平成13(行ウ)43 退去強制令書発付処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年3月31日 福岡地方裁判所 警察関係
ファイル
hanrei-pdf-34098.txt

判決文本文40,920 文字)

- 1 -主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告法務大臣が平成13年12月14日付けで各原告に対してした出入国管理及び難民認定法(平成14年改正前のもの。以下「入管法」という)49条1項に基づく原告。 らの異議の申出は理由がない旨の裁決をいずれも取り消す。 被告福岡入国管理局主任審査官が平成13年12月17日付けで各原告に対してした退去強制令書発付処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,被告法務大臣が,平成13年12月14日,原告らの異議の申出に対して理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という)を行い,同裁決を受けて,被告福岡入国管理。 局主任審査官(以下「被告主任審査官」という)が,同月17日,退去強制令書発付処分。 (以下「本件発付処分」という)を行ったところ,原告らが,在留特別許可を付与しなか。 った上記裁決は,被告法務大臣が裁量権を逸脱又は濫用した違法な処分であり,被告主任審査官による退去強制令書発付処分も,裁量権を逸脱又は濫用した違法な処分であるとして,本件裁決及び本件発付処分の取消しを求めた事案である。 争いのない事実並びに証拠(甲1,19ないし57,101ないし109,乙1ないし43,45ないし100,103ないし108)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実(1)原告ら,P1及びP2の生年月日及び身分関係は,別紙1(身分関係図)のとおりである。 原告P3及び原告P4は,中華人民共和国(以下「中国」という)の国籍を有して。 いたP2と,中国籍であるP5との間の子である。P1は,原告P3及び原告P4が出生した後にP2と結婚したため,P1にとって原告P3及び同P4は,いわゆるP2の連れ子に当たる(以下,本件において「連れ子」と 2と,中国籍であるP5との間の子である。P1は,原告P3及び原告P4が出生した後にP2と結婚したため,P1にとって原告P3及び同P4は,いわゆるP2の連れ子に当たる(以下,本件において「連れ子」とは,再婚前の前夫又は前妻との間の子をいう。 。)P2は,平成5(1993)年2月ころ,本邦に帰化した(甲58,乙6)。 (2)原告らが本邦に上陸し,再入国許可,在留更新許可を受けた経緯及びその際の在留資格,在留期間は,別紙2(入国在留経過一覧表)のとおりである。 (3)原告らの収容から本件処分までの経緯ア手続の概要入管法24条は,同条各号の一に該当する外国人について,同法第5章に規定する手続により,本邦から退去を強制することができると規定する。入国警備官は,同条各号の一に該当する疑いがある外国人(以下「容疑者」という)があれば,こ。 れについて調査した上,当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならず(入管法27条,39条,44条,引渡しを受けた入国審査官は,当該容疑者が同条各号)の一に該当するか否かを速やかに審査した上,その認定をすることを要する(入管法45条,47条。また,当該容疑者が同認定に服さず,口頭審理を請求したとき)- 2 -は,特別審理官は口頭審理をした上,同認定に誤りがないかどうかを判定しなければならず(入管法48条,さらに,容疑者が同判定に服さず,異議を申し出たとき)は,被告法務大臣は,その異議の申出に理由があるかどうかを裁決し,その結果を主任審査官に通知するものとされている(入管法49条。 )被告法務大臣は,裁決に当たって,当該容疑者の異議の申出に理由がないと認める場合であっても,入管法50条1項3号に基づき,当該容疑者について在留を特別に許可すべき事情があると認めるときは,在留を特別に許可することができ に当たって,当該容疑者の異議の申出に理由がないと認める場合であっても,入管法50条1項3号に基づき,当該容疑者について在留を特別に許可すべき事情があると認めるときは,在留を特別に許可することができ,許可した場合には,その旨を主任審査官に通知する。 容疑者が入管法24条各号の一に該当するとの入国審査官の認定又は特別審理官の判定に容疑者が服したとき又は被告法務大臣から異議の申出に理由がない旨の裁決の通知を受けたときは,被告主任審査官は,速やかに当該容疑者に対する退去強制令書を発付しなければならない(入管法47条4項,48条8項,49条5項。 )イ収容福岡入国管理局入国警備官は,平成13(2001)年11月5日,熊本出張所,入国審査官が原告らに係る入国許可及び上陸許可を取り消したことを確認した上で原告らにつき,いずれも入管法24条2号に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,被告主任審査官から収容令書の発付を受けた上で,同日,収容令書を執行して,原告らを福岡入国管理局に収容した。 ウ審査福岡入国管理局入国審査官は,平成13(2001)年11月6日から9日にかけて,原告らに対して違反審査(入管法45条)を実施した。なお,同審査は,原告P3,原告P6,原告P4及び原告P7については中国語の通訳を介して実施され,原告P6の審査については原告P3と併合して行われた。 エ 認定 (ア)福岡入国管理局入国審査官は,平成13(2001)年11月6日,原告P4につき,入国時に原告P4が使用した旅券が入管法にいう有効な旅券に該当しないと認められたため,原告P4を入管法24条1号の「法3条の規定に違反して本邦に入った者」に該当する旨の認定を行い,その旨通知した(乙67)。 また,福岡入国管理局入国審査官は,同日,原告P8及び原告P9を入管法24 原告P4を入管法24条1号の「法3条の規定に違反して本邦に入った者」に該当する旨の認定を行い,その旨通知した(乙67)。 また,福岡入国管理局入国審査官は,同日,原告P8及び原告P9を入管法24条2号の「入国審査官から上陸の許可を受けないで本邦に上陸した者」に該当する旨の認定をし,その旨を親権者である原告P4に通知した(乙83,91)。 さらに,入国審査官は,同月7日,原告P7を入管法24条2号の「入国審査官から上陸の許可を受けないで本邦に上陸した者」に該当する旨の認定をし,その旨通知した(乙77)。 (イ)福岡入国管理局入国審査官は,同月9日,原告P3及び原告P6を,同月12日には原告P10を,いずれも入管法24条2号の「入国審査官から上陸の許可を受けないで本邦に上陸した者」に該当する旨の認定をし,その旨通知した。なお,原告P6については,親権者である原告P3に通知した(甲19ないし21)。 オ口頭審理の申立て及び判定原告らは,いずれも,前記認定を不服として,口頭審理を請求した。 - 3 -なお,原告P4,原告P8及び原告P9については,前記認定が通知された際,,,(),口頭審理の請求を放棄し帰国を希望したが平成132001年11月7日弁護士と面会した直後に,原告P4から,原告P4,原告P8及び原告P9の口頭審理の請求を行うとの申立書(乙69)が提出され,入国審査官が3名の意思を確認したところ,いずれも口頭審理の請求を行う旨を述べたので,口頭審理の請求を行ったものとして取り扱った。 口頭審理は,同年11月19日に行われたが,福岡入国管理局特別審理官は,同日及び翌20日原告らに対する入国審査官の認定に誤りがない旨の判定をした甲,。(26ないし28)カ異議申立て原告らは,平成13(2001)年11月 れたが,福岡入国管理局特別審理官は,同日及び翌20日原告らに対する入国審査官の認定に誤りがない旨の判定をした甲,。(26ないし28)カ異議申立て原告らは,平成13(2001)年11月20日,被告法務大臣に対して異議申立てを行い,在留特別許可を求めた(甲33ないし37)。 P2は,翌21日,原告らの仮放免を申請した。それに対し,原告P7を除く原告6名については,翌22日に仮放免が許可された。 キ本件裁決被告法務大臣は,平成13(2001)年12月14日,原告らが申し立てていた異議には理由がない旨の裁決を行った。 これを受けて,被告主任審査官は,同月17日付けで,原告らに対して,本件裁決を告知するとともに,退去強制令書を発付した。 福岡入国管理局入国警備官は,同日,これを執行し,原告らを福岡入国管理局収容場に収容した。 (4)本件訴訟提起及び執行停止の申立て原告らは,平成13(2001)年12月25日,本件訴訟を提起すると同時に,本件発付処分に係る退去強制令書の執行停止を求め,同令書はその送還部分につき執行が停止された。 なお,原告P7を除く原告らに対しては,翌26日,仮放免が許可されたが,原告P7の仮放免は許可されなかった。 福岡入国管理局入国警備官は,翌27日,原告P7を入国者収容所大村入国管理センターに移送した。 争点 被告法務大臣の本件裁決及び被告主任審査官の本件発付処分に,それぞれ裁量権を逸脱又は濫用した違法があるか。 【原告らの主張】(1)被告法務大臣の裁量権の逸脱又は濫用について入管法50条1項3号は「法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認める,とき」に在留特別許可を付与することができると規定し,具体的な限定を行っていない。 したがって,在留特別許可を付与するか否かを判断する場合には,当該外国 が特別に在留を許可すべき事情があると認める,とき」に在留特別許可を付与することができると規定し,具体的な限定を行っていない。 したがって,在留特別許可を付与するか否かを判断する場合には,当該外国人の経歴,家族関係,生活状況,国際情勢等を総合的に考慮すべきである。 被告らは,国際慣習法上,国家が外国人を受け入れる義務を負うものではなく,外- 4 -国人を受け入れるかどうか,受け入れる場合にいかなる条件を付するかを当該国家が自由に決定できると主張するが,我が国は国際協調主義を採用しており(憲法前文,98条,このような態度に与するべきではない。 )入管法9条1項は,外国人の入国に関する入国審査官の裁量権を否定し,上陸許可を覊束行為と定めていることからも,在留特別許可の許否につき,被告法務大臣に全くの自由裁量権があるとの被告らの主張は,その前提が誤っている。 入管法9条1項は,これから本邦に上陸しようとする者について,被告法務大臣の自由裁量を否定する規定であるから,既に本邦に生活の本拠があり,日本人との間に,。 一定の身分関係がある場合には被告法務大臣の自由裁量権は否定されるべきである入国管理局は,在留特別許可の許否について内部基準を設定し,同基準に沿って許否を決定し,一定範囲の在留特別許可事案については,地方入国管理局限りの決裁で被告法務大臣裁決を行うこととしており,在留特別許可の許否が類型的処理で行われている。 また,被告らは,在留特別許可が恩恵的な制度であると主張するが,入管法は,不法上陸その他の入管法違反行為を犯罪と規定する一方で,そのような滞在の中にも,保護されるべき滞在があることを前提にして入管法50条1項3号を規定し,その保護を被告法務大臣の責務としたもので,在留資格のない外国人の在留の中に法的保護に値する利益があることは うな滞在の中にも,保護されるべき滞在があることを前提にして入管法50条1項3号を規定し,その保護を被告法務大臣の責務としたもので,在留資格のない外国人の在留の中に法的保護に値する利益があることは所与の前提とされているのであるから,在留特別許可の制度は恩恵とはいえない。 以上のとおりであるから,すべての外国人について,被告法務大臣の裁量の下に個別的に判断することは妥当ではなく,日本人と一定の身分関係にある外国人に対する在留特別許可の判断に際しては,当事者の家族的結合や,教育を受ける権利という憲法的,人道的な要請に対して最大限の配慮をしなければならない。 本件においては,以下の諸事情を考慮して,在留特別許可が付与されるべきであったのに,被告法務大臣は,その裁量権を逸脱又は濫用して在留特別許可を付与しなかったものであって,被告法務大臣の本件裁決は,違法なものとして取り消されるべきである。 ア家族の結合(ア)条約市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という)23条1項。 は「家族は,社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国における保護を受,ける権利がある」と規定するところ,ここにいう「家族」は,直系血族に限定されない。また,同規約17条は,家族に対する恣意的又は不法な干渉の禁止を,,,。 同規約24条は家族の一員としての児童に関し保護を受ける権利を規定するそして,規約人権委員会の一般的意見において「規約23条の定める保護を確,保するに当たり,締約国は,立法措置,行政措置その他の措置をとることを要請される」とする(甲71。 。 )したがって,家族の結合に関する権利は,国際人権法上確立されており,条約を批准した日本政府も拘束する。 (イ)憲法- 5 -このような家族の結合に関する権利は,憲法13条が定める 71。 。 )したがって,家族の結合に関する権利は,国際人権法上確立されており,条約を批准した日本政府も拘束する。 (イ)憲法- 5 -このような家族の結合に関する権利は,憲法13条が定める幸福追求権の内容としても保障されているというべきである。 (ウ)国会決議また,第145回国会において,再入国期間の延長等に関する入管法改正案の附帯決議として,退去強制者の上陸拒否期間の延長,不法残留罪の新設に伴い,退去強制手続,上陸特別許可,在留資格認定証明書の交付,在留特別許可等の各制度の運用に当たっては,当該外国人の在留中に生じた家族的結合等の実情を十分考慮することが決議されており,この点からも「家族的結合の実情」が中心的に考慮されなければならない。 (エ)被告法務大臣の基準及び計画さらに,被告法務大臣は,平成12(2000)年1月26日ころ,婚姻を理由とする在留特別許可以外の在留特別許可基準につき,本邦入国から10年が経過していること,子供が日本の学校に通学する等日本社会への定着が認められることを条件として,家族全員が在留資格のない外国人であっても,その外国人全員に,在留特別許可を付与するとした。 被告法務大臣は,同年3月24日,第二次出入国管理基本計画を告示し,その中で,個別事案において,日本人,永住者又は特別永住者との身分関係を有する,,など我が国社会とのつながりが十分に密接と認められる不法滞在者に対してはこれまで行ってきたように人道的な観点を十分に考慮し,適切に対応していくとしている。 (オ)検討上記の各規定,決議,基準及び計画からすれば,被告法務大臣が在留特別許可を付与するか否かを検討するに当たっては,家族の結合の維持が十分に考慮されなければならないというべきである。 本件において,万一原告らが強制送還されると,原 計画からすれば,被告法務大臣が在留特別許可を付与するか否かを検討するに当たっては,家族の結合の維持が十分に考慮されなければならないというべきである。 本件において,万一原告らが強制送還されると,原告らは事実上二度と本邦への入国をすることができなくなる一方で,経済的に困窮したP1家族が中国を訪問することも困難であり,P1及びP2と,原告P3家族及び原告P4家族は分断されてしまう。 また,P1及びP2が,P1らのために尽くしてくれた原告P3や,養子先で辛酸を舐めた原告P4を本邦に呼び寄せて暮らしたいとの気持ちは尊重されるべきである。同時に,原告らが,年老いた両親の側で余生の面倒を見たい,あるいは,今まで味わうことのできなかった両親との生活を送りたいという気持ちも,尊重されるべきである。 このような思いを踏みにじり,家族を分断することとなる本件各処分は,人道に反する行為であって,B規約23条1項,17条及び24条並びに憲法13条に違反する。 イ原告P3及び原告P4の身分関係(ア)身分関係と入国経緯の関係不法入国者,不法滞在者であっても,退去強制されることが当然であるとはいえない。婚姻についてみれば,オーバーステイや密航等の外国人であっても,日- 6 -本人と正式に婚姻して同居している場合には,ほぼ例外なく在留特別許可により「日本人の配偶者等」の在留資格が付与される。本件においても,仮に,原告P3及び原告P4がP1の実子であったとすれば,在留特別許可によって「日本人の配偶者等」の在留資格が付与され,日本での定住が認められるはずである。 したがって,本件においては,まず,原告らの身分が,本来「定住者」の在留資格を付与されるべき範疇に属するかということが検討されなければならず,原告らの入国経緯のみに目を奪われるべきではない。 「定住者」の在 て,本件においては,まず,原告らの身分が,本来「定住者」の在留資格を付与されるべき範疇に属するかということが検討されなければならず,原告らの入国経緯のみに目を奪われるべきではない。 「定住者」の在留資格は,あくまで,入国審査官が,被告法務大臣の個別の指定なく,定住者の在留資格をもって上陸を許可できないという規定にすぎない。 また「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第,()」二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件平成2年法務省告示第132号(以下,単に「告示」という)9号において,特別な事情を考慮して,入国,在。 留を認めることが適当な者に定住者の在留資格を付与している。したがって,定住者の在留資格は,告示に規定する者に限定されず,法務大臣が個別の指定をすれば,告示に該当しない者でも定住者の在留資格を付与される。 (イ)実子との関係憲法14条は,不合理な差別を禁止している。また,B規約2条1項は「この,規約の各締結国は,その領域内にあり,かつ,その管轄の下にあるすべての個人に対して(中略)国民的若しくは社会的出身,財産,出生又は他の地位等による,いかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する」と規定し,同規約24条1項は,重ねて「すべての児童は(中。 ,,略)国民的若しくは社会的出身,財産又は出生によるいかなる差別もなしに」保護を受ける権利があるとされる。そして,同条に関する規約人権委員会の一般的意見として「締約国による報告は,保護の措置が,相続を含むあらゆる分野にお,ける全ての差別を,なかんずく国民たる児童と外国人たる児童との間における,又は嫡出子と非嫡出子との間における差別を除去するためにとられることをどのように法令と実行が確保しているのかを示す 野にお,ける全ての差別を,なかんずく国民たる児童と外国人たる児童との間における,又は嫡出子と非嫡出子との間における差別を除去するためにとられることをどのように法令と実行が確保しているのかを示すべきである」として,実子と連れ子。 の間の差別を禁止している(甲71)。 「日本人の配偶者等」の在留資格については,日本人の子として出生した者について在留資格該当性が認められているが,これは,日本人との緊密な身分関係,。 ,,があればその者を保護する趣旨であるまた婚姻後に離婚する夫婦が増加しそれに伴って連れ子のある配偶者と再婚する夫婦も増加しているなど,現代社会の家族形態は多様化していることからすれば,実子,連れ子,養子を同じ子として平等に取り扱うのが,憲法及び条約等の趣旨に沿うものである。 ところが「定住者」につき,告示は,日本人の実子については制限なく在留を,認めているのに対し,日本人と再婚した外国人配偶者の子は,未成年で未婚でなければ在留を認めていない。しかしながら,配偶者の連れ子が日本人にとって姻族であるといっても,配偶者との婚姻関係が継続している間は,1親等の親族としての生活や交流があるのが通常であり,成人したら一切日本への在留を認めないというのは,あまりにも過度な差別であって,このような取扱いは極めて不合- 7 -理な差別であるといわざるを得ない。 本件においては,原告P3及び原告P4は,P2の連れ子であるが,P1とP2が在留を望んでいるにもかかわらず,原告P3及び原告P4が送還されることになれば,P1の実子は本邦への在留が認められるのに,連れ子は在留できないことになり,極めて大きな差別が生じる。 したがって,原告らを退去させることは,憲法14条,B規約2条1項,24条に違反する。 (ウ)日本人の特別養子との関係 認められるのに,連れ子は在留できないことになり,極めて大きな差別が生じる。 したがって,原告らを退去させることは,憲法14条,B規約2条1項,24条に違反する。 (ウ)日本人の特別養子との関係入国・在留審査要領(甲70)によれば「日本人の配偶者等」という在留資格,が付与されるべき範囲の者の中に,日本人の特別養子が含まれている。この趣旨は,幼少時に実親との身分関係を切り離され,実子同様に育てられた親子関係を保護するものである。 特別養子とは,幼少のときに養子縁組をして実親との関係を断ち切り,養親が実子として養育するという制度であるところ,P2がP1と再婚した際,原告P3は3歳,原告P4は1歳であり,その後両名は実の父と何ら交流はない。その上,中国残留日本人孤児であったP1にとって,P2の2人の連れ子が6歳の時点で日本へ帰国できなかった事情や,中国において特別養子の手続が存在しなかった事情のある本件においては,日本人の特別養子と同視して「日本人の配偶者,等」としての在留資格を付与すべきである。 (エ)インドシナ難民の呼び寄せる家族との関係入国・在留審査要領(甲70)は,定住者として在留資格が付与される者とし,。 ,,て7つの規定を設けるその中でインドシナ難民の呼び寄せる家族について「1)日本人の配偶者,親若しくは子又は日本人若しくは日本に適法に在留する(外国人の親族で相互扶助が可能である者(養子を含む」として,無条件に養子。)を含めて定住者としての在留資格を付与しており,また,ヴィエトナム在住のヴィエトナム人について,一定の要件の下で「これに随伴する親族で,その家族構,成等からみて,人道上特に入国を認めるべきもの」について,広く定住者の在留資格を認め,家族,親族のつながりをできるだけ保護しようとしている。 また 定の要件の下で「これに随伴する親族で,その家族構,成等からみて,人道上特に入国を認めるべきもの」について,広く定住者の在留資格を認め,家族,親族のつながりをできるだけ保護しようとしている。 また,告示におけるインドシナ難民の規定は,国際世論に対して日本が面目を保つために,あえて明文化したにすぎないものであって,注意的な規定である。 したがって,告示におけるインドシナ難民の規定は例示的規定であり,受入れをインドシナ難民に限定するものではない。 本件は,中国残留日本人孤児が日本に帰国した後に呼び寄せた家族に関するもので,人道上保護されるべき関係にあるのであり,前記要領の規定の趣旨は十分に考慮されるべきである。 (オ)日本人の子として生まれた者と,外国人の子として生まれたが,後に親が日本国籍を取得した者との関係「日本人の配偶者等」の在留資格を日本人の実子として得るためには,出生時に親が日本人であることが要件とされている。そして,出生時に親が外国人であった場合には,子は未成年で未婚である場合に限って在留を認めるとされる。し- 8 -かしながら,そのような区別は,国籍法や帰化制度の趣旨に反するものといわざるを得ない。 日本社会とのつながり,特に日本社会との血のつながりを考慮して,定住者の在留資格を独立した一つの在留資格として位置づけた平成2年施行の改正入管法の趣旨からみても,原告P3及び原告P4の母親であるP2が日本人となった以上,日本人とのつながりも存在するのであるから,本件においては,原告P3及び原告P4につき,日本人であるP2の実子として,日本への在留資格が認められるべきである。 ウ子の教育,福祉憲法26条1項は「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じ,て,ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定し,これを受けて教 への在留資格が認められるべきである。 ウ子の教育,福祉憲法26条1項は「すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じ,て,ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定し,これを受けて教育基本法3条。 は「人種,信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって,教育上差別されない」と規定している。 。 また,児童の権利に関する条約28条1項は,教育に関する権利として「締約国,は,教育についての児童の権利を認めるものとし,この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため,特に(a)初等教育を義務的なものとし,すべて,の者に対して無償のものとする(b)種々の形態の中等教育の発展を奨励し,すべ。 ての児童に対し,これらの中等教育が利用可能であり,かつ,これらを利用する機会が与えられるものとし(中略(c)すべての適当な方法により,能力に応じ,,)。()()すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする中略e定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる」とし,同条約3。 条1項は「児童に関するすべての措置をとるに当たっては,公的若しくは私的な社,会福祉施設,裁判所,行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても,児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」とする。 。 ,,(,「」原告P10原告P6原告P8及び原告P9以下4人を併せて原告子らということがある)は,いずれも日本の学校に通う未成年であり,中国語能力は極。 端に低下している。このような原告子らを中国へ強制送還すると,中国における同学年の中国人生徒との間の言語能力の差は歴然たるものがあることからして,到底授業に追いつくことはできない。また,中国で再入学できるかどうかすら疑わしいので 子らを中国へ強制送還すると,中国における同学年の中国人生徒との間の言語能力の差は歴然たるものがあることからして,到底授業に追いつくことはできない。また,中国で再入学できるかどうかすら疑わしいのであり,原告子らの教育を受ける権利を事実上奪うこととなる。 被告らは,原告子らが,中国語で会話することが可能であることを理由として,中国へ強制送還されても,学校に適応できる旨主張する。しかしながら,原告子らは,学校の教科学習において必要となる言語である学習言語としての中国語を修得しておらず,年齢相応の学習言語を獲得していないため,原告子らが中国へ強制送還された場合,年齢相応の教育を受けることはできない。 また,原告子らは,日本の学校に通う中で,部活動等を通じて,多くの日本人の友人を得た。他方,原告子らは,中国を離れて久しいため,中国に帰っても友人は,,,,なくむしろ中国語能力の低下遅れが原因となっていじめに遭う可能性が高く原告子らの心に大きな傷を残す。 このように,原告子らを強制送還することは,福祉的観点からみても,前記条約- 9 -3条1項に違反するものである。 エ強制送還された後の生活等原告P3家族は5年間,原告P4家族は3年間にわたって本邦で生活しており,本邦の社会生活に定着している。しかし,中国には生活基盤がない。 原告P3は,平成8年以降2回中国に渡航しているが,1回目は,平成12(2000)年2月ころ,P11の父親の葬式に出席するためであり,2回目は,P11との再婚手続のために渡航したものであり,再婚は,P11の困窮をみかねてのものであった。 また,原告P4が,中国にいる養母に送金したのは,P12による強要に基づくものであって,原告P4の養父母は,頼るべき親族とはいえない。 オ入国方法の違法性について(ア)在留特別許 ものであった。 また,原告P4が,中国にいる養母に送金したのは,P12による強要に基づくものであって,原告P4の養父母は,頼るべき親族とはいえない。 オ入国方法の違法性について(ア)在留特別許可の判断における入国経緯の評価の在り方在留特別許可は,在留資格のない外国人の在留に,保護されるべき在留があることを前提としており,日本人との身分関係や,長期の滞在からくる我が国での生活基盤の安定等に保護されるべき利益を見出だし,その在留を積極的に合法化しているのであって,入国方法の違法性は,在留特別許可の判断に際して重視されるべきではない。在留特別許可制度そのものが,入管法違反行為を行って退去強制手続に付された者に対する救済制度として設けられているものであるから,違反行為が在留特別許可の判断に際して重視されると,在留特別許可は制度として存在しないことになる。 1年間に多くの在留特別許可が付与されている上,在留特別許可が付与される場合には,身分関係こそが重視されるのであって,オーバーステイや密航等は結果的には在留資格付与の妨げにはならない。 そもそも,P1のような中国残留日本人孤児の問題が生じたのは,日本政府の責任によるものであって,このような責任を棚上げにしたまま,P1や原告らの行為を非難することは,正義に反するものである。P1が,福岡入国管理局に対し,平成2(1990)年ないし平成3(1991)年ころ,原告P3につき,P13名で在留資格認定申請を行った際には,これを不許可としたにもかかわらず,平成8(1996)年ころ,P1によって,生年月日がP13と一致している者についてP3名で行った申請については,これを認めているのであって,このような入国管理局側の落ち度を棚上げにしたまま,P1や原告らの行為のみを非難することは,正義に反する。 以上のと 一致している者についてP3名で行った申請については,これを認めているのであって,このような入国管理局側の落ち度を棚上げにしたまま,P1や原告らの行為のみを非難することは,正義に反する。 以上のとおり,原告らの入国経緯は,問題とされるべきではない。 (イ)原告らの入国経緯について仮に,原告らの入国経緯について問題とされるとしても,それらは決して悪質とはいえない。 ,,,原告P3は戸籍事務担当の公安局職員に姓を変える手続を依頼したところ同職員は,原告P3のことを知っていたため,何の問題もなく原告P3の氏名を「P13」から「P3」に変更したものである。 また,原告P4についても,原告P3が氏名を変更できたことから,P12に- 10 -依頼して,氏名を「P4」から「P14」に変更したものである。P12の実子が原告P4の実子として入国したのは,P12が勝手に行ったものであり,原告P4らは,実子としての入国を断れば,手続が停止して本邦への入国ができなくなることをおそれたため,仕方なく入国させたにすぎない。 カ 結論 上記の各事情を考慮すれば,原告らには在留特別許可が付与されるべきであり,異議は理由がない旨の本件裁決は,裁量権を逸脱又は濫用したものであり,違法である。 (2)被告主任審査官の裁量権の逸脱又は濫用について入管法24条は,同条各号の定める退去強制事由に該当する外国人について,同法5章に規定する手続により「本邦からの退去を強制することができる」と定めており,これが,退去強制に関する実体規定として,退去強制事由に該当する外国人に対して退去を強制するか否かにつき,担当行政庁に裁量権があることを規定しているものであることは明らかである。そして,同法第5章の手続規定においては,被告主任審査官の行う退去強制令書の発付が,当該外国人が退 退去を強制するか否かにつき,担当行政庁に裁量権があることを規定しているものであることは明らかである。そして,同法第5章の手続規定においては,被告主任審査官の行う退去強制令書の発付が,当該外国人が退去を強制されるべきことを確定する行政処分として規定されている(同法47条4項,48条8項,49条5項)と解されることからすれば,退去強制についての実体規定である同法24条の裁量権は,具体的には退去強制に関する上記手続規定を介して被告主任審査官に与えられ,その結果,被告主任審査官には,退去強制令書の発付,発付の時期につき,裁量権が認められているものというべきである。 そして,被告主任審査官もまた,退去強制令書を発付する際に考慮した事実に誤認がある場合や,判断が社会通念に照らして妥当性を欠く場合には,その裁量権を逸脱又は濫用したものとして,当該退去強制令書の発付が違法となる。 【被告らの主張】(1)被告法務大臣の裁量権について憲法上,外国人は,本邦への入国の自由が保障されていないことはもとより,在留する権利ないし引き続き在留することを要求する権利を保障されているものではなく,我が国に在留する外国人は,外国人在留制度の枠内でのみ憲法の基本的人権の保障が付与されていると解される。 入管法は,かかる前提に立ち,本邦に上陸を許可された外国人で在留期間が経過した者につき,被告法務大臣が,在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り,これを許可することができるとする(入管法21条。 )したがって,在留期間の更新事由の有無を判断するに際し,被告法務大臣は広範な裁量権を有するというべきであって,被告法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるのは,全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠く場合に限られ 臣は広範な裁量権を有するというべきであって,被告法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるのは,全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠く場合に限られるというべきである。 さらに,被告法務大臣が在留特別許可を付与するに際しては,在留特別許可の対象が,適法に入国して期間の更新を申請する外国人ではなく,不法残留等により退去強制の対象となっている外国人であること,入管法50条1項3号は,許可を付与するか否かの判断につき覊束していないことからすれば,同許可の付与- 11 -については,在留期間更新の場合よりも更に広範囲であると解するのが相当である。 したがって,被告法務大臣の判断が違法であるとされるのは,法律上当然に退去強制されるべき外国人であっても,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由がある場合に限られるというべきである。 原告らは,入管法9条,10条6項及び11条3項の各規定を引用して被告法務大臣の自由裁量を否定するが,同各条項は,外国人の上陸手続に関するものであって,同条項を根拠として退去強制事由のある外国人に対してされる在留特別許可に関する被告法務大臣の裁量権を論じること自体失当である。 また,在留特別許可の付与について類型的処理をしているとしても,それは行政庁の内部の事務処理に当たって処分の妥当性を確保する基準として定められるにすぎないのであって,原告らの主張は失当である。 原告らは,在留特別許可の運用は,我が国での生活基盤の安定を重視する方向で行うべきであると表明されていると主張する。しかしながら,原告らの引用する附帯決議について,被告法務大臣は,その趣旨を十分尊重すると述べるにとどまるのであって,被告法務大臣の裁量権を否定するものではない。また,原告らが引用する基 主張する。しかしながら,原告らの引用する附帯決議について,被告法務大臣は,その趣旨を十分尊重すると述べるにとどまるのであって,被告法務大臣の裁量権を否定するものではない。また,原告らが引用する基本計画は,それ自体何ら法的拘束力を有するものではない。 原告らは,2度目の在留資格認定申請において,1度目の申請があったことを見落とした入国管理局側の落ち度を主張するが,2度目の申請は,申請名称及び戸口簿が異なったため,同一人であると判断できなかったものである。また,虚偽の申請を行った原告らが,入国管理局の審査体制を非難すること自体失当である。 (2)原告P3家族が退去強制事由に該当することは明らかであり,同家族に在留を認めるべき理由は,以下のとおり,存在しない。 ア入国の経緯原告P3は,その母P2が現在日本人であるとしても,それはP1と婚姻していることから日本国籍に帰化したものにすぎず,原告P3家族の在留を特別に認める事由とはならない。P1は,中国から送られた書類が事実と異なることを知りながら,原告P3を自分の実子と偽って,福岡入国管理局に対し,入国に必要な在留資格認定証明書の申請を行って許可を受けており,そのような不正を行う者が日本にいるからといって,原告P3家族の在留を認める事由はない。 また,原告P3は,上記手続について,違法の認識がないと述べるなど,遵法精神が著しく欠如しており,反省している様子は見られない。 イ中国での生活可能性原告P3家族は,在日歴5年であって,本邦に定着性があるとはいえない。 原告P3は,出生後33年間は中国で生活してきたものであって,中国での生活が不可能であるとはいえない。 また,原告P3の夫P11は,現在中国に在住しており,中国に頼るべき者がいない状況にあるとは認められない。 - 12 -原告P6及び原 てきたものであって,中国での生活が不可能であるとはいえない。 また,原告P3の夫P11は,現在中国に在住しており,中国に頼るべき者がいない状況にあるとは認められない。 - 12 -原告P6及び原告P10の中国語会話能力について,原告P10は「中国語,会話については問題ありません「中国語は家で話す」と述べ,原告P6に。」,。 ついても,原告P3が「原告P6は)両親(原告P3)に対しては,中国語,(,に直して話してくれます」等と述べている。このように原告P10及び原告P。 6には中国語の能力があり,本国である中国における適応は十分可能である。 (3)原告P4家族についても,以下のとおり,在留を認めるべき事由は存在しない。 ア入国の経緯原告P4の母であるP2が現在日本人であるとしても,それは,P1と婚姻していることから日本国籍に帰化したものであるにすぎず,原告P4らの在留を特別に認める事由にはならない。P1は,中国から送られてきた書類の内容,,,が原告P4を実子とするものとなっており事実と異なることを知りながら自分の実子及びその家族と偽って,福岡入国管理局に対し,入国に必要な在留資格認定証明書の申請を行ったものであり,このような不正を行った者及びその妻が日本にいるからといって,在留を認めるべき事由とはならない。 また,原告P4家族が本邦に入国した目的は,原告P3がP1の実子になりすまして入国したことを知り,中国での生活苦から逃れるために稼働目的で入国したにすぎない。 さらに,原告P4は,P1の実子であると偽って入国した上,自分の実子でない他人の子供まで入国させているにもかかわらず,何ら反省している様子はない。 イ中国での生活可能性原告P4家族は,在日日数が約3年しかなく,中国に帰国しても何ら支障がない。 原告P8 の実子でない他人の子供まで入国させているにもかかわらず,何ら反省している様子はない。 イ中国での生活可能性原告P4家族は,在日日数が約3年しかなく,中国に帰国しても何ら支障がない。 原告P8及び原告P9については,同原告らの両親である原告P4及び原告P7は,日本語がままならない状態であるから,家庭での会話は中国語で行われていることがうかがわれ,原告P8及び原告P9が,中国語の会話に不自由するとは考えられず,いずれも本国での生活に十分対応できる。 また,原告P4は,中国にいる養母に生活費等を送金したことがうかがわれることからも,中国に頼るべき親族がいることが認められ,中国に帰国しても何ら支障はない。 (4)家族の結合について原告らは,B規約等で規定される家族としての保護を受ける権利は,国際人権規約上確立しており,条約を批准した日本政府をも拘束し,憲法13条が定める幸福追求権の内容としても保障されていると主張する。 しかしながら,外国人を自国に受け入れるかどうか,これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかが各国の自由であることは,国際慣習法上の当然の前提である。また,B規約13条1項は,合法的に,同規約締結国の領域内にいる外国人は,法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放できると規定するところ,本件の原告らは,事実と異なる文書を使用して不法に入国している- 13 -のであるから,合法的に我が国の領域内にいる者ではなく,本件における退去強,,制令書発付に至る一連の処分はいずれも法律に基づいて行われたものであって同規約の容認するところである。 (5)身分関係について本件において原告らのいう実子とは,P1の実子であって日本国籍を有しない者をいい,連れ子とは,日本人の実子ではないが,その配偶者の実子であって,日本国 認するところである。 (5)身分関係について本件において原告らのいう実子とは,P1の実子であって日本国籍を有しない者をいい,連れ子とは,日本人の実子ではないが,その配偶者の実子であって,日本国籍を有しない者をいうと解される。 そうすると,そもそも,日本人の実子又は日本人の配偶者の実子であっても,不法に入国した者である限り,上陸許可が取り消され,退去強制手続がとられることに変わりはなく,実子と連れ子の在留資格に差異があることは,本件の判断に影響するものではない。 また,国籍法2条1号は「子は,出生の時に父又は母が日本国民であるときに,日本国民とする」と定めており,出入国管理行政においても,我が国に上陸しよ。 うとする外国人の在留資格を,日本人との血縁的なつながりを無視して判断することは適当ではない。 そのような観点から見た場合「日本人の配偶者等」の在留資格は,日本人にと,って家族の構成単位として最も緊密な関係を有する者を対象としているものと考えられるので,日本人の実子は1親等の直系血族で日本人と最も緊密な関係を有することから,日本人の実子については,日本の国籍を有していなくても,日本人の配偶者等の在留資格が付与されることとしている。 これに対し,日本人の配偶者の連れ子は姻族であり,配偶者との婚姻関係が離婚により終了すれば連れ子との姻族関係も終了するなど,当該日本人との関係は実子と比較して基本的に大きな差異が認められるのであり,配偶者が日本人ではないときに,その連れ子を日本人の配偶者等の在留資格に含めないことには合理的な理由がある。 原告P3及び原告P4が,いずれもP2の連れ子であるとの理由のみで在留資格を有しないとすることは,実子と連れ子を不合理に差別するものであるとの原告らの主張については,中国国籍を有する外国人である原告らが本邦 及び原告P4が,いずれもP2の連れ子であるとの理由のみで在留資格を有しないとすることは,実子と連れ子を不合理に差別するものであるとの原告らの主張については,中国国籍を有する外国人である原告らが本邦に在留するためには,日本人の実子か連れ子かとは無関係に,当然に本邦への在留資格を有していなければならないのであり,原告らの主張は,日本人であっても外国人であっても,日本人と血のつながりがある場合には,本人の希望さえあれば,本邦での在留を認めなければならないのと等しいものであって,理由がない。 (6)原告子らの教育及び福祉原告子らは日本の学校に就学しているものの,外国人は,憲法上,本邦に在留する権利又は引き続き在留することを要求する権利を保障されていない。外国人の本邦への上陸,在留を認めるか否か,また,その在留資格をどのように定めるかについては,国際慣習法上,主権国家の広範な裁量により決し得るところであって,外国人に対する出入国や在留の管理は,国内の治安や保健・衛生の維持,確保,労働市場の安定等の国益保持のための政策的見地から,国際情勢や外交関係等について政治的配慮をした上で判断されるものであり,我が国に在留する外- 14 -国人に対する憲法の基本的人権の保障は,外国人の在留制度の枠内で与えられているにすぎないと解するのが相当である。 また,児童の権利に関する条約9条4項は,父母の一方若しくは双方,又は児童自身が退去強制の対象となる場合があることを前提とした規定であり,同条約で規定する権利は本邦を含む各締結国の在留制度の枠内で保障されるにすぎないものであることは明らかである。 原告子らは,いずれも可塑性に富む年代にあり,少なくとも中国語に不自由があるとは認められないし,原告P6を除く原告子らは,中国において既に初等教育を受け終わっている。し のであることは明らかである。 原告子らは,いずれも可塑性に富む年代にあり,少なくとも中国語に不自由があるとは認められないし,原告P6を除く原告子らは,中国において既に初等教育を受け終わっている。したがって,原告子らが,中国において学業を継続できないとは認められない。 さらに,中国国民が外国から帰国する場合,戸口簿の復籍をすることは可能であり,その権益は一般の国民と同じであるから,原告子らが中国において就学不能となるおそれはない。 (7)被告主任審査官の裁量権について入管法47条4項,48条8項及び49条5項の各規定からは,退去強制令書発付に際して被告主任審査官に裁量権がないことは明白である。入管法24条の規定は,具体的な行政機関を規定しておらず,国家としての退去強制権能の宣言と解すべきである。 第3当裁判所の判断 前記争いのない事実等に加えて,証拠(甲1,3ないし9,58ないし68,75ないし90,101ないし109,117,119,124,乙2ないし6,9ないし12,15,16,36ないし39,43,45,46,51ないし53,57,58,62,63,70,73,87,95,99,100,101,103,107,108,証人P1,証人P2,原告P3本人,原告P10本人,原告P6本人,原告P4本人,原告P8本人,原告P9本人,原告P7本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)原告らの身上及び身分関係原告らの身分関係は,別紙1(身分関係図)のとおりであり,原告P3及び原告P4は,P2とは血縁関係があるものの,P1との間に血縁関係はない。 なお,原告P8及び原告P9の生年月日は,パスポート及び福岡入国管理局に提出された公証書の上ではそれぞれ昭和▲(▲)年▲月▲日及び昭和▲(▲)年▲月▲日であるが,実際の生年月 の間に血縁関係はない。 なお,原告P8及び原告P9の生年月日は,パスポート及び福岡入国管理局に提出された公証書の上ではそれぞれ昭和▲(▲)年▲月▲日及び昭和▲(▲)年▲月▲日であるが,実際の生年月日は,それぞれ昭和▲(▲)年▲月▲日及び昭和▲(▲)年▲月▲日であると認められる(甲104,105)。 (2)原告ら来日までの経緯ア原告P3及び原告P4とP1との関係についてP1は,昭和▲(▲)年▲月▲日,中国牡丹江省(現在の黒龍江省)において,日本人であるP15とP16の子として出生した。その後,その後,太平洋戦争が終結したものの,本邦に帰国することができなかった。 P1は,終戦後,両親とともに,中国牡丹江省寧安県αにある日本人収容所に収容されたが,P15は,そのころ,病気により死亡した。 - 15 -P16は,生活のために仕事に出なければならず,P1を育てることができなかったため,P1を中国人P17の養子とした。 ,(),,P1は昭和331958年ころαの床屋に勤務するようになって以降はP16の近所で生活し,実母であるP16とよく会うようになった(甲101)。 原告P3及び原告P4は,中国人であるP5とP2を父母とするが,P2は,昭和40(1965)年ころ,当時3歳であった原告P3と,当時1歳だった原告P4の2人を伴って,P1と結婚した。 P1は,P2の2人の連れ子を育てるつもりであったが,原告P4は病弱で,骨が弱い病気に罹患していたため,P1は,原告P4をP18の養子として出した。 その後,原告P3は,昭和57(1982)年に中国人P11と結婚するまでの間,P1夫婦と同居していた。 その後,P1夫婦の間には,実子として4人の子供が出生したため,P3を加えて7人家族となったが,原告P3は,子供たちの中で年長であったことか 中国人P11と結婚するまでの間,P1夫婦と同居していた。 その後,P1夫婦の間には,実子として4人の子供が出生したため,P3を加えて7人家族となったが,原告P3は,子供たちの中で年長であったことから,家事などP2の手伝いをし,特にP1が病気で倒れた際には,率先して家族の生活を支えてきた。 イP1,P2及びP1の実子4人の入国P1は,昭和47(1972)年に日本と中国の国交が回復した後,中国残留日本人の帰国交渉を受けて,昭和53(1978)年,半年の間,日本に一時帰国した。 その後,P1は,P2に対し,日本での永住の希望を伝えたところ,P2は,当,,。 初は反対したものの先に永住した友人の勧めもあって日本への永住を決意したP1は,日本への永住手続をとったものの,このとき,当時同居していたP1の養父であるP17が高齢であることから,P1が日本に永住した場合に,同人の面倒を誰が見るかが問題となった。そこで,話合いがされた結果,P1の子供のうちの年長であった原告P3が,P17の面倒を見るため中国に残ることとなった。 そしてP1は,昭和58(1983)年,本邦に永住帰国し,P2及びP1の実子4人は,本邦へ入国した(甲101ないし103)。 ウ原告P3家族の本邦入国平成2(1990)年ころ,P1の養父であるP17が死亡した。そこで,原告P3は,中国にとどまる理由がなくなり,日本に行こうと決意し,平成3(1991)年ころ,P13名で「日本人の配偶者等」の資格で本邦に入国するための手続,を行った。このときP1が提出した申請書に添付された公証書(甲3)には,原告P3がP5とP2の子であったが,P5とP2は離婚し,その後,原告P3がP1の継子となった旨が記載されていた。ところが,上記申請は認められず,原告P3は本邦に入国することができなか 甲3)には,原告P3がP5とP2の子であったが,P5とP2は離婚し,その後,原告P3がP1の継子となった旨が記載されていた。ところが,上記申請は認められず,原告P3は本邦に入国することができなかった。 その後,原告P3は,姓を○からP1の中国姓であった「○」に変更した上,さらに「○○」の名を,他の実子の名に付けられた「○」と同じ文字を使用するとの,趣旨で「○○」に変更した。 これを受けて,P1は,平成8(1996)年8月ころ「P3」がP1の長女で,,。 ,あるから呼寄せを許可してほしい旨の誓約書を原告P3に送付した原告P3は- 16 -同誓約書を持って公証処に赴き,氏名をP3,P1との続柄が長女であるとの虚偽の記載のある公証書(乙4)の発付を受け,これをP1に送付した。 平成8(1996)年7月12日付けの同公証書には「P3」という人物が,昭,和▲(▲)年▲月▲日にP1及びP2の長女として出生したこと,このころP11の妻であったことが記載されており,中国黒龍江省寧安市公証処の公証員の記名様の文字及び公証処の押印がある(乙4)。 原告P3から上記公証書を受領したP1は,平成8(1996)年8月20日ころ,原告P3につき,名義をP3,続柄を実子(長女)として,また,原告P3の家族につき,それぞれ長女である原告P3の夫及び子であるとして,本邦への入国を申請し,上記公証書を添付した。 原告P3は,同申請により,平成8(1996)年12月28日,日本人であるP1の実子であるとして,在留資格「日本人の配偶者等」として本邦への上陸が許可された。 同時に,原告P3の夫であったP11(後に中国へ帰国した,原告P3とP1。)1の子である原告P10及び原告P6も,在留資格「定住者」として,本邦への入国を許可された。 その後の在留の経緯等に 。 同時に,原告P3の夫であったP11(後に中国へ帰国した,原告P3とP1。)1の子である原告P10及び原告P6も,在留資格「定住者」として,本邦への入国を許可された。 その後の在留の経緯等については,別紙2(入国在留経過一覧表)のとおりである。 原告P3は,平成12(2000)年2月ころ,中国に,原告P10及び原告P,,。 6を伴って渡航しているがこれはP11の家族の葬儀に出席するためであったまた,原告P3は,平成13(2001)年2月ころ,中国に渡航しているが,これは,一度離婚したP11と再婚するための手続を行うためであり,同年3月1日,P11と再婚した後,P11を入国させるための申請を行った(甲103,原。 告P3本人)エ原告P4家族の本邦入国に至る経緯一方,原告P4は,養子先に引き取られた後,昭和58(1983)年12月ころに原告P7と結婚するまで,P19家で養女として暮らしてきた(乙80)。 原告P4は,原告P7と結婚した後,中国黒龍江省寧安市βで農業を営んで生活していた。 原告P8は,昭和▲(▲)年▲月▲日に出生し,原告P9は,昭和▲(▲)年▲月▲日に出生した(甲104)。 原告P7は,その後,原告P4の実母であるP2のことを知る者の情報に基づいて同女の住所を探したところ,昭和59(1984)年ころ,αにあるP1家族の家を発見した。 しかしながら,原告P3は在住していたものの,P1及びP2は,既に昭和58(1983)年8月ころ日本に帰国していたため,原告P4は,P1らと再会することはできなかった。 原告P3と原告P4は,その後も連絡を取り合っていたところ,平成5(1993)年8月ころ,P1及びP2が,原告P3とともに原告P4宅を訪れた。 そして,P1らは,原告P3家族及び原告P4家族とともに,中国内の名所を観 4は,その後も連絡を取り合っていたところ,平成5(1993)年8月ころ,P1及びP2が,原告P3とともに原告P4宅を訪れた。 そして,P1らは,原告P3家族及び原告P4家族とともに,中国内の名所を観- 17 -光した。なお,このとき,P12の実子であり,後に原告P4家族が本法に入国する際「P20」及び「P21」として本邦に入国したP22及びP23も同行していた(甲101,119)。 原告P4は,平成8(1996)年ころ,原告P3家族が本邦に入国することができたことを聞き,P1らとともに暮らすため,自らも本邦へ入国することを決意した。 ところが,原告P4は,本邦への入国手続が分からなかったため,養子先の義理の兄であり,寧安市の公安局の職員で,以前原告P3の渡航手続を行ったと聞いていたP12に,氏名の変更を含む渡航手続を依頼することとした。なお,原告P4は,氏名の変更について,養子先の子が実親と再会したときに氏名を変更することがあり,特に養子先の者に氏名の変更を依頼するのであるから,違法な行為を行っているとの認識はなかった旨供述している(甲104,原告P4本人)。 原告P4は,手続を進めるため,原告P3に連絡して,原告P3からP12へ連絡をとるよう依頼した(甲104)。 原告P4は,平成9(1997)年ころ,P12に対して,P14名義での公証書,旅券,結婚証書及び居民身分証の作成を依頼した(乙43)。 P1は,P12に対し,原告P4がP1の二女である旨の誓約書を送付したところ,P12から,原告P4家族の他に,P12の実子であるP22及びP23についても,原告P4の実子として公証書を作成したため,両名についても在留資格認定証明書の交付申請を行うようにとの連絡があり,原告P4家族に加えて,P22及びP23についても,平成10(1998)年 ついても,原告P4の実子として公証書を作成したため,両名についても在留資格認定証明書の交付申請を行うようにとの連絡があり,原告P4家族に加えて,P22及びP23についても,平成10(1998)年6月9日付けの公証書が送付された。 原告P4に係る親族関係公証書(乙45)については「P14」が昭和▲(▲),年▲月▲日に出生し,P1とP2の二女である旨を証明する記載があり,中国黒竜江省寧安市公証処の公証員の記名様の文字及び公証処の押印がある。また,原告P4に係る出生公証書(乙45)には「P14」がP1とP2の実子である旨を証明,する記載があり,上記同様の公証員の文字及び押印があった。 原告P8及び原告P9の出生公証書(乙57,62)には,それぞれ生年月日が「▲年▲月▲日」及び「▲年▲月▲日」との内容虚偽の記載があり,上記同様の公証員の文字及び押印があった(乙57,62)。 P22及びP23に係る公証書については,各人が,原告P7と「P14」の実子である旨を証明する記載があり,上記同様の文字及び押印があった(乙99,1。 00)P1は,平成10(1998)年7月17日,原告P4家族,P22及びP23の6名分について,在留資格認定証明書の交付申請を行った。 P1は,原告P4に係る申請書(乙45)について,氏名を「P14」として,同申請書の生年月日欄に「▲年▲月▲日」と,前記原告P4に係る申請書及び原告P7に係る申請書(乙52)の「婚姻,出生又は縁組の届出先及び届出年月日」の「2)本国等届出先」の「届出年月日」欄に「1980年10月1日」と,いずれ(も虚偽内容が記載された公証書に記載されたのと同様の,虚偽内容の記載をした。 - 18 -また,P1は,原告P8に係る申請書(乙57)及び原告P9に係る申請書(乙67)の生年月日欄及び「婚姻,出 (も虚偽内容が記載された公証書に記載されたのと同様の,虚偽内容の記載をした。 - 18 -また,P1は,原告P8に係る申請書(乙57)及び原告P9に係る申請書(乙67)の生年月日欄及び「婚姻,出生又は縁組の届出先及び届出年月日」の「2)(本国等届出先」の「届出年月日」欄に,それぞれ「▲年▲月▲日」及び「▲年▲月▲日」と,真実の生年月日と異なる生年月日を記載した。 P1は,平成10(1998)年7月17日,P22に係る申請書(乙99)及びP23に係る申請書(乙100)を作成し,同申請書の「扶養者」欄の氏名に原告P7の氏名を記載し,申請人との続柄のうち「父」欄に印を付けた。 ,その上でP1は,前記内容虚偽の公証書につき,少なくとも原告P4がP1の実子ではないこと,P22及びP23が原告P4と原告P7の実子ではないことを知りながら,申請書の添付書類として提出した。 原告P4家族は,平成10(1998)年10月1日ころ,身体検査を受けに行った際,P12から,自らの2人の子供であるP22及びP23を,それぞれP20及びP21として,原告P4らの実子として登録したので,一緒に連れて行くこと,原告P4の生年月日について,前記P20及びP21との年齢差を考慮して,昭和▲(▲)年▲月▲日とし,原告P4と原告P7との結婚も,昭和55(198),,,() 年としたことこれに伴って原告P8の生年月日につき真実は昭和▲▲,(),年▲月▲日であったところパスポート及び公証書上は昭和▲▲年▲月▲日と原告P9の生年月日につき,真実は昭和▲(▲)年▲月▲日であったものが,パスポート及び公証書上は昭和▲(▲)年▲月▲日と,それぞれ記載されていることを伝えられた(甲104,乙56,57,61,62)。 公証書には,親族関係の公証として (▲)年▲月▲日であったものが,パスポート及び公証書上は昭和▲(▲)年▲月▲日と,それぞれ記載されていることを伝えられた(甲104,乙56,57,61,62)。 公証書には,親族関係の公証として,平成10(1998)年6月9日付けで,P14なる人物が,昭和▲(▲)年▲月▲日に出生しており,この者は,P1及びP2の二女であるとの記載がある(乙45)。 このため,公証書上は,原告P4は,原告P3と同日に出生したこととなった。 原告P4家族は,なぜP12がそのようなことをするのかと感じたものの,既に手続は終了しており,書類も作成されているので,P20及びP21を連れて行くこととした。 原告P7は,平成10(1998)年10月ころ,ビザの発給を受けるため,審陽の日本領事館に赴いたところ,P12から,申請者が多いため時間がかかると言われ,手続を早くするため60万円を支払うよう言われた。それに対し,原告P7は,本邦へ入国した後に60万円を支払うと約束した。 原告P4家族は,平成10(1998)年10月28日,P1及びP2の実子として,本邦への入国が認められた。 同時に,原告P7,原告P9及び原告P8の入国も許可され,さらに,P22及びP23も,原告P4の実子として,本邦への入国を許可された。許可の内容及びその後の更新申請については,別紙2(入国在留経過一覧表)のとおりである。 なお,P22及びP23については,本邦へ入国後しばらくはP1らと同居していたものの,原告P4家族と衝突したとの理由で,P1の実子で東京に在住するP24宅で生活していた。しかし,その後も,P1の還暦祝いに参加するなど,P1ら及び原告らとの交流は継続していたところ,原告らが収容されたころ,入国管理- 19 -局からの呼出通知が送達された後になってP24宅を出て行き,現在も行方が分 ,P1の還暦祝いに参加するなど,P1ら及び原告らとの交流は継続していたところ,原告らが収容されたころ,入国管理- 19 -局からの呼出通知が送達された後になってP24宅を出て行き,現在も行方が分からない(甲119写真⑲,乙122,123)。 (3)原告らの日本での生活状況ア原告P3家族についてP1家族は,熊本県菊池郡γ××××番地の22δ団地××棟××号に居住していた。 原告P3家族は,平成7(1995)年に本邦に入国した後,P1家族がδ団地の×棟××号に居住し始めた。 原告P10は,本邦に入国した当時13歳であったが,言語の問題などがあったため,ε町立P25小学校5年生に編入した。原告P10は,同小学校を卒業した後,ε町立P25中学校に進学し,同中学校を卒業した後,P26校に進学した。 原告P10は,同校を中退した後,熊本県立P27高校定時制に入学した(甲75。 ないし77,105,原告P10本人)原告P6は,本邦に入国した当時7歳であり,本邦へ入国後,ε町立P25小学。 ,,校1年に編入したP6は同小学校等において日本語を学習しながら勉学を続け同小学校を卒業後,現在はP25中学校に進学している(甲78ないし84,10。 6,P6本人)原告P3は,平成12(2000)年4月ころから,自宅近くにある鮮魚店に勤務している(甲68)。 原告P3は,平成8(1996)年に本邦に入国して以降,大韓民国に1回渡航し,中国に2回帰国した。中国への2回の帰国のうち,平成12(2000)年2月ころの帰国は,P11の親族の葬式のためであり,平成13(2001)年2月ころの帰国は,平成12(2000)年10月に離婚した夫であるP11と再婚するための手続を行うためのものであった。原告P3は,同帰国中の平成13(2001)年3月1日,P1 成13(2001)年2月ころの帰国は,平成12(2000)年10月に離婚した夫であるP11と再婚するための手続を行うためのものであった。原告P3は,同帰国中の平成13(2001)年3月1日,P11と再婚した。 原告P3家族は,本邦に入国後は,特に犯罪等を犯すことなく生活してきた。本件について原告P3家族が収容された際には,原告P3の勤務先や,原告P6の就学先の教諭等から,嘆願書が提出された(甲58ないし60,68)。 イ原告P4家族について原告P4家族は,本邦に入国した当初,1か月程度,P1宅でP1らと同居して,,,()いたがその後熊本市内に転居し来日から約1年経過した平成111999年10月ころ,P1らと同じδ団地の××棟××号に移り住んだ。 原告P8は,本邦に入国した当時13歳であったが,言語の問題などから,熊本市内の小学校6年生に編入した後,熊本市内の中学校に進学し,さらに,ε町立P25中学校に転入した。中学校では柔道部を経験した後,原告P8は,P28高校定時制情報処理科に進学した(甲84ないし86,107,原告P8本人)。 原告P9は,本邦に入国した当時10歳であり,熊本市内の小学校5年生に編入,,。 ,()しその後ε町立P25小学校6年生に転入したP9は平成122000,,。(,年4月からP25中学校に進学し現在中学校3年生である甲87ないし90108,原告P9本人)- 20 -なお,原告らは,原告P9について,言語の問題等を考慮して小学校に編入させたと主張するが,原告P4及び原告P7がその陳述書(甲104,109)で虚偽を認めているとおり,原告P9は昭和▲(▲)年▲月▲日生であって,入国当時の原告P9の実年齢からすれば,小学校5年次であったのであるから,原告P4及び 原告P7がその陳述書(甲104,109)で虚偽を認めているとおり,原告P9は昭和▲(▲)年▲月▲日生であって,入国当時の原告P9の実年齢からすれば,小学校5年次であったのであるから,原告P4及び原告P7が,原告P9を小学校5年次に編入させたのは,言語の問題ではなく,単に実年齢を考慮したことによるものであるというべきである。 原告P9は,同小学校を卒業後,ε町立P25中学校に進学した。 原告P4及び原告P7は,原告P3の夫であるP11が勤務するP29に勤務するようになったものの,P11が原告P3との夫婦げんかの末に中国に帰国したため,P29に居づらくなり,P29を退職した。 その後,原告P7は,平成10(1998)年9月から上陸許可が取り消される,,。 ,,まではP30有限会社に勤務し月収約24万円を得ていたまた原告P7は同社において,長崎,広島等に長期出張していた(甲109,原告P7本人)。 原告P4は,平成10(1998)年10月からP31有限会社の工場で組立作業に従事し,平成12(2000)年8月以降は,P32でアイロン及びミシン作業に従事している(甲104,原告P4本人)。 原告P4家族は,本邦に入国後,特に犯罪等を犯すことなく生活していた。本件について原告P4家族が収容された際には,原告P4及び原告P7の勤務先や,原告P8及び原告P9の就学先の教諭等から,嘆願書が提出された(甲61,62,。 67。 )(4)P1家族らと原告P3家族及び原告P4家族との交流原告P3家族及び原告P4家族は,ともにP1家族が住むδ団地に居住していたところ,同団地には,P1の実子であるP33及びP34も居住しており,P1家族,P33及びP34と原告らとは,頻繁に往来していた。P1の実子であるP35も,佐賀県鳥栖市内に居住しており,月 していたところ,同団地には,P1の実子であるP33及びP34も居住しており,P1家族,P33及びP34と原告らとは,頻繁に往来していた。P1の実子であるP35も,佐賀県鳥栖市内に居住しており,月に2,3回は顔を合わせていた。原告P7は,長期出張のため,P1家族とは,年に3ないし5回しか顔を合わせていなかった。 原告らの各家庭及びP1宅には,それぞれケーブルテレビが敷設されており,原告らは,中国語のテレビ放送を視聴している(証人P1,証人P2,原告P3本人,原。 告P4本人,原告P7本人)(5)本件に関する事情聴取及び取調べアP1に対する事情聴取福岡入国管理局入国審査官は,平成13(2001)年8月5日,P1に対して事情聴取を行ったところP1はP2との結婚年次について真実は昭和40 ,,,(965)年10月ころ結婚したにもかかわらず,原告P3を実子として申請したこととの整合性をもたせるため,原告P3が出生した年である昭和▲(▲)年に結婚したと述べた。ところが,P1は,原告P3の生年月日と整合性がとれないとの入国審査官からの指摘を受けて,原告P3がP1の実子ではないことを認めた。 なお,P1は,前記入国審査官の事情聴取に対し,平成5(1993)年ころ,原告P3を呼び寄せる手続をP13名で行ったところ,P1と血縁関係にないことから拒否された,と供述した。しかしながら,その後,P1は,前記供述とは異な- 21 -り,P1の中国名である○姓と「○」姓が異なるから入国の許可が下りないと理解,したと供述している(甲101,乙103,証人P1)。 イ原告P3に対する取調べ原告P3は,平成13(2001)年11月5日の福岡入国管理局入国警備官による2回目の取調べに対し,原告P3と原告P4が双子であって,同じ誕生日であると供 証人P1)。 イ原告P3に対する取調べ原告P3は,平成13(2001)年11月5日の福岡入国管理局入国警備官による2回目の取調べに対し,原告P3と原告P4が双子であって,同じ誕生日であると供述した(乙108)。 ウ原告P4に対する取調べ原告P4は,平成13(2001)年11月6日の福岡入国管理局入国審査官の取調べに対し,自らの生年月日については,真実と異なると認めたものの,原告P4の子供である原告P8及び原告P9については申請どおりであると供述した乙,。(43)しかし,その後,原告P4は,原告P8及び原告P9のパスポート上の生年月日は虚偽であると陳述した(甲104)。 (6)関連法令ア在留資格「日本人の配偶者等」「日本人の配偶者等」の在留資格は,入管法別表二に規定されており,日本人の配偶者若しくは民法817条の2の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者をいう。 したがって,原告P3及び原告P4は,その真実の身分関係によれば,P1の実子ではなく,また,特別養子でもないから「日本人の配偶者等」には該当しない。 ,イ在留資格「定住者」「定住者」の在留資格は,入管法別表二に規定されるほか,告示3号で,日本人の子として出生した者の実子について,告示5号で,日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生した者又は1年以上の在留資格をもって在留する者の配偶者について,告示6号で,日本人,永住者の在留資格をもって在留する者等又はその配偶者で日本人の配偶者等若しくは永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子に係る者について,それぞれあらかじめ「定住者」との資格が付与されることとされている。 また,告示1号は,アジア諸国に一時滞在しているイン 留する者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子に係る者について,それぞれあらかじめ「定住者」との資格が付与されることとされている。 また,告示1号は,アジア諸国に一時滞在しているインドシナ難民について,日本人の配偶者,親若しくは子又は日本人若しくは日本に適法に在留する外国人の親族で相互扶助が可能であるもの(養子を含む)について,定住者としての地位を付。 与するものとしている。 本件における原告P3及び原告P4は,いずれも本邦に入国した時点で継父であるP1の扶養を受けておらず,また,成人で既婚であったから「定住者」には該当,しない。 以上の事実に基づいて争点について判断する。 (1)本件裁決における被告法務大臣の裁量権について入管法50条1項3号は,同法49条3項の裁決に当たって,異議の申出に理由がないと認めるときであっても,被告法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると- 22 -認めるときには,その者の在留を許可することができる旨定め,その具体的な基準については特に明示していない。また,在留特別許可を付与するか否かについては,異議申立人の申立事由のみならず,当該外国人の入国経緯,在留中の一切の行状,国内及び国際情勢,外交関係等の諸般の事情を考慮して,時宜に応じた的確な判断をしなければならないことからすれば,入管法は,当該外国人に在留特別許可を付与するか否かを判断するに際して,被告法務大臣に広範な裁量権を認めたものであると解される。したがって,被告法務大臣が退去強制事由に該当する外国人に対し在留特別許可を付与しなかったことが違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社。 会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られると解するのが相当である(2)条約等違反の主張について原告らは,本件各処分が ことが違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社。 会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られると解するのが相当である(2)条約等違反の主張について原告らは,本件各処分が,B規約23条等,児童の権利に関する条約3条等に違反,,し確立した国際法規の遵守を定めた憲法98条2項にも違反することを理由として本件各処分は違法である旨主張する。 しかしながら,憲法22条1項は,日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり,外国人が本邦に入国することについては何ら規定していないものであり,このことは,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付与するかを,当該国家が自由に決定することができるものとされていることと,その考えを同じくするものと解される。したがって,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもないと解される(最高裁昭和53年10月4日大法廷判決。 )そして,B規約には,上記のような国際慣習法を制限する旨の規定は定められておらず,かえって,B規約13条は「合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人,は,法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる」。 と規定しており,かかる規定は不法に在留する者に対して退去強制措置をとり得ることを前提としているものと解されることからすれば,B規約は,外国人の入国及び在留の許否について国家に自由な決定権があることを前提としているものと解される。 また,児童の権利に関する条約9条4項は,締約国がとった父母の一 ものと解されることからすれば,B規約は,外国人の入国及び在留の許否について国家に自由な決定権があることを前提としているものと解される。 また,児童の権利に関する条約9条4項は,締約国がとった父母の一方若しくは双方又は児童の抑留,拘禁,追放,退去強制,死亡等のいずれかの措置に基づいて父母と児童が分離した場合について規定しており,同条項は,父母と児童が退去強制措置によって分離されることがあり得ることを前提としているものと解され,児童の権利に関する条約も,外国人の入国及び在留の許否について国家に自由な決定権があることを前提としているものと解される。 そうであれば,被告法務大臣が,その裁量権を逸脱又は濫用したかを判断するに当たって,我が国が上記条約等を批准していることを判断の一事情として考慮することはあり得るとしても,本件裁決が,直ちに条約違反となるものではなく,原告らの主張は理由がない。 そこで,以下,本件における具体的事情について検討する。 (3)具体的事情の検討- 23 -ア入国経緯の評価について(ア)入国経緯について評価すべきかについて入管法50条1項3号は,違反行為があったと認定された者について,特別に在留を許可すべき事情があると認めるときに被告法務大臣が在留を特別に許可することができると規定するところ,前記のとおり,在留特別許可を付与するか否かは被告法務大臣の広範な裁量権の範囲にあり,我が国の出入国管理行政秩序に対する影響等の大きさを考慮するため,違反行為の程度,内容についても当然に考慮することができると解すべきである。 ,,また本件がいわゆる中国残留日本人の継子による入国の事案であるとしてもそのことから直ちに入国経緯を評価する必要がないことにはならないというべきである。 そこで,以下,原告P3家族及び原告P4家族の入 た本件がいわゆる中国残留日本人の継子による入国の事案であるとしてもそのことから直ちに入国経緯を評価する必要がないことにはならないというべきである。 そこで,以下,原告P3家族及び原告P4家族の入国経緯について検討する。 (イ)原告P3家族入国の経緯の評価について本件について原告らの入国の経緯をみるに,前記認定したとおり,原告P3及びP1は,平成3(1991)年ころ,P13名義で,P1との身分関係が継子であるとの公証書を添付して本邦への入国を申請したところ,これが認められなかった後,自らの姓を○から○へと変更したのみならず,名についても「○○」から「○○」へと変更している。そして,P1は「P3」がP1の実子であると,の誓約書を作成し,その後,原告P3がP1の長女である旨の公証がされた,内容虚偽の公証書を利用して,原告P3がP1の実子であって,原告P3に「日本人の配偶者等」の在留資格があるかのような外観を作出したというものである。 入国後の経緯を見ても,P1は,平成13(2001)年8月5日に福岡入国管理局熊本出張所において行われた事情聴取で,入国審査官に対し,P1とP2の結婚年次を昭和▲(▲)年春であると説明していたが,これは,原告P3の生年月日が同年であったことから,原告P3を実子と申請したことと整合させるために虚偽の説明をしたものであると認めている(甲101,乙103)。 以上の事実からすれば,原告P3は,同女がP1の継子であるとの身分関係では本邦に入国できないことを認識した上で,同女が実子であるとの虚偽の事実を作出し,その事実に基づいて計画的に虚偽の身分関係を作り上げて本邦に入国したものであると推認することができ,このような方法による入国は,我が国の出入国管理行政秩序を乱すものとして,重大な違法であると評価せざるを得ない。 ま て計画的に虚偽の身分関係を作り上げて本邦に入国したものであると推認することができ,このような方法による入国は,我が国の出入国管理行政秩序を乱すものとして,重大な違法であると評価せざるを得ない。 また,原告P3がP1の実子であるとの虚偽の身分関係を記載した公証書(乙9)は,真実の身分関係を記載した公証書(甲3)と,その体裁において酷似しており,同女の入国形態は,このような公証書を悪用した上で,本邦への入国者と申請者が共謀して本邦への入国を図ったものであって,この点からも,我が国,。 の出入国管理秩序を乱すものであって重大な違法であると評価せざるを得ない原告P3及びP1は,中国においては連れ子であっても実子であっても同じ子であって,姓を変更して申請したところ,本邦への入国を許可されたかのような主張をし,これに沿う供述も存するが,姓を変更するのみで入国が可能であると考えていたのであれば,そもそも公証書において虚偽の身分関係を作出する必要- 24 -などなく,申請書についても,原告P3がP1の継子であると真実の身分関係を記載すれば足りるはずであるのに,あえて虚偽の身分関係を作出し,その後の入国管理官からの事情聴取に対しても,悪意がないのであれば,事情聴取の当初から,同女がP1の継子であるが,実子同然であったと述べれば足りたはずであるのに,実子ではないことを知られないようにするため,あえてP1とP2の結婚の年度を偽るなど,原告P3の入国形態が違法なものであることを認識していることを前提とした行動をとっていることからすれば,P1らの心情において原告P3が実子と同様であったことは理解できるとしても,入国手続が違法であることは十分に認識していたと認めることができる。 (ウ)原告P4家族入国の経緯の評価について原告P4家族についても,P12に手 P3が実子と同様であったことは理解できるとしても,入国手続が違法であることは十分に認識していたと認めることができる。 (ウ)原告P4家族入国の経緯の評価について原告P4家族についても,P12に手続を依頼したとはいえ,原告P3と同様に,○姓を○姓に変更した上,名についても,○○から○○へと変更している。 そして,P1は,原告P4が自分の実子ではないと認識しながら,実子であるとの虚偽の内容を含む公証書を使用して在留資格認定証明書の交付を申請している上,P22及びP23については,原告P4の実子でなく,全く血縁関係のない人物であるにもかかわらず,これらの者が,原告P4の実子であるとの内容虚偽の公証書を使用して,在留資格認定証明書の交付を申請している。 ところで,原告らは,原告P4及び原告P7が,P22及びP23が原告P4らの実子とされたのを知ったのは,本邦に入国した平成10(1998)年10月の直前であり,やむを得なかったと主張する。 しかしながら,P1は,原告P4らが入国する2か月以上前である同年7月19日には,福岡入国管理局に対し,P22及びP23を,それぞれP20及びP21として本邦に入国させるための手続を行っていることに照らせば,原告らの主張は採用できない。 また,原告P3は,平成13(2001)年11月5日の福岡入国管理局入国警備官による取調べの際,原告P4と双子であるなどと,虚偽申請が発覚しないよう工作を行っていることからすれば,原告P4が原告P3の誕生日と同じ日を誕生日と偽って入国してきたことを原告P3も十分認識しており,入国管理局に対し,共謀して身分関係を偽る計画があったことがうかがわれる。 さらに,原告P4も,原告P3やP1と同様,上記入国経緯について,姓を変更したのみであるかのような供述をするが,公証書の記載及び申請書に記載 し,共謀して身分関係を偽る計画があったことがうかがわれる。 さらに,原告P4も,原告P3やP1と同様,上記入国経緯について,姓を変更したのみであるかのような供述をするが,公証書の記載及び申請書に記載した身分関係が虚偽であることを十分認識しながら,あえてその身分関係に基づいて本邦に入国し,しかも,在留中も虚偽の身分関係が発覚しないようにしていたことが明らかである。 殊に,原告P4家族については,P22及びP23という,全く血縁関係のない者まで原告P4の実子として本邦に入国して,しかもその後両名は行方が知れないのであって,このような不法入国に荷担したことは,仮に,原告らが主張するような事情があったとしても,入国管理行政に対する著しい侵害であると評価できる。 したがって,原告P4家族の入国経緯についても,原告P3家族と同様,重大- 25 -な違法であると評価されるべきである。 イ原告P3及び原告P4が中国残留日本人であったP1の継子である点について(ア)本件裁決の違法性を検討するに当たって,原告P3及び原告P4が日本人であるP1の継子であることを考慮すべきかについて本件においては,原告らの本邦への入国手続の違法性を根拠に,原告らに入管法24条各号に該当する事由があるとして上陸許可が取り消され,入管法50条,各号に規定した要件を満たさないとして国外への退去を命じられたものであって原告らが日本人の実子であるか連れ子であるかによって,在留特別許可が付与されるか否かに差異が生じたものではない。 また,前記のとおり被告法務大臣は,在留特別許可を付与するか否かにつき広範な裁量権を有しているのであって,真実の身分関係において在留資格を有する者のすべてについて被告法務大臣が在留特別許可を付与しなければならないとの規定も存在しないし,まして告示の各号に 否かにつき広範な裁量権を有しているのであって,真実の身分関係において在留資格を有する者のすべてについて被告法務大臣が在留特別許可を付与しなければならないとの規定も存在しないし,まして告示の各号に該当しない者について,告示に規定された者との類似性があることのみをもって,在留特別許可を付与しなければならないとの規定も存しない。 原告らは,不法在留者であっても,正式な婚姻がある場合に在留特別許可が付与されると主張するが,正式な婚姻がある場合には,入管法別表第二に規定する,,日本人の配偶者等の在留資格を有するのであって入管法7条1項2号において入国審査官が審査を行う際に,被告法務大臣があらかじめ告示をもって定める場合に限定して審査することからすれば,原告らが主張する婚姻の場合と,本件のように,そもそも入管法別表第二及び告示に規定がない場合とを同視することはできないというべきである。また「日本人の配偶者等」の在留資格要件を満たす,者であっても,原告らが引用する文献(甲124)にもあるとおり,パスポート偽造を業としてした場合には,たとえ真正な婚姻があったとしても在留特別許可は付与されないと記載されているのであって,このことからも,在留資格があることによって直ちに在留特別許可を付与すべきものでないことは明らかである。 本件においては,原告らがP1との身分関係を偽って入国したことは前記のとおりであり,原告らが,入管法24条各号の一に該当すると認定され,入管法5,0条1項3号の在留特別許可が付与されるべきか否かが問題となっている場合に真実の身分関係に基づいて原告らに定住者又は日本人の配偶者等の在留資格を付与すべきであるとしても,本件において直ちに被告法務大臣が在留特別許可を付与しなければならないわけではない。 ただし,入管法50条1号及び2号 基づいて原告らに定住者又は日本人の配偶者等の在留資格を付与すべきであるとしても,本件において直ちに被告法務大臣が在留特別許可を付与しなければならないわけではない。 ただし,入管法50条1号及び2号は,いずれも退去強制事由に該当する者につき,人的な要素にも着目して在留特別許可を付与することとしており,同条3号の判断に当たっても,退去強制事由に該当する者の人的な要素を考慮することはあり得る。したがって,原告P3及び原告P4が日本人であるP1の継子であることが,在留特別許可を付与するに当たって原告らに有利な一事情としてしんしゃくすることまで否定されるべきではない。 (イ)本件における検討以上を前提に検討するに,原告P3に関しては,P1家族にとって事実上長女- 26 -として幼少のころから長期間P1と生活を共にしてきたという実態も存在し,原告P4に関しても,養子となったために,P1との家族としての実態は本邦に入国した後の3年間であり,しかも,独立した家族関係にすぎないが,本邦に入国して以来,P1との間で,実子と同様の交流を続けてきたことが認められる。 そして,原告子らも,P1を実の祖父として慕い,本邦において,近隣で生活してきたものである。 原告P3や原告P4が,P1の実子ではなく継子であったとしても,このような事実上の家族的つながりを全く無視してよいわけではなく,P1やP2が日本で原告P3家族及び原告P4家族とともに暮らしたいという思いも,原告P3及び原告P4の生い立ちや,P1が本邦に入国した経緯にかんがみれば,何ら保護に値しないというものではない。 しかしながら,上記のような事情があるからといって,直ちに原告らにつき告示の規定を適用ないし類推適用して在留特別許可を付与しなければならないということにはならない。 原告らは,中国残留日本人の い。 しかしながら,上記のような事情があるからといって,直ちに原告らにつき告示の規定を適用ないし類推適用して在留特別許可を付与しなければならないということにはならない。 原告らは,中国残留日本人の継子については,類型的に被告法務大臣の裁量権の範囲も限定される旨主張するが,告示1号にいうインドシナ難民については,政治的な判断によってこれを告示に規定したものであって,中国残留日本人の継子がインドシナ難民に類するとして取り扱われるべきかについては,極めて政治的な判断によるものであって,中国残留日本人の継子であったとしても,直ちに被告法務大臣の裁量権の範囲が限定されることにはならないというべきである。 特に,本件においては,中国残留日本人であったP1が,原告らの不法入国に関与した事案であって,いかに中国残留日本人の継子であったとしても,不法な手段により本邦へ入国させることまで許されるものではない。 また,幼少のころからの継子については,日本人の実子又は日本人の特別養子との関係が問題となるところ,日本人の実子については,血族的なつながりを重視し,特別養子についても,その制度趣旨を考慮して,真実の両親との関係を完全に断ち切ったものとして,在留資格を付与したものであるから,日本人の実子及び特別養子にのみ在留資格を付与し,これ以外の者に在留資格を付与しない取扱いも,直ちに不合理なものとはいえない。 さらに,日本人の配偶者である外国人の連れ子については,未成年で未婚である場合に限って「定住者」の在留資格が付与されている点についても,未成年で未婚の者については親の扶養が必要であるとの観点から在留資格を付与されたものであって,特段不合理なものとはいえない。 したがって,中国残留日本人の継子であったとしても,そのことによって直ちに被告法務大臣が入管法別表二の「日 養が必要であるとの観点から在留資格を付与されたものであって,特段不合理なものとはいえない。 したがって,中国残留日本人の継子であったとしても,そのことによって直ちに被告法務大臣が入管法別表二の「日本人の配偶者等」又は「定住者」としての在留資格を付与して在留特別許可を付与しなければならないものではないというべきである。 ウ原告子らの福祉及び教育前記認定事実によれば,原告子らのうち,原告P10及び原告P6については,平成8(1996)年12月ころ,それぞれ当時12歳及び7歳で本邦に入国する- 27 -,,,,までは中国内の学校において学習していたことその後本邦に入国してからは,,,それぞれ日本国内の学校において日本語を修得しながら学習したことその結果原告P10及び原告P6は,いずれも日本語の会話能力を備え,日本語による会話が可能となったことが認められる。 また,原告P8及び原告P9についても,平成10(1998)年10月に本邦に入国するまでは,中国内の学校に通学していたこと,本邦に入国した後は,小学校及び中学校において日本語を修得し,日本語による会話が可能となったことが認められる。 確かに,原告子らは,本件における入国経緯の不法性について何ら責任はなく,原告親らの意思によって,それまで慣れ親しんだ中国を離れ,日本において学校生活を送ることとなったにもかかわらず,その後,日本語の会話能力を修得して友人等を得るに至った原告子らの努力は十分に理解できる。 しかしながら,そもそも,原告子らの日本における生活は,原告子らの保護者である原告親らが作出した虚偽の身分関係を基礎とした,不法在留という違法状態の上に築かれたものであって,そもそも法的な保護に値しない。 また,前記のとおり,被告法務大臣には広範な裁量権があり,我が国に在 ある原告親らが作出した虚偽の身分関係を基礎とした,不法在留という違法状態の上に築かれたものであって,そもそも法的な保護に値しない。 また,前記のとおり,被告法務大臣には広範な裁量権があり,我が国に在留する外国人に対する憲法の基本的人権の保障は,外国人の在留制度の枠内で与えられて,,,いるにすぎない上児童の権利に関する条約9条4項は父母の一方若しくは双方又は児童自身が退去強制の対象となる場合があることを前提とした規定であり,同条約で規定する権利は,本邦を含む各締結国の在留制度の枠内で保障されるにすぎないのであって,原告子らが,本件各処分までに3年ないし5年間にわたって,日本の学校において作り上げた人間関係を全く否定することはできないものの,これらの期間では,未だ本邦に定着性があるとまではいえない。以上に加えて,原告子らが原告親らやP1らと中国語で会話することが可能であること,原告子らは未だ日本の学校に就学しているものの,原告子らの年齢につき,原告P10は本件各処分当時19歳で,現在20歳となり,原告P8は,本件各処分当時17歳であり,,,,現在は18歳となっていることまた原告P9は本件各処分時に14歳であって現在は15歳であり,原告P6については,本件各処分当時12歳であって,現在は13歳であるものの,両名とも未だ可塑性を有する年齢であって,中国へ強制送還した後にも中国において学習することが不可能であるとはいえないことを考慮すると,原告子らに対して残留特別許可を付与しないことが,被告法務大臣の裁量権を逸脱又は濫用したものであるということはできない。 エその他の事情(ア)原告親らの中国語能力原告親らは,いずれも日本語による日常会話がほとんど不可能で,生活の大部分につき中国語による会話を行っている。また,原告らの家に ということはできない。 エその他の事情(ア)原告親らの中国語能力原告親らは,いずれも日本語による日常会話がほとんど不可能で,生活の大部分につき中国語による会話を行っている。また,原告らの家には,ケーブルテレビが設置されており,原告らは,中国語放送を視聴しているなど,専ら中国語による生活を送ってきたものであって,中国において生活していくことは十分に可能であるといえる。 (イ)中国における原告P3家族の生活- 28 -原告P3家族は,P1家族の近隣で生活しているものの,独立した家族として生活しており,平成13(2001)年3月1日に再婚した夫であるP11が中。 ,,国で生活しているこの点原告P3はP11と暮らす意思はない旨供述するが再婚した後,P11を呼び寄せるために在留資格認定の申請まで行っていたにもかかわらず,本件以降,突如としてP11とともに生活する意思をなくしたとの供述は,直ちに採用できない。また,原告P3が,再婚後離婚手続に着手するなど,P11との婚姻関係を解消しようとしたと認めるに足りる証拠もなく,原告P3がP11との生活を望んでいないことについては,これを認めることはできない。 また,原告P3家族は,本邦に5年間在留し,同人らを在留させるようにとの嘆願書等も提出されていることが認められるが,未だ本邦に定着性があるとはいえない。 (ウ)中国における原告P4家族の生活原告P4家族についても,P1とは独立した家族単位として生活しており,原告P7が,同原告の兄に対して,原告P4家族が本邦に入国する際に借りた借金を返済しており,中国には頼るべき者がいないとはいえない(原告P7本人)。 また,原告P4は,熊本市から,平成▲(▲)年▲月▲日付けで,○症による体幹機能の著しい障害として,身体障害者5級に認定され,身体障 ており,中国には頼るべき者がいないとはいえない(原告P7本人)。 また,原告P4は,熊本市から,平成▲(▲)年▲月▲日付けで,○症による体幹機能の著しい障害として,身体障害者5級に認定され,身体障害者手帳の交付を受けているものの(甲117,前記認定のとおり,アイロン及びミシン作業)に従事していることが認められ,中国において生活することが不可能であるとまではいえない。原告P7についても,頭痛,腰痛等の症状を訴えていることが認められるものの(甲121,原告P7本人,本邦に在留して直ちに治療に専念し)なければならない程度のものとは認められない。 原告P4家族についても,本邦に3年間在留し,同人らを在留させるようにとの嘆願書等も提出されていることが認められるが,未だ本邦に定着性があるとはいえない。 (エ)P1及びP2の扶養P1及びP2の扶養については,P1及びP2の実子が,P1らと同じ団地内に居住しており,P1及びP2の扶養については,原告らが本邦に入国するまでは実子らが見てきたものであって,今後も実子らによる扶養が不可能ではないといえる。 (オ) 結論 以上の事情からすれば,原告らが中国において生活することが直ちに不可能であるとまでは認められない。 (4) 結論 以上のとおり,被告法務大臣が判断の基礎とした事実のうち,原告P8及び原告P9の年齢については誤りがあるといえるものの,前記の各事情を考慮した上,原告らが本邦に入国後は平穏な生活を送っていたことを考慮してもなお,原告らに在留特別許可を付与しないことが社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかということはできない。 - 29 -よって,本件裁決に違法性はない。 (5)被告主任審査官の裁量について原告は,退去の強制について被告主任審査官に裁量権がある旨主張する。 しかしながら,入管 かということはできない。 - 29 -よって,本件裁決に違法性はない。 (5)被告主任審査官の裁量について原告は,退去の強制について被告主任審査官に裁量権がある旨主張する。 しかしながら,入管法49条5項は,被告主任審査官は,被告法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,すみやかに当該容疑者に対して退去強制令書を発付しなければならないと定めており,被告主任審査官に対し,退去の強制に理由があるか否かをあらためて判断することを許容するような規定は何ら。 ,,設けられていないこのほか入管法47条及び48条8項の類似規定や入管法5152条等の関係諸規定に照らしても,被告主任審査官は,被告法務大臣から前記裁決の通知を受けたときは,その判断に拘束され,すみやかに所定の方式に従った退去強制令書を発付することを義務づけられており,退去の強制に実体上の理由があるか否かについて独自に判断し得る権限も,また,退去強制令書の発付を留保し得る権限も認められていないものと解するのが相当である。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの主張は採用できない。 結論 以上のとおりであり,原告らの本件請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,よって,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第3民事部裁判長裁判官木村元昭裁判官立川毅裁判官浦上薫史

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る