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昭和34(ネ)830 約束手形金請求事件

裁判所

昭和36年2月23日 大阪高等裁判所

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6,850 文字

主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。事実 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。当事者双方の主張並びに証拠の提出・援用・認否は、左に記載する外は、原判決の事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。一、 控訴代理人において1、 本件手形は控訴人らが訴外株式会社大日製鋼所にあてて振出したものであるが、その第一裏書は、訴外会社によつてではなく、同会社取締役経理部長という肩書を付した訴外A個人によつてなされている。仮にそうでないとするも訴外会社の代表取締役はB一人であつて右Aには同会社を代表する権限がないので、右裏書は代表権限のないものによつてなされた無効のものである。かように本件手形は裏書の連続を欠くものであるから、被控訴人は手形取得者として手形上の権利を行使することはできない。2、 つぎに、本件手形は、昭和三二年二月一〇日控訴会社が、右訴外会社より伸鉄材料丸鋼9m\m~12m\m一三屯二九七キログラムを引渡期日同月一七日なる約束で買受けた右丸鋼代金の前渡金支払のため振出したものである。そうして訴外会社は前記丸鋼の引渡期限を経過するもこれが引渡をなさず、同年三月五日にいたり丸鋼の出荷不能を理由に右売買契約解除の申出をしたので、控訴会社は右解除の申出に同意し、同日前記売買契約は合意解除せられた。従つて本件手形は当然訴外会社より控訴会社に返還せらるべきものであるから、控訴人らとしては訴外会社に対し右手形金を支払う必要がない。そして被控訴人が本件手形を取得したのはその後であつて、控訴人らはその善後措置について訴外会社に厳重な 会社に返還せらるべきものであるから、控訴人らとしては訴外会社に対し右手形金を支払う必要がない。そして被控訴人が本件手形を取得したのはその後であつて、控訴人らはその善後措置について訴外会社に厳重な申入をした結果、訴外会社のB代表取締役またはAが満期日までに再三被控訴人に対し本件手形の返還を催促していた経緯である。 が本件手形を取得したのはその後であつて、控訴人らはその善後措置について訴外会社に厳重な 会社に返還せらるべきものであるから、控訴人らとしては訴外会社に対し右手形金を支払う必要がない。そして被控訴人が本件手形を取得したのはその後であつて、控訴人らはその善後措置について訴外会社に厳重な申入をした結果、訴外会社のB代表取締役またはAが満期日までに再三被控訴人に対し本件手形の返還を催促していた経緯である。かように被控訴人は本件手形の満期日までに手形振出の原因たる売買契約が合意解除せられ返還せねばならないことを知悉していたので、控訴人らは訴外会社に対する前述の抗弁をもつて被控訴人に対抗することができる。と述べ、乙第二、三号証を提出し、当審における証人BAの各証言を援用し二、 被控訴代理人において控訴人らの右主張事実はすべて否認する。1、 本件手形の第一裏書において、Aが「株式会社大日製鋼所取締役経理部長A」と表示してなした裏書は、訴外会社を代理してなしたものである。手形の振出・裏書等の手形行為は当該会社の代表者がなすのが通常であるが、代表権のない取締役あるいは経理部長・経理課長その他支店長等が会社を代理してなしうることは疑の余地もなく、また手形行為は商行為であるから商法五〇四条の規定により手形行為の代理についてはあえて「何々代理人」と表示する必要はない。2、 被控訴人が本件手形を訴外会社より裏書譲渡をうけたのは昭和三二年三月一〇日頃であつて、訴外会社に対する売掛代金の支払方法として受領したものであつて、その際訴外会社より、本件手形は控訴会社との売買取引の代金決済のために受領したものであるときかされたものであるが、右売買契約が合意解除せられ、従つて本件手形は控訴会社が訴外会社より返還を受くべきものであつたことは知らなかつた。仮に控訴人ら主張の如きことがあつたとしても、それは被控訴人の手形取得後に生じた人的抗弁であるか 合意解除せられ、従つて本件手形は控訴会社が訴外会社より返還を受くべきものであつたことは知らなかつた。仮に控訴人ら主張の如きことがあつたとしても、それは被控訴人の手形取得後に生じた人的抗弁であるから、控訴人らはこれをもつて被控訴人に対抗しえない。と述べ、当審における被控訴人本人尋問の結果を援用し、乙第二、三号証の成立はいずれも不知と答えた。理由 当裁判所の事実上の認定並びに法律上の判断は、左記のとおり附加する外は、原料決の理由に説示するところと同一であるから、ここにこれを引用する。 は知らなかつた。仮に控訴人ら主張の如きことがあつたとしても、それは被控訴人の手形取得後に生じた人的抗弁であるから、控訴人らはこれをもつて被控訴人に対抗しえない。と述べ、当審における被控訴人本人尋問の結果を援用し、乙第二、三号証の成立はいずれも不知と答えた。理由 当裁判所の事実上の認定並びに法律上の判断は、左記のとおり附加する外は、原料決の理由に説示するところと同一であるから、ここにこれを引用する。まず、控訴人らが本件手形の第一裏書は、訴外会社によつてではなく、A個人によつてなされ裏書の連続に欠けるところがある、と主張するのでこの点につき判断する。表面の部分の成立について争がなく、裏面の第一裏書の部分については原審および当審証人Aの証言により、じ余の部分については原審における証人C・Dの各証言により、真正に成立したと認められる甲第一号証に原審および当審証人A・当番証人Bの各証言並びに弁論の全趣旨を総合すると、訴外大日製鋼株式会社が整理に入り、昭和三一年七月頃その第二会社として訴外株式会社大日製鋼所(以下訴外会社と略称する)が設立せられ訴外Bが訴外会社の代表取締役となつたこと、右Bは、当時個人として銀行より取引停止処分をうけその停止期間中であつたしまた前記旧会社の代表取締役でもあつた関係から、訴外会社において振出・裏書をする手形の流通を円滑にする意図の下に、取引銀行に対し、同会社の手形行為は取締役経理部長Aの代理形式による旨およびその際Aは印章として代表取締役の職印を使用する旨を届出でたこと、かくて訴外会社の経理および工場管理担当の取締役兼経理部長の地位にあつたAは右代表取締役より同会社の手形行為一切を代理する権限を およびその際Aは印章として代表取締役の職印を使用する旨を届出でたこと、かくて訴外会社の経理および工場管理担当の取締役兼経理部長の地位にあつたAは右代表取締役より同会社の手形行為一切を代理する権限を与えられ、記名判として第一行目に「株式会社大日製鋼所」第二行目に「取締役経理部長A」と刻したもの、印章として「代表取締役印」と刻した職印を使用して同会社の手形の振出・裏書をしていたこと、しかるにその後昭和三二年三月上旬までの間に、B・Aら関係者の話合により、BはAより前掲記名判を預るとともに、Bにおいて、随時必要に応じて右記名判を会社の手形行為に使用しうべきこと、従つて結局は訴外会社の代表取締役たるBか同会社の代理人たるA名義により手形行為をなしうべきことの合意が関係者間に成立したこと、よつてBは昭和三二年三月上旬頃、本件手形の第一裏書欄に前掲記名判を押なつし、かつ、そのA名下に前掲職印を、肩書「取締役経理部長」および会社名の上に右会社名を刻した大きな角印を、それぞれ押なつし、その他所要事項を記入して裏書を完成した上、本件手形を流通においた事実を認めることができ、当審証人Bの証言中右認定に反する部分は信用しがたく、他に右認定をくつがえすに足る証拠はない。 が関係者間に成立したこと、よつてBは昭和三二年三月上旬頃、本件手形の第一裏書欄に前掲記名判を押なつし、かつ、そのA名下に前掲職印を、肩書「取締役経理部長」および会社名の上に右会社名を刻した大きな角印を、それぞれ押なつし、その他所要事項を記入して裏書を完成した上、本件手形を流通においた事実を認めることができ、当審証人Bの証言中右認定に反する部分は信用しがたく、他に右認定をくつがえすに足る証拠はない。右認定事実に徴すると、Bは、実質的には訴外会社の代表者として、形式的には代理人Aの機関としてその記名なつ印を代行し、本件裏書をなしたというべきである。それで本件裏書が、訴外会社の手形行為たる効力を生じるかどうか、について考えてみよう。まず、右裏書は、代表取締役の氏名を表示してなされているものでないことは前記認定のとおりであるから、形式上会社代表者による手形行為がなされたものとなしえないことはおのづから明かである。<要旨第一>そこで、右裏書は代理による手形行為として有効といえるかど でないことは前記認定のとおりであるから、形式上会社代表者による手形行為がなされたものとなしえないことはおのづから明かである。<要旨第一>そこで、右裏書は代理による手形行為として有効といえるかどうか、について検討してみるに、商法第五〇四</要旨第一>条は、企業取引における迅速主義・便宜主義と取引の安全とを考慮した特殊的法規整であるから、証券による外観と形式のほかに拠り所のない厳格な要式行為を必要とする手形行為の代理には、その適用がないものと解<要旨第二>すべく、従つて、手形行為の代理の方式の適否は顕名主義の原則にもとづき決すべきである。しかしながら、</要旨第二>代理関係を表示するための本人のためにすることの記載は、代理たることを直接意味する文字を用いなければでならないものではなく、それが署名者自身のためのものでなく、本人のために手形行為をなしたことを表示するに足る記載があれば充分であるから、手形面の記載からみて、本人の表示、署名者の肩書およびその氏名の記載の体裁、印影などによつて署名者が自己のためではなく、本人のために手形行為をなしたことを認めうるときは本人のためにすることの記載として適法である、と解するを相当とする。本件裏書は、まず、本人たる訴外会社の商号、次行に、「取締役経理部長A」と記載せられ、かつ、そのA名下に前掲職印が、肩書「取締役経理部長」および会社名の上に右会社名を刻した大角印が、それぞれ押なつせられている。 の肩書およびその氏名の記載の体裁、印影などによつて署名者が自己のためではなく、本人のために手形行為をなしたことを認めうるときは本人のためにすることの記載として適法である、と解するを相当とする。本件裏書は、まず、本人たる訴外会社の商号、次行に、「取締役経理部長A」と記載せられ、かつ、そのA名下に前掲職印が、肩書「取締役経理部長」および会社名の上に右会社名を刻した大角印が、それぞれ押なつせられている。かような本人の商号の表示、署名者の肩書およびその氏名の記載の体裁、右肩書等の上に押なつせられた前掲角印の印影などからして、手形面の署名者Aが、訴外会社の経理担当の取締役および経理事務最高責任者として訴外会社の手形行為をする代理権を有し、かつ、同会社のために、本件裏書をなしたことを推断しうるから、本件裏書における て、手形面の署名者Aが、訴外会社の経理担当の取締役および経理事務最高責任者として訴外会社の手形行為をする代理権を有し、かつ、同会社のために、本件裏書をなしたことを推断しうるから、本件裏書における本人のためにすることの記載は適法であるというべきである。<要旨第三>そこで更に、Bが、代理人Aの機関として、その記名なつ印を代行した点について考えてみよう。手形行</要旨第三>為について代理権を授与せられた代理人は本人のためにすることを表示して署名することを必要とすることは前述のとおりであるが、右署名は必ず代理人が自らすることを必要とするものではなく、その指図の下に他人をして記名なつ印をなさしめうることはもちろん、本人の利益に反しないかぎりは他人に適宜自己の裁量によつて代理形式による手形行為を代行しうる権限を授与することも、またこれをなしうるものと解するを相当とする。けだし、自己の裁量に従つて本人名義の手形行為をなしうべき権限を与えられた者が本人名義の手形行為をした場合も、一種の機関形式による手形行為(いわゆる署名代理による手形行為)として有効と解しうべきことに、すでに従来判例(大審院昭和七年(オ)第三一五三号同八年五月一六日第二民事部判決、民集一二巻一二号一六四頁等)の認めるところである以上、これを代理人について別異に解すべき理由はないと思われるからである。そこで本件についてこれをみるに、直接的には前述した如き意味において代理人Aの機関たる地位にあるBは、本来は訴外会社の代表取締役として手形行為についての代表権限を有する者であり、ただ前認定のような経緯から、実質的には代理人Aの氏名を自己の氏名に借用するにいたつたものともいいうる関係であるから、BがAの記名なつ印を代行したことによつて、何ら訴外会社の利益が害せられるものでもなく、従つて右 からである。そこで本件についてこれをみるに、直接的には前述した如き意味において代理人Aの機関たる地位にあるBは、本来は訴外会社の代表取締役として手形行為についての代表権限を有する者であり、ただ前認定のような経緯から、実質的には代理人Aの氏名を自己の氏名に借用するにいたつたものともいいうる関係であるから、BがAの記名なつ印を代行したことによつて、何ら訴外会社の利益が害せられるものでもなく、従つて右 な経緯から、実質的には代理人Aの氏名を自己の氏名に借用するにいたつたものともいいうる関係であるから、BがAの記名なつ印を代行したことによつて、何ら訴外会社の利益が害せられるものでもなく、従つて右裏書は、訴外会社の裏書として有効になされたものというを妨げない。よつて控訴人らのこの点に関する主張はこれを採用しない。更に、控訴人らは本件手形は丸鋼売買契約の前渡金の趣旨で控訴人らより訴外会社に交付されたものであつて、訴外会社より本件手形の裏書譲渡をうけた被控訴人が、満期日までに手形振出の原因たる売買契約が合意解除せられたことを知つていた悪意の取得者である、と主張するので考えてみるに、被控訴人が訴外会社より本件手形を白地裏書により取得したものであることは原審認定のとおりであるが、右取得に際し、該手形は訴外会社より丸鋼代金の前渡金として受取つていたことを知つていたことは原審および当審証人A・当審証人Bの各証言により認められる。しかしながら本件にあらわれたすべての証拠によるも、被控訴人が右手形取得以前に手形振出の原因たる前記売買契約が解除せられたことを知りながらこれを取得したこと、または手形取得後に解除せられることがあるであろうことを予想していたと認められるような事情は何一つ見出すことができないから、被控訴人は手形法第一七条但書にいわゆる債務者を害することを知つて手形を取得したものに該当しないというべきである。仮に、被控訴人の本件手形取得後に控訴人主張の如き売買契約解除の事実ありとするも、控訴人らは被控訴人が本件手形を取得した後に生じた訴外会社に対する人的抗弁をもつて被控訴人に対抗しえないものというべく、控訴人らの右抗弁は排斥を免れないものである。そうすると、控訴人らは共同振出人として各自被控訴人に対し本手形金七八四、〇〇〇円およびこ する人的抗弁をもつて被控訴人に対抗しえないものというべく、控訴人らの右抗弁は排斥を免れないものである。 訴人主張の如き売買契約解除の事実ありとするも、控訴人らは被控訴人が本件手形を取得した後に生じた訴外会社に対する人的抗弁をもつて被控訴人に対抗しえないものというべく、控訴人らの右抗弁は排斥を免れないものである。そうすると、控訴人らは共同振出人として各自被控訴人に対し本手形金七八四、〇〇〇円およびこ する人的抗弁をもつて被控訴人に対抗しえないものというべく、控訴人らの右抗弁は排斥を免れないものである。そうすると、控訴人らは共同振出人として各自被控訴人に対し本手形金七八四、〇〇〇円およびこれに対する満期日である昭和三二年四月一〇日から完済まで手形法所定年六分の割合による利息の支払をなす義務がめり、被控訴人の本訴請求を認容した原判決は正当であり、控訴人らの本件控訴はその理由がないのでこれを棄却し、民事訴訟法三八四条八九条九三条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官田中正雄裁判官河野春吉裁判官本井巽)

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