- 1 -主文 島根県公安委員会が,原告に対し,平成19年10月19日付けでした風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく営業停止処分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文同旨第2事案の概要本件は,パチンコ店を経営する原告が,島根県公安委員会より平成19年10月19日付けで受けた風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法」という)26条1項に基づく同店の営業停止処分の取消しを求。 めた事案である。 当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実は以下のとおりである。 ア原告は,パチンコ,遊技娯楽の経営等を目的とする株式会社であり,(1)島根県公安委員会から風俗営業の許可を得て,島根県浜田市α×番地1において,パチンコ店「A(以下「本件パチンコ店」という)を経営して」。 いるものである(争いがない。 )イBは,平成16年8月から平成17年10月に不正行為が発覚して解雇されるまで,原告の従業員として本件パチンコ店に勤務し,同年9月からは同店店長の職にあった元従業員である(争いがない。 )ウC及びDは,Bが本件パチンコ店の店長であったころ,Bの部下として同店で勤務していたものであり,後記の各違反行為の当時,Cは,本(3)件パチンコ店の班長の地位にありDは本件パチンコ店の一般従業員場,,(内)として稼働していたものである(争いがない。 )- 2 -本件パチンコ店について(2)ア本件パチンコ店の営業時間は,午前9時から午後10時30分まで(日曜日の営業時間は,午前9時から午後10時までである,従業員の勤務。)時間は,午前7時40分から午後11時30分まで(2交代制)であり,マネージャー1名,班長1名,一般従業 10時30分まで(日曜日の営業時間は,午前9時から午後10時までである,従業員の勤務。)時間は,午前7時40分から午後11時30分まで(2交代制)であり,マネージャー1名,班長1名,一般従業員(場内)7名,一般従業員(売店)2名,アルバイト従業員2名が配置されていた(甲第3号証の4。 )イ原告は,本件パチンコ店の閉店後の防犯のため,警備会社に警備を委託しており,店舗内はセンサーによる機械警備がされていたことから,本件パチンコ店の従業員らに対しては,休日や閉店後には,本件パチンコ店の店舗に極力出入りしないよう指導していたが,マネージャーや班長については,会員にメール等を配信するため本件パチンコ店に入店する必要がある場合があるため,店舗出入口付近にある機械警備を作動,解除するカードキーを所持,管理させていた(甲第3号証の4。 )ウ本件パチンコ店内にある遊技機の扉を開け閉めするいわゆる台鍵は,マネージャー,班長のほか,一般従業員(場内)全員が,それぞれ使用し得る状態であった(甲第3号証の4。 )エ本件パチンコ店の運営管理は,E営業部長に一切を任されており,同人が遊技機の購入,交換等の管理を行っていた(甲第3号証の4。 )違法な主基板の交換(3)アBは,本件パチンコ店の遊技機の主基板を取り替えて不正に出玉させて利得することを企図し,かつての部下であったC及びDを唆し,Cが閉店まで勤務してカードキーを使用して施錠する日などを見計らい,C及びDを見張り役として,その他氏名不詳の者数名とともに営業時間外の本件パチンコ店に侵入し,後記イアないしウのとおり,複数回にわたって(5)()()遊技機の基板を交換した(甲第3号証の1,同2,同5,同12,同25ないし33,弁論の全趣旨。 )- 3 -イBは,複数の打ち子と イアないしウのとおり,複数回にわたって(5)()()遊技機の基板を交換した(甲第3号証の1,同2,同5,同12,同25ないし33,弁論の全趣旨。 )- 3 -イBは,複数の打ち子と称する者をして,基板を変更した遊技機を使用させて出玉を獲得させ,それにより不正な利益を得ることを繰り返し,C及びDは,Bから,遊技機の基板の不正な変更に協力したことに対する報酬(,,,)。 を得た甲第3号証の7同12同19ないし24同31ないし33営業停止処分に至る経緯(4)アE営業部長は,平成18年10月ころ,Bと親しい者らが本件パチンコ店に出入りするのを見かけるようになり,ほぼ同時期に,Bと親しい者らが使用した遊技機において異常に大当たりが続くようになったとの情報を得て,B及びその親しい者らが本件パチンコ店において不正行為をしている疑いが生じたことから,同年11月28日及び同年12月6日の2度に(,,,,わたり浜田警察署に被害相談をした甲第3号証の1同4同7同8同19,弁論の全趣旨。 )イ浜田警察署は,前記アの被害相談を受けて捜査を開始し,平成19年5月7日,B,D及びCについて,本件違反行為があるとして,松江地方検察庁浜田支部に送致し,同支部検察官は,同年5月28日,Bら3名について略式起訴した(争いがない。 )同日,Bは○,Cは○,Dは○に処せられた(甲第5号証,弁論の全趣旨。 )ウア浜田警察署は,原告による組織的な法違反(無承認変更)の有無に()ついても捜査を行い,平成18年12月7日,原告が経営する本件パチンコ店以外の4店舗についても立入調査を実施し,全ての店舗に設置された回胴式遊技機「○○」について簡易照合機(ロムチェッカー)による検査を実施したが,異常は認められなかった(甲第3号証 する本件パチンコ店以外の4店舗についても立入調査を実施し,全ての店舗に設置された回胴式遊技機「○○」について簡易照合機(ロムチェッカー)による検査を実施したが,異常は認められなかった(甲第3号証の1。 )イ浜田警察署は,同年7月11日,後記イアの事実については,()(5)(),,平成17年法律第119号による改正前の法49条3項1号9条1項20条10項,50条が適用され,同イ及びウの事実については,()()- 4 -,,平成17年法律第119号による改正後の法50条1項1号9条1項20条10項,56条が適用されるとして,松江地方検察庁浜田支部に送致したが,同支部検察官は,同年7月18日,原告については起訴猶予処分とした(争いがない。 )エ島根県公安委員会は,島根県警察本部生活安全部生活安全企画課長警視Fを主宰者として原告に対する聴聞手続を行い,平成19年10月19日,,の聴聞期日において島根県警察本部生活安全部生活安全企画課警部Gは本件処分の内容,根拠条文,理由を説明し,原告は,本件訴訟におけるのと同様の反論主張をするとともに,陳述書,意見書及び証拠説明書を提出した(甲第5号証。 )営業停止処分(5)ア島根県公安委員会は,平成19年10月19日,原告に対し,法26条1項に基づき,本件パチンコ店の営業を同年11月1日から同年12月31日まで停止するとの処分(以下「本件処分」という)をした(争いが。 ない。 )イ本件処分の理由は,下記のとおりであった(争いがない。 )記原告は,島根県公安委員会から風俗営業の許可を受けて本件パチンコ店を経営するもの,Bは同店の元店長として稼働していたもの,C,Dは同店従業員として稼働するものであるが,Bらは共謀の上,原告の営業に関し,法定の除外事由が 会から風俗営業の許可を受けて本件パチンコ店を経営するもの,Bは同店の元店長として稼働していたもの,C,Dは同店従業員として稼働するものであるが,Bらは共謀の上,原告の営業に関し,法定の除外事由がないのに,あらかじめ島根県公安委員会の承認を得ないで,ア平成▲年▲月▲ころ,同店において,同店に設置してあるパチンコ()遊技機「○○」2台(××番台,×××番台)の主基板を取り外し,それぞれ異なる主基板と交換し,イ▲年▲月ころ,同店において,同店に設置してあるパチンコ遊技機()- 5 -「」(),,○○1台××番台の主基板を取り外し異なる主基板と交換しウ▲年▲月▲日ころ,同店において,同店に設置してある回胴式遊技()機「○○」5台の主基板を取り外し,それぞれ異なる主基板と交換し,もって,公安委員会の承認を受けないで,それぞれ営業所に設置する遊技機の変更を行ったものである(法20条10項,9条1項違反。以下,C,Dらが行った上記各行為を「本件違反行為」という。 。) 争点及び当事者の主張法26条1項該当性(1)アCとDは「当該営業に関し」て,法20条10項,9条1項に違反し,たといえるか。 ア原告の主張()本件違反行為は「当該営業に関し」行われたものに当たらない。 ,すなわち「当該営業に関し」といえるためには,当該行為が,一般,的,外形的に風俗営業者の業務に属することが必要であり,そのためには,経済的な効果等を風俗営業者に及ぼすものであることや,従業者において,主観的に,風俗営業者のためにする意思を有していることが必要であると解すべきところ,本件において,Bは,そもそも原告の従業者ではないし,CとDは,Bが夜間本件パチンコ店に不法に侵入し主基板を交換することを容易にするため,本 にする意思を有していることが必要であると解すべきところ,本件において,Bは,そもそも原告の従業者ではないし,CとDは,Bが夜間本件パチンコ店に不法に侵入し主基板を交換することを容易にするため,本件パチンコ店出入口の機械警備を解除して鍵を開閉したにすぎず,一般的,外形的に原告の業務に属する行為とはいえない。 仮に,CとDの上記行為が,Bと共同して主基板を交換する行為と評,()価できるとしてもBを主犯とするグループによる窃盗不正出玉行為の準備行為としてなされたにすぎず,一方,風俗営業者である原告にとって,上記行為は,損害をこうむることになりこそすれ,決して利益になるものではなく,その営業目的達成に資するものではない。 - 6 -この点につき,被告は,法の解釈基準に関する警察庁生活安全局長通達第26の5にしたがい「代理人等が自己の目的のためその地位を(2),濫用した場合であっても,その者がそのような行為をなし得べき地位に置かれている以上外形上風俗営業者の営業と異なるところがなく当,,『』。」,,該営業に関し行為をしたものと認められると主張するがこれは代理人等の行為が営業に関する行為であることを前提とするものであり,代理人等が地位を濫用した行為は全て営業に関する行為であるということにはならない。 本件におけるCとDの行為は,前記のとおり,窃盗の準備行為であっ,,てもはやその地位を濫用したという程度にとどまる行為ではないから上記通達によっても「当該営業に関し」には当たらない。 イ被告の主張()法26条1項所定の「当該営業に関し」とは,風俗営業者若しくはその代理人等の問題となる行為が一般的,外形的に風俗営業者の業務に属することが必要であるが,それで十分であって,当該行為によって風俗営業者に経済的効果 定の「当該営業に関し」とは,風俗営業者若しくはその代理人等の問題となる行為が一般的,外形的に風俗営業者の業務に属することが必要であるが,それで十分であって,当該行為によって風俗営業者に経済的効果を及ぼすことも従業者が風俗営業者のためにする意思を有している必要もなく,代理人等が自己又は第三者の利益をはかるためにその地位を濫用した場合であっても,その代理人等が風俗営業者によって,そのような行為をなし得る地位に置かれている以上,外形上風俗営業者の営業と異ならず「当該営業に関し」行為をしたものと解,すべきである。 本件において,Cは,班長として本件パチンコ店の防犯システムの作動及び解除をすることができるカードキーを管理し,同店舗の防犯システムを操作することができたもの,C及びDは,本件パチンコ店の遊技機の開閉キーを使用できる立場にあったものであり,いずれも遊技機の変更をなし得る地位にあり,本件も,本件パチンコ店における営業時間- 7 -,,外の遊技機の点検補修等の業務と何ら外形上異なるところはないからCらの本件違反行為が当該営業に関し行われたものであることは明白である。 イ著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害するおそれがあると認められるか。 ア原告の主張()本件パチンコ店には「○○」が60台設置されていたが,同機種の稼動・売上げが減少したため,原告は,平成18年7月末に20台,同年8月末に20台,同年12月3日に10台を撤去し,本件発覚後の同年12月24日に残りの10台を撤去した。したがって,無承認変更された遊技機が,本件パチンコ店において一般来店客の射幸心をそそった事実はない。したがって,遊技機の無承認変更によって,著しく善良の風俗等が害されたことはない。 イ被告の主張()本件のような遊技機の無承認変更は パチンコ店において一般来店客の射幸心をそそった事実はない。したがって,遊技機の無承認変更によって,著しく善良の風俗等が害されたことはない。 イ被告の主張()本件のような遊技機の無承認変更は,遊技機の違法改造の中でも最も悪質であり,無承認変更された遊技機が長いもので約8か月近く営業に供され,大量の出玉を目の当たりにした多くの一般来店客の射幸心を著しく刺激したことは明らかであることからすれば,遊技機の無承認変更によって,著しく善良の風俗等を害するおそれが発生していたというべきである。 手続上の違法の有無(2)ア原告の主張島根県公安委員会は,本件処分をするに当たり,浜田警察署幹部との間の,営業停止等の不利益処分をしないとの約束の下で作成された原告代表取締役Hの供述調書を基礎資料とし,他方,原告代理人が聴聞に当たって,,提出した意見書陳述書及び証拠については参考にしなかったものであり- 8 -本件処分に至る島根県公安委員会の審査は,著しく公正・公平さを欠き,違法である。 イ被告の主張ア記載の供述調書作成経緯は否認し,主張は争う。営業停止処分は公安委員会が行うものであって,捜査を担当した警察幹部は,営業停止処分の有無について約束する立場にはないし,このことは風俗営業者である原告も当然に承知していたはずである。 仮に,警察幹部が,原告主張の発言をしていたとしても,単なる個人的な意見の表明に止まるというべきであり,本件処分の手続上重大な違法があるとはいえない。 本件処分の妥当性(3)ア原告の主張島根県公安委員会の処分基準(乙2)は,風俗営業者が法に違反した場合,島根県公安委員会は,風俗営業者に対し,処分事由についての指示処分(法25条)を行い,指示処分に違反した場合に営業停止処分(同26条1項)を行うことを通常とす 2)は,風俗営業者が法に違反した場合,島根県公安委員会は,風俗営業者に対し,処分事由についての指示処分(法25条)を行い,指示処分に違反した場合に営業停止処分(同26条1項)を行うことを通常とする旨規定し,指示処分を行わずに営業停止処分をし得る例外として,短期20日以上の量定に相当する処分事由に当たる法令違反行為が行われた場合等を挙げている。 原告は,そもそもBらの犯罪行為の被害者にすぎず,法令違反行為をしていないから,上記例外に該当しない。 また,仮に上記例外に該当するとしても,島根県公安委員会による処分は裁量権の範囲を逸脱し,違法である。 イ被告の主張本件のような遊技機の無承認変更は,遊技機の違法改造の中でも最も悪質であり,本件において,違法改造された遊技機が長いもので約8か月近く本件パチンコ店において営業に供されており,一般来店客の射幸心を強- 9 -く刺激したこと,遊技機の出玉に不自然な点があれば点検は容易であるのにもかかわらず,店舗の管理を怠り,迅速な対応が取られなかったことなどからすれば,島根県公安委員会の処分基準に照らせば,原則として営業取消処分となる事案であるところ,原告側からの自主的な申告事案であっ,,,たこと原告の役員等の関与が認められないことを斟酌し処分を軽減し営業取消処分に代えて,2月の営業停止処分としたものである。よって,島根県公安委員会には,本件処分の量定について裁量権の範囲を逸脱した違法はない。 第3当裁判所の判断 争点 アについて(1)法は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害(1),,を及ぼす行為を防止するため風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について営業活動を制限し,年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資する 成に障害(1),,を及ぼす行為を防止するため風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について営業活動を制限し,年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とし(1条,客の射幸心をそそるおそれのあ)る遊技機を設置して客に遊技をさせるパチンコ店の営業は,風俗営業として()。 ,,,法の規制を受けると定める2条1項7号そして法は風俗営業者は営業所の遊技機の変更をしようとするときは,あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならないとし(20条10項,9条1項,公安委員会は,)風俗営業者又はその代理人等(風俗営業者の代理人,使用人その他の従業者(24条3項)が,当該営業に関し,法令又はこの法律に基づく条例の規)定に違反した場合において,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害するおそれがあると認めるときは,当該風俗営業者に対し,当該法令違反行為を防止するため必要な指示をすることができ(25条,著しく善良の風俗若し)くは清浄な風俗環境を害するおそれがあると認めるときは,当該風俗営業者に対し,当該風俗営業の許可を取り消し,又は6月を超えない範囲内で期間- 10 -を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができると定める(26条1項。 ),,ところで風俗営業者本人だけでなくその代理人等の違反行為についても「当該営業に関し」なされた場合には,上記指示処分(25条,営業許可)取消処分及び営業停止処分(26条1項)の対象となりうるとした趣旨は,事業主として,代理人等の選任,監督その他違法行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定して,風俗営業者の営業活動を指導しあるいは制限することにより,風 となりうるとした趣旨は,事業主として,代理人等の選任,監督その他違法行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定して,風俗営業者の営業活動を指導しあるいは制限することにより,風俗営業の健全化及び業務の適正化を図り,もって善良の風俗と清浄な風俗環境を保持することを目的としたものと解されるから,風俗営業者と代理人等の間に,その選任,監督上の注意義務ないしその他違法行為を防止するために必要な注意を尽くすべき義務の発生を基礎づけるべき一定の職務上の関係があったことが必要であるというべきであり,代理人等が従事していた職務の内容や与えられていた職務上の権限の範囲等からおよそ違反行為を行い得る地位になく,上記義務を基礎づけることが不可能ないし著しく困難な場合を含まないというべきである。 したがって「当該営業に関し」とは,当該代理人等の行為の外形をとら,えて客観的に観察したとき,当該風俗営業の態様等からして,それが代理人等が従事する当該風俗営業に関するものと認められる場合であることを要するが,これが肯定される場合には,代理人等が主観的には自己の目的のためにその地位を濫用した場合であっても,その者がそのような行為をなし得べき地位に置かれていた以上,その地位を濫用する行為は,当該営業に関するものというべきであり,他方,代理人等が従事していた職務の内容や与えられていた職務上の権限の範囲等から違反行為をおよそ行い得る地位になかった場合には,もはや代理人等の行為は当該営業に関するものとはいえないというべきである。 これを本件についてみるに,前記第2,1の各事実によれば,確かに,(2)- 11 -原告の従業員であったCは,本件違反行為当時,本件パチンコ店の班長として,本件パチンコ店の防犯システムの作動及び解除をすることができるカードキ 2,1の各事実によれば,確かに,(2)- 11 -原告の従業員であったCは,本件違反行為当時,本件パチンコ店の班長として,本件パチンコ店の防犯システムの作動及び解除をすることができるカードキーを管理する地位にあり,本件違反行為も,Cが管理している上記カードキーを利用して本件パチンコ店に侵入した上で行われ,また,原告の従業員であったC及びDは,本件パチンコ店内にある遊技機の扉を開け閉めするいわゆる台鍵を使用し得る立場にもあった。 しかしながら,①本件違反行為は,いずれもBを主犯とするグループによる不正出玉行為の一貫としてなされたものであり,その中で,Cは,Bらが遊技機の主基板を交換することを可能とするために,勤務時間後にカードキーを利用して防犯システムを作動させるのを遅らせるなどし,Bらの本件パチンコ店への侵入を容易にするとともに,主基板交換作業中,見張りをしていたにすぎないこと,②本件パチンコ店を含む原告経営のパチンコ店内の遊技機の購入,変更については,原告本社の営業部長に一任されており,本件パチンコ店の班長であるCや一般従業員にすぎないDには,遊技機の購入,交換等を行う権限は一切与えられていなかったこと,③C,Dを含む本件パチンコ店の従業員に対しては,勤務時間終了後,本件パチンコ店へ出入りすることは,原則として禁止されており,例外として,班長であるCがその職務である会員へのメール配信等のために本件パチンコ店に出入りすることが許されていたにすぎないこと,④遊技機の扉を開け閉めするいわゆる台鍵については,本件パチンコ店に侵入したBが,店舗内の鍵箱から無断で取り出して使用したこと(C及びDが,自ら管理している台鍵を使用して本件違反行為を行ったことをうかがわせる証拠はない)などからすれば,本件パチ。 ンコ店における遊技機の購入,交換 内の鍵箱から無断で取り出して使用したこと(C及びDが,自ら管理している台鍵を使用して本件違反行為を行ったことをうかがわせる証拠はない)などからすれば,本件パチ。 ンコ店における遊技機の購入,交換等の権限を全く有せず,遊技機の管理等の職務に従事していたわけでもないC及びDは,遊技機の主基板を交換するということに関与し得べき地位に置かれていたとは到底言い難く,原告にと,,,ってみればC及びDの行為はその職務や権限とは無関係であるばかりか- 12 -Bを主犯とする不正出玉行為の被害者であるというべきであるから,C及びDの行為の外形をとらえて客観的に観察したとき,原告のパチンコ店営業に関して行われたものと認めることはできない。 よって,本件違反行為は,原告の従業者が「当該営業に関し」法令(法20条10項,9条1項)に違反したものとはいえない。 以上によれば,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 松江地方裁判所民事部裁判長裁判官片山憲一裁判官三島恭子裁判官角田祥子
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