昭和石油は,男女別の賃金表に基づき賃金管理を実施し,ランク及び定昇金額を決定してきたというほかない。 (イ) 合併時における格差a 被告人事部勤労課が作成した「1985年合併時の格付けについて」(乙11)により分析すると,従前D3以上のランクにあった者について,男性は,579名のうち575名がG1に格付けされたのに対し,女性は,117名のうち6名しかG1に格付けされておらず,従前にD4のランクにあった者については,男性は,全員がG2に格付けされたのに対し,女性は,D4以上のランクにあった者全員をみても,G1又はG2に格付けされたのは,全体の23.4パーセントにすぎず,残りの者はG3に格付けされている。 これによると,被告が,合併時の格付けにおいて,女性を男性に比較して低い職能資格に格付けしたことは明らかであり,女性に対して不合理な差別をしたことを強くうかがわせるものである(被告においては,職務職能定昇,昇格昇給,職能手当,一時金における職能資格別定額等,職能資格がより大きく賃金に反映されるため,職能資格の違いが賃金格差に一層反映されることになる。)。 b また,合併時には,昭和石油とシェル石油との賃金水準の格差を是正するため,賃金水準が低かった昭和石油社員に対して合併後3年間にわたり賃金調整がされたが,この賃金調整は,合併前の昭和59年4月の定昇時における査定を基準とする定額調整と,合併前の資格を基準とする職群別定額調整及び年齢別調整で構成されていたことから,昭和石油のころのランク付けの差別や定昇での査定差別(前記(ア)c)が,賃金調整額の格差となって反映されている。 c 以上のとおり,合併時における格付け及び賃金調整において,女性は差別され,男性 ら,昭和石油のころのランク付けの差別や定昇での査定差別(前記(ア)c)が,賃金調整額の格差となって反映されている。 c 以上のとおり,合併時における格付け及び賃金調整において,女性は差別され,男性より賃金を低く抑えられた。 (ウ) 被告における格差被告が提出した「1984年12月時点旧昭和石油在籍の中・高卒男女現在籍者に関するデータ」(乙24)及び全石油昭和シェル労働組合が所持しているデータをみると,高卒男性は,G4ないしG1の各職能資格において,同一年度入社者がほぼ同時期に昇格しており,例えば,G1には27歳又は28歳で昇格しているのに対し,高卒女性の場合,男性のような年功による自動昇格的運用はG3までしかなされず,G2以上には勤続年数が同じでも一斉に昇格することはなく,G1への昇格は最も早い者でも31歳と,男性より3年以上遅れている。また,S以上の職能資格をみても,高卒男性は,年功的に資格,賃金が上がっており,52歳までにほとんどの者がS2以上になるのに対し,高卒女性は,63名のうちS3Bになった1名を除き,G1以下に留まっており,平成4年当時,50歳代の女性はG1が1名,G2が2名であった(高卒男性でG1以下に留まっている者は,40歳を超える者157名のうち40歳代の2名のみである。)。 以上によると,被告が,男女を別々に昇格に関する管理をし,女性の昇格を意図的に遅らせ,賃金を抑制する意図をもって,職能資格制度を運用してきたことは明らかである。 イ原告と男性社員の賃金に関する格差(ア) 昭和39年「資料と報告」(甲132)に基づき,昭和39年4月1日時点において,原告と同じ年齢(31歳),同じ勤続年数(12年)の高卒社員18名(男性15名,女性3名)をみると,ランクは,原告を含む女性3名がDであるのに対し,男性15名の き,昭和39年4月1日時点において,原告と同じ年齢(31歳),同じ勤続年数(12年)の高卒社員18名(男性15名,女性3名)をみると,ランクは,原告を含む女性3名がDであるのに対し,男性15名のうち7名はEであり,定期昇給額は,女性3名が1200円であるのに対し,男性が1300円から1600円の範囲で,その大半が1500円である。その結果,原告の本給額及び基準内賃金額は,男性1名を除く14名より低くなっている。 また,35歳高卒者のうち勤続年数10年以上の者25名(男性23名,女性2名)のランクをみると,女性は2名ともDであるのに対し,男性は,2名を除く21名がE又はFであり,また,中卒者で夜間高校を卒業した者は37歳で全員がEになっている。 (イ) 昭和57年原告は,昭和57年4月1日(当時49歳),当時の本給額からランクはD2であったと推定されるが,同時点の資料(甲1の2)によると,高卒男性の大半は46歳までにFに昇格しており,事務職に関してはFの割合はさらに高くなっている。 (ウ) 合併時原告は,合併時にD2ランクから職能資格等級G3になったが,男性は,D2ランク,D3ランクのほぼ全員がG1になっている。 (エ) 東京事務所又は被告の総務部門に所属していた男性社員との比較a 原告と一緒に東京事務所に所属していた男性社員をみると,P2(高卒,昭和14年生)は,出荷関連の業務に20年以上にわたり従事していたが,合併直前のFから合併時にS2となり,51歳でS1に昇格しており,また,P3(高卒,昭和15年生)は,20年以上同じ業務に従事しており,同期の中では昇格が遅かったが,それでも53歳でS2に昇格した。 また,原告の業務経験に近い,被告の総務部門に長く勤務した男性社員をみると,P4は,中卒入社で事務部門のみを異動し,定年前 しており,同期の中では昇格が遅かったが,それでも53歳でS2に昇格した。 また,原告の業務経験に近い,被告の総務部門に長く勤務した男性社員をみると,P4は,中卒入社で事務部門のみを異動し,定年前の業務は,メールの発受・配布,事務用品の発注・管理・配布,お茶関係,雑務関係等であったが,定年時に職能資格等級がS1であり,P5は,入社時から一貫して電算室でテレックス業務にのみ従事していたが,昭和63年(当時50歳)までにS2に昇格しており,P6は,複数の部署で総務関係の業務に従事していたが,昭和63年(当時46歳)にS2に昇格していた。 このように,原告と同様に,総務関係の業務に長く従事していた男性社員は,いずれもS2以上の職能資格等級になっている。 b 被告は,東京事務所又は被告の総務部門に所属する男性社員と原告との職能資格等級の格差は,業務内容又は勤務態度の違いによるもので,何ら不当でない旨主張する。しかし,これら男性社員と原告との間で業務内容について格段の違いはなく,被告が挙げる相違点は職能資格等級の格差を何ら根拠付けるものではない上,原告の勤務態度に関する被告の主張も,女性に対する偏見に基づく差別的な評価に基づく,不当なものである。 ウ原告以外の女性社員と男性社員の賃金に関する格差被告の経理部門においても,各社員が経理業務を同じように分担し,協力して業務に従事しているにもかかわらず,男性社員は全員S3A以上になっているのに対し,女性は42歳でもG2に留まっている。 支店のガソリンスタンド施設関連業務をみても,東京支店SS課において,男性社員と変わりない業務に従事してきたP7社員はG2に留まっているのに対し,男性社員は全員S以上(おそらくS2以上)になっている。 コンピューターシステム開発部門においても,各社員が単独でシステム 性社員と変わりない業務に従事してきたP7社員はG2に留まっているのに対し,男性社員は全員S以上(おそらくS2以上)になっている。 コンピューターシステム開発部門においても,各社員が単独でシステム開発に従事しているにもかかわらず,女性のP8社員はG2で,40歳以上の男性社員はS1又はS2である。 平成元年以降,化成品室において化成品の出荷関連業務,会計管理業務等に従事したP9社員(合併当時45歳)は,定年退職をした男性社員の業務をそのまま引き継いだが,同社員はS1であったのに対し,P9社員はようやくG1に昇格したばかりであった。 エ男女間の賃金に関する差別的取扱い以下のとおり,昭和石油又は被告が,賃金について,原告が女性であることを理由として男性と差別的な取扱いをしたことは,明らかである。 (ア) 昭和石油における取扱い昭和石油における男女間の賃金格差に関する状況によると,昭和石油が,学歴別,男女別に,年功序列的にランク付けを行い,男女別の賃金モデルに基づき,定期昇給の管理を行ってきたことは明らかである。 被告は,昭和石油において,職能資格要件に基づくランク査定によりランクを決定し,定期昇給査定により定期昇給額を決定していた旨主張するが,被告が提出した「今年の昇給について」(乙4)は,被告の主張内容と矛盾するものであり,査定の基準であったとは認められない。 仮に,上記「今年の昇給について」に記載された方法でランク及び定期昇給額に関する査定がされていたとしても,同書面に記載された各ランクの内容が,「定型的」「判定的」等と抽象的な概念により定められており,恣意的な判断が可能である上,性に関する偏見や固定観念により多分に影響されるものであること,同書面の内容によれば,昇格の可否は,潜在的能力の有無,将来に対する期待度によって 判断 より定められており,恣意的な判断が可能である上,性に関する偏見や固定観念により多分に影響されるものであること,同書面の内容によれば,昇格の可否は,潜在的能力の有無,将来に対する期待度によって判断されるものと認められることに照らすと,男性は,一定の勤続年数を経過すれば,次のランクに期待される潜在能力が備わったとして,昇格の対象になるのに対し,女性は,能力が劣る,補助単純業務になじむ,生計費を担っていないといった偏見や固定観念により,昇格の評価対象から排除されてきたというべきである。 (イ) 合併時の格付けにおける取扱い被告は,合併時の格付けにおいて,男性は,D1~D3ランクの者を原則として職能資格等級G1としたのに対し,女性は,一部をG2にし,その余の原告ら勤続年数の長い者を中心とした多くの者をG3にしており,この格付けは,男女差別的な思考に基づくものというべきである。 被告は,この格付けの方法について,新会社の職能資格要件に照らして,過去3年間のランク査定の成績及び定期昇給水準に基づき,担当職務の困難度・責任の大きさ,本人の能力・実績,経験年数による習熟度等を総合考慮して,再査定をした旨主張する。しかし,昭和石油におけるランク付け及び定期昇給査定の結果が,男女差別的なものであったこと,格付けが行われた当時,新会社の職能資格要件の詳細が定まっていなかった上,平成元年の社員用ガイドブック(乙7)に記載された職能資格要件が,職務の困難性を評価することができるものとはいえず,したがって,昭和石油における男女差別的な評価に基づき査定がされたおそれが高いこと等に照らすと,仮に被告が格付けの際に再査定をしていたとしても,この再査定はかえって男女差別をもたらすものであったというべきである。 また,被告は,格付けにおいて,Dランクについて,D1,D いこと等に照らすと,仮に被告が格付けの際に再査定をしていたとしても,この再査定はかえって男女差別をもたらすものであったというべきである。 また,被告は,格付けにおいて,Dランクについて,D1,D2・D3,D4の各ランクを上位・中位・下位の各グループに分け,D1につき上位・中位の者をG1,下位の者をG2に,D2・D3につき上位の者をG1に,中位の者をG1とG2に,下位の者をG2とG3に,D4につき上位・中位の者をG2に,下位の者をG3にした旨主張する。しかし,男性が,D1,D2,D3の者の少なくともほとんどがG1に格付けされていることに加え,D2・D3からG2又はG3に格付けされた者の少なくともほとんどが女性であること等に照らすと,上記のような方法で格付けがされたとは到底考えられない。 (ウ) 被告における取扱い被告における賃金に関する男女間の格差に関する状況に照らすと,被告は,男性について,年齢に応じた生計費に相応する賃金を支給するために,年功序列的な運用により職能資格等級及び定期昇給額を決定し,女性をこのような運用から排除して,職能資格等級及び定期昇給額を低く抑え,よって賃金について差別的取扱いをしてきたというべきである。 このことは,以下の点からも明らかである,a 「職能資格滞留年数」と題する書面について被告は,人事担当課長会議において,職能資格ごとの滞留年数を記載した別紙7の「職能資格滞留年数」と題する書面(甲106)を配布し,これにより昇格管理の基準・指針を示している。 この書面の内容をみても,「大卒」につきS3AとS2との間に,「高卒・技能職」につきG2とG1との間に,「高卒補助短大補助」につきG3とG2との間にそれぞれ自動的に昇格する職能資格の最終ラインが記載されている上,「大卒」又は「高卒・技能職」のうち「 間に,「高卒・技能職」につきG2とG1との間に,「高卒補助短大補助」につきG3とG2との間にそれぞれ自動的に昇格する職能資格の最終ラインが記載されている上,「大卒」又は「高卒・技能職」のうち「最短」の者については,M4Bまでの滞留年数が記載されているのに対し,「高卒補助短大補助」についてはS3Bまでの滞留年数しか記載されておらず,したがって,被告が学歴別,男女別に別に昇格管理を行っていること,のみならず女性を管理職(M4A以上)に登用しようとする姿勢を有していないことが明らかである(「高卒補助短大補助」が女性を指すことは,被告において,補助職という職種の限定が存しないこと,男性が例外なくS以上に昇格するのに対し,女性がGに留まっていること等に照らし,明らかである。)。 被告は,上記書面について,滞留年数のみに基づき昇格を判断することの問題性を明らかにするために,平成4年1月昇格者を対象としたサンプル調査に基づき,その実態の一部を示したものである旨主張するが,その記載内容に照らして到底採用できない(なお,この主張自体,被告が滞留年数を考慮して昇格を決めてきたことを自認するものである。)。この書面が昇格管理の基準を示したものであることは,この滞留年数の記載が被告提出のデータ(乙24)の分析結果と一致していることから明らかである。 b 「職能資格滞留年数」以外の被告の対応について① 「人事諸制度-ガイドブック」(乙7)には,年齢別の生計費の傾向を考慮し,資格と年齢により賃金表を作成する旨記載されている。これは,男性社員が家族を扶養する立場にあるとして,年齢に見合った生計費を支給する目的に基づくものである。 ② 被告の管理職は,女性社員の職能資格について,「Gは自動昇格ではないのか。(同社員が)G2というのはおかしい。」など発言し,男 あるとして,年齢に見合った生計費を支給する目的に基づくものである。 ② 被告の管理職は,女性社員の職能資格について,「Gは自動昇格ではないのか。(同社員が)G2というのはおかしい。」など発言し,男性において職能資格Gが自動昇格により運用されているとの認識を示した。 ③ 被告の人事部長は,平成5年2月10日付け書面において,管理職以外の社員について,男女別に配置する人員計画を作成し,よって,女性社員を男性社員の補助的役割と位置づけ,そのような役割を担わせようとした。 ④ 被告の人事部は,平成5年,男性である中堅社員(職能資格Sの者)に対して多彩な研修を用意したのに対し,女性にはあまり研修を用意しなかった上,「魅力的な女性になるため」の研修を実施し,よって,男女別に教育訓練を行い,女性には「職場の花」としての役割を担わせようとした。 ⑤ 被告は,昭和61年,賃上げ回答において「高卒男子28才標準者」とし,職能資格別定額としてG1の場合の金額を回答した。これは,男女別に賃金管理がされていたこと,男性社員が例外なくG1まで28歳までに自動昇格することを示したものである。 ⑥ 被告は,昭和63年,労働組合に向けた文書において,男性労働者の企業規模別賃金を資料として添付しており,女性労働者の賃金について何ら関心を寄せていなかった。 ⑦ 被告は,男性社員が家族を扶養する立場にあるとして,手当,福利厚生の面で男性を優遇し,女性を差別している。 すなわち,被告は,ⅰ家族手当の支給にあたり,女性に対し,結婚している男性と異なり,被扶養者に関する証明を求めた,ⅱ女性が住宅貸付けを受けるにあたり,男性と異なり,所属事業所の総務課長が本社に出向いて特別に依頼する等の手続をしなければならなかった,ⅲ結婚して,持ち家に住んでいる共働き女性について,男性と異なり,「親 住宅貸付けを受けるにあたり,男性と異なり,所属事業所の総務課長が本社に出向いて特別に依頼する等の手続をしなければならなかった,ⅲ結婚して,持ち家に住んでいる共働き女性について,男性と異なり,「親元」との表記をし,家族の生計費を負担する必要のない者として扱っている,ⅳ住宅手当の支給にあたり,世帯主と会社が認める者との基準を設けた上で,女性が住民票の世帯主になった場合に,男性と異なり,主たる生計維持者であることの証明を求めている。 ⑧ 昭和56年10月現在,組合員の範囲を定める労働協約4条は,労務課職員を組合員から除外しているが,女性をこの除外の対象から除いている。これは,被告が,労務課において女性社員が組合員たる地位と相反するような職位に就くことがあり得ないとの考えを有していたことを示すものである。 c 人事制度について以下のとおり,被告の人事制度は,それ自体が男女差別を生みやすい構造を有している。 ① 被告の職能資格制度は,年功とともに能力が伸びることを前提にしたものであり,また,被告が重視する考課項目である「情意」「能力」は,客観性に乏しく,恣意が入りやすいものである。 特に,一般職であるGの場合,情意考課が40%と高く配分されているところ,情意考課においては,女性は,積極性,責任性等を期待できないとして,男性より低く評価することになりやすい。 ② 被告においては,昇格にあたり,上司の申請が必要とされており,自動昇格の期間を除き,上司が昇格申請をしなければ,昇格の可否を組織的に検討する機会がなくなる制度になっている。これによると,上司が,女性社員は補助的役割さえ担っていればよいと考えれば,女性が昇格できないことになる。 実際,被告の男性管理職は,女性を男性と同様に昇格させ,重要なポストに登用しようという考えを有しておらず,女性社 女性社員は補助的役割さえ担っていればよいと考えれば,女性が昇格できないことになる。 実際,被告の男性管理職は,女性を男性と同様に昇格させ,重要なポストに登用しようという考えを有しておらず,女性社員が抗議をしたり,行政庁へのあっせん等の不服申立てを行った場合に,男性であれば当然に昇格するG1以下の職能資格に少しずつ昇格させているのが実態である。 ③ 被告においては,上司が昇格申請や成績に応じた考課をした場合であっても,本人の仕事振りを直接見ていない上位の考課機関が,差別意思に基づき,昇格を認めなかったり,考課が下げたりした例が多い。現に,第二次考課者が,労働組合員であることを理由として,評価を下方修正し,標準以下の査定を繰り返し行ったことが,地方労働委員会において認められ,不当労働行為救済命令の根拠にされている。また,女性の場合,直属の上司が昇格申請をしても,結局昇格できなかった例が少なくない。 d 被告の主張自体にみられる差別性以下のとおり,被告の主張自体からも,賃金に関する男女差別の事実は明らかである。 ① 被告は,昭和石油において,女性の業務が業務の性質上一般事務に限定されていた旨主張する。しかし,一般事務に従事する男性も数多く存在していた上,「今年の昇給について」(乙4)は,一般事務に従事する者をスタッフ系統として,この系統のランク区分を示しているから,女性の業務が一般事務に限定されたことは,低いランクに留まったことの理由にはならない。むしろ,事務部門に所属する男性は,現業部門に所属する男性より早くランクが上がっている。 被告の上記主張は,女性が女性であることを理由に低いランクに留まっていることを自認するものである。 ② 被告は,昭和石油又は被告において,女性の平均勤続年数が男性より短かかった旨主張するが,5年以上勤続した者 主張は,女性が女性であることを理由に低いランクに留まっていることを自認するものである。 ② 被告は,昭和石油又は被告において,女性の平均勤続年数が男性より短かかった旨主張するが,5年以上勤続した者の平均勤続年数において男女間でほとんど差がなかったことを考えると,女性の勤続年数が,女性が補助業務に留まり,低いランクに留まったことの合理的理由にはならない。被告が,一般に女性の平均勤続年数が短いとして,原告のように勤続年数が長い女性に対しても賃金について男性と別の取扱いをしていたとすれば,これこそ女性差別にほかならない。 ③ 被告は,昭和石油又は被告において,女性は補助業務に従事しており,職務の困難度が高いとはいえないから,低い資格になった旨主張するが,女性が補助業務に従事していたことの合理的根拠を示さずに,このような評価を加えること自体,「女性が処理している業務であるから,定型業務であり,困難度が高いとはいえない。」という偏見によるものである。 ④ 被告は,合併時の格付けについて,従前のE・Fランクを職能資格Sに,従前のDランク以下を職能資格Gに対応させることとし,新しい職能資格要件に照らし,過去3年間のランク査定及び定昇査定の結果に基づき,再査定をした上で,各人の職能資格を決定した旨主張する。しかし,昭和石油が,男女別にランク及び定昇金額に関する査定を行い,女性の賃金を抑えてきたこと,このような男女別管理の結果に基づき再評価を行い,格付けを行ったことを考えると,被告の上記主張は,合併時の格付けが,性による差別を継続させる意図に基づきされたことを裏付けるものというべきである。 ⑤ 被告は,女性のランク又は職能資格が低いのは,ランク又は職能資格に応じた職務に就いていなかったからである旨主張するが,前記のとおり,昭和石油及び被告は,男性について けるものというべきである。 ⑤ 被告は,女性のランク又は職能資格が低いのは,ランク又は職能資格に応じた職務に就いていなかったからである旨主張するが,前記のとおり,昭和石油及び被告は,男性については,潜在能力や期待度によって次のランク又は職能資格への適格性を判断していたのであり,女性について上記のような主張をすることは,昇格につき男性より高いハードルを設けるものであり,性による差別をしたものいうべきである。 オ不法行為該当性(ア) 労働基準法4条違反以上のとおり,被告は,原告が女性であることのみを理由として,あるいは,女性労働者が一般的又は平均的に勤務能率が悪い,勤続年数が短い,女性が主たる生計の維持者でないこと等を理由として,原告の賃金について差別を行ってきたものである。 原告の勤務能率,技能は優れたものであった上,職務内容も他と比較して勝るとも劣らないものであったから,原告個人に関する事情は賃金差別の理由にならない。 したがって,被告の原告に対する取扱いは労働基準法4条に違反する。 (イ) 民法90条違反仮に,原告に対する賃金差別が配置又は昇進における女性差別の結果であったとしても,憲法14条が性別による差別を禁止し,憲法13条が個人の尊厳を定めていること,これを受けて労働基準法3条が労働条件に関する差別を禁止し,同法4条が賃金における女性差別を禁止していること,労働条件における合理的理由のない性別による差別的取扱いは,民法1条の2及び90条に違反し,違法無効とする判例が確立していること,本件においては,採用段階では,男女間における異なる取扱いが契約の内容となっていないこと,以上に照らすと,原告が女性であることを理由に,配置・昇進において差別的取扱いをし,これにより賃金差別をすることは,憲法14条,13条,民法1条の2 ける異なる取扱いが契約の内容となっていないこと,以上に照らすと,原告が女性であることを理由に,配置・昇進において差別的取扱いをし,これにより賃金差別をすることは,憲法14条,13条,民法1条の2に反し,民法90条の公序良俗違反に当たる違法な行為というべきである。 (ウ) 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」(昭和61年4月1日施行。以下「均等法」という。)との関係について被告は,均等法の施行前から,日本企業においては被告と同様に男女間の格差があり,同法の施行当時,募集,採用,配置,昇進に関する均等取扱いに関する規定が,禁止規定ではなく,努力規定であったことを根拠に,被告における男女間の格差は違法でないと主張するようである。 しかし,同法は,立法経緯に照らしても,すべての性差別を禁止する女子差別撤廃条約及び憲法14条を具体的に実現するために制定されたものであり,募集,採用,配置,昇進に関する性差別を許容するものではない。また,同法は,裁判によらなくとも,行政指導によって雇用上のすべての女性差別を撤廃するためのものであり,禁止規定と努力規定との差は,行政上の規制の強弱の差であるから,努力規定であることをもって公序良俗違反を否定することはできない。 したがって,均等法の上記規定を根拠に,本件における賃金差別の違法性を否定することは許されない。 (エ) まとめ以上のとおり,被告は,原告に対し,女性に対する差別的意思をもって,賃金差別又は配置・昇格に関する差別を行ったのであり,これは,故意に基づく違法として(仮に違法性を認識せず差別的待遇をしていたとしても,平等に処遇すべき義務を怠った過失があることは明らかである。),不法行為を構成するものというべきである。 (被告の主張)ア昭和 づく違法として(仮に違法性を認識せず差別的待遇をしていたとしても,平等に処遇すべき義務を怠った過失があることは明らかである。),不法行為を構成するものというべきである。 (被告の主張)ア昭和石油における原告のランクについて昭和石油において,賃金は,男女別に定められるものではなく,人事諸制度,特に職能資格制度(以下「ランク制度」という。)に基づき,人事考課及び組合との交渉により決定されていた。 ランク制度は,昭和36年ころにはほぼ整備が完了し,その後何回かの見直しを経て,昭和59年当時には,組合員資格を有する社員の職能資格(ランク)は,「主事補・技師補」を含めると,その担当業務や職務遂行能力等により,F1,F2,E1,E2,D1,D2,D3,D4,C,B1,B2,B3,無ランクの13のランクに分かれていた。Dランクは,一般職相当のランクであり,D1,D2は,「定型業務に従事し,十分な基本知識と相当な業務経験を有する者」,D3,D4は,「定型的な業務に従事し,ある程度の基本知識と業務経験を有する者」であり,C以下のランクは,補助業務に従事する者となっていた。 原告の業務内容をみると,株式課においては,男性社員の補助として株式名義の書換・受付に従事していたが,原告の業務は,預かり証の受取り,名義書換済みの株券の交付,送り状と預かり証の照合や枚数確認といったものであり,定型業務に他ならない。また,総務課における和文タイプの業務は,タイプを打つのに必要な範囲で,石油会社に勤務する社員にとって常識的な知識を必要とするにすぎず,タイプにより文書を作成するのに技能・経験を要することを考慮しても,定型業務であることを否定することはできない。合併直前のころに従事したテレックス又はコンピューター端末の各操作は,通常OJTを実施しながら操作技術を習 作成するのに技能・経験を要することを考慮しても,定型業務であることを否定することはできない。合併直前のころに従事したテレックス又はコンピューター端末の各操作は,通常OJTを実施しながら操作技術を習得するものであり,操作自体は特に困難度が高い業務とはいえない。したがって,原告は「定型業務に従事し,十分な知識と相当な業務経験を有する者」としてDランクに相当するものである。 しかも,原告の勤務態度をみても,かつての上司が協調性に欠けると判断していたことや職場のリーダーになろうとする等の意欲がみられなかったこと等から,合併時においてDランクが相当であった。 以上によれば,昭和石油における原告のランクは妥当なものである。 イ合併時における原告の格付けについて合併後の新会社(被告)は,職能資格制度を採用し,組合員資格を有する社員は,「M4B(管理専門職)」,「S1,S2,S3(監督企画判定職。なお,昭和63年1月にS3Aが新設され,従前のS3がS3Bとなった。)」,「G1,G2,G3,G4(一般職)」のランクに属することとなった。各ランクの職能資格要件の概要は別紙4の「職能資格要件概要」のとおりである。 そして,合併にあたり,昭和石油とシェル石油との賃金の調整作業が行われ,被告は,昭和石油における係長相当職(F1,F2ランク)及び組長相当職(E1,E2ランク)の者を被告の監督企画判定職(S3,S2,S1)に,昭和石油における一般職(D1,D2,D3,D4)及び補助職(C,B1,B2,B3)を被告の一般職(G1,G2,G3,G4)にそれぞれ対応させることにした。 その際,昭和石油におけるランク制度における職能資格要件にこだわらずに,被告の資格要件に照らして格付けを行う方針をとった。すなわち,Dランク以下の者(一般職及び補助職)については,D ことにした。 その際,昭和石油におけるランク制度における職能資格要件にこだわらずに,被告の資格要件に照らして格付けを行う方針をとった。すなわち,Dランク以下の者(一般職及び補助職)については,D1ないしD4のグループとC以下のグループに分け,前者については,各ランクごとに上位,中位,下位の各グループに分け,D1につき上位・中位グループはG1に,下位グループはG2にし,D2・D3についてはひとまとめにして,上位グループはG1に,中位グループはG1とG2に,下位グループはG2とG3にし,D4につき上位・中位グループはG2に,下位グループはG3にした。ただし,下位グループの者については,新たに格付けした資格が,実際の仕事の内容,職務又は資格要件に照らして適正かどうかを検討し,職務内容の困難度が相当高いと認められる者に関しては,格付けした資格を上位に修正した。なお,この能力の見直しは,過去3年のランク査定の成績及び定昇基準により検討し,決定された。 これを原告についてみると,原告は,合併直前においてD2ランクであったところ,原告の当時の業務(特にコンピューター端末操作,テレックス業務等)が,特に困難度が高いとはいえず,日常定型的な業務が中心であったことから,G2にすることは困難であり,G3にしたものである。 したがって,合併時における原告の格付けは妥当なものである。 ウ被告における職能資格等級について原告は,合併後,引続きタイプ,並びにテレックス又はコンピューター端末の各操作に従事し,平成2年9月から退職した平成4年5月までの間は,①コンピュータ端末処理(三菱商事又は被告への出荷業務に関して,出荷オーダーを端末に打ち込む業務),②テレックス業務(製油所からのデータを受け入れ,東京事務所の各担当者に配布する業務),③郵便物の受発信及び切 タ端末処理(三菱商事又は被告への出荷業務に関して,出荷オーダーを端末に打ち込む業務),②テレックス業務(製油所からのデータを受け入れ,東京事務所の各担当者に配布する業務),③郵便物の受発信及び切手の管理,④事務用品の管理,⑤新聞・図書の管理,⑥石油連盟提出資料作成の補助事務(業界団体である石油連盟に毎月提出する指定統計調査資料の作成について,主担当者の補助をするもの)に従事していたが,いずれも高度な判断,知識を要するものではなく,単純定型業務であり,量的にみても勤務時間内に余裕をもってこなせる仕事量であった。 しかも,原告の場合,その業務遂行過程において求められる積極性,協調性について欠けるところが見受けられるとともに,その成績・能力においても特段に評価すべきものが見受けられなかった。すなわち,成績面において,原告は,仕事自体はそこそこにこなしていたものの,全般的に高い評価をつける成果を上げたとはいえず,自ら工夫,改善提案等を具体的に行う等の行為がみられず,能力についても特に評価すべきものはみられなかった。また,仕事に積極的に取組む姿勢に欠け,自己の殻に閉じこもった感があり,他の社員との協調性に欠ける面も見受けられ,上司が,仕事を一緒に楽しくしてもらうべく努力しても,これに応じようとしなかった。 以上の点を考慮し,被告は原告の能力開発考課を行い,職能資格等級の格付けを行ったものであり,被告の原告に対する処遇は妥当なものである。 原告は,東京事務所又は被告の総務部門に所属する男性社員との間で,職能資格等級において大きな格差があったから,原告の職能資格等級が不当に低かった旨主張する。しかし,この格差は,原告と他の男性社員との業務内容等の違いに基づくものであり,何ら不当でない。すなわち,①P4は,原告と異なり大卒である上,主に外国メー の職能資格等級が不当に低かった旨主張する。しかし,この格差は,原告と他の男性社員との業務内容等の違いに基づくものであり,何ら不当でない。すなわち,①P4は,原告と異なり大卒である上,主に外国メールを主に担当し,他のメールに関する業務委託会社の管理責任者となっており,事務業務の内容も原告と異なっていた,②P5は,原告と異なりシェル石油入社者である上,会社に対する貢献度が原告と異なっていた,③P2は,役所関係の窓口業務及び三菱商事との間の諸々の調整業務に留まらず,石油製品の入出荷関係の業務に従事してきており,原告の従事した業務とは全く内容が異なる上,業務に対する取組み姿勢も異なる,④P3は,原告と比較して重要な業務に従事しており,原告はP3の仕事の一部に携わっていたにすぎない。 エ均等法との関係均等法は,施行当時,我が国の雇用関係において,一般的に終身雇用を前提とした雇用管理がされており,女性が男性に比較して勤続年数が短く,勤続意欲にも差異が存した実情にかんがみ,使用者に対し,男女の配置,昇進等について均等な取扱いをする努力義務を課するに留まっている。したがって,配置,昇進の男女格差については,私法上,原則としてその違法が問題となることはなく,公序良俗違反と評価される程度に至った場合に限り,損害賠償義務が肯定される余地があるというべきである。 昭和石油又は被告においては,前記の一般的な雇用情勢と同様の状況が存しており,特に原告が所属した昭和石油及び昭和四日市石油においては,精油所・油槽所での現業部門が多く,石油製品の取扱いのため現業部門の大半が男性要員で構成されており,女性は,本店及び一部支店並びに各事業所において,事務職員として数名配置されるに留まっていた。そのため,男性については,種々の職場,職務及び特殊な資格の修得と多岐にわ 半が男性要員で構成されており,女性は,本店及び一部支店並びに各事業所において,事務職員として数名配置されるに留まっていた。そのため,男性については,種々の職場,職務及び特殊な資格の修得と多岐にわたる経験・知識を要するものとしたのに対し,女性については,前記のような事務要員としての職務に従事させる体制をとり,このことに応じて配置,昇進及び賃金に関する判断を行ってきたものである。 被告及び昭和四日市石油における男女間の賃金格差に関する状況は,同業他社とほぼ同様であり,前記の雇用情勢,均等法の規定の趣旨に照らしても,被告が原告に対して男性との間で差別的取扱いをしたとはいえず,公序良俗に反しない。 オまとめ以上のとおり,昭和石油及び被告における人事諸制度は使用者の裁量権の範囲内であり,かつ合理的な制度であった上,原告に対する処遇は何ら違法なものではない。また,男女間に格差が存したとしても,合併後の昭和61年4月に均等法が立法された事実は,当時の日本において男女労働者の格差が存在したことを前提とするもので,その格差が直ちに違法となるものではない。 よって,原告の賃金に関する取扱いは違法ではなく,不法行為に当たらない。 (2) 争点(2)について(原告の主張)ア差額賃金(月例賃金・賞与・退職金)相当損害金について原告は,昇格に関する実態に照らすと,遅くとも37歳になった昭和45年にはEランクに,46歳になった昭和54年にはFランクに,昭和60年の合併時には少なくとも職能資格等級S2に格付けられるべきであった。また,定期昇格査定においては,男性で,組合差別を受けている全石油昭和シェル労働組合員を除くと,半分がA評価,残り半分がB評価を受けていることに照らすと,原告は,B査定に基づく定期昇給をされるべきであった。しかるに,昭和石油及び被告 で,組合差別を受けている全石油昭和シェル労働組合員を除くと,半分がA評価,残り半分がB評価を受けていることに照らすと,原告は,B査定に基づく定期昇給をされるべきであった。しかるに,昭和石油及び被告による違法な差別的取扱いにより,合併前にD2ランク,合併時に職能資格等級G3,昭和61年から定年退職までG2という低い資格とされた上,定期昇給においても低い査定額とされ,これに応じた低額の賃金とされた。 したがって,不法行為に基づく差額賃金相当損害金(合併時である昭和60年1月から退職した平成4年5月までの間における差額賃金(月例賃金,賞与,退職金))の額は,下記のとおりとなる(具体的算定根拠は,別紙6のⅠ「原告に対して支給された賃金」,Ⅱ「原告が受けるべき賃金」及び別紙2「原告請求額一覧表」に記載のとおりである。)。 (ア) 月例賃金及び賞与の差額 1824万8236円(イ) 退職金の差額一時払分 433万5862円年金分(平成14年2月分までの分) 527万0148円年金分(平成14年3月分以降の分) 527万4788円(ウ) 小計 3312万9033円イ差額公的年金相当額原告は,被告による違法な差別的取扱いにより,別紙6Ⅱ記載の「原告が受けるべき賃金額」を前提に算定した厚生年金保険による公的年金を受給することができなくなった。 そして,原告の昭和60年1月から平成4年5月までの間の実際の平均報酬月額と,差別がなければ支給されていたはずの平均報酬月額の格差比率が,原告の厚生年金保険への加入期間における上記の格差比率と同程度であると見込まれることによると,原告の加入期間における支給されるべき平均報酬月額は,昭和60年1月から平成4年5月までの間につき算定した格差比率に基づき,原告の加入期間における実際の平均報酬月額から算定する まれることによると,原告の加入期間における支給されるべき平均報酬月額は,昭和60年1月から平成4年5月までの間につき算定した格差比率に基づき,原告の加入期間における実際の平均報酬月額から算定するのが相当である。 これによると,差額公的年金相当額は,下記のとおりとなる(別紙2「原告請求額一覧表」参照)。 (ア) 平成14年2月分までの分 532万7712円(イ) 平成14年3月分以降の分 533万2403円(ウ) 小計 1066万0115円ウ慰謝料 500万円原告は,昭和石油及び被告による差別的取扱いにより長年にわたり人格を傷つけられており,これによって被った精神的苦痛は甚大なものである。したがって,前記ア,イの差額相当損害金とは別に,少なくとも慰謝料500万円が認められるべきである。 エ弁護士費用 412万円損害金及び慰謝料の合計額の1割である412万円が,弁護士費用として認められるべきである。 オ損害合計額 5290万9148円(被告の主張)ア原告の主張ア,イ及び遅延損害金の起算日について原告主張の損害額算出の前提となる請求権の存在自体は否認し争うが,原告の主張のとおりと仮定した場合の計算関係としては,その数値を争わない。 イ原告の主張ウないしオについて否認し,争う。 第3 当裁判所の判断 1 昭和石油及び被告における男女間の賃金に関する格差の有無について(1) 認定事実前提となる事実,証拠(後記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア昭和石油における状況昭和石油では,毎年4月に定期昇給実施後,各従業員に対し,書面でその年の4月1日現在における新本給を通知しており,これには,各人のランク(ただし,BからFまでのランクのみで,細ランクは示されない。),旧本給,定率,定額,定昇, 給実施後,各従業員に対し,書面でその年の4月1日現在における新本給を通知しており,これには,各人のランク(ただし,BからFまでのランクのみで,細ランクは示されない。),旧本給,定率,定額,定昇,職群等の額及び昇給合計額,新本給及び新基準内賃金(新本給・家族手当・勤務地手当・役付手当・別居手当)の額が記載されている(甲22)。 昭和石油労働組合は,新本給通知が交付された直後,所属組合員を対象に,昭和石油から通知される新本給の内容について調査を実施し,その集計結果をまとめた「資料と報告」と題する冊子を公表している。この調査は,組合員に対し「賃金調査」の用紙を配布し,各組合員に,氏名,性別,職制,学歴,生年月日,入社年月日,扶養者数,ランク,旧本給,賃上げ額(年齢別定額・定率・定昇・職群別定額),基準賃金(新本給・家族手当),基準内賃金(基準賃金・勤務地手当・役付手当)の各細目について記入させ,これを回収する方法によっており,昭和57年4月1日現在の「資料と報告」(甲1の1,2)及び昭和58年4月1日現在の「資料と報告」(甲2の1,2)は,いずれも組合員の概ね95パーセント以上の調査結果に基づいている。なお,昭和石油では,ユニオンショップ制を採っており,昭和石油の従業員のうち組合員資格を有する者は,原則として昭和石油労働組合の組合員である。(甲1の1,2,甲2の1,2,甲21,22,51,証人P7)この「資料と報告」に基づき,昭和石油従業員のランク及び定期昇給の状況をみると,概ね以下のとおりである(なお,被告は,上記「資料と報告」の正確性に疑問を呈するが,上記の作成経過に加え,これに反する証拠が存しないことに照らすと,多少の集計ミス等がありうるとしても,全体として十分信用に値する資料というべきである。)。 (ア) ランクに関する状況 問を呈するが,上記の作成経過に加え,これに反する証拠が存しないことに照らすと,多少の集計ミス等がありうるとしても,全体として十分信用に値する資料というべきである。)。 (ア) ランクに関する状況a 昭和57年の状況(甲1の1・6頁)昭和57年(4月1日現在,以下同じ。)におけるランク(職群)に関する集計結果は,Fランク以下の者をみると,下表のとおりであった。 中卒高卒男女男女B 0 0 173  101C 0 1 79D4・D3 0 2 112  139D2・D1  66  11 359E 167 0 471F 34 0 203小計 267  14  1397  363合計 281 1760大卒合計男女男女計B 3 0 176  101  277C 4 3 83 98  181D4・D3  50 3 162  144  306D2・D1  42 1 467 40  507E 125 0 763 1  764F 70 0 307 0  307小計 294 7  1958  384 2342合計 301 2342b 昭和58年の状況(甲2の1・6頁)昭和58年におけるランク(職群)に関する集計結果は,Fランク以下の者をみると,下表のとおりであった。 301 2342b 昭和58年の状況(甲2の1・6頁)昭和58年におけるランク(職群)に関する集計結果は,Fランク以下の者をみると,下表のとおりであった。 中卒高卒男女男女B 0 0 105C 0 1 63D4・D3 0 1 100  150D2・D1  43  10 441E 159 0 438F 30 0 205小計 232  12  1352  328合計 244 1680大卒合計男女男女計B 0 0 105 82  187C 3 1 66 71  137D4・D3  29 3 129  154  283D2・D1  44 1 528 37  565E 106 0 703 1  704F 92 0 327 0  327小計 274 5  1858  345 2203合計 279 2203c 昇格に関する状況(甲1の1,2,甲2の1,2,甲5,51)(a) 昭和57年に25歳の高卒男性は87名おり,ランクは全員がD3又はD4であったところ,昭和58年に26歳の高卒男性は87名で全員がD1又はD2ランクであるから,昭和57年に25歳であった高卒男性は,全員が26歳でD1又はD2に昇格したこととな クは全員がD3又はD4であったところ,昭和58年に26歳の高卒男性は87名で全員がD1又はD2ランクであるから,昭和57年に25歳であった高卒男性は,全員が26歳でD1又はD2に昇格したこととなる(なお,各人の職群は,賃上げ額から定率,定昇,年齢別定額を控除して算出される職群別定額の金額により推定することができる。)。また,昭和57年に26歳であった高卒男性は61名おり,ランクは59名がD1又はD2,2名がD3又はD4であったところ,昭和58年に27歳である高卒男性61名のランクは,全員がD1又はD2であるから,結局この年代の高卒男性は27歳までに全員がD1又はD2に昇格したことになる。 これに対し,高卒女性でDl又はD2ランクの者は,昭和57年に32歳の者11名中1名,34歳の者2名中1名,35歳の者2名中1名,36歳の者1名中0名と37歳以上の者であり(33歳の高卒女性は在籍せず。),これより年齢が若い者は,D3以下であった。 (b) 昭和57年に36歳であった高卒男性は5名おり,ランクはDが4名,Eが1名であったが,昭和58年に37歳の高卒男性5名のランクは全員がEとなっているから,この年代の高卒男性は37歳までに全員がEに昇格したことになる。 これに対し,女性は全調査対象女性従業員(昭和57年は398名,昭和58年は372名)中,昭和57年に54歳で翌年に55歳(最高齢)となった者1名を除き,E以上の者はいない。 (イ) 定期昇給に関する状況a 昭和57年の状況(甲1の1・11頁)昭和57年の定期昇給における昇給額(定昇)の状況は,下表のとおりであった。 (図1)b 昭和58年の状況(甲2の1・11頁)昭和58年の定期昇給における昇給額(定昇)の状況は,下表のとおりであった。 (図2)(ウ) 本給額の状況(甲2の1) 下表のとおりであった。 (図1)b 昭和58年の状況(甲2の1・11頁)昭和58年の定期昇給における昇給額(定昇)の状況は,下表のとおりであった。 (図2)(ウ) 本給額の状況(甲2の1)a 昭和58年の本給額に関する分布図は,下図のとおりである。 (男性)1352名(図3)(女性)372名(図4)イ合併時の格付けの状況(ア) 昭和石油とシェル石油の合併に伴い,昭和石油におけるランクから被告における職能資格等級に移行するにあたり,昭和石油とシェル石油との間で旧資格と新資格との対応関係について,原則として,昭和石油でF,Eランクの者はSランクに,D,C,Bランクの者はGランクに対応させるという基本合意がなされ,その上で,各ランクにおける細分ランクの格付けは,各社において行うこととなった(証人P10)。 この合併時の格付けの状況について,被告が提出した資料である「1985年合併時の格付けについて」と題する書面(乙11)の内容は,下表のとおりである(上記書面の対象者は,昭和石油の社員で,合併後にG1以下の職能資格等級とされた者1142名である。)。 昭和石油におけるランク →  被告における職能資格等級合計男女資格合計男女E2以上 51  51 0  G1  581 575D1 214 214 0  G2  182 147D2 328 289  39  G3  327 107 220D3 103  25  78  G4 52 0D4 201 143  58  合計 1142 829 313C 94  48B1 105  59B2 18 0B3 0D4 201 143  58  合計 1142 829 313C 94  48B1 105  59B2 18 0B3 28 0合計 1142 829 313(イ) 上記(ア)において,仮に昭和石油におけるランク順に沿って被告における職能資格等級が格付けされたとした場合,格付けによるランクから職能資格等級への移行の状況は,下表のとおりになる。 (図5)この表に基づき,各ランクごとに格付けに関する男女間の差異をみると,次のとおりになる。 昭和石油においてD2ランクであった者については,男性は,289名全員が被告の職能資格等級G1に格付けされたのに対し,女性は,39名のうち6名のみがG1とされ,その余の33名はG2に格付けされたことになり,D3ランクであった者についてみると,男性は,25名のうち21名がG1に,その余4名がG2に格付けされているが,女性は,78名のうちG1とされた者はおらず,2名がG2とされたのみで,その余76名がG3に格付けされたことになり,D4ランクであった者についてみると,男性は,143名全員がG2に格付けされているが,女性は,58名全員がG3とされたことになる。 B1ランクであった者についてみると,男性は,59名全員がG3に格付けされているが,女性は,46名のうち40名がG3に,その余の6名はG4に格付けされたことになる。 (ウ) 証人P10は,合併時の格付けの方法について,C以下のランクの者につき1つ上のランクに昇格させ,また,D2・D3のランクの者をひとまとめにした上で,各ランクを上位・中位・下位の各グループに分けて,これに応じた職能資格等級を定め,下位グループの者については職務の困難度に応じて職能資格等級を せ,また,D2・D3のランクの者をひとまとめにした上で,各ランクを上位・中位・下位の各グループに分けて,これに応じた職能資格等級を定め,下位グループの者については職務の困難度に応じて職能資格等級を上方修正した旨後述する。 そこで,同供述を前提にして,仮にランク順に職能資格等級の格付けがされたとした場合,移行の状況は次のとおりになる(甲26,27,証人P7)。 (図6)上記の表に照らすと,男性は,D2・D3ランク314名のうち310名は職能資格等級G1に格付けられ,D4ランク191名のうち143名はG2に格付けられたのに対し,女性は,D2・D3ランク117名のうち6名がG1に,うち多くとも35名がG2に,うち少なくとも76名がG3に格付けられ,D4ランク104名のうちG2に格付けられた者は,仮にいたとしても極めて少数であったことが認められる。 ウ合併後の被告における状況昭和59年12月(合併前月)時点で昭和石油に在籍し,平成12年9月ころ現在,被告に在籍していた社員(管理職の者を除く。)のうち,学歴が高卒又は中卒の者は,男性785名,女性63名であり,これら合計848名の者について,①性別,②入社年月日,③入社後平成4年5月までの社内歴,④合併時(昭和60年)から平成4年までの職能資格,⑤給与明細総計表(昭和61年12月分,昭和62年から平成3年までの各年1月分及び12月分,平成4年1月分及び同年5月分)のデータを被告が開示したものが乙第24号証である。 上記の男性785名中,中卒者又は高卒で中途採用者であると推測される者が45名おり,これを除外すると,高卒の新卒者は740名となる。また,女性63名のうち,高卒の新卒者と認められる者は32名であり,その余の31名は中途入社者であるが,ほとんどが高卒者である。(甲94の2,証人P ,これを除外すると,高卒の新卒者は740名となる。また,女性63名のうち,高卒の新卒者と認められる者は32名であり,その余の31名は中途入社者であるが,ほとんどが高卒者である。(甲94の2,証人P11第2回)被告が提出した上記データ中,男性の高校新卒者と認められる740名と,女性63名に関するデータを基に分析した結果は,概ね以下(ア)ないし(エ)のとおりである。 (ア) 職能資格等級に関する状況a 男性についてa) 昇格状況(甲95の1,110)昭和59年入社者(13名)は,全員が入社から1年9月が経過した昭和61年1月(以下,この昇格の時期を「入社2年目」といい,この標準年齢を20歳という。以下,年齢はいずれも標準年齢を表す。昇格の時期はいずれも1月である。)にG4へ,4年目にG4からG3へ,8年目の平成4年1月にG3からG2へ昇格している。 昭和56年入社者(53名)は,全員が入社6年目にG3からG2へ,10年目にG2からG1へ昇格している。 昭和55年入社者(39名)は,全員が入社6年目にG3からG2へ,9年目にG2からG1へ昇格している。 昭和54年入社者(57名)は,入社6年目では全員がG2であり,9年目に1名を除く全員がG2からG1へ昇格し(1名は10年目にG1へ昇格),13年目の平成4年1月に1名がS3Bに昇格している。 昭和53年入社者(67名)は,入社7年目では全員がG2であり,G1への昇格は,8年目と10年目の各1名を除く他の全員が9年目であり,14年目の平成4年1月時点では,13年目にS3Bに昇格した1名を除き,他の全員がG1である。 昭和52年入社者(17名)は,入社8年目では全員がG1であり,15年目の平成4年1月に5名がS3Bに昇格している。 昭和50年入社者(80名)は,入社10年目では全 き,他の全員がG1である。 昭和52年入社者(17名)は,入社8年目では全員がG1であり,15年目の平成4年1月に5名がS3Bに昇格している。 昭和50年入社者(80名)は,入社10年目では全員がG1であり,13年目に2名,14年目に5名,15年目に6名,16年目に9名17年目に26名がG1からS3Bに昇格し,2名が17年目にS3BからS3Aに昇格している。17年目の平成4年1月時点では,G1が32名,S3Bが46名,S3Aが2名である。 昭和49年入社者(58名)は,入社11年目では全員がG1であり,14年目に1名,15年目に15名,16年目に11名,17年目に14名,18年目に13名がS3Bに昇格している。入社18年目の平成4年1月時点では,G1の4名を除く全員がS3Bである。 昭和48年入社者(47名)は,入社12年目では全員がG1であり,14年目から18年目の間に43名がS3Bに昇格し,18年目に3名,19年目に4名がS3Aに昇格している。19年目の平成4年1月時点では,G1の2名,S3Aの7名を除く38名がS3Bである。 昭和47年入社者(79名)は,入社13年目ではG2の1名を除く全員がG1であったが(G2の1名は14年目にG1に昇格),15年目以降S3Bへの昇格者が出て,19年目までに72名がS3Bに昇格し,また18年目以降はS3Aへの昇格者も出て,20年目の平成4年1月時点では,G1が3名,S3Bが51名,S3Aが25名である。 昭和46年入社者(52名)は,入社14年目では全員がG1であったが,15年目以降S3Bへの昇格者が出て,19年目までに49名がS3Bに昇格し,また18年目以降はS3Aへの昇格者も出て,21年目の平成4年1月時点では,G1が1名,S3Bが22名,S3Aが29名である。 昭和45年入社 の昇格者が出て,19年目までに49名がS3Bに昇格し,また18年目以降はS3Aへの昇格者も出て,21年目の平成4年1月時点では,G1が1名,S3Bが22名,S3Aが29名である。 昭和45年入社者(21名)は,入社15年目ではS3が5名,G1が16名であったが,19年目までに18名がS3Bへ昇格し,また17年目以降はS3Aへの昇格者も出て,22年目の平成4年1月時点では,G1の2名,S3Bの5名を除く14名がS3Aである。 昭和44年入社者(20名)は,入社16年目では,12名がG1,8名がS3であったが,18年目にはG1の1名,S3Aに昇格した1名を除く全員がS3Bとなり,23年目の平成4年1月時点では,G1の1名,S3Bの2名を除く全員がS3Aである。 昭和43年入社者(12名)は,入社17年目ではG1の2名を除く全員がS3であったが,18年目に全員がS3Bとなり,19年目以降S3Aへの昇格者が,24年目にS2への昇格者が出て,24年目の平成4年1月時点では,S3B1名,S2の3名を除く8名がS3Aである。 昭和37年入社者(4名)は,入社23年目では全員がS3であり,27年目までに全員がS3Aに昇格し,28年目以降はS2への昇格者も出て,30年目の平成4年1月時点では,S3A,S2が各2名である。 昭和36年入社者(51名)は,入社24年目では全員がS3であったが,26年目に6割以上がS3A(29名)又はS2(5名)となり,30年目以降はS1への昇格者も出て,31年目の平成4年1月時点では,S3Bの5名,S3Aの15名を除き,6割がS2(25名)又はS1(6名)である。 昭和35年入社者(37名)は,入社25年目でG1,S2,S1各1名を除き全員がS3であったが,27年目に6割以上(23名)がS3A以上となり,32年目の がS2(25名)又はS1(6名)である。 昭和35年入社者(37名)は,入社25年目でG1,S2,S1各1名を除き全員がS3であったが,27年目に6割以上(23名)がS3A以上となり,32年目の平成4年1月時点では,S3Bの3名S3Aの14名,S2が12名,S18名で,過半数がS2以上に昇格している。 昭和34年入社者(19名)は,入社26年目で全員がS3であったが,27年目ではS3BとS2各1名を除く全員がS3Aとなり(S3Bの者は28年目にS3Aに昇格),28年目に過半数の10名がS2になり,33年目の平成4年1月には,S3Aが4名,S2が6名,S1が9名である。 昭和33年入社者(13名)は,入社27年目で全員がS3(11名)又はS2(2名)であったが,28年目にS3Bの2名を除きS3A又はS2とされ(このS3Bの2名はその後も昇格していない。),30年目に過半数がS2(6名)又はS1(1名)となり,34年目の平成4年1月時点では,上記S3Bの2名を除く全員がS2以上に昇格している。 なお,データには,昭和58年,57年,51年,昭和38年ないし昭和42年,昭和51年,昭和57年及び昭和58年には,該当者はいない。 以上によると,G1までの職能資格等級について,同一年度に入社した者のほとんどが同一時期に昇格しており,入社年度により多少異なるものの,入社6年目から8年目(標準年齢24歳ないし26歳)の時期にG2に昇格し,入社9年目又は10年目(標準年齢27歳又は28歳)にG1に昇格している。 S3B以上の職能資格等級についても,入社後の年数が一定の幅のうちに昇格しており,S3Bには,早い者で入社13年目(標準年齢31歳)ころから昇格し,19年目(同37歳)までの間殆どの者が昇格している。 b) 平成4年の分布状況(甲103の1 の年数が一定の幅のうちに昇格しており,S3Bには,早い者で入社13年目(標準年齢31歳)ころから昇格し,19年目(同37歳)までの間殆どの者が昇格している。 b) 平成4年の分布状況(甲103の1)平成4年(原告が退社した年)1月時点における職能資格等級を入社年度別に表にすると下表のとおりである。 年齢  G3 G2  G1 S3BS3AS2 S1 M4B  合計27歳 1328歳29歳30歳 5331歳 3932歳 56 133歳 66 134歳 12 535歳36歳 32  46 237歳 4  5438歳 2  38 739歳 3  51  2540歳 1  22  2941歳 2 5  11  342歳 1 2  1743歳 1 8  3 2 5  11  342歳 1 2  1743歳 1 8  344歳45歳46歳47歳48歳49歳 2  250歳 5  15 25  651歳 3  14 12  852歳 4  6  953歳 2 6  4 154歳 1合計 0 13 271 236 134 58 27 1 740原告が退職した平成4年をみると,53歳以上の者33名の職能資格等級は,S3Bが2名,S2が13名,S1が13名,M4Bが1名であった。 b 女性についてa) 昇格状況(甲95の2)データの対象期間(昭和60年から平成4年の各1月)中に昇格時期が明らかな者を見ると,卒年が昭和59年の者全員が2年目にG4に昇格し,昭和59年及び昭和58年学卒者全員が4年目にG3に昇格しており,また,昭和57年学卒者全員が4年目にG3である。G3からG2へ昇格した時期が明らかな者について,卒年を基準として昇格時期をみると,8年目 9年及び昭和58年学卒者全員が4年目にG3に昇格しており,また,昭和57年学卒者全員が4年目にG3である。G3からG2へ昇格した時期が明らかな者について,卒年を基準として昇格時期をみると,8年目が2名,9年目が4名,10年目が4名,11年目が2名,12年目が3名,13年目が4名,14年目が4名,15年目が4名,16年目が3名,17年目が1名,18年目が2名,27年目が1名である。合併時の昭和60年1月時点でG2に格付けされた者は,63名中14名で,標準年齢は29歳,30歳,35歳が各1名,36歳が4名,38歳が2名,42歳が3名,45歳及び46歳が各1名であり,同時点でG1に格付けされた者は63名中2名で,標準年齢が35歳及び39歳が各1名である。 この状況によると,G3までは全員が同時期に昇格していると推測されるが,G3からG2に昇格する標準年齢は,最も早い者でも男性より遅く,昇格時期も人によってかなりのばらつきがある。 b) 平成4年の分布状況(甲104)平成4年1月時点における職能資格等級は,S3Bが1名,G1が9名,G2が38名,G3が15名であり,年齢ごとの分布をみると,下表のとおりになる。 年齢  G3 G2 G1 S3BS3AS2 S1 M4B 合計27歳  428歳  4  329歳  230歳  2  231歳  1  332歳 333歳  1  234歳 332歳 333歳  1  234歳 335歳36歳  1  1  137歳 438歳 139歳 240歳 1  141歳 2  142歳 2 143歳 5  144歳 245歳46歳 147歳48歳49歳 2  150歳51歳52歳 153歳 2合計  15 38  9 1 52歳 153歳 2合計  15 38  9 1平成4年1月時点で,女性のうち標準年齢が最も高い53歳の2名はいずれもG2であり,女性の最高資格者は,昭和63年以降S3Bである1名であり,その他の者はいずれもG1以下である。 c 事務職における男女間の比較上記男性740名のうち,原告と同様に入社時より一貫して事務職(事務,販売,研究等)に就いていた者は合計103名であり,このうち,平成4年に標準年齢が52歳以上の者13名は,いずれもS2以上の資格になっている。 これに対し,女性(全員が事務職)のうち同じく52歳以上の者は3名であるが,2名はG2,1名はG1である。 (甲103の2,甲104)(イ) 職務職能定昇評価に関する状況被告において毎年1月に実施する定昇は,職務職能定昇(各ランクにつき5段階の評価により決定される額)及び年齢定昇(年齢による定額)からなり,被告は,各年につき,各ランクにおけるB評価とC評価との平均額及び年齢定昇額を公表している。昭和63年,平成元年の職務職能定昇における評価内容を,各年1月の定昇額(職務職能定昇におけるB評価とC評価との平均額,年齢定昇額)により推定した各年度の職務職能定昇額と年齢定昇額を分析すると,次のとおりである(甲53,68,96の3,4,甲97の1,2,甲98,136)。 a 昭和63年A B C 不明合計男 207 362 50 121 740(30%)  (49%) (6.8%) (16.4%)女 3 52 不明合計男 207 362 50 121 740(30%)  (49%) (6.8%) (16.4%)女 3 52 6 2(4.7%) (82.5%)  (9.5%) (3.1%)a 平成元年A B C 不明合計男 189 364 48 139 740(25.5%) (49。2%) (6.5%) (18.8%)女 1 49 10 2(1.6%) (77.8%) (15.9%) (4.7%)(ウ) 本給額の比較(甲108,109)平成4年5月現在の平均本給額をみると,下表のとおりである(「事務」とは一貫して事務職であった者,「途中より事務」とは,途中から事務職になった者をいう。なお女性のうち3名は,乙24に平成4年5月現在の本給額のデータがないため除外してある。)。 (図7)高卒男性と女性の平均本給額を比較すると,年齢が高くなるに従い,男女間の格差が次第に大きくなっており,一貫して事務職であった男性と女性を比較すると,52歳の者(男性7名,女性1名)では,男性が41万8600円であるのに対し女性が32万1300円,53歳の者(男性6名,女性2名)では,男性が41万8600円であるのに対し女性が29万2000円であった。 また,高卒男性において,一貫して事務職であった者又は途中から事務職になった者は,現業職であった者より,平均本給額が若干高額になる傾向が見られる。 (2) 判断以上(1)において認定したところによると,以下のとおりいうことができる。 ア合併前の昭和石油において,男女間におい ,現業職であった者より,平均本給額が若干高額になる傾向が見られる。 (2) 判断以上(1)において認定したところによると,以下のとおりいうことができる。 ア合併前の昭和石油において,男女間において,同一学歴者のランク,同一ランクにおける定期昇給額,同一年齢者における本給額のいずれにおいても,いずれも著しい格差が存する。 イ合併時の格付けについて,合併後に職能資格等級がG1以下になった者をみると,合併前のランクと比較して,全般に男性が女性より上位の職能資格等級になっている。 ウ合併後の被告において,職能資格等級をみると,男性は,ごくわずかの例外を除いて,G4からG1までは28歳ころまでに年齢に応じて昇格し,S3Bには31歳ころから37歳ころまでに昇格し,52歳以上では多くの者がS2以上に昇格しているのに対し,女性は,G3までは年齢に応じて昇格するが,G3からG2への昇格年齢は定まっておらず,S3Bに昇格した1名を除けば,全員がG1以下に留まっており,職務職能定昇評価をみると,上位であるA評価を受けるのは,男性が4分の1程度であるのに対し,女性が数パーセント程度であり,本給額をみると,平成4年当時,高校新卒者において,男性52歳以上の者は41万円前後であるのに対し,女性52歳以上の者は30万円前後であることが認められ,職能資格等級,職務職能定昇評価,本給額のいずれにおいても,男女間で著しい格差が存する。 2 原告と男性との賃金に関する格差の有無について(1) 認定事実ア昭和石油における状況(ア) 昭和39年4月1日現在の「資料と報告」において,原告を含む高校新卒者で年齢31歳,勤続年数12年の者(男性14名,女性2名)をみると,ランクは,男性はDが6名,Eが7名であるのに対し,女性2名はいずれもDであり,定期昇給額は,男性は1 おいて,原告を含む高校新卒者で年齢31歳,勤続年数12年の者(男性14名,女性2名)をみると,ランクは,男性はDが6名,Eが7名であるのに対し,女性2名はいずれもDであり,定期昇給額は,男性は1300円が1名,1400円が4名,1500円が8名,1600円が1名であるのに対し,女性は2名とも1200円であった。 (イ) 昭和57年4月1日現在の「資料と報告」において,原告を含む高校新卒者で年齢49歳,勤続年数30年の者(男性8名,女性1名)をみると,ランクは,男性はDが1名,Eが6名,Fが1名であるのに対し,原告はD2であり,定期昇給額は,男性は3400円が1名,4300円が3名,4600円が2名,5050名が1名,7000円が1名であったのに対し,原告は2000円であり,本給額は,男性は21万7939円から26万5905円の範囲にあったのに対し,原告は18万9124円であった。 なお,高卒男性のランクをみると,49歳の者では,Dが1名,Eが12名,Fが9名であり,48歳の者では,Eが8名,Fが12名(Dは0名)であり,47歳の者では,Eが12名,Fが16名(Dは0名)であり,46歳の者では,Dが3名,Eが23名,Fが24名であり,45歳の者では,Eが22名,Fが34名(Dは0名)であり,44歳の者では,Eが28名,Fが23名(Dは0名)であり,高卒男性で最も若いFランクの者は41歳であった。 イ合併後の状況(ア) 原告は,合併時の昭和60年1月当時,職能資格等級はG3,本給額は22万0232円であり,昭和61年1月にG2に昇格し,退職時の平成4年5月当時,職能資格等級はG2,本給額は30万7970円であった(争いがない。)。 (イ) 平成4年5月当時,被告提出の賃金データ(乙24)の分析対象とした高校新卒者男性740名のうち,52 平成4年5月当時,職能資格等級はG2,本給額は30万7970円であった(争いがない。)。 (イ) 平成4年5月当時,被告提出の賃金データ(乙24)の分析対象とした高校新卒者男性740名のうち,52歳ないし54歳の者33名(55歳以上の者はデータにない。)をみると,職能資格等級は,S3Bが2名,S3Aが4名,S2が13名,S1が13名,M4Bが1名であり(前記1(1)ウ(ア)の表のとおり),これらの者の本給額の平均は41万1742円である(同(ウ)のデータにより算出)。 (2) 判断前記(1)の認定事実によると,昭和石油及び被告において,原告と,同一学歴(高卒)で,年齢が同じか数年若い男性を比較すると,ランク又は職能資格等級,定期昇給額,ひいては本給額において,著しい格差が存在していたといえる。 3 格差の合理的理由の存否について(1) 原告と同学歴(高卒)・同年齢の男性社員との間で,昭和石油当時,ランクの格付け,定期昇給額及びこれらを反映した本給額において著しい格差が存し,合併後も職能資格等級及びこれを反映した本給額等において著しい格差が存したこと,昭和石油及び被告において,女性社員と男性社員との間で,昭和石油におけるランクの格付け・同一ランクにおける定期昇給額・同一年齢における本給額において著しい格差が存し,合併時の職能資格等級の格付け及び被告における職能資格等級やその昇格,定昇評価ひいてはこれらを反映した本給額において著しい格差が存していたことは,1及び2において示したとおりである。このような場合,原告について,男性社員との間に格差を生じたことにつき合理的な理由が認められない限り,その格差は,男女間において存した上記格差と同質のものと推認され,また,この男女間格差を生じたことについて合理的な理由が認められない限り,その格差は性 じたことにつき合理的な理由が認められない限り,その格差は,男女間において存した上記格差と同質のものと推認され,また,この男女間格差を生じたことについて合理的な理由が認められない限り,その格差は性の違いによるものと推認するのが相当である。 しかるところ,被告は,原告の業務に関する状況に照らすと,原告に関する昭和石油におけるランク,合併時における資格の格付け,被告における職能資格等級がいずれも妥当なものであったと主張し,その理由として,①原告が,昭和石油において,「定型業務に従事し,十分な知識と相当な業務経験を有する者」であり,Dランクに相当する,②原告は,合併前にD2ランクであったところ,当時の業務内容が,困難度の高いものとはいえず,日常定型的なものが中心であったことから,合併後における格付けは,D2ランクのうち下位グループとして,職能資格等級をG3とした,③原告は,合併後も,単純定型業務に従事していたのみならず,業務成果は高くなく,工夫,改善提案といった具体的行為がみられず,能力は高くない上,業務意欲に欠け,上司及び他の職員との協調性に欠ける面があったから,職能資格等級をG2から昇格させることができなかった旨主張する。 また,被告は,男女間に格差が生じた理由については,昭和石油及び被告において,①製油所・工場・油槽所における業務の性質や昼夜二交代制といった勤務体制等から,現業部門は男性のみが業務に従事し,女性は,管理部門等における一般事務に限定される状況にあったこと,また,男性は,種々の職場・職務に従事し,資格を取得し,多岐にわたる職務上の知識,経験を求められるのに対し,女性は,上記のような職務のにみ従事してきたこと,②女性は,平均年齢が若く,平均勤続年数が男性より非常に短かったこと,③女性は,一般事務の補助業務にとどまることが多 知識,経験を求められるのに対し,女性は,上記のような職務のにみ従事してきたこと,②女性は,平均年齢が若く,平均勤続年数が男性より非常に短かったこと,③女性は,一般事務の補助業務にとどまることが多かったことを主張している。 そこで,以下においては,被告の上記主張に沿い,前記のような格差が生じたことについて合理的理由が存したか否かを検討する。 (2) 認定事実ア原告の業務に関する状況(前提となる事実,甲118,119,原告本人及び後記証拠,弁論の全趣旨)(ア) 株式課における状況(昭和26年8月から昭和31年7月まで)原告は,株式課において株式名義書換受付業務に従事した。この業務の手順は,①証券会社社員から株券,送り状及び名義書換関係書類を受け取る,②株券について,送り状と照合し,名義等の記載事項に誤りがないかを確認する,③預り証を作成して証券会社社員に交付し,また,株券等を名義書換担当社員に交付する,④名義書換がされた株券と預かり証を照合し,誤りがないかを確認した後,株券を証券会社社員に交付する,というものであり,原告の他に男性1名がこの業務に従事していたが,原告は,仕事を覚えた後,同人とは別個に業務を処理していた。 株式課には,当時,課長,課長代理の他,原告を含め12名の正社員が所属していた。正社員の担当職務は,概ね次のとおりであった。 株券名義書換受付原告のほか男性1名株券リスト書換男性4名裏書男性1名社印,割印男性1名印鑑照合確認課長代理(男性)1名課内庶務男性,女性各1名(イ) 建築部技術第1課における状況(昭和31年7月から同年12月まで)建設部は,四日市市に製油所を建設する事業を実施するため,当時新たに発足した部署であり,技術第1課は,製油所建設にあたる部署であった。原告は,同課において,他の社 和31年7月から同年12月まで)建設部は,四日市市に製油所を建設する事業を実施するため,当時新たに発足した部署であり,技術第1課は,製油所建設にあたる部署であった。原告は,同課において,他の社員とチームを組み,製油所建設の進捗状況に関する図面やグラフを作成する等の業務に従事した。 建設部の所属社員は,技術者や通訳,タイピスト,運転手等の専門職以外は,事務職であり,高卒の者も多数いた。 (ウ) 和文タイプ業務に関する状況(昭和31年12月から昭和52年3月まで)この業務は,他の部署で作成した原稿を和文タイプで清書するものであり,清書する原稿には,役所への提出資料,裁判に関する資料,社内資料(株主総会資料,会議議事録等)等があった。 原告が配属された当初,タイプ室には,和文タイピスト,英文タイピストの正社員各3名がおり,いずれも女性であった。原告は,緊急を要するタイプ文書作成のため,所定終業時刻後にも業務に従事することが度々あった。 (エ) 英文タイプ,データの送受信,国際テレックスの各業務に関する状況(昭和52年3月から昭和60年8月まで)a 原告は,昭和52年3月から英文タイプの業務に従事するとともに,コンピューター端末操作によるデータの送受信業務に従事し,昭和53年から国際テレックスの発信業務に従事し,昭和60年からワープロ,パソコンを用いた業務に従事した。 b 英文タイプ業務は,毎月の役員会,年1回の株主総会における英文資料,英文レター,英文レポートをタイプで作成するものであった。 データ送受信の業務は,コンピューターの端末を操作して,四日市製油所内の電算課と交信するものであり,その内容は,①昭和石油又は三菱商事からテレックスで受信した業務に関するオーダーを,モデムによりコンピューターに取り込んで,そのデータを四日市製油 して,四日市製油所内の電算課と交信するものであり,その内容は,①昭和石油又は三菱商事からテレックスで受信した業務に関するオーダーを,モデムによりコンピューターに取り込んで,そのデータを四日市製油所に電送する,②四日市製油所に経理関係,油量計算,人事関係,指定統計資料等に関するデータを送信する,指定統計資料に関しては,所定の様式に従って数字を入力した後,月ごとに指定されたパスワードを用いて石油連盟に電送し,また,プリントアウトする,③四日市製油所からコンピューター端末に送信された日報,月報等の書類を,送付先の部署に届ける,というものであった。 国際テレックス業務は,他の社員から受領した英文を,テレックスで入力し,発信するものであった。 このテレックス業務及びワープロ,パソコンを用いた業務は,原告が自ら操作方法を修得し,始めたものであった。 (オ) 東京事務所における状況(昭和62年9月から退職まで)a 昭和62年9月,原告が出向していた昭和四日市石油の本社移転に伴い,原告の勤務する事務所が東京事務所に改編・改称された。当時,東京事務所に所属する社員は,役員,課長の他,男性が4名,女性が3名であった。 b 原告は,東京事務所において,次の業務に従事した(甲125)。 ① 什器備品・事務用品等の管理及び課内庶務② 文書受発信等に関する業務③ 新聞・図書の購入管理④ パソコンデータの受発信の実施及びOA機器の管理⑤ 指定統計法に基づく関係官庁との折衝・報告等の関連業務⑥ 製品・半製品の出荷及び受入れに係る連絡,油量月報に係る資料作成の各業務イ他の社員の状況(ア) 東京事務所における男性社員の業務及び職能資格等級東京事務所において原告の同僚であった男性社員4名のうち高卒者はP2とP3の2名であり(他の2名は大卒),その担当業務等は次 他の社員の状況(ア) 東京事務所における男性社員の業務及び職能資格等級東京事務所において原告の同僚であった男性社員4名のうち高卒者はP2とP3の2名であり(他の2名は大卒),その担当業務等は次のとおりであった(甲127,128,乙24,証人P12)。 aP2(昭和14年生まれで昭和63年11月当時49歳)は,四日市製油所の現業業務に従事していたが,昭和44年に東京に転勤して事務職に移り,以後,原告が退職した当時まで,20年以上にわたってほぼ同じ業務を担当していた。昭和63年11月当時の同人の具体的分掌業務は,製品・半製品の出荷及び受入れに係る連絡・調整に関する業務,グループ需要状況の把握,油量月報に係る資料作成等であり,原告の担当業務と一部重なるが,具体的な業務はそれぞれ独立していた。 同人の職能資格等級は,合併当時S2であり,平成元年1月にS1に昇格した。 bP3(昭和15年生まれで昭和63年11月当時48歳)は,昭和50年ころ昭和石油から昭和四日市石油に出向し,以後ほぼ同様の業務を担当していた。昭和60年ころの具体的業務は,業務に関連する法規に関する関係官庁との折衝・報告等に関連する業務(通産省への報告書の提出等),原油・ナフサの受入れ計画,関税割当重油の取扱いに関する業務等であり,前記ア(オ)b⑤の原告の担当業務と一部重なるが,これは,原告が報告書を作成し,P3がこれを通産省へ届けるという分担であった。同人の職能資格等級は,平成2年1月当時S3Aであり,平成5年1月にS2に昇格した。 (イ) 他の事務部門における男性社員の業務及び職能資格等級(甲11の1,2,乙41)a 昭和61年12月当時,被告本社の総務部及び電算室に所属していた事務職員(管理職,運転手等を除く。)は,男性6名,女性3名であった。 b このうち,男性のP1 資格等級(甲11の1,2,乙41)a 昭和61年12月当時,被告本社の総務部及び電算室に所属していた事務職員(管理職,運転手等を除く。)は,男性6名,女性3名であった。 b このうち,男性のP13(昭和23年に中卒で入社)は,入社以来一貫して事務職であり,昭和61年12月当時(年齢53歳)は,国際メールの発受・配布,事務用品の発注・管理・配布,お茶関係,雑貨関係等の業務に従事していた。同人の昭和63年12月及び平成2年12月時点の職能資格等級はいずれもS1であった。同人の後任として同じ業務を担当したP14社員(男性)は,昭和46年入社であり,上記時点における職能資格等級はいずれもS3Aであった。 男性のP6(昭和36年に高卒入社)は,総務全般,総務部門の経費管理や予算の総括,調整等の業務に,P5(昭和39年に高卒入社)は,電信室で国際テレックスオペレータ業務にそれぞれ従事しており,両名とも昭和63年12月及び平成2年12月時点の職能資格等級はS2であった。 その他の男性3名(昭和35年,昭和38年,昭和48年に各入社)の職能資格等級は,昭和63年12月及び平成2年12月時点でいずれもM4B又はS2であった。 これに対し,女性社員3名(昭和25年,昭和45年,昭和43年に各入社)及びその後異動で配置された女性1名(昭和43年入社)の職能資格等級は,上記各時点で全員がG2であった。 (ウ) 他の女性社員の業務及び職能資格等級aP7社員について(甲36の1~4,甲51,証人P7)P7(昭和23年1月9日生)は,昭和41年12月6日,シェル石油に入社し,昭和63年2月から東京第二支店販売企画課において,平成6年4月からは東京支店給油所課(後に東京統括支店SS課に改称)において,給油所関連の事務処理,資産管理等の業務に従事した。他の支 油に入社し,昭和63年2月から東京第二支店販売企画課において,平成6年4月からは東京支店給油所課(後に東京統括支店SS課に改称)において,給油所関連の事務処理,資産管理等の業務に従事した。他の支店等では,同人が担当した業務と同種の業務を男性社員が担当していた。 東京統括支店SS課において,平成7年4月当時,同人と他1名の女性社員は職能資格等級がいずれもG2であったが,男性社員は,卒業年度により職能資格等級が自動的に決まっていた若年者以外は,職能資格等級がS以上であった。 bP9社員について(甲75,76の1,2,甲77,79,81,84,91,証人P9,同P15)P9(昭和15年4月5日生)は,昭和38年6月に高卒で昭和石油に入社し,庶務,和文タイプ,電話交換手,社員に対するワープロ指導等の業務に従事した後,平成元年9月,被告本社化成品室の所属になり,以後,所属部署を変えながら,化成品(キシレン,ベンゼン等)の販売管理等の業務に従事した。同人が担当した化成品販売管理業務は,製油所への製品の出荷オーダー,運搬船の手配,製油所でのタンク繰り(タンクがあふれないように需要先,運搬船の動向に照らし,連絡調整を図る業務),船会社や商社との製品に関する折衝,出荷状況の管理等をするものであった。この業務に関連して,被告と大手商社との間で,毎月1回,出荷量と請求書に記載する価格を確認するための会計整理会議が持たれ,被告からは,原則としてP9と男性社員1名がこれに出席していたが,P9が単独で出席することもあった。キシレン・ベンゼン関係の販売管理業務は,平成4年ころに子会社に移管されたが,この移管にあたって,P9は,1年以上の間,子会社の男性社員らに事務処理を教示伝達した。また,平成11年4月末,P9と同じ化成品課に所属していた男性社員(高卒)が 成4年ころに子会社に移管されたが,この移管にあたって,P9は,1年以上の間,子会社の男性社員らに事務処理を教示伝達した。また,平成11年4月末,P9と同じ化成品課に所属していた男性社員(高卒)が定年退職した後は,この男性社員が担当していた工業用揮発油等の販売管理業務のうち,仕切価格の交渉・決定関係業務(ただし,決定それ自体は部長級の管理職が判断して行う。)を除くものを引き継いで行った。 P9のランクは,合併直前はD1又はD2であり,合併時に職能資格等級G3に格付けされ,昭和62年にG2に,平成5年にG1にそれぞれ昇格した。これら昇格にあたって,P9は自ら上司に交渉し,特にG1への昇格は,直属の上司を越えた部長に直接交渉を行った結果実現したものであった。 また,平成11年4月当時,化成品課に所属する社員(課長を除く。)は,P9と,同月末で定年退職した前記の男性社員及び当時34歳の男性社員の3名であり,定年退職した男性社員の職能資格等級はS1であり,他の男性社員もS以上であった。 ウ 「職能資格滞留年数」と題する書面(甲106)について(ア) 被告は,平成4年8月,人事担当課長会議用の資料として,別紙7の「職能資格滞留年数」と題する書面(甲106)を作成し,会議に参加した人事担当課長に配布した。この書面には,①「職能資格滞留年数」の表及び②「1993年度最短昇格(入社年,年齢)」の表が記載されている。 (イ) このうち,①の表には,「大卒」,「高卒・技能職」,「高卒補助短大補助」の区分の下に,各区分ごとに,各職能資格等級の滞留年数が最短と標準に分けて記載され(ただし,「高卒補助短大補助」は標準滞留年数のみ),「大卒」及び「高卒・技能職」については,課長昇進の年齢及びM4A昇格の年齢が記載されている。「大卒」の場合は,N1からS3Aま 分けて記載され(ただし,「高卒補助短大補助」は標準滞留年数のみ),「大卒」及び「高卒・技能職」については,課長昇進の年齢及びM4A昇格の年齢が記載されている。「大卒」の場合は,N1からS3Aまでの各等級の滞留年数は最短,標準とも同一で,入社から11年後には一律にS2へ昇格するが,その後は,最短と標準に差が生じ,S2,S1の滞留年数は最短でいずれも3年(標準はいずれも4~5年),M4Bの滞留年数は最短で2年(標準3~4年)とされ,課長昇進は最短で39歳,標準は41歳から46歳の間,M4Aへの昇格は,最短で41歳,標準で44歳から47歳の間とされている。 また,「高卒・技能職」の場合は,N3からG2までの滞留年数は最短,標準とも同一であり,10年後には一律にG1に昇格するが,その後は最短と標準に差が生じ,G1は最短3年(標準5~9年),S3Bは最短4年(標準6~9年),S3Aは最短3年(標準5~9年)の滞留年数とされ,S2以上の等級では最短滞留年数のみが示され,課長昇進は最短で43歳,標準で「~51歳」,M4Aへの昇格は,最短で46歳,標準で「~52歳」とされている。 これに対し,「高卒補助短大補助」は,各ランクの標準滞留年数のみが示され,高卒補助は入社5年目,短大補助は入社3年目の22歳で一律にG3に昇格するが,その後の滞留年数はS3Bまでの各ランクについていずれも6~9年とされ,S3A以上の滞留年数は記載がなく,課長昇進やM4A昇格についても記載がない。 また,この①表に関し,「管理職(M4A)への昇格」として,「①Sランクの滞留年数を最短で3年,標準で4年遅れても5年で昇格し続けなければならない。 ②M4A昇格年齢制限は52歳まで。」との注記がある。 (ウ) ②の表には,「大卒」,「高卒」,「高卒技能職」,「高卒補助職」,「 数を最短で3年,標準で4年遅れても5年で昇格し続けなければならない。 ②M4A昇格年齢制限は52歳まで。」との注記がある。 (ウ) ②の表には,「大卒」,「高卒」,「高卒技能職」,「高卒補助職」,「短大補助職」の区分ごとに,各ランクの最短昇格者の入社年及び年齢が記載されており,記載されている年齢は,高卒技能職を除く区分では,①の表の各等級における滞留年数を最短(高卒補助職,短大補助職は標準滞留年数のうち最も短いもの)とした場合の各等級昇格年齢と一致しており,「高卒技能職」は「高卒」に比べ,等級が上がるにつれ昇格年齢が遅くなり,M4B以上の昇格年齢の記載はない。また「高卒補助職」,「短大補助職」にはS3A以上の昇格年齢の記載はない。 エ従業員の平均年齢,平均勤続年数等について(ア) 被告の株主総会報告書及び有価証券報告書によると,昭和59年から平成4年までの従業員の平均年齢,平均勤続年数は以下のとおりである(甲101。なお数字は各年とも12月31日現在のものである。)。 従業員数男女合計昭和59年 1493  291  1784昭和62年 2263  315  2578昭和63年 1493  296  2428平成元年  2060  291  2351平成2年  2056  290  2346平成3年  2048  291  2339平成4年  2068  296  2364平均年齢男女合計昭和59年 40.2  27.3 38.0昭和62年 43.6  35.2 42.6昭和63年 43.8  35.8 42.8平成元年  43.9  36.3 43.0平成2年  43.3  36.5 42.5平成3年  43.2  36.5 42.4平成4年  42.9 昭和63年 43.8  35.8 42.8平成元年  43.9  36.3 43.0平成2年  43.3  36.5 42.5平成3年  43.2  36.5 42.4平成4年  42.9  36.2 42.1平均勤続年数男女合計昭和59年 19.6 7.2 17.5昭和62年 21.5  14.0 20.6昭和63年 21.7  14.8 20.9平成元年  21.9  15.2 21.0平成2年  21.2  15.3 20.4平成3年  21.0  15.4 20.3平成4年  20.7  15.1 20.0(イ) 「資料と報告」によれば,昭和石油労組組合員の男女別年齢の状況は次のとおりである。 a 昭和39年4月1日現在(定年年齢55歳)の組合員(男性2564名,女性356名)の平均年齢は,男性34歳4月,女性25歳7月であり,女性は,多くは19歳から24歳までの年齢層に属するが,30歳代の者52名,40歳代の者20名,50歳代3名も在籍した(甲132)。 上記組合員の平均勤続年数をみると,全組合員では男性11.10年,女性5. 88年であるが,勤続3年以上の者でみると男性11.11,女性8.11であり,勤続5年以上の者でみると,男性12.46,女性11.41である(甲133)。 b 昭和57年4月1日現在の組合員数(定年年齢57歳)は,男性2093名,女性399名であり,女性は,多くは26歳以下の年齢層に属するが,30歳代の者41名,40歳代の者19名,50歳代の者13名も在籍した(甲1の1,2)。 c 昭和58年4月1日現在の組合員数(定年年齢58歳)は,男性2037名,女性375名であり,女性は,多くは27歳以下の層に属するが,30歳代の者44名,40歳代の者16名,50歳代 1,2)。 c 昭和58年4月1日現在の組合員数(定年年齢58歳)は,男性2037名,女性375名であり,女性は,多くは27歳以下の層に属するが,30歳代の者44名,40歳代の者16名,50歳代の者18名も在籍した(甲2の1,2)。 d 昭和60年4月1日現在の組合員数(定年年齢60歳)は,男性1953名,女性325名であり,女性は,多くは20歳代であるが,30歳代の者41名,40歳代の者15名,50歳代の者16名も在籍した(甲3)。 (3) 判断以上の事実関係に基づき判断する。 ア原告の業務内容等からみた格差の合理的理由の存否について(ア) 原告が入社以来主に従事した業務は,①株式課における株券名義書換受付業務(約5年),②和文タイプ業務(約20年),③英文タイプ,データの送受信,国際テレックスの送受信業務(約10年6月),④東京事務所における業務(約4年8月)である。これら業務は,一面において定型的な業務ともいえ,昭和石油のランク決定要因(別紙3),被告の職能資格要件概要(別紙4)に照らして考察すると,D以下のランク又は職能資格等級のG以下に属するとみられないでもなく,被告は,これを前提に,原告のランク付けや職能資格等級の格付けが妥当であったと主張する。 しかし,昭和石油及び被告におけるランクや職能資格等級も,職務の内容により一義的客観的に定まるものとは必ずしもいえず,また,原告が従事していた業務の中には,一定の専門技術や知識を必要とするものもあり,より上のランクや職能資格等級に該当する職務とみる余地があるものも存する。 そして,原告が①の業務に従事していた当時,株式課における男性社員の相当数も原告と同様の事務業務に従事していた上,③,④の業務に関してみても,例えば同じ東京事務所で事務を担当していたP2やP3,本社総務関係の 告が①の業務に従事していた当時,株式課における男性社員の相当数も原告と同様の事務業務に従事していた上,③,④の業務に関してみても,例えば同じ東京事務所で事務を担当していたP2やP3,本社総務関係の事務に従事していたP13やP14,P16,P5らの業務内容と大きく異なるものであったとは認められず,また,他の男性社員の業務を補助するものであったとも認められない。 しかるに,原告の職能資格等級は,合併時にG3と格付けられ,翌昭和61年にG2に昇格したものの,以後退職時までG2に留まっていたのに対し,上記男性社員は全員がS以上で,特に年齢が高い者はS2以上であった。 さらに,原告以外の女性についてみても,P7やP9が担当していた業務内容は前記のとおりで,やはり独立して一定の業務を行っており,同人らの業務とさほど変わりない業務に男性社員も従事していたところ,P7及びP9の職能資格等級はG2又はG1(P9)であり,特にP9のG1昇格は,同人が部長に強く訴えて実現したものであったのに対し,男性社員の場合はS以上の等級であった。 (イ) 他方,前記ウの事実によると,被告は,平成4年8月,社員を①大卒者,②高卒・技能職,③高卒補助又は短大補助の3グループに分け,各グループごとに,昇格までの最短・標準滞留年数の基準と管理職への昇進及びM4Aへの昇格の基準を示した書面を人事担当課長に配布し,この基準に従って平成5年度の昇格を実施するよう担当者に指示又は指導したものと認められる(甲107,乙28,29の各1,2によると,被告は,全昭和シェル労働組合に対し,上記書面は,平成4年1月の昇格者を対象にサンプル調査をした結果に基づき,「大卒」,「高卒・技能職」について,資格滞留年数によってのみ昇格申請の判断がされていないか人事担当者に問題提起をしたものであり,学歴 ,平成4年1月の昇格者を対象にサンプル調査をした結果に基づき,「大卒」,「高卒・技能職」について,資格滞留年数によってのみ昇格申請の判断がされていないか人事担当者に問題提起をしたものであり,学歴別・職種別・男女別に年功運用を行うことを目的とした管理基準を示すものではないと説明していることが認められるが,上記書面の記載内容,とりわけ管理職やM4Aへの昇進,昇格条件を示す文言が注記として記載されていることに照らすと,上記説明は信用することができない。)。 そして,平成4年当時の高卒男性社員及び女性社員(合併前昭和石油に在籍し平成12年当時に被告に在籍していた者)の職能資格等級の昇格状況及び分布状況は1(1)ウにおいて示したとおりであるところ,このうち男性社員の状況は,上記書面が示す「高卒・技能職」の滞留年数による昇格基準と概ね合致している。このことからすると,被告は,平成4年以前から,この基準と同様の昇格基準を設け,原則としてこの基準により昇格を実施してきたと容易に推認することができる。 他方,女性社員の状況は,「高卒・技能職」の基準に合致して昇格している者はなく,比較的若年の者については「高卒補助短大補助」の基準に合致して昇格しているが,年齢の高い者は,この「高卒補助短大補助」の基準より長く同一等級に留まっていることが認められる。このことからすると,被告は,女性社員については,従前から,高卒男性に適用される「高卒・技能職」とは別に「高卒補助短大補助」の基準を定め,原則としてこれにより昇格を実施しており,また従前の基準は,平成4年の「高卒補助短大補助」の基準より滞留年数を長く設定していたか,あるいは一定年齢以上の者を対象外とするものであったと推認される。 以上要するに,被告は,別紙4のような職能資格等級の決定基準や昇格評価基準 卒補助短大補助」の基準より滞留年数を長く設定していたか,あるいは一定年齢以上の者を対象外とするものであったと推認される。 以上要するに,被告は,別紙4のような職能資格等級の決定基準や昇格評価基準を公表していたものの,実際の運用においては,男性社員は学歴別年功制度を基本に置き,一定年齢以上はこれに職能を加味し,昇格の時期に幅を持たせて昇格管理を行う一方,女性社員については,男性とは別の昇格基準(年功をさほど考慮せず,昇格には同学歴男性より長い年限を必要とし,一定の等級以上への昇格を想定しないもの)を設けて昇格管理を行っていたとみることができる。そして,1(1)アで示した昭和石油における男女のランク及び昇格の実情からすると,これは昭和石油においても同様であったと推認される。 (ウ) なお,合併時における格付けにおいて,昭和石油在籍者について男女間に格差が認められることは前記1(1)イのとおりであるところ,被告の主張するとおり,この格差が合併時に過去のランク査定の成績等を考慮して再査定を行った結果であるとすれば,昭和石油における上記のような男女別の昇格管理の実情が反映され,これがより増幅される結果となったであろうことはみやすい道理である。 (エ) 以上を総合すれば,職能資格等級等にみられる原告と男性社員との格差は,原告の従事した業務やその職務遂行状況によって合理的に説明できるものとはいえず,むしろ,昭和石油及び被告において,ランク及び職能資格等級の昇格管理を男女別に実施していた結果であるとみるほかはない。 なお,被告は,原告の職能資格等級がG2に留まった理由について,原告の従事した職務内容に加え,原告の業務成果は高くなく,工夫,改善提案といった具体的行為がみられず,能力は高くない上,業務意欲に欠け,上司及び他の職員との協調性に欠ける面があ まった理由について,原告の従事した職務内容に加え,原告の業務成果は高くなく,工夫,改善提案といった具体的行為がみられず,能力は高くない上,業務意欲に欠け,上司及び他の職員との協調性に欠ける面があったことなどを上げ,これに沿う証人P12の供述も存するが,同供述は評価の根拠となる具体的事実に乏しく,これに反する原告本人の供述及び陳述(甲118)に照らし直ちに採用できるものではなく,また他に上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。 イ男女間格差の合理的理由の存否について被告は,男女間格差を生じた理由について,①女性は現業部門の業務には就けず,管理部門の一般事務に業務が限定され,要求される資格や職務上の知識・経験も限定されること,②女性の平均年齢が若く,平均勤続年数も男性より非常に短かったこと,③女性の業務が一般事務の補助にとどまることが多かったことを主張する。 しかし,1(1)ウ(ウ)において認定したとおり,高卒男性社員の中には,入社当初から事務に従事している者も相当数いる上,一般に現業部門に従事する男性が管理部門の一般事務に従事する男性より賃金が高いとはいえず,また先述したとおり,原告の東京事務所における同僚のように,20年以上,10数年以上も実質同じ職場で同じ業務に従事する例もある。そして,原告や,P7,P9のように勤務年数の長い者の例をみると,女性社員と男性社員との間に格差を生じた理由を担当業務に求めることも困難であるから,本件の男女間格差について,担当業務や勤務体制の相違に合理的理由を見い出すことはできない。 また,平均年齢や勤続年数に関してみると,なるほど(1)エの認定事実からすると,原告が昭和石油及び被告に勤務していた当時,女性の多くは20歳代の半ばころに退職していたといえるが,30歳代以上でも勤務を続けている女性が少 年数に関してみると,なるほど(1)エの認定事実からすると,原告が昭和石油及び被告に勤務していた当時,女性の多くは20歳代の半ばころに退職していたといえるが,30歳代以上でも勤務を続けている女性が少なからずあり,勤続年数5年以上の者では,男女間の勤続年数の差はさほど大きくないともいえる。この状況に照らすと,本件の男女間格差について,女性社員の平均年齢が若く平均勤続年数が短いことに合理的理由を見い出すことはできない。 その他,前記男女間格差を生じた合理的理由について,被告の主張を認める的確な証拠はない。 ウ小括以上のとおり,男女間の賃金に関する格差について,男女の違いに由来する合理的な理由が存するとは認められず,昭和石油及び被告は,男性に対して,年功序列を基礎に置いたランク・職能資格等級管理を行い,ランク又は職能資格等級並びに定昇金額の査定において,男性を女性より優遇する扱いをしていたと認められ,このことは原告との関係においても当てはまるものである。 したがって,被告は,原告が女性であることのみを理由として,賃金に関し,男性と差別的な取扱いをしたものと認めるのが相当である。 4 不法行為該当性(1) 労働基準法4条は,使用者に対し,労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをすることを禁止しており,使用者が専ら性別を理由として賃金において差別することは,原則として社会的に容認されない違法な行為というべきである。 そして,これまで述べたところによれば,昭和石油及び被告は,原告が女性であることを理由として,賃金について男性と差別する取扱いをしたものであり,かつ,このことを認識し,又は認識すべきであったというべきである。 (2) ところで,均等法(昭和61年4月1日施行)8条は,「事業主は,労働者の配置及び昇進につ 性と差別する取扱いをしたものであり,かつ,このことを認識し,又は認識すべきであったというべきである。 (2) ところで,均等法(昭和61年4月1日施行)8条は,「事業主は,労働者の配置及び昇進について,女子労働者に対して男子労働者と均等な取扱いをするように努めなければならない。」と定め,配置及び昇進に関する男女労働者の均等取扱いを使用者の努力義務としていたが,平成11年4月1日に施行された「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(改正均等法)6条は,「事業主は,労働者の配置,昇進及び教育訓練について,労働者が女性であることを理由として,男性と差別的取扱いをしてはならない。」と定め,配置及び昇進に関する男女労働者の平等取扱いを使用者の法的義務とした。 被告は,これを根拠に,改正均等法施行以前においては配置,昇進の男女格差は,私法上,原則としてその違法が問題となることはないと主張するところ,改正前の均等法が上記のとおり配置及び昇進に関する男女労働者の均等取扱いを努力義務に止めたことの背景には,当時,多くの企業で終身雇用制を前提とした配置,昇進等の雇用管理が行われていたとともに,女子労働者の勤続年数が男子労働者に比べて短いという一般的状況が存したことは被告の指摘するとおりであり,違法性の判断を行うにあたっては,このような社会的状況を考慮すべきものではある。 しかしながら,これまで認定及び判断したとおり,昭和石油及び被告においては,管理部門等における一般事務に従事し,その業務内容が女性とさほど異ならない男性も相当数存在するが,これら男性と女性との間にも賃金等において格差があり,また,専ら男性が従事する現業部門の男性の賃金が事務部門の男性の賃金より高いとはいえないことからすると,賃金における男女格差は,従事する職の配置 ,これら男性と女性との間にも賃金等において格差があり,また,専ら男性が従事する現業部門の男性の賃金が事務部門の男性の賃金より高いとはいえないことからすると,賃金における男女格差は,従事する職の配置に由来するものとは認められない。さらに,昭和石油及び被告においては,合併時の格付けも含め,事実上,男女別の昇格基準により昇格の運用管理を行っており,その結果,ランク又は職能資格等級の格付け,これに連動する定昇額や本給額等において著しい格差を生じているのであって,前記の社会的状況を考慮しても,昭和石油及び被告における上記のような差別的取扱いが社会的に許容されるものとはいえず,行為の違法性は否定されないというべきである。 なお,証拠(乙37,39)によれば,原告退職の当時企業一般において男女間で賃金額の格差が存したこと,被告の同業他社においても被告と同様の男女間の賃金格差が存することが認められるが,これら男女間の賃金に関する格差の原因を明らかにする的確な証拠はないから,被告と同様の賃金に関する取扱いに基づくものであるとは認められず,上記のような状況をもって,昭和石油及び被告における差別的な取扱いの違法性を否定することもできない。 (3) 小括以上のとおり,被告の原告に対する賃金に関する男性との差別的取扱いは,故意又は過失による違法な行為として,不法行為となり,被告は,原告に対し,これによって原告に生じた損害を賠償する義務を負うというべきである。 5 損害額原告は,本訴請求により,被告の不法行為に基づく損害賠償として,合併時である昭和60年1月以降において,差別的取扱いがなければ受けることができたであろう賃金(月例賃金,賞与,退職金)及び公的年金と,実際の賃金(月例賃金,賞与,退職金)及び公的年金の差額の支払を求めることができるというべきであ おいて,差別的取扱いがなければ受けることができたであろう賃金(月例賃金,賞与,退職金)及び公的年金と,実際の賃金(月例賃金,賞与,退職金)及び公的年金の差額の支払を求めることができるというべきである。 以下,具体的金額について検討する。 (1) 月例賃金及び賞与の差額相当損害額ア原告のあるべき職能資格等級原告(昭和7年5月29日生)は,平成4年5月31日,定年年齢60歳に達するものとして被告を定年退職しており,退職当時の職能資格等級はG2であった。 被告において,高卒男性は31歳ころから37歳ころの間にS3Bに昇格している(前記1(2)ウ)。被告提出のデータ(乙24)によれば,高卒男性で,平成4年当時,52歳以上の者33名中,8割以上の27名は,S2以上の職能資格等級である(前記1(1)ウ(ア)b。なお,上記データには管理職に昇進した者は含まれていない。)。また,原告が東京事務所に所属した当時,原告と同種の職務に就いていた,原告と同程度の年齢の高卒男性は,いずれもS2以上の職能資格等級であった(前記3(2)イ(ア))。 そして,原告の勤務成績又は勤務態度が,他の社員よりも劣ることを認めるに足りる証拠はない。 以上に照らすと,原告は,昭和石油及び被告による差別的取扱いがなければ,合併時(当時満52歳)において,職能資格等級S2に格付けられ,退職時までの間,職能資格等級が低くともS2であったと認めるのが相当である。 イ原告のあるべき職務職能定昇評価原告の職務職能定昇評価は,合併時である昭和60年から昭和62年までがB,昭和63年から退職した平成4年までがCであった(前提となる事実(3)ア)。 被告における職務職能定昇評価をみると,昭和63年及び平成元年当時,男性は,上位であるA評価又は次位のB評価を受ける者が75パーセント以上 職した平成4年までがCであった(前提となる事実(3)ア)。 被告における職務職能定昇評価をみると,昭和63年及び平成元年当時,男性は,上位であるA評価又は次位のB評価を受ける者が75パーセント以上であり,女性は,Aが数%程度であるが,Bが75パーセント以上であった(前記(1)ウ(イ))。 そして,原告の勤務成績又は勤務態度が,他の社員より特に劣っていたことを認めるに足りる証拠がないことを併せ考えると,昭和石油及び被告による差別的取扱いがなければ,原告の職務職能定昇評価は,合併時から退職時まで低くともBであったと認めるのが相当である。 ウ小括原告が,合併時である昭和60年1月から退職時である平成4年5月までにおいて,職能資格等級がS2であり,職務職能定昇においてBと評価された場合,原告が受けたであろう月例賃金及び賞与が,別紙6Ⅱの「原告が受けるべき賃金」欄に記載の計算方法により算定されること,この期間において,原告に対し,現実に支給された月例賃金及び賞与が,別紙6Ⅰの「原告に対して支給された賃金」欄に記載のとおりであることは,争いがない。 これによると,被告の不法行為がなければ,原告が受けたであろう月例賃金及び賞与の相当額は合計5961万7524円であり,現実の支給額は合計4136万9288円であるから,差額相当損害金は1824万8236円となる。 (2) 退職金の差額相当損害額ア一時払分及び平成14年2月分までの年金分について原告は,上記退職金について現実に支給された金員が,別紙2「原告請求額一覧表」欄記載の「退職金」欄,「一時払」欄及び「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄の各「原告に支給された賃金(A)」欄に記載のとおりであり,合併時である昭和60年1月から退職時である平成4年5月までにおいて,原告の職能資格等級 」欄及び「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄の各「原告に支給された賃金(A)」欄に記載のとおりであり,合併時である昭和60年1月から退職時である平成4年5月までにおいて,原告の職能資格等級,職務職能定昇評価が前記(1)ア,イのとおりであったとすれば,原告が受けたであろう上記退職金が,別紙2「原告請求額一覧表」欄記載の「退職金」欄,「一時払」欄及び「92年年金分」欄ないし「02年年金分」欄の各「原告が本来受けるべき賃金」欄の記載のとおりである旨主張し,被告もこれを積極的に争わない。 そうすると,上記の退職金に関する差額相当損害金は,上記各金額の差額の合計額となり,合計960万6010円となる(別紙1「裁判所認容額一覧表」欄記載の「退職金」欄,「平成14年2月分までの合計」欄の「差額相当額」欄)。 イ平成14年3月分以降の年金分について原告は,上記退職金について,実際に支給されるであろう金員が合計2383万6902円であり,原告の職能資格等級,職務職能定昇評価が前記(1)ア,イのとおりであったとすれば,受けるであろう金員が合計3412万3150円である旨主張し,被告もこれを積極的に争わない(上記各金員は,上記各金員にかかる年金年額に,平成14年3月時点の原告の年齢である69歳女性の平均余命19.03年(本件口頭弁論終結時において明らかな平成12年簡易生命表による。)を乗じて算定したものである。)。 そうすると,上記退職金の差額相当損害金は,上記各金員の差額から中間利息を控除した後の額とするのが相当であり,上記差額1028万6248円に19年のライプニッツ係数0.3957を乗じて算出した407万0268円(小数点以下四捨五入)となる(別紙1「裁判所認容額一覧表」欄記載の「退職金」欄,「上記の現在価額(*1)」欄の「差額相当額」 19年のライプニッツ係数0.3957を乗じて算出した407万0268円(小数点以下四捨五入)となる(別紙1「裁判所認容額一覧表」欄記載の「退職金」欄,「上記の現在価額(*1)」欄の「差額相当額」欄)。 ウ小括よって,原告の退職金差額相当額は,上記アとイの合計額である1367万6278円となる。 (3) 公的年金差額相当額ア平成14年2月分までの分について原告が上記の公的年金について支給を受けた金員が,別紙2「原告請求額一覧表」欄記載の「公的年金」欄の「92年年金分」ないし「02年年金分」欄の各「原告に支給された賃金(A)」欄記載の各金額であり,原告の職能資格等級,職務職能定昇評価が前記(1)ア,イのとおりであったとすれば,受けたであろう上記年金の金員が,上記「年金分」欄の「原告が本来受けるべき賃金」欄記載の各金額である旨主張し,被告もこれを争わない。 したがって,上記年金に関する差額相当損害金は,上記各金額の差額の合計額となり,合計532万7712円となる(別紙1「裁判所認容額一覧表」欄記載の「公的年金」欄,「平成14年2月分までの合計」欄,「差額相当額」欄)。 イ平成14年3月分以降の分について原告は,上記公的年金について,実際に支給されるであろう金員が合計4262万6001円,原告の職能資格等級,職務職能定昇評価が前記(1)ア,イのとおりであったとすれば,受けるであろう金員が合計5302万4602円である旨主張し,被告もこれを積極的に争わない(上記各金員は,上記(2)イと同様の方法によって算定したものである。)。 そうすると,上記年金の差額相当損害金は,上記各金員の差額から中間利息を控除した後の額とするのが相当であり,上記差額1039万8601円に19年のライプニッツ係数0.3957を乗じて算出した411万472 ると,上記年金の差額相当損害金は,上記各金員の差額から中間利息を控除した後の額とするのが相当であり,上記差額1039万8601円に19年のライプニッツ係数0.3957を乗じて算出した411万4726円(小数点以下四捨五入)となる(別紙1「裁判所認容額一覧表」欄記載の「公的年金」欄,「上記の現在価額(*1)」欄の「差額相当額」欄)。 ウ小括よって,原告の公的年金の差額相当損害額は944万2438円となる。 (4) 慰謝料原告は,被告に対し,上記の差額賃金相当損害金,差額退職金相当損害金,差額公的年金相当損害金の支払を求めることができ,特段の事情が認められない限り,これらの差額相当額をもって経済的損害は填補されるところ,本件において,これとは別個に金員支払をもって慰謝すべき損害の発生を認めるまでの特段の事情は認められない。 よって,慰謝料請求は認められない。 (5) 弁護士費用本件事案の内容,訴訟経過,その他本件における諸事情を考慮すると,上記(1)ないし(3)の損害額の合計額4136万6942円の約1割である400万円が相当である。 (6) 損害額合計以上によると,原告の損害額は合計4536万6952円になる。 (7) 遅延損害金被告は,前記の(1)ないし(3),(5)の各損害に対し,遅延損害金として民法所定の年5分の割合による金員の支払義務を負う。 前提となる事実,証拠によれば,月例賃金の支給日が毎月20日(同日が休日の場合はその直前の平日)であること,賞与の支給時期が夏季賞与が毎年6月,冬季賞与が毎年12月であること(乙12),退職金一時払分の支給日が平成4年5月29日であったことが認められ,弁論の全趣旨によれば,賞与の支給日が当年12月20日(同日が休日の場合はその直前の平日)以前であること,退職金年金分の支給日 ),退職金一時払分の支給日が平成4年5月29日であったことが認められ,弁論の全趣旨によれば,賞与の支給日が当年12月20日(同日が休日の場合はその直前の平日)以前であること,退職金年金分の支給日が毎月20日(同日が休日の場合はその直前の平日)であること,公的年金の支給日が偶数月の15日(同日が休日の場合はその直前の平日)であることが認められる。また,原告は,被告に対し,退職金年金分及び公的年金のうち平成14年3月分以降の分について,同年3月4日付け訴えの変更申立書により支払を求め,同書面は,同月5日,被告に到達した。 そして,原告は,前記(1)ないし(3),(5)の各損害にかかる遅延損害金の起算日について,別紙2「原告請求額一覧表」の各「遅延損害金起算日」欄記載のとおり主張し,被告はこれを積極的に争わない。 これらによると,上記の各損害に対する遅延損害金の起算日は,別紙1「裁判所認容額一覧表」の各「遅延損害金起算日」欄記載のとおりになる。 6 結論よって,原告の本訴請求は主文1項ないし5項の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第11部裁判長裁判官三代川三千代裁判官龍見昇裁判官細川二朗別紙1裁判所認容額一覧表月例賃金,賞与月例賃金及び賞与原告に支給された金員原告が本来受けるべき金員差額相当額遅延損害金起算日昭和60年分 4,722,576  6,697,734 1,975,158 昭和60年12月21日昭和61年分 5,008,322  7,128,176 2,119,854 昭和61年12月20日昭和62年分 5,279,111  7,565,153 2,286,042 昭和62年12 5,008,322  7,128,176 2,119,854 昭和61年12月20日昭和62年分 5,279,111  7,565,153 2,286,042 昭和62年12月19日昭和63年分 5,531,902  7,965,855 2,433,953 昭和63年12月21日平成元年分 5,677,655  8,226,188 2,548,533 平成元年12月21日平成2年分 5,874,653  8,515,260 2,640,607 平成2年12月21日平成3年分 6,108,155  8,854,882 2,746,727 平成3年12月21日平成4年分 3,166,914  4,664,276 1,497,362 平成4年5月21日合計額 41,369,288 59,617,524 18,248,236退職金退職金原告に支給された金員原告が本来受けるべき金員差額相当額遅延損害金起算日一時払分 10,047,522 14,383,384 4,335,862 平成4年5月30日年金月額 104,383 149,42745,044年金分(平成4年5月分~平成14年2月分)平成4年分 730,681  1,045,98915,308 平成4年12月19日平成5年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成5年12月21日平成6年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成6年12月21日平成7年分 1,252,596 40,528 平成5年12月21日平成6年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成6年12月21日平成7年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成7年12月21日平成8年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成8年12月21日平成9年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成9年12月20日平成10年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成10年12月19日平成11年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成11年12月21日平成12年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成12年12月21日平成13年分 1,252,596  1,793,12440,528 平成13年12月21日平成14年分 208,766 298,85490,088 平成14年2月21日年金合計 12,212,811 17,482,959 5,270,148平成14年2月分までの合計22,260,333 31,866,343 9,606,010平成14年3月分以降の分23,836,902 34,123,150 10,286,248上記の現在価額(*1) 4,070,268 平成14年3月6日(*2)合計額 13,676,278公的年金 (*1) 4,070,268 平成14年3月6日(*2)合計額 13,676,278公的年金原告に支給された金員原告が本来受けるべき金員差額相当額遅延損害金起算日年金月額 186,661 232,19745,044年金分(平成4年5月分~平成14年2月分)平成4年分 1,306,630  1,625,38218,752平成5年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成5年12月16日平成6年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成6年12月16日平成7年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成7年12月16日平成8年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成8年12月14日平成9年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成9年12月16日平成10年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成10年12月16日平成11年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成11年12月16日平成12年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成12年12月16日平成13年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成13年12月15日平成14年分 373,323 6,432 平成12年12月16日平成13年分 2,239,937  2,786,36946,432 平成13年12月15日平成14年分 373,323 464,39591,072 平成14年2月16日年金合計 21,839,386 27,167,098 5,327,712平成14年3月分以降の分42,626,001 53,024,602 10,398,601上記の現在価額(*1) 4,114,726 平成14年3月6日(*2)合計額 9,442,438弁護士費用金額遅延損害金起算日4,000,000  平成4年5月31日損害金合計45,366,952*1 退職金年金と公的年金(平成14年3月分以降の分)の差額相当額は,本来受けるべき支給予定額と実際の支給予定額(それぞれ年金年額に,69歳(平成14年3月時点の原告の年齢)女性の平均余命19.03年(将来分請求の起算時である平成14年3月に最も近く,口頭弁論終結時において明らかな平成12年簡易生命表による。)を乗じて,算出したもの)に,中間利息の控除として,19年のライプニッツ係数(0.3957)を乗じて,算出したもの*2 いずれも原告の平成14年3月4日付け訴えの変更申立書が被告に到着した日の翌日

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