昭和50(あ)787 騒擾附和随行、騒擾助勢、騒擾指揮、騒擾首魁、外国人登録法違反、放火未遂、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録令違反

裁判年月日・裁判所
昭和53年9月4日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】- 1 - 主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 一 弁護人伊藤泰方外二六名の上告趣意(総論)に対する判断 第一章について 所

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- 1 - 主文 本件各上告を棄却する。 理由 一弁護人伊藤泰方外二六名の上告趣意(総論)に対する判断第一章について所論は、後記各上告趣意を要約して主張しているに過ぎず、原判決を具体的に論難するものではないから、適法な上告理由にあたらない。 第二章について所論は、本件の動機、原因、デモ行進の目的、デモ行進参加者の意識内容、共同意思の存在、岩井通り及びその周辺における暴行、脅迫の程度、態様、名古屋市警察本部の警備計画、警官隊の規制措置の内容、犯人検挙の状況等について、事実誤認、単なる法令違反を主張するものであつて、適法な上告理由にあたらない。 なお、記録及び証拠物を検討しても、所論指摘の事実に関する原判決の判断に誤りがあるものとは認められない。 第三章について所論第一節のうち、判例違反をいう点は、暴行、脅迫の事態の発生につき確定的な認識がなく、かつ、騒擾に加担する意思のなかつた被告人らについて騒擾罪の成立を肯認した原判決の判断は、当裁判所昭和三三年(あ)第二〇八二号同三五年一二月八日第一小法廷判決(刑集一四巻一三号八一八頁)と相反する判断をしている、というのである。 しかし、所論引用の判例は、騒擾罪の成立に必要な共同意思について、「多衆集合の結果惹起せられることのあり得べき多衆の合同力による暴行、脅迫の事態の発生を予見しながら、あえて、騒擾行為に加担する意思があれば足りる。」と判示しているのであつて、かかる暴行、脅迫の事態の発生につき確定的な認識を要するとした - 2 -趣旨ではないから、所論はこの点において前提を欠き、また、原判決は被告人らについて本件騒擾行為に加担する意思を肯認したうえで騒擾罪の成立が認められるとしているのであるか 要するとした - 2 -趣旨ではないから、所論はこの点において前提を欠き、また、原判決は被告人らについて本件騒擾行為に加担する意思を肯認したうえで騒擾罪の成立が認められるとしているのであるから、所論はこの点において原判決の判示に沿わない事実関係を前提とするものであつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 その余の点は、共同意思に関する事実誤認、単なる法令違反を主張するものであつて、適法な上告理由にあたらない。 なお、騒擾罪は、群衆による集団犯罪であるから、その暴行又は脅迫は集合した多衆の共同意思に出たもの、いわば集団そのものの暴行又は脅迫と認められる場合であることを要するが、その多衆のすべての者が現実に暴行脅迫を行うことは必要でなく、多衆が群衆の集団として暴行脅迫を加えるという認識のあることが必要であること、この共同意思は、多衆の合同力を恃んで自ら暴行又は脅迫をなす意思ないしは多衆をしてこれをなさしめる意思と、かかる暴行又は脅迫に同意を表し、その合同力に加わる意思とに分たれ、集合した多衆がこれらのいずれかの意思を有する者で構成されているときは、その多衆の共同意思があるものとなること、共同意思は、共謀ないし通謀と同意義でなく、すなわち、多衆全部間における意思の連絡ないし相互認識の交換までは必らずしもこれを必要とするものではなく、事前の謀議、計画、一定の目的があることは必要でなく、当初からこの共同意思のあることも必要でないこと、また、騒擾罪の成立に必要な共同意思とは、多衆集合の結果惹起せられることのありうべき多衆の合同力による暴行脅迫の事態の発生を予見しながら、あえて、騒擾行為に加担する意思があれば足りるのであつて、必らずしも確定的に具体的な個々の暴行脅迫の認識を要するものではないこと、以上は当裁判所の判例(前掲昭和三五年一 の事態の発生を予見しながら、あえて、騒擾行為に加担する意思があれば足りるのであつて、必らずしも確定的に具体的な個々の暴行脅迫の認識を要するものではないこと、以上は当裁判所の判例(前掲昭和三五年一二月八日第一小法廷判決参照)の示すところである。所論は、共同意思は未必的であつてもよいとした原判決の判断を論難しているが、共同意思が存するといいうるためには、騒擾行為に加担する意思において確定的であ - 3 -ることを要するが、多衆の合同力による暴行脅迫の事態の発生については、常に必らずしも確定的な認識をまで要するものではなく、その予見をもつて足りる、と解するのが相当である。 これを本件についてみると、原判決の是認する第一審判決の認定した事実によれば、大須球場を出たデモ隊員一〇〇〇名ないし一五〇〇名のうち、すくなくとも二〇名くらいは、警察官の解散措置を受ければ火炎びんを投げる、との認識のもとにデモに参加した者であり、すくなくとも三〇余名は、途中で警官隊と衝突して火炎びんを投げることになるかも知れないと予測しつつ、中警察署(以下「中署」という。)、アメリカ村へ行つて火炎びん、石等を投げる目的でデモに参加した者であり、その余のデモ参加者のうち多数は、行進途中に警官隊と衝突することを予想しながら、あえてデモに参加した者であつた、というのであるから、騒擾開始前のデモ参加者のうち多数の者は、警官隊との衝突を予想していたに過ぎなかつたものである。 しかし、同判決認定の事実によると、前参議院議員Dらの帰国歓迎報告大会の会場であつた大須球場内には、かねての計画どおり、多数の旗、プラカード、竹や木の棒、約九〇個の火炎びんが持ち込まれ、球場の内外では、「中日貿易をやらせないのはアメ公と吉田だ。敵は警察の暴力だ。中署へ行け。敵の正体はアメ公だ。アメリカ村へ行 おり、多数の旗、プラカード、竹や木の棒、約九〇個の火炎びんが持ち込まれ、球場の内外では、「中日貿易をやらせないのはアメ公と吉田だ。敵は警察の暴力だ。中署へ行け。敵の正体はアメ公だ。アメリカ村へ行け。武器は石ころだ。憎しみをこめて敵に力一ぱい投げつけよ。投げたら商店街え散れ。」などと記載したビラが多数配付又は散布されていたところ、Dの演説の終つた午後九時四七分ころ、F大学学生Gが「警察はアメリカの手先となつて中日貿易を希望する国民の運動を弾圧している。今日も警察は三五〇〇人の警察官を動員して会場を取りまいている。ただ行動あるのみ。警察に断固抗議しなければならない。」などと演説し、被告人Hが「デモをやろう。スクラムを組もう。」などと激しい口調で呼びかけると、これに呼応して会場の各所から、「そうだそうだ」、「やれやれ」、「警官をやつちまえ」、「デモを組め」、「中署へ行け」、「アメリカ村へ - 4 -行け」などの叫び声がおこり、F大学学生三〇名ないし四〇名が横幅四、五名の隊列を作り、被告人Hがその先頭に立つて「わつしよ、わつしよ」、「デモに入れ」などと叫びながら球場内を二、三回廻り、被告人Iの誘導する隊列も同様に球場内を一、二回廻るうちに、聴衆の多数がそれらに加わつてデモ隊が形成され、球場内で気勢を挙げたうえ、午後一〇時ころ、両者合流して一〇〇〇名ないし一五〇〇名の集団となつて球場外へ出て行つた、というのである。 これら会場内の雰囲気、デモ隊形成時の状況よりすると、デモ隊員中の多数の者の抱いていた前記警官隊との衝突の予想は、漠然とした抽象的なものではなく、具体的なものであり、かつ、高度の可能性をもつものであつたとみうるのであつて、これを積極的、攻撃的な警官隊に対して暴行を加えるかも知れないという予想と解した原判決の判断は相当であり、こ のではなく、具体的なものであり、かつ、高度の可能性をもつものであつたとみうるのであつて、これを積極的、攻撃的な警官隊に対して暴行を加えるかも知れないという予想と解した原判決の判断は相当であり、これら多数の者は、デモ隊員による警官隊に対する暴行を予想し、かつ、これを認容して、あえてデモ行進に加わつた者であるから、予想される暴行脅迫の事態の発生に際しては、これに加担する意思を有したものと認めるべきである。してみると、本件デモ隊員のうち、警察官の解散措置に対して火炎びんを投げるとの認識をもつていた者約二〇名、中署、アメリカ村へ行つて火炎びんを投げるとの目的をもつていた者三〇余名についてはもとより、警官隊との衝突を予想し、かつ、これを認容して、あえてデモ行進に参加した多数の者についても、共同意思を肯認しうるというべきである。そして、第一審判決認定の事実によれば、本件騒擾の発端となつた岩井通りにおける警察放送車、同車附近道路上及び民間乗用車に対する火炎びん、石等の投てき行為は、デモ行進中の一部デモ隊員によつて行われたものであるが、なお同判決認定の事実によると、警察放送車に対しては合計約一七個の火炎びんが投げられており、うち約一〇個が車内で発火炎上したため、搭乗していた警察官四名が火傷を負い、車内の腰掛及び床板が黒焦げとなるなどの被害を受け、さらに、放送車附近の岩井通り道路上の諸所においても、 - 5 -投てきされた多数の火炎びんが発火炎上し、附近民家の硝子戸、板塀、柱にも各一個の火炎びんが命中して発火しており、これら放送車内及び道路上での火炎びんの発火炎上によつて、附近のデモ隊員の一部がスクラムを解いて退避したため、デモ隊列に混乱を生じたほどであつた、というのであり、また、民間乗用車に対する攻撃は、放送車附近より後方のデモ隊列中の中間部分 発火炎上によつて、附近のデモ隊員の一部がスクラムを解いて退避したため、デモ隊列に混乱を生じたほどであつた、というのであり、また、民間乗用車に対する攻撃は、放送車附近より後方のデモ隊列中の中間部分のデモ隊員によつて行われており、うち一台に対しては火炎びん三個を投てきし、石を投げ棒で叩くなどし、他の一台に対しては火炎びん数個を投入して発火炎上させるなどした、というのであるから、これら火炎びんの投てき行為等は、けつして小規模のものではなく、前記デモ隊員中の多数の者に存した共同意思にもとづく集団としての暴行脅迫と認めうるものである。また、記録によると、これに引き続いて約一時間二〇分にわたり岩井通り及びその周辺の各所でくり広げられた暴行脅迫は、比較的狭隘な場所において相呼応する形で発生しているうえ、デモ隊列の崩壊、分散後もなお同所に残留したデモ隊員であつた者を中心とし、これに群衆の一部が加わつた多数の者によつて行われていることが認められるから、この暴行脅迫も前記騒擾開始時点における集団と同一性のある集団の共同意思にもとづく行為とみるのが相当である。 ところで、第一審判決認定の事実によれば、被告人J、同K、同L、同M、同N、同O、同P、同Q、同Rらは、判示騒擾に際し、大須球場で開催されたDらの帰国歓迎報告大会の機会を利用し、聴衆多数を動員して、労働者階級の力の誇示と大衆の革命化の気運の高揚を目的として、アメリカ占領軍、吉田政府、朝鮮戦争、単独講和、日中貿易阻害等に対する抗議のデモ隊を組織させ、これらデモ隊員多数をして中署及びアメリカ村を火炎びん等で攻撃させる等共同して暴行脅迫をさせる意図で、判示の計画、準備に関与し、なお、被告人J、同K、同L、同O、同P、同Q、同Rは、デモ隊が球場外へ出て行き警官隊によつて解散措置を受けるときは、多数の火炎 撃させる等共同して暴行脅迫をさせる意図で、判示の計画、準備に関与し、なお、被告人J、同K、同L、同O、同P、同Q、同Rは、デモ隊が球場外へ出て行き警官隊によつて解散措置を受けるときは、多数の火炎びんを所持しているデモ隊がこれを使用して抵抗することを予測しながら、 - 6 -あえて、これをさせる意思で、上前津に向つてデモ行進させる旨の指令をし、判示騒擾の首魁となつたものであり、被告人H、同Iは、判示騒擾に際し、中署、アメリカ村を攻撃する意図で、判示の計画、準備に関与し、多が大須球場内でデモ隊列を組んで行進を開始すると、これらの者が同球場外で、警備のため出動している警官隊と衝突して火炎びんを投げつける等の暴行をすることを予測し、あるいは自らも同じ意思でデモ隊列の先頭に立ち、あるいは警官隊の解散措置を受ければ火炎びんを使用する意思でデモの隊列に加わつて行進を続け、判示岩井通りにおいて、デモ隊列中より警察放送車に火炎びんを投げつけ発火させる等の暴行が行われるのを認識しながら、これを共にする意思をもつて、警官隊によつて解散させられるまで、あるいはデモ隊を誘導し、あるいはデモ隊に加わつて行進を続け、判示騒擾指揮にあたる行為をしたものであり、被告人Sは、判示騒擾に際し、中署、アメリカ村を攻撃させる意思で、判示騒擾指揮にあたる行為をしたものであり、被告人T、同Uは、判示騒擾に際し、デモ隊が警官隊と衝突して暴行をするかも知れないと予測し、これをさせる意思で、判示騒擾助勢にあたる行為をしたものであり、被告人V、同W、同X、同Y、同Z、同Aa、同Ab、同Ac、同Ad、同Ae、同Af、同Ag、同Ah、同Aiは、判示騒擾に際し、岩井通りにおいて、多数の暴徒が警備の警官隊に火炎びん、石等を投てきするのを認識しながら、これを共にする意思で、判示騒擾助勢又は附 同Ad、同Ae、同Af、同Ag、同Ah、同Aiは、判示騒擾に際し、岩井通りにおいて、多数の暴徒が警備の警官隊に火炎びん、石等を投てきするのを認識しながら、これを共にする意思で、判示騒擾助勢又は附和随行にあたる行為をしたものであり、その余の被告人らは、判示騒擾に際し、多衆が大須球場内でデモ行進を開始すると、これらの者が球場外で、警備のため出動している警官隊と衝突して火炎びんを投げる等の暴行をすること、あるいは暴行をするかも知れないことを予測しながら、あるいは自らも同じ意思で、あるいは警察の解散措置を受ければ火炎びんを使用する意思で、あるいはかかる暴行に同意をする意思で、デモ隊に加わつて行進を続けたうえ、前記警察放送車に対する暴行等を認識しながら、これを共にする意思をもつて、判示騒擾助勢又 - 7 -は附和随行にあたる行為をしたものであつて、それぞれ共同意思を肯認しうる。 所論第二節第一款は、刑法一〇六条の規定は、その構成要件があいまい不明確であり、個人責任の原則に違反して広い処罰を可能にするものであるうえ、集会、集団行動の自由等憲法二一条の保障する表現の自由及び憲法二八条が保障する勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権を侵害して適用されるものであるから、憲法三一条に違反する、というのである。 しかし、刑法一〇六条は、その犯罪の構成要件とこれに対する法定刑とは厳格に規定され、ことに犯罪の構成要件は文義上明確であり、かつ、同条の罪の成立に解釈上の限定を加える諸要件についても、同条につき従来なされた多数の判例によつてその意義が明確になされているのであつて、これを適用する者の主観的判断によつて、同条の適用が著しく左右される等の重大な弊害を生ずるものではなく、また、同条は騒擾行為に加担する意思のない正当な集会、集団行動等の参加者まで広い いるのであつて、これを適用する者の主観的判断によつて、同条の適用が著しく左右される等の重大な弊害を生ずるものではなく、また、同条は騒擾行為に加担する意思のない正当な集会、集団行動等の参加者まで広い処罰を可能にする規定ではないから、所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。 所論第二節第二款のうち、本件に刑法一〇六条を適用した第一審判決を肯認した原判決は憲法二一条、二八条、三一条に違反するという点は、原判決の判示に沿わない事実関係を前提とするものであり、その余の点は、デモ隊の目的、性格、名古屋市警察本部の警備態勢、警官隊の規制措置に関する事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 なお、第一審判決認定の事実関係のもとにおいては、本件が正当な集団行進ないし集団示威運動といいえないことは明らかであり、被告人らの判示計画に対処するため、デモ隊の解散をも含む警備計画をたてた名古屋市警察本部の措置はやむをえないところであつて、これを適法と解した原判決の判断に誤りはない。 第四章について - 8 -所論第一節は、訴因変更手続の要否に関する原判決の判断を論難する単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。 なお、「中署、アメリカ村を攻撃するとの当初の計画を変更して、上前津方面へデモ行進し、その途中で警備の警察官による解散措置を受けた場合には、火炎びんを使用して抵抗することに決した」旨の第一審判決認定のいわゆるデモの目的変更の指令の事実については、「デモ隊は中署、アメリカ村を火炎びん等で攻撃する目的であつた」との公訴事実中には被告人らが球場外において警備の警察官に対し火炎びんを投げつける意思であつたとの事実を含むものと認められるから、訴因変更の手続をとることなくかかる事実を認定し 撃する目的であつた」との公訴事実中には被告人らが球場外において警備の警察官に対し火炎びんを投げつける意思であつたとの事実を含むものと認められるから、訴因変更の手続をとることなくかかる事実を認定しても、被告人らの防禦に実質的な不利益があつたものとは認められないので、訴因変更の手続をとることなくデモの目的変更の指令の事実を認定した第一審判決には誤りはなく、これを適法とした原判決の判断は、正当である。 所論第二節第一款は、起訴後に作成された被告人らの検察官に対する供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断は、憲法三一条、三七条三項に違反し、かつ、刑訴法一九八条の解釈を誤り、当裁判所昭和三六年(あ)第一七七六号同年一一月二一日第三小法廷決定(刑集一五巻一〇号一七六四頁)、大阪高等裁判所昭和三八年(う)第一九七〇号ないし一九七二号同四三年七月二五日判決、同裁判所昭和四二年(う)第一四七六号同四三年一二月九日判決と相反する判断をしている、というのである。 しかし、違憲をいう点は、その実質は単なる法令違反の主張であり、最高裁判所の判例との違反をいう点は、所論引用の判例は所論のような判断を示したものではなく、高等裁判所の判例との違反をいう点は、最高裁判所の判例のある場合にあたり、その余の点は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 - 9 -なお、捜査官は、刑訴法一九七条により、起訴後においても当該公訴事実について被告人を取調べることができると解すべきであるが、このような取調は被告人の当事者たる地位にかんがみてなるべく避けなければならないところである。しかし、記録によれば、本件の場合は、いずれも第一回公判期日前ないしは検察官の冒頭陳述前の取調であり、その取調によつて公判手続の進行に支障を生じたとか、被告人 べく避けなければならないところである。しかし、記録によれば、本件の場合は、いずれも第一回公判期日前ないしは検察官の冒頭陳述前の取調であり、その取調によつて公判手続の進行に支障を生じたとか、被告人の防禦権を侵害したとかの事実は認められず、また、本件は、数次の会合を重ねて決定された周到な計画と準備にもとづく騒擾の事案であつて、捜査官の取調が現に起訴されている被告人のためだけではなく、他の騒擾参加者のための捜査としての性格をもつていたこと等原判示のような事情があるので、これを適法とした原判決の判断は違法とはいえない。 所論第二節第二款は、手錠を施したまま取調のなされた事実を認めながら、その供述の任意性を肯認した原判決の判断は、憲法三八条、刑訴法三一九条一項の解釈適用を誤つている、というのである。 しかし、所論は、違憲をいう点をも含め、その実質は単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。 なお、第一審判決が証拠として挙示しているのは検察官に対する供述調書のみであるところ、記録によると、検察官に対する供述調書の中には、手錠を施したまま取調のなされた際に作成されたもののあることが認められるが、それらはいずれも片手錠の場合であつて、その取調状況にかんがみても、手錠施用の事実が供述の任意性に影響を与えたものとは認められないので、これら供述調書の任意性を肯認した原判決の判断は、相当である。 所論第二節第三款のうち、憲法二五条、三一条、三三条、三四条、三六条、三八条違反をいう点は、要するに、所論の被告人らについて、逮捕、勾留の違法、取調の違法、強制、拷問、脅迫等のなされた事実を主張し、原判決が捜査官の供述を一 - 10 -方的に信用して自白獲得手続の適法性、自白の任意性を肯定したのは上記憲法の規定に違反する、というのであ 調の違法、強制、拷問、脅迫等のなされた事実を主張し、原判決が捜査官の供述を一 - 10 -方的に信用して自白獲得手続の適法性、自白の任意性を肯定したのは上記憲法の規定に違反する、というのである。 しかし、記録を検討しても、所論の被告人らの取調が違法であつたとか、その自自が強制、拷問、脅迫等にもとづくものであるとか、また、不当に長期に拘禁された後の自白にあたるとかの所論の事実は認めがたく、その各供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないので、所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。 所論第二節第三款のうち、判例違反をいう点は、被告人Ajの起訴後調書の証拠能力を肯認した原判決の判断は、前掲当裁判所昭和三六年一一月二一日第三小法廷決定と相反する判断をしているというのであるが、同決定は前記のとおり所論のような判断を示したものではないから、所論は前提を欠き、その余の点は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 所論第二節第四款のうち、憲法三八条二項違反及び判例違反をいう点は、不起訴の約束によつてしたAkの検察官に対する供述調書の証拠能力を肯定した原判決の判断は、上記憲法の規定に違反し、かつ、当裁判所昭和四〇年(あ)第一九六八号同四一年七月一日第二小法廷判決(刑集二〇巻六号五三七頁)及び昭和四二年(あ)第一五四六号同四五年一一月二五日大法廷判決(刑集二四巻一二号一六七〇頁)と相反する判断をしている、というのであるが、原判決は不起訴の約束があつたとの事実を認めていないから、所論違憲の主張及び判例違反の主張は、いずれも原判示に沿わない事実関係を前提とするものであり、その余の点は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 所論第三節は、被告人W、 憲の主張及び判例違反の主張は、いずれも原判示に沿わない事実関係を前提とするものであり、その余の点は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 所論第三節は、被告人W、同Al、同N、同Amに対する被告人質問をしなかつた原審の措置は憲法三一条、三七条一項、一四条に違反し、かつ、審理不尽の違法がある、というのであるが、違憲をいう点をも含め、その実質は、事実の取調に関 - 11 -する原審の裁量に属する措置を非難する単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。 第五章について所論は、本件裁判は著しく遅延し、憲法三七条一項の迅速な裁判の保障条項に違反するにもかかわらず、原判決が被告人らに対して免訴の言渡をしなかつたのは憲法三七条一項、刑訴法一条に違反する、というのである。 そこで、本件の審理経過を記録によつてみると、被告人らは、騒擾、爆発物取締罰則違反、放火、放火未遂、外国人登録法違反、外国人登録令違反の罪により昭和二七年七月二九日から翌二八年一二月八日までの間に起訴されたこと、第一審の名古屋地方裁判所は、昭和四四年一一月一一日から同年一二月二日までの間において、被告人らの行為は騒擾、暴力行為等処罰に関する法律違反、放火未遂、外国人登録法違反、外国人登録令違反の罪にあたるとして有罪の判決を宣告したところ、被告人らから控訴が申し立てられたこと、名古屋高等裁判所は、昭和五〇年三月二七日、被告人An、同Ac、同Oの三名につき第一審判決には法令の適用を誤つた違法があるとしてこれを破棄したうえ、あらためて有罪の判決を宣告し、その余の被告人らの控訴を棄却したことが認められる。これによると、被告人らの本件審理期間は、第一審においては約一六年ないし一七年三か月の長期間を要しており、さらに控訴審判決まで 有罪の判決を宣告し、その余の被告人らの控訴を棄却したことが認められる。これによると、被告人らの本件審理期間は、第一審においては約一六年ないし一七年三か月の長期間を要しており、さらに控訴審判決まで約五年四か月を要したため、今日では最初の起訴から約二六年もの期間が経過している。 ところで、具体的刑事事件における審理の遅延が右の保障条項に反する事態に立ち至つているか否かは、遅延の期間のみによつて一律に判断されるべきではなく、遅延の原因と理由などを勘案して、その遅延がやむをえないものと認められないかどうか、これにより右の保障条項がまもろうとしている諸利益がどの程度実際に害せられているかなど諸般の情況を総合的に判断して決せられなければならないので - 12 -あつて、事件が複雑なために結果として審理に長年月を要した場合や、被告人の審理引延しなど遅延の主たる原因が被告人側にあつた場合などはこれに該当しないものであることは、すでに当裁判所の判例(昭和四五年(あ)第一七〇〇号同四七年一二月二〇日大法廷判決・刑集二六巻一〇号六三一頁参照)とするところである。 そこで、本件の審理が右のごとく長期化したことの原因と理由を考えてみるのに、まずその第一は、本件の主たる訴因が規模の大きい騒擾という犯罪であつて、その内容が複雑困難な事案であり、取調を要する証拠も厖大で、しかも被告人が一五〇名もの多数であつたことである。もとよりこれら被告人を相応の人数に分離して審理し、審理の迅速を図ることは法律上可能ではあるが、集団犯罪である騒擾罪の性格、本件事案の内容などにかんがみると、第一審裁判所が被告人らを併合審理したうえで判決の宣告をしたことは、まことにやむをえないところであつたというべきである。すなわち、第一審裁判所は、昭和二七年九月一六日に第一回公判を開廷し がみると、第一審裁判所が被告人らを併合審理したうえで判決の宣告をしたことは、まことにやむをえないところであつたというべきである。すなわち、第一審裁判所は、昭和二七年九月一六日に第一回公判を開廷して以来、七九三回の公判を開き、一〇五回の公判期日外の証拠調、六回の検証、六二回の準備手続を行い、その間、延八一六名の証人を取り調べ、延一五六名の被告人質問を実施したほか、多数の書証、証拠物の取調をしており、原審においても、一〇五回の公判が開かれ、延一〇〇名の証人尋問、延三七名の被告人質問を実施し、書証、証拠物の取調をしている。このような審理状況にかんがみると、本件においては相当程度の審理の長期化は肯認されるべきであるが、さらにそれに加えて、被告人らにおいて執拗ないわゆる法廷闘争を展開したことも審理長期化の一因をなしていると認められるのである。すなわち、被告人らは第一審において五回、原審において二回裁判官に対する忌避申立をしており、その理由は、訴訟指揮、証拠の採否等に関連して不公平な裁判をするおそれがあるというものであるが、記録によれば、もともと忌避理由とはなしえないような事由をことさら申立てたものと認められるから、右申立による審理遅延の責は被告人らに帰せられるべきものである。ま - 13 -た、被告人らは、意見陳述、釈明要求等を執拗にくり返し、前記第一審における公判のうち相当回数はこれに費されており、証人に対する尋問も詳細を極め、同一証人が何回にもわたつて出廷し、幾人もの弁護人、被告人から尋問を受けている。もとより被告人の防禦権は尊重されるべきであるから、詳細な証人尋問もいちがいに非難することは相当でないけれども、すくなくとも、被告人らのこれら訴訟行為が審理遅延の原因のひとつとなつたことが認められる。以上の諸事由によつて審理が長期化した本 るから、詳細な証人尋問もいちがいに非難することは相当でないけれども、すくなくとも、被告人らのこれら訴訟行為が審理遅延の原因のひとつとなつたことが認められる。以上の諸事由によつて審理が長期化した本件の場合について、迅速裁判の要請に反するものとして免訴の裁判をすべきであるとは到底考えられないところである。それゆえ、本件においては、いまだ憲法三七条一項に定める迅速な裁判の保障条項に反する異常な事態に立ち至つたものとすべきでないことは明らかであり、所論違憲の主張は前提を欠き、その余は単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 二弁護人伊藤泰方外九名の上告趣意(各論)に対する判断序について(被告人全員の関係)所論のうち、憲法三一条、三八条違反をいう点は、記録を検討しても、所論の自白が強制、脅迫、誘導等にもとづくものとは認められず、所論各供述調書の証拠能力を肯定した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないので、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Ao、同H、同I、同Ap、同Aq、同Ar、同As、同At、同Ajの関係について所論のうち、憲法二一条違反をいう点は、原判決はデモ行進に参加したという事実だけで騒擾行為に加担する意思を肯認したものではないから、所論は前提を欠き、判例違反をいう点は、原判決は騒擾行為に加担する意思を肯認したうえで騒擾罪の成立が認められるとしているのであるから、所論は原判決の判示に沿わない事実関 - 14 -係を前提とする判例違反の主張であり、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人L、同M、同K、同P、同Q、同O、回R、同J、同Nの関 -係を前提とする判例違反の主張であり、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人L、同M、同K、同P、同Q、同O、回R、同J、同Nの関係について所論のうち、憲法三一条違反をいう点は、その実質は訴因変更手続の要否に関する原判決の判断又は事実の取調に関する原審の裁量に属する措置を非難する単なる法令違反の主張であり(訴因変更手続の要否の点については前述したところを参照)、憲法三一条、三八条違反をいう点は、記録を検討しても、所論の供述調書が違法な取調によつて作成されたものとは認められず、所論各供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないので、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Tの関係について所論のうち、判例違反をいう点は、騒擾開始前における同被告人の行為を騒擾助勢にあたるとした原判決の判断は、大審院大正八年(れ)第七四一号同年六月二三日判決(刑録二五輯一五巻八〇〇頁)及び東京高等裁判所昭和四五年(う)第三一四三号ないし三一四一八号同四七年一一月二一日判決(高刑集二五巻五号四七九頁)と相反する判断をしている、というのである。 しかし、右大審院判決は、助勢行為のときにすでに多衆が集合し共同意思の形成されていることを必要とする旨の判断を示したものではなく、右東京高等裁判所判決は、騒擾罪の成立が否定された事案に関するものであつて、助勢の対象となつた集団員の行動が騒擾罪を構成するとされた本件とは異なつた事実関係のもとにおいてなされた判断であるから、本件とは事案を異にする判例であり、所論判例違反の主張はいずれも前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。 その余の所論は するとされた本件とは異なつた事実関係のもとにおいてなされた判断であるから、本件とは事案を異にする判例であり、所論判例違反の主張はいずれも前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。 その余の所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に - 15 -あたらない。 なお、「騒擾の率先助勢とは、多衆の合同力を恃んで自ら暴行又は脅迫をなし、もしくは多衆をしてなさしめる意思をもつて、多衆にぬきんでて騒擾を容易ならしめ、その勢を助長、増大する行為をいうのであつて、それが現場で行なわれると事前に行なわれるとを問わない。従つてまた、その行為のときすでに多衆が集合して共同して暴行又は脅迫を行なうべく共同意思を形成していることを必要としない。」とした原判決の判断は、正当である。 第一審判決認定の事実によると、被告人Tは、本件当日午後六時ころ、名古屋市南区所在名古屋鉄道大同駅プラツトホームにおいて、被告人Avらに対し、同夜大須球場での講演会終了後デモが行われ、デモ隊の一部が警備の警官隊と衝突して警官隊に暴行するかも知れないと予測しながら、同人らに右デモ隊と共同して暴行させる意思をもつて、「大須の演説会が終つてからデモをやり、警察と大きな衝突があるかもしれないが、その時はこのプラカードの竹槍(プラカードの柄の先端を竹槍状に尖らせたもの)で戦つてくれ。dの者は一緒に行動してくれ。」と指示激励したうえ、自己の所持するプラカードのうち二本を二名の者に交付し、よつて被告人Avら一二名ないし一三名を本件騒擾に参加させた、というのであるから、これを騒擾の率先助勢にあたるとした原判決の判断は正当である。 被告人Aw、回Ax、同Ay、同Az、同Ba、同Bb、同Bc、同Bd、同Be、同Bfの関係について所論のうち、憲法二一条違反をいう点は 擾の率先助勢にあたるとした原判決の判断は正当である。 被告人Aw、回Ax、同Ay、同Az、同Ba、同Bb、同Bc、同Bd、同Be、同Bfの関係について所論のうち、憲法二一条違反をいう点は、原判決はデモ行進に参加したという事実だけで騒擾罪にあたるとしたものではないから、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人W、同Sの関係について - 16 -所論のうち、憲法二一条違反をいう点は、原判決はデモ行進がなされたという事実だけで騒擾罪の成立を認めたものではないから、所論は前提を欠き、前掲当裁判所昭和三五年一二月八日第一小法廷判決を引用して判例違反をいう点は、前記のとおり原判決の判示に沿わない事実関係を前提とするものであり、前掲東京高等裁判所昭和四七年一一月二一日判決を引用して判例違反をいう点は、前記のとおり同判決は本件とは事案を異にするものであるから、所論判例違反の主張はいずれも前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Bg、同Aa、同Bi、同Bjの関係について所論のうち、憲法三一条、三八条違反をいう点は、記録を検討しても、所論の自白が強制、誘導等にもとづくものとは認められず、所論供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないから、所論は前提を欠き、その余の点は、被告人Bkの関係では単なる法令違反の主張、その余の被告人の関係では事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Zの関係について所論のうち、憲法三八条三項違反をいう点は、被告人の自白は第一審判決の挙示する証拠によつて補強されており、憲法三一 主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Zの関係について所論のうち、憲法三八条三項違反をいう点は、被告人の自白は第一審判決の挙示する証拠によつて補強されており、憲法三一条、三四条、三七条三項、三八条一項、二項違反をいう点は、記録を検討しても、捜査官が被告人の弁護人依頼権を侵害した事実は認められず、所論の自白が強制、拷問、脅迫にもとづくものとも認めがたく、所論供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないので、所論はいずれも前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Bl、同Bm、同Bn、同Bo、同Bp、同V、同Bq、同W、同X、同 - 17 -Br、同Y、同Bs、同Bt、同Ai、同Bu、同Bv、同Bw、同Bx、同By、同Bz、同An、同Ca、同Cb、同Cc、同Cd、同Ce、同Cf、同Ag、同Ah、同Cg、同Ch、同Ciの関係について所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Cj、同Ck、同Ad、同Af、同Ab、同Am、同Cl、同Al、同Ac、同Ae、同Cmの関係について所論は、事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 三被告人ら本人の上告趣意に対する判断被告人Bp、同T、同K、同Aa、同As、同Alの各上告趣意について所論は、憲法違反をいう点もあるが、その実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Jの上告趣意について所論第一点のうち、憲法三七条一項違反をいう点は、記録によつても、公平な裁判所の保障条項違反の証跡は認められないから、所論は前提を欠き、憲法三七条二 あたらない。 被告人Jの上告趣意について所論第一点のうち、憲法三七条一項違反をいう点は、記録によつても、公平な裁判所の保障条項違反の証跡は認められないから、所論は前提を欠き、憲法三七条二項違反をいう点は、その実質は事実の取調に関する原審の裁量に属する措置を非難する単なる法令違反の主張であり、同第二点は、刑法一〇六条は憲法二一条、二八条、三一条に違反する無効の規定であるのにその適用を肯認した原判決の判断は憲法九八条一項に違反するというものであつて、前記のとおり前提を欠く違憲の主張であり、同第三点は、憲法三七条、七六条違反をいうが、その実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第四点は、事実誤認の主張であり、同第五点は、量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Cjの上告趣意について所論のうち、憲法三七条一項違反をいう点は、本件の審理の遅延は同項の保障す - 18 -る迅速裁判の要請に違反するというものであつて、前記のとおり前提を欠く違憲の主張であり、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人Mの上告趣意について所論は、憲法違反、事実誤認、法令違反をいうが、具体的な理由を示していないから、適法な上告理由とは認められない。 被告人Cnの上告趣意について所論のうち、憲法三一条、三八条二項違反をいう点は、記録を検討しても、同被告人の取調に所論の違法のあつた事実は認められず、同被告人の所論供述調書の証拠能力を肯認した原判決の判断に誤りがあるものとは認められないから、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人An、同W、同N、同Br、同Bs、同Z、同 りがあるものとは認められないから、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 被告人An、同W、同N、同Br、同Bs、同Z、同Bb、同Ab、同Bf、同Bj、同Bm、同Cb、同Cm、同Aqの各上告趣意について所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 その余の被告人らの各上告趣意について所論は、事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 昭和五三年九月四日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官大塚喜一郎裁判官吉田豊 - 19 -裁判官本林讓裁判官栗本一夫

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