主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人久保貢の上告趣意のうち,死刑に関して憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,適法な上告理由に当たらない。 所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。付言すると,本件は,強姦致傷罪等を犯して服役した被告人が,その被害者に報復するため,出所後程なくして,その住居を探し出し,待ち伏せした上,包丁で胸部や腹部を数回突き刺して殺害し,そのハンドバッグを窃取したという殺人,窃盗の事案である。被告人は,平成元年12月,通り掛かりの同女に声を掛けて共に飲酒した後,路上でその頸部を強く締め付けるなどの暴行を加えて強姦し,傷害を負わせるとともに,そのショルダーバッグを窃取し,後日同女から金員を喝取しようとした強姦致傷,窃盗,恐喝未遂を犯し,平成2年3月,懲役7年に処せられたが,上記犯行による逮捕時から,同女が警察に通報したため検挙されたことを深く恨み,同女を殺害して報復しようと決意し,服役中もその意思を変えることはなかった。そして,平成9年2月に出所後,同女宅を探し出すとともに,その殺害に使うために,刃体の長さ約20.9㎝の柳刃包丁を購入するなどの準備をし,同年4月に本件犯行に及んだものである。本件殺人は,このような特異な動機に基づく誠に理不尽かつ身勝手な犯行であり,犯行に至る経緯に酌量の余地はない。その犯行は,計画性が高く,強固な殺意に基づくものであって,殺傷能力の高い刃物を用 ある。本件殺人は,このような特異な動機に基づく誠に理不尽かつ身勝手な犯行であり,犯行に至る経緯に酌量の余地はない。その犯行は,計画性が高く,強固な殺意に基づくものであって,殺傷能力の高い刃物を用いた犯行の態様も冷酷かつ残虐である。被害者の生命を奪った結果は重大であっ- 1 -て,遺族の被害感情は極めて厳しく,社会に与えた影響も大きい。その上,被告人は,昭和52年1月に,知り合った少女を殺害した殺人事件により懲役10年に処せられた前科を有している。以上の諸事情に照らすと,被告人が反省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の罪責は誠に重大であり,無期懲役の第1審判決を破棄して被告人を死刑に処した原判断は,やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官仲田章公判出席(裁判長裁判官滝井繁男裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官津野修)- 2 -
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