主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁は,原告らに対し,地方自治法100条1項に基づく出頭及び証言を請求してはならない。 第2事案の概要本件は,浦安市議会(以下「市議会」という)が処分行政庁を設置し,地。 方自治法(以下「法」という)100条1項の規定による選挙人その他の関。 係人の出頭,証言及び記録の提出を請求する権限及び同条に必要な議決事項並びに同条10項の規定により団体等に対し照会をし又は記録の送付を求める権限を処分行政庁に委任したところ,処分行政庁が,原告らに対して,同条1項に基づいて出頭及び証言を請求しようとしているとして,原告らが,その差止めを求めている事案である。 関係法令等(1)法100条1項は,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き,法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ)に関する調査を。 行い,選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができると規定している。同条2項は,民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は,この法律に特別の定があるものを除く外,前項の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に,これを準用すると規定し,但し,過 料,罰金,拘留又は勾引に関する規定は,この限りでないとしている。 (2)同条3項は,同条1項の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が,正当の理由がない 定し,但し,過 料,罰金,拘留又は勾引に関する規定は,この限りでないとしている。 (2)同条3項は,同条1項の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が,正当の理由がないのに,議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは,6か月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処するとしている。 (3)同条7項は,同条2項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは,これを3か月以上5年以下の禁錮に処すると規定している。同条9項は,議会は,選挙人その他の関係人が,3項又は7項の罪を犯したものと認めるときは,告発しなければならないと規定し,但し,虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が,議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは,告発しないことができるとしている。 前提事実(末尾に証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である)。 (1)原告ら原告Aは,株式会社α(旧商号・株式会社β。以下「α」という)の元。 代表取締役,原告Bは,原告Aの娘であり,αの関連会社の株式会社γの元代表取締役であり,αの従業員でもある。 原告Cは,αの会計担当の元取締役,原告Dは,αの顧問会計士である。 (甲4の1,8,弁論の全趣旨)(2)出頭請求に至る経緯ア過去の委員会の設置(ア)市議会は,平成14年12月19日,浦安市長Eの妻であるFが経営する有限会社δが,被告のごみ処理施設である浦安市クリーンセンター(以下「市クリーンセンター」という)の運転管理業務の委託を受。 けていたαから,資金提供を受けたとされる問題について調査を行うた め,法100条1項に基づき,企業からの資金提供問題調査特別委員会(「」。) ンター」という)の運転管理業務の委託を受。 けていたαから,資金提供を受けたとされる問題について調査を行うた め,法100条1項に基づき,企業からの資金提供問題調査特別委員会(「」。),,以下平成14年委員会というを設置し平成14年委員会は平成15年3月18日付けで,調査報告書を議会に提出した。 (甲1,8,弁論の全趣旨)(イ)平成14年委員会では,Fは,平成14年委員会から,法100条1項に基づく出頭及び証言の請求(以下「出頭請求」という)を受け。 たが不出頭であったたため,市議会は,同人が,正当な理由がなく出頭しなかったとして,同人を告発し,同人は,罰金10万円に処せられた(甲1,12,弁論の全趣旨。 )イ処分行政庁の設置,権限の委任(ア)処分行政庁を設置する議案の提案者であるG市議会議員は,平成16年12月16日,市議会において,処分行政庁の設置に係る議案の提案理由の説明において,αからEに資金が提供されたのではないかとされる問題について,Eは,公人としての市長への資金提供ではなく,同()(),,人の妻Fの会社δへの営業対価であると主張しているがEは市長に就任した平成11年1月から同年12月までの1年間,同社の取締役に就任していることが明らかになっており,妻の会社への営業対価であるとの主張が認められるのかどうかが問題の焦点となっている部分である旨,前記資金の性格がどのようなものであるかの調査が引き続き必要であり,関係する証人などに喚問の必要があると考えている旨の発言をしている(甲1,9。 )(イ)市議会は,平成16年12月16日,法100条1項に基づき,αからEに対する資金提供問題を調査するために,企業からの資金提供に関する問題を調査事項として処分行政庁を設置すること, ,9。 )(イ)市議会は,平成16年12月16日,法100条1項に基づき,αからEに対する資金提供問題を調査するために,企業からの資金提供に関する問題を調査事項として処分行政庁を設置すること,法100条1項の規定により選挙人その他の関係人の出頭,証言及び記録の提出を請求する権限及び同条に必要な議決事項並びに同条10項の規定により団 体等に対し照会をし又は記録の送付を求める権限を処分行政庁に委任すること,処分行政庁の委員は20名とすることなどを議決した。 (甲1,9,乙1,弁論の全趣旨)ウ処分行政庁は,平成17年1月12日,委員会を開催し,原告Cを,同年2月4日の委員会に,証人として出頭請求することを決定して,同月17日付けで,市議会議長に対し,原告Cに出頭請求することを申し出た。 市議会議長は,同日付けで,原告Cに対し,同年2月4日に,出頭及び証言を求める旨の以下の事項を記載した証人出頭請求書を発送した。 (ア)事件の件名企業からの資金提供に関する問題(イ)証言を求める事項市クリーンセンター運転管理業務委託におけるαの金銭の収支について及びαからδへの金銭の流れについて(ウ)出頭の日時平成17年2月4日(金曜日)午前10時~午前11時30分(エ)出頭場所浦安市議会議事堂第1会議室(甲10,乙2の1及び2),,,,エ処分行政庁は同年3月28日委員会を開催し原告D及び原告Bを同年4月18日から同月22日までの間に開催される予定の次回の委員会に,証人として出頭請求することを決定し,同月7日付けで,市議会議長に対し,原告D及び原告Bに対して出頭請求することを申し出た。市議会議長は,同月8日付けで,同月22日に,原告D及び原告Bに出頭及び証言を求める旨の以下の事項を記載した証人出頭請求書をそれぞれ発送し に対し,原告D及び原告Bに対して出頭請求することを申し出た。市議会議長は,同月8日付けで,同月22日に,原告D及び原告Bに出頭及び証言を求める旨の以下の事項を記載した証人出頭請求書をそれぞれ発送した。 (ア)事件の件名 企業からの資金提供に関する問題(イ)証言を求める事項被告の委託受注業者であったαとδとの関係について(ウ)出頭の日時a原告D平成17年4月22日(金曜日)午前10時~正午b原告B同日午後1時~午後3時(エ)出頭の場所浦安市議会議事堂第1会議室(甲12,乙3の1ないし3)(3)原告らは,平成17年5月3日,当庁に,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実。 ) 争点 (1)本案前の争点ア出頭請求を抗告訴訟の対象とすることの適否イ出頭請求される蓋然性及び出頭請求されることによる重大な損害を生ずるおそれの有無(2)本案の争点出頭請求に係る裁量逸脱及び濫用の有無 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)ア(出頭請求を抗告訴訟の対象とすることの適否)について(原告らの主張)裁判実務において,証人の不出頭に対する制裁が行われることはほとんどないのに対して,出頭請求の場合には,証人の不出頭の場合の罰金等の制裁が実行されることもまれではなく,出頭請求を受けた場合の証人に与える影 響は,裁判手続の場合とは比べものにならないほど大きい。また,証人の出頭義務の有無について,刑事裁判と民事(行政)裁判において,判断が食い違う可能性は,同一の事項について,刑事裁判と民事裁判において,異なった判断が下されたとしても,格別に違法視されるものではないから,行政処。 ,,分性を判断するための決定的な要素とならないさらに近年の判例学説は行政処分の概念について柔軟化の傾向にあり,実質的な司法審 断が下されたとしても,格別に違法視されるものではないから,行政処。 ,,分性を判断するための決定的な要素とならないさらに近年の判例学説は行政処分の概念について柔軟化の傾向にあり,実質的な司法審査の必要性の観点から,典型的な行政処分とはいえない行為についても,処分性を肯定しているし,学説としても,処分性の有無を具体的な紛争の利益状況や個々の裁判の事例に応じて判断して,個々の案件における国民の権利利益の実効的救済に配慮するという見解が有力に主張されており,このような見解によれば,政治的な観点から委員会の活動が持続されているような事案に関して,それらの一環として実施された出頭請求の脅威にさらされている原告らの権利救済の必要性は明白である。よって,出頭請求の行政処分性は肯定されるべきである。 (被告の主張)出頭請求は,抗告訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 議会から出頭請求や記録提出請求を受けた関係人において,前記各請求が違法であると思料するときは,前記各請求に応じなかつた場合に開始される刑事裁判手続において,拒否の正当理由として前記各請求の違法を主張して争うことができるのであるから,これによって前記各請求を受けた関係人の裁判を受ける権利は保障されているということができ,刑事訴訟手続とは別途に抗告訴訟の対象として行政訴訟手続でも前記各請求を争えるとした場合には,両訴訟における判決の間で矛盾の生ずるおそれがあることをはじめと,。 ,して両訴訟手続の関係について解決困難な問題を生ずることになるまた法100条に基づく地方議会の調査権は,国会における国政調査権と同様の趣旨の下に,地方公共団体の立法機関に対し,その機能を発揮させるために 与えられた極めて重要な権能であり,その行使は充分に尊重されなければならない。したがって,調査権の における国政調査権と同様の趣旨の下に,地方公共団体の立法機関に対し,その機能を発揮させるために 与えられた極めて重要な権能であり,その行使は充分に尊重されなければならない。したがって,調査権の行使の適否を刑事裁判手続の他に更に行政訴訟手続によつて司法審査の対象とすることは相当でないというべきである。 ,,以上の諸点にかんがみると法100条所定の記録提出請求及び出頭請求は前記各請求を受けた関係人に対し,記録の提出や証人としての出頭を義務づけるものではあるけれども,前記関係人において前記各請求に対して不服があるときは,刑事訴訟手続において前記各請求の適否を争わせ,これによって最終的に決すべきものとし,抗告訴訟の対象からは除外しているものと解するのが相当である(静岡地裁昭和56年12月4日判決・行裁集32巻12号2205頁参照。 )したがって,出頭請求は,抗告訴訟の対象たる行政処分に当たらないというべきであり,その差止めを求める本件訴えはいずれも不適法というべきである。 (2)争点(1)イ(出頭請求される蓋然性及び出頭請求されることによる重大な損害を生ずるおそれの有無)について(原告らの主張)(ア)出頭請求される蓋然性について処分行政庁が,原告C,原告D及び原告B(以下「原告Cら3名」という)に対して,出頭請求をした後,原告Cら3名が,出頭を拒否し,こ。 れに対し,処分行政庁が,出頭を求めないことを決定したとしても,この先,原告Cら3名に対して出頭請求をしないという保証はどこにもない。 処分行政庁は,これまで十分な議論も検討もせずに,安易に出頭請求書を原告Cら3名に送付しており,将来の出頭請求の蓋然性がないとする被告の主張は全く信頼できない。 また,原告Aについては八千代市の前市長に対しての贈賄事件で逮捕されたことがあるとい 安易に出頭請求書を原告Cら3名に送付しており,将来の出頭請求の蓋然性がないとする被告の主張は全く信頼できない。 また,原告Aについては八千代市の前市長に対しての贈賄事件で逮捕されたことがあるということが,原告Cら3名について出頭請求をした主た ,。 る根拠と思われ原告Aについても出頭請求される蓋然性があるといえる(イ)重大な損害について出頭請求を受ければ,原告らは,市議会での証言を強制されることになり,憲法13条で保障されたプライバシー権が著しく毀損されることにな。 ,,,るまた出頭請求を原告らが拒否すれば刑事罰を受ける危険性がありいわゆる100条委員会が告発した場合には,捜査が開始されることになる。したがって,出頭請求されることにより,原告らには,重大な損害を生ずるおそれがあるといえる。 (被告の主張)(ア)蓋然性原告Cら3名については,すでに,いずれも出頭を求めない旨を決定しており,出頭請求される蓋然性はない。また,原告Aについても,処分行政庁において,証人候補者の中の1人となっているが,現状において,未だ証人として出頭請求するか否か,審議の対象とはなっておらず,出頭請求される蓋然性はない。 (イ)重大な損害について,「」,原告らは行政事件訴訟法37条の4第1項に定める重大な損害を法100条3項に定める刑罰を受ける危険性である旨主張しているが,不「」,,出頭に正当の理由が存在すれば刑罰を科せられることはない一方で正当な理由のない不出頭に刑罰が科せられることは当然であるから,不出頭が,即,刑罰となり,その結果,重大な損害が生ずるとする原告の主張には理由がない。 (2)争点(2)(出頭請求に係る裁量逸脱及び濫用の有無)について(原告らの主張)処分行政庁の調査が本来の対象を超 ,即,刑罰となり,その結果,重大な損害が生ずるとする原告の主張には理由がない。 (2)争点(2)(出頭請求に係る裁量逸脱及び濫用の有無)について(原告らの主張)処分行政庁の調査が本来の対象を超えてある政治目的のために行われるとしたら,その調査のために出頭請求を受ける被調査人は,著しい人権侵害を 受けることになる。したがって,ある特定の目的をもって設置された委員会が,調査権限行使と称して,なんら当該問題について証言適格を有しないものを出頭させることは,調査権限の濫用となる。 原告Cは,前八千代市長の贈収賄事件において被疑者として逮捕勾留されたが,結局,嫌疑不十分として不起訴処分となったものであり,δの社長が経営する会社に対するαの資金提供問題については,何ら関わりのない者である。また,原告Cは,すでに80歳近い高齢であり,記憶自体もおぼつかないほどの状態である。 原告Bは,αの元代表取締役の原告Aの長女で,αに従業員として勤務しているという以上の関わりはない。したがって,処分行政庁の設置目的にかかわる問題について,証言すべき適格がない。 原告Dは,αの顧問会計士という立場にあるが,すでに同一の問題につい,。 て平成14年委員会において長時間にわたり証人尋問を受けたことがある今回の出頭請求も,いかなる理由で事情を聴くのか何も明らかにされていない。 原告Aは,かつてαの代表取締役の地位にあったが,前八千代市長に対する贈収賄事件で有罪判決を受けた後は,同社の経営から完全に手を引いて,現在は単なる株主たる地位のみにとどまっている。前記事件に関して,警察当局から,浦安市との関係について,長時間にわたり取り調べを受けたが,,。 贈収賄の可能性がないことが判明しこの件で追起訴されることはなかった以上のとおり,本件でされようとしている出頭請求 ,警察当局から,浦安市との関係について,長時間にわたり取り調べを受けたが,,。 贈収賄の可能性がないことが判明しこの件で追起訴されることはなかった以上のとおり,本件でされようとしている出頭請求は,委員会が,解明しようとする問題について,理由,必要性について何ら明らかにせず,ただ関係者という範疇で,いたずらに呼び出そうとしているにすぎず,このような出頭請求は,プライバシー権(憲法13条)の保護に著しく反するものであり,行政権限の濫用となるのであって,差し止められるべきである。 (被告の主張) 原告の主張は争う。 ,,。 処分行政庁は市議会が法100条の規定に基づき設置したものである地方議会の議会活動は,本会議及び委員会で行われ,執行機関に対する批判,監視等の役目を果たすものであるが,地方公共団体の重要な事務の執行状況を明確にするためには,議会ないしその委任を受けた委員会の権限として事件や問題の疑惑に対し,議会ないし委員会が,自ら究明する方法として調査権を発動する必要がある。 したがって,出頭請求が原告らに対してされる場合には,出頭請求をする理由,必要性があって行うものであり,プライバシー権の保護に著しく反するものとはいえない。 第3当裁判所の判断 争点(1)ア(出頭請求を抗告訴訟の対象とすることの適否)について「」(1)抗告訴訟の対象となる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行政事件訴訟法3条2項等)とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照。 ),,,ところで出頭請求を受けた者が正当 確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照。 ),,,ところで出頭請求を受けた者が正当の理由がないのに出頭せず又は証言を拒んだときは,6か月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処せられることとなる(同条3項)ことから,出頭請求を受けた関係人は,指定(「」。)された日時場所に証人として出頭する義務以下出頭証言義務というを負うことになることは明らかである。 しかしながら,まず,法の規定について見ると,仮に,出頭請求自体に対する抗告訴訟等の手続と出頭拒否に対する刑事裁判手続の双方の手続で争えるということになれば,刑事裁判手続で有罪判決が確定した後に,行政訴訟 で出頭請求を違法として取り消すとの判決が出た場合,この判決が,刑事裁判の有罪判決にいかなる影響を与えるかという問題が起こることが容易に予想されるが,法は,その場合の調整についての規定は,一切設けていない。 また,出頭請求を受けたことによる不利益について見ると,法100条2項は,民事訴訟法の証人尋問に関する規定を,同条1項の証言を請求する場合に準用する旨を規定しているが,同条2項但し書きは過料,罰金,拘留又は勾引に関する規定は準用しないこととしており,出頭請求を受けた者が,証人としての出頭を拒否したとしても,過料等を科されたり,勾引されたりするという直接の不利益を被ることはない。そうすると,出頭請求を受けた者が,この時点で被る直接の不利益は,不出頭や証言を拒否した場合に,地方議会の告発に基づく刑事裁判により禁錮又は罰金に処せられる可能性のあることに限定される。したがって,出頭証言義務の内容自体は,前記のとおり,観念的なものと考えられるから,現実の問題としては,関係 方議会の告発に基づく刑事裁判により禁錮又は罰金に処せられる可能性のあることに限定される。したがって,出頭証言義務の内容自体は,前記のとおり,観念的なものと考えられるから,現実の問題としては,関係人の出頭拒否に対して刑罰が科せられようとしている場合に,当該刑事裁判手続で出頭請求の適否を争わせることとしておけば,出頭請求を受けた者の権利保護に欠けるとまでは言えない。 さらに,地方議会の法100条1項の調査権は,国会における国政調査権と同様の趣旨の下に,地方公共団体の立法機関に対し,その機能を十分に発揮させるために与えられたものであり,極めて重要な権能であって,その行使は十分に尊重されなければならないと解される。 以上からすれば,法は,出頭請求については,その請求を受けた関係人に対して,出頭請求の適否を抗告訴訟等の行政訴訟手続で争わせることを予定しておらず,実際に,出頭義務違反等があり,議会が告発した場合に,その刑事裁判手続の中でのみ証人出頭の適否や不出頭の正当理由の有無を争わせることを予定していると解するべきである。 よって,出頭請求は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないとい うべきである。 (2)以上によれば,出頭請求の差止めを求める本件訴えは,いずれも不適法である。 争点(1)イ(出頭請求される蓋然性)について仮に,出頭請求が抗告訴訟の対象となり得るとしても,差止めの訴えは,行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらず,これが「されようとしている場合(行政事件訴訟法3条7項,すなわち,行政庁が一定の処分」)又は裁決をする相当程度の蓋然性がある場合に認められるものであり,その蓋然性があることが訴訟要件となっている。そこで,念のため,本件において,原告らに対して,処分行政庁が,出頭請求をする蓋然性があるかに 裁決をする相当程度の蓋然性がある場合に認められるものであり,その蓋然性があることが訴訟要件となっている。そこで,念のため,本件において,原告らに対して,処分行政庁が,出頭請求をする蓋然性があるかについて検討する。 (1)前記第2の2事実,後掲証拠及び弁論の全趣旨(末尾に証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である)に。 よれば,以下の事実が認められる。 ア原告Cは,前記第2の2(2)ウの出頭請求に対して,平成17年1月19日ころ,健康上の理由等から出頭できない旨を処分行政庁に対して書面で回答し,同年2月4日の出頭期日に出頭しなかった(甲11,弁論の全趣旨。 )イ処分行政庁は,同日,委員会を開催し,前記アの原告Cの不出頭について,健康上の問題からやむを得ないと認められることを決定した。 その一方で,原告Cに処分行政庁の委員を派遣することの承諾を求めることを決定し,市議会事務局長は,同年2月21日付けで,原告Cに対して,前記第2の2(2)ウ(イ)の事項について意見を聴取するために,委員(,,)。 派遣の承諾を求める旨の依頼書を発送した甲2の1 乙2の3これに対し,原告Cは,同年3月4日付けで,処分行政庁に対し,同日付けの診断書を付けて健康上の理由等により,文書による質問に対しては 応ずる旨を書面で回答した(甲2の2,12,弁論の全趣旨。 )ウ処分行政庁は,同年3月28日,委員会を開催し,再度,原告Cに処分行政庁の委員を派遣する承諾を求めることを決定するとともに,次回の委,,員会において証人として出頭請求を求める候補者について議論がなされ当初,原告D,原告B及び原告Aを含む6名が候補者として挙げられていた。 処分行政庁は,まず前記第2の2(2)エのとおり,原告Dを証人として出 て証人として出頭請求を求める候補者について議論がなされ当初,原告D,原告B及び原告Aを含む6名が候補者として挙げられていた。 処分行政庁は,まず前記第2の2(2)エのとおり,原告Dを証人として出頭請求することを決定し,その後2人目の証人として誰を選ぶかが議論となった。 原告Aについては,健康上の問題などから,今回は見送るものとして,次回の委員会で出頭を求める対象者からは除外され,処分行政庁は,次回の委員会で出頭を求める対象者を原告Bを含む3名のうち誰にするか採決した結果,前記第2の2(2)エのとおり,原告Bを証人として出頭請求することを決定した。 (甲12,弁論の全趣旨)エ市議会事務局長は,同年3月31日付けで,原告Cに対して,委員派遣の承諾を求める旨の依頼書を再度発送したが,原告Cはこれに対し,何らの回答もしなかった(甲3,12,弁論の全趣旨。 )オ原告Bは,前記第2の2(2)エの出頭請求に対して,同年4月16日付けで,処分行政庁に,上申書を提出して,証言を求められた事項について証言できる立場にない旨を回答し,同月22日の出頭期日に出頭しなかった(甲4の1ないし3,13。 ),,,カ原告Dは前記第2の2(2)エの出頭請求に対して同月20日付けで出頭できる健康状態にない旨を処分行政庁に対して書面で回答し,同月22日の出頭期日に出頭しなかった(甲5の1ないし3,13。 )キ処分行政庁は,同年4月22日,委員会を開催し,原告D及び原告Bの 不出頭について議論し,いずれもやむを得ないものとして認めることを決定した。 (甲13,弁論の全趣旨)ク処分行政庁は,同年5月24日,委員会を開催し,原告Cに対し,委員派遣を行わないことを決定するとともに,原告D及び原告Bについて,証人として出頭を求めないことを決定した。 13,弁論の全趣旨)ク処分行政庁は,同年5月24日,委員会を開催し,原告Cに対し,委員派遣を行わないことを決定するとともに,原告D及び原告Bについて,証人として出頭を求めないことを決定した。 なお,原告Aの出頭を提案していたH市議会議員(以下「H議員」という)は,本件訴えの提起の問題があるので,原告Aに対する出頭の提案。 を保留するとした。 (甲14,弁論の全趣旨)ケ処分行政庁は,同月30日,原告Cに対して委員派遣を行わない旨を,原告D及び原告Bに対して出頭を求めない旨を,それぞれ連絡した(弁論の全趣旨)(2)原告Cら3名に係る差止めの訴えについて,,,前記第2の2の事実前記(1)の事実によれば原告Cら3名については処分行政庁が既にした出頭請求について,原告Cら3名がいずれも出頭しなかったところ,処分行政庁は,これらの不出頭については,いずれもやむを得ない理由が認められる旨を決定するとともに,原告Cについては,委員派遣についても行わない旨を決定して,これを同人に連絡し,また,原告D及び原告Bについては,出頭請求しない旨を決定して,これらを同人らに連絡していることが認められる。また,本件全証拠によっても,原告Cら3名について,その後,再度の出頭請求をするか否かについての議論が委員会でされたなどの事情は認められない。このような状況の下では,原告Cら3名について,将来はともかくとして,現時点において,出頭請求される相当程度の蓋然性があるとは認められず出頭請求がされようとしている場合行,「」(政事件訴訟法3条7項)ということはできない。 よって,原告Cら3名に係る出頭請求の差止めの訴えは,いずれも不適法である。 (3)原告Aに係る差止めの訴えについて前記第2の2の事実,前記(1)の事実によれば,原告A いうことはできない。 よって,原告Cら3名に係る出頭請求の差止めの訴えは,いずれも不適法である。 (3)原告Aに係る差止めの訴えについて前記第2の2の事実,前記(1)の事実によれば,原告Aについては,平成17年3月28日の委員会で,出頭請求の対象候補者6名うちの1人とされていたが,その際,健康上の問題などから,原告Aは,出頭請求を行う者を決めるための採決の対象から除外され,原告Bを含む3名を対象として採決を行った結果,原告Bに出頭請求することが決定されたこと,さらに,同年5月24日の委員会においては,原告Aを出頭請求の候補者として提案した委員の一人であるH議員が,原告Aを出頭請求の対象とすることを保留する旨の発言をしていることが認められるが,本件全証拠によっても,その後,委員会において,原告Aに対して出頭請求するかどうかが議論された等の事情は認められない。 前記事実関係の下では,原告Aは,過去の委員会において,出頭請求の対象となる候補者のうちの一人となってはいたが,現在も出頭請求の対象となる候補者であるかは明らかではなく,今後,出頭請求されないことも考えられるから,将来はともかくとして,現時点において,出頭請求される相当程度の蓋然性があるとは認められず,出頭請求が「されようとしている場合」(行政事件訴訟法3条7項)ということはできない。 よって,原告Aに係る出頭請求の差止めの訴えは不適法である。 結論 以上によれば,本件訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官山口博裁判官前澤達朗裁判官高石直樹 官山口博裁判官 前澤達朗裁判官 高石直樹
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