令和6年6月18日判決言渡令和6年(行ケ)第10009号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和6年5月14日判決 原告株式会社グリーンメディック 同訴訟代理人弁護士藤沼光太同訴訟代理人弁理士植田吉伸 被告特許庁長官同指定代理人白鳥幹周同豊 瀬 京太郎同真鍋伸行 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2023-7240号事件について令和5年12月26日に した審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 商標登録出願(乙1)原告は、令和4年2月9日、次のとおり、商標登録出願を行った(商願2 022-14425号。以下「本願」という。)。 ア商標登録を受けようとする商標サプリ処方箋(標準文字。以下「本願商標」という。)イ商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(以下、本願の第9類の商品群を「第9類商品群」、第35類の役務群を「第35類役務群」、第44類の役務群を「第44類役務群」という。) 第9類電子応用機械器具及びその部品、コンピュータプログラム及びコンピュータソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム第35類商品の販売に関する情報の提供、消費者のための商品及び びコンピュータソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム第35類商品の販売に関する情報の提供、消費者のための商品及び役 務の選択における助言と情報の提供、消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供、サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、食餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に 対する便益の提供、食餌療法用食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、医師の紹介第44類医療に関する相談、医療に関する相談の媒介、医療に関する情報の提供、医療に関するコンサルティング、インターネットによる医療に関する情報の提供、調剤、服薬指導、健康診断、 健康管理、ダイエット・栄養摂取又は健康管理に関する情報の提供、栄養の指導、ダイエット・健康管理に関する助言・指導・診断⑵ 拒絶査定等ア本願について、令和4年7月11日付けで、第35類役務群及び第44 類役務群につき、拒絶理由の通知がされた。(甲8) イ原告は、令和4年10月21日、特許庁長官に対して意見書を提出したが、本願については、令和5年2月1日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)がされた。(甲9、10)⑶ 原告は、令和5年5月2日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2023-7240号)。(甲11) ⑷ 特許庁は、令和5年12月26日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、令和6年1月16日に原告に送達された。 ⑸ 原告は、令和6年2月13日、本件審決の取消し 12月26日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、令和6年1月16日に原告に送達された。 ⑸ 原告は、令和6年2月13日、本件審決の取消しを求めて、本件訴訟を提起した。 ⑹ 原告は、商標法10条1項の規定に基づき、第9類商品群を指定商品とする新たな商標登録出願(分割出願)を行い、令和6年3月26日、本願の指定商品及び指定役務を第35類役務群及び第44類役務群に変更することを内容とする手続補正書を提出した。(乙2、3) 2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は、別紙審決書(写し)のとおりであり、その理由の要旨は、本願商標をその指定商品及び指定役務中、第35類の指定役務又は第44類の指定役務に使用したときは、それに接する需要者において、「サプリメントの処方(処方箋)」に関する役務であることを表現するための語句であると理解、認識されるにとどまり、自他役務の識別標識としては認識されないものというの が相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきであり、商標法3条1項6号に該当する、というものである。 3 取消事由商標法3条1項6号該当性に関する判断の誤り 第3 当事者の主張 〔原告の主張〕⑴ 指定商品及び指定役務に関し、本願商標と同一の標章が使用されているか否かは、正に当該指定商品及び指定役務に関する取引の実情であり、識別性の判断の際には考慮されるべき事項である。 そして、本件審決は、「サプリメントを処方する」「サプリメントの処方箋」 との用語が使用されていることを指摘するが、「サプリ処方箋」との用語が使用されている事実は認められない。 本願商標である「 、本件審決は、「サプリメントを処方する」「サプリメントの処方箋」 との用語が使用されていることを指摘するが、「サプリ処方箋」との用語が使用されている事実は認められない。 本願商標である「サプリ処方箋」の語は、本願商標の指定商品及び指定役務に関し、他で一般的に使用されているという実例はないことから、本願商標は造語であり、指定商品及び指定役務との関係で識別性を有するというべ きである。 ⑵ 「サプリ」は「サプリメント」の略である。また、「処方箋」は、本件審決が述べるとおり、「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味するところ、これは医師法22条及び薬剤師法23条により、医師が交付し、これを基に薬剤師が調剤を行うための書類であり、サプ リメントのような健康食品で用いられる書類ではない。 そのため、「サプリメントを処方」、「サプリメントの処方箋」との用語が使用されているとしても、「サプリ」と「処方箋」とは本来的に結びつかない用語であるから、「サプリメントの処方箋」との意味が生じたとしても、需要者はこれを造語として捉えるといえ、本願商標には識別性が認められる。 ⑶ 本件審決が拒絶の理由としている本願の指定商品及び指定役務は第35類役務群及び第44類役務群であるが、第35類役務群のうち「商品の販売に関する情報の提供」、「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」、「消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供」、「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、「食 餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提 供」並びに「食餌療法用食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務について 提供」、「食 餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提 供」並びに「食餌療法用食品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務については、「商品」、「加工食料品」、「食餌療法用飲料」及び「食餌療法用食品」がサプリメントを想起させるものではなく、種類も多岐にわたる。また、「医師の紹介」の役務においても、「サプリメントの処方箋」が「医師の紹介」とどのように関連するか不明である。したが って、これらの指定役務に本願商標を使用したとしても、「サプリメントの処方箋」に関する役務を意味すると直ちに理解されるものではない。 したがって、少なくとも、本願商標の指定商品及び指定役務のうち、第35類役務群について、本願商標が使用されたとしても識別性が認められるから、これに反する本件審決の判断には誤りがある。 〔被告の主張〕⑴ 本願商標の構成は前記第2の1⑴アのとおりであるが、この構成中、「サプリ」の文字は「サプリメントの略」を意味する語であり、「処方箋」の文字は「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味する語であり、一般に「比喩的にも使う」ものである(乙5)。 そして、これらはいずれも我が国において親しまれた平易な語であり、本願商標は「サプリ」の文字及び「処方箋」の文字を組み合わせてなるものと容易に看取されるものである。 ⑵ サプリメント(サプリ)は、「栄養補助食品」を意味するものであって(乙4)、法令上は医薬品に該当しないものの、医薬品と同様にドラッグストアな どで販売されている。また、これらは製造者を共通にすることもある上、医薬品のうちビタミン剤等と、サプリメントとでは、必要な栄養素の補給のために用いられる点において、用途や需 ドラッグストアな どで販売されている。また、これらは製造者を共通にすることもある上、医薬品のうちビタミン剤等と、サプリメントとでは、必要な栄養素の補給のために用いられる点において、用途や需要者層を共通にするものであるから、サプリメントと医薬品(特にビタミン剤等)とは一定程度類似する商品であるといえる。 加えて、サプリメントと医薬品を併用する場合、サプリメントの成分によ っては、医薬品の効果が弱まったり、逆に強まったりすることがあるため、医師・薬剤師に相談することが望ましいとされている。 ⑶ 複数のウェブサイトや新聞記事の記載(甲15~24、乙12~27)にあるとおり、医療や健康管理に関する分野、又はサプリメントを取り扱う分野において、病院や薬局などを中心に、医師が個人に最適なサプリメントを 提案、処方し、それを販売するといったことが広く行われており、そのような行為をしばしば「サプリを処方」、「サプリメントを(の)処方」と表現している事実がある。 さらに、その中には、「サプリメント処方箋」や「サプリメントの処方箋」と称する書面を提供する事例も複数見られる(甲18~21、乙24~27)。 ⑷ 上記⑴ないし⑶によれば、本願商標に接する需要者は、それが「サプリ」の文字及び「処方箋」の文字を組み合わせてなるものと容易に看取し、「サプリメントの処方箋(適切なサプリメントの種類・量・服用法などを記した書類)」ほどの意味合いを容易に理解、認識するものといえる。 そして、本願の指定役務には、「消費者のための商品及び役務の選択におけ る助言と情報の提供」といった消費者の商品選択を補助する役務、「サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」といったサプリメントを取り扱う分野の役務、及び におけ る助言と情報の提供」といった消費者の商品選択を補助する役務、「サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」といったサプリメントを取り扱う分野の役務、及び「栄養の指導」といった健康の維持管理に関する役務が含まれている。 そうすると、本願商標は、上記指定役務を取り扱う分野において取引に際 し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるとともに、上記指定役務に係る需要者をして、単にそれが「個人に最適なサプリメントを提案し、その最適なサプリメントの種類・量・服用法などを記した書類を作成すること、また、それを販売するために品揃え、陳列、接客サービス等を行うこと」に関する役務であることを表現するための語、又は、当該役務の提 供に際して提供される書面を指称する語であると理解、認識するにとどまり、 自他役務の識別標識としては認識しないものといえる。 したがって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法3条1項6号に 該当する。 ⑸ 原告は、〔原告の主張〕⑶のとおり、本願の拒絶理由の対象となった指定役務のうち、少なくとも第35類役務群との関係では、本願商標に識別性が認められる旨主張する。 しかし、第35類役務群の役務中、例えば「消費者のための商品及び役務 の選択における助言と情報の提供」については、その内容に「消費者のためのサプリメントの選択における助言と情報の提供」、すなわち、「個人に最適なサプリメントを提案すること」に関する役務を含むものであるし、また、「加工食料 報の提供」については、その内容に「消費者のためのサプリメントの選択における助言と情報の提供」、すなわち、「個人に最適なサプリメントを提案すること」に関する役務を含むものであるし、また、「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、「サプリメント」は「加工食料品」に含まれると考えられる (乙28、29)ことからすると、その内容に「サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、すなわち、「個人に最適なサプリメントを販売するために品揃え、陳列、接客サービス等を行うこと」に関する役務を含むものである。 そのほかの第35類役務群との関係においても、これらと同様に考えられ ることから、本願商標は、その指定役務中、第35類役務群との関係においても、自他役務の識別標識としての機能を有しない。 また、仮に、審決が拒絶理由の対象として挙げた本願の指定役務中に、「個人に最適なサプリメントを提案し、また、それを販売するために品揃え、陳列、接客サービス等を行うこと」に関する役務とはいえないものが一部含ま れていたとしても、それ以外の指定役務との関係において、本願商標は、需 要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当するものであることに変わりはない。 第4 当裁判所の判断 1 本願商標の構成本願商標は、「サプリ処方箋」の文字を標準文字で表してなるものである。 「サプリ」の語は「サプリメント」の略であって、「サプリメント」は「栄養補助食品」を意味する語である(乙4)。また、「処方箋」は「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味する語である(乙5)。そうすると、本願商標の「サプリ処 ント」は「栄養補助食品」を意味する語である(乙4)。また、「処方箋」は「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味する語である(乙5)。そうすると、本願商標の「サプリ処方箋」の文字は、「サプリ」の文字と「処方箋」の文字を組み合わせたものであるということができる。 2 本願商標並びに本願の指定商品及び指定役務に関する取引の実情各項に掲記した証拠及び弁論の全趣旨によれば、本願商標並びに本願の指定商品及び指定役務のうち第35類役務群及び第44類役務群に関する取引の実情として、以下の事実が認められる。 ⑴ サプリメントに関する取引の実情 サプリメントは、医薬品ではないが、医薬品と同様にドラッグストアで販売されており(乙6、7)、また、医薬品を販売する会社がサプリメントも販売している例がある(乙8、9)。 ⑵ 本件審決時におけるウェブサイトや新聞等の記載における「サプリメント」の語又は「サプリ」の語と「処方」の語の使用状況 ア 「エフクリニック大分」のウェブサイトには、「リバースエイジングメニュー」の見出しの下、「施術のポイント」として、「メトホルミンなど若返りサプリを処方」との記載がある。(甲22)イ 「高輪アイランドクリニック」のウェブサイトには、「腸内フローラ検査」の見出しの下、「ご希望の方には『オーダーメード乳酸菌(サプリ)』を処 方」、「ご希望の方には、あなたのためだけに厳選したオーダーメード乳酸 菌を処方いたします。」との記載がある。(甲23)ウ 「東京予防医療クリニック」のウェブサイトには、「サプリメント相談(分子栄養療法)」の見出しの下、「当院では血液検査により分子栄養学的解析の下で、不足分の栄養を補うようにサプリメントを処方しています。」との記載が ニック」のウェブサイトには、「サプリメント相談(分子栄養療法)」の見出しの下、「当院では血液検査により分子栄養学的解析の下で、不足分の栄養を補うようにサプリメントを処方しています。」との記載がある。(甲24) エ 「ミナクルミナミク」のウェブサイトには、「体と心のお悩みが相談できる!漢方薬・自然薬の『福井薬局』」の見出しの下、「妊活、ダイエット、更年期の諸症状などの体の不調から心の悩みまで、丁寧なカウンセリングをしたうえで、自分に合った漢方薬・自然薬・サプリメントを処方してくれる薬局です。」との記載がある。(乙18) オ令和元年(2019年)10月30日付け日経産業新聞の記事には、「ポーラ、サプリ処方企業に出資。」の見出しの下、「ポーラ・オルビスホールディングス(HD)はカスタマイズサプリメントを手掛けるスタートアップ企業のトリコ(東京・渋谷)に出資した。・・・トリコの資金調達額は計1.5億円。個人向けに肌診断の質問の結果から最適なサプリを処方する サービスを手掛け、資金は販売促進や新商品の開発などにあてるという。」との記載がある。(乙19)カ平成27年(2015年)1月16日付け日本経済新聞朝刊の記事には、「健康食品・サプリ、2人に1人、『何が必要』知識欠かせず(食と農)」の見出しの下、「東京都中央区で女性の健康指導を手掛ける医師の・・・氏 は、患者の栄養状態に応じサプリを処方している。『適切に使えば有効だが、成分を十分に理解せず、気分で購入する人も多い』と指摘する。」との記載がある。(乙20)キ平成30年(2018年)1月4日付け毎日新聞夕刊の記事には、「どうすれば安全安心:女性の薄毛、原因と対策睡眠しっかり、ダイエット注 意」の見出しの下、「治療法としては、発毛効果が認められ 平成30年(2018年)1月4日付け毎日新聞夕刊の記事には、「どうすれば安全安心:女性の薄毛、原因と対策睡眠しっかり、ダイエット注 意」の見出しの下、「治療法としては、発毛効果が認められている成分「ミ ノキシジル」の入った外用薬を中心に、内服薬や頭髪の元となるたんぱく質を効率よく働かせる鉄、銅、亜鉛などのサプリメントを処方し、生活改善指導も行う。・・・さんは『個人差はありますが、半年から1年で発毛効果が出ます』と説明する。費用は月1万5000~3万円ほどだ。」との記載がある。(乙21) ク平成17年(2005年)11月28付け毎日新聞朝刊の記事には、「病院がわかる:第5部・おいくらですか/5 自由診療」の見出しの下、「一般的な保険診療は、かかった医療費のうち、年齢に応じて1~3割を自己負担する。これに対し、保険がきかず全額自己負担になる医療全般を自由診療という。人間ドックなどの予防医療や美容整形、サプリメントの処方 などを施すアンチ・エイジング(抗加齢医療)といった緊急性の低い分野で利用者が増えている。」との記載がある。(乙22)。 ケ平成17年(2005年)10月6日付け日経産業新聞の記事には、「ティップネス、東京・池袋に新業態――「女性に快適」を徹底(追跡強さの源泉)」の見出しの下、「入り口脇にはサプリメントショップ『HEALT HY―One』を設置した。栄養士が常駐し、生活習慣などを平均三十分程度の時間をかけて面接。個々の要望に合わせたサプリメントを処方する。 初回は無料で一週間分提供するサービスも受け、『一日三十人程度の利用がある』。」との記載がある。(乙23)⑶ ウェブサイトの記載における「サプリメント処方箋」又は「サプリメント の処方箋」の語句の使用状況ア 「マリヤ・ク も受け、『一日三十人程度の利用がある』。」との記載がある。(乙23)⑶ ウェブサイトの記載における「サプリメント処方箋」又は「サプリメント の処方箋」の語句の使用状況ア 「マリヤ・クリニック」のウェブサイトに掲載の「栄養治療に関するご案内」と題する平成23年(2011年)12月15日付け資料には、「栄養治療に関するご案内」の見出しの下、「マリヤ・クリニックにて」の項に、「3.ご希望された場合には、院長のサプリメント処方箋が出される。治 療のためには、提携するサプリメントをお勧めし、その品質と内容に基づ いた処方がでますが、ご自分で別な製品を購入することもできます。」、「4. サプリメント処方箋に基づいて、管理栄養士がその意味合いと成分を説明する。経済的その他の理由で指定の処方サプリメントが購入できない場合には、ご遠慮なく管理栄養士に御相談ください。院長に相談して食事その他の方法をアドバイスします。処方されても2回目以降は栄養指導を受け ないこともできます。」「5.サプリメント処方箋を受付にて発行する。以下の料金を窓口にてお支払いください。」「8.処方箋の発行依頼はメールかファックスにて症状をお送りください。3ヶ月間マリヤ・クリニックに来院していなかったり、症状の報告をしていない場合には、サプリメント処方箋を発行することはできません。」との記載があり、また、「株式会社 ヨーゼフにて」の項に、「1.店頭にてサプリメント処方箋を提示して製品をご注文ください。」との記載がある。(甲18、乙24)イ 「Dr.TAIRA」のウェブサイトには、「『一般の方向け』の記事一覧」の見出しの下、「セミナー概要」の項に、「■第7回(1月6日(日)):『栄養療法で使えるサプリメント』・・・栄養療法では使えるサプリメント IRA」のウェブサイトには、「『一般の方向け』の記事一覧」の見出しの下、「セミナー概要」の項に、「■第7回(1月6日(日)):『栄養療法で使えるサプリメント』・・・栄養療法では使えるサプリメント と一見よさそうでも使えないサプリメントがあります。使えるサプリメントの選び方、その例、金額設定、処方の仕方、サプリメント処方箋の作り方について、実践的な内容を語ります。」との記載がある。(甲19、乙25)ウ 「笹塚クリニック」のウェブサイトには、「検診の流れ基本のコース 体験者レポート」の見出しの下、「受診後のアフターフォロー」の項に、「検査結果が出ると、医師とスタッフでカンファレンス(検討会)を行います。 異常値は無いか、以前のデータに比べて変化が起こっていないかなどを一つ一つチェックしていきます。カンファレンス終了後に報告書を作成して、郵便でお送りします。受診から報告書のお届けまで、約1ヶ月のお時間を いただいております。(十分なカンファレンスとわかりやすい報告書を作 成するために必要な時間です。)報告書には、気になるところや異常値にコメントをつけており、サプリメントの処方箋を同封していますので、どんなサプリメンテーションを行うべきかがお解りいただけるようになっています。」との記載がある。(甲20、乙26)エ 「はらメディカルクリニック」のウェブサイトには、「受付票システムを 導入しました!【業務部より】」の見出しの下、「この度、会計待ち時間を減らし、少しでも通院のご負担を軽くできればと『受付票システム』を導入致しました。通院される患者様の中でも、お仕事等でお時間のない方、土・祝日の混雑日にしかご来院できない方でもスムーズにご案内できますよう努めて参ります。・・・また、ご提出前に受付票のメモ欄に処方 入致しました。通院される患者様の中でも、お仕事等でお時間のない方、土・祝日の混雑日にしかご来院できない方でもスムーズにご案内できますよう努めて参ります。・・・また、ご提出前に受付票のメモ欄に処方箋など のご希望をお書き頂くことも可能です。・漢方やサプリメントの処方箋」との記載がある。(甲21、乙27) 3 検討前記1の認定事実によれば、本願商標の構成である「サプリ処方箋」は、サプリメントの略である「サプリ」の語と「処方箋」の語とを組み合わせた語で ある。そして、本願商標の需要者は、一般の消費者であると認められるところ、「サプリ処方箋」が「サプリ」の語と「処方箋」の語とを組み合わせたものであることは、本願商標の取引者又は需要者が容易に認識できる事実であるということができる。 「処方箋」は「医師が患者に与えるべき薬物の種類・量・服用法などを記し た書類」を意味する語である。法令上も、医師が患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合に、患者又は現にその看護に当たっている者に対して処方箋を交付することとされ(医師法22条1項本文)、薬剤師は医師等の処方箋によらなければ販売又は授与の目的で調剤してはならないとされており(薬剤師法23条1項)、「処方箋」の語は、医師が患者に与えるべき 薬物(医薬品)の種類・量・服用法等を記載した書類を指すものとして用いら れている。 しかし、一般的には、「処方箋」という語は、例えば「改革の処方箋」のように広く比喩的に使用される語であって(乙5)、「医師が患者に与えるべき薬物(医薬品)の種類・量・服用法等を記載した書類」に限定して使用されるものではなく、現に、上記2⑵及び⑶の認定事実によれば、複数のウェブサイトや 新聞の記事において、医師又はそれ以外の るべき薬物(医薬品)の種類・量・服用法等を記載した書類」に限定して使用されるものではなく、現に、上記2⑵及び⑶の認定事実によれば、複数のウェブサイトや 新聞の記事において、医師又はそれ以外の者が、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を提示、提供することを「サプリメントを処方」、「サプリメントの処方」あるいは「サプリを処方」と記載した例があり、医師又はそれ以外の者がこのようなサプリメントの種類や量等の提示、提供に際して作成する書面を「サプリメント処方箋」あるいは「サプリメントの処方箋」と記載し た例があると認められる。 これらの事実によれば、本願商標の取引者又は需要者は、「サプリ処方箋」の語が本願商標の指定商品及び指定役務のうち第35類役務群又は第44類役務群に使用された場合には、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を記載した書類を一般的に指す名称であると認識するものといえ、原告が提供す る役務を認識するとは認められない。 したがって、本願商標は、少なくとも本願の指定商品及び指定役務のうち第35類役務群及び第44類役務群との関係において、自他識別力を有しておらず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であると認められる。 4 原告の主張に対する判断⑴ 原告は、前記第3〔原告の主張〕⑴のとおり、本願商標の「サプリ処方箋」の語は、本願商標の指定商品及び指定役務に関し、他で一般的に使用されているという実例はないことから、本願商標は造語であり、指定商品及び指定役務との関係で識別性を有すると主張する。 しかし、本願商標の「サプリ処方箋」が「サプリ」の語と「処方箋」の語 を組み合わせたものであること及び「サプリ」が「サプリメント」の略であることは、本願商 識別性を有すると主張する。 しかし、本願商標の「サプリ処方箋」が「サプリ」の語と「処方箋」の語 を組み合わせたものであること及び「サプリ」が「サプリメント」の略であることは、本願商標の取引者又は需要者が容易に認識し得る事実であるから、本願商標の取引者又は需要者は、「サプリ処方箋」の語句から「サプリメント処方箋」あるいは「サプリメントの処方箋」を連想し、「サプリメント」の「処方」に関する書面であると認識するということができる。そして、上記2⑵ 及び⑶のとおり、複数のウェブサイトや新聞の記事において、医師又はそれ以外の者が、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を提示、提供することを「サプリメントを処方」、「サプリメントの処方」又は「サプリを処方」と表現し、これに関して医師又はそれ以外の者が作成する書面を「サプリメント処方箋」又は「サプリメントの処方箋」と表現している事実が認 められることからすれば、本願商標の「サプリ処方箋」は、少なくとも本願の指定商品及び指定役務のうち、第35類役務群及び第44類役務群との関係では、識別性を有するとは認められない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 原告は、前記第3〔原告の主張〕⑵のとおり、「処方箋」はサプリメントの ような健康食品で用いられる書類ではなく、「サプリ」と「処方箋」とは本来的に結びつかない用語であり、「サプリメントの処方箋」との意味が生じたとしても、需要者はこれを造語として捉えるから、本願商標には識別性が認められると主張する。 しかし、前記1及び3のとおり、「処方箋」の語は、本来「医師が患者に与 えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味する語であるが、広く比喩的に用いられる語であって、現に医師以外の者が医 し、前記1及び3のとおり、「処方箋」の語は、本来「医師が患者に与 えるべき薬物の種類・量・服用法などを記した書類」を意味する語であるが、広く比喩的に用いられる語であって、現に医師以外の者が医薬品以外のものに関して作成する書類についても使用されているものである。そして、栄養補助食品であるサプリメントについては、医師又はそれ以外の者が、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を提示、提供することが想定され るのであって、この行為について「処方」の語を用いることがあり、かつ、 このようなサプリメントの種類、量等の提示、提供に際して作成される書類を「処方箋」と称することがあると認められるから、「サプリ」と「処方箋」が結びつくことのない語であるとはいえず、本願商標に識別性を認めることもできない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 原告は、前記第3〔原告の主張〕⑶のとおり、少なくとも、本願商標の指定商品及び指定役務のうち、第35類役務群については、本願商標が使用されたとしても識別性が認められると主張する。 しかし、第35類役務群には、「サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務が含まれており、前記3の説示 に照らせば、本願商標の取引者又は需要者は、「サプリ処方箋」の語が上記役務に使用された場合には、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を記載した書類を一般的に指す名称であると認識することは明らかであるといえ、原告が提供する役務を認識することはない。そうすると、仮に、第35類役務群のその余の役務の中に、「サプリ処方箋」の語が当該役務に使用さ れた場合に、本願商標の取引者又は需要者が、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を記載した書 すると、仮に、第35類役務群のその余の役務の中に、「サプリ処方箋」の語が当該役務に使用さ れた場合に、本願商標の取引者又は需要者が、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を記載した書類を一般的に指す名称であると認識するとはいえないものが含まれていたとしても、第35類役務群との関係においても本願商標が自他識別力を有しないとの結論は左右されない。 また、前記3のとおり、「サプリメントを処方」、「サプリメントの処方」、 「サプリを処方」、「サプリメントの処方箋」及び「サプリメント処方箋」との語句が、サプリメントという商品に関し、一般の消費者に含まれる患者や顧客に適切なサプリメントの量などの情報を提供することに関連して使用される例があると認められること、サプリメントは栄養補助食品であって、「加工食料品」、「食餌療法用飲料」及び「食餌療法用食品」とは同一ではないも のの、加工して製造される食品である点、あるいは栄養面に配慮した食品で ある点で類似した面を有していること、医師が上記情報提供に際して「サプリメントの処方箋」と称される書類を作成することがあることが認められ、これらの事実によれば、第35類役務群のその余の役務(前記第2の1⑴イ)についても、「サプリ処方箋」の語がこれに使用された場合には、本願商標の取引者又は需要者は、患者、顧客等に適切なサプリメントの種類や量等を記 載した書類を一般的に指す名称であると認識すると解され、原告が提供する役務を認識するとは認められない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 5 結論以上のとおり、取消事由は理由がない。 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 できない。 主文 以上のとおり、取消事由は理由がない。 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則 (別紙審決書写し省略)
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