平成30(ワ)233等 損害賠償請求事件,損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成31年4月11日 大阪地方裁判所
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判決文本文21,182 文字)

- 1 -平成31年4月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第233号損害賠償請求事件(A事件)平成30年(ワ)第3589号損害賠償等請求事件(B事件)口頭弁論終結日平成31年2月5日判決 原告一般社団法人日本ウクライナ結婚支援協会同訴訟代理人弁護士金京美被告 HK2 International合同会社被告 P1被告ら訴訟代理人弁護士山口真美 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 A事件被告らは,原告に対し,連帯して330万円及びうち230万円については平成28年7月21日から,うち100万円については平成27年1月15日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 B事件 (1) 被告らは,原告に対し,連帯して150万円及びこれに対する平成30年1月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被告らは,別紙1記載の各投稿記事を削除せよ。 (3) 被告らは,別紙2記載の掲載場所に同別紙記載の文言の謝罪文を投稿し,同別紙記載の条件で掲載せよ。 第2 事案の概要- 2 - 1 請求の要旨(1) A事件は,原告が,①被告らが後記の本件ブログに後記の本件投稿1から4の投稿をしたこと,②被告らが本件ブログに本件投稿1から本件投稿4へのリンクを貼ったこと,③被告らが従業員を介してウクライナ国内の結婚相談所に後記の誹謗中傷行為を行ったことが,原告の名誉ないし信用を毀損 稿をしたこと,②被告らが本件ブログに本件投稿1から本件投稿4へのリンクを貼ったこと,③被告らが従業員を介してウクライナ国内の結婚相談所に後記の誹謗中傷行為を行ったことが,原告の名誉ないし信用を毀損する共同不法行為であ ると共に不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に該当すると主張して,被告らに対し,民法709条及び719条又は不正競争防止法4条に基づき(選択的併合),連帯して330万円の損害賠償及びうち①②による損害の230万円については複数の一連の投稿から成る本件投稿1の最初の投稿の日である平成28年7月21日から,③による損害の100万円については③の行われた日よりも後の日で ある平成27年1月15日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 (2) B事件は,①被告らが本件ブログに後記の本件投稿5の投稿をしたこと,②被告らが本件ブログに本件投稿5へのリンクを貼ったことが原告の名誉ないし信用を毀損する共同不法行為であると共に不正競争防止法2条1項15号の不正競争 行為に該当すると主張して,被告らに対し,(ア)民法709条及び719条又は不正競争防止法4条に基づき(選択的併合),連帯して150万円の損害賠償及びこれに対する本件投稿5の投稿日の翌日である平成30年1月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,(イ)人格権に基づく本件投稿5の削除,(ウ)民法723条に基づく謝罪文の掲載を請求した事案である。 2 前提事実(後掲証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。なお,本判決で書証を掲記するに当たっては,A事件の弁論[B事件の弁論併合後を含む]で提出された書証は「甲A1」などと,B事件の弁論[A事件への弁論併合前のもの]で提出され により容易に認められる。なお,本判決で書証を掲記するに当たっては,A事件の弁論[B事件の弁論併合後を含む]で提出された書証は「甲A1」などと,B事件の弁論[A事件への弁論併合前のもの]で提出された書証は「甲B1」などと表記し,枝番号の全てを含むときはその記載を省略する。) (1) 当事者- 3 -原告は,主にウクライナ人女性と日本人男性との結婚を支援することを目的とする一般社団法人であり,傘下のウクライナ現地法人として,有限責任会社JPCOMPANY(以下「原告現地法人」という。)がある(甲A7,13,乙A1)。 被告HK2 International合同会社(以下「被告会社」という。) は,「Harmony」(又は「ハーモニー」)の名称で,主にロシア・ウクライナ人女性と日本人男性との結婚を支援することを業とする合同会社であり,被告P1はその代表社員である。 (2) 原告も被告会社も,ウクライナにおいて,現地の結婚相談所との業務提携を図っており,原告の理事であるP2は,原告現地法人の代表者として活動してい た(甲A13)。 (3) 被告P1は,その開設した「ロシアウクライナ国際結婚 Harmony運営ブログ」(以下「本件ブログ」という。)において,被告会社の代表者として,別紙3「本件での投稿」の1から4の投稿をしたほか,本件ブログ及びその管理する別紙1のホームページ等において,別紙3の5の投稿をした(以下,略称は 同別紙記載のものによる。)。 (4) 原告は,平成30年1月以降,本件ブログにおいて,新たに記事を投稿する際,本件投稿1から本件投稿5へのリンクを貼った(甲A11,12)。 3 争点(1) 一般不法行為(名誉ないし信用毀損)関係 ア本件各投稿関係 ログにおいて,新たに記事を投稿する際,本件投稿1から本件投稿5へのリンクを貼った(甲A11,12)。 3 争点(1) 一般不法行為(名誉ないし信用毀損)関係 ア本件各投稿関係(ア) 本件各投稿が原告の名誉を毀損するものか(争点1)(イ) 本件各投稿についての真実性の抗弁の成否(争点2)(ウ) 被告らが本件各投稿へのリンクを貼ったことが原告の名誉を毀損する不法行為を構成するか(争点3) イ被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して原告の誹謗中傷行為を行- 4 -ったか(争点4)(2) 不正競争行為関係ア本件各投稿が不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に当たるか(争点5)イ被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して不正競争防止法2条1項 15号の不正競争行為をしたか(争点6)(3) 原告の損害額(争点7)(4) 本件投稿5の削除及び謝罪文掲載の要否(争点8)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件各投稿が原告の名誉を毀損するものか)について 【原告の主張】(1) 本件投稿1について本件投稿1では,5回にわたる投稿で何度も原告の名前を出していることや,P3を批判する投稿のはずが,何の前触れもなく突然原告の名前を持ち出していることから,原告がP3による名誉毀損行為に関与したと一般読者が思うに十分 なものである。仮に被告らが主張するように,「ただし,同支援協会の誹謗中傷への関与は不明です。」との記載によって原告の名誉を守ろうとしたのであれば,単に初めから原告の名前を出さなければ足りるのであり,同記載は,責任逃れのための安易な便法にすぎない。 したがって,本件投稿1は原告の名誉を毀損するものである。 の名誉を守ろうとしたのであれば,単に初めから原告の名前を出さなければ足りるのであり,同記載は,責任逃れのための安易な便法にすぎない。 したがって,本件投稿1は原告の名誉を毀損するものである。 (2) 本件投稿2について本件投稿2では,本件投稿1と同じ文言で何度も原告の名前を出していることや,P4を批判する投稿のはずが,何の前触れもなく,「警察によれば,驚くべき事に」などと原告とP4が提携関係にあったことまでを読者に強く訴えかけて,突然原告の名前を持ち出していることなどから,原告がP4による名誉毀損行為に 関与したと一般読者が思うに十分なものである。 - 5 -したがって,本件投稿2は原告の名誉を毀損するものである。 (3) 本件投稿3について本件投稿3は,原告が元会員の男性から3000万円をだまし取ったとの本件新潮記事を貼り付けた上で,まだ原告と元会員の裁判の決着がついていないにもかかわらず,「同業他社が,このような所為をして男性会員を騙してるのでしたら, 極めて残念な事です。」と記載することにより,一般読者にそれが真実であるかのように思わせるものである。 したがって,本件投稿3は原告の名誉を毀損するものである。 (4) 本件投稿4(甲A9のもの)について本件投稿4は,「年末年始のお知らせ」の中で,「『週刊新潮』などにより, その営業実態も露呈して,今後更に解明していく事と存じます。」と記載しており,僅か3週間前に本件投稿3がされたことを考慮すると,原告が元会員の男性から3000万円をだまし取ったことが真実であると一般読者が受け取るに十分なものである。 したがって,本件投稿4は原告の名誉及び信用を毀損するものである。 (5) 本件投稿5について本件 0万円をだまし取ったことが真実であると一般読者が受け取るに十分なものである。 したがって,本件投稿4は原告の名誉及び信用を毀損するものである。 (5) 本件投稿5について本件投稿5は,原告がその管理するホームページで,「日本で唯一,ウクライナ政府公認の結婚相談所」などと称し,原告現地法人の定款を「ウクライナ政府公認の営業許可証」と表記したことについて,ウクライナには結婚相談事業を行うについて営業許可は不要なので原告の投稿は虚偽である旨を述べるものであり,そ れにより,原告が故意に定款を営業許可証と偽って集客していたと一般読者が思うに十分なものである。 したがって,本件投稿5は原告の名誉及び信用を毀損するものである。 【被告らの主張】(1) 本件投稿1について 本件投稿1で原告の名が出てくる箇所は,あくまでP3の紹介にとどまる- 6 -箇所であり,名誉毀損の被害者である被告らが,その被害を訴えるに当たり,名誉毀損行為をした人物がどのような人物であるかについて言及することは何ら不自然なことではない。かつ,あえて「同支援協会の誹謗中傷への関与は不明です。」と明言して,一般読者がP3の誹謗中傷行為と原告との間に何らかの関係があると思わないように注意を喚起しているのであるから,原告がP3による名誉毀損行為に関 与したと一般読者が思うに足りるものではない。 したがって,本件投稿1は原告の名誉を毀損するものでない。 (2) 本件投稿2について本件投稿2は,被告会社に対するウェブサイト上の名誉毀損行為について,発信者の一人としてP4が特定されたことを報告するもので,本件投稿1と同様に, 原告がP4による名誉毀損行為に関与したと一般読者が思うに足りるものではない。 したがって,本件 損行為について,発信者の一人としてP4が特定されたことを報告するもので,本件投稿1と同様に, 原告がP4による名誉毀損行為に関与したと一般読者が思うに足りるものではない。 したがって,本件投稿2は原告の名誉を毀損するものでない。 (3) 本件投稿3について本件投稿3は,本件新潮記事を紹介した上で,被告会社を含めた業界全体が国際結婚の支援を目的とした業者として運営に問題がないことを読者に訴えるも のであり,本件新潮記事については,それが掲載されていたという事実を記載したにすぎず,その内容が真実であるかのように訴える記載は一切ない。原告が問題とする「同業他社が,このような所為をして男性会員を騙しているのでしたら,極めて残念な事です。」との箇所は,あくまで仮定の形で,しかも「同業他社」についての一般論としての意見表明にとどめており,それが業界内でまかり通ってはならな いという意味で「残念な事」と表現しているのである。 したがって,本件投稿3は原告の名誉を毀損するものでない。 (4) 本件投稿4について本件投稿4では,本件新潮記事の内容が真実であるかのように訴える記載は一切なく,「更に解明されていく事を願って」というのも,被告らの業界全体がそ のような行為を行っているわけではないことを表明する趣旨である。 - 7 -したがって,本件投稿4は原告の名誉を毀損するものでない。 (5) 本件投稿5について本件投稿5は,原告が単なる会社定款を営業許可証としてホームぺージに掲載していたという客観的事実を記載したものであり,原告が殊更に営業資格を詐称したものなどとは述べておらず,一般読者がそのように考えるともいえない。 したがって,本件投稿5は原告の名誉を毀損するものでない。 2 争点2 を記載したものであり,原告が殊更に営業資格を詐称したものなどとは述べておらず,一般読者がそのように考えるともいえない。 したがって,本件投稿5は原告の名誉を毀損するものでない。 2 争点2(本件各投稿についての真実性の抗弁の成否)について【被告らの主張】(1) 国際結婚は,少子化,晩婚化が進む日本において,その社会的重要性を増しており,それに従ってその紹介業も重要性を増しており,特にロシア,ルーマニ ア及びウクライナの3か国は,日本人男性の国際結婚も多い。したがって,結婚紹介業の実態は公共の利害に関する事実である。 (2) 本件投稿1及び2は,P3やP4の名誉毀損行為という公共の利害に関わる事実を内容とするものであり,それを記載することにより公益を図る目的があり,被告らが発信者情報開示訴訟及び名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟において勝訴 したこと等はいずれも真実である。 (3) 本件投稿3及び4の本件新潮記事は,原告が詐欺を行っているという公共の利害に関する事実であり,それを転載することには公益の目的がある。さらに,被告らは,同記事の被害者の男性から,同記事の内容が真実である旨の確認も取っているから,内容も真実である。 (4) 本件投稿5については,国際結婚の紹介業について営業許可証が発行されるのか否か,それが業界唯一のものかは多くの国民にとって重大な関心事であり,公共の利害に関する事実である。また,その点についての誤解が生じないように注意を喚起することには公益を図る目的がある。そして,原告が営業許可証とするものが単なる会社定款であり,ウクライナに営業許可証が存在しないことは真実であ る。 - 8 -(5) したがって,本件各投稿をしたことについては違法性が阻却される。 【原告 可証とするものが単なる会社定款であり,ウクライナに営業許可証が存在しないことは真実であ る。 - 8 -(5) したがって,本件各投稿をしたことについては違法性が阻却される。 【原告の主張】(1) 本件各投稿は,いずれも日本人男性を対象とし,ヨーロッパ人女性との結婚を仲介するという極めてニッチな市場における同業者間の争いを内容とするものにすぎず,ほとんどの国民にとって全く関心のない事実あるし,社会的に問題にな っている事実でもない。また,大手業者であればまだしも,原告は知名度の全くない零細業者である。これらからすると,本件各投稿はいずれも公共の利害に関する事実を記載するものではない。 (2) 本件投稿1ないし3については,被告らは,それらの投稿後の投稿に際して本件投稿1ないし3へのリンクを貼り続け,その数は平成30年1月以降でも少 なくとも37回にわたっているが,被告らの信用を回復するためであればこのようなリンクを貼り続ける必要はないから,被告らには,それらにより原告の名誉を毀損することで報復を果たそうとする積極的な害意がある。 次に,本件投稿4については,被告らが,投稿後,別紙3の4のとおり内容を変更したのは,原告からの責任追及を免れるためであり,被告らが害意をもって本件 投稿4をしたことを物語っている。 また,本件投稿5については,被告らは,原告が本件投稿5で対象とした原告のホームページの記載を削除した後も,80回にもわたって新たな投稿に際して本件投稿5へのリンクを貼り続けており,被告らが害意をもって本件投稿5をしたことを物語っている。 したがって,被告らの本件各投稿は,公益目的によるものではない。 (3) 本件投稿1及び2で被告らが記載した,原告がP3やP4の名誉毀損行為に関与してい 投稿5をしたことを物語っている。 したがって,被告らの本件各投稿は,公益目的によるものではない。 (3) 本件投稿1及び2で被告らが記載した,原告がP3やP4の名誉毀損行為に関与しているとの事実は虚偽であり,P3が自身による名誉毀損行為をした時点では原告のスタッフではなく,P4は原告と提携関係にはない。本件投稿3及び4で被告らが真実であると記載した,本件新潮記事の内容も虚偽である。 また,本件投稿5については,ウクライナでは開業の際に定款の認証や税務署へ- 9 -の開業届を怠った場合に,何ら罰則のない日本とは異なり厳しい刑事罰を課されることになるから,日本語で「定款」と翻訳される語のウクライナでの意味合いを,「営業許可証」と同等の効力を有するものと解釈するのは自然である。したがって,原告がウクライナで「定款」とされるものを「営業許可証」と翻訳したことに誤りはなく,それが虚偽であるとの本件投稿5は虚偽の事実を記載したものである。 (4) 以上より,本件各投稿の違法性は阻却されない。 3 争点3(被告らが本件各投稿へのリンクを貼ったことが原告の名誉を毀損する不法行為を構成するか)について【原告の主張】被告らは,新しい投稿をするたびに本件投稿1ないし本件投稿5へのリンクを 貼り続けており,これにより原告の名誉毀損は日々刻々と拡大しているから,これらは不法行為を構成する。 特に,被告らは,原告が,本件投稿5が対象とした原告のホームページの記載を削除した後も,80回にもわたって新たな投稿に本件投稿5へのリンクを貼り続けており,これは,被告らが原告の社会的評価を低下させようとする害意をもって行 った行為であり,原告に対する不法行為を構成する。 【被告らの主張】被告らは,本件各投稿を1回しか を貼り続けており,これは,被告らが原告の社会的評価を低下させようとする害意をもって行 った行為であり,原告に対する不法行為を構成する。 【被告らの主張】被告らは,本件各投稿を1回しか行っておらず,その後のリンクは,本件ブログの各記事のフッターにそれらの表題を掲示して貼ったものにすぎない。したがって,それらの表題から特に記事の内容を知ることはできないし,他人の表示してい る情報を自己の記事に取りこんでいると評価できるようなものでもなく,新たな事実の摘示といえるものではないから,不法行為を構成するものではない。 また,被告らは,原告による対象記事の削除を確認した段階で本件投稿5とそのリンクを削除した。 4 争点4(被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して原告の誹謗中傷行為 を行ったか)について- 10 -【原告の主張】被告らは,平成26年から平成27年にかけて,当時被告会社の従業員であったP5を介して,ウクライナ国内のハリコフ,ポルタバ,キエフ,ニコライフといった複数の結婚相談所に,P2について,「彼はスキャマー(金銭目的の詐欺師)であり,日本の警察と大きな問題を抱えていて,日本に来ることができないからずっ とキエフにいる。」との電話をした(以下「本件告知行為」という。)。 これは原告の信用を害する事実を流布したものであるから,原告に対する不法行為を構成する。 【被告らの主張】P5は,被告会社がウクライナの現地の結婚相談所と業務提携をする際に,そ の仲介及び通訳を委託していた個人事業主であり,被告会社の従業員ではないから,同人の行為が被告らの行為と評価されるものではない。 また,P5が本件告知行為をした事実はない。P5は,平成27年頃,現地のポルタバにある結婚相談所の責任者に被告 り,被告会社の従業員ではないから,同人の行為が被告らの行為と評価されるものではない。 また,P5が本件告知行為をした事実はない。P5は,平成27年頃,現地のポルタバにある結婚相談所の責任者に被告会社との業務提携を持ちかけたところ,同責任者は,以前にウクライナ人女性をP2が薦める日本人男性に紹介したことがあ ったが,その日本人男性との間でトラブルがあり大変な思いをしたとして,業務提携を断ったことがあった。その後,P5は,ハリコフにある結婚相談所の共同代表者から,現地女性の訪日時のエスコートを依頼された際,P2が紹介する日本人のエスコートをするという話であったことから,上記の責任者から聞いた日本人男性とのトラブルの話を伝えて断っただけであり,原告の名も出していない。 5 争点5(本件各投稿が不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に当たるか)について【原告の主張】争点1ないし3での原告の主張のとおり,本件各投稿は,被告らが原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したものであるから,不正競争防止法2条1項 15号の不正競争行為に当たる。 - 11 -【被告らの主張】争点1ないし3での被告らの主張のとおり,本件各投稿は,被告らが原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したものでない。 6 争点6(被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為をしたか)について 【原告の主張】争点4での原告の主張のとおり,本件告知行為は,被告らが原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したものであるから,不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に当たる。 【被告らの主張】 争点4での被告らの主張のとおり,被告らが本件告知行為をしたことはない 害する虚偽の事実を告知したものであるから,不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に当たる。 【被告らの主張】 争点4での被告らの主張のとおり,被告らが本件告知行為をしたことはない。 7 争点7(原告の損害額)について【原告の主張】(1) 本件投稿1ないし4は,それによって原告の名誉が害されただけでなく,その後の投稿にリンクが貼り続けられたことによってその損害が拡大した。それに よる損害は200万円を下らない。 (2) 本件投稿5も,それによって原告の名誉が害されただけでなく,その後の投稿にリンクが貼り続けられたことによってその損害が拡大した。それによる損害は100万円を下らない。 (3) 本件告知行為も,それによって原告の信用が害されただけでなく,現地の 結婚相談所から提携関係を結ぶことを断られた。それによる損害は150万円を下らない。 (4) 本件各投稿による名誉毀損行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当額は,30万円を下らない。 【被告らの主張】 争う。 - 12 - 8 争点8(本件投稿5の削除及び謝罪文掲載の要否)について【原告の主張】本件投稿5によって原告の名誉が侵害されているから,原告は,被告らに対して本件投稿5の削除を求める必要がある。 また,本件投稿5によって侵害された原告の名誉を回復するには,謝罪文の掲載 が必要である。 【被告らの主張】争う。 第4 争点に対する当裁判所の判断 1 争点1(本件各投稿が原告の名誉を毀損するものか),争点2(本件各投稿に ついての真実性の抗弁の成否)について(1) 本件投稿1について原告は,本件投稿1の投稿は,それを読んだ一般読者に,P3による被告らに対する名誉毀損行為に原 ,争点2(本件各投稿に ついての真実性の抗弁の成否)について(1) 本件投稿1について原告は,本件投稿1の投稿は,それを読んだ一般読者に,P3による被告らに対する名誉毀損行為に原告が関与したと思わせるに十分なもので,それにより原告の名誉が毀損されたと主張する。 しかし,本件投稿1では,別紙3の1のとおり,被告らの名誉を毀損する投稿をした者がP3であることが判明したことや,被告らがP3を相手取った名誉毀損に基づく損害賠償請求を認容する判決が下されたこと,そのP3が,同業他社である国際結婚業者「ユーロブライド」を運営するとともに,最近では原告の「日本事務局」をしていたが,上記の判決後,「ユーロブライド」の名称を「リアルブライド」 の名称に変えて,原告の「日本側パートナー」をしている旨が記載されているにとどまる。確かに,P3が原告の日本事務局や日本側パートナーをしているとの記載からは,P3が,原告の関与の下に,被告らに対する名誉毀損行為を行ったのではないかと読者が推測する可能性もあるが,本件投稿1では,「(ただし,同支援協会の誹謗中傷への関与は不明です。)」と記載して,原告の関与を主張するものではな い旨を明確にしているのであるから,本件投稿1が原告主張の事実を主張するもの- 13 -であると認識されるとは認められない。 この点について,原告は,本件投稿1はP3を批判する投稿のはずであるのに,突然原告の名前を持ち出すのは,一般読者に原告の関与を思わせるに十分なものであると主張する。しかし,本件投稿1でのP3が原告の関係者であることの指摘は,被告らに対する名誉毀損行為を行ったP3が被告らの同業者であることを述べる文 脈でなされたものであり,原告が被告らの同業者であることに照らせば,それほど唐突 3が原告の関係者であることの指摘は,被告らに対する名誉毀損行為を行ったP3が被告らの同業者であることを述べる文 脈でなされたものであり,原告が被告らの同業者であることに照らせば,それほど唐突な印象を与えるものではない。そして,上記のとおり原告の関与を主張するものではない旨を明確にしているのであるから,本件投稿1が原告主張の事実を主張するものであると認識されるとは認められない。なお,原告は,P3は被告らに対する名誉毀損行為を行った時点では原告のスタッフではなかったと主張するが,そ もそも本件投稿1は上記の時点でP3が原告のスタッフであったことまでを指摘するものであるとは読み取れず,原告も本件投稿1の時点ではP3が原告のスタッフであったことは否定していないから,本件投稿1においてP3が同業者であることを指摘するのに原告の関係者である旨を記載することは虚偽ではない。 以上より,原告主張の名誉毀損による不法行為は認められない。 (2) 本件投稿2について原告は,本件投稿2の投稿は,それを読んだ一般読者に,P4による被告会社に対する名誉毀損行為に原告が関与したと思わせるに十分なもので,それにより原告の名誉が毀損されたと主張する。 しかし,本件投稿2では,別紙3の2のとおり,被告会社の名誉を毀損する投稿 をした者がP4であることが判明したこと,そのP4が,P3と同様に原告と業務提携(アフィリエイト)関係にあったことが記載されているにとどまる。そして,前記本件投稿1と同様,「(但し,協会の誹謗中傷への関与は不明です。)」と記載して,原告の関与を主張するものではない旨を明確にしているのであるから,本件投稿2が原告主張の事実を主張するものであると認識されるとは認められない。 この点について,原告は,本件投稿2で 載して,原告の関与を主張するものではない旨を明確にしているのであるから,本件投稿2が原告主張の事実を主張するものであると認識されるとは認められない。 この点について,原告は,本件投稿2でP4が原告と業務提携(アフィリエイ- 14 -ト)関係にあったことを「驚くべきことに」と記載する点を指摘して,一般読者に原告の関与を思わせるに十分なものであると主張する。確かに,この記載によりP3だけでなくP4も原告の関係者であることが強調されているとはいえる(「P4…も,…P3…の場合と同様」という記載がされていることからも,同様のことがいえる。)が,これについても,P4が被告らの同業者であることを述べる文脈でなさ れたものである上,「(但し,協会の誹謗中傷への関与は不明です。)」と記載して,原告の関与を主張するものではない旨を明確にしているのであるから,原告指摘の記載の存在を踏まえても,本件投稿2が原告主張の事実を主張するものであると認識されるとは認められない。なお,原告は,P4がアフィリエイトであるとの指摘は事実に反すると主張するが,証拠(乙A10ないし12)によれば,P4は原告 と平成28年秋頃から平成29年にかけてアフィリエイト関係にあったと認められるから,上記指摘は真実であると認められる。 以上より,原告主張の名誉毀損による不法行為は認められない。 (3) 本件投稿3についてア原告は,本件投稿3は,原告が元会員の男性から3000万円をだまし 取ったとの本件新潮記事が真実であると一般読者に思わせるものであると主張する。 しかし,本件投稿3は,別紙3の3のとおり,本件新潮記事を転載した上で,被告会社は誠実かつ真面目な運営に徹してきたにもかかわらず,「同業他社が,仮にこのような所為をして男性会員を騙してい 張する。 しかし,本件投稿3は,別紙3の3のとおり,本件新潮記事を転載した上で,被告会社は誠実かつ真面目な運営に徹してきたにもかかわらず,「同業他社が,仮にこのような所為をして男性会員を騙しているのでしたら,極めて残念な事です。」と述べるものであり,ここでは,「仮に」との仮定の下での被告P1の思いを述べている にとどまる。また,その仮定の下での思いも,「支援協会だけでなく,弊社も含めました業界全体があたかもそのような運営をしている様に思われてしまう事は,非常に悲しく,残念でなりません。」というもので,本件新潮記事に基づいて原告の行為を批判するというものではなく,本件新潮記事の業界全体に対する悪影響を懸念する内容となっており,この記載の後には,被告会社として安心して利用してもらえ るようにサービスの向上に努める方針が記されている(甲A4の8)。これらの記載- 15 -からすると,本件投稿3は,本件新潮記事を転載してはいるものの,同記事の内容を自らの主張として援用する趣旨とは認められず,そのような記事が掲載された旨を紹介した上で,記事の内容どおりだと仮定した場合の国際結婚紹介業界への影響を懸念するにとどまるというべきである。したがって,一般読者において,本件投稿3自体によって本件新潮記事の内容が真実であると認識するとは認められない。 したがって,原告主張の名誉毀損による不法行為は認められない。 イもっとも,そうであるとしても,本件投稿3は,原告が元会員の男性から3000万円をだまし取ったとの本件新潮記事が掲載された事実は摘示しており,この事実自体が原告の社会的評価を低下させるとはいえる。 しかし,本件新潮記事が「週刊新潮」に掲載されたことは真実である(甲A5) ところ,この事実は,国際結婚に関心を持つ不 は摘示しており,この事実自体が原告の社会的評価を低下させるとはいえる。 しかし,本件新潮記事が「週刊新潮」に掲載されたことは真実である(甲A5) ところ,この事実は,国際結婚に関心を持つ不特定多数の日本人男性の利害に関係する事実であるから,公共の利害に関する事実である。この点について原告は,知名度の全くない零細業者である原告に関する事実は公共の利害に関する事実ではないと主張するが,原告もホームページを開設して広く国際結婚を紹介する事業活動をしており(甲A13),多額の会費等を支払った元会員がそのような原告の営業活 動に関してだまされたとして民事訴訟を提起する旨を報じる本件新潮記事が週刊新潮に掲載されたことは,公共の利害に関する事実であるというべきであるから,原告の上記主張は採用できない。 また,そのような公共性のある本件新潮記事が掲載された旨を本件ブログに掲載して,読者として想定される不特定多数の日本人男性に情報提供するとともに,被 告会社を始めとする国際結婚紹介業界の利用者に対する姿勢を伝えることは,もっぱら公益を図る目的に出たものと認められる。この点について原告は,被告P1が本件投稿3の後に本件ブログに新たに投稿をする際に,本件投稿3へのリンクを貼り続けたとして,被告P1には害意があると主張する。確かに,本件投稿3により原告の社会的評価が低下することに伴って,被告会社が新規会員を獲得し易くなる 可能性はあるが,上記のとおり,被告会社は本件新潮記事に基づいて原告の行為を- 16 -批判しているわけではない。そして,本件新潮記事が掲載されたのが週刊新潮という全国規模の週刊誌であり,国際結婚に関心を持つ日本人男性や国際結婚紹介業界への本件新潮記事の影響は大きいと考えられるから,同記事に対する姿勢を広く知ら て,本件新潮記事が掲載されたのが週刊新潮という全国規模の週刊誌であり,国際結婚に関心を持つ日本人男性や国際結婚紹介業界への本件新潮記事の影響は大きいと考えられるから,同記事に対する姿勢を広く知らしめる必要性があることは否定できないことからすると,本件投稿3の投稿後も同投稿へのリンクを設定したからといって,原告に対する害意があると認めること はできない。 したがって,本件投稿3において,原告について本件新潮記事が掲載された事実を摘示したことについては,その違法性が阻却される。 (4) 本件投稿4についてア原告は,本件投稿4は,本件新潮記事のとおり原告が元会員の男性から 3000万円をだまし取ったことが真実であると一般読者が受け取るに十分なものであると主張する。 本件投稿4では,別紙3の4のとおり,「『週刊新潮』などにより,その営業実態も露呈して,今後更に解明されていく事と存じます。」と記載されているところ,そこでは「週刊新潮」と記載されているだけで,本件新潮記事が転載されるなどして いるわけではないが,そこでいう「週刊新潮」が本件新潮記事を意味することは,本件投稿4が本件投稿3の約20日後のものであることから認めることができる。 そして,本件投稿4で何の注釈もなく単に「週刊新潮」と記載することだけで済ましていることからすると,被告P1自身も本件ブログの読者がそのことを理解できると考えていたと推認される。 しかし,本件投稿4では,「『週刊新潮』などにより,」に続いて,「その営業実態も露呈して,今後更に解明されていく事と存じます。」とあることから,結局において営業実態の解明は途上である旨が記載されているとも解される文章になっており,必ずしも本件新潮記事の内容が真実であると述べているとは認められない。 ていく事と存じます。」とあることから,結局において営業実態の解明は途上である旨が記載されているとも解される文章になっており,必ずしも本件新潮記事の内容が真実であると述べているとは認められない。 また,この点を措くとしても,前記のとおり,被告P1自身も,本件投稿4の読 者が,「週刊新潮」が本件新潮記事を意味すると理解できることを前提にしていたと- 17 -考えられることからすると,本件新潮記事は,本件投稿4を読む多くの読者にとって既知のことであると推認され,このことは,本件新潮記事を紹介した本件投稿3の読者と本件投稿4の読者の多くが重なるであろうことからも推認される。そうすると,本件投稿4は,単に「『週刊新潮』などにより」と記載するのみで,それ以上のことは述べていないのであるから,本件投稿3で指摘した,原告が元会員の男性 から3000万円をだまし取ったとの本件新潮記事が掲載された事実を再び摘示したにすぎないというべきであり,本件投稿4を読んだ本件ブログの一般読者において,本件投稿3によって低下した以上に,本件投稿4によって更に原告の社会的評価が低下するとは認められない。 この点について原告は,本件投稿4が後に内容を別紙3の4の後段のものに変更 されたことを指摘するが,変更後のものはより原告の社会的評価を低下させないものになっているとはいえても,そのことから直ちに本件投稿4が原告の社会的評価を更に低下させるものであるとはいえない。 したがって,本件投稿4については,原告主張の名誉毀損による不法行為は認められない。 (5) 本件投稿5についてア原告は,本件投稿5は,原告が原告現地法人の定款を故意に営業許可証と偽って集客していたと一般読者が思うに十分なものであると主張する。 イ本件投稿5は, (5) 本件投稿5についてア原告は,本件投稿5は,原告が原告現地法人の定款を故意に営業許可証と偽って集客していたと一般読者が思うに十分なものであると主張する。 イ本件投稿5は,別紙3の5のとおり,原告のホームページの記載について,①「どうやら単なる,ありふれた会社の定款を,ウクライナ政府からの『業界 で唯一』の『営業許可証』と表示し,あたかも『ウクライナ政府公認』であるかの如く掲載していることが判明しました。」,②「もし支援協会の現地代表者(P2氏)が,長年ウクライナに滞在しているのであれば,簡単なウクライナ語やロシア語くらいは当然できる筈であり,このような基本的で安易な事を,しかも長期間連続して間違える筈がございません。」,③「ウクライナ人の現地スタッフ複数名に, ウクライナ人の顧問弁護士(P6氏)まで抱えていると述べており,十分に確認出- 18 -来る事で,これが単なる『会社定款』に過ぎないことは,『知らない』『分からない』で済まされる事ではないと考えます(ちょっとウクライナ語・ロシア語が読めれば,すぐ分かりますから・・・)」,④「推測しますに,この『ウクライナ政府公認』『業界で唯一,営業許可を受けた』との宣伝を信頼し,また,単なる『会社定款』の画像を本物のウクライナ政府の『営業許可証』だと信じたために,支援協会 に入会された日本人男性も,非常に多いのではないでしょうか・・・。」と記載されている。 これらの記載からすると,本件投稿5は,原告が原告現地法人の定款を故意に営業許可証と偽って集客していたとの事実を摘示するものであると認めるのが相当であり,これに反する被告らの主張は採用できない。 ウそこで,真実性の抗弁について検討する。 (ア) 証拠(甲B1ないし3,乙A1)に の事実を摘示するものであると認めるのが相当であり,これに反する被告らの主張は採用できない。 ウそこで,真実性の抗弁について検討する。 (ア) 証拠(甲B1ないし3,乙A1)によれば,原告のホームページでは,①「日本で唯一のウクライナ政府公認の結婚相談所」と記載した下に,原告現地法人の「会社定款」(末尾にはウクライナ・キエフ市の認証印が押捺されている。)を掲載して,その下部に,「国際結婚業界初! ウクライナ政府公認の営業許可証を保 有しております。」との説明を記載していたこと,②原告,A社,B社の「サポート体制比較」とする表の「現地日本人スタッフ」,「現地事務所」,「現地営業許可」,「現地専属通訳」との項目で,原告にのみ「○」を付していたことが認められる。 ところで,日本法では,「定款」とは,会社等の社団法人について定められた根本規則及びそれを記載した書面のことをいい,設立手続において発起人が作成し,公 証人の認証を得ることによって効力を生じ,法人の成立のための設立登記を申請するための添付書類として必要なものである(例えば株式会社の場合について会社法26条1項,30条1項,49条,商業登記法47条)。そして,乙B1によれば,原告のホームページに掲載されたウクライナでの原告現地法人の「会社定款」も,日本法での定款と同じく,出資者が会社の設立時に定めた根本規則であると認めら れる。これに対し,「営業許可証」とは,日本法では,あらかじめ禁止してあるため- 19 -にある営業を行うのに当局の許可が必要な場合(例えば食品衛生法52条)に,所定の要件の下にその許可をしたことを示すために,許可をした当局が発行する証明書をいい,一般にそのように認識されているから,定款とは全く異なるものである。 したがって,日本 えば食品衛生法52条)に,所定の要件の下にその許可をしたことを示すために,許可をした当局が発行する証明書をいい,一般にそのように認識されているから,定款とは全く異なるものである。 したがって,日本人男性を主要な読者とする原告のホームページにおいて,原告現地法人の「定款」を「営業許可証」と説明することは,ウクライナでは国際結婚紹 介業について当局の許可が必要であり,原告現地法人はその許可を得ていると読者に認識させるとともに,その許可を受けている原告現地法人はウクライナで適法に国際結婚紹介業を行うことができるが,その許可を得ていない業者が行う国際結婚紹介業務は違法なものであると認識させるものであるといえ,原告のホームページにおいて「国際結婚業界初!」や他社との比較を記載するのも,そのような認識が 読者に生じることを前提に,原告が優良な業者であると訴え,それにより自己の事業活動を有利に展開する意図によるものと推認される。ところが,弁論の全趣旨によると,ウクライナでは国際結婚紹介業に当局の許可は必要でないと認められるから,上記の原告のホームページの記載は読者に誤解を生じさせるものであり,かつ,現地法人まで擁する原告が定款と営業許可証の違いを知らないはずはないから,原 告は,故意に定款を営業許可証と偽って集客していたと認めるのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。 したがって,被告P1が本件投稿5により摘示した事実は,真実であると認められる。 (イ) そして,原告のホームページは国際結婚に関心を持つ不特定多数の日 本人男性が閲覧することが想定されるから,そこにおいて原告の営業上の優位性を認識させる虚偽の事実が故意に掲載されている旨を告知することは,公共の利害に関する事実について公益目的によるものと認め 本人男性が閲覧することが想定されるから,そこにおいて原告の営業上の優位性を認識させる虚偽の事実が故意に掲載されている旨を告知することは,公共の利害に関する事実について公益目的によるものと認められる。 (ウ) 以上によれば,本件投稿5については,その違法性が阻却される。 (6) 以上によれば,被告P1が本件各投稿をしたことについて,不法行為の成 立は認められない。 - 20 - 2 争点3(被告らが本件各投稿へのリンクを貼ったことが原告の名誉を毀損する不法行為を構成するか)について(1) 前提事実のとおり,被告P1は,平成30年1月以降,本件ブログに新たな投稿をする際に,その末尾に本件各投稿へのリンクを貼る記載をしたことが認められる(甲A11,12)。 しかし,これまで述べたとおり,被告P1が本件各投稿をしたことについて原告の名誉を毀損する不法行為が成立するとは認められないから,それらへのリンクを貼る記載をすることについても,同様に不法行為が成立するとは認められない。 (2) 本件投稿5については,原告は,同年2月24日に本件投稿5が対象とする原告のホームページの上記記載を削除したが(甲A13。ただし,原告は,従前 の記載が誤りであったことまで記載しているわけではなく,「国際結婚業界初! 現地法人JPCompanyは,ウクライナキエフ市より登録・認可を受けております。」と,「登録・認可」を受けた対象が何かを明示せずに,「国際結婚業界初!」などと他社と比較して優良な業者であるという認識が生じる記載をしている。),被告P1は,その後も,同年9月18日までの新たな投稿において,本件投稿5等への リンクを貼る記載をしており(甲A12),原告はこれによる不法行為の成立も主張している。 しかし,甲A 。),被告P1は,その後も,同年9月18日までの新たな投稿において,本件投稿5等への リンクを貼る記載をしており(甲A12),原告はこれによる不法行為の成立も主張している。 しかし,甲A12によれば,それらのリンクはいずれも,リンク元の各投稿の本文の記載が終わった後に,各投稿の内容とは関係なく,定型的に,本件各投稿等の過去の投稿記事へのリンクや運営方針の表明文と並べて記載されており,被告らが, 各記事のフッターにそれらの表題を掲示して貼ったものにすぎないというのもこの趣旨を言うものと解される。このようなリンクの態様からすると,ここでのリンクは,リンク元の新たな投稿の内容を構成するものとしてその都度投稿が繰り返されているというよりは,欄外に「最新記事」として数個の記事がリンク表示されるのと同じく,本件投稿5等へのリンク表示が継続的にされているにすぎない実質を有 すると認めるのが相当であるから,これらのリンクを貼る記載をしたことをもって,- 21 -その都度新たな名誉毀損行為が行われたと解することはできない。 もっとも,このように継続したリンク表示と同様に見る場合であっても,被告P1において,原告がそのホームページの記載を削除した後もなおリンクを継続することは,虚偽の内容を表示し続けるのに等しいといえる。しかし,当初の投稿時には投稿内容が真実であったことからすると,原告がそのホームページの記載を削除 したときに直ちにリンクも打ち切るべき注意義務を被告P1に負わせることは相当でなく,被告P1にそのような注意義務を負わせるには,原告がそのホームページの記載を削除したことを知ったことを要すると解するのが相当である。そうすると,本件では,甲A12によれば,被告P1が本件投稿5のリンクを掲載したと証拠上認められるのは, には,原告がそのホームページの記載を削除したことを知ったことを要すると解するのが相当である。そうすると,本件では,甲A12によれば,被告P1が本件投稿5のリンクを掲載したと証拠上認められるのは,平成30年9月18日の投稿までであるところ,弁論の全趣旨に よれば,原告が,上記記載を削除した旨を,本件の同月27日付けの第3準備書面で主張したのに対し,被告P1は,上記記載の削除を確認した後,同年10月20日に本件投稿5を非表示とし,それへのリンクも同年11月9日に削除したことが認められ,原告が準備書面で上記のとおり主張するより前に,被告P1が,原告がそのホームページの記載を削除したことを知ったと認めるに足りる証拠はない。こ のように,被告P1は,原告からそのホームページの記載を削除した旨を記した準備書面が提出された後,1か月以内に本件投稿5そのものを非表示としているからすると,被告P1において,原告がホームページの記載を削除したことを知りながらリンク表示を漫然と続けたとは認められないから,原告の削除後についても不法行為の成立は認められない。 (3) 以上によれば,被告らが本件ブログにおいて本件各投稿へのリンクを貼ったことについて,不法行為の成立は認められない。 3 争点4(被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して原告の誹謗中傷行為を行ったか)について(1) ここで原告が主張する被告らによる誹謗中傷行為はウクライナで行われた ものであるが,その被害者たる原告の主たる事業所は日本にあるから,日本法が適- 22 -用される(法の適用に関する通則法19条)。 (2) そして,原告は,被告らは,平成26年から平成27年にかけて,当時に被告会社の従業員であったP5を介して,ウクライナ国内のハリコフ,ポルタバ, 用される(法の適用に関する通則法19条)。 (2) そして,原告は,被告らは,平成26年から平成27年にかけて,当時に被告会社の従業員であったP5を介して,ウクライナ国内のハリコフ,ポルタバ,キエフ,ニコライフといった複数の結婚相談所に,P2について,「彼はスキャマー(金銭目的の詐欺師)であり,日本の警察と大きな問題を抱えていて,日本に来る ことができないからずっとキエフにいる。」との電話をした(本件告知行為)と主張し,原告現地法人に所属していた現地社員は,ポルタバとハリコフの結婚相談所の社長から,被告P1やP5から同趣旨を聞いたと聞かされたと陳述し(甲A7),P2も,ハリコフとキエフの代表者から同趣旨のことをP5が言いふらしていると聞かされたと陳述する(甲A15)。 しかし,P5はこれを否定し,以前に,ポルタバの結婚相談所の責任者から聞いた話として,同責任者がP2の紹介する日本人男性にウクライナ人女性を紹介したところ,その日本人男性は,そのウクライナ人女性を日本に招待したにもかかわらず,宿泊するためのホテルを用意しておらず,通訳も用意していなかった上,すぐに自宅に連れて行って性的な関係を求め,その後も十分な食事を与えないまま日本 に留め,そのことを聞いた同責任者の抗議によりようやく10日後に帰国することができたという話があり,後にP5がハリコフの結婚相談所の代表者から,ウクライナ人女性が訪日する際の通訳とエスコートを依頼されたときに,相手の日本人男性はP2が紹介した人であるとの話を聞いたことから,上記の話を伝えて依頼を断ったことがあるだけであると述べており(乙A3,22),被告ら代理人の上記ポル タバの結婚相談所の責任者に対する聞取り報告書においても,上記と同趣旨を同責任者から聞き取ったとの報告がされて 断ったことがあるだけであると述べており(乙A3,22),被告ら代理人の上記ポル タバの結婚相談所の責任者に対する聞取り報告書においても,上記と同趣旨を同責任者から聞き取ったとの報告がされている(乙A23)。 このように双方の陳述が大きく相反していることに加え,甲A7や甲A15の陳述は,上記のとおり複数の伝聞過程を経たものである上に反対尋問を経ておらず,これらを裏付ける客観的な証拠もないことからすると,P5が本件告知行為を行っ たことは,これを認めるに足りないというべきである。 - 23 -したがって,被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して原告の誹謗中傷行為を行ったとの不法行為は認められない。 4 争点5(本件各投稿が不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為に当たるか),争点6(被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為をしたか)について 以上に検討したところからすると,被告P1が本件各投稿をしたことについては,それが原告の営業上の利益を害する虚偽の事実を告知・流布する行為であるとは認められず,また,被告らがウクライナ国内の結婚相談所に対して原告の誹謗中傷行為を行ったとは認められないから,いずれについても不正競争防止法2条1項15号の不正競争行為には該当しない。 したがって,原告の不正競争防止法4条に基づく請求は理由がない。 5 まとめ以上によれば,原告の請求は,その余の点について検討するまでもなく,いずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 野上誠一 裁判官 大門宏一郎 別紙1(削除=請求の趣旨2) (省略) 別紙2(謝罪広告について=請求の趣旨3) (省略)

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