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昭和36(オ)494 建物収去土地明渡請求

裁判所

昭和39年10月16日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所 松江支部

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2,957 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。理由 上告代理人松永和重の上告理由第一点および第三点について。借地法六条の適用により、建物所有を目的とする土地の賃貸借の期間満了の後賃借人が土地の使用を継続する場合において、土地所有者が遅滞なく異議を述べないことにより前契約と同一の条件でさらに借地権を設定したものとみなされるためには、民法六一九条の場合と異り、土地所有者が賃貸借の期間満了を知りながらあえて異議を述べず、それによつて賃貸人の賃貸借契約継続の意思が推認できるような場合に限らないことは所論のとおりである。しかしながら、賃貸借契約の締結が遠い過去に属し、賃貸人賃借人の双方共にとつて契約締結の時期があいまいになり、賃貸人に対し期間満了の際直ちにそのことを知つて異議を述べることが容易に期待できず、賃借人もまたその時期にはこれを予期していないような特段の事情がある場合においては、賃貸人が漸く期間満了の時期が到来したと推測して直ちに述べた異議が、訴訟における審理の結果判明した契約成立の時期から起算すると、賃貸借の期間満了後若干の日時を経過した後に述べられたことになるとしても、この異議をもつて借地法六条にいう遅滞なく述べられた異議に当ると解すべき余地がある。原判決の確定するところによれば、本件土地賃貸借契約の成立は数十年以前のことであるが、契約成立を証する書面もなく、契約当初の関係者がほとんど死亡しているなどの事情のため、賃貸人賃借人ともにその始期を明確に知り難い事情にあつたこと、賃貸人(被上告人)は、賃借人(上告人A1、同A2両名の前主D)が地上建物を第三者に賃与して他に転居するに及び、自己使用の必要のため本件賃貸借- 1 -契約を終らしめようと意図し、関係者 たこと、賃貸人(被上告人)は、賃借人(上告人A1、同A2両名の前主D)が地上建物を第三者に賃与して他に転居するに及び、自己使用の必要のため本件賃貸借- 1 -契約を終らしめようと意図し、関係者を探索した結果、大正四年九月頃に本件地上の上告人所有建物が建築されその頃本件土地賃貸借契約が成立したものと考えて、昭和三〇年九月一〇日賃借人Dの土地使用継続に対し異議を述べたこと、一方賃借人Dにおいても、賃貸借の期間に関心がなく、賃貸人より前記の異議を受ける以前には賃貸人に対し賃貸借更新請求をなしていないというのである。 び、自己使用の必要のため本件賃貸借- 1 -契約を終らしめようと意図し、関係者を探索した結果、大正四年九月頃に本件地上の上告人所有建物が建築されその頃本件土地賃貸借契約が成立したものと考えて、昭和三〇年九月一〇日賃借人Dの土地使用継続に対し異議を述べたこと、一方賃借人Dにおいても、賃貸借の期間に関心がなく、賃貸人より前記の異議を受ける以前には賃貸人に対し賃貸借更新請求をなしていないというのである。本訴において、本件賃貸借の成立時期を大正四年九月頃であるとする被上告人の主張に対し、上告人らはこれが大正二年三月頃であると争い、原審は、審理の結果知りえた原判決判示の徴憑事実を総合し、大正三年春頃本件土地の賃貸借契約が成立したものと推認したのであるが、原判決の判示した右時期から起算すると、本件土地の賃貸借は途中一回更新されて昭和二九年春頃期間満了となり、従つて、前記賃貸人の異議は期間満了より約一年半を経過してなされたことになる。しかしながら、以上のような特段の事情の下においては、これをもつて借地法六条にいう遅滞なく述べられた異議に当るものと解しても同法の趣旨に反するものではない。つぎに、所論は、被上告人が賃貸借期間満了後である昭和二九年度および昭和三〇年度の賃料名義の金員を賃借人より受領しているから、被上告人は異議権を放棄したものであるか、もしくはこれにより異儀権を喪失したと解すべきであると主張する。しかしながら、原判決は、被上告人が賃貸借期間満了の時期を昭和三〇年九月頃であると解していたことその他原判決判示の事情の下においては、右事実をもつて直ちに被上告人の異議権放棄の意思を推認することができないと認定したものであ 上告人が賃貸借期間満了の時期を昭和三〇年九月頃であると解していたことその他原判決判示の事情の下においては、右事実をもつて直ちに被上告人の異議権放棄の意思を推認することができないと認定したものであつて、右原判決の判断をもつて違法ということはできないし、また、これをもつて異議権を喪失したと解することもできない。原判決に所論の法律解釈の誤り等の違法がなく、論旨はいずれも採用できない。同第二点について。- 2 -原判決判示の事情の下においては、被上告人のなした賃貸借継続に対する異議をもつて遅滞なくなされた異議に当ると解すべきこと前段説示のとおりであるが、原判決の所論の判示もひつきよう右の趣旨に外ならず、これをもつて原判決に違法のかどがあるものとすることはできない。 つて異議権を喪失したと解することもできない。原判決に所論の法律解釈の誤り等の違法がなく、論旨はいずれも採用できない。同第二点について。- 2 -原判決判示の事情の下においては、被上告人のなした賃貸借継続に対する異議をもつて遅滞なくなされた異議に当ると解すべきこと前段説示のとおりであるが、原判決の所論の判示もひつきよう右の趣旨に外ならず、これをもつて原判決に違法のかどがあるものとすることはできない。論旨は採用できない。同第四点について。原判決は、判示の事情の下においては、上告人A1が本件土地上の建物を上告人A3に賃貸している事情をしんしやくしてもなお、被上告人のなした本件土地賃貸借継続に対する異議に正当の事由があるとしたものであつて、右判断は当裁判所もこれを正当であると考える。なお、所論は、原判決が、被上告人が上告人A3に対し、その希望があれば被上告人の現在使用中の建物を賃貸するのに吝さかでない旨の意向のあることを認定し、これをもつて右正当事由の内容をなすものであると判示するが、被上告人の右意向は、前記異議の五年後である本訴口頭弁論期日に至り始めて生じたものであるから、正当事由の資料となりえない旨論ずるが、所論指摘の事実の有無は、前記正当事由に関する当審の判断を左右するに足りないから、この点をとらえて原判決を非難することは許されない。原判決に所論の法律解釈の誤り等の違法がなく、論旨は採用できない。上告代理人柴山博の上告理由について。上告代理人松永和重の に足りないから、この点をとらえて原判決を非難することは許されない。原判決に所論の法律解釈の誤り等の違法がなく、論旨は採用できない。上告代理人柴山博の上告理由について。上告代理人松永和重の上告理由第一点、第二点および第四点に対する判示のとおりであつて、原判決に所論の違法がなく、論旨はいずれも採用できない。よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官奥野健一裁判官山田作之助- 3 -裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官石田和外- 4 -

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