昭和45(あ)2583 業務上過失致死傷

裁判年月日・裁判所
昭和47年12月12日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決および第一審判決を破棄する。      被告人は無罪。          理    由  弁護人渡辺明治の上告趣意第一点は、違憲(三一条、三八条三項違反)をいうが、 実質

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判決文本文2,519 文字)

主文原判決および第一審判決を破棄する。 被告人は無罪。 理由弁護人渡辺明治の上告趣意第一点は、違憲(三一条、三八条三項違反)をいうが、実質は、事実誤認、単なる法令違反の主張にすぎず、同第二点は、再審事由の主張であつて、すべて、適法な上告理由にあたらない。 しかしながら、所論にかんがみ、本件記録および当審において取調をした名古屋地方裁判所昭和四六年(わ)第一三一一号業務上過失致死傷等被告事件記録、同事件についての判決謄本、検察事務官A作成の電話聴取書につき、職権をもつて調査すると、次の事実が認められる。 (一) 本件公訴事実の要旨は、「被告人は、自動車運転の業務に従事するものであるが、昭和四五年二月二〇日午前一一時五五分ごろ、大型貨物自動車の荷台に原綿梱包一個の重量約一八〇キログラムから二〇〇キログラムのもの約三八個を積載して同車を運転し、時速約四五キロメートルで豊橋市a町字bc先道路を南進中、車体の動揺あるいは急制動によつて施縄が弛緩し、積載物が荷台から転落するなどのおそれがあつたのであるから、自動車運転者としては、これに対処するため積載物の施縄の状況を顧慮し適宜速度を調節して進行するはもちろん急激な転把あるいは制動を避けるため、進路前方の状況に応じて先行車に追随して道路右側に進出することをさし控え、もつて事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、右積載物に対する施縄の状況がその全体につき単に太さ約一センチメートルの麻製ロープ一本で前後中央の三ケ所を緊縛するという不十分な状態であつたのにこれを顧慮せず、漫然先行車に続いて道路左側に駐車中の車両を避けるため道路右側に進出した過失により、折柄前方約二〇メートルからB(当三一才)- 1 -運転の大型貨物自動 う不十分な状態であつたのにこれを顧慮せず、漫然先行車に続いて道路左側に駐車中の車両を避けるため道路右側に進出した過失により、折柄前方約二〇メートルからB(当三一才)- 1 -運転の大型貨物自動車が対向してくるのを認め、同車との衝突を避けるため急激に左に転把しかつ急制動に出たことにより同車との衝突を免れることができたが、右急激な転把と制動により同車とすれ違いの瞬間、施縄が弛緩して右積載物が荷崩れし、同車運転席の屋根上に右積載物の一部を転落させ、その衝撃により同車助手席に同乗していたC(当二七才)に加療約一〇日間を要する頭部裂創等の傷害を負わせ、また、右Bに対し肺損傷等の傷害を負わせ、翌二一日午後二時四〇分ごろ、同人をして豊橋市d町字efD医院において死亡するにいたらしめたものである。」というものであつて、第一審裁判所は、右公訴事実にそう事実を認定したうえ、これは、刑法二一一条前段の業務上過失致死傷罪にあたるものとして、被告人を禁錮六月に処し、原裁判所は、過失の点についての事実誤認および量刑不当の主張に対し、いずれも理由がないとして、被告人の控訴を棄却した。 (二)これに対し被告人から上告を申立てられたのが本件であるが、その上告趣意によりあらためて本件事故の捜査がなされ、昭和四六年八月二四日、Eにつき業務上過失致死傷、道路交通法違反の各罪、被告人につき犯人隠避の罪により、名古屋地方裁判所に公訴が提起され(同裁判所昭和四六年(わ)第一三一一号事件)、同裁判所は、審理のすえ、昭和四七年六月七日、Eが本件事故の犯人であると認め、無免許運転の罪とともに同人を懲役一年二月に、被告人を犯人隠避の罪で懲役六月に処し、同月二二日右判決は確定した。 (三)右名古屋地方裁判所昭和四六年(わ)第一三一一号事件において取り調べられた各証拠によれば、(一)に に同人を懲役一年二月に、被告人を犯人隠避の罪で懲役六月に処し、同月二二日右判決は確定した。 (三)右名古屋地方裁判所昭和四六年(わ)第一三一一号事件において取り調べられた各証拠によれば、(一)に前記した公訴事実のように、昭和四五年二月二〇日大型貨物自動車を運転してBらを死傷させたのは、被告人ではなく、被告人方の従業員Eであること、被告人は、名古屋市内において、右Eから事故発生の報をうけ、急拠豊橋市内の事故現場に赴いたが、右事故がEによるものであることが捜査官に判明し、その結果、同人の自動車運転免許が停止されることになつては、被告- 2 -人の貨物運送事業にも支障を来たすことになり、また、当時は被害者Bは死亡しておらずむしろ軽傷であると聞いていたことから、事故現場において、警察官に対し事故を起した犯人は自己である旨虚偽の申立をしたこと、その後被告人は前記のように起訴されて禁錮六月に処せられ、その控訴も棄却されたこと、被告人は、意外に刑が重く、また、Eも被告人方を退職するにいたつたので、当審にいたつて真実を述べる気になり、上告趣意においてその旨の主張をし、捜査官の捜査の結果右のごとき真相が判明するにいたつたこと、以上の諸事実を明らかに認めることができる。 以上の諸点によつて考えると、本件被告人については、原判決後において、刑訴法四一一条四号、四三五条六号にいわゆる再審の請求をすることができる場合にあたる事由があることになり、しかも、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められるから、原判決およびその認容する第一審判決はともに破棄を免れない。そして、本件については、訴訟記録および当審において取り調べた証拠によつて直ちに判決をすることができるものと認められるから、同法四一三条但書により、被告事件についてさらに判決をすることとし れない。そして、本件については、訴訟記録および当審において取り調べた証拠によつて直ちに判決をすることができるものと認められるから、同法四一三条但書により、被告事件についてさらに判決をすることとし、同法四一四条、四〇四条、三三六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官佐藤忠雄公判出席昭和四七年一二月一二日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官天野武一裁判官田中二郎裁判官関根小郷裁判官坂本吉勝- 3 -

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