主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求(略語は、別紙2略語一覧による。) 処分行政庁が令和4年9月7日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(上陸基準省令)の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号。留学告示)の別表第一から西日本国際教育学院(本件学院)を抹消し、同別表第三に本件学院を加える旨の処分(本件抹消処分)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨原告は、外国人に対する日本語教育を目的とする学校法人であり、本件学院を設置している。本件学院は、留学告示の別表第一に日本語教育機関として告示されていた。処分行政庁(法務大臣)は、原告に対し、本件学院が日本語教育機関の告示 基準(告示基準)2条(抹消の基準)に該当するとして、これを留学告示別表第一から抹消し、別表第三に加える旨の処分(本件抹消処分)をした。 本件は、原告が、被告国を相手に、本件抹消処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め本件に関連する法令等の定めは、別紙3「関係法令等の定め」のとおりである。 3 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠〔書証の記載は、特に断らない限り、枝番号のものを含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者等についてア原告は、平成24年4月2日に設立された、外国人に対する実践的な日本語 教育等を目的とする学校法人であり、本件学院を設置し、運営している。本件学院 の総定員(当時)は926名であり、本件学院の在校生のほぼ全ては、専ら日本語教育 対する実践的な日本語 教育等を目的とする学校法人であり、本件学院を設置し、運営している。本件学院 の総定員(当時)は926名であり、本件学院の在校生のほぼ全ては、専ら日本語教育を受けるために来日する外国人(留学生)である。 本件学院は、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄の規定による日本語教育機関及び教育機関として、留学告示の別表第一に定められていた。 本件学院関係者は、次表のとおりである。 略称役職原告理事長原告の理事長、本件学院の学院長(校長)専務理事専務理事常務理事常務理事兼学生管理本部長指導課主任教務部指導課主任A職員教務部指導課職員B教員教務部教務課教員(日本語教師)(以上につき、甲1、3、9、26、乙5、6、12)イ本件元学生(2000年生のベトナム社会主義共和国国籍)は、令和2年12月、日本に入国し、「留学」の在留資格で在留しており、本件学院の留学生であった(乙4の1)。 ⑵ 本件拘束A職員は、令和3年10月25日、本件元学生に対し、金属製の鎖を本件元学生のベルトと自身のベルトに通して繋ぎ、当該鎖を南京錠で施錠することで身体を拘束した(本件拘束。乙4~6)。 ⑶ 本件抹消処分に至る経緯 ア処分行政庁(法務大臣)は、本件学院に対し、令和4年2月21日付け聴聞通知書(甲2。第1回聴聞通知書)をもって、留学告示の別表第一から本件学院を抹消する処分(本件抹消処分)を予定しているとして、同年3月15日に聴聞期日を行う旨を通知した。第1回聴聞通知書には、①処分の根拠法令として、上陸基準 省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示 て、同年3月15日に聴聞期日を行う旨を通知した。第1回聴聞通知書には、①処分の根拠法令として、上陸基準 省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条1項8号が掲げられ、②処分の原因事実として、(本件学院の職員であったA職員の本件元学生に対する)本件拘束によって本件元学生の人権を著しく侵害したことが掲げられていた。 イ福岡出入国在留管理局(福岡入管。主宰者・首席審査官)は、令和4年3月 15日、原告の出頭の下、本件抹消処分に係る聴聞手続(1回目)を実施した。 上記聴聞手続の主宰者は、令和4年3月18日、聴聞調書(甲4)及び聴聞報告書(甲5)を作成した。当該聴聞報告書には、主宰者の意見として、①本件拘束の発生事実だけでなく、これが発生した後の対応状況も踏まえて総合的に検討した結果、告示基準2条1項8号に該当し、本件拘束を組織として黙認していないとの原 告の主張には理由がない、②情状等について特に酌むべき事情は認められない旨の記載がある。 ウ原告は、令和4年3月29日、本件抹消処分の差止めを求める本案事件(本件差止訴訟)を福岡地方裁判所に提起するとともに、本件抹消処分の仮の差止めを求める申立てをした。これに対し、福岡地方裁判所は、同年7月13日、当該申立 てを却下する旨の決定をした(顕著な事実)。 エ福岡出入国在留管理局は、上記イの聴聞終結後に判明した情報に基づき実施した調査の結果、本件拘束の他に告示基準違反の事実が新たに確認されたとして、これらを不利益処分の原因となる事実に追加した上で聴聞を再開することが相当と判断した。そこで、処分行政庁(法務大臣)は、本件学院に対し、令和4年7月5日 付け聴聞通知書(甲15。第2回聴聞通知書)をもって、留学告示 因となる事実に追加した上で聴聞を再開することが相当と判断した。そこで、処分行政庁(法務大臣)は、本件学院に対し、令和4年7月5日 付け聴聞通知書(甲15。第2回聴聞通知書)をもって、留学告示の別表第一から本件学院を抹消する処分(本件抹消処分)を予定しているとして、同月27日に2回目の聴聞期日を行う旨を通知した。 第2回聴聞通知書には、要旨、①処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条 1項8号、2条1項1号(1条1項42号)及び2条1項2号(1条1項2号)が 掲げられ、②処分の原因事実として、㋐令和3年10月25日午前9時頃から同月26日正午頃までの間、A職員ら複数名の職員が、本件元学生の意思に反して監視等をし、本件元学生を本件学院の職員室又は学生寮にとどめ置いた上(本件とどめ置き)、本件拘束によって本件元学生の人権を著しく侵害したこと、㋑本件学院が、令和4年3月15日から同年4月30日までの間の教員の新規採用及び退職につい て、告示基準1条1項42号に基づく報告対象者が23名いたにもかかわらず、同年5月20日時点において当該報告を行わなかったこと、㋒本件学院が、同年4月1日受付で提出した定員変更報告に係る書面において、同年3月15日に退職した教員を記載し、同月22日に新規採用された教員を記載していない不実の資料を提出したこと、㋓本件学院が、生徒から在留期間更新許可手数料以外にもビザ更新代 等と称して使途不明な金銭(1000円)を徴収していたにもかかわらず、それを学則に記載していなかったことが掲げられていた。 オ福岡入管(主宰者・首席審査官)は、令和4年7月27日、原告の出頭の下、本件抹消処分に係る聴聞手続(2回目)を実 していたにもかかわらず、それを学則に記載していなかったことが掲げられていた。 オ福岡入管(主宰者・首席審査官)は、令和4年7月27日、原告の出頭の下、本件抹消処分に係る聴聞手続(2回目)を実施した。 上記聴聞手続の主宰者は、令和4年8月8日、聴聞調書(甲17)及び聴聞報告 書(甲18)を作成した。当該聴聞報告書には、主宰者の意見として、①本件元学生の意思に反して、ある程度組織的に本件とどめ置きが行われていたものと評価できること、本件とどめ置き又は監視が一定程度継続していたものと評価できることなどから、本件とどめ置き又は監視は本件元学生の意思に反したものではなく人権侵害行為に該当しないとの原告の主張には理由がない、②定員変更報告に係る書面 について、単なる記載ミスであったとしても、事実と異なる記載のある文書を提出したことに変わりはない、③情状等について特に酌むべき事情は認められない旨の記載がある。 カ処分行政庁(法務大臣)は、令和4年9月7日付けで、原告に対し、前記エ②㋐~㋓を理由として、本件抹消処分をし、その頃、本件抹消処分に係る処分通知 書(本件処分通知書。甲11)を送付した。 ⑷ 本案事件の訴えの変更等原告は、令和4年9月9日、本件差止訴訟の請求の趣旨を本件抹消処分の取消しに変更する旨の訴えの変更をした(顕著な事実)。 4 本件の争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は、本件抹消処分の違法性であり、具体的には、次の4点である。こ れに関する当事者の主張は、別紙4―1及び4-2のとおりである。 ⑴ 本件抹消処分の告示基準2条1項の要件該当性及び裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無① 本件学院が、生徒に対し、人権侵害行為を行った(告示基準2条1項8号)と認め -2のとおりである。 ⑴ 本件抹消処分の告示基準2条1項の要件該当性及び裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無① 本件学院が、生徒に対し、人権侵害行為を行った(告示基準2条1項8号)と認められるか否か ② 本件学院が、留学生受入れ事業を行わせることが適当でない(告示基準2条1項柱書)と認められるか否か⑵ 本件抹消処分に当たり行政手続法(行手法)13条1項に規定する聴聞があったと認められるか否か⑶ 本件抹消処分に理由付記の違法があるか否か ⑷ 本件抹消処分に調査義務違反の違法があるか否か第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、掲記の証拠(ただし、後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実(以下「認定事実」といい、項番号等により「認定事実⑴」 等と略称する。)を認定することができる。 ⑴ 令和3年以前の出来事についてア本件学院は、福岡入管に対し、平成29年2月28日付け「日本語教育機関の告示基準に係る誓約書」(本件誓約書。甲21)を提出し、告示基準1条1項2号、5号、8号、18号及び30号~43号の規定(いずれも当時のもの)の遵守 について誓約するとともに、これらの規定以外の基準に適合していることを確認し たことを報告した。 イ A職員は、平成29年12月、留学生ともみ合いになり、当該留学生の左手を骨折させる傷害を負わせ、原告からけん責処分を受けた(乙8〔17~28頁〕)。 ウ福岡入管は、平成31年2月19日、本件学院に対する実地調査を行った結果、本件学院は、教員に係る変更報告を行っておらず、当時の告示基準1条1項4 1号(現行の同項42号)に違反していたことが判明した(甲22)。 エ本件学院は、福岡入管に対し、平 査を行った結果、本件学院は、教員に係る変更報告を行っておらず、当時の告示基準1条1項4 1号(現行の同項42号)に違反していたことが判明した(甲22)。 エ本件学院は、福岡入管に対し、平成31月2月19日の実地調査により発覚した違反について、平成31年2月20日付け顛末書(甲22〔2枚目〕)及び理由書(甲22〔3枚目〕)を提出し、以後、本件誓約書のとおり、告示基準を遵守する旨を述べた。 上記顛末書には、「事案原因」として、①告示基準施行以前の変更時の届出を告示基準施行以降も準用してしまい、また、告示基準施行以前は、学則・教育課程・定員・校長・主任教員・校地・校舎を変更した場合に届出を行い、そのほかは定期報告等で教員数等を報告すればいいと勘違いしていたこと、②告示基準に精通し告示基準の届出を行っていた事務職員が交代となり、事務引継ぎがおろそかになった こと、③平成30年11月6日に行われた福岡入管の日本語教育機関向けの教育に主任を参加させていたが、当局から強調された事項が、関係部門まで伝わらなかったこと、④チェックすべき管理者も告示基準の具体的な変更事項までは覚えていなかったこと、「今後の対応」として、事務部門への告示基準に準拠した合規適正な事務手続を再徹底し、業務マニュアルや引継書を最新の状態へ変更し、二度と同種 事案が発生しないように対策を講ずる予定である旨、日本語教育機関の適正化や格付けに向け日本語教育機関としての態勢を再チェックしたい旨の記載がある。 オ福岡入管は、令和2年7月8日、本件学院に対する実地調査等を行った結果、教員の勤務状況について当局に届出された内容と実態が大きく相違していたほか、教員数が不足しており、告示基準1条1項11号に違反していたことが判明した。 カ本件学院 地調査等を行った結果、教員の勤務状況について当局に届出された内容と実態が大きく相違していたほか、教員数が不足しており、告示基準1条1項11号に違反していたことが判明した。 カ本件学院は、福岡入管に対し、令和2年7月8日の実地調査等により発覚し た違反について、同年9月9日付け「『告示基準現況調査』指導事項に伴う処置について(回答)」と題する書面(甲22〔5、6枚目〕)を提出し、以後、告示基準を遵守する旨を述べた。 上記書面には、具体的な検討結果(回答)として、①他校講師兼任専任教員の登録につき、本件学院の日本語専任教員としての登録を抹消すること、②事務職兼任 専任教員の勤務状況につき、週5コマ以上の担当等をさせること、③非常勤4名の長期休業につき、非常勤としての登録を抹消すること、④在留期間更新時のパスポートの預かりにつき、極力行わないこととするが、本人からの申出があった場合は、預かり承諾書(仮称)を交付して、申請業務を効率的に行いたいこと、⑤教員の定員管理につき、現行の生徒定員を減員して合理的な定員数による教員の定員管理を 実施することの記載がある。 ⑵ 本件拘束等に至る経緯ア本件学院の留学生規則(甲19)には、要旨次のような定めがあった。 第四条出席、遅刻1.学院に連絡せずに、遅刻したり欠席したりしてはいけません。 2.欠席、遅刻する場合はまず先生に電話連絡します。午前授業の学生は朝8時30分~8時59分までに、午後の授業の学生は12時30分~午後1時9分までに担任又は学院に電話連絡し、許可を得なければなりません。 第十一条ビザ更新の条件5.留学ビザ以外のビザには変更できません。 第十五条在留カード1.「在留カード」・「学生証」は常に携 院に電話連絡し、許可を得なければなりません。 第十一条ビザ更新の条件5.留学ビザ以外のビザには変更できません。 第十五条在留カード1.「在留カード」・「学生証」は常に携帯しなければいけません。 イ本件元学生は、令和3年10月5日、テストを受けた際、教師からカンニングを注意され、以後、無断欠席が目立つようになり、同月22日には、ベトナム社会主義共和国大使館宛てに「現在健康状態が不良で、退学することにした。帰国し て病院へ行き、治療をしてから仕事をやり始めようと思っている」旨のメール(甲 36)を送信したり、同月23日及び同月24日には、長崎で無断外泊したりした(甲26)。 ⑶ 本件拘束等の状況ア A職員は、令和3年10月25日の朝、本件元学生が登校しなかったため、他の教職員を同行して本件学院の寮(以下、単に「寮」という。)まで行き、同日午 前10時頃、本件元学生と共に本件学院の職員室(以下、単に「職員室」という。)に戻った(甲20、乙4~6)。 イ本件元学生は、職員室において、A職員又は教職員から、無断外泊の状況等を尋ねられ、ビザを変更したこと、パスポートを外泊した交際相手のところに置いてきたこと等を告げたところ、パスポート及び在留カードを提出すること、交際相 手に連絡を取ることを求められたことから、交際相手からの連絡又はメールの回答は午後零時30分頃になる旨を告げた(乙4~6)。 指導課主任は、本件元学生との上記やり取りを踏まえ、校長である原告理事長に対し、令和3年10月25日午前11時頃、本件元学生の在留カードの所持の有無が判明しないこと等を報告し、原告理事長から、本件元学生の在留カードの再発行 の指示を受けた(乙5〔6枚目〕、乙8〔6頁〕)。 そ 0月25日午前11時頃、本件元学生の在留カードの所持の有無が判明しないこと等を報告し、原告理事長から、本件元学生の在留カードの再発行 の指示を受けた(乙5〔6枚目〕、乙8〔6頁〕)。 その後、A職員は、食事のため、職員室を出た(乙6)。 ウその後、指導課主任は、職員室において、本件元学生に対し、現状では在留カード不携帯になるので、福岡入管に在留カードの再発行に行こうと申し向けたところ、これを拒否した本件元学生が暴れるなどしたことから、昼食をとっていたA 職員に戻るよう伝えた(乙5)。 A職員は、遅くとも令和3年10月25日午後3時頃、職員室の面談スペースにおいて、本件元学生を椅子に座らせ、持参した鎖を、自分のベルトと本件元学生のベルトに通して繋ぎ、南京錠で施錠して本件元学生の身体を拘束した(本件拘束)。 その際、職員室(面談スペースは、職員室の受付のそばにあり、教職員の執務机等 が置かれた部分との間に間仕切り等はない。)には、少なくとも6名の職員が在室 していたが、A職員の上記行為を制止した者はいなかった(前提事実⑵、甲27、乙4~6)。 A職員は、本件元学生からトイレに行きたいとの要請を受けた際、本件元学生を鎖で繋いだままトイレの入口まで連れて行き、そこで鎖を外し、本件元学生が用を済ますと、鎖で繋ぎ直した。その後、指導課主任は、しばらくしてから、職員室を 出た(乙4~6)。 本件元学生は、A職員により鎖でつながれている様子を動画(本件動画。乙7)で撮影した。 B教員は、3時限目の授業と4時限目の授業の間の時間帯、教員室において、本件元学生がA職員と鎖でつながれている姿を目撃したことから、A職員に対し、「何 やってんの」と申し向けたが、A職員は、本件元学生とともに「ずっと一緒だ 限目の授業の間の時間帯、教員室において、本件元学生がA職員と鎖でつながれている姿を目撃したことから、A職員に対し、「何 やってんの」と申し向けたが、A職員は、本件元学生とともに「ずっと一緒だね」などと言って笑っているだけであった。B教員は、A職員に対して更なる注意はせず、指導課主任が職員室におらず、自分の授業もあったことから、そのままその場を立ち去った(甲26)。 A職員は、遅くとも令和3年10月25日午後5時頃までに、本件元学生を上記 状態から解放した。 エ指導課主任は、職員室に戻ってくると、令和3年10月25日午後6時頃、A職員に対し、本件元学生を寮まで送るよう指示した。 A職員は、その頃、本件元学生を寮に送り届け(その際、本件元学生から在留カードを見せられた。)、本件元学生は、寮2階の自室に戻った。その後、A職員は、 本件元学生の動向を見守るため、寮1階のロビーに宿泊した(甲20、乙5、6)。 専務理事は、帰宅する際に立ち寄った職員室において、鎖を発見し、指導課主任に対し、「これは何だ」と確認したところ、指導課主任から「実は学生を鎖でつないでいた」旨を告げられた(乙5)。 オ本件元学生は、令和3年10月26日午前8時30分頃、A職員と共に登校 し、職員室に行った。その後、校長である原告理事長や指導主任らは、同日午前1 0時頃、本件元学生と面談したところ、本件元学生が学校を続ける意向を示したことから、本件元学生への日本語教育を継続することとした。本件元学生は、遅くとも同日午後零時以降、学校で授業を受けるなどして過ごした(乙4~6、8)。 ⑷ 本件拘束等の後の状況ア本件元学生は、令和3年10月27日、学校を無断欠席し、そのまま失踪し た(原告の関係者において捜索し 、学校で授業を受けるなどして過ごした(乙4~6、8)。 ⑷ 本件拘束等の後の状況ア本件元学生は、令和3年10月27日、学校を無断欠席し、そのまま失踪し た(原告の関係者において捜索したが、音信不通であった。)。そのため、本件元学生は、同日付けで、本件学院から除籍された。 イ原告の関係者は、令和3年10月28日、本件動画が同月27日に本件元学生のFacebookに投稿されていたことを認識し、原告理事長は、本件拘束があったことを認識した。 ウ本件元学生は、令和3年11月4日、福岡入管を訪問し、福岡入管の職員に対して、本件動画を見せるなどした(乙7)。 エ原告は、令和3年11月15日付けで、A職員を人事総務課付に異動させ、同年12月1日付けで、A職員を原告の関連会社に転籍させた(甲23、乙6、8)。 オ原告は、令和3年12月4日、本件学院において本件拘束が行われたことが 新聞記事等で報道された。 ⑸ 1回目の聴聞手続に至るまでの経緯ア福岡入管は、令和3年12月7日、本件元学生の事情聴取を実施し、その際、本件動画を再度確認し、本件動画の撮影日時と時系列を逆転させ、動画①及び動画②としてデジタルビデオカメラで撮影保存した(乙7)。 イ本件学院の専務理事及び常務理事は、令和3年12月10日、本件元学生によるSNS投稿の件及びこれを報道する記事に関して説明するために、福岡入管を訪問し、今後の対応等について述べた(甲9〔5枚目〕)。 ウ福岡入管入国審査官は、令和3年12月16日、事前の予告なく、本件学院に対する実地調査を実施した。福岡入管入国審査官は、本件拘束の現場となった2 階職員室や使用された鎖とその保管場所の調査・写真撮影を行い、原告理事長、A 職員等 告なく、本件学院に対する実地調査を実施した。福岡入管入国審査官は、本件拘束の現場となった2 階職員室や使用された鎖とその保管場所の調査・写真撮影を行い、原告理事長、A 職員等の供述を録取した(乙5、6、8)。 その際、福岡入管は、原告に対し、本件抹消処分を検討していることは示さず、また、A職員による行為が原告の組織的な行為と評価される根拠についても特段の説明をしなかった。 エ原告は、福岡入管に対し、令和3年12月24日、同月10日の福岡入管担 当官の指示に従い、原告内の調査で把握できた事実経緯や今後の対応策を記載した報告書等を提出したところ、福岡入管から、追加の資料提出を求められた。その際にも、福岡入管は、原告に対し、本件抹消処分を検討していることは示さず、また、A職員による行為が原告の組織的な行為と評価される根拠についても特段の説明をしなかった。 オ福岡入管入国審査官は、令和4年1月5日、本件元学生の供述を録取した(乙4の2)。 カ原告は、福岡入管に対し、令和4年1月6日、令和3年12月24日に要請された追加資料を提出した。 キ福岡入管は、令和4年1月17日付け出入国在留管理庁在留管理支援部在留 管理課留学審査係起案文書(甲53の1)において、原告に対して本件抹消処分に向けた聴聞手続を行う方針について決裁し、同月19日、入管庁に対し、他の教職員が視認できたこと、笑ったこと、理事長への報告がなかったことを主な理由として、原告による組織的な悪質かつ重大な人権侵害行為を認定し、本件処分に向けた聴聞手続を進める旨の処分方針を立案した(甲9〔2枚目以下〕)。 入管庁は、令和4年2月21日までに、本件学院に対する聴聞手続を開始することを決裁した(甲53の3)。 ク処 に向けた聴聞手続を進める旨の処分方針を立案した(甲9〔2枚目以下〕)。 入管庁は、令和4年2月21日までに、本件学院に対する聴聞手続を開始することを決裁した(甲53の3)。 ク処分行政庁(法務大臣)は、本件学院に対し、令和4年2月21日付け聴聞通知書(甲2。第1回聴聞通知書)をもって、留学告示の別表第一から本件学院を抹消する処分(本件抹消処分)を予定しているとして、同年3月15日に聴聞期日 を行う旨を通知した(前提事実⑶ア)。 第1回聴聞通知書には、①処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条1項8号が掲げられ、②処分の原因事実として、(本件学院の職員であったA職員の本件元学生に対する)本件拘束によって本件元学生の人権を著しく侵害したことが掲げられていた。 ケ原告は、令和4年2月28日、聴聞手続の代理人を選任し(甲53の8)、同年3月7日、文書等閲覧を行い(甲9〔1枚目〕、53の6)、同月15日、聴聞手続(所要時間は1時間24分)を受けた。 原告(の代理人弁護士)は、上記聴聞手続の際、本件拘束を組織性のある行為として捉えているのか、その場合、解釈指針にある三段階のどのレベルとして捉えて いるのか、その根拠となる事実は何かについて質問したところ、福岡入管から、「黙認されていたものと捉えており、その根拠となる事実については、誰も声をかけなかったことやその後の対応状況を踏まえてのことである」旨の回答を受けた。 コ主宰者は、令和4年3月18日、聴聞調書(甲4)を作成した上、①「主宰者の意見」として、不利益処分の原因となる事実について、新たな事実は認められな かった旨の記載、②「争点及び情状等に対する 主宰者は、令和4年3月18日、聴聞調書(甲4)を作成した上、①「主宰者の意見」として、不利益処分の原因となる事実について、新たな事実は認められな かった旨の記載、②「争点及び情状等に対する判断」として、㋐本件拘束の発生事実だけでなく、これが発生した後の対応状況も踏まえて総合的に検討した結果、告示基準2条1項8号に該当し、本件拘束を組織として黙認していないとの原告の主張には理由がない、㋑情状等について特に酌むべき事情は認められない旨の記載がある聴聞報告書(甲5)を作成し、法務大臣に対し、これを提出した。 ⑹ 2回目の聴聞手続に至るまでの経緯ア原告は、令和4年3月29日、本件差止訴訟を提起した(前提事実⑶)。 イ入管庁は、令和4年4月7日から同年5月17日までの間、原告の処分方針について検討するなどした(甲53の12、13、15、16)。 ウ福岡入管は、令和4年5月20日、事前の予告なく、本件学院に対する実地 調査を実施し、教職員全員の健康保険証の写し、学則の記載を確認したり、図書室 が図書室として機能しているか、保健室が保健室として機能しているかを確認したりするなど、告示基準に沿って、その遵守状況に関する詳細な調査を行った。 また、原告理事長は、上記実地調査の際、福岡入管から、教職員の入社及び退社に伴う教員変更登録がされていないと指摘され、「4月1日入退社の教職員については、福岡入管から5月末までの報告で足りる旨の案内を受けた」旨を回答したと ころ、福岡入管から、そのような事実はないと否定された。 福岡入管は、上記実地調査の結果、本件学院が、学生の在留期間更新許可申請の取次ぎを行う際、入管当局に納付することとなる更新手数料4000円のほかに、学則にないビザ更新代1000円及び 定された。 福岡入管は、上記実地調査の結果、本件学院が、学生の在留期間更新許可申請の取次ぎを行う際、入管当局に納付することとなる更新手数料4000円のほかに、学則にないビザ更新代1000円及びコピー代100円を徴収していること、福岡入管に報告していた教職員が退職しているなど、その実態が事前の報告とは異なっ ており、教職員の変更についての報告を懈怠していることを認めた。 福岡入管上席入国審査官は、福岡入管局長に対し、令和4年5月27日、上記実地調査の結果報告をした(以上につき、乙10)。 エ入管庁は、令和4年7月1日、福岡入管から、「告示基準2条1項1号及び2号の『抹消の基準』に該当する事実が新たに確認されており、これらの事実及び 長時間の拘束を含む人権侵害行為に係る事実を踏まえると留学生受入れ事業を引き続き行わせることが適当でないものと認められることから、これらを不利益処分の原因となる事実に追加した上で、行手法25条に基づく聴聞を再開することが相当である」旨の上申を受け、同月5日、原告に対する対処方針を決裁した(甲53の21)。 オ福岡入管局長は、令和4年7月13日、福岡入管入国審査官から、本件元学生から本件動画の提供を受けた経緯についての報告(乙7)を受けた。その際、動画①と動画②の元データの撮影日付及び時系列についての確認がされなかった。 カ処分行政庁(法務大臣)は、本件学院に対し、令和4年7月5日付け聴聞通知書(甲15。第2回聴聞通知書)をもって、留学告示の別表第一から本件学院を 抹消する処分(本件抹消処分)を予定しているとして、同月27日に2回目の聴聞 期日を行う旨を通知した。 第2回聴聞通知書には、要旨、①処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の 分(本件抹消処分)を予定しているとして、同月27日に2回目の聴聞 期日を行う旨を通知した。 第2回聴聞通知書には、要旨、①処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条1項8号、2条1項1号(1条1項42号)及び2条1項2号(1条1項2号)が掲げられ、②処分の原因事実として、㋐令和3年10月25日午前9時頃から同月 26日正午頃までの間、A職員ら複数名の職員が、本件元学生の意思に反して監視等をし、本件元学生を本件学院の職員室又は学生寮にとどめ置いた上(本件とどめ置き)、本件拘束によって本件元学生の人権を著しく侵害したこと、㋑本件学院が、令和4年3月15日から同年4月30日までの間の教員の新規採用及び退職について、告示基準1条1項42号に基づく報告対象者が23名いたにもかかわらず、同 年5月20日時点において当該報告を行わなかったこと、㋒本件学院が、同年4月1日受付で提出した定員変更報告に係る書面において、同年3月15日に退職した教員を記載し、同月22日に新規採用された教員を記載していない不実の資料を提出したこと、㋓本件学院が、生徒から在留期間更新許可手数料以外にもビザ更新代等と称して使途不明な金銭(1000円)を徴収していたにもかかわらず、それを 学則に記載していなかったことが掲げられていた(以上につき、前提事実⑶エ)。 キ原告は、令和4年7月27日、聴聞手続(所要時間45分)を受けた。 原告は、上記聴聞手続において、①本件とどめ置きは、特定がされていない上、職員室でのとどめ置きは正当業務行為であり、学生寮でのとどめ置きはしていないなどと意見を述べ、報告の不遵守及び学則への未記載は、形式ミスにとどまり、重 々反省して必要 、特定がされていない上、職員室でのとどめ置きは正当業務行為であり、学生寮でのとどめ置きはしていないなどと意見を述べ、報告の不遵守及び学則への未記載は、形式ミスにとどまり、重 々反省して必要な改善策を講じている旨の意見を述べた。また、福岡入管は、原告から本件とどめ置きは示された時間帯のすべてが人権侵害行為に該当するのかとの質問に対し、要旨「一連の行為の中で、寮から連れ出し、本人が戻りたいと言った後もとどめ置きを継続しており、その一連の行為の中に鎖による拘束行為が含まれている。寮に戻った後も外出等をしないよう監視を行っていたなど、本人の自由を 拘束する行為が人権侵害行為であると考えている。少なくとも本人がこれらの行為 を容認、納得していたとは言えない」と回答した(甲16、17)。 ク主宰者は、令和4年8月8日、聴聞調書(甲17)を作成した上、①「主宰者の意見」として、不利益処分の原因となる事実について新たな事実は認められなかった旨の記載、②「争点及び情状等に対する判断」として、㋐本件元学生の意思に反して、ある程度組織的に本件とどめ置きが行われていたものと評価できること、 本件とどめ置き又は監視が一定程度継続していたものと評価できることなどから、本件とどめ置き又は監視は本件元学生の意思に反したものではなく人権侵害行為に該当しないとの原告の主張には理由がない、㋑定員変更報告に係る書面について、単なる記載ミスであったとしても、事実と異なる記載のある文書を提出したことに変わりはない、㋒情状等について特に酌むべき事情は認められない旨の記載がある 聴聞報告書(甲18)を作成し、法務大臣に対し、これを提出した(前提事実⑶オ)。 ケ入管庁は、令和4年8月8日から同月12日までの間、原告に対する本件抹消処分を められない旨の記載がある 聴聞報告書(甲18)を作成し、法務大臣に対し、これを提出した(前提事実⑶オ)。 ケ入管庁は、令和4年8月8日から同月12日までの間、原告に対する本件抹消処分を行う方針を決裁した(甲53の26)。 ⑺ 本件抹消処分ア処分行政庁(法務大臣)は、令和4年9月7日付けで、原告に対し、本件抹 消処分をし、その頃、本件処分通知書(甲11)を送付した(前提事実⑶カ)。 本件処分通知書には、本件抹消処分の理由として、要旨、①令和3年10月25日午前9時頃から同月26日正午頃までの間、A職員ら複数名の職員が、本件元学生の意思に反して監視等をし、本件元学生を本件学院の職員室又は学生寮にとどめ置いた上(本件とどめ置き)、本件拘束によって本件元学生の人権を著しく侵害し たこと(告示基準2条1項8号)、②本件学院が、令和4年3月15日から同年4月30日までの間の教員の新規採用及び退職について、告示基準1条1項42号に基づく報告対象者が23名いたにもかかわらず、同年5月20日時点において当該報告を行わなかったこと(告示基準2条1項1号)、③本件学院が、同年4月1日受付で提出した定員変更報告に係る書面において、同年3月15日に退職した教員 を記載し、同月22日に新規採用された教員を記載していない不実の資料を提出し たこと(告示基準2条1項1号)、④本件学院が、生徒から在留期間更新許可手数料以外にもビザ更新代等と称して使途不明な金銭(1000円)を徴収していたにもかかわらず、それを学則に記載していなかったこと(告示基準2条1項2号)の記載のほか、処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条1項8号、2条1項1 いなかったこと(告示基準2条1項2号)の記載のほか、処分の根拠法令として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第6号、告示基準2条1項8号、2条1項1 号(1条1項42号)及び2条1項2号(1条1項2号)である旨の記載がある。 イ本件学院は、令和4年9月7日、留学告示別表第一から抹消され、留学告示別表第三に掲げられ、その旨の官報公告(甲10)がされた。 ⑻ 本件抹消処分の後における原告の対応原告は、遅くとも令和5年10月1日までに、コンプライアンス体制の拡充に向 け、原告理事長の本件学院学院長の兼任を解消し、学生管理課と学生指導課を学生課に統合し、弁護士をコンプライアンス委員として就任させ、リスクマネジメント委員会や公益通報窓口を設置するなど組織体制を変更し、現にリスクマネジメント委員会を開催したり、コンプライアンス研修を実施するなどした(甲40~45)。 2 告示基準2条1項の定めに基づく日本語教育機関の留学告示別表第一からの 抹消について⑴ 上陸基準と留学告示の関係について一般に、出入国に関する事務は国際法上国内事項とされていて、外国人の入国にいかなる条件を課するかは専らその国の立法政策に委ねられているところ、入管法は、①本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する 全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とし(1条)、②本邦に在留する外国人の在留資格は、別表第一又は第二の上欄に掲げるとおりとした上、別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は、当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ、別表第二の上欄の在留資格をもって在留する者は、当該在留資格に応じ した上、別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は、当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ、別表第二の上欄の在留資格をもって在留する者は、当該在留資格に応じそれぞ れ本邦において同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動を行うこ とができる旨(2条の2第2項)を規定する。そして、入管法は、③本邦に上陸しようとする外国人(乗員を除く。)は、その者が上陸しようとする出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければならず(6条2項)、④入国審査官は、③の申請があったときは、当該外国人が所定の上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しな ければならない(7条1項)旨を規定する。 ⑤入管法7条1項2号は、所定の上陸のための条件の1つとして、「申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(中略)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(中略)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活 動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(中略)。」旨を規定しており、この委任を受けた上陸基準省令は、上記の法務省令で定める基準として、③の申請を行った者(申請人)が本邦において行おうとする活動が「(入管法)別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動」であるときは、「申請人が専修学校、各種 学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、当該教育機関が法務大臣が文部科学大臣の意見を聴いて告示を きは、「申請人が専修学校、各種 学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、当該教育機関が法務大臣が文部科学大臣の意見を聴いて告示をもって定める日本語教育機関であること」とする旨を規定する。 以上のような入管法及び上陸基準省令の規定に照らすと、入管法は、個々の外国人が本邦において行おうとする活動に着目し、一定の活動を行おうとする者のみに 対してその活動内容に応じた在留資格を取得させ、本邦への上陸及び在留を認めることとしているのであり、その委任を受けた上陸基準省令は、別表第一の四所定の「留学」の在留資格をもって本邦の教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする者の活動について、法務大臣が、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案し、かつ、文部科学大臣の意見を聴いて定めた告示に掲げる教育 機関において専ら日本語の教育を受けることとしたものといえる。そして、上陸基 準省令は、告示に掲げる日本語教育機関の判断基準について特に規定していないが、これは、いかなる日本語教育機関を告示に掲げるかの判断を文部科学大臣の意見を聴いた上での法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨からであると解される。以上を踏まえると、入管法関係法令は、一旦告示に掲げた日本語教育機関を抹消するかの判断についても、法務大臣の裁量に任せる趣旨である と解するのが相当である。 ⑵ 告示基準の定めに基づく留学告示に関する法務大臣の処分について入管庁が定めた告示基準は、文部科学省高等教育局及び文化庁の意見を聴いた上で定められたものであり(乙2)、①留学告示別表第一に新たに日本語教育機関を掲げるときは、文部科学大臣の意見を聴いた上で、所定の要件のい めた告示基準は、文部科学省高等教育局及び文化庁の意見を聴いた上で定められたものであり(乙2)、①留学告示別表第一に新たに日本語教育機関を掲げるときは、文部科学大臣の意見を聴いた上で、所定の要件のいずれにも該当す ることを確認して掲げるものとする旨(1条)、②留学告示別表第一に掲げる日本語教育機関が、所定の事由のいずれかに該当し、留学受入れ事業を行わせることが適当でないと認められる場合には、当該日本語教育機関を同表から抹消するものとする旨(2条柱書)を定める。 そして、告示基準は、①の所定の要件としては、㋐「授業料、入学料、教材費その 他名目の移管を問わず生徒が支払うこととなる料金の費目及び額並びにその支払及び払戻に関する事項」について学則に定めていること(告示基準1条2号ヘ)、㋑「学則、教育課程、生徒の定員、設置者(法人の場合にあっては、その代表者及び日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。)、校長、職員、事務局の事務を統括する職員、校地又は校舎について変更があったときは、その変更内容を速やかに 地方出入国在留管理局に報告することとしていること」(告示基準1条42号)を掲げており、また、②の所定の事由としては、㋐「学則又は告示基準1条1項5号、8号、18号及び30号から47号までに係る誓約を遵守していないとき」(告示基準2条1号)、㋑「告示基準1条各号のいずれかに該当していないとき」(告示基準2条2号)、㋒「生徒に対し、人権侵害行為を行い、又は法令違反行為を唆し 若しくは助けていたとき」(告示基準2条8号)を掲げている。また、解釈指針は、 告示基準の定めについての解釈として、文部科学省と調整の上、別紙3のとおり定めている(乙3参照)。 このような告示基準の定め(解釈指針が示したその解釈を含 いる。また、解釈指針は、 告示基準の定めについての解釈として、文部科学省と調整の上、別紙3のとおり定めている(乙3参照)。 このような告示基準の定め(解釈指針が示したその解釈を含む。)は、文部科学大臣の意見等を踏まえたものであり、前記⑴において説示したいかなる日本語教育機関を告示に掲げるかの判断に関する法務大臣の裁量権の性質をも併せ考慮する と、その具体的判断基準として合理性を有するものであるから、法務大臣がこれに準拠してその判断をすることは、相当であるといえる。 そうすると、告示基準2条1項の定めに基づき日本語教育機関を留学告示別表第一から抹消するとの法務大臣の処分は、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が 明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があったものとして違法となるものというべきである。 以上のような解釈を踏まえて、争点⑴についてみると、次のとおりである。 3 争点⑴(本件抹消処分の告示基準2条1項の要件該当性及び裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無)について⑴ 検討認定事実によれば、次の事実を指摘することができる。 ア本件拘束について 本件元学生は、遅くとも令和3年10月25日午前11時以降、指導課主任らから、パスポート及び在留カードの提出等に関して指導を受けるなどしたが、これに応じずに職員室で暴れるなどしたところ、A職員は、同日午後3時頃、本件学院の職員室の面談スペースにおいて、本件元学生に対し、椅子に座らせた上、持参した鎖を、 等に関して指導を受けるなどしたが、これに応じずに職員室で暴れるなどしたところ、A職員は、同日午後3時頃、本件学院の職員室の面談スペースにおいて、本件元学生に対し、椅子に座らせた上、持参した鎖を、自分のベルトと本件元学生のベルトに通して繋ぎ、南京錠で施錠すると いう態様により、その身体を拘束したものである(本件拘束)。そして、A職員は、 本件元学生がトイレに行きたいと要請した際も、本件元学生を鎖でつないだままトイレの入口まで連れて行き、用が済んだ後は、改めて本件元学生を鎖で繋ぎ直し、B教員から注意された際にも、「ずっと一緒だね」などと笑ってごまかし、遅くとも同日午後5時頃までの約2時間にわたり、本件元学生の身体を拘束し続けた(認定事実⑶ウ・エ)。 このようなA職員の本件元学生に対する本件拘束は、長時間にわたり鎖を使ってその身体を拘束するという侮辱的な暴力行為であって、人の身体の自由を侵害する行為であることが明らかである。 A職員が本件拘束を開始した際、職員室には、指導課主任を含む複数の職員がいたが、A職員の上記行為を制止した者はいなかったのであり、B教員もA職員 に「何やってんの」と声掛けをしたものの、自分の授業もあったこと等からそれ以上の制止をしなかった。指導課主任は、上記のとおり、A職員による本件拘束の開始を現認したが、これを制止しなかっただけでなく、その状況を放置して職員室から立ち去ったのであり、本件拘束の終了後に職員室に立ち寄った専務理事から鎖について質問された際にも、「実は学生を鎖でつないでいた」との事実を告げるにと どまった。また、専務理事は、上記の経緯で本件拘束の事実を認識したが、A職員や本件元学生に対する事実確認等の措置は講じなかったものである(認定事実⑶ウ)。 この た」との事実を告げるにと どまった。また、専務理事は、上記の経緯で本件拘束の事実を認識したが、A職員や本件元学生に対する事実確認等の措置は講じなかったものである(認定事実⑶ウ)。 このように、原告は、A職員による本件拘束を認識した専務理事や職員において、これを積極的に制止せず、放置していた点において、組織として本件拘束を黙認し ていたものというべきである。仮に、他の職員が、本件拘束がされた際、鎖でつながれた本件学生を笑ったりしていなかったとしても、そのことは、上記判断を妨げるものではない。 以上の事実に照らすと、A職員の本件元学生に対する本件拘束は、本件元学生に対する指導を契機とするものではあるが、生徒に対する許容する余地がない暴 力行為としての人権侵害行為に当たり(上記)、一職員の行為であるが組織とし て黙認されていたものであるから(上記)、告示基準2条1項8号の事由に該当するというべきである。 イ本件とどめ置きについて 本件元学生は、寮で生活していたところ、令和3年10月23日及び24日は無断外泊し、同月25日は、定時に登校しなかったことから、同日午前10時頃、 A職員らと共に職員室に行き、無断外泊の状況等について尋ねられ、ビザを変更し、パスポートを外泊した交際相手のところに置いてきたなどと述べた。そのため、指導課主任らは、学則の定め(認定事実⑵ア参照)を遵守させるため、本件元学生に対し、パスポート及び在留カードの提出を求めたり、在留カードの再発行の手続を執るよう申し向けたりしたものである(認定事実⑶ア・イ)。また、少なくとも本 件拘束に至るまでの本件元学生と指導課主任らとのやり取りに関しては、指導課主任らが強制にわたるような対応をしたことはうかがわれない。 したものである(認定事実⑶ア・イ)。また、少なくとも本 件拘束に至るまでの本件元学生と指導課主任らとのやり取りに関しては、指導課主任らが強制にわたるような対応をしたことはうかがわれない。 そうすると、このような指導課主任らの対応をもって、直ちに継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する行為であるとまではいい難い。 他方、本件元学生は、前記アのとおり、A職員により本件拘束をされたが、 遅くとも令和3年10月25日午後5時頃までには、本件拘束の状態から解放され、同日午後6時過ぎには、A職員と共に寮2階の自室に戻ったものである。A職員は、指導課主任の指示を受けて本件元学生を寮まで送り届けたものであり、その際に、本件元学生から在留カードを見せられ、これを所持していることを確認した(認定事実⑶ウ・エ)。このようなA職員が本件拘束の終了後に本件元学生と行動を共に する行為については、本件拘束に引き続いて行われたものであること、A職員の寮までの同行は指導課主任の指示によるものであることをも併せ考慮すると、継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する行為であり、一職員の行為であるが組織として黙認されていたものというべきである。 その後、①本件元学生は、㋐令和3年10月26日午前8時30分頃、A職 員と共に登校して職員室に行き、同日午前10時頃、原告理事長らと面談をした後、 ㋑遅くとも同日午後零時以降は、学校で授業を受けるなどして過ごした。②A職員は、㋐本件元学生が寮の自室に戻った後、本件元学生の動向を見守るため、寮の1階ロビーに宿泊し、㋑同日朝、本件元学生と共に登校するなどしたものであり、③原告理事長らと本件元学生の上記面談においては、学校を続ける意向があるか否か等の確認が行われたものである 見守るため、寮の1階ロビーに宿泊し、㋑同日朝、本件元学生と共に登校するなどしたものであり、③原告理事長らと本件元学生の上記面談においては、学校を続ける意向があるか否か等の確認が行われたものである(認定事実⑶エ・オ)。以上のやり取りに関しても、 A職員らが強制にわたるような対応をしたことはうかがわれず、また、本件全証拠によっても、同月25日から同月26日にかけての夜間、A職員が寮1階のロビーに宿泊したことにより、本件元学生が具体的にその行動を制限されたことをうかがわせる事情は見当たらない。 そうすると、このようなA職員らの行為に関しても、直ちに継続的に本件元学生 の場所的移動の自由を侵害する行為であるとまではいい難い。 以上の事実に照らすと、令和3年10月25日午前9時頃から同月26日午後零時頃までの本件元学生をめぐる一連の事実のうち、前記アにおいて説示した本件拘束が開始されてから本件元学生が寮2階の自室に戻るまでのものは、継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する人権侵害行為に当たり、一職員の行為で あるが組織として黙認されていたものであるから(前記)、告示基準2条1項8号の事由に該当するというべきである。 しかしながら、その余の事実については、これをもって直ちに継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する人権侵害行為に当たるとまではいい難い(前記・)。 そうすると、本件抹消処分をした法務大臣の判断は、本件とどめ置きのうち、直ちに継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する人権侵害行為に当たるとはいえない事実をも考慮したものといえるが、他方で、上記のような人権侵害行為に当たる事実も一部存在したこと等からすると、このことをもって直ちに重要な事実の基礎を欠くとまではいえない。 るとはいえない事実をも考慮したものといえるが、他方で、上記のような人権侵害行為に当たる事実も一部存在したこと等からすると、このことをもって直ちに重要な事実の基礎を欠くとまではいえない。 ウ教員変更報告の不実施等 本件学院は、①平成29年2月、福岡入管に対し、本件誓約書を提出し、告示基準1条1項2号、5号、8号、18号及び30号~43号の規定(いずれも当時のもの)の遵守をすることを誓約したところ、②平成31年2月、教員に係る変更報告を怠り(当時の告示基準1条1項41号〔現在の同項42号〕違反)、顛末 書及び理由書を提出して告示基準を遵守する旨を述べ、また、③令和2年7月、教員数の不足が生じ(1条1項11号違反)、所要の書面を提出して告示基準を遵守する旨を述べた(認定事実⑴ア~カ)。 ところが、本件学院は、令和4年5月、④同年3月15日から同年4月30日までの間の教員の新規採用及び退職に関する教職員の変更報告を怠り、同年4月 1日受付で提出した定員変更報告に係る書面において、同年3月15日に退職した教員を記載し、同月22日に新規採用された教員を記載していない不実の資料を提出したこと(告示基準1条1項42号違反、2条1項1号)、⑤ビザ更新代等の徴収に関する定めの学則への記載を怠ったこと(告示基準1条1項2号違反、2条1項2号)が判明したものである(認定事実⑹エ)。 本件学院は、前記②の際、今後は学則・教育課程・定員・校長・主任教員・校地・校舎を変更した場合の届出・報告を適切に行う旨を具体的に誓約し(認定事実⑴ウ)、また、前記③の際、教員の勤務状況について実態に即した対応を行う旨を具体的に誓約した(認定事実⑴オ)にもかかわらず、上記④・⑤のような告示基準違反の事態を生じたさ 具体的に誓約し(認定事実⑴ウ)、また、前記③の際、教員の勤務状況について実態に即した対応を行う旨を具体的に誓約した(認定事実⑴オ)にもかかわらず、上記④・⑤のような告示基準違反の事態を生じたさせたのであり、単なる手続上の不備にとどまるものとはいえ ない。 したがって、原告は、上記の教員変更報告の不実施等により、告示基準2条1項1号及び2号の事由に該当すると認められる。 エ本件抹消処分をした法務大臣の判断について以上に加え、原告は、令和3年10月25日に本件拘束が行われてから同年12 月4日に本件学院において本件拘束が行われたことが新聞等で報道されるまでの間 に、A職員を原告の関連会社に転籍させたにとどまり、福岡入管への報告その他の特段の対応はされなかったこと(認定事実⑷・⑸参照)等に照らすと、①本件拘束及びこれに伴うとどめ置き(前記ア・イ)は、人権侵害の程度は高く、その悪質性、重大性は否定し難いというべきである上、これに対する(上記のような新聞等による報道前の)原告の対応は法令遵守の姿勢に欠けるものといわざるを得ないし、② 教員変更報告の不実施等による告示基準違反の事実(前記ウ)も、同種態様による告示基準違反を繰り返すものであり、軽視し得るものではないから、本件学院が開校以来多数の留学生を受け入れてきたものであり(前提事実⑴ア)、原告が本件抹消処分の後にコンプライアンスの体制の拡充に向けて組織体制を変更するなどしたこと(認定事実⑻)、本件抹消処分が原告に対してその主張に係る様々な影響を与 えること等の事情を十分しん酌しても、本件学院が、告示基準2条1項1号、2号及び8号の事由に該当し、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認めて、本件抹消処分をした法務大臣の判断に、その裁 えること等の事情を十分しん酌しても、本件学院が、告示基準2条1項1号、2号及び8号の事由に該当し、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認めて、本件抹消処分をした法務大臣の判断に、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法はないというべきである。 ⑵ 当事者の主張について ア本件拘束の告示基準2条1項8号該当性について原告は、本件拘束につき、①ほとんどの教職員に認識されておらず、②被告主張の「笑い声」はこれと無関係のものである可能性が否定できず、③A職員がとっさに思いついた行為が極めて不適切であったという問題に帰着するから、原告に対する本件抹消処分の根拠になり得ない旨を主張する(別紙4-1の1(原告の主張) ⑴イ参照)。 しかしながら、①の点については、認定事実によれば、職員室の面談スペースは、職員室の受付のそばにあり、教職員の執務机等が置かれた部分との間に間仕切り等はない上、少なくとも6名の職員が在室していたのであるから(認定事実⑶ウ)、当該職員らが本件拘束を認識していなかったとはいい難い。 ②・③の点については、認定事実によれば、本件拘束は、本件学院の職員室等の 校舎内において、A職員が鎖等を用いて本件元学生の身体を拘束するという(教育機関で通常行われることが想定されない)異常な態様で行われたものであり、指導課主任やB教員を含む複数の職員がこれを目の当たりにしながら、2時間にわたり継続されたものであるから(認定事実⑶ウ)、このような態様等に照らせば、本件拘束が生徒に対する許容する余地がない暴力行為としての人権侵害行為に当たり、 一職員の行為であるが組織として黙認されていたものとして、告示基準2条1項8号の事由に該当すると認められる。原告指摘の②・③の事情は、 る許容する余地がない暴力行為としての人権侵害行為に当たり、 一職員の行為であるが組織として黙認されていたものとして、告示基準2条1項8号の事由に該当すると認められる。原告指摘の②・③の事情は、上記判断を妨げるものではない。 したがって、原告の上記主張は、採用することができない。 なお、原告は、乙7につき、本件元学生のFacebookに投稿された本件動 画(のオリジナル)を証拠化したものではなく、動画①と動画②の時系列が逆転されていたことから、処分行政庁において、複数の教職員が本件拘束を見たとか、笑ったという認定をしたものであるなどと主張して、口頭弁論の再開を求めた。しかしながら、本件拘束の際に職員室に複数の職員がいたことは、他の証拠(例えば、乙4、5)により認定することができるし、他の職員が本件拘束の際に笑っていた か否かは、上記のとおり告示基準2条1項8号の事由の該当性を否定する事情とはならないことからすると、原告指摘の上記事情は、本件の結論を左右するものではなく、口頭弁論の再開はしない。 イ本件とどめ置きの告示基準2条1項8号該当性について原告は、令和3年10月25日及び同月26日における原告の本件元学生に対す る対応は、在籍管理行為として違法と評価されるべきものではなく、人権侵害行為に該当しない旨を主張する(別紙4-1の1(原告の主張)⑴ウ参照)。 しかしながら、原告主張の上記対応のうち、少なくとも本件拘束が開始されてから本件元学生が寮2階の自室に戻るまでのものが、継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する人権侵害行為に当たり、一職員の行為であるが組織として黙認 されていたものとして、告示基準2条1項8号の事由に該当することは、前記⑴イ において説示したとおりである 自由を侵害する人権侵害行為に当たり、一職員の行為であるが組織として黙認 されていたものとして、告示基準2条1項8号の事由に該当することは、前記⑴イ において説示したとおりである。 したがって、原告の上記主張は、採用することができない。 ウ本件抹消処分をした法務大臣の判断につき、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無について原告は、本件抹消処分をした法務大臣の判断は、①告示基準2条1項8号に該当 し得ない事情を根拠とし、②事業継続性の適格性の要件判断に必要とされる調査・検討を経ず、現時点における原告の状況(コンプライアンス体制の拡充に向けて組織体制の変更等をしたこと)といった考慮すべき事情を考慮せず、手続上の不備をもって原告に改善の余地がないと断定し、一見して明らかな過剰な評価を行ったものであり、③本件抹消処分が原告にとって不利益性が極めて大きいことをも併せ考 慮すると、その裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある旨を主張する(別紙4-1の1(原告の主張)⑵・⑶参照)。 しかしながら、本件抹消処分をした法務大臣の判断が、①告示基準2条1項8号に該当し得ない事項を根拠にしたとはいえず、また、②事業継続性の適格性の要件判断に必要とされる調査・検討を経ず、単なる手続上の不備をもって本件学院に留 学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認めたものではないことは、前記⑴ア~エのとおりである(なお、本件抹消処分をした法務大臣の判断は、本件とどめ置きのうち、直ちに継続的に本件元学生の場所的移動の自由を侵害する人権侵害行為に当たるとはいえない事実をも考慮したことをもって直ちに重要な事実の基礎を欠くとまではいえないことは、前記⑴イのとおりである。)。また、法務大臣の 上記判断が、原告主張の事情(現時 侵害行為に当たるとはいえない事実をも考慮したことをもって直ちに重要な事実の基礎を欠くとまではいえないことは、前記⑴イのとおりである。)。また、法務大臣の 上記判断が、原告主張の事情(現時点における原告の状況、本件抹消処分が原告に対して与える不利益性)をもって、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したとはいえないことは、前記⑴エのとおりである。 したがって、原告の上記主張は、採用することができない。 4 争点⑵(本件抹消処分に当たり行手法13条1項に規定する聴聞があったと 認められるか否か)について⑴ 検討ア行手法は、①行政庁は、㋐許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき又は㋑名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分(㋐を除く。)等をしようとするときは、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳 述のための手続として聴聞を行わなければならない旨(13条1項1号)、②聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する旨(19条1項)、③行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、㋐予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項、㋑不利益処分の原因となる事実等を書面により通知しな ければならない旨(15条1項)、④主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない旨(20条1項)、⑤当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発す ることができる旨(同 なければならない旨(20条1項)、⑤当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発す ることができる旨(同条2項)、⑥主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならず(24条1項)、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提 出しなければならない旨(同条3項)、⑥行政庁は、不利益処分の決定をするときは、上記調書の内容及び上記報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない旨(26条)を規定する。 イこれを本件抹消処分についてみると、認定事実によれば、次の点を指摘することができる。 原告は、第1回聴聞通知書の記載により、本件拘束が告示基準2条1項8号 に該当するとして、本件抹消処分の対象となっていることを認識することができたのであり(認定事実⑸ク)、現に、その聴聞手続においては、本件拘束が組織として黙認されていたものではない旨の意見を述べるなどしており(認定事実⑶ケ)、主宰者もそのような原告の意見を踏まえた「争点及び情状等に対する判断」の記載をしていたものである(詳細は認定事実⑶コ参照)。 また、原告は、第2回聴聞通知書の記載により、本件拘束に加えて本件とどめ置きが告示基準2条1項8号に該当し、教員変更報告の不実施等が告示基準2条1項1号及び2号の事由に該当するとして、本件抹消処分の対象となっていることを認識することができたのであり(認定事実⑹カ) め置きが告示基準2条1項8号に該当し、教員変更報告の不実施等が告示基準2条1項1号及び2号の事由に該当するとして、本件抹消処分の対象となっていることを認識することができたのであり(認定事実⑹カ)、現に、その聴聞手続において、本件とどめ置きが特定されておらず、職員室でのとどめ置きは正当な業務行為であ り、学生寮でのとどめ置きはしていない、報告の不遵守等は形式ミスであるなどの意見を述べるなどしており(認定事実⑹キ)、主宰者もそのような原告の意見を踏まえた「争点及び情状等に対する判断」の記載をしていたものである(詳細は認定事実⑹ク参照)。 そうすると、原告は、本件抹消処分を受けるに当たり、行手法所定の聴聞手 続において、その主張及び証拠の提出の機会を与えられたものというべきである。 ウ以上によれば、本件抹消処分は、行手法13条1項所定の聴聞手続を欠いた違法な処分であるとはいえない。 ⑵ 原告の主張についてこれに対し、原告は、処分行政庁が、本件抹消処分に係る聴聞手続において、被 処分者である原告に対し、防御対象を明確に示さなければならなかったところ、聴聞通知における「不利益処分の原因となる事実」を具体的に記載しなかったことに始まり、原告の質問権の行使に対して意義ある回答をしなかったから、行手法13条1項において求められる聴聞手続を履践しなかった旨を主張する(別紙4-1の2(原告の主張)参照)。 しかしながら、①第1回聴聞通知書又は第2回聴聞通知書の記載が、処分行政庁 においてどのような事実を原因として本件抹消処分を課そうとしているかを原告に分かる程度の具体性を有していたこと、②聴聞手続におけるやり取りが原告の質問権を侵害するようなものであったといえないことは、前記⑴で説示したとこ 実を原因として本件抹消処分を課そうとしているかを原告に分かる程度の具体性を有していたこと、②聴聞手続におけるやり取りが原告の質問権を侵害するようなものであったといえないことは、前記⑴で説示したところに照らして明らかである。 そうすると、本件抹消処分には手続上の不備があるとはいえず、原告の前記主張 は、採用することができない。 5 争点⑶(本件抹消処分に理由付記の違法があるか否か)について⑴ 検討ア行手法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利 を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分 の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁平成21年(行ヒ)第91号同23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁参照)。 イこの見地に立って本件抹消処分についてみると、本件処分通知書には、本件抹消処分の理由として、認定事実⑻イのような記載があり、原告において、本件拘 束に加えて本件とどめ置きが告示基準2条1項8号に該当し、教員変更報告の不実施等が同条1項1号及び2号の事由に該当するとして、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認め、本件抹消処分が選択されたことを知ることができるというべきである。 そうすると、本件処分 不実施等が同条1項1号及び2号の事由に該当するとして、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認め、本件抹消処分が選択されたことを知ることができるというべきである。 そうすると、本件処分通知書の当該記載は、行政手続法14条1項本文の趣旨に 照らし、同項本文の要求する理由提示として十分であり、本件抹消処分は、同項本 文の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分であるとはいえない。 ⑵ 原告の主張についてこれに対し、原告は、本件処分通知書に、組織性を肯定する根拠、本件とどめ置きを違法とする根拠、手続上の不備が今後改善し得ないことの根拠についての記載がないから、行手法14条1項において求められる程度の理由を示さなかったとい うべきである旨を主張する(別紙4-1の3(原告の主張)参照)。 しかしながら、本件処分通知書の記載は、原告指摘の点についての記載がなくても、いかなる理由に基づき本件告示基準2条の定めの適用によって本件抹消処分が選択されたのかを知ることに十分なものであることは、前記⑴において説示したとおりである。 したがって、原告の前記主張は、採用することができない。 6 争点⑷(本件抹消処分に調査義務違反の違法があるか否か)について原告は、①令和3年12月16日の実地調査の際に、原告が何ら弁明をできなかったこと、②入管局が原告の弁明内容を踏まえて指導により改善の余地が見込まれるか否かを検討しようとした形跡が見当たらないこと、③入管局が本件抹消処分を 行うに当たり、必要な調査がほとんど不足していたこと等から、本件抹消処分が、考慮要素についての調査・検討不足ゆえに著しく不合理であり、違法である旨を主張する(別紙4-1の3(原告の主張)参照)。 しかしながら、①の点は、福岡入 ど不足していたこと等から、本件抹消処分が、考慮要素についての調査・検討不足ゆえに著しく不合理であり、違法である旨を主張する(別紙4-1の3(原告の主張)参照)。 しかしながら、①の点は、福岡入管が行った実地調査は、原告に弁解の機会を付与するための手続ではないから、原告が何ら弁明できなかったとしても、そのこと をもって本件抹消処分に必要な調査を尽くさなかったとはいえない。②の点は、本件抹消処分をすることは法務大臣の裁量に委ねられている以上、原告の弁明内容を踏まえて指導を行うか否かも法務大臣の裁量に委ねられているといわざるを得ないから、原告指摘の点をもって本件抹消処分に必要な調査を尽くさなかったとはいえない。③の点は、認定事実によれば、本件抹消処分に際し、原告の事業継続の適格 性の要件判断に必要な調査・検討が行われなかったとはいえず(認定事実⑷~⑹参 照)、また、入管局等の検討時間のみからその調査・検討が不十分であったともいえないから、原告独自の評価をいうものにすぎない。そして、前記3~5において説示したところに照らせば、本件学院が、告示基準2条1項1号、2号及び8号の事由に該当し、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認めて、本件抹消処分をした法務大臣の判断につき、原告指摘の上記の事情等をもって、本件抹消処 分が考慮要素についての調査・検討不足ゆえに著しく不合理であるとはいえない。 したがって、原告の上記主張は、採用することができない。 7 結語以上によれば、本件抹消処分は、適法である。 よって、原告の請求は、理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決す る。 福岡地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官林 史高 裁判官溝渕章 て、原告の請求は、理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決す る。 福岡地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官林 史高 裁判官溝渕章展 裁判官加納紅実 (別紙2)略語一覧用語略語行政事件訴訟法行訴法出入国管理及び難民認定法入管法出入国管理及び難民認定法7条1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)上陸基準省令出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号)留学告示日本語教育機関の告示基準告示基準日本語教育機関の告示基準解釈指針解釈指針出入国在留管理庁入管庁福岡出入国在留管理局福岡入管西日本国際教育学院本件学院 D原告理事長E専務理事F常務理事G指導課主任AA職員BB教員本件学院の学生であった、ベトナム社会主義共和国国籍のH本件元学生A職員は、本件元学生を椅子に座らせ、持参した鎖を、自分のベルトと本件元学生のベルトに通して繋ぎ、南京錠で施錠して本件元学生の身体を拘束した行為本件拘束本件元学生がA職員と鎖でつながれている様子等を撮影した動画の全部又は一部(乙7参照)本件動画 本件学院の職員らにより、令和3年10月25日午前9時頃、A職員が本件元学生を学生寮から本件学院の職員室まで連れて行ってから、同月26日正午頃、原告理事長が本件元学生から本件学院への通学を続けるかどうかを 職員らにより、令和3年10月25日午前9時頃、A職員が本件元学生を学生寮から本件学院の職員室まで連れて行ってから、同月26日正午頃、原告理事長が本件元学生から本件学院への通学を続けるかどうかを確認し本件元学生が通学を続ける意向を示すまで、本件元学生に対して行われた一連のとどめ置き本件とどめ置き法務大臣が令和4年9月7日付けでした留学告示別表第1を改正し、本件学院を留学告示別表第1から抹消する処分本件抹消処分法務大臣の原告に対する令和4年2月21日付け聴聞通知書第1回聴聞通知書法務大臣の原告に対する令和4年7月5日付け聴聞通知書第2回聴聞通知書本件抹消処分に係る処分通知書本件処分通知書平成29年2月28日付け「日本語教育機関の告示基準に係る誓約書」本件誓約書 原告が令和4年3月29日に福岡地方裁判所に提起した本件抹消処分の差止めを求める本案事件本件差止訴訟 (別紙3)関連法令等の定め ○令和5年法律第56号による改正前の出入国管理及び難民認定法(昭和26年政 令第319号)〔入管法〕(上陸の申請)第6条本邦に上陸しようとする外国人…は、有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならない。(ただし書き省略) 2 前項本文の外国人は、その者が上陸しようとする出入国港において、法務省令 で定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければならない。 3 略(入国審査官の審査)第7条入国審査官は、前条第2項の申請があつたときは、 令 で定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければならない。 3 略(入国審査官の審査)第7条入国審査官は、前条第2項の申請があつたときは、当該外国人が次の各号 …に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。 一略二申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動…又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位…を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる 活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること…。 三・四略2~4 略別表第一(第二条の二、第二条の五、第五条、第七条、第七条の二、第十九条、第十 九条の十六、第十九条の十七、第十九条の三十六、第二十条の二、第二十二条の三、 第二十二条の四、第二十四条、第六十一条の二の二、第六十一条の二の八関係)四在留資格本邦において行うことができる活動留学本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 ○令和6年法務省令第33号による改正前の出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)〔上陸基準省令〕出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)第7 ○令和6年法務省令第33号による改正前の出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)〔上陸基準省令〕出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)第7条第1項第2号の基準は、 法第6条第2項の申請を行った者(以下「申請人」という。)が本邦において行おうとする次の表の上欄に掲げる活動に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。 活動基準法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動一~五略六申請人が専修学校、各種学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、当該教育機関が法務大臣が文部科学大臣の意見を聴いて告示をもって定める日本語教育機関であること。 七・八略 ○日本語教育機関の告示基準(乙1)〔告示基準〕 (新たに定める際の基準)第一条出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学 の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件…別表第一に新たに日本語教育機関を掲げるときは、文部科学大臣の意見を聴いた上、次の各号のいずれにも該当することを確認して掲げるものとする。 一略二次の事項について学則を定めていること。 イ~ホヘ授業料、入学料、教材費その他名目のいかんを問わず生徒が支払うこととなる料金の費目及び額並びにその支払及び払戻しに関する事項ト~リ三略 四設置者が、次のいずれにも該当していないこと。 イ他の日本語教育機関であって次に掲げるものの設置者(法人の場合にあっては、その代表者又は日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。以下この号において同じ。)又はその設置者であった者⑴ 次条第 イ他の日本語教育機関であって次に掲げるものの設置者(法人の場合にあっては、その代表者又は日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。以下この号において同じ。)又はその設置者であった者⑴ 次条第1項各号のいずれかに該当するものとして留学告示別表第一から抹消さ れ、当該抹消の日から5年を経過しない日本語教育機関⑵ 略ロ~ワ略五~四十一略四十二学則、教育課程、生徒の定員、設置者(法人の場合にあっては、その代表 者及び日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。)、校長、教員、事務局の事務を統括する職員、校地又は校舎について変更があったときは、その変更内容を速やかに地方出入国在留管理局に報告することとしていること。 四十三~四十八略2・3 略 (抹消の基準) 第二条留学告示別表第一に掲げる日本語教育機関が、次の各号のいずれかに該当し、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認められる場合には、当該日本語教育機関を同表から抹消するものとする。 一学則又は前条第1項第5号、第8号、第18号及び第30号から第47号までに係る誓約を遵守していないとき。 二前条第1項各号のいずれかに該当していないとき。 三~七略八生徒に対し、人権侵害行為を行い、又は法令違反行為を唆し若しくは助けていたとき。 2 略 ○日本語教育機関の告示基準解釈指針(乙3)〔解釈指針〕(新たに定める際の基準)〔学則〕二次の事項について学則を定めていること ヘ授業料、入学料、教材費その他名目のいかんを問わず生徒が支払うこととなる料金の費目及び額並びにその支払及び払戻しに関する事項→「生徒」には、特に限定がない限り、「留学」以外の在留資格をもって在留する 料、入学料、教材費その他名目のいかんを問わず生徒が支払うこととなる料金の費目及び額並びにその支払及び払戻しに関する事項→「生徒」には、特に限定がない限り、「留学」以外の在留資格をもって在留する者以外のものを含む。 →当該項目は、日本語教育機関と留学生の間で、授業料等を巡るトラブル(退学 後の授業料の返還など)が発生していることを踏まえ、トラブルの未然防止の観点から規定を設けたものである。 〔地方出入国在留管理局への報告〕四十二学則、教育課程、生徒の定員、設置者(法人の場合にあっては、その代表者及び日本語教育機関の経営を担当する役員を含む。)、校長、教員、事務局の 事務を統括する職員、校地又は校舎について変更があったときは、その変更内容を 速やかに地方出入国在留管理局に報告することとしていること。 →本規定は、告示された日本語教育機関について、告示後に告示基準への適合性に影響する事項の変更があった場合に地方出入国在留管理局への報告を求め、変更事項について告示基準に適合するか否かを確認することを目的としたものである。 本規定に基づき、日本語教育機関が地方出入国在留管理局への報告が必要な事項 は以下のとおり。(なお書き省略)⑴名称の変更に伴う学則の変更⑵設置者の変更⑶教育課程の新設・変更・廃止⑷定員の変更(これに伴う教員及び校舎の変更を含む。) ⑸校長の変更⑹専任教員の変更(主任教員の変更を含む。)⑺非常勤教員の変更⑻事務局の事務を統括する職員の変更⑼校地及び校舎の変更 ⑽⑵から⑼までの事由が発生したことに伴い、学則が変更される場合には、学則の変更→変更により告示基準を満たさなくなっている場合には、第2条第1項第2号に該当 ⑼校地及び校舎の変更 ⑽⑵から⑼までの事由が発生したことに伴い、学則が変更される場合には、学則の変更→変更により告示基準を満たさなくなっている場合には、第2条第1項第2号に該当するものとして告示の抹消手続の対象となり得る。 (抹消の基準)第二条留学告示別表第一に掲げる日本語教育機関が、次の各号のいずれかに該当し、留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認められる場合には、当該日本語教育機関を同表から抹消するものとする。 →本項が適用されるのは、同項各号の事由に該当し、かつ、対象となる日本語教 育機関について、事案の悪質性や重大性、それまでの活動状況、改善見込みなど諸 般の事情を考慮し、留学生の受入れを引き続き認めておくことが適当でないと認められる場合に限られる。 抹消手続の運用上の留意点は次のとおりである。 ⑴第1項各号の事由に形式的に該当することをもって告示から抹消するものではなく、当該日本語教育機関に留学生の受入れを認めることが適当でないと判断され る場合に告示から抹消するものであることから、第1項各号の事由に該当する行為が認められても、当該行為が悪質と認められる場合を除き、指導により改善の余地が見込まれる場合には、告示から直ちに抹消されるものではないこと。 ⑵第1項各号の事由に形式的に該当したものの、指導により改善の余地が見込まれるとして、抹消の手続をとらなかった場合でも、その後改善されなかった場合に は、抹消手続がとられることになること。 (中略)一学則又は前条第1項第5号、第8号、第18号及び第30号から第47号までに係る誓約を遵守していないとき→本規定に定める各規定について、別紙様式の誓約書の提出を求めることとし、 提出された 学則又は前条第1項第5号、第8号、第18号及び第30号から第47号までに係る誓約を遵守していないとき→本規定に定める各規定について、別紙様式の誓約書の提出を求めることとし、 提出された誓約書の内容と異なる状況が判明した場合、抹消の事由に該当することとなる。 二前条第1項各号のいずれかに該当していないとき→告示された後に、告示基準に適合しなくなったことが判明した場合が該当する。 →例えば (中略)・「この基準において地方出入国在留管理局に報告することとされている事項等について、報告を怠ったことや虚偽の報告を行ったことが判明した場合」には、第1条第1項第38号、第39号又は第42号から第46号に適合せず、又は第1条第1項第4号ヲに該当する(第1条第1項第4号に適合しない。) (中略) 八生徒に対し、人権侵害行為を行い、又は法令違反行為を唆し若しくは助けていたとき。 →本件規定に定める行為が、①設置者によって実行されていた場合、②日本語教育機関内である程度組織的に行われていた場合、③一教員や一職員の行為ではあるが組織として黙認されていたような場合が該当する。 「人権侵害行為」には、旅券や在留カードの取上げ、合理的な理由なく生徒の意に反して除籍・退学・帰国等させる行為、進学や就職のために必要な書類を発行しないなど生徒の進路選択を妨害する行為、生徒に対する暴力、セクシャルハラスメント、人種差別的言動等が含まれる。 「法令違反行為を唆し若しくは助けていたとき」としては、生徒を刑法等に定め る犯罪行為に引き込むことなどが含まれる。 (以下略)以上 (別紙4-1)争点に関する当事者の主張 本件の事実経 刑法等に定め る犯罪行為に引き込むことなどが含まれる。 (以下略)以上 (別紙4-1)争点に関する当事者の主張 本件の事実経過に関する当事者の主張は、別紙4-2事実整理表のとおりである。 1 本件抹消処分の告示基準2条1項の要件該当性及び裁量権の範囲の逸脱又は その濫用の有無(被告の主張)⑴ 本件学院が、生徒に対し、人権侵害行為を行った(告示基準2条1項8号)と認められるか否かア告示基準2条1項8号の規定等について 告示基準2条1項8号は、日本語教育機関を留学告示別表第一から抹消する場合の事実として、「生徒に対し、人権侵害行為を行い、又は法令違反行為を唆し若しくは助けていたとき。」を掲げており、解釈指針は、これについて、その行為が「①設置者によって実行されていた場合、②日本語教育機関内である程度組織的に行われていた場合、③一教員や一職員の行為ではあるが組織として黙認されていたよう な場合が該当する」と定めており、人権侵害行為の具体例として「生徒に対する暴力」が含まれることを明記している。 イ本件拘束について A職員は、令和3年10月25日、本件元学生に対して、鎖で身体の行動の自由を剝奪するという本件拘束を行った。 また、被告主張の事実経過に照らせば、A職員は、本件元学生を本件学院の職員室にとどめ置くために本件拘束を行ったものと認められ、その動機としては、本件元学生に対して在留カードを強制的に提示させるため、又は在留カードについて虚偽の説明をしたことを認めさせるため、あるいはその制裁のため等が考えられるが、いずれにしても、本件学院の複数の職員らの面前で行われていたにもかかわらず、 これを制止する者 在留カードについて虚偽の説明をしたことを認めさせるため、あるいはその制裁のため等が考えられるが、いずれにしても、本件学院の複数の職員らの面前で行われていたにもかかわらず、 これを制止する者はなく、かえってこれを継続・助長する状況にあったと認められ る。 以上の事実によれば、本件拘束は、「生徒に対する暴力」であり、人権侵害行為に該当することは明らかである。 また、本件拘束は、本件学院の職員らによってある程度組織的に行われた、あるいは組織として黙認されていた、本件元学生に対するとどめ置きの一環として行わ れたものということができ、現に本件拘束当時の周囲の状況として、本件元学生及び本件学院関係者の各供述によれば、他の教職員は、本件拘束の状況を目撃し、事態を認識していながら、A職員に対して注意・指摘や制止等を何ら行わず本件拘束を傍観していたということができる(かえって、本件元学生の供述によれば、他の職員は、トイレに行く際に荷物を持って職員室から出ようとした本件元学生を制止 したり(乙4の1〔8頁〕)、鎖でつながれた本件元学生を笑ったりしていた(乙4の1〔7頁〕))。原告の専務理事は、本件拘束が行われた令和3年10月25日中に事態を認識していたものの(乙5〔10枚目〕)、その日のうちに校長である原告理事長に報告をすることも、部下に調査を指示して対策を講じることもしていなかった(乙18〔2頁〕)。このような学生に対する明らかな人権侵害行為が行わ れたのであれば、当日中に原告理事長に報告しその指示を仰ぐか、あるいは自ら調査を指示して本件とどめ置きを中断させるための対策を講じることが適切な対応であり、専務理事がこれらの対応を取らなかったことは、本件拘束を組織的に黙認したものと評価せざるを得ない(処分行政 いは自ら調査を指示して本件とどめ置きを中断させるための対策を講じることが適切な対応であり、専務理事がこれらの対応を取らなかったことは、本件拘束を組織的に黙認したものと評価せざるを得ない(処分行政庁がこのような判断をしたことにつき、社会通念又は経験則に照らして不合理な点があるとはいえない。)。 ウ本件とどめ置きについて 本件とどめ置きは、令和3年10月25日午前9時頃、A職員が本件元学生に対する指導として、上司である学生課主任から指示を受け、本件元学生を職員室まで連れてきたことによって開始され、以降、A職員を含む本件学院の職員が、本件元学生を職員室にとどめ置いたものである。すなわち、A職員が昼食のために外 出した際には、他の本件学院職員が職員室にいて本件元学生に対するとどめ置きを 継続したと考えられ、同日午後6時頃、本件元学生を職員室から学生寮に帰す際も、指導課主任の指示でA職員が本件元学生を学生寮まで送り、A職員が本件元学生の無断外出を防ぐために学生寮に泊まり込んでいる。そして、翌26日朝、A職員が、本件元学生を寮から本件学院の職員室まで連れて行き、同人が本件学院に通い続ける意向を示すまで、同人に自由な移動や行動をさせることなく、とどめ置きは続い ていた。原告理事長は、同月25日、指導課主任に対して本件元学生に対する事情聴取を指示したこと、同日午前11時以降、同主任から何度か状況報告を受けていたこと、「結局18時くらいまで何も聞き出せ」なかったことを認める旨の供述をしている(乙8〔5、6頁〕)。このような供述からは、原告理事長も本件元学生から在留カードに関しての情報を得るために本件元学生を本件学院にとどめ置いてい ることを認識して了解していたといえる。 以上の事実によれば、本件 ような供述からは、原告理事長も本件元学生から在留カードに関しての情報を得るために本件元学生を本件学院にとどめ置いてい ることを認識して了解していたといえる。 以上の事実によれば、本件とどめ置きは、本件元学生の意思に反していたと考えられる上、長時間、複数の本件学院の職員による監視が行われ、最終的には、本件元学生が原告理事長に対して(やむなく)本件学院への通学を継続する意向のあることを表明するまで続いたのであるから、本件とどめ置きが継続的に本件元学 生の場所的移動の自由を侵害する「人権侵害行為」に該当することも明らかである。 また、以上のような事実の経過に照らすと、本件とどめ置きは、本件学院の複数の職員らによってある程度組織的に行われていたと評価できるし、本件拘束等とどめ置き行為の枢要な部分は、A職員によって実行されていたとしても、少なくともそのような行為は組織として黙認されていたといえる(処分行政庁がこのような判 断をしたことにつき、社会通念又は経験則に照らして不合理な点があるとはいえない。)。 ⑵ 本件学院が、留学生受入れ事業を行わせることが適当でない(告示基準2条1項柱書)と認められるか否かア告示基準2条1項の該当性について 告示基準1条1項41号(当時。現在の同項42号)は、留学告示別表第一 に新たに日本語教育機関を掲げる際の要件として、当該日本語教育機関が「学則、教育課程、生徒の定員、設置者(中略)、校長、教員、事務局の事務を統括する職員、校地又は校舎について変更があったときは、その変更内容を速やかに地方出入国在留管理局に報告すること」と規定する。 本件学院は、本件誓約書を福岡入管に提出し、当時の告示基準1条1項2号、5 号、8号、18号及び30号から43 ときは、その変更内容を速やかに地方出入国在留管理局に報告すること」と規定する。 本件学院は、本件誓約書を福岡入管に提出し、当時の告示基準1条1項2号、5 号、8号、18号及び30号から43号までの規定の遵守について誓約するとともに、これらの規定以外の基準に適合していることを確認したことを報告した(甲21)。 しかし、本件学院において、令和4年3月15日から同年4月30日までの間の教員の新規採用及び退職について、告示基準1条1項42号に基づく報告の対象者 が23名であったことが判明しているところ、同年5月20日時点において、当該教員変更報告はされていなかった(甲17)。 また、本件学院は、令和4年4月1日郵送受付の定員変更報告の際に提出した資料(様式第8-2号、同年3月29日現在とされたもの)において、同年3月15日に退職した教員を記載し、同月22日に新規採用された教員を記載していない不 実の資料を提出していた(甲17)。 これらの教員変更報告の不実施及び教員に係る不実の資料の提出は、いずれも告示基準1条1項42号に違反するものであり、本件学院が提出した「誓約書の内容と異なる状況が判明した場合」に当たるから、抹消の事由に該当すること(解釈指針・乙3〔28頁〕参照)が明らかである。 したがって、本件学院は、告示基準1条1項42号に「係る誓約を遵守していない」ものであるから、告示基準2条1項1号に該当する。 告示基準1条1項2号は、留学告示別表第一に新たに日本語教育機関を掲げる際の要件として、「次の事項について学則を定めていること」と規定し、同号ヘは「授業料、入学料、教材費その他名目のいかんを問わず生徒が支払うこととなる 料金の費目及び額並びにその支払及び払戻しに関する事項」と定めている。 について学則を定めていること」と規定し、同号ヘは「授業料、入学料、教材費その他名目のいかんを問わず生徒が支払うこととなる 料金の費目及び額並びにその支払及び払戻しに関する事項」と定めている。 しかし、本件学院は、生徒から在留期間更新許可手数料以外にもビザ更新料代等と称して使途不明な金銭(1000円)を徴収していたにもかかわらず、それを学則に記載していなかったものである(甲17)から、告示基準1条1項2号ヘに違反していることが明らかである。 よって、本件学院は、告示基準2条1項2号にも該当する。 イ本件学院に留学生の受入れ事業を行わせることが適当でないと認める判断について、法務大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がないこと告示基準2条1項によれば、本件抹消処分を行うためには、同項各号に該当する事実があることに加え、「留学生受入れ事業を行わせることが適当でないと認められる」ことが必要とされる。 本件とどめ置き及び本件拘束は、日本語教育機関の職員が、職務中、外国人留学生に対して、その意に反して長時間とどめ置いた上、金属製の鎖でその身体を拘束するという極めて侮辱的な行為を行ったものであり(前記1(被告の主張)参照)、人権侵害の程度は甚だしく、その悪質性、重大性は明らかである。そして、本件学院は、本件拘束を一個人の問題にすぎず、本件元学生とじゃれあっていたものなど と矮小化して本件学院内の措置としてA職員の異動のみを行い、事態を把握しておきながら報道されるまで福岡入管への報告その他の特段の対応をとっていない。さらに、教員報告の不実施及び不実記載資料の提出(前記⑴ア)並びに生徒から徴収する料金について学則に定めていないこと(前記⑴イ)といった他の告示基準違反も認められる。 そ とっていない。さらに、教員報告の不実施及び不実記載資料の提出(前記⑴ア)並びに生徒から徴収する料金について学則に定めていないこと(前記⑴イ)といった他の告示基準違反も認められる。 その上、本件学院においては、本件拘束以外にも、平成29年にA職員による留学生を骨折させる事故が起きていること(乙8〔17枚目以下〕)、平成31年及び令和2年にも告示基準違反が指摘されていること(特に平成31年の告示基準違反は、今回問題とされた教員の変更報告に関するものである。)その他諸般の事情を考慮すれば、原告理事長が職員のコンプライアンス教育について力を入れる旨を 表明したことを踏まえてもなお、法務大臣において、本件学院に留学生の受入れを 引き続き認めておくことが適当でないという要件に当たるものと判断したことについて、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 ⑶ 本件抹消処分をした法務大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かア原告主張に係る処分後の事情について 違法性判断の基準時は係争の行政処分がされた時であり、同時点における法規及び事実に基づき判断されるべきものであるから、本件抹消処分時に存在していた問題点について、仮に本件抹消処分後に改善されているという事情があったとしても、当該事情はそもそも本件抹消処分の適法性を遡及的に失わせるものではない。この点をおくとしても、留学生受入れ事業を行おうとする日本語教育機関が日頃から生 じる問題点について改善の措置を講じることは当然のことであり、そのような措置を講じたことをもって、本件学院に対して特段有利に斟酌すべき事情に当たるとも認め難い。 イ小括以上によれば、本件学院は、留学告示からの抹消の基準を定めた告示基準2条1 そのような措置を講じたことをもって、本件学院に対して特段有利に斟酌すべき事情に当たるとも認め難い。 イ小括以上によれば、本件学院は、留学告示からの抹消の基準を定めた告示基準2条1 項1号、2号及び8号に該当するものと認めることができるのであって、本件拘束の事案の悪質性や重大性など諸般の事情を考慮すれば、本件学院に留学生の受入れを引き続き認めておくことが適当でないとして法務大臣が行った本件抹消処分が、その裁量権の範囲を超え又は濫用するものであると認めることはできない。 (原告の主張) ⑴ 本件学院が、生徒に対し、人権侵害行為を行った(告示基準2条1項8号)と認められるか否かア告示基準2条1項8号の規定等について告示基準2条1項8号の要件は、①「日本語教育機関が」(組織性)、②「生徒に対し、人権侵害行為を行い」(違法性)、③「留学生受入れ事業を行わせることが適 当でないと認められる」(事業継続の不適格性)というものである。 ①につき、解釈指針には3パターンが示されているところ、本件拘束を例にすれば、㋐「ある程度組織的に行われていた」といえる場合は、原告において、本件拘束に類する行為が行われていたという過去の一時点の問題ではなく、それが「ある程度組織的」すなわち一定の規模かつ上下又は横の連携の下で継続的に行われていた場合が考えられ、㋑「組織として黙認していた」といい得る場合は、○a原告とし て、本件拘束が発生し得ることを具体的に予見しながらも、これが生じてしまう結果を是として容認し、特段の措置を講じず、いわば「起こるべくして起こった」ことを組織として是とした場合又は○b原告として、本件拘束が発生し得ることは予見していなかったものの、本件拘束が行われてから終了するまで 容認し、特段の措置を講じず、いわば「起こるべくして起こった」ことを組織として是とした場合又は○b原告として、本件拘束が発生し得ることは予見していなかったものの、本件拘束が行われてから終了するまでの時点において、これを是とする組織としての共通認識が形成された場合が想定される。 イ本件拘束について本件拘束は、一職員であるA職員が行ったものにすぎず、本件学院の設置者である原告によって行われたものでないから、組織として黙認されていたような場合といえるためには、本件学院の幹部等が事前に遅くとも行為当時に本件拘束を認識し黙認したことが必要である。 ところが、①本件拘束は、それが行われた職員室の面談スペースの位置関係(面談スペースは、教室等に行くための入り口を通る場合にしか近くを通らない場所に設置されていた。甲27)も相まって、ほとんどの教職員は本件連接行為が行われていたことを認識していなかった。②本件元学生が撮影する動画には誰かが笑っている音声が含まれているが、開けた広い空間である職員室では、遠い場所からの話 し声も響いて伝わり、面談スペースで撮影された動画には、そのような音も拾われ得るから、この「笑い声」が職員室の別の場所で本件連接行為には無関係の会話をしている者らの笑い声である可能性が否定できない。③本件拘束は、A職員がこれなら「適切だった」、「悪い措置ではなかった」と自身で判断してしまい(乙6)、(A職員のみが知っていた)隣の専門学校国際貢献専門大学校の棟の備品室の棚の 中に保管されていた鎖及び南京錠を持ち出して行ったものであり、A職員がとっさ に思いついた行為が極めて不適切であったという問題に帰着するのであり、「黙認」の解釈いかんにかかわらず、原告に対する本件抹消処分の根拠にはなり得 出して行ったものであり、A職員がとっさ に思いついた行為が極めて不適切であったという問題に帰着するのであり、「黙認」の解釈いかんにかかわらず、原告に対する本件抹消処分の根拠にはなり得ない。 ウ本件とどめ置きについて本件とどめ置きは、そもそも被告の主張によっても、複数の職員が時間的、場所的に異なる場面で行った複数の行為をどのように構成し、これを一体的に捉えると いう評価をしたかが明らかにされていない。 そして、令和3年10月25日及び同月26日における原告の本件元学生に対する対応は、他の教職員が、本件元学生に対する在籍管理対応として、本件資格変更手続の説明や確認等を行っていたものである。これらの対応は、適切な在留管理の観点から、日本語教育機関が担うことと明示的に示されているものであり、公益的 側面を有するものであることから、在籍管理の対象となる外国人留学生の「意思に反した」という点のみを捉えて、在籍管理行為が違法と評価されるべきものではなく、人権侵害行為に該当しない。 ⑵ 本件学院が、留学生受入れ事業を行わせることが適当でない(告示基準2条1項柱書)と認められるか否か ア告示基準2条1項の該当性について 解釈指針においては、将来の事情である「改善の見込み」について、当該日本語教育機関に留学生の受入れを認めることが適当でないと判断される場合に告示から抹消するものであることを踏まえ、当該行為が悪質と認められる場合、すなわちその悪質性ゆえに指導による改善を検討する余地もないような極めて例外的な場 合を除き、まずは行政指導を講じることを前提としている。そして、「事案の悪質性や重大性」に照らして「改善の見込み」を期待できないほどのものであるか(処分当時の事情)、また、「それまでの活 場 合を除き、まずは行政指導を講じることを前提としている。そして、「事案の悪質性や重大性」に照らして「改善の見込み」を期待できないほどのものであるか(処分当時の事情)、また、「それまでの活動状況」として、過去に改善すべき場面があった場合に改善できたかという実績等(過去の事情)も併せて検証した上で、将来の事情としてどのような指導(改善勧告、継続的な是正指導、公表等)が考えられ るかを検討し、それでもなお「指導により改善の余地が見込まれる」といえない場 合に、行政指導を行わずにして直ちに事業継続の適格性を欠くとの判断をすることが可能となる。 しかしながら、入管局は事業継続の適格性の要件判断に際し、必要とされる調査・検討を経ておらず、裁量判断の当否以前の問題として、著しく不合理な判断といわざるを得ない。 教員変更の報告遅滞及び学則の記載の不備について教職員の入社及び退社に伴う教員変更の報告遅滞については、原告は、以前、福岡入管から4月1日入退社の教職員については翌5月末日までの報告で足りる旨の案内を受けていたことによるものであるところ、令和4年5月20日の実地調査の際、福岡入管の職員から、そのような事実はないとのみ否定され、「それでは遅い」 との認識を示されたから(甲28)、これが少なくともミスコミュニケーションによって生じた手続ミスであると発覚した。 ところが、処分行政庁は、原告が上記教員変更報告の時期を「都合よく解釈したもの」と評価し(甲14〔5頁〕)、結果的に疑義のレベルを超えて、今後の改善の見込みがないと断言したものであり、学則の記載の不備についても、これと同様で あるといえる。 したがって、教員変更の報告遅滞及び学則の記載の不備については、手続上の不備であるところ 改善の見込みがないと断言したものであり、学則の記載の不備についても、これと同様で あるといえる。 したがって、教員変更の報告遅滞及び学則の記載の不備については、手続上の不備であるところ、これの改善可能性がないと断定する被告の主張は論理飛躍が甚だしいというべきである。 イ本件学院に留学生の受入れ事業を行わせることが適当でないとは認められな いこと本件学院には、告示基準2条1項1号(誓約不遵守)及び2号(学則未記載)に該当する事実があったものの、教員の変更報告の不実施は「従前の福岡入管局との質疑応答に基づき、「届出の変更の翌月末までに届ければいい」と理解したことによる遅延であり、不実記載資料の提出は関係担当者間の連絡不十分により生じたも のであり、生徒から徴収する金銭について学則に定めていなかったことは、「深く 考えることなく、在留期間更新許可申請の代行手続のように、全員ではなく一部の学生にのみに関わる収支は学則への記載が不要であると誤解したことによる。令和4年5月20日に福岡入管が実施した実地調査(乙10)の時点で、書類を作成中であり、実態としての教員の総数は充足しており、収支に間違いはなく、在留期間更新許可申請の代行手続によって本件学院が儲けているといった事実もなかったこ と等から、いずれも直ちに是正されており、また、実態としての不正は存在せず、悪質でも重大でもない。 過去の違反歴についても、本件学院は、重々反省して改善策を講じているので、指導による改善の余地は十分に認められる。 ⑶ 本件抹消処分をした法務大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があ るか否かア現時点における原告の状況からも事業継続の適格性に問題はないこと原告は、コンプライアンス体制の拡充に 本件抹消処分をした法務大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があ るか否かア現時点における原告の状況からも事業継続の適格性に問題はないこと原告は、コンプライアンス体制の拡充に向けて組織体制を変更したことのほか、コンプライアンス体制の拡充及び方策の具体策として、問題事項の幅広い吸い上げをするための体制の構築、問題事項の迅速な共有及び適切な方策を講じる体制の整 備、コンプライアンス研修の実施等の措置を講じたこと等に照らすと、現時点において事業継続の適格性に問題がない。 イ本件抹消処分の不利益性が極めて大きいこと本件学院は、開校以来、アジアを中心に様々な国からの留学生(本件行政処分当時は760名、現在も461名)に対し、中長期的な日本語教育プログラムを提供 しており、そのために、各種カリキュラムの策定、設備投資(教室の他、留学生が同時に食事できる大食堂、多数の留学生が居住する寮等)、所定の要件を満たす日本語教師の確保を含めた人員雇用などの膨大な固定費を負担してきた。ところが、本件抹消処分は、最低でも5年間という相当な長期間にわたり、留学生を受け入れることができなくなるという事業の根幹を真っ向から覆すものであり、およそ日本 語教育事業からの退場又は撤退を余儀なくさせるものであるから、その不利益性は 極めて大きい。 ウ小括以上によれば、本件抹消処分をした法務大臣の判断は、①告示基準2条1項8号に該当し得ない事情を根拠とし、②考慮すべき事情を考慮せず、手続上の不備をもって原告に改善の余地がないと断定し、一見して明らかな過剰な評価を行ったもの であり、③本件抹消処分が原告にとって不利益性が極めて大きいことをも併せ考慮すると、その裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、本件抹 の余地がないと断定し、一見して明らかな過剰な評価を行ったもの であり、③本件抹消処分が原告にとって不利益性が極めて大きいことをも併せ考慮すると、その裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、本件抹消処分は違法である。 2 本件抹消処分に当たり行手法13条1項に規定する聴聞があったと認められるか否か(被告の主張) 行手法15条は聴聞の通知の方式について規定し、「不利益処分の原因となる事実」については、聴聞の通知書に記載されるべき必要事項の一つとして同条1項2号において定められているところ、第1回聴聞通知書(甲2)及び第2回聴聞通知書(甲15)のいずれにおいても、「不利益処分の原因となる事実」の記載に不備はなく、手続上の違法がないことは明らかである。すなわち、「不利益処分の原因 となる事実」の記載に当たっては、不利益処分の名宛人となるべき者にとって具体的事実が認識され、その者の防御権の行使を妨げない程度に記載されることが必要であるとされており、具体的事実とは、本条の通知の趣旨が、行政庁が聴聞しようとしていることを相手方に認識させ、反論のための準備をさせることにあるのだから、行政庁がどういう事実を原因として不利益処分を課そうとしているのか、相手 方に分かる程度の具体性が必要であると解される。これを踏まえて前記各聴聞通知書(甲2、15)の「不利益処分の原因となる事実」の記載を見ても、本件拘束の態様のほか、本件とどめ置きの態様や告示基準違反の内容に関して行政庁が把握する事実につき、相手方に分かる程度の具体性をもって記載しているから、上記趣旨を没却するような不備があるとは認められない。 また、行手法20条は聴聞の期日における審理の方式について規定し、同条2項 において、当事者は聴聞の期日にお いるから、上記趣旨を没却するような不備があるとは認められない。 また、行手法20条は聴聞の期日における審理の方式について規定し、同条2項 において、当事者は聴聞の期日において主宰者の許可を得て行政庁の職員に対して質問する権利を有することを定めているところ、質問権とは、行政庁の職員による説明の不明瞭な点を正すことを目的とするもので、行政庁の説明義務と表裏一体をなす権利であるとされている。この点、令和4年3月18日付け聴聞調書(甲4)及び同年8月8日付け聴聞調書(甲17)を見ても、聴聞期日において、主宰者が 当事者の質問を許可しなかったなどの事情は見受けられず、出頭した行政庁の職員は原告からの質問事項に対応する回答をしており、原告の質問権を侵害するような行為はなかったのであるから、手続上の不備は認められない。 (原告の主張)⑴ 第1回聴聞通知書(甲2)には、「不利益処分の原因となる事実」として、① A職員... が. 本件拘束を行ったとの記載があるのみで、原告が主体となる人権侵害行為の記載はなく、仮に本件拘束が組織性のある行為として、いかなる事実をもって、解釈指針所定の「㋐設置者によって実行していた場合、㋑ある程度行われていた場合、㋒黙認されていた場合」のいずれに該当するか、そのような評価を根拠付けたかについての記載はなかった。このような聴聞通知書の記載は、実質的な攻撃防御 の対象を隠したまま聴聞を行ったという意味で、原告に対する致命的な防御権侵害となる。このような重大な誤りが最初に生じた原因は、福岡入管において、処分方針の前提となる「事実」について、最初から本件元学生の供述のみに専ら依拠する形で決めつけ、反対当事者である原告関係者の認識を聞き入れるつもりがなく、原告関係者の認識と照ら 、福岡入管において、処分方針の前提となる「事実」について、最初から本件元学生の供述のみに専ら依拠する形で決めつけ、反対当事者である原告関係者の認識を聞き入れるつもりがなく、原告関係者の認識と照らし合わせてみるという検証過程を一切経ないまま、処分方針 の立案に至ったことにある。 そして、令和4年3月15日の聴聞手続においても、処分行政庁は、原告からの本件抹消処分の要件事実に関する質問に対して表面的な回答に終始して防御対象を示さなかった上、C 審査官が「だったら組織的ではないことを立証してはどうか」と述べて立証責任を原告に押し付ける姿勢を示し、原告からの意見を聞いて事実認 定を再考するつもりがないとの意向であることが明らかになった。 ⑵ 第2回聴聞通知書(甲15)には、「不利益処分の原因となる事実」として、①「A職員... が. 本件連接行為を行った」との記載から「令和3年10月25日午前9時頃から同月26日正午頃まで、A職員... ら複数名の職員が........ 本件元学生をとどめ置いた上、A職員... が. 本件拘束をした」との記載に差し替えられ、②教員変更の報告漏れ及び③学則の記載漏れが理由として追加されたが、①につき、いかなる根拠をもっ てA職員の本件拘束に原告の組織性を肯定するかの記載、本件とどめ置きの具体的な特定がされず、これが公益上求められる在籍管理対応とはならず、違法な人権侵害となる根拠の記載はなかった。このような聴聞通知書の記載は、前記⑴で述べたところを踏まえると、このような防御権の侵害は釈明の余地のないレベルであり、適正手続を顧みないがゆえ、正しい方向に方針を再考することもできなくなってい たといわざるを得ない。 なお、以上の経緯に照らすと、処分行政庁は、原告 権の侵害は釈明の余地のないレベルであり、適正手続を顧みないがゆえ、正しい方向に方針を再考することもできなくなってい たといわざるを得ない。 なお、以上の経緯に照らすと、処分行政庁は、原告が令和3年10月25日及び同月26日に本件元学生に対してした在籍管理行為につき、違法性の判断に際し、立証命題を「意思に反していたか否か」という点に焦点を絞り、その後の調査を進めた結果、本来行われるべきであった調査を尽くさずに上記のような最終判断に至 ったものといえる。 ⑶ したがって、処分行政庁は、本件抹消処分に係る聴聞手続において、被処分者である原告に対し、防御対象を明確に示さなければならなかったところ、聴聞通知における「不利益処分の原因となる事実」を具体的に記載しなかったことに始まり、原告の質問権の行使に対して意義ある回答をしなかったから、行手法13条1 項において求められる聴聞手続を履践しなかったというべきである。 3 本件抹消処分に理由付記の違法があるか否か(被告の主張)⑴ 本件においては、本件抹消処分に係る通知書(甲11)には、本件学院を留学告示別表第一から抹消する理由を明記しており、「不利益処分の根拠となる法令 の条項」として、上陸基準省令の表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げ る活動の項の下欄第6号並びに告示基準2条1項8号、1号(告示基準1条1項42号)及び2号(告示基準1条1項2号)を挙げた上で、「不利益処分の原因となる事実」については、処分の名宛人に分かる程度の具体性をもって記載した。 ⑵ 本件抹消処分の名宛人である原告は、以上のような通知書の記載によって、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択された のかを知ることができるから、行 載した。 ⑵ 本件抹消処分の名宛人である原告は、以上のような通知書の記載によって、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択された のかを知ることができるから、行手法14条1項所定の理由の提示には何らの不備も認められない。 (原告の主張)⑴ 本件抹消処分の際に提示された理由は、再聴聞手続の際に示された理由と同様であり、組織性を肯定する根拠、本件とどめ置きを違法とする根拠、手続上の不 備が今後改善し得ないことの根拠についての説明はなかった(甲11)。 ⑵ したがって、処分行政庁は、被処分者である原告に対し、当該不利益処分の理由を示さなければならないところ、行手法14条1項において求められる程度の理由を示さなかったというべきであり、このことは、行政手続上の違法事由に当たる。 4 本件抹消処分に調査義務違反の違法があるか否か(被告の主張)⑴ 留学告示の抹消に係る実地調査について留学告示の抹消に係る実地調査は、行政指導を目的とした在籍管理状況等の確認に係る実地調査とは異なることを意識して、入念に基礎調査を行った上で、抹消事 由に係る調査方法を検討して実施すべきとされているとはいえ、飽くまで違反事実に係る事実認定を確実に行うための調査であり、その際に行われる対象者等への事情聴取も、抹消事由に係る重要な事実について聴取を行うなど、抹消事由に係る証拠資料を収集する目的で実施されるものであり、弁明を聴取する機会として設けられるものではない(甲37の1〔5枚目〕)。 解釈指針においては、「告示から抹消する場合には、設置者が行方不明等でない 限り、あらかじめ、日本語教育機関に対し抹消を検討していることを告知した上、弁明を聴取する機会を設け、弁明内容 解釈指針においては、「告示から抹消する場合には、設置者が行方不明等でない 限り、あらかじめ、日本語教育機関に対し抹消を検討していることを告知した上、弁明を聴取する機会を設け、弁明内容を踏まえて抹消の適否を判断することとなる」旨の記載があるが(乙3〔28頁〕)、留学告示からの抹消処分について弁明を聴取する機会としては聴聞手続が設けられており、本件抹消処分に至る手続においても、原告に対して、予定される不利益処分として留学告示別表第一からの抹消処分 である旨、予定される不利益処分の根拠となる法令の条項(行政庁の内部的規範であり、法規命令と同様の外部的効果を持つものではないが、処分基準である告示基準の条項も記載されている。)及び不利益処分の原因となる事実を明記した聴聞告知書(甲2、15)を送付して原告に告知した上で、弁明を聴取する機会である聴聞期日を開いている。そして、上記聴聞告知書の記載内容、告示基準及び解釈指針 が公開されていること並びに事前に実施された実地調査における聴取内容等を踏まえれば、どのような事実関係についていかなる法令を適用して不利益処分をすることが予定されているのかは原告にとって明白であり、予定される不利益処分の原因として提示された事実関係と、処分の根拠法条ないし公開されている処分基準の定めとを照らし合わせることにより、処分の要件の該当性や処分の選択に係る理由が 一義的に明らかとなっているといえるのであるから、本件抹消処分に関する聴聞手続においては、原告が聴聞期日において適切な意見を十分に述べ、証拠を提出することが可能な状況であったといえ、解釈指針が示す弁明を聴取する機会は適切に設けられている。 ⑵ 入管局の検討について 令和4年3月18日付け聴聞報告書(甲5)の「情状等に関する陳 することが可能な状況であったといえ、解釈指針が示す弁明を聴取する機会は適切に設けられている。 ⑵ 入管局の検討について 令和4年3月18日付け聴聞報告書(甲5)の「情状等に関する陳述」欄には「本件について黙認又は隠ぺいの意図はなく、当学院が組織的に行った行為でないことは強く主張したい。」等の聴聞期日における原告の発言が、同年8月8日付け聴聞報告書(甲18)の「情状等に関する陳述」欄には「報告の不遵守と学則未記載については、形式違反はあるものの、実態には何らの不正はなく、すでに再発防止策 が講じられていることから、指導による改善が認められる。」、「鎖拘束(引用者注 :本件拘束)には、周囲の状況から見ても多分に悪ふざけの面があり、かつ、A職員はすでに退職させていることから、同種の人権侵害行為が繰り返されるおそれはすでに除去されている。」、「教職員の人権に関するコンプライアンスが不足していたことは事実であるが、人権侵害行為を反復して行うような残忍性や悪質性はない。また、鎖による身体拘束は、教育機関として行ったわけではないため、重大性 のある違反行為ではない。」などの聴聞期日において原告が述べた意見がそれぞれ記載されており、これらは適用される処分基準の内容を理解した上でなされたものと解される上、いずれの報告書においてもこれらの原告の弁明内容を踏まえた判断が記載されていた。そして、原告が聴聞に際して提出した意見書及び弁明書(甲6の1及び2、16、乙18)や上記各報告書についても本件抹消処分の判断をする 際の判断資料とされており、その記載内容については、本件抹消処分をするに際して考慮されていた。 ⑶ 本件抹消処分に必要な調査・検討の実施について入管局は、本件抹消処分に際し、被告主張の事実関係の 判断資料とされており、その記載内容については、本件抹消処分をするに際して考慮されていた。 ⑶ 本件抹消処分に必要な調査・検討の実施について入管局は、本件抹消処分に際し、被告主張の事実関係のとおり、必要かつ十分な調査を実施しており、これらの調査により確認された事項や作成された書面等(甲 4~6の2、9、13、14、16~18、乙4~10、18等)からすれば、全く調査を欠く(外形上調査を実施していても、その実質が調査というに値しない場合を含む。)などとは到底認められず、必要な調査を実施した上で、その調査結果を基に、告示基準及び解釈指針を踏まえて、原告について留学告示別表第一から抹消することにつき検討したものである。 したがって、本件抹消処分に関し、必要な調査や検討が行われていないなどということはなく、取消事由となるような重大な調査手続の違法は認められない。 (原告の主張)⑴ 実地調査について福岡入管が、令和3年12月16日に実施した実地調査の際、本件抹消処分に向 けた調査であることはおろか、本件拘束に関する調査であることすらも示さなかっ たため、原告が何ら本件抹消処分に関する弁明もできない中で、各抹消要件の検討を進めて処分方針の立案をしたものであり、解釈指針が「あらかじめ、日本語教育機関に対し抹消を検討していることを告知した上、弁明を聴取する機会を設け、弁明内容を踏まえて抹消の適否を判断する」としていることに反する。 ⑵ 入管局の検討内容について 入管局が令和4年1月19日時点において事業継続の不適格性を否定する根拠とした事情(甲9)と本件訴訟において被告が主張する事情がほとんど一致しており、その間に新たに追加された事情は、原告が聴聞手続の過程で提出した弁明書程度である おいて事業継続の不適格性を否定する根拠とした事情(甲9)と本件訴訟において被告が主張する事情がほとんど一致しており、その間に新たに追加された事情は、原告が聴聞手続の過程で提出した弁明書程度であること等に照らし、入管局は、原告の弁明内容を踏まえて指導により改善の余地が見込まれるか否かを検討しようとした形跡が見当たらず、弁明内容を踏まえ た合理的な検討はされなかったと考えざるを得ない。 ⑶ 入管局の調査義務の懈怠このように、入管局は、本件抹消処分に際し、原告の事業継続の適格性の要件判断のために解釈指針によって必要とされる調査・検討を行っていないなど、必要な調査がほとんど不足したままであり、このような調査義務違反自体が本件抹消処分 の取消事由に当たる。また、原告が開示を受けた資料(甲53の1~26)に照らすと、各検討過程における検討時間の短さが明らかとなり、このような客観的状況証拠からしても然るべき検討が行われていなかったことはより浮き彫りになったといえ、福岡入管及び入管庁によって行われた行政手続に適正性・合理性が担保されていないことが客観的にも裏付けられた。 したがって、本件抹消処分は、考慮要素についての調査・検討不足ゆえに著しく不合理であるから、違法である。 以上別紙1「当事者目録」及び同4-2「事実整理表」は掲載省略
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