令和6(わ)472 詐欺

裁判年月日・裁判所
令和7年2月28日 大津地方裁判所
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判決文本文5,956 文字)

令和7年2月28日宣告令和6年(わ)第472号詐欺被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 〔罪となるべき事実〕被告人は、A県議会議員として、A県議会の会派であるB党A県議会議員団に所属するなどし、平成29年度から令和4年度までの間、議員の調査研究その他の活動経費に充てることができる政務活動費として、A県から、毎年度240万円(ただし、平成31年度は20万円、令和元年度は220万円)の交付を受けていたものであるが、各年度経過後、遅滞なく政務活動費の支出に係る領収書等の写しを添付した政務活動費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)をA県議会議長宛に提出し、その年度に受領した政務活動費の総額から、その年度の政務活動費の支出総額を控除した金額を返還しなければならないのに、政務活動費である人件費、広聴広報費又はその双方に係る内容虚偽の領収書を添付して支出額を水増しした収支報告書を提出し、その水増し額に相当する政務活動費の返還を免れようと考え第1 平成29年度の政務活動費に関し、真実は、長女のCに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計242万0936円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が0円となる旨記載するとともに、別表1(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義である合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付して、平成29年度分の同議会議長宛て収支報 告書を作成した上、平成30年4月27日頃、大津市(以下省略)所在の とおり、いずれもC名義である合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付して、平成29年度分の同議会議長宛て収支報 告書を作成した上、平成30年4月27日頃、大津市(以下省略)所在のA県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月31日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する49万9064円の返還を免れ第2 平成30年度の政務活動費に関し、真実は、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計242万2795円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が0円となる旨記載するとともに、別表2(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義の合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付して、平成30年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、平成31年4月19日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、令和元年5月29日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する49万7205円の返還を免れ第3 平成31年度の政務活動費に関し、真実は、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として6万5000円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた3万2 し、真実は、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として6万5000円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた3万2500円も計上した合計6万6292円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が13万3708円となる旨記載するとともに、C名義の6万5000円の内容虚偽の領収書の写しを添付して、平成31年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、令和元年5月24日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命に より補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年7月2日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する3万2500円の返還を免れ第4 令和元年度の政務活動費に関し、真実は、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として合計97万5000円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた48万7500円も計上した合計217万4311円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が2万5692円となる旨記載するとともに、別表3(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義である合計97万5000円の内容虚偽の領収書13通の写しを添付して、令和元年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、令和2年4月28日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月27日頃、同人にその旨確 職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月27日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する48万7500円の返還を免れ第5 令和2年度の政務活動費に関し、真実は、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、Cに調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように装い、同給与につきその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計213万8533円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が26万1477円となる旨記載するとともに、別表4(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義である合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付して、令和2年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、令和3年4月23日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関す る決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月28日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する52万円の返還を免れ第6 令和3年度の政務活動費に関し、真実は、県政報告第31号から第34号の発行費用として合計113万3067円しか支出しておらず、また、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、県政報告第31号から第34号の発行費が223万7632円であり、かつ、Cに調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように装い、同給与についてはその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計299万0090円の政務活動費の支出があり、 に調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように装い、同給与についてはその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計299万0090円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が0円となる旨記載するとともに、別表5-1(添付省略)記載のとおり、いずれもD株式会社代表取締役E名義の合計223万7632円の内容虚偽の領収書4通の写しと、別表5-2(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義の合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付した令和3年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、令和4年4月8日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月25日頃、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する216万7542円の返還を免れ第7 令和4年度の政務活動費に関し、真実は、県政報告第35号の発行費用として27万4412円しか支出しておらず、また、県政報告第36号の発行費用として支出した57万2659円から実際の発行費用である28万6329円との差額である28万6330円については前記D株式会社から還付を受ける約束となっており、さらに、Cに調査業務補助員の給与を支払った事実はないのに、県政報告第35号及び第36号の発行費が112万1483円であり、かつ、Cに調査業務補助員の給与として合計104万円を支払ったかのように 装い、同給与についてはその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計192万9295円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が47万0706円となる旨記載するとと 装い、同給与についてはその半額が収支報告書に計上する旨許されていた52万円も計上した合計192万9295円の政務活動費の支出があり、そのため政務活動費の残余が47万0706円となる旨記載するとともに、別表6-1(添付省略)記載のとおり、いずれも前記E名義の合計112万1483円の内容虚偽の領収書2通の写しと、別表6-2(添付省略)記載のとおり、いずれもC名義の合計104万円の内容虚偽の領収書14通の写しを添付した令和4年度分の同議会議長宛て収支報告書を作成した上、令和5年4月16日頃、前記A県議会事務局において、同議会事務局職員を介して、同議会議長の任命により補助金等の額の確定に関する決裁権者である同議会事務局次長兼総務課長に前記収支報告書を提出し、同人をしてその旨誤信させ、よって、同年5月22日頃から同月31日頃までの間に、同人にその旨確定させ、政務活動費の残余の額に相当する164万1483円の返還を免れもってそれぞれ人を欺いて財産上不法の利益を得たものである。 〔証拠の標目〕(省略)〔法令の適用〕(省略)〔量刑の理由〕本件は、A県議会議員を務めていた被告人が、平成29年度から令和4年度までの6年間にわたり、交付された政務活動費の残余分の返還を免れるために、人件費や広聴広報費の支出に関する虚偽内容の領収書を添付した収支報告書を県議会事務局に提出し、584万円余りの返還を免れ、財産上不法の利益を得ていた事案である。 被告人が返還を免れた政務活動費の残余分は多額で、この種事案の中でも被害結果は大きい。被告人は、政務活動費に係る収支報告書に架空の支出額を記載するために、人件費に関しては、婚姻により改姓していた長女について、勤務実態や給与等の支払がないにもかかわらず、調査業務補助員としての給与や賞与を支払った旨の虚偽 係る収支報告書に架空の支出額を記載するために、人件費に関しては、婚姻により改姓していた長女について、勤務実態や給与等の支払がないにもかかわらず、調査業務補助員としての給与や賞与を支払った旨の虚偽内容の領収書を作成し、広聴広報費に関しては、広報のために発行していた 県政報告の印刷を発注していた印刷会社に対し、実際の代金より水増しした金額での領収書を発行させ、さらに、印刷会社から水増しした金額での領収書発行を拒まれるようになると、一旦、実際の代金の倍額を印刷会社に支払ってその旨の領収書を発行させた上で、後で水増しした倍額分を自らの政治団体への寄付という形で実質的に返還させていた。被告人が6年間のうちに収支報告書に添付していた虚偽内容の領収書は89枚にのぼり、周到に計画され、長期にわたって繰り返された巧妙かつ狡猾で、常習的な各犯行態様の悪質性は相当に高い。 A県において、政務調査費は、議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、県議会の会派及び議員に交付されるもので、政務活動費を充てることができる経費の範囲は条例により限定されている。被告人は、返還を免れた政務活動費の使途について、専ら自身の議員活動のために使用していたかのように述べるが、当初は親族への援助を企図していたようなところも窺われる上、研究その他の活動に資するため必要な経費という趣旨に沿うものであれば政務調査費として適切に収支報告を行えば足りるはずであり、議員活動のためであっても本来条例等で定められた使途の基準等から逸脱しているのなら、政務活動費からの支出は正当化されるものではない。長年県議会議員の地位にあった被告人が、政務調査費等の意義や制度の趣旨を無視して、議員としての倫理観に欠ける本件各犯行に及んで、A県に多大な損害を被らせるとともに、議会や議員に 化されるものではない。長年県議会議員の地位にあった被告人が、政務調査費等の意義や制度の趣旨を無視して、議員としての倫理観に欠ける本件各犯行に及んで、A県に多大な損害を被らせるとともに、議会や議員に対する県民の信頼を裏切ったことについての責任非難の程度は重い。 以上のような犯情に照らすと、被告人の刑事責任は重い。他方で、被告人は起訴に係る詐取金額について遅延損害金を含めた額を返還する旨申し出て、返還を求められた詐取金額分は支払済みであり、本件各犯行による財産的被害は事後的に一応回復していることは量刑上相応に考慮すべきである。そのほか、被告人が議員を辞職し、今後は政治活動を行わない意向を示した上で、公判においても本件各犯行を争わず、反省の言葉を述べていること、量刑上特に不利に考慮すべき前科はなく、二男が今後の監督を約束しており、本件が広く報道されて一定の社会的制裁を受け たといえること等の被告人のために酌むべき事情も認められる。 以上の諸事情を考慮して、本件については、被告人を主文の刑に処してその刑事責任を明らかにした上で、刑の執行を猶予するが、詐取金額や手口の悪質性等に鑑み、猶予の期間は長期とするのが相当であると判断した。 〔求刑懲役1年6月〕令和7年2月28日大津地方裁判所刑事部裁判官谷口真紀

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