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昭和40(う)2858 銃砲刀剣類等所持取締法違反等被告事件

裁判所

昭和41年5月10日 東京高等裁判所

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4,613 文字

主文 本件控訴を棄却する。理由 本件控訴の趣意は、弁護人内野経一郎および同藤田一伯が連名で提出した控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これをここに引用しこれに対し次のように判断する。控訴趣意一訴訟手続の法令違反の主張について所論は原判示二の事実について、原判決がその事実認定の基礎とした本件の証拠物たるベルギー製ブローニング自動五連散弾猟銃バッグ入り一丁(以下本件猟銃という)は、裁判官の捜索差押許可状に差押えるべき物として掲げられていないにも拘らず差押えられたものであつて、かかる差押は憲法第三五条、刑事訴訟法第一〇六条、第一〇七条に違反し、本件猟銃は違法に収集された証拠として証拠能力がないものであり、原審において弁護人はその証拠調に対し異議を申立てたのに原審裁判所は右異議を排斥してその取調をした。更に被告人および原審相被告人らの本件猟銃に関する供述および供述調書は右のように本件猟銃を違法に押収した成果であつて同様証拠能力を有しない。しかるに原審が本件猟銃およびこれに関連する関係者の供述および供述調書の証拠調をし、かつこれらを事実認定の資料に供したのは判決に影響を及ぼす訴訟手続の法令違反があると主張する。よつて所論に基づき本件記録および原判決を精査して審按するに、原判決には原判示二の事実に対応する証拠の標目として本件猟銃およびこれに関する被告人、原審相被告人Cの原審公判廷における供述、司法警察員、検察官に対する各供述調書、A事務官に対する各質問調書、Bの原審公判廷における供述、(原審相被告人Cに対する関係で)司法警察員に対する供述調書、同A事務官に対する質問調書(謄本)を掲げていること、そのうち本件猟銃についてはその捜索、差押の法律上の根拠となるべき捜索差押許可状を請求し捜索差押 人Cに対する関係で)司法警察員に対する供述調書、同A事務官に対する質問調書(謄本)を掲げていること、そのうち本件猟銃についてはその捜索、差押の法律上の根拠となるべき捜索差押許可状を請求し捜索差押許可状請求書(八八丁)に記載された犯罪事実の要旨は被疑者(被告人)が法定の除外事由なく米国製スミスァンドゥェッソン(S二五四八五六号)けん銃一挺を所持していたという事実であり、また差押えすべき物としては「本件に関連するけん銃、実包およびこれに関する附属する物件一切」と記載されてあり、これを受けた捜索差押許可状(八七丁)記載の差押えるべき物の表示も右と同一文言であること、司法警察員巡査部長D成の昭和四〇年五月二七日付捜索差押調書(八四丁)によれば同巡査部長は同日被告人を立会わせ、右の捜索差押許可状を被告人に示して捜索したうえ本件猟銃、散弾銃実包一五五発および米国人E名義の銃砲所持許可証を差押えたこと、原審第二回公判期日において検察官は本件猟銃の証拠調の請求をなしこれに対し被告人の弁護人は所論と同様違法に収集された証拠であるから証拠能力がないと述べたが原審はこれを証拠として取調をしたこと、また前記の被告人、原審相被告人CおよびBの司法警察員、検察官に対する各供述調書またはA事務官に対する各質問調書はいずれも被告人または右Cの弁護人において証拠とすることに同意し、また格別異議を留めた形跡がなく取調がなされたものであること、しかしてこれらの証拠は前記のとおり原判示二の事実に対応する証拠の標目として掲げられていること、がそれぞれ明らかである。 述べたが原審はこれを証拠として取調をしたこと、また前記の被告人、原審相被告人CおよびBの司法警察員、検察官に対する各供述調書またはA事務官に対する各質問調書はいずれも被告人または右Cの弁護人において証拠とすることに同意し、また格別異議を留めた形跡がなく取調がなされたものであること、しかしてこれらの証拠は前記のとおり原判示二の事実に対応する証拠の標目として掲げられていること、がそれぞれ明らかである。ところで、所論は違法に収集された証拠は証拠能力がないとの主張を前提として本件猟銃等の証拠能力を否定するものの如くであるが、証拠の収集手続の適否とこれにより得られた証拠の証拠能力の有無とは必ずしも一致しなければな は違法に収集された証拠は証拠能力がないとの主張を前提として本件猟銃等の証拠能力を否定するものの如くであるが、証拠の収集手続の適否とこれにより得られた証拠の証拠能力の有無とは必ずしも一致しなければならないものではなく、ことに証拠物についてはその収集手続の如何により物それ自体の性質、形状に変異を来すはずがないのであるから、その収集手続の違法が当然にその物の証拠能力を失わせるものと解すべき理由はない。しかしながら、他方において、憲法第三五条が基本的人権として国民の住居、書類および所持品の安全を保障し逮捕状による逮捕と現行犯による逮捕との場合を除いて正当な令状がなければ侵入、捜索および押収を受けないことを定め、またこれを承けて刑事訴訟法上にいわゆる令状主義の諸規定(第一〇六条、第一〇七条、第二一八条、第二一九条等)が設けられた趣旨にかんがみれば、証拠収集手続の違法が右の憲法およびこれを承けた刑事訴訟法上の規定の精神を没却するに至るような重大なものであるならば、その証拠の証拠能力を否定すべきものと解されるが、その違法が右の程度に至らない瑕疵に止まる場合においてはその証拠の証拠能力には影響がないものと解するのが相当である。この見地からまず本件猟銃の差押手続および本件猟銃の証拠能力を検討すると、なるほど前記捜索差押許可状に差押えるべき物として記載された「本件(前記米国製スミスアンドウェッソンけん銃の所持)に関連するけん銃、実包およびこれに関する附属する物件一切」のうちに本件猟銃のような銃砲まで含まれるか否かは明らかでなく、これを形式的に見るかぎり右捜索差押許可状に差押えるべきものとして記載されたものであるか否<要旨>か明瞭でないものを差押えた違法があるというべきであろうが、しかしながら、右許可状に記載された本件に</要旨>関連するけん銃も本件 「本件(前記米国製スミスアンドウェッソンけん銃の所持)に関連するけん銃、実包およびこれに関する附属する物件一切」のうちに本件猟銃のような銃砲まで含まれるか否かは明らかでなく、これを形式的に見るかぎり右捜索差押許可状に差押えるべきものとして記載されたものであるか否<要旨>か明瞭でないものを差押えた違法があるというべきであろうが、しかしながら、右許可状に記載された本件に</要旨>関連するけん銃も本件 差押許可状に差押えるべきものとして記載されたものであるか否<要旨>か明瞭でないものを差押えた違法があるというべきであろうが、しかしながら、右許可状に記載された本件に</要旨>関連するけん銃も本件猟銃もいずれも同一構成要件のうちの銃砲であつて両者が全く関連のないものでなく、また前記の捜索差押の経緯に徴すれば、本件猟銃は前記米国製スミスアンドウェッソンけん銃の所持に関する適法な捜索をしているさい偶々発見されたものと認められ、その意味で適法な捜索差押に附随して発見され差押えられたものであるから、これにより被告人の人権の保障上格別の弊害は認められないうえ、本件猟銃の不法所持は前記のけん銃の不法所持に関連する事実であるに止まらず、それ自体犯罪行為を組成しているものであり、ことに本件については被告人がその場に立会つていたのであるから法律上被告人を本件猟銃の不法所持の現行犯人として逮捕することも不可能ではない状況であり(本件については右捜索差押に先立ち、昭和四〇年五月二五日付ですでに前記米国製スミスアンドウェッソンけん銃の不法所持の疑いで被告人に対し逮捕状(一七丁)が発付ずみであり、本件の捜索差押に引続き逮捕されていることが認められるから、本件猟銃の不法所持の疑いで独立に逮捕する必要はなかつたものと推測される)このような状況のもとにおいて犯罪行為を組成する本件猟銃を現認した場合これを放置することなく差押をしたことを目して条理上不当とはいい難いこと、等を併せ考察すると、前記のように本件猟銃の差押については捜索差押許可状に差押えるべきものとして記載されたものであるか否か明瞭でないものを差押えた違法があるとしても、その違法の程度は左程大きいものではなく、まして前述した憲法第三五条およびこれを承けた刑事訴訟法上の諸規定の精神を没却するに至るような重大なも あるか否か明瞭でないものを差押えた違法があるとしても、その違法の程度は左程大きいものではなく、まして前述した憲法第三五条およびこれを承けた刑事訴訟法上の諸規定の精神を没却するに至るような重大なものであるとは到底いえないから、右の違法は本件猟銃の証拠能力には影響がなく、したがつてこれを証拠として取調べかつこれを前記のとおり事実認定の用に供した原審の措置には何ら訴訟手続の法令違反は認められない。 なも あるか否か明瞭でないものを差押えた違法があるとしても、その違法の程度は左程大きいものではなく、まして前述した憲法第三五条およびこれを承けた刑事訴訟法上の諸規定の精神を没却するに至るような重大なものであるとは到底いえないから、右の違法は本件猟銃の証拠能力には影響がなく、したがつてこれを証拠として取調べかつこれを前記のとおり事実認定の用に供した原審の措置には何ら訴訟手続の法令違反は認められない。次に、右に述べたとおり本件猟銃が証拠能力を有するものである以上、これが否定せらるべきことが前提となる前記関係者の供述、供述調書ないし質問調書の証拠能力を否定する所論は、自ら理由がないことに帰するのであるが、その点をしばらく措くとしても、違法に収集された証拠物そのものの証拠能力が否定さるべきものとしても、これに関する供述等の証拠能力が直ちに無くなるものではないと解せられるし、ことに本件については本件猟銃の捜索差押のなされる以前においてすでに本件猟銃に関する捜査が始められていることが認められ(Bの司法警察員に対する昭和四〇年五月二五日付供述調書参照)、更に前述のように、関係者の各供述調書ないし質問調書については原審において弁護人らが証拠とすることに同意し格別の異議を留めることなく取調がなされたものであつて、いずれにしてもこれらの証拠能力を否定し、これに基づき原審の訴訟手続の法令違反を主張する所論は採用できない。なお、念のため附言すれば、仮に所論のように本件猟銃の証拠能力が否定さるべきものであり、したがつてこれを取調べて採証の用に供したことが訴訟手続の法令違反に当るとしても、原判示二の事実は本件猟銃を除いたその余の原判決挙示の対応証拠(証拠能力のあることは前説示のとおり)によつても認定するに足りるから、右の違反は判決に影響を及ぼすことが明らかと 令違反に当るとしても、原判示二の事実は本件猟銃を除いたその余の原判決挙示の対応証拠(証拠能力のあることは前説示のとおり)によつても認定するに足りるから、右の違反は判決に影響を及ぼすことが明らかとはいえない。(その余の判決理由は省略する。)(裁判長判事石井文治判事目黒太郎判事渡辺達夫)

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