平成14年3月7日宣告平成13年(わ)第310号,同第365号窃盗,強盗殺人被告事件 主文 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 ナイフ1本(平成13年押第82号の4)を没収する。 理由 (犯行に至る経緯等) 1 被告人は,前橋市で2人兄妹の長男として出生し,昭和47年在京の大学に進学したが,やがてアルバイトとして始めたマルチ商法に没頭して,学業を怠るようになった。 これを知った両親は,実家に戻って実父の経営する空調設備製造販売会社で働くように勧め,被告人もこれを了承し,第4学年時に大学を中途退学し,同社で専務として働き始めた。被告人は,主に営業を担当していたが,やがて取引先等に誘われてポーカーゲーム店に出入りするようになり,その後種々のギャンブルにも手を染めるようになった。この間,被告人は,昭和55年に婚姻し,2子をもうけていたが,ギャンブルに熱中していたことから,家を空けることが多かった。さらに被告人は,ギャンブルの遊技資金に充てるための借金をするようになり,その未返済額が嵩んできたため,平成7年ころから自らポーカーゲーム店の経営を始めたり,風俗営業店に出資したり,あるいは商品相場に手を出したりしてその返済資金を得ようとしたが,いずれも失敗し,結果的に200 0万円以上の借金を抱える状況になり,またこのころ,妻子とも別居するようになった。被告人は,平成7年ころ体調の思わしくない実父に代わり前記会社の代表取締役に就任したが,そのころ,多額の借金があることが両親に発覚し,結局これらの借金は,前記会社が被告人に資金を貸し付けた形で清算された。 しかし,被告人はそれまでの生活態度を改 記会社の代表取締役に就任したが,そのころ,多額の借金があることが両親に発覚し,結局これらの借金は,前記会社が被告人に資金を貸し付けた形で清算された。 しかし,被告人はそれまでの生活態度を改めようとせず,一層ギャンブルにのめり込み,東京の非合法カジノや韓国のカジノに行き,バカラ賭博をして一晩で数百万円を使い果たすようなことを繰り返して,再び借金を重ねるようになっていった。被告人は,平成10年暮れに無担保で融資が受けられる中小企業金融安定化特別保証を利用して,前記会社名義で2500万円を銀行から借り入れ,その一部を借金の返済に回し,その残りを元手にして高崎市内で韓国エステの店を開き,麻雀店の客同士として面識を持ち,東京の非合法カジノに行く際に運転手をさせたこともあったAをその店長として雇い入れた。この店の経営は当初はうまくいったものの,やがて行き詰まり,その運営資金や借金の返済資金に充てるため,平成11年秋に再び前記特別保証により不正に2900万円の融資を受けた。ところが,同年暮に,このように融資を受けていたことが実母の知るところとなり,被告人は代表取締役を退任させられた。被告人は,それ以降も韓国エステを経営するなどしていたが,これで十分な収入が得られるわけでもなく,依然ギャンブルで散財する生活も続けていたため,借金返済のために借金をするという状態となった。そして,平成12年夏ころ,被告人は,別の会社の名義を使って前記特別保証による融資を受けようと考え,この融資を前提に,高利の金融業者や暴力団関係者等からも借金をしていたところ,融資が受けられなくなり,一層借金の返済に窮する状態となっていった。 2 被告人は,前記のとおりの特別保証による融資を受けようとした際に,住宅リフォーム会社を経営するBと面識 金をしていたところ,融資が受けられなくなり,一層借金の返済に窮する状態となっていった。 2 被告人は,前記のとおりの特別保証による融資を受けようとした際に,住宅リフォーム会社を経営するBと面識を持ち,以降同人が被告人の経営する風俗営業店に客として来ることもあった。その後,平成11年中に同人が金を借りる人を探していると聞き,金策に苦しんでいた被告人は,知人に用立てる分も含めて4 00万円を借りたが,その返済ができず,結局実母がこの借金を処理した。さらに,被告人は,平成12年暮れころBから200万円借り入れ,その後この元本は被告人の実母が返済したが,利息の40万円は未払いのままであった。被告人は,このようにBと関わる中で,同人が事業に成功して相当の収入を得ていることが分かり,また,同人から,多額の現金を自宅に置いている話も聞いていた。 被告人は,平成13年2月ころ,前記韓国エステの店長を辞めた後は音信がなかったAと再会し,行動を共にするようになったが,同人も暴力団関係者からの多額の借金がありその返済に窮していた。被告人は,同人に対し,Bが多額の現金を自宅に置いてあることなどを話していた。 3 被告人は,同年4月19日夜,Aと行動を共にしていたが,同人との間でB方から金品を窃取することが話題に上り,Aと一緒に下見がてらにB方のある前橋市a町内のマンションに赴き,1階玄関にある集合郵便受けで,同人方がd号室であることを確認した際,たまたま同人方用の郵便受け内に部屋の鍵が入っていることに気付き,Aが手を差し入れてこの鍵を取り出すことができた。ここで, 被告人とAとの間でB方に侵入して金品を窃取することの共謀が成立し,Aが, B方に侵入し,その間被告人が同マンション前で待機して見張りをしながら,後記第1のとおり窃盗 り出すことができた。ここで, 被告人とAとの間でB方に侵入して金品を窃取することの共謀が成立し,Aが, B方に侵入し,その間被告人が同マンション前で待機して見張りをしながら,後記第1のとおり窃盗の犯行に及んだ。 4 被告人は,上記の犯行で窃取した現金のうち300万円を分け前として得たが, これも借金の返済で直ぐになくなり,また,借金返済のための金策に追われることとなった。そこで,被告人とAは,再びBから多額の金品を奪うことを考え, 今度は同人の不在中に同人方に侵入し,帰宅した同人に襲いかかり,ロープ等で同人を緊縛するなどして,同人から金品の在処やキャッシュカードの暗証番号等を聞き出すこととした。その実行のためには,2人では足りないと考え,被告人は,かねてからの知り合いで,やはり借金の返済に追われていたCを誘い入れることを考え,同人にこの強盗の話を持ち掛けた。Cは,当初これを拒否したが, 被告人が同人らがB方に侵入して同人の帰宅を待つ間の見張り役のみでよい旨申し向けて説得した結果,Cはこれを承諾した。また被告人は,犯行時に顔を隠すためのパンティストッキング,毛糸帽子,Bを脅す際に用いる折り畳みナイフ等を準備した。 被告人ら3名は,同年5月18日夜,B方のあるマンションに赴いた。そして, B方が消灯しており,駐車場のBが使用する区画が空いていたことから,同人が帰宅していないと判断し,その場で,被告人が先にベランダからB方に侵入し, その後Aが携帯電話で被告人からの連絡を受けて,B方に侵入するとの打ち合わせを行い,被告人が,まず翌19日午前1時30分ころ,同マンションの屋上からB方のベランダに降り,無施錠のガラス戸から同人方に侵入し,その後被告人からの連絡を受けたAが折り畳み式ナイフ,金属バット等を携えて,被告人が ず翌19日午前1時30分ころ,同マンションの屋上からB方のベランダに降り,無施錠のガラス戸から同人方に侵入し,その後被告人からの連絡を受けたAが折り畳み式ナイフ,金属バット等を携えて,被告人が解錠したB方玄関から同人方に侵入し,金品を物色しながら,同人の帰宅を待った。 その間,Cは,被告人らの指示どおり,Bが戻ってきたら被告人らに携帯電話で連絡すべく,マンションの周囲や駐車場等を見張っていた。しかし,侵入してから2時間経ってもBが帰ってこなかったことから,被告人らは同人を待って当初の計画どおりの犯行に及ぶことを諦め,物色中に発見した腕時計等を持ち出し, 後記第2のとおり窃盗の犯行を実行するにとどまった。 5 被告人は,前記犯行で窃取した腕時計を入質して得た現金で借金の返済をしたが,依然借金の返済に追われる状況は変わらなかった。そして,被告人は,Aと共に申し入れていた先からの融資に期待を繋いでいたが,同月23日,これを断られてしまい,その後たまたまBの経営する会社事務所の前を通りかかった際に, 同人から金員を強取することを思い立った。そこで,被告人は,AとCに誘いの連絡を入れたが,Cからは断られた。しかし,被告人は,同日中に何としてでも借金の返済資金を調達しなければならず,Aも同様の資金を早く得る必要があったことから,被告人とAの2人でBから金品を強取することとした。 被告人は,Aが運転する自動車に,強盗に使用するガムテープ,折り畳み式ナイフ,金属バット等を積み込んでB方のあるマンションに赴いたが,同人が既に在宅していることが分かったため,当初予定したとおり,不在の同人方に侵入して同人の帰宅を待つという方法が取れなくなった。そこで,被告人らは,1度マンションから離れた場所で,Bを呼び出し,その背後から襲う いることが分かったため,当初予定したとおり,不在の同人方に侵入して同人の帰宅を待つという方法が取れなくなった。そこで,被告人らは,1度マンションから離れた場所で,Bを呼び出し,その背後から襲うなどの方法で金品を強取することを考え,同日午後8時40分ころ,被告人がBに携帯電話で電話を掛け,仕事の話を装って呼び出そうとした。しかし,同人から外に出向くのを断られ,同人方においてならば仕事の話に応ずる旨言われたので,被告人が同人方を訪れることとなった。そこで,被告人は,まず被告人が仕事の話を装ってB 方に入り,頃合いを見て携帯電話でAに連絡し,金属バット等を用意してB方玄関前で待機させ,被告人がBを襲った時の物音等を合図にAもB方に侵入し,2 人でBに襲いかかる方法を考えた。この場合,Bに被告人らの顔を見られることから,被告人は,自己らの犯行であることの発覚を防ぐためにBを殺害するほかないと考えたが,そのことが分かっていたAも,この方法で実行することに同調し,ここに,被告人とAの間で,Bを殺害してでも金品を強取する旨の共謀を遂げた。 そして,予定どおり,被告人が同日午後9時20分ころ,B方に入り,同人と仕事の話などをしながら,途中借用を装って入った同人方トイレ内から携帯電話でAにB方玄関前で待機するように連絡し,さらにBを襲う機会を窺った。その後,Bが帰って欲しいような様子を見せたため,被告人は,一旦同人方を退出したが,既に玄関前にAが待機しており,同人から促されたこともあって,車の鍵を忘れたことを口実にB方に入って計画を続行することとし,同日午後11時ころ,同人方に再び入った。被告人は,B方内で鍵を探す振りをしながら,上着ポケット内に入れていた折り畳み式ナイフの刃を開いてこれを上着ポケット内に隠し持ち 計画を続行することとし,同日午後11時ころ,同人方に再び入った。被告人は,B方内で鍵を探す振りをしながら,上着ポケット内に入れていた折り畳み式ナイフの刃を開いてこれを上着ポケット内に隠し持ち,Bの様子を窺っていたが,ケースにつまずき,Bと向き合う形となったところで,Bを後方に押し倒し,その物音を聞いてB方に入ってきたAと共に, 後記第3のとおり強盗殺人の犯行に及んだ。 (犯罪事実)被告人は,第1 Aと共謀の上,平成13年4月19日午後9時ころから同10時ころまでの間に,前橋市a町b番地のc所在のdB方において同人所有に係る現金約53 0万円を窃取した。 第2 前記A及びCと共謀の上,同年5月18日午前1時30分ころから同3時3 0分ころまでの間に,前記B方において同人所有に係る腕時計1個ほか9点 (時価合計約388万3500円相当)を窃取した。 第3 B(当時40歳)を殺害して金品を強取しようと企て,前記Aと共謀の上, 同月23日午後11時ころから翌24日午前3時ころまでの間,前記B方において,こもごも,Bの頸部に所携の折り畳み式ナイフ(刃体の長さ約8.3センチメートル。)を突き付け,その頭部や足を所携の金属バットで殴りつけ, その頸部を所携のロープで絞め付けるなどし,同人をベッド上にうつ伏せに倒した上,その両手足を所携のガムテープで緊縛し,被告人が同人の背部を上記ナイフで多数回突き刺すなどし,よって,同人を胸腔内に達する左背面刺創からの失血により死亡させて殺害した上,同人所有に係る現金約100万円及び腕時計2個ほか2点(時価合計約130万円相当)を強取した。 (補足説明) 1 検察官は,判示第1の窃盗につき,被害者作成の被害届に1万円札900枚位 (内100万円の束5個)及び千円札300 び腕時計2個ほか2点(時価合計約130万円相当)を強取した。 (補足説明) 1 検察官は,判示第1の窃盗につき,被害者作成の被害届に1万円札900枚位 (内100万円の束5個)及び千円札300枚位が被害に遭い,追加被害届には時価120万円相当のロレックスの腕時計が被害に遭った旨の記載があることに基づき,被害は現金約930万円及びロレックスの腕時計1個(時価120万円相当)であると主張する。これに対し,被告人は100万円の束5個と1万円札及び千円札が30万円分くらいあったと供述し,共犯者のAは100万円の束が 7個と千円札と5千円札の束で10万円くらいあったと供述し,また,両名ともロレックスについては知らない旨供述している。被告人らは,判示の各事実について,被告人とAとの間で細部には食い違う点もあるが,被害者方に侵入して金品を窃取したり,被害者を殺害したことなど重要な事実について自白しており, 積極的に真実を隠そうとしている様子は認められないから,判示第1の犯行で窃取した金品についてのみ虚偽の供述をする理由は見出し難い。そして,被害者の申告どおりの現金があったことについては,同人の供述のほかにこれを裏付けるものはなく,また,腕時計についても,被害者の交際相手が,追加被害届に記載された腕時計を被害者から見せられたことがある旨供述している以外に,本件犯行時にこれが窃取されたことを裏付けるものはない。そして,被害者方での現金の管理はそれほど厳格に行われていなかったことが窺えること,被害者は,盗難保険の保険会社の関係者から,保険金請求するなら,警察に追加被害届を出せば保険金が増える旨言われたので,被害届を出してから1か月以上経ってから,追加被害届を出したと説明していること等に照らすと,これらの記載内容の信用性 ,保険金請求するなら,警察に追加被害届を出せば保険金が増える旨言われたので,被害届を出してから1か月以上経ってから,追加被害届を出したと説明していること等に照らすと,これらの記載内容の信用性には合理的な疑問を差し挟む余地がある。 そして,被告人の供述よりAの供述の方が信用できるとする根拠はなく,却って100万円の束5個という点では,被告人の供述の方が被害申告に符合していることなどにも鑑み,被告人の供述に従い,現金約530万円を窃取したとの限度で認定した。 2 弁護人は,判示第3の強盗殺人の罪につき,被告人には自首が成立する旨主張する。すなわち,被告人は,判示第1及び第2に係る各窃盗の被疑事実で任意同行を求められた後,逮捕・勾留されたものであるが,その取調べの中で判示第3 の強盗殺人について,捜査機関に発覚する前に,進んで供述したものであるというのである。 そこで検討すると,被告人は,平成13年6月6日に任意同行に応じた後,同日判示第1及び第2の窃盗の疑いで通常逮捕され,その後勾留を経て同月27日これらの事実で起訴され,同日本件強盗殺人の疑いで通常逮捕されている。 そして,本件各窃盗は約1か月の間隔で連続して発生し,被害者方用郵便受け内に隠してあった玄関ドアの鍵で被害者方に侵入されたことや,被害者方ベランダ手すりに侵入の遺留痕跡があったこと等が捜査機関にも判明し,当然それなりの警戒がなされていることが予想される状況の中で,被害者が殺害されたものであって,このような経緯からすれば,本件(強盗)殺人事件を担当する警察官が犯人像を絞り込む過程で,内部事情にも通じた同一犯人が連続して被害者方に物盗りに入り,ついには被害者を殺害したとの見方が選択肢の中に入っていたと思われる。現に,警察官は,被告人に任意同 察官が犯人像を絞り込む過程で,内部事情にも通じた同一犯人が連続して被害者方に物盗りに入り,ついには被害者を殺害したとの見方が選択肢の中に入っていたと思われる。現に,警察官は,被告人に任意同行を求める以前に,関係する不動産業者や消費者金融業者から,被告人の行動について聴取していることが認められる。 ところで,被告人は,(本件)強盗殺人の前後に共犯者のAが保有していた自動車(トヨタマークⅡ)を運転しており,また,犯行後は,Aが被害者方から窃取してきた鍵を使用して,被害者保有の自動車(シビック)を運転して,被告人運転のマークⅡと一緒に移動し,その後このシビックを伊勢崎市内の病院駐車場に放置してきており,被害者が同人方で死体となって発見された時点では,被害者方マンションの駐車場からシビックが無くなっている状況となっていた。 警察官は,このマークⅡについて,平成13年6月4日付けで信販会社にローン契約の内容について照会し,同月6日に被告人をe警察署に任意同行した後, 本件(強盗)殺人発生当時の被告人使用自動車の所在を問いただし,被告人から有限会社Dに修理で預けてある旨の供述を得て,同社に赴き,その存在を確認したことが認められる。この捜査経過からすると,本件強盗殺人の捜査を担当していた警察官は,犯行後被害者保有のシビックとトヨタマークⅡが一緒に走行しているとの事実を把握し,このトヨタマークⅡが本件(強盗)殺人に関係しているものと睨んで,その使用者及び関係者等を捜査し,その結果,被告人が本件(強盗)殺人の犯人であるとの高度の嫌疑を抱くに至ったと認めるのが相当である。 そして,被告人が,任意同行されるまでに捜査機関に対して本件強盗殺人の事実を申告した形跡は何ら窺えず,被告人も,この任意同行を求められる30分く 度の嫌疑を抱くに至ったと認めるのが相当である。 そして,被告人が,任意同行されるまでに捜査機関に対して本件強盗殺人の事実を申告した形跡は何ら窺えず,被告人も,この任意同行を求められる30分くらい前に,知り合いのe警察署の刑事に電話して,事件のことで行きたいと話した旨公判廷で述べるにとどまる。 そうすると,たとえ,被告人が強盗殺人事件について,具体的に追及される前に自ら捜査機関に対して申告したものであっても,それが捜査機関に発覚する前になされたものと言うことはできないから,本件は自首に該当しないというべきである。 (量刑の理由)本件は,多額の借財を抱えた被告人が,暴力団関係者からの厳しい取り立てを受けその返済に窮したこと等から,事業に成功し順調に会社経営を続けていた被害者に狙いをつけ,同人から金品等を窃取し,さらに強取することを共犯者らと企て,2回にわたり被害者方に忍び込み多額の金品を窃取した上,遂にはナイフで多数回にわたり突き刺して殺害して金品を強取したという,窃盗及び強盗殺人の事案である。 本件各犯行に至った経緯及び動機は,健全な経済観念が欠如した被告人が,正業に専念することなく,風俗営業の経営に手を出したり,一攫千金をも目論んで非合法ギャンブルに多額の資金を注ぎ込み,そのために莫大な借金を抱え,その返済に窮したことに尽きるのであって,そこには何ら酌量の余地はない。本件強盗殺人においては,折り畳み式ナイフや金属バット,ガムテープ等を準備し,共犯者との間で段取りを打ち合わせるなどしており,周到に用意された計画的な犯行である。そして,仕事についての話があるなどと嘘を言って,信用させてその居宅に入り,機を窺っていきなり被害者に襲いかかり,その頚部にロープを巻き付けて絞め付け,金属バットでその頭部・胸部等を殴打し,ガ る。そして,仕事についての話があるなどと嘘を言って,信用させてその居宅に入り,機を窺っていきなり被害者に襲いかかり,その頚部にロープを巻き付けて絞め付け,金属バットでその頭部・胸部等を殴打し,ガムテープで緊縛するなどして,同人に金品の在処を問い詰めたものの芳しい返事が得られず,いたずらに時間が経過することで隣人等に気付かれることを恐れて,遂にナイフで同人の背部を4か所にわたって深く突き刺して殺害したものであって,その態様は,真に残虐なものである。そして,被告人は,その前に2度にわたって被害者方に侵入して金品を窃取しており,本件は,被害者の財産を執拗かつ徹底して奪取するためにはその死をも厭わずなされた凶悪な犯行といえる。判示第2の窃盗も,当初は強盗を計画し,やはり凶器として用いるナイフ等を準備して忍び込んだものの,被害者が帰宅しなかったため窃盗にとどまったものに過ぎない。財産的な被害をみても,判示第1及び第2の各窃盗において現金約500万円及び時価合計400万円近くの腕時計ほか9点が奪われ,強盗殺人においても現金約100万円及び時価合計約130万円相当の腕時計等4点が奪われており,極めて大きいというべきである。 被害者は40歳と働き盛りであって,その経営する会社は順調に事業拡大しており,交際中の女性とも結婚の約束をするなど,公私ともに順調な時に本件によって非業の死を遂げることになったもので,その無念さは察するに余りある。被害者の遺族らは被告人の厳罰を臨んでいるが,当然のことといえる。また,強盗殺人という凶悪な犯罪が発生すること自体,治安一般に対する社会の不安を増大させるものであるところ,同一人方に続けて侵入盗が入った上,遂にはそこで強盗殺人事件が起こったもので,地域住民に与えた不安は多大なものがあり,社会的影響の大きさも見逃せない。 する社会の不安を増大させるものであるところ,同一人方に続けて侵入盗が入った上,遂にはそこで強盗殺人事件が起こったもので,地域住民に与えた不安は多大なものがあり,社会的影響の大きさも見逃せない。 そして,被告人は,被害者が多額の現金を自宅に置いていることをAに話し,本件一連の犯行の端緒を作ったばかりでなく,第1の窃盗では見張り役を務め,第2の窃盗では,被害者を襲うための凶器等を準備し,Aとの2人では人手が足りないと考え,顔見知りのCを共犯者として誘い込み,自ら被害者方に侵入し,そして,第3の強盗殺人においては,A及びCに誘いを掛け,凶器等を準備し,仕事の話を装って被害者方に入り,機を窺って同人に襲い掛かり,さらに同人の頭部等を金属バットで殴打し,遂には被害者の背部を所携のナイフで突き刺して殺害しているのであって,終始積極的かつ主導的な役割を果たしている。その結果,被告人は,本件各犯行により現金約400万円のほか,奪取した腕時計を入質処分して約140万円の利得を得ている。また,強盗殺人の後,被害者方から被告人らの指紋の付着しているおそれのある布団等を持ち出して燃やしたり,知人にアリバイ工作を頼んだりして証拠隠滅を図る一方,利得した金でギャンブルに耽るなどしており,犯行後の情状も芳しくない。 他方,被告人には,素直に罪を認め反省し捜査に協力していること,被告人の母親が被告人の更生を願っていること,前科前歴がないことなど酌むべき情状もある。 しかしながら,そもそも強盗殺人は最も重い犯罪の一つであるところ,本件各犯行の動機に酌量の余地が全くないこと,態様の極めて悪質な事案であること,結果が重大であること,本件各犯行における被告人の役割が主導的なものであること等を併せ考えると,被告人に有利な事情を最大限斟酌しても,なお酌量減軽する余地はなく,本件 様の極めて悪質な事案であること,結果が重大であること,本件各犯行における被告人の役割が主導的なものであること等を併せ考えると,被告人に有利な事情を最大限斟酌しても,なお酌量減軽する余地はなく,本件については,検察官の求刑どおり無期懲役をもって臨むのが相当であると判断した。 (求刑無期懲役・ナイフ1本の没収)(公判出席検察官安井一之私選弁護人増田智之〔主任〕,横田哲明)平成14年3月25日前橋地方裁判所刑事部裁判長裁判官長谷川憲一裁判官阿部浩巳裁判官丹下将克
▼ クリックして全文を表示