令和6(わ)2256 弁護士法違反

裁判年月日・裁判所
令和6年11月18日 大阪地方裁判所
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判決文本文1,684 文字)

主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、弁護士であるが、A、B、C及びDが、Eらと共謀の上、いずれも弁護士でなく、かつ、法定の除外事由がないのに、報酬を得る目的で、業として、別表(別表省略)記載のとおり、令和4年12月14日頃から令和5年7月30日頃までの間、横浜市(住所省略)において、Fら17名から、同人ら被害の詐欺に係る損害賠償請求等の法律事件に関する相談を受け、その損害賠償請求手続等につき同人ら17名に電話をかけるなどして助言、指導し、同事件に係る示談交渉を受任する旨の委任契約を締結するなどの法律事務を取り扱い、同人ら17名から着手金合計1811万2500円を受領し、もって業として法律事件に関して法律事務を取り扱った際、前記日時場所において、前記法律事件に関する法律事務を取り扱わせ、同事件の委任契約書の受任弁護士欄に自己の氏名を記載させるなどし、もって法律事件に関して法律事務を取り扱うことを業としていた者に自己の名義を利用させた。 (証拠の標目)(省略)(法令の適用)(省略)(量刑の理由)本件は、弁護士である被告人が、弁護士以外の者が詐欺被害回復のための法律事務を取り扱った際、自己の名義を利用させたという弁護士法違反の事案である。 詐欺被害回復の相談を受け、その損害賠償請求手続等につき助言、指導し、示談 交渉を受任する旨の委任契約を締結するといった法律事務は専門的知識等を要するものであり、これらの法律事務を弁護士でない事務員に行わせることは、依頼者の利益を損ないかねないものであり、現に依頼者の利益を損ねてもいる。被告人は、弁護士事務所とは別の事務所に勤務した多数の事務員が前記法律事務を取り扱 律事務を弁護士でない事務員に行わせることは、依頼者の利益を損ないかねないものであり、現に依頼者の利益を損ねてもいる。被告人は、弁護士事務所とは別の事務所に勤務した多数の事務員が前記法律事務を取り扱うに当たり継続的に名義を利用させていたが、本件犯行においては、7か月余りのうちに17名の者に合計約1800万円という多額の着手金を支払わせており、本件犯行は組織的かつ大規模に行われたものであり、非弁護士による法律事務の取扱いに弁護士の名義を利用させることを禁止する法の趣旨に大きく反するだけでなく、弁護士に対する信頼をも大きく損なわせる悪質なものといえる。 被告人は、Cから本件に関与することを持ち掛けられた立場ではあるが、そもそも本件自体弁護士である被告人なくしてはなし得ないものであるし、Cから話を持ち掛けられた時点で断ることも可能であったにもかかわらず、新規事業に対する興味や売上を上げたいという気持ちからCの話に応じ、本件犯行に及んでいる。しかも、被告人が利益の約3割という高額の報酬を受け取っていたことも考慮すると、被告人は強い非難に値する。 以上のことからすれば、被告人の刑事責任を軽視することはできない。 もっとも、A、B、C及びDが17名の依頼者全員に被害弁償をしたことにより示談が成立し、そのうち10名が被告人に対しても宥恕の意思を示していることや、被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、被告人に前科前歴がないこと、出廷した被告人の妻が今後の監督を誓約していること、被告人について破産手続が開始し、被告人の財産から実質的に被害弁償がなされる可能性があること、被告人が弁護士会から懲戒処分を受けるなどの社会的制裁を受けていることなどの酌むべき事情も認められる。 そこで、被告人を主文の刑に処した上、その刑の執行を猶予することとした。 主文 る可能性があること、被告人が弁護士会から懲戒処分を受けるなどの社会的制裁を受けていることなどの酌むべき事情も認められる。そこで、被告人を主文の刑に処した上、その刑の執行を猶予することとした。(求刑懲役2年)令和6年11月18日 大阪地方裁判所第12刑事部 裁判官中井太朗

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